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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20241210BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20241210BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241210BHJP
   C08K 5/25 20060101ALI20241210BHJP
   C08K 5/3412 20060101ALI20241210BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20241210BHJP
   B60C 9/20 20060101ALI20241210BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C08L7/00
C08K3/04
C08K3/22
C08K5/25
C08K5/3412
B60C1/00 Z
B60C1/00 C
B60C9/20 J
B60C15/06 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022532290
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2021006687
(87)【国際公開番号】W WO2021256007
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2020105629
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(72)【発明者】
【氏名】多鹿 雄介
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-172431(JP,A)
【文献】特開2004-217726(JP,A)
【文献】特開2002-194139(JP,A)
【文献】特開2002-146110(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148453(WO,A1)
【文献】特開2001-049047(JP,A)
【文献】特開2010-095682(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110283364(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,B60C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、カーボンブラックと、ビスマレイミド化合物と、ヒドラジド化合物と、を含むゴム組成物であって、
前記ビスマレイミド化合物は、下記一般式(I)で表され、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0質量部超え且つ1質量部未満であり、
【化1】
(一般式(I)中、Aは、炭素数6~18の2価の芳香族基、又は、炭素数7~24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyはそれぞれ独立して、0~3の整数を表す。)
前記ヒドラジド化合物は、下記一般式(II)で表され、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であり、
【化2】
(一般式(II)中、Bは、炭素数2~18の多価の非環式脂肪族基(該官能基は、その中に芳香族基を含んでいてもよい。)、炭素数5~20の多価の環式脂肪族基、炭素数6~18の多価の芳香族基、又は炭素数7~24の多価のアルキル芳香族基を表し、該官能基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又はメルカプト基を表す。RとRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、シクロアルキル基、又は、芳香族環を表し、該置換基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。zは1~3の整数を表す。)
前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が40m/g未満であり、且つ、圧縮試料のオイル吸収量(COAN)が60ml/100g以上であり、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して35質量部以上且つ45質量部未満であることを特徴とする、ゴム組成物。
【請求項2】
前記ヒドラジド化合物が、3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジドであることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記ビスマレイミド化合物が、N,N’-1,2-フェニレンビスマレイミド、N,N’-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンビスマレイミドのうちから選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分は、天然ゴムを90質量%以上含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記ゴム組成物は、充填剤としてシリカを含まないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
