(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】複数の遠位切断凹凸構造を含む粥腫切除装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20241210BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61M25/00 530
A61M25/00 540
(21)【出願番号】P 2021575037
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2020066184
(87)【国際公開番号】W WO2020254181
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】フィリップス イメージ ガイディッド セラピー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ロー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】エスクデロ パウル キュー
(72)【発明者】
【氏名】ポンボ オーガスト クリストファー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527973(JP,A)
【文献】特開2000-245741(JP,A)
【文献】特表2010-532211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作されるハンドル、
外側シースと、該外側シース内に担持されて該外側シースに対し回転可能な駆動シャフトと、を有するカテーテル、及び
前記外側シースに結合されると共に該外側シースに対して遠位方向に延びるカッタアセンブリ
を有する粥腫切除装置であって、前記カッタアセンブリが、
前記外側シースに結合されると共に該外側シースから遠位方向に延びるハウジング、
前記ハウジングにより回転可能に担持され、前記駆動シャフトに結合されると共に該駆動シャフトから遠位方向に延びる近位側カッティングエレメントであって、少なくとも1つの切断凹凸構造を備えるカッティングステム及び該カッティングステムに結合された少なくとも1つの切刃を有する、近位側カッティングエレメント、及び
前記カッティングステムにより担持されて前記ハウジングに対し前記近位側カッティングエレメントと共に回転可能であり、
複数の切刃を含む遠位側カッティングエレメント
を有
し、
前記少なくとも1つの切断凹凸構造が、前記遠位側カッティングエレメントが含む複数の切刃の間に配置される、粥腫切除装置。
【請求項2】
前記カッティングステムは前縁を含み、前記少なくとも1つの切断凹凸構造が該前縁から近位方向に延びる、請求項1に記載の粥腫切除装置。
【請求項3】
前記近位側カッティングエレメントは前記ハウジングに対して回転軸の周りで回転可能であり、前記少なくとも1つの切断凹凸構造が前記回転軸に実質的に平行な方向に延びる、請求項1に記載の粥腫切除装置。
【請求項4】
前記カッティングステムが複数の切断凹凸構造を有する、請求項1に記載の粥腫切除装置。
【請求項5】
前記ハウジングが少なくとも1つの切刃を有する遠端部分を含む、請求項1に記載の粥腫切除装置。
【請求項6】
ユーザにより操作されるハンドル、
外側シースと、該外側シース内に担持されて該外側シースに対し回転可能な駆動シャフトと、を有するカテーテル、及び
前記外側シースに結合されると共に該外側シースに対して遠位方向に延びるカッタアセンブリ
を有する粥腫切除装置であって、前記カッタアセンブリが、
前記外側シースに結合されると共に該外側シースから遠位方向に延びるハウジング、及び
前記ハウジングにより回転可能に担持され、前記駆動シャフトに結合されると共に該駆動シャフトから遠位方向に延びる
近位側カッティングエレメントであって、少なくとも1つの切断溝を備えるカッティングステム及び該カッティングステムに結合された少なくとも1つの切刃を有する
近位側カッティングエレメント
、及び
前記カッティングステムにより担持されて前記ハウジングに対し前記近位側カッティングエレメントと共に回転可能であり、複数の切刃を含む遠位側カッティングエレメント
を有
し、
前記少なくとも1つの切断溝が、前記遠位側カッティングエレメントが含む複数の切刃の間に配置される、粥腫切除装置。
【請求項7】
前記カッティングステムは前縁を有し、前記少なくとも1つの切断溝が該前縁から近位方向に延びる、請求項
6に記載の粥腫切除装置。
【請求項8】
前記
