(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】光学像を撮像するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20241210BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20241210BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20241210BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20241210BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241210BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 E
G02B7/08 C
G03B17/14
H04N23/55
H04N23/661
(21)【出願番号】P 2021562217
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2019047088
(87)【国際公開番号】W WO2021111505
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599048638
【氏名又は名称】CBC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【氏名又は名称】羽切 正治
(72)【発明者】
【氏名】新倉 恒美
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和孝
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝也
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】芝沼 隆太
【審判官】松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第5893746(JP,B2)
【文献】特開平7-15646(JP,A)
【文献】特開2016-174271(JP,A)
【文献】特開2019-95590(JP,A)
【文献】特開2006-319532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G03B 17/14
H04N 23/40-23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学像を撮像するための
システムにおいて、
前記システムは、レンズ本体と、ネットワーク網と、操作端末と、カメラ本体とを有し、
前記レンズ本体は、前記光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ機構を駆動する駆動モータと、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する中央処理部と、レンズの焦点距離及び開放絞りのレンズの仕様を表す特性情報を出力するレンズ情報出力部と、前記レンズ本体を特定するために割り振った情報を特定情報として出力するレンズ本体情報出力部とを備え、
前記ネットワーク網は、前記レンズ本体への電源供給インターフェースと、前記中央処理部への通信インターフェースとを有し、
前記操作端末は、前記ネットワーク網を介して前記レンズ本体情報出力部からの情報あるいは前記レンズ情報出力部からの情報に基づいて前記レンズ本体を
前記カメラ本体を介することなく認識し、前記認識した前記レンズ本体の前記レンズ機構に該当する前記駆動制御部を振り分ける振分部と、前記振り分けた駆動制御部への駆動制御信号を出力するデータ部と、前記レンズ本体の中央処理部に前記ネットワーク網で接続され、前記振分部及び前記データ部、前記レンズ本体の中央処理部との間で情報の遣り取りを行う中央処理部とを備え、
前記カメラ本体は、撮像素子を備え、前記レンズ本体と光学的物理的に連結可能で、
前記レンズ本体と前記カメラ本体間は、電気的通信及び給電のインターフェースが存在しない
ものであり、
前記レンズ本体は、前記カメラ本体を介することなく、電源供給インターフェースの許容電圧、許容電流の範囲内で電源が確保され、前記レンズ機構の前記駆動モータを前記操作端末により前記ネットワーク網を介して駆動制御することができること
を特徴とする
システム。
【請求項2】
前記ネットワーク網上に前記レンズ本体を複数台配置し、
前記操作端末の操作により前記レンズ本体の中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記複数台の
前記レンズ本体がそれぞれ備える前記レンズ機構を同期させて駆動制御若しくは選択して駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の
システム。
【請求項3】
前記複数台の
前記レンズ本体を前記ネットワーク網で集約して1台の
前記操作端末に接続したことを特徴とする請求項2に記載の
システム。
【請求項4】
前記複数台の
前記レンズ本体を有する前記ネットワーク網上に複数台の
前記操作端末を接続させたことを特徴とする請求項2に記載の
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ本体からネットワーク網を引き出して操作端末に接続可能としたレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視用や産業用等のカメラ装置として、IPカメラ(ネットワークカメラ)、CCTV(Closed-circuit Television)カメラ、FA(Factory Automation)カメラ等が広く用いられている。また、このような用途のカメラ装置として、CマウントやCSマウント等といった互換性のあるレンズマウントを備えており、そのレンズマウントに単焦点レンズ又は可変焦点レンズ(ズームレンズやバリフォーカルレンズ等)が装着され得るように構成されたものが知られている。これらの互換カメラとレンズの組み合わせにおいて、フォーカス及びズーム並びにアイリスのレンズ機構を駆動制御することにより、前記レンズ機構を通して光学像を結像し、その光学像を撮像素子で電気信号の画像データに光電変換し、その画像データを画像処理して操作画面上に可視画像を表示している。
【0003】
前記単焦点レンズや前記可変焦点レンズにおいては、フォーカス及びズーム並びにアイリスのレンズ機構を駆動させることにより、フォーカス調整やズーム調整、アイリス調整が可能となり、それらの調整を行うためにDCモータやステッピングモータを用いて電動化した製品が広く知られている。
【0004】
前記DCモータや前記ステッピングモータをレンズ機構の駆動制御に応用し、且つ操作端末で前記レンズ機構を遠隔操作するカメラ装置が開発されている(特許文献1)。
【0005】
前記特許文献1は、レンズ鏡胴に配置されたレンズ又は絞りをモータ駆動により制御するレンズ制御装置において、前記レンズ又は絞りに関する制御内容を画面上で指示入力するための操作画面を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された操作画面上で前記レンズ又は絞りに関する制御内容を指示入力する指示入力手段と、前記指示入力手段によって指示入力された制御内容で前記レンズ又は絞りを制御する制御手段と、を備え、前記レンズが別々に制御される複数種のレンズから構成される場合において、所定のレンズに関して前記操作画面に基づく制御を有効又は無効にする選択手段を設けた構成であり、前記レンズと操作端末間をRS232ケーブルで接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1では、レンズと操作端末間をRS232ケーブルで接続しているから、レンズと操作端末間の接続形態はRS232ケーブルによって1対1の関係に限定される。従って、前記レンズが別々に制御される複数種のレンズから構成される場合において、所定のレンズに関して前記操作画面に基づく制御を有効又は無効にする選択手段を設けることにより、その選択手段の操作に基づいて、1台のレンズが制御対象の場合、その1台のレンズの制御を有効とし、残りの台数のレンズの制御を無効とする操作を行わなければならず、複数台のレンズと操作端末間の接続形態をn対1の形態に拡大することは不可能である。特に監視若しくは産業用などのカメラの場合、複数台のレンズで同期させる、若しくは複数台のレンズから任意の台数のレンズを選択して駆動制御する場合が多く、n対1の接続形態を確保できるレンズ装置の開発が望まれている。
【0008】
前記特許文献1では、レンズと操作端末の接続形態は1対1であり、複数台のレンズを1台の操作端末で駆動制御する場合、複数台のレンズと1台の操作端末間の接続が複雑化し、専門的技術が要求される。さらには、複数台のレンズに対する制御を有効又は無効にする選択手段が複数台の設置台数分必要とするものであるため、その複数台の選択手段を制御する制御手段を新たに開発する必要があり、複数台のレンズと1台の操作端末をn対1の接続形態に即座に対応することはできない。
【0009】
CマウントやCSマウントを使用してレンズ本体をカメラ本体に連結した場合には、レンズ本体がカメラ本体に光学的物理的に連結されるため、一般的にレンズ本体とカメラ本体間に電気的通信及び給電インターフェースが存在しない構成である。
