(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】軸外の輝度を均一に低減したディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20241210BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02F1/1337 505
G02F1/1347
(21)【出願番号】P 2022526302
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2020060155
(87)【国際公開番号】W WO2021097040
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-11-06
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516384542
【氏名又は名称】リアルディー スパーク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、マイケル、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドゲート、グラハム、ジェイ.
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/055753(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/147762(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0331944(US,A1)
【文献】特開2013-160818(JP,A)
【文献】特表2008-542793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/13357
G02F 1/1337
G02F 1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
空間光変調器と、
前記空間光変調器の側面上に配置された表示偏光子であって、直線偏光子である、表示偏光子と、
前記空間光変調器の、前記表示偏光子と同じ側面上に配置された追加の偏光子であって、直線偏光子である、追加の偏光子と、
前記追加の偏光子と前記表示偏光子との間に配置された少なくとも1つの極性制御遅延器と、を備え、前記少なくとも1つの極性制御遅延器が、液晶遅延器を含み、前記液晶遅延器が、
液晶材料の層と、
前記液晶材料の層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層であって、前記表面配向層のうちの少なくとも1つが、前記液晶材料の層の平面内にある面内成分との前記隣接する液晶材料における配向を提供するように配置されており、前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、2つの表面配向層と、を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化し、かつ前記所定の軸に垂直なさらなる軸に沿って変化しない、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化し、かつまた前記所定の軸に垂直なさらなる軸に沿って変化する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分が、前記表示偏光子および前記追加の偏光子のうちの少なくとも1つの電気ベクトル透過方向に平行または直交する平均方向を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記表示偏光子および前記追加の偏光子が、平行な電気ベクトル透過方向を有する、請求項4に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記表面配向層のうちの少なくとも1つが、前記隣接する液晶材料におけるホモジニアス配向を提供するように配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記表面配向層の各々が、前記隣接する液晶材料におけるホモジニアス配向を提供するように配置されている、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記表面配向層のうちの少なくとも1つが、前記面内成分を提供するプレチルトとの前記隣接する液晶材料におけるホメオトロピック配向を提供するように配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記表面配向層のうちの一方が、前記隣接する液晶材料におけるホモジニアス配向を提供するように配置されており、前記表面配向層のうちの前記一方に隣接する前記液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化し、かつ、
前記表面配向層の他方が、前記隣接する液晶材料におけるホメオトロピック配向を提供するように配置されており、前記表面配向層の前記他方に隣接する前記液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化しない、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記表面配向層の各々が、前記液晶材料の層の前記平面内にあるそれぞれの面内成分との前記隣接する液晶材料における配向を提供するように配置されており、前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化する、請求項1~8のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化し、その結果、前記ディスプレイデバイスの前記少なくとも一部分の点からの前記表示偏光子、前記追加の偏光子、および前記少なくとも1つの極性制御遅延器の最大光透過の方向が、前記ディスプレイデバイスの前の共通の光学窓に向けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイス全体にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、請求項1~11のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの第1の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、請求項1~11のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度がまた、前記ディスプレイデバイスの第2の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、請求項13に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの前記第1の部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化し、その結果、前記ディスプレイデバイスの前記第1の部分の点からの前記表示偏光子、前記追加の偏光子、および前記少なくとも1つの極性制御遅延器の最大光透過の方向が、前記ディスプレイデバイスの前の第1の共通の光学窓に向けられ、かつ
前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの前記第2の部分にわたって前記所定の軸に沿って単調に変化し、その結果、前記ディスプレイデバイスの前記第2の部分の点からの前記表示偏光子、前記追加の偏光子、および前記少なくとも1つの極性制御遅延器の最大光透過の方向が、前記ディスプレイデバイスの前の、前記第1の共通の光学窓とは異なる第2の共通の光学窓に向けられる、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記追加の偏光子および前記少なくとも1つの極性制御遅延器が、凹状の曲率で湾曲している、請求項1~15のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記空間光変調器が、凹状の曲率で湾曲している、請求項16に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記液晶遅延器が、液晶層を制御するための電圧を印加するように配置された電極をさらに備える切替え可能な液晶遅延器である、請求項1~17のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
前記切替え可能な液晶遅延器の前記電極に印加される前記電圧を制御するように配置された制御システムをさらに備える、請求項18に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの極性制御遅延器が、少なくとも1つの受動補償遅延器をさらに備える、請求項18または19に記載のディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記空間光変調器が、発光空間光変調器であり、前記表示偏光子が、前記発光空間光変調器の出力側面上に配置された出力偏光子である、請求項1~20のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記空間光変調器が、透過型空間光変調器である、請求項1~20のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項23】
前記表示偏光子が、前記透過型空間光変調器の出力側面上に配置された出力偏光子である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項24】
前記出力偏光子と前記少なくとも1つの極性制御遅延器との間に配置された反射偏光子をさらに備え、前記反射偏光子が、前記出力偏光子と同じ直線偏光偏光成分を通過するように配置された直線偏光子である、請求項21または23に記載のディスプレイデバイス。
【請求項25】
前記空間光変調器の入力側面上に配置された入力偏光子であって、直線偏光子である、入力偏光子と、
前記入力偏光子の前記入力側面上に配置されたさらなる追加の偏光子と、
前記
入力偏光子と前記さらなる追加の偏光子との間に配置された少なくとも1つのさらなる極性制御遅延器と、をさらに備え、前記少なくとも1つの
さらなる極性制御遅延器が、液晶遅延器を含み、前記液晶遅延器が、
液晶材料の層と、
前記液晶材料の層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層であって、前記表面配向層のうちの少なくとも1つが、前記液晶材料の層の平面内にある面内成分との前記隣接する液晶材料における配向を提供するように配置されており、前記隣接する液晶材料における前記配向の前記面内成分の前記角度が、前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、2つの表面配向層と、を備える、請求
項23または24のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ディスプレイデバイスにおける輝度均一性に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイスは、通常はディスプレイデバイスに垂直な、視軸からオフセットされた方向の輝度を低減するように構成され得る。このような軸外の輝度低減には、様々な目的がある。一例では、軸外の輝度低減をプライバシーディスプレイに適用して、軸上の位置の主たるユーザに対して表示画像の可視性を提供し、軸外の位置の窃視者に対して表示画像の可視性を低減することができる。別の例では、軸外輝度低減を適用して、ディスプレイデバイスの周囲の環境、例えば、自動車内で、望ましくない反射を引き起こし得る迷光を低減することができる。
【0003】
プライバシー機能は、ディスプレイデバイスから軸上方向に高輝度を透過し、軸外の位置に低輝度を伴うマイクロルーブル光学フィルムによって提供され得る。しかしながら、そのようなフィルムは切替え可能ではないため、ディスプレイはプライバシーのみの機能に制限される。
【0004】
切替え可能なプライバシーディスプレイは、軸外の光出力の制御を実施することによって提供することができる。軸外のプライバシーの制御は、コントラスト低減によって、例えば、面内スイッチングLCDにおける液晶バイアス傾斜を調整することによって提供することができる。
【0005】
制御は、軸外の輝度低減によってさらに提供することができる。輝度の低減は、液晶ディスプレイ(LCD)空間光変調器用の切替え可能なバックライトによって実現することができる。軸外の輝度低減はまた、空間光変調器の入力および/または出力指向性輝度プロファイルを変調するように配置された切替え可能な液晶遅延器および補償遅延器によって提供することができる。
【0006】
制御は、軸外の反射率の増加によって、さらに提供することができる。反射率の増加は、切替え可能な液晶遅延器、反射偏光子に当たる周囲光の偏光を制御するように配置された補償遅延器によって実現することができる。
【0007】
しかしながら、動作中、そのような軸外の輝度低減は、ディスプレイ視聴者のためにディスプレイデバイスの領域全体にわたって輝度の不均一性を提供する可能性がある。多くの用途では、知覚される均一性を高めることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示によれば、ディスプレイデバイスであって、空間光変調器と、空間光変調器の側面上に配置された表示偏光子であって、直線偏光子である、表示偏光子と、空間光変調器の、表示偏光子と同じ側面上に配置された追加の偏光子であって、直線偏光子である、追加の偏光子と、追加の偏光子と表示偏光子との間に配置された少なくとも1つの極性制御遅延器と、を備え、少なくとも1つの極性制御遅延器は、液晶遅延器を含み、液晶遅延器は、液晶材料の層と、液晶材料の層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層であって、表面配向層のうちの少なくとも1つが、液晶材料の層の平面内にある面内成分との隣接する液晶材料における配向を提供するように配置されており、隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度が、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、2つの表面配向層と、を備える、ディスプレイデバイスが提供される。有利なことに、液晶材料の少なくとも1つの状態において、所定の位置にいる視聴者によって知覚されるように、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたる輝度の変化を低減するディスプレイデバイスを提供することができる。例えば、軸外の視聴者、例えば窃視者に対して、ディスプレイデバイスは、ディスプレイの少なくとも一部分にわたって、例えば、ディスプレイの幅全体にわたって、より均一な輝度を提供することができる。そのような場合、輝度は、軸外の視聴者がディスプレイデバイスに沿った任意の点でディスプレイデバイスによって出力された画像を観察できないように、均一に低減された輝度であり得る。同様の様式で、例えば、ディスプレイデバイスの主たるユーザである軸上の視聴者に対して、ディスプレイデバイスはまた、軸上の視聴者のディスプレイの少なくとも一部分にわたってより均一な輝度を提供することができる。ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたるそのような均一な輝度は、軸上の視聴者がディスプレイによって出力された画像を観察できるように、低減されていない、または観察可能な輝度であり得る。したがって、これは、従来技術のディスプレイで発生する「ロールオフ」を低減し得、それにより、軸上の視聴者の場合、輝度がディスプレイの縁に向かって低減する。
【0009】
隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたる所定の軸に沿って単調に変化し得、かつ所定の軸に垂直なさらなる軸に沿って変化し得ない。
【0010】
隣接する液晶材料における配向の当該面内成分は、表示偏光子および追加の偏光子のうちの少なくとも1つの電気ベクトル透過方向に平行または直交する平均方向を有し得る。有利なことに、正面のユーザは、輝度および画像の均一性が向上している可能性がある。
【0011】
表示偏光子および追加の偏光子は、平行な電気ベクトル透過方向を有する。有利なことに、ディスプレイからの望ましい視野角における透過が増加する。
【0012】
代替的に、隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたる所定の軸に沿って単調に変化し得、また所定の軸に垂直なさらなる軸に沿って変化し得る。有利なことに、互いに垂直な2つの方向において、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたる輝度の変化を低減することが可能であり得る。これは、例えば、ディスプレイデバイスに対して2つの異なる方向において、軸外の視聴者に対して、例えば、ディスプレイデバイスの側面への軸外の視聴者に対して、およびディスプレイデバイスの上または下の角度における軸外の視聴者に対して、均一な輝度を作ることを可能にし得る。したがって、均一に低減された輝度を提供するために使用される場合、これは、ディスプレイデバイスによって達成されるプライバシーを改善し得る。
【0013】
表面配向層のうちの少なくとも1つは、隣接する液晶材料におけるホモジニアス配向を提供するように配置することができる。さらに、表面配向層の各々は、隣接する液晶材料におけるホモジニアス配向を提供するように配置することができる。
【0014】
表面配向層のうちの少なくとも1つは、当該面内成分を提供するプレチルトとの隣接する液晶材料におけるホメオトロピック配向を提供するように配置することができる。
【0015】
