(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】アレイ基板及び全反射型液晶表示パネル
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20241210BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241210BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02F1/1335 520
G02B5/20 101
G02F1/1368
G09F9/30 349D
G09F9/30 338
G09F9/30 349B
(21)【出願番号】P 2022530141
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2022092679
(87)【国際公開番号】W WO2023206620
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】202210450791.2
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柳 呉廣
(72)【発明者】
【氏名】趙 迎春
(72)【発明者】
【氏名】劉 一諾
(72)【発明者】
【氏名】盧 穎
(72)【発明者】
【氏名】高 健博
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/070866(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0125288(US,A1)
【文献】特開2005-128084(JP,A)
【文献】特開2001-281650(JP,A)
【文献】特開2002-014337(JP,A)
【文献】特開2005-316399(JP,A)
【文献】特開2006-330471(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられる駆動回路層と、
前記駆動回路層の前記基板から遠い側に設けられ、前記基板から遠い側が少なくとも一部の凹凸面を有する平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられるとともに、前記平坦化層の前記凹凸面に沿って凹凸状に設けられる反射電極層と、を含
み、
前記平坦化層は、凸構造を複数有し、
複数の前記凸構造が前記平坦化層の平坦面から設けられ、前記平坦化層の前記基板から遠い側に連続して分布し、
前記凸構造は、凸の円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下であり、
前記平坦化層の材料は、PFAである、
アレイ基板。
【請求項2】
複数の前記凸構造が前記平坦化層の前記基板から遠い側にアレイ状に分布する、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
複数の前記凸構造は、第1方向に沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凸構造は、第2方向に沿って間隔をおいて配列されて列として設けられ、前記第1方向が前記第2方向と異なり、任意の隣り合う2行又は2列の前記凸構造が並列に設けられるか、又は、任意の隣り合う2行又は2列の前記凸構造がずれて設けられる、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記凸構造の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、円形又は楕円形のいずれかである、
請求項2に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記反射電極層は、材料が金、銀、銅及びアルミニウムのいずれか1つ、又は複数の合金を含む第1電極層を含む、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項6】
前記反射電極層は、第2電極層及び第3電極層を含み、
前記第1電極層が、前記第2電極層と前記第3電極層との間に設けられ、
前記第2電極層及び前記第3電極層の材料が、透明導電性の金属酸化物である、
請求項5に記載のアレイ基板。
【請求項7】
対向配置される
請求項1から6のいずれか1項に記載のアレイ基板、カラーフィルタ基板、及び前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板との間に設けられる液晶層を含
む、
全反射型液晶表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の技術分野に関し、特にアレイ基板及び全反射型液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、透過型液晶表示技術は、液晶表示パネル(liquid crystal display,LCD)の主役として位置づけられている。低消費電力の屋外用表示の市場需要の高まりに伴い、反射型液晶表示の市場の見通しも徐々に立ってきている。
【0003】