特許文献1のように、レンズと操作端末間の接続形態にはRS232ケーブルが使用されており、このRS232ケーブルはレンズへの電源供給を行うことができない構造であるため、レンズを駆動させるための外部電源を別途必要とする。前記外部電源を必要とする場合には、レンズの駆動に対応する使用電圧の電源を確保しなければならず、ユーザは電圧や電流をレンズの駆動に対応させて選定する専門的技術が要求される。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来の課題を解決するものあって、レンズ本体からネットワーク網を引き出して操作端末に接続可能としたレンズ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係るレンズ装置は、光学像を撮像するためのシステムにおいて、前記システムは、レンズ本体と、ネットワーク網と、操作端末と、カメラ本体とを有し、前記レンズ本体は、前記光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ機構を駆動する駆動モータと、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する中央処理部と、レンズの焦点距離及び開放絞りのレンズの仕様を表す特性情報を出力するレンズ情報出力部と、前記レンズ本体を特定するために割り振った情報を特定情報として出力するレンズ本体情報出力部とを備え、前記ネットワーク網は、前記レンズ本体への電源供給インターフェースと、前記中央処理部への通信インターフェースとを有し、前記操作端末は、前記ネットワーク網を介して前記レンズ本体情報出力部からの情報あるいは前記レンズ情報出力部からの情報に基づいて前記レンズ本体を前記カメラ本体を介することなく認識し、前記認識した前記レンズ本体の前記レンズ機構に該当する前記駆動制御部を振り分ける振分部と、前記振り分けた駆動制御部への駆動制御信号を出力するデータ部と、前記レンズ本体の中央処理部に前記ネットワーク網で接続され、前記振分部及び前記データ部、前記レンズ本体の中央処理部との間で情報の遣り取りを行う中央処理部とを備え、前記カメラ本体は、撮像素子を備え、前記レンズ本体と光学的物理的に連結可能で、前記レンズ本体と前記カメラ本体間は、電気的通信及び給電のインターフェースが存在しないものであり、カメラ本体と、前記レンズ本体は、前記カメラ本体を介することなく、電源供給インターフェースの許容電圧、許容電流の範囲内で電源が確保され、前記レンズ機構の前記駆動モータを前記操作端末により前記ネットワーク網を介して駆動制御することができることを特徴とする。
【0015】
前記ネットワーク網上に前記レンズ本体を複数台配置し、
前記操作端末の操作により前記レンズ本体の中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記複数台の前記レンズ本体がそれぞれ備える前記レンズ機構を同期させて駆動制御する、若しくは選択して駆動制御することを特徴とする。
【0016】
前記複数台の前記レンズ本体を前記ネットワーク網で集約して1台の前記操作端末に接続したことを特徴とする。
【0017】
前記複数台の前記レンズ本体を有する前記ネットワーク網上に複数台の前記操作端末を接続させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ本体に内蔵され、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する中央処理部と、前記レンズ本体への電源供給インターフェースと前記中央処理部への通信インターフェースを形成するネットワーク網とを有するため、レンズと操作端末間をネットワーク網で接続することになり、レンズと操作端末間の接続形態をn対1、或いはn対nの接続形態に拡大することができる。
【0019】
複数台のレンズと操作端末間の接続形態をn対1の形態に拡大することができるため、監視若しくは産業用などのカメラの場合、複数台のレンズで同期させる、若しくは複数台のレンズから任意の台数のレンズを選択して駆動制御する場合にも即座に対応することができる。
【0020】
CマウントやCSマウントを使用してレンズ本体をカメラ本体に連結した場合には、レンズ本体がカメラ本体に光学的物理的に連結されるため、一般的にはレンズ本体とカメラ本体間に電気的通信及び給電のインターフェースが存在しない構成であるが、本発明によれば、レンズ本体への電源供給インターフェースをネットワーク網で形成するため、別途、外部電源を必要とせず、前記電源供給インターフェースの許容電圧、許容電流の範囲内で前記レンズ本体への電源を確保することにより、レンズ装置の設置に専門的技術を必要とすることがない。
【0021】
前記中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記レンズ本体を前記カメラ本体から独立させて起動制御することにより、前記ネットワーク網上に前記レンズ本体を複数台配置し、前記中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記複数台のレンズ機構を同期させて駆動制御する、若しくは選択して駆動制御する構成を採用することができる。
【0022】
前記中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記レンズ本体を前記カメラ本体から独立させて起動制御するため、前記複数台のレンズ本体を前記ネットワーク網で集約して1台の操作端末に接続する、若しくは前記複数台のレンズ本体を有する前記ネットワーク網上に複数台の操作端末を接続させる構成を採用することができ、レンズ装置の応用範囲を拡大することができる。
【0023】
前記電源供給インターフェースの許容電圧、許容電流の範囲内で前記レンズ本体への電源を確保することにより、ユーザは電圧、電流についての専門的知識を持つことなくレンズ装置を容易に配線設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るレンズ装置を示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態においてレンズ本体と操作端末間を接続するネットワーク網の例を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態においてレンズ本体からUSBを引き出した図であって、(a)はレンズ本体を後方から見た斜視図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は正面図、(e)は背面図、(f)は平面図、(g)は底面図、(h)は(a)を180°反転させて前方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態においてレンズ本体からイーサーネットを引き出した図であって、(a)はレンズ本体を後方から見た斜視図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は正面図、(e)は背面図、(f)は平面図、(g)は底面図、(h)は(a)を180°反転させて前方から見た斜視図である。
【
図5】(a)は本発明の実施形態に係るレンズ本体を示す斜視図、(b)は本発明の実施形態に係るレンズ本体を示す側面図、(c)は(a)に示す本発明の実施形態に係るレンズ本体を光軸の周りに90度回転させた状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るレンズ装置を示す機能ブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態における操作端末の操作画面の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態における
図3に示すレンズ本体に対応する操作端末の操作画面を別のレンズ本体に対応する操作端末の操作画面に切り替えた状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるレンズ機構の一連の動作を説明するフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態における各レンズ機構を駆動する駆動モータの動作を説明するフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
汎用のカメラ装置は、レンズ機構で光学像を結像するためのレンズ本体と、前記レンズ機構で結像した光学像を電気信号の画像データに光電変換し、その光電変換した画像データを可視画像に画像処理し、その画像処理した可視画像を操作画面上に表示するカメラ本体とから構成されている。
【0026】
前記レンズ本体は前記カメラ本体にCマウントやCSマウントなどのマウントで連結されるようになっている。
【0027】
前記レンズ機構には、光学像を結像するレンズ、アイリス(絞り)が含まれている。光学像を撮像する際、撮影時に明るさが足りないと画面が暗くなり、逆に明るすぎると画面が白飛びするので、レンズの明るさ調節機能がアイリス(絞り)であり、アイリス(絞り)の大きさを数値で表すものをF値という。
【0028】
アイリス(絞り)とレンズのピント・ボケの関係を説明する。F値を大きくする(絞りを絞る)とピントの合って見える範囲が大きくなり、逆にF値を小さくする(絞りを開ける)とピントが合って見える範囲が小さくなる。従って、アイリスの調節により被写界深度を調節することが可能である。
【0029】
アイリス機能の種類には手動(マニュアル)アイリスと自動(オート)アイリスがあり、どちらの方法で撮影するかはカメラの使用目的によって選ぶ。
手動(マニュアル)アイリスでは、撮影場所の明るさや必要な被写界深度に合わせて撮影者が手動で絞りを調節するものであり、撮影場所の明るさなどに合わせて調節する必要があるので、野外設置の監視カメラなどには不向きである。
【0030】
