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特許7601857光学アセンブリならびに光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】光学アセンブリならびに光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20241210BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022510820
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2020045110
(87)【国際公開番号】W WO2021040985
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】62/891,055
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/902,667
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】グレジダ,ロバート デニス
(72)【発明者】
【氏名】マギエルスキ,ケヴィン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マクマスター,ブライアン モンロー
(72)【発明者】
【氏名】マクマイケル,トッド ロバート
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-001602(JP,A)
【文献】実開昭58-162110(JP,U)
【文献】特開2005-148526(JP,A)
【文献】特開2000-028886(JP,A)
【文献】特開2005-260495(JP,A)
【文献】特開平05-203854(JP,A)
【文献】米国特許第06229657(US,B1)
【文献】韓国公開特許第2000-0005765(KR,A)
【文献】特開2005-250495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0190462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置であって、
前記光学アセンブリを支持するように構成されたチャックと、
前記チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を備える調整可能な撓曲体アセンブリと
を備え、
前記複数の撓曲体は、前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体の各々が前記光学アセンブリに接触するように、前記チャックに対して位置決めされ、
前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、前記光学アセンブリの光学コンポーネントの光軸の位置合わせが調整され、前記位置合わせ装置は、前記光学コンポーネントの光軸を約1,000μrad未満の偏差角に位置合わせして、1000:1以上の前記光学アセンブリ内の消光比を提供するように構成され、
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記チャックの周囲に配置された先端傾斜アセンブリをさらに備え、前記先端傾斜アセンブリは、
支持面を画定するベースプレートと、
前記ベースプレートに調整可能に結合され、前記複数の撓曲体を支持する調整可能なプレートと、
前記調整可能なプレートの位置を前記ベースプレートの前記支持面に対して調整するように構成された1つ以上の調整アクチュエータと
を備える、
位置合わせ装置。
【請求項2】
前記ベースプレートは、ベースプレート開口を画定し、
前記調整可能なプレートは、前記ベースプレート開口と位置合わせされた調整可能なプレート開口を画定し、
前記ベースプレート開口および前記調整可能なプレート開口は、前記チャックを通過させることができるように寸法設定される、
請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記1つ以上の調整アクチュエータは、前記ベースプレートの前記支持面に対する前記調整可能なプレートの傾斜を調整するように構成されている、請求項2記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
各々の撓曲体クランプは、前記調整可能なプレートに結合され、
前記調整可能なプレートに固定的に結合された固定部と、
前記複数の撓曲体のうちの所定の撓曲体が結合された摺動部と、
前記固定部を前記摺動部に結合する可撓性ウェビングと
を備え、前記調整可能な撓曲体アセンブリは、各々の撓曲体クランプに関連付けられた摺動アクチュエータをさらに備え、前記摺動アクチュエータは、前記撓曲体クランプの前記摺動部に接触して、前記摺動部を前記調整可能なプレートに対して変位させ、これにより、前記可撓性ウェビングを撓ませて、前記撓曲体クランプに結合された前記撓曲体の位置を前記調整可能なプレートおよび前記チャックに対して調整するように構成されている、
請求項3記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための方法であって、
前記光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置であって、
前記光学アセンブリを支持し、第1のレンズが位置決めされるように構成されたチャックと、
前記チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を備える調整可能な撓曲体アセンブリと
を備え、
前記複数の撓曲体は、前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体の各々が前記光学アセンブリに接触するように、前記チャックに対して位置決めされ、
前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、前記光学アセンブリの光学コンポーネントの光軸の位置合わせが調整される、
前記位置合わせ装置上に、第1のレンズ光軸を含む前記第1のレンズを配置するステップと、
前記第1のレンズの結合面に液体を被着するステップと、
第2のレンズ光軸を含む第2のレンズを、前記液体が前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に配置されるように、前記第1のレンズの前記結合面上に配置するステップと、
前記第2のレンズの縁部を前記複数の撓曲体に接触させるステップと、
前記第2のレンズに接触している前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置を調整するステップと、
前記第1のレンズ光軸と前記第2のレンズ光軸との間の偏差角が約1,000μrad未満であり、前記光学アセンブリの消光比が1000:1以上であるように、前記第2のレンズの前記第2のレンズ光軸を前記第1のレンズの前記第1のレンズ光軸と位置合わせするステップと
を含み、
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記チャックの周囲に配置された先端傾斜アセンブリをさらに備え、前記先端傾斜アセンブリは、
支持面を画定するベースプレートと、
前記ベースプレートに調整可能に結合され、前記複数の撓曲体を支持する調整可能なプレートと、
前記調整可能なプレートの位置を前記ベースプレートの前記支持面に対して調整するように構成された1つ以上の調整アクチュエータと
を備える、方法。
【請求項6】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの光軸位置合わせを偏芯測定装置で測定するステップと、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの前記光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、前記液体を蒸発させるステップと
をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1のレンズは、凸結合面を備え、前記第2のレンズは、凹結合面を備え、前記第2のレンズの前記凹結合面は、前記第1のレンズの前記凸結合面に前記液体により接触する、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記液体は、光学接着剤である、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、前記光学接着剤を硬化させるステップをさらに含む、請求項8記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、米国特許法第119条のもと、2019年8月23日に出願された米国仮特許出願第62/891,055号明細書および2019年9月19日に出願された米国仮特許出願第62/902,667号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、光学アセンブリならびに光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための装置および方法、より詳細には、光学アセンブリのレンズの光軸を位置合わせするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学アセンブリ、例えば、「ダブレット」または「トリプレット」は、隣接する光学表面同士の間に光学接着剤により互いに接着された2つ以上のレンズを含んでよい。このような装置は、一定範囲の用途、例えば、限定するものではないが、半導体検査、顕微鏡撮像、可視光カメラ等において、紫外線および可視波長撮像対物レンズに使用することができる。
【0004】
光学アセンブリの製造中には、個々のレンズの光軸を適切に位置合わせすることが所望されており、このことは、所望の位置合わせ許容範囲に応じて困難であると判っている場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された光学性能のために、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための代替的な装置および方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置は、光学アセンブリを支持するように構成されたチャックと、チャックの周囲に配置される撓曲体アセンブリとを備える。調整可能な撓曲体は、複数の撓曲体を備える。複数の撓曲体は、光学アセンブリがチャック上に位置決めされたときに、複数の撓曲体の各々が光学アセンブリに接触するように、チャックに対して位置決めされる。光学アセンブリがチャック上に位置決めされたときに、複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、光学アセンブリの光学コンポーネントの光軸の位置合わせが調整され、位置合わせ装置は、光学コンポーネントの光軸を約1,000μrad未満の偏差角に位置合わせして、1000:1以上の光学アセンブリ内の消光比を提供するように構成されている。
【0007】
第1の態様に係る第2の態様では、調整可能な撓曲体アセンブリは、基準軸線を中心に回転可能である。
【0008】
第2の態様に係る第3の態様では、チャックは、基準軸線を中心に回転可能である。
【0009】
第1から第3の態様までのいずれか1つに係る第4の態様では、チャックは、真空通路を備え、光学アセンブリは、真空通路を通して提供される真空圧によりチャック上に支持される。
【0010】
第1から第4の態様までのいずれか1つに係る第5の態様では、調整可能な撓曲体アセンブリは、チャックの周囲に配置された先端傾斜アセンブリをさらに備える。先端傾斜アセンブリは、支持面を画定するベースプレートと、ベースプレートに調整可能に結合され、複数の撓曲体を支持する調整可能なプレートと、調整可能なプレートの位置をベースプレートの支持面に対して調整するように構成された1つ以上の調整アクチュエータとを備える。
