(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】MRI用圧縮固形組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 49/06 20060101AFI20241210BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20241210BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241210BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241210BHJP
A61K 49/08 20060101ALI20241210BHJP
A61K 49/18 20060101ALI20241210BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K49/06
A61K9/12
A61K9/20
A61K47/18
A61K47/28
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/10
A61K49/08
A61K49/18
A61K47/02
(21)【出願番号】P 2021572307
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020065805
(87)【国際公開番号】W WO2020245453
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521530015
【氏名又は名称】アスセリア ファーマ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ホジュガード,ベント
(72)【発明者】
【氏名】コーフィツェン,マグナス,オラフソン
(72)【発明者】
【氏名】ダ グラカ コウト スリッジ,ドース
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/099804(WO,A1)
【文献】特表平08-509962(JP,A)
【文献】特表2009-511515(JP,A)
【文献】特表平06-503826(JP,A)
【文献】特表平10-504559(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107997181(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 49/06
A61K 49/18
A61K 9/12
A61K 47/18
A61K 47/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.0.5g~1.2gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩と、
b.0.25g~0.75gの、L-アラニンと、
c.1つ以上の水溶性賦形剤と
、
d.塩基性成分および酸性成分を含む発泡性対と
を含む
発泡性MRI錠剤であって、磁気共鳴画像法(MRI)での使用に適した経口溶液を調製するための、
発泡性MRI錠剤。
【請求項2】
前記1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性フィラー、非吸湿性バインダ、非吸湿性崩壊剤、および非吸湿性潤滑剤からなる群から選択される、請求項
1に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項3】
前記非吸湿性フィラーは、イソマルト、噴霧乾燥ラクトース、α-ラクトース、またはβ-ラクトース等のラクトース、マルチトール、マルトース、およびマンニトールからなる群から選択され、
前記非吸湿性バインダは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、マルトース、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択され、
前記非吸湿性崩壊剤は、ポビドンであり、かつ、
前記非吸湿性潤滑剤は、ポリエチレングリコール6000および安息香酸ナトリウムからなる群から選択される、
請求項
2に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項4】
非水溶性崩壊剤をさらに含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項5】
前記非水溶性崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンからなる群から選択される、請求項
4に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項6】
前記塩基性成分は、重炭酸塩であり、前記酸性成分は、クエン酸である、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性MRI錠剤。
【請求項7】
PEG6000をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡性MRI錠剤。
【請求項8】
イソマルトをさらに含む、請求項7に記載の発泡性MRI錠剤。
【請求項9】
ビタミンDをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の発泡性MRI錠剤。
【請求項10】
前記
ビタミンDは
、ビタミンD
3である、
請求項9に記載の発泡性MRI錠剤。
【請求項11】
前記
発泡性MRI錠剤は、0.8gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の対応する無水物もしくは二水和物を含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項12】
前記
発泡性MRI錠剤は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内に、0.2Lの透明水溶液を提供する、請求項1~11のいずれか1項に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項13】
前記
発泡性MRI錠剤は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で3.0分未満以内に水0.2L中で崩壊する、請求項1~12のいずれか1項に記載の
発泡性MRI錠剤。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項で定義される
発泡性MRI錠剤を調製するための方法であって、
a)任意選択で顆粒として、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を提供し、前記生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を任意選択で乾燥させるステップと、
b)1つ以上の吸収促進剤を提供するステップと、
c)圧縮を可能とする1つ以上の水溶性賦形剤を提供するステップと、
d)前記生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を前記1つ以上の吸収促進剤および前記1つ以上の水溶性賦形剤と混合して、水溶性混合物を提供するステップと、
e)前記水溶性混合物を圧縮して、請求項1~13のいずれか1項で定義される
発泡性MRI錠剤を提供するステップと
を含み、
相対湿度(RH)は、35%未満に保たれる、
方法。
【請求項15】
経口MRI溶液を調製するための方法であって、
a.請求項1~13のいずれか1項で定義される
発泡性MRI錠剤を提供することと、
b.好適な量の水を提供することと、
c.前記
発泡性MRI錠剤を前記水に加えることと、
それにより前記経口MRI溶液を形成することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を含む、磁気共鳴画像法(MRI)用圧縮固形組成物、その調製、および経口溶液を調製するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マンガンは、地球上で最も豊富な金属の1つであり、100を超える異なる鉱物の構成成分として見出される。体内の代謝過程に関連する必須微量元素であることに加えて、マンガンは、T1強調(T1-w)磁気共鳴画像法(MRI)に関してガドリニウムに類似した特性を有する常磁性金属でもある。塩化マンガン(II)四水和物の形態のマンガンは、肝胆道MRIに適応とされる標的経口造影剤Mangoral中の活性物質である。生理学的環境下では、マンガンは、経口摂取後に腸から吸収されにくいが、特定の吸収促進剤、L-アラニンおよびビタミンD3を使用することによって、著しい信号増強効果を達成するために十分に高い肝臓中の濃度を得ることが可能である。肝臓中で、マンガンは、最高98%の非常に高い初回通過効果にさらされ、これは、金属が体循環に到達するのを防止し、それにより全身性副作用の数を減らす。マンガンは、毒性の最も低い微量元素の1つであり、その好ましい安全性プロファイルのため、将来、肝臓のMRI評価を受ける患者、具体的には、重症腎不全または急性腎障害の患者にとって魅力的な、ガドリニウム系造影剤の代替物であり得る。
【0003】
肝転移は、最も多く見られるタイプの悪性限局性肝病変である。肝臓への転移は、進行性癌疾患でしばしば起こり、生存の実質的な低下と関連する。実際、肝臓は、最も多く見られ-かつしばしば最初の-転移部位の1つである。大腸癌の全患者の約70%は、その生涯のある時点で肝転移を起こすことになり、その3分の1は、肝臓のみに限局された転移を有する。肝転移の早期検出および位置特定は、最適な患者管理に重要である。
【0004】
Mangoralは、ガドリニウム系造影剤の使用が医学的に勧められないか、またはガドリニウム系造影剤を投与することができない患者の肝臓MRIで使用するための、FDAによるオーファンドラッグ指定を得た世界初の造影剤である。
【0005】
Mangoralは、経口投与され、小腸でのマンガン吸収を増加させる吸収促進剤と組み合わされたマンガンからなり、肝組織へのマンガンの高い取り込みの必要条件は、高画質を得るための最適条件である。マンガンは、天然微量元素であり、胃腸管からの吸収後、肝細胞によって効率的に取り込まれる。肝細胞中でのマンガンの保持およびその常磁性的性質のため、造影剤が、MR画像法で肝組織を明確に強調する一方で、肝転移癌は、マンガンを蓄積しない。したがって、肝転移は、MR画像上で強調された肝組織に対して明確に検出可能になるであろう。
【0006】
現在、Mangoralは、1つの小袋に入ったマンガン塩、および別の小袋に入った1つ以上の吸収促進剤を含む、2剤型粉末製剤で提供され、これは、粉末が、配合禁忌であると考えられるためである。次いで、2つの小袋の中身は、コップ1杯の水の中に入れられて、経口MRI溶液を提供する。
【0007】
2剤型製剤は、うまく機能するが、Mangoralの活性成分を含む圧縮固形組成物は、患者の圧縮固形組成物の取り扱いを容易にすることになり、造影剤組成物の不正確な服用のリスクがより低い在宅投与を潜在的に可能とし、それにより、MRIに関連する入院を減らすことになる。ゆえに、特に圧縮固形組成物の形態での、Mangoralの1剤型製剤を提供する必要性が、当該技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、Mangoralの活性成分が、経口溶液を調製するのに適したMRI用圧縮固形組成物として、1剤型製剤で調製され得ることを見出した。25%rH未満等の低い相対湿度(rH)で圧縮固形組成物を調製すること、および吸湿性の低い水溶性賦形剤を慎重に選択することによって、本発明者らは、塩化マンガン(II)を含む水溶性錠剤および発泡性錠剤の調製に成功した。
【0009】
第1の態様では、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物と、1つ以上の吸収促進剤と、1つ以上の水溶性賦形剤とを含む磁気共鳴画像法(MRI)造影剤組成物が提供され、圧縮固形組成物は、経口溶液を調製するのに適した圧縮固形組成物である。
【0010】
第2の態様では、本明細書で定義されるような圧縮固形組成物を調製するための方法が提供され、方法は、
a.任意選択で顆粒として、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を提供し、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を任意選択で乾燥させるステップと、
b.1つ以上の吸収促進剤を提供するステップと、
c.圧縮を可能とする1つ以上の水溶性賦形剤を提供するステップと、
