(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】回収ボイラの煙道ガス中の1以上の比率粒子群シェアの決定
(51)【国際特許分類】
G01N 15/06 20240101AFI20241210BHJP
F22B 37/00 20060101ALI20241210BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N15/06 D
F22B37/00 Z
G01N21/27 A
(21)【出願番号】P 2021574755
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 FI2020050456
(87)【国際公開番号】W WO2020260762
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-04
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッパライネン、ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ピンネネン、ペトリ
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524508(JP,A)
【文献】特開2003-302333(JP,A)
【文献】特開平10-332567(JP,A)
【文献】特開2002-333402(JP,A)
【文献】特開昭63-091416(JP,A)
【文献】特表2008-519231(JP,A)
【文献】特表平02-501502(JP,A)
【文献】特開2004-211995(JP,A)
【文献】米国特許第04599975(US,A)
【文献】米国特許第04539588(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/06
G01N 21/27
F22B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収ボイラ(110)の煙道ガスから1以上の比率粒子群シェアを決定するための方法(300)であって、
所定の期間、プロセッサ(202)を用いてデジタル・フレームを読み取るステップ(301)であって、前記デジタル・フレームは、回収ボイラ(110)の煙道ガス流中に保持されたサンプラ(120)の表面の少なくとも一部を表している、ステップ(301)と、
前記回収ボイラ(110)の前記煙道ガス中に含まれる少なくとも1つの粒子群の所定の色特性に適合する1以上の粒子群領域を、考慮中の領域から、前記プロセッサ(202)を用いて識別するステップ(302)と、
前記識別された1以上の粒子群領域の結合領域を、前記プロセッサ(202)を用いて決定するステップ(304)と、
所定の全領域から、前記決定された結合領域のシェアを、前記粒子群の前記比率粒子群シェアとして、前記プロセッサ(202)を用いて決定するステップ(305)
と
を含み、
前記粒子群領域を識別するステップ(302)と、前記結合領域を決定するステップ(304)と、前記全領域から前記結合領域の前記シェアを決定するステップ(305)とが、前記回収ボイラ(110)の前記煙道ガス中に含まれる少なくとも2つの異なる粒子群について実行され
、
前記少なくとも2つの異なる粒子群の前記粒子群領域が重複領域を有する場合に、前記重複領域がどの粒子群領域に属するかを、前記重複領域の暗さに基づいて前記プロセッサ(202)を用いて決定するステップ(303)をさらに含む、方法(300)。
【請求項2】
前記所定の全領域が前記考慮中の領域の全領域を有する、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記所定の全領域が、前記少なくとも2つの異なる粒子群のそれぞれの前記結合領域の前記全領域を有する、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記粒子群が、亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子のうちの1つを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記亜硫酸ナトリウム粒子に対応する色特性が赤みを帯びた色合いを有し、前記不燃性黒液粒子の対応する色特性が黒い色合いを有する、請求項4に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記亜硫酸ナトリウム粒子に対応する前記色特性がYCbCr色空間のCr成分を有し、前記不燃性黒液粒子の対応する色特性が前記YCbCr色空間のY成分を有する、請求項4又は5のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記粒子群領域の識別が、対応する色特性のしきい値処理を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記粒子群の前記決定された比率粒子群シェアが、前記回収ボイラ(110)を制御するために使用される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項9】
コマンド群であって、1以上のプロセッサ(202)によって実行されたときに、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法をコンピュータ・デバイス(200)に実行させるコマンド群を有する少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータ・プログラム製品。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサ(202)と、
コンピュータ・プログラム・コード(205)を有する少なくとも1つのメモリ(204)と
を有する、コンピュータ・デバイス(200)であって、
前記少なくとも1つのメモリ(204)及び前記コンピュータ・プログラム・コード(205)は、少なくとも1つのプロセッサ(202)を用いて、前記コンピュータ・デバイス(200)に、
回収ボイラ(110)の煙道ガス流中に保持されたサンプラ(120)の表面の少なくとも一部を表す考慮中の領域を有するデジタル・フレームを、所定の期間、読み取らせ、
前記回収ボイラ(110)の前記煙道ガス中に含まれる少なくとも1つの粒子群の所定の色特性に一致する1以上の粒子群領域を、前記考慮中の領域から識別させ、
前記識別された1以上の粒子群領域の結合領域を決定させ、
所定の全領域から、前記決定された結合領域のシェアを、前記粒子群の比率粒子群シェアとして決定させる
ように構成され、また
少なくとも前記1つのメモリ(204)及び前記コンピュータ・プログラム・コード(205)は、少なくとも前記1つのプロセッサ(202)を用いて、前記コンピュータ・デバイス(200)に、
前記回収ボイラ(110)の煙道ガス中に含まれる少なくとも2つの異なる粒子群について、前記粒子群領域の前記識別と、前記結合領域の前記決定と、前記全領域からの前記結合領域の前記シェアの前記決定とを実行させ、
前記少なくとも2つの異なる粒子群の前記粒子群領域が重複領域を有する場合に、前記重複領域がどの粒子群領域に属するかを、前
記重複領域の暗さに基づいて決定させる
ようにさらに構成されていることを特徴とする、コンピュータ・デバイス(200)。
【請求項11】
