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特許7601848情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および学習モデル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および学習モデル
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20241210BHJP
【FI】
G06Q10/083
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022194811
(22)【出願日】2022-12-06
(65)【公開番号】P2024081295
(43)【公開日】2024-06-18
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】田 科
(72)【発明者】
【氏名】オニヤリ ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】サボッキー エメリック
(72)【発明者】
【氏名】易 志清
(72)【発明者】
【氏名】マヨ ジャレス コニー
(72)【発明者】
【氏名】ミード カイル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヤス クナール
(72)【発明者】
【氏名】上嶋 翼
(72)【発明者】
【氏名】ダッシュ サンケット
(72)【発明者】
【氏名】黎 艶艶
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-171460(JP,A)
【文献】特開2002-157553(JP,A)
【文献】特開2022-171461(JP,A)
【文献】特開2022-171577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を、前記宛先ユーザのユーザ装置から取得するユーザ特徴取得手段と、
前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得手段と、
前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを、事業所や会社のビルを指す「ビジネスビル」、複数の居住空間を有するビルやマンションやアパートメントを指す「ユニットビル」、「家」、または「不明」のいずれかにより特定する特定手段と、
前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測手段と、
を有し、
前記ユーザ特徴は、前記宛先ユーザの事実特徴と、前記事実特徴から機械学習のための第1学習モデルを用いて推定された推定特徴とを含み、
前記特定手段は、前記宛先住所の文字列に含まれる所定の1以上の文字、前記文字列における前記1以上の文字の位置、前記文字列に含まれる数字の位置および桁数、および前記文字列に含まれる数字の表記形式に関する所定のルールに基づいて、前記建物タイプを特定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数の荷物それぞれの宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を、前記宛先ユーザのユーザ装置から取得するユーザ特徴取得手段と、
前記複数の荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得手段と、
前記複数の荷物それぞれの宛先住所に位置する建物の建物タイプを、事業所や会社のビルを指す「ビジネスビル」、複数の居住空間を有するビルやマンションやアパートメントを指す「ユニットビル」、「家」、または「不明タイプ」のいずれかにより特定する特定手段と、
前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記複数の荷物それぞれの宛先ユーザへの配送成功可能性を予測する予測手段と、
を有し、
前記ユーザ特徴は、前記宛先ユーザの事実特徴と、前記事実特徴から機械学習のための第1学習モデルを用いて推定された前記宛先ユーザの推定特徴とを含み、
前記特定手段は、前記宛先住所の文字列に含まれる数字と数字以外の部分、前記文字列に含まれる数字の位置、前記文字列に含まれる数字の桁数、前記文字列における所定の漢字の位置、および前記文字列に含まれる数字の表記形式に関する所定のルールに基づいて、前記建物タイプを特定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記宛先ユーザの事実特徴は、前記宛先ユーザのデモグラフィック情報と、前記宛先ユーザによるウェブサービスにおける購入履歴と、前記宛先ユーザによりウェブサービスに登録されたデータとを含み、前記宛先ユーザの推定特徴は、前記宛先ユーザの事実特徴から前記第1学習モデルを用いて推定された特徴を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記宛先住所に位置する建物が宅配ボックスを備えるか否かを示す宅配ボックス情報を取得し、当該宅配ボックス情報を前記建物タイプに含める、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記宛先ユーザにより過去に注文されたアイテムの特徴を表す注文特徴を取得する注文特徴取得手段を更に有し、
前記予測手段は、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、前記建物タイプ、および前記注文特徴に基づいて、前記配送成功可能性を予測する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測手段は、機械学習のための第2学習モデルを用いて、前記配送成功可能性を予測し、
前記第2学習モデルは、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプを入力として、前記複数の時間帯のそれぞれについて、前記配送成功可能性を出力するように構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の時間帯のそれぞれについて予測された、前記複数の荷物それぞれの宛先ユーザへの前記配送成功可能性に基づいて、前記複数の荷物に対する配送スケジュールを決定する決定手段をに有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを表す建物特徴とが入力された場合に、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性が出力されるよう、コンピュータを機能させるための学習モデルであって、
前記ユーザ特徴は、前記宛先ユーザの事実特徴と、前記事実特徴から機械学習のための学習モデルを用いて推定された推定特徴とを含み、
前記建物タイプは、前記宛先住所の文字列に含まれる数字と数字以外の部分、前記文字列に含まれる数字の位置、前記文字列に含まれる数字の桁数、前記文字列における所定の漢字の位置、および前記文字列に含まれる数字の表記形式に関する所定のルールに基づいて特定された、事業所や会社のビルを指す「ビジネスビル」、複数の居住空間を有するビルやマンションやアパートメントを指す「ユニットビル」、「家」、または「不明」のいずれかである、学習モデル
【請求項9】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を、前記宛先ユーザのユーザ装置から取得するユーザ特徴取得工程と、
前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得工程と、
前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを、事業所や会社のビルを指す「ビジネスビル」、複数の居住空間を有するビルやマンションやアパートメントを指す「ユニットビル」、「家」、または「不明タイプ」のいずれかにより特定する特定工程と、
前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測工程と、
を有し、
前記ユーザ特徴は、前記宛先ユーザの事実特徴と、前記事実特徴から機械学習のための第1学習モデルを用いて推定された推定特徴とを含み、
前記特定工程では、前記宛先住所の文字列に含まれる所定の1以上の文字、前記文字列における前記1以上の文字の位置、前記文字列に含まれる数字の位置および桁数、および前記文字列に含まれる数字の表記形式に関する所定のルールに基づいて、前記建物タイプを特定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を、前記宛先ユーザのユーザ装置から取得するユーザ特徴取得処理と、
前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得処理と、
