(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】細胞選別における飽和データ信号を識別するための方法及びそのためのシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 15/1429 20240101AFI20241210BHJP
G01N 15/14 20240101ALI20241210BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N15/1429
G01N15/14 C
G01N21/64 Z
(21)【出願番号】P 2022551784
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2021015461
(87)【国際公開番号】W WO2021173296
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-19
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】マージュ,ピーター
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/83754(WO,A1)
【文献】特開2009ー244270(JP,A)
【文献】特開2015-163855(JP,A)
【文献】米国特許第05799682(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110411933(CN,A)
【文献】特表2021-518556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00ー15/14
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローストリーム内の粒子を含む試料から光を検出することと、
検出された光から複数のデータ信号を生成することと、
1つ以上の飽和データ信号を識別することと、
識別された前記飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、
前記飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記飽和信号インデックスは、飽和している1つ以上の検出器チャネルを識別するバイナリワードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生成された前記データ信号から前記フローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子の1つ以上のパラメータを判定することは、前記粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記飽和信号インデックスに基づいて前記粒子の前記蛍光に対する前記スペクトル分離行列を調整することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スペクトル分離行列を調整することは、前記飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子の1つ以上のパラメータを計算することは、
前記粒子の前記蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、
1つ以上の前記飽和データ信号を除外する、前記粒子の前記蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、
計算された前記スペクトル分離行列を計算された前記調整されたスペクトル分離行列と比較することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子の判定された前記1つ以上のパラメータに基づいて前記粒子を分類することを更に含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記調整された粒子分類インデックスに基づいて粒子選別決定を更に生成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フローストリーム内の前記試料から光を検出することは、光吸収、光散乱、蛍光又はそれらの組み合わせを検出することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子を選別することを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子のパラメータは、集積回路デバイスによって計算される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記フローストリームを光源で照射することを更に含み、好ましくは、前記フローストリームを周波数シフト光の第1のビーム及び周波数シフト光の第2のビームで照射することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
システムであって、
フローストリーム内の粒子を含む試料を照射するように構成された光源と、
前記試料内の粒子から光を検出し、検出された前記光から複数のデータ信号を生成するための光検出器を備える光検出システムと、
動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサと
を備え、
前記メモリは、その上に記憶された命令を含み、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
1つ以上の飽和データ信号を識別することと、
識別された前記飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、
前記飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することと
を行わせる、システム。
【請求項15】
フローストリーム内の粒子から検出された光から1つ以上の飽和データ信号を識別することと、
識別された前記飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、
前記飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することと
を行うようにプログラムされている、集積回路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
選別フローサイトメータなどのフロー式粒子選別システムは、粒子の少なくとも1つの測定された特性に基づいて、流体試料中の粒子を選別するために使用される。フロー式粒子選別システムにおいて、流体懸濁液中の分子、分析物結合ビーズ、又は個々の細胞などの粒子は、センサがストリーム中に含有する、選別されるタイプの粒子を検出する検出領域によって、ストリーム中を通過する。
【0002】
センサは、選別されるタイプの粒子を検出すると、関心の粒子を選択的に単離する選別機構をトリガする。粒子検知は、通常、1つ以上のレーザからの照射光に粒子がさらされ、粒子の光散乱及び蛍光特性が測定される検出領域を、流体ストリームを通過させることによって実行される。
【0003】
粒子又はその成分は、検出を容易にするために、蛍光色素で標識され得、スペクトル的に異なる蛍光色素を使用して、異なる粒子又は成分を標識することによって、多数の異なる粒子又は成分が、同時に検出され得る。検出は、各異なる蛍光色素の蛍光の独立した測定を容易にするために、1つ以上の光センサを使用して実行される。
【0004】
試料中の粒子を選別するために、液滴帯電機構が、フローストリームのブレークオフポイントで、選別されるタイプの粒子を含むフローストリームの液滴に電荷を帯電する。液滴は、静電場を通過させられ、液滴の極性及び電荷の大きさに基づいて、1つ以上の収集容器内に偏向される。帯電していない液滴は、静電場によって偏向されない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するための方法を含む。ある特定の実施形態による方法は、フローストリーム内の粒子から光を検出することと、検出された光から複数のデータ信号を生成することと、1つ以上の飽和データ信号を識別することと、識別された飽和データ信号に対応する飽和信号インデックスを生成することと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することとを含む。一部の実施形態では、方法は、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光のための調整されたスペクトル分離行列を計算することによって、粒子の1つ以上の(例えば、粒子選別決定における使用のための)パラメータを判定することを含む。主題の方法を実施するためのシステム及び集積回路デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)も提供される。非一時的コンピュータ可読記憶媒体も説明される。
【0006】
一部の実施形態では、飽和信号インデックスは、飽和している1つ以上の検出器チャネルを識別するバイナリワードである。例えば、飽和信号インデックスは、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワードなど、8ビット以上から構成されるバイナリワードであってもよく、256ビットバイナリワードを含んでもよい。実施形態では、フローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータが、生成されたデータ信号から判定される。一部の例では、粒子の1つ以上のパラメータを判定することは、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することを含む。特定の例では、対象の試料は、複数のフルオロフォアを含み、各フルオロフォアの蛍光スペクトルは、試料中の少なくとも1つの他のフルオロフォアの蛍光スペクトルと重複する。例えば、各フルオロフォアの蛍光スペクトルは、試料中の少なくとも1つの他のフルオロフォアの蛍光スペクトルと10nm以上、例えば25nm以上重複してもよく、50nm以上を含む。一部の例では、試料中の1つ以上のフルオロフォアの蛍光スペクトルは、試料中の2つの異なるフルオロフォアの蛍光スペクトルと、例えば10nm以上、例えば25nm以上重複し、50nm以上を含む。他の実施形態では、対象の試料は、重複しない蛍光スペクトルを有する複数のフルオロフォアを含む。これらの実施形態では、各フルオロフォアの蛍光スペクトルは、10nm以下、例えば9nm以下、例えば8nm以下、例えば7nm以下、例えば6nm以下、例えば5nm以下、例えば4nm以下、例えば3nm以下、例えば2nm以下(1nm以下を含む)以内で少なくとも1つの他のフルオロフォアに隣接している。
【0007】
一部の実施形態では、方法は、計算された飽和信号インデックスに基づいて、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を調整することを含む。例えば、スペクトル分離行列は、飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することによって調整されてもよい。ある特定の実施形態では、試料における粒子の1つ以上のパラメータを計算するために、方法は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することとを含む。特定の例では、試料中の粒子のパラメータは、飽和入力検出器チャネルからのデータ信号を除外するために行列の1つ以上の行が除去される、調整されたスペクトル分離行列を使用して判定される。
【0008】
一部の実施形態では、方法は、粒子の判定されたパラメータのうちの1つ以上に基づいて、試料中の粒子を分類することを含む。本開示のある特定の実施形態では、試料中の粒子を分類することは、ビットマップゲーティング戦略を使用することを含み、粒子を分類することは、粒子分類パラメータから飽和データ信号を識別し、一部の例では除去することを含む。他の実施形態では、試料内の粒子を分類することは、飽和データ信号を識別することと、飽和しているデータ信号の真の値を推定することとを含む。特定の例では、試料中の粒子を分類するために、方法は、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成することと、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定することとを含む。他の例では、試料内の粒子を分類するための方法は、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することを含む。一部の実施形態では、ビットマップの粒子割り当てROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することは、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成することと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを判定することとを含む。飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するために、ブール論理を使用することができ、例えば、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIとAND演算して、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和しているか否かを判定する。
【0009】
本開示の態様は、また、フローストリーム中の試料の粒子(例えば、生体試料中の細胞)を特徴付けるための光検出システムを有するシステムを含む。ある特定の実施形態によるシステムは、フローストリーム中の試料の粒子を照射するように構成された光源と、試料中の粒子から光を検出し、検出された光から複数のデータ信号を生成する光検出器を有する光検出システムと、プロセッサであって、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサとを含み、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、1つ以上の飽和データ信号を識別することと、識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することとを行わせる。一部の実施形態では、プロセッサによって使用される飽和信号インデックスは、どの検出器チャネルがアナログ-デジタル変換器を飽和させたかを識別するバイナリワードである。例えば、主題のシステムによって利用される飽和信号インデックスは、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。
【0010】
実施形態では、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定させる。一部の実施形態では、メモリは、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。一部の例では、メモリは、1つ以上の飽和データ信号が除外される場合など、計算された飽和信号インデックスを使用して調整されたスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。他の例では、メモリは、飽和している検出器チャネルからのデータ信号が除外される調整されたスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。特定の例では、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することとを行わせる。ある特定の実施形態では、メモリは、スペクトル分離行列を計算するための命令を含み、行列の1つ以上の行は、飽和入力検出器チャネルからのデータ信号を除外するために除去される。
【0011】
メモリは、その上に記憶された命令を含み得、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類させる。一部の実施形態では、メモリは、粒子を分類するためのビットマップゲーティング戦略を実装するための命令を含む。一部の例では、主題のシステムによって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別及び除去するための命令を含む。他の例では、主題のシステムによって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別し、飽和しているデータ信号の真の値を推定するための命令を含む。一部の実施形態では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成させ、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定させる命令を含む。他の実施形態では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定させる命令を含む。一部の例では、メモリは、ビットマップの粒子割り当てROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することが、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成することと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを判定することとを含む命令を含む。特定の例では、プロセッサは、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためにブール論理を使用して動作する。例えば、飽和信号ビットマップは、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和しているか否かを判定するために、粒子割り当てROIとAND演算されてもよい。
【0012】
一部の実施形態では、対象のシステムは、粒子の分類に基づいて粒子の選別決定を生成するように構成される、1つ以上の選別決定モジュールを含んでもよい。ある特定の実施形態は、システムは、選別決定モジュールによって生成された選別決定に基づいて、フローストリームから粒子を選別するための粒子ソーター(例えば、液滴偏向器を有する)を更に含む。
【0013】
フローストリーム中の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するようにプログラムされた集積回路デバイスも提供される。実施形態では、集積回路デバイスは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、又は何らかの他の集積回路デバイスであってもよい。一部の実施形態では、集積回路デバイスは、フローストリーム内の粒子から検出された光から1つ以上の飽和データ信号を識別することと、識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することとを行うようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路によって使用される飽和信号インデックスは、飽和データ信号を出力する検出器チャネルを識別するバイナリワードである。例えば、主題のシステムによって利用される飽和信号インデックスは、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。
【0014】
実施形態では、対象となる集積回路デバイスは、生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定するようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。一部の例では、集積回路は、計算された飽和信号インデックスを使用して、調整されたスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。例えば、集積回路は、スペクトル分離行列を計算し、1つ以上の飽和データ信号を除外するようにプログラムされてもよい。他の例では、集積回路は、飽和している検出器チャネルからのデータ信号が除外される調整されたスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。特定の例では、集積回路は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することとを行うようにプログラムされる。ある特定の実施形態は、集積回路は、スペクトル分離行列を計算するようにプログラムされ、行列の1つ以上の行は、飽和入力検出器チャネルからのデータ信号を除外するために除去される。
【0015】
集積回路は、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類するようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路は、粒子を分類するためのビットマップゲーティング戦略を実装するようにプログラムされる。一部の例では、集積回路によって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別及び除去するためのプログラミングを含む。他の例では、集積回路によって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別し、飽和しているデータ信号の真の値を推定するためのプログラミングを含む。一部の実施形態では、集積回路デバイスは、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成し、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定するようにプログラムされる。他の実施形態では、集積回路は、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するようにプログラムされる。一部の例では、集積回路は、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成することと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを判定することとを行うプログラミングを含むことによって、ビットマップの粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するようにプログラムされる。特定の例では、集積回路は、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためにブール論理を使用して動作する。例えば、飽和信号ビットマップは、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和しているか否かを判定するために、粒子割り当てROIとAND演算されてもよい。特定の例では、集積回路デバイスは、調整された粒子分類に基づいて試料の粒子を選別するようにプログラムされる。
【0016】
