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特許7601868自然分解性マイクロカプセル及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】自然分解性マイクロカプセル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/16 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241210BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
B01J13/16 ZBP
A61K8/11
A61K8/19
A61Q17/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022525905
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020009600
(87)【国際公開番号】W WO2021091046
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0140514
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0169897
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0169898
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ソク・ヨム
(72)【発明者】
【氏名】イン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ノ・ジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウ・スン・シム
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503643(JP,A)
【文献】国際公開第2019/179939(WO,A1)
【文献】特開2000-225332(JP,A)
【文献】国際公開第2018/054719(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/16
A61K 8/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子及び第1カプセル化成分を含む連続相1と、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分を含む分散相1を混合してピッカリングエマルジョンを製造する段階;及び
第2カプセル強化成分を含む連続相2と前記ピッカリングエマルジョンを混合してカプセル化する段階を含むマイクロカプセルの製造方法であって、
前記第1カプセル化成分は、生分解性高分子であり、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分は、それぞれアミン基又はヒドロキシ基を含み、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分がアミン基を有するとき、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、アクリレート基又はイソシアネート基を有し、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分がヒドロキシ基を有するとき、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、イソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基を有し、
前記第1カプセル強化成分は、下記化学式2で表示されるモノマー、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される一つ以上の化合物;そのオリゴマー;又はそのポリマーであり:
【化1】
前記化学式2で、R ~R は、それぞれ独立的に、水素;炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数1~5のアルキルイソシアネート;イソシアネート基;炭素数1~5のアルキルアシルハライド基;アシルハライド基;炭素数1~5のアルキルクロロホルメート基;クロロホルメート基;炭素数1~5のアルキルアクリレート基;及びアクリレート基からなる群から選択され、
前記化学式2のR ~R のうちいずれか一つ以上は、イソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基のうち一つを含む化合物である、 自然分解性マイクロカプセルの製造方法。
【請求項2】
前記カプセルに自然分解促進粒子を吸着させる段階を追加で含むことを特徴とする、請求項1に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法。
【請求項3】
第2カプセル化成分は、下記化学式1で表示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法:
【化2】
前記化学式1で、Rは、アクリレート基又はヘテロ原子が置換又は非置換された炭素数1~50のアルキレン基;炭素数3~60の環状炭化水素;又は炭素数1~50のアルキレン基及び炭素数3~60の環状炭化水素を含む化合物であり、
~Xは、それぞれ独立的に、水素、アミン基、アシルハライド基、イソシアネート基、クロロホルメート基及びアクリレート基からなる群より選択され、
nは、1以上の整数である。
【請求項4】
第2カプセル強化成分は、下記化学式3で表示されるモノマー、メラミン及びベンジジンジスルホン酸からなる群より選択される一つ以上の化合物;そのオリゴマー;又はそのポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法:
【化3】
前記化学式3で、R~R13は、それぞれ独立的に、水素;アミン基;ヒドロキシ基;炭素数1~5のアルキル基;炭素数1~5のアルキルアミン基;炭素数1~5のヒドロキシアルキル基;及び炭素数2~5のアルケニル基からなる群から選択され
前記化学式3は、R~R13のうちいずれか一つ以上は、アミン基又はヒドロキシ基のうち一つを含む化合物である。
【請求項5】
ピッカリングエマルジョンは、カプセル強化無機物前駆体を追加で含むことを特徴とする、請求項1に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法。
【請求項6】
カプセル強化無機物前駆体は、下記化学式4で表示される化合物であることを特徴とする、請求項に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法:
【化4】
前記化学式4で、R14~R17は、それぞれ独立的に、水素;炭素数1~5のアルコキシ基;炭素数1~5のアルキル基;又はアミン基、チオール基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基及びエーテル基からなる群より選択された一つ以上の作用基を含む炭素数1~5の炭化水素化合物である。
【請求項7】
前記自然分解促進粒子は、チタン酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、タングステン酸化物、白金、白金酸化物、塩化金からなる群より選択されることを特徴とする、請求項2に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
ピッカリングエマルジョンは、香オイル、紫外線遮断剤、染料、触媒、抗酸化剤及び薬物からなる群より選択される有効物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の自然分解性マイクロカプセルの製造方法。
【請求項9】
請求項1~のうちいずれか1項によって製造されたマイクロカプセル。
【請求項10】
請求項に記載のマイクロカプセルを含むことを特徴とする、繊維柔軟剤組成物。
【請求項11】
第1カプセル化成分、第2カプセル化成分、第1カプセル強化成分、第2カプセル強化成分及び無機粒子を含むことを特徴とする、
記第1カプセル化成分は、生分解性高分子であり、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分は、それぞれアミン基又はヒドロキシ基を含み、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分がアミン基を有するとき、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、アクリレート基又はイソシアネート基を有し、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分がヒドロキシ基を有するとき、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、イソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基を有し、
前記第1カプセル強化成分は、下記化学式2で表示されるモノマー、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される一つ以上の化合物;そのオリゴマー;又はそのポリマーであり:
【化5】
前記化学式2で、R ~R は、それぞれ独立的に、水素;炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数1~5のアルキルイソシアネート;イソシアネート基;炭素数1~5のアルキルアシルハライド基;アシルハライド基;炭素数1~5のアルキルクロロホルメート基;クロロホルメート基;炭素数1~5のアルキルアクリレート基;及びアクリレート基からなる群から選択され、