前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを、事業所や会社のビルを指す「ビジネスビル」、複数の居住空間を有するビルやマンションやアパートメントを指す「ユニットビル」、「家」、または「不明タイプ」のいずれかにより特定する特定処理と、
前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものであり、
前記ユーザ特徴は、前記宛先ユーザの事実特徴と、前記事実特徴から機械学習のための第1学習モデルを用いて推定された推定特徴とを含み、
前記特定処理は、前記宛先住所の文字列に含まれる所定の1以上の文字、前記文字列における前記1以上の文字の位置、前記文字列に含まれる数字の位置および桁数、および前記文字列に含まれる数字の表記形式に関する所定のルールに基づいて、前記建物タイプを特定することを含む、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および学習モデルに関し、特に、荷物の配送に関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子商取引(Electronic Commerce)の普及に伴い、荷物の配送の需要が急速に増加している。ユーザが在宅でない場合、配送業者は荷物を再配達しなければならず、さらに、再配達時であってもユーザが在宅である保証はなく、更なる再配達の必要が生じ、これにより配達業者への負担が高くなっている。このような課題に対処するための技術として、特許文献1には、ユーザによるサービスの利用状況と、ユーザが在宅であったかを示す結果情報との関係性を用いて学習された学習モデルを用いて、ユーザの在宅可能性を予測(判定)する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-016411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、対象となるユーザによるサービスの利用状況に基づいて、当該ユーザの在宅可能性、すなわち、配送成功可能性を予測している。このように、従来では、ユーザによるサービスの利用状況といった、ユーザに関する特徴に基づいて、配送成功可能性が予測されている。一方、配送に必要な情報には、宛先ユーザの情報だけでなく、荷物の宛先住所の情報が含まれるが、これまでに、荷物の宛先住所に関する特徴を考慮して配送成功可能性を予測するための仕組みは提供されていなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、荷物の宛先住所に関する情報を考慮して宛先ユーザへの配送成功可能性を予測するための仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理装置の一態様は、荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得手段と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得手段と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定手段と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測手段と、を有する。
上記課題を解決するために、本発明による情報処理装置の別の態様は、複数の荷物それぞれの宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得手段と、前記複数の荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得手段と、前記複数の荷物それぞれの宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定手段と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記複数の荷物それぞれの宛先ユーザへの配送成功可能性を予測する予測手段と、を有する。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理方法の一態様は、荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得工程と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得工程と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定工程と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測工程と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理プログラムの一態様は、情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得処理と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得処理と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定処理と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷物の宛先住所に関する情報を考慮して宛先ユーザへの配送成功可能性を予測する仕組みが提供される。
上記した本発明の目的、態様及び効果並びに上記されなかった本発明の目的、態様及び効果は、当業者であれば添付図面及び請求の範囲の記載を参照することにより下記の発明を実施するための形態から理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、情報処理システムの構成例を示す。
図2図2は、実施形態による情報処理装置10の機能構成例を示す。
図3図3は、住所と当該住所により特定される建物タイプの例を示す。
図4図4は、配送成功可能性の予測処理の概念図を示す。
図5図5は、配送テーブルの例を示す。
図6A図6Aは、配送スケジュールを説明するための図である。
図6B図6Bは、配送スケジュールを説明するための図である。
図7図7は、情報処理装置10により実行される全体の処理のフローチャートを示す。
図8図8は、情報処理装置10とユーザ装置11のハードウェア構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
[情報処理システムの構成]
図1に、本実施形態による情報処理システムの構成例を示す。本情報処理システムは、その一例として、図1に示すように、情報処理装置10と、任意の複数のユーザ1~Nにより使用される複数のユーザ装置11-1~11-N(N>1)を含んで構成される。なお、以下の説明において、特に説明がない限り、ユーザ装置11-1~11-Nをユーザ装置11と総称しうる。また、以下の説明において、ユーザ装置とユーザという語は同義に使用されうる。
【0013】
ユーザ装置11は、例えば、スマートフォンやタブレットといったデバイスであり、LTE(Long Term Evolution)等の公衆網や、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信網を介して、情報処理装置10と通信可能に構成されている。ユーザ装置11は、液晶ディスプレイ等の表示部(表示面)を有し、各ユーザは、当該液晶ディスプレイに装備されたGUI(Graphic User Interface)により各種操作を行うことができる。当該操作は、指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、画面に表示された画像等のコンテンツに対する各種の操作を含む。
なお、ユーザ装置11は、図1に示すような形態のデバイスに限らず、デスクトップ型のPC(Personal Computer)や、ノート型のPCといったデバイスであってもよい。その場合、各ユーザによる操作は、マウスやキーボードといった入力装置を用いて行われうる。また、ユーザ装置11は、表示面を別に備えてもよい。
【0014】
ユーザ装置11は、情報処理装置10から、または、不図示の他の装置から情報処理装置10を介して提供されるウェブサービス(インターネット関連サービス)にログインして、サービスを利用することができる。当該ウェブサービスは、インターネットを介して提供される、オンラインモールやネットスーパー、あるいは、通信、金融、不動産、スポーツ、旅行に関するサービスを含むことができる。ユーザ装置11は、このようなウェブサービスを利用することにより、ユーザ装置11のユーザに関する情報を情報処理装置10に伝達することができる。
例えば、ユーザ装置11は、ユーザ装置11のIP(Internet Protocol)アドレスや、ユーザの住所やユーザの氏名といった、ユーザ装置やユーザに関する特徴の情報を、情報処理装置10へ伝達することができる。