自動(オート)アイリスは、カメラとレンズが連動して自動で絞りを調節するものであり、時間によって明るさが変動する野外設置の監視カメラに最適であり、監視用や産業用カメラ装置に装備されている。
【0031】
前記レンズには、ズームレンズとバリフォーカルレンズ、単焦点レンズなどが開発されている。前記ズームレンズは、2以上のレンズ群を同時に動かすことで、ピント調整することなく焦点距離を可変するレンズをいう。前記ズームレンズは、手動でズーム倍率とピントを調整するものがあるが、外部機器から遠隔操作でズームすることができる機種もある。
【0032】
前記ズーム倍率を変えた際にピントがずれてしまうので、ピント調節すなわち焦点距離を変化させる必要があり、このレンズをバリフォーカルレンズという。バリフォーカルレンズは可変焦点レンズのことで、焦点距離(画角)を変化させることができるレンズであり、ズーム倍率を変えることにより、撮影範囲の広さを調整できる。
【0033】
前記画角とは、カメラ装置が撮影できる範囲のことであり、角度で表現される。広角は広い範囲を映せるが、広角になればなるほど、対象物は小さくなる。一方、望遠は対象物をズームして大きく映せるが、ズームすればするほど撮影範囲は狭くなる。
【0034】
以上の説明から明らかなように、前記バリフォーカルレンズは前記ズームレンズと比較して、低コスト、F値の向上(明るい映像を得やすい)というメリットがあり、ズームレンズよりも小型軽量で設計できる上に、オートフォーカスの性能進化と相まって、近年では防犯や産業用のカメラ装置にはズームレンズではなく、バリフォーカルレンズが採用されることが多い。
【0035】
前記単焦点レンズとは前述したズームレンズやバリフォーカルレンズのような、焦点距離を可変させる構造を持たないものである。
【0036】
図5(a)(b)(c)は本発明の実施形態におけるレンズ本体1の一例を示すバリフォーカルレンズである。
図5に示すバリフォーカルレンズはレンズ本体1の端面にCマウント或いはCSマウント2を装備しており、前記Cマウント或いは前記CSマウント2を図示しないカメラ本体に装着することにより、前記レンズ本体1を図示しないカメラ本体に連結する構成になっている。
図5では、マウントとしてネジ結合方式であるCマウントやCSマウントを用いたが、マウントはこれらに限られるものではない。
【0037】
図5に示すレンズ本体1には、レンズを移動させて焦点距離を可変させるためのズーム用リードスクリュー3a及びズーム用ステッピングモータ3c、ピント合わせをするフォーカス用リードスクリュー4a及びフォーカス用ステッピングモータ4c、絞りF値を可変するアイリスユニット5a及びアイリス用ステッピングモータ5cが組み込まれている。
【0038】
レンズを移動させて焦点距離を可変させるための前記ズーム用リードスクリュー3a及び前記ズーム用ステッピングモータ3cが、ズーム調整を行うズーム調整用のレンズ機構3を構成している。
前記リードスクリュー4a及び前記フォーカス用ステッピングモータ4cが、フォーカス調整を行うフォーカス用のレンズ機構4を構成している。
前記絞りF値を可変するアイリスユニット5a及び前記アイリス用ステッピングモータ5cが、アイリス調整を行うアイリス調整用のレンズ機構5を構成している。
これら各種のレンズ機構3,4,5は汎用の構成であり(特許第5893746号参照)、本発明はこれら各種のレンズ機構3,4,5の構成に特徴がないので、その詳細な説明を省略する。
【0039】
また、
図5に示すレンズ本体1には、光学フィルタのレンズ機構6やエクステンダーのレンズ機構7が組み込まれることがある。光学フィルタのレンズ機構6は、駆動モータ6aでフィルタを駆動させることにより、画像の明るさの調整や像コントラストの改善、特定波長の透過や反射、また一つの画像を2つの独立した画像に特定分岐比で分割することを目的に用いられる。エクステンダーのレンズ機構7は、一般的に使用されるレンズ本体1(マスターレンズ)とカメラ本体間に装着して、駆動モータ7aでレンズを駆動させることにより、前記マスターレンズの焦点距離を1.4倍や2倍などに伸ばす目的に用いられる。
これら各種のレンズ機構6,7は汎用の構成であり(特許第5893746号)、本発明はこれら各種のレンズ機構6,7の構成に特徴がないので、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図1に示すレンズ本体1は、Cマウント若しくはCSマウント2でカメラ本体69に連結した際、レンズ本体1はカメラ本体69に光学的物理的に連結されることになる。すなわち、レンズ本体1とカメラ本体69間には光学的物理的なインターフェースが存在するのみであり、一般的な電気的通信及び給電のインターフェースが存在しないため、レンズ本体1(
図1に示すレンズ機構3~7及び駆動モータ3c、4c、5c、6a、7a、駆動制御部9~13、中央処理部17)を駆動するための電源を確保する必要がある。
【0041】
本発明の実施形態は、少なくとも前記電源の確保を実現することにある。
図1は、本発明の実施形態に係るレンズ装置を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るレンズ装置は、光学像を撮像するためのレンズ装置を対象とするものであり、レンズ本体1に内蔵され、前記光学像を結像させるためのレンズ機構3~7と、レンズ本体1に内蔵され、レンズ機構3~7を駆動制御する駆動制御部9~13と、駆動制御部9~13に駆動制御信号を出力する中央処理部17と、レンズ本体1への電源供給インターフェース16aと中央処理部17への通信インターフェース16bを形成するネットワーク網16とを有していることを特徴とする。
図1において、レンズ本体1の中央処理部17とネットワーク網16は接続用基板のインターフェースで電気的に接続されるものであり、前記インターフェースの機能を有する接続用基板は
図1のレンズ本体1に内蔵している。本発明ではレンズ本体内に前記接続用基板を内蔵しているため、駆動用モータ(ズーム用駆動モータ3c、フォーカス用駆動モータ4c、アイリス用駆動モータ5c、光学フィルタ用駆動モータ6a、エクステンダー用駆動モータ)との配線をすることなく使用できるため、駆動モータ仕様等の専門的な知識や技術を必要としない。
【0042】
レンズ本体1への電源供給インターフェース16aと中央処理部17への通信インターフェース16bをネットワーク網16で形成するため、ネットワーク網16をレンズ本体1の中央処理部17と操作端末15の中央処理部20に確立すると、操作端末15のUSB端子から電源供給インターフェース16aすなわちネットワーク網16の許容電圧、許容電流の範囲内でレンズ本体1への電源が確保されるようになっており、レンズ本体1を駆動する外部電源は不要となり、ネットワーク網16の配線作業に専門的な技術を必要としないものである。
【0043】
図1に示すレンズ装置では、ズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4、アイリス調整用レンズ機構5、光学フィルタ調整用レンズ機構6、エクステンダー調整用レンズ機構7を装備した例を示したが、これらすべてのレンズ機構3~7を備える必要はなく、少なくともフォーカス調整用レンズ機構4を備えていればよく、必要に応じてズーム調整用レンズ機構3、アイリス調整用レンズ機構5、光学フィルタ用レンズ機構6或いはエクステンダー調整用レンズ機構7を装備するようにしても良いものである。
【0044】
また、
図1に示すように、カメラ本体69はレンズ本体1がCマウント若しくはCSマウント2で光学的物理的に連結されるものであり、レンズ機構3~7で結像した光学像を電気データに光電変換する撮像素子73を備えており、データ出力部74は撮像素子73が光電変換した画像データをRAW(生データ)で出力するようになっている。
端末75を有しており、端末75は、カメラ本体69のデータ出力部74が出力するRAWデータを画像処理する画像処理部70と、画像処理部70からのデータを可視画像として表示する表示部71を有している。
【0045】
また、
図1に示すように、操作端末15を有しており、操作端末15はレンズ本体1の中央処理部17にネットワーク網16で接続される中央処理部20と、振分部21と、データ部22を有している。
【0046】
振分部21は、中央処理部17と中央処理部20間にネットワーク網16が確立して中央処理部20から中央処理部17への問合せに中央処理部17が応答した信号に基づいてレンズ本体1を認識し、その認識したレンズ本体1のレンズ機構3~7に駆動制御部9~13を振り分けるようになっている。
データ部22は、振分部21が振り分けた駆動制御部9~13への駆動制御信号をそれぞれ出力されるようになっている。
データ部22からの駆動制御信号は中央処理部17に入力し、中央処理部17から該当する駆動制御部9~13にそれぞれ出力されるようになっている。
【0047】
レンズ本体1からUSB(ネットワーク網)16を引き出した構成を
図3(a)~(i)に示している。
図3は、レンズ本体1からUSB16をネットワーク網16として引き出しており、(a)はレンズ本体を後方から見た斜視図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は正面図、(e)は背面図、(f)は平面図、(g)は底面図、(h)は(a)を180°反転させて前方から見た斜視図である。
図3に示すレンズ装置は、カメラ本体に装着するカメラ用レンズ装置であって、駆動モータ3cの駆動力によりズーム調整が可能なズーム調整用レンズ機構3と、駆動モータ4cの駆動力によりフォーカス調整が可能なフォーカス調整用レンズ機構4と、駆動モータ5cの駆動力により光量(絞り)の調整が可能なアイリス調整用レンズ機構5を備えており、前記駆動モータ3c~5cの各々を駆動制御が可能なマイクロコンピュータの中央処理部17を内蔵しており、USB16を介して外部のコンピュータである操作端末15に接続することにより、カメラ本体を介することなく、レンズ機構3~5の駆動モータ3c、4c、5cの各々を外部の操作端末15から駆動制御するようになっている。