【0011】
第5の態様に係る第6の態様では、チャックを支持するカラムをさらに備え、調整可能な撓曲体アセンブリは、カラムの周囲に配置され、カラムの長さに沿って調整可能に位置決めされるように、カラムに沿って摺動可能である。
【0012】
第5または第6の態様に係る第7の態様では、ベースプレートは、ベースプレート開口を画定し、調整可能なプレートは、ベースプレート開口と位置合わせされた調整可能なプレート開口を画定し、ベースプレート開口および調整可能なプレート開口は、チャックを通過させることができるように寸法設定される。
【0013】
第5から第7の態様までのいずれか1つに係る第8の態様では、1つ以上の調整アクチュエータは、ベースプレートの支持面に対する調整可能なプレートの傾斜を調整するように構成されている。
【0014】
第5から第8の態様までのいずれか1つに係る第9の態様では、調整可能なプレートに結合された複数の撓曲体クランプをさらに備える。
【0015】
第9の態様に係る第10の態様では、各々の撓曲体クランプは、調整可能なプレートに結合される。各々の撓曲体クランプは、調整可能なプレートに固定的に結合された固定部と、複数の撓曲体のうちの所定の撓曲体が結合された摺動部と、固定部を摺動部に結合する可撓性ウェビングとを備える。調整可能な撓曲体アセンブリは、各々の撓曲体クランプに関連付けられた摺動アクチュエータをさらに備え、摺動アクチュエータは、撓曲体クランプの摺動部に接触して、摺動部を調整可能なプレートに対して変位させ、これにより、可撓性ウェビングを撓ませて、撓曲体クランプに結合された撓曲体の位置を調整可能なプレートおよびチャックに対して調整するように構成されている。
【0016】
第10の態様に係る第11の態様では、撓曲体クランプの摺動部に近接する調整可能なプレートに結合された複数の停止部をさらに備え、各々の停止部は、撓曲体クランプの摺動部の摺動を制限する。
【0017】
第1から第11の態様までのいずれか1つに係る第12の態様では、光学アセンブリの1つ以上のコンポーネントの光軸位置合わせを測定するように構成された偏芯測定装置をさらに備える。
【0018】
第1から第12の態様までのいずれか1つに係る第13の態様では、複数の撓曲体により光学コンポーネントに適用される力/変位比が、約1.0×10-6N/mm~約2×10-6N/mmである。
【0019】
第1から第13の態様までのいずれか1つに係る第14の態様では、複数の撓曲体の各々の撓曲体は、約80:1~約160:1の直径に対する長さの比を含む。
【0020】
第15の態様では、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための方法は、第1のレンズ光軸を含む第1のレンズを、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置のチャック上に配置するステップと、第1のレンズの結合面に液体を被着するステップと、第2のレンズ光軸を含む第2のレンズを、液体が第1のレンズと第2のレンズとの間に配置されるように、第1のレンズの結合面上に配置するステップと、第2のレンズの縁部を複数の撓曲体に接触させるステップと、第2のレンズに接触している複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置を調整し、これにより、第2のレンズの第2のレンズ光軸を第1のレンズの第1のレンズ光軸と位置合わせするステップとを含む。
【0021】
第15の態様に係る第16の態様では、位置合わせ装置を、基準軸線を中心に回転させるステップをさらに含む。
【0022】
第15または第16の態様に係る第17の態様では、第1のレンズと第2のレンズとの光軸位置合わせを偏芯測定装置で測定するステップと、第1のレンズと第2のレンズとの光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、液体を蒸発させるステップとをさらに含む。
【0023】
第15から第17の態様までのいずれか1つに係る第18の態様では、第1のレンズは、凸結合面を備え、第2のレンズは、凹結合面を備え、第2のレンズの凹結合面は、第1のレンズの凸結合面に液体により接触する。
【0024】
第19の態様では、光学アセンブリは、第1のレンズと、第2のレンズと、第1のレンズと第2のレンズとを結合させる光学接着剤とを備える。第1のレンズは、第1のレンズ光軸を備え、第2のレンズは、第2のレンズ光軸を備える。第1のレンズ光軸は、第1のレンズ光軸と第2のレンズ光軸との間の偏差角が約1,000μrad未満であるように、第2のレンズ光軸と位置合わせされる。第1のレンズ光軸と第2のレンズ光軸との位置合わせ中に、光学アセンブリ内の応力分布を低下させるように、第1のレンズと第2のレンズとの間に液体が配置され、光学アセンブリの消光比が、1000:1以上である。
【0025】
第19の態様に係る第20の態様では、第1のレンズは、凹結合面を備え、第2のレンズは、凸結合面を備え、第1のレンズの凹結合面は、第2のレンズの凸結合面に接合される。
【0026】
第19または第20の態様に係る第21の態様では、元の液体は、約500cps(約500mPa・s)未満の粘度を含む。
【0027】
第19から第21の態様までのいずれか1つに係る第22の態様では、元の液体は、約10cps(約10mPa・s)~500cps(500mPa・s)の粘度を含む。
【0028】
第19から第22の態様までのいずれか1つに係る第23の態様では、第1のレンズ光軸と第2のレンズ光軸との間の偏差角は、約10μrad未満である。
【0029】
第19から第23の態様までのいずれか1つに係る第24の態様では、第1のレンズ光軸と第2のレンズ光軸との間の偏差角は、約1μrad未満である。
【0030】
第19から第24の態様までのいずれか1つに係る第25の態様では、第1のレンズは、第2のレンズに分子的に接合される。
【0031】
第26の態様では、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための方法は、第1のレンズ光軸を含む第1のレンズを、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置上に配置するステップを含む。位置合わせ装置は、光学アセンブリを支持し、第1のレンズが位置決めされるように構成されたチャックと、チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を備える調整可能な撓曲体アセンブリとを備える。複数の撓曲体は、光学アセンブリがチャック上に位置決めされたときに、複数の撓曲体の各々が光学アセンブリに接触するように、チャックに対して位置決めされる。光学アセンブリがチャック上に位置決めされたときに、複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、光学アセンブリの光学コンポーネントの光軸の位置合わせが調整される。方法は、第1のレンズの結合面に液体を被着するステップと、第2のレンズ光軸を含む第2のレンズを、液体が第1のレンズと第2のレンズとの間に配置されるように、第1のレンズの結合面上に配置するステップと、第2のレンズの縁部を複数の撓曲体に接触させるステップと、第2のレンズに接触している複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置を調整するステップと、第1のレンズ光軸と第2のレンズ光軸との間の偏差角が約1,000μrad未満であり、光学アセンブリの消光比が1000:1以上であるように、第2のレンズの第2のレンズ光軸を第1のレンズの第1のレンズ光軸と位置合わせするステップとをさらに含む。
【0032】
第26の態様に係る第27の態様では、第1のレンズと第2のレンズとの光軸位置合わせを偏芯測定装置で測定するステップと、第1のレンズと第2のレンズとの光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、液体を蒸発させるステップとをさらに含む。
【0033】
第26または第27の態様に係る第28の態様では、第1のレンズは、凸結合面を備え、第2のレンズは、凹結合面を備え、第2のレンズの凹結合面は、第1のレンズの凸結合面に液体により接触する。
【0034】
第26または第28の態様に係る第29の態様では、液体は、光学接着剤である。
【0035】
第29の態様に係る第30の態様では、第1のレンズと第2のレンズとの光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、光学接着剤を硬化させるステップをさらに含む。
【0036】
第26から第30の態様までのいずれか1つに係る第31の態様では、調整可能な撓曲体アセンブリは、基準軸線を中心に回転可能である。
【0037】
第31の態様に係る第32の態様では、チャックは、基準軸線を中心に回転可能である。
【0038】
第26から第32の態様までのいずれか1つに係る第33の態様では、チャックは、真空通路を備え、光学アセンブリは、真空通路を通して提供される真空圧によりチャック上に支持される。
【0039】
第26から第33の態様までのいずれか1つに係る第34の態様では、調整可能な撓曲体アセンブリは、チャックの周囲に配置された先端傾斜アセンブリをさらに備える。先端傾斜アセンブリは、支持面を画定するベースプレートと、ベースプレートに調整可能に結合され、複数の撓曲体を支持する調整可能なプレートと、調整可能なプレートの位置をベースプレートの支持面に対して調整するように構成された1つ以上の調整アクチュエータとを備える。
【0040】
第34の態様に係る第35の態様では、位置合わせ装置は、チャックを支持するカラムをさらに備え、調整可能な撓曲体アセンブリは、カラムの周囲に配置され、カラムの長さに沿って調整可能に位置決めされるように、カラムに沿って摺動可能である。
【0041】
第34または第35の態様に係る第36の態様では、ベースプレートは、ベースプレート開口を画定し、調整可能なプレートは、ベースプレート開口と位置合わせされた調整可能なプレート開口を画定し、ベースプレート開口および調整可能なプレート開口は、チャックを通過させることができるように寸法設定される。
【0042】
第34から第36の態様までのいずれか1つに係る第37の態様では、1つ以上の調整アクチュエータは、ベースプレートの支持面に対する調整可能なプレートの傾斜を調整するように構成されている。
【0043】
第34から第37の態様までのいずれか1つに係る第38の態様では、調整可能な撓曲体アセンブリは、調整可能なプレートに結合された複数の撓曲体クランプをさらに備える。
【0044】
第38の態様に係る第39の態様では、各々の撓曲体クランプは、調整可能なプレートに結合され、調整可能なプレートに固定的に結合された固定部と、複数の撓曲体のうちの所定の撓曲体が結合された摺動部と、固定部を摺動部に結合する可撓性ウェビングとを備え、調整可能な撓曲体アセンブリは、各々の撓曲体クランプに関連付けられた摺動アクチュエータをさらに備え、摺動アクチュエータは、撓曲体クランプの摺動部に接触して、摺動部を調整可能なプレートに対して変位させ、これにより、可撓性ウェビングを撓ませて、撓曲体クランプに結合された撓曲体の位置を調整可能なプレートおよびチャックに対して調整するように構成されている。
【0045】
第39の態様に係る第40の態様では、調整可能な撓曲体アセンブリは、撓曲体クランプの摺動部に近接する調整可能なプレートに結合された複数の停止部をさらに備え、各々の停止部は、撓曲体クランプの摺動部の摺動を制限する。
【0046】
第26から第40の態様までのいずれか1つに係る第41の態様では、位置合わせ装置は、光学アセンブリの1つ以上のコンポーネントの光軸位置合わせを測定するように構成された偏芯測定装置をさらに備える。
【0047】