本開示の態様は、また、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するための非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。ある特定の実施形態による非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、その上に記憶された命令を含み、命令は、フローストリーム内の粒子から光を検出するためのアルゴリズムと、検出された光から複数のデータ信号を生成するためのアルゴリズムと、識別された飽和データ信号に対応する飽和信号インデックスを生成するためのアルゴリズムと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して調整された粒子分類インデックスを生成するためのアルゴリズムとを有する。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、また、粒子の1つ以上のパラメータを計算するためのアルゴリズムを含み得る。これらの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較するためのアルゴリズムとを含む。ある特定の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、また、関心領域(ROI)を含む二次元ビットマップを生成するためのアルゴリズムと、粒子を二次元ビットマップのROIに割り当てるためのアルゴリズムとを含み得る。特定の例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、また、飽和信号ビットマップを生成するために飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用するためのアルゴリズムと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためのアルゴリズムと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを識別するためのアルゴリズムとを含み得る。一部の例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、調整された粒子分類インデックスに基づいて粒子選別決定を生成するためのアルゴリズムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付の図面と併せて読む場合、以下の詳細な説明から最も理解することができる。図面には、以下の図が含まれる。
【0018】
【
図1】ある特定の実施形態による選別制御システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図2A】ある特定の実施形態による粒子ソーターシステムを示す概略図である。
【
図2B】ある特定の実施形態による粒子ソーターシステムを示す概略図である。
【
図3】ある特定の実施形態による、コンピュータベースの試料解析及び粒子特徴付けのための粒子解析システムを示す機能ブロック図である。
【
図4】ある特定の実施形態によるフローサイトメータを示す図である。
【
図5】ある特定の実施形態による調整された粒子分類インデックスを生成するためのフロー図である。
【
図6】ある特定の実施形態による、調整された粒子分類を生成するためにマルチビットバイナリワード飽和信号インデックスを使用するためフロー図である。
【
図7】ある特定の実施形態による粒子を分類するためのフロー図である。
【
図8】ある特定の実施形態によるコンピューティングシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の態様は、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するための方法を含む。ある特定の実施形態による方法は、フローストリーム内の粒子から光を検出することと、検出された光から複数のデータ信号を生成することと、1つ以上の飽和データ信号を識別することと、識別された飽和データ信号に対応する飽和信号インデックスを生成することと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することとを含む。一部の実施形態では、方法は、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光のための調整されたスペクトル分離行列を計算することによって、粒子の1つ以上の(例えば、粒子選別決定における使用のための)パラメータを判定することを含む。主題の方法を実施するためのシステム及び集積回路デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)も提供される。非一時的コンピュータ可読記憶媒体も説明される。
【0020】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する対象となるためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0021】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値、及びこの記載の範囲内の任意の他の記載される値又は中間値が本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、記載の範囲において任意の具体的に除外された限界に従って、同様に主題の発明に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0022】
ある特定の範囲は、「約」という用語の前に数値を伴って本明細書において提示される。「約」という用語は、本明細書において、それが先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近いか、又は近似しているその数についての文字通りの裏付けを提供するために使用される。数が具体的に記載された数に近いか、又は近似しているか否かを判定する際、記載されていない数に近いか、又はそれに近似している数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数の実質的等価物を提供する数であり得る。
【0023】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験で使用することができるが、代表的な例示的な方法及び材料がここで説明される。
【0024】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、あたかも各個々の刊行物又は特許が、参照することによって組み込まれるように具体的かつ個々に示されているかのように、参照することによって本明細書に組み込まれ、方法及び/又は材料を開示及び記載するために、参照によって本明細書に組み込まれ、それらの方法及び/又は材料に関連して刊行物が引用される。いかなる刊行物の引用も、出願日以前のその開示に関するものであり、本発明が、先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供された公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立して確認される必要がある場合がある。
【0025】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するために起草され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙、又は「否定的な」制限の使用に関連して、「もっぱら」、「単独で」などの排他的な用語を使用するための先行する基礎として機能することが意図される。
【0026】
本開示を読むと当業者に明らかになるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の一部の実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はそれと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の記載された方法は、記載されたイベントの順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0027】
装置及び方法は、文法的な流動性のために機能的説明とともに記述されるが、米国特許法第112条に基づいて明確に記載されていない限り、特許請求の範囲は、必ずしも「手段」又は「ステップ」の限定の解釈によって限定されると解釈すべきではなく、法的均等論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び等価物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条に基づいて明確に記載されている場合には、米国特許法第112条に基づく完全な法的等価物を付与されるべきであることを明確に理解されたい。
【0028】
上記で要約したように、本開示は、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するための方法を提供する。本開示の実施形態を更に説明する際に、フローストリーム中の試料から検出された光から複数のデータ信号を生成し、1つ以上の識別された飽和データ信号から飽和信号インデックスを生成し、飽和信号インデックスを使用して調整された粒子分類インデックスを生成するための方法が、最初により詳細に説明される。次に、主題の方法を実施するようにプログラムされたシステム及び集積回路デバイスについて説明する。非一時的コンピュータ可読記憶媒体も説明される。
【0029】
飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整する方法
本開示の態様は、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するための方法を含む。「飽和信号」という語句は、本明細書では、光検出システム(以下でより詳細に説明される)の1つ以上の構成要素によって測定され得る最大範囲を超える信号を指すために、その従来の意味で使用される。一部の実施形態では、飽和信号は、光検出器によって検出され得る最大量を超える量の光に曝露された光検出器から出力されるデータ信号である。他の実施形態では、飽和信号は、光検出器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するために使用されるアナログ-デジタル変換器の最大範囲を超えるデータ信号である。本明細書でより詳細に説明するように、ある特定の実施形態による主題の方法は、フローストリーム中の粒子から検出された光から1つ以上の飽和データ信号を識別し、フローストリーム中の1つ以上の粒子を分類するときに飽和データ信号を除去することを提供する。他の実施形態では、主題の方法は、1つ以上の飽和データ信号を識別し、飽和しているデータ信号の真の値を推定することを提供する。主題の方法に従って粒子を分類することは、粒子を粒子集団クラスタに割り当てる際の精度の改善など、精度の向上をもたらす。粒子選別決定の一部として使用される場合、主題の方法は、粒子選別の収率並びに選別された粒子の純度を改善することができる。
【0030】
主題の方法を実施する際に、粒子を有する試料は、光源で照射され、試料からの光は、1つ以上の光検出器を有する光検出システムで検出される。一部の実施形態では、試料は、生体試料である。「生体試料」という用語は、全生物、植物、菌類、又は、特定の例では、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水、羊膜臍帯血、尿、膣液、及び精液中に見られ得る動物の組織、細胞、又は成分のサブセットを指すために、その従来の意味で使用される。したがって、「生体試料」は、天然生物又はその組織のサブセットの両方、並びに、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の切片、呼吸管、胃腸管、心血管、及び泌尿器管、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むが、これらに限定されない、生物又はその組織のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物、又は抽出物を指す。生体試料は、健康組織及び疾患組織(例えば、がん性、悪性、壊死性など)の両方を含む、任意のタイプの生体組織であり得る。ある特定の実施形態では、生体試料は、血液又はその誘導体、例えば、血漿、涙液、尿、精液などの液体試料であり、一部の例では、試料は、静脈穿刺又はフィンガースティックから取得された血液など、全血を含む血液試料である(血液は、アッセイの前に、防腐剤、抗凝固剤などの任意の試薬と組み合わされてもよく、組み合わされなくてもよい)。
【0031】
ある特定の実施形態では、試料のソースは、「哺乳動物(mammal)」又は「哺乳動物(mammalian)」であり、これらの用語は、肉食動物目(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、並びに霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳綱内の生物を示すために広く使用される。一部の例では、対象はヒトである。方法は、両方の性別のヒト対象から、発達の任意の段階(すなわち、新生児、乳幼児、年少者、青年、成人)で取得された試料に適用され得、ある特定の実施形態では、ヒト対象は、年少者、青年、又は成人である。本発明は、ヒト対象からの試料に適用され得るが、以下に限定されるものではないが、鳥、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、及びウマなどの他の動物対象からの(すなわち、「非ヒト対象」の)試料に対しても実施され得ることを理解されたい。
【0032】
実施形態では、試料(例えば、フローサイトメータのフローストリーム中の)は、光源からの光で照射される。一部の実施形態では、光源は、広帯域光源であり、例えば、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上に及び、500nm以上に及ぶなど、広範囲の波長を有する光を放出する。例えば、ある好適な広帯域光源は、200nm~1500nmの波長を有する光を放出する。好適な広帯域光源の別の実施例は、400nm~1000nmの波長を有する光を放出する光源を含む。方法が広帯域光源で照射することを含む場合、対象の広帯域光源プロトコルは、以下に限定されないが、他の広帯域光源の中でも、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、クセノンアークランプ、安定化ファイバ結合広帯域光源、連続スペクトルを有する広帯域LED、超高輝度発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED統合白色光源、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0033】
他の実施形態では、方法は、例えば、50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、2nm以下の範囲のような狭い波長範囲の光を放出する光源など、特定の波長又は狭い波長範囲を放出する狭帯域光源で照射することを含み、特定の波長の光(すなわち、単色光)を放出する光源を含む。方法が狭帯域光源で照射することを含む場合、対象の狭帯域光源プロトコルは、狭波長LED、レーザダイオード、又は1つ以上の光学バンドパスフィルタ、回折格子、モノクロメータ、若しくはそれらの任意の組み合わせに結合される広帯域光源を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0034】
ある特定の実施形態では、方法は、1つ以上のレーザで試料を照射することを含む。上述したように、レーザのタイプ及び数は、試料並びに収集される所望の光に応じて変化し、ヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、クセノンレーザ、窒素レーザ、CO2レーザ、COレーザ、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザ、クセノン塩素(XeCl)エキシマレーザ、又はクセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザなどのガスレーザ、又はそれらの組み合わせであってよい。他の例では、方法は、スチルベン、クマリン又はローダミンレーザなどの色素レーザでフローストリームを照射することを含む。更に他の例では、方法は、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザ、ヘリウム-セレニウム(HeSe)レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン-銅(NeCu)レーザ、銅レーザ、又は金レーザ、及びそれらの組み合わせなどの金属-蒸気レーザでフローストリームを照射することを含む。更に他の例では、方法は、フローストリームを固体レーザ、例えばルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YCa4O(BO3)3レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、タリウムYAGレーザ、イッテリビウムYAGレーザ、Y2O3レーザ又はセリウムドープレーザ及びそれらの組み合わせで照射することを含む。
【0035】
試料は、上述の光源のうちの1つ以上、例えば2つ以上の光源、例えば3つ以上の光源、例えば4つ以上の光源、例えば5つ以上の光源、例えば10個以上の光源で照射されてもよい。光源は、光源のタイプの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、本方法は、1つ以上のガスレーザ、1つ以上の色素レーザ、及び1つ以上の固体レーザを有するアレイなどのレーザのアレイを用いて、フローストリーム内の試料を照射することを含む。
【0036】
試料は、200nm~1500nm、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、例えば400nm~800nmの範囲の波長で照射されてもよい。例えば、光源が広帯域光源である場合、試料は、200nm~900nmの波長で照射されてもよい。光源が複数の狭帯域光源を含む他の例では、試料は、200nm~900nmの範囲内の特定の波長で照射されてもよい。例えば、光源は、複数の狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよく、各狭帯域LEDは、200nm~900nmの波長範囲を有する光を独立して放出する。他の実施形態では、狭帯域光源は、1つ以上のレーザ(レーザアレイなど)を含み、試料は、上述のようなガスレーザ、エキシマレーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、及び固体レーザを有するレーザアレイなどを用いて、200nm~700nmの範囲の特定の波長で照射される。
【0037】
2つ以上の光源が使用される場合、試料は、光源を用いて同時に若しくは順次に、又はそれらの組み合わせで照射され得る。例えば、試料は、各光源で同時に照射されてもよい。他の実施形態では、フローストリームは、光源の各々で順次照射される。2つ以上の光源を用いて試料を順次照射する場合、各光源が試料を照射する時間は、独立して、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上であってもよく、60マイクロ秒以上を含む。例えば、方法は、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒(5マイクロ秒~10マイクロ秒を含む)の範囲の持続時間にわたって試料を光源(例えばレーザ)で照射することを含んでもよい。試料が2つ以上の光源で順次照射される実施形態では、試料が各光源によって照射される持続時間は、同じであっても異なっていてもよい。
【0038】
各光源による照射の間の期間も、また、必要に応じて変化してもよく、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば15マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上の遅延によって独立して分離される。例えば、各光源による照射間の期間は、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒の範囲であってもよい。ある特定の実施形態では、各光源による照射間の期間は10マイクロ秒である。試料が2つより多い(すなわち、3つ以上の)光源によって順次照射される実施形態では、各光源による照射間の遅延は、同じであっても異なっていてもよい。
【0039】
試料は、連続的に又は不連続な間隔で照射することができる。一部の例では、方法は、試料中の試料を光源で連続的に照射することを含む。他の例では、試料は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎(1000ミリ秒毎を含む)、又は一部の他の間隔で照射するなど、離散間隔で光源で照射される。
【0040】
光源に応じて、試料は、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2.5mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば25mm以上、及び50mm以上を含めて変化する距離から照射されてもよい。また、角度又は照射は、10°~90°、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°の範囲で変化してもよく、30°~60°を含み、例えば90°の角度である。
【0041】
ある特定の実施形態では、方法は、周波数シフト光の2つ以上のビームで試料を照射することを含む。上述したように、レーザと、レーザ光を周波数シフトするための音響光学デバイスとを有する光ビーム発生器構成要素を使用することができる。これらの実施形態では、方法は、音響光学デバイスにレーザを照射することを含む。(例えば、フローストリーム中の試料を照射する際に使用するための)出力レーザビームにおいて生成される光の所望の波長に応じて、レーザは、200nm~1500nm、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、及び400nm~800nmを含む範囲で変化する特定の波長を有してもよい。音響光学デバイスは、1つ以上のレーザ、例えば2つ以上のレーザ、例えば3つ以上のレーザ、例えば4つ以上のレーザ、例えば5つ以上のレーザ、例えば10個以上を含むレーザで照射されてもよい。レーザは、レーザのタイプの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、本方法は、音響光学デバイスを、1つ以上のガスレーザ、1つ以上の色素レーザ、及び1つ以上の固体レーザを有するアレイなどのレーザのアレイで照射することを含む。
【0042】