なお、
図3に示すレンズ装置では、ズーム調整用レンズ機構3とフォーカス調整用レンズ機構4とアイリス調整用レンズ機構5を備えているが、少なくともフォーカス調整用レンズ機構4を備えていれば良いものである。
【0048】
レンズ本体1からイーサーネット(ネットワーク網)16を引き出した構成を
図4(a)~(h)に示している。
図4は、レンズ本体1からイーサーネットをネットワーク網16として引き出しており、(a)はレンズ本体を後方から見た斜視図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は正面図、(e)は背面図、(f)は平面図、(g)は底面図、(h)は(a)を180°反転させて前方から見た斜視図である。
図4に示すレンズ装置は、カメラ本体に装着するカメラ用レンズ装置であって、駆動モータ3cの駆動力によりズーム調整が可能なズーム調整用レンズ機構3と、駆動モータ4cの駆動力によりフォーカス調整が可能なフォーカス調整用レンズ機構4と、駆動モータ5cの駆動力により光量(絞り)の調整が可能なアイリス調整用レンズ機構5を備えており、前記駆動モータ3c~5cの各々を駆動制御が可能なマイクロコンピュータの中央処理部17を内蔵しており、イーサーネット72を介して外部のコンピュータである操作端末15に接続することにより、カメラ本体を介することなく、レンズ機構3~5の駆動モータ3c、4c、5cの各々を外部の操作端末15から駆動制御するようになっている。
なお、
図4に示すレンズ装置では、ズーム調整用レンズ機構3とフォーカス調整用レンズ機構4とアイリス調整用レンズ機構5を備えているが、少なくともフォーカス調整用レンズ機構4を備えていれば良いものである。
【0049】
図6は、本発明の他の実施形態に係るレンズ装置を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、レンズ本体1は、レンズの焦点距離及び開放絞りのレンズの仕様を表す特性情報を出力するレンズ情報出力部8を装備している。レンズ情報出力部8は、レンズの仕様を表す特性情報を中央処理部17及びネットワーク網16並びに中央処理部20を介して操作端末15に送り込むようになっている。
【0050】
図6に示すレンズ本体情報出力部14は、レンズ本体1を特定するための特定情報をカメラ本体を経由することなく操作端末15に中央処理部17及びネットワーク網16並びに中央処理部20を介して出力するものであり、複数台のレンズ本体1が存在する場合、複数台のレンズ本体1に個々に特定するために割り振った情報を前記特定情報として出力するようになっている。
図6において、レンズ本体1の中央処理部17とネットワーク網16は接続用基板のインターフェースで電気的に接続されるものであり、前記インターフェースの機能を有する接続用基板は
図6のレンズ本体1に内蔵している。本発明ではレンズ本体内に前記接続用基板を内蔵しているため、駆動用モータ(ズーム用駆動モータ3c、フォーカス用駆動モータ4c、アイリス用駆動モータ5c、光学フィルタ用駆動モータ6a、エクステンダー用駆動モータ)との配線をすることなく使用できるため、駆動モータ仕様等の専門的な知識や技術を必要としない。
図6に示す実施形態では、前記特性情報を出力する前記レンズ情報出力部8と前記特定情報を出力するレンズ本体情報出力部14に分離して設けたが、レンズ本体情報出力部14にレンズ情報出力部8の機能を組み込み、レンズ本体情報出力部14が、前記レンズ機構の仕様を表す特性情報に加えてレンズ本体1を特定するための特定情報を出力するようにしても良いものである。
【0051】
図6に示すレンズ装置では、レンズ本体1に装備されレンズ本体1の周辺温度を計測する温度センサ18と、温度センサ18からの計測信号に基づいて前記周辺温度の情報を出力する温度検出部19を有しており、温度検出部19からの温度情報は中央処理部17からネットワーク網16で操作端末15に出力されるようになっている。
【0052】
図6における操作端末(
図1の操作端末15に相当するもの)は、ネットワーク網16を介して入力するレンズ本体情報出力部14からの情報(特定情報のみ或いは特性情報及び特定情報)或いはレンズ情報出力部8からの情報(特性情報)に基づいてレンズ本体1をカメラ本体を介することなく直接認識し、前記認識したレンズ本体1のレンズ機構3~7に該当する駆動制御部9~13を振り分ける振分部21と、前記振り分けた駆動制御部3~7への駆動制御信号をそれぞれ出力するデータ部22と、レンズ本体1の中央処理部17にネットワーク網16で接続され、振分部21及びデータ部22とレンズ本体1の駆動制御部3~7及びレンズ本体情報出力部14間に情報の遣り取りを行う中央処理部20を有している。
振分部21(
図1参照)は、中央処理部17と中央処理部20間にネットワーク網16が確立して中央処理部20から中央処理部17への問合せに中央処理部17が応答した信号、前記特定情報或いは前記特定情報に基づいてレンズ本体1を認識し、その認識したレンズ本体1のレンズ機構3~7に駆動制御部9~13を振り分けるようにしても良いものである。
【0053】
図6に示すズーム用駆動制御部9、フォーカス用駆動制御部10、アイリス用駆動制御部11、光学フィルタ用駆動制御部12、エクステンダー用駆動制御部13、カメラ本体、レンズ情報出力部8、レンズ本体情報出力部14、温度検出部19は中央処理部17及びネットワーク網16並びに中央処理部20の経路を通して操作端末15の振分部21、データ部22の間で情報の遣り取りを行うようになっている。
【0054】
図1に示す振分部21及びデータ部22は、操作端末15の操作画面上での操作により動作するようになっている。
図7及び
図8に示すように、操作端末15の操作画面32には、振分部21を操作する操作ボタン33と、振分部21が個別に認証したレンズ本体1の選択情報34を表示する表示窓35が配置してある。
図7及び
図8に示すように、操作端末15の操作画面32には、振分部21が認識したネットワーク網16上のレンズ本体1を操作端末15にOSを介して接続する接続ボタン36と、接続ボタン36で接続したレンズ本体1を操作端末15からOSを介して切り離す遮断ボタン37と、接続ボタン36及び遮断ボタン37の動作状態を表示する表示窓38が併設してある。
【0055】
レンズ本体1を特定するための特定情報には、レンズ本体1の選択情報34に加えて、ズームレンズ及びバリフォーカルレンズ並びに単焦点レンズなどのレンズモデル39、複数台のレンズ本体1が接続されたライン40の情報、そのライン40中での個々のレンズ本体1を表す位置情報41などが含まれている。
図7及び
図8に示すように振分部21は、レンズ本体1を特定するための特定情報或いは特定情報及び特性情報に基づいてレンズ本体1を個々に認識し、振分部21はレンズ本体1の選択情報(特定情報)34を表示窓35に表示し、レンズモデル(特性情報)39を表示窓42に表示し、ライン40の情報(特定情報)と位置情報(特定情報)41を対応させて表示するようになっている。
図7及び
図8では、ライン40の情報に基づいて複数台のレンズ本体1が接続されたラインを判別し、位置情報41に基づいてライン40における何番目のレンズ本体1であるかを表示するようにしているが、これらの表示例に限られないものである。
【0056】
図7及び
図8に示すように、操作端末15の操作画面32にはレンズ本体1の駆動制御部9~13への駆動制御信号をそれぞれ出力するデータ部が組み込まれている。
図3及び
図4に示すデータ部22として、ズーム調整用レンズ機構3を駆動制御する駆動制御信号を出力するズーム用データ部44と、フォーカス調整用レンズ機構4を駆動制御する駆動制御信号を出力するフォーカス用データ部45と、アイリス調整用レンズ機構5を駆動制御する駆動制御信号を出力するアイリス用データ部46を装備している。なお、光学フィルタ調整用レンズ機構6に駆動制御信号を出力するデータ部及びエクステンダー調整用レンズ機構7に駆動制御信号を出力するデータ部を付加しても良いものである。
【0057】
図7及び
図8に示すように、操作端末15の操作画面32には、ズーム用データ部44、フォーカス用データ部45、アイリス用データ部46を切り替えて初期化させるデータ部用の初期化ボタン47,48,49が組み込まれている。
【0058】
図1に示すズーム用駆動モータ3c、フォーカス用駆動モータ4c、アイリス用駆動モータ5cとして、
図5のレンズ本体1ではステッピングモータ3c、4c、5cを使用している。
図1に示す光学フィルタ用駆動モータ6a、エクステンダー用駆動モータ7aとしてステッピングモータを用いてもよい。これらの駆動モータ3c、4c、5c、6a、7aに、ステッピングモータに代えてDCモータを用いても良く、さらにはステッピングモータとDCモータを使用目的に対応させて併用しても良いものである。
図7及び
図8に示す操作端末15は駆動モータ3c、4c、5cにステッピングモータを使用することを前提としており、ズーム用データ部44は、振分部21が認識したレンズ本体1の焦点距離のうち広角側の焦点距離アドレスの特性情報50と、望遠側の焦点距離アドレスの特性情報51を表示し、その焦点距離アドレス50,51の範囲内でズームスライドバー52をスライドさせて可変させた焦点距離アドレス情報53、54を表示するようになっている。さらに、ズーム用データ部44はアドレス情報54の位置から焦点を微調整するためのステップ数の情報55を表示するようになっている。
図7及び