【0015】
本実施形態では、ウェブサービスの利用のために、ユーザ1~Nそれぞれは、各ユーザを識別するためのユーザIDが付与されているものとする。当該ユーザIDはウェブサービス上のユーザを識別するためのIDであってもよいし、ユーザ装置を物理的に識別するためのIDであってもよい。
【0016】
情報処理装置10は、ユーザ装置11から各種情報を取得し、また、複数ユーザ宛ての荷物の配送リクエストを取得し、所定の日付における複数の荷物の配送スケジュールを決定する。本実施形態では、情報処理装置10は、配送リクエストに含まれる複数の荷物の宛先住所の特徴を考慮して、配送スケジュールを決定するように構成される。
【0017】
[情報処理装置10の機能構成]
本実施形態による情報処理装置10は、ユーザ装置11-1~11-Nから各種情報を取得する。また、情報処理装置10は、複数ユーザ宛ての荷物の配送リクエストを取得する。配送リクエストには、配送日付(所定の日付)と、複数の荷物に対する複数の宛先ユーザと複数の宛先住所の情報が含まれる。情報処理装置10は、取得した情報に基づいて、当該複数の宛先ユーザそれぞれに対して、配送日付に設定した複数のタイムスロットにおける配送成功可能性を予測する。そして、情報処理装置10は、予測結果に基づいて、配送日付において、複数の宛先ユーザへ荷物を配送するための効率的な配送スケジュールを決定する。なお、荷物は、配送(配達)可能なものであれば、あらゆるアイテムを含むことができる。
【0018】
図2は、本実施形態による情報処理装置10の機能構成の一例を示す。
図2に示す情報処理装置10は、配送リクエスト取得部101、ユーザ特徴取得部102、注文特徴取得部103、日付特徴取得部104、建物タイプ特定部105、配送成功予測部106、配送スケジュール決定部107、出力部108、学習モデル記憶部110、特徴記憶部120、およびルール記憶部130を備える。学習モデル記憶部110は、第1タイムスロット予測モデル111、第2タイムスロット予測モデル112、第3タイムスロット予測モデル113、第4タイムスロット予測モデル114、第5タイムスロット予測モデル115、第6タイムスロット予測モデル116、およびユーザ特徴予測モデル117を記憶している。当該各種学習モデルについては後述する。また、特徴記憶部120は、ユーザ特徴121、注文特徴122、日付特徴123、および建物タイプ(建物特徴)124を記憶し、ルール記憶部130は、建物タイプ特定ルール131を記憶している。当該各種特徴やルールについては後述する。
【0019】
配送リクエスト取得部101は、複数ユーザ(ユーザ1からNのうちの2以上のユーザ)宛ての荷物の配送リクエストを取得する。当該配送リクエストは、操作者により入力部(図8の入力部85)を介して入力されてもよいし、通信部(図8の通信I/F87)を介して入力されてもよい。あるいは、当該配送リクエストは、予めシステムにおいて設定されていてもよいし、記憶部(図8のROM82やRAM83)に格納されている任意のプログラムによって設定されてもよい。
【0020】
配送リクエストには、複数の荷物それぞれについて配送に必要な情報が含まれる。本実施形態では、配送リクエストには、複数の宛先ユーザの情報と、当該複数の宛先ユーザそれぞれの住所(複数の異なる宛先住所)の情報と、配送予定の日付情報である配送日付の情報が含まれる。本実施形態では、配送日付は同一日付であるとする。また、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザは、それぞれの住所が近い(例えば、同じ市や町、宅配便の一配送人による配送エリア等)ユーザとなるように構成されている。すなわち、配送リクエストに含まれる宛先住所(複数の宛先住所)の情報は、1以上の所定の位置関係を満たす異なる複数の住所の情報を含みうる。配送リクエストは、あらかじめ住所が近い宛先ユーザを含むように構成されていてもよいし、情報処理装置10や他の装置が、住所が近い宛先ユーザを含むように配送リクエストを生成してもよい。
【0021】
宛先住所の情報は、近隣に位置する(すなわち、所定の距離的範囲内にある)住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、共通する道、道路または通りの近隣に位置する異なる複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、建物名や番地が共通する等、一部が共通する複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、共通する区画に位置する異なる複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、海抜高度の差(高低差)が所定の値を下回るような異なる複数の住所を含みうる。また、宛先住所の情報は、住所間の経路における右折または左折の回数が所定の数量を下回るような異なる複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、住所間の経路における十字路の数が所定の数量を下回るような異なる複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、住所間の経路に位置する交通信号機が所定の数量を下回る(交通信号機に起因する停止時間の期待値などの予測値が所定の時間を下回る)ような異なる複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、住所間の経路を構成する道、道路または通りの道幅が所定の値を上回るような複数の住所の情報を含みうる。また、宛先住所の情報は、住所間の経路にスクールゾーン等の所定の道、道路または通りが含まれないような複数の住所の情報を含みうる。
【0022】
ユーザ特徴取得部102は、ユーザ1~Nのうち、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザそれぞれのユーザ特徴を取得する。本実施形態において、ユーザ特徴とは、ユーザ装置やユーザについての事実特徴(事実情報)であり、ユーザ装置やユーザから実際に、または、客観的に得られる、事実に基づく特徴(情報)である。ユーザ特徴取得部102は例えば、ユーザ装置11から直接ユーザ特徴を取得することができる。また、ユーザ特徴取得部102は、ユーザ装置11のユーザにより所定のウェブサービスに登録された情報として、ユーザ特徴を取得することができる。ユーザ特徴には、宛先ユーザのユーザID(以下、宛先ユーザID)が紐づけられている。
【0023】
本実施形態では、ユーザ特徴取得部102は、デモグラフィック情報と過去のウェブサービスにおける購入行動情報を、ユーザ特徴として取得する。デモグラフィック情報は、性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性を示す情報である。購入行動情報は、例えば、購入したアイテム名や購入日時の情報である。また、ユーザ特徴取得部102は、ユーザにより購入の際にウェブサービスに登録された趣向を示すデータを、ユーザ特徴として取得してもよい。
【0024】
また、ユーザ特徴取得部102は、取得したユーザ特徴を、学習済みのユーザ特徴予測モデル117に適用して、当該ユーザ特徴に対して推定されたユーザ特徴(推定ユーザ特徴(属性))も取得するように構成される。例えば、ユーザ特徴予測モデル117は、宛先ユーザ(複数の宛先ユーザのうち各ユーザ)のユーザ特徴(すなわち、事実特徴)を入力として、複数のユーザ特徴それぞれが当該宛先ユーザに該当する(適合する)確率(該当確率)を出力するように構成される。ユーザ特徴取得部102は、該当確率から、最終的に、当該宛先ユーザの推定ユーザ特徴を決定する。
【0025】
例えば、ユーザ特徴取得部102は、宛先ユーザのユーザ特徴として、宛先ユーザのデモグラフィック情報と過去のウェブサービスにおける購入履歴や趣向を示すデータをユーザ特徴予測モデル117に入力する。ユーザ特徴予測モデル117からは、該当確率として、当該宛先ユーザが購入すると推定される複数のアイテムや当該宛先ユーザが有しうる複数の趣向それぞれに対する確率が出力される。そして、ユーザ特徴取得部102は、所定値以上の確率を有するアイテムや趣向を、当該宛先ユーザの推定ユーザ特徴として、取得することができる。また、確率そのものを推定ユーザ特徴としてもよい。
本実施形態による推定ユーザ特徴は、例えば、働いている確率、子どもを有している確率、といった、ライフステージに関する特徴や、一戸建またはアパートメント(レジデンス)に住んでいる確率といった、ライフスタイルに関する特徴を含む。
【0026】
ユーザ特徴取得部102は、取得および推定したユーザ特徴を、ユーザ特徴121として特徴記憶部120に記憶させる。ユーザ特徴は、宛先ユーザIDと紐づけて記憶される。
【0027】