2つ以上のレーザが使用される場合、音響光学デバイスは、レーザで同時に、又は連続して、あるいはそれらの組み合わせで照射され得る。例えば、音響光学デバイスは、レーザの各々で同時に照射されてもよい。他の実施形態では、音響光学デバイスは、レーザの各々で順次照射される。音響光学デバイスを順次照射するために2つ以上のレーザが使用される場合、各レーザが音響光学デバイスを照射する時間は、独立して、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上であってよく、60マイクロ秒以上を含む。例えば、方法は、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、例えば5マイクロ秒~10マイクロ秒を含む範囲の持続時間にわたって音響光学デバイスにレーザを照射することを含んでもよい。音響光学デバイスが2つ以上のレーザで順次照射される実施形態では、音響光学デバイスが各レーザによって照射される持続時間は、同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
各レーザによる照射の間の期間も、また、必要に応じて変化してもよく、0.001マイクロ秒以上、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば15マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上を含む遅延によって独立して分離される。例えば、各光源による照射間の期間は、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒、例えば0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒の範囲であってもよい。ある特定の実施形態では、各レーザによる照射間の期間は10マイクロ秒である。音響光学デバイスが2つより多い(すなわち、3つ以上の)レーザによって連続的に照射される実施形態では、各レーザによる照射間の遅延は、同じであっても異なっていてもよい。
【0044】
音響光学デバイスは、連続的に又は不連続な間隔で照射することができる。一部の例では、方法は、音響光学デバイスにレーザを連続的に照射することを含む。他の例では、音響光学デバイスは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎(1000ミリ秒毎を含む)、又は一部の他の間隔で照射するなど、離散間隔で光源で照射される。
【0045】
レーザに応じて、音響光学デバイスは、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2.5mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば25mm以上、及び50mm以上を含めて変化する距離から照射されてもよい。また、角度又は照射は、10°~90°、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°の範囲で変化してもよく、30°~60°を含み、例えば90°の角度である。
【0046】
実施形態では、方法は、音響光学デバイスに無線周波数駆動信号を印加し、角度偏向レーザビームを生成することを含む。所望の数の角度偏向レーザビームを有する出力レーザビームを生成するために、3つ以上の無線周波数駆動信号、4つ以上の無線周波数駆動信号、5つ以上の無線周波数駆動信号、6つ以上の無線周波数駆動信号、7つ以上の無線周波数駆動信号、8つ以上の無線周波数駆動信号、9つ以上の無線周波数駆動信号、10個以上の無線周波数駆動信号、15個以上の無線周波数駆動信号、25個以上の無線周波数駆動信号、50個以上の無線周波数駆動信号などの2つ以上の無線周波数駆動信号が音響光学デバイスに印加されてもよく、100個以上の無線周波数駆動信号を含む。
【0047】
高周波駆動信号によって生成される角度偏向されたレーザビームはそれぞれ、印加された高周波駆動信号の振幅に基づく強度を有する。一部の実施形態では、方法は、所望の強度を有する角度偏向レーザビームを生成するために十分な振幅を有する無線周波数駆動信号を印加することを含む。一部の例では、印加される各高周波駆動信号は、独立して、約0.001V~約500V、例えば約0.005V~約400V、例えば約0.01V~約300V、例えば約0.05V~約200V、例えば約0.1V~約100V、例えば約0.5V~約75V、例えば約1V~50V、例えば約2V~40V、例えば3V~約30Vなど、5V~約25Vを含む振幅を有する。印加される各高周波駆動信号は、一部の実施形態では、約0.001MHz~約500MHz、例えば約0.005MHz~約400MHz、例えば約0.01MHz~約300MHz、例えば約0.05MHz~約200MHz、例えば約0.1MHz~約100MHz、例えば約0.5MHz~約90MHz、例えば約1MHz~約75MHz、例えば約2MHz~約70MHz、例えば約3MHz~約65MHz、例えば約4MHz~約60MHzの周波数を有し、約5MHz~約50MHzを含む。
【0048】
これらの実施形態では、出力レーザビーム内の角度偏向されたレーザビームは、空間的に分離される。印加される高周波駆動信号及び出力レーザビームの所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向されたレーザビームは、0.001μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.01μm以上、例えば0.05μm以上、例えば0.1μm以上、例えば0.5μm以上、例えば1μm以上、例えば5μm以上、例えば10μm以上、例えば100μm以上、例えば500μm以上、例えば1000μm以上、更には5000μm以上離れていてもよい。一部の実施形態では、角度偏向されたレーザビームは、出力レーザビームの水平軸に沿って隣接する角度偏向されたレーザビームなどと重複する。隣接する角度偏向されたレーザビーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、0.001μm以上の重複、例えば0.005μm以上の重複、例えば0.01μm以上の重複、例えば0.05μm以上の重複、例えば0.1μm以上の重複、例えば0.5μm以上の重複、例えば1μm以上の重複、例えば5μm以上の重複、例えば10μm以上の重複であってよく、100μm以上の重複を含む。
【0049】
特定の例では、フローストリームは、周波数シフト光の複数のビームで照射され、フローストリーム内の細胞は、Diebold,et al.Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)に記載されているもの、並びに米国特許第9,423,353号、同第9,784,661号及び同第10,006,852号並びに米国特許出願公開第2017/0133857号及び同第2017/0350803号に記載されているものなどの、周波数符号化画像を生成するために、無線周波数タグ付き発光(FIRE)を使用する蛍光撮像によって撮像され、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
上述したように、実施形態では、照射された試料からの光は、以下でより詳細に説明するように光検出システムに伝達され、複数の光検出器によって測定される。一部の実施形態では、方法は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集された光を測定することを含む。例えば、方法は、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって光のスペクトルを収集することを含んでもよい。更に他の実施形態では、方法は、1つ以上の特定の波長で収集された光を測定することを含む。例えば、収集された光は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で測定され得る。ある特定の実施形態では、方法は、フルオロフォアの蛍光ピーク波長に対応する光の波長を測定することを含む。一部の実施形態では、方法は、試料中の各フルオロフォアの蛍光スペクトル全体にわたって収集された光を測定することを含む。
【0051】
収集された光は、連続的に又は離散な間隔で測定され得る。一部の例では、方法は、光の測定を連続的に行うことを含む。他の例では、光は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎(1000ミリ秒毎を含む)、又は何らかの他の間隔で光を測定するなど、離散間隔で測定される。
【0052】
収集された光の測定は、主題の方法の間に1回以上、例えば2回以上、例えば3回以上、例えば5回以上、例えば10回以上行われてもよい。ある特定の実施形態では、光伝播は2回以上測定され、特定の例におけるデータは平均化される。
【0053】
試料からの光は、1つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長で測定されてもよく、収集された光を400個以上の異なる波長で測定することを含んでもよい。
【0054】
本開示の方法は、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して、粒子分類インデックスを調整することを含む。実施形態では、複数のデータ信号が、試料中の粒子から検出された光から生成される。生成されるデータ信号は、アナログデータ信号又はデジタルデータ信号であってもよい。データ信号がアナログデータ信号である場合、一部の例では、方法は、アナログ-デジタル変換器などを用いて、アナログデータ信号をデジタルデータ信号に変換することを含む。主題の方法を実施する際に、1つ以上の飽和データ信号が識別される。一部の例では、飽和データ信号は、検出器が測定することができる範囲を超える信号に起因する。他の例では、飽和データ信号は、アナログ-デジタル変換器の範囲を超える信号に起因する。フローストリーム内の粒子から光を検出するために使用される光検出器の数に応じて、飽和データ信号を出力するものとして識別される検出器チャネルの数は、例えば、1つ以上、例えば、2つ以上、例えば、4つ以上、例えば、8つ以上、例えば、16個以上、例えば、32個以上、例えば、64個以上、及び128個以上を含めて、変動し得る。
【0055】
実施形態では、飽和信号インデックスは、識別された飽和データ信号から生成される。一部の実施形態では、飽和信号インデックスは、どの検出器チャネルがアナログ-デジタル変換器を飽和させたかを識別するバイナリワードである。一部の例では、飽和信号インデックスは、1ビット以上、例えば2ビット以上、例えば4ビット以上、例えば8ビット以上、例えば16ビット以上、例えば32ビット以上、例えば64ビット以上、例えば128ビット以上から構成され、256ビット以上を含むバイナリワードである。例えば、飽和信号インデックスは、4ビットバイナリワード、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。特定の例では、飽和信号インデックスは、2つ以上のバイナリワード、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、及び10個以上を含むバイナリワードの組み合わせである。飽和信号インデックスがバイナリワードの組み合わせである場合、各バイナリワードは、独立して、1ビット以上、例えば、2ビット以上、例えば、4ビット以上、例えば、8ビット以上、例えば、16ビット以上、例えば、32ビット以上、例えば、64ビット以上、例えば、128ビット以上(256ビット以上を含む)からなるバイナリワードであってもよい。一部の実施形態では、飽和信号インデックス内の各バイナリワードは、独立して、4ビットバイナリワード、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。例えば、光検出システムが80個の検出器チャネルを含む場合、飽和信号インデックスは、128ビットバイナリワード又は3つの異なる32ビットバイナリワードから構成されてもよい。
【0056】
実施形態では、方法は、生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定することを含む。一部の実施形態では、粒子の1つ以上のパラメータを判定することは、重複する蛍光を有するフルオロフォアから検出された光を分解することなど、試料中の複数のフルオロフォアからの光を分解することを含む。一部の実施形態では、フローストリーム中の粒子のパラメータを判定することは、試料からの蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することを含む。
【0057】
一部の実施形態では、試料中のフルオロフォアからの光をスペクトル分解することは、加重最小二乗アルゴリズムを使用してスペクトル分離行列を計算することを含む。一部の例では、加重最小二乗アルゴリズムは、以下の式に従って計算される。
【0058】
【0059】
【0060】
一部の実施形態では、各Wiiは、以下の式に従って計算される。
【0061】
【0062】
ここで、σi
2は検出器iにおける分散であり、yiは検出器iにおける信号であり、λiは検出器iにおける一定雑音である。ある特定の実施形態では、スペクトル分離行列は、(XTWX)-1XTWに従って計算される。一部の例では、本方法は、光検出システムによって検出された各細胞について(XTWX)を反転させてスペクトル分離行列を計算することを含む。一部の実施形態では、方法は、反復ニュートン-ラフソン計算、シャーマン-モリソン反復逆更新器のうちの1つ以上を使用して、行列分解(例えば、LU行列分解、ガウス消去、修正コレスキー分解)又は特異値分解(SVD)によって、スペクトル分離行列に対する解を計算することを含む。ある特定の実施形態では、スペクトル分離行列に対する解は、2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/725,799号に記載されているように計算され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
一部の実施形態では、方法は、計算された飽和信号インデックスに基づいて、試料中の粒子の蛍光のスペクトル分離行列を調整することを含む。例えば、スペクトル分離行列は、飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することによって調整されてもよい。ある特定の実施形態では、試料における粒子の1つ以上のパラメータを計算するために、方法は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することとを含む。特定の例では、スペクトル分離行列は、飽和入力検出器チャネルからのデータ信号に基づいて行列の1つ以上の行を除去することによって調整される。他の例では、飽和信号インデックスを使用して、飽和している検出器チャネルを識別し、スペクトル分離行列を調整して飽和信号を補償する。一例では、スペクトル分離行列解は、飽和信号の真の値の推定値を使用するように調整される。これらの実施形態では、飽和信号の推定された真の値が最初に判定され、調整されたスペクトル分離行列解を生成するためにスペクトル分離行列に入力される。
【0064】
一部の実施形態では、方法は、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて、試料中の粒子を分類することを含む。一部の実施形態では、粒子を分類することは、粒子を粒子集団クラスタに割り当てることを含む。他の実施形態では、粒子を分類することは、散乱プロット上に粒子の1つ以上のパラメータをプロットすることを含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、試料中の粒子を分類することは、ビットマップゲーティング戦略を使用することを含み、粒子を分類することは、粒子分類パラメータから識別された飽和データ信号を識別し、除去することを含む。他の実施形態では、試料内の粒子を分類することは、飽和データ信号を識別することと、飽和しているデータ信号の真の値を推定することとを含む。特定の例では、試料中の粒子を分類するために、方法は、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成することと、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定することとを含む。他の例では、試料内の粒子を分類するための方法は、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することを含む。一部の実施形態では、ビットマップの粒子割り当てROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することは、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成することと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを判定することとを含む。
【0066】
ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和している場合、一部の実施形態による方法は、飽和信号インデックスを使用して粒子分類インデックスを調整することを含む。一部の例では、ROIのために使用される座標は、ビットマップのアドレス指定可能な範囲にスケーリングされるインデックスである。一部の例では、1つ以上のオフセットが適用される。他の例では、1つ以上のスケーリング係数が適用される。特定の例では、方法は、1つ以上のオフセットを適用し、その後に1つ以上のスケーリング係数を適用することを含む。ある特定の実施形態は、方法は、ビットマップの粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するために、飽和信号インデックスを適用する前に、飽和信号インデックスをスカラー値に変換することを含む。一部の例では、ROIビットマップへのX入力及びY入力は、データ信号からのデータフレームから選択される。これらの例では、整数が減算され(例えば、アフィン変換によって)、その後、スケール係数が乗算される。一部の実施形態では、ビットの連続サブセットが、ビットマップへのインデックスを選択するために使用される。(例えば、64ビット乗算積から選択されたビット31~25)。一部の実施形態では、飽和信号インデックスは、ビットマップのROIに適用される。飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するために、ブール論理を使用することができ、例えば、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIとAND演算して、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和しているか否かを判定する。これらの実施形態では、イベントが任意の検出器チャネルにおいて飽和しているか否かを示す真偽のブール値を得ることができる。これらの結果は、不飽和状態を分類決定に含めるために粒子割り当てROI判定と組み合わせることができる。
【0067】
図5は、ある特定の実施形態による、調整された粒子分類インデックスを生成するためのフロー図を示している。ステップ501において、フローストリーム中の試料から光が検出される。光検出システムは、ステップ502において、検出された光から複数のデータ信号を生成し、ステップ503において、1つ以上の飽和データ信号が検出され得る。飽和データ信号は、検出器が測定することができる光量を超える検出器の結果であるか、又は入力信号がアナログ-デジタル変換器の範囲を超える場合である。マルチビットバイナリワードの形態の飽和信号インデックスがステップ504で生成され、飽和している検出器チャネルを識別する。ステップ505において、マルチビットバイナリワード飽和信号インデックスは、粒子分類決定の生成に適用される。
【0068】
図6は、ある特定の実施形態による、調整された粒子分類を生成するためにマルチビットバイナリワード飽和信号インデックスを使用するフロー図を示している。ステップ601において、試料中の粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列が、飽和信号インデックスを適用せずに計算される。ステップ602において、どの検出器チャネルが飽和しているかを識別するために飽和信号インデックスを適用することによって、調整されたスペクトル分離行列解が計算される。ステップ603において、調整されていないスペクトル分離行列が、調整されたスペクトル分離行列と比較され、スペクトル分離行列の1つ以上の行が、調整されていないスペクトル分離行列と調整されたスペクトル分離行列との間の比較に基づいて除外され得る。
【0069】
図7は、ある特定の実施形態による粒子を分類するためのフロー図を示している。ステップ701において、関心領域(ROI)を有する粒子分類二次元ビットマップが生成される。ステップ702において、飽和信号インデックスは、第2の二次元ビットマップROIを生成するために適用され、ROIの軸は、飽和チャネルを識別する。ブール論理を使用して、識別された飽和チャネルを伴う第2の二次元ビットマップROIは、ステップ703において、粒子分類二次元ビットマップとAND演算され、飽和検出器チャネルを考慮する、調整された粒子分類を生成する。ステップ704において、粒子は、判定された粒子分類に基づいて選別される。
【0070】
一部の実施形態では、方法は、選別分類を生成することを含む。一部の例では、選別分類は、粒子選別決定であり得る。例えば、選別分類を生成することは、判定された飽和信号インデックスと組み合わせて、粒子の計算されたパラメータに基づいて、粒子を選別するために好適な選別ゲートを識別することを含んでもよい。粒子選別決定は、粒子の計算されたパラメータと、飽和信号インデックスを適用することによって調整される粒子分類のパラメータとの間の重複に基づいて生成され得る。適切なゲートを選択するために、方法は、サブ集団の可能な最良の分離を得るように、パラメータを(例えば、散乱プロット上に)プロットすることを更に含み得る。この分析は、粒子分類に基づいてデジタル化されたパラメータのセットを生成するように構成された選別システムに伝達され得る。
【0071】
一部の実施形態では、試料の成分を選別するための方法は、2017年3月28日に出願され、その開示が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2017/0299493号に記載されるものなどの、偏向板を有する粒子選別モジュールを用いて粒子(例えば、生体試料内の細胞)を選別することを含む。ある特定の実施形態では、試料の細胞は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803,264号に記載されているものなどの、複数の選別決定ユニットを有する選別決定モジュールを使用して選別される。
【0072】
飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するシステム
上記で要約したように、本開示の態様は、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するように構成されたシステムを含む。上述したように、「飽和信号」という用語は、以下で説明する光検出システムの1つ以上の構成要素によって測定することができる最大範囲を超える信号を指すために使用される。一部の実施形態では、飽和信号は、光検出器によって検出され得る最大量を超える量の光に曝露された光検出器から出力されるデータ信号である。他の実施形態では、飽和信号は、光検出器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するために使用されるアナログ-デジタル変換器の最大範囲を超えるデータ信号である。ある特定の実施形態によるシステムは、フローストリーム中の試料の粒子を照射するように構成された光源と、試料中の粒子から光を検出し、検出された光から複数のデータ信号を生成する光検出器を有する光検出システムと、プロセッサであって、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサとを含み、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、1つ以上の飽和データ信号を識別することと、識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することとを行わせる。