図8では、ズームスライドバー52で焦点距離アドレスを1500の位置に可変させる場合を示しており、ズームスライドバー52を焦点距離アドレス1500の位置までスライドさせると、アドレス情報54として「1500」の数字が表示され、ステップ操作ボタン56を操作して焦点の微調整を行うためのステップ数の情報55を表示するようになっている。図の左側のステップ操作ボタン56を操作すると、ステップ数が減少し、図の右側のステップ操作ボタン56を操作すると、ステップ数が増加する設定になっている。
【0059】
図7及び
図8に示す例では、レンズ本体1のレンズとしてバリフォーカルレンズを使用していることを前提としているため、ズーム調整用レンズ機構3でズームした場合、レンズのピント位置がずれてしまうため、再度レンズのピント位置を補正する必要がある。フォーカス用データ部45は、ズーム調整用レンズ機構3でズームした焦点距離(特性情報)に対応する近点と遠点のフォーカス用アドレス情報(特性情報)57を表示し、そのフォーカス用アドレス情報57の範囲内でフォーカススライドバー58をスライドさせてピント位置を表すアドレス情報59を表示するようになっている。さらに、フォーカス用データ部45はピントの微調整を行うためのステップ数の情報60を表示するようになっている。
【0060】
図7及び
図8に示す例では、レンズを通した明るさを調整したい場合はアイリスの調整をすることができる。アイリス用データ部46は、アイリス調整における最大の絞り値(全開)と最小の絞り値(全閉)のアイリス用情報(特性情報)61を表示し、そのアイリス用情報61の範囲内でアイリススライドバー62をスライドさせて絞りの開閉位置を表すアドレス情報63を表示するようになっている。さらに、アイリス用データ部46は絞りの開閉位置を微調整するためのステップ数の情報64を表示するようになっている。
なお、ズームの焦点距離、フォーカスのピント位置、アイリスの開閉度をアドレス情報として表示するようにしたが、これに限られるものではなく、アドレス情報に代えて、焦点距離やF値を表示するようにしても良いものである。
【0061】
図7及び
図8に示す操作端末15は操作画面32にズーム用データ部44及びフォーカス用データ部45並びにアイリス用データ部46を動作させて駆動制御信号を出力させるための実行ボタン65、66、67を組み込んでいる。実行ボタン65、66、67を操作すると、ズーム用データ部44、フォーカス用データ部45、アイリス用データ部46は、ズーム用のアドレス情報(例えば1500の位置)、フォーカス用のアドレス情報(例えば12300の位置)、アイリス用の情報(例えば50の位置)に対応させて、ズーム調整用レンズ機構3(ズーム用駆動制御部9、ズーム用駆動モータ3c)、フォーカス用レンズ機構4(フォーカス用駆動制御部10、フォーカス用駆動モータ4c)、アイリス調整用レンズ機構5(アイリス用駆動制御部11、アイリス用駆動モータ5c)を駆動制御するようになっている。
【0062】
図7及び
図8に示すように、操作端末15の操作画面32には、中央処理部20で受け取った温度検出部19からの温度情報を取得する温度取得用の起動ボタン68が組み込まれ、起動ボタン68を操作してレンズ本体1の周辺の温度情報を取得するようになっている。
【0063】
レンズ本体1と操作端末15を接続するネットワーク網16の構成を
図2に基づいて説明する。
図2(a)は、レンズ本体1と操作端末15をn対1の接続形態のネットワーク網16で接続する場合を示しており、
図2(b)はレンズ本体1と操作端末15をn対nの接続形態のネットワーク網16で接続する場合を示している。
【0064】
図1に示したようにネットワーク網16により、レンズ本体1への電源供給インターフェース16aと中央処理部17への通信インターフェース16bを形成することにより、中央処理部17からの駆動制御信号に基づいてレンズ本体1をカメラ本体69から独立させて起動制御するようになっている。従って、
図2に示すように、ネットワーク網16上にレンズ本体1を複数台配置し、中央処理部17からの駆動制御信号に基づいて、複数台のレンズ機構3~7の内からレンズ機構A,Bを同期させて駆動制御する、若しくはレンズ機構A,Bを選択して駆動制御する構成になっている。
【0065】
図2(a)は、複数台のレンズ本体1をネットワーク網16で集約して1台の操作端末に接続した構成を構築している。
図2(a)に示す接続形態は、6台のレンズ本体1を1台の操作端末15に接続する6対1の接続形態を示している。
図2(a)に示すように、3台のレンズ本体1をネットワークハブ23、24にそれぞれ並列に接続し、2台のネットワークハブ23,24をネットワークハブ25に並列に接続して、6対1のネットワーク網16を構築している。ネットワークハブ23、24、25が
図1のネットワーク網16を構成している。ネットワークハブ23,24は給電できるタイプである。
【0066】
図2(a)に示すネットワーク網16によれば、n台のレンズ本体1を1台の操作端末15で一括して駆動制御することになる。
【0067】
図2(b)は、複数台のレンズ本体1を有するネットワーク網16上に複数台の操作端末15を接続させた構成を構築しており、レンズ本体1と操作端末15をn対nの接続形態のネットワーク網16で接続する場合を示している。
図2(c)は、n台のレンズ本体1をn台の操作端末15にネットワークハブ25及びイーサーネット72からなるネットワーク網16で接続し、n台のレンズ本体1とn台の操作端末15間にn対nのネットワーク網16を構築している。
【0068】
図2(b)に示すネットワーク網16によれば、n台の操作端末15のうち1台の操作端末15でn台のレンズ本体1を駆動制御する制御体系、或いはn台の操作端末15をn台のレンズ本体1にそれぞれ割り振ることにより、対応する1台の操作端末15で1台のレンズ本体1を駆動制御する制御体系とすることが可能となる。
さらには、n台の操作端末15のうちn-1台をコントロール室に設置し、残り1台の操作端末15にスマートフォンやタブレットなどの携帯端末を用いて、その携帯端末をレンズ本体1の近傍に携帯し、その携帯端末でレンズ本体1を駆動制御することができるという新たな制御体系を構築することができるものである。
【0069】
レンズ本体1を操作端末15に接続するネットワーク網16は
図2に示す配線構造に限られるものではない。
図3及び
図4に示すように、
図1の中央処理部17からUSB又はイーサーネット72を引き出し、USB又イーサーネット72を
図1のネットワーク網16として操作端末15の中央処理部20に接続するようにしても良いものである。
【0070】
次に、
図7、
図8及び
図9に基づいて、レンズ本体1の選択から温度管理までの一連の動作について説明する。先ず、監視用や産業用カメラ装置に装着するのに最適な焦点距離及び開放絞りを有するレンズ機構3~7を装備したレンズ本体1を選択する(
図9のステップS1)。
【0071】
図7及び
図8の表示例は、複数台のレンズ本体1が1台の操作端末15にネットワーク網16で接続される場合を示しており、1本のライン40(ネットワーク網16)上に複数台のレンズ本体1が存在している場合を想定している。
レンズ本体1を特定するための特定情報には、レンズ本体1の選択情報(特定情報)34に加えて、ズームレンズ及びバリフォーカルレンズ並びに単焦点レンズなどのレンズモデル(特性情報)39、複数台のレンズ本体1が接続されたライン40の情報(特定情報)、そのライン40中での個々のレンズ本体1を順番41で表す情報(特定情報)などが含まれている。
【0072】
先ず、
図7及び
図8に示す操作端末15の操作ボタン33を操作してライン40上のレンズ本体1から1台のレンズ本体1を選択する(
図5のステップS1)。後述するように、その選択したレンズ本体1の選択情報34が振分部21で表示窓34に表示される。
次に
図7及び
図8に示す接続ボタン36を操作することにより、ライン40(ネットワーク網16)から選択した選択情報34に該当するレンズ本体1を操作端末15からOSを介してソフト的に接続される(
図9のステップS2)。この状態では、選択されたレンズ本体1のみが操作端末15による操作対象となり、それ以外のレンズ本体1はライン40即ちネットワーク網16上に存在するのみであり、操作端末15にソフト的に接続されておらず、操作端末15による操作対象にならない。
ライン40上即ちネットワーク網16上のレンズ本体1を切り替える場合には、遮断ボタン37を操作することにより、選択情報34に該当するレンズ本体1を操作端末15からOSを介してソフト的に切り離す。次に、
図7及び
図8に示す操作端末15の操作ボタン33を操作してライン40上のレンズ本体1から切替対象のレンズ本体1を選択する(
図9のステップS1)。その選択したレンズ本体1の新たな選択情報34が振分部21で表示窓34に表示される。
次に
図7及び
図8に示す接続ボタン36を操作することにより、ライン40(ネットワーク網16)から新たに選択した選択情報34に該当するレンズ本体1を操作端末15にからOSを介してソフト的に接続される(
図9のステップS2)。この状態では、新たに選択されたレンズ本体1のみが操作端末15による操作対象となり、切り離されたレンズ本体1を含めて残りのレンズ本体1はライン40即ちネットワーク網16上に存在するのみであり、操作端末15にソフト的に接続されておらず、操作端末15による操作対象にならない。
【0073】
レンズ本体1が操作端末15にソフト的に接続されると、
図6に示すレンズ本体1のレンズ情報出力部8からレンズ機構3~5の仕様を表す特性情報がネットワーク網16を介して出力されるとともに、
図6のレンズ本体情報出力部14からレンズ本体1を特定するための特定情報がネットワーク網16を介して出力される。
図7及び
図8に示す操作端末15の振分部21は、