注文特徴取得部103は、ユーザ1~Nのうち、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザそれぞれの注文特徴(オーダー特徴)を取得する。本実施形態において、注文特徴とは、宛先ユーザにより過去に注文されたアイテム(すなわち、荷物)の特徴を表す情報である。当該注文されたアイテムは、宛先ユーザにより注文され、かつ、当該宛先ユーザに配送されたアイテムに限定されてもよい。注文特徴は、例えば、ウェブサービスにおける、宛先ユーザによる過去の注文情報(購入行動情報)から得られる。例えば、注文特徴は、アイテムの重量や、アイテムの種別や、アイテムが属するジャンルの種別を含む。注文特徴は、宛先ユーザIDと紐づけられており、注文特徴取得部103は、取得した注文特徴を、宛先ユーザIDと紐づけて注文特徴122として特徴記憶部120に記憶させる。
【0028】
日付特徴取得部104は、配送リクエストに含まれる荷物の配送日付の情報から、当該日付の特徴(日付特徴)を取得(特定)する。当該日付特徴は、カレンダー情報等から取得されうる。日付特徴取得部104は、例えば、当該日付の年月日、当該日付の種類(休日、祝日、または平日)を日付特徴として取得し、日付特徴123として特徴記憶部120に記憶させる。日付特徴は、宛先ユーザIDと紐づけて記憶される。
【0029】
建物タイプ特定部105は、配送リクエストに含まれる複数の異なる宛先住所の情報から、各住所に位置する建物の建物タイプ(建物特徴)を特定する。本実施形態では、建物タイプ特定部105は、宛先住所の文字列を解析して、ルール記憶部130に記憶されている建物タイプ特定ルール131に基づいて、当該住所の建物タイプを特定する。すなわち、建物タイプ特定部105は、宛先住所の文字列を建物タイプ特定ルール131に適用して、当該住所の建物タイプを特定する。建物タイプの特定手順については後述する。
【0030】
さらに、建物タイプ特定部105は、宛先住所の情報に基づいて、当該住所に位置する建物が宅配ボックス(配送された荷物を収容するためのボックス)を備えているか否かを判定することができる。当該判定は、所定のウェブサービスといったオンライン上の公的もしくは私的のサービスを用いて実施することができる。建物タイプ特定部105は、当該判定により、宛先住所に位置する建物が、宅配ボックスを備えている、もしくは、備えていないことを示す宅配ボックス情報を生成する。
【0031】
なお、宛先住所に位置する建物が備える宅配ボックスは、配送された荷物を収容可能な、当該建物が備える静止型の収納ボックスまたは移動型の収納ボックスと同義に理解されうる。静止型もしくは移動型の収納ボックスについても、オンライン上の公的もしくは私的のサービスを用いて、当該ボックスの存在が判定されうる。
【0032】
建物タイプ特定部105は、特定した建物タイプを、宛先ユーザIDと紐づけて建物タイプ124として特徴記憶部120に記憶させる。ここで、建物タイプ特定部105は、特定した建物タイプに、生成した宅配ボックス情報(建物が宅配ボックスを備えているか、備えていないかを示す情報)を紐づけて、建物タイプ124として記憶させうる。
【0033】
配送成功予測部106は、ユーザ特徴121、注文特徴122、日付特徴123、および建物タイプ124に基づいて、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザそれぞれへの配送成功可能性を予測する。配送成功予測部106は、ユーザ特徴121、日付特徴123、および建物タイプ124に基づいて、配送成功可能性を予測してもよい。本実施形態では、配送成功予測部106は、配送日付における複数のタイムスロット(時間帯)それぞれについて、配送成功可能性を予測する。配送成功可能性の予測手順については後述する。
【0034】
配送スケジュール決定部107は、配送成功予測部106により予測された、複数の宛先ユーザそれぞれへの配送成功可能性に基づいて、配送日付における配送スケジュールを決定する。本実施形態では、配送スケジュールは、配送するタイムスロット(時間帯)と、宛先ユーザと宛先住所の情報を含む。配送スケジュールの決定手順については後述する。
【0035】
出力部108は、配送スケジュール決定部107により決定された配送スケジュールを出力する。出力部108は、当該スケジュールに関する情報を生成して出力してもよい。当該出力は、あらゆる出力処理であり得、通信I/F(図8の通信I/F87)を介した外部装置への出力であってもよいし、表示部(図8の表示部86)への表示であってもよい。
【0036】
[建物タイプの特定手順]
建物タイプ特定部105による、建物タイプ特定処理の手順について説明する。本実施形態では、建物タイプ特定部105は、ルール記憶部130に記憶されている建物タイプ特定ルール131に基づいて、建物タイプを特定する。具体的には、建物タイプ特定部105は、住所の文字列を建物タイプ特定ルール131に適用することにより、建物タイプを特定する。
【0037】
建物タイプ特定ルール131は、住所の文字列が有する特徴に基づいて建物タイプを特定するための、あらかじめ作成されているルールである。建物タイプ特定ルール131は、操作者により入力部(図8の入力部85)を介して入力されてもよいし、通信部(図8の通信I/F87)を介して入力されてもよい。あるいは、建物タイプ特定ルール131は、予めシステムにおいて設定されていてもよいし、記憶部(図8のROM82やRAM83)に格納されている任意のプログラムによって設定されてもよい。
なお、本実施形態で説明する建物タイプ特定ルール131は一例であり、住所と建物タイプの組み合わせの実例に合致しない場合が生じうるものの、住所の文字列から当該住所の建物タイプが特定可能なあらゆるルールを使用することが可能である。例えば、住所の文字列が所定のキーワードを有するか否かに応じて、建物タイプが特定されてもよい。また、新たなルールが建物タイプ特定ルール131に追加されてもよい。
【0038】
本実施形態による建物タイプ特定ルール131は、(1)から(9)の9種類のルールを有する。(1)から(9)のルールは、宛先住所の文字列が有する特徴により、建物タイプが特定されるように構成されている。
(1)住所が「株式会社」を含む場合、当該住所の建物タイプは、事業所や会社のビルを指す「ビジネスビル(事業所ビル)」と特定される。
例:「大阪府ABC市D町1-2-3 株式会社abc内」は、「ビジネスビル」と特定される。
【0039】
(2)住所が「ビル」を含み、「ビル」の後に3桁の数字を含む場合、当該住所の建物タイプは、複数の居住区画(個別占有空間)を有するビルやマンションやアパートメント(レジデンス)を指す「ユニットビル」と特定される。
例:「東京都ABC区D町1-2-3 abcビル303」は「ユニットビル」と特定される。
【0040】
(3)住所が「ビル」を含み、「ビル」の後に3桁の数字を含まない場合、当該住所の建物タイプは、「ビジネスビル」と特定される。
例:「東京都ABC区D町1-2-3 abcビル5階」は、「ビジネスビル」と特定される。
【0041】
(4)住所が「号」を最後に含む場合、当該住所の建物タイプは、「ユニットビル」と特定される。
例:「大阪府ABC市D町1-2-3 レジデンスabc 303号」は「ユニットビル」と特定される。
【0042】
(5)住所が「×1-×2-×3」形式を含み、「×3」が3桁または4桁の数字でない場合、当該住所の建物タイプは、「家(個人宅、一戸建)」と特定される。
例:「埼玉県ABC市D町1-234-5」は「家」と特定される。
【0043】
(6)住所が「×1-×2」形式を含む場合、当該住所の建物タイプは「ユニットビル」と特定される。
例:「神奈川県ABC町DE123-4」は「ユニットビル」と特定される。
【0044】
(7)住所が単一の数字を含み、当該数字を末尾に含む場合、当該住所の建物タイプは「家」と特定される。
例:「千葉県ABC市D町1234」は「家」と特定される。
【0045】
(8)住所が「×1-×2-×3」または「×1-×2-×3-×4」形式を含み、「×3」または「×4」が3桁または4桁の数字である場合、当該住所の建物タイプは「ユニットビル」と特定される。
例:「福岡県ABC市DE区FG1-2-3-303」は「ユニットビル」と特定される。
【0046】
(9)住所が「×1-×2-×3」または「×1-×2-×3-×4」形式を含み、当該形式と別に末尾に数字を含む場合、当該住所の建物タイプは「ユニットビル」と特定される。
例:「神奈川県ABC市DE1-2-3 レジデンスabc 303」は「ユニットビル」と特定される。
【0047】
なお、建物タイプ特定部105は、上記ルールにおいて「×1-×2-×3」は、「×1丁目×2番地×3号」や「×1丁目×2-×3」のような変形と同じ文字列として認識するように構成されうる。
また、建物タイプ特定部105は、上記ルールにおいて「×1-×2-×3-×4」は、「×1丁目×2番地×3号(建物の名称)×4」や「×1丁目×2-×3(建物の名称)×4」のような変形と同じ文字列として認識するように構成されうる。
【0048】
図3に、上記ルール(1)から(9)において挙げた住所と当該住所により特定される建物タイプの例のリストを示す。図3に示すように、宛先住所は、当該住所が有する文字列の特徴に従って、「ビジネスビル」、「ユニットビル」、および「家」のいずれかの建物タイプに分類される。