d.生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を1つ以上の吸収促進剤および1つ以上の水溶性賦形剤と混合して、水溶性混合物を提供するステップと、
e.水溶性混合物を圧縮して、本明細書で定義されるような圧縮固形組成物を提供するステップと
を含む。
【0011】
第3の態様では、本明細書で定義される方法によって調製される圧縮固形組成物が提供される。
【0012】
第4の態様では、経口MRI溶液を調製するための方法であって、
a.本明細書で定義されるような圧縮固形組成物を提供することと、
b.好適な量の水を提供することと、
c.前述の圧縮固形組成物を前述の水に加えることと、
それにより経口MRI溶液を形成することと
を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】発泡性錠剤への温度の効果(水の容量200ml)。発泡性錠剤は、急速に崩壊し、溶解時間は、温度の上昇とともに減少する。
【
図2】それぞれ発泡性錠剤および2剤型粉末製剤についての、(20℃での)異なる水の容量での、崩壊して透明溶液になる時間。発泡性錠剤は、2剤型粉末製剤と比較して著しく速い、したがって優れた溶解速度および崩壊速度を示す。
【
図3】(A)発泡性錠剤または(B)2剤型粉末製剤がさらされたコップ1杯の水の目視検査。(A)発泡性錠剤は、5分後に沈殿物を含まない透明溶液を提供し、(B)2剤型粉末製剤は、5分後に沈殿物を含む透明溶液を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
用語「水溶性」は、本明細書では、約25℃等の室温で水に溶解する化合物を記述するのに使用される。水溶性の程度は、水中のエタノールのように無限に溶解する(限界がなく)(完全に混和する)ものから、水中の塩化銀のように難溶性のものまで多岐にわたる。不溶性という用語は、しばしば、難溶性または非常に難溶性の化合物に適用される。
【0015】
用語「非水溶性」は、本明細書では、約25℃等の室温で水に溶解しない化合物を記述するのに使用される。
【0016】
いくつかの他の記述用語も、所与の溶質、すなわち、溶解を受ける化合物の溶解性の程度を定量化するのに使用される:
【表1】
【0017】
所与の溶質の水溶性は、典型的には温度に依存する。溶質の性質に依存して、溶解性は、温度とともに増加または減少し得る。たいていの固体および液体では、それらの水溶性は、温度とともに増加する。
【0018】
用語「冷水中で難溶性」は、本明細書では、約2~約15℃等のコップ1杯の水のような冷水に、完全には溶解しない化合物を記述するのに使用される。
【0019】
用語「ゆっくりと溶解する」および「非常にゆっくりと溶解する」は、本明細書では、水への可溶化速度が低い化合物を記述するのに使用される。本文脈では「低い速度」は、コップ1杯の水等の水への化合物の完全な可溶化を、8分以内で可能としない速度を意味するものとする。
【0020】
用語「吸湿性」は、本明細書では、40~60%の相対湿度(rH)で、吸収、吸着、または2つのプロセスの組み合わせのいずれかによって、かなりの程度まで、例えば、前述の化合物の質量および/または体積が、約1時間後等のある期間内に約5%以上増加する程度まで、水を収着する化合物を記述するのに使用される。
【0021】
用語「相対湿度」または「rH」は、所与の温度での平衡水蒸気圧に対する水蒸気の分圧の百分率での比率を指す。
【0022】
用語「非吸湿性水溶性」は、本明細書では、本明細書の定義に従って吸湿性ではなく、同時に、本明細書の定義に従って水溶性である化合物を記述するのに使用される。
【0023】
用語「吸収促進剤」は、本明細書では、胃腸管の膜を通したマンガン輸送を増強することができる化合物を指す用語「取り込み促進剤」と交換可能に使用される。これらの化合物は、例えばWO 96/05867から、当該技術分野で周知であり、α-ヒドロキシケトン基を含有する生理学的に許容される還元化合物、α-および/もしくはβ-ヒドロキシもしくはアミノ基を含有する生理学的に許容される酸、またはその塩、ならびに/またはビタミンDを含む。
【0024】
用語「発泡性対」は、本明細書で使用される場合、医薬的に許容される賦形剤の対を指し、その一方は塩基性成分であり、他方は酸性成分である。塩基性成分は、酸性成分および水と接触すると二酸化炭素を遊離する。塩基性成分の例は、重炭酸塩である。
【0025】
用語「透明溶液」は、本明細書で使用される場合、日光の下での目視検査で透き通って見える溶液を指す。
【0026】
詳細な説明
本開示は、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物と、1つ以上の吸収促進剤と、1つ以上の水溶性賦形剤とを含む磁気共鳴画像法(MRI)造影剤組成物を提供し、圧縮固形組成物は、経口溶液を調製するのに適した圧縮固形組成物である。
【0027】
圧縮吸湿性固形物の生産における困難
錠剤等の医薬品圧縮固形物の設計および製造は、いくつかのパラメータが慎重な制御、すなわち、原薬の正確な量を、適切な製剤中に、適切な時間、適切な割合、および所望の位置で、プロセス全体を通してその化学的完全性が保護された状態で、送達することを必要とする、複雑な多段階プロセスである。
【0028】
錠剤製造プロセスの主要な目的は、以下を含む:
・製造、包装、配送、分配、および使用中に遭遇する機械的衝撃に耐えるように強く、硬い錠剤を配合すること、
・重量および薬物含有量が均一な錠剤を配合すること、
・適応の要件に従って生体利用可能な錠剤を配合すること、
・長期間にわたって化学的および物理的に安定な錠剤を配合すること、
・錠剤不良のない的確な製品同一性を有する錠剤を配合すること。
【0029】
錠剤圧縮中、より高い錠剤硬度がより低い圧縮力で生成され得るように、比較的高い含水量を有することが一般に好ましい。しかしながら、より高い含水量は、以下の2つの有害な結果をもたらす傾向があるため、限界が存在する:
・水分の増加は、粉体流量の低下を引き起こし、次いで、粉体粒子のくっつきを増加させ、不安定な錠剤重量均一性をもたらす。
・水分の増加は、付着による不良の増加を引き起こし、これは、型押し圧縮工具では、粉体がくっつき得るポケットがより多く存在するため、特に困難であり得る。
【0030】
化学的安定性に関して、比較的低い含水量は、薬物分解の程度を低下させ、微生物増殖の発生をより困難にし、化合物の目詰まりを防止するのに好ましい。発泡性錠剤は、例えば、含水量に非常に敏感である。有機酸と無機塩基との間の化学反応は、自己触媒的であり、気体二酸化炭素および水をもたらす。非常に低い含水量は、したがって、反応が開始するのを防止するために必要であるが、一旦開始すると、それにより生成された水は、化合物が使い果たされるまで反応を促進する。
【0031】
吸湿性材料では、錠剤の生産は、非常に困難であり得、賦形剤選択および打錠プロセスの慎重な最適化を必要とし得る。
【0032】
吸湿
吸湿は、通常、常温または室温で、周囲環境から水分子を引きつけ、保持する現象である。これは、物理的に変化する吸着物質での吸収または吸着のいずれかによって達成される。水分子がプロセス中に物質の分子間に分散し得るため、これは、体積、沸点、粘度、または物質の他の物理的特性もしくは性質の増加であり得る。
【0033】
吸湿性材料によって取り込まれ得る水の総量は、それが位置する雰囲気の温度および湿度の関数となり、最終的には系の収着等温線によって決定されることになる。
【0034】
用語「吸湿性」は、本明細書では、40~60%の相対湿度(rH)で、吸収、吸着、または2つのプロセスの組み合わせのいずれかによって、かなりの程度まで、例えば、前述の化合物の質量および/または体積が、約1時間後等のある期間後に約5%以上増加する程度まで、水を収着する化合物を記述するのに使用される。
【0035】
相対湿度(rH)
特に空気の湿度の点で、不十分な環境制御は、多くの方法で医薬品生産ラインに直接影響を及ぼし得る。45%rH未満の湿度レベルは、機械および材料中に静電荷を蓄積させることになる。これは、可燃性溶媒が使用されるプロセスでは重大な影響を及ぼし得、その結果、機械間の電気的結合が重要になる。低い湿度は、製品の乾燥も引き起こし得、その性能に影響を及ぼす。粉体上への電荷の蓄積は、不十分なパワーの流れをもたらし得、帯電した製品は、互いへの付着を引き起こし得、包装の問題をもたらす。
【0036】
高い湿度はまた、生産および最終包装中に、製品に湿気を吸収させる。製品が、長期的な湿気に敏感である場合、誤った条件下で包装されると、時間とともに分解することになる。
【0037】
湿度の問題は、製造プロセスの異なる段階で、雰囲気の含水量の異なる要件がおそらく存在するため、複雑である。
【0038】
冷凍サイクルに基づく空調および空気処理設備-暖房、換気、および空調(HVAC)システムは、一般に、約21~25℃の温度で40~60%の相対湿度レベルを維持するように作業環境を調整するために構築される。
【0039】
本開示に関連して、錠剤生産領域全体の雰囲気の相対湿度を、35%rH未満、例えば34%未満、例えば33%未満、例えば32%未満、例えば31%未満、例えば30%未満、例えば29%未満、例えば28%未満、例えば27未満%、例えば26%未満、例えば25%未満、例えば24%未満、例えば23%未満、例えば22%未満、例えば21%未満、例えば20%未満、例えば19%未満、例えば18%未満、例えば17%未満、例えば16%未満、例えば15%未満、例えば14%未満、例えば13%未満、例えば12%未満、例えば11%未満、例えば10%未満に制御することが重要である。
【0040】
一実施形態では、相対湿度(rH)は、30%未満に保たれる。一実施形態では、相対湿度(rH)は、25%未満に保たれる。一実施形態では、相対湿度(rH)は、20%未満に保たれる。一実施形態では、相対湿度(rH)は、15%未満、例えば10%未満に保たれる。
【0041】
40%未満の相対湿度レベルは、回転式デシカント乾燥機で達成され得る。これらの機械は、長年にわたって使用されており、乾燥に必要な作業領域に従って大きさを決めることができる。それらは、周囲空気流を、回転輪または回転台内に位置する固体乾燥剤(典型的にはシリカゲル)に通すことによって機能する。回転式乾燥機からの出口空気は、1%以下の相対湿度を有し得、特定の製造設備またはプロセスに要する湿度レベルを達成するために、この気流を別のものと混ぜることが必要であり得る。流量制御は、したがって重要である。乾燥剤によって空気から吸収された水は、回転する乾燥剤床によって熱気流中に放出される。結果として生じる湿潤空気は、通常、建物の外に排気される。
【0042】
医薬品賦形剤
医薬品賦形剤は、薬剤の活性成分とともに配合される物質であり、長期安定化の目的で含まれ、強力な活性成分を少量含有する固形製剤の嵩を増し(したがって、しばしば「増量剤」、「フィラー」、もしくは「希釈剤」と呼ばれる)、または最終剤形中の活性成分に治療的増強を与え、例えば、薬物吸収を容易にするか、粘度を低下させるか、もしくは溶解性を高めるが、これら限定されない。医薬品賦形剤はまた、想定貯蔵寿命にわたる変性または凝集の防止等のインビトロ安定性の支援に加えて、製造プロセスにおいて、粉体流動性または付着防止性を促すこと等によって、関係する活性物質の取り扱いを支援するのに有用であり得る。
【0043】
本明細書で開示されるような組成物中に含まれるのに、一部の賦形剤は好ましく、一部の賦形剤は好ましくないが、その賦形剤の相対量が慎重に制御される場合、好ましくない賦形剤を含む錠剤を生産することが可能であり得ることを当業者なら理解するであろう。一部の賦形剤は、約5%の水分を含み得、したがって好ましくないが、含まれる他の賦形剤が非吸湿性かつ乾燥している場合、依然として少量含まれ得る。以下の節は、本開示による賦形剤の異なる群を概説し、どの賦形剤が、所望の性質を有する圧縮固形組成物を提供する混合ブレンド中に含まれるのに好ましいかを指摘する。
【0044】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性水溶性賦形剤である。一実施形態では、1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性フィラー、非吸湿性バインダ、非吸湿性崩壊剤、および非吸湿性潤滑剤からなる群から選択される。
【0045】
本開示の賦形剤は、集合的に、以下を可能とするべきである:
・大きさが均一であり、すべてが本質的に同じ量の活性成分(マンガン(II)化合物および吸収促進剤(単数または複数))を含む、複数の圧縮固形組成物(錠剤)の効率的生産。
・かき混ぜまたは撹拌なしでの、水への圧縮固形組成物の高速かつ本質的に完全な溶解。
・経口消費で許容される味を有する透明経口溶液の形成。
【0046】
フィラー/希釈剤:本開示による「フィラー」または「希釈剤」は、好ましくは、水溶性かつ非吸湿性のフィラーである。一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、非吸湿性フィラーは、イソマルト、噴霧乾燥ラクトース、α-ラクトース、またはβ-ラクトース等のラクトース、マルチトール、マルトース、およびマンニトールからなる群から選択される。