さらに、酸化亜鉛(ZnO)を、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部未満含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
【請求項8】
前記ゴム組成物を、プライコーティングゴム、プライ間ゴム、ベルトコーティングゴム、ベルト間クッションゴム、ベルト端カバーゴム及びスティフナーゴムのうちの、少なくとも1部材に用いたことを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車に用いられるタイヤは、燃費の観点から、発熱が小さく、転がり抵抗の少ないことが要求されるとともに、高速回転して故障しないことが要求される。
これらの要求を満たす手段としては、例えば、タイヤの材料として用いられるゴム組成物中のカーボンブラックを大粒径化する技術や、カーボン分散助剤を用いて、カーボンブラックの分散性を高める技術が挙げられる。ただし、カーボンブラックを大粒径化した場合には、低発熱性に寄与するものの、タイヤの機械的物性が低下するという問題があり、また、カーボン分散助剤を用いた場合には、初期段階においては低発熱性と高強度の両立が図れるものの、長期間使用後のタイヤでは、カーボン分散助剤の副作用である熱老化を起こし、破壊強度が低下する(耐熱老化性が低下する)おそれがあった。
【0003】
ここで、低発熱性及び高強度の両立を図った技術として、ビスマレイミド化合物やヒドラジド化合物をゴム組成物中に配合させる技術が知られている。
例えば、特許文献1及び2には、ゴム成分と特定のビスマレイミド化合物又はヒドラジド化合物と、を含有するゴム組成物を空気入りタイヤに用いることによって、高弾性率と低頃がり抵抗性の両立を図った技術が開示されている。
また、特許文献3には、ゴム成分と、補強性充填剤と、特定のヒドラジド化合物とを含有するゴム組成物をタイヤに用いることによって、低発熱性を良好に保ちつつ、過加硫による加硫戻りに起因した弾性率の低下の抑制を図った技術が開示されている。
さらに、特許文献4には、特定の構造を有するヒドラゾン化合物と、1,6-ヘキサメチレン-ジオチオ硫酸ナトリウム・二水和物を含有するゴム組成物をタイヤに用いることによって、低発熱性を維持しつつ、耐クリープ性及び耐亀裂成長性の改善を図った技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-172431号公報
【文献】特開2002-121326号公報
【文献】特開2001-213112号公報
【文献】特開2002-146110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~4に開示された技術は、いずれも、低発熱性と、高弾性率や耐亀裂成長性等の性能とを、高いレベルで両立させることが難しく、特に低発熱性に関してはさらなる改善が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、低発熱性を達成しながら、高弾性率及び耐亀裂成長性にも優れたゴム組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、高弾性率で且つ耐亀裂成長性に優れ、転がり抵抗が低減されたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラックと、ビスマレイミド化合物と、ヒドラジド化合物と、を含むゴム組成物であって、
前記ビスマレイミド化合物は、下記一般式(I)で表され、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0質量部超え且つ1質量部未満であり、
【化1】
(一般式(I)中、Aは炭素数6~18の2価の芳香族基、又は炭素数7~24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyはそれぞれ独立して0~3の整数を表す。)
前記ヒドラジド化合物は、下記一般式(II)で表され、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であり、
【化2】
(一般式(II)中、Bは、炭素数2~18の多価の非環式脂肪族基(該官能基は、その中に芳香族基を含んでいてもよい。)、炭素数5~20の多価の環式脂肪族基、炭素数6~18の多価の芳香族基、又は炭素数7~24の多価のアルキル芳香族基を表し、該官能基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又はメルカプト基を表す。RとRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、シクロアルキル基、又は、芳香族環を表し、該置換基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。zは1~3の整数を表す。)
前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が40m/g未満で、且つ、圧縮試料のオイル吸収量(COAN)が60ml/100g以上であり、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して35質量部以上且つ45質量部未満であることを特徴とする。
上記構成を具えることで、低発熱性、高弾性率及び耐亀裂成長性を、高いレベルで両立させることができる。
【0008】
本発明のゴム組成物では、前記ヒドラジド化合物が、3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジドであることが好ましい。この場合、低発熱性をより高め、ムーニー粘度についても改善を図ることができる。
【0009】