【0049】
なお、上記の(1)から(9)のルールで建物タイプが特定されない住所については、建物タイプ特定部105は、当該住所の建物タイプを、「家」といった所定の建物タイプと特定してもよい。あるいは、(1)から(9)のルールで建物タイプが特定されない住所については、建物タイプ特定部105は、当該住所の建物タイプを「不明タイプ」と特定してもよい。
【0050】
また、ルール(1)から(9)は、東京都といった、いくつかのエリアに適用可能であるが、その他のエリアには適用可能でない場合もある。そのため、他のエリアに対してはルール(1)から(9)とは別のルールを作成して、適用してもよい。また、東京都内におけるエリアであっても、ルール(1)から(9)とは別のルールを作成して、適用してもよい。
【0051】
[配送成功可能性の予測手順]
配送成功予測部106による、宛先ユーザへの配送成功可能性の予測手順について説明する。本実施形態では、配送成功予測部106が、学習済みの機械学習のための学習モデルを用いて、宛先ユーザへの配送成功可能性を予測する。本実施形態では、配送時間を、8時から12時まで(第1タイムスロット)、12時から14時まで(第2タイムスロット)、14時から16時まで(第3タイムスロット)、16時から18時まで(第4タイムスロット)、18時から20時まで(第5タイムスロット)、20時から22時まで(第6タイムスロット)、の6つのタイムスロット(時間帯)に分割し、それぞれのスロットに対する配送成功可能性を予測する。
【0052】
配送成功可能性を予測するために、第1タイムスロット予測モデル111から第6タイムスロット予測モデル116が使用される。
第1タイムスロット予測モデル111は、8時から12時まで(第1タイムスロット)の配送成功可能性を予測する学習モデルである。
第2タイムスロット予測モデル112は、12時から14時まで(第2タイムスロット)の配送成功可能性を予測する学習モデルである。
第3タイムスロット予測モデル113は、14時から16時まで(第3タイムスロット)の配送成功可能性を予測する学習モデルである。
第4タイムスロット予測モデル114は、16時から18時まで(第4タイムスロット)の配送成功可能性を予測する学習モデルである。
第5タイムスロット予測モデル115は、18時から20時まで(第5タイムスロット)の配送成功可能性を予測する学習モデルである。
第6タイムスロット予測モデル116は、20時から22時まで(第6タイムスロット)の配送成功可能性を予測する学習モデルである。
【0053】
第1タイムスロット予測モデル111から第6タイムスロット予測モデル116は、機械学習のための学習モデルであり、例えば、CatBoostをベースにした学習モデルである。あるいは、第1タイムスロット予測モデル111から第6タイムスロット予測モデル116は、XGBoostやLightGBMといった他のブースティングベースの学習モデルであってもよい。
【0054】
学習段階では、ユーザ1~Nに対する過去の配送のために特徴記憶部120に記憶されたユーザ特徴121、注文特徴122、日付特徴123、および建物タイプ124の少なくともいずれかに紐づけられた配送履歴(正解データ(ラベル))との組み合わせを教師データとして用いて、各タイムスロットに対応する学習モデルが学習される。配送履歴は、各タイムスロットに対して、配送成功(=1)または配送失敗(=0)を示す。配送成功は、例えば、宛先住所の建物に宛先ユーザが居たこと、もしくは、当該建物が備える宅配ボックスに配送できたことを含みうる。あるいは、配送成功は、非対面での配送完了(例えば、荷物を、建物の各ユニットの入り口や、家の玄関に置いておくこと)も含みうる。配送失敗は、例えば、宛先住所の建物にユーザが居なかったこと、もしくは、当該建物が備える宅配ボックスに配送できなかったことを含みうる。
【0055】
例えば、過去の配送において、ユーザ1宛ての配送が11時に完了した場合、第1タイムスロットから第6タイムスロットのうち、第1タイムスロットのみの配送履歴が、配送成功(=1)を示し、他のタイムスロットの配送履歴は、配送失敗(=0)を示す。また、入力データとしては、ユーザ1のユーザ特徴121、当該配送のためのユーザ1により注文されたアイテムに関する注文特徴122、配送の日付の日付特徴123、および配送の宛先住所の建物タイプ124(宅配ボックス情報を含みうる)の少なくともいずれかが用いられる。
第1タイムスロット予測モデル111は、当該入力データと配送成功(=1)との組み合わせである教師データを用いて学習される。また、第2タイムスロット予測モデルから第6タイムスロット予測モデル116は、当該入力データと配送失敗(=0)との組み合わせである教師データを用いて学習される。
【0056】
学習済みの第1タイムスロット予測モデル111は、任意の対象ユーザのユーザ特徴121と注文特徴122、配送日付の日付特徴123、および配送住所の建物タイプ124を入力として、第1タイムスロットにおける、当該対象ユーザへの配送成功可能性を出力(予測)するように構成される。あるいは、第1タイムスロット予測モデル111は、ユーザ特徴121、日付特徴123、および建物タイプ124を入力として、第1タイムスロットにおける当該対象ユーザへの配送成功可能性を出力するように構成されてもよい。
同様に、第2タイムスロット予測モデル112から第6タイムスロット予測モデル116はそれぞれ、任意の対象ユーザのユーザ特徴121と注文特徴122、配送日付の日付特徴123、および配送住所の建物タイプ124を入力として、第2タイムスロットから第6タイムスロットそれぞれにおける、当該対象ユーザへの配送成功可能性を予測するように構成される。あるいは、第2タイムスロット予測モデル112から第6タイムスロット予測モデル116はそれぞれ、ユーザ特徴121、日付特徴123、および建物タイプ124を入力として、第1タイムスロットから第6タイムスロットそれぞれにおける当該対象ユーザへの配送成功可能性を出力するように構成されてもよい。
第1タイムスロット予測モデル111から第6タイムスロット予測モデル116は、各タイムスロットにおける送成功可能性を、0から1(1が最大可能性)の数値で出力するように構成される。
【0057】
予測段階では、配送リクエスト取得部101により取得された配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザそれぞれへの配送成功可能性を、各タイムスロットについて予測する。
図4に、配送成功可能性の予測処理の概念図を示す。配送成功予測部106は、配送リクエスト取得部101により取得された配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザそれぞれへの配送成功可能性を、第1タイムスロットから第6タイムスロットについて予測する。
【0058】
具体的には、配送成功予測部106は、当該複数の宛先ユーザそれぞれについて、ユーザ特徴121と注文特徴122と、配送日付の日付特徴123、および配送住所の建物タイプ124を含む入力データ40を準備する。なお、注文特徴122は入力データ40に含まれなくてもよい。
ユーザ特徴121は、配送リクエストに含まれている宛先ユーザのユーザ特徴であり、ユーザ特徴取得部102により取得される。
注文特徴122は、配送リクエストに含まれている宛先ユーザの注文特徴であり、注文特徴取得部103により取得される。
日付特徴123は、配送リクエストに含まれている配送日付の日付特徴であり、日付特徴特定部194により取得(特定)される。本実施形態では、配送リクエストに含まれる配送日付(すなわち、複数の荷物のための配送日付)は同一日付であるとする。
建物タイプ124は、配送リクエストに含まれている宛先住所に位置する建物の建物タイプであり、建物タイプ特定部105により特定される。建物タイプ124には、宅配ボックス情報(宛先住所に位置する建物が宅配ボックスを備えるか、または、備えないかを示す情報)も含まれうる。
【0059】
続いて、配送成功予測部106は、入力データ40を、第1タイムスロット予測モデル111から第6タイムスロット予測モデル116へ入力し、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザそれぞれについて、第1タイムスロットから第6タイムスロットにおける配送成功可能性を予測する。
【0060】
第1タイムスロット予測モデル111は、宛先ユーザの第1タイムスロットにおける配送成功可能性41(0から1の数値)を出力する。
第2タイムスロット予測モデル112は、宛先ユーザの第2タイムスロットにおける配送成功可能性42(0から1の数値)を出力する。
第3タイムスロット予測モデル113は、宛先ユーザの第3タイムスロットにおける配送成功可能性43(0から1の数値)を出力する。
第4タイムスロット予測モデル114は、宛先ユーザの第4タイムスロットにおける配送成功可能性44(0から1の数値)を出力する。
第5タイムスロット予測モデル115は、宛先ユーザの第5タイムスロットにおける配送成功可能性45(0から1の数値)を出力する。