近位側カッティングエレメントは前記ハウジングに対して回転軸の周りで回転可能であり、前記少なくとも1つの切断溝が前記回転軸に実質的に平行な方向に延びる、請求項
6に記載の粥腫切除装置。
【請求項9】
前記カッティングステムが複数の切断溝を有する、請求項
6に記載の粥腫切除装置。
【請求項10】
前記ハウジングが少なくとも1つの切刃を有する遠端部分を含む、請求項
6に記載の粥腫切除装置。
【請求項11】
前記カッティングステムがガイドワイヤを受け入れる内腔を含む、請求項
6に記載の粥腫切除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002] 本明細書に記載の装置及び方法は、広くは、血管又は他の身体部分からの閉塞性物質の除去等の、閉塞された体腔の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 末梢及び介入心臓病学は、冠状動脈疾患及び末梢血管疾患を含む種々の形態の心血管疾患の治療に関連する専門医学である。冠状動脈疾患及び末梢血管疾患は、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化症とも呼ばれる)による動脈の狭窄により生じ得る。冠状動脈疾患は、一般的に、心筋及び周囲の組織に血液を運ぶ心臓動脈の動脈に影響を及ぼす。末梢血管疾患とは、例えば脚に血液を運ぶ、心臓及び脳の外側にある血管系の種々の疾患を指す。
【0003】
[0004] アテローム性動脈硬化症は、一般的に、中型及び大型の動脈に影響を及ぼし、脂肪、コレステロール及びその他の物質が動脈壁に蓄積して、プラーク/病変と呼ばれる肉質の又は硬い/石灰化した構造を形成する場合に発生し得る。動脈壁内にプラークが形成されるにつれ、動脈は狭くなると共に柔軟性が低下し得、これにより、血液が流れるのを一層困難にさせ得る。末梢動脈においては、プラークは一般的に局在化されることはなく、動脈の軸に沿って10mm以上(場合により400mm以上)等の長さで延在し得る。
【0004】
[0005] プラークの破片が壊れて、罹患動脈を経て一層小さな血管に移動する可能性があり、これにより、幾つかの事例では斯かる血管を閉塞し、結果として組織の損傷又は組織の死滅(塞栓)を引き起こし得る。場合により、アテローム性動脈硬化症のプラークは、罹患した動脈の壁の脆弱化を伴い得、これは動脈瘤につながり得る。アテローム性動脈硬化症の合併症を軽減又は予防すべく、動脈からプラークを除去するために低侵襲手術を実行することができる。
【0005】
[0006] アテローム性動脈硬化症を治療するために、多数の介入的外科方式を使用できる。例えばバルーン血管形成術においては、医師が、折り畳まれた血管内バルーンカテーテルを狭窄した動脈内へと前進させ、バルーンを膨らませてプラークを浸軟させ及び/又は血管壁に向けて移動させることができる。成功裏の血管形成術は、当該動脈を再開させる助けとなり、血流の改善を可能にする。しばしば、バルーン血管形成術は、動脈の再狭窄を最小限に抑えるために、動脈内のステント又はスキャホールド(足場構造)の留置と組み合わせて実行される。しかしながら、バルーン血管形成術は動脈を伸展させると共に瘢痕組織形成を誘発する可能性がある一方、ステントの留置は動脈組織を切断し得ると共に瘢痕組織形成も誘発し得る。瘢痕組織の形成は、動脈の再狭窄につながり得る。幾つかの事例において、バルーン血管形成術は血管壁を裂く可能性もある。
【0006】
[0007] 粥腫切除術(アテローム切除術)は、アテローム性動脈硬化症の他の治療方法であり、動脈の壁からプラークを機械的に除去する(即ち、減量させる)ための血管内装置の使用を伴う。粥腫切除装置は、動脈の壁からのプラークの除去を可能にし、動脈壁を伸展、切断又は切開し、再狭窄につながる組織損傷を引き起こすリスクを低減することができる。幾つかの事例において、粥腫切除術は、瘢痕組織を除去することにより再狭窄を治療するために使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0008] 残念ながら、幾つかの粥腫切除装置は構造上の及び性能上の制限を受ける。例えば、幾つかの粥腫切除装置のカッティング(切断)エレメント又はアセンブリは、完全な閉塞を適切に処理することができない。したがって、改善された粥腫切除装置及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0009] 本開示は、ユーザにより操作されるよう構成されたハンドルを含む粥腫切除装置を提示する。該装置は、外側シース及び該外側シース内に担持されると共に該外側シースに対して回転可能な駆動シャフトを有するカテーテルを含む。カッタアセンブリが、上記外側シースに結合され、該外側シースに対して遠位方向に延びる。