前記所定の全領域が、前記考慮中の領域の前記全領域を有する、請求項10に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項12】
前記所定の全領域が、前記少なくとも2つの異なる粒子群のそれぞれの前記結合領域の前記全領域を有する、請求項10に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項13】
前記粒子群が、亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子のうちの1つを有する、請求項10から12までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項14】
前記亜硫酸ナトリウム粒子に対応する色特性が赤みを帯びた色合いを有し、前記不燃性黒液粒子の対応する色特性が黒い色合いを有する、請求項13に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項15】
前記亜硫酸ナトリウム粒子に対応する前記色特性がYCbCr色空間のCr成分を有し、前記不燃性黒液粒子の対応する色特性が前記YCbCr色空間のY成分を有する、請求項13又は14のいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項16】
前記粒子群領域を識別させることが、対応する色特性のしきい値処理を含む、請求項10から15までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項17】
前記粒子群の前記決定された比率粒子群シェアが、前記回収ボイラ(110)を制御するために使用される、請求項10から16までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項18】
回収ボイラ(110)の煙道ガス流からサンプルを採取するためのサンプラ(120)を有する、システム(100)であって、
前記サンプラ(120)を用いて前記回収ボイラ(110)から採取した前記煙道ガス・サンプルから、デジタル・フレームを生成するための手段(130)と、
請求項10から17までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)と
をさらに有することを特徴とする、システム(100)。
【請求項19】
前記サンプラ(120)が、前記回収ボイラ(110)の壁から少なくとも2つの異なる距離で前記サンプルを採取するように適合されている、請求項18に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙道ガス・サンプルから得られた光学的情報に基づいて、回収ボイラの煙道ガス中の1以上の比率粒子群シェア(proportional particle group share(s))を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
原則として、回収ボイラは、化学物質回収と、蒸気及び電気エネルギーとして処理中に生成される燃焼熱の回収という、2つの主要な機能を有する。
【0003】
回収ボイラ燃焼中に、煙道ガスが生成され、その熱が蒸気生成のために使用される。これらの煙道ガスは一般に、炉の燃焼処理中に黒液(black liquor)から発生する粒子(とりわけ、いわゆるキャリーオーバー粒子(carry-over particle))を含む。これらの粒子は非常に軽いので、それらは強力な煙道ガス流に容易に引き込まれる。キャリーオーバー粒子は、加熱面がTI5~T70範囲(灰の15~70%が液体状態にある温度範囲)内にあるときに粘着性であるので、特に扱いにくい。煙道ガス流へのこれらの粒子の特に強力な引き込みは、ボイラ・ドラフト(boiler draught)が、特定の炉領域を好むように変化する、いわゆる煙突効果(chimney effect)に起因する。例えば、炉の中間において、流量が増加し、それにより、好適なサイズの粒子と燃料の溶融した液滴とが煙道ガス流中に引き込まれ、正常に燃焼させられた燃料の残灰と一緒にキャリーオーバーを形成し得る。
【0004】
キャリーオーバー粒子は、加熱面のファウリング(fouling)と腐食とを引き起こし、それらは両方とも、回収ボイラの可用性を著しく低減し、同時に、リサイクル可能な化学物質の回収と蒸気生成とを低減する。
【0005】
例えば、プローブの検出領域で検出された、依然として燃えている煙道ガス粒子をカウントするスパーク・カウンタを用いた、キャリーオーバーの監視が求められてきた。そのような装置は、コークの燃焼が依然として進行している、キャリーオーバーの一部を記録するだけである。この装置は、もはや燃焼していないが依然として還元形にある、キャリーオーバーの一部を記録することはできない。
【0006】
従来技術はまた、回収ボイラ炉の状態を測定するためのスイーパ(sweeper)の使用を記載した米国特許8,584,540B2号を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、回収ボイラの煙道ガス中の1以上の比率粒子群シェアを決定するための方法が提示される。本方法は、
所定の時間期間の間、回収ボイラの煙道ガス流中に保持されたサンプラの表面の少なくとも一部を表す、考慮中の領域を有する、デジタル・フレームを、プロセッサを用いて読み取るステップと、
回収ボイラの煙道ガス中に含まれる少なくとも1つの粒子群の所定の色特性に一致する1以上の粒子群領域を、考慮中の領域から、プロセッサを用いて識別するステップと、
識別された1以上の粒子群領域の結合領域を、プロセッサを用いて決定するステップと、所定の全領域から、決定された結合領域のシェアを、前記粒子群の比率粒子群シェアとして、プロセッサを用いて決定するステップと
を有する。
【0009】
本発明の第2の特徴によれば、1以上のプロセッサによって実行されたとき、コンピュータ・デバイスに第1の特徴による方法を実行させるコマンド群を有する少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータ・プログラム製品が提示される。
【0010】
本発明の第3の特徴によれば、少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータ・プログラム・コードを有する少なくとも1つのメモリとを備えるコンピュータ・デバイスであって、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータ・プログラム・コードは、少なくとも1つのプロセッサを用いて、コンピュータ・デバイスに、
所定の時間期間の間、回収ボイラの煙道ガス流中に保持されたサンプラの表面の少なくとも一部を表す、考慮中の領域を有する、デジタル・フレームを読み取ることと、
回収ボイラの煙道ガス中に含まれる少なくとも1つの粒子群の所定の色特性に一致する1以上の粒子群領域を、考慮中の領域から、識別することと、
識別された1以上の粒子群領域の結合領域を決定することと、
所定の全領域から、決定された結合領域のシェアを、前記粒子群の比率粒子群シェアとして決定することと
を行わせるように構成されている、コンピュータ・デバイスが提示される。
【0011】
本発明の第4の特徴によれば、
回収ボイラの煙道ガス流からサンプルを採取するためのサンプラと、
回収ボイラからサンプラを用いて採取された煙道ガス・サンプルから、デジタル・フレームを生成するための手段と、
特徴によるコンピュータ・デバイスと