本明細書に記載された実施形態により提供されるこれらの特徴および追加の特徴は、図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図面で説明された実施形態は、本質的に例証的かつ例示的なものであり、特許請求の範囲により定義された主題を限定することを意図するものではない。例証的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと理解することができる。図面において、同様の構造は、同様の参照符号で示される。
図1A】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る光学アセンブリのコンポーネントの事前位置合わせ配向を示す。
図1B】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る図1Aの位置合わせ後の光学アセンブリを示す。
図2A】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置を示す。
図2B】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る図2Aの位置合わせ装置の断面を示す。
図2C】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る傾斜構成を示す図2Aの位置合わせ装置の部分断面を示す。
図3】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせする方法のフローチャートを示す。
図4A】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る位置合わせ装置のチャック上に位置決めされた第1のレンズを示す。
図4B】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る図4Aの第1のレンズ上に位置決めされた第2のレンズを示す。
図4C】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に係る第1のレンズの第1の光軸と第2のレンズの第2の光軸との位置合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書に記載された実施形態は、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための装置および方法を対象とする。例えば、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置は、光学アセンブリを支持するように構成されたチャックと、調整可能な撓曲体アセンブリとを含むことができる。調整可能な撓曲体アセンブリは、チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を含むことができる。複数の撓曲体は、光学アセンブリ、例えば、光学アセンブリの縁部に接触するように構成されている。複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、光学アセンブリの1つ以上のコンポーネント(例えば、レンズ)の光軸位置合わせが調整される。したがって、光学アセンブリの種々のコンポーネントの光軸の位置合わせを達成することができる。撓曲体は、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせにおいて変位させるための僅かな接触力を提供することができる。このような僅かな接触力により、光学コンポーネント同士の間に配置された光学接着剤内の力の外乱および応力を減少させることで、光学アセンブリの品質および光学特性を改善することができる。位置合わせ装置および位置合わせ方法ならびに光学アセンブリの種々の実施形態を、本明細書においてより詳細に説明するものとする。
【0050】
本明細書において、範囲を、「約」ある特定の値からかつ/または「約」別の特定の値までと表現することができる。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、ある特定の値からかつ/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、近似値として表現される場合、先行する「約」を使用することにより、特定の値が、別の実施形態を形成すると理解されるであろう。範囲それぞれの終点は、他方の点との関連において両方とも重要でありかつ他方の終点とは独立している。
【0051】
本明細書で使用される方向用語、例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部、上側、下側は、描かれた図面に対してのみ参照され、絶対的な向きを暗示することを意図するものではない。
【0052】
特に断らない限り、本明細書で説明された任意の方法は、そのステップが特定の順序で実行されることを必要とするものとして解釈されることも、任意の装置が特定の向きを必要とするものとして解釈されることも、決して意図されていない。したがって、方法クレームが、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していない場合または任意の装置クレームが、個々のコンポーネントに対する順序もしくは向きを実際に列挙していない場合またはステップが特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲もしくは説明に何等かの方法で具体的に記述されていない場合または装置のコンポーネントに対する特定の順序もしくは向きが列挙されていない場合、いかなる観点においても、順序または向きが推論されることは決して意図されない。これは、ステップの配置、動作フロー、コンポーネントの順序またはコンポーネントの向きに関する論理の事項、文法編成または句読点から導出される平易な意味および本明細書に記載された実施形態の数または種類を含む、解釈のための任意の可能性のある非明示的な基礎に当てはまる。
【0053】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。このため、例えば、「a」コンポーネントへの言及は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、2つ以上のこのようなコンポーネントを有する態様を含む。
【0054】
ここから、図1Aおよび図1Bを参照すると、光学アセンブリ10が一般的に描かれている。本明細書で使用する場合、「光学アセンブリ」は、光の透過を導く光学コンポーネント(例えば、レンズ、ミラー等)の配列である。光学アセンブリ10は、それぞれが光軸を含む種々のコンポーネントを含むことができる。本明細書で使用する場合、光軸は、レンズの表面の曲率中心を通る仮想線または線分である。特に、光学アセンブリ10は、第1のレンズ光軸21を含む第1のレンズ20と、第2のレンズ光軸31を含む第2のレンズ30とを含むことができる。
【0055】
光学アセンブリ(例えば、ダブレット、トリプレット等)の従来の製造中に、第1のレンズ光軸21と第2のレンズ光軸31との精密な位置合わせが望まれる。位置合わせは、特に、種々のサイズ、嵌合湾曲および湾曲の向きのレンズを扱う場合に、面倒かつ困難なプロセスとなる場合がある。例えば、光軸21、31が位置合わせされるように、上側レンズを下側レンズに対して好ましい向きに安定させることは困難である場合がある。これは、特に、小さな曲率半径を有する(例えば、10mm以下の直径を有する)小さなレンズに当てはまる場合がある。
【0056】
本明細書に記載された実施形態は、所望の位置合わせを提供するために、上側レンズと下側レンズとを安定化させるための装置および方法を対象とする。さらに、本明細書で提供された実施形態を、マイクロ光学コンポーネント(例えば、2~3mm以下の縁部厚さおよび8mm未満の直径を有するレンズ)の位置合わせに使用することができる。さらに、本明細書で提供された実施形態により、従来の組立技術(すなわち、接着剤が、位置合わせ中に少なくとも部分的に硬化される)と同程度に、光学素子または接続接着剤層に応力を加えない低い接触力を提供することができる。さらに、実施形態により、サブマイクロメートルおよび/またはマイクロメートルラジアンレベルの位置合わせのための微調整を提供することができる。
【0057】
さらに図1Aおよび図1Bを参照すると、図1Aにおいて、光学アセンブリ10は位置合わせされていない。すなわち、第1のレンズ光軸21は、第2のレンズ光軸31と位置合わせされていない。例えば、この位置合わせされていない状態では、第1のレンズ光軸21と第2のレンズ光軸31との間の偏差角αは、特定の用途または光学アセンブリの種類に応じて、所定の位置合わせ範囲より大きい(例えば、約1,000μradより大きい、約500μradより大きい、約100μradより大きい、約10μradより大きい、約1μradより大きい等)。
【0058】
対照的に、図1Bは、第2のレンズ光軸31と位置合わせされた第1のレンズ光軸21を示す。第1のレンズ光軸21が、第2のレンズ光軸31と一致して示されているが、第1のレンズ光軸21と第2のレンズ光軸31との間の偏差角αが、所定の位置合わせ範囲内にある場合には、光学アセンブリ10が位置合わせされていると考えることができる。例えば、偏差角αが約1,000μrad未満、約500μrad未満、約100μrad未満、約10μrad未満、約1μrad未満等である場合に、位置合わせを達成することができる。偏差角αの所定の閾値を、光学アセンブリ10の特定の制約または最終使用により決めることができる。
【0059】
本明細書に記載された実施形態では、第1のレンズ20は、第1のレンズ光軸21が貫通して延びる第1のレンズ20の少なくとも1つの表面が凸状であるように、凸レンズ(例えば、両凸、等凸、平凸、凸凹、メニスカス等)であることができる。例えば、第1のレンズ20は、第1のレンズの第1の表面22と、第1のレンズの第1の表面22とは反対側の第1のレンズの結合面24とを含むことができる。特に、第1のレンズの結合面24は、凸結合面であることができる。
【0060】
第1のレンズ20の対向する表面(すなわち、第1のレンズ第1の表面22および第1のレンズの結合面24)は、凸状であるように示されているが、実施形態において、第1のレンズ20の一方の表面のみが凸状であることができ、一方、反対側の表面は、平坦または凹状であることが留意される。第1のレンズ20の対向する表面が、両方とも凸状である実施形態では、湾曲面の半径は同じかまたは異なることができる。
【0061】
第2のレンズ30は、第2のレンズ光軸31が貫通して延びる第2のレンズ30の少なくとも1つの表面が凹状であるように、凹レンズ(例えば、両凹、等凹、平凹、メニスカス、凸凹等)であることができる。例えば、第2のレンズ30は、第2のレンズの第1の表面34と、第2のレンズの第1の表面34とは反対側の第2のレンズの結合面32とを含むことができる。特に、第2のレンズの結合面32は、凹結合面であることができる。
【0062】
第2のレンズ30の対向する表面(すなわち、第2のレンズの第1の表面34および第2のレンズの結合面32)は、凹状であるように示されているが、実施形態において、一方の表面のみが凹状であることができ、一方、反対側の表面は、平坦または凸状であることが留意される。第2のレンズ30の対向する表面が、両方とも凹状である実施形態では、湾曲面の半径は同じかまたは異なることができる。
【0063】
さらに、図1Aおよび図1Bを参照すると、第2のレンズ30の凹結合面32は、光学接着剤40により、第1のレンズ20の凸結合面24に接着されている場合がある。実施形態において、凹結合面32および凸結合面24は、第1のレンズ20の凸結合面24が第2のレンズ30の凹結合面32内に入れ子になるように、同様の半径を有することができる。
【0064】
