(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電気接続箱の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20241210BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20241210BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20241210BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/06 C
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2022150398
(22)【出願日】2022-09-21
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良也
(72)【発明者】
【氏名】栗田 裕隆
(72)【発明者】
【氏名】金子 信崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 銀河
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-174211(JP,A)
【文献】特開2021-145523(JP,A)
【文献】特開2020-114059(JP,A)
【文献】特開2012-165592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
H05K 7/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の形状から選択される一の形状を有する第1バスバと、複数種類の形状から選択される一の形状を有する第2バスバと、前記第1バスバ及び前記第2バスバを収容するハウジングと、外部電源に繋がる端子が接続されることになる複数の入出力部と、を備える電気接続箱を製造する、電気接続箱の製造方法であって、
前記第1バスバ及び前記第2バスバは、
前記複数の前記入出力部のうちの一部が前記第1バスバに属し、前記複数の前記入出力部のうちの前記一部以外の残部が前記第2バスバに属する、第1形状と、
前記複数の前記入出力部のうちの他の一部が前記第1バスバに属し、前記複数の前記入出力部のうちの前記他の一部以外の残部が前記第2バスバに属する、第2形状と、
のうちの一方の形状を選択可能に構成され、
前記ハウジングは、
前記第1形状を有する前記第1バスバ及び前記第2バスバ、及び、前記第2形状を有する前記第1バスバ及び前記第2バスバ、を収容可能に構成され、
当該製造方法は、
前記電気接続箱の仕様に基づいて選択される前記第1形状及び前記第2形状の一方を有するように、前記第1バスバ及び前記第2バスバを構成する第1工程と、
前記第1工程にて構成された前記第1バスバ及び前記第2バスバを前記ハウジングに収容する第2工程と、を備える、
電気接続箱の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記第1工程にて、
前記第1形状が選択される場合、予め準備された基本形状を有する前記第1バスバ及び前記第2バスバが用いられ、
前記第2形状が選択される場合、前記基本形状を有する前記第1バスバの一部分が分離され、且つ、前記分離された一部分を補うように第1補助バスバが前記第2バスバに組み付けられる処理、及び、前記基本形状を有する前記第2バスバの一部分が分離され、且つ、前記分離された一部分を補うように第2補助バスバが前記第1バスバに組み付けられる処理、のうちの少なくとも一方の処理が行われる、
電気接続箱の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の製造方法において、
前記電気接続箱は、
電子部品が取り付けられることになる複数の部品取付部を、更に備え、
前記第1形状では、前記複数の前記部品取付部のうちの一部が前記第1バスバに属し、前記複数の前記部品取付部のうちの前記一部以外の残部が前記第2バスバに属し、
前記第2形状では、前記複数の前記部品取付部のうちの他の一部が前記第1バスバに属し、前記複数の前記部品取付部のうちの前記他の一部以外の残部が前記第2バスバに属する、
電気接続箱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される電気接続箱(例えば、リレーボックス)等のように、複数のバスバをハウジングに収容して構成される電気接続箱が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-188533号公報