【0047】
デキストリンおよびラクチトールは、代替フィラーとして少量使用されてよいが、典型的には5%の水分を含有し、ゆえに含まれるのに好ましくない。
【0048】
デキストレート(dextrate)、デキストロース、フルクトース、ヒプロメロース、マルトデキストリン、スクロース、ソルビトール、およびキシリトールも、水溶性フィラーであるが、すべて吸湿性であり、したがって、本明細書で定義されるような圧縮固形組成物中に含まれるのに好ましくない。一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、デキストレート、デキストロース、フルクトース、ヒプロメロース、マルトデキストリン、スクロース、ソルビトール、およびキシリトールからなる群から選択される吸湿性フィラーを含まない。
【0049】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、非水溶性フィラーを含まない。一実施形態では、非水溶性フィラーは、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム)、ケイ酸カルシウム、セルロース粉末、酢酸セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、中鎖トリグリセリド、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ポリメタクリレート、デンプン、硫酸カルシウム、およびアルファ化デンプンからなる群から選択される。一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、炭酸カルシウム、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、またはリン酸二カルシウム等のリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース粉末、酢酸セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、中鎖トリグリセリド、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ポリメタクリレート、デンプン、硫酸カルシウム、およびアルファ化デンプンからなる群から選択される非水溶性フィラーを含まない。
【0050】
バインダ:本開示による「バインダ」は、好ましくは、水溶性かつ非吸湿性のバインダである。一実施形態では、水溶性かつ非吸湿性のバインダは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、マルトース、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択される。一実施形態では、バインダは、ポビドンである。
【0051】
カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストレート、デキストロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マルトデキストリン、ポロクサマー、ポリデキストロース、およびスクロースは、代替水溶性バインダとして少量使用されてよいが、すべて吸湿性であり、したがって好ましくない。
【0052】
アカシア、ヒプロメロース、メチルセルロース、およびアルギン酸ナトリウムは、水溶性であるが、水に非常にゆっくりと溶解し、あまり有用ではない。アルファ化デンプン、イヌリン、寒天、ゼラチン、デンプン、アルギン酸、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、水素添加植物油、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、微結晶セルロース、およびポリメタクリレートは、冷水中で難溶性であり、ゆえに好ましいバインダではない。
【0053】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、アカシア、ヒプロメロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルファ化デンプン、イヌリン、寒天、ゼラチン、デンプン、アルギン酸、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、水素添加植物油、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、微結晶セルロース、およびポリメタクリレートからなる群から選択される難水溶性バインダを含まない。
【0054】
崩壊剤:「崩壊剤」は、濡れると膨張および溶解して、錠剤等の圧縮医薬組成物をばらばらに破壊することが当該技術分野で知られている。
【0055】
ポビドンは、水溶性崩壊剤であるが、非常に強力な崩壊剤である。一実施形態では、非吸湿性崩壊剤を含む圧縮固形組成物が提供され、非吸湿性崩壊剤は、ポビドンである。
【0056】
カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンは、水に不溶であるが、非常に強力な崩壊剤であり、非常に低いレベルで適用され得、好ましい。一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、非水溶性崩壊剤をさらに含む。一実施形態では、非水溶性崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンからなる群から選択される。
【0057】
カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロースは、水溶性崩壊剤であるが、吸湿性であるため好ましくない。一実施形態では、圧縮固形組成物は、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される吸湿性崩壊剤を含まない。
【0058】
メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルファ化デンプン、デンプン、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、およびデンプングリコール酸ナトリウムは、崩壊剤として適用され得るが、水にゆっくりと溶解するかまたは不溶であり、高レベルで加える必要があるため、好ましくない。
【0059】
潤滑剤:「潤滑剤」は、成分が錠剤パンチまたはカプセル充填機に付着し、目詰まりするのを防止する。錠剤生産中、潤滑剤はまた、錠剤形成および取り出しが、固形物とダイ壁部との間の摩擦が低い状態で起こり得ることを確実にする。
【0060】
ポリエチレングリコール6000および安息香酸ナトリウムは、好ましい水溶性かつ非吸湿性のバインダである。一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、非吸湿性潤滑剤は、ポリエチレングリコール6000および安息香酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0061】
ラウリル硫酸ナトリウムは、苦味をもたらし、ゆえに好ましくない。
【0062】
ポロクサマーおよびポリエチレングリコール4000は、水溶性だが吸湿性の潤滑剤であり、好ましくない。一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、ポロクサマーおよびポリエチレングリコール4000からなる群から選択される吸湿性潤滑剤を含まない。
【0063】
フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、水素添加植物油、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド、パルミチン酸、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸亜鉛は、すべて非水溶性であり、したがって、本明細書で定義されるような圧縮固形組成物中に含まれるのに好ましくない。一実施形態では、圧縮固形組成物は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、水素添加植物油、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド、パルミチン酸、ステアリン酸、タルク、およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される非水溶性潤滑剤を含まない。
【0064】
圧縮固形組成物の性質
本開示によれば、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物および1つ以上の吸収促進剤とともに圧縮されて固形組成物になることを可能とする、水溶性賦形剤の慎重に選択されたブレンドが提供される。
【0065】
本明細書で開示される方法によってバッチから生産される複数の錠剤はすべて、実質的に同じ量の成分を有することが重要である。
【0066】
さらに、例えば約0.2Lのコップ1杯の水等の水への圧縮固形組成物の溶解は、圧縮固形組成物中に存在してもしなくてもよい残留ビタミンDを除き、透明溶液を提供するべきである。ビタミンDは、水に加えられると、一般に、水相の上に油相として存在する。溶解した固形組成物は、くせのない味を有することがさらに望ましい。一実施形態では、ビタミンDは、ビタミンD3 100,000の形態である。一実施形態では、ビタミンD3は、乾燥ビタミンD3 100 SD/Sの形態である。
【0067】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、十分な硬度および低い含水量を有する。一実施形態では、圧縮固形組成物の硬度は、35N~110N、例えば40N超、例えば45N超、例えば50N超、例えば55N超、例えば60N超、例えば65N超、例えば70N超、例えば75N超、例えば80N超、例えば85N超、例えば90N超、例えば95N超、例えば100N超、例えば105N超、例えば約110Nである。
【0068】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、経口溶液の調製に使用するためのものである。
【0069】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、磁気共鳴画像法(MRI)造影剤組成物として使用するためのものである。
【0070】
溶解速度
一実施形態では、圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、透明水溶液を提供する。好ましくは、透明溶液は、5分以内、さらに好ましくは3分以内に形成される。
【0071】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、0.2Lの透明水溶液を提供する。好ましくは、透明溶液は、5分以内、さらに好ましくは3分以内に形成される。
【0072】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、水に完全に溶解する。好ましくは、圧縮固形組成物は、5分以内、さらに好ましくは3分以内に水に完全に溶解する。
【0073】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、約2~約15℃等の冷水に、8分以内に完全に溶解する。一実施形態では、圧縮固形組成物は、5℃で約8分以内に0.2Lの水に完全に溶解する。
【0074】
崩壊速度
一実施形態では、圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で3.0分未満以内、例えば2.5分未満以内、例えば2分未満以内、例えば1.5分未満以内、例えば1分未満以内に水中で崩壊する。好ましくは、圧縮固形組成物は、2分以内、さらに好ましくは1分以内に崩壊する。
【0075】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で3.0分未満以内、例えば2.5分未満以内、例えば2分未満以内、例えば1.5分未満以内、例えば1分未満以内に水0.2L中で崩壊する。
【0076】
結果として生じる溶液のpH
マンガンを含む発泡性錠剤は、水中に分配されると、マンガン炭酸塩からなる沈殿物の形成をもたらすことができる。これらの塩は、結果として生じる溶液を酸性化することによって、好ましくは、結果として生じる溶液のpHを2~7に調節することによって、再溶解され得る。