光学アセンブリ10が、図1Aおよび図1Bに示すように、第1のレンズ20および第2のレンズ30のみを含む場合、光学アセンブリ10を、ダブレットと呼ぶことができる。ただし、追加のレンズを光学アセンブリ10に加えることができることが留意される。例えば、第3のレンズを、光学アセンブリ10の自由表面に結合することができる(例えば、第3のレンズを、第1のレンズの第1の表面22または第2のレンズの第1の表面34に結合することができる)。第3のレンズは、第1のレンズ20または第2のレンズ30の表面と嵌合するように、凸状、凹状または平坦であることができる。3つのレンズを有する光学アセンブリ10を、トリプレットと呼ぶことができる。第3のレンズを、第1のレンズ20を第2のレンズ30に結合するのに使用されるのと同じかまたは異なる光学接着剤を使用して、光学アセンブリ10に接着することができる。光学アセンブリを形成するために、より多数のレンズ同士を結合することができることが留意される。
【0065】
上記されたように、光学接着剤40は、第1のレンズ20を第2のレンズ30に結合するために提供される。光学アセンブリ10のレンズを接合するのに使用される光学接着剤40の特性(例えば、屈折率、厚さ、熱膨張係数等)は、光学性能に影響を及ぼす場合がある。特に、光学接着剤を、最終光学アセンブリの顕著な特性を向上させるように選択することができる。また、光学接着剤を、光学アセンブリ10の製造可能性に影響を及ぼす場合がある接着剤の特性、例えば、硬化時間、硬化温度、収縮等に基づいて選択することができる。したがって、特定の用途に応じて、任意の市販の光学接着剤を使用することができる。実施形態において、光学接着剤を、液体として提供することができる。光学接着剤40を、レンズ間に被着し、その後、レンズ間の所望の位置合わせが達成されると、(例えば、UV硬化、IR硬化、熱硬化、時限硬化等により)硬化させることができる。実施形態において、光学接着剤40は、約500cps(約500mPa・s)未満または約10cps(約10mPa・s)~500cps(500mPa・s)の硬化前または未硬化粘度を有することができる。ただし、光学接着剤40についての他の粘度が企図され、可能であると理解されたい。一部の実施形態では、光学接着剤40を、約10μm~約15μmの厚さの層で被着することができる。
【0066】
上記されたように、2つ以上のレンズを有する光学アセンブリを製造することは面倒である場合がある。特に、種々のレンズの各光軸を適切に位置合わせことは困難である場合がある。加えて、位置合わせ中に光学接着剤40を硬化させることは、光学アセンブリ10の光学特性に影響を及ぼす場合がある。従来、組立中にレンズの安定した位置決めを提供するための1つの技術は、粘性接着剤を使用することであり、粘性接着剤により、別のレンズに対するレンズの位置決めドリフト(例えば、滑り落ち)の減少が可能となる場合がある。ただし、このような粘性接着剤は、低粘度接着剤と比較して、光学的特性が劣る場合がある。別の技術は、光学接着剤40を部分的に硬化させることであることができ、これにより、光学接着剤40の粘度を上昇させ、位置合わせ中の力に対するレンズの応答を改善することができる。ただし、光学接着剤40の光学特性は、部分的に硬化された段階の間に、せん断応力または圧縮が導入されることにより悪影響を受ける場合があり、その結果、光学アセンブリ10に応力複屈折が生じる場合がある。応力の導入およびその結果としての応力複屈折により、光学アセンブリ10の光学的品質が劣化する。例えば、応力複屈折により、透過光の偏光状態の変化が誘発される場合がある。本明細書で提供された実施形態は、光学素子の種々のコンポーネントの光軸を、液状で未硬化状態にある光学接着剤40と位置合わせして、位置合わせ段階中の応力の導入を低減しまたは実質的に排除することを含むことができる。したがって、光学接着剤40が少なくとも部分的に硬化されている間に位置合わせが行われる光学アセンブリとは対照的に、光学アセンブリ10内の応力分布の低減を達成することができる。
【0067】
例えば、光学接着剤40を、第1のレンズの結合面24、第2のレンズの結合面32またはそれらの組み合わせに被覆されるまたは他の方法で被着される液体接着剤として提供することができる。光学接着剤40が未硬化の液体状態にある間、第1のレンズの光軸21と第2のレンズ光軸31とを、本明細書においてより詳細に記載されるような装置および方法を使用して位置合わせすることができる。所定の位置合わせ閾値に位置合わせされると、光学接着剤40を、第1のレンズ20を第2のレンズ30にしっかりと固定するように硬化させることができる。光学接着剤40は、液状の未硬化状態で提供されるため、光学接着剤40は、第1のレンズ20および/または第2のレンズ30の移動を支持して、それらの各光軸21、31を位置合わせする液体ベアリングとして機能することができる。したがって、光学アセンブリ10に導入される過度の応力および対応する応力複屈折を回避することができる。
【0068】
ここから、図2Aおよび図2Bを参照すると、光学アセンブリ10の2つ以上のコンポーネントの光軸を位置合わせするための位置合わせ装置100の実施形態が模式的に描かれている。位置合わせ装置100は、一般的には、チャック112と、調整可能な撓曲体アセンブリ120とを含む。本明細書で使用する場合、「チャック」は、ワークピース(例えば、レンズ)を適所に保持する任意の装置である。チャック112および調整可能な撓曲体アセンブリ120を、基準軸線102を画定する回転機構(例えば、回転プラットフォーム、回転ベアリング等)に取り付けることができる。本明細書で使用する場合、「基準軸線」は、幾何学的公差および/または寸法公差が参照される軸である。チャック112および調整可能な撓曲体アセンブリ120を、光学アセンブリ10のコンポーネントを位置合わせするための基準軸線102に対応する共通の回転軸上で回転するように、回転機構に取り付けることができる。チャック112および調整可能な撓曲体アセンブリ120は、互いに同期して基準軸線102を中心に回転することができる。例えば、これに限定されるものではないが、チャック112および調整可能な撓曲体アセンブリ120の両方を支持するカラム104を、チャック112および調整可能な撓曲体アセンブリ120を回転させるように(例えば、電子コントローラにより)制御することができるモータ(図示せず)に結合することができる。実施形態において、チャック112および調整可能な撓曲体アセンブリ120は、手動による作動(例えば、ターンテーブル等)により、(例えば、ベアリングを介して)自由に回転可能である場合がある。実施形態において、位置合わせ装置100を、基準軸線102を中心に回転させることなく、基準軸線102と位置合わせすることができまたは基準軸線102を何等かの方法で画定することができる。
【0069】
カラム104は、チャック112を取り付けることができる上面106を備えることができる。実施形態において、カラム104およびチャック112は互いに一体化されていることができる。実施形態において、カラム104およびチャック112は、チャック112をカラム104にしっかり結合するために、互いに嵌合することができる別個のコンポーネントであることができる。例えば、図2Bを参照すると、カラム104は、その中にチャック112の嵌合部114を受容するように構成されたチャック受容開口108を画定することができる。例えば、嵌合部114は、カラム104のチャック受容開口108内に入れ子になっていることができる。実施形態において、保持タブ115は、チャック受容開口108と係合して、示された座標軸の+Z方向へのチャック112の引き抜きを阻止することができる。チャック112をカラム104に取り付けるために、他の係合機構(例えば、留め具、溶接、ろう付け等)を使用することができる。
【0070】
チャック112は、その上に光学アセンブリ10を支持するように構成されている。例えば、チャック112は、光学アセンブリ10と係合し、光学アセンブリ10を保持するように構成された支持部118を備えることができる。例えば、支持部118は、チャック112の本体117から延在する管状壁であることができる。管状壁は、光学アセンブリ10の表面(例えば、第1のレンズ20の表面)の一部とのみ接触するように構成されていることができる。この壁の管状の形状により、第1のレンズ20の品質領域(例えば、第1のレンズ20の曲率中心に向かう領域)との接触の回避が可能となり、このため、第1のレンズ20の表面品質および光学性能を保持すること可能となる。管状壁は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の断面(例えば、円形、楕円形、長方形または他の規則的もしくは不規則な多角形)を有することができることが留意される。
【0071】
実施形態において、光学アセンブリ10は、1つ以上の固定手段を介して、チャック112に固定される。このような固定手段は、例えば、一時的な接着剤、真空圧等を含むことができるが、これらに限定されない。真空圧が使用される場合、チャック112は、チャック112の支持部118を介して真空圧が達成されて、光学アセンブリ10をチャック112に保持することができるように、真空圧源(図示せず)に配管されていることができる。一部の実施形態では、真空通路119が、チャック112の支持部118からカラム104を通って延在して、真空圧源(図示せず)とチャック112の支持部118との間の流体連通を提供することができる。
【0072】
再度図2Aを参照すると、調整可能な撓曲体アセンブリ120を、チャック112の周囲に配置することができ、チャック112上に位置決めされた光学アセンブリ10のコンポーネント(例えば、レンズ)に接触するように構成された複数の撓曲体(例えば、撓曲体150a、150b、150c)を含むことができる。本明細書で使用する場合、「撓曲体」は、少なくとも1つの平面内で弾性的に変位可能かつ回復可能な可撓性要素である。例えば、複数の撓曲体150a、150b、150cは、複数の撓曲体150a、150b、150cそれぞれの少なくとも一部に平行な平面内で弾性的に変位可能かつ回復可能であることができる。例えば、図2Aに、示された座標軸のX-Y平面に平行に延在する撓曲体150a、150b、150cそれぞれを示す。撓曲体150a、150b、150cは、光学アセンブリ10の位置合わせを調整するために、光学アセンブリ10の縁部に接触するように、X-Y平面内で弾性的に変位可能かつ回復可能である。更なる実施形態では、複数の撓曲体150a、150b、150cは、他のまたは複数の平面(例えば、X-Z平面、Y-Z平面ならびに/またはX-Y平面、X-Z平面および/もしくはY-Z平面に対して角度が付けられた任意の平面)を通して弾性的に変位可能かつ回復可能であることができる。
【0073】
各々の撓曲体150a、150b、150cは、対応する撓曲体クランプ162(本明細書でより詳細に説明される)に結合され、そこからカンチレバー式に支持されることができる。例えば、撓曲体150aを参照すると、撓曲体150aの第1の端部152を、専用の撓曲体クランプ162によりしっかり保持することができ、撓曲体150aの第2の端部153を、撓曲体クランプ162の端部からカンチレバー式に支持されるように、チャック112の支持部118を超えて延在させることができる。撓曲体150a、150b、150cが対応する屈曲クランプ162から延在する長さは、位置合わせされる光学アセンブリ10のサイズにより決めることができる。例えば、各々の撓曲体150a、150b、150cは、光学アセンブリ10がチャック112内に配置されたときに、光学アセンブリ10の縁部またはそのサブコンポーネント(例えば、第2のレンズ30)と接線方向に接触するように延在することができる。一部の実施形態では、1つ以上の撓曲体150a、150bおよび/または150cを、光学アセンブリ10の縁部に垂直な方向において、光学アセンブリ10の縁部に向けることができることが企図される。一部の実施形態では、複数の撓曲体150a、150b、150cを、垂直軸(例えば、示された座標軸のZ軸)に垂直に向けられ、光学アセンブリ10の縁部と半径方向に接触するように位置決めすることができる。
【0074】