図6に示すレンズ情報出力部8から出力される特性情報及びレンズ本体情報出力部14から出力される特定情報に基づいてレンズ本体1を個々に認識し、振分部21はレンズ本体1のレンズモデル39を表示窓42に表示し、ライン40の情報と順番41の情報を対応させて表示する。
図7は、選択情報34が「COM16」であるレンズ本体1がライン40即ちネットワーク網16上から選択され、そのレンズモデル39が「LENS ABCDEFG」であり、その選択されたレンズ本体1がライン40(ネットワーク網16)上の順番41の「No1」に相当することが操作画面32上に表示される。
図8は、選択情報34が「COM16」であるレンズ本体1が操作端末15からソフト的に切り離され、新たに選択情報34が「COM57」であるレンズ本体1がライン40即ちネットワーク網16上から選択された際の表示例を示しており、ライン40即ちネットワーク網16から選択されたレンズ本体1のレンズモデル39が「LENS HIJKLMN」であり、その選択されたレンズ本体1がライン40(ネットワーク網16)上の順番41の「No4」に相当するレンズ本体1であることが操作画面32上に表示される。
【0074】
オペレータは、
図7及び
図8に示す操作ボタン33及び接続ボタン36の操作により選択したレンズ本体1が
図7及び
図8に示す操作画面32上の表示に基づいて、レンズモデル39が「LENS ABCDEFG」或いは、「LENS HIJKLMN」であり、ライン40(ネットワーク網16)上の順番41が「No1」或いは「No4」であるレンズ本体1であることを把握することになる。
【0075】
図9に示すレンズ選択及びレンズ接続の処理が終了した時点において、
図7及び
図8に示す操作端末15の初期化ボタン47、48、49を操作することにより、レンズ機構3、4、5を初期化する(
図9のステップS3)。
以下では、ズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4、アイリス調整用レンズ機構5、光学フィルタ調整用レンズ機構6、エクステンダー調整用レンズ機構7毎に初期化の処理を説明する。
【0076】
オペレータが
図7及び
図8に示す操作端末15の操作画面32上でズーム用の初期化ボタン48を操作すると、振分部21はズーム調整用レンズ機構3にズーム用駆動制御部9を振り分ける、即ちズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動制御部9に対応するズーム用データ部44を起動させる。
ズーム用データ部44は、振分部21が振り分けたズーム用駆動制御部9に対してズーム調整用レンズ機構3を初期化するためのコマンドを発行し(
図9のステップS3及びステップS10)、そのコマンドに基づいてズーム調整用レンズ機構3の現在値(特性情報)を読み込む(
図9のステップS3及びステップS11)とともに、ズーム調整用レンズ機構3のWIDE側の情報50とTELE側の情報51の作動範囲を示す情報(特性情報)を読み込む(
図5のステップS3及びステップS12)。
ズーム用データ部44は、その読み込んだズーム調整用レンズ機構3の現在値を操作端末15の操作画面32に特性情報53、54として表示する(
図9のステップS11)とともに、ズーム調整用レンズ機構3の作動範囲を示す情報50、51を表示する(
図9のステップS12)。
【0077】
ズーム調整用レンズ機構3の初期化に関する一連の処理が終了すると、フォーカス調整用レンズ機構4に関する一連の初期化処理を開始させる。
オペレータが
図7及び
図8に示す操作端末15の操作画面32上でフォーカス用の初期化ボタン47を操作すると、振分部21はフォーカス調整用レンズ機構4にフォーカス用駆動制御部10を振り分ける、即ちフォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用駆動制御部10に対応するフォーカス用データ部45を起動させる。
フォーカス用データ部45は、振分部21が振り分けたフォーカス用駆動制御部10に対してフォーカス調整用レンズ機構4を初期化するためのコマンドを発行し(
図9のステップS3及びステップS13)、そのコマンドに基づいてフォーカス調整用レンズ機構4の現在値(特性情報)を読み込む(
図9のステップS3及びステップS14)とともに、フォーカス調整用レンズ機構4のNEARE側とInf側の作動範囲を示す情報57(特性情報)を読み込む(
図9のステップS3及びステップS15)。
フォーカス用データ部45は、その読み込んだフォーカス調整用レンズ機構4の現在値を操作端末15の操作画面32に特性情報58,59として表示する(
図9のステップS3及びステップS14)とともに、フォーカス調整用レンズ機構4の作動範囲を示す情報57を表示する(
図9のステップS15)。
【0078】
フォーカス調整用レンズ機構4の初期化に関する一連の処理が終了すると、アイリス調整用レンズ機構5に関する一連の初期化処理を開始させる。
オペレータが
図7及び
図8に示す操作端末15の操作画面32上でアイリス用の初期化ボタン49を操作すると、振分部21はアイリス調整用レンズ機構5にアイリス用駆動制御部11を振り分ける、即ちアイリス調整用レンズ機構5のアイリス用駆動制御部11に対応するアイリス用データ部46を起動させる。
アイリス用データ部46は、振分部21が振り分けたアイリス用駆動制御部11に対してアイリス調整用レンズ機構5を初期化するためのコマンドを発行し(
図9のステップS3)、そのコマンドに基づいてアイリス調整用レンズ機構5の現在値(特性情報)を読み込む(
図9のステップS3)とともに、アイリス調整用レンズ機構5のOpen側とClose側の作動範囲を示す情報61(特性情報)を読み込む(
図9のステップS3)。
アイリス用データ部46は、その読み込んだアイリス調整用レンズ機構5の現在値を操作端末15の操作画面32の表示窓62、63に特性情報として表示する(
図9のステップS3)とともに、アイリス調整用レンズ機構5の作動範囲を示す情報61を表示する(
図9のステップS3)。
【0079】
アイリス調整用レンズ機構5に関する初期化に関する一連の処理が終了すると、次に光学フィルタ調整用レンズ機構6の初期化処理(
図9のステップS3、S17)が行われ、次いでエクステンダー調整用レンズ機構7の初期化処理(
図9のステップS3、S18)が行われ、光学像の撮像に向けた一連の初期化処理が終了する。
【0080】
レンズ本体1の周辺の温度情報を必要とする場合には、温度センサ18及び温度検出部10の初期化処理を実行する(
図9のステップS3、S19)。
【0081】
上述した一連の初期化処理が終了すると、各レンズ機構3,4,5,6,7を駆動制御して光学像を撮像することになる。
図1及び
図10に基づいて、各レンズ機構3,4,5,6,7の駆動モータ3c、4c、5c、6a、7aを駆動制御する動作及び温度情報を取得する動作について説明する。
【0082】
図10(a)に示すように、ズーム用データ部44及びフォーカス用データ部45並びにアイリス用データ部46のステップ操作ボタン56が操作された場合(
図10(a)のステップ20、YES)、ズーム用データ部44及びフォーカス用データ部45並びにアイリス用データ部46は、表示窓55、60、64に表示されたステップ数を読み込む(
図10(a)のステップS21)。
【0083】
ズーム用データ部44及びフォーカス用データ部45並びにアイリス用データ部46は、表示窓55、60、64に表示されたステップ数を読み込むと、その読み込んだステップ数に対応するコマンドを発行する(
図10(a)のステップS22)。
具体的には、ズーム用データ部44は、ズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動モータ3cを駆動制御するコマンドをズーム用駆動制御部9に前記読み込んだステップ数に対応させて発行する(
図10(a)のステップS22)。
ズーム用駆動制御部9は、前記読み込んだステップ数に対応するコマンドをズーム用データ部44から受け取ると、そのコマンドに基づいてズーム用駆動モータ3cを駆動制御することにより、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整を実行する。
フォーカス用データ部45は、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御するコマンドをフォーカス用駆動制御部10に前記読み込んだステップ数に対応させて発行する(
図10(a)のステップS22)。
フォーカス用駆動制御部10は、前記読み込んだステップ数に対応するコマンドをフォーカス用データ部45から受け取ると、そのコマンドに基づいてフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御することにより、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整を実行する。
アイリス用データ部46は、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス用駆動モータ5aを駆動制御するコマンドをアイリス用駆動制御部11に前記読み込んだステップ数に対応させて発行する(
図10(a)のステップS22)。
アイリス用駆動制御部11は、前記読み込んだステップ数に対応するコマンドをアイリス用データ部46から受け取ると、そのコマンドに基づいてアイリス用駆動モータ5cを駆動制御することにより、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス調整を実行する。
【0084】
図1に示す光学フィルタ調整用レンズ機構6及びエクステンダー調整用レンズ機構7を装備した場合には、