表面配向層のうちの1つは、隣接する液晶材料におけるホモジニアス配向を提供するように配置され得、表面配向層のうちの当該1つに隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得、かつ、表面配向層の他方は、隣接する液晶材料におけるホメオトロピック配向を提供するように配置され得、表面配向層の当該他方に隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得ない。有利なことに、構造の複雑さを低減することができる。ホモジニアス配向層は、制御された配向方向を伴って、より便利に提供することができる。輝度の低減および反射率の増加に伴う極領域のサイズの増加を達成することができる。
【0016】
表面配向層の各々は、液晶材料の層の平面内にあるそれぞれの面内成分との隣接する液晶材料における配向を提供するように配置され得、隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する。
【0017】
隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得、その結果、ディスプレイデバイスの当該少なくとも一部分の点からの表示偏光子、追加の偏光子、および当該少なくとも1つの極性制御遅延器の最大光透過の方向は、ディスプレイデバイスの前の共通の光学窓に向けられ得る。有利なことに、ディスプレイユーザに対して画像の均一性が増加し得、窃視者に対してセキュリティレベルの均一性が増加し得る。
【0018】
隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイス全体にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得る。有利なことに、複雑さおよびコストを削減させることができる。ディスプレイデバイス全体にわたって均一性を高めることができる。
【0019】
隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの第1の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得る。有利なことに、ディスプレイデバイスのその部分のユーザに対して、ディスプレイデバイスの第1の部分にわたる均一性を高めることができる。さらに、ディスプレイデバイスの第1の部分の窃視者に対して、セキュリティレベルの均一性を高めることができる。
【0020】
隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度はまた、ディスプレイデバイスの第2の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得る。隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの第1の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得、その結果、ディスプレイデバイスの第1の部分の点からの最大光発光の方向は、ディスプレイデバイスの前の第1の共通の光学窓に向けられ得、かつ、隣接する液晶材料における配向の面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの第2の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し得、その結果、ディスプレイデバイスの第2の部分の点からの最大光発光の方向が、ディスプレイデバイスの前の、第1の共通の光学窓とは異なる第2の共通の光学窓に向けられ得る。有利なことに、ディスプレイデバイスのその部分のユーザに対して、ディスプレイデバイスの第2の部分にわたる均一性を高めることができる。さらに、ディスプレイデバイスの第2の部分の窃視者に対して、セキュリティレベルの均一性を高めることができる。自動車のための中央ディスプレイは、乗客および運転者のための第1および第2のプライバシー領域を伴って配置することができる。
【0021】
追加の偏光子および少なくとも1つの極性制御遅延器は、凹状の曲率で湾曲していてもよい。空間光変調器は、凹状の曲率で湾曲していてもよい。追加の偏光子、少なくとも1つの極性制御遅延器、および任意選択で空間光変調器は、凹状の曲率で湾曲していてもよい。有利なことに、軸外および軸上の視聴者の両方に対して、ディスプレイデバイスにわたる輝度の変化をさらに低減することができる。
【0022】
液晶遅延器は、液晶層を制御するための電圧を印加するように配置された電極をさらに備える切替え可能な液晶遅延器であり得る。
【0023】
ディスプレイデバイスは、切替え可能な液晶遅延器の電極間に印加される電圧を制御するように配置された制御システムをさらに備え得る。
【0024】
少なくとも1つの極性制御遅延器は、少なくとも1つの受動補償遅延器をさらに備え得る。
【0025】
空間光変調器は、発光空間光変調器であり得、表示偏光子は、発光空間光変調器の出力側面上に配置された出力偏光子であり得る。
【0026】
空間光変調器は、透過型空間光変調器であり得る。さらに、表示偏光子は、透過型空間光変調器の出力側面上に配置された出力偏光子であり得る。
【0027】
ディスプレイデバイスは、出力偏光子と少なくとも1つの極性制御遅延器との間に配置された反射偏光子をさらに備えてもよく、反射偏光子は、出力偏光子と同じ直線偏光された偏光成分を通過するように配置された直線偏光子である。
【0028】
ディスプレイデバイスは、空間光変調器の入力側面上に配置された入力偏光子であって、直線偏光子である、入力偏光子と、入力偏光子の、入力側面上に配置されたさらなる追加の偏光子と、出力偏光子とさらなる追加の偏光子との間に配置された少なくとも1つのさらなる極性制御遅延器と、をさらに備え得、少なくとも1つの極性制御遅延器は、液晶遅延器を含み、液晶遅延器は、液晶材料の層と、液晶材料の層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層であって、表面配向層のうちの少なくとも1つは、液晶材料の層の平面内にある面内成分との隣接する液晶材料における配向を提供するように配置されており、隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する、2つの表面配向層と、を備える。
【0029】
有利なことに、さらなる極性制御遅延器および関連付けられた偏光子の使用により、軸外の視聴者に対する光の輝度をさらに低減し、それによってディスプレイデバイスのプライバシー機能をさらに改善することが可能であり得る。極性制御遅延器の各々は、関連付けられた偏光子とともに、軸外の方向の輝度を独立して低減することができる。2つの極性制御遅延器およびそれに関連付けられた偏光子を合わせると、軸外の輝度を低減する上で相乗効果が得られる可能性がある。したがって、これにより、軸外の視聴者に対する輝度を大幅に低減することができる。
【0030】
本開示の実施形態は、様々な光学システムにおいて使用することができる。本実施形態は、様々な投影機、投影システム、光学構成要素、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、自己完結型投影システム、視覚的および/または視聴覚システム、ならびに電気的および/または光学的デバイスを含み得、またはそれらとともに動作し得る。本開示の態様は、光学および電気デバイス、光学システム、プレゼンテーションシステム、または任意のタイプの光学システムを含み得る任意の装置に関連する実質的に任意の装置を伴って使用することができる。したがって、本開示の実施形態は、光学システム、視覚的および/または光学的プレゼンテーションにおいて使用されるデバイス、視覚的周辺機器など、ならびに多数のコンピューティング環境において使用することができる。
【0031】
開示された実施形態の詳細に進む前に、開示は他の実施形態が可能であるため、開示は、その適用または作成において、示された特定の配置の詳細に限定されないことを理解されたい。さらに、本開示の態様は、それ自体で固有の実施形態を定義するために、異なる組み合わせおよび配置で説明され得る。また、本明細書で使用される用語は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。
【0032】
本開示のこれらおよび他の利点および特徴は、本開示全体を読むことにより当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
実施形態は、添付の図に例として示され、同様の参照番号は、同様の部分を示す。
【0034】
【
図1A】方向における輝度の低減を均一にする透過型ディスプレイデバイスの側面斜視図である。
【
図1B】
図1Aのディスプレイデバイスの層のスタックの正面図である。
【
図2】方向における輝度の低減を均一にする発光ディスプレイデバイスの側面斜視図である。
【
図3A】
図1Aのディスプレイデバイスの表面配向層の正面図であり、配向の面内成分の角度は、第1の軸および第2の軸に沿って変化する。
【
図3B】
図1Aのディスプレイデバイスの表面配向層の正面図であり、配向の面内成分の角度は、第1の軸に沿って変化する。
【
図4】
図3Aの表面配向層によって提供される配向の角度の面内成分のグラフである。
【
図5A】
図1において適用可能な極性制御遅延器の斜視図であり、極性制御遅延器は、ホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器と、受動クロスAプレート遅延器と、を備える。
【
図5B】
図5Aの液晶遅延器における液晶配向の斜視図である。
【
図6】
図5Aのホモジニアス配向の切替え可能なLCのLCディレクタ角度の厚さ全体のグラフである。
【
図7】プライバシーモードにおける
図1Aの光スタックを通るSLMからの出力光の伝搬の側面図である。
【
図8】プライバシーモードにおける
図1Aの光学スタックを通る周囲照明光の伝播の側面図である。
【
図9A】プライバシーディスプレイの観察視野角を示す、ディスプレイデバイスの概略上面図である。
【
図9B】異なる視野角における
図1Aのディスプレイデバイスの出力輝度のグラフである。
【
図9C】視聴者および従来技術デバイスのディスプレイデバイスの表面配向層の斜視図である。
【
図10A】90°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10B】85°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10C】80°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10D】70°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10E】90°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10F】95°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10G】100°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図10H】110°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図11A】90°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11B】85°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11C】80°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11D】70°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11E】90°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11F】95°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11G】100°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図11H】110°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図12A】平面ディスプレイデバイスの前の視聴者の斜視図である。
【
図12B】湾曲したディスプレイデバイスの前の視聴者の斜視図である。
【
図13A】自動車用の中央スタックディスプレイの上面図である。
【
図13C】自動車用の代替の中央スタックディスプレイの上面図である。
【
図13E】
図13Cのディスプレイの観察視野角を示すディスプレイデバイスの概略上面図である。
【
図13F】
図13Cのディスプレイデバイスから、ディスプレイにわたって異なる位置から出力された光の極性方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図13G】
図13Cのディスプレイデバイスから、ディスプレイにわたって異なる位置から出力された光の極性方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図13H】
図13Cのディスプレイデバイスから、ディスプレイにわたって異なる位置から出力された光の極性方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図14A】互いに対して角度を付けられた一対のタイル状ディスプレイデバイスの上面図および斜視図である。
【
図14B】互いに対して角度を付けられた一対のタイル状ディスプレイデバイスの上面図および斜視図である。
【
図15A】互いに対して面内にある一対のタイル状ディスプレイデバイスの上面図および斜視図である。
【
図15B】互いに対して面内にある一対のタイル状ディスプレイデバイスの上面図および斜視図である。
【
図16】
図1において適用可能な極性制御遅延器の斜視図であり、極性制御遅延器は、ホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器と、負のCプレート遅延器と、を備える。
【
図17A】80°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点における、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図17B】90°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点における、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図17C】100°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点における、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【
図17D】80°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点における、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図17E】90°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点における、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図17F】100°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点における、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【
図18A】
図1において適用可能な極性制御遅延器の斜視図であり、極性制御遅延器は、ホメオトロピック配向の切替え可能なLC遅延器と、プライバシー動作モードにおける負のCプレート遅延器と、を備える。
【
図18B】
図18Aのホメオトロピック配向の切替え可能なLCのLCディレクタ角度の厚さ全体のグラフである。
【
図19A】
図1に適用可能な極性制御遅延器の斜視図であって、極性制御遅延器は、ホメオトロピックおよびホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器と、負のCプレート遅延器と、を備え、ホメオトロピック配向層の配向方向は、横方向にわたって共通であり、ホモジニアス配向層の配向方向は、横方向にわたって変化する。
【
図19B】
図19Aのホメオトロピックおよびホモジニアス配向の切替え可能なLCのLCディレクタ角度の厚さ全体のグラフである。
【
図19C】
図1に適用可能な極性制御遅延器の斜視図であって、極性制御遅延器は、負のCプレート遅延器間にホメオトロピックおよびホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器を備え、ホモジニアス配向層およびホメオトロピック配向層の配向方向が各々、横方向にわたって変化する。
【
図20A】
図1Aのディスプレイデバイスと比較して改変されたディスプレイデバイスの側面斜視図である。
【
図20B】
図1において適用可能な極性制御遅延器の2つのセットの斜視図であり、各々は、ホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器と、負のCプレート遅延器と、を備える。
【
図21】その領域にわたって様々な配向角度を有する表面配向層を製造するための装置の側面図である。
【
図22】異なる位置における
図21に見られる装置のマスクおよびそれらの対応する位置における光線の偏光を示す正面図である。
【
図23A】軸外の光による遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図23B】0度における第1の直線偏光状態の軸外の光による遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図23C】90度における第1の直線偏光状態の軸外の光による遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図23D】45度における第1の直線偏光状態の軸外の光による遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図24A】正の仰角を伴う軸外の偏光によるCプレート遅延器の照明を斜視で示す図である。
【
図24B】負の横方向角度を伴う軸外の偏光によるCプレート遅延器の照明を斜視で示す図である。
【