本発明のゴム組成物では、前記ビスマレイミド化合物が、N,N’-1,2-フェニレンビスマレイミド、N,N’-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンビスマレイミドのうちから選択される少なくとも一種であることが好ましい。弾性率をより高め、耐熱老化性についても改善することができる。
【0010】
本発明のゴム組成物では、前記ゴム成分は、天然ゴムを90質量%以上含有することが好ましい。この場合、低発熱性、高弾性率及び耐亀裂成長性をより向上できる。
【0011】
本発明のゴム組成物では、前記ゴム組成物は、充填剤としてシリカを含まないことが好ましい。この場合、ゴム組成物の耐亀裂成長性や加工性をより改善できる。
【0012】
本発明のゴム組成物では、さらに、酸化亜鉛(ZnO)を、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部未満含むことが好ましい。ゴム組成物の耐亀裂成長性を低下させることなく、高弾性率及び耐熱老化性より改善できる。
【0013】
本発明のタイヤでは、前記ゴム組成物を、プライコーティングゴム、プライ間ゴム、ベルトコーティングゴム、ベルト間クッションゴム、ベルト端カバーゴム及びスティフナーゴムのうちの、少なくとも1部材に用いたことが好ましい。この場合、高弾性率、耐亀裂成長性及び転がり抵抗の低減を、より効果的に発揮できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低発熱性を達成しながら、高弾性率及び耐亀裂成長性にも優れたゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、高弾性率で且つ耐亀裂成長性に優れ、転がり抵抗が低減されたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明のゴム組成物及びタイヤの一実施形態について、例示説明する。
【0016】
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラックと、ビスマレイミド化合物と、ヒドラジド化合物と、を含む。
【0017】
そして本発明では、 前記ビスマレイミド化合物は、下記一般式(I)で表され、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0質量部超え且つ1質量部未満であり、
【化3】
(一般式(I)中、Aは炭素数6~18の2価の芳香族基、又は炭素数7~24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyはそれぞれ独立して0~3の整数を表す。)
前記ヒドラジド化合物は、下記一般式(II)で表され、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であり、
【化4】
(一般式(II)中、Bは、炭素数2~18の多価の非環式脂肪族基(該官能基は、その中に芳香族基を含んでいてもよい。)、炭素数5~20の多価の環式脂肪族基、炭素数6~18の多価の芳香族基、又は炭素数7~24の多価のアルキル芳香族基を表し、該官能基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又はメルカプト基を表す。RとRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、シクロアルキル基、又は、芳香族環を表し、該置換基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。zは1~3の整数を表す。)
前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が40m/g未満で、且つ、圧縮試料のオイル吸収量(COAN)が60ml/100g以上であり、その含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して35質量部以上且つ45質量部未満であることを特徴とする。
【0018】
上記一般式(I)で表されるビスマレイミド化合物と、上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物とを併用することによって、前記ビスマレイミド化合物がゴム組成物の強度や弾性率、耐熱性を高め、前記ヒドラジド化合物が低発熱性や耐熱老化性を良化できる結果、本発明のゴム組成物の低発熱性及び高弾性率を大きく改善できる。ただし、前記ビスマレイミド化合物については、含有量が大きくなると、ゴムの硬化を招き、生産性及び低発熱性の妨げになるおそれがあるため、ゴム組成物中の含有量を1質量部未満とすることで、タイヤの低発熱性を達成しながら高弾性率及び耐亀裂成長性についても高いレベルを維持できる。
また、本発明のゴム組成物では、窒素吸着比表面積(NSA)及び圧縮試料のオイル吸収量(COAN)について適正化を図ったカーボンブラックを用いているため、優れた低発熱性の改善効果をより高めることが可能となる。
【0019】
以下、本発明のゴム組成物を構成する各成分について説明する。
(ゴム成分)
本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分については、特に限定はされないが、優れた低発熱性、耐亀裂成長性、高弾性率を得ることができる観点からは、ジエン系ゴムを少なくとも含有することが好ましい。
【0020】
前記ジエン系ゴムについては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等を挙げられるが、これらの中でも、天然ゴムを用いることが好ましい。より優れた低発熱性及び耐亀裂成長性を実現できるからである。同様の観点から、前記ゴム成分中の天然ゴムの含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
なお、前記ジエン系ゴムについては、1種単独で含有してもよいし、2種以上のブレンドとして含有してもよい。
【0021】