【0077】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、0.5g~1gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩の完全溶解後、水0.2L中で2~7のpHをもたらす。
【0078】
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、無機アニオンまたは有機アニオンの塩である。一実施形態では、無機アニオンは、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、およびリン酸イオンからなる群から選択される。一実施形態では、有機アニオンは、アスコルビン酸イオン、コウジ酸イオン、サリチル酸イオン、およびグルコン酸イオンからなる群から選択される。
【0079】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、硫酸マンガン(II)、グルコン酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)無水物、塩化マンガン(II)二水和物、塩化マンガン(II)四水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0080】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、塩化マンガン(II)四水和物である。
【0081】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、0.5g~1.2gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩を含む。
【0082】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、0.6g~1g、例えば0.65g~0.95g、例えば0.70g~0.90g、例えば0.75g~0.85g、例えば0.80gの塩化マンガン(II)四水和物を含む。
【0083】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、0.8gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩を含む。
【0084】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、0.8gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の対応する無水物もしくは二水和物を含む。
【0085】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、組成物は、
a)塩化マンガン(II)四水和物または二水和物と、
b)L-アラニン等のアラニンと、
c)イソマルトと、
d)クロスカルメロースナトリウム等のクロスカルメロースと、
e)PEG6000等のポリエチレングリコールと
を含む。
【0086】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、ビタミンD3等のビタミンDをさらに含む。
【0087】
吸収促進剤
生理学的環境下では、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物のマンガンは、経口摂取後に腸から吸収されにくいが、L-アラニンおよびビタミンD3等の特定の吸収促進剤を使用することによって、MRI中に著しい信号増強効果を達成するために十分に高い肝臓中の濃度を得ることが可能である。
【0088】
用語「吸収促進剤」は、本明細書では、胃腸管の膜を通したマンガン輸送を増強することができる化合物を指す用語「取り込み促進剤」と交換可能に使用される。これらの化合物は、例えばWO 96/05867から、当該技術分野で周知であり、α-ヒドロキシケトン基を含有する生理学的に許容される還元化合物、α-および/もしくはβ-ヒドロキシもしくはアミノ基を含有する生理学的に許容される酸、またはその塩、ならびに/またはビタミンDを含む。
【0089】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、1つ以上の吸収促進剤は、タンパク質構成アミノ酸およびビタミンDからなる群から選択される。
【0090】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、タンパク質構成アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、トリプトファン、メチオニン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、およびヒスチジンからなる群から選択される。
【0091】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、タンパク質構成アミノ酸は、中性アミノ酸である。
【0092】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、タンパク質構成アミノ酸は、L-アラニンである。
【0093】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、ビタミンDは、ビタミンD3である。
【0094】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、2つの吸収促進剤を含む。一実施形態では、2つの吸収促進剤は、L-アラニンおよびビタミンD3である。
【0095】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、圧縮固形組成物は、0.25g~0.75g、例えば0.30g~0.70g、例えば0.35g~0.65g、例えば0.40g~0.60g、例えば0.45g~0.55g、例えば0.50gの、L-アラニン等のタンパク質構成アミノ酸を含む。
【0096】
発泡性組成物
一実施形態では、本明細書で提供されるような圧縮固形組成物は、発泡性錠剤等の、発泡性固形組成物の形態である。本明細書で開示されるような発泡性組成物は、発泡性対を含む。
【0097】
用語「発泡性対」は、本明細書で使用される場合、医薬的に許容される賦形剤の対を指し、その一方は塩基性成分であり、他方は酸性成分である。塩基性成分は、酸性成分および水と接触すると二酸化炭素を遊離する。塩基性成分の例は、炭酸水素塩としても知られる重炭酸塩である。
【0098】
一実施形態では、酸性成分は、クエン酸無水物等のクエン酸である。一実施形態では、酸性成分は、リンゴ酸である。
【0099】
一実施形態では、発泡性対の塩基性成分は、炭酸水素ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される。
【0100】
一実施形態では、塩基性成分は、重炭酸ナトリウムであり、酸性成分は、クエン酸無水物等のクエン酸である。
【0101】
一実施形態では、発泡性錠剤は、1.8g~4.0g、例えば1.9g~3.9g、例えば2.0g~3.8g、例えば2.1g~3.7g、例えば2.2g~3.6g、例えば2.3g~3.5gの質量を有する。
【0102】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、1.8g~8.0g、例えば1.9g~6.0g、例えば2.0g~4.0gの質量を有する。
【0103】
一実施形態では、発泡性錠剤は、塩化マンガン(II)二水和物を含む。
【0104】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、粒状重炭酸塩等の重炭酸塩を含む発泡性錠剤として提供される。
【0105】
一実施形態では、発泡性錠剤は、無水クエン酸またはクエン酸一水和物等のクエン酸を含む。
【0106】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、本明細書で定義されるように提供され、発泡性錠剤中のクエン酸と重炭酸ナトリウムとの質量比は、少なくとも1.2対1、例えば少なくとも1.3対1、例えば少なくとも1.4対1、例えば少なくとも1.5対1、例えば少なくとも1.6対1、例えば少なくとも1.7対1、例えば少なくとも1.8対1、例えば少なくとも1.9対1、例えば少なくとも1.9対1、例えば少なくとも2.0対1、例えば少なくとも2.1対1、例えば少なくとも2.2対1、例えば少なくとも2.3対1、例えば少なくとも2.4対1、例えば少なくとも2.5対1である。
【0107】
一実施形態では、発泡性錠剤は、任意選択で粒状イソマルトである、イソマルト等の甘味料を含む。イソマルトは、本開示に関連してフィラーとして主に使用される。
【0108】
一実施形態では、発泡性錠剤は、水中に分配された後、圧縮固形組成物の溶解が完了した時に発泡期間が終了するように構成される。ゆえに、発泡の終了は、経口溶液の使用準備ができた時の目安となり得る。
【0109】
一実施形態では、圧縮固形組成物は、
a)塩化マンガン四水和物または二水和物と、
b)L-アラニン等のアラニンと、
c)イソマルトと、
d)重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩と、
e)クエン酸一水和物等のクエン酸と、
f)ポリエチレングリコール6000(PEG6000)等のポリエチレングリコールと
を含む発泡性錠剤として提供される。
【0110】
一実施形態では、発泡性錠剤は、ビタミンD3等のビタミンDをさらに含む。
【0111】
一実施形態では、発泡性錠剤は、重炭酸ナトリウム顆粒等の顆粒から調製される。
【0112】
一実施形態では、顆粒は、重炭酸ナトリウム、イソマルト、およびポビドンを含む。一実施形態では、顆粒は、68.7質量%の重炭酸ナトリウム、26.7質量%のイソマルト、および4.6質量%のポビドンを含む。
【0113】
好ましい実施形態では、発泡性錠剤の質量は、約2.5g、例えば2.44gである。
【0114】
一実施形態では、発泡性錠剤は、以下を含む:
【表2】
【0115】
好ましい実施形態では、発泡性錠剤は、以下を含む:
【表3】
【0116】
一実施形態では、ビタミンD3粉末100 000IUの組成は以下となる:
【表4】
【0117】
一実施形態では、発泡性錠剤は、480~1120IUのビタミンD3を含む。
【0118】
包装
本明細書で定義されるような圧縮固形組成物は、好ましくは、任意選択でアルミニウム製の、当業者に知られている好適な防水または防湿材料のブリスターパック等の、防水または防湿材料を使用して包装される。ブリスターパックは、本明細書で提供される圧縮固形組成物等の固形組成物に使用される、予め形成された包装である。ブリスターパックは、長期間にわたって湿度および汚染等の外部要因から薬物を保護するのに有用である。
【0119】
一実施形態では、
本明細書で定義されるような圧縮固形組成物と、
水分から圧縮固形組成物を保護する防水包装と
を含むパーツキットが提供される。
【0120】
圧縮固形組成物の調製
一実施形態では、本明細書で定義されるような圧縮固形組成物を調製するための方法が提供され、方法は、
a)任意選択で顆粒として、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を提供し、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を任意選択で乾燥させるステップと、
b)圧縮を可能とする1つ以上の水溶性賦形剤を提供するステップと、
c)生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を1つ以上の吸収促進剤および1つ以上の水溶性賦形剤と混合して、水溶性混合物を提供するステップと、
d)水溶性混合物を圧縮して、本明細書で定義されるような圧縮固形組成物を提供するステップと
を含む。
【0121】
一実施形態では、本明細書で定義されるような方法が提供され、相対湿度(rH)は、35%未満、例えば34%未満、例えば33%未満、例えば32%未満、例えば31%未満、例えば30%未満、例えば29%未満、例えば28%未満、例えば27未満%、例えば26%未満、例えば25%未満、例えば24%未満、例えば23%未満、例えば22%未満、例えば21%未満、例えば20%未満、例えば19%未満、例えば18%未満、例えば17%未満、例えば16%未満、例えば15%未満、例えば14%未満、例えば13%未満、例えば12%未満、例えば11%未満、例えば10%未満に保たれる。
【0122】
一実施形態では、相対湿度(rH)は、30%未満に保たれる。
【0123】
一実施形態では、相対湿度(rH)は、25%未満に保たれる。
【0124】
一実施形態では、相対湿度(rH)は、20%未満に保たれる。
【0125】
一実施形態では、本明細書で定義される方法によって調製されるような圧縮固形組成物が提供される。
【0126】
項目
I-1.