第6タイムスロット予測モデル116は、宛先ユーザの第6タイムスロットにおける配送成功可能性46(0から1の数値)を出力する。
【0061】
配送成功予測部106は、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザ全てについて出力された配送成功可能性41から46から、各宛先ユーザについて、タイムスロット毎に配送可か配送不可かを決定する。例えば、配送成功予測部106は、所定の閾値以上の配送成功可能性を有するタイムスロットについては、「OK(配送可)」と決定する。一方、配送成功予測部106は、所定の閾値未満の配送成功可能性を有するタイムスロットについては、「NG(配送不可)」と決定する。所定の閾値は、例えば、0.5である。配送成功予測部106は、各宛先ユーザについて、タイムスロット毎に決定した「OK」または「NG」を含む配送テーブルを作成する。
【0062】
図4に示す配送テーブル47は、配送成功予測部106により作成された配送テーブルの一例である。配送テーブル47は、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザのうちのいずれかの宛先ユーザについて、各タイムスロットに対して、「OK(配送可)」または「NG(配送不可)」のラベル(指標)が付されている。配送成功予測部106は、このような配送テーブルを、複数の宛先ユーザ全てについて作成する。
【0063】
図5に、配送リクエストに含まれる複数の宛先ユーザがユーザ1から4の場合の、配送テーブルの例を示す。配送テーブルT1からT4はそれぞれ、ユーザ1から4それぞれに対して予測されたタイムスロット毎の配送成功可能性に基づいて作成され、各タイムスロットに対して、「OK(配送可)」または「NG(配送不可)」のラベル(指標)が付されている。
【0064】
なお、本実施形態では、1つの閾値を設定して、予測された配送成功可能性から当該閾値を用いて決定された配送可または配送不可含む配送テーブルが作成されるが、2つ以上の閾値が設定されてもよい。例えば、第1の閾値(=0.8)と第2の閾値(=0.4)の2つの閾値が設定された場合、「成功可能性:高」、「成功可能性:中」、「成功可能性:低」の3つのラベル(指標)を含む配送テーブルが作成されてよい。すなわち、第1の閾値以上の配送成功可能性を有するタイムスロットについては「成功可能性:高」、第2の閾値以上かつ第1の閾値未満の配送成功可能性を有するタイムスロットについては「成功可能性:中」、第2の閾値未満の配送成功可能性を有するタイムスロットについては「成功可能性:低」、と決定されうる。
あるいは、予測された配送成功可能性(0から1の数値)、もしくは、当該配送成功可能性を百分率に変換した数値(%)を配送テーブルに使用してもよい。この場合、数値が直接的に配送成功可能性を示す。
【0065】
なお、第1タイムスロット予測モデル111などの学習済みモデルは、建物タイプ124を除く各種データにラベル付けがなされた教師データを用いて学習されてよく、建物タイプ124を除く入力データ40が入力されることで配送成功可能性(0から1の数値)を出力してよい。このとき、配送成功予測部106は、建物タイプ124に応じて、当該学習済みモデルが出力した配送成功可能性に何らかの係数を適用してよい。例えば、建物タイプ124がビジネスビルである場合、配送成功予測部106は、当該学習済みモデルが出力した配送成功可能性を上方修正するよう何らかの係数を適用してよい。また、当該学習済みモデルは、日付特徴123を除く各種データにラベル付けがなされた教師データを用いて学習されてよく、日付特徴123を除く入力データ40が入力されることで配送成功可能性を出力してよい。このとき、配送成功予測部106は、日付特徴123やタイムスロットの種別に応じて、当該学習済みモデルが出力した配送成功可能性に何らかの係数を適用してよい。例えば、日付特徴123が営業日である可能性を有する平日を示し、タイムスロットの種別が営業時間内である可能性を有する日中を示す場合、配送成功予測部106は、当該学習済みモデルが出力した配送成功可能性を上方修正するよう何らかの係数を適用してよい。
【0066】
[配送スケジュールの決定手順]
配送成功予測部106により、複数の宛先ユーザ全てについてタイムスロット毎の配送成功可能性が予測され、配送テーブルが作成されると、配送スケジュール決定部107は、配送スケジュールを決定する。前述したように、本実施形態では、配送スケジュールは、配送するタイムスロット(時間帯)と、宛先ユーザと宛先住所の情報を含む。
【0067】
配送スケジュール決定部107は、配送成功予測部106により作成された配送テーブルにおいて、OKを示すn番目(本実施形態では、1≦n≦6)のタイムスロットを共通に有する2以上のユーザを抽出する(グループ化する)。そして、配送スケジュール決定部107は、当該抽出した(グループ化した)2以上のユーザ宛ての荷物を、n番目のタイムスロットで配送するように、配送スケジュールを決定する。なお、n番目のタイムスロットを共通に有する2以上のユーザが抽出できない場合は、OKを示すタイムスロットに配送できるように、配送スケジュールを決定する。
【0068】
図5に示すような、ユーザ1から4に対する配送テーブルT1からT4が作成された場合に決定される配送スケジュールの例について、図6A図6Bを参照して説明する。図6A図6Bはそれぞれ、配送スケジュールを説明するための図である。図6A図6Bにおいて、配送テーブルT1からT4は、図5に示したようにユーザ1から4に対する配送テーブルを示し、宛先D1からD4は、ユーザ1から4の宛先住所を示す。
【0069】
配送スケジュール決定部107は、配送テーブルT1からT4を参照し、配送テーブルT1とT2では、第1タイムスロットが共にOKを示すことを認識し、ユーザ1と2宛ての荷物を、第1タイムスロットで配送することを決定する。なお、配送テーブルT1とT2では、第2タイムスロットも共にOKを示すことから、配送スケジュール決定部107を、ユーザ1と2宛ての荷物を、第1から第2タイムスロットの間で配送することを決定してもよい。
また、配送スケジュール決定部107は、配送テーブルT1からT4を参照し、配送テーブルT3とT4では、第4から第6タイムスロットが共にOKを示すことを認識し、ユーザ3と4宛ての荷物を、第4から第6タイムスロットの間で配送することを決定する。
【0070】
よって、配送スケジュール決定部107は、一例として、以下のような配送スケジュールを決定する。
第1タイムスロット: ユーザ1(宛先D1)
ユーザ2(宛先D2)
第4から第6タイムスロット: ユーザ3(宛先D3)
ユーザ4(宛先D4)
【0071】
図6Aは、決定された配送スケジュールに従った、第1タイムスロットにおける配送状況を図示しており、具体的には、第1タイムスロットにおいて、ユーザ1とユーザ2宛ての荷物を配送することを示している。なお、ユーザ1とユーザ2の配送順序は、任意に決定されうる。あるいは、配送順序は、配送車(もしくは配送人)の位置と、宛先D1と宛先D2の位置に基づいて、効率的なルートで配送できるように、決定されてよい。
図6Bは、決定された配送スケジュールに従った、第4から第6タイムスロットにおける配送状況を図示しており、具体的には、第4から第6タイムスロットにおいて、ユーザ3とユーザ4宛ての荷物を配送することを示している。なお、ユーザ3とユーザ4の配送順序は、任意に決定されうる。あるいは、配送順序は、配送車(もしくは配送人)の位置と、宛先D3と宛先D4の位置に基づいて、効率的なルートで配送できるように、決定されてよい。
【0072】
このように、同一のタイムスロットにおいて高い配送成功可能性を有する複数の宛先ユーザをグループ化し、当該グループ化した複数の宛先ユーザへ当該タイムスロットで配送を行うように、配送スケジュールが決定される。そして、当該配送スケジュールに従った配送が実施されることにより、配送失敗となる可能性を低く抑え、効率的な配送を行うことが可能となる。
【0073】
例えば、図6A図6Bの例では、第1タイムスロットにおいてユーザ1から4への配送を行おうとすると、ユーザ3とユーザ4への配送は失敗する可能性が高く、ユーザ3とユーザ4への再配達が生じうる。さらに、ユーザ3とユーザ4へ、第3タイムスロットで再配達を行った場合に、再度、配送が失敗する可能性が高く、再配達の回数が増える可能性がある。
一方で、本実施形態によれば、同じタイムスロットで高い配送成功可能性を有する複数のユーザへ配送を行うように、配送スケジュールが決定されることにより、再配達の回数を減らすことが可能となる。
【0074】
[全体の処理の流れ]
図7に、本実施形態による情報処理装置10により実行される全体の処理のフローチャートを示す。図7の説明のために、図1に示した情報処理システムを参照する。
【0075】
S71において、配送リクエスト取得部101は、ユーザ1からNのうち複数のユーザ(宛先ユーザ)宛ての荷物の配送リクエストを取得する。当該配送リクエストには、複数の宛先ユーザの情報と、当該複数の宛先ユーザそれぞれの住所(複数の異なる宛先住所)の情報と、配送日付の情報が含まれる。