前記化学式2のR ~R のうちいずれか一つ以上は、イソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基のうち一つを含む化合物である、 自然分解性マイクロカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然分解性マイクロカプセルの製造方法及び前記製造方法によって製造されたマイクロカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
有効成分の効果的な伝達のためにカプセル化方法を用いており、少ない用量の使用でも正確な伝達を行い副作用、有効成分の安定性維持及び費用に関する問題を減らすことができるため、医療/薬学分野で薬物の標的伝達、衛生用品において香料の安定性維持及び使用者が所望する時点での発香、化粧品分野において効能物質の光、熱など外部刺激からの安定性維持及び皮膚伝達、農業分野における殺虫剤、食品分野における栄養成分の安定性及び吸収効率強化など産業分野に多様な形態と目的で応用されている。
【0003】
国際機構では、自然界で分解されず蓄積されて深刻な環境汚染を誘発する微細プラスチック(直径5mm以下の人間が任意に作った物質であって、自然に排出するとき分解されず蓄積される重合体)汚染の原因のうち一つとしてマイクロカプセルを指目している。しかし、微細プラスチックの範疇から脱するために無機粒子で製造したカプセルは、乾燥時に発生する張力や衝撃に弱くて壊れやすく、天然高分子で製造すると、物質固有の微細多孔性によりカプセル内部の有効成分が溶出されてカプセルの安定性が維持されないという問題点があり、微細多孔性を減らして安定性を高めるために架橋結合を用いると、分解性が低くなるという問題点がある。また、容易に分解されるようにエステル結合が導入された物質を用いると、剤形の苛酷な条件(pH変化、温度変化)に耐えられず使用前に分解されるという問題点があるが、現在まで解決策が知られていないか全くない状態である。
【0004】
実際、自然環境で物質の分解は、微生物と光、加水分解などにより起き、国際標準測定法で指定された物質の分解性は、微生物と光による分解法が指定されている。より詳しくは、OECD 301D試験法に基づいて常温の暗室で28日間微生物による分解が60%以上である場合、「直ちに分解される物質」、20~60%である場合、「生分解性がある物質」、20%以下である場合、「分解性がない物質」に分類されているが、OECD 316試験法に基づいては、水系条件でキセノンランプを用いて一日12時間、総30日間光が照射されたときに起きる分解度測定方法が提示されている。炭化水素物質が水と二酸化炭素に分解されるにおいて、実際の自然環境では、光だけでは化学的分解を誘導するエネルギーが不足するため光触媒を導入して分解を促進させる例があるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど炭化水素鎖が主成分である物質の場合、完全に分解されにくいという限界がある。
【0005】
一方、有効成分は、たいてい単分子物質として透過性が高いか酸化性が強いため、外部環境から酸素、活性酸素、遊離基などの酸化物質が浸透して酸化する問題があるので、カプセルの安定性維持のためにカプセル膜の隔離性を高める方法に対する関心が高まっている。有効成分の効果的な担持のためにカプセル化に用いられる素材は、有機素材の高分子から無機素材まで幅広いスペクトラムで用いられ、カプセル膜の透過性を低めるために、高分子界面重合、イオン結合を通じたLayer-by-Layer、pHによる溶解度変化を通じた固形化などの方法が提案された。しかし、このような方法でカプセル膜を強化しても剤形内の界面活性剤やイオン成分、溶媒存在下の苛酷環境で有効成分が溶出されるという限界がある。
【0006】
一例として、ポリウレアの界面重合で作られたカプセルの場合、有効成分の放出性能は優秀であるが、界面活性剤により有効成分の溶出が起きて安定性に問題があると報告されたことがある。他の例として、US 9,944,886 B2と[J. Hitchcock et.、Long-Term Retention of Small、Volatile Molecular Species within Metallic Microcapsules、ACS Appl.Mater.Interfaces 2015、7、27、14808-14815]文献では、疎水性が高い物質であるポリメタクリレートで製造されたカプセルの場合、有機溶媒で数分内に溶出されるため、これを解決するために原子間の間隔が数Åで有効成分が抜け出しにくい金属でカプセルをコーティングしてカプセルの安定性を改善する方法を用いたが、使用可能な物質が金や銀に限定され商用化に限界がある。また他の一例として、US 9,943,487 B2では、カプセルの安定性を高めるためにドパミンをカプセル外壁にコーティングして熱と有機溶媒に対する安定性を高めたが、製造方法が難しく商用化に限界があるという問題がある。
【0007】
したがって、自然に排出されたとき、分解が起きて環境汚染とならないとともに高い汎用性及び安定性を有するだけでなく、容易に製造して経済性が高く、有効成分の活性を手軽に調節し得るカプセル素材の開発が必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US 9,944,886 B2
【文献】US 9,943,487 B2
【非特許文献】
【0009】
【文献】J. Hitchcock et.、Long-Term Retention of Small、Volatile Molecular Species within Metallic Microcapsules、ACS Appl.Mater.Interfaces 2015、7、27、14808-14815
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、担持される有効物質の溶出を防止して長期安定性を維持し、自然分解性に優れたマイクロカプセルを開発しようと研究した結果、第1カプセル化成分、第2カプセル化成分、第1カプセル強化成分及び第2カプセル強化成分を用いてピッカリングエマルジョンを製造し、前記ピッカリングエマルジョンをカプセル化すると、高い汎用性と優れた自然分解性及び安定性を有するだけでなく、有効物質の活性を手軽に調節できるマイクロカプセルを製造し得ることを確認して、本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明の目的は、高い汎用性、自然分解性及び安定性を有するマイクロカプセルの製造方法及びこれによって製造されたマイクロカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、
無機粒子及び第1カプセル化成分を含む連続相1と、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分を含む分散相1を混合してピッカリングエマルジョンを製造する段階;及び
第2カプセル強化成分を含む連続相2と前記ピッカリングエマルジョンを混合してカプセル化する段階を含むマイクロカプセルの製造方法であって、
前記第1カプセル化成分及び第2カプセル強化成分は、アミン基又はヒドロキシ基をそれぞれ又は全て2個以上含むことができ、
前記第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、それぞれアミン基、イソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基及びアクリレート基からなる群より選択された作用基を2個以上含むことができる。
【0013】
また、前記製造方法によって製造されたマイクロカプセルを提供することができる。
【0014】
また、本発明では、
無機粒子、第1カプセル化成分、第2カプセル化成分、第1カプセル強化成分及び第2カプセル強化成分を含むマイクロカプセルを提供することができる。
【0015】
前記第1カプセル化成分と第2カプセル強化成分は、一つ以上の同一の作用基を有することができ、前記同一の作用基は、特に、アミン基であってもよい。前記第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分は、一つ以上の同一の作用基を有することができ、前記同一の作用基は、特に、イソシアネート基であってもよい。
【0016】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0017】
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、
無機粒子及び第1カプセル化成分を含む連続相1と第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分を含む分散相1を混合してピッカリングエマルジョンを製造する段階;及び
第2カプセル強化成分を含む連続相2と前記ピッカリングエマルジョンを混合してカプセル化する段階を含む。
【0018】
より具体的に、本発明は、無機粒子及び第1カプセル化成分を含む連続相1を製造する段階を含む。
【0019】
前記連続相1の溶媒としては、当業界で通常的に用いられる溶媒を全て含むことができる。
【0020】
一具体例で、前記連続相1の溶媒は、蒸溜水であってもよい。
【0021】