【文献】特開2017-022808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような電気接続箱を製造する際、車両の仕様やオプション装備品の有無などにより、外部電源に繋がる端子が接続される入出力部(例えば、その端子をバスバにボルト・ナットで締結する箇所)の配置や、電気接続箱に格納する電子部品(例えば、ヒューズやリレー等)の種類や、それら電子部品の電気接続箱内での配置が相違する場合がある。このような相違に対応するべく、バスバやハウジングについても、車両の仕様等に基づいて形状や構造などが異なる複数の種類(品番)を準備することが考えられる。しかし、電気接続箱の製造コストや製造管理の複雑さの観点からは、準備すべきバスバやハウジングの種類(品番)が過度に増大することは望ましくない。
【0005】
本発明の目的の一つは、複数の要求仕様に対応できるように電気接続箱を構成しながら準備すべきバスバやハウジングの種類を低減可能な電気接続箱の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱の製造方法は、以下を特徴としている。
【0007】
複数種類の形状から選択される一の形状を有する第1バスバと、複数種類の形状から選択される一の形状を有する第2バスバと、前記第1バスバ及び前記第2バスバを収容するハウジングと、外部電源に繋がる端子が接続されることになる複数の入出力部と、を備える電気接続箱を製造する、電気接続箱の製造方法であって、
前記第1バスバ及び前記第2バスバは、
前記複数の前記入出力部のうちの一部が前記第1バスバに属し、前記複数の前記入出力部のうちの前記一部以外の残部が前記第2バスバに属する、第1形状と、
前記複数の前記入出力部のうちの他の一部が前記第1バスバに属し、前記複数の前記入出力部のうちの前記他の一部以外の残部が前記第2バスバに属する、第2形状と、
のうちの一方の形状を選択可能に構成され、
前記ハウジングは、
前記第1形状を有する前記第1バスバ及び前記第2バスバ、及び、前記第2形状を有する前記第1バスバ及び前記第2バスバ、を収容可能に構成され、
当該製造方法は、
前記電気接続箱の仕様に基づいて選択される前記第1形状及び前記第2形状の一方を有するように、前記第1バスバ及び前記第2バスバを構成する第1工程と、
前記第1工程にて構成された前記第1バスバ及び前記第2バスバを前記ハウジングに収容する第2工程と、を備える、
電気接続箱の製造方法であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気接続箱の製造方法によれば、電気接続箱の要求仕様に基づき、第1バスバ及び第2バスバの形状が、第1形状又は第2形状の一方の形状であるように選択される。ここで、第1形状では、複数の入出力部のうちの一部を第1バスバが担い、その一部以外の残部を第2バスバが担う。第2形状では、複数の入出力部のうちの他の一部を第1バスバが担い、その他の一部以外の残部を第2バスバが担う。このように、第1バスバ及び第2バスバの形状を変更することで、様々な要求仕様に対応できる。加えて、第1バスバ及び第2バスバが第1形状及び第2形状の何れの形状を有していても、ハウジングは、第1バスバ及び第2バスバを収容できる。したがって、本構成の製造方法は、複数の要求仕様に対応できるように電気接続箱を構成しながら準備すべきバスバやハウジングの種類(品番)を低減可能である。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電気接続箱に組み付けられた状態にある第1形状を有する第1バスバ及び第2バスバのみを示した上面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態として、
図1に示す電気接続箱に組み付けられた状態にある第2形状の一例を有する第1バスバ及び第2バスバのみを示した上面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態として、第2形状の他の例を有する第1バスバ及び第2バスバを示す、
図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る電気接続箱1の製造方法について説明する。電気接続箱1は、典型的には、車両に搭載され、リレー及びヒューズ等の電子部品を収容するリレーボックスである。
【0012】
以下、説明の便宜上、
図1~
図5に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。電気接続箱1の車両搭載時において、「上下方向」は、車両の上下方向に対応している。
【0013】
図1及び
図2に示すように、電気接続箱1は、ハウジング10を有する。ハウジング10は、リレーボックスブロックとも称呼される。ハウジング10は、電気接続箱1の筐体の一部を構成する部品である。電気接続箱1の筐体の全体は、例えば、ハウジング10と、ハウジング10が組み付けられるフレーム(図示省略)と、フレームの上部に組み付けられるアッパカバー(図示省略)と、フレームの下部に組み付けられるロアカバー(図示省略)と、で構成される。電気接続箱1の筐体を構成する上記複数の部品は全て、樹脂成形体である。