【0076】
S72において、ユーザ特徴取得部102は、複数の宛先ユーザそれぞれのユーザ特徴を取得し、ユーザ特徴121として特徴記憶部120に格納する。S72の処理は、過去の一定の期間におけるユーザ特徴および推定したユーザ特徴の取得(収集)処理でありうる。ユーザ特徴121は、宛先ユーザIDと紐づけて、特徴記憶部120に格納される。
【0077】
S73において、注文特徴取得部103は、複数の宛先ユーザそれぞれの注文特徴を取得し、注文特徴122として特徴記憶部120に格納する。
S74において、日付特徴取得部104は、配送日付の日付特徴を取得し、日付特徴123として特徴記憶部120に格納する。注文特徴122と日付特徴123は、宛先ユーザIDと紐づけて、特徴記憶部120に格納される。
【0078】
S75において、建物タイプ特定部105は、宛先住所の情報から、当該住所に位置する建物の建物タイプを特定する。建物タイプの特定手順は、上述した通りである。また、オプションとして、建物タイプ特定部105は、宛先住所に位置する建物が宅配ボックスを備えているか否かを判定し、宅配ボックス情報を生成する。建物タイプ特定部105は、特定した建物タイプを、建物タイプ124として特徴記憶部120に格納する。また、宅配ボックス情報が生成された場合は、当該宅配ボックス情報が建物タイプ124に含まれる。建物タイプ124は、宛先ユーザIDと紐づけて、特徴記憶部120に格納される。
なお、S72からS75の処理の順序は、図7に示す順序に限定されず、当該処理は、異なる順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0079】
S76において、配送成功予測部106は、複数の宛先ユーザについて、複数のタイムスロットにおける配送成功可能性を予測する。当該予測は、S72からS75で取得または特定されたユーザ特徴121、注文特徴122、日付特徴123、および建物タイプ124を含む入力データを、第1タイムスロット予測モデル111から第6タイムスロット予測モデル116に適用することにより行われる。当該入力データは、注文特徴122を含まなくてもよい。配送成功可能性の予測手順は、図4を参照して上述し通りである。配送成功可能性を予測した後、配送成功予測部106は、複数の宛先ユーザそれぞれに対する配送テーブルを作成する。配送テーブルの例は、図4図5に示される。
【0080】
S77において、配送スケジュール決定部107は、S76で作成された配送テーブルに基づいて、配送スケジュールを決定する。図4図5に示す配送テーブルの場合、配送スケジュール決定部107は、OKを示すn番目(本実施形態では、1≦n≦6)のタイムスロットを共通に有する2以上のユーザを抽出する。そして、配送スケジュール決定部107は、当該抽出した2以上のユーザ宛ての荷物を、n番目のタイムスロットで配送するように、配送スケジュールを決定する。本実施形態では、S71で取得した配送リクエストに含まれる日付情報は、同一日付であるため、当該日付においてタイムスロット毎に、宛先ユーザと宛先住所を設定した配送スケジュールを決定する。
【0081】
S78において、出力部108は、S77で決定(作成)された配送スケジュールを出力する。出力部108は、配送スケジュールに関する情報を生成して、外部装置(不図示)へ出力してもよい。配送スケジュールに関する情報は、例えば、地図上の各世帯の位置情報や、道路の混雑状況に基づく各世帯への到着予測時刻といった情報である。位置情報は、住所の情報から特定されうる。
【0082】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
図8は、本実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態による情報処理装置10は、単一または複数の、あらゆるコンピュータ、モバイルデバイス、または他のいかなる処理プラットフォーム上にも実装することができる。
図8を参照して、情報処理装置10は、単一のコンピュータに実装される例が示されているが、本実施形態による情報処理装置10は、複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに実装されてよい。複数のコンピュータは、有線または無線のネットワークにより相互通信可能に接続されてよい。
【0083】
図8に示すように、情報処理装置10は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、HDD84と、入力部85と、表示部86と、通信I/F87と、システムバス88とを備えてよい。情報処理装置10はまた、外部メモリを備えてよい。
CPU(Central Processing Unit)81は、情報処理装置10における動作を統括的に制御するものであり、データ伝送路であるシステムバス88を介して、各構成部(82~87)を制御する。
【0084】
ROM(Read Only Memory)82は、CPU81が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD(Hard Disk Drive)84、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
RAM(Random Access Memory)83は、揮発性メモリであり、CPU81の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU81は、処理の実行に際してROM82から必要なプログラム等をRAM83にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。図2に示す学習モデル記憶部110、特徴記憶部120、およびルール記憶部130は、RAM83で構成されうる。
【0085】
HDD84は、例えば、CPU81がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD84には、例えば、CPU81がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。
入力部85は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスにより構成される。
表示部86は、液晶ディスプレイ(LCD)等のモニターにより構成される。表示部86は、入力部85と組み合わせて構成されることにより、GUI(Graphical User Interface)として機能してもよい。
【0086】
通信I/F87は、情報処理装置10と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
通信I/F87は、ネットワークとのインタフェースを提供し、ネットワークを介して、外部装置との通信を実行する。通信I/F87を介して、外部装置との間で各種データや各種パラメータ等が送受信される。本実施形態では、通信I/F87は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に準拠する有線LAN(Local Area Network)や専用線を介した通信を実行してよい。ただし、本実施形態で利用可能なネットワークはこれに限定されず、無線ネットワークで構成されてもよい。この無線ネットワークは、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等の無線PAN(Personal Area Network)を含む。また、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)や、WiMAX(登録商標)等の無線MAN(Metropolitan Area Network)を含む。さらに、LTE/3G、4G、5G等の無線WAN(Wide Area Network)を含む。なお、ネットワークは、各機器を相互に通信可能に接続し、通信が可能であればよく、通信の規格、規模、構成は上記に限定されない。
【0087】
図2に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能は、CPU81がプログラムを実行することで実現することができる。ただし、図2に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能が専用のハードウェアとして動作するようにしてもよい。この場合、専用のハードウェアは、CPU81の制御に基づいて動作する。
【0088】
[ユーザ装置11のハードウェア構成]
図1に示すユーザ装置11のハードウェア構成は、図8と同様でありうる。すなわち、ユーザ装置11は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、HDD84と、入力部85と、表示部86と、通信I/F87と、システムバス88とを備えうる。ユーザ装置11は、情報処理装置10により提供された各種情報を、表示部86に表示し、GUI(入力部95と表示部86による構成)を介してユーザから受け付ける入力操作に対応する処理を行うことができる。