反射型液晶表示パネルは、透過型液晶表示パネルに比べて、環境光源シーンで鮮明に表示可能であり、バックライトを必要とせず、機器本体が薄型で、低消費電力であるという利点があり、屋外用表示の分野で市場応用の見通しが良好である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の反射型液晶テレビパネルは、反射率が低いという一般的な問題に直面しており、現在の業界で最大の量産水準を達成できる反射率は10%以内である。その主な原因は、反射型液晶表示パネルの光路がマルチパスで反射され、エネルギーロスが大きく、最終的に入射光量の10%までしか出射されないことにある。したがって、反射率をどのように向上させるかは、現在の反射型液晶表示技術が直面する重要な問題である。
【0005】
以上のように、従来の反射型液晶表示パネルには、反射率が低いという問題があった。したがって、この欠点を改善するためには、アレイ基板及び全反射型液晶表示パネルを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、全反射型液晶表示パネルの反射率を向上させることができる、アレイ基板及び全反射型液晶表示パネルを提供する。
【0007】
本発明の実施例は、
基板と、
前記基板上に設けられる駆動回路層と、
前記駆動回路層の前記基板から遠い側に設けられ、前記基板から遠い側が少なくとも一部の凹凸面を有する平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられるとともに、前記平坦化層の前記凹凸面に沿って凹凸状に設けられる反射電極層と、を含むアレイ基板を提供する。
【0008】
本発明の一実施例によれば、前記平坦化層は、凸構造又は凹構造を複数有し、複数の前記凸構造又は前記凹構造が前記平坦化層の前記基板から遠い側にアレイ状に分布する。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記凸構造は凸な円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下である。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記凹構造は凹な円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下である。
【0011】
本発明の一実施例によれば、複数の前記凸構造又は前記凹構造は、前記平坦化層の前記基板から遠い側の表面に連続して分布するか又は間隔をおいて分布する。
【0012】
本発明の一実施例によれば、複数の前記凸構造は第1方向に沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凸構造は第2方向に沿って間隔をおいて配列されて列として設けられ、前記第1方向が前記第2方向と異なり、
任意の隣り合う2行又は2列の前記凸構造が並列に設けられるか、又は、任意の隣り合う2行又は2列の前記凸構造がずれて設けられる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、複数の前記凹構造は第1方向に沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凹構造は第2方向に沿って間隔をおいて配列されて列として設けられ、前記第1方向が前記第2方向と異なり、
任意の隣り合う2行又は2列の前記凹構造が並列に設けられるか、又は、任意の隣り合う2行又は2列の前記凹構造がずれて設けられる。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記凸構造又は前記凹構造の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、円形又は楕円形のいずれかである。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記反射電極層の材料が金属又は合金である第1電極層を含む。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記第1電極層の材料が金、銀、銅及びアルミニウムのいずれか1つ又は複数の合金を含む。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記反射電極層は、第2電極層及び第3電極層を含み、前記第1電極層が前記第2電極層と前記第3電極層との間に設けられ、前記第2電極層及び前記第3電極層の材料が透明導電性の金属酸化物である。
【0018】
本発明の上記実施例に係るアレイ基板によれば、本発明の実施例は、対向配置される前記アレイ基板、カラーフィルタ基板、及び前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板との間に設けられる液晶層を含み、前記アレイ基板は、
基板と、
前記基板上に設けられる駆動回路層と、
前記駆動回路層の前記基板から遠い側に設けられ、前記基板から遠い側が少なくとも一部の凹凸面を有する平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられるとともに、前記平坦化層の前記凹凸面に沿って凹凸状に設けられる反射電極層と、を含む全反射型液晶表示パネルをさらに提供する。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記平坦化層は、凸構造又は凹構造を複数有し、複数の前記凸構造又は前記凹構造が前記平坦化層の前記基板から遠い側にアレイ状に分布する。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記凸構造は凸の円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下である。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記凹構造は凹の円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下である。