図24C】正の仰角および負の横方向角度を伴う軸外の偏光によるCプレート遅延器の照明を斜視で示す図である。
【
図24D】正の仰角および正の横方向角度を伴う軸外の偏光によるCプレート遅延器の照明を斜視で示す図である。
【
図24E】
図24A~24Dの透過光線の極方向による出力透過の変化を示すグラフである。
【
図25A】正の仰角を伴う軸外の偏光によるクロスAプレート遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図25B】負の横方向角度を伴う軸外の偏光によるクロスAプレート遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図25C】正の仰角および負の横方向角度を伴う軸外の偏光によるクロスAプレート遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図25D】正の仰角および正の横方向角度を伴う軸外の偏光によるクロスAプレート遅延器層の照明を斜視で示す図である。
【
図25E】
図25A~25Dの透過光線の極方向による出力透過の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで、本開示の目的のための光学遅延器に関連する用語について説明する。
【0036】
一軸複屈折材料を備える層には、光学異方性を支配する方向があるが、それに垂直な(またはそれに対する所与の角度で)すべての方向は同等の複屈折を有する。
【0037】
光遅延器の光軸は、複屈折が発生しない一軸複屈折材料内の光線の伝播方向を指す。これは、例えば対称線に平行であるか、または主光線が伝播するディスプレイ面に垂直であり得る光学システムの光軸とは異なる。
【0038】
光軸に直交する方向に伝搬する光の場合、遅軸に平行な電気ベクトル方向の直線偏光が最も遅い速度で進むとき、光軸は遅軸になる。遅軸方向は、設計波長で屈折率が最も高い方向である。同様に、速軸方向は、設計波長で屈折率が最も低い方向である。
【0039】
正の誘電異方性の一軸複屈折材料の場合、遅軸方向は複屈折材料の異常軸である。負の誘電異方性の一軸複屈折材料の場合、速軸方向は複屈折材料の異常軸である。
【0040】
半波長および四分の一波長という用語は、典型的には500nm~570nmであり得る設計波長λ0に対する遅延器の動作を指す。本実施形態では、別段の指定がない限り、例示的な遅延値が550nmの波長に対して提供される。
【0041】
遅延器は、それに入射する光波の2つの垂直偏光成分間の位相シフトを提供し、2つの偏光成分に与える相対位相の量Γによって特徴付けられており、これは、複屈折Δnおよび遅延器の厚さdに次のように関係している。
Γ=2.π.Δn.d/λ0 式1
【0042】
式1において、Δnは、異常な屈折率と通常の屈折率との差として定義される。すなわち、
Δn=ne-no 式2
【0043】
半波長遅延器の場合、d、Δn、およびλ0の関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=πであるように選択される。四分の一波長位相差板、d、Δn、およびλ0の関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=π/2であるように選択される。
【0044】
本明細書における半波長遅延器という用語は、典型的には、遅延器に垂直に、かつ空間光変調器に垂直に伝搬する光を指す。
【0045】
ここで、一対の偏光子間の透明な遅延器を通る光線の伝播のいくつかの態様を説明する。
【0046】
光線の偏光状態(SOP)は、任意の2つの直交する偏光成分間の相対的な振幅および位相シフトによって表される。透明な遅延器は、これらの直交偏光成分の相対的な振幅を変化させず、それらの相対的な位相にのみ作用する。直交偏光成分間に正味の位相シフトを提供すると、SOPが変化するが、正味の相対位相を維持すると、SOPが保たれる。本記載では、SOPは偏光状態と称する場合がある。
【0047】
直線SOPは、振幅がゼロではない偏光成分と、振幅がゼロの直交偏光成分と、を有する。
【0048】
直線偏光子は、直線偏光子の電気ベクトル透過方向に平行な直線偏光成分を有し、異なるSOPで光を減衰させる独自の直線SOPを透過する。
【0049】
吸収偏光子は、入射光の1つの偏光成分を吸収し、かつ第2の直交偏光成分を透過する偏光子である。吸収直線偏光子の例として、ダイクロイック偏光子がある。
【0050】
反射偏光子は、入射光の1つの偏光成分を反射し、かつ第2の直交偏光成分を透過する偏光子である。直線偏光子である反射偏光子の例として、3M社製のDBEF(商標)またはAPF(商標)のような多層ポリマーフィルムスタック、またはMoxtek製のProFlux(商標)のようなワイヤグリッド偏光子がある。反射直線偏光子は、コレステリック反射材料と、直列に配置された四分の一波長板と、をさらに備え得る。
【0051】
直線偏光子と平行線形分析偏光子との間に配置され、相対的な正味の位相シフトを導入しない遅延器は、直線偏光子内の残留吸収以外の光の完全な透過を提供する。
【0052】
直交偏光成分間の相対的な正味の位相シフトを提供する遅延器は、SOPを変化させ、分析偏光子で減衰を提供する。
【0053】
本開示において、「Aプレート」とは、その光軸が層の平面に平行である複屈折材料の層を利用する光学遅延器を指す。
【0054】
「正のAプレート」とは、正の複屈折Aプレート、つまり正のΔnを伴うAプレートを指す。
【0055】
本開示において、「Cプレート」とは、その光軸が層の平面に垂直である複屈折材料の層を利用する光学遅延器を指す。「正のCプレート」とは、正の複屈折Cプレート、つまり正のΔnを伴うCプレートを指す。「負のCプレート」とは、負の複屈折Cプレート、つまり負のΔnを伴うCプレートを指す。
【0056】
「Oプレート」とは、その光軸が層の平面に平行な成分と層の平面に垂直な成分とを有する複屈折材料の層を利用する光学遅延器を指す。「正のOプレート」とは、正の複屈折Oプレート、つまり正のΔnを伴うOプレートを指す。
【0057】
無彩色遅延器を提供することができ、遅延器の材料は、波長λに伴って変化する遅延特性Δn.dが提供されている。
Δn.d/λ=K 式3
【0058】
ここで、Kは、実質的に一定である。
【0059】
適切な材料の例には、帝人フィルム製の変性ポリカーボネートが含まれる。本実施形態では、以下に説明するように、輝度低減が少ない極角度視方向と輝度低減が増加した極角度視方向との間の色の変化を有利に最小化するために、無彩色遅延器を提供することができる。
【0060】
ここで、遅延器および液晶に関連して本開示で使用される様々な他の用語を説明する。
【0061】
液晶セルは、Δn.dによって与えられる遅延特性を有し、Δnは、液晶セル内の液晶材料の複屈折であり、dは、液晶セルの厚さであり、液晶セル中の液晶材料の配向には依存していない。
【0062】
均一配向とは、分子が基板に実質的に平行に配向する、切替え可能な液晶ディスプレイにおける液晶の配向を指す。均一配向は、平面配向と呼ばれることもある。均一配向は、典型的には、2度などの小さなプレチルトを伴って提供され得、その結果、液晶セルの配向層の表面における分子は、以下に説明されるようにわずかに傾斜する。プレチルトは、セルの切替えにおける縮退を最小限に抑えるように配置されている。
【0063】
本開示において、垂直配向は、棒状液晶分子が基板に対して実質的に垂直に配向される状態である。ディスコティック液晶では、垂直配向は、ディスク状の液晶分子によって形成される柱構造の軸が表面に垂直に配向される状態として定義される。垂直配向では、プレチルトは配向層に近い分子の傾斜角であり、通常は90度に近く、例えば88度になり得る。
【0064】
ねじれ液晶層では、ネマティック液晶分子のねじれ構成(らせん構造またはらせんとしても知られている)が提供される。ねじれは、配向層の非平行配向によって達成することができる。さらに、コレステリックドーパントを液晶材料に添加して、ねじれ方向(時計回りまたは反時計回り)の縮退を解消し、緩和(通常は駆動されていない)状態におけるねじれのピッチをさらに制御することができる。超ねじれ液晶層は、180度を超えるねじれを有する。空間光変調器において使用されるねじれネマティック層は、通常、90度のねじれを有する。
【0065】
正の誘電異方性を伴う液晶分子は、印加された電界によって、均一配向(Aプレート遅延器配向など)から垂直配向(CプレートまたはOプレート遅延器配向など)に切り替えられる。
【0066】
負の誘電異方性を伴う液晶分子は、印加された電界によって、垂直配向(CプレートまたはOプレート遅延器配向など)から均一配向(Aプレート遅延器配向など)に切り替えられる。
【0067】
棒状分子は正の複屈折を有するため、式2に記載されているようにne>noとなる。ディスコティック分子は負の複屈折を有するため、ne<noである。
【0068】
Aプレート、正のOプレート、および正のCプレートなどの正の遅延器は、通常、延伸フィルムまたは棒状液晶分子によって提供され得る。負のCプレートなどの負の遅延器は、延伸フィルムまたはディスコティック様の液晶分子によって提供され得る。
【0069】
平行液晶セル配向とは、平行またはより一般的には逆平行である均一配向層の配向方向を指す。事前傾斜させた垂直配向の場合、配向層は、実質的に平行または逆平行である成分を有し得る。ハイブリッド配向液晶セルは、1つの均一配向層および1つの垂直配向層を有し得る。ねじれ液晶セルは、例えば互いに90度に向けられた、平行な配向を有しない配向層によって提供され得る。
【0070】
透過型空間光変調器は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,237,876号に開示されるように、入力表示偏光子と出力表示偏光子との間に遅延器をさらに備え得る。そのような遅延器(図示せず)は、本実施形態の受動遅延器とは異なる場所にある。そのような遅延器は、軸外の観察位置に対するコントラスト低下を補償し、これは、本実施形態の軸外の観察位置に対する輝度低減とは異なる効果である。
【0071】
ディスプレイのプライベート動作モードは、画像がはっきりと見えないように、観察者が低いコントラスト感度を見るモードである。コントラスト感度は、静止画像における様々なレベルの輝度を識別する能力の尺度である。逆コントラスト感度は、高い視覚的セキュリティレベル(VSL)が低い画像の視認性に対応するという点で、視覚的セキュリティの尺度として使用することができる。
【0072】
観察者に画像を提供するプライバシーディスプレイの場合、視覚的なセキュリティは、以下のように得られる。
V=(Y+R)/(Y-K) 式4
【0073】
式中、Vは、視覚的セキュリティレベル(VSL)であり、Yは、窃視者の視聴角度におけるディスプレイの白色状態の輝度であり、Kは、窃視者の視聴角度におけるディスプレイの黒色状態の輝度であり、Rは、ディスプレイからの反射光の輝度である。
【0074】
パネルのコントラスト比は、以下のように得られる。
C=Y/K式5
【0075】
そこで、視覚的セキュリティレベルは、さらに以下のように与えられ得る。
V=(P.Ymax+I.ρ/π)/(P.(Ymax-Ymax/C)) 式6
【0076】
ここで、Ymaxは、ディスプレイの最大輝度であり、Pは、軸外の相対輝度であり、通常、最大輝度Ymaxに対する窃視者角度における輝度の比率として定義され、Cは、画像のコントラスト比であり、pは、表面反射率であり、Iは、照度である。Ymaxの単位は、Iの単位をステラジアンの単位の立体角で除算したものである。
【0077】
ディスプレイの輝度は角度によって変化するため、ディスプレイの最大輝度Ymaxは、ディスプレイの構成に応じた特定の角度で発生する。
【0078】
多くのディスプレイでは、最大輝度Ymaxは、正面で、つまりディスプレイに垂直に発生する。本明細書に開示される任意のディスプレイデバイスは、正面で発生する最大輝度Ymaxを有するように構成することができ、その場合、ディスプレイデバイスの最大輝度Ymaxへの参照は、ディスプレイデバイスに垂直な輝度への参照によって置き換えられ得る。
【0079】
代替的に、本明細書に記載の任意のディスプレイは、0°を超えるディスプレイデバイスの法線に対して極角で発生する最大輝度Ymaxを有するように構成することができる。例として、最大輝度Ymaxは、非ゼロの極角と例えばゼロの横方向角度を有する方位角とにおいて発生し得、その結果、最大輝度は、ディスプレイデバイスを見下ろしている軸上のユーザのためのものである。極角は、例えば10度であり得、方位角は、北方向(東方向から反時計回りに90度)であり得る。したがって、望ましいことに、視聴者は、通常の非垂直の視野角で高輝度を見ることができる。
【0080】
軸外の相対輝度Pは、プライバシーレベルと称することもある。しかしながら、このようなプライバシーレベルPは、正面の輝度と比較した所与の極角におけるディスプレイの相対輝度を説明するものであり、プライバシーの外観の尺度ではない。
【0081】
照度Iは、ディスプレイに入射し、ディスプレイから観測者の位置に向かって反射される単位面積当たりの光束である。ランバート照度の場合、およびランバート前面拡散器照度を伴うディスプレイの場合、Iは、極角および方位角で不変である。指向性(非ランバート)周囲光を伴う環境に配置された、非ランバート前面拡散を伴うディスプレイを伴う配置の場合、照度Iは観測の極角および方位角によって変化する。
【0082】
したがって、完全に暗い環境では、高コントラストディスプレイは、ほぼ1.0のVSLを有する。周囲照度が増加すると、知覚される画像のコントラストが劣化し、VSLが増加し、プライベート画像が知覚される。
【0083】
一般的な液晶ディスプレイの場合、パネルのコントラストCは、ほぼすべての表示角度で100:1を超えているため、視覚的なセキュリティレベルを以下のように概算することができる。
V=1+I.ρ/(π.P.Ymax) 式7
【0084】
本実施形態では、式4の例示的な定義に加えて、視覚的セキュリティレベルの他の測定値Vが、例えば、窃視者の位置、画像コントラスト、画像色および白色点、ならびに従属画像特徴サイズの窃視者に対する画像可視性への影響を含むように提供され得る。したがって、視覚的セキュリティレベルは、ディスプレイのプライバシーの程度の尺度であり得るが、パラメータVに制限されない可能性がある。
【0085】
知覚画像のセキュリティは、目の対数応答から判定することができ、それは、
S=log10(V) 式8
【0086】
Sの望ましい限界は、以下のように判定された。第1のステップでは、プライバシーディスプレイデバイスが提供された。極視角を伴うディスプレイデバイスのプライバシーレベルP(θ)の変化、および極視角を伴うディスプレイデバイスの反射率ρ(θ)の変化の測定が、明所視測定機器を使用して行われた。実質的に均一な輝度のライトボックスなどの光源は、反射のための入射方向に沿って、プライバシーディスプレイデバイスを照らすように配置された照明領域から、ディスプレイデバイスの法線に対する0°を超える極角における視聴者位置への照明を提供するように配置された。極視角を伴う実質的にランバート発光ライトボックスの照度の変化I(θ)は、反射率ρ(θ)の変化を考慮に入れて、極視角を伴う記録された反射輝度の変化を測定することによって判定された。P(θ)、r(θ)、およびI(θ)の測定値を使用して、ゼロ仰角軸に沿った極視角によるセキュリティ係数S(θ)の変化を判定した。
【0087】
第2のステップでは、(i)最大フォント高さ3mmの小さなテキスト画像と、(ii)最大フォント高さ30mmの大きなテキスト画像と、(iii)動画と、を含む一連の高コントラスト画像が、プライバシーディスプレイに提供された。
【0088】
第3のステップでは、各観察者(必要に応じて1000mmで見るための視力補正を使用)が1000mの距離から画像の各々を見て、ディスプレイの中心線またはその近くのディスプレイ上の位置から片方の目で画像が見えなくなるまで、ゼロ高度における極座標角度を調整した。観察者の目の極位置が記録された。関係S(θ)から、当該極位置におけるセキュリティ係数が判定された。測定は、様々な画像、様々なディスプレイ輝度Ymax、様々なライトボックス照度I(q=0)、様々な背景照明条件、および様々な観察者に対して繰り返された。
【0089】
上記の測定値から、S<1.0は、低い、またはまったくない視覚的セキュリティを提供し、1.0≦S<1.5は、画像コンテンツのコントラスト、空間周波数、および時間周波数に依存する視覚的セキュリティを提供し、1.5≦S<1.8は、ほとんどの画像およびほとんどの観察者に対して、許容できる画像の不可視性(つまり、画像のコントラストが観察できない)を提供し、S≧1.8は、すべての観察者に対して、画像コンテンツに関係なく、完全な画像の不可視性を提供する。
【0090】
実際のディスプレイデバイスでは、これは、S≧Sminの関係を満たす窃視者である軸外の視聴者に対して、Sの値を提供することが望ましいことを意味する。ここで、Sminの値が1.0以上の場合、軸外の視聴者が、表示された画像を認識できないという効果を実現し、Sminの値が1.5以上の場合、表示された画像が不可視である、つまり、ほとんどの画像およびほとんどの観察者にとって、画像が表示されていることを視聴者が認識できないという効果を実現し、または、Sminの値が1.8以上の場合、画像コンテンツに関係なく、すべての観察者にとって、表示された画像が不可視であるという効果を実現する。
【0091】
プライバシーディスプレイと比較して、望ましい広角ディスプレイは、標準的な周囲照度条件において、容易に観察される。画像の視認性の1つの尺度は、以下の式で得られるミシェルソンコントラストなどのコントラスト感度によって得られる。
M=(Imax-Imin)/(Imax+Imin) 式9
【0092】
そこで、
M=((Y+R)-(K+R))/((Y+R)+(K+R))=(Y-K)/(Y+K+2.R) 式10
【0093】
したがって、視覚的なセキュリティレベル(VSL)は、1/MとV同等である(ただし、同一ではない)。本考察では、所与の軸外の相対輝度Pに対して、広角画像の可視性Wは、以下のように概算される。
W=1/V=1/(1+I.ρ/π.P.Ymax)) 式11
【0094】
上記の考察は、窃視者である軸外の視聴者に対する表示画像の可視性を低減させることに焦点を当てているが、同様の考慮事項が、通常は軸上にあるディスプレイデバイスの対象ユーザに対する表示画像の可視性にも適用される。この場合、視覚的セキュリティレベル(VSL)Vのレベルの低下は、視聴者に対する画像の可視性の向上に対応する。観察中、S<0.1は、表示された画像の許容可能な可視性を提供し得る。実際のディスプレイデバイスでは、これは、S≦Smaxの関係を満たすディスプレイデバイスの対象ユーザである軸上の視聴者に対してSの値を提供することが望ましいことを意味し、ここで、Smaxの値は0.1である。