該カッタアセンブリは、上記外側シースに結合されると共に該外側シースから遠位方向に延びるハウジングを含む。近位側カッティング(切断)エレメントが上記ハウジングにより回転可能に担持され、該近位側カッティングエレメントは、前記駆動シャフトに結合されると共に該駆動シャフトから遠位方向に延びる。該近位側カッティングエレメントは、少なくとも1つの切断凹凸構造を有するカッティングステム(幹部材)及び該カッティングステムに結合された少なくとも1つの切刃(カッティングブレード)を含む。遠位側カッティングエレメントが、上記カッティングステムにより担持され、前記ハウジングに対して前記近位側カッティングエレメントと共に回転可能となっている。該遠位側カッティングエレメントは少なくとも1つの切刃を含む。
【0009】
[0010] 前段落による装置は、前記カッティングステムが前縁を含み、前記少なくとも1つの切断凹凸構造は該前縁から近位方向に延びる。
【0010】
[0011] 前段落の何れかによる装置は、前記近位側カッティングエレメントが前記ハウジングに対して回転軸の周りで回転可能であり、前記少なくとも1つの切断凹凸構造は該回転軸に実質的に平行な方向に延びる。
【0011】
[0012] 前段落の何れかによる装置は、前記カッティングステムが複数の切断凹凸構造を有する。
【0012】
[0013] 前段落の何れかによる装置は、前記遠位側カッティングエレメントが複数の切刃を含み、前記少なくとも1つの切断凹凸構造は、これら複数の切刃の間に配置される。
【0013】
[0014] 前段落の何れかによる装置は、前記ハウジングが少なくとも1つの切刃を有する遠端部分を含む。
【0014】
[0015] 本開示は、ユーザにより操作されるよう構成されたハンドルを含む粥腫切除装置も提示する。該装置は、外側シース及び該外側シース内に担持されると共に該外側シースに対して回転可能な駆動シャフトを有するカテーテルを含む。カッタアセンブリが、上記外側シースに結合されると共に該外側シースに対して遠位方向に延びる。該カッタアセンブリは、上記外側シースに結合されると共に該外側シースから遠位方向に延びるハウジングを含む。カッティングエレメントが該ハウジングにより回転可能に担持され、該カッティングエレメントは前記駆動シャフトに結合されると共に該駆動シャフトから遠位方向に延びる。該カッティングエレメントは、少なくとも1つの切断溝を有するカッティングステム及び該カッティングステムに結合された少なくとも1つの切刃を有する。
【0015】
[0016] 前段落による装置は、前記カッティングステムが前縁を有し、前記少なくとも1つの切断溝は該前縁から近位方向に延びる。
【0016】
[0017] 前段落の何れかによる装置は、前記カッティングエレメントが前記ハウジングに対して回転軸の周りで回転可能であり、前記少なくとも1つの切断溝は該回転軸に実質的に平行な方向に延びる。
【0017】
[0018] 前段落の何れかによる装置は、前記カッティングステムが複数の切断溝を有する。
【0018】
[0019] 前段落の何れかによる装置は、前記カッティングエレメントが近位側カッティングエレメントであり、更に、前記カッティングステムにより担持されると共に前記ハウジングに対して前記近位側カッティングエレメントと共に回転可能な遠位側カッティングエレメントを有し、該遠位側カッティングエレメントは少なくとも1つの切刃を含む。
【0019】
[0020] 前段落の何れかによる装置は、前記遠位側カッティングエレメントが複数の切刃を含み、前記少なくとも1つの切断溝は、これら複数の切刃の間に配置される。
【0020】
[0021] 前段落の何れかによる装置は、前記ハウジングが少なくとも1つの切刃を有する遠端部分を含む。
【0021】
[0022] 前段落の何れかによる装置は、前記カッティングステムがガイドワイヤを受け入れるように構成された内腔を含む。
【0022】
[0023] 本開示は、ユーザにより操作されるよう構成されたハンドルを含む粥腫切除装置も提示する。該装置は、更に、外側シース及び該外側シース内に担持されると共に該外側シースに対して回転可能な駆動シャフトを有するカテーテルを含む。カッタアセンブリが上記外側シースに結合されると共に該外側シースに対して遠位方向に延びる。該カッタアセンブリは、上記外側シースに結合されると共に該外側シースから遠位方向に延びるハウジングを含む。該ハウジングは、少なくとも1つの切刃を備えた遠端部分を有する。カッティングエレメントが該ハウジングにより回転可能に担持される。該カッティングエレメントは前記駆動シャフトに結合されると共に該駆動シャフトから遠位方向に延び、該カッティングエレメントは少なくとも1つの切刃を有する。