【0022】
本発明の一実施例によれば、複数の前記凸構造又は前記凹構造は、前記平坦化層の前記基板から遠い側の表面に連続して分布するか又は間隔をおいて分布する。
【0023】
本発明の一実施例によれば、複数の前記凸構造は第1方向に沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凸構造は第2方向に沿って間隔をおいて配列されて列として設けられ、前記第1方向が前記第2方向と異なり、
任意の隣り合う2行又は2列の前記凸構造が並列に設けられるか、又は、任意の隣り合う2行又は2列の前記凸構造がずれて設けられる。
【0024】
本発明の一実施例によれば、複数の前記凹構造は第1方向に沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凹構造は第2方向に沿って間隔をおいて配列されて列として設けられ、前記第1方向が前記第2方向と異なり、
任意の隣り合う2行又は2列の前記凹構造が並列に設けられるか、又は、任意の隣り合う2行又は2列の前記凹構造がずれて設けられる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記凸構造又は前記凹構造の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、円形又は楕円形のいずれかである。
【0026】
本発明の一実施例によれば、前記反射電極層の材料が金属又は合金である第1電極層を含む。
【0027】
本発明の一実施例によれば、前記第1電極層の材料が金、銀、銅及びアルミニウムのいずれか1つ又は複数の合金を含む。
【0028】
本発明の一実施例によれば、前記反射電極層は、第2電極層及び第3電極層を含み、前記第1電極層が前記第2電極層と前記第3電極層との間に設けられ、前記第2電極層及び前記第3電極層の材料が透明導電性の金属酸化物である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施例の有益な効果は、以下の通りである。本発明の実施例は、アレイ基板及び全反射型液晶表示パネルを提供する。
前記全反射型液晶表示パネルは、アレイ基板、カラーフィルタ基板及び液晶層を含み、前記アレイ基板は基板、駆動回路層、平坦化層及び反射電極層を含み、前記平坦化層の前記基板から遠い側に少なくとも一部の凹凸面を設ける。そのため、反射電極を前記平坦化層の前記凹凸面に沿って凹凸状に設けることができ、光のパネル内部における反射方向を変化させて、元々全反射臨界角度では反射できない光をパネルから反射させて、前記全反射型液晶表示パネルの反射率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明する。ただし、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すことができるのは明らかである。
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る全反射型液晶表示パネルの構造概略図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る凸構造の概略図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係る凸構造の分布模式図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例に係る他の凸構造の分布模式図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例に係る他の凸構造の概略図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例に係る他の全反射型液晶表示パネルの構造概略図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例に係る凹構造の概略図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例に係る他の全反射型液晶表示パネルの構造概略図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例の検証の際に得られる凸構造及び凹構造の実測の拡散反射結果を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための特定の実施例を例示するために、添付されている図面を参照して各実施例を説明する。[上]、[下]、[前]、[後]、[左]、[右]、[内]、[外]、「側面]などの本発明で言及される方向の用語は、単に添付図面を参照する方向に過ぎない。従って、方向の用語は、本発明を説明して理解するために使用され、本発明を限定するためのものではない。図面において、構造的に同様の要素は同じ符号で示されている。
【0032】
以下、添付図面および具体的な実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
図1に示すように、
図1は本発明の実施例に係る全反射型液晶表示パネルの構造概略図であり、前記液晶表示パネルは、対向配置されるアレイ基板10、カラーフィルタ基板20、及び前記アレイ基板10と前記カラーフィルタ基板20との間に設けられる液晶層30を含む。
【0034】
前記アレイ基板10は、ガラス基板である基板11、駆動回路層12、平坦化層13、及び反射電極層14を含む。