を有するシステムが提示される。
【0012】
本発明の1つの適用例では、粒子群領域の識別と、結合領域の決定と、全領域からの結合領域のシェアの決定とが、回収ボイラの煙道ガス中に含まれる少なくとも2つの異なる粒子群について実行される。
【0013】
本発明の1つの適用例では、所定の全領域は、考慮中の領域の全領域を有する。
【0014】
本発明の1つの適用例では、所定の全領域は、前記少なくとも2つの異なる粒子群の結合領域の全領域を有する。
【0015】
本発明の1つの適用例では、粒子群領域の少なくとも1つの可能性ある(possible)重複領域が前記可能性ある重複領域の暗さに基づいて前記粒子群領域のうちの1つに属することが、プロセッサを用いて決定される。
【0016】
本発明の1つの適用例では、粒子群は、それの過大なシェアが燃焼条件の最適条件からの逸脱を最も明らかに示す、亜硫酸ナトリウム粒子と不燃性黒液の粒子とのうちの1つを有する。
【0017】
本発明の1つの適用例では、亜硫酸ナトリウム粒子に対応する色特性は赤みを帯びた色合いを有し、不燃性黒液粒子の対応する色特性は黒い色合いを有する。
【0018】
本発明の1つの適用例では、亜硫酸ナトリウム粒子に対応する色特性はYCbCr色空間のCr成分を有し、不燃性黒液粒子の対応する色特性はYCbCr色空間のY成分を有する。RGB色空間からYCbCr又は同様の色空間への変換により、色特性のより確実で効率的な識別が可能になる。
【0019】
本発明の1つの適用例では、粒子群領域の識別は、対応する色特性のしきい値処理(thresholding)を有する。
【0020】
本発明の1つの適用例では、粒子群の決定された比率粒子群シェアは、回収ボイラを制御するために使用される。
【0021】
本発明の1つの適用例では、サンプラは、回収ボイラの壁からの少なくとも2つの異なる距離からサンプルを採取するように適応させられる。
【0022】
本発明による解決策を用いると、以前よりも格段に速く燃焼障害(combustion disturbance)に応答し、煙道ガス測定に基づいて、燃焼室中の燃焼処理を最適化するための測定方法が達成され得る。本発明による少なくともいくつかの解決策は、測定結果を、燃焼を制御するために及び/又はボイラ掃引を制御するために使用することを可能にする。
【0023】
本発明による少なくともいくつかの解決策は、煙道ガス・サンプルから得られた光学的情報に基づいて、回収ボイラの煙道ガスからの1以上の比率粒子群シェアの決定を可能にする。
【0024】
本発明による少なくともいくつかの解決策は、少なくとも亜硫酸ナトリウム粒子、不燃性黒液粒子及び/又は硫酸ナトリウム粒子についての比率シェアの計算を可能にする。本発明による少なくともいくつかの解決策は、煙道ガス・サンプルから撮影されたデジタル画像の決定された領域からのこれらの比率シェアの計算を可能にする。本発明による少なくともいくつかの解決策は、これらの比率シェアの自動計算を可能にする。そのような場合、これらの比率シェアを計算するために、例えば、データベース中の画像に対して実行されるべき目視比較は不要である。
【0025】
本発明による少なくともいくつかの解決策は、測定履歴を考慮に入れること、すなわち以前の測定との比較を可能にする。例えば、本発明による少なくともいくつかの解決策は、タイム・スタンプされた結果が保存され、他の煙道ガス・サンプル、又は回収ボイラから収集された任意の他のデータと比較され得ることを可能にする。
【0026】
本発明による少なくともいくつかの解決策は、例えば最大1分間になり得る、短い測定時間を可能にする。さらに、所定の測定時間は、測定履歴と比較して、それ自体で十分に比較できる結果を可能にする。
【0027】
本発明による少なくともいくつかの解決策は、例えば、回収ボイラの前壁、後壁及び/又は側壁からのいくつかの異なる距離における、比率粒子群シェアから、回収ボイラの横方向情報を取得することを可能にする。
【0028】
さらに、本発明による少なくともいくつかの解決策は、煙道ガス・サンプリングを再現し、自動化することを可能にする。自動化により、例えば、測定された比率粒子群シェアが予想された値から本質的に逸脱した場合、高い監視頻度及び迅速な検査が可能になる。
好ましくは、十分に良好な相関をもつ結果を与えるカメラとして、通常可視領域カラー・カメラが使用され得る。
【0029】
以下、添付の図面を参照することによって、添付の適用例を用いて本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本発明によるシステムを概略的に説明する図である。
【
図1B】本発明による回収ボイラを概略的に説明する図である。
【
図2】本発明によるデバイスを概略的に説明する図である。
【
図3】本発明による方法を概略的に説明する図である。
【
図4A】本発明による解析されていないデジタル・フレームを説明する図である。
【
図4B】本発明による解析されたデジタル・フレームを説明する図である。
【
図5A】本発明による、考慮中の領域中の亜硫酸ナトリウム粒子に対応する、しきい値処理によって得られるバイナリ・マスクを説明する図である。
【
図5B】本発明による、考慮中の領域中の不燃性黒液粒子に対応する、しきい値処理によって得られるバイナリ・マスクを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面では、等価な要素を参照するために全体にわたって同じ参照番号を使用する。
【0032】
以下は、本発明の実施例の詳細な説明であり、それの実例が添付の図面に記載されている。添付の図面とともに、以下で詳述する説明は、実例について説明するためのものであり、与えられた実例を実装するか又はそれらを利用する唯一の方法を表さない。以下は、実例を組み合わせ、使用するために実例示的な活動及び一連の段階/動作を強調する。同じ又は等価な活動及び段階/動作は、しかしながら、他の実例によっても達成され得る。
【0033】
図1は、実例として、本発明のシステム100の異なる実施例が実装され得る、本発明によるシステム100の構成要素について説明する。
図1A中の実例は、回収ボイラ110と、サンプラ120と、サンプラ120を用いて回収ボイラ110から採取された煙道ガス中に含まれる粒子のサンプル(又は手短に言えば、煙道ガス・サンプル)からデジタル・フレームを生成するための手段130と、回収ボイラの煙道ガスから1以上の比率粒子群シェアを決定するためのコンピュータ・デバイス200と、さらなる処理機器140とを表す。
【0034】
回収ボイラ110は、化学物質回収手段として、及びパルプ工場において高圧蒸気及びエネルギーを生成するために好適なユニットとして働く二重の能力をもつ、黒液を燃焼させるように設計された蒸気ボイラである。回収ボイラ110について、
図1Bに関連してより詳細に説明する。
【0035】
サンプラ120は、例えば、サンプリング・バー又はロッドを有し得る。一実例では、サンプラ120は、平坦な方形ヘッドをもつサンプリング・バーを有する。平坦なサンプリング表面の利点は、形状によって引き起こされるひずみがその撮影画像の縁部に現れないことである。ひずみをもつ画像は、例えば、縁部においてより暗くなり得、そのことは、煙道ガスの比率粒子群シェアの計算において使用される領域値に影響を及ぼすであろう。2つ又はそれ以上の平坦なサンプリング表面があり得る。サンプリング表面は、例えば、それの先端の方形バーの異なる側部に形成され得る。表面が垂直方向に対称に位置する場合、異なる量のキャリーオーバーが異なる側部の表面上に蓄積されるので、煙道ガス流中の横方向変動が観測され得る。しかしながら、比率粒子群シェアは通常同じままであるが、より多くのサンプリング表面がある場合、比率シェアの計算もより正確になる。一実例では、サンプラ120は、およそブルノーズ(bullnose)の高さで、すなわち過熱器の下端部の下方のハッチを介して煙道ガス流中に挿入され、その場合、測定は、伝熱セクション115中のキャリーオーバー粒子分布を最もよく表す(