【0014】
ハウジング10は、
図1及び
図2に示すように、左右方向に延びる形状を有する。ハウジング10の上面には、複数のキャビティ11が前後方向及び左右方向に並ぶように形成されている。各キャビティ11は、上方に開口し且つ下方に窪む凹部である。各キャビティ11には、リレー及びヒューズ等の電子部品(図示省略)が、上方から挿入されて収容されることになる。ハウジング10の上面の左右方向両端部には、外部電源に繋がる端子(図示省略)が接続されることになる複数の入出力部2A~2Cが、外部に露出するように設けられている。本例では、入出力部2Aが、ハウジング10の上面の左端部に配置され、入出力部2B及び2Cが、ハウジング10の上面の右端部にて、入出力部2Cが入出力部2Bの後側に位置して前後方向に並ぶように配置されている。複数の入出力部2A~2Cの各々では、前後方向及び左右方向に延びる(板厚方向が上下方向を向くように配置された)金属製の平板から金属製のスタッドボルトsbが上方に延びている。複数の入出力部2A~2Cの各々では、スタッドボルトsbを利用して、外部電源に繋がる上記端子がボルト締結される。複数の入出力部2A~2Cの各々は、本発明の「入出力部」に対応している。
【0015】
図1及び
図2に示すハウジング10には、
図3又は
図4に示すように、板状の第1バスバ20A及び第2バスバ20Bが収容されている。第1バスバ20A及び第2バスバ20Bは、下方からハウジング10に組み付けられる。第1バスバ20A及び第2バスバ20Bの各々は、外部電線に繋がる上記端子と、複数のキャビティ11に収容されている複数の電子部品の一部とを、導通接続する機能を果たす。第1バスバ20A及び第2バスバ20Bの各々は、金属板に対してプレス加工(打ち抜き加工)及び曲げ加工等を施すことで形成される。
【0016】
第1バスバ20A及び第2バスバ20Bは、第1実施形態として
図3に示す第1形状と、第2実施形態として
図4に示す第2形状と、のうちの一方の形状を選択可能に構成されている。具体的には、電気接続箱1の仕様に基づいて、
図3に示す第1形状(第1実施形態)を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、及び、
図4に示す第2形状(第2実施形態)を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、のうち一方が選択されて、選択された第1バスバ20A及び第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられる。ハウジング10は、第1形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、及び、第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、の双方を収容可能に構成されている。
【0017】
まず、第1実施形態として、
図3に示す第1形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bについて説明する。
図3に示す第1形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bは、それぞれ、大略的に左右方向に延びる予め準備された基本形状を有している。
【0018】
第1形状を有する第1バスバ20Aは、2つの締結部21Aと、立設部22Aとを備える。2つの締結部21Aは、第1形状を有する第1バスバ20Aの左右方向両端部に位置している。各締結部21Aは、前後方向及び左右方向に延びる(板厚方向が上下方向を向いた)平板状の形状を有している。各締結部21Aには、上方に突出するスタッドボルトsbが設けられている。立設部22Aは、延在方向に直交する幅方向が上下方向を向いて帯状に延びる形状を有している。立設部22Aの上端面(上側の側端面)には、上方に突出する形状を有する複数の端子部23Aが、立設部22Aの延在方向に沿って並ぶように設けられている。端子部23Aは、本発明の「部品取付部」に対応している。
【0019】
第1形状を有する第1バスバ20Aがハウジング10に組み付けられた状態では、左側の締結部21Aが入出力部2Aとして機能し、右側の締結部21Aが入出力部2Cとして機能する(
図1及び
図2参照)。立設部22Aに設けられた複数の端子部23Aの各々は、複数のキャビティ11のうち対応するキャビティ11内に露出するように配置され、複数の電子部品のうち対応する電子部品と電気的に接続されることになる。
【0020】
第1形状を有する第2バスバ20Bは、1つの締結部21Bと、立設部22Bとを備える。1つの締結部21Bは、第1形状を有する第2バスバ20Bの右端部に位置している。締結部21Bは、前後方向及び左右方向に延びる(板厚方向が上下方向を向いた)平板状の形状を有している。締結部21Bには、上方に突出するスタッドボルトsbが設けられている。立設部22Bは、延在方向に直交する幅方向が上下方向を向いて帯状に延びる形状を有している。立設部22Bの上端面(上側の側端面)には、上方に突出する形状を有する複数の端子部23Bが、立設部22Bの延在方向に沿って並ぶように設けられている。端子部23Bは、本発明の「部品取付部」に対応している。