各々の撓曲体150a、150b、150cを、光学アセンブリ10の1つ以上のコンポーネントに力を付与するように構成された弾性材料から製造することができる。例えば、各々の撓曲体150a、150b、150cは、鋼、プラスチック等から製造されたワイヤであることができる。各々の撓曲体は、円形、正方形、長方形または任意の他の断面を有することができる。さらに、各々の撓曲体は、真っ直ぐなワイヤとして示されているが、種々の実施形態では、撓曲体は、種々の輪郭形状(例えば、湾曲、フック、s字形、o字形等)を有することができる。複数の撓曲体150a、150bおよび/または150cと光学アセンブリ10との接触は、1つ以上の撓曲体を屈曲させる場合がある。撓曲体150a、150b、150cが弾性的であるため、それらは、屈曲に抵抗し、したがって、撓曲体150a、150b、150cが接触している光学アセンブリ10のコンポーネントに、半径方向調整力を付与する。複数の撓曲体150a、150bおよび/または150cが、光学アセンブリ10に接触したときにゆがむ場合があると企図されるが、このようなゆがみは小規模である場合がある。例えば、ゆがみまたは屈曲は、撓曲体150a、150b、150cの初期位置に対して、数十ナノメートルのスケール(例えば、約10mm未満、約8mm未満、約6mm未満、約1nm~約10mm、例えば、約1nm~約8mm、約1nm~約6mm等)であることができる。ゆがみまたは屈曲の量は、撓曲体150b、150b、150cの自由端(すなわち、光学アセンブリ10に近接する撓曲体の端部)で測定され、屈曲前(すなわち、初期位置)と屈曲後(すなわち、最終位置)との撓曲体150a、150b、150cの位置の差である。光学アセンブリ10のサブコンポーネント(例えば、第2のレンズ30)は、最初は位置合わせされていない(例えば、光軸が許容範囲内に位置合わせされていない)ため、複数の撓曲体150a、150b、150cにより提供される力の不均衡により、光学コンポーネントが所望の位置合わせに導かれる。
【0075】
各々の撓曲体150a、150b、150cは、レンズのサイズおよび/または光学アセンブリ10のコンポーネントを接合するのに使用される光学接着剤40の粘度に基づいて選択することができる撓み剛性(または弾性)を有することができる。例えば、より大きなレンズは、調整に影響を及ぼすために、より剛性ある撓曲体により利益を得ることができ、一方、より小さなレンズは、微調整を提供するために、より可撓性の撓曲体を必要とする場合がある。さらに、より高い粘度を有する光学接着剤40は、光学接着剤40の減衰力を克服するために、より高い撓み剛性を有する撓曲体により利益を得ることができる。
【0076】
調整可能な撓曲体アセンブリ120により、チャック112の支持部118に対して、複数の撓曲体150a、150b、150cのうちの1つ以上の撓曲体150a、150bおよび/または150cの位置の調整が容易となり、チャック112の支持部118上に支持された光学アセンブリ10の1つ以上のコンポーネントの光軸の位置合わせが調整される。例えば、複数の撓曲体150a、150b、150cの位置調整を容易にするために、調整可能な撓曲体アセンブリ120は、先端傾斜アセンブリ122を含むことができる。先端傾斜アセンブリ122は、ベースプレート124と、調整可能なプレート130と、1つ以上の調整アクチュエータ136(図2Bに示される)とを含むことができる。本明細書においてより詳細に説明されるように、調整可能なプレート130を、ベースプレート124に対して傾斜させて、それに結合された複数の撓曲体(150a、150b、150c)の位置を調整することができる。
【0077】
ベースプレート124は、カラム104およびチャック112を摺動可能に受容するためのベースプレート開口126を備えることができる。例えば、ベースプレート124は、カラム104に沿って示された座標軸の+/-Z方向に位置決め可能である。例えば、ベースプレート124は、カラム104に沿って所望の位置まで摺動し、ついで、固定構造121(例えば、ブラケット、カラー、クランプ等)により、それに対して固定することができる。
【0078】
ベースプレート124は、調整可能なプレート130を位置決めすることができる支持面128を画定することができる。ベースプレート124は円形として示されているが、ベースプレート124は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の形状(例えば、楕円形、長方形または任意の規則的もしくは不規則な多角形)であることができることが留意される。示されたように、ベースプレート開口126は、その中をカラム104およびチャック112が通過することができるように寸法設定され、カラム104に対して、示された座標軸の+/-Z方向におけるベースプレート124の高さ調整を可能にする。ベースプレート124をカラム104に対して位置決めすることにより、先端傾斜アセンブリ122全体を、チャック112の支持部118に対して移動させることができる。したがって、異なる寸法の光学アセンブリを、位置合わせ装置100を使用して位置合わせすることができる。すなわち、追加のレンズが、チャック112の支持部118上に位置決めされた光学アセンブリ10に追加されると、ベースプレート124は、追加されたレンズの調整を可能にするために、示された座標軸の+Z方向にカラム104を上方に移動することができる。
【0079】
さらに、カラム104に対する先端傾斜アセンブリ122全体の調整を容易にするために、調整可能なプレート130は、連続した開口がベースプレート124および調整可能なプレート130を通って延在するように、ベースプレート124のベースプレート開口126と位置合わせする調整可能なプレート開口132を画定することができる。ベースプレート開口126および調整可能なプレート開口132は、実質的に等しい直径を有するように示されているが、実施形態において、ベースプレート開口126および調整可能なプレート開口132は、異なる直径を有することができることが留意される。
【0080】
調整可能なプレート130を、1つ以上の調整アクチュエータ136を介して、ベースプレート124に結合することができる。本明細書で使用する場合、調整アクチュエータは、ベースプレート124の支持面128に対する調整可能なプレート130の位置(例えば、傾斜または位置)を調整するように構成されまたは何等かの方法で調整可能な任意の装置を含む。1つ以上の調整アクチュエータ136は、ベースプレート124の支持面128に対して、調整可能なプレート130を傾斜可能またはその位置を何等かの方法で調整可能な任意のアクチュエータを含むことができる。実施形態において、1つ以上の調整アクチュエータ136は、複数の調整アクチュエータを含むことができる。実施形態において、調整アクチュエータの数は、調整可能なプレート130上に配置される撓曲体の数に対応することができる。例えば、3つの撓曲体150a、150b、150cが存在する場合、3つの撓曲体150a、150b、150cの位置に対応する3つの調整アクチュエータが存在し、各々の撓曲体150a、150b、150cの位置の微調整が可能となる。
【0081】
図2Bに、1つ以上の調整アクチュエータ136のアクチュエータの特定の例を示す。このような実施形態では、1つ以上の調整アクチュエータ136は、調整可能なプレート130の下面134に接触するように、ベースプレート124の厚さTにわたって延在するプッシュバー138(例えば、微細ピッチねじ)を含むことができる。プッシュバー138は、第1の端部140および第2の端部141を含むことができる。プッシュバー138の第1の端部140を、プッシュバー138を回転させることにより、ベースプレート124の支持面128を通って延在するプッシュバー138の長さを調整するように構成されたアジャスタ142(例えば、クランク、ノブ、回転アクチュエータ等)に結合することができる。
【0082】
プッシュバー138の第2の端部141は、ベースプレート124の支持面128を通って延在し、調整可能なプレート130の下面134に接触することができる。実施形態において、プッシュバー138の第2の端部141を、調整可能なプレート130がプッシュバー138の第2の端部141の周囲でそれから外れることなく傾斜することを可能にするために、調整可能なプレート130の下面134に結合することができる(例えば、回動可能に結合することができる)。
【0083】
実施形態において、プッシュバー138は、第1の端部140と第2の端部141との間でその長さに沿ってねじ山を有することができる。ねじ山は、ベースプレート124を通って延在するねじ山を有する通路144と係合することができる。このような実施形態では、プッシュバー138のねじり運動により、プッシュバー138がねじ山を有する通路144を横切って、ベースプレート124の支持面128を通って延在し、調整可能なプレート130を押して、ベースプレート124との接触から離すことが可能となることができる。したがって、調整可能なプレート130は、図2Cに示されたように、ベースプレート124の支持面128に対して、傾斜角βで傾斜させることができる。レンズに接触しているとき、調整可能なプレート130を傾斜させることにより、複数の撓曲体150a、150bおよび/または150cを、接触しているレンズ(例えば、第2のレンズ30)の光軸を第1のレンズ20の光軸と位置合わせする位置にレンズを付勢するように、それらが接触しているレンズの位置を押しまたは傾斜させることができる。
【0084】
再度、図2Aを参照すると、複数の撓曲体の各々の撓曲体(150a、150b、150c)は、調整可能なプレート130の上面135に結合された撓曲体アセンブリ(例えば、撓曲体アセンブリ161a、161bまたは161c)の一部であることができる。示された実施形態では、第1の撓曲体アセンブリ161a、第2の撓曲体アセンブリ161bおよび第3の撓曲体アセンブリ161cが提供される。ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、より少ない数またはより多い数の撓曲体アセンブリが存在する場合がある。撓曲体アセンブリ161a、161bおよび161cはそれぞれ、撓曲体クランプ162、摺動アクチュエータ164および停止部166を含むことができる。すなわち、位置合わせ装置100は、複数の撓曲体クランプ、複数の摺動アクチュエータおよび複数の停止部を含むことができる。撓曲体アセンブリ161a、161b、161cはそれぞれ、互いに実質的に同一であることができ、チャック112の周囲に円周方向に間隔をあけて配置することができることが留意される。
【0085】
本明細書で使用する場合、「撓曲体クランプ」は、撓曲体(例えば、撓曲体150a、150bおよび/または150c)を調整可能なプレート130に取り付け可能な任意の装置を含むことができる。撓曲体クランプ162は、調整可能なプレート130の上面135に固定的に結合された固定部163と、摺動部165への力の印加に応じて、調整可能なプレート130の上面135を横切って摺動可能に移動するように構成された摺動部165とを含むことができる。このような摺動移動を容易にするために、摺動部165を、可撓性ウェビング177を介して、固定部163に結合することができる。本明細書で使用する場合、「可撓性ウェビング」という用語は、撓曲体クランプ162の固定部163に対して、小さな断面を有する撓曲体クランプ162の部分である。小さな断面により、可撓性ウェビング177が、少なくとも1つの平面内で弾性的に変位可能かつ回復可能であることが可能となる。実施形態において、可撓性ウェビング177は、摺動部165および固定部163と一体であることができまたは任意の結合技術(接着剤、溶接、留め具等)により、摺動部165および固定部163に結合された別個の物品であることができる。例えば、撓曲体クランプ162を、固定部163、摺動部165および可撓性ウェビング177が一体的に形成されるように、同じ材料ブロック(例えば、プラスチック、金属等)から機械加工しまたは何等かの方法で形成することができる。可撓性ウェビング177は、約3mm以下(例えば、約2mm以下、約1mm以下等)の厚さを有することができる。上記されたように、可撓性ウェビング177は、少なくとも1つの平面内で弾性的に変位可能かつ回復可能である。特に、可撓性ウェビング177は、調整可能なプレート130の上面135に平行な平面内で弾性的に変位可能かつ回復可能であることができる。すなわち、可撓性ウェビング177は、屈曲に対するいくらかの抵抗を提供し、屈曲前のその以前の形状に戻る傾向を提供する撓み剛性を備えることができる。このような撓み剛性により、調整可能なプレート130の上面135を横切る摺動部165の部分に対する微細(ナノメートルスケール)調整が可能となる場合がある。