【0089】
このように、情報処理装置10は、宛先ユーザのユーザ特徴と宛先住所の特徴を考慮して、機械学習のための学習モデルを用いて、宛先ユーザへの配送成功可能性を、複数のタイムスロット(時間帯)それぞれについて予測する。宛先ユーザのユーザ特徴だけでなく、宛先住所の特徴である、当該住所に位置する建物の建物タイプも考慮することにより、配送成功可能性の予測精度が向上しうる。
例えば、学習段階では、建物タイプが「家」の場合は、非対面での配送履歴(配送成功)を用いて、学習モデルが学習されうる。さらに、建物タイプは、宅配ボックスの有無を含むことができ、宅配ボックスへの配送履歴(配送成功)を用いて、学習モデルが学習されうる。
また、予測段階では、宛先住所の建物の建物タイプが、「ビジネスビル」であっても、当該建物に宛先ユーザが住んでおり、ユーザ特徴が、「アパートメント(レジデンス)に住んでいる」を含む場合に、当該ユーザ特徴に基づいた配送成功可能性の予測が可能となる。
これにより、宛先ユーザのユーザ特徴と宛先住所の特徴を考慮することにより、学習モデルによる配送成功可能性の予測精度が向上し得る。
【0090】
また、情報処理装置10は、同一のタイムスロット(1以上のタイムスロット)において高い配送成功可能性を有する複数の宛先ユーザをグループ化し、当該グループ化した複数の宛先ユーザへ当該タイムスロットで配送を行うように、配送スケジュールを決定する。そして、当該配送スケジュールに従って配送を行うことにより、再配達の回数を減らすことができ、再配達に掛かるコストを削減することが可能となる。
【0091】
なお、本実施形態では、配送リクエストに含まれる配送日付は同一日付であることを想定したが、異なる配送日付を含む場合は、配送スケジュール決定部107は、配送日付毎に、配送スケジュールを決定することができる。
【0092】
また、本実施形態において設定した第1から第6タイムスロットは一例であり、各タイムスロットの時間幅は任意に決定されてよく、第1~第Mタイムロットが適宜、採用されてよい(M>1)。例えば、建物が宅配ボックスを備える場合、24時間のどの時間帯でもタイムスロットの設定は可能である。
また、本実施形態では、第1から第6タイムスロットにおける配送成功可能性を予測するために、6つの学習モデルなどの複数の学習モデルを用いたが、当該複数の学習モデルを統合した1つの学習モデルを用いてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、配送リクエストは、あらかじめ住所が近い(例えば、同じ市や町、宅配便の一配送人による配送エリア等)宛先ユーザを含むように構成されていることを想定したが、配送リクエストに含まれる宛先ユーザの住所の範囲をより広げてもよい。この場合、例えば、情報処理装置10は、上述の手順に従って、複数の宛先ユーザへの配送成功可能性を予測し、予測の結果に従って、一配送人による配送エリアにおける配送スケジュールを決定してもよい。
【0094】
なお、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。
【0095】
本実施形態の開示は以下の構成を含む。
[1]荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得手段と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得手段と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定手段と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測手段と、を有する、情報処理装置。
【0096】
[2]複数の荷物それぞれの宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得手段と、前記複数の荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得手段と、前記複数の荷物それぞれの宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定手段と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記複数の荷物それぞれの宛先ユーザへの配送成功可能性を予測する予測手段と、を有する、情報処理装置。
【0097】
[3]前記特定手段は、前記宛先住所の文字列に基づいて、前記建物タイプを特定する、[1]または[2]に記載の情報処理装置。
【0098】
[4]前記特定手段は、前記宛先住所の文字列を所定のルールに適用することにより、前記建物タイプを特定する、[3]に記載の情報処理装置。
【0099】
[5]前記特定手段は、前記宛先住所に位置する建物が宅配ボックスを備えるか否かを示す宅配ボックス情報を取得し、当該宅配ボックス情報を前記建物タイプに含める、[1]から[4]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0100】
[6]前記宛先ユーザにより過去に注文されたアイテムの特徴を表す注文特徴を取得する注文特徴取得手段を更に有し、前記予測手段は、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、前記建物タイプ、および前記注文特徴に基づいて、前記配送成功可能性を予測する、[1]から[5]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0101】
[7]前記予測手段は、機械学習のための学習モデルを用いて、前記配送成功可能性を予測し、前記学習モデルは、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプを入力として、前記複数の時間帯のそれぞれについて、前記配送成功可能性を出力するように構成される、[1]から[5]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0102】
[8]前記複数の時間帯のそれぞれについて予測された、前記複数の荷物それぞれの宛先ユーザへの前記配送成功可能性に基づいて、前記複数の荷物に対する配送スケジュールを決定する決定手段をさらに有する、[2]に記載の情報処理装置。
【0103】
[9]荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを表す建物特徴とが入力された場合に、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性が出力されるように学習された、学習モデル。
【0104】
[10]荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得工程と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得工程と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定工程と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測工程と、を有する、情報処理方法。
【0105】
[11]情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、荷物の宛先ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得するユーザ特徴取得処理と、前記荷物の配送日付の特徴を表す日付特徴を取得する日付特徴取得処理と、前記荷物の宛先住所に位置する建物の建物タイプを特定する特定処理と、前記ユーザ特徴、前記日付特徴、および前記建物タイプに基づいて、前記配送日付における複数の時間帯のそれぞれについて、前記宛先ユーザへの前記荷物の配送成功可能性を予測する予測処理と、を含む処理を実行させるためのものである、情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0106】
1~N:ユーザ、10:情報処理装置、11-1~11-N:ユーザ装置、101:配送リクエスト取得部、102:ユーザ特徴取得部、103:注文特徴取得部、104:日付特徴取得部、105:建物タイプ特定部、106:配送成功予測部、107:配送スケジュール決定部、108:出力部、110:学習モデル記憶部、111:第1タイムスロット予測モデル、112:第2タイムスロット予測モデル、113:第3タイムスロット予測モデル、114:第4タイムスロット予測モデル、115:第5タイムスロット予測モデル、116:第6タイムスロット予測モデル、117:ユーザ特徴予測モデル、120:特徴記憶部、121:ユーザ特徴、122:注文特徴、123:日付特徴、124:建物タイプ、130:ルール記憶部、131:建物タイプ特定ルール
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8