【0021】
第1形状を有する第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられた状態では、締結部21Bが入出力部2Bとして機能する(
図1及び
図2参照)。立設部22Bに設けられた複数の端子部23Bの各々は、複数のキャビティ11のうち対応するキャビティ11に内に露出するように配置され、複数の電子部品のうち対応する電子部品と電気的に接続されることになる。
【0022】
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態として、
図4に示す第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bについて説明する。
図4に示す第2形状を有する第1バスバ20Aは、
図3に示す第1形状(=上述した基本形状)を有する第1バスバ20Aに対して、切断点P(
図3参照)から右側の部分(右側の締結部21Aを含む部分)を、例えば切断して除去する等によって分離することで、得られる。第1形状を有する第1バスバ20Aにおける切断点P(
図3参照)から右側の分離された部分に含まれる立設部22Aには、端子部23Aが設けられていない。
【0023】
図4に示す第2形状を有する第2バスバ20Bは、
図3に示す第1形状(=前記基本形状)を有する第2バスバ20Bに対して、締結部21Bに、第2バスバ20Bの一部としての補助バスバ20Cを組み付けることで、得られる。金属製の補助バスバ20Cは、締結部21Cのみで構成される。締結部21Cは、前後方向及び左右方向に延び(板厚方向が上下方向を向き)且つ前後方向に長い平板状且つ帯状の形状を有している。締結部21Cの前端部には、貫通孔24が形成され、締結部21Cの前後方向中央部及び後端部にはそれぞれ、上方に突出するスタッドボルトsbが設けられている。締結部21Cの貫通孔24に第2バスバ20Bの締結部21Bに設けられているスタッドボルトsbが挿通され、且つ、互いに重ね合わされた締結部21Bと締結部21Cの前端部とが溶接等によって接合されることで、
図4に示す第2形状を有する第2バスバ20Bが得られる。
【0024】
第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられた状態では、第1バスバ20Aの締結部21Aが入出力部2Aとして機能し、第2バスバ20Bの締結部21Cの前端部(締結部21Bから突出するスタッドボルトsbを含む部分)が入出力部2Bとして機能し、第2バスバ20Bの締結部21Cの前後方向中央部(締結部21Cから突出する前後一対のスタッドボルトsbうち前側のスタッドボルトsbを含む部分)が入出力部2Cとして機能する。即ち、補助バスバ20Cは、第1形状を有する第1バスバ20Aから分離された切断点Pから右側の部分(特に、右側の締結部21A)に相当する部分を、補うように構成されている。更に、第2バスバ20Bの締結部21Cの後端部(締結部21Cから突出する前後一対のスタッドボルトsbうち後側のスタッドボルトsbを含む部分)が入出力部2D(
図1及び
図2参照)として機能する。
【0025】
図3に示す第1形状と
図4に示す第2形状とを比較すると、複数の「入出力部」(入出力部2A~2C)については、
図3に示す第1形状では、入出力部2A,2Cが第1バスバ20Aに属し且つ入出力部2Bが第2バスバ20Bに属する一方で、
図4に示す第2形状では、
図3に示す第1形状と異なり、入出力部2Aが第1バスバ20Aに属し且つ入出力部2B,2Cが第2バスバ20Bに属する。複数の「部品取付部」(複数の端子部23A,23B)については、
図3に示す第1形状及び
図4に示す第2形状の何れにおいても、複数の端子部23Aが第1バスバ20Aに属し、複数の端子部23Bが第2バスバ20Bに属する。換言すれば、
図3に示す第1形状と
図4に示す第2形状とでは、複数の「入出力部」(入出力部2A~2C)については、第1バスバ20A(第2バスバ20B)に属する「入出力部」の配置及び個数が異なる一方で、複数の「部品取付部」(複数の端子部23A,23B)については、第1バスバ20A(第2バスバ20B)に属する「部品取付部」の配置及び個数が同じである。以上、
図3に示す第1形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、及び、
図4に示す第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bについて説明した。
【0026】
電気接続箱1を製造する際には、まず、
図3に示す第1形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、及び、