本発明において、前記無機粒子は、マイクロカプセルの基礎構造であるピッカリングエマルジョンを形成するための目的で添加されるものであって、金属、非金属又はこれらの混合物であってもよいが、これに制限されるものではない。本発明で前記無機粒子は、水相に溶解されず分散相に吸着され得る無機粒子であれば、その種類が制限されない。例えば、前記無機粒子としては、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、亜鉛、ハフニウム、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、インジウム、スズ、カルシウム、アルミニウム又はマグネシウムなどの金属;フィロシリケート、イノシリケート、ソロシリケート又はテクトシリケートのシリカなどの非金属;又はこれらの混合物から選択され得る。
【0022】
一具体例で、前記無機粒子は、シリカであってもよい。
【0023】
また、前記無機粒子は、1~900nmの直径、例えば、1.5~750nmの直径、2~500nmの直径を有するものであってもよい。
【0024】
本発明において、前記無機粒子の含量は、マイクロカプセルの製造のための全体組成の重量を基準として、0.001~5重量部、例えば、0.005~4重量部、0.01~3重量部、0.1~2重量部、0.5~1.5重量部で含まれ得る。
【0025】
本発明において、第1カプセル化成分は、生分解性高分子を意味し、連続相に溶解されて後述される分散相に存在する第2カプセル化成分と界面重合反応してカプセルの外壁を形成して容易に分解されるために含まれ得る。
【0026】
本発明において、前記第1カプセル化成分は、分子内にアミン基及び/又はヒドロキシ基を有する生分解性高分子であれば、特に制限されない。前記生分解性高分子は、天然成分又は合成成分であってもよく、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってもよい。前記天然成分としては、セルロース、ヒアルロン酸、キサンタンガム、キトサン又はヘパリンなどおn多糖類;ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類の一部変形物質;DNA又はRNAの核酸;コラーゲン、ゼラチン又はシルクフィブロインなどのタンパク質;又はポリリシン、ポリグルタミン酸又はポリアルギニンなどのポリペプチドを含むことができる。前記合成成分としては、ポリエステル、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸又はポリオルトエステルなどのヒドロキシ基、カルボキシ基又はアミン基を有する成分を含むことができる。
【0027】
また、前記第1カプセル化成分は、アミン基及び/又はヒドロキシ基を含む成分だけではなく、前記作用基を含むように表面改質されたものまでも含まれ得る。すなわち、本発明で、前記第1カプセル化成分は、2個以上のアミン基;2以上のヒドロキシ基;又は2個以上のアミン基と2個以上のヒドロキシ基を有する成分を全て含むものであってもよい。
【0028】
また、前記第1カプセル化成分は、200Da~1,000,000Daの分子量、例えば、500Da~500,000Daの分子量、1,000Da~100,000Daの分子量を有するものであってもよい。また、前記第1カプセル化成分は、マイクロカプセルを製造するための全体組成の重量を基準として、0.01~20重量部、例えば、0.05~15重量部、0.1~10重量部、0.5~5重量部、0.01~10重量部、0.05~5重量部、0.1~1重量部、0.25~0.75重量部で含まれ得る。本発明において、前記第1カプセル化成分の分子量が200Da未満であるか含量が0.01重量部未満である場合、マイクロカプセルの外壁形成のための反応に参加できる作用基が少ないため架橋されない問題が発生し得、第1カプセル化成分の分子量が1,000,000Daを超過するか含量が20重量部を超過すると、粘度が増加してマイクロカプセルの外壁が形成されずヒドロゲルが形成される問題が発生し得る。
【0029】
一具体例で、前記第1カプセル化成分は、キトサンであってもよい。
【0030】
前記無機粒子と第1カプセル化成分を含む連続相1は、第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分を含む分散相1を混合してピッカリングエマルジョンを製造することができる。
【0031】
したがって、本発明は、第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分を含む分散相1を製造する段階を含む。
【0032】
前記分散相1の溶媒としては、連続相と混合されて混ざらない溶媒を選択することができる。本発明において、前記連続相1の溶媒が蒸溜水である場合、前記分散相1の溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソドデカン又はドデカンなどの線形又は非線形構造の炭化水素系溶媒;エチルエーテル、ブチルエーテル又はメチルブチルエーテルなどのエーテル基を含む溶媒;エチルアセテート、ブチルアセテート又はエチルブチレートなどのエステル基を含む溶媒;メチルエチルケトンなどのケトン基を含む溶媒;ベンゼン、トルエン又はキシレンなどのベンゼンを含む溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム又は四塩化炭素などのハロアルカン系溶媒;又はジメチコン又はシクロメチコンなどのシリコーン系溶媒からなる群より選択されるものであってもよい。前記溶媒は、必要に応じて、連続相に適用され得る。
【0033】
また、前記溶媒としては、マイクロカプセル内に担持するための有効物質を選択することができる。本発明において、前記有効物質は、マイクロカプセルに担持されてその活性が維持され得る物質であり、マイクロカプセルの外壁が破壊されるときにその活性が発現される物質を意味する。前記有効物質が常温で液体である場合、分散相の溶媒として含まれ得る。前記有効物質としては、アロマオイル、紫外線遮断剤、染料、触媒、抗酸化剤又は薬物であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記連続相1は、第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分が含まれた分散相1と混合してピッカリングエマルジョンを製造することができる。
【0035】
前記第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分は、連続相に溶けている第1カプセル化成分と反応してカプセルの外壁を構成してカプセルに物質透過性を減少させる物質であって、分散相によく溶ける物質が選択され得る。前記第2カプセル化成分は、前記第1カプセル化成分と反応して、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアシルアミン、ポリオキシム、ポリカーバメート、ポリエステル、ポリアミンエステル又はポリアミドなどの界面重合可能なポリマーを形成してカプセル構造を作ることができる成分を意味する。前記第2カプセル化成分は、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってもよい。
【0036】
前記第2カプセル化成分は、下記化学式1で表示される化合物であってもよい:
【0037】
【化1】
【0038】
前記化学式1で、Rは、アクリレート基又はヘテロ原子が置換又は非置換された炭素数1~50のアルキレン基;炭素数3~60の環状炭化水素;又は炭素数1~50のアルキレン基及び炭素数3~60の環状炭化水素を含む化合物であり、X~Xは、それぞれ独立的に、水素、アミン基、アシルハライド基、イソシアネート基、クロロホルメート基及びアクリレート基からなる群より選択され、nは、1以上の整数である。
【0039】
前記化学式1で、X~Xのうち少なくとも2個以上は、アミン基、アシルハライド基、イソシアネート基、クロロホルメート基及びアクリレート基を有するものであり、nは、1~3の整数であってもよい。
【0040】
一具体例で、前記第2カプセル化成分は、ポリイソシアネートであってもよい。
【0041】
前記第2カプセル化成分は、マイクロカプセルを製造するための全体組成の重量を基準として、0.001~10重量部、例えば、0.005~8重量部、0.01~5重量部、0.05~1重量部、0.1~0.5重量部、0.001~0.5重量部、0.125~0.375重量部で含まれ得る。前記第2カプセル化成分の含量が0.001重量部未満である場合、カプセル化反応が起きてもカプセルの外壁が維持されないほど薄く形成される問題が発生し得、10重量部を超過すると、粘度が増加してカプセルが形成されない問題が発生し得る。
【0042】
前記第1カプセル強化成分は、マイクロカプセル外壁の緻密度を高めることができる物質であって、環構造を有する物質又は無機物質を含むことができる。前記第1カプセル強化成分は、連続相及び分散相と相溶性が少ないため、カプセルの外壁に形成されるときにカプセル内部に担持されている有効物質が外に溶出しないように塞ぐか溶出速度を遅延させるために含まれ得る。
【0043】
前記第1カプセル強化成分は、前記第1カプセル化成分及び/又は第2カプセル強化成分と反応して、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアシルアミン、ポリオキシム、ポリカーバメート、ポリエステル、ポリアミンエステル又はポリアミドなどの界面重合可能な高分子を形成してカプセル構造を作ることができる成分のうち環構造を有する成分を含むことができる。
【0044】
前記第1カプセル強化成分は、下記化学式2で表示されるモノマー、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される一つ以上の化合物;そのオリゴマー;又はそのポリマーであってもよい:
【0045】
【化2】
【0046】