【0023】
[0024] 前段落による装置は、前記遠端部分が前縁を含み、前記少なくとも1つの切刃は該前縁に配置される。
【0024】
[0025] 前段落の何れかによる装置は、前記カッティングエレメントが、前記ハウジングの少なくとも1つの切刃に対して少なくとも部分的に近位側に配置される。
【0025】
[0026] 前段落の何れかによる装置は、前記外側シース及び前記ハウジングの遠端部分が前記ハンドルに回転可能に結合される。
【0026】
[0027] 「少なくとも1つ」、「1以上」及び「及び/又は」という語句は、作用が連接的及び離接的の両方である非制限的表現である。例えば、「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B又はCの少なくとも1つ」、「A、B及びCの1以上」、「A、B又はCの1以上」及び「A、B及び/又はC」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、又はA、B及びCの全てを意味する。上記表現におけるA、B及びCの各々が、X、Y及びZ等の要素、又はX1-Xn、Y1-Ym及びZ1-Z0等の要素のクラスを指す場合、該語句は、X、Y及びZから選択された単一の要素、同じクラスから選択された要素の組み合わせ(例えば、X1及びX2)、及び2つ以上のクラスから選択された要素の組み合わせ(例えば、Y1及びZ0)を指そうとするものである。
【0027】
[0028] 単数形の主体の用語は、該主体の1以上を指す。したがって、単数形、「1以上」及び「少なくとも1つ」なる用語は、本明細書においては入れ換え可能に使用され得る。また、「有する」、「含む」及び「持つ」という用語も入れ換え可能に使用できることに留意されたい。
[0029]
【0028】
本明細書で使用される「手段」という用語には、35U.S.C.セクション112(f)に従い可能な限り広い解釈が与えられるものとする。したがって、「手段」という用語を含む請求項は、本明細書に記載されている全ての構造、物質又は動作及びそれらの均等物の全てをカバーするものとする。更に、斯かる構造、物質又は動作及びそれらの均等物には、概要、図面の簡単な説明、詳細な説明、要約及び請求項自体に記載されている全てのものが含まれるものとする。
【0029】
[0030] 本開示を通して示される全ての最大数値制限は、代替として全ての低い側の数値制限を、あたかもそのような低い側の数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むと見なされるものと理解されたい。本開示を通して示される全ての最小の数値制限は、代替として全ての高い側の数値制限を、あたかもそのような高い側の数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むと見なされる。本開示を通して示される全ての数値範囲は、このような広い数値範囲内に入る全ての一層狭い数値範囲を、あたかもそのような一層狭い数値範囲が本明細書に全て明示的に記載されているかのように含むと見なされる。
【0030】
[0031] 上記は、本開示の幾つかの態様の理解をもたらすための該開示の簡略化された要約である。この要約は、本開示及びその種々の態様、実施形態及び構成の広範囲な概要でもなく網羅的な概要でもない。該要約は、本開示の重要又は重大な要素を特定することも、本開示の範囲を限定することも意図するものではなく、後に提示される一層詳細な説明の紹介として、本開示の選択された概念を簡略化された形で提示することを意図するものである。理解されるように、本開示の他の態様、実施形態及び構成は、上述された又は以下に詳細に説明されるフィーチャの1以上を、単独で又は組み合わせて可能となる。
【0031】
[0032] 添付の図面は、本開示の幾つかの例を説明するために、本明細書に組み込まれ、その一部を形成する。これらの図面は、説明と一緒になって、本開示の原理を説明する。図面は、本開示がどのようになされ、使用され得るかについての好ましい代替例を単に示すものであり、本開示を図示及び説明された例のみに限定するものとして解釈されるべきではない。更なるフィーチャ及び利点は、以下に参照される図面に示されるように、本開示の種々の態様、実施形態及び構成の以下の一層詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】[0033]
図1は、本開示の一実施形態による粥腫切除システムの側面図である。
【
図2A】[0034]
図2Aは、
図1の粥腫切除システムの遠位部分の詳細な側面図である。
【
図2B】[0035]
図2Bは、