【0095】
本考察では、望ましい白色点(uw'、vw')からの出力色(uw'+Δu',vw'+Δv')の色変化Δεは、典型的なディスプレイのスペクトル光源を想定し、CIELUV色差メトリックによって決定することができ、以下の式で得られる。
Δε=(Δu'2+Δv'2)1/2 式12
【0096】
例えば、プライバシーディスプレイにおいて使用するための、表示偏光子と追加の偏光子との間に配置された複数の遅延器を備える、切替え可能な指向性ディスプレイ装置が、米国特許公開第2019/0086706号、米国特許公開第2019/0250458号、米国特許公開第2020/0225402号、およびWIPO公開第2019/055755号に記載されており、これらはすべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。表示偏光子と遅延器との間に配置された反射偏光子をさらに備える指向性ディスプレイデバイスが、米国特許公開第2019/0250458号および米国特許公開第2019/0227366号に記載されており、これらは両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。表示偏光子と追加の偏光子との間に配置された受動遅延器を含む指向性表示偏光子は、米国特許公開第2018/0321553号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0097】
曲率は、湾曲した線の特性であり、本開示では、曲率の逆半径である。平面の曲率はゼロである。
【0098】
ここで、様々な指向性ディスプレイデバイスの構造および動作を説明する。本記載では、共通の素子は共通の参照番号を有する。任意の素子に関する開示は、同じまたは対応する素子が提供される各デバイスに適用されることに留意されたい。したがって、簡潔にするために、そのような開示は繰り返されない。
【0099】
図1Aは、方向における輝度の低減の均一性を提供するディスプレイデバイス100の側面斜視図であり、
図1Bは、
図1Aのディスプレイデバイスの層のスタックの正面図である。さらに詳細に考察されていない
図1Bの実施形態の特徴は、特徴の任意の潜在的な変化を含む、
図1Aの同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0100】
図1Aは、周囲照明604で使用するためのディスプレイデバイス100を示しており、これは、光400を出力するように配置された空間光変調器(SLM)48を備える。SLM48は、SLM48の入力側面上に配置された入力偏光子210と、SLM48の出力側面上に配置された出力偏光子218とを備え、入力偏光子210および出力偏光子218は、SLMの2つの表示偏光子である。入力偏光子210および出力偏光子218は、各々が直線偏光子である。
【0101】
ディスプレイデバイス100はまた、出力偏光子218と同じ側面である出力偏光子218の出力側面上に配置された追加の偏光子318と、出力偏光子218と追加の偏光子318との間に配置された反射偏光子302とを備える。追加の偏光子318および反射偏光子302は、各々が直線偏光子である。典型的な偏光子210、218、318は、ダイクロイック偏光子などの偏光子であり得る。
【0102】
ディスプレイデバイス100はまた、追加の偏光子318と出力偏光子218との間に配置された少なくとも1つの極性制御遅延器300を備え、極性制御遅延器300は、液晶遅延器301を含む。偏光子制御遅延器300はまた、反射偏光子302と追加の偏光子318との間に配置されている。さらに、反射偏光子302は、出力偏光子218と極性制御遅延器300との間に配置されている。反射偏光子302の電気ベクトル透過方向303は、追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向319に平行である。すなわち、反射偏光子302は、出力偏光子218と同じ直線偏光成分を通過させるように配置された直線偏光子である。反射偏光子302の電気ベクトル透過方向303は、出力偏光子218の電気ベクトル透過方向219に平行である。
【0103】
入力偏光子210の電気ベクトル透過方向211は、出力偏光子218の電気ベクトル透過方向219に直交している。有利なことに、導波路1から入力偏光子210を通る部分偏光の透過を増加させることができる。
【0104】
本開示において、SLM48は、基板212、216と、液晶層214と、赤、緑、および青の画素220、222、224と、を備える液晶ディスプレイを備え得る。出力偏光子218は、SLM48の画素220、222、224からの光に対して高い消光比を提供し、反射偏光子302から画素220、222、224への後方反射を防ぐように構成することができる。
【0105】
バックライト20は、SLM48を照らすように配置することができ、それによって透過型SLM48を提供し、入力光源15、導波路1、後部反射器3、ならびに拡散器と、光旋削フィルムと、他の既知の光学バックライト構造と、を備える光学スタック5を備え得る。複数の第1の光源15が非限定的な例として示されているが、概して、1つ以上の光源15が任意の数で存在し得る。例えば、非対称表面レリーフの特徴を備え得る非対称拡散器は、光学スタック5に提供され得、横方向と比較して仰角方向への拡散を増加させる。有利なことに、画像の均一性を高めることができる。
【0106】
ディスプレイは、バックライト20とSLM48との間に配置された反射型再循環偏光子208をさらに備え得る。反射型再循環偏光子208は、本実施形態の反射型偏光子302とは異なる。反射型再循環偏光子208は、ダイクロイック入力偏光子210の電気ベクトル透過方向に直交する偏光を有するバックライト20からの偏光の反射を提供する。反射型再循環偏光子208は、窃視者に周囲光604を反射しない。
【0107】
代替的に、SLM48は、出力偏光子218を伴う有機LEDディスプレイ(OLED)など、発光によって出力光400を提供する他のディスプレイタイプによって提供することができる。出力偏光子218は、出力表示偏光子218とOLED画素平面との間に挿入された1つ以上の遅延器518によって、OLED画素平面から反射された光の輝度の低減を提供することができる。1つ以上の遅延器518は、4分の1波長板であり得、本開示の遅延器330とは異なる。
【0108】
図1の実施形態では、極性制御遅延器300は、受動極性制御遅延器330、すなわち少なくとも1つの受動補償遅延器と、切替え可能な液晶遅延器によって提供される液晶材料の層と、を備える。概して、極性制御遅延器300は、少なくとも1つの遅延器の任意の構成を備え得、そのいくつかの例は、以下に説明するデバイスに存在する。
【0109】
少なくとも1つの極性制御遅延器300は、同時に、少なくとも1つの極性制御遅延器300の平面の法線に沿った軸に沿って反射偏光子302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入せず、少なくとも1つの極性制御遅延器300の平面の法線に傾斜した軸に沿って反射偏光子302を通過する光の直交偏光成分に相対位相シフトを導入することができる。極性制御遅延器300は、反射偏光子302、極性制御遅延器300、および極性制御遅延器300の平面の法線に沿った軸に沿って追加の偏光子318を通過する光の輝度に影響を与えない。しかしながら、極性制御遅延器300は、切替え可能な遅延器301の切替え可能な状態の少なくとも1つにおいて、極性制御遅延器300の平面の法線に傾斜した軸に沿ってそれを通過する光の輝度を低減する。この効果をもたらす原理は、
図23A~25Eを参照して以下でより詳細に説明され、極性制御遅延器300によって導入される位相シフトの有無から極性制御遅延器300の液晶材料に対して異なる角度が付けられた軸に沿った光まで生じる。以下に説明するすべてのデバイスにおいて、同様の効果が得られる。
【0110】
極性制御遅延器300は、液晶材料の層314を備える切替え可能な液晶遅延器301と、反射偏光子302と追加の偏光子318との間に配置された基板312、316とを備える。したがって、少なくとも1つの極性制御遅延器300は、液晶材料414の層314を備える切替え可能な液晶遅延器301を備え、少なくとも1つの極性制御遅延器300は、同時に、少なくとも1つの極性制御遅延器300の平面の法線に沿った軸に沿って反射偏光子302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入せず、少なくとも1つの極性制御遅延器の平面の法線に傾斜した軸に沿って反射偏光子302を通過した光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入するように、切替え可能な液晶遅延器301の切替え可能な状態で配置される。
【0111】
切替え可能な液晶遅延器301の基板312、316は、層314を制御するために液晶材料414の層314の両端に電圧を提供するように配置された電極413、415(
図5Aに図示)を備える。制御システム352は、電圧ドライバ350によって、切替え可能な液晶遅延器301の電極413、415の間に印加される電圧を制御するように配置されている。
【0112】
極性制御遅延器は、液晶材料414の層314に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層419A、419Bをさらに備える。表面配向層419A、419Bの各々は、隣接する液晶材料414において、それぞれ液晶材料414の層314の平面内にある面内成分417Ap、417Bpとの配向を提供するように配置されている。
【0113】
液晶遅延器301の左側の領域において、第1の配向層419A上の面内成分417ALpは、配向角617ALを有する。液晶遅延器301の中心近くの領域において、第1の配向層419A上の面内成分417ACpは、配向角617ACを有する。液晶遅延器301の右側の領域において、第1の配向層419A上の面内成分417ARpは、配向角617ARを有する。
【0114】
以下でさらに説明するように、液晶遅延器301の左側の領域において、第2の配向層419B上の面内成分417BLpは、配向角617BLを有する。液晶遅延器301の中心近くの領域において、第2の配向層419B上の面内成分417BCpは、配向角617BCを有する。液晶遅延器301の右側の領域において、第2の配向層419B上の面内成分417BRpは、配向角617BRを有する。
【0115】
本実施形態では、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分の角度617A、617Bのうちの少なくとも1つは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたる所定の軸に沿って単調に変化する。これについては、例えば、以下の
図4を参照して、以下でさらに説明する。
【0116】
SLM48が液晶ディスプレイである場合の
図1Bに示されるように、入力偏光子210における入力電気ベクトル透過方向211は、液晶層214によって変換され得、出力偏光子218の電気ベクトル透過方向219によって判定される出力偏光成分を提供する入力偏光成分を提供する。反射偏光子302の電気ベクトル透過方向は、出力偏光子218の電気ベクトル透過方向に平行である。さらに、出力偏光子218の電気ベクトル透過方向および反射偏光子302の電気ベクトル透過方向303は、この例では、追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向319に平行である。
【0117】
少なくとも1つの極性制御遅延器300のうちの少なくとも1つの受動遅延器330は、少なくとも1つの受動遅延器の平面の法線に沿った軸に沿って反射偏光子302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入せず、少なくとも1つの受動遅延器の平面の法線に傾斜した軸に沿って反射偏光子302を通過する光の直交偏光成分に正味の相対位相シフトを導入するように配置されている。
【0118】
例えば、以下の
図5Aの例において記載されるように、液晶材料414は、液晶材料414の層314の平面内にある面内成分と位置合わせされる。
図1Bは、配向層417Aにおける液晶材料414の配向を示している。液晶層314の配向層417Aにおける隣接液晶材料414における配向の当該面内成分417ALp、417ACp、417ARpの角度617AL、617AC、617ARは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸500に沿って単調に変化し、液晶材料414分子414ALp、414ACpおよび414ARpに、配向層417Aにわたる様々な配向を提供する。左から右に見た場合、材料414Bの面内成分の角度617は、材料414ALpの約70度から、材料414ACpの90度、材料414ARpの約110度に増加する。この場合、角度は、反時計回りに回転する軸500から液晶材料414の面内成分に対して判定されている。この様式で角度617AL、617AC、617ARを判定すると、単調に増加する角度になる。代替的に、角度は、軸500から時計回りの方向に液晶材料の面内成分に対して判定されてもよい。この場合、角度は単調に減少する。
【0119】
受動極性制御遅延器330は、以下に説明するように、固体複屈折材料430を伴う遅延層を備え得、一方、切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料414の層314を備え得る。
【0120】
次に、発光ディスプレイデバイスについて説明する。
【0121】
図2は、方向における輝度の低減の均一性を提供する発光ディスプレイデバイス100の側面斜視図である。さらに詳細に考察されていない
図2の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0122】
図2は、空間光変調器48が、発光空間光変調器であり、表示偏光子218が、透過型空間光変調器48の出力側面上に配置された出力偏光子である代替の実施形態である。画素220、222、224は、OLED、マイクロLEDまたは他の既知の発光要素などの発光要素によって提供され得る。有利なことに、
図1の実施形態と比較して、厚さを低減させることができる。
【0123】
図1Aおよび1Bとの比較として、
図2はまた、出力偏光子218、反射偏光子302、および追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向219、303、319が、面内成分417ACpとの配向方向に直交し得る代替の配置を示している。本実施形態の動作は、隣接する液晶材料414ACにおける配向の当該面内成分417ACpとの電気ベクトル透過方向219、303、319の平行または直交配向についても実質的に同じである。有利なことに、x軸に平行な透過方向を伴うサングラスを通る光の透過を増加させることができる。
【0124】
次に、配向層419A、419Bの配置についてさらに説明する。
【0125】
図3Aは、
図1Aのディスプレイデバイス100の第1の表面配向層419Aの正面図であり、配向の面内成分の角度は、第1および第2の軸500、502に沿って変化する。さらに詳細に考察されていない
図3Aの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0126】
表面配向層419Aは、以下でさらに説明されるように、表面配向層419Aにわたって異なる配向の向きを提供する材料を有し得る。
【0127】
左上の材料は、軸500に対して角度617ALUの配向417ALUを有する。上部中央の材料は、軸500に対して角度617ACUの配向417ACUを有する。右端の材料は、軸500に対して角度617ARUの配向417ARUを有する。明らかなように、配向層419Aの面内材料の角度617AUは、軸500に沿って左から右に単調に増加する。したがって、この配向層419Aは、隣接する液晶材料414、液晶層314における配向の面内成分の角度をもたらし、これは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し、これは、配向層419Aの軸500に対応する。
【0128】
配向層419Aの左下部分において、材料は、軸500に対して角度617ALDの配向417ALDを有する。
【0129】
配向層419Aの下部中央において、材料は、軸500に対する角度617ACUと同じ角度617ACDの配向417ACUに対して同じ配向417ACDを有する。代替の実施形態では、角度617ACU、617ACDは、以下でさらに説明するように、垂直軸502において輝度制御を提供するために異なっていてもよい。
【0130】
さらに、配向層419Aの右下部分の材料414は、軸500に対して角度617ARDの配向417ARDを有する。示されているように、角度617ALUは、角度619ALDよりも大きく、角度617ARUは、角度619ARDよりも大きい。したがって、軸500に沿って単調に変化する角度に加えて、配向層419Aの面内成分の角度、ひいては隣接する液体材料の配向もまた、軸500に垂直な軸502によって示される、さらなる軸に沿って単調に変化する。
【0131】
有利なことに、以下で説明するように、軸上の視聴者への照明の均一性を高めることができる。
【0132】
図3Bは、
図1Aのディスプレイデバイスの表面配向層419Aの正面図であり、配向417Aの面内成分の角度は、第2の軸502に沿ってではなく、第1の軸500に沿って変化する。さらに詳細に考察されていない
図3Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0133】
したがって、配向は、所定の軸500に垂直なさらなる軸に沿って変化しない。有利なことに、軸500に沿った輝度の均一性の向上を達成するために、配向層を提供することができる。配向層419A、419Bは、
図21および22を参照して以下でさらに説明されるように、
図3Aの配置よりも便利に製造することができる。
【0134】