(ビスマレイミド化合物)
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分に加えて、下記一般式(I)で表されるビスマレイミド化合物を含む。
【化5】
上記一般式(I)で表されるビスマレイミド化合物を、本発明のゴム組成物中に含有させることによって、耐熱性や耐熱老化性、動的貯蔵弾性率(E’)等を向上させることができる。
【0022】
上記一般式(I)中、一般式(I)中、Aは、炭素数6~18の2価の芳香族基、又は、炭素数7~24の2価のアルキル芳香族基を表し、xとyはそれぞれ独立して、0~3の整数を表す。
なお、上記一般式(I)で表されるビスマレイミド化合物において、x又はyは、いずれも0~3の整数であるが、4以上の場合には、分子量が大きくなり過ぎて、配合量の割には目的とする耐熱老化性や動的貯蔵弾性率等の向上効果が得られないため不都合である。
【0023】
ここで、一般式(I)で表されるビスマレイミド化合物の具体例としては、例えば、N,N’-1,2-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、2、2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル]メタン等を好適に挙げることができる。これらのビスマレイミド化合物は、1種以上を配合することもできる。
これらのビスマレイミド化合物の中でも、N,N’-1,2-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミドを用いることが好ましく、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミドが効果が顕著な点で特に好ましい。
【0024】
本発明のゴム組成物における前記ビスマレイミド化合物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0質量部超え且つ1質量部未満であることを要する。前記ビスマレイミド化合物の含有量を前記ゴム成分100質量部に対して1質量部未満とすることで、ゴム組成物の過度な硬化を抑制し、低発熱性と耐亀裂成長性のバランスを維持できるためである。同様の観点から、前記ビスマレイミド化合物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以下であることが好ましい。
また、耐熱性や耐熱老化性、動的貯蔵弾性率(E’)をより向上させる観点からは、前記ビスマレイミド化合物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。
【0025】
(ヒドラジド化合物)
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したゴム成分及びビスマレイミド化合物に加えて、下記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物を含む。
【化6】
上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物を、本発明のゴム組成物中に含有させることによって、後述するカーボンブラックの分散性を高めて低発熱性を改善できることに加え、加硫戻り等に起因する耐熱老化性等を改善することができる。
【0026】
上記一般式(II)中、Bは、炭素数2~18の多価の非環式脂肪族基(該官能基は、その中に芳香族基を含んでいてもよい。)、炭素数5~20の多価の環式脂肪族基、炭素数6~18の多価の芳香族基、又は炭素数7~24の多価のアルキル芳香族基を表し、該官能基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又はメルカプト基を表す。RとRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、シクロアルキル基、又は、芳香族環を表し、該置換基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子の内少なくとも1種のヘテロ原子を含んでいてもよい。zは1~3の整数を表す。
【0027】
上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体の他、N’-(1,3-ジメチルブチリデン)サリチル酸ヒドラジド(BMS)、4-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、アントラニル酸ヒドラジド、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジドの各誘導体、等が好適に挙げられる。
また、前記3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体としては、例えば、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1-メチルエチリデン)ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1-メチルプロピリデン)ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1,3-ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(1-フェニルエチリデン)ヒドラジド等の3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0028】
これらのヒドラジド化合物の中でも、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(例えば、大塚化学(株)製の商品名「HNH」がこの化合物に該当する。)の誘導体や、N’-(1,3-ジメチルブチリデン)サリチル酸ヒドラジド(例えば、大塚化学(株)製の商品名「BMS」がこの化合物に該当する。)の誘導体は、低発熱性を維持しながらムーニー粘度を低く抑えることができる点で好ましい。