【0035】
前記駆動回路層12は前記基板11の一側に設けられる。なお、前記基板11の一側に設けられるとは、前記基板11の一側の表面と直接接触することを意味してもよいし、前記基板11と間接的に接触することを意味してもよい。
【0036】
前記駆動回路層12は、前記基板11上に順次積層して設けられる第1金属層121、ゲート絶縁層122、半導体層123、オーミックコンタクト層124及び第2金属層125を含む。
【0037】
前記第1金属層121は、複数のパターニングされたゲートと、第1方向xに沿って延びるとともに、第2方向yに間隔をおいて分布する複数の走査線とを含むことができ、前記走査線は、薄膜トランジスタのオン・オフを制御する走査制御信号を送信するためのものである。
【0038】
前記第1金属層121の材料は、銅、アルミニウム、銀、モリブデン、チタン、マグネシウム等の金属材料のいずれか1つ又は複数の合金であってもよい。前記第1金属層121は、上記のいずれか1つの金属材料又は合金材料からなる単一層の金属薄膜構造であってもよいし、上記の少なくとも2種の金属材料又は合金材料で順次積層された多層の金属薄膜構造であってもよい。
【0039】
前記ゲート絶縁層122は、透明な無機材料で製造されてなり、前記透明な無機材料は、窒化シリコン、酸化シリコン又は酸窒化シリコンのいずれか1つ又は複数の組み合わせであってもよい。
【0040】
前記半導体層123は、前記ゲートと対向して設けられる半導体パターンを複数含み、前記半導体層123の材料がアモルファスシリコン(A-Si)である。
【0041】
前記第2金属層125は、複数のパターニングされたソース及びドレインと、第2方向yに沿って延びるとともに、第1方向xに間隔をおいて分布する複数のデータ線とを含み、前記データ線は画素に充電するためのデータ信号である。
【0042】
前記第2金属層125の材料は、銅、アルミニウム、銀、モリブデン、チタン、マグネシウム等の金属材料のいずれか1つ又は複数の合金であってもよい。前記第1金属層121は、上記のいずれか1つの金属材料又は合金材料からなる単一層の金属薄膜構造であってもよいし、上記の少なくとも2種の金属材料又は合金材料で順次積層された多層の金属薄膜構造であってもよい。
【0043】
前記平坦化層13は、前記駆動回路層12の前記基板11から遠い側に設けられ、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側が少なくとも一部の凹凸面を有する。前記反射電極層14は、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側に設けられるとともに、前記平坦化層13の前記凹凸面に沿って凹凸状に設けられ、反射電極層14の凹凸の形状により、光のパネル内部における反射方向を変化させることができ、元々全反射臨界角度では反射できない光をパネルから反射させることで、前記全反射型液晶表示パネルの反射率を高めることができる。
【0044】
なお、前記表示パネルの部分領域において、外部環境光源から表示パネル内部に入射される光は、前記反射電極層14を介してカラーフィルタ基板20に反射される。光の前記カラーフィルタ基板20における入射角は臨界角よりも小さいため、光がカラーフィルタ基板20から出射できる。この部分領域に対応する前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面を平坦面として設けることができる。前記反射電極層14は前記平坦化層13の平坦面に沿って設けられ、平坦な状態をなしてもよい。
【0045】
前記表示パネルの他の部分領域において、外部環境光源から表示パネルの内部に入射する光は、前記反射電極層14を介してカラーフィルタ基板20に反射するときに、光の前記カラーフィルタ基板20における入射角が臨界角以上である。そのため、光が前記カラーフィルタ基板20において全反射するとともに、反射電極層14に反射され、カラーフィルタ基板20から出射できなくなる。このようにアレイ基板10とカラーフィルタ基板20との間で多重反射した後、光の損失が大きく、最終的に出射する光が弱くなる。
【0046】
前記平坦化層13の凹凸面に沿って設けられる反射電極層14が凹凸状をなすように、この部分領域に対応する前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面を凹凸面として設けることができる。凹凸状の反射電極層14により、この部分の光の反射方向が変化し、光のアレイ基板10とカラーフィルタ基板20との間で全反射をしなくなり、元々全反射臨界角度では出射できない光がパネルから反射し、前記全反射型液晶表示パネルの反射率を高めることができる。
【0047】
さらに、前記平坦化層13は複数の凸構造131又は凹構造132を有し、複数の前記凸構造131又は前記凹構造132が前記平坦化層の前記基板から遠い側にアレイ状に分布することで、前記凹凸面を規定する。
【0048】
一実施例において、
図1に示すように、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に複数の凸構造131が設けられ、複数の前記凸構造131が前記基板11から遠い側に向けて前記平坦化層13の平坦面から突出することで、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の凹凸面を規定する。前記反射電極層14は、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面上に敷設されるとともに、複数の前記凸構造131に対応する箇所に凹凸状をなす。