図1に示すデータ部22に、光学フィルタ調整用レンズ機構6の光学フィルタ用駆動モータ6a及びエクステンダー調整用レンズ機構7のエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御するために、光学フィルタ用データ部及びエクステンダー用データ部が装備され、光学フィルタ調整用レンズ機構6及びエクステンダー調整用レンズ機構7を駆動制御するようになっている。
具体的には、データ部22の光学フィルタ用データ部は、光学フィルタ調整用レンズ機構6の光学フィルタ用駆動モータ6aを駆動制御するコマンドを光学フィルタ用駆動制御部12に読み込んだステップ数に対応させて発行する。
光学フィルタ用駆動制御部12は、読み込んだステップ数に対応するコマンドをデータ部22の光学フィルタ用データ部から受け取ると、そのコマンドに基づいて光学フィルタ用駆動モータ6aを駆動制御することにより、光学フィルタ調整用レンズ機構6を調整する。
データ部22のエクステンダー用データ部は、エクステンダー調整用レンズ機構7のエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御するコマンドをエクステンダー用駆動制御部13に読み込んだステップ数に対応させて発行する。
エクステンダー用駆動制御部13は、読み込んだステップ数に対応するコマンドをデータ部22のエクステンダー用データ部から受け取ると、そのコマンドに基づいてエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御することにより、エクステンダー調整用レンズ機構7の倍率を調整する。
【0085】
ズーム用データ部44は、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整の終了後におけるズーム調整用レンズ機構3の現在のズーム値を読み込み、そのズーム値をアドレス情報53、54として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(a)のステップS23)。
フォーカス用データ部45は、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整の終了後におけるフォーカス調整用レンズ機構4の現在のフォーカス値を読み込み、そのフォーカス値をアドレス情報58、59として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(a)のステップS23)。
アイリス用データ部46は、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス調整の終了後におけるアイリス調整用レンズ機構5の現在のアイリス値を読み込み、そのアイリス値をアドレス情報62、63として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(a)のステップS23)。
データ部22の光学フィルタ用データ部は、光学フィルタ調整用レンズ機構6の調整の終了後における光学フィルタ調整用レンズ機構6の現在の値を読み込み、その値をアドレス情報として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(a)のステップS23)。
データ部22のエクステンダー用データ部は、エクステンダー調整用レンズ機構7の調整の終了後におけるエクステンダー調整用レンズ機構7の現在の値を読み込み、その値をアドレス情報として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(a)のステップS23)。
【0086】
次に、ズームスライドバー52、フォーカススライドバー58、アイリススライドバー62がスライドバー上で操作された場合の動作を
図10(b)に基づいて説明する。
ズーム用データ部44は、スライドバー上のズームスライドバー52の位置を読み込み(
図10(b)のステップS25)、ズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動モータ3cを駆動制御するコマンドをズーム用駆動制御部9にズームスライドバー52の位置に対応させて発行する(
図10(b)のステップS26)。
ズーム用駆動制御部9は、ズームスライドバー52の位置に対応するコマンドをズーム用データ部44から受け取ると、そのコマンドに基づいてズーム用駆動モータ3cを駆動制御することにより、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整を実行する。
フォーカス用データ部45は、スライドバー上のフォーカススライドバー58の位置を読み込み(
図10(b)のステップS25)、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御するコマンドをフォーカス用駆動制御部10にフォーカススライドバー58の位置に対応させて発行する(
図10(b)のステップS26)。
フォーカス用駆動制御部10は、フォーカススライドバー58の位置に対応するコマンドをフォーカス用データ部45から受け取ると、そのコマンドに基づいてフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御することにより、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整を実行する。
アイリス用データ部46は、スライドバー上のアイリススライドバー62の位置を読み込み(
図10(b)のステップS25)、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス用駆動モータ5cを駆動制御するコマンドをアイリス用駆動制御部11にアイリススライドバー62の位置に対応させて発行する(
図10(b)のステップS26)。
アイリス用駆動制御部11は、アイリススライドバー62の位置に対応するコマンドをアイリス用データ部46から受け取ると、そのコマンドに基づいてアイリス用駆動モータ5cを駆動制御することにより、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス調整を実行する。
【0087】
図1に示す光学フィルタ調整用レンズ機構6及びエクステンダー調整用レンズ機構7を装備した場合には、
図1に示すデータ部22に、光学フィルタ調整用レンズ機構6の光学フィルタ用駆動モータ6a及びエクステンダー調整用レンズ機構7のエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御するために、光学フィルタ用データ部及びエクステンダー用データ部が装備され、光学フィルタ調整用レンズ機構6及びエクステンダー調整用レンズ機構7を駆動制御するようになっている。
具体的には、データ部22の光学フィルタ用データ部は、図示しないスライドバー上のフィルタスライドバーの位置を読み込み、光学フィルタ調整用レンズ機構6の光学フィルタ用駆動モータ6aを駆動制御するコマンドを光学フィルタ用駆動制御部12にフィルタスライドバーの位置に対応させて発行する。
光学フィルタ用駆動制御部12は、読み込んだフィルタスライドバーの位置に対応するコマンドをデータ部22の光学フィルタ用データ部から受け取ると、そのコマンドに基づいて光学フィルタ用駆動モータ6aを駆動制御することにより、光学フィルタ調整用レンズ機構6を調整する。
データ部22のエクステンダー用データ部は、図示しないスライドバー上のエクステンダースライドバーの位置を読み込み、エクステンダー調整用レンズ機構7のエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御するコマンドをエクステンダー用駆動制御部13にエクステンダースライドバーの位置に対応させて発行する。
エクステンダー用駆動制御部13は、読み込んだエクステンダースライドバーの位置に対応するコマンドをデータ部22のエクステンダー用データ部から受け取ると、そのコマンドに基づいてエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御することにより、エクステンダー調整用レンズ機構7の倍率を調整する。
【0088】
ズーム用データ部44は、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整の終了後におけるズーム調整用レンズ機構3の現在のズーム値を読み込み、そのズーム値をアドレス情報53、54として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(b)のステップS27)。
フォーカス用データ部45は、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整の終了後におけるフォーカス調整用レンズ機構4の現在のフォーカス値を読み込み、そのフォーカス値をアドレス情報58、59として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(b)のステップS27)。
アイリス用データ部46は、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス調整の終了後におけるアイリス調整用レンズ機構5の現在のアイリス値を読み込み、そのアイリス値をアドレス情報62、63として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(b)のステップS27)。
データ部22の光学フィルタ用データ部は、光学フィルタ調整用レンズ機構6の調整の終了後における光学フィルタ調整用レンズ機構6の現在の値を読み込み、その値をアドレス情報として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(b)のステップS27)。