【0086】
撓曲体クランプ162の固定部163を、例えば、ボルト176または他の結合装置もしくは方法(例えば、留め、接着、ろう付け、溶接等)により、調整可能なプレート130に不動に結合することができる。摺動部165は、撓曲体(例えば、撓曲体150a)を支持するための撓曲体支持面172を画定することができる。摺動部165は、撓曲体150aの位置を撓曲体支持面172に固定するように構成されたクランプ装置174を備えることができる。したがって、クランプ装置174は、撓曲体150aの一部を摺動部165に堅固に保持するように構成された任意の装置を含むことができる。例えば、1つ以上のボルトのフランジ(またはワッシャ)で撓曲体150aを摺動部165にクランプするために、1つ以上のボルトを、摺動部165に結合することができる。
【0087】
調整中、摺動部165は、その上に力が作用したときに、調整可能なプレート130の上面135を横切って摺動するように構成されている。この力により、可撓性ウェビング177に屈曲モーメントが導入される。これにより、異なるサイズの光学アセンブリ(例えば、より大きいまたはより小さい直径(例えば、8mm未満)を有する光学アセンブリ)の位置合わせを容易にすることができるように、チャック112上に支持された光学アセンブリ10に対する撓曲体150aの位置決めが可能となる場合がある。
【0088】
摺動アクチュエータ164を、調整可能なプレート130の上面135に結合することができる。本明細書で使用する場合、「摺動アクチュエータ」は、撓曲体クランプ162の摺動部165を調整可能なプレート130に対する所望の位置に摺動可能または変位可能な任意の装置を含むことができる。例えば、摺動アクチュエータ164を、撓曲体クランプ162の摺動部165の一方の側に位置決めすることができる。摺動アクチュエータ164は、(例えば、ハンドル、クランクもしくは同様の装置を使用して手動でまたは電子アクチュエータを使用して)延長させまたは後退させることができるプランジャ180(例えば、微細ピッチスクリュー)を含むことができる。プランジャ180は、撓曲体クランプ162の摺動部165に接触し、摺動部165を押し、それにより、可撓ウェビング177に屈曲モーメントを導入することができる。この屈曲モーメントにより、摺動部165が所望の位置に変位する。一部の実施形態では、プランジャ180を、調整可能なプレート130の上面135を横切る固定部163を中心に、摺動部165を時計回り方向および/または反時計回り方向に摺動させるのを容易にするために、撓曲体クランプ162の摺動部165に結合することができる。他の実施形態では、プランジャ180を、撓曲体クランプ162の摺動部165に結合しない場合がある。例えば、プランジャ180は、撓曲体クランプ162の摺動部165に接触するだけで、撓曲体クランプ162の摺動部165を、調整可能なプレート130の上面135を横切って移動させ、ついで、撓曲体クランプ162の摺動部165に接触しないように移動させて、摺動部165が、可撓性ウェビング177によりその元の位置に戻るように付勢されることが可能となる。プランジャ180を、電子コントローラを使用して、電子アクチュエータ、空気アクチュエータもしくは油圧アクチュエータにより制御可能に位置決めすることができまたは手動で前進させかつ/もしくは後退させることができる。
【0089】
停止部166を、摺動部165に近接しかつ摺動アクチュエータ164から撓曲体クランプ162の摺動部165の反対側で、調整可能なプレート130に結合することができる。停止部166を、例えば、固定部163を中心とする撓曲体クランプ162の摺動部165の時計回り方向への更なる変位を制限するように位置決めすることができる。停止部166は、撓曲体クランプ162の摺動部165に接触するように前進させて、撓曲体クランプ162の摺動部165を摺動アクチュエータ164と停止部166との間の所望の位置に堅固に保持することができるストッパ部材167(例えば、ボルト、セットスクリュー、スプリング等)または同様の構造を含むことができる。プランジャ180と同様に、ストッパ部材167を、電子コントローラを使用して、電子アクチュエータ、空気アクチュエータもしくは油圧アクチュエータにより制御可能に位置決めすることができまたは手動で前進させかつ/または後退させることができる。
【0090】
使用中に、撓曲体クランプ162の摺動部165を、1つ以上の摺動アクチュエータ164により移動させて、複数の撓曲体150a、150b、150cを光学アセンブリ10の頂部レンズ(例えば、第2のレンズ30)に接触させることができる。このような接触により、複数の撓曲体150a、150b、150cのうちの1つ以上の撓曲体150a、150bおよび/または150cに屈曲モーメントを導入することができる。この屈曲モーメントにより、頂部レンズが所望の位置合わせに付勢される。位置合わせ中の光学アセンブリ10のコンポーネントまたは光学接着剤40内の応力の誘発を緩和するために、複数の撓曲体150a、150b、150cにより光学アセンブリ10に印加される力を比較的低くすることができる。例えば、複数の撓曲体150a、150b、150cの各々の撓曲体(150a、150b、150c)の力/変位比は、約1.0×10-6N/mm~約2×10-6N/mmに等しい場合がある。撓曲体の屈曲は、撓曲体の長さの3乗に比例し、撓曲体の直径の4乗に反比例する。例えば、0.25~0.5mmの直径および約20~約40mmの長さを有する鋼製撓曲体により、約80:1~約160:1の直径に対する長さ比が提供され、10グラム未満の質量を有するレンズを変位させる場合、力/変位比を、従来のビーム屈曲計算を使用して近似させることができる。上記されたように、このような力/変位比は、約1.0×10-6N/mm~約2×10-6N/mmに等しい場合があり、微細な(例えば、マイクロメートルラジアンまたはサブマイクロメートルレベル)調整に十分な力および光学アセンブリ10との接触を維持するのに十分な摩擦を提供することができる。撓曲体の屈曲が大きいほど、それが光学アセンブリ10のコンポーネントに印加する力が小さくなることが留意される。反対に、屈曲が少なすぎると、光学アセンブリ10の光軸を位置合わせための微調整を可能にしない場合がある。
【0091】
複数の撓曲体150a、150bおよび150cを、複数の撓曲体150a、150bおよび150cの1つの撓曲体のみが屈曲し、それにより、その撓曲体において光学アセンブリ10上に増大した力を提供するように、光学アセンブリ10のコンポーネントに接触するように移動させることができることが留意される。一方、光学アセンブリ10に作用する全合力は、2つの対抗する撓曲体(例えば、非屈曲撓曲体)の均衡が1つの屈曲している撓曲体の力を増大させるため大きく変化しない。この不均衡により、光学アセンブリ10のコンポーネントが、複数の撓曲体150a、150b、150cに接触し、光学アセンブリ10内の低い応力状態を維持しながら、位置合わせ状態に移動する。
【0092】
ここから、図4A図4Cを参照すると、位置合わせ装置100は、光学アセンブリの1つ以上のコンポーネントの光軸位置合わせを測定するように構成された偏芯測定装置400、例えば、位置合わせ望遠鏡、変位測定センサまたは他の計測装置をさらに含むことができる。例えば、市販のTrioptics OpticCentric(登録商標)測定装置は、光学物品に向けられた光信号を使用して、頂部レンズの光軸の位置を決定し、位置合わせに関するフィードバックを提供する。偏芯測定装置400は、基準軸線102に対する頂部レンズの光軸の位置を検出しまたは何等かの方法で測定し、位置のフィードバックをユーザ、電子コントローラもしくはそれらの組み合わせに提供することができる。この情報に基づいて、ユーザまたは電子コントローラは、1つ以上の撓曲体150a、150bおよび/または150cの位置を(例えば、1つ以上の調整アクチュエータ136および/または1つ以上の摺動アクチュエータ164により)調整して、所望に応じて、光軸21、31を位置合わせすることができる。図4A図4Cに示されたように、偏芯測定装置400を、チャック112の支持部118上に配置して、その上に位置決めされた光学アセンブリ10の光学位置合わせを測定することができる。
【0093】
図3に、光学アセンブリ10のコンポーネントを位置合わせするための方法200のフローチャートを示す。方法200は、特定の順序で幾つかのステップを示しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くのまたはより少ない数のステップを実行することができることが留意される。さらに、このようなステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、示されたものとは異なる順序で行うことができる。
【0094】
第1のステップ202では、上記されたように、光学アセンブリ10の第1のレンズ20を、チャック112の支持部118上に位置決めすることができる。本明細書に記載されたように、第1のレンズ20を、例えば、真空圧を使用して適所に保持することができる。第1のレンズ光軸21は、このアセンブリの基準軸線102と位置合わせすることができる。例えば、偏芯測定装置400を使用して、第1のレンズ20の第1のレンズ光軸21の位置合わせを、示された座標軸のZ軸に位置合わせされるように決定し、位置決めすることができる。示された実施形態では、第1のレンズ20は、両凸レンズである。第1のレンズ20の凸側をチャック112に接触するように配置することにより、チャック112をレンズに対してより良好にシールすることが可能となることが留意される。また、第1のレンズ20は、本明細書に記載された任意の他のタイプのレンズであることができることが留意される。
【0095】
チャック112と位置合わせされ、チャック112に取り付けられると、第1のレンズ20の第1のレンズ結合面24を、ステップ204において、本明細書に記載されたように、光学接着剤40で被覆することができる。光学接着剤40を、液体状態で被着することができる。ステップ206において、第2のレンズ30を、第1のレンズ20上に配置することができる。第2のレンズ30の第2のレンズ結合面32も、液体光学接着剤40で被覆することができる。第2のレンズ30は、第1のレンズ20の凸面と嵌合するように凹レンズであることができる。第1のレンズ20と第2のレンズ30との最初の係合中に、複数の撓曲体(150a、150b、150c)を、光学アセンブリ10の任意の部分に接触しないように位置決めすることができる。図4Bに示されたように、第2のレンズ30が、第1のレンズ20上に位置決めされると、オペレータは、ステップ210において、複数の撓曲体(150a、150b、150c)を、第2のレンズ30の縁部36に接触するように移動させることができる。上記されたように、複数の撓曲体(150a、150b、150c)を、1つ以上の撓曲体クランプ162の摺動部165に、1つ以上の摺動アクチュエータ164による力を印加して、可撓性ウェビング177に屈曲モーメントを導入し、摺動部165が調整可能なプレート130の上面135を横切って摺動することを可能にすることにより、(例えば、頂部レンズが、凸状上面および非常に小さな縁面を有する場合)レンズの上面に接触させることができる。摺動部165は、調整可能なプレート130の上面135を横切って摺動することができるが、摺動部165は、調整可能なプレート130の上面135に接触している必要はないことが留意される。例えば、図2Bに示されたように、一部の実施形態では、摺動部165および可撓性ウェビング177は、空隙173が摺動部165と調整可能なプレート130の上面135とを分離するように、示された座標軸のZ方向に調整可能なプレート130から離間していることができる。したがって、摺動部165と調整可能なプレート130との間の摩擦を回避することができる。摺動部165を摺動させるとき、可撓性ウェビング177は、少量(例えば、約1mm未満、10μm未満、100nm未満等)ゆがんで、複数の撓曲体150a、150c、150bを配置することができる。さらに、先端傾斜アセンブリ122により、レンズの非品質領域に接触するように、1つ以上の撓曲体150a、150b、150cの適切な位置決めのために、調整可能なプレート130のベースプレート124に対する傾斜を調整することができる。レンズの品質領域への接触を回避する(例えば、光軸から離れる)ことにより、レンズの品質領域への望ましくないダメージを防止することができる。