前記化学式2で、R~Rは、それぞれ独立的に、水素;炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数1~5のアルキルイソシアネート基;イソシアネート基;炭素数1~5のアルキルアシルハライド基;アシルハライド基;炭素数1~5のアルキルクロロホルメート基;クロロホルメート基;炭素数1~5のアルキルアクリレート基;又はアクリレート基を含むことができ、前記化学式2のR~Rのうちいずれか一つ以上は、イソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基のうち一つを含むことができる化合物である。前記化学式2で、前記モノマーは、1~13個が重合されたポリマーであってもよい。前記モノマーが13個以上である場合、物質の剛性(stiffness)が増加してカプセルの製造過程で容易に割れるか、カプセルの乾燥時に発生する張力(tension)によりカプセル形態を維持し得ない問題が発生し得る。
【0047】
一具体例で、前記第1カプセル強化成分は、イソシアネートを含む成分としてメチルジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はキシレンジイソシアネートであってもよい。
【0048】
前記第1カプセル強化成分は、第2カプセル化成分とともに第1カプセル化成分のアミン基又はヒドロキシ基と反応し得るものであって、第1カプセル化成分の分子内のアミン基又はヒドロキシ基を含むか否かによって作用基が異なるように選択され得る。
【0049】
一具体例で、前記第1カプセル化成分が2個以上のアミン基を有するとき、第1カプセル強化成分及び/又は第2カプセル化成分としては、それぞれ2個以上のアクリレート基又はイソシアネート基を有するものであってもよい。本発明によるマイクロカプセルにおいて、前記第1カプセル化成分がアミン基を有し、第1カプセル強化成分及び/又は第2カプセル化成分がアクリレート基を有する場合、ポリβアミノエステルマイクロカプセルを形成することができ;第1カプセル強化成分及び/又は第2カプセル化成分がイソシアネート基を有する場合、ポリウレアマイクロカプセルを形成することができる。
【0050】
本発明において、イソシアネート基を有する成分は、メチレンジイソシアネート(Methylene diisocyanate)、1,4-フェニレンジイソシアネート(1,4-Phenylene diisocyanate)、トリレン-2,4-ジイソシアネート(Tolylene-2,4-diisocyanate)、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネートベンゼン(1-Chloromethyl-2,4-diisocyanatobenzene)、4-クロロ-6-メチル-1,3-フェニレンジイソシアネート(4-Chloro-6-methyl-1,3-phenylene diisocyanate)、1,3-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン(1,3-Bis(1-isocyanato-1-methylethyl)benzene)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート(3,3’-Dimethyl-4,4’-biphenylene diisocyanate)、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジイソシアネート-1,1’-ビフェニル(3,3’-Dichloro-4,4’-diisocyanato-1,1’-biphenyl)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)(4,4’-Oxybis(phenylisocyanate))、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(4,4’-Methylenebis(phenylisocyanate))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチレンフェニルイソシアネート)(4,4’-Methylenebis(2,6-diethylphenyl isocyanate))、イソホロンジイソシアネート(Isophorone diisocyanate)、トランス-1,4-シクロへキシレンジイソシアネート(trans-1,4-Cyclohexylene diisocyanate)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3-Bis(isocyanatomethyl)cyclohexane)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-Methylenebis(cyclohexyl isocyanate))、ジイソシアネートブタン(Diisocyanatobutane)、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylenediisocyanate)、ジイソシアネートオクタン(Diisocyanatooctane)、ジイソシアネートドデカン(Diisocyanatododecane)及び1,6-ジイソシアネート-2,2,4-トリメチルヘキサン(1,6-Diisocyanato-2,2,4-trimethylhexane)からなる群より選択されたものであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0051】
本発明において、アクリレート基を有する成分は、エチレングリコールジアクリレート(Ethylene glycol diacrylate)、ジ(エチレングリコール)ジアクリレート(Di(ethylene glycol)diacrylate)、トリ(エチレングリコール)ジアクリレート(Tri(ethylene glycol)diacrylate)、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート(Tetra(ethylene glycol)diacrylate)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(Poly(ethylene glycol)diacrylate)、プロピレングリコールジアクリレート(Propylene glycol diacrylate)、ジ(プロピレングリコール)ジアクリレート(Di(propylene glycol)diacrylate)、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(Tri(propylene glycol)diacrylate)、テトラ(プロピレングリコール)ジアクリレート(Tetra(propylene glycol)diacrylate)、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(Poly(propylene glycol)diacrylate)、ブタンジオールジアクリレート(Butanediol diacrylate)、ヘキサンジオールジアクリレート(Hexanediol diacrylate)、ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート(Hexanediol ethoxylate diacrylate)、ネオペンチルグリコールプロポキシレート(1 PO/OH)ジアクリレート(Neopentyl glycol propoxylate(1 PO/OH)diacrylate)、トリメチロールプロパンエトキシレート(1 EO/OH)メチルエーテルジアクリレート(Trimethylolpropane ethoxylate(1 EO/OH)methyl ether diacrylate)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(Neopentyl glycol diacrylate)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Pentaerythritol triacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート(Trimethylolpropane propoxylate triacrylate)、トリス[2-(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート(Tris[2-(acryloyloxy)ethyl]isocyanurate)、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(Trimethylolpropane ethoxylate triacrylate)、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート(Di(trimethylolpropane)tetraacrylate)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(Pentaerythritol tetraacrylate)及びヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートビス[6-(アクリロイルオキシ)ヘキサノエート](Hydroxypivalyl hydroxypivalate bis[6-(acryloyloxy)hexanoate])からなる群より選択されたものであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0052】