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物と、1つ以上の吸収促進剤と、1つ以上の水溶性賦形剤とを含む、圧縮固形組成物。
【0127】
I-2.
経口溶液の調製に使用するための、項目1に記載の圧縮固形組成物。
【0128】
I-3.
磁気共鳴画像法(MRI)造影剤組成物として使用するための、圧縮固形組成物。
【0129】
I-4.
1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性水溶性賦形剤である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0130】
I-5.
1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性フィラー、非吸湿性バインダ、非吸湿性崩壊剤、および非吸湿性潤滑剤からなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0131】
I-6.
非吸湿性フィラーは、イソマルト、噴霧乾燥ラクトース、α-ラクトース、またはβ-ラクトース等のラクトース、マルチトール、マルトース、およびマンニトールからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0132】
I-7.
圧縮固形組成物は、デキストレート、デキストロース、フルクトース、ヒプロメロース、マルトデキストリン、スクロース、ソルビトール、およびキシリトールからなる群から選択される吸湿性フィラーを含まない、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0133】
I-8.
圧縮固形組成物は、炭酸カルシウム、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、またはリン酸二カルシウム等のリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース粉末、酢酸セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、中鎖トリグリセリド、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ポリメタクリレート、デンプン、硫酸カルシウム、およびアルファ化デンプンからなる群から選択される非水溶性フィラーを含まない、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0134】
I-9.
非吸湿性バインダは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、マルトース、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0135】
I-10.
圧縮固形組成物は、アカシア、ヒプロメロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルファ化デンプン、イヌリン、寒天、ゼラチン、デンプン、アルギン酸、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、水素添加植物油、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、微結晶セルロース、およびポリメタクリレートからなる群から選択される難水溶性バインダを含まない、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0136】
I-11.
非吸湿性崩壊剤は、ポビドンである、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0137】
I-12.
非水溶性崩壊剤をさらに含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0138】
I-13.
非水溶性崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0139】
I-14.
圧縮固形組成物は、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される吸湿性崩壊剤を含まない、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0140】
I-15.
非吸湿性潤滑剤は、ポリエチレングリコール6000および安息香酸ナトリウムからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0141】
I-16.
圧縮固形組成物は、ポロクサマーおよびポリエチレングリコール4000からなる群から選択される吸湿性潤滑剤を含まない、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0142】
I-17.
圧縮固形組成物は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、水素添加植物油、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド、パルミチン酸、ステアリン酸、タルク、およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される非水溶性潤滑剤を含まない、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0143】
I-18.
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、無機アニオンまたは有機アニオンの塩である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0144】
I-19.
無機アニオンは、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、およびリン酸イオンからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0145】
I-20.
有機アニオンは、アスコルビン酸イオン、コウジ酸イオン、サリチル酸イオン、およびグルコン酸イオンからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0146】
I-21.
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、硫酸マンガン(II)、グルコン酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)無水物、塩化マンガン(II)二水和物、塩化マンガン(II)四水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0147】
I-22.
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、塩化マンガン(II)四水和物である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0148】
I-23.
1つ以上の吸収促進剤は、タンパク質構成アミノ酸およびビタミンDからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0149】
I-24.
タンパク質構成アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、トリプトファン、メチオニン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、およびヒスチジンからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0150】
I-25.
タンパク質構成アミノ酸は、中性アミノ酸である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0151】
I-26.
タンパク質構成アミノ酸は、L-アラニンである、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0152】
I-27.
ビタミンDは、ビタミンD3である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0153】
I-28.
2つの吸収促進剤を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0154】
I-29.
2つの吸収促進剤は、L-アラニンおよびビタミンD3である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0155】
I-30.
圧縮固形組成物は、0.5g~1.2gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0156】
I-31.
圧縮固形組成物は、0.6g~1g、例えば0.65g~0.95g、例えば0.70g~0.90g、例えば0.75g~0.85g、例えば0.80gの塩化マンガン(II)四水和物を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0157】
I-32.
圧縮固形組成物は、0.8gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0158】
I-33.
圧縮固形組成物は、0.8gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の対応する無水物もしくは二水和物を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0159】
I-34.
圧縮固形組成物は、0.25g~0.75g、例えば0.30g~0.70g、例えば0.35g~0.65g、例えば0.40g~0.60g、例えば0.45g~0.55g、例えば0.50gのL-アラニンを含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0160】
I-35.
圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、透明水溶液を提供する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0161】
I-36.
圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、0.2Lの透明水溶液を提供する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0162】
I-37.
圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、水に完全に溶解する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0163】
I-38.
圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で3.0分未満以内、例えば2.5分未満以内、例えば2分未満以内、例えば1.5分未満以内、例えば1分未満以内に水中で崩壊する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0164】
I-39.
圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で3.0分未満以内、例えば2.5分未満以内、例えば2分未満以内、例えば1.5分未満以内、例えば1分未満以内に水0.2L中で崩壊する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0165】
I-40.
圧縮固形組成物は、0.5g~1gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩の完全溶解後、水0.2L中で2~7のpHをもたらす、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0166】
I-41.
圧縮固形組成物は、発泡性組成物である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0167】
I-42.
発泡性錠剤は、1.8g~4.0g、例えば1.9g~3.9g、例えば2.0g~3.8g、例えば2.1g~3.7g、例えば2.2g~3.6g、例えば2.3g~3.5gの質量を有する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0168】
I-43.
発泡性錠剤は、塩化マンガン(II)二水和物を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0169】
I-44.
発泡性錠剤は、粒状重炭酸塩等の重炭酸塩を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0170】
I-45.
発泡性錠剤は、無水クエン酸またはクエン酸一水和物等のクエン酸を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0171】
I-46.
発泡性錠剤中のクエン酸と重炭酸ナトリウムとの質量比は、少なくとも1.2対1、例えば少なくとも1.3対1、例えば少なくとも1.4対1、例えば少なくとも1.5対1、例えば少なくとも1.6対1、例えば少なくとも1.7対1、例えば少なくとも1.8対1、例えば少なくとも1.9対1、例えば少なくとも1.9対1、例えば少なくとも2.0対1、例えば少なくとも2.1対1、例えば少なくとも2.2対1、例えば少なくとも2.3対1、例えば少なくとも2.4対1、例えば少なくとも2.5対1である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0172】
I-47.