【0096】
偏芯測定装置400により、第1のレンズ光軸21が位置合わせされた基準軸線102に対する第2のレンズ光軸31の光軸位置合わせを測定することができる。ユーザインタフェース、例えば、ディスプレイを介してオペレータに提供することができるフィードバックに基づいて、オペレータまたは電子コントローラは、ステップ212において、例えば、1つ以上の調整アクチュエータ136および/または1つ以上の摺動アクチュエータ164により、複数の撓曲体(例えば、撓曲体150a、150bおよび/または150c)のうちの1つ以上の撓曲体を調整して、第2のレンズ30の第2のレンズ光軸31を、第1のレンズ20の第1のレンズ光軸21と許容範囲内で位置合わせするように穏やかに移動させることができる。本明細書に記載されたように、光学接着剤40が、液体で未硬化状態にある間に、第2のレンズ30を位置合わせされる位置に移動させることができ、その結果、光学接着剤40は、光学接着剤40が部分的に硬化されたときに生じる場合があるような光学接着剤40の層への応力の導入を低減するための液体ベアリングとして機能する。測定および位置合わせを通して、位置合わせ装置100は、基準軸線102を中心に(例えば、約100RPMで)回転していることができる。位置合わせが、好ましい許容範囲内で達成される(15分以内または約5~15分を要することがある)と、ステップ214において、光学接着剤40を(例えば、IR硬化、時間、UV硬化またはそれらの組み合わせにより)硬化させることができる。硬化後、光学アセンブリ10に追加のレンズを追加して、このプロセスを繰り返すことができる。上記されたように、調整可能な撓曲体アセンブリ120の高さを、光学アセンブリ10に追加のレンズを追加するのを容易にするために、カラム104に沿って調整することができる。
【0097】
一部の実施形態では、光学接着剤40を、位置合わせを補助するための液体ベアリングとして機能する一時的な液体で置き換えることができる。一時的な液体の例は、水、アルコール、水酸化物溶液、これらの任意の組み合わせ等を含むが、これらに限定されない。このような一時的な液体を蒸発させて、第1および第2のレンズの表面の非常に密接な接触を開始しかつ/または表面間の原子レベルでの化学結合を可能にすることができる。例えば、適切な位置合わせが達成されると、上記されたように、第1のレンズ20および第2のレンズ30の2つの対向する表面が、位置合わせされたままで互いに接触するように、液体を蒸発させることができる。ついで、第1のレンズ20と第2のレンズ30との間に原子レベルまたは分子レベルの結合(例えば、拡散結合、光学接触結合、化学的に活性化された結合等による)を達成して、接着剤を含まない結合を提供することができる。すなわち、本明細書に記載された実施形態は、接着剤40または他の低粘度液体(例えば、約500cps(約500mPa・s)未満または約10cps(約10mPa・s)~500cps(500mPa・s))のいずれかを使用して位置合わせを行うことができる。したがって、光学接着剤を使用する位置合わせに関する上記提供された任意の説明は、後に蒸発される一時的な液体を使用する位置合わせにも同様に適用可能である。
【0098】
本明細書に記載された位置合わせ装置100を使用した位置合わせにより、光学アセンブリ10内の応力を低減することができる。上記されたように、応力は、複屈折を生じさせる場合がある。複屈折は、光学アセンブリ10を通る透過光の偏光状態の変化を誘発する。記載された方法および装置を使用した位置合わせにより、アセンブリまたはシステムを通る光透過の偏光状態がシステムの透過強度または透過強度均一性を最大にするように維持されることが可能となる。この特性を、従来の光偏光測定装置(例えば、偏光光源、1つ以上の波長板、分析偏光子および/または検出器を含むが、これらに限定されない)および試験下にある物品またはシステムを使用して定量化して、偏光透過効率比または逆に、特定の偏光状態についての消光比を決定することができる。例えば、偏光性能の測定を、適切な波長のための偏光子および例えば、強度検出器または光学遅延測定を行うためのHinds Instruments(商標)(例えば、Stokes Polarimeters)またはIlis(例えば、Strain Scope(登録商標))からの市販の偏光計装置により行うことができる。例えば、複屈折がほとんどない物品を、直線偏光子測定装置により評価する場合、非常に高い消光比(例えば、10000:1以上)で定量化することができる。顕著な複屈折を有する光学アセンブリは、100:1または200:1のスケールで消光比を示す場合がある。本明細書に記載された位置合わせ方法および装置に供された光学アセンブリは、1000:1超(例えば、1200:1超、1400:1超、1600:1超等)の消光比を示す。一方、部分的に硬化された接着剤を使用して製造された光学アセンブリは、多くの場合、1000:1未満またはさらに600:1未満の消光比を有する。したがって、本明細書に記載された実施形態により、位置合わせ中に部分的に硬化された接着剤を使用して位置合わせされた光学アセンブリと比較して、応力の低減が提供される。
【0099】
ここで、本明細書で提供された実施形態は、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための装置および方法を対象とすると理解されたい。例えば、光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置は、光学アセンブリを支持するように構成されたチャックと、調整可能な撓曲体アセンブリとを含むことができる。調整可能な撓曲体アセンブリは、チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を含むことができる。複数の撓曲体は、光学アセンブリの縁部に接触するように構成されていることができる。複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、光学アセンブリの1つ以上のコンポーネントの光軸位置合わせを調整する。したがって、光学アセンブリの種々のコンポーネントの光軸の位置合わせを達成することができる。撓曲体は、位置合わせを促すために、光学アセンブリのコンポーネントを動かすための僅かな力を提供することができる。このような僅かな接触により、光学コンポーネント間に配置された接着剤内の力の外乱を減少させ、より良質な光学アセンブリを提供することができる。
【0100】
本明細書において、特定の実施形態を図示し、記載してきたが、特許請求された主題の精神および範囲から逸脱することなく、種々の他の変更および修飾を行うことができると理解されたい。さらに、特許請求された主題の種々の態様が、本明細書に記載されてきたが、このような態様は、組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求された主題の範囲内にある全てのこのような変更および修飾をカバーすることが意図されている。
【0101】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0102】
実施形態1
光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置であって、
前記光学アセンブリを支持するように構成されたチャックと、
前記チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を備える調整可能な撓曲体アセンブリと
を備え、
前記複数の撓曲体は、前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体の各々が前記光学アセンブリに接触するように、前記チャックに対して位置決めされ、
前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、前記光学アセンブリの光学コンポーネントの光軸の位置合わせが調整され、前記位置合わせ装置は、前記光学コンポーネントの光軸を約1,000μrad未満の偏差角に位置合わせして、1000:1以上の前記光学アセンブリ内の消光比を提供するように構成されている、
位置合わせ装置。
【0103】
実施形態2
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、基準軸線を中心に回転可能である、実施形態1記載の位置合わせ装置。
【0104】
実施形態3
前記チャックは、前記基準軸線を中心に回転可能である、実施形態2記載の位置合わせ装置。
【0105】
実施形態4
前記チャックは、真空通路を備え、
前記光学アセンブリは、前記真空通路を通して提供される真空圧により前記チャック上に支持される、
実施形態1から3までのいずれか1つ記載の位置合わせ装置。
【0106】
実施形態5
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記チャックの周囲に配置された先端傾斜アセンブリをさらに備え、前記先端傾斜アセンブリは、
支持面を画定するベースプレートと、
前記ベースプレートに調整可能に結合され、前記複数の撓曲体を支持する調整可能なプレートと、
前記調整可能なプレートの位置を前記ベースプレートの前記支持面に対して調整するように構成された1つ以上の調整アクチュエータと
を備える、
実施形態1から4までのいずれか1つ記載の位置合わせ装置。
【0107】
実施形態6
前記チャックを支持するカラムをさらに備え、前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記カラムの周囲に配置され、前記カラムの長さに沿って調整可能に位置決めされるように、前記カラムに沿って摺動可能である、実施形態5記載の位置合わせ装置。
【0108】
実施形態7
前記ベースプレートは、ベースプレート開口を画定し、
前記調整可能なプレートは、前記ベースプレート開口と位置合わせされた調整可能なプレート開口を画定し、
前記ベースプレート開口および前記調整可能なプレート開口は、前記チャックを通過させることができるように寸法設定される、
実施形態5記載の位置合わせ装置。
【0109】
実施形態8
前記1つ以上の調整アクチュエータは、前記ベースプレートの前記支持面に対する前記調整可能なプレートの傾斜を調整するように構成されている、実施形態5記載の位置合わせ装置。
【0110】
実施形態9
前記調整可能なプレートに結合された複数の撓曲体クランプをさらに備える、実施形態5記載の位置合わせ装置。
【0111】
実施形態10
各々の撓曲体クランプは、前記調整可能なプレートに結合され、
前記調整可能なプレートに固定的に結合された固定部と、
前記複数の撓曲体のうちの所定の撓曲体が結合された摺動部と、
前記固定部を前記摺動部に結合する可撓性ウェビングと
を備え、前記調整可能な撓曲体アセンブリは、各々の撓曲体クランプに関連付けられた摺動アクチュエータをさらに備え、前記摺動アクチュエータは、前記撓曲体クランプの前記摺動部に接触して、前記摺動部を前記調整可能なプレートに対して変位させ、これにより、前記可撓性ウェビングを撓ませて、前記撓曲体クランプに結合された前記撓曲体の位置を前記調整可能なプレートおよび前記チャックに対して調整するように構成されている、