第2の表面配向層419B(図示せず)は、第1の表面配向層419Aと同じであり得るか、代替的に、それは異なっていてもよい。第2の表面配向層419B上の配向方向417Bは、通常、第1の配向層上の配向方向417Aに対して平行または反平行であり得る。以下でさらに説明するように、軸500に沿って横方向に均一性を有利に高めることができる。
【0135】
第1および第2の配向層419A、419Bにおいて、配向方向417A、417B間にいくらかのねじれが提供され得る。有利なことに、出力プロファイルの回転対称性を高めることができる。さらに、配向方向が変化する基板の数を減らすことができ、コストおよび複雑さを低減することができる。
【0136】
次に、配向角度617のバリエーションについて説明する。
【0137】
図4は、ディスプレイデバイス100のアクティブ領域の幅にわたる所定の方向500において、
図3Aの表面配向層419Aによって提供される配向の角度617の面内成分のグラフである。プロファイル504、506、508によって示される配向方向は、ディスプレイ100の少なくとも一部分にわたって単調に変化する。プロファイル504、506は、配向角度617の線形変化を示している。製造において、プロファイルの勾配は、ディスプレイデバイス100からの主な視聴者の異なる公称視聴距離に対して最大の均一性を提供するために変更され得る。例えば、短い視聴距離に対しては高い勾配を使用することができ、一方、より長い視聴距離で動作するように配置されたディスプレイには、プロファイル506のより低い勾配を提供することができる。有利なことに、均一性を最適化することができる。
【0138】
プロファイル508は、所定の方向500における角度617の非線形変化を示している。そのようなプロファイルは、例えば、以下の
図10A~10Hを参照してさらに説明されるように、視野角による輝度プロファイルの非線形変化を補償するために提供され得る。
【0139】
これらの例では、隣接する液晶材料414における配向の面内成分の角度617A、617Bのうちの少なくとも1つの角度の当該面内成分は、所定の軸に沿って単調に変化し、出力偏光子218および反射偏光子302および追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向に平行な平均方向、出力偏光子218、反射偏光子302および追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向に平行な平均方向を伴う。より一般的には、出力偏光子218、反射偏光子302、および追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向が平行でない場合、平均方向は、出力偏光子218、反射偏光子302および追加の偏光子318のうちの少なくとも1つの電気ベクトル透過方向に平行または直交し得る。しかしながら、これは必須ではない。他の例では、平均方向は、出力偏光子218、反射偏光子302、および追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向のうちの1つ以上に対して非ゼロの鋭角であり得る。
【0140】
上記の実施例では、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分の角度617A、617Bのうちの少なくとも1つは、ディスプレイデバイス100の全体にわたって所定の軸に沿って単調に変化する。以下に説明する他の例では、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分の角度617A、617Bのうちの少なくとも1つは、ディスプレイデバイス100の一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化し、その場合、技術的効果はその部分で得られる。
【0141】
次に、例示的な極性制御遅延器の配置について説明する。
【0142】
図5Aは、
図1に適用され得る極性制御遅延器330、301の斜視図であり、極性制御遅延器330、301は、ホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器301と、受動交差Aプレート遅延器308A、308Bとを備え、
図5Bは、
図5Aの液晶極性制御遅延器301の液晶層314における液晶材料414の配向の向きの斜視図である。
【0143】
以下の
図5Aおよび5Bならびに他の概略図では、明確にするために、光スタックのいくつかの層が省略されている。例えば、切替え可能な液晶遅延器301は、基板312、316を省略して示されている。さらに詳細に考察されていない
図5Aの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0144】
切替え可能な液晶遅延器301は、正の誘電異方性を伴う液晶材料414の層314を備える。
【0145】
切替え可能な液晶遅延器301は、液晶材料421の層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層419A、419Bを備え、各々が、隣接する液晶材料414におけるホモジニアス配向を提供するように配置されている。切替え可能な液晶遅延器301の液晶材料414の層314は、正の誘電異方性を伴う液晶材料414を備える。液晶材料414の層314は、500nm~900nmの範囲、好ましくは600nm~850nmの範囲、最も好ましくは700nm~800nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延特性を有し得る。受動極性制御遅延器330は、遅延器の平面内に光軸を有する、すなわち、それらが交差するAプレートである一対の受動遅延器308A、308Bをさらに備える。一対の受動遅延器308A、308Bのうちの各受動遅延器308A、308Bは、300nm~800nmの範囲、好ましくは350nm~650nmの範囲、最も好ましくは450nm~550nmの範囲の550nmの波長の光に対する遅延特性を有する。
【0146】
本実施形態では、「交差」は、遅延器308A、308Bの平面内の2つの遅延器308A、308Bの光軸間の実質的に90°の角度を指す。遅延器材料のコストを削減するために、例えば、フィルム製造中の延伸誤差に起因する遅延器の向きのいくらかの変動を材料に提供することが望ましい。遅延器の向きを好ましい方向から遠ざけると、正面の輝度が低減し、最小透過率が増加する可能性がある。好ましくは、角度310Aは、少なくとも35°および最大で55°、より好ましくは少なくとも40°および最大で50°、最も好ましくは少なくとも42.5°および最大で47.5°である。好ましくは、角度310Bは、少なくとも125°および最大で145°、より好ましくは少なくとも130°および最大で135°、最も好ましくは少なくとも132.5°および最大で137.5°である。
【0147】
受動遅延器308A、308Bは、低コストおよび高均一性を有利に達成するために、延伸フィルムを使用して提供することができる。さらに、ホモジニアス配向を伴う液晶遅延器の視野が広がり、圧力印加の間の液晶材料の流れの視認性に復元力がもたらされる。
【0148】
追加の偏光子318に、出力偏光子218および反射偏光子302の電気ベクトル透過方向とは異なる電気ベクトル透過方向を提供することが望ましい場合がある。
【0149】
液晶遅延器301は、液晶材料414を制御し、それによって液晶遅延器を制御するために、層314にわたって配置された透過性の電極413、415をさらに備える。液晶材料414の層314は、電極413、415に印加される電圧を調整することによって切替え可能である。電極413、415は、液晶材料414の層314の両側面上にあり、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)電極であり得る。
【0150】
配向層419A、419Bは、電極413、415と層314の液晶材料414との間に形成することができる。
【0151】
次に、液晶分子414の向きについてさらに説明する。
【0152】
第1の配向層417Aに隣接する分子414Aを考慮すると、光軸方向417Aは、配向層417Aのプレチルト角619Aによって判定される。非ゼロのプレチルト角619Aの場合、液晶分子414Aの光軸配向方向の成分417Azが提供され、これは、液晶遅延器301が延在する平面の外にある。光軸方向417Aは、分子414Aが配置された領域における配向層417Aの向きの方向617A(ラビング方向とも称され得る)によっても判定される。液晶分子414Aの構成要素417Apは、液晶遅延器301が延在する平面内にある光軸配向方向が提供される。
【0153】
第2の配向層417Bに隣接する分子414Bを考慮すると、光軸方向417Bは、配向層417Bのプレチルト角619Bによって判定される。非ゼロのプレチルト角619Bの場合、液晶分子414Bの光軸配向方向の成分417Bzが提供され、これは、液晶遅延器301が延在する平面の外にある。光軸方向417Bは、分子414Bが配置された領域における配向層417Bの向きの方向617B(ラビング方向とも称され得る)によっても判定される。液晶分子414Bの構成要素417Bpは、液晶遅延器301が延在する平面内にある光軸配向方向が提供される。
【0154】
換言すれば、配向角617A、617Bは、各配向層419A、419Bがプレチルトを有するように、配向層419A、419Bのプレチルト方向619A、619Bによって決定される。
図5Aの実施形態では、各配向層419A、419Bのプレチルトは、互いに平行または反平行または直交する層314の平面内の構成要素417Ap、417Bpを伴うプレチルト方向を有する。
【0155】
図5Aの実施形態では、表面配向層419A、419Bの各々は、隣接する液晶材料414におけるホモジニアス配向を提供するように配置されている。そのようなホモジニアス配向層419A、419Bは、例えば2°であるプレチルト角619A、619Bを備えていてもよい。
【0156】
ドライバ350は、液晶分子が垂直に対する傾斜角で傾斜し、Oプレートを形成するように、切替え可能な液晶材料414の層314にわたって電極413、415に電圧Vを提供する。傾斜の平面は、基板312、316(
図1に見られる)の内面上に形成される電極413、415上に形成される配向層419A、419Bのプレチルト方向によって判定される。
【0157】
典型的な使用において、パブリックモードとプライバシーモードを切り替えるために、液晶材料414の層314は、2つの状態の間で切り替えることができる。第1の状態は、ディスプレイ100が複数のユーザによって使用され得るように、パブリックモードであり、第2の状態は、窃視者による最小の可視性を伴う、主たるユーザによって使用されるプライバシーモードである。スイッチングは、電極413、415の間に印加される電圧によるものであり得る。
【0158】
概して、そのようなディスプレイ100は、第1の広角状態および第2の低減された軸外の輝度状態を有すると見なされ得る。そのようなディスプレイ100は、プライバシーディスプレイを提供することができる。別の用途では、または軸外の観察者に制御された輝度を提供するために、例えば、乗客または運転手が中間電圧レベルによって完全に不明瞭にすることなく、表示された画像のある程度の可視性を望み得る自動車環境において。夜間の操作では、迷光が低減する場合がある。ディスプレイ100はまた、軸外の視聴者のためにディスプレイ100の少なくとも一部分にわたってより均一な輝度低減を提供し得、一方、軸上の視聴者のためにディスプレイの少なくとも一部にわたってより均一な輝度を提供し得る。
【0159】
図5Bの実施形態は、横軸500に沿った位置による配向方向の変化をさらに示す。配向層419A、419Bは、それぞれ同じ大きさであるプレチルト619A、619Bを備え、かつ隣接する液晶材料414におけるホモジニアス配向を提供するように配置されている。
【0160】
第1の配向層419Aのディスプレイの左側において、液晶分子414ALは、面外成分417ALzを伴う配向方向417ALと、軸500方向から鋭角617ALを有する面内成分417ALpとを有する。第2の配向層419Bの場合、液晶分子414BLは、面外成分417BLzを伴う配向方向417BLと、軸500方向から鋭角617BLを有する面内成分417BLpとを有する。方向417ALp、417BLpは、逆平行である。
【0161】
第1の配向層419Aのディスプレイの右側において、液晶分子414ARは、面外成分417ARzを伴う配向方向417ARと、軸500方向から鋭角617ARを有する面内成分417ARpとを有する。第2の配向層419Bの場合、液晶分子414BRは、面外成分417BRzを伴う配向方向417BRと、軸500方向から鈍角617BRを有する面内成分417BRpとを有する。方向417ARp、417BRpは、逆平行である。
【0162】
ディスプレイの中央において、第1の配向層419A上で、液晶分子414ACは、面外成分417ACzを伴う配向方向417ACと、軸500方向から鋭角617ACを有する面内成分417ACpとを有する。第2の配向層419Bの場合、液晶分子414BCは、面外成分417BCzを伴う配向方向417BCと、軸500方向から直角617BCを有する面内成分417BCpとを有する。方向417ACp、417BCpは、逆平行である。
【0163】
次に、液晶層314を通る液晶分子414の向きの変化について説明する。
【0164】
図6は、
図5Aのホモジニアス配向の切替え可能なLCのその厚さにわたるLCディレクタ角度のグラフであり、様々な異なる印加電圧のための、切替え可能な液晶遅延器301を通る画分の位置440に対する液晶ディレクタ角度407を示している。プロファイル441は、印加電圧なしの液晶材料414の傾斜角度を示し、傾斜プロファイル443は、プライバシーモードで使用される第1の印加電圧のディレクタの向きを示し、傾斜プロファイル445は、広角動作モードで使用されるより高い印加電圧のディレクタの向きを示す。したがって、液晶層は、通常、望ましい切替え状態で広げられ、補償遅延器330によって補償される。電圧を増加させると、広がりが存在する遅延器301の厚さが徐々に低減し、プライバシー動作のレベルを超えると、透過率が最大になる極視野が有利に増加する。
【0165】
プロファイル443、445による
図6に示される広がりは、液晶層314の厚さを通り抜けており、配向層419における配向方向の角度617の変化とは異なる。
【0166】
次に、出力偏光子218からの偏光の伝搬について、軸上の方向および軸外の方向において考える。
【0167】
図7は、プライバシーモードでの
図1Aの光スタックを通るSLM48からの出力光の伝搬の側面図である。
図5Aに見られる、切替え可能な液晶遅延器301の層314が当該2つの状態のうちの第2の状態にあるとき、極性制御遅延器300は、偏光成分360の全体的な変換を提供せず、切替え可能な遅延器の平面に垂直な軸に沿って、それを通過する光線400を出力する。しかしながら、極性制御遅延器は、遅延器の平面に垂直に鋭角であるいくつかの極角において、それを通過する光線402に対して、偏光成分361の全体的な変換を提供する。さらに詳細に考察されていない
図7の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0168】
出力偏光子218からの偏光成分360は、反射偏光子302によって透過され、切替え可能な液晶遅延器301と、受動偏光子制御遅延器330とを備える極性制御遅延器300に入射する。軸上の光は、極性制御遅延器300を出るときに、成分360から改変されていない偏光成分362を有する。軸外の光は、偏光成分364を有するが、極性制御遅延器300を出ると、それは極性制御遅延器300によって変換される。偏光成分361は、追加の偏光子318によって吸収される直線偏光成分364に変換され得る。より一般的には、偏光成分361は、追加の偏光子318によって部分的に吸収される楕円偏光成分に変換され得る。
【0169】
したがって、異なる極角におけるプライバシーモードでの極性制御遅延器300および追加の偏光子318による透過の極表現では、高透過の領域および低透過の領域が提供される。
【0170】
光透過の極分布は、基礎となるSLM48の輝度出力の極分布を改変する。SLM48が指向性バックライト20を備える場合、軸外の輝度は、上記のようにさらに低減することができる。
【0171】
有利なことに、軸上の観察者に対して高輝度を維持しながら、軸外の窃視者に対して低輝度を有するプライバシーディスプレイが提供される。
【0172】
図8は、プライバシーモードにおける
図1Aの光学スタックを通る周囲照明光の伝播の側面図である。さらに詳細に考察されていない
図8の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0173】
周囲光源604は、偏光されていない光でディスプレイデバイス100を照らす。追加の偏光子318は、追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向319に平行な直線偏光成分である第1の偏光成分372を伴って、ディスプレイ表面に垂直な光線410を透過する。
【0174】
図示のように、光線410は、反射偏光子302に入射する前に、極性制御遅延器300を通過する。両方の動作状態において、偏光成分372は、遅延器300によって改変されないままであり、その結果、透過された偏光成分382は、反射偏光子302および出力偏光子218の透過軸に平行である。したがって、周囲光はSLM48を通過し、失われる。
【0175】
それと比較して、軸外である光線412の場合、追加の偏光子318は、追加の偏光子の電気ベクトル透過方向319に平行な直線偏光成分である第1の偏光成分372を伴って、光線412の一部分を透過する。軸外の光線412は、極性制御遅延器300を通って向けられ、その第1の偏光成分372は、改変された偏光成分374になるように改変される。改変された偏光成分374を有する光線412は、反射偏光子302に入射する。改変された偏光成分374は、反射偏光子302の透過軸とは異なるので、光線412は、反射偏光子302によって反射され得る。改変された偏光成分374は、遅延器300を通過した後、偏光成分376に再変換され、追加の偏光子318を透過する。
【0176】