【0073】
実施形態では、光源は、任意の好適な広帯域又は狭帯域光源であり得る。試料中の構成要素(例えば、細胞、ビーズ、非細胞粒子など)に応じて、光源は、200nm~1500nm、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、及び400nm~800nmの範囲で変化する波長の光を放出するように構成され得る。例えば、光源は、200nm~900nmの波長を有する光を放出する広帯域光源を含んでもよい。他の例では、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を放出する狭帯域光源を含む。例えば、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を有する光を放出する狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよい。ある特定の実施形態では、光源は、レーザである。一部の例では、主題のシステムは、ヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、クセノンレーザ、窒素レーザ、CO2レーザ、COレーザ、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザ、クセノン塩素(XeCl)エキシマレーザ、又はクセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザ、若しくはそれらの組み合わせなどのガスレーザを含む。他の例では、主題のシステムは、スチルベンレーザ、クマリンレーザ、又はローダミンレーザなどの色素レーザを含む。更に他の例では、関心のレーザは、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザ、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン-銅(NeCu)レーザ、銅レーザ、又は金レーザ、及びそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザを含む。更に他の例では、主題のシステムは、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YCa4O(BO3)3レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、スリムYAGレーザ、イッテリビウムYAGレーザ、Y2O3レーザ、又はセリウムドープレーザ、及びそれらの組み合わせなどの固体レーザを含む。
【0074】
他の実施形態では、光源は、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、クセノンアークランプを含むがこれらに限定されないランプなどの非レーザ光源、連続スペクトルを有する広帯域LEDなどの発光ダイオード、スーパールミネセント発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、集積マルチLEDである。一部の例では、非レーザ光源は、他の光源の中でも、安定化ファイバ結合広帯域光源、白色光源、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0075】
光源は、試料(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム)から任意の好適な距離、例えばフローストリームから0.001mm以上の距離、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上の距離、及び100mm以上を含む距離に位置決めされてもよい。加えて、光源は、10°~90°、15°~85°、20°~80°、25°~75°の範囲の角度(30°~60°を含む)、例えば90°の角度など、任意の好適な角度(例えば、フローストリームの垂直軸に対して)で試料を照射する。
【0076】
光源は、連続的に又は離散間隔で試料を照射するように構成され得る。一部の例では、システムは、フローサイトメータ内の調査点においてフローストリームを連続的に照射する連続波レーザなどを用いて、試料を連続的に照射するように構成される光源を含む。他の例では、対象のシステムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎(1000ミリ秒毎を含む)、又は何らかの他の間隔などの離散間隔で試料を照射するように構成された光源を含む。光源が離散的な間隔で試料を照射するように構成される場合、システムは、光源による試料の断続的な照射を提供するための1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、これらの実施形態における主題のシステムは、1つ以上のレーザビームチョッパ、試料を遮断して光源に曝露するための手動又はコンピュータ制御のビームストップを含んでもよい。
【0077】
一部の実施形態では、光源はレーザである。対象となるレーザは、パルスレーザ又は連続波レーザを含んでもよい。例えば、レーザは、ガスレーザ、例えばヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、クセノンレーザ、窒素レーザ、CO2レーザ、COレーザ、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザ、クセノン-塩素(XeCl)エキシマレーザ又はクセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザ又はこれらの組み合わせと、色素レーザ、例えばスチルベン、クマリン又はローダミンレーザと、金属-蒸気レーザ、例えばヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザ、ヘリウム-セレニウム(HeSe)レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン-銅(NeCu)レーザ、銅レーザ又は金レーザ及びこれらの組み合わせと、固体レーザ、例えばルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YCa4O(BO3)3レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、タリウムYAGレーザ、イッテリビウムYAGレーザ、イッテリビウム2O3レーザ又はセリウムドープレーザ及びこれらの組み合わせと、半導体ダイオードレーザ、光ポンピング半導体レーザ(OPSL)又は上述のレーザのいずれかの周波数二倍化又は周波数三倍化の実装形態と、であってもよい。
【0078】
ある特定の実施形態では、光源は、周波数シフト光の2つ以上のビームを生成するように構成された光ビーム発生器である。一部の例では、光ビーム発生器は、レーザと、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、2つ以上の角度偏向レーザビームを発生させるように構成された高周波発生器とを含む。これらの実施形態では、レーザはパルスレーザ又は連続波レーザであり得る。例えば、対象となる光ビーム発生器におけるレーザは、ガスレーザ、例えばヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、クセノンレーザ、窒素レーザ、CO2レーザ、COレーザ、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザ、クセノン-塩素(XeCl)エキシマレーザ又はクセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザ又はこれらの組み合わせと、色素レーザ、例えばスチルベン、クマリン又はローダミンレーザと、金属-蒸気レーザ、例えばヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザ、ヘリウム-セレニウム(HeSe)レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン-銅(NeCu)レーザ、銅レーザ又は金レーザ及びこれらの組み合わせと、固体レーザ、例えばルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YCa4O(BO3)3レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、タリウムYAGレーザ、イッテリビウムYAGレーザ、Y2O3レーザ又はセリウムドープレーザ及びこれらの組み合わせと、であってもよい。
【0079】
音響光学デバイスは、印加された音波を使用してレーザ光を周波数シフトするように構成された任意の好適な音響光学プロトコルであり得る。ある特定の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学偏向器である。主題のシステムにおける音響光学デバイスは、レーザからの光及び印加された無線周波数駆動信号から、角度偏向レーザビームを生成するように構成される。無線周波数駆動信号は、直接デジタルシンセサイザ(DDS)、任意波形発生器(AWG)、又は電気パルス発生器などの任意の好適な無線周波数駆動信号源を用いて、音響光学デバイスに印加され得る。
【0080】
実施形態では、コントローラは、音響光学デバイスに無線周波数駆動信号を印加して、出力レーザビーム内に所望の数の角度偏向レーザビームを生成するように構成され、例えば3つ以上の高周波駆動信号、例えば4つ以上の高周波駆動信号、例えば5つ以上の高周波駆動信号、例えば6つ以上の高周波駆動信号、例えば7つ以上の高周波駆動信号、例えば8つ以上の高周波駆動信号、例えば9つ以上の高周波駆動信号、例えば10個以上の高周波駆動信号、例えば15個以上の高周波駆動信号、例えば25個以上の高周波駆動信号、例えば50個以上の高周波駆動信号を印加するように構成され、100個以上の高周波駆動信号を印加するように構成されることを含む。
【0081】
一部の例では、出力レーザビームにおいて角度偏向されたレーザビームの強度プロファイルを生成するために、コントローラは、約0.001V~約500V、例えば約0.005V~約400V、例えば約0.01V~約300V、例えば約0.05V~約200V、例えば約0.1V~約100V、例えば約0.5V~約75V、例えば約1V~50V、例えば約2V~40V、例えば3V~約30Vなど、5V~約25Vを含む振幅で変化する高周波駆動信号を印加するように構成されている。印加される各高周波駆動信号は、一部の実施形態では、約0.001MHz~約500MHz、例えば約0.005MHz~約400MHz、例えば約0.01MHz~約300MHz、例えば約0.05MHz~約200MHz、例えば約0.1MHz~約100MHz、例えば約0.5MHz~約90MHz、例えば約1MHz~約75MHz、例えば約2MHz~約70MHz、例えば約3MHz~約65MHz、例えば約4MHz~約60MHzの周波数を有し、約5MHz~約50MHzを有する。
【0082】
ある特定の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサを有し、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、所望の強度プロファイルを有する角度偏向されたレーザビームを伴う出力レーザビームを生成させる。例えば、メモリは、同じ強度を有する2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば10個以上、例えば25個以上、例えば50個以上の角度偏向されたレーザビームを生成する命令を含んでもよく、メモリを含むことは、同じ強度を有する100個以上の角度偏向されたレーザビームを生成する命令を含んでもよい。他の実施形態では、命令は、異なる強度を有する2つ以上の角度偏向レーザビーム、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば10個以上、例えば25個以上、例えば50個以上の角度偏向レーザビームを生成する命令を含むことができ、メモリを含むことは、異なる強度を有する100個以上の角度偏向レーザビームを生成する命令を含んでもよい。
【0083】
ある特定の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサを有し、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿って出力レーザビームの縁部から中心に増加する強度を有する出力レーザビームを生成させる。これらの例では、出力ビームの中心における角度偏向されたレーザビームの強度は、水平軸に沿った出力レーザビームの縁部における角度偏向されたレーザビームの強度の0.1%~約99%、例えば0.5%~約95%、1%~約90%、約2%~約85%、約3%~約80%、約4%~約75%、約5%~約70%、約6%~約65%、約7%~約60%、約8%~約55%の範囲であってもよく、水平軸に沿った出力レーザビームの縁部における角度偏向されたレーザビームの強度の約10%~約50%を含んでもよい。他の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサを有し、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿って出力レーザビームの縁部から中心に増加する強度を有する出力レーザビームを生成させる。これらの例では、出力ビームの縁部における角度偏向されたレーザビームの強度は、水平軸に沿った出力レーザビームの中心における角度偏向されたレーザビームの強度の0.1%~約99%、例えば、0.5%~約95%、1%~約90%、約2%~約85%、約3%~約80%、約4%~約75%、約5%~約70%、約6%~約65%、約7%~約60%、約8%~約55%の範囲であってもよく、水平軸に沿った出力レーザビームの中心における角度偏向されたレーザビームの強度の約10%~約50%を含んでもよい。更に他の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサを有し、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿ってガウス分布を伴う強度プロファイルを有する出力レーザビームを生成させる。更に他の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサを有し、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、水平軸に沿ってトップハット強度プロファイルを有する出力レーザビームを生成させる。
【0084】
実施形態では、対象の光ビーム発生器は、空間的に分離された出力レーザビーム内に角度偏向レーザビームを生成するように構成され得る。印加される高周波駆動信号及び出力レーザビームの所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向されたレーザビームは、0.001μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.01μm以上、例えば0.05μm以上、例えば0.1μm以上、例えば0.5μm以上、例えば1μm以上、例えば5μm以上、例えば10μm以上、例えば100μm以上、例えば500μm以上、例えば1000μm以上、更には5000μm以上離れていてもよい。一部の実施形態では、システムは、出力レーザビームの水平軸に沿って隣接する角度偏向されたレーザビームなどと重複する、角度偏向されたレーザビームを出力レーザビーム内に生成するように構成される。隣接する角度偏向されたレーザビーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、0.001μm以上の重複、例えば0.005μm以上の重複、例えば0.01μm以上の重複、例えば0.05μm以上の重複、例えば0.1μm以上の重複、例えば0.5μm以上の重複、例えば1μm以上の重複、例えば5μm以上の重複、例えば10μm以上の重複であってよく、100μm以上の重複を含む。
【0085】
特定の例では、周波数シフト光の2つ以上のビームを生成するように構成された光ビーム発生器は、米国特許第9,423,353号、同第9,784,661号及び同第10,006,852号、並びに米国特許公開第2017/0133857号及び同第2017/0350803号に記載されているようなレーザ励起モジュールを含み、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
実施形態では、システムは、1つ以上の光検出器を有する光検出システムを含む。対象となる光検出器は、光検出器の中でも特に、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、増感電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、光子カウンタ、ボロメータ、焦電検出器、フォトレジスタ、光電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光導電体又はフォトダイオード、及びこれらの組み合わせなどの光センサを含み得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態は、試料からの光は、電荷結合素子(CCD)、半導体電荷結合素子(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサ、又はN型金属酸化膜半導体(NMOS)画像センサを用いて測定される。
【0087】
一部の実施形態では、対象の光検出システムは、複数の光検出器を含む。一部の例では、光検出システムは、フォトダイオードなどの複数の固体検出器を含む。特定の例では、光検出システムは、フォトダイオードのアレイなどの光検出器アレイを含む。これらの実施形態では、光検出器アレイは、4つ以上の光検出器、例えば10個以上の光検出器、例えば25個以上の光検出器、例えば50個以上の光検出器、例えば100個以上の光検出器、例えば250個以上の光検出器、例えば500個以上の光検出器、例えば750個以上の光検出器、及び1000個以上を含む光検出器を含んでもよい。例えば、検出器は、4個以上のフォトダイオード、例えば10個以上のフォトダイオード、例えば25個以上のフォトダイオード、例えば50個以上のフォトダイオード、例えば100個以上のフォトダイオード、例えば250個以上のフォトダイオード、例えば500個以上のフォトダイオード、例えば750個以上のフォトダイオードを有し、1000個以上のフォトダイオードを含むフォトダイオードアレイであってもよい。
【0088】
光検出器は、所望に応じて任意の幾何学的構成で配置されてもよく、対象となる配置は、正方形構成、長方形構成、台形構成、三角形構成、六角形構成、七角形構成、八角形構成、九角形構成、十角形構成、十二角形構成、円形構成、楕円形構成、並びに不規則形状構成を含むが、これらに限定されない。光検出器アレイ内の光検出器は、(X-Z平面において参照されるように)10°~180°、例えば15°~170°、例えば20°~160°、例えば25°~150°、例えば30°~120°など、45°~90°を含む範囲の角度で他方に対して配向されてもよい。光検出器アレイは、任意の好適な形状であってもよく、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線形状、例えば、円形、楕円形などの曲線形状、並びに例えば、平面上部に結合された放物線状底部などの不規則形状であってもよい。ある特定の実施形態では、光検出器アレイは、長方形形状の活性表面を有する。
【0089】
アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)は、幅が5μm~250μm、例えば10μm~225μm、例えば15μm~200μm、例えば20μm~175μm、例えば25μm~150μm、例えば30μm~125μm(50μm~100μmを含む)の範囲であり、長さが5μm~250μm、例えば10μm~225μm、例えば15μm~200μm、例えば20μm~175μm、例えば25μm~150μm、例えば30μm~125μm(50μm~100μmを含む)の範囲である活性表面を有することができ、アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)の表面積は、25μm2~10000μm2、例えば50μm2~9000μm2、例えば75μm2~8000μm2、例えば100μm2~7000μm2、例えば150~μm2~6000μm2の範囲であり、例えば200~μm2~5000μm2を含む範囲である。
【0090】
光検出器アレイのサイズは、光の量及び強度、光検出器の数、並びに所望の感度に応じて変化してもよく、0.01mm~100mm、例えば0.05mm~90mm、例えば0.1mm~80mm、例えば0.5mm~70mm、例えば1mm~60mm、例えば2mm~50mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~30mm、及び5mm~25mmを含む範囲の長さを有してもよい。光検出器アレイの幅は、0.01mm~100mm、例えば0.05mm~90mm、例えば0.1mm~80mm、例えば0.5mm~70mm、例えば1mm~60mm、例えば2mm~50mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~30mm、及び5mm~25mmを含む範囲で変化してもよい。したがって、光検出器アレイの活性表面は、0.1mm2~10000mm2、例えば0.5mm2~5000mm2、例えば1mm2~1000mm2、例えば5mm2~500mm2、及び10mm2~100mm2を含む範囲であってもよい。
【0091】
対象となる光検出器は、1つ以上の波長、例えば2つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長で収集された光を測定するように構成され、400個以上の異なる波長でフローストリーム中の試料によって放出された光を測定することを含む。
【0092】
一部の実施形態では、光検出器は、ある波長範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集された光を測定するように構成される。ある特定の実施形態は、対象となる光検出器は、ある範囲の波長にわたる光のスペクトルを収集するように構成される。例えば、システムは、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって光のスペクトルを収集するように構成される、1つ以上の検出器を含んでもよい。更に他の実施形態では、対象となる検出器は、1つ以上の特定の波長でフローストリーム中の試料からの光を測定するように構成される。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で光を測定するように構成された1つ以上の検出器を含んでもよい。ある特定の実施形態は、光検出器は、蛍光アッセイにおいて試料とともに使用されるものなどの特定のフルオロフォアと対になるように構成されてもよい。一部の実施形態では、光検出器は、試料中の各フルオロフォアの蛍光スペクトル全体にわたって収集された光を測定するように構成される。