さらに、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ヒドラジド(「HNH」)の誘導体である3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジドが効果が顕著な点で好ましく使用することができる。
【0029】
また、上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物は、耐リバージョン性に優れ、ゴム成分として特に天然ゴムを含むゴム組成物に好適であり、高温加硫条件下でもその性能の低下が少ない。該ヒドラジド化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物は、Pant,U.C.;Ramchandran,Reena;Joshi,B.C.Rev.Roum.Chim.(1979)24(3),471-82の文献に記載された方法に基いて製造することができる。
【0030】
本発明のゴム組成物における前記ヒドラジド化合物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であることを要する。前記ヒドラジド化合物の含有量を前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上とすることで、ゴム組成物の低発熱性及び耐熱老化性の改善効果を十分に得ることができるためである。また、前記ヒドラジド化合物の含有量が大きすぎると、ゴム組成物の低発熱性を悪化させるおそれがあるため、前記ヒドラジド化合物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して質量部以下であることが好ましい。
【0031】
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、上述したゴム成分、ビスマレイミド化合物及びヒドラジド化合物に加えて、カーボンブラックを含む。ゴム組成物中にカーボンブラックを含むことで、ゴム組成物の補強性や弾性率を高めることができる。
【0032】
そして、前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が40m/g未満であり、且つ、圧縮試料のオイル吸収量(COAN)が60ml/100g以上である。前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)を、40m/g未満と小さくすることによって、カーボンブラックの一次粒子が大きくなるため、優れた低発熱性を実現できる。一方、前記カーボンブラックの圧縮試料のオイル吸収量(COAN)を60ml/100g以上と大きくすることで、二次粒子であるアグリゲートが発達した高ストラクチャ化したカーボンブラックが得られるため、ゴム組成物の補強性に寄与できる。そのため、上述したカーボンブラックを本発明のゴム組成物中に用いることで、低発熱性と高弾性率及び耐亀裂成長性とを両立できる。
【0033】
また、前記カーボンブラックのNSAは、上述した観点から、35m/g以下であることがより好ましく、30m/g以下であることがさらに好ましい。
一方、ゴム組成物の耐亀裂成長性悪化を抑える観点からは、前記カーボンブラックのNSAは、22m/g以上であることが好ましい。
なお、前記窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K 6217-2:2017「ゴム用カーボンブラック-基本特性-第2部、比表面積の求め方-窒素吸着法、単点法」に規定された方法により測定することができる。
【0034】
さらに、前記カーボンブラックのCOANは、上述した観点から、65ml/100g以上であることが好ましく、70ml/100g以上であることがより好ましい。
一方、ゴム組成物の補強性を高いレベルで得る観点からは、前記カーボンブラックのCOANは、100ml/100g以下であることが好ましく、85ml/100g以下であることがより好ましく、75ml/100g以下であることがさらに好ましい。
なお、前記圧縮試料のオイル吸収量(COAN)は、JIS K 6217-4:2017「ゴム用カーボンブラック-基本特性-第4部、オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む)」に規定された方法により測定することができる。
【0035】
さらに、前記カーボンブラックの種類については、上述したNSA及びCOANを有すること以外は、特に限定はされない。例えば、オイルファーネス法により製造された任意のハードカーボンを用いることができる。これらの中でも、より優れた低発熱性及び耐摩耗性を実現する観点からは、SRF、GPF、FEFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
なお、これらのカーボンブラックは一種を単独で用いることもできるし、複数種のカーボンブラックを併用して用いることもできる。
【0036】
ここで、本発明のゴム組成物における前記カーボンブラックの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して35質量部以上且つ45質量部未満である。前記カーボンブラックを、前記ゴム成分100質量部に対して35質量部以上含有することによって、補強性や弾性率の向上効果を十分に得ることができるとともに、前記カーボンブラックを、前記ゴム成分100質量部に対して45質量部未満含有することによって、カーボンブラックの量が多くなり過ぎることに起因して低発熱性が悪化するのを抑えることができる。
【0037】
(その他の成分)