実施形態9記載の位置合わせ装置。
【0112】
実施形態11
前記撓曲体クランプの前記摺動部に近接する前記調整可能なプレートに結合された複数の停止部をさらに備え、各々の停止部は、前記撓曲体クランプの前記摺動部の摺動を制限する、実施形態10記載の位置合わせ装置。
【0113】
実施形態12
前記光学アセンブリの1つ以上のコンポーネントの光軸位置合わせを測定するように構成された偏芯測定装置をさらに備える、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の位置合わせ装置。
【0114】
実施形態13
前記複数の撓曲体により前記光学コンポーネントに適用される力/変位比が、約1.0×10-6N/mm~約2×10-6N/mmである、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の光学アセンブリ。
【0115】
実施形態14
前記複数の撓曲体の各々の撓曲体は、約80:1~約160:1の直径に対する長さの比を含む、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の光学アセンブリ。
【0116】
実施形態15
光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための方法であって、
第1のレンズ光軸を含む第1のレンズを、前記光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置のチャック上に配置するステップと、
前記第1のレンズの結合面に液体を被着するステップと、
第2のレンズ光軸を含む第2のレンズを、前記液体が前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に配置されるように、前記第1のレンズの前記結合面上に配置するステップと、
前記第2のレンズの縁部を複数の撓曲体に接触させるステップと、
前記第2のレンズに接触している前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置を調整し、これにより、前記第2のレンズの前記第2のレンズ光軸を前記第1のレンズの前記第1のレンズ光軸と位置合わせするステップと
を含む、方法。
【0117】
実施形態16
前記位置合わせ装置を基準軸線を中心に回転させるステップをさらに含む、実施形態15記載の方法。
【0118】
実施形態17
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの光軸位置合わせを偏芯測定装置で測定するステップと、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、前記液体を蒸発させるステップと
をさらに含む、実施形態15または16記載の方法。
【0119】
実施形態18
前記第1のレンズは、凸結合面を備え、前記第2のレンズは、凹結合面を備え、前記第2のレンズの前記凹結合面は、前記第1のレンズの前記凸結合面に前記液体により接触する、実施形態15から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0120】
実施形態19
光学アセンブリであって、
第1のレンズ光軸を含む第1のレンズと、
第2のレンズ光軸を含む第2のレンズと
を備え、
前記第1のレンズ光軸は、前記第1のレンズ光軸と前記第2のレンズ光軸との間の偏差角が約1,000μrad未満であるように、前記第2のレンズ光軸と位置合わせされ、
前記第1のレンズ光軸と前記第2のレンズ光軸との位置合わせ中に、前記光学アセンブリ内の応力分布を低下させるように、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に液体が配置され、前記光学アセンブリの消光比が、1000:1以上である、
光学アセンブリ。
【0121】
実施形態20
前記第1のレンズは、凹結合面を備え、
前記第2のレンズは、凸結合面を備え、
前記第1のレンズの前記凹結合面は、前記第2のレンズの前記凸結合面に接合される、
実施形態19記載の光学アセンブリ。
【0122】
実施形態21
元の前記液体は、約500cps(約500mPa・s)未満の粘度を含む、実施形態19または20記載の光学アセンブリ。
【0123】
実施形態22
元の前記液体は、約10cps(約10mPa・s)~500cps(500mPa・s)の粘度を含む、実施形態19から21までのいずれか1つ記載の光学アセンブリ。
【0124】
実施形態23
前記第1のレンズ光軸と前記第2のレンズ光軸との間の前記偏差角は、約10μrad未満である、実施形態19から22までのいずれか1つ記載の光学アセンブリ。
【0125】
実施形態24
前記第1のレンズ光軸と前記第2のレンズ光軸との間の前記偏差角は、約1μrad未満である、実施形態23記載の光学アセンブリ。
【0126】
実施形態25
前記第1のレンズは、前記第2のレンズに分子的に接合される、実施形態19から24までのいずれか1つ記載の光学アセンブリ。
【0127】
実施形態26
光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための方法であって、
前記光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための位置合わせ装置であって、
前記光学アセンブリを支持し、前記第1のレンズが位置決めされるように構成されたチャックと、
前記チャックの周囲に配置され、複数の撓曲体を備える調整可能な撓曲体アセンブリと
を備え、
前記複数の撓曲体は、前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体の各々が前記光学アセンブリに接触するように、前記チャックに対して位置決めされ、
前記光学アセンブリが前記チャック上に位置決めされたときに、前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置の調整により、前記光学アセンブリの光学コンポーネントの光軸の位置合わせが調整される、
位置合わせ装置上に、第1のレンズ光軸を含む第1のレンズを配置するステップと、
前記第1のレンズの結合面に液体を被着するステップと、
第2のレンズ光軸を含む第2のレンズを、前記液体が前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に配置されるように、前記第1のレンズの前記結合面上に配置するステップと、
前記第2のレンズの縁部を前記複数の撓曲体に接触させるステップと、
前記第2のレンズに接触している前記複数の撓曲体のうちの1つ以上の撓曲体の位置を調整するステップと、
前記第1のレンズ光軸と前記第2のレンズ光軸との間の偏差角が約1,000μrad未満であり、前記光学アセンブリの消光比が1000:1以上であるように、前記第2のレンズの前記第2のレンズ光軸を前記第1のレンズの前記第1のレンズ光軸と位置合わせするステップと
を含む、方法。
【0128】
実施形態27
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの光軸位置合わせを偏芯測定装置で測定するステップと、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの前記光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、前記液体を蒸発させるステップと
をさらに含む、実施形態26記載の方法。
【0129】
実施形態28
前記第1のレンズは、凸結合面を備え、前記第2のレンズは、凹結合面を備え、前記第2のレンズの前記凹結合面は、前記第1のレンズの前記凸結合面に前記液体により接触する、実施形態26または27記載の方法。
【0130】
実施形態29
前記液体は、光学接着剤である、実施形態26から28までのいずれか1つ記載の方法。
【0131】
実施形態30
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの光軸位置合わせが所定の位置合わせ範囲内にあるときに、前記光学接着剤を硬化させるステップをさらに含む、実施形態29記載の方法。
【0132】
実施形態31
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、基準軸線を中心に回転可能である、実施形態26から30までのいずれか1つ記載の方法。
【0133】
実施形態32
前記チャックは、前記基準軸線を中心に回転可能である、実施形態31記載の方法。
【0134】
実施形態33
前記チャックは、真空通路を備え、
前記光学アセンブリは、前記真空通路を通して提供される真空圧により前記チャック上に支持される、実施形態26から32までのいずれか1つ記載の方法。
【0135】
実施形態34
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記チャックの周囲に配置された先端傾斜アセンブリをさらに備え、前記先端傾斜アセンブリは、
支持面を画定するベースプレートと、
前記ベースプレートに調整可能に結合され、前記複数の撓曲体を支持する調整可能なプレートと、
前記調整可能なプレートの位置を前記ベースプレートの前記支持面に対して調整するように構成された1つ以上の調整アクチュエータと
を備える、
実施形態26から33までのいずれか1つ記載の方法。
【0136】
実施形態35
前記位置合わせ装置は、前記チャックを支持するカラムをさらに備え、前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記カラムの周囲に配置され、前記カラムの長さに沿って調整可能に位置決めされるように、前記カラムに沿って摺動可能である、実施形態34記載の方法。
【0137】
実施形態36
前記ベースプレートは、ベースプレート開口を画定し、
前記調整可能なプレートは、前記ベースプレート開口と位置合わせされた調整可能なプレート開口を画定し、
前記ベースプレート開口および前記調整可能なプレート開口は、前記チャックを通過させることができるように寸法設定される、
実施形態34記載の方法。
【0138】
実施形態37
前記1つ以上の調整アクチュエータは、前記ベースプレートの前記支持面に対する前記調整可能なプレートの傾斜を調整するように構成されている、実施形態34記載の方法。
【0139】
実施形態38
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記調整可能なプレートに結合された複数の撓曲体クランプをさらに備える、実施形態34記載の方法。
【0140】
実施形態39
各々の撓曲体クランプは、前記調整可能なプレートに結合され、
前記調整可能なプレートに固定的に結合された固定部と、
前記複数の撓曲体のうちの所定の撓曲体が結合された摺動部と、
前記固定部を前記摺動部に結合する可撓性ウェビングと
を備え、前記調整可能な撓曲体アセンブリは、各々の撓曲体クランプに関連付けられた摺動アクチュエータをさらに備え、前記摺動アクチュエータは、前記撓曲体クランプの前記摺動部に接触して、前記摺動部を前記調整可能なプレートに対して変位させ、これにより、前記可撓性ウェビングを撓ませて、前記撓曲体クランプに結合された前記撓曲体の位置を前記調整可能なプレートおよび前記チャックに対して調整するように構成されている、
実施形態38記載の方法。
【0141】
実施形態40
前記調整可能な撓曲体アセンブリは、前記撓曲体クランプの前記摺動部に近接する前記調整可能なプレートに結合された複数の停止部をさらに備え、各々の停止部は、前記撓曲体クランプの前記摺動部の摺動を制限する、実施形態39記載の方法。
【0142】
実施形態41
前記位置合わせ装置は、前記光学アセンブリの1つ以上のコンポーネントの光軸位置合わせを測定するように構成された偏芯測定装置をさらに備える、実施形態26から40までのいずれか1つ記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C