図1の粥腫切除システムの遠位部分の詳細な斜視図である。
【
図2C】[0036]
図2Cは、
図2Aの粥腫切除システムの遠位部分の詳細な横断面図である。
【
図3A】[0037]
図3Aは、
図1の粥腫切除システムのカッティングエレメントの斜視図である。
【
図4】[0039]
図4は、本開示の一実施形態による粥腫切除装置の遠位部分の斜視図である。
【
図5】[0040]
図5は、
図4の遠位部分におけるハウジングの遠端部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0041] 当該図面は必ずしも実寸通りではないことを理解されたい。特定の事例において、本開示を理解するために必要ではない、又は他の詳細を認識し難くするような詳細は省略されている場合がある。勿論、本開示は必ずしも本明細書に示される特定の実施形態に限定されるものではないと理解されるべきである。
【0034】
[0042] 本開示の何れかの実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の記載で説明され又は以下の図面に図示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないと理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施され又は実行され得るものである。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定するものと見なされるべきではないと理解されるべきである。本明細書における「含む」、「有する」又は「持つ」及びそれらの変形の使用は、その後に記載される項目及びその同等物並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0035】
[0043] 本開示は、広くは、機械的粥腫(アテローム)切除術のための装置、システム及び方法に関するものである。
図1を参照すると、本明細書に記載の粥腫切除システムの例示的な実施形態が示されている。該粥腫切除システム100は、血管内粥腫切除装置102と、該粥腫切除装置102が展開され得るガイドワイヤ104とを含んでいる。幾つかの実施形態において、ガイドワイヤ104は、シリコンコーティングされ又は非コーティング(裸)であるか、そうでなければ、PTFEコーティングを含まない。本開示の幾つかの実施形態による粥腫切除システムはPTFEコーティングを含むガイドワイヤ104を有し、又は本開示の幾つかの実施形態による粥腫切除システムはガイドワイヤ104を有しない。
【0036】
[0044] 続いて
図1を参照すると、粥腫切除装置102は、一般的に、ハンドル106及びカテーテル108を含む。ハンドル106は粥腫切除術処置中にユーザ(例えば、医療専門家)により把持及び操作されるように構成される。カテーテル108は、ハンドル106に結合され、該ハンドル106に対して遠位方向に延びる。カテーテル108は、粥腫切除処置の間において被検者(例えば、患者)の血管構造内に、該血管構造からの閉塞性物質(例えば、プラーク)の除去を容易にするように配置されるよう構成される。幾つかの実施形態においては図示のように、カテーテル108の遠位部分110は、湾曲した形状又は構造を有している。幾つかの実施形態において、カテーテル108の遠位部分110は、通常は湾曲した構造を有し(「通常」とは、カテーテル108が、例えば血管壁との接触による如何なる外部接触力も受けていないものと理解される)、他の構造へと曲げられ得る。他の実施形態において、カテーテル108の遠位部分110は、通常は真っ直ぐな形状又は構造を有し、他の構造へと曲げられ得る。幾つかの実施形態において、カテーテル108は、粥腫切除処置中にカテーテル108の遠位部分110を適切に位置決め及び/又は「掃引」させることを容易にするために、ハンドル106に対してカテーテル108の回転軸112の周りで選択的に回転可能である。幾つかの実施形態においては図示のように、ハンドル106は、カテーテル108を該ハンドル106に対して選択的に回転させるための回転可能なノブ又はダイヤル114を担持している。カテーテル108は外側シース116を含み、該外側シース116は該シースから遠位方向に延在するカッタアセンブリ118に結合されている。該カッタアセンブリ118ついては、以下で更に詳細に説明する。
【0037】
[0045]
図2A~