【0049】
前記カラーフィルタ基板20は、対向基板21と、前記対向基板21の前記アレイ基板10に近い側に設けられるカラーフィルタ層22と、保護層23と、共通電極24と、スペーサ25とを含み、前記カラーフィルタ層22はアレイ状に分布する赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223及びブラックマトリックス224を含み、前記ブラックマトリックス224が前記赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222及び青色フィルタ層223を互いに離間させて、混色が発生する状況を防止する。前記赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223はそれぞれに対応する色の光を透過することができる。
【0050】
一実施例において、前記凸構造131は前記赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223にそれぞれ対応して設けられてもよく、外部環境中の赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223を通ってパネル内部に入射する光は、前記反射電極層14により反射された後、前記赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223を通ってパネルの内部から出射することで、前記反射電極層14により環境光を反射して全反射型液晶表示パネルのカラー表示を実現する。
【0051】
一実施例において、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側は全て凹凸面をなすこともでき、このように平坦化層13上に設けられる反射電極層14が凹凸状をなすこともできる。
【0052】
さらに、前記凸構造は凸の円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下であってもよい。
【0053】
図2に示すように、
図2は本発明の実施例に係る凸構造の概略図であり、前記凸構造131は、前記基板11から遠い側に向けて凸の円弧面130を有し、前記円弧面130上の任意の一点の接線と前記平坦化層13の平坦面との間のなす角度αは10°、8°、6°、4°などであってもよい。
【0054】
好ましくは、前記円弧面130上の任意の一点の接線と前記平坦化層13の平坦面との間のなす角度αが4°~10°である。
【0055】
一実施例においては、複数の前記凸構造131の第1方向x又は第2方向yにおける長さ、及び第3方向zにおける凸の高さがそれぞれ等しい。他のいくつかの実施例においては、複数の前記凸構造131の第1方向x又は第2方向yにおける長さ、及び前記第3方向zにおける凸の高さは等しくなくてもよく、ここでは限定するものではない。
【0056】
本発明の実施例において、前記第1方向xは水平方向であってもよく、前記第2方向yは鉛直方向であってもよく、前記第3方向zは前記第1方向x及び前記第2方向yに垂直であり、前記第3方向zは前記全反射型液晶表示パネルの厚さ方向であってもよい。
【0057】
一実施例において、
図1に示すように、複数の前記凸構造131は、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に連続して分布し、隣り合う前記凸構造131の間の最小距離は0である。
【0058】
一実施例において、
図3に示すように、
図3は本発明の実施例に係る凸構造の分布模式図であり、複数の前記凸構造131は、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に間隔をおいて分布する。隣り合う前記凸構造131の間の距離は、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。
【0059】
さらに、隣り合う前記凸構造131の間の最小距離dは0μmより大きく30μm以下であってもよい。隣り合う前記凸構造131の間の距離が小さいほど、前記反射電極層14の光に対する拡散反射効果が向上する。隣り合う前記凸構造131の間の最小距離は、例えば、2μm、6μm、8μm、10μm、15μm、18μm、20μm、25μm、又は30μmなどであってもよい。
【0060】
一実施例において、
図3に示すように、複数の前記凸構造131は第1方向xに沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凸構造131は前記第1方向xと異なる第2方向yに沿って間隔をおいて配列されて列として設けられる。
【0061】
なお、
図3は4行*5列の凸構造131のみを示しており、実際の使用中に前記凸構造131の大きさ及び数を示すものではない。
【0062】
一実施例において、
図3に示すように、任意の隣り合う2行の前記凸構造131が並列に設けられ、任意の隣り合う2列の前記凸構造131も並列に設けられる。
【0063】
一実施例において、
図4に示すように、
図4は本発明の実施例に係る他の凸構造の分布模式図であり、任意の隣り合う2行の前記凸構造131がずれて設けられ、任意の隣り合う2列の前記凸構造131もずれて設けられる。
【0064】
さらに、前記凸構造131の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、円形又は楕円形のいずれかである。
【0065】
一実施例において、
図3に示すように、前記凸構造131の平面形状が円形であり、前記平面は前記第1方向x及び前記第2方向yと平行であってもよい。