発泡性錠剤は、
a.塩化マンガン四水和物、二水和物、または無水物と、
b.アラニンと、
c.イソマルトと、
d.重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩と、
e.クエン酸一水和物等のクエン酸と、
f.ポリエチレングリコール6000(PEG6000)等のポリエチレングリコールと
を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0173】
I-48.
ビタミンD3をさらに含む、項目47に記載の圧縮固形組成物。
【0174】
I-49.
組成物は、
a.塩化マンガン(II)四水和物、二水和物、または無水物と、
b.アラニンと、
c.イソマルトと、
d.クロスカルメロースナトリウム等のクロスカルメロースと、
e.PEG6000等のポリエチレングリコールと
を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0175】
I-50.
ビタミンD3をさらに含む、項目49に記載の圧縮固形組成物。
【0176】
I-51.
a)先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物と、
b)防水包装と
を含むパーツキット。
【0177】
I-52.
先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物を調製するための方法であって、
a.任意選択で顆粒として、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を提供し、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を任意選択で乾燥させるステップと、
b.1つ以上の吸収促進剤を提供するステップと、
c.圧縮を可能とする1つ以上の水溶性賦形剤を提供するステップと、
d.生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を1つ以上の吸収促進剤および1つ以上の水溶性賦形剤と混合して、水溶性混合物を提供するステップと、
e.水溶性混合物を圧縮して、先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物を提供するステップと
を含む、方法。
【0178】
I-53.
相対湿度(RH)は、35%未満、例えば34%未満、例えば33%未満、例えば32%未満、例えば31%未満、例えば30%未満、例えば29%未満、例えば28%未満、例えば27未満%、例えば26%未満、例えば25%未満、例えば24%未満、例えば23%未満、例えば22%未満、例えば21%未満、例えば20%未満、例えば19%未満、例えば18%未満、例えば17%未満、例えば16%未満、例えば15%未満、例えば14%未満、例えば13%未満、例えば12%未満、例えば11%未満、例えば10%未満に保たれる、先行する項目のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
I-54.
先行する項目のいずれか1つに記載の方法によって調製される、圧縮固形組成物。
【0180】
I-55.
経口MRI溶液を調製するための方法であって、
a.先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物を提供することと、
b.好適な量の水を提供することと、
c.前述の圧縮固形組成物を前述の水に加えることと、
それにより経口MRI溶液を形成することと
を含む、方法。
【0181】
項目II
1.
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物と、1つ以上の吸収促進剤と、1つ以上の水溶性賦形剤とを含む圧縮固形組成物であって、任意選択で、圧縮固形組成物は、例えば磁気共鳴画像法(MRI)用の、経口溶液を調製するためのものである、圧縮固形組成物。
【0182】
2.
1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性フィラー、非吸湿性バインダ、非吸湿性崩壊剤、および非吸湿性潤滑剤からなる群から選択される、項目1に記載の圧縮固形組成物。
【0183】
3.
非吸湿性フィラーは、イソマルト、噴霧乾燥ラクトース、α-ラクトース、またはβ-ラクトース等のラクトース、マルチトール、マルトース、およびマンニトールからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0184】
4.
非吸湿性バインダは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、マルトース、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0185】
5.
非吸湿性崩壊剤は、ポビドンである、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0186】
6.
非吸湿性潤滑剤は、ポリエチレングリコール6000および安息香酸ナトリウムからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0187】
7.
生理学的に許容されるマンガン(II)化合物は、硫酸マンガン(II)、グルコン酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)無水物、塩化マンガン(II)二水和物、塩化マンガン(II)四水和物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0188】
8.
1つ以上の吸収促進剤は、タンパク質構成アミノ酸およびビタミンDからなる群から選択され、任意選択で、圧縮固形組成物は、L-アラニンおよびビタミンD3等の2つの吸収促進剤を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0189】
9.
圧縮固形組成物は、0.5g~1.2gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩を含む、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0190】
10.
圧縮固形組成物は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で8分以内、例えば7分以内、例えば6分以内、例えば5分以内、例えば4分以内、例えば3分以内に、例えば0.2Lの水中で、透明溶液を提供しかつ/または完全に溶解する、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0191】
11.
圧縮固形組成物は、0.5g~1gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の任意の対応するマンガン(II)塩の完全溶解後、水0.2L中で2~7のpHをもたらす、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0192】
12.
圧縮固形組成物は、発泡性組成物である、先行する項目のいずれか1つに記載の圧縮固形組成物。
【0193】
13.
先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物を調製するための方法であって、
a.任意選択で顆粒として、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を提供し、生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を任意選択で乾燥させるステップと、
b.1つ以上の吸収促進剤を提供するステップと、
c.圧縮を可能とする1つ以上の水溶性賦形剤を提供するステップと、
d.生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を1つ以上の吸収促進剤および1つ以上の水溶性賦形剤と混合して、水溶性混合物を提供するステップと、
e.水溶性混合物を圧縮して、先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物を提供するステップと
を含む、方法。
【0194】
14.
相対湿度(RH)は、35%未満、例えば34%未満、例えば33%未満、例えば32%未満、例えば31%未満、例えば30%未満、例えば29%未満、例えば28%未満、例えば27未満%、例えば26%未満、例えば25%未満、例えば24%未満、例えば23%未満、例えば22%未満、例えば21%未満、例えば20%未満、例えば19%未満、例えば18%未満、例えば17%未満、例えば16%未満、例えば15%未満、例えば14%未満、例えば13%未満、例えば12%未満、例えば11%未満、例えば10%未満に保たれる、先行する項目のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
15.
経口MRI溶液を調製するための方法であって、
a.先行する項目のいずれか1つで定義される圧縮固形組成物を提供することと、
b.好適な量の水を提供することと、
c.前述の圧縮固形組成物を前述の水に加えることと、
それにより経口MRI溶液を形成することと
を含む、方法。
【0196】
項目III
1.
a)0.50g~1.2gの範囲の塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の対応する無水物もしくは二水和物と、
b)0.25g~0.75gの範囲のL-アラニンと、
c)1つ以上の水溶性賦形剤と、
d)塩基性成分および酸性成分を含む発泡性対と
を含む、磁気共鳴画像法(MRI)用発泡性MRI錠剤であって、
発泡性錠剤は、MRI用の経口溶液を調製するためのものである、
発泡性MRI錠剤。
【0197】
2.
1つ以上の水溶性賦形剤は、非吸湿性フィラー、非吸湿性バインダ、非吸湿性崩壊剤、非吸湿性潤滑剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0198】
3.
非吸湿性フィラーを含み、非吸湿性フィラーは、イソマルト、ラクトース、マルチトール、マルトース、およびマンニトールからなる群から選択される、項目2に記載の発泡性MRI錠剤。
【0199】
4.
非吸湿性バインダを含み、非吸湿性バインダは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、マルトース、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択される、項目2に記載の発泡性MRI錠剤。
【0200】
5.
非吸湿性崩壊剤のポビドンを含む、項目2に記載の発泡性MRI錠剤。
【0201】
6.
非吸湿性潤滑剤を含み、非吸湿性潤滑剤は、ポリエチレングリコール6000および安息香酸ナトリウムからなる群から選択される、項目2に記載の発泡性MRI錠剤。
【0202】
7.
発泡性MRI錠剤は、ビタミンD3をさらに含む、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0203】
8.
発泡性MRI錠剤は、0.50gのL-アラニンを含む、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0204】
9.
発泡性MRI錠剤は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で5分以内に、0.2Lの透明水溶液を提供する、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0205】
10.
発泡性MRI錠剤は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で5分以内に、水に完全に溶解する、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0206】
11.
発泡性MRI錠剤は、溶液の撹拌またはかき混ぜなしで、室温で3.0分未満以内に、水0.2L中で崩壊する、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0207】
12.
発泡性MRI錠剤は、0.5g~1gの塩化マンガン(II)四水和物、または等モル量の対応する無水物もしくは二水和物の完全溶解後、水0.2L中で2~7のpHをもたらす、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0208】
13.
発泡性MRI錠剤は、1.8g~4.0gの範囲の質量を有する、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0209】
14.
発泡性MRI錠剤は、粒状重炭酸塩を含む、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0210】
15.
発泡性MRI錠剤は、クエン酸を含む、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0211】
16.
クエン酸および重炭酸ナトリウムを含み、発泡性MRI錠剤中のクエン酸と重炭酸ナトリウムとの質量比は、1.2対1である、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0212】
17.
発泡性MRI錠剤は、
a.塩化マンガン四水和物、二水和物、または無水物と、
b.L-アラニンと、
c.イソマルトと、
d.重炭酸ナトリウムと、
e.クエン酸と、
f.PEG6000と
を含む、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0213】
18.
発泡性MRI錠剤は、
a.塩化マンガン四水和物、二水和物、または無水物と、
b.L-アラニンと、
c.イソマルトと、
d.重炭酸ナトリウムと、
e.クエン酸と、
f.PEG6000と、
g.ポビドンと、
h.ビタミンD3と
からなる、項目1に記載の発泡性MRI錠剤。
【0214】
19.