図2Cは、他の構成要素の中でもとりわけ外側シース116及びカッタアセンブリ118を含むカテーテル108の遠位部分110を示す。カッタアセンブリ118は、外側シース116に結合すると共に該シースから遠位方向に延びる口輪(フェルール)200を含む。カッタアセンブリ118は、更に、フェルール200に結合すると共に該フェルールから遠位方向に延びるハウジング202を含む。ハウジング202はカッティングエレメントを回転可能に担持する。特に
図2B~
図2Cを参照すると、ハウジング202は、第1の、即ち遠位側のカッティングエレメント204及び第2の、即ち近位側のカッティングエレメント206を回転可能に担持する。ハウジング202に対する第1カッティングエレメント204及び第2カッティングエレメント206の回転は、これらカッティングエレメント204、206に閉塞性物質を切断させると共に該閉塞性物質をハウジング202内へと移送させる(「減量」とも呼ばれる過程)。
【0038】
[0046] 依然として
図2B~
図2Cを参照すると、第1カッティングエレメント204は、概して、第2カッティングエレメント206及びハウジング202から遠位方向に延びる。第1カッティングエレメント204は、ハウジング202に対して遠位方向に延びる1以上の切断フルート(切断溝)又は切刃(カッティングブレード)208を含む。幾つかの実施形態では図示されたように、第1カッティングエレメント204は2つの切刃208を含む。幾つかの実施形態では図示のように、切刃208は、第1カッティングエレメント204及び第2カッティングエレメント206の回転軸210に対して螺旋状に延びる。第1カッティングエレメント204は、第2カッティングエレメント206に結合するための中央開口212(
図2C参照)を含む。
【0039】
[0047] ここで
図2B~
図2C及び
図3A~
図3Bを参照すると、第2カッティングエレメント206は、概ねハウジング202内に配置され、幾つかの実施形態では図示されたようにハウジング202内に完全に配置され得ると共に、1以上の切断フルート又は切刃214を含む。幾つかの実施形態において、第2カッティングエレメント206は、第1カッティングエレメント204の2倍の数の切刃を有する。幾つかの実施形態では図示されたように、第2カッティングエレメント206は4つの切刃214を含む。幾つかの実施形態では図示されたように、切刃214は第1カッティングエレメント204及び第2カッティングエレメント206の回転軸210に対して螺旋状に延びる。
【0040】
[0048] 第2カッティングエレメント206も、概ね、第1カッティングエレメント204から近位側に配置されるが、該第2カッティングエレメント206は中央開口212に受け入れられるカッティングシャフト又はステム216を含む。該カッティングステム216は第1カッティングエレメント204に種々の方法で結合できる。例えば、カッティングステム216は溶接を介して第1カッティングエレメント204に結合できる。幾つかの実施形態では図示されたように、カッティングステム216は第1カッティングエレメント204に対して遠位方向に延びる。カッティングステム216はガイドワイヤ(他の場所に示される)を受け入れるための内側管腔218を含む。カッティングステム216は、閉塞性物質を当該粥腫切除システム100により捕捉及び除去されるべき小片に断片化するのを容易にする1以上の切断凹凸構造220も含む。幾つかの実施形態では図示されたように、カッティングステム216は4つの切除凹凸構造を含む。他の実施形態において、カッティングステム216は異なる数の切断凹凸構造220(例えば、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の切断凹凸構造220)を含む。幾つかの実施形態において、切断凹凸構造220は負の凹凸構造(例えば、図示されたようにカッティングステム216の表面に形成された溝(チャンネル)、又はカッティングステム216の表面に形成された窪み)である。幾つかの実施形態において、切断凹凸構造220は正の凹凸構造(例えば、カッティングステム216の表面から延びる隆起(稜)又は突起)である。幾つかの実施形態では図示されたように、切断凹凸構造220はカッティングステム216の先頭部222から近位方向に延びる。幾つかの実施形態では図示されたように、切断凹凸構造220は回転軸210に対し実質的に平行な方向(すなわち、平行±10度)に延びる。幾つかの実施形態において、切断凹凸構造220のうちの1以上は、回転軸210に対して実質的に平行な方向には延びない(例えば、切断凹凸構造220のうちの1以上は、回転軸210に対して螺旋状に延び得る)。幾つかの実施形態では図示されたように、切断凹凸構造220は、遠位側カッティングエレメント204の切刃208の間に配置される。
【0041】
[0049] 特に