図1B)。
【0036】
サンプリングの後、サンプラ120は撮像手段130(例えば、サンプリング・ステーション)に取り込まれ、そこでサンプラ120の画像が撮影される。
【0037】
一実例では、サンプラ120は手動で操作される。別の実例では、サンプラ120は、例えば、ロボット又はマニピュレータを使用して自動化される。一実例では、イン/アウトの動き、撮影、及び/又はサンプラ120の清浄化は自動化され、その場合、それは回収ボイラ110の能動的調整のために使用され得る。
【0038】
デジタル・フレームを生成するための手段130は、例えば、カメラと、写真ブースと、サンプラ120を置くためのスタンドとをもつサンプリング・ステーションを有し得る。カメラは、例えば、デジタル・カメラ又はアナログ・カメラを有し得る。アナログ・カメラの場合、手段130は、得られたアナログ画像をデジタル化するための機器を有し得る。一実例では、カメラは、スマート・フォン、タブレットなどである。一実例では、カメラは産業用カメラである。一実例では、カメラは可視領域カラー・カメラである。
【0039】
一実例では、サンプラ120は、煙道ガス粒子を有するサンプラ120のヘッドが常に同じ位置において(例えば水平方向に)写真ブースに入るように、サンプリング・ステーション中のスタンドに置かれる。一実例では、サンプラ120は、サンプラ120のサンプルが画像の中央に、好ましくは、サンプラ120の長手方向における所定の位置にあるように撮影される。
【0040】
一実例では、写真ブースは照明される。サンプリング及び撮影の条件は、最良の相関を達成するために標準化されるべきである。
【0041】
回収ボイラの煙道ガスから1以上の比率粒子群シェアを決定するために使用されるコンピュータ・デバイス200について、
図2の説明においてより詳細に説明される。
【0042】
さらなる処理機器140は、例えば、ワークステーション・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、データベース、及び/又はデータ・リンクなどを有し得、それを用いて、煙道ガスの特定の比率粒子群シェアを利用して、異なるさらなる処理動作(例えば、左右バランスを評価すること、又は加熱面のファウリング/腐食しやすさを評価すること、又は掃引必要性を評価することなど、回収ボイラ炉の動作の品質を評価すること)が実行又は起動され得る。一実例では、撮影された画像及び解析データは、例えば、処理制御システム中で、好適なユーザ・インターフェースを用いて及び/又は好適なデータベースによって処理され得る。煙道ガスの比率粒子群シェアの決定結果は、例えば、燃焼制御のための及び/又はボイラ掃引制御のための測定データとして使用され得る。
【0043】
図1Bは、本発明による回収ボイラ110を概略的に説明する図である。
図1Bは、とりわけ、矩形ベース111と、4つの壁112
1~112
4(それらのうち、
図1Bは後壁112
1及び前壁112
2を表す)と、炉113と、ブルノーズ114と、伝熱セクション115とを有する、回収ボイラ110を表す。炉113の底部セクションは空気孔116及びスメルト・スパウト(smelt spout)117を備えている。伝熱セクション115は、例えば、エコノマイザ(economiser)115Aと、冷却配管(cooling piping)115Bと、過熱器115Cとを有する。
【0044】
さらに、
図1Bは、本発明によるサンプラ120、サンプラ120の光マニピュレータ(optical manipulator)121、撮像手段130、及びサンプラ120の随意の洗浄ステーション160を表す。
【0045】
さらに、
図1Bは、黒液から過剰な水を蒸発させる蒸発器151と、回収ボイラ110中に蒸発後の黒液を噴霧するために使用されるライ(lye)噴霧器152とについて説明する。言い換えれば、ライ噴霧器152、好適な液滴サイズ及び正確な整合によって、目的は、回収ボイラ110の底部111に黒液の所望のパイルを形成することである。
【0046】
回収ボイラ110の炉113の壁112
1~112
4は、一般に、配管が連続した冷却配管を形成するように互いに気密的に接続されている、垂直配管(
図1Bには表されていない)から製造されている。配管の内側を流れる水は、熱エネルギーが解放されることによって炉113中で蒸発させられ、最終的に、サイクル中に形成された飽和した水と蒸気の混合物が蒸気ドラム(
図1Bには表されていない)に導かれ、そこで蒸気と水とが分離され、蒸気は過熱のために過熱器115Cに導かれる。動作中、回収ボイラ110の底部111は化学物質スメルトの層で完全に覆われ、目的は、ボイラの底部に無機物質とコークスとからなる制御されたパイルを形成することである。黒液の有機物質の最後の燃焼及び化学物質の還元は、酸素が少ない条件下でパイル中で起こる。スメルト・スパウト117は、化学物質スメルトをボイラ底部111から分解タンク(
図1Bには表されていない)中に排出させるために使用される。
【0047】
燃焼用空気が回収ボイラ110中に供給されるために、回収ボイラ110は、通常、それぞれの空気孔116をもつ、1次、2次及び3次の、3つの空気レベルを有する。それらはすべて、黒液の燃焼のために必要とされる燃焼用空気供給にそれら自体の影響を及ぼす。
図1Bにそれると、前壁112
1及び後壁112
2は側壁112
3~112
4よりも広いので、スメルト・スパウト及び空気孔は、一般に、前壁112
1及び/又は後壁112
2上に位置する。
【0048】
過熱器115Cは、通常、過熱器115Cを直接の熱放射から保護し、過熱器115Cへの煙道ガス流を制御する突出部114、すなわちブルノーズによって保護された回収ボイラ110の上部セクション中にある。過熱器115Cの後に、燃焼中に生成された煙道ガスは冷却配管115B中に導かれ、そこで煙道ガスの熱が蒸気生成のために使用される。通常、煙道ガスは大量の灰を含んでおり、灰は、定期的な蒸気掃引によって伝熱面から除去されることが試みられる。煙道ガス・ダクトの灰ホッパー(ash hopper)から及び電気集塵装置(electrostatic precipitator)から抽出されたこの灰は回収され、回収された灰は、黒液と混合され、化学物質の回収のためにボイラ炉113中に噴霧される。
【0049】
回収ボイラ110は、通常、垂直煙道ガス・ダクト中に位置する2つの給水予熱器、すなわちエコノマイザ115Aを備えている。給水予熱器115Aは、給水を、それが冷却配管115B中に供給される前に加熱する。予熱器115Aは、回収ボイラ110の効率を改善し、煙道ガスが給水温度近くまで冷却されることを可能にする。煙道ガス流中のエコノマイザ115Aはまた、それらを開いておくために蒸気掃引で定期的に掃引されなければならない。
【0050】
図2は、一実施例によるコンピュータ・デバイス200のブロック図である。
【0051】
コンピュータ・デバイス200は、少なくとも1つのプロセッサ202と、コンピュータ・プログラム・コード205を含んでいる少なくとも1つのメモリ204とを有する。コンピュータ・デバイス200はまた、入出力モジュール206、及び/又は通信インターフェース208を有し得る。