項目1で定義される発泡性MRI錠剤を調製するための方法であって、
a)生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を提供するステップと、
b)1つ以上の吸収促進剤を提供するステップと、
c)圧縮を可能とする1つ以上の水溶性賦形剤を提供するステップと、
d)生理学的に許容されるマンガン(II)化合物を1つ以上の吸収促進剤および1つ以上の水溶性賦形剤と混合して、水溶性混合物を提供するステップと、
e)水溶性混合物を圧縮して、発泡性MRI錠剤を提供するステップと
を含み、
相対湿度(RH)が、30%未満に保たれる、
方法。
【0215】
20.
経口MRI溶液を調製するための方法であって、
a.項目1で定義される発泡性MRI錠剤を提供することと、
b.好適な量の水を提供することと、
c.前述の発泡性MRI錠剤を前述の水に加えることと、
d.それにより経口MRI溶液を形成することと
を含む、方法。
【0216】
実施例
以下の実施例では、実施例1~9は、本明細書で「可溶性錠剤」と呼ばれる非発泡性錠剤に関し、実施例10~18は、本明細書で「発泡性錠剤」と呼ばれる発泡性錠剤に関する。
・実施例1~3は、水中への導入後、5分以内に透明溶液をもたらす製剤の例である。
・実施例4および7~8は、高過ぎる空気の湿度に関連する問題を実証する。
・実施例5は、混合する前に塩化マンガンを乾燥させることが、高い吸湿性の問題をもたらし得ることを実証する。
・実施例6および9は、水中への導入後、透明溶液をもたらさない組成物の例である。
・実施例10~12は、うまく機能する、低い相対湿度下で生産される発泡性錠剤の調製を実証する。
・実施例13~14は、より高い相対湿度下で調製される発泡性錠剤が、いかにうまく機能しないかを実証する。
・実施例11および15~18は、直接または造粒プロセス中に、塩化マンガンを乾燥させることの効果を実証する。
・実施例16~18は、溶解プロファイルを調節するために錠剤成分を造粒することの効果を実証する。
【0217】
実施例1:錠剤重量2000mgのイソマルトに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、クロスカルメロースナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度(rH)は24%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2000mgおよび硬度40Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、1分以内に崩壊し、3分以内に急速に完全溶解し、透明溶液を与えた。
【0218】
結論
低い空気中の相対湿度で、錠剤は、上記方法に従って生産され得、急速に崩壊および溶解して、くせのない味の透明溶液を形成することになる。
【0219】
実施例2:錠剤重量2500mgのイソマルトに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、クロスカルメロースナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合した。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2500mgおよび硬度90Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、3分以内に崩壊し、5分以内に完全溶解し、透明溶液を与えた。
【0220】
実施例3:ビタミンDを加えた、錠剤重量2000mgのイソマルトに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、乾燥ビタミンD3 100 SD/S、イソマルト、クロスカルメロースナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合した。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2000mgとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、ビタミンDの含有量は、20μg/錠に20%の過剰量を加えたものであった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、5分以内に完全溶解し、表面にビタミンDに由来する小さな影を有する透明溶液を与えた。
【0221】
実施例4:ビタミンDを加えた、錠剤重量2000mgのイソマルトに基づく可溶性錠剤は、35%rHで湿気を吸着する
塩化マンガン四水和物、アラニン、乾燥ビタミンD3 100 SD/S、イソマルト、クロスカルメロースナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は35%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2000mgおよび硬度85Nとした。加工中、顆粒は、空気から湿気を吸着し、塊を形成し、打錠機に注入し難くなった。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、ビタミンDの含有量は、20μg/錠に20%の過剰量を加えたものであった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、4分以内に崩壊し、9分以内に完全溶解し、透明溶液を与えた。
【0222】
結論
生産領域の空気中の湿度は、25%rH未満等に低く保たれる必要があり、そうしなければ、混合物は、湿気を吸着し、塊を形成することになり、錠剤溶解時間は、増加することになる。
【0223】
実施例5:塩化マンガンを乾燥させた、イソマルトに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物を、一定重量まで、一晩、100℃で乾燥させた。重量の約22%が失われた。乾燥塩化マンガン、アラニン、乾燥ビタミンD3 100 SD/S、イソマルト、クロスカルメロースナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は17%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2000mgおよび硬度61Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、ビタミンDの含有量は、20μg/錠に20%の過剰量を加えたものであった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、崩壊しなかったが、表面からゆっくりと溶解した。錠剤は、8分以内に完全溶解し、表面にビタミンDに由来する小さな影を有する透明溶液を与えた。
【0224】
結論
この実施例は、塩化マンガン四水和物は、乾燥させることでその吸湿性が高くなり、崩壊剤から水分を取り込み、崩壊剤がその効果を失ったことを実証する。しかしながら依然として、錠剤は、溶解して、表面の油状ビタミンD3の他に透明溶液を与えることができた。
【0225】
【0226】
実施例6:非水溶性崩壊剤を含む、錠剤重量2000mgのイソマルトに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、クロスポビドン、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は24%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2000mgおよび硬度40Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、1分以内に崩壊し、3分以内に急速に完全溶解し、溶解していないクロスポビドンの粒子を含む透明溶液を与えた。
【0227】
結論
この実施例に基づいて、クロスポビドン等の非水溶性崩壊剤の使用は、低レベルの崩壊剤でも透明溶液を提供しないと思われる。
【0228】
実施例7:高湿度での、マンニトールに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、マンニトール、クロスポビドン、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は45%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で12mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量666とした。加工中、顆粒は、空気から湿気を吸着し、パンチおよびダイへの激しい付着をもたらした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/3錠であり、アラニンの含有量は、500mg/3錠であった。錠剤3錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、5分以内に完全溶解し、甘い味の透明溶液を与えた。
【0229】
結論
生産領域の空気中の湿度は、25%rH未満等に低く保たれる必要があり、そうしなければ、混合物は、湿気を吸着し、塊を形成することになり、これは、効果的でない打錠プロセスをもたらし、錠剤中の最終的な投与量に関して不確実性を持ち込むことになる。
【0230】
実施例8:高湿度での、マルチトールに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、マルチトール、クロスポビドン、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は45%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で12mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量666とした。加工中、顆粒は、空気から湿気を吸着し、塊を形成し、打錠機に注入し難くなった。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/3錠であり、アラニンの含有量は、500mg/3錠であった。錠剤3錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、7分以内に完全溶解し、苦い味の透明溶液を与えた。
【0231】
結論
生産領域の空気中の湿度は、混合物が湿気を吸着するようになるのを防止するために、25%rH未満等に低く保たれる必要がある。
【0232】
【0233】
実施例9:非水溶性潤滑剤を含む、錠剤重量2000mgのイソマルトに基づく可溶性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、クロスカルメロースナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は23%rHであった。ステアリン酸マグネシウムを加え、1分間混合した。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2000mgおよび硬度88Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、4分以内に崩壊し、7分以内に溶解した。
【0234】
結論
この実施例は、ステアリン酸マグネシウム等の非水溶性潤滑剤が、水に加えられると、表面に気泡を有する不透明な灰色がかった乳白色溶液をもたらす錠剤を提供したことを実証する。
【0235】
実施例10:うまく機能する、少量のイソマルトを含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、重炭酸ナトリウム、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は24%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2565mgおよび硬度56Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3.5分間発泡した。マンガンイオンは、炭酸イオンとともに沈殿物を形成するため、炭酸マンガンの沈殿物が形成された。酸性pHで、この沈殿物を再溶解させることができ、これは4.5分後に達成され、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0236】
結論
この実施例は、24%rH等の低い空気中の相対湿度で、水中で急速に崩壊および溶解して、許容される味の透明溶液を提供することになる錠剤を生産し得ることを実証する。
【0237】
実施例11:うまく機能する、より多くのイソマルトを含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、重炭酸ナトリウム、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は24%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2990mgおよび硬度90Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3分間発泡した。炭酸マンガンの沈殿物が形成され、5分後に再溶解し、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0238】