【0093】
光検出システムは、連続的に又は離散間隔で光を測定するように構成される。一部の例では、対象となる光検出器は、収集された光の測定を連続的に行うように構成される。他の例では、光検出システムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎(1000ミリ秒毎を含む)、又は何らかの他の間隔で光を測定するなど、離散間隔で測定を行うように構成される。
【0094】
実施形態では、システムは、フローストリーム内の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して、粒子分類インデックスを調整するように構成される。光検出システムは、試料中の粒子から検出された光から複数のデータ信号を生成するように構成される。生成されるデータ信号は、アナログデータ信号又はデジタルデータ信号であってもよい。データ信号がアナログデータ信号である場合、一部の例では、システムは、アナログデータ信号をデジタルデータ信号に変換するように構成されたアナログ-デジタル変換器を更に含む。対象となるシステムは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するプロセッサを含み、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、1つ以上の飽和データ信号を識別させる。一部の例では、飽和信号は、光検出システムの検出器が測定することができる範囲を超える信号に起因するデータ信号である。他の例では、飽和信号は、アナログ-デジタル変換器の範囲を超える信号に起因するデータ信号である。主題の光検出システム内の光検出器の数に応じて、飽和データ信号を出力するものとして識別され得る検出器チャネルの数は、例えば1つ以上、例えば2つ以上、例えば4つ以上、例えば8つ以上、例えば16個以上、例えば32個以上、例えば64個以上であり、128個以上を含むように変化し得る。
【0095】
一部の実施形態では、識別された飽和データ信号からプロセッサによって生成される飽和信号インデックスは、どの検出器チャネルがアナログ-デジタル変換器を飽和させたかを識別するバイナリワードである。一部の例では、飽和信号インデックスは、1ビット以上、例えば2ビット以上、例えば4ビット以上、例えば8ビット以上、例えば16ビット以上、例えば32ビット以上、例えば64ビット以上、例えば128ビット以上から構成され、256ビット以上を含むバイナリワードである。例えば、飽和信号インデックスは、4ビットバイナリワード、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。特定の例では、飽和信号インデックスは、2つ以上のバイナリワード、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、及び10個以上のバイナリワードの組み合わせである。飽和信号インデックスがバイナリワードの組み合わせである場合、各バイナリワードは、独立して、1ビット以上、例えば、2ビット以上、例えば、4ビット以上、例えば、8ビット以上、例えば、16ビット以上、例えば、32ビット以上、例えば、64ビット以上、例えば、128ビット以上(256ビット以上を含む)からなるバイナリワードであってもよい。一部の実施形態では、飽和信号インデックス内の各バイナリワードは、独立して、4ビットバイナリワード、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。例えば、光検出システムが80個の検出器チャネルを含む場合、飽和信号インデックスは、128ビットバイナリワード又は3つの異なる32ビットバイナリワードから構成されてもよい。
【0096】
実施形態では、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定させる。一部の実施形態では、メモリは、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。一部の実施形態では、メモリは、加重最小二乗アルゴリズムを使用してスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。一部の例では、加重最小二乗アルゴリズムは、以下の式に従って計算される。
【0097】
【0098】
【0099】
一部の実施形態では、各Wiiは、以下の式に従って計算される。
【0100】
【0101】
ここで、σi
2は検出器iにおける分散であり、yiは検出器iにおける信号であり、λiは検出器iにおける一定雑音である。ある特定の実施形態では、スペクトル分離行列は、(XTWX)-1XTWに従って計算される。一部の例では、メモリは、スペクトル分離行列を計算するために、光検出システムによって検出された各セルについて(XTWX)を反転させるための命令を含む。一部の実施形態では、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、反復ニュートン-ラフソン計算、シャーマン-モリソン反復逆更新器のうちの1つ以上を使用して、行列分解(例えば、LU行列分解、ガウス消去、修正コレスキー分解)又は特異値分解(SVD)によって、スペクトル分離行列に対する解を計算させる。ある特定の実施形態は、スペクトル分離行列に対する解を計算するためのシステムは、2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/725,799号に説明されるものを含み、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0102】
一部の例では、メモリは、1つ以上の飽和データ信号が除外される場合など、計算された飽和信号インデックスを使用して調整されたスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。他の例では、メモリは、飽和している検出器チャネルからのデータ信号が除外される調整されたスペクトル分離行列を計算するための命令を含む。特定の例では、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することとを行わせる。ある特定の実施形態では、メモリは、スペクトル分離行列を計算するための命令を含み、行列の1つ以上の行は、飽和入力検出器チャネルからのデータ信号を除外するために除去される。他の実施形態では、メモリは、飽和している検出器チャネルを識別し、スペクトル分離行列を調整して飽和信号を補償するための命令を含む。一例では、スペクトル分離行列解は、飽和信号の真の値の推定値を使用するように調整される。これらの実施形態では、飽和信号の推定された真の値が最初に判定され、調整されたスペクトル分離行列解を生成するためにスペクトル分離行列に入力される。
【0103】
メモリは、その上に記憶された命令を含み得、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類させる。一部の実施形態では、システムは、粒子を粒子集団クラスタに割り当てることによって粒子を分類するように構成される。他の実施形態では、システムは、粒子の1つ以上のパラメータを散乱プロット上にプロットすることによって、粒子を分類するように構成される。
【0104】
一部の実施形態では、メモリは、粒子を分類するためのビットマップゲーティング戦略を実装するための命令を含む。一部の例では、主題のシステムによって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別及び除去するための命令を含む。他の例では、主題のシステムによって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別し、飽和しているデータ信号の真の値を推定するための命令を含む。一部の実施形態では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成させ、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定させる命令を含む。他の実施形態では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定させる命令を含む。一部の例では、メモリは、ビットマップの粒子割り当てROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することが、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成することと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを判定することとを含む命令を含む。特定の例では、プロセッサは、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためにブール論理を使用して動作する。例えば、飽和信号ビットマップは、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和しているか否かを判定するために、粒子割り当てROIとAND演算されてもよい。
【0105】
一部の実施形態では、対象のシステムは、粒子の分類に基づいて粒子の選別決定を生成するように構成される、1つ以上の選別決定モジュールを含んでもよい。ある特定の実施形態は、システムは、選別決定モジュールによって生成された選別決定に基づいて、フローストリームから粒子を選別するための粒子ソーター(例えば、液滴偏向器を有する)を更に含む。「選別する」という用語は、試料の成分(例えば、細胞、生体高分子などの非細胞粒子)を分離し、一部の例では、分離された成分を1つ以上の試料収集容器に送達することを指すために、その従来の意味で本明細書で使用される。例えば、主題のシステムは、2つ以上の成分、例えば3つ以上の成分、例えば4つ以上の成分、例えば5つ以上の成分、例えば10個以上の成分、例えば15個以上の成分を有する試料を選別するように構成されてもよく、25個以上の成分を有する試料を選別することを含んでもよい。試料成分のうちの1つ以上が、試料から分離されて、試料収集容器に送達され得、例えば、2つ以上の試料成分、例えば、3つ以上の試料成分、例えば、4つ以上の試料成分、例えば、5つ以上の試料成分、例えば、10個以上の試料成分、及び15個以上の試料成分などが、試料から分離されて、試料収集容器に送達され得る。
【0106】
一部の実施形態では、関心の粒子選別システムは、2017年3月28日に出願され、その開示が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2017/0299493号に記載されるものなどの、密閉型粒子選別モジュールを用いて粒子を選別するように構成される。ある特定の実施形態では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803,264号に記載されているような、複数の選別決定ユニットを有する選別決定モジュールを使用して、試料の粒子(例えば、細胞)を選別する。一部の実施形態では、試料の成分を選別するための方法は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月28日に出願された米国特許出願公開第2017/0299493号に記載されているような、偏向板を有する粒子選別モジュールを用いて粒子(例えば、生体試料中の細胞)を選別することを含む。
【0107】
図1は、生物学的イベントを分析及び表示するための分析コントローラ100などの選別制御システムの一例の機能ブロック図を示している。分析コントローラ100は、生物学的イベントのグラフィック表示を制御するための様々なプロセスを実装するように構成され得る。
【0108】
粒子分析器又は選別システム102は、生物学的イベントデータを取得するように構成され得る。例えば、フローサイトメータが、フローサイトメトリイベントデータを生成し得る。粒子分析器102は、生物学的イベントデータを分析コントローラ100に提供するように構成され得る。データ通信チャネルが、粒子分析器102と分析コントローラ100との間に含まれ得る。生物学的イベントデータは、データ通信チャネルを介して分析コントローラ100に提供され得る。
【0109】
分析コントローラ100は、生物学的イベントデータを粒子分析器102から受け取るように構成され得る。粒子分析器102から受け取る生物学的イベントデータは、フローサイトメトリイベントデータを含み得る。分析コントローラ100は、生物学的イベントデータの第1のプロットを含むグラフィカル表示を表示デバイス106に提供するように構成され得る。分析コントローラ100は、例えば、関心領域を、表示デバイス106によって示される生物学的イベントデータの集団の周りのゲートとして、第1のプロット上に重ねて、レンダリングするように更に構成され得る。一部の実施形態では、ゲートは、単一パラメータヒストグラム又は二変量プロット上に描画される1つ以上の対象のグラフィカル領域の論理的組み合わせであり得る。一部の実施形態では、ディスプレイは、粒子パラメータ又は飽和検出器データを表示するために使用されることができる。
【0110】
分析コントローラ100は、表示デバイス106上のゲート内の生物学的イベントデータを、ゲートの外側の生物学的イベントデータ中の他のイベントとは異って表示するように更に構成され得る。例えば、分析コントローラ100は、ゲート内に含有される生物学的イベントデータの色を、ゲートの外側の生物学的イベントデータの色とは区別されるようにレンダリングするように構成され得る。表示デバイス106は、モニタ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又はグラフィカルインターフェースを提示するように構成された他の電子デバイスとして実装され得る。
【0111】
分析コントローラ100は、ゲートを識別するゲート選択信号を第1の入力デバイスから受け取るように構成され得る。例えば、第1の入力デバイスは、マウス110として実装され得る。マウス110は、(例えば、カーソルがそこに位置決めされたときに所望のゲートの上又は内でクリックすることによって)表示デバイス106上に表示されるか、又は表示デバイス106を介して操作されるゲートを識別する分析コントローラ100へのゲート選択信号を始動させ得る。一部の実装形態では、第1のデバイスは、キーボード108、又はタッチスクリーン、スタイラス、光学検出器、若しくは音声認識システムなどの、分析コントローラ100に入力信号を提供するための他の手段として実装され得る。一部の入力デバイスは、複数の入力機能を含み得る。かかる実装形態では、入力機能は、各々、入力デバイスとみなされ得る。例えば、
図1に示されたように、マウス110は、右マウスボタン及び左マウスボタンを含み得、それらの各々が、トリガイベントを生成し得る。
【0112】
トリガイベントは、分析コントローラ100に、データが表示される方法、データのどの部分が表示デバイス106上に実際に表示されるかを変更させ、かつ/又は粒子選別のための対象の集団の選択などの更なる処理に入力を提供させ得る。
【0113】
一部の実施形態では、分析コントローラ100は、ゲート選択がマウス110によって始動されたときを検出するように構成され得る。分析コントローラ100は、ゲーティングプロセスを容易にするために、プロットの視覚化を自動的に修正するように更に構成され得る。修正は、分析コントローラ100が受け取った生物学的イベントデータの特定の分布に基づき得る。
【0114】
分析コントローラ100は、記憶デバイス104に接続され得る。記憶デバイス104は、分析コントローラ100から生物学的イベントデータを受け取り、記憶するように構成され得る。記憶デバイス104は、また、分析コントローラ100からフローサイトメトリイベントデータを受け取り、記憶するように構成され得る。記憶デバイス104は、分析コントローラ100による、フローサイトメトリイベントデータなどの生物学的イベントデータの取り出しを可能にするように更に構成され得る。
【0115】
表示デバイス106は、分析コントローラ100から表示データを受け取るように構成され得る。表示データは、生物学的イベントデータのプロットと、プロットの区域の輪郭を示すゲートとを含み得る。表示デバイス106は、粒子分析器102、記憶デバイス104、キーボード108、及び/又はマウス110からの入力と併せて、分析コントローラ100から受け取った入力に従って提示された情報を変更するように更に構成され得る。
【0116】
一部の実装形態では、分析コントローラ100は、選別のための例イベントを受け取るためのユーザインターフェースを生成し得る。例えば、ユーザインターフェースは、例イベント又は例画像を受け取るための制御を含み得る。例イベント若しくは例画像、又は例ゲートは、試料に対するイベントデータの収集前に、又は試料の一部分に対する初期イベントセットに基づいて、提供され得る。
【0117】
図2Aは、本明細書に提示される一実施形態による粒子ソーターシステム200(例えば、粒子分析器102)の概略図である。一部の実施形態では、粒子ソーターシステム200は、セルソーターシステムである。
図2Aに示されるように、液滴形成トランスデューサ202(例えば、圧電発振器)は、流体導管201に結合され、流体導管210は、ノズル203に結合され得るか、ノズル203を含み得るか、又はノズル203であり得る。流体導管201内で、シース流体204は、粒子209を含む試料流体206を、移動する流体カラム208(例えば、ストリーム)に流体力学的に集束させる。移動流体カラム208内で、粒子209(例えば、細胞)は、照射源212(例えば、レーザ)によって照射される監視エリア211(例えば、レーザストリームが交差する場所)を横切るように一列に並べられる。液滴形成トランスデューサ202の振動は、移動する流体カラム208を複数の液滴210に分解させ、そのうちの一部は粒子209を含む。
【0118】
動作中、検出ステーション214(例えば、イベント検出器)は、対象の粒子(又は対象の細胞)が監視エリア211を横切るときを識別する。検出ステーション214は、タイミング回路228に入力供給し、次いで、タイミング回路228は、フラッシュ電荷回路230に入力供給する。液滴分裂ポイントでは、時限液滴遅延(Δt)によって通知されて、フラッシュ電荷が移動流体カラム208に印加され得、したがって、対象の液滴が電荷を担う。対象の液滴は、選別されるべき1つ以上の粒子又は細胞を含み得る。次に、偏向板(図示せず)を作動させて液滴を偏向させて、収集管又はマルチウェル若しくはマイクロウェル試料プレートなどの容器内に入れることによって、帯電した液滴を選別することができ、ウェル又はマイクロウェルは、特定の対象の液滴と関連付けることができる。
図2Aに示すように、液滴は、ドレイン容器238に収集することができる。
【0119】
検出システム216(例えば、液滴境界検出器)は、対象の粒子が監視エリア211を通過するときに、液滴駆動信号の位相を自動的に判定する役割を果たす。例示的な液滴境界検出器が、米国特許第7,679,039号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。検出システム216は、機器が、液滴中の検出された各粒子の位置を正確に計算することを可能にする。検出システム216は、振幅信号220及び/又は位相信号218に入力供給し得、それらは、次いで、振幅制御回路226及び/又は周波数制御回路224に(増幅器222を介して)入力供給する。振幅制御回路226及び/又は周波数制御回路224は、次いで、液滴形成トランスデューサ202を制御する。振幅制御回路226及び/又は周波数制御回路224は、制御システム内に含まれ得る。
【0120】
一部の実装形態では、選別エレクトロニクス(例えば、検出システム216、検出ステーション214、及びプロセッサ240)は、検出されたイベントとそれに基づく選別決定とを記憶するように構成されたメモリと連結され得る。選別決定は、粒子に対するイベントデータに含まれ得る。一部の実装形態では、検出システム216及び検出ステーション214は、単一の検出ユニットとして実装され得るか、又はイベント測定値が検出システム216又は検出ステーション214のうちの1つによって収集され、非収集要素に提供され得るように通信可能に結合され得る。
【0121】
図2Bは、本明細書に提示される一実施形態による、粒子ソーターシステムの概略図である。
図2Bに示される粒子ソーターシステム200は、偏向板252及び254を含む。電荷は、バーブ内のストリーム帯電ワイヤを介して印加することができる。これにより、分析用の粒子210を含む液滴210のストリームが生成される。粒子は、光散乱及び蛍光情報を生成するために、1つ以上の光源(例えば、レーザ)で照射され得る。粒子についての情報は、選別エレクトロニクス又は他の検出システム(
図2Bには図示せず)によって分析される。偏向板252及び254は、独立して制御されて、帯電液滴を引き付けるか又は反発させて、液滴を目的の収集容器(例えば、272、274、276、又は278のうちの1つ)に向かって誘導し得る。
図2Bに示されるように、偏向板252及び254は、粒子を第1の経路262に沿って容器274に向かって、又は第2の経路268に沿って容器278に向かって導くように制御され得る。粒子が関心対象でない(例えば、指定されたソート範囲内の散乱又は照明情報を呈さない)場合、偏向板は、粒子がフロー経路264に沿って進み続けることを可能にし得る。そのような非帯電の液滴は、吸引器270を介してなど、廃棄物容器内に移行し得る。
【0122】
選別エレクトロニクスは、測定値の収集を始動し、粒子に関する蛍光信号を受信し、偏向板をどのように調整して粒子の選別を引き起こすかを判定するために含まれ得る。
図2Bに示される実施形態の例示的な実装形態は、Becton,Dickinson and Company(Franklin Lakes,NJ)によって市販されているBD FACSAria(登録商標)動線サイトメータを含む。
【0123】
一部の実施形態では、粒子ソーターシステム200について説明された1つ以上の成分は、粒子を収集容器内に物理的に選別するか否かにかかわらず、粒子を分析して特性評価するために使用され得る。同様に、粒子分析システム300(
図3)について以下に説明される1つ以上の成分は、粒子を収集容器に物理的に選別するか否かにかかわらず、粒子を分析して特性評価するために使用され得る。例えば、粒子は、粒子ソーターシステム200又は粒子分析システム300の成分のうちの1つ以上を使用して、本明細書に記載の少なくとも3つのグループを含むツリーに、グループ化又は表示され得る。
【0124】
図3は、計算ベースの試料分析及び粒子特性評価のための粒子分析システムの機能ブロック図を示す。一部の実施形態では、粒子分析システム300は、フローシステムである。
図3に示された粒子分析システム300は、本明細書に記載の方法を、全体的又は部分的に実施するように構成され得る。粒子分析システム300は、流体工学システム302を含む。流体工学システム302は、試料管310と、試料の粒子330(例えば、細胞)が共通試料経路320に沿ってその中を移動する試料管内の移動流体カラムとを含むか、又はそれらと連結され得る。
【0125】