データ部22のエクステンダー用データ部は、エクステンダー調整用レンズ機構7の調整の終了後におけるエクステンダー調整用レンズ機構7の現在の値を読み込み、その値をアドレス情報として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(b)のステップS27)。
【0089】
次に、ズーム用データ部44の実行ボタン(Gotoボタン)65、フォーカス用データ部45の実行ボタン(Gotoボタン)66、アイリス用データ部46の実行ボタン(Gotoボタン)67が操作された場合の動作を
図10(c)に基づいて説明する。
ズーム用データ部44は、実行ボタン65が操作されると、アドレス情報54を読み込み(
図10(c)のステップS29)、ズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動モータ3cを駆動制御するコマンドをズーム用駆動制御部9にアドレス情報54に対応させて発行する(
図10(c)のステップS30)。
ズーム用駆動制御部9は、アドレス情報54に対応するコマンドをズーム用データ部44から受け取ると、そのコマンドに基づいてズーム用駆動モータ3cを駆動制御することにより、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整を実行する。
フォーカス用データ部45は、実行ボタン66が操作されると、アドレス情報59を読み込み(
図10(c)のステップS29)、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御するコマンドをフォーカス用駆動制御部10にアドレス情報59に対応させて発行する(
図10(c)のステップS30)。
フォーカス用駆動制御部10は、アドレス情報63に対応するコマンドをフォーカス用データ部45から受け取ると、そのコマンドに基づいてフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御することにより、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整を実行する。
アイリス用データ部46は、実行ボタン67が操作されると、アドレス情報63を読み込み(
図10(c)のステップS29)、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス用駆動モータ5cを駆動制御するコマンドをアイリス用駆動制御部11にアドレス情報63に対応させて発行する(
図10(c)のステップS30)。
アイリス用駆動制御部11は、アドレス情報63に対応するコマンドをアイリス用データ部46から受け取ると、そのコマンドに基づいてアイリス用駆動モータ5cを駆動制御することにより、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス調整を実行する。
【0090】
図1に示す光学フィルタ調整用レンズ機構6及びエクステンダー調整用レンズ機構7を装備した場合には、
図1に示すデータ部22に、光学フィルタ調整用レンズ機構6の光学フィルタ用駆動モータ6a及びエクステンダー調整用レンズ機構7のエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御するために、光学フィルタ用データ部及びエクステンダー用データ部が装備され、光学フィルタ調整用レンズ機構6及びエクステンダー調整用レンズ機構7を駆動制御するようになっている。
具体的には、データ部22の光学フィルタ用データ部は、図示しないアドレス情報を読み込み、光学フィルタ調整用レンズ機構6の光学フィルタ用駆動モータ6aを駆動制御するコマンドを光学フィルタ用駆動制御部12にアドレス情報に対応させて発行する。
光学フィルタ用駆動制御部12は、読み込んだアドレス情報に対応するコマンドをデータ部22の光学フィルタ用データ部から受け取ると、そのコマンドに基づいて光学フィルタ用駆動モータ6aを駆動制御することにより、光学フィルタ調整用レンズ機構6を調整する。
データ部22のエクステンダー用データ部は、図示しないアドレス情報を読み込み、エクステンダー調整用レンズ機構7のエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御するコマンドをエクステンダー用駆動制御部13にアドレス情報に対応させて発行する。
エクステンダー用駆動制御部13は、読み込んだアドレス情報に対応するコマンドをデータ部22のエクステンダー用データ部から受け取ると、そのコマンドに基づいてエクステンダー用駆動モータ7aを駆動制御することにより、エクステンダー調整用レンズ機構7の倍率を調整する。
【0091】
ズーム用データ部44は、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整の終了後におけるズーム調整用レンズ機構3の現在のズーム値を読み込み、そのズーム値をアドレス情報53、54として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(c)のステップS31)。
フォーカス用データ部45は、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整の終了後におけるフォーカス調整用レンズ機構4の現在のフォーカス値を読み込み、そのフォーカス値をアドレス情報58,59として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(c)のステップS31)。
アイリス用データ部46は、アイリス調整用レンズ機構5のアイリス調整の終了後におけるアイリス調整用レンズ機構5の現在のアイリス値を読み込み、そのアイリス値をアドレス情報62、63として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(c)のステップS31)。
データ部22の光学フィルタ用データ部は、光学フィルタ調整用レンズ機構6の調整の終了後における光学フィルタ調整用レンズ機構6の現在の値を読み込み、その値をアドレス情報として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(c)のステップS31)。
データ部22のエクステンダー用データ部は、エクステンダー調整用レンズ機構7の調整の終了後におけるエクステンダー調整用レンズ機構7の現在の値を読み込み、その値をアドレス情報として操作端末15の操作画面32上に表示する(
図10(c)のステップS31)。
【0092】
図10(d)に示すように、レンズ本体1の周辺の温度情報を必要とする場合には、温度情報を取得するための起動ボタン68を起動し(
図10(d)ステップS32)、温度検出部19を駆動制御させて温度センサ18で計測した温度情報を入手して、その温度情報を表示する(
図10(d)ステップS33)。
図3の温度情報は25℃、
図4の温度情報は28℃として表示してある。起動ボタン68を起動する場合を説明したが、温度は時間で定期的に読み込まれ更新されても良い。
【0093】
以上の説明では、レンズ本体情報出力部14から前記特定情報を操作端末15にネットワーク網16で送り込み、レンズ情報出力部8から前記特性情報をネットワーク網16で操作端末に15に送り込むようにして、レンズ機構3、4、5、6、7をそれぞれ駆動制御するようにしたが、レンズ本体情報出力部14が前記特定情報及び前記特性情報をネットワーク網16で操作端末15に送り込むようにしても良いものである。
【0094】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ本体に内蔵され、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する中央処理部と、前記レンズ本体への電源供給インターフェースと前記中央処理部への通信インターフェースを形成するネットワーク網とを有するため、レンズと操作端末間をネットワーク網で接続することになり、レンズと操作端末間の接続形態をn対1、或いはn対nの接続形態に拡大することができる。
【0095】
複数台のレンズと操作端末間の接続形態をn対1の形態に拡大することができるため、監視若しくは産業用などのカメラの場合、複数台のレンズで同期させる、若しくは複数台のレンズから任意の台数のレンズを選択して駆動制御する場合にも即座に対応することができる。
【0096】
CマウントやCSマウントを使用してレンズ本体をカメラ本体に連結した場合には、レンズ本体がカメラ本体に光学的物理的に連結されるため、一般的にはレンズ本体とカメラ本体間に電気的通信及び給電のインターフェースが存在しない構成であるが、本発明によれば、レンズ本体への電源供給インターフェースをネットワーク網で形成するため、外部電源を必要とせず、前記電源供給インターフェースの許容電圧、許容電流の範囲内で前記レンズ本体への電源を確保することにより、レンズ装置の設置に専門的技術を必要とすることがない。
【0097】
前記中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記レンズ本体を前記カメラ本体から独立させて起動制御することにより、前記ネットワーク網上に前記レンズ本体を複数台配置し、前記中央処理部からの駆動制御信号に基づいて、前記複数台のレンズ機構を同期させて駆動制御する、若しくは選択して駆動制御する構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 レンズ本体
3 ズーム調整用レンズ機構
4 フォーカス調整用レンズ機構
5 アイリス調整用レンズ機構
9~13 駆動制御部
15 操作端末
16 ネットワーク網