したがって、液晶材料の層314がこの状態にあるとき、極性制御遅延器300は、偏光成分372を、追加の偏光子318を通過し、次いで、切替え可能な遅延器の平面に垂直な軸に沿って極性制御遅延器300を通過する周囲光線410に全体的に変換しない。したがって、反射偏光子302は、追加の偏光子318を通過し、次いで、極性制御遅延器300の平面に垂直な軸に沿って極性制御遅延器300を通過する周囲光線410の反射光を提供しない。しかしながら、極性制御遅延器300は、偏光成分372を、吸収性偏光子318を通過し、次いで、極性制御遅延器300の平面に垂直に鋭角であるいくつかの極角において極性制御遅延器300を通過する周囲光線412に全体的に変換する。これにより、周囲光の反射光線412が、追加の偏光器318を通過し、次いで、極性制御遅延器300の平面に垂直に鋭角であるいくつかの極性角度で、極性制御遅延器300を通過し、反射偏光器302によって反射された光線412は、極性制御遅延器300を通過して戻り、次いで、追加の偏光器318によって透過される。
【0177】
有利なことに、光反射の極分布は、軸上の観測者に対して低い反射率を維持しながら、極性制御遅延器300のプライバシー状態によって、典型的な窃視者位置において高い反射率を提供する。したがって、プライバシー動作モードでは、軸外の視聴位置の反射率が増加し、SLMからの軸外の光の輝度が低減する。上記のように、そのような増加した反射率は、周囲に照らされた環境におけるディスプレイの視覚的セキュリティレベルを増加させる。
【0178】
次に、視聴者および窃視者に対するプライバシー表示の動作について、さらに説明する。
【0179】
図9Aは、その幅にわたるディスプレイデバイス100の視野角の変化を示す、ディスプレイデバイス100の概略上面図である。
図9Bは、
図5Aの極性制御遅延器300を含むディスプレイデバイス100の中心点から出力される光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
図9Cは、従来技術のディスプレイデバイス1のユーザ45および表面配向層の斜視図である。
【0180】
ディスプレイ100は、液晶極性制御遅延器301を備え、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分417の角度617は、本書の他の場所に示すように、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分にわたる所定の軸500に沿って単調に変化する。
【0181】
図9Aの代替の実施形態では、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分417の角度は、ディスプレイデバイス100全体にわたって所定の軸に沿って単調に変化する。
【0182】
ディスプレイデバイス100の当該少なくとも一部分の点470R、470C、470Lからの表示偏光子218、追加の偏光子318、および当該少なくとも1つの極性制御遅延器300の最大光透過の光線450R、450C、450Lによって示される方向は、ディスプレイデバイス100の前の共通の光学窓26に向けられている。動作中、窓面197内の光学窓26は、通常、公称視距離480以上である窓距離Zwで提供され得る。代替的に、光学窓26は、光学瞳孔と称され得、ディスプレイ100の出力は、瞳孔形成されていると説明され得る。ディスプレイ100にわたって有利に望ましい均一性の変化が、ユーザ45に提供され得る。
【0183】
図9Aを参照すると、ディスプレイ100に対して中央に位置付けられた軸上の観察者45は、ディスプレイに垂直な光軸199と位置合わせされている。したがって、中心位置点470Cから0度の極角を伴う光線450Cは、法線方向において主たるユーザ45に向けられる。
【0184】
ディスプレイ100の右側の点470Rから伝播する第1の光線450Rは、法線199に対して第1の角度453で、ユーザ45に向かってディスプレイ100に伝播する。ディスプレイ100から右側にある距離に位置付けられた窃視者47の場合、ディスプレイ100の左端の点470Lから窃視者47に向かって伝播する第2の光線456は、法線199に対して第2の角度457で、ディスプレイ100に伝播する。
【0185】
図示のように、第1の角度453および第2の角度457は、サイズが比較的類似している可能性がある。
【0186】
図9Bを参照すると、
図9Cに示すように、遅延器の平面内の液晶の面内成分の角度がディスプレイにわたって均一である、主たるユーザ45に対して大きな視野角460を伴うディスプレイデバイス100において、光線450Rが角度453で放射されるディスプレイ上の点470Rの輝度463は、点470Lから角度457における光線456の窃視者47の輝度467と同じか、または類似しており、ユーザ45にとって望ましくない。
【0187】
図9Cに示されるように、これはさらに、ディスプレイ100にわたって輝度ロールオフをもたらし、輝度は、ディスプレイの中央で最も明るく、ディスプレイ100の縁で最小に向かって徐々に低減する。ディスプレイ100にわたる輝度の変化は、観察者45によって気付かれ得、望ましくない場合がある。
【0188】
図9Cの配置と比較して、光線450Rがユーザ45によって観察可能であり、光線456が窃視者47に対して低輝度および高反射率を有することが概して望ましい。さらに、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたる輝度が、公称視距離480でユーザ45に高い均一性で提供されることが望ましい。
【0189】
本実施形態では、ディスプレイ100は、液晶材料314の層の面内にある面内成分との隣接する液晶材料414の配向を提供し、隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度は、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する。ディスプレイの少なくとも一部分にわたる異なる点470C、470R、470Lにおいて、異なる角度依存輝度が達成される。したがって、液晶材料314の適切な面内角度により、第1の光線450Rは、ユーザ45によって観察可能な輝度を有し得、第1の光線450Rの角度453と同様の角度457で進む光線456は、窃視者47によって観察できない輝度の低減を有し得る。これは、2つの表面配向層419A、419Bに隣接する液晶材料314によって、ディスプレイ100の全幅にわたって達成され得、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたる軸にわたって単調に変化する角度を有する面内成分を有する。
【0190】
見てわかるように、ディスプレイ上の中心点の輝度は、0°の横方向角度における最大値から約45°の横方向角度における最小値に減少する。したがって、軸上のユーザは、ディスプレイデバイス100の中心から最大輝度を見るが、その一方で、約45°の横方向角度に位置付けられた窃視者、すなわち軸外の観察者は、ディスプレイデバイス100の中心から最小輝度を見るであろう。したがって、最小輝度が十分に小さく、窃視者がディスプレイデバイス100を観察できなくなり得る。
【0191】
次に、例示的な実施形態の極出力について説明する。
【0192】
図10A~10Dは、それぞれ90°、85°、80°、70°の配向の面内成分の角度617Lを伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイス100から出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフであり、
図10E~10Hは、それぞれ90°、95°、100°、110°の配向の面内成分の角度617Rを伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による輝度の変化を示すグラフである。
【0193】
例示的な実施形態は、表1の特性のために提供される。
【表1】
【0194】
窃視者47に高い反射率を提供しながら、主たるユーザ45に低い反射率を提供することがさらに望ましいであろう。
【0195】
図11A~11Dは、それぞれ90°、85°、80°、70°の配向の面内成分の角度617Lを伴うディスプレイの中央の左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから反射された光の極方向による反射率の変化を示すグラフであり、
図11E~11Hは、それぞれ90°、95°、100°、110°の配向の面内成分の角度617Rを伴うディスプレイの左側におけるディスプレイデバイス上の異なる点における、
図5Aの複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極方向による反射率の変化を示すグラフである。
【0196】
各グラフは、ディスプレイ100上の所与の点における、軸199からの極方向による輝度の変化を示している。各グラフには、配向方向の角度617がラベル付けされている。さらに、輝度が特定のレベルを下回る角度、つまり、窃視者には点が見えない角度は、ディスプレイの幅全体で変化する。したがって、これは、窃視者の所与の位置において、ディスプレイの様々な部分の輝度が異なることを意味する。
【0197】
プロファイルの各々は、極輪郭490によって示されるように、主たるユーザ45のディスプレイのなす角サイズをさらに示している。プロファイルはさらに、ゼロ仰角の最大輝度の極位置492と、ユーザ45から見たディスプレイデバイス100の上部における光の仰角の最大輝度の位置494とを示している。
【0198】
角度617が90度から変化するにつれて、最大輝度の極位置492、496は、極方向にシフトする。
図3Aの実施形態に示されるように、角度617は、空間的位置によって変化し、したがって、ピーク輝度の方向もまた、空間的位置によって変化する。有利なことに、主たるユーザ45に対する表示輝度が増加する。さらに、ディスプレイの少なくとも一部分にわたるポイントにおいて、窃視者に対する削減が増加する。さらに、窃視者47に対する輝度低減の均一性が増加する。ディスプレイの視覚的なセキュリティレベルが向上する。
【0199】
図11A~11Hは、
図10A~10Hの点490、492の極位置を示し、したがって、主たるユーザ45によって見られるような反射率を提供する。有利なことに、主たるユーザに対する反射率が低減し得、窃視者に対する反射率が増加し得る。
【0200】
組み合わせて、窃視者47によって見られる最小視覚的セキュリティレベルVSLは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたる点において増加し、VSLの均一性が増加し得る。
【0201】
次に、平面表示および曲線表示の配向方向の配置について説明する。
【0202】
図12Aは、配向層417Aを備える液晶遅延器301を備える極性制御遅延器300を備える平面ディスプレイデバイス100の前のユーザ45の斜視図である。さらに詳細に考察されていない
図12Aの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0203】
2つの配向層419A、419Bのうちの一方のみが示され、配向層のうちの他方が示されていない本明細書の実施形態では、例えば、本明細書の他の場所に示されているように、
図5A、
図5B、
図16、
図18A、
図19A、
図19Cまたは
図20Bに示されているように、対応する配向方向で配置され得る。
【0204】
図12Aでは、ディスプレイデバイス100は、それが平坦であるような平面構造を有する。ディスプレイ100上のあらゆる点に対して、軸上のユーザ45は、
図9Aに示されるように、異なる横方向角度および仰角で各点を見る。上記の
図10A~10Hおよび11A~11Hに見られるように、これらの角度は、各点の軸上の観測者に対する輝度と反射率に影響を与える。
【0205】
したがって、配向角617AL、617AC、617ARをそれぞれ伴う異なる配向方向417ALp、417ACp、417Arpは、本明細書の他の場所で説明されるように、ディスプレイの角度サイズにわたって最大輝度の方向の変化を提供するように配置されている。有利なことに、変化する配向方向は、表示距離480でユーザ45によって観察されるような輝度および反射率の両方において、ディスプレイデバイス100にわたる均一性の向上を達成する。軸外の窃視者47の視覚的セキュリティも向上する。
【0206】
言い換えれば、
図9Cの配置と比較して、
図12Aは、ディスプレイデバイス100にわたって異なる横方向位置で最大輝度の極角を変化させることによって均一性が増加することを示している。
【0207】
次に、湾曲したディスプレイ100の代替の配置について説明する。
【0208】
図12Bは、配向層417Aを備える液晶遅延器301を備える極性制御遅延器300を備える湾曲したディスプレイデバイス100の前のユーザ45の斜視図である。ディスプレイデバイス100は、y軸を中心に湾曲しており、ディスプレイデバイス100の、ユーザ45と同じ側面上に曲率中心を有する。さらに詳細に考察されていない
図12Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0209】
図12Bの代替案では、ディスプレイ100は、
図1Aに示されるような配置を備え、追加の偏光子318Aおよび少なくとも1つの極性制御遅延器300は、凹状の曲率で湾曲している。空間光変調器48およびバックライト20もまた、凹状の曲率で湾曲している。
【0210】
図12Bは、ディスプレイデバイス100が湾曲している代替構造を示している。そのような場合、追加の偏光子318、少なくとも1つの極性制御遅延器300、および任意選択で空間光変調器48は、凹状の曲率で湾曲している。デバイス100の他の構成要素は、上記のように、凹状の曲率で湾曲していてもよい。
【0211】
湾曲したディスプレイデバイス100は、ディスプレイにわたる個々の点の横方向角度が低減し得るので、ディスプレイデバイスの軸上の観察者の輝度をさらに改善することができる。
【0212】
この場合、配向層419A、419Bに隣接する液晶材料414の面内成分は、所望の効果を生み出すためにそれほど大きくする必要はない場合がある。配向方向417ALp'、417ARp'は、配向方向417ALp、417ARpとは異なり、90度(すなわち、軸500に直交する方向)からの角度617AL'、617AR'の偏差が低減している。有利なことに、ディスプレイの均一性を向上させ、軸外の窃視者に対するディスプレイの視認性を低減させることができる。
【0213】
図13Aは、自動車650の中央スタックディスプレイの上面図である。ディスプレイ100は、ユーザ45である乗客に最も適した改変された配向方向が提供される第1の部分101Pを備え、一方、第2の部分101Dは、ユーザ47である運転手に最も適した改変された配向方向が提供される。本明細書の他の場所に示されている実施形態と比較して、
図13Aの代替案は、ディスプレイ100が、第1および第2の部分101D、101Pを備えることを示している。
【0214】
図9Aの実施形態と比較して、ディスプレイ100の左部分101Dは、運転者47の領域に光学窓26Dを提供し、ディスプレイ100の右部分101Pは、乗客45の領域に光学窓26Pを提供する。有利なことに、運転者47が部分101Dを見るための輝度の均一性が増加し、乗客45が部分101Pを見るための均一性が増加する。さらに、運転者47が部分101Pを見るためのセキュリティ係数の均一性が増加し、乗客45が部分101Dを見るためのセキュリティ係数の均一性が増加する。
【0215】
他の実施形態(図示せず)では、第1および第2の部分101P、101Dは、例えば、幅が数ミリメートル以下の特徴を伴う、例えばカモフラージュ効果を提供するためにインターリーブすることができる。有利なことに、画像データの不明瞭さが増す可能性がある。
【0216】
図13Bは、
図1Aの配置を備え、さらに第1および第2の部分101P、101Dを備える、
図13Aのディスプレイ100の配向層419Aの上面図である。さらに詳細に考察されていない
図13Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0217】
一対の配向層419A、419Bの1つの配向層417Aを考慮すると、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分417DALp、417DACp、417DARpの角度617DAL、617DAC、617DARは、ディスプレイデバイス100の第1の部分101Dにわたって所定の軸500に沿って単調に変化する。隣接する液晶材料404における配向の当該面内成分417PALp、417PACp、417PARpの角度617PAL、617PAC、617PARもまた、ディスプレイデバイスの第2の部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する。
【0218】
さらに
図13Aを参照すると、隣接する液晶材料414における配向417Dpの当該面内成分の角度617Dは、ディスプレイデバイス100の第1の部分101Dにわたって所定の軸500に沿って単調に変化し、その結果、ディスプレイデバイス100の第1の部分の点470DL、470DC、470DRからの表示偏光子218、追加の偏光子318、および当該少なくとも1つの極性制御遅延器300の最大光透過の方向は、ディスプレイデバイス100の前の第1の共通光学窓26Dに向けられ、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分417Ppの角度617Pは、ディスプレイデバイス100の第2の部分101Pにわたって所定の軸500に沿って単調に変化し、その結果、ディスプレイデバイス100の第2の部分101Pの点からの表示偏光子218、追加の偏光子318、および当該少なくとも1つの極性制御遅延器300の最大光透過の方向は、ディスプレイデバイス100の前の、第1の共通光学窓26Dとは異なる、第2の共通光学窓26Pに向けられている。
【0219】
図13Bは、第1の部分101Pにおける、角度617PAL、617PAC、617PARを伴う配向層418Aの配向方向417PALp、417PACp、417PARpを示している。このような配向は、ディスプレイ100の右側から乗客ユーザ45までの均一性の向上を有利に達成する。
図13Bは、第2の部分101Dにおける、角度617DAL、617DAC、617DARを伴う配向層418Aの配向方向417DALp、417DACp、417DARpをさらに示している。このような位置合わせは、ディスプレイ100の右側から運転者ユーザ47までの均一性の向上を有利に達成する。
【0220】