粒子分析システム300は、各粒子が共通試料経路に沿って1つ以上の検出ステーションを通過するときに、各粒子から信号を収集するように構成された検出システム304を含む。検出ステーション308は、概して、共通試料経路の監視エリア340を指す。検出は、一部の実装形態では、粒子330が監視エリア340を通過するときに、光又は粒子330の1つ以上の他の特性を検出することを含み得る。
図3では、1つの監視エリア340を有する1つの検出ステーション308が示されている。粒子分析システム300の一部の実装形態は、複数の検出ステーションを含み得る。更に、一部の検出ステーションは、2つ以上のエリアを監視し得る。
【0126】
各信号には、各粒子に対してデータポイントを形成するための信号値が割り当てられる。上記で説明したように、このデータは、イベントデータと称され得る。データポイントは、粒子に対して測定されたそれぞれの特性の値を含む多次元データポイントであり得る。検出システム304は、一連のそのようなデータポイントを第1の時間間隔で収集するように構成されている。
【0127】
粒子分析システム300は、また、制御システム306を含み得る。制御システム306は、
図2Bに示されたように、1つ以上のプロセッサ、振幅制御回路226、及び/又は周波数制御回路224を含み得る。示された制御システム206は、流体工学システム302に動作可能に関連付けられている。制御システム206は、ポアソン分布、及び第1の時間間隔の間に検出システム304によって収集されたデータポイントの数に基づいて、第1の時間間隔の少なくとも一部分に対して計算された信号周波数を生成するように構成され得る。制御システム306は、第1の時間間隔の一部におけるデータポイントの数に基づいて実験信号周波数を生成するように更に構成することができる。追加的に、制御システム306は、実験的信号周波数を、計算された信号周波数又は所定の信号周波数と比較することができる。
【0128】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるフローサイトメトリのためのシステム400を示している。システム400は、フローサイトメータ410、コントローラ/プロセッサ490、及びメモリ495を含む。フローサイトメータ410は、1つ以上の励起レーザ415a~415c、集束レンズ420、フローチャンバ425、前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、蛍光収集レンズ440、1つ以上のビームスプリッタ445a~445g、1つ以上のバンドパスフィルタ450a~450e、1つ以上のロングパス(「LP」)フィルタ455a~455b、及び1つ以上の蛍光検出器460a~460fを含む。
【0129】
励起レーザ115a~cは、レーザビームの形態で光を放出する。励起レーザ415a~415cから放射されるレーザビームの波長は、
図4の例示的なシステムにおいて、それぞれ488nm、633nm、及び325nmである。レーザビームは、最初に、ビームスプリッタ445a及び445bのうちの1つ以上のものを通して方向付けられる。ビームスプリッタ445aは、488nmの光を透過し、633nmの光を反射する。ビームスプリッタ445bは、UV光(10~400nmの範囲の波長を有する光)を透過し、488nm及び633nmの光を反射する。
【0130】
次に、レーザビームは、集束レンズ420に方向付けられ、集束レンズ420は、フローチャンバ425内で、試料の粒子が位置する流体ストリームの部分にビームを集束させる。フローチャンバは、流体工学システムの一部であり、流体工学システムは、粒子を、典型的には一度に1つずつ、問い合わせのために集束されたレーザビームにストリーム中で方向付ける。フローチャンバは、ベンチトップサイトメータ内のフローセル又はストリームインエアサイトメータ内のノズルチップを備え得る。
【0131】
レーザビームからの光は、回折、屈折、反射、散乱、及び吸収によって試料中の粒子と相互作用し、粒子のサイズ、内部構造、及び粒子に付着した、又は粒子上若しくは粒子内に自然に存在する1つ以上の蛍光分子の存在などの粒子の特性に応じて、様々な異なる波長で再放出する。蛍光発光並びに回折光、屈折光、反射光、及び散乱光は、ビームスプリッタ445a~445g、バンドパスフィルタ450a~450e、ロングパスフィルタ455a~455b、及び蛍光収集レンズ440のうちの1つ以上を通して、前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、及び1つ以上の蛍光検出器460a~460fのうちの1つ以上に送出され得る。
【0132】
蛍光収集レンズ440は、粒子-レーザビーム相互作用から放出された光を収集し、その光を1つ以上のビームスプリッタ及びフィルタに向かって経路指定する。バンドパスフィルタ450a~450eなどのバンドパスフィルタは、狭い範囲の波長がフィルタを通過することを可能にする。例えば、バンドパスフィルタ450aは510/20フィルタである。第1の数は、スペクトル帯域の中心を表す。第2の数は、スペクトル帯域の範囲を提供する。したがって、510/20フィルタは、スペクトル帯域の中心の各側に10nm、すなわち500nmから520nmまで延在する。ショートパスフィルタは、特定の波長以下の波長の光を透過する。ロングパスフィルタ455a~455bなどのロングパスフィルタは、指定された波長以上の波長の光を透過させる。例えば、670nmロングパスフィルタであるロングパスフィルタ455aは、670nm以上の光を透過させる。フィルタは、特定の蛍光色素に対する検出器の特異性を最適化するように選択されることが多い。フィルタは、検出器に透過される光のスペクトル帯域が蛍光染料の発光ピークに近くなるように構成することができる。
【0133】
ビームスプリッタは、異なる波長の光を異なる方向に向ける。ビームスプリッタは、ショートパス及びロングパスなどのフィルタ特性によって特徴付けることができる。例えば、ビームスプリッタ445gは620 SPビームスプリッタであり、これは、ビームスプリッタ445gが、620nm以下の波長の光を透過し、620nmより長い波長の光を異なる方向に反射することを意味する。一実施形態では、ビームスプリッタ445a~445gは、ダイクロイックミラーなどの光学ミラーを備え得る。
【0134】
前方散乱検出器430は、フローセルを通る直接ビームからわずかに軸を外れて配置され、回折光、すなわち粒子を通って、又は粒子の周りを主に順方向に進む励起光を検出するように構成される。前方散乱検出器によって検出される光の強度は、粒子の全体的なサイズに依存する。前方散乱検出器は、フォトダイオードを含み得る。側方散乱検出器435は、粒子の表面及び内部構造から屈折及び反射された光を検出するように構成され、構造の粒子複雑性の増加とともに増加する傾向がある。粒子に関連付けられた蛍光分子からの蛍光発光は、1つ以上の蛍光検出器460a~460fによって検出することができる。側方散乱検出器435及び蛍光検出器は、光電子増倍管を含み得る。前方散乱検出器430、側方散乱検出器435及び蛍光検出器で検出された信号は、検出器によって電子信号(電圧)に変換することができる。このデータは、試料に関する情報を提供することができる。
【0135】
当業者は、本発明の実施形態に従うフローサイトメータが、
図4に示されるフローサイトメータに限定されず、当該分野で公知の任意のフローサイトメータを含み得ることを認識する。例えば、フローサイトメータは、任意の数のレーザ、ビームスプリッタ、フィルタ、及び検出器を、様々な波長及び様々な異なる構成で有し得る。
【0136】
動作中、サイトメータ動作は、コントローラ/プロセッサ490によって制御され、検出器からの測定データは、メモリ495に記憶され、コントローラ/プロセッサ490によって処理され得る。明示的に示されていないが、コントローラ/プロセッサ190は、検出器に結合されて、そこから出力信号を受信し、また、フローサイトメータ400の電気及び電気機械構成要素に結合されて、レーザ、流体流動パラメータなどを制御してもよい。入力/出力(I/O)機能497もシステム内に提供され得る。メモリ495、コントローラ/プロセッサ490、及びI/O機能497は、フローサイトメータ410の一体部分として完全に提供され得る。かかる実施形態では、ディスプレイは、また、実験データをサイトメータ400のユーザに提示するためのI/O機能497の一部を形成し得る。代替的に、メモリ495及びコントローラ/プロセッサ490及びI/O機能の一部又は全部は、汎用コンピュータなどの1つ以上の外部デバイスの一部であり得る。一部の実施形態では、メモリ495及びコントローラ/プロセッサ490の一部又は全部は、サイトメータ410と無線通信又は有線通信することができる。コントローラ/プロセッサ490は、メモリ495及びI/O機能497と併せて、フローサイトメータ実験の準備及び分析に関連する様々な機能を行うように構成されることができる。
【0137】
図4に示すシステムは、フローセル425から各検出器へのビーム経路内のフィルタ及び/又はスプリッタの構成によって定義される6つの異なる波長帯域(本明細書では所与の検出器の「フィルタウィンドウ」と称することがある)内の蛍光を検出する6つの異なる検出器を含む。フローサイトメータ実験に使用される異なる蛍光分子は、それら自体の特徴的な波長帯の光を放出する。実験のために使用される特定の蛍光標識及びそれらの関連する蛍光発光バンドは、検出器のフィルタウィンドウと概して一致するように選択され得る。しかしながら、より多くの検出器が提供され、より多くの標識が利用されるので、フィルタウィンドウと蛍光発光スペクトルとの間の完全な対応は不可能である。特定の蛍光分子の発光スペクトルのピークは、1つの特定の検出器のフィルタウィンドウ内に存在し得るが、その標識の発光スペクトルの一部は、また、1つ以上の他の検出器のフィルタウィンドウと重複することが概して事実である。これはスピルオーバと称され得る。I/O機能497は、蛍光標識のパネル及び複数のマーカを有する複数の細胞集団を有するフローサイトメータ実験に関するデータを受信するように構成することができ、各細胞集団は複数のマーカのサブセットを有する。I/O機能497は、また、1つ以上のマーカを1つ以上の細胞集団に割り当てる生物学的データ、マーカ密度データ、発光スペクトルデータ、標識を1つ以上のマーカに割り当てるデータ、及びサイトメータ構成データを受信するように構成され得る。フローサイトメータ実験データ(例えば、標識スペクトル特性及びフローサイトメータ構成データ)も、また、メモリ495に記憶され得る。コントローラ/プロセッサ490は、マーカへのラベルの1つ以上の割り当てを評価するように構成され得る。
【0138】
一部の実施形態によるシステムは、ディスプレイ及びオペレータ入力デバイスを含み得る。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであってもよい。処理モジュールは、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、及び入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、並びに多くの他のデバイスを含み得る。プロセッサは、市販のプロセッサであり得るか、又は利用可能であるか、若しくは利用可能になる他のプロセッサのうちの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の様式でファームウェア及びハードウェアとインターフェースし、当技術分野で既知のように、Java、Perl、C++、他の高レベル又は低レベル言語、並びにそれらの組み合わせなどの様々なプログラミング言語で書かれ得る様々なコンピュータプログラムの機能をプロセッサが調整し、かつ実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、通常、プロセッサと協調して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整し、実行する。オペレーティングシステムは、また、全て既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。プロセッサは、任意の好適なアナログ又はデジタルシステムであり得る。一部の実施形態では、プロセッサは、例えば、負帰還制御などのフィードバック制御を提供するアナログ電子機器を含む。
【0139】
システムメモリは、様々な既知又は将来のメモリ記憶デバイスのいずれかであり得る。例としては、任意の一般的に入手可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、常駐ハードディスク若しくはテープなどの磁気媒体、リードライトコンパクトディスクなどの光学媒体、フラッシュメモリデバイス、又は他のメモリ記憶デバイスが挙げられる。メモリ記憶デバイスは、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ、又はディスクドライブを含む、様々な既知又は将来のデバイスのいずれかであり得る。そのようなタイプのメモリ記憶デバイスは、通常、それぞれ、コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、又はフロッピーディスクなどのプログラム記憶媒体(図示せず)から読み出し、及び/又はプログラム記憶媒体に書き込む。これらのプログラム記憶媒体のいずれか、又は現在使用されている、若しくは後に開発され得る他のものは、コンピュータプログラム製品とみなされ得る。理解されるように、これらのプログラム記憶媒体は、通常、コンピュータソフトウェアプログラム及び/又はデータを記憶する。コンピュータ制御ロジックとも称されるコンピュータソフトウェアプログラムは、通常、システムメモリ、及び/又はメモリ記憶デバイスと併せて使用されるプログラム記憶デバイスに記憶される。
【0140】
一部の実施形態では、制御ロジック(プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)が記憶されたコンピュータ使用可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品が説明される。制御ロジックは、プロセッサによって実行されると、コンピュータ、プロセッサに、本明細書に記載された機能を実行させる。他の実施形態では、一部の機能は、例えば、ハードウェアステートマシンを使用して、主にハードウェア内に実装される。本明細書に記載される機能を実行するためのハードウェアステートマシンの実装は、関連技術分野の当業者には明らかである。
【0141】
メモリは、磁気、光学、又はソリッドステート記憶デバイス(磁気若しくは光学ディスク、又はテープ、又はRAM、又は固定型若しくは携帯型のいずれかの任意の他の好適なデバイスを含む)などの、プロセッサがデータを記憶し、取り出すことができる任意の好適なデバイスであり得る。プロセッサは、必要なプログラムコードを担持するコンピュータ可読媒体から好適にプログラムされた汎用デジタルマイクロプロセッサを含み得る。プログラミングは、通信チャネルを介してプロセッサにリモートで提供され得るか、又はメモリ又は何らかの他の携帯型若しくは固定型のコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品に、メモリと一緒にそれらのデバイスのいずれかを使用して、あらかじめ保存され得る。例えば、磁気ディスク又は光学ディスクは、プログラミングを担持し得、ディスクライタ/リーダによって読み取ることができる。本発明のシステムは、例えば、コンピュータプログラム製品の形態のプログラミング、上記の方法を実施する際に使用するためのアルゴリズムも含む。本発明によるプログラミングは、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータによって直接読み取り及びアクセスすることができる任意の媒体に記録され得る。そのような媒体としては、以下に限定されないが、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、CD-ROMなどの光学記憶媒体、RAM及びROMなどの電気記憶媒体、ポータブルフラッシュドライブ、並びに磁気/光学記憶媒体などのこれらのカテゴリのハイブリッドが挙げられる。
【0142】
プロセッサは、また、リモート位置でユーザと通信するための通信チャネルへのアクセスを有し得る。リモート位置とは、ユーザがシステムと直接接触せず、広域ネットワーク(「WAN」)、電話ネットワーク、衛星ネットワーク、又は携帯電話(すなわち、スマートフォン)を含む任意の他の好適な通信チャネルに接続されたコンピュータなど、外部デバイスから入力マネージャに入力情報を中継することを意味する。
【0143】
一部の実施形態では、本開示によるシステムは、通信インターフェースを含むように構成され得る。一部の実施形態では、通信インターフェースは、ネットワーク及び/又は別のデバイスと通信するための受信機及び/又は送信機を含む。通信インターフェースは、以下に限定されないが、無線周波数(RF)通信(例えば、無線周波数識別(RFID)、Zigbee通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、超広帯域(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、及び符号分割多元接続(CDMA)又はモバイル通信のためのグローバルシステム(GSM)などのセルラー通信を含む、有線通信又は無線通信のために構成され得る。
【0144】
一実施形態では、通信インターフェースは、主題のシステムと、同様の補完的データ通信のために構成される(例えば、診療所又は病院環境における)コンピュータ端末などの他の外部デバイスとの間のデータ通信を可能にするために、例えば、USBポート、RS-232ポート、又は任意の他の好適な電気接続ポートなどの物理ポート又はインターフェースなど、1つ以上の通信ポートを含むように構成される。
【0145】
一実施形態では、通信インターフェースは、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、又は任意の他の好適な無線通信プロトコルのために構成され、主題のシステムが、コンピュータ端末及び/又はネットワーク、通信可能な携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、又はユーザが併せて使用し得る任意の他の通信デバイスなど、他のデバイスと通信することを可能にする。
【0146】
一実施形態では、通信インターフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されたローカルエリアネットワーク(LAN)上のパーソナルコンピュータ(PC)への無線接続、又はWiFiホットスポットでのインターネットへのWiFi接続を介して、インターネットプロトコル(IP)を利用するデータ転送のための接続を提供するように構成される。
【0147】
一実施形態では、主題のシステムは、例えば、802.11若しくはBluetooth(登録商標)RFプロトコル、又はIrDA赤外線プロトコルなどの共通標準を使用して、通信インターフェースを介してサーバデバイスと無線で通信するように構成される。サーバデバイスは、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)若しくはノートブックコンピュータなどの別のポータブルデバイス、又はデスクトップコンピュータ、アプライアンスなどのより大きなデバイスであってもよい。一部の実施形態では、サーバデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、並びにボタン、キーボード、マウス、又はタッチスクリーンなどの入力デバイスを有する。
【0148】
一部の実施形態では、通信インターフェースは、上述の通信プロトコル及び/又は機構のうちの1つ以上を使用して、ネットワーク又はサーバデバイスと、主題のシステム内、例えば、任意選択のデータ記憶ユニット内に記憶されたデータを自動的に又は半自動で通信するように構成される。
【0149】
出力コントローラは、人間であろうと機械であろうと、ローカルであろうとリモートであろうと、ユーザに情報を提示するための様々な既知の表示デバイスのいずれかのためのコントローラを含み得る。表示デバイスのうちの1つが視覚情報を提供する場合、この情報は、通常、ピクチャ要素のアレイとして論理的及び/又は物理的に編成され得る。グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラは、システムとユーザとの間にグラフィカル入力及び出力インターフェースを提供するための、及びユーザ入力を処理するための、様々な既知又は将来のソフトウェアプログラムのいずれかを含み得る。コンピュータの機能要素は、システムバスを介して互いに通信し得る。これらの通信のいくつかは、ネットワーク又は他のタイプのリモート通信を使用する代替の実施形態で達成され得る。出力マネージャは、また、既知の技術に従って、例えば、インターネット、電話、又は衛星ネットワークを介して、リモート位置でユーザに、処理モジュールによって生成された情報を提供し得る。出力マネージャによるデータの提示は、様々な既知の技術に従って実施され得る。一部の例として、データは、SQL、HTML、若しくはXMLドキュメント、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形態のデータを含み得る。データは、ユーザが追加のSQL、HTML、XML、又は他のドキュメント若しくはデータをリモートソースから取り出すことができるように、インターネットURLアドレスを含み得る。主題のシステム内に存在する1つ以上のプラットフォームは、通常、一般的にサーバと称されるコンピュータのクラスのものであるが、任意のタイプの既知のコンピュータプラットフォーム又は将来開発されるタイプであってもよい。また一方、それらは、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、又は他のコンピュータタイプであってもよい。それらは、任意の既知又は将来のタイプのケーブル配線、又はネットワーク化されているか、又はされていないかのいずれかの無線システムを含む、他の通信システムを介して接続され得る。それらは、同一場所に配置され得るか、又は物理的に分離され得る。場合により、選択されたコンピュータプラットフォームのタイプ及び/又は構成に応じて、様々なオペレーティングシステムが、コンピュータプラットフォームのいずれかで採用され得る。適切なオペレーティングシステムとしては、Windows 10、Windows NT(登録商標)、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Sun Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru64 Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix、Ubuntu、Zorin OSなどが挙げられる。
【0150】
図8は、ある特定の実施形態による例示的なコンピューティングデバイス800の一般的なアーキテクチャを示している。
図800に示されるコンピューティングデバイス800の一般的なアーキテクチャは、コンピュータハードウェア及びソフトウェア構成要素の配置を含む。コンピューティングデバイス800は、