他の具体例で、前記第1カプセル化成分が2個以上のヒドロキシ基を有するとき、第1カプセル強化成分及び/又は第2カプセル化成分は、それぞれ2個以上のイソシアネート基、アシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基を有するものであってもよい。本発明によるマイクロカプセルで、前記第1カプセル化成分がヒドロキシ基を有し、第1カプセル強化成分及び/又は第2カプセル化成分がイソシアネート基を有する場合、ポリウレタンマイクロカプセルを形成することができ;第1カプセル強化成分及び/又は第2カプセル化成分がアシルハライド基、クロロホルメート基又はアクリレート基を有する場合、ポリエステルマイクロカプセルを形成することができる。
【0053】
本発明において、クロロホルメート基を有する成分は、エチレンビス(クロロホルメート)(Ethylenebis(chloroformate))、ジグリコールクロリド(Diglycolyl chloride)、オキシジエチレンビス(クロロホルメート)(oxydiethylene bis(chloroformate))、トリ(エチレングリコール)ビス(クロロホルメート)(Tri(ethyleneglycol)bis(chloroformate))、1,4-フェニレンビス(クロロホルメート)(1,4-Phenylene bis(chloroformate))、ビスフェノールAビス(クロロホルメート)(Bisphenol A bis(chloroformate))及びビスフェノールZビス(クロロホルメート)(Bisphenol Z bis(chloroformate))からなる群より選択されたものであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0054】
本発明において、アシルハライド基を有する成分は、マロニルクロリド(Malonyl chloride)、スクシニルクロリド(Succinyl chloride)、グルタリルクロリド(Glutaryl chloride)、アジポイルクロリド(Adipoyl chloride)、ピメロイルクロリド(Pimeloyl chloride)、スベロイルクロリド(Suberoyl chloride)、セバコイルクロリド(Sebacoyl chloride)、アゼライン酸ジクロリド(Azelaic acid dichloride)及びドデカンジオイルジクロリド(Dodecanedioyl dichloride)からなる群より選択されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0055】
前記第1カプセル強化成分は、マイクロカプセルを製造するための全体組成の重量を基準として、0.001~10重量部、例えば、0.005~8重量部、0.01~5重量部、0.05~1重量部、0.1~0.5重量部、0.125~0.375重量部で含まれ得る。前記第1カプセル強化成分の含量が0.001重量部より低いと、カプセル化反応が起きてもカプセルの外壁が維持されないほど薄く形成される問題が発生し得、10重量部を超過すると、粘度が増加してカプセルが形成されない問題が発生し得る。
【0056】
本発明において、前記連続相1と分散相1を混合してピッカリングエマルジョンを形成する段階は、無機粒子及び第1カプセル化成分を含む連続相1と、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分を含む分散相1を撹拌することであってもよい。このとき、前記成分が反応するための撹拌条件は、常温、例えば、20~30℃で10~16,000rpmの撹拌速度、例えば、50~13,000rpm、100~10,000rpmの速度であってもよい。その後、行われるカプセル化反応は、互いに混ざらない分散相と連続相の間の界面で反応性高分子が反応してカプセルの膜を形成するため、カプセル化反応が起きる前にピッカリングエマルジョンを形成するとカプセルのサイズを調節し得る。
【0057】
本発明において、「ピッカリングエマルジョン」は、固体粒子により界面が安定化されたエマルジョン形態を意味する。ピッカリングエマルジョンは、乳化剤を使わずにエマルジョン形態を作ることができるので、環境汚染に対する危険が少ないという長所がある。しかし、ピッカリングエマルジョンを製品に応用するためには、反応基でせん断応力(shear stress)による安定性問題と長期安定性問題を解決しなければならないという問題がある。
【0058】
また、本発明は、前記ピッカリングエマルジョンと第2カプセル強化成分を含む連続相2を混合してカプセル化する段階を含む。
【0059】
前記連続相2の溶媒としては、前記連続相1の溶媒と同様に当業界で通常的に用いられる溶媒を全て含むことができる。
【0060】
本発明において、前記第2カプセル強化成分は、下記化学式3で表示されるモノマー、メラミン及びベンジジンジスルホン酸からなる群より選択される一つ以上の化合物;そのオリゴマー;又はそのポリマーであってもよい:
【0061】
【化3】
【0062】
前記化学式3で、R~R13は、それぞれ独立的に、水素;アミン基;ヒドロキシ基;炭素数1~5のアルキル基;炭素数1~5のアルキルアミン基;炭素数1~5のヒドロキシアルキル基;又は炭素数2~5のアルケニル基を含むことができ、前記化学式3は、R~R13のうちいずれか一つ以上は、アミン基又はヒドロキシ基のうち一つを含むことができる化合物である。
【0063】
一具体例で、前記第2カプセル強化成分は、フェニレンジアミン、アミノベンジルアミン又はベンジジンジスルホン酸であってもよい。
【0064】
前記段階で、第2カプセル強化成分は、反応性が強いので、カプセルの壁面に均一にコーティングされてはじめて安定性に優れたマイクロカプセルを形成することができる。したがって、前記第2カプセル強化成分は、ピッカリングエマルジョンを製造した以後に添加され得る。
【0065】
前記第2カプセル強化成分は、マイクロカプセルを製造するための全体組成の重量を基準として、0.001~10重量部、例えば、0.005~8重量部、0.01~5重量部、0.05~3重量部、0.1~1重量部、0.5~0.75重量部であってもよい。前記第2カプセル強化成分の含量が0.001重量部より低いと、カプセル化反応が起きてもカプセルの外壁が維持されないほど薄く形成される問題が発生し得、10重量部を超過すると、粘度が増加してカプセルが形成されない問題が発生し得る。
【0066】
本発明において、前記第1カプセル化成分及び第2カプセル化成分は、1:0.1~100の重量比、例えば、1:0.1~50の重量比、1:0.1~25の重量比、1:0.1~10の重量比、1:0.1~1の重量比、1:0.25~1の重量比、0.3~0.8の重量比、0.4~0.6の重量比で含まれ得、第1カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、1:0.1~1の重量比、例えば、1:0.25~1の重量比、0.3~0.8の重量比、0.4~0.6の重量比で含まれ得る。また、第1カプセル化成分、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分は、1:0.1~100:0.1~1の重量比、例えば、1:0.1~50:0.1~1の重量比、1:0.1~25:0.1~1の重量比、1:0.1~10:0.1~1の重量比、1:0.1~1:0.1~1の重量比、1:0.25~1:0.25~1の重量比、1:0.3~0.8:0.3~0.8の重量比、1:0.4~0.6:0.4~0.6の重量比で含まれ得る。
【0067】
また、本発明は、前記段階で、第2カプセル強化成分とともにカプセル強化無機物前駆体を追加で含むことができる。前記カプセル強化無機物前駆体は、マイクロカプセルの内部と外部に全て適用され得、カプセルの壁とは別に膜を形成してカプセル内部の有効物質が溶出されないように塞ぐか溶出速度を遅延させるために含まれ得る。また、カプセルの破れ性を調節して適当な時点で有効物質が放出されるように助ける役目をすることができる。
【0068】
前記カプセル強化無機物前駆体は、下記化学式4で表示される化合物であってもよい:
【0069】
【化4】
【0070】
前記化学式4で、R14~R17は、それぞれ独立的に、水素;炭素数1~5のアルコキシ基;炭素数1~5のアルキル基;又はアミン基、チオール基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基及びエーテル基からなる群より選択された一つ以上の作用基を含む炭素数1~5の炭化水素化合物であってもよい。
【0071】
前記カプセル強化無機物前駆体は、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート、トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、メチルプロピルメトキシシラン、メチルプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン及びメルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群より選択されたものであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0072】
一具体例で、前記カプセル強化無機物前駆体は、テトラエチルオルトシリケート、メチルトリメトキシシラン又はアミノプロピルトリメチルエトキシシランであってもよい。
【0073】
前記カプセル強化無機物前駆体は、全体マイクロカプセル100重量部を基準として、0.01~10重量部、例えば、0.005~8重量部、0.01~5重量部で含まれ得る。前記カプセル強化無機物前駆体の含量が0.001重量部未満である場合、カプセルに優れた安定性を付与し得ず、10重量部を超過すると、無機物カプセルが形成されて容易に割れる問題が発生し得る。
【0074】
前記カプセル化反応は反応性高分子間の接触により反応が起きることができる。このとき、反応速度の調節のために0~100℃の温度、例えば、10~90℃の温度で1~48時間の間、例えば、2~24時間の間進行され得る。撹拌条件は、10~6,000rpm、例えば、50~5,000rpm、100~4,000rpmであってもよい。