したがって、液晶材料414の層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層419A、419Bにおいて、表面配向層のうちの少なくとも1つは、液晶材料414の層314の平面内にある面内成分417との隣接する液晶材料における配向を提供するように配置されており、隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分の角度617は、ディスプレイデバイス100の第1の部分101Dにわたって所定の軸に沿って単調に変化し、かつディスプレイデバイス100の第2の部分101Pにわたって所定の軸に沿って単調に変化する。
【0221】
図13Bに示されるように、この例では、第1の部分101Dおよび第2の部分101Pの各々において、隣接する液晶材料における配向の面内成分のそれぞれの平均方向は、出力偏光子218、反射偏光子302、および追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向に対して非ゼロの鋭角である。
【0222】
次に、軸外の表示用の代替の切替え可能なプライバシー表示について説明する。
【0223】
図13Cは、反射偏光子302が省略された
図1Aのディスプレイ100と、以下の
図19Aの極性制御遅延器とを備える、自動車650用の代替の中央スタックディスプレイ100の上面図である。さらに詳細に考察されていない
図13Cの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0224】
図13Aの配置と比較して、
図13Cの代替ディスプレイでは、中央プライバシーディスプレイが、乗客45によって使用され、運転者47に画像の不可視性を提供するために提供されている。乗客45のために、単一の光学窓26が提供されている。有利なことに、画像の不可視性が運転者47に提供され得、一方、乗客はそうではなく、娯楽情報などの気晴らしのコンテンツを見ることができる。
【0225】
図13Dは、
図13Cのディスプレイのための配向層419Aの上面図である。さらに詳細に考察されていない
図13Dの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
図13Bの実施形態と比較して、ディスプレイ100にわたる平均角度617DAL、617DAC、617DARは非ゼロである。
【0226】
図13Eは、
図13Cの点470L、470C、470Rからのディスプレイの観察視野角450L、450C、450Rを示す、ディスプレイデバイスの概略上面図である。さらに詳細に考察されていない
図13Eの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0227】
最大透過の角度63L、63c、63Rはすべて軸199に対して傾斜しており、軸外にある共通の光学窓26に向けられている。
【0228】
図13F~13Hは、ディスプレイ100にわたって異なる位置からの
図13Cのディスプレイデバイスから出力される光の極性方向による輝度の変化を示すグラフである。有利なことに、窓26において均一な輝度を乗客45に提供することができ、かつ運転者47に均一なセキュリティ係数を提供することができ、気を散らす画像データの可視性を低減する。
【0229】
次に、タイル表示の配向方向の配置について説明する。
【0230】
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、ユーザ45が各それぞれのディスプレイデバイス100A、100Bの中心の光軸199A、199Bに位置合わせされるように、互いに対して角度が付けられた一対のタイル状ディスプレイデバイス100の上面図および斜視図である。さらに詳細に考察されていない
図14Aおよび14Bの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0231】
ディスプレイ100Aからの光線450LAの方向は、ディスプレイ100Bからの光線450RBに平行である。配向方向417RA、417CA、417LAの配置は、配置417RB、417CB、417LBと同じであってもよい。有利なことに、同じ配置を両方のディスプレイに使用することができ、コストが削減される。
【0232】
図15Aおよび
図15Bは、それぞれ、互いに対して面内にある一対のタイル状ディスプレイデバイス100の上面図および斜視図である。
【0233】
図15Aおよび15Bの配置と比較して、配向層419の異なる配置が、ディスプレイデバイス100A、100Bに使用されている。
【0234】
図15Aから明らかなように、ユーザ45は、もはや各ディスプレイの中心に対して軸上に配置されない。代わりに、ユーザは、概ね、各ディスプレイの縁で軸上に位置付けられ得る。したがって、
図15Bに示されるように、少なくとも配向層419Bは、例えば、
図3Aに示すように、ディスプレイ100の中心を伴う軸上のユーザによって見られるディスプレイ100の配向とは異なる、隣接する液晶材料414における配向を提供するように配置することができる。ディスプレイ100のこの配置における配向は、観察者45がディスプレイ100の中心を伴う軸上に配置されていないにもかかわらず、輝度がディスプレイの少なくとも一部分にわたる点において均一に見えるように配置することができる。
【0235】
次に、さらなる例示的な実施形態について説明する。
【0236】
図16は、
図1Aに見られるディスプレイデバイス100に適用され得る極性制御遅延器300の斜視図である。極性制御遅延器300は、ホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器301を備える。これは、電極413、415上の配向された方向417A、417Bによって示されている。極性制御遅延器300は、負のCプレート遅延器330によって提供される受動極性制御遅延器をさらに備える。負のCプレートは、ディスコティック材料430の向きによって概略的に示される、遅延器330の平面に垂直な光軸を有する。
【0237】
さらに詳細に考察されていない
図16の実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0238】
図17A~17Cは、それぞれ80°、90°、100°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点に対して、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極性方向による輝度の変化を示すグラフであり、
図17D~17Fは、それぞれ80°、90°、100°の配向の面内成分の角度を伴うディスプレイデバイス上の異なる点に対して、
図16の複数の遅延器を使用した、
図1Aのディスプレイデバイスから出力された光の極性方向による反射率の変化を示すグラフである。
【0239】
図17A~17Fのプロファイルは、表2の特性のために提供される。
【表2】
【0240】
有利なことに、
図5Aの実施形態と比較して、厚さおよびコストを削減させることができる。
【0241】
図18Aは、プライバシー動作モードにおけるホメオトロピック配向の切替え可能なLC遅延器と負のCプレート遅延器とを備える、
図1に適用され得る極性制御遅延器300の斜視図である。
図18Bは、
図17Dおよび17Eのホメオトロピック配向された切替え可能なLC414のLCディレクタ角度407の厚さ全体のグラフであり、LC遅延器301を通る画分440として示されている。極性制御遅延器300は、ホメオトロピック配向の切替え可能なLC遅延器301と負のCプレート遅延器330とを備える。さらに詳細に考察されていない
図18Aの配置の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0242】
図5Aおよび5Bのホモジニアス配向と比較して、
図18Aは、ホメオトロピック配向の切替え可能なLC遅延器301が2つの表面配向層419A、419Bを有し、各々が面内成分を提供するプレチルトとの隣接する液晶材料414におけるホメオトロピック配向プレチルトを提供する配向方向417AL、417AC、417AR、417BL、417BC、417BRを有することを示しており、これらの面内成分417ALp、417ACp、417ARpおよび417BLp、417BCp、417BRpは、大きさが比較的小さく、平面外にある成分417ALz、417ACz、417ARzおよび417BLz、417BCz、417BRzは、大きさが比較的大きい。
【0243】
図18Bは、駆動電圧が印加されたときのプロファイル444によって示されるLCディレクタ角度407を示し、プロファイル442は、電圧が印加されていないときのLCディレクタ角度407を示す。このグラフは、駆動電圧が印加されたとき、液晶材料414が、層314の厚さ全体に変化するディレクタ角度407を有し、電圧が印加されていないとき、液晶材料414が、正確には90°ではない一定のLCディレクタ角度を有することを示している。
【0244】
図5Aおよび
図16の均一な液晶の実施形態と比較して、液晶材料414は、電圧を印加せずに広い視野角を提供することができる。配向層419におけるホメオトロピック配向は、プロファイル442によって示されるように、小さなプレチルトを伴って配置することができ、その結果、層314内に好ましい配向方向617の配置が残り、したがって、分子414には、所定の方向500に変化する層内の優先配向が提供される。
【0245】
図19Aは、
図1に適用可能な極性制御遅延器300の斜視図であって、極性制御遅延器301は、ホメオトロピックおよびホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器と、負のCプレート遅延器と、を備え、ホメオトロピック配向層419Aの配向方向は、横方向にわたって共通であり、ホモジニアス配向層419Bの配向方向は、横方向にわたって変化する。さらに詳細に考察されていない
図19Aの配置の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。例示的な実施形態を表6に示す。
【表3】
【0246】
図19Aの代替の実施形態では、表面配向層419Bのうちの当該一方は、隣接する液晶材料414においてホモジニアス配向を提供するように配置されており、表面配向層419Bのうちの一方に隣接する液晶材料414における配向の当該面内成分の角度617BL、617BC、617BRは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸500に沿って単調に変化し、表面配向層419Aのうちの他方は、隣接する液晶材料414においてホメオトロピック配向を提供するように配置されており、表面配向層619Aのうちの当該他方に隣接する液晶材料における配向の当該面内成分の角度617Aは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸500に沿って変化しない。
【0247】
ホメオトロピック配向を提供するように配置された表面配向層419aが、液晶材料414の層314と極性制御遅延器330との間にある場合、液晶遅延器301は、500nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1350nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延特性を有する。極性制御遅延器300は、遅延器330の平面に垂直である光軸を有する受動極性制御遅延器330をさらに備え得、受動極性制御遅延器330は、-300nm~-1600nmの範囲、好ましくは-500nm~-1300nmの範囲、最も好ましくは-700nm~-1150nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延特性を有し、または、遅延器330は、交差する遅延器の平面内に光軸を有する一対の受動遅延器をさらに備え得、一対の遅延器の各遅延器は、400nm~1600nmの範囲、好ましくは600nm~1400nmの範囲、最も好ましくは800nm~1300nmの範囲における550nmの波長の光に対する遅延特性を有する。
【0248】
図19Aは、配向された切替え可能なLC遅延器301が表面配向層419Aを有し、表面配向層419Aが、隣接する液晶材料414におけるホモジニアス配向を提供する配向方向417Aと、面内成分を提供するプレチルトとの隣接する液晶材料414におけるホメオトロピック配向を提供する配向方向417Bとを有することを示している。
図19Aはさらに、ホメオトロピック配向層419Aが受動遅延器330と液晶遅延器301との間に配置されていることを示している。
【0249】
図5A~5Bおよび18Aの実施形態と比較して、ホメオトロピック配向層は、軸500に平行な方向に共通の配向方向を有する。さらに、構成要素417ALp、417ACpおよび417ARpが小さいので、それぞれの配向層417ALp、417BLpおよび417Arp、417BRpが平行または逆平行でないことの影響は小さい。したがって、出力の瞳孔形成、つまり最大透過方向の方向転換は、主にホモジニアス配向層に起因し、出力の望ましい瞳孔形成が達成される。有利なことに、配向層417Aは、コストおよび複雑さを低減した。
【0250】
図19Bは、
図19Aのホメオトロピックおよびホモジニアス配向の切替え可能なLCのLCディレクタ角度の厚さ440全体のグラフである。
【0251】
図19Bは、駆動電圧が印加されたときのプロファイル444によって示されるLCディレクタ角度407を示し、プロファイル442は、電圧が印加されていないときのLCディレクタ角度407を示す。このグラフは、駆動電圧が印加されたとき、液晶材料414が、層314の厚さ全体に変化するディレクタ角度407を有し、電圧が印加されていないとき、液晶材料414が、一定に変化するLCディレクタ角度を有することを示している。
【0252】
図18Aの配置と比較して、
図19Aの配置は、望ましい視覚的セキュリティレベルのために増加した極域を提供することができる。有利なことに、軸外の窃視者に対するプライバシーパフォーマンスおよび均一性が向上し得る。
【0253】
図19Cは、
図1に適用可能な極性制御遅延器300の斜視図であって、極性制御遅延器300は、負のCプレート遅延器330A、330B間に配置されたホメオトロピックおよびホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器301を備え、ホモジニアス配向層およびホメオトロピック配向層の配向方向が各々、横方向にわたって変化する。さらに詳細に考察されていない
図19Cの実施形態の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0254】
図19Cは、
図19Aの代替案を示しており、配向層417A、417Bは、受動遅延器330A、330B上に形成することができ、有利にコストおよび厚さの低減を達成する。
【0255】
図19Cは、
図19Aの別の代替案を示しており、両方の配向層417A、417Bは、軸500の方向に沿って単調に変化する面内配向を有する。有利なことに、ディスプレイの中心から外れた場所では、透過効率が向上し得る。
【0256】
次に、単調に変化する配向を伴う配向層を備える、積み重ねられた複数の遅延器および追加の偏光子について説明する。
【0257】
図20Aは、
図1Aのディスプレイデバイス100と比較して改変されたディスプレイデバイス100の側面斜視図である。
図20Bは、
図1に適用され得る2組の極性制御遅延器300、300Aの斜視図であり、各々は、ホモジニアス配向の切替え可能なLC遅延器301、301Aと、負のCプレート遅延器330、330Aとを備える。さらに詳細に考察されていない
図20Aおよび20Bの配置の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、特に
図1を参照して上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0258】
図1Aの配置と比較して、ディスプレイデバイス100は、SLM48の入力側面上に配置された入力偏光子210の入力側面上に配置されたさらなる追加の偏光子318Bを備える。前述のように、入力偏光子210は、直線偏光子である。
【0259】
図1の極性制御遅延器300は、
図20Aのそれぞれの極性制御遅延器300Aによって提供され得る。
【0260】
したがって、ディスプレイデバイス100は、出力偏光子218(および反射偏光子302)と追加の偏光子318Aとの間に配置された極性制御遅延器300Aを備える。
【0261】
少なくとも1つの極性制御遅延器300Aは、液晶材料314Aの層と、液晶材料314Aの層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層419AA、419ABと、を備える液晶遅延器301Aを含む。表面配向層419AA、419ABのうちの少なくとも1つは、隣接する液晶材料314Aにおいて、液晶材料314Aの層の平面内にある面内成分との配向を提供するように配置されている。隣接する液晶材料314Aにおける配向の当該面内成分の角度617AAは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸500に沿って単調に変化する。これは、隣接する液晶材料314Aにおける配向の面内成分を判定する配向層419AAの面内成分を示す矢印417ALp、417ACp、417ARpによって
図20Aに示されている。
【0262】
ディスプレイデバイス100はまた、入力偏光子210とさらなる追加の偏光子318Bとの間に配置された少なくとも1つのさらなる極性制御遅延器300Bを備える。少なくとも1つのさらなる極性制御遅延器300Bは、液晶材料314Bの層と、液晶材料314Bの層に隣接して、かつその両側面上に配設された2つの表面配向層419BA、419BBと、を備える液晶遅延器301Bを含む。表面配向層419BA、419BBのうちの少なくとも1つは、隣接する液晶材料314Bにおいて、液晶材料314Bの層の平面内にある面内成分との配向を提供するように配置されている。隣接する液晶材料314Bにおける配向の当該面内成分417BAの角度617BAは、ディスプレイデバイス100の少なくとも一部分にわたって所定の軸に沿って単調に変化する。これは、隣接する液晶材料314Bにおける配向の面内成分を決定する配向層419BAの面内成分を示す矢印417BLp、417BCp、417BRpによって