図4に示す第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、のうち一方が選択されて、選択された第1バスバ20A及び第2バスバ20Bが準備される(第1工程)。次いで、準備された(選択された)第1バスバ20A及び第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられる(第2工程)。これにより、
図1及び
図2に示す電気接続箱1が得られる。
【0027】
<第3実施形態>
上記第1,第2実施形態では、電気接続箱1の仕様に基づいて、
図3に示す第1形状(第1実施形態)を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、及び、
図4に示す第2形状(第2実施形態)を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、のうち一方が選択されて、選択された第1バスバ20A及び第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられている。これに対し、
図4に示す第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bに代えて、第3実施形態として、
図5に示す形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bが使用されてもよい。
図5に示す形状は、第1バスバ20A及び第2バスバ20Bが上述した基本形状(第1実施形態。
図3参照)とは異なる形状を有する点で
図4に示す形状(第2実施形態)と同様であるため、以下、第2実施形態と同様、第2形状と称呼される。
【0028】
換言すると、電気接続箱1の仕様に基づいて、
図3に示す第1形状(第1実施形態)を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、及び、
図5に示す第2形状(第3実施形態)を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20B、のうち一方が選択されて、選択された第1バスバ20A及び第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられてもよい。
【0029】
以下、
図5に示す第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bについて説明する。
図5に示す第2形状を有する第2バスバ20Bは、
図4に示す第2形状を有する第2バスバ20Bに対して、切断点Q(
図4参照)から左側の部分を、例えば切断して除去する等によって分離し、且つ、
図4に示す補助バスバ20Cとは異なる形状の
図5に示す補助バスバ20Cを締結部21Bに組み付けることで、得られる。
図4に示す第2バスバ20Bにおける切断点Qから左側の分離された部分(以下、「分離部分」という。)に含まれる立設部22Bには、複数の端子部23Bのうちの一部が含まれている(
図4参照)。
【0030】
図5に示す補助バスバ20Cは、
図4に示す補助バスバ20Cに対して、入出力部2Dに相当する部分(
図4に示す補助バスバ20Cの後端部)が除去された点、及び、入出力部2Bに相当する部分(
図4に示す補助バスバ20Cの前端部)が左方に更に延出され、延出された部分の延出端部(左端部)に上方に突出する形状を有する端子部23Cが設けられた点が、異なる。端子部23Cは、本発明の「部品取付部」に対応している。
【0031】
図5に示す第2形状を有する第1バスバ20Aは、
図4に示す第2形状を有する第1バスバ20Aに対して、締結部21Aに、第1バスバ20Aの一部としての補助バスバ20Dを組み付けることで、得られる。金属製の補助バスバ20Dは、締結部21Dと、立設部22Dとを備える。締結部21Dは、前後方向及び左右方向に延びる(板厚方向が上下方向を向いた)平板状の形状を有している。締結部21Dには、貫通孔24が形成されている。締結部21Dの貫通孔24に第1バスバ20Aの締結部21Aに設けられているスタッドボルトsbが挿通され、且つ、互いに重ね合わされた締結部21Aと締結部21Dとが溶接等によって接合されることで、
図5に示す第2形状を有する第1バスバ20Aが得られる。補助バスバ20Dの立設部22Dは、延在方向に直交する幅方向が上下方向を向いて帯状に延びる形状を有しており、上記分離部分を補うように、上記分離部分が配置されていた位置に対応する位置に配置されている。立設部22Dの上端面(上側の側端面)には、上記分離部分に設けられていた複数の端子部23Bに対応して、上方に突出する形状を有する複数の端子部23Dが、立設部22Dの延在方向に沿って並ぶように設けられている。端子部23Dは、本発明の「部品取付部」に対応している。
【0032】