【0075】
下記実施例では、第1カプセル化成分と第2カプセル強化成分を組み合わせて用い、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分を組み合わせて使用して製造したマイクロカプセルで優れた安定性及び生分解性を示すことを確認した。特に、第1カプセル化成分と第2カプセル強化成分がそれぞれアミン基を含む化合物であり、第2カプセル化成分及び第1カプセル強化成分がそれぞれイソシアネート基を含む化合物であるとき、前記成分を組み合わせて使用して製造したマイクロカプセルで安定性及び生分解性効果が最も優れていたことを確認した。
【0076】
本発明において、前記マイクロカプセルの製造方法は、マイクロカプセルに自然分解促進粒子を吸着させる段階を追加で含むことができる。前記自然分解促進粒子は、チタン酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、タングステン酸化物、白金及び白金酸化物及び塩化金からなる群より選択され得るが、これらに制限されるものではない。前記自然分解促進粒子は、第1溶液(連続相)に含まれてもよい。また、前記自然分解促進粒子は、1~900nmの直径、例えば、1.5~750nmの直径、2~500nmの直径を有するものであってもよい。前記自然分解促進粒子のサイズが1nmより小さいと、自然分解促進効果が現われにくいという問題が発生し得る。
【0077】
前記自然分解促進粒子は、生分解/又は光分解促進粒子であってもよく、好ましくは、光分解促進粒子であってもよい。
【0078】
前記自然分解促進粒子は、0.1~10,000ppmの濃度、例えば、1~8,000ppmの濃度、2~5,000ppmの濃度で含まれ得る。前記自然分解促進粒子の濃度が0.1ppmより低いと、分解促進効果が現われず、10,000ppmより高いと、光の透過を妨害して分解促進効果が現われずに粘度に影響を及ぼしてカプセル化反応が起きない問題が発生し得る。
【0079】
本発明において、前記マイクロカプセルの製造方法は、カプセル化反応後に分散安定化剤を添加する段階を追加で含むことができる。前記分散安定化剤としては、反応後に生成されたマイクロカプセルの分散性を高めるために添加され得る。前記分散安定化剤としては、アラビアガム、多糖類、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン、カラギナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、アクリレート/アクリル重合体、澱粉、水-膨潤性粘土、アクリレート/アミノアクリレート共重合体又はこれらの混合物、マルトデキストリン、アルギネートエステル、ゼラチン、タンパク質加水分解物又はこれらの4次化された形態、合成重合体又は共重合体、例えば、ポリ(ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエーテル-co-マレイン酸無水物)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ((メト)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド-co-ジメチルシロキサン)及びポリ(アミノジメチルシロキサン)からなる群より選択されたものであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0080】
また、前記マイクロカプセルの製造方法は、必要に応じて、濃縮及び/又は乾燥過程を追加で進行することができる。また、酸又は塩基性物質を用いてpHを調節する段階を追加で進行することができる。
【0081】
本発明によるマイクロカプセルの製造方法は、下記図1に図式化して示した。
【0082】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されたマイクロカプセルを提供する。すなわち、本発明は、第1カプセル化成分、第2カプセル化成分、第1カプセル強化成分、第2カプセル強化成分及び無機粒子を含むマイクロカプセルを提供する。
【0083】
本発明で、「マイクロカプセル」は、直径が1~1000μmの範囲を有するカプセルを意味する。本発明において、前記マイクロカプセルは、0.1~100μmの直径、例えば、1~80μmの直径、2~50μmの直径を有するものであってもよい。前記マイクロカプセルの外壁厚さは、0.03~10μmを有するものであってもよい。
【0084】
前記マイクロカプセルの直径が0.1μmより小さい場合、カプセルが割れないため有効成分を放出させるためのカプセルの効果を具現しにくく、直径が100μmより大きい場合、製品の製造時に発生するせん断応力によりカプセルが容易に割れるか異物感が発生する問題が発生し得る。
【0085】
本発明の製造方法によって製造されたマイクロカプセルは、優れた安定性及び自然分解性特性を有するものであってもよい。前記自然分解性は、微生物、光などにより別途の工程及び処理を経ずに自然で分解される性質を意味する。すなわち、本発明の自然分解性マイクロカプセルは、生分解性及び光分解性マイクロカプセルを含むことができる。したがって、本発明は、生分解性マイクロカプセル及び/又は光分解性マイクロカプセルを提供することができる。本発明で、「安定性」は、大抵単分子物質で透過性が高い有効物質が、隔離された一つの空間から他の空間に、より具体的には、カプセル内部から外部環境に自発的や非自発的に流出される現象を遅延させるか完全に防止する能力を意味し、他の一方では、酸化性が強いため外部環境から酸素、活性酸素、遊離基などの酸化物質が浸透して有効物質が酸化される現象を遅延させるか完全に防止する能力までも含むことができる。本発明による安定性は、担持物質を含むマイクロカプセルを界面活性剤水溶液に入れ、40~60℃の温度で7日間保管した後にカプセル内の担持物質を抽出し、初期担持物質の量と比較して、カプセルに残っている担持物質の量が40%以上である場合、好ましくは、50%以上、より好ましくは、60%以上である場合を意味する。前記界面活性剤は、当業界で通常的に用いられる界面活性剤を含むことができる。前記界面活性剤は、脂肪酸ナトリウム、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩又はモノアルキルリン酸塩の陰イオン性界面活性剤;ジアルキルジメチルアンモニウム塩又はアルキルベンジルメチルアンモニウム塩の陽イオン性界面活性剤;アルキルスルホベタイン又はアルキルカルボキシベタインの陽性界面活性剤;又はポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミン又はアルキルモノグリセリルエーテルの非イオン性界面活性剤であってもよいが、これらに制限されるものではない。一具体例で、前記界面活性剤は、ポリソルベート非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0086】
また、本発明で、「生分解性」は、微生物による分解程度を示すものであって、OECD 301D試験法によって常温の暗室で28日間微生物による分解が20%以上である場合、好ましくは、30%以上、より好ましくは、40%以上である場合を意味することができる。
【0087】
また、前記「光分解性」は、OECD 316試験法によって水系条件でキセノンランプを用いて一日間12時間、総30日間光に露出させたときの光の波長による分解が50%以上である場合、好ましくは、60%以上、より好ましくは、70%以上である場合を意味することができる。
【0088】
また、本発明での自然分解性マイクロカプセルは、自然分解度が50%以上であるカプセルを意味することができ、好ましくは、60%以上、より好ましくは、70%以上である場合を意味することができる。
【0089】
また、前記製造方法によって製造されたマイクロカプセルは、有効物質の種類によって発香製品、機能性物質又は難溶性物質の担持体として用いられ得る。本発明において、前記有効物質は、アロマオイル、紫外線遮断剤、染料、触媒、抗酸化剤及び薬物からなる群より選択されたものであってもよい。
【0090】
例えば、前記有効物質がアロマオイルである場合、本発明は、前記マイクロカプセルを含む発香製品を提供することができる。前記発香製品としては、発香スプレー、芳香液状製品、洗浄剤、洗顔剤、ボディ用品、ヘア用品又は繊維柔軟剤組成物を含むことができるが、これらに制限されるものではない。
【0091】
また、前記有効物質が紫外線遮断剤である場合、本発明は、前記マイクロカプセルを含む紫外線遮断用化粧料組成物を提供することができる。前記紫外線遮断剤としては、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ケイ酸塩又はタルクなどの無機紫外線遮断剤;又はイソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、オクトクリレンオクチルサリチレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルサリチレート、ベンゾフェノン、アントラニレートなどの有機紫外線遮断剤であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0092】
また、前記有効物質が機能性物質又は難溶性物質である場合、前記機能性物質又は難溶性物質の安定性の改善のための担持体として本発明のマイクロカプセルを提供することができる。前記機能性物質又は難溶性物質としては、レチノール又はレスベラトロールなどの抗酸化剤;又はコレステロール又はセラマイドなどの難溶性物質を含むことができるが、これらに制限されるものではない。