図20Aに示されている。上記のように、2つの極性制御遅延器300A、300Bの使用は、極性制御遅延器300、300Aの各々によって達成される輝度の低減の相乗効果を通じて、軸外の窃視者に対する輝度をさらに低減することを可能にし得る。
【0263】
極性制御遅延器300A、300Bは、
図19Aに見られる極性制御遅延器300と同一である。図示のように、電圧Vを極性制御遅延器300Aに印加し、電圧V
Aをさらなる極性制御遅延器300Aに印加することが可能であり得る。極性制御遅延器300A、300Bは、遅延器301A、330Aおよび301B、330Bの特性について、同じまたは異なる規定を有し得る。異なる規定は、異なる極視野角の制御を提供し得る。有利なことに、主たるユーザに対するプライバシー画像の均一性および軸外の窃視者に対する視覚的セキュリティの均一性を高めることができる。
【0264】
図20A~20Bの代替の実施形態では、両方の極性制御遅延器300A、300Bは、透過型空間光変調器48の入力側面上に配置してもよく、または両方の極性制御遅延器300A、300Bは、透過性空間光の出力側変調器48もしくは発光空間光変調器48の出力側面上に配置してもよい。
【0265】
図21は、表面配向層419、例えば、その領域にわたって様々な配向角度を有する上記の配向層419A、419Bを製造するための装置600の側面図である。装置600は、その上に配向層419を伴う基板604を並進させるように構成された回転ローラ602を備える。装置600は、配向層419に向けて光ビーム607を提供するように配置された紫外線光源などの光源606をさらに備える。光源606の光路には、偏光子608およびマスク610が配置されている。マスク610は、光ビーム607が配向層419の所望の部分605に入射することを可能にするようにのみ機能する。この装置は、偏光子608およびローラ602から偏光603を回転させるために手段610に動作可能に接続されたコントローラ612をさらに備える。偏光子608は、物理的に回転される直線偏光子であり得るか、または固定された直線偏光子と制御可能な遅延器とを備え得る。
【0266】
次に、装置600の動作について説明する。使用中、ローラ602は、光ビーム607が光配向層であり得る配向層419の異なる部分に入射し得るように、光源606およびマスク610に対して、基板604、よって配向層419を並進させることができる。ローラ602が基板604を移動させるとき、偏光子608は、配向層419に入射する光線607が所望の偏光方向603を有するように同時に制御され得る。光ビームによって照らされた配向層419の部分は、入射光線607の偏光に基づいて配向させることができる。光ビーム607はまた、配向層419を硬化させることができる。ローラ602が基板604を移動させるときに光ビーム607の偏光方向603を変更するために偏光子608の向きを制御することにより、配向層419の異なる部分において異なる偏光方向603で配向層419を照らし、したがって、配向層419に沿って配向角を変更することが可能になり得る。適切な制御により、配向層419における単調に変化する面内材料の配向角度を達成することが可能であり得る。ローラ602について上記で説明したが、光線607と配向層419との間に相対運動を引き起こすために、他の任意の適切な手段を提供することができる。例えば、光源606は、表面層419上で光線607を走査するように移動可能に取り付けることができる。
【0267】
図22は、配向層419の異なる部分605、605R、およびそれらの対応する部分における光線607の偏光方向603、603Rにわたって、
図21に見られる装置600のマスク610を示す正面図である。両端矢印419、419Rは、配向層419の異なる部分における、光607を伴う配向層419における配向の方向を示している。
図22に矢印417、417Rで示されるように、配向層の材料は、入射光の偏光方向603、603Rに対して90°、すなわち垂直に配向する。光ビーム607はまた、配向層419内の材料のプレチルトを達成するために、配向層419の平面に対してある角度で向けることができる。
【0268】
図23Aは、軸外の光による極性制御遅延器630層の照明を斜視で示す概略図である。極性制御遅延器630は、x軸に対して0度で光軸方向634を伴う屈折率楕円体632によって表される複屈折材料を含み得、厚さ631を有する。極性制御遅延器630は、ホモジニアス配向を有する上記の受動的または切替え可能な遅延器のいずれかを代表するものである。さらに詳細に考察されていない下記の
図23A~25Eの配置の特徴は、特徴の潜在的な変化を含む、上で考察した同様の参照番号を伴う特徴に対応すると想定され得る。
【0269】
通常の光線636は、材料内の経路長が厚さ631と同じになるように伝播する。光線637はyz平面にあり、経路長が長くなっているが、材料の遅延特性は光線636と実質的に同じである。比較として、xz平面にある光線638は、複屈折材料において増加した経路長を有し、さらに、遅延特性は、通常の光線636とは異なる。
【0270】
したがって、極性制御遅延器630の遅延特性は、それぞれの光線の入射角に依存し、また、入射面、すなわち、xzの光線638は、yz平面における通常の光線636および光線637とは異なる遅延特性を有する。
【0271】
次に、偏光と極性制御遅延器630との相互作用について説明する。指向性バックライト20における動作中の第1および第2の偏光成分と区別するために、以下の説明では、第3および第4の偏光成分に言及する。
【0272】
図23Bは、x軸に対して90度における第3の直線偏光状態の軸外の光による極性制御遅延層の照明を斜視で示す概略図であり、
図23Cは、x軸に対して0度における第4の直線偏光状態の軸外光による極性制御遅延層の照明を斜視で示す概略図である。このような配置では、入射直線偏光状態は、楕円632で表される複屈折材料の光軸に配向される。その結果、第3の直交偏光成分と第4の直交偏光成分との間に位相差は提供されず、各光線636、637、638の直線偏光入力の偏光状態に結果として生じる変化はない。したがって、極性制御遅延器630は、極性制御遅延器630の平面の法線に沿った軸に沿って、極性制御遅延器630の入力側の偏光子を通過する光の偏光成分に位相シフトを導入しない。したがって、極性制御遅延器630、および極性制御遅延器630の両側の偏光子(図示せず)は、それを通過する光の輝度に影響を及ぼさない。
図23A~23Cは、特に、受動的である極性制御遅延器630に関連しているが、同様の効果が、上記のデバイスにおける極性制御遅延器によって達成される。
【0273】
図23Dは、45度における直線偏光状態の軸外の光による極性制御遅延器630層の照明を斜視で示す概略図である。直線偏光状態は、光軸634方向にそれぞれ直交および平行である第3および第4の偏光成分に分解することができる。極性制御遅延器の厚さ631および屈折率楕円体632によって表される材料遅延特性は、設計波長のために、半波長で光線636によって表される法線方向にそれに入射する第3および第4の偏光成分の位相を比較的シフトさせる正味の効果を提供し得る。設計波長は、例えば、500~550nmの範囲であり得る。
【0274】
設計波長で、かつ光線636に沿って正常に伝搬する光の場合、出力偏光は、-45度で直線偏光状態640に90度回転することができる。光線637に沿って伝搬する光は、厚さの変化のために光線636に沿った位相差と類似しているが同一ではない位相差を見る可能性があり、したがって、光線636の出力光の直線偏光軸と同様の主軸を有し得る楕円偏光状態639が出力され得る。
【0275】
対照的に、光線638に沿った入射直線偏光状態の位相差は、著しく異なる可能性があり、特に、より低い位相差が提供され得る。そのような位相差は、所与の傾斜角642で実質的に円形である出力偏光状態644を提供することができる。したがって、極性制御遅延器630は、極性制御遅延器630の平面の法線に対して傾斜している光線638に対応する軸に沿って、極性制御遅延器630の入力側の偏光子を通過する光の偏光成分に位相シフトを導入する。
図23Dは、受動的である極性制御遅延器630に関するが、同様の効果は、プライバシーモードに対応する切替え可能な液晶極性制御遅延器の切替え可能な状態において、上記の極性制御遅延器によって達成される。
【0276】
次に、極性制御遅延器スタックの軸外の挙動を示すために、Cプレート、例えば追加の偏光子318と出力表示偏光子218との間のCプレート330、またはCプレート330Aの角輝度制御について説明し、次に、平行偏光子500、210間のCプレートの動作に関連する様々な軸外の照明構成について説明する。
【0277】
図24Aは、正の仰角を伴う軸外の偏光638によるCプレート層の照明を斜視で示す概略図である。電気ベクトル透過方向501を伴う偏光子500によって達成される入射直線偏光成分704は、極性制御遅延器560の平面に垂直である光軸方向507を伴うCプレートである極性制御遅延器560の複屈折材料561に入射する。偏光成分704は、液晶分子を透過する際の正味の位相差を見ないので、出力偏光成分は、成分704と同じである。したがって、分極方向が電気ベクトル透過方向211に平行であるため、偏光子210を通して最大透過が見られる。同じことが、ゼロの横方向角度およびゼロの仰角で移動する入射光636にも当てはまる。したがって、極性制御遅延器560は、極性制御遅延器560の平面、すなわちxy平面に垂直な光軸507を有する。極性制御遅延器の平面に垂直な光軸507を有する極性制御遅延器560は、Cプレートを備える。
【0278】
図24Bは、負の横方向角度を伴う軸外の偏光によるCプレート層の照明を斜視で示す概略図である。
図24Aの配置と同様に、偏光状態704は、正味の位相差を認識せず、最大輝度で透過される。したがって、極性制御遅延器560は、極性制御遅延器560の平面の法線に沿った軸に沿って、極性制御遅延器560の入力側の偏光子を通過する光の偏光成分に位相シフトを導入しない。したがって、極性制御遅延器560は、極性制御遅延器560および極性制御遅延器560の両側の偏光子500、210を通過する光の輝度に影響を及ぼさない。
【0279】
図24Cは、正の仰角と負の横方向角度とを伴う軸外の偏光によるCプレート層の照明を斜視で示す概略図である。
図24A~24Bの配置と比較して、偏光状態704は、複屈折材料561に対して固有状態703、705に分解し、極性制御遅延器560を透過する際の正味の位相差を提供する。結果として生じる楕円偏光成分656は、
図24A~24Bに示される光線と比較して、低減された輝度で偏光子210を透過する。
図24A~24Cは、特に、受動的である極性制御遅延器560に関連しているが、同様の効果が、上記のデバイスにおける極性制御遅延器によって達成される。
【0280】
図24Dは、正の仰角と負の横方向角度とを伴う軸外の偏光によるCプレート層の照明を斜視で示す概略図である。
図24Cと同様の様式で、偏光成分704は、正味の位相差を受ける固有状態703、705に分解され、楕円偏光成分660が提供され、偏光子を透過した後、それぞれの軸外の光線の輝度を低減する。したがって、極性制御遅延器560は、極性制御遅延器560の平面の法線に対して傾斜している軸に沿って、極性制御遅延器560の入力側の偏光子を通過する光の偏光成分に位相シフトを導入する。
図24Dは、受動的である極性制御遅延器560に関するが、同様の効果は、プライバシーモードに対応する切替え可能な液晶極性制御遅延器の切替え可能な状態において、上記の極性制御遅延器によって達成される。
【0281】
図24Eは、
図24A~24Dの透過光線の極方向による出力透過の変化を示す概略的なグラフである。したがって、Cプレートは、極象限の輝度低減をもたらし得る。本明細書の他の場所で説明される切替え可能な液晶遅延器301と組み合わせて、これは、(i)第1の広角動作状態において、Cプレートの輝度低減の除去、および(ii)第2のプライバシー動作状態において、輝度低減のための拡張された極領域を達成することができる。
【0282】
極性制御遅延器スタックの軸外の動作を説明するために、追加の偏光子318と出力表示偏光子218との間の交差したAプレート308A、308Bの角度輝度制御を、様々な軸外の照明配置について説明する。
【0283】
図25Aは、正の仰角を伴う軸外の偏光による交差したAプレート遅延器層の照明を斜視で示す概略図である。電気ベクトル透過方向219を伴う直線偏光子218を使用して、交差したAプレート308A、308Bの第1のAプレート308A上に横方向に平行な直線偏光状態704を提供する。第1のAプレート308Aは、光軸方向309Aが横方向に+45度傾斜している屈折率楕円体408によって表される複屈折材料を備え得る。第1のAプレート308Aは、第1の厚さ531を有する。正の仰角方向における軸外の角度θ
1に対する極性制御遅延器308Aの遅延特性は、出力において一般に楕円形である結果として生じる偏光成分650を提供する。偏光成分650は、交差したAプレート308A、308Bの第2のAプレート308Bに入射する。第2のAプレート308Aは、第1のAプレート330Aの光軸方向309Aに直交する光軸方向309Bを有する屈折率楕円体410によって表される複屈折材料を備え得る。第2のAプレート308Bは、第2の厚さ533を有する。第1の厚さ531および第2の厚さ533は、同じであっても異なっていてもよい。
図25Aの入射面では、軸外の角度θ
1に対する第2のAプレート308Bの遅延特性は、第1のAプレート308Aの遅延特性と等しく、かつ反対である。したがって、正味のゼロの遅延特性が入射偏光成分704に提供され、出力偏光成分は、入力偏光成分704と同じである。同じことが、ゼロの横方向角度とゼロの仰角とを有する光線636にも当てはまる。
【0284】
出力偏光成分は、追加の偏光子318の電気ベクトル透過方向に配向され、したがって、効率的に透過される。有利なことに、ゼロの横方向角度の角度成分を有する光線に対して実質的に損失が提供されないため、完全な透過効率が達成される。
【0285】
図25Bは、負の横方向角度を伴う軸外の偏光による、
図25Aに見られる交差したAプレート遅延器層308A、308Bの照明を斜視で示す概略図である。したがって、線形入力偏光成分704は、第1のAプレート308Aによって、概して楕円偏光状態である中間偏光成分652に変換される。第2のAプレート308Bは、第1のAプレート308Aと等しく、かつ反対の遅延特性を再び提供し、その結果、出力偏光成分704は、入力偏光成分704と同じであり、光は偏光子318を効率的に透過する。
【0286】
したがって、極性制御遅延器は、交差する遅延器330A、330Bの平面、すなわち本実施形態ではxy平面において、光軸309A、309Bを有する一対の遅延器308A、308Bを備える。一対の遅延器308A、308Bは、偏光子318の電気ベクトル透過に平行な電気ベクトル透過方向に対して各々45°で延在する光軸309A、309Bを有する。
【0287】
有利なことに、完全な透過効率が達成されるように、ゼロ仰角成分を有する光線に対して実質的に損失が提供されない。
【0288】
図25Cは、正の仰角と負の横方向角度とを伴う軸外の偏光による交差したAプレート遅延器層の照明を斜視で示す図である。偏光成分704は、第1のAプレート308Aによって楕円偏光成分654に変換される。結果として生じる楕円形の構成要素656は、第2のAプレート308Bから出力される。楕円成分656は、第1の偏光成分704の入力輝度と比較して、低減された輝度を伴う入力偏光子318によって分析される。
【0289】
図25Dは、正の仰角と正の横方向角度とを伴う軸外の偏光によるクロスAプレート遅延器層308A、308Bの照明を斜視で示す図である。第1および第2のAプレート308A、308Bの正味の遅延特性は補償を提供しないので、偏光成分658および660は、第1および第2のAプレート308A、308Bによって提供される。
【0290】
したがって、非ゼロの横方向角度と非ゼロの仰角成分とを有する光線の輝度は低減する。有利なことに、表示象限において配置された窃視者に対するディスプレイプライバシーを向上させることができるが、主たるディスプレイユーザに対する発光効率は大幅に低減しない。
【0291】
図25Eは、
図25A~25Dの透過光線の極方向による出力透過の変化を示す概略的なグラフである。
図24Eの配置と比較して、輝度低減の領域は、軸外の視聴のために増加している。しかしながら、切替え可能な液晶層314は、第1のパブリック動作モード状態における軸外の視聴のためのCプレート配置と比較して、均一性の低減を提供し得る。
【0292】
本明細書に開示された原理による様々な実施形態が上記で説明されたが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。したがって、本開示の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、本開示から発行される請求項およびそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。さらに、上記の利点および特徴は、記載された実施形態において提供されるが、上記の利点のいずれかまたはすべてを達成するプロセスおよび構造へのそのような発行された請求項の適用は制限されるべきではない。
【0293】
加えて、本書のセクションの見出しは、37CFR 1.77に基づく提案との一貫性を保つため、または組織的な手がかりを提供するために提供されている。これらの見出しは、本開示から発行され得る請求項に記載されている実施形態を制限または特徴付けるべきではない。具体的には、例として、見出しは「技術分野」に言及しているが、請求項は、いわゆる分野を説明するために、この見出しの下で、選択された言語によって制限されるべきではない。さらに、「背景」における技術の説明は、特定の技術が本開示における任意の実施形態の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。また、「要約」は、発行された請求項において記載された実施形態の特徴と見なされるべきではない。さらに、本開示における単数形の「発明」への言及は、本開示における新規性の単一の点のみがあると主張するために使用されるべきではない。本開示から発行される複数の請求項の制限に従って複数の実施形態を説明することができ、したがって、そのような請求項は、それによって保護される実施形態およびそれらの同等物を定義する。すべての場合において、そのような請求項の範囲は、この開示に照らしてそれ自体のメリットで考慮されるべきであるが、本書に記載された見出しによって制約されるべきではない。