本発明のゴム組成物は、上述した各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、目的ないし必要に応じて、その他の成分を適宜に選択して配合することができる。その他の成分としては、例えば、無機充填材、酸化亜鉛、軟化剤、粘着賦与剤、分散剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、ステアリン酸、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤の他、ゴム業界で通常用いられる各種の公知配合薬品等が挙げられる。これらは、市販品を使用することができる。
【0038】
前記無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、クレー等が挙げられる。該無機充填剤の中でも、水酸化アルミニウム等は補強性が比較的高い点で好ましく、クレー等はその形状特性を生かした効果が得られる点で有効である。
また、本発明のゴム組成物では、耐亀裂成長性や加工性をより改善する観点からは、充填剤としてシリカを含まないことが好ましい。
【0039】
また、本発明のゴム組成物は、架橋促進助剤として、酸化亜鉛(ZnO)を含むことが好ましい。ZnOを含有することによって、耐熱老化性や高弾性率をより改善できるためである。ただし、前記ZnOを含有量が多くなりすぎると、亀裂成長性が悪化するおそれがあるため、その含有量は前記ゴム成分100質量部に対して5質量部未満であることが好ましい。
【0040】
さらに、前記軟化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ナフテン系ベースオイル、パラフィン系ベースオイル、アロマ系ベースオイル等が挙げられる。ここで、前記軟化剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対し、2~30質量部配合することが好ましい。前記軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して30質量部を超える場合、軟化剤がゴム製品の表面に滲み出るおそれや、耐摩耗性が低下したりするおそれがある。
さらに、上述した軟化剤の中でも、ナフテン系ベースオイル又はパラフィン系ベースオイルを用いることが好ましく、ナフテン系ベースオイルを用いることが最も好ましい。アロマオイルは、芳香族成分が多いため、芳香族化合物である当該薬品との親和性が高く、ポリマーとの反応をより阻害するため好ましくないためである。一方で、ナフテン系ベースオイルやパラフィン系ベースオイルは、ポリマー中に拡散し反応することを助ける効果があり、流動点が低いオイルの方がよくポリマー中に拡散するためである。
なお、前記ナフテン系ベースオイル、前記パラフィン系ベースオイル、前記アロマ系ベースオイルという分類については、CA値、CP値、CN値により決定される。例えば、前記ナフテン系ベースオイル前記分類されるのは、TDAE、SRAE、RAE、Black Oil等である。また、前記パラフィン系ベースオイルとして分類されるのは、スピンドルオイルヤパラフィンオイルである。
さらにまた、前記ナフテン系ベースオイルと前記ナフテン系アスファルトを混合した、A/O Mix(三共油化工業株式会社)等の混合油でもより好ましい効果が得られる。
これらの潤滑油を配合するタイミングについては特に限定はされず、例えば、前記ゴム成分の製造の段階で 油展させてもよいし、ゴム組成物を混錬する際に、添加させてもよい。
【0041】
前記架橋剤についても、特に制限はされない。例えば、硫黄が挙げられる。
前記架橋促進剤についても、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0042】
前記老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されない。例えば、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤等を挙げることができる。これら老化防止剤は、1種又は2種以上を併用することができる。
【0043】
(ゴム組成物の製造)
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分に、前記カーボンブラック、前記ビスマレイミド化合物、前記ヒドラジド化合物を配合し、さらに、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤、カーボンブラック分散剤、その他、目的或いは必要に応じて適宜に選択した添加剤を混練りして、押出或いは圧延した後、加硫することにより製造することができる。
【0044】
前記混練りの条件としては、特に制限はなく、混練り装置の投入体積やローターの回転速度、ラム圧等、及び混練り温度や混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。混練り装置としては、通常、ゴム組成物の混練りに用いるバンバリーミキサーやインターミックス、ニーダー、ロール等が挙げられる。
【0045】
また、前記熱入れの条件についても、特に制限はなく、熱入れ温度や熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。
該熱入れ装置としては、通常、ゴム組成物の熱入れに用いる熱入れロール機等が挙げられる。
【0046】
さらに、上記押出の条件についても、特に制限はなく、押出時間や押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。押出装置としては、通常、タイヤ用ゴム組成物の押出に用いる押出機等が挙げられる。押出温度は、適宜に決定することができる。
【0047】