【0052】
図2中のコンピュータ・デバイス200は、ただ1つのプロセッサ202を含むものとして提示されているが、コンピュータ・デバイス200はいくつかのプロセッサを含み得る。一実施例では、コマンド205はメモリ204に保存され得る(例えば、オペレーティング・システム及び/又は異なるアプリケーション)。さらに、プロセッサ202は、保存されたコマンドを実行するために使用され得る。一実施例では、プロセッサ202は、マルチコア・プロセッサ、シングルコア・プロセッサ、或いは1以上のマルチコア・プロセッサと1以上のシングルコア・プロセッサとの組合せとして実装され得る。プロセッサ202は、例えば、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、DSP(デジタル信号プロセッサ)、DSPをもつ又はもたない処理回路、又はASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、マイクロコントローラ・ユニット、ハードウェア・アクセラレータなどを含む様々な他の処理デバイスなど、1以上の異なる処理デバイスとして実装され得る。一実施例では、プロセッサ202は、ハードコーディングされた機能を実行するために残され得る。一実施例では、プロセッサ202はソフトウェア・コマンドのエグゼキュータ(executor)として実装されており、プロセッサ202は、コマンドが実行されたときに、この報告書に記述されたアルゴリズム及び/又は動作を実行するようにコマンドを用いて構成され得る。
【0053】
メモリ204は、1以上の揮発性メモリ・デバイス、1以上の不揮発性メモリ・デバイス、及び/又は1以上の揮発性メモリ・デバイスと1以上の不揮発性メモリ・デバイスとの組合せとして実装され得る。メモリ204は、例えば、PROM(プログラマブルROM)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュROM、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)など、半導体メモリとして実装され得る。
【0054】
入出力モジュール206は、入力及び/又は出力の編成を支援するように構成されている。入出力モジュール206は、プロセッサ202及びメモリ204と通信するように構成されている。入出力モジュール206の実例は、限定はしないが、入力インターフェース及び/又は出力インターフェースを含む。入力インターフェースの実例は、限定はしないが、キーボード、タッチ・スクリーン、マイクロフォンなどを含む。出力インターフェースの実例は、限定はしないが、スピーカーと、LEDディスプレイ、TFTディスプレイ、液晶ディスプレイ又はAMOLEDディスプレイなど、ディスプレイとを含む。
【0055】
通信インターフェース208は、コンピュータ・デバイス200が他のデバイスと通信することを可能にし得る。一実施例では、プロセッサ202、メモリ204、入出力モジュール206及び通信インターフェース208など、コンピュータ・デバイス200の異なる構成要素は、集中型回路210を介して互いに通信するように構成されている。集中型回路210は、マザーボードなど、プレス回路板を有し得る。
【0056】
本明細書で記述され、説明されたコンピュータ・デバイス200は、本発明の実施例から恩恵を受け得るデバイスの一実例にすぎず、それは本発明の保護回路を限定するものではない。コンピュータ・デバイス200は、
図2中に表されたものとは異なる数の構成要素を含み得ることに留意されたい。コンピュータ・デバイス200は、好適な通信リンクを通して通信するいくつかの物理ユニットに分割され得る。
【0057】
上述の1以上のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、コンピュータ・デバイス200に、考慮中の領域を有するデジタル・フレームを、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて読み取らせるように構成されている。考慮中のこの領域は、所定の時間期間の間、回収ボイラ110の煙道ガス流中に保持された、サンプラ120の表面の少なくとも一部を表す。一実例では、この所定の時間は最大1分である。別の実例では、この所定の時間は最大30秒である。一実施例では、コンピュータ・デバイス200は可読デジタル・フレームを受信する。別の実施例では、コンピュータ・デバイス200は可読デジタル・フレームを取り出す。一実例では、1以上のデジタル・フレームがデータベースに保存され、それからコンピュータ・デバイス200がそれらのデジタル・フレームを取り出す。そのようなデータベースは、コンピュータ・デバイス200に一体化され得るか、又はコンピュータ・デバイス200から分離され、好適な通信リンクを用いてそれに接続され得る。一実例では、考慮中の領域は、デジタル・フレームの1以上の縁部領域がクロップされているように、デジタル・フレームの中央の領域を有する。このクロッピングは、例えば、煙道ガス粒子サンプルの周囲を含む画像領域をデジタル・フレームから除去するために使用され得る。言い換えれば、考慮中の領域の仕様では、デジタル・フレームは、煙道ガスの比率粒子群シェアの計算をゆがめ得る不要な領域を除外するようにクロップされる。デジタル・フレームの縁部領域は、例えば、煙道ガス粒子サンプルの領域がそれらの縁部領域まで伸びないときには不要である。一実施例では、考慮中の領域は矩形である。
【0058】
上述の1以上のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、コンピュータ・デバイス200に、回収ボイラ110の煙道ガス中に含まれる少なくとも1つの粒子群の所定の色特性に一致する1以上の粒子群領域を、考慮中の領域から、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて識別させるように、構成されている。一実例では、粒子群は、以下、亜硫酸ナトリウム粒子(亜硫酸ナトリウム、Na2SO3)及び不燃性黒液の粒子のうちの1つを有する。一実例では、亜硫酸ナトリウム粒子に対応する色特性は、赤みを帯びた色合いを有し、不燃性黒液粒子の対応する色特性は黒い色合いを有する。
【0059】
他のキャリーオーバー粒子は主に明るい灰色であり、背景材料からのそれらの識別はより不確実である。しかしながら、それらは、同様に識別され得、それら自体の粒子群領域として考慮に入れられ得る。この場合、亜硫酸ナトリウム粒子及び/又は非燃焼黒液の領域の比率は、粒子によって覆われる全領域のそれらの比率と比較され得、考慮中の領域の全領域とは比較されない。この場合、粒子によって覆われる全領域の比率はまた、考慮中の領域の全領域のうち計算され得る。これは、例えば、熱交換器表面上の層の成長率の推定を可能にする、従来技術Sootprobe(商標)を用いたキャリーオーバーの総量の相関を可能にする。
【0060】
サンプリングのための所定の時間が十分に長い、例えば25秒、或いは好ましくは30秒又はより長いとき、サンプラの表面は、通常、粒子によって実質的に全体にわたって覆われている。この場合、亜硫酸ナトリウム粒子及び/又は不燃性黒液粒子のみを識別し、それらの領域と、考慮中の領域の全領域のそれらの比率とを決定することで十分である。
【0061】