第5に示す第2形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bがハウジング10に組み付けられた状態では、第1バスバ20Aの締結部21D(締結部21Aから突出するスタッドボルトsbを含む部分)が入出力部2Aとして機能し、第2バスバ20Bの締結部21Cの前端部(締結部21Bから突出するスタッドボルトsbを含む部分)が入出力部2Bとして機能し、第2バスバ20Bの締結部21Cの後端部(締結部21Cから突出するスタッドボルトsbを含む部分)が入出力部2Cとして機能する。即ち、補助バスバ20Cは、第1形状を有する第1バスバ20Aから分離された切断点Pから右側の部分(特に、右側の締結部21A)に相当する部分を補うように構成され、補助バスバ20Dは、第1形状を有する第2バスバ20Bから分離された切断点Qから左側の部分(特に、複数の端子部23Bのうちの一部)に相当する部分を補うように構成されている。
【0033】
図3に示す第1形状と
図5に示す第2形状とを比較すると、複数の「入出力部」(入出力部2A~2C)については、
図3に示す第1形状では、入出力部2A,2Cが第1バスバ20Aに属し且つ入出力部2Bが第2バスバ20Bに属する一方で、
図5に示す第2形状では、
図3に示す第1形状と異なり、入出力部2Aが第1バスバ20Aに属し且つ入出力部2B,2Cが第2バスバ20Bに属する。複数の「部品取付部」(複数の端子部23A,23B,23C,23D)については、
図3に示す第1形状では、複数の端子部23Aが第1バスバ20Aに属し且つ複数の端子部23Bが第2バスバ20Bに属する一方で、
図5に示す第2形状では、
図3に示す第1形状と異なり、複数の端子部23A,23Dが第1バスバ20Aに属し且つ複数の端子部23B,23Cが第2バスバ20Bに属する。換言すれば、
図3に示す第1形状と
図5に示す第2形状とでは、複数の「入出力部」(入出力部2A~2C)について第1バスバ20A(第2バスバ20B)に属する「入出力部」の配置及び個数が異なり、且つ、複数の「部品取付部」(複数の端子部23A,23B,23C,23D)についても第1バスバ20A(第2バスバ20B)に属する「部品取付部」の配置及び個数が異なる。
【0034】
<作用・効果>
以上より、本実施形態に係る電気接続箱1の製造方法によれば、電気接続箱1への要求仕様に基づき、第1バスバ20A及び第2バスバ20Bの形状が、第1形状又は第2形状であるように選択される。ここで、第1形状では、複数の入出力部のうちの一部(入出力部2A及び2C)を第1バスバ20Aが担い、複数の入出力部のうちのその一部以外の残部(入出力部2B)を第2バスバ20Bが担う。第2形状では、複数の入出力部のうちの他の一部(入出力部2A)を第1バスバ20Aが担い、複数の入出力部のうちのその他の一部以外の残部(入出力部2B及び2C)を第2バスバ20Bが担う。このように、第1バスバ20A及び第2バスバ20Bの形状を変更することで、様々な要求仕様に対応できる。加えて、第1バスバ20A及び第2バスバ20Bが第1形状及び第2形状の何れを有していても、ハウジング10は第1バスバ20A及び第2バスバ20Bを収容できる。したがって、本実施形態に係る電気接続箱1の製造方法は、複数の要求仕様に対応できるように電気接続箱1を構成しながら準備すべきバスバやハウジングの種類(品番)を低減可能である。
【0035】
更に、第1形状では、基本形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bを用い、第2形状では、基本形状を有する第1バスバ20A及び第2バスバ20Bから一部分を分離(例えば、切断して除去)して補助バスバ20Cや補助バスバ20Dを組み付ける。よって、電気接続箱1の製造工程を過度に複雑化することなく、準備すべきバスバやハウジングの種類(品番)を低減可能である。
【0036】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0037】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱1の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0038】
[1]
複数種類の形状から選択される一の形状を有する第1バスバ(20A)と、複数種類の形状から選択される一の形状を有する第2バスバ(20B)と、前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)を収容するハウジング(10)と、外部電源に繋がる端子が接続されることになる複数の入出力部(2A~2C)と、を備える電気接続箱(1)を製造する、電気接続箱の製造方法であって、
前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)は、
前記複数の前記入出力部のうちの一部(2A,2C)が前記第1バスバ(20A)に属し、前記複数の前記入出力部のうちの前記一部以外の残部(2B)が前記第2バスバ(20B)に属する、第1形状と、