さらにまた、前記加硫を行う装置や方式、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。加硫を行う装置としては、通常、タイヤ用ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫機などが挙げられる。加硫の条件として、その温度は、例えば100~190℃程度である。
【0048】
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上述した本発明のゴム組成物を用いたことを特徴とする。本発明のゴム組成物をタイヤ材料として含むことで、高弾性率で且つ耐亀裂成長性を向上でき、転がり抵抗を低減できる。
【0049】
なお、本発明のタイヤは、上述した本発明のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いること以外、特に制限はなく、常法に従って製造することができる。
前記タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0050】
また、本発明のタイヤでは、上述した本発明のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いるが、タイヤ部材の中でも、プライコーティングゴム、プライ間ゴム、ベルトコーティングゴム、ベルト間クッションゴム、ベルト端カバーゴム及びスティフナーゴムのうちの、少なくとも1部材に用いられることが好ましい。これらの部材に適用すれば、本発明のゴム組成物による高弾性率、耐亀裂成長性及び低転がり抵抗性の改善効果による利益を十分に享受できるからである。
【実施例
【0051】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0052】
<サンプル1~15>
表1に示す配合に従い、各成分を配合し、バンバリーミキサーを用いて混練りすることで、ゴム組成物のサンプルを作製した。
【0053】
<評価>
得られたゴム組成物の各サンプルについて、シート状に押出した後、温度145℃で、加硫反応によるトルクの上昇が全体の90%に達するまでの時間(T90)の1.5倍にあたる加硫時間で加硫して、物性測定用の加硫ゴム試料を作製した。
そして、得られた加硫ゴム試料について、以下の評価を行った。
【0054】
(1)tanδ(低発熱性)
各サンプルのゴム組成物から得られた加硫ゴム試料に対し、スぺクトロメーター(株式会社上島製作所製)を用い、温度25℃、初期荷重1600mN、動歪2%、周波数52Hzの条件で、損失正接(tanδ)を測定した。
評価については、比較例であるサンプル1のtanδを100としたときの指数で示し、指数値が小さい程、低発熱性に優れることを示す。評価結果を表1に示す。
【0055】
(2)耐亀裂進展性
各サンプルのゴム組成物から得られた加硫ゴム試料に対し、引張試験装置(島津製作所社製)を使用し、応力1.1Nの力で繰り返し引張り、試料が破断するまでの回数を測定した。
評価については、測定した破断までの回数の常用対数(log)を算出し、参考例の対数値を100とした時の指数値で表示した。指数値が大きいほど引裂強さが大きく、耐亀裂進展性に優れることを示す。評価結果を表1に示す。なお、参考例の指数はあくまでも比較しやすい基準値として挙げているため、各サンプルの耐亀裂進展性指数が100を下回っても、98以上であれば同等レベルとみなされる。
【0056】
(3)300%モジュラス
各サンプルのゴム組成物から得られた加硫ゴム試料に対し、JIS-K-6299、JIS-K-6250に準拠した方法で試料を作製し、その後、引張試験機(東洋精機社製ストログラフ)を用い、500mm/minの速度でJIS-K-6252に準拠し試料に引張試験を実施することで、300%モジュラスを測定した。
を表1に示す。
評価については、参考例の300%モジュラスを100としたときの指数値を表示し、その指数値が100に近いほどタイヤ用ゴム組成物としてのモジュラスが適切であることを示す。
【0057】
(4)貯蔵弾性率(E1)
各サンプルのゴム組成物から得られた加硫ゴム試料に対し、スぺクトロメーター(株式会社上島製作所製)を用い、温度25℃、初期荷重1600mN、動歪2%、周波数52Hzの条件で、貯蔵弾性率E1’(MPa)を測定し、参考例を100とし、その指数を表1に示す。
評価については、指数値が100に近いほどタイヤ用ゴム組成物としての弾性率が適切であることを示す。評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
*1 NSA:26m/g、COAN:70ml/100gのカーボンブラック
*2 NSA:69m/g、COAN:87ml/100gのカーボンブラック
*3 NSA:35m/g、COAN:74ml/100gのカーボンブラック
*4 NSA:40m/g、COAN:83ml/100gのカーボンブラック
*5 3-ヒドロキシ-N’-(1,3-ジメチルブチリデン)-2-ナフトエ酸ヒドラジド、大塚化学株式会社製
*6 N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、三井化学株式会社製
*7 四国化成工業株式会社製「ミュークロン OT-20」
*8 N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製 「ノクセラ-NS-P」
【0060】
表1から、実施例に該当するゴム組成物の各サンプルは、低発熱性、耐亀裂成長性及び弾性率のいずれについても、バランスよく優れた効果を示すことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、低発熱性を達成しながら、高弾性率及び耐亀裂成長性にも優れたゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、高弾性率で且つ耐亀裂成長性に優れ、転がり抵抗が低減されたタイヤを提供することができる。