【0093】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実験例及び製造例を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実験例及び製造例によって限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得る。ただし、本発明の開示が完全となるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【発明の効果】
【0094】
本発明による製造方法によって製造されたマイクロカプセルは、高い汎用性、生分解性及び長期安定性を示し得、界面活性剤の存在下でもカプセル内の有効物質を安定的に担持し得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1図1は、本発明によるマイクロカプセルの製造方法を図式化した図である。
図2図2は、本発明によるマイクロカプセルを50℃で7日間保管した後、界面活性剤の存在下で性能/安定性を比較して示した図である。
図3図3は、本発明によるマイクロカプセルの分解促進程度を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明を下記実施例によって詳しく説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【0097】
本実施例及び比較例に用いられた物質及び試薬は、化粧品原料製造社及び商業用供給社から購入して用い、表記した含量は、重量%基準である。
【0098】
実施例1~6.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0099】
下記表1の組成によってマイクロカプセルを製造した。まず、蒸溜水68gにシリカ1gを分散させると同時に各実施例1~6に該当する生分解性高分子である第1カプセル化成分(以下、「生分解性高分子」と通称する)1gを添加して連続相1を製造した。ドデカン29.5gに0.5gの第2カプセル化成分であるポリイソシアネートを入れて分散相を製造した。その後、連続相1に分散相を添加して2,000rpmで撹拌してピッカリングエマルジョンを製造した。その後、前記ピッカリングエマルジョンを80℃で12時間の間界面重合反応してポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0100】
比較例1及び2.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0101】
比較例1及び2のポリウレアマイクロカプセルは、下記表1の組成によって製造した。まず、蒸溜水69gにポリエチレンイミン1gを溶かした後、ドデカン29.5gに0.5gのポリイソシアネートを溶かした溶液を混ぜながら80℃で12時間の間重合反応を進行して比較例1のポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0102】
次に、蒸溜水68gにシリカ1gを分散させると同時にポリエチレンイミン1gを入れて連続相1を製造した。ドデカン29.5gに0.5gのポリイソシアネートを入れて分散相を製造した。その後、連続相1に分散相を入れて2,000rpmでピッカリングエマルジョンを製造した。その後、前記ピッカリングエマルジョンを80℃で12時間の間界面重合反応を進行して比較例2のポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0103】
実験例1.生分解性高分子を含むマイクロカプセルの生分解度比較
【0104】
前記実施例1~6及び比較例1及び2で製造したマイクロカプセルの生分解性を比較した。本実験例でマイクロカプセルの生分解性測定は、カプセル壁を抽出した後にOECD 301D法を用いて測定した。具体的に、前記OECD 301D法は、密閉試験瓶を用いた溶存酸素消耗量測定試験方法であり、非水溶性試験物質であるカプセルの生分解性を測定する方法であって、理論的酸素要求量(Theoretical Oxygen Demand、ThOD)に対して時間による酸素消耗量(Biochemical Oxygen Demand、BOD)を測定して下の一般式1で生分解度を計算した。
【0105】
【数1】
【0106】
【表1】
【0107】
生分解性高分子を含むか否かによるマイクロカプセルの生分解度を測定した結果(表1)、ピッカリングエマルジョンを形成しない比較例1を除いて全てカプセル化反応が起き、天然生分解性高分子であるキトサン、ポリリシン、ゼラチン、シルクフィブロイン、ケラチン又はPAGAで製造した実施例1~6のマイクロカプセルの場合、合成高分子であるポリエチレンイミンより相対的に高い生分解度を示した。
【0108】
実施例7~9.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0109】
下記表2の組成によってポリウレアマイクロカプセルを製造した。まず、蒸溜水58gにシリカ1gを分散させると同時に生分解性高分子(第1カプセル化成分)であるキトサン1gを入れて連続相1を製造し、第2カプセル強化成分であるフェニレンジアミン1gを蒸溜水9gに入れて連続相2を製造した。アロマオイル29.5gに第2カプセル化成分であるポリイソシアネートと第1カプセル強化成分であるメチルジフェニルジイソシアネートの組み合わせ0.5gを入れて分散相を製造した。その後、連続相1に分散相を入れて2,000rpmで撹拌してピッカリングエマルジョンを製造した。その後、前記ピッカリングエマルジョンに連続相2を入れて80℃で12時間の間界面重合反応を進行してポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0110】
比較例3~7.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0111】
下記表2の組成によってマイクロカプセルを製造した。比較例3のマイクロカプセルは、第2カプセル化成分であるポリイソシアネートを含まないこと以外は、前記実施例1~6と同一の方法で製造し、比較例4~6は、生分解性高分子を含まない。
【0112】
実験例2.カプセル強化成分を含むマイクロカプセルの安定性及び生分解度比較
【0113】
前記実施例7~9で製造したマイクロカプセルの安定性と生分解性を確認した。本実験例で、安定性とは、周辺環境が乳化剤により取り囲まれている苛酷な環境内でもカプセルがカプセル内のアロマオイルを維持しようとする能力を測定したのである。具体的に、前記安定性は、全体組成物100重量部を基準として、5重量部のTween20水溶液にマイクロカプセル1重量部を入れて50℃で7間保管した後、エタノールとtip sonicator(FisherbrandTM、Fisher Scientific、USA)を用いてカプセル内のアロマオイルを抽出し、UV spectrometer(FastTrackTM UV Vis Technology、Mettler Toledo、USA)でその含量を測定して安定性を比較した。生分解性は、前記実験例1と同一の方法で測定した。
【0114】
【表2】
【0115】
実験結果、生分解性高分子を含まない比較例4~6のマイクロカプセルは、低い生分解度と安定性を示し、第2カプセル化成分を含まない比較例3、5及び7のマイクロカプセルは、カプセル壁が緻密に形成されないため低い安定性を示した。第1カプセル強化成分を用いる場合、その使用量によって生分解度が低くなる傾向も確認することができた。一方、第2カプセル化高分子と第2カプセル強化成分を組み合わせて用いる場合、カプセル壁が緻密に形成されてカプセルの安定性が向上することが確認できた。
【0116】
実施例10~18.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0117】
下記表3の組成によってポリウレアマイクロカプセルを製造した。まず、蒸溜水58gにシリカ1gを分散させると同時に生分解性高分子であるキトサンを1g入れて連続相1を製造し、第2カプセル強化成分(フェニレンジアミン、アミノベンジルアミン及びベンジジンジスルホン酸)1gを蒸溜水9gに入れて連続相2を製造した。アロマオイル29.5gに第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分(メチルジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネート)を入れて分散相を製造した。その後、連続相1に分散相を入れて2,000rpmで撹拌してピッカリングエマルジョンを製造した。その後、前記ピッカリングエマルジョンに連続相2を入れて80℃で12時間の間界面重合反応を進行してポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0118】
実験例3.カプセル強化成分を含むマイクロカプセルの安定性比較
【0119】
前記実施例10~18で製造したマイクロカプセルの安定性と生分解度を比較した。前記安定性と生分解度は、前記実験例2と同一の方法で測定した。
【0120】
【表3】
【0121】
実験結果、第1カプセル化高分子である生分解性高分子と組み合せて用いられる第2カプセル強化成分としてフェニレンジアミンだけでなくアミノベンジルアミン及びベンジジンジスルホン酸を用いたときにも優れた生分解度と安定性を示すことを確認することができた。また、第2カプセル化成分と組み合わせて用いられる第1カプセル強化成分としてメチルジフェニルジイソシアネートだけでなくナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネートを用いたときにも優れた生分解度と安定性を示した。したがって、本発明によるマイクロカプセルは、第1カプセル化成分(生分解性高分子)と第2カプセル強化成分を組み合わせて用い、第2カプセル化成分と第1カプセル強化成分を組み合わせて用いる場合、安定性と生分解度において著しい効果を示すことができる。
【0122】