前記複数の前記入出力部のうちの他の一部(2A)が前記第1バスバ(20A)に属し、前記複数の前記入出力部のうちの前記他の一部以外の残部(2B,2C)が前記第2バスバ(20B)に属する、第2形状と、
のうちの一方の形状を選択可能に構成され、
前記ハウジング(10)は、
前記第1形状を有する前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)、及び、前記第2形状を有する前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)、を収容可能に構成され、
当該製造方法は、
前記電気接続箱(1)の仕様に基づいて選択される前記第1形状及び前記第2形状の一方を有するように、前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)を構成する第1工程と、
前記第1工程にて構成された前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)を前記ハウジング(10)に収容する第2工程と、を備える、
電気接続箱の製造方法。
【0039】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、電気接続箱の要求仕様に基づき、第1バスバ及び第2バスバの形状が、第1形状又は第2形状の一方の形状であるように選択される。ここで、第1形状では、複数の入出力部のうちの一部を第1バスバが担い、その一部以外の残部を第2バスバが担う。第2形状では、複数の入出力部のうちの他の一部を第1バスバが担い、その他の一部以外の残部を第2バスバが担う。このように、第1バスバ及び第2バスバの形状を変更することで、様々な要求仕様に対応できる。加えて、第1バスバ及び第2バスバが第1形状及び第2形状の何れの形状を有していても、ハウジングは、第1バスバ及び第2バスバを収容できる。したがって、本構成の製造方法は、複数の要求仕様に対応できるように電気接続箱を構成しながら準備すべきバスバやハウジングの種類(品番)を低減可能である。
【0040】
[2]
上記[1]に記載の製造方法において、
前記第1工程にて、
前記第1形状が選択される場合、予め準備された基本形状を有する前記第1バスバ(20A)及び前記第2バスバ(20B)が用いられ、
前記第2形状が選択される場合、前記基本形状を有する前記第1バスバ(20A)の一部分が分離され、且つ、前記分離された一部分を補うように第1補助バスバ(20C)が前記第2バスバ(20B)に組み付けられる処理、及び、前記基本形状を有する前記第2バスバ(20B)の一部分が分離され、且つ、前記分離された一部分を補うように第2補助バスバ(20D)が前記第1バスバ(20A)に組み付けられる処理、のうちの少なくとも一方の処理が行われる、
電気接続箱の製造方法。
【0041】
上記[2]の構成の電気接続箱の製造方法によれば、第1形状では、基本形状を有する第1バスバ及び第2バスバを用い、第2形状では、基本形状を有する第1バスバ及び第2バスバから一部分を分離(例えば、切断して除去)して第1補助バスバや第2補助バスバを組み付ける。よって、本構成の製造方法によれば、電気接続箱の製造工程を過度に複雑化することなく、準備すべきバスバやハウジングの種類(品番)を低減可能である。
【0042】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の製造方法において、
前記電気接続箱(1)は、
電子部品(R)が取り付けられることになる複数の部品取付部(23A~23D)を、更に備え、
前記第1形状では、前記複数の前記部品取付部のうちの一部(23A)が前記第1バスバ(20A)に属し、前記複数の前記部品取付部のうちの前記一部以外の残部(23B)が前記第2バスバ(20B)に属し、
前記第2形状では、前記複数の前記部品取付部のうちの他の一部(23A,23D)が前記第1バスバ(20A)に属し、前記複数の前記部品取付部のうちの前記他の一部以外の残部(23B,23C)が前記第2バスバ(20B)に属する、
電気接続箱の製造方法。
【0043】
上記[3]の構成の電気接続箱の製造方法によれば、第1形状では、複数の部品取付部のうちの一部を第1バスバが担い、複数の部品取付部のうちのその一部以外の残部を第2バスバが担う。第2形状では、複数の部品取付部のうちの他の一部を第1バスバが担い、複数の部品取付部のうちのその他の一部以外の残部を第2バスバが担う。これにより、第1バスバ及び第2バスバの形状を変更することで、より一層様々な要求仕様に対応できる。
【符号の説明】
【0044】
1 電気接続箱
2A 入出力部
2B 入出力部
2C 入出力部
10 ハウジング
20A 第1バスバ
20B 第2バスバ
20C 補助バスバ(第1補助バスバ)
20D 補助バスバ(第2補助バスバ)
23A 端子部(部品取付部)
23B 端子部(部品取付部)
23C 端子部(部品取付部)
23D 端子部(部品取付部)