図2Cを参照すると、粥腫切除装置102は、第1カッティングエレメント204及び第2カッティングエレメント206を原動力(例えば、ハンドル106により担持されたモータ;図示せず)に結合する回転可能な駆動シャフト224を更に含む。すなわち、該原動力は駆動シャフト224を回転させ、すると、該駆動シャフト224は第1カッティングエレメント204及び第2カッティングエレメント206を回転させて、閉塞性物質の切断及び該閉塞性物質のハウジング202内への搬送を容易にする。幾つかの実施形態において、カッタアセンブリ118は、真空吸引を使用せずに、切断された閉塞性物質を血液から捕捉する。他の実施形態においては、真空吸引が、切断された閉塞性物質の捕捉を補助し得る。
【0042】
[0050]
図2Cを引き続き参照すると、幾つかの実施形態において、粥腫切除装置102は、駆動シャフト224に結合されて該駆動シャフト224と共に回転する内部コンベヤ226も含む。閉塞性物質が第1カッティングエレメント204及び第2カッティングエレメント206によりカッタハウジング202内へと搬送されると、コンベヤ226は当該切断された閉塞性物質を、カテーテル108を介して近位方向に移動させ、被検者の体外に排出する。幾つかの実施形態において、この搬送は真空吸引補助を使用せずに生じ得る。他の実施形態においては、真空吸引が、切断された閉塞性物質の搬送を補助し得る。
【0043】
[0051]
図4は、本開示の別の例示的実施形態による粥腫切除装置のカテーテルの遠位部分400を示している。該カテーテルの遠位部分400は、例えば、上述した遠位部分110の代わりに使用できる。該カテーテルの遠位部分400は、前記遠位部分110と同じ又は類似したもの(例えば、第2カッティングエレメント206のステム216が1以上の切断凹凸構造220(前述した切断凹凸構造220の何れか等の、他の場所に示されたもの)を含み得る)とすることができ、又は前記遠位部分110とは異なるもの(例えば、第2カッティングエレメント206のステム216が、如何なる切断凹凸構造も有さない)とすることもできる。遠位部分400のハウジングは、
図5に別個に示される遠端部分402を含む。該遠端部分402は先頭側切断エッジ又は切刃404を含む。切刃404は受動的に又は能動的に使用することができる。切刃404は、有利にも、被検者の血管構造内における外側シース116の回転(例えば、ノブ114(
図1参照、原動力(図示せず))を介しての)及び/又はカテーテルの遠位部分400の屈曲に際して相対的に高い管腔利得(luminal gain)をもたらし得る。このような切刃404は、有利にも、特定のタイプの閉塞性物質(例えば、プラーク、より具体的には石灰化プラーク沈着物)又は種々のタイプの閉塞性物質を容易に効果的に減量させる。幾つかの実施形態においては図示されたように、切刃404は鋸歯状の輪郭を有する。他の実施形態において、切刃404は非鋸歯状の輪郭を有し得る。
【0044】
[0052] 上記記載は、図示及び説明の目的で提示された。上記は、本開示を本明細書に開示された形態又は複数の形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の概要において、本開示の種々のフィーチャは、本開示を合理化する目的で、1つ又は複数の態様、実施形態及び/又は構成にまとめられる。本開示の態様、実施形態及び/又は構成の特徴は、上述したもの以外の代替的態様、実施形態及び/又は構成に組み合わせることができる。この方法の開示は、請求項が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、後の請求項が反映するように、発明的側面は、単一の上述した開示された態様、実施形態及び/又は構成の全ての特徴よりも少ないものに存する。したがって、後の請求項は、この詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、そのままで、本開示の別個の好ましい実施形態として成り立つ。
【0045】
[0053] 更に、当該説明には1以上の態様、実施形態及び/又は構成並びに特定の変形及び修正の説明が含まれているが、他の変形、組み合わせ及び修正も、本開示を理解した後に、例えば当業者のスキル及び知識の範囲内であり得るように、本開示の範囲内である。請求項に記載されたものの代替の、入れ換え可能な及び/又は等価な構造、機能、範囲又はステップを含み、許可された範囲での代替の態様、実施形態及び/又は構成を含む権利を、そのような代替の、入れ換え可能な及び/又は等価な構造、機能、範囲又はステップが本明細書に開示されているか否かに拘わらず、且つ、如何なる特許性のある主題も公に供することを意図せずに、得ることを意図するものである。