一方、比較例8の場合、マイクロカプセルの安定性が相対的に非常に低く現われる結果を示した。これは、比較例8が第2カプセル強化成分として芳香族化合物ではない単純環状化合物であるシクロヘキサンジアミンをマイクロカプセルの製造に用いた結果であり、これを通じて、マイクロカプセルの安定性のためには、第2カプセル強化成分として単純環状化合物ではない芳香族化合物が必須であることを示す。
【0123】
実施例19~22.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0124】
下記表4の組成によってマイクロカプセルを製造した。まず、蒸溜水58gにシリカ1gを分散させると同時に生分解性高分子であるキトサン1gを入れて連続相1を製造し、第2カプセル強化成分であるフェニレンジアミン1gを蒸溜水9gに入れて連続相2を製造した。アロマオイル29.5gに第2カプセル化成分であるポリイソシアネートと第1カプセル強化成分であるメチルジフェニルジイソシアネートの組み合わせを入れて分散相を製造した。その後、連続相1に分散相を入れて2,000rpmで撹拌してピッカリングエマルジョンを製造した。その後、前記ピッカリングエマルジョンに連続相2とカプセル強化無機物前駆体(テトラエチルオルトシリケート、メチルトリメトキシシラン及びアミノプロピルトリメチルエトキシシラン)を入れて80℃で12時間の間界面重合反応を進行してポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0125】
実験例4.カプセル強化高分子を含むマイクロカプセルの安定性及び生分解度比較
【0126】
前記実施例19~24で製造したマイクロカプセルの安定性及び生分解度を測定した。安定性と生分解度は、上述した実験例2と同一の方法で測定した。
【0127】
【表4】
【0128】
実験結果、カプセル強化無機物前駆体をさらに含む実施例19~22のマイクロカプセルでカプセル強化無機物前駆体を含まない実施例10のマイクロカプセルに比べて安定性が増加する結果を確認することができた。しかし、前記カプセル強化無機物前駆体の含量が増加するほどカプセルの製造時に容易に割れて安定性がむしろ低くなる傾向を示すことを確認することができた。
【0129】
実施例23~26.マイクロカプセルの製造
【0130】
下記表5の組成によってマイクロカプセルを製造した。まず、蒸溜水58gにシリカと生分解促進粒子(TiO及びZnO)を分散させると同時に生分解性高分子であるキトサン1gを入れて連続相1を製造し、第2カプセル強化成分であるフェニレンジアミン1gを蒸溜水9gに入れて連続相2を製造した。アロマオイル29.5gに第2カプセル化成分であるポリイソシアネートと第1カプセル強化成分であるメチルジフェニルジイソシアネートの組み合わせを入れて分散相を製造した。その後、連続相1に分散相を入れて2,000rpmで撹拌してピッカリングエマルジョンを製造した。その後、前記ピッカリングエマルジョンに連続相2とカプセル強化無機物前駆体であるテトラエチルオルトシリケートを入れて80℃で12時間の間界面重合反応を進行してポリウレアマイクロカプセルを製造した。
【0131】
実験例5.生分解促進粒子を含むマイクロカプセルの生分解性の確認
【0132】
上述した実施例で製造したマイクロカプセルの安定性、生分解性及び光分解性を測定した。安定性と生分解度は、上述した実験例2と同一の方法で測定し、光分解性は、OECD 316法を参考して測定した。分解測定期間は、ソウルの年平均日光量を基準として4週に該当するエネルギーである約10,000W/mに該当するエネルギーをサンテスト(Suntest XLS+)を用いてキセノンランプを用いて照射した後、COD(Chemical Oxygen Demand)の前後値を比較して下の一般式2で分解度を測定した。
【0133】
【数2】
【0134】
欧州化学物質庁(ECHA)によると、分解度によって明確に定義されていないが、一般的な生分解度の場合、微生物により4週の間20%以上60%未満に分解されると分解性がある物質に分類し、60%以上に分解されると直ちに分解され得る物質に分類している。光分解度に関する定義は、まだ明確に定義されていないが、実際の環境では微生物と太陽光、加水分解、熱分解などが全て適用され、そのうち最も影響を及ぼし得る二つの要素である微生物及び光分解に対する考慮が必要である。
【0135】
【表5】
【0136】
実験結果、生分解促進粒子が含まれた実施例23~26の場合、生分解促進粒子の添加がカプセルの安定性と生分解性には大きい影響を及ぼさなかったが、光分解性が促進されることを確認することができた。
【0137】
比較例9.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0138】
下記表6の組成によってマイクロカプセルを製造した。Tween20、アラビアガム、プレ-メラミンホルムアルデヒド水溶液(Pre-melamine formaldehyde solution)を蒸溜水54.5gに分散させて連続相を製造した。連続相に香料30g(分散相)を2,000rpmでゆっくり入れてエマルジョンを製造した。1000rpmに下げた後、クエン酸でpHを5に下げた後に70℃で3時間の間カプセル生成反応を進行した。トロメタミン(Tromethamine)を用いてpHを7.5に合わせて反応を終決させた後、生分解促進粒子を添加及び吸着させてメラミン-ホルムアルデヒドレジン(Melamine-formaldehyde resin)カプセルを製造した。
【0139】
比較例10.ポリウレアマイクロカプセルの製造
【0140】
下記表6の組成によってマイクロカプセルを製造した。ポリビニルアルコール0.5gを蒸溜水63gに溶かして連続相を製造した。香料30gにメタクリル酸(Methacrylic acid)1.8gとペンタエリトリトールトリアクリレート(Pentaerytritol triacrylate)4g、2,2’アゾビス-(2-メチルブチロニトリル(2,2’ azobis-(2-methylbutyronitrile))0.2gを溶かして分散相を製造した。連続相を2,000rpmで分散相をゆっくり入れてエマルジョンを作った後、80℃で6時間反応させてカプセル生成反応を進行し、生分解促進粒子を添加及び吸着させてアクリル系列カプセルを製造した。
【0141】
実験例6.マイクロカプセルの安定性、生分解性及び光分解性の測定
【0142】
上述した実施例で製造したマイクロカプセルの安定性、生分解性及び光分解性を測定した。安定性、生分解度及び光分解性は、上述した実験例5と同一の方法で測定した。
【0143】
【表6】
【0144】
実験結果、本発明のように、第1カプセル化成分、第2カプセル化成分、第1カプセル強化成分及び第2カプセル強化成分を含むマイクロカプセルの場合、そうではない比較例9及び10に比べて高い生分解性、光分解性及び自然分解性を有することを確認することができた。
【0145】
実験例7.洗濯後の香強度の評価
【0146】
上述した実施例で製造したマイクロカプセルを用いて繊維柔軟剤としての適用性を確認するために洗濯評価を進行した。まず、試験用繊維は、市販される綿タオル(30cm × 20cm)を一般洗濯洗剤の標準使用量を用いて洗濯機で5回繰り返し洗濯した後に脱水した。全体組成物100重量部を基準として、5重量部のTween20を含む水溶液に上記製造したマイクロカプセル1重量部を入れた後、前記組成物を50℃で7日間保管した。撹拌式洗濯機に前記組成物を標準使用量(0.67ml/L洗濯水)となるように定量して入れた後に濯ぎコースで処理し、脱水して綿タオルを取り出した。その後、綿タオルを湿度30%、温度25℃で12時間の間乾燥した。このとき、3つの時点(洗濯直後、乾燥後及び摩擦後)を設定して20人の熟練したパネリストが官能評価を進行して香強度を評価した。香強度は、マイクロカプセルを無処理した綿タオルを0点として基準とし、最低0点から最高5点まで付与し、これを3回以上繰り返してその平均値で示した。マイクロカプセルが含まれた組成物を製造した直後に処理した官能評価と前記組成物を7日間保管した後に処理した官能評価を下記表7及び図2にそれぞれ示した。
【0147】
<評価基準>
0点:香がほとんど残っていない。
5点:香が多く残っている。
【0148】
【表7】
【0149】
前記表7と図2で示したように、生分解性高分子、カプセル化高分子及びカプセル強化高分子を含む実施例7、8、10及び実施例19の場合、カプセルの安定性と発香性が強く現われた。特に、カプセル強化無機物前駆体を用いた実施例19の場合、最も優れた安定性と発香性を維持することを確認することができた。また、自然分解促進粒子を適用した実施例23及び25の場合、実施例19と類似したレベルの安定性及び発香性が維持されることを確認することができた。前記結果を通じて、自然分解促進粒子の適用がカプセルの性能には影響を及ぼさなかったことを確認した。
【0150】
実験例8.分解促進効果の確認
【0151】
本発明のマイクロカプセルの分解促進効果を確認するために自然分解促進粒子を添加した実施例25のカプセルを濃度が500ppmとなるように蒸溜水に希釈した。その後、自然太陽光で分解が起きる程度を時間によるカプセルのサイズ変化を粒度分析機(Mastersizer 3000、Malvern)を用いて比較した。分解促進効果を確認するために透明な容器、不透明な容器及び特別に製作した水系条件で壁面が不透明なポリプロピレン容器(50cm × 50cm × 50cm)に100Lの水を満たして深さ15cmとなるようにサンプルを満たした後、容器を固定させて自然光による分解程度を時間によるサイズ変化で確認した(図3)。
【0152】
図3で示したように、太陽光により25日間カプセルが分解されてサイズが小さくなり、水中でもカプセルの分解が起きることを確認したが、不透明な容器内では分解が全く起こらずカプセルのサイズ変化がなかった。前記結果を通じて、カプセルが製品形態では安定的に存在するが、使用後に自然界に排出するとき分解が起きることを意味することを確認することができる。
図1
図2
図3