図8に示されるものよりも多くの(又は少ない)要素を含み得る。しかしながら、実施可能な開示を提供するために、これらの概して従来の要素の全てを示す必要はない。図示されるように、コンピューティングデバイス800は、処理ユニット810と、ネットワークインターフェース820と、コンピュータ可読媒体ドライブ830と、入力/出力デバイスインターフェース840と、ディスプレイ850と、入力デバイス860とを含み、これらは全て、通信バスによって互いに通信することができる。ネットワークインターフェース820は、1つ以上のネットワーク又はコンピューティングシステムへの接続性を提供することができる。したがって、処理ユニット810は、ネットワークを介して他のコンピューティングシステム又はサービスから情報及び命令を受信することができる。処理ユニット810は、また、メモリ870と通信し、入力/出力デバイスインターフェース840を介して任意選択のディスプレイ850に出力情報を更に提供することができる。入力/出力デバイスインターフェース840は、また、キーボード、マウス、デジタルペン、マイクロフォン、タッチスクリーン、ジェスチャ認識システム、音声認識システム、ゲームパッド、加速度計、ジャイロスコープ、又は他の入力デバイスなどの任意選択の入力デバイス860からの入力を受け入れることができる。
【0151】
メモリ870は、1つ以上の実施形態を実装するために処理ユニット810が実行するコンピュータプログラム命令(一部の実施形態ではモジュール又は構成要素としてグループ化される)を含み得る。メモリ870は、概して、RAM、ROM、及び/又は他の永続的、補助的若しくは非一時的コンピュータ可読媒体を含む。メモリ870は、コンピューティングデバイス800の一般的な管理及び動作において処理ユニット810によって使用されるコンピュータプログラム命令を提供するオペレーティングシステム872を記憶することができる。メモリ870は、本開示の態様を実装するためのコンピュータプログラム命令及び他の情報を更に含み得る。
【0152】
例えば、一実施形態では、メモリ870は、飽和信号インデックスを生成するための飽和データ信号識別モジュール874と、選別決定のパラメータなど、粒子分類の1つ以上のパラメータを調整するための粒子分類モジュール876とを含む。
【0153】
ある特定の実施形態では、主題のシステムは、フローストリーム中の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを分析及び調整するための上記アルゴリズムを使用するフローサイトメトリシステムである。好適なフローサイトメトリシステムとしては、Ormerod(ed.),Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press(1997)、Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997)、Practical Flow Cytometry,3rd ed.,Wiley-Liss(1995)、Virgo,et al.(2012)Ann Clin Biochem.Jan;49(pt 1):17-28、Linden,et.al.,Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502-11、Alison,et al.J Pathol,2010 Dec;222(4):335-344、及びHerbig,et al.(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。特定の例では、対象のフローサイトメトリシステムとしては、BD Biosciences FACSCanto(商標)IIフローサイトメータ、BD Accuri(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSCelesta(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSLyric(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVerse(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSymphony(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortess(商標)X-20フローサイトメータ、及びBD Biosciences FACSCalibur(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSCount(商標)セルソーター、BD Biosciences FACSLyric(商標)セルソーター、及びBD Biosciences Via(商標)セルソーター、BD Biosciences Influx(商標)セルソーター、BD Biosciences Jazz(商標)セルソーター、BD Biosciences Aria(商標)セルソーター、及びBD Biosciences FACSMelody(商標)セルソーターなどが挙げられる。
【0154】
一部の実施形態では、主題の粒子選別システムは、米国特許第米国特許第9,952,076号、同第9,933,341号、同第9,726,527号、同第9,453,789号、同第9,200,334号、同第9,097,640号、同第9,095,494号、同第9,092,034号、同第8,975,595号、同第8,753,573号、同第8,233,146号、同第8,140,300号、同第7,544,326号、同第7,201,875号、同第7,129,505号、同第6,821,740号、同第6,813,017号、同第6,809,804号、同第6,372,506号、同第5,700,692号、同第5,643,796号、同第5,627,040号、同第5,620,842号、同第5,602,039号に記載されるものなどのフローサイトメトリシステムであり、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0155】
集積回路デバイス
本開示の態様は、また、フローストリーム中の粒子から検出された光からの1つ以上の飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するようにプログラムされた集積回路デバイスを含む。実施形態では、集積回路デバイスは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、又は何らかの他の集積回路デバイスであってもよい。一部の実施形態では、集積回路デバイスは、フローストリーム内の粒子から検出された光から1つ以上の飽和データ信号を識別することと、識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することとを行うようにプログラムされる。
【0156】
一部の実施形態では、集積回路によって使用される飽和信号インデックスは、アナログ-デジタル変換器を飽和させた光検出システムの検出器チャネルを識別するバイナリワードである。一部の例では、飽和信号インデックスは、1ビット以上、例えば2ビット以上、例えば4ビット以上、例えば8ビット以上、例えば16ビット以上、例えば32ビット以上、例えば64ビット以上、例えば128ビット以上から構成され、256ビット以上を含むバイナリワードである。例えば、飽和信号インデックスは、4ビットバイナリワード、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。特定の例では、飽和信号インデックスは、2つ以上のバイナリワード、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば7つ以上、例えば8つ以上、例えば9つ以上、及び10個以上のバイナリワードの組み合わせである。飽和信号インデックスがバイナリワードの組み合わせである場合、各バイナリワードは、独立して、1ビット以上、例えば、2ビット以上、例えば、4ビット以上、例えば、8ビット以上、例えば、16ビット以上、例えば、32ビット以上、例えば、64ビット以上、例えば、128ビット以上(256ビット以上を含む)からなるバイナリワードであってもよい。一部の実施形態では、飽和信号インデックス内の各バイナリワードは、独立して、4ビットバイナリワード、8ビットバイナリワード、16ビットバイナリワード、32ビットバイナリワード、64ビットバイナリワード、128ビットバイナリワード、又は256ビットバイナリワードであってもよい。
【0157】
実施形態では、集積回路は、光検出システムのために生成されたデータ信号から粒子の1つ以上のパラメータを判定するようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路は、加重最小二乗アルゴリズムを使用してスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。一部の例では、加重最小二乗アルゴリズムは、以下の式に従って計算される。
【0158】
【0159】
【0160】
一部の実施形態では、各Wiiは、以下の式に従って計算される。
【0161】
【0162】
ここで、σi
2は検出器iにおける分散であり、yiは検出器iにおける信号であり、λiは検出器iにおける一定雑音である。ある特定の実施形態では、スペクトル分離行列は、(XTWX)-1XTWに従って計算される。一部の例では、集積回路は、スペクトル分離行列を計算するために、光検出システムによって検出された各セルについて(XTWX)を反転するようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路は、反復ニュートン-ラフソン計算、シャーマン-モリソン反復逆更新器のうちの1つ以上を使用して、行列分解(例えば、LU行列分解、ガウス消去、修正コレスキー分解)又は特異値分解(SVD)によって、スペクトル分離行列に対する解を計算するようにプログラムされる。ある特定の実施形態では、スペクトル分離行列に対する解を計算するようにプログラムされた集積回路は、2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/725,799号に記載されたものを含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0163】
一部の例では、集積回路は、1つ以上の飽和データ信号が除外される場合など、計算された飽和信号インデックスを使用して調整されたスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。他の例では、集積回路は、飽和している検出器チャネルからのデータ信号が除外される調整されたスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる。特定の例では、集積回路は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することとを行うようにプログラムされる。ある特定の実施形態は、集積回路は、スペクトル分離行列を計算するようにプログラムされ、行列の1つ以上の行は、飽和入力検出器チャネルからのデータ信号を除外するように除去される。他の実施形態では、集積回路は、飽和している検出器チャネルを識別し、スペクトル分離行列を調整して飽和信号を補償するようにプログラムされる。一例では、スペクトル分離行列解は、飽和信号の真の値の推定値を使用するように調整される。これらの実施形態では、飽和信号の推定された真の値が最初に判定され、調整されたスペクトル分離行列解を生成するためにスペクトル分離行列に入力される。
【0164】
集積回路は、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類するようにプログラムされる。一部の実施形態では、集積回路は、粒子を粒子集団クラスタに割り当てることによって粒子を分類するようにプログラムされる。他の実施形態では、集積回路は、散乱プロット上に粒子の1つ以上のパラメータをプロットすることによって粒子を分類するようにプログラムされる。
【0165】
一部の実施形態では、集積回路は、粒子を分類するためのビットマップゲーティング戦略を実装するようにプログラムされる。一部の例では、集積回路によって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別及び除去することを含む。他の例では、集積回路によって実装されるビットマップゲーティング戦略は、飽和データ信号を識別し、飽和しているデータ信号の真の値を推定するための命令を含む。一部の実施形態では、集積回路は、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成し、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定するようにプログラムされる。他の実施形態では、集積回路は、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するようにプログラムされる。一部の例では、集積回路は、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成し、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較し、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していると判定するようにプログラムされる。特定の例では、集積回路は、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためにブール論理を使用するようにプログラムされる。例えば、集積回路は、飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIとAND演算して、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和しているか否かを判定するようにプログラムされてもよい。
【0166】
飽和データ信号に応答して粒子分類インデックスを調整するためのコンピュータ可読記憶媒体
本開示の態様は、主題の方法を実施するための命令を有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を更に含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に説明される方法を実践するためのシステムの完全自動化又は部分自動化のために、1つ以上のコンピュータ上で採用されてもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法による命令は、「プログラミング」の形態でコンピュータ可読媒体上にコード化することができ、本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行及び処理のために命令及びデータをコンピュータに提供することに関与する任意の非一時的記憶媒体を指す。適切な非一時的記憶媒体の例は、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、ソリッドステートディスク、及びネットワーク接続ストレージ(NAS)を含み、かかるデバイスがコンピュータの内部にあるか外部にあるかを問わない。情報を含むファイルは、コンピュータ可読媒体上に「記憶」することができ、ここで、「記憶」とは、コンピュータによって後日アクセス可能及び検索可能であるように情報を記録することを意味する。本明細書で説明されるコンピュータ実装方法は、任意の数のコンピュータプログラミング言語のうちの1つ以上で書くことができるプログラミングを使用して実行することができる。かかる言語として、例えば、Java(Oracle,Redwood Shores,CA)、Visual Basic(Microsoft Corp.,Redmond,WA)、及びC++(AT&T Corp.,Bedminster,NJ)、並びに任意の多くの他の言語が挙げられる。
【0167】
一部の実施形態では、対象のコンピュータ可読記憶媒体は、そこに記憶されるコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされると、フローストリーム内の粒子から光を検出するためのアルゴリズムと、1つ以上の飽和データ信号を識別するためのアルゴリズムと、識別された飽和データ信号に対応する飽和信号インデックスを生成するためのアルゴリズムと、飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成するためのアルゴリズムとを有する命令を含む。
【0168】
コンピュータ可読記憶媒体は、フローストリームの1つ以上の画像をキャプチャするための命令を含み得、例えばフローストリームの2つ以上の画像、例えば3つ以上の画像、例えば4つ以上の画像、例えば5つ以上の画像、例えば10個以上の画像、例えば15個以上の画像、及び25個以上の画像を含む。ある特定の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、画像の光学解像度を向上させるためなど、キャプチャされた画像の光学調整のための命令を含む。ある特定の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、キャプチャされた画像の解像度を5%以上、例えば10%以上、例えば25%以上、例えば50%以上向上させるための命令を含んでもよく、キャプチャされた画像の解像度を75%以上向上させることを含んでもよい。
【0169】
実施形態では、対象のコンピュータ可読記憶媒体は、粒子の判定されたパラメータのうちの1つ以上に基づいて、試料中の粒子を分類するためのアルゴリズムを含む。ある特定の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、ビットマップゲーティング戦略を使用することを含む、試料中の粒子を分類するためのアルゴリズムを含み、粒子を分類することは、粒子分類パラメータから飽和データ信号を識別し、一部の例では除去することを含む。他の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、飽和データ信号を識別し、飽和しているデータ信号の真の値を推定することを含む、試料中の粒子を分類するためのアルゴリズムを含む。
【0170】
コンピュータ可読記憶媒体は、また、関心領域(ROI)を有する二次元ビットマップを生成するためのアルゴリズムと、粒子がビットマップのROIに割り当てられるべきか否かを判定するためのアルゴリズムとを含む。一部の実施形態では、関心があるコンピュータ可読記憶媒体は、ビットマップのROIのうちの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するためのアルゴリズムを含む。他の実施形態では、対象のコンピュータ可読記憶媒体は、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用して飽和信号ビットマップを生成するためのアルゴリズムと、生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためのアルゴリズムと、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを判定するためのアルゴリズムとを含む。
【0171】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、また、粒子の1つ以上のパラメータを計算するためのアルゴリズムを含み得る。これらの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムと、1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムと、計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較するためのアルゴリズムとを含む。
【0172】
コンピュータ可読記憶媒体は、ディスプレイ及びオペレータ入力デバイスを有する1つ以上のコンピュータシステム上で採用されてもよい。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであってもよい。処理モジュールは、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、及び入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、並びに多くの他のデバイスを含み得る。プロセッサは、市販のプロセッサであり得るか、又は利用可能であるか、若しくは利用可能になる他のプロセッサのうちの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の様式でファームウェア及びハードウェアとインターフェースし、当技術分野で既知のように、Java、Perl、C++、他の高レベル又は低レベル言語、並びにそれらの組み合わせなどの様々なプログラミング言語で書かれ得る様々なコンピュータプログラムの機能をプロセッサが調整し、かつ実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、通常、プロセッサと協調して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整し、実行する。オペレーティングシステムは、また、全て既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。
【0173】
キット
本開示の態様はキットを更に含み、キットは、本明細書で説明される集積回路のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、キットは、コンピュータ可読媒体(例えば、フラッシュドライブ、USBストレージ、コンパクトディスク、DVD、ブルーレイディスクなど)の形態などの主題のシステムのためのプログラミング、又はインターネットウェブプロトコル若しくはクラウドサーバからプログラミングをダウンロードするための命令を更に含んでもよい。キットは、主題の方法を実施するための説明書を更に含み得る。これらの説明書は、様々な形態で主題のキット内に存在し得、そのうちの1つ以上が、キット内に存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、例えば、情報が印刷される1枚又は複数枚の紙などの好適な媒体又は基板上、キットのパッケージ中、添付文書などの中の印刷情報としてである。これらの説明書の更に別の形態は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得る、これらの説明書の更に別の形態は、隔たったサイトで情報にアクセスするために、インターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0174】
ユーティリティ
主題のシステム、方法及びコンピュータシステムは、生体試料などの流体媒体中の試料中の粒子成分を分析及び選別することが望ましい様々な用途に使用される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステム及び方法は、蛍光タグで標識された生体試料のフローサイトメトリの特徴付けにおける用途を見出すものである。他の実施形態では、システム及び方法は、放出された光の分光法における使用を見出す。加えて、主題のシステム及び方法は、(例えば、フローストリーム内の)試料から収集された光から得られる信号を増加させる際に用途を見出す。特定の例では、本開示は、フローサイトメータ内のフローストリーム内で照射される試料から収集される光の測定を向上させる際に使用される。本開示の実施形態は、改善された細胞選別精度、向上した粒子収集、粒子帯電効率、より正確な粒子帯電、及び細胞選別中の向上した粒子偏向を有するフローサイトメータを提供することが望ましい場合に使用される。
【0175】