【0066】
一実施例において、
図5に示すように、
図5は本発明の実施例に係る他の凸構造の概略図であり、前記凸構造131は六角形であってもよい。
【0067】
他のいくつかの実施例において、前記凸構造131は、三角形、四角形、五角形、六角形、又は他の多角形、又は楕円形などのいずれかであってもよい。
【0068】
一実施例において、
図6に示すように、
図6は本発明の実施例に係る他の全反射型液晶表示パネルの構造概略図であり、構造が
図1に示す構造とほぼ同じであるが、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に複数の凹構造132が設けられ、複数の前記凹構造132が、前記基板11から遠い側に向けて凹むことで前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の凹凸面を規定し、前記反射電極層14が、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面上に敷設されるとともに、複数の前記凹構造132に対応する箇所に凹凸状をなす、点で異なる。
【0069】
一実施例において、前記凹構造132は前記赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223にそれぞれ対応して設けられてもよい。外部環境中の赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223を通ってパネル内部に入射する光は、前記反射電極層14により反射された後、前記赤色フィルタ層221、緑色フィルタ層222、青色フィルタ層223を通ってパネルの内部から出射することで、前記反射電極層14により環境光を反射して全反射型液晶表示パネルのカラー表示を実現する。
【0070】
一実施例において、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側は全て凹凸面をなすこともでき、このように平坦化層13上に設けられる反射電極層14が凹凸状をなすこともできる。
【0071】
さらに、前記凹構造は凹の円弧面を有し、前記円弧面上の任意の一点の接線と前記平坦化層の平坦面との間のなす角度が10°以下である。
【0072】
図7に示すように、
図7は本発明の実施例に係る凹構造の概略図であり、前記凹構造132は、前記基板11に向けて凹の円弧面130を有し、前記円弧面130上の任意の一点の接線と前記平坦化層13の平坦面との間のなす角度αは10°、8°、6°、4°などであってもよい。
【0073】
好ましくは、前記円弧面130上の任意の一点の接線と前記平坦化層13の平坦面との間のなす角度αが4°~10°である。
【0074】
一実施例において、複数の前記凹構造132の第1方向x又は第2方向yにおける長さ、及び第3方向zにおいて凹んだ深さはそれぞれ等しい。他のいくつかの実施例において、複数の前記凹構造132の第1方向x又は第2方向yにおける長さ、及び前記第3方向zにおいて凹んだ深さは等しくなくてもよく、ここでは限定するものではない。
【0075】
一実施例において、
図6に示すように、複数の前記凹構造132は、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に連続して分布し、隣り合う前記凹構造132の間の最小距離は0である。
【0076】
一実施例において、複数の前記凹構造132は、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に間隔をおいて分布し、隣り合う前記凹構造132の間の距離は等しくてもよいし、等しくなくてもよい。
【0077】
さらに、隣り合う前記凹構造132の間の最小距離は0μmより大きく30μm以下であってもよい。隣り合う前記凹構造132の間の距離が小さいほど、前記反射電極層14の光に対する拡散反射効果が向上する。隣り合う前記凹構造132の間の最小距離は、例えば、2μm、6μm、8μm、10μm、15μm、18μm、20μm、25μm、又は30μmなどであってもよい。
【0078】
一実施例において、複数の前記凹構造132は第1方向xに沿って間隔をおいて配列されて行として設けられ、複数の前記凹構造132は前記第1方向xと異なる第2方向yに沿って間隔をおいて配列されて列として設けられる。
【0079】
一実施例において、任意の隣り合う2行の前記凹構造132が並列に設けられ、任意の隣り合う2列の前記凹構造132も並列に設けられる。
【0080】
一実施例において、任意の隣り合う2行の前記凹構造132がずれて設けられ、任意の隣り合う2列の前記凹構造132もずれて設けられる。
【0081】
さらに、前記凹構造132の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、円形又は楕円形のいずれかである。
【0082】
一実施例において、前記凹構造132の平面形状が円形であり、前記平面は前記第1方向x及び前記第2方向yと平行であってもよい。
【0083】
一実施例において、前記凹構造132は六角形であってもよい。
【0084】
他のいくつかの実施例において、前記凹構造132は、三角形、四角形、五角形、六角形、又は他の多角形、又は楕円形などのいずれかであってもよい。
【0085】
本発明の実施例において、前記平坦化層13の材料は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(perfluoroalkoxy,PFA)又は従来の表示パネルにおける平坦化層(Planarization layer,PLN)によく使用される有機材料であってもよい。