結論
この実施例は、24%rH等の低い空気中の相対湿度で、急速に崩壊および溶解して、許容される味の透明溶液を提供することになる錠剤を生産し得ることを実証する。
【0239】
実施例12:乾燥塩化マンガンを含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物を、一定重量まで、一晩、100℃で乾燥させた。重量の約22%が失われた。乾燥させた塩化マンガン四水和物、アラニン、イソマルト、重炭酸ナトリウム、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は35%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2420mgおよび硬度55Nとした。混合物が空気から湿気を吸着するにつれて、付着が見られた。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3分間発泡した。炭酸マンガンの沈殿物が形成され、3.5分後に再溶解し、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0240】
結論
この実施例は、塩化マンガン四水和物を乾燥させることで、その吸湿性が高くなることを実証した。吸湿性塩化マンガンは、空気から湿気を取り込み、打錠中に問題を引き起こしたが、それにもかかわらず、錠剤は、依然として急速に溶液状態になった。
【0241】
実施例13:高湿度での、高レベルの「発泡性混合物」を含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、重炭酸ナトリウム、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は44%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で12mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量を約867mgとした。圧縮中、混合物は、湿気を吸着し、少数の錠剤を圧縮した後に、付着が見られた。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/3錠であり、アラニンの含有量は、500mg/3錠であった。錠剤3錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに分配し、錠剤は、約2分間発泡した。炭酸マンガンの沈殿物が形成され、5分後に再溶解し、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0242】
結論
この実施例は、生産領域中の空気の相対湿度は、効率的な打錠プロセスを確実にするために、低く保たれなければならないことを実証する。44%rHでの錠剤の生産は、混合物が湿気を吸収し、圧縮中に付着することを引き起こした。
【0243】
実施例14:高湿度での、低レベルの「発泡性混合物」を含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物、アラニン、重炭酸ナトリウム、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は52%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で12mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量を約692mgとした。圧縮中、混合物は、湿気を吸着し、激しい付着が見られた。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/3錠であり、アラニンの含有量は、500mg/3錠であった。錠剤3錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3分間発泡した。炭酸マンガンの沈殿物が形成され、5分後に再溶解し、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0244】
結論
この実施例は、生産領域中の空気の相対湿度は、効率的な打錠プロセスを確実にするために、低く保たれなければならないことを実証する。52%rHでの錠剤の生産は、混合物が湿気を吸収し、圧縮中に激しく付着することを引き起こした。
【0245】
【0246】
実施例15:塩化マンガン/クエン酸の造粒を含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物28.1g、クエン酸一水和物21.1g、およびポビドン0.9gを、高せん断ミキサで混合した。96%エタノールを、造粒助剤として、粉末が十分に濡れるまで、撹拌しながら加えた(5.3g)。顆粒を、一定重量まで、一晩、100℃で乾燥させ、710μmの篩で篩過した。塩化マンガン/クエン酸顆粒、アラニン、イソマルト、重炭酸ナトリウム、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は24%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2395mgおよび硬度70Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、クエン酸無水物の含有量は、600mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3分間発泡した。炭酸マンガンの沈殿物が形成され(先の例より少ない)、4分後に再溶解し、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0247】
結論
この実施例は、塩化マンガン/クエン酸の造粒が、形成される沈殿物の量を減らし、短い錠剤溶解時間を提供するため、有益であり得ることを実証する。
【0248】
実施例16:重炭酸ナトリウムの造粒を含む発泡性錠剤
塩化マンガン四水和物を、一定重量まで、一晩、100℃で乾燥させた。重量の約22%が失われた。重炭酸ナトリウム68.74g、イソマルト26.7g、およびポビドン4.58gを、高せん断ミキサで混合した。96%エタノールを、造粒助剤として、粉末が十分に濡れるまで、撹拌しながら加えた(19.7g)。顆粒を、一晩、100℃で乾燥させ、710μmの篩で篩過した。乾燥させた塩化マンガン四水和物、アラニン、重炭酸ナトリウム顆粒、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合し、ここで、空気中の相対湿度は24%rHであった。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2445mgおよび硬度68Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、重炭酸ナトリウムの含有量は、375mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約2.5分間発泡した。炭酸マンガンの少量の沈殿物が形成され(先の例より少ない)、3.5分後に再溶解し、わずかに酸味のある透明溶液を与えた。
【0249】
結論
この実施例は、重炭酸ナトリウムの造粒が、形成される沈殿物の量を減らし、依然として短い錠剤溶解時間を提供することを実証する。
【0250】
実施例17:より低レベルの重炭酸ナトリウムの造粒を含む発泡性錠剤
乾燥させた塩化マンガン四水和物(実施例16から)、アラニン、重炭酸ナトリウム顆粒(実施例16から)、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、1分間混合した。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2420mgおよび硬度85Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、重炭酸ナトリウムの含有量は、281mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3分間発泡した。(実施例16のように)炭酸マンガンの少量の沈殿物が形成され、4分後に再溶解した。溶液は、乳白色になり、発泡した。少量でもステアリン酸マグネシウムを加えることで、溶液が貧になったように思われた。
【0251】
実施例18:低レベルの重炭酸ナトリウムの造粒を含む発泡性錠剤
乾燥させた塩化マンガン四水和物(実施例16から)、アラニン、乾燥ビタミンD3 100 SD/S、重炭酸ナトリウム顆粒(実施例16から)、クエン酸無水物、およびPEG6000を、5分間混合した。錠剤を、単発式打錠機で20mmの平面工具を使用して圧縮し、錠剤重量2440mgおよび硬度80Nとした。塩化マンガン四水和物の含有量は、800mg/錠であり、アラニンの含有量は、500mg/錠であり、ビタミンDの含有量は、20μg/錠に20%の過剰量を加えたものであり、重炭酸ナトリウムの含有量は、253mg/錠であった。錠剤1錠を、室温で、200mlの水の入ったコップに入れ、錠剤は、約3分間発泡した。(実施例16のように)炭酸マンガンの少量の沈殿物が形成され、4分後に再溶解し、透明溶液を与えた。重炭酸ナトリウムのレベルは、発泡を遅くして、発泡終了から完全溶解までの時間を短縮するために低減された。
【0252】
【0253】
実施例19:温度に応じた崩壊する時間および透明溶液を形成する時間についての、「発泡性錠剤」と「スティックパック製剤」との比較
材料
この検討に使用された材料を以下に記載する:
・発泡性錠剤(表4参照):バッチRD1901-7-T1
・1用量につき以下を含有するスティックパック製剤:
〇L-アラニン-バッチ:1809009(500mg)
〇ビタミンD3乾燥粉末-バッチ:1809013(10mg)
〇塩化マンガン四水和物-バッチ:1912002(800mg)
・水道水
【0254】
スティックパック製剤は、経口乾燥粉末製剤であり、塩化マンガン四水和物(800mg)が、1つのスティックパックに詰められ、L-アラニン(500mg)および乾燥ビタミンD3粉末(10mg、800IU相当)の均一ブレンドが、別のスティックパックに詰められている。1つのパックに入った塩化マンガン四水和物と、別のパックに入ったL-アラニンおよび乾燥ビタミンD3粉末との2剤形態は、本明細書では粉末製剤と呼ばれる。
【0255】
本明細書で使用された発泡性錠剤は、以下を含有する:
【表9】
【0256】
崩壊時間および透明溶液を形成する時間への温度の影響
方法
2つの異なる製剤、すなわち、発泡性錠剤および粉末製剤を、5℃、15℃、および20℃の3つの異なる温度で、200mlの水に溶解させた。発泡性錠剤には撹拌を使用しなかったが、粉末製剤は撹拌された。崩壊時間(目に見える粒子が少数ある)および透明溶液になる時間(目に見える粒子がない)を測定した。各製剤および温度について、3つの試料を試験した。
【0257】
結果
試験の結果を表5に示す。崩壊は、発泡性錠剤にのみ当てはまることに留意すべきである。
図1は、発泡性錠剤について、崩壊時間および透明溶液を形成する時間への温度の影響を示す。試験されたどの温度でも、発泡性錠剤は、粉末製剤より急速に崩壊および完全溶解した。さらに、温度が下がるほど、崩壊時間および完全溶解時間は長くなった。
【表10】
【0258】
結論
試験は、本開示の発泡性錠剤が、5℃~20℃の温度で、5分より速く、水0.2L中で崩壊し、より高い温度で崩壊がより速いことを実証する。5℃の水溶液は、より飲みやすいため、5℃の温度が、患者の視点から好ましい。この試験は、発泡性錠剤を溶解させる時間が、粉末製剤を溶解させる時間より著しく短いことも実証する。ゆえに、圧縮固形組成物は、MRIで使用するための経口溶液の調製に関して、粉末製剤よりうまく機能する。
【0259】
実施例20:容量に応じた崩壊する時間および透明溶液を形成する時間についての、「発泡性錠剤」と「スティックパック製剤」との比較
方法
2つの異なる製剤、すなわち、実施例19の発泡性錠剤および粉末製剤を、50mlまたは200mlの20℃の水に溶解させた。発泡性錠剤には撹拌を使用しなかったが、粉末製剤は撹拌された。崩壊時間(目に見える粒子が少数ある)および透明溶液になる時間(目に見える粒子がない)を測定した。異なる容量の各製剤について、3つの試料を試験した。
【0260】
結果
結果を表6に示す。崩壊は、発泡性錠剤にのみ当てはまることに留意すべきである。
図2に、水の容量の影響を示す。結果からわかるように、検討された範囲の容量は、崩壊時間にも透明溶液を形成する時間にも影響を及ぼさない。発泡性錠剤は、透明溶液を形成したが、粉末製剤は、未溶解粒子を有する。
【表11】
【0261】
表6の結果は、5分後の50mlまたは200mLのいずれかの20℃の水道水中での2つの製剤間の違いを示す。
【0262】
結論
この実施例は、圧縮固形組成物(例えば、発泡性錠剤)が、2剤型粉末製剤と比較して著しく速い、したがって優れた溶解速度および崩壊速度を示すことを実証する。ゆえに、圧縮固形組成物は、MRIで使用するための経口溶液の調製に関して、粉末製剤よりうまく機能する。さらに、50mL~200mLの容量は、崩壊/溶解時間に大きな影響を及ぼさない。