一実例では、亜硫酸ナトリウム粒子に対応する色特性はYCbCr色空間のCr成分を有し、不燃性黒液粒子の対応する色特性はYCbCr色空間のY成分を有する。YCbCrは、1つのルーマ成分と2つのクロマ成分とを組み合わせることによって色が作成される、色空間/カラー・モデルである。ルーマ(Y成分)は、ガンマ補正をもつ画像の輝度情報(ルミナンス)であり、Cb成分は黄~青変動を表し、Cr成分は緑~赤変動を表す。
【0062】
上述の1以上のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、コンピュータ・デバイス200に、識別された1以上の粒子群領域の結合領域(joint area)を、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて決定させるように構成されている。
【0063】
上述の1以上のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、コンピュータ・デバイス200に、所定の全領域からの決定された結合領域のシェアを、前記粒子群の比率粒子群シェアとして、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて決定させるように構成されている。一実例では、所定の全領域は考慮中の領域の全領域を有する。
【0064】
一実施例では、少なくとも2つの当該の粒子群がある。この場合、これらの少なくとも2つの粒子群について、粒子群領域の識別と、結合領域の決定と、全領域からの結合領域の決定とが別個に実行される。この実施例では、所定の全領域は、考慮中の領域の全領域か、又は前記少なくとも2つの異なる粒子群の結合領域の全領域かのいずれかを有し得る。
【0065】
以下の実例では、煙道ガスは、亜硫酸ナトリウム粒子(赤みを帯びた色合い)、不燃性黒液粒子(黒い色合い)、及び他の粒子(例えば硫酸ナトリウム粒子、すなわち灰、灰色の色合い)の、3つの粒子群を含む。
【0066】
第1の実例では、亜硫酸ナトリウム粒子のみが識別される。すべての亜硫酸ナトリウム粒子領域、すなわち赤みを帯びた色合いの領域が考慮中の領域から識別される。次いで、すべての識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域が結合領域として決定される。この実例では、全領域は考慮中の領域の全領域である。最後に、考慮中の領域の全領域を考えて、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域の比率が決定され、このようにして得られた値が亜硫酸ナトリウム粒子の比率シェアと考えられる。
【0067】
第2の実例では、不燃性黒液粒子のみが識別される。すべての不燃性黒液粒子領域、すなわち黒い色合いの領域が考慮中の領域から識別される。次いで、すべての識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域が結合領域として決定される。この実例では、全領域は考慮中の領域の全領域である。最後に、考慮中の領域の全領域を考えて、識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域の比率が決定され、このようにして得られた値が不燃性黒液粒子の比率シェアと考えられる。
【0068】
第3の実例では、亜硫酸ナトリウム粒子と不燃性黒液粒子の両方が識別される。すべての亜硫酸ナトリウム粒子領域、すなわち赤みを帯びた色合いの領域と、すべての不燃性黒液粒子領域、すなわち黒い色合いの領域とが考慮中の領域から識別される。次いで、すべての識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域と、すべての識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域との合計が結合領域として決定される。この実例では、全領域は考慮中の領域の全領域である。最後に、考慮中の領域の全領域を考えて、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域と、識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域との合計の比率が決定され、このようにして得られた値が亜硫酸ナトリウム粒子と不燃性黒液粒子との合計の比率シェアと考えられる。
【0069】
第4の実例では、亜硫酸ナトリウム粒子と不燃性黒液粒子の両方が識別される。すべての亜硫酸ナトリウム粒子領域、すなわち赤みを帯びた色合いの領域と、すべての不燃性黒液粒子領域、すなわち黒い色合いの領域とが考慮中の領域から識別される。次いで、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域のみの結合領域が結合領域として決定される。この実例では、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域と、すべての識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域との合計が全領域である。最後に、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域と、識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域との合計に対する、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域の比率が決定され、このようにして得られた値が亜硫酸ナトリウム粒子の比率シェアと考えられる。
【0070】
第5の実例では、亜硫酸ナトリウム粒子と不燃性黒液粒子の両方が識別される。すべての亜硫酸ナトリウム粒子領域、すなわち赤みを帯びた色合いの領域と、すべての不燃性黒液粒子領域、すなわち黒い色合いの領域とが考慮中の領域から識別される。次いで、識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域のみの結合領域が結合領域として決定される。この実例では、全領域は、識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域である。最後に、識別された不燃性黒液粒子領域の結合領域に対する識別された亜硫酸ナトリウム粒子領域の結合領域の比率が決定され、このようにして得られた値が亜硫酸ナトリウム粒子の比率シェアと考えられる。
【0071】
本発明は、上記で説明した5つの実例のみに関することに限定されず、多くの他の変形が可能である。
【0072】
一実施例では、上述の1以上のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、コンピュータ・デバイス200に、粒子群領域の少なくとも1つの可能性ある(存在し得る)重複領域が前記粒子群領域のうちの1つに属することを、前記可能性ある重複領域の暗さに基づいて、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて決定させるように構成されている。
【0073】
一実施例では、粒子群領域の識別は、対応する色特性のしきい値処理を有する。本テキストでは、しきい値処理は、それの特定の値が特定の限界値を超える、考慮中の領域のピクセルが、第1のバイナリ値(例えば「1」)を割り当てられ、それの値がこの限界値よりも小さい、考慮中の領域のピクセルが、第2のバイナリ値(例えば「0」)を割り当てられる演算を指す。ピクセル値が限界値に等しい場合、それは、適切と見られるように第1のバイナリ値か又は第2のバイナリ値を割り当てられ得る。したがって、しきい値処理の結果はバイナリ画像である。
【0074】