【0086】
実際の製造工程においては、まず塗布又は蒸着して平坦化層13を形成する。その後、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側をエッチングして、少なくとも一部が前記凸構造131又は前記凹構造132を有する凹凸面を形成する。その後、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に前記反射電極層14を製造形成し、前記反射電極層14の前記凹凸面に対応する箇所が凹凸状に設けられてもよい。
【0087】
さらに、前記反射電極層14は、材料が金属又は合金である第1電極層141を含む。
一実施例において、
図1に示すように、前記反射電極層14は、一層の金属又は合金材料からなる第1電極層141のみを含む。前記第1電極層141の材料は、金などの酸化しづらい金属、又はステンレス鋼等の他の合金材料であってもよい。このように第1電極層141の上下両側にガード電極を設けることなく、前記反射電極層14の構造を簡略化でき、前記全反射型液晶表示パネルの製造工程の難度及び厚さを低減する。
【0088】
一実施例において、前記反射電極層14は、第1電極層141、第2電極層142、及び第3電極層143を含み、前記第1電極層141が前記第2電極層142と前記第3電極層143との間に設けられる。
【0089】
図8に示すように、
図8は本発明の実施例に係る他の全反射型液晶表示パネルの構造概略図であり、構造が
図1に示す構造とほぼ同じであるが、前記反射電極層14は、第1電極層141、第2電極層142、及び第3電極層143を含み、前記第2電極層142が、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面上に設けられ、前記第1電極層141が、前記第2電極層142の前記基板11から遠い側の表面上に設けられ、前記第3電極層143が、前記第1電極層141の前記第2電極層142から遠い側の表面上に設けられ、前記第1電極層141、第2電極層142、及び第3電極層143が、それぞれ前記凸構造131に対応して凹凸状に設けられる、点で異なる。
【0090】
前記第1電極層141の材料は、金属又は合金材料であってもよい。前記第1電極層141の材料は、具体的には、銅、アルミニウム、銀のいずれか1つの金属、又はこれらの金属を含む合金であってもよい。
【0091】
前記第2電極層142及び前記第3電極層143の材料は、共に透明導電性の金属酸化物である。前記第1電極層141の上下両側に、前記第2電極層142及び前記第3電極層143をそれぞれ設けることにより、第1電極層141を保護して、第1電極層141の酸化による腐食を防止する。
【0092】
具体的には、前記透明導電性の金属酸化物は、酸化インジウムスズ(indium tin oxidea,ITO)であってもよい。
【0093】
図9に示すように、
図9は本発明の実施例の検証の際に得られる凸構造及び凹構造の実測の拡散反射結果を示すヒストグラムである。
前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に凸構造131が設けられる場合、正反射除去反射率(specular component exclude,SCE)が30.75%である。前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に凹構造132が設けられる場合、正反射除去反射率が32.69である。前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面が平坦面である場合に、正反射除去反射率が0.31%である。
以上より、前記平坦化層13の前記基板11から遠い側の表面に凸構造131又は凹構造132を設けることで、反射電極層14を凹凸状に設けることができ、光のパネル内部における反射方向を変化させることができ、元々全反射臨界角度では出射できない光をパネルから出射させて、前記全反射型液晶表示パネルの反射率を高めることができる。
【0094】
本発明の上記実施例に係る表示パネルによれば、本発明の実施例は、上記実施例に係る表示パネルを含む電子機器をさらに提供する。前記電子機器は、例えば、カラー電子ペーパー、カラー電子ブック、スマートフォンなどのモバイル端末であってもよい。電子機器は、例えば、スマートウォッチ、スマートバンドなどのウェアラブル端末であってもよい。電子機器は、例えば、カラー電子看板、カラー電子ポスターなどの固定端末であってもよい。
【0095】
本発明の実施例の有益な効果は、以下の通りである。本発明の実施例は、全反射型液晶表示パネルを提供する。
前記全反射型液晶表示パネルは、アレイ基板、カラーフィルタ基板及び液晶層を含み、前記アレイ基板は基板、駆動回路層、平坦化層及び反射電極層を含み、前記平坦化層の前記基板から遠い側に少なくとも一部の凹凸面を設けることにより、反射電極を前記平坦化層の前記凹凸面に沿って凹凸状に設けることができ、光のパネル内部における反射方向を変化させて、元々全反射臨界角度では反射できない光をパネルから反射させて、前記全反射型液晶表示パネルの反射率を高めることができる。
【0096】
以上のようにして、本発明は、好ましい実施例を参照して説明したが、前記好ましい実施例は、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、様々な変更や修飾を加えることができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって準じされる。