本開示の実施形態は、また、生体試料から調製された細胞が、研究、実験室試験、又は治療での使用に望ましくあり得る用途で使用される。一部の実施形態では、主題の方法及びデバイスは、標的の流体又は組織生体試料から調製された個々の細胞を取得することを容易にし得る。例えば、主題の方法及びシステムは、がんなどの疾患の研究又は診断用標本として使用される、流体又は組織試料から細胞を取得することを容易にする。同様に、主題の方法及びシステムは、治療で使用される流体又は組織試料から細胞を取得することを容易にし得る。本開示の方法及びデバイスは、従来のフローサイトメトリシステムと比較して、向上した効率及び低コストの生体試料(例えば、臓器、組織、組織断片、体液)から細胞を分離し、収集することを可能にする。
【0176】
添付の特許請求の範囲にもかかわらず、本開示は、以下の付記によっても定義される。
1.フローストリーム中の粒子を含む試料から光を検出することと、
検出された光から複数のデータ信号を生成することと、
1つ以上の飽和データ信号を識別することと、
識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、
飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することと
を含む、方法。
2.飽和信号インデックスは、飽和している1つ以上の検出器チャネルを識別するバイナリワードを含む、付記1に記載の方法。
3.飽和信号インデックスは、32ビットバイナリワードを含む、付記2に記載の方法。
4.飽和信号インデックスは、128ビットバイナリワードを含む、付記2に記載の方法。
5.生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定することを更に含む、付記1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0177】
6.粒子の1つ以上のパラメータを判定することは、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することを含む、付記5に記載の方法。
7.飽和信号インデックスに基づいて粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を調整することを更に含む、付記6に記載の方法。
8.スペクトル分離行列を調整することは、飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することを含む、付記7に記載の方法。
9.粒子の1つ以上のパラメータを計算することは、
粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、
1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、
計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することと
を含む、付記8に記載の方法。
10.粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類することを更に含む、付記5~9のいずれか一つに記載の方法。
【0178】
11.粒子を分類することは、
関心領域(ROI)を含む二次元ビットマップを生成することと、
粒子を二次元ビットマップのROIに割り当てることと
を含む、付記10に記載の方法。
12.粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することを更に含む、付記11に記載の方法。
13.粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定することは、
飽和信号ビットマップを生成するために、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用することと、
生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、
粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを識別することと
を含む、付記12に記載の方法。
14.飽和信号ビットマップは、ブール論理を使用して粒子割り当てROIと比較される、付記13に記載の方法。
15.飽和信号ビットマップは、粒子割り当てROIとAND演算される、付記14に記載の方法。
【0179】
16.調整された粒子分類インデックスに基づいて粒子選別決定を更に生成する、付記1~15のいずれか一つに記載の方法。
17.フローストリーム中の試料から光を検出することは、光吸収、光散乱、蛍光又はそれらの組み合わせを検出することを含む、付記1~16のいずれか一つに記載の方法。
18.粒子のパラメータは、粒子からの散乱光から判定される、付記1~17のいずれか一つに記載の方法。
19.散乱光は、前方散乱光を含む、付記18に記載の方法。
20.散乱光は、側方散乱光を含む、付記18に記載の方法。
【0180】
21.粒子のパラメータは、粒子からの蛍光から計算される、付記18に記載の方法。
22.粒子のパラメータは、粒子からの周波数符号化蛍光データから計算される、付記21に記載の方法。
23.粒子を選別することを更に含む、付記1~22のいずれか一つに記載の方法。
24.粒子のパラメータは、集積回路デバイスによって計算される、付記1~23のいずれか一つに記載の方法。
25.集積回路デバイスは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、付記24に記載の方法。
【0181】
26.集積回路デバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)である、付記24に記載の方法。
27.集積回路デバイスは、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)である、付記24に記載の方法。
28.フローストリームを光源で照射することを更に含む、付記1~27のいずれか一つに記載の方法。
29.フローストリームは、200nm~800nmの波長の光源で照射される、付記28に記載の方法。
30.周波数シフト光の第1のビーム及び周波数シフト光の第2のビームでフローストリームを照射することを更に含む、付記28又は29に記載の方法。
【0182】
31.第1の周波数シフト光ビームは、局部発振器(LO)ビームを含み、第2の周波数シフト光ビームは、高周波コムビームを含む、付記30に記載の方法。
32.音響光学デバイスに高周波駆動信号を印加することと、
音響光学デバイスにレーザを照射して、周波数シフト光の第1のビーム及び周波数シフト光の第2のビームを生成することと
を更に含む、付記30又は31に記載の方法。
33.レーザは、連続波レーザである、付記32に記載の方法。
【0183】
34.フローストリーム中の粒子を含む試料を照射するように構成された光源と、
試料中の粒子から光を検出し、検出された光から複数のデータ信号を生成するための光検出器を備える光検出システムと、
動作可能に結合されたメモリを備えるプロセッサと
を備え、
メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
1つ以上の飽和データ信号を識別することと、
識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、
飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することと
を行うようにプログラムされている、システム。
35.飽和信号インデックスは、飽和している1つ以上の検出器チャネルを識別するバイナリワードを含む、付記34に記載のシステム。
36.飽和信号インデックスは、32ビットバイナリワードを含む、付記35に記載のシステム。
37.飽和信号インデックスは、128ビットバイナリワードを含む、付記35に記載のシステム。
38.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定させる、付記34~37のいずれか一つに記載のシステム。
【0184】
39.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算させる、付記38に記載のシステム。
40.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、飽和信号インデックスに基づいて粒子の蛍光のスペクトル分離行列を調整させる、付記39に記載のシステム。
41.スペクトル分離行列を調整することは、飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することを含む、付記40に記載のシステム。
42.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、
1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、
計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することと
を行わせる、付記41に記載のシステム。
43.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類させる、付記38~42のいずれか一つに記載のシステム。
【0185】
44.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
関心領域(ROI)を含む二次元ビットマップを生成することと、
粒子を二次元ビットマップのROIに割り当てることと
を行わせる、付記43に記載のシステム。
45.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定させる、付記44に記載のシステム。
46.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
飽和信号ビットマップを生成するために、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用することと、
生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、
粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを識別することと
を行わせる、付記45に記載のシステム。
47.プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリは、その上に記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、調整された粒子分類インデックスに基づいて粒子選別決定を生成させる、付記34~46のいずれか一つに記載のシステム。
48.光検出システムは、光吸収、光散乱、蛍光、又はそれらの組み合わせを検出するように構成される、付記34~47のいずれか一つに記載のシステム。
【0186】
49.光源は、少なくとも周波数シフト光の第1のビーム及び周波数シフト光の第2のビームを生成するように構成された光ビーム発生器構成要素を含む、付記34~48のいずれか一つに記載のシステム。
50.光ビーム発生器は、音響光学偏向器を含む、付記49に記載のシステム。
51.光ビーム発生器は、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)RFコム発生器を含む、付記49又は50に記載のシステム。
52.光ビーム発生器構成要素は、周波数シフトされた局部発振器ビームを生成するように構成される、付記49~51のいずれか一つに記載のシステム。
53.光ビーム発生器構成要素は、複数の周波数シフトされたコムビームを生成するように構成される、付記49~52のいずれか一つに記載のシステム。
【0187】
54.光源は、レーザを含む、付記34~53のいずれか一つに記載のシステム。
55.レーザは、連続波レーザである、付記54に記載のシステム。
56.フローサイトメータである、付記34~55のいずれか一つに記載のシステム。
57.セルソーターを更に備える、付記34~56のいずれか一つに記載のシステム。
58.セルソーターは、液滴偏向器を含む、付記57に記載のシステム。
【0188】
59.フローストリーム内の粒子から検出された光から1つ以上の飽和データ信号を識別することと、
識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成することと、
飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成することと
を行うようにプログラムされている、集積回路デバイス。
60.飽和信号インデックスは、飽和している1つ以上の検出器チャネルを識別するバイナリワードを含む、付記59に記載の集積回路デバイス。
61.飽和信号インデックスは、32ビットバイナリワードを含む、付記60に記載の集積回路デバイス。
62.飽和信号インデックスは、128ビットバイナリワードを含む、付記60に記載の集積回路デバイス。
63.集積回路は、生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定するようにプログラムされる、付記59~62のいずれか一つに記載の集積回路デバイス。
【0189】
64.集積回路は、粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するようにプログラムされる、付記63に記載の集積回路デバイス。
65.集積回路は、飽和信号インデックスに基づいて粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を調整するようにプログラムされる、付記64に記載の集積回路デバイス。
66.スペクトル分離行列を調整することは、飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することを含む、付記65に記載の集積回路デバイス。
67.集積回路は、
粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算することと、
1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算することと、
計算されたスペクトル分離行列を計算された調整されたスペクトル分離行列と比較することと
を行うようにプログラムされる、付記66に記載の集積回路デバイス。
68.集積回路は、粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類するようにプログラムされる、付記63~67のいずれか一つに記載の集積回路デバイス。
【0190】
69.集積回路は、
関心領域(ROI)を含む二次元ビットマップを生成することと、
粒子を二次元ビットマップのROIに割り当てることと
を行うようにプログラムされる、付記68に記載の集積回路デバイス。
70.集積回路は、粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するようにプログラムされる、付記69に記載の集積回路デバイス。
71.集積回路は、
飽和信号ビットマップを生成するために、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用することと、
生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較することと、
粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを識別することと
を行うようにプログラムされる、付記70に記載の集積回路デバイス。
72.集積回路は、調整された粒子分類インデックスに基づいて粒子選別決定を生成するようにプログラムされる、付記59~71のいずれか一つに記載の集積回路デバイス。
73.再構成可能な集積回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、付記59~72のいずれか一つに記載の集積回路デバイス。
【0191】
74.集積回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む、付記59~72のいずれか一つに記載の集積回路デバイス。
75.集積回路は、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)を含む、付記59~72のいずれか一つに記載の集積回路デバイス。
【0192】
76.フローサイトメータ内のフローストリームのドロップ遅延を判定するための命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
命令は、
フローストリーム内の粒子から検出された光から1つ以上の飽和データ信号を識別するためのアルゴリズムと、
識別された飽和データ信号を含む飽和信号インデックスを生成するためのアルゴリズムと、
飽和信号インデックスを粒子分類インデックスに適用して、調整された粒子分類インデックスを生成するためのアルゴリズムと
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
77.飽和信号インデックスは、飽和している1つ以上の検出器チャネルを識別するバイナリワードを含む、付記76に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
78.飽和信号インデックスは、32ビットバイナリワードを含む、付記77に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
79.飽和信号インデックスは、128ビットバイナリワードを含む、付記77に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
80.生成されたデータ信号からフローストリーム内の粒子の1つ以上のパラメータを判定するためのアルゴリズムを含む、付記76~79のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0193】
81.粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムを含む、付記80に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
82.飽和信号インデックスに基づいて粒子の蛍光のスペクトル分離行列を調整するためのアルゴリズムを含む、付記81に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
83.スペクトル分離行列を調整するためのアルゴリズムを含み、飽和データ信号のうちの1つ以上を除外することを含む、付記82に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
84.粒子の蛍光に対するスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムと、
1つ以上の飽和データ信号を除外する、粒子の蛍光に対する調整されたスペクトル分離行列を計算するためのアルゴリズムと、
計算されたスペクトル分離行列を計算された調整済みスペクトル分離行列と比較するためのアルゴリズムと
を含む、付記83に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
85.粒子の1つ以上の判定されたパラメータに基づいて粒子を分類するためのアルゴリズムを含む、付記80~84のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0194】
86.関心領域(ROI)を含む二次元ビットマップを生成するためのアルゴリズムと、
粒子を二次元ビットマップのROIに割り当てるアルゴリズムと
を含む、付記85に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
87.粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和データ信号を含むか否かを判定するためのアルゴリズムを含む、付記86に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
88.飽和信号ビットマップを生成するために、飽和信号インデックスを第2の二次元ビットマップに適用するためのアルゴリズムと、
生成された飽和信号ビットマップを粒子割り当てROIと比較するためのアルゴリズムと、
粒子割り当てROIの1つ以上のビットが飽和していることを識別するためのアルゴリズムと
を含む、付記87に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
89.調整された粒子分類インデックスに基づいて粒子選別決定を生成するためのアルゴリズムを含む、付記76~88のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0195】
上記の発明は、明確な理解のために例示及び例により多少詳しく説明されてきたが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び修正が行われ得ることが、容易に明らかである。
【0196】
したがって、上記は単に本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神及び範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。更に、本明細書に記載される全ての例及び条件付き言語は、主に、読者が、本発明の原理及び発明者が当該技術分野を促進するために寄与する概念を理解することを助ける点を意図し、かかる具体的に記載される例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその特定の例を記載する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図する。追加的に、かかる等価物は、構造にかかわらず、現在既知である等価物及び将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行するように開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。更に、本明細書に開示されるものは、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に記載されるか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図するものではない。
【0197】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲におけるかかる制限の冒頭に「のための手段」という正確な語句又は「のためのステップ」という正確な語句が記載される場合にのみ、特許請求の範囲における制限のために呼び出されるものとして明示的に定義され、かかる正確な語句が特許請求の範囲における制限で使用されない場合、米国特許法第112(f)又は米国特許法第112条(6)は呼び出されない。
【0198】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2020年2月27日に出願された米国仮特許出願第62/982,604号の出願日の優先権を主張し、その出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。