一実施例では、粒子群の決定された比率粒子群シェアは、例えば燃焼を制御するために及び/又はボイラ掃引を制御するために、回収ボイラ110を制御するために使用される。一実例では、回収ボイラ110の制御システムは、各決定された相対粒子群シェアの情報を与えられる。一実例では、回収ボイラ110の空気及び/又は燃料供給が、決定された比率粒子群シェアのうちの少なくとも1つに従って調整される。
【0075】
回収ボイラ110の制御の変更を必要とする比率粒子群シェアは、ボイラ、負荷及び/又は燃料特異的に変動する。一般に、蒸気が均等に及び十分に生成され、化学サイクルが妨げられていない場合、調整に対する変更は行われない。キャリーオーバーの増加は、燃焼処理のバランス(蒸気及び化学物質)を崩す、炉反応及びイベントの変動による。キャリーオーバーの減少は、それ自体では、通常、調整措置を引き起こさない。一実例では、概略の作用限界は、不燃性黒液粒子については約10%及び亜硫酸ナトリウム粒子については約15%、及びそれらの合計シェアについては約20%である。
【0076】
一実施例では、上述の1以上のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、コンピュータ・デバイス200に、例えば、全領域、亜硫酸ナトリウム粒子の結合領域、及び不燃性黒液粒子の結合領域から推定することによって、硫酸ナトリウム粒子(硫酸ナトリウム、Na2SO4)の比率シェアを、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて決定させるように構成されている。
【0077】
一実施例では、デジタル・フレームは、フレームによって表された煙道ガス粒子サンプルのサンプリング時間(例えばタイム・スタンプ)を少なくとも有するサンプリング情報を含む。タイム・スタンプなどの使用は、例えば、所望の時間期間について閲覧され得る、タイム・スタンプされたトレンドの作成を可能にする。
【0078】
一実施例では、結合領域が所定の限界値を上回るか又は下回る場合、所定の時間が変更され得る。
【0079】
以下で本発明の1つの適用例についてより詳細に説明する。本適用例中のいくつかのステップは随意である。
【0080】
最初に、考慮の所定の値領域は、亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子についてのYCbCrカラー・モデルの成分、並びに所定の最小及び最大粒子サイズについて読み取られ得る。識別されるべき粒子についての最小及び最大サイズは、ピクセル単位で決定され得る。サイズに基づいて、識別された粒子が識別を信頼できるものにするサイズであるかどうかの選択が行われ得る。
【0081】
煙道ガス粒子サンプルの画像が撮影される。
図4Aは、そのような煙道ガス粒子サンプルの撮影された画像410の実例を表す。画像は、幅→高さとなるように水平位置に回転させられ得、及び/又は画像は所定の幅(元のアスペクト比)にスケーリングされ得る。
【0082】
次いで、考慮されるべき領域が選択される。
【0083】
この後、例えば、RGB(赤、緑、青)カラー・モデルからYCbCrカラー・モデルへの変換が可能である。カラー・モデル変換RGB→YCbCrは、適切なカラー・モデル変換機能を用いて行われ得る。YCbCrカラー・モデルを使用することの利点は、色合いに基づいて、赤い粒子及び赤い色合いの粒子が青灰色領域から区別され得ることである。
【0084】
ブランクの結果画像は、識別されるべき亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子のために作成され得る。言い換えれば、しきい値処理演算の結果画像、すなわちバイナリ・マスクは最初は空にフォーマットされる。
【0085】
亜硫酸ナトリウム粒子は、Y(ルミナンス)成分及びCb(黄~青)成分が固定値領域を有するようにYCbCrカラー・モデルの成分をしきい値処理することによって画像から選択され得、Cr(緑~赤)成分値領域は、各ステップの段階において、しきい値処理から得られたマスクが考慮されるように、値領域の限界内で段階的に狭くされ、亜硫酸ナトリウム粒子について所定の領域条件(しきい値領域のサイズは最小サイズと最大サイズとの間になるものとする)を満たす領域は、結果画像のために選択される。
図5Aは、本発明による、考慮中の領域中の亜硫酸ナトリウム粒子に対応する、しきい値処理によって得られるバイナリ・マスク(510)について説明する。
図5Aでは、白は1であり、黒は0である、すなわち、白は、亜硫酸ナトリウム粒子に対するヒットとして識別される領域を指し、黒は他の領域を指す。
【0086】
不燃性黒液粒子は、Cb成分及びCr成分が固定値領域を有するようにYCbCrカラー・モデルの成分をしきい値処理することによって画像から選択され得、Y成分値領域は、各ステップの段階において、しきい値処理から得られたマスクが考慮されるように、値領域の限界内で段階的に狭くされ、不燃性黒液粒子について所定の領域条件(しきい値領域のサイズは最小サイズと最大サイズとの間になるものとする)を満たす領域は、結果画像のために選択される。
図5Bは、本発明による、考慮中の領域中の不燃性黒液粒子に対応する、しきい値処理によって得られるバイナリ・マスク520について説明する。
図5Bでは、白は1であり、黒は0である、すなわち、白は、不燃性黒液粒子に対するヒットとして識別される領域を指し、黒は他の領域を指す。
【0087】
言い換えれば、解析されるべき個々の画像は、しきい値処理演算に基づく選択にかけられる、3成分(Y、Cb、Cr)読取り行列として処理され得る。しきい値処理では、選択は、異なる画像成分についてのしきい値を設定することによって行われる。しきい値処理演算は、結果として、バイナリ画像、すなわち、例えば、しきい値を満たす領域が値真(白)でマーキングされ、他の領域が値偽(黒)でマーキングされた、マスク(1成分行列)をもたらす。解析されるべき各画像について、画像成分のしきい値処理は、異なる限界値を用いて数回実行され得、しきい値処理演算の結果画像、すなわちバイナリ・マスクは、1つの結合結果画像に追加され得、結果は、すべてのしきい値処理演算の結果を含む単一の結果画像である。
図4Bは、考慮されるべき領域と、考慮中の領域の内側で識別された亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子とを表す、本発明による、解析されたデジタル・フレーム420について説明する。
図4Bでは、考慮中の領域は白い矩形でマーキングされている。
【0088】
生成されたマスク画像の後検査は、マスク画像が交差を表す場合に、亜硫酸ナトリウム粒子のマスク画像と不燃性黒液粒子のマスク画像との交差における低強度領域が不燃性黒液粒子の成分としてマーキングされるように実行される。言い換えれば、重複するヒットにおいて、すなわちマスクの可能性ある交差において、重複領域の暗さは、交差が、限界値として設定された値よりも暗い場合は、それが不燃性黒液粒子の領域としてマーキングされ、他の場合は、それが亜硫酸ナトリウム粒子の領域としてマーキングされるように考慮される。
【0089】
次いで、考慮中の領域中の領域パーセンテージ、すなわち亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子のマスク画像が考慮中の領域のパーセンテージでどのくらいを包含するかが計算される。さらに、硫酸ナトリウム粒子、すなわち灰によって包含される領域は、以下のように計算され得る。時間期間が完全な包含をもたらすのに十分長くなっている場合、100-(硫酸ナトリウム粒子領域の領域パーセンテージ+不燃性黒液粒子領域の領域パーセンテージ)%。
【0090】
色特性の識別は、領域の、2つの異なる粒子群領域への識別をもたらし得る。好ましくは、パーセンテージを計算するとき、領域パーセンテージの信頼できる計算を可能にするために、亜硫酸ナトリウム粒子及び不燃性黒液粒子の得られた画像マスクの起こり得る重複が考慮に入れられる。重複領域は、例えば、亜硫酸ナトリウム粒子マスク画像と不燃性黒液粒子マスク画像との交差において、例えば、指定されたしきい値よりも暗い領域であって、それらの強度値に関して平均的により暗い、亜硫酸ナトリウム粒子マスク中の領域が、不燃性黒液粒子のマスク画像中で選択され、他の交差領域は、亜硫酸ナトリウム粒子のマスク画像中に残されるように、処理される。
【0091】
図3は、実例示的な実施例による、回収ボイラの煙道ガスから1以上の比率粒子群シェアを決定するための方法の実例示的なフロー・チャート300を表す。
【0092】
演算301では、所定の時間期間の間、回収ボイラの煙道ガス流中に保持されたサンプラの表面の少なくとも一部を表す、考慮中の領域を有するデジタル・フレームを読み取るために、プロセッサが使用される。
【0093】
演算302では、回収ボイラの煙道ガス中に含まれる少なくとも1つの粒子群の所定の色特性に一致する1以上の粒子群領域を考慮中の領域から識別するために、プロセッサが使用される。
【0094】
随意の演算303では、前記粒子群領域のうちの1つに属する粒子群領域の少なくとも1つの可能性ある重複領域を、前記可能性ある重複領域の暗さに基づいて決定するために、プロセッサが使用される。
【0095】
演算304では、識別された1以上の粒子群領域の結合領域を決定するために、プロセッサが使用される。
【0096】
演算305では、決定された結合領域のシェアを前記粒子群の比率粒子群シェアとして所定の全領域から決定するために、プロセッサが使用される。
【0097】
本方法300は、
図2のデバイス200を用いて実行され得る。本方法300の追加の特徴は、デバイス200の演算及びパラメータの直接の結果であり、したがってここでは繰り返さない。本方法300は、1以上のコンピュータ・プログラムを用いて実行され得る。
【0098】
実例示的な実施例は、例えば、実例示的な実施例の処理を実行することが可能である任意の好適なコンピュータ・デバイスなどを含み得る。実例示的な実施例のデバイス及びサブシステムは、任意の好適なプロトコルを使用して互いに通信することができ、それらは、1以上のプログラムされたコンピュータ・システム又はデバイスを使用して実装され得る。
【0099】
インターネット接続、(音声、モデムなど)任意の好適な形態での電気通信、無線通信媒体などを含む、1以上の接続機構が、実例示的な実施例とともに使用され得る。通信ネットワーク又は接続は、例えば、1以上の衛星通信ネットワーク、無線通信ネットワーク、セルラー通信ネットワーク、3G通信ネットワーク、4G通信ネットワーク、5G通信ネットワーク、一般的な交換電話網、パッケージ・データ・ネットワーク、インターネット、イントラネット、又はこれらの組合せを含み得る。
【0100】
当業者が理解するように、実例示的な実施例を実装するために使用される特定の機器の多くの変形が可能であるので、実例示的な実施例は実例にすぎないことを理解されたい。例えば、実例示的な実施例の1以上の構成要素の機能はハードウェア及び/又はソフトウェアによって実装され得る。
【0101】
実例示的な実施例は、この報告書に記述された異なる処理に関する情報を保存することができる。この情報は、ハード・ディスク、光ディスク、磁気光ディスク、RAMメモリなど、1以上のメモリに保存され得る。本発明の実例示的な実施例を実装するために使用される情報は1以上のデータベースに保存され得る。データベースは、ここに記載された1以上のメモリ又は記憶媒体中に含まれるデータ構造(例えば、データ・レコード、テーブル、ボード、フィールド、グラフ、ツリー又はリスト)を使用して編成され得る。実例示的な実施例に関して、記載された処理は、実例示的な実施例のデバイス及びサブシステムの処理によって収集及び/又は生成されたデータを1以上のデータベースに保存するための適切なデータ構造を含み得る。
【0102】
実例示的な実施例は、当業者が理解するように、本発明の実例示的な実施例の教示に従ってプログラムされた、1以上の汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、DSPプロセッサ、マイクロコントローラなどを使用して、全体的に又は部分的に実装され得る。平均的なプログラマーは、ソフトウェア分野の専門家が理解するように、実例示的な実施例の教示に基づいて適切なソフトウェアを容易に生成することができる。さらに、実例示的な実施例は、エレクトロニクス分野の専門家が理解するように、特定用途向け集積回路を使用して、又は適切なネットワークの従来の構成要素回路を組み合わせることによって実装され得る。したがって、実例示的な実施例は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。
【0103】
任意のコンピュータ可読媒体又はそれらの組合せに保存されると、本発明の実例示的な実施例は、実例示的な実施例の構成要素を制御すること、実例示的な実施例の構成要素を動作させること、実例示的な実施例の構成要素と人間のユーザとの間の対話を可能にすることなどのためのソフトウェアを有し得る。そのようなソフトウェアは、限定はしないが、デバイス・ドライバ、ファームウェア、オペレーティング・システム、ソフトウェア開発ツール、アプリケーション・ソフトウェアなどを含み得る。これらのコンピュータ可読媒体は、本発明の実装における処理を全体的に又は(処理が分散される場合は)部分的に実行するための、本発明の実施例のコンピュータ・プログラム製品を含み得る。本発明の実例示的な実施例のコンピュータ・デバイスは、限定はしないが、コマンド・スクリプト、解釈可能なプログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ、Java(登録商標)クラス及びアプレット、完全に実行可能プログラムなどを含む、任意の好適な解釈可能な又は実行可能なコード機構を含み得る。さらに、本発明の実例示的な実施例の処理の一部は、性能、信頼性、コストなどを改善するために分散され得る。
【0104】
上述のように、実例示的な実施例の構成要素は、本発明の教示に従ってプログラムされたコマンド、並びにデータ構造、テーブル、データ・レコード、及び/又はこの報告書に記述された他のデータを記憶するためのコンピュータ可読媒体又はメモリを含み得る。コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されるべきコマンドを編成することに関与する任意の好適な媒体を有し得る。そのような媒体は、限定はしないが、不揮発性又は永久記憶媒体、揮発性又は非永久記憶媒体などを含む、いくつかの形態を有し得る。不揮発性記憶媒体は光ディスク又は磁気ディスクなどを有し得る。揮発性記憶媒体はダイナミック・メモリなどを有し得る。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ドライブ、又はコンピュータによって読み取られ得る任意の他の媒体を含み得る。
【0105】
本発明は、上記で説明した適用例のみに関係するように限定されず、特許請求の範囲によって指定された本発明のアイデアの構想内で、多くの変形が可能である。