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特許7601900医療用複合不織布及びその製造方法、並びにその物品
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  • 特許-医療用複合不織布及びその製造方法、並びにその物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】医療用複合不織布及びその製造方法、並びにその物品
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20241210BHJP
   D04H 3/14 20120101ALI20241210BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20241210BHJP
   A61B 46/00 20160101ALI20241210BHJP
   D06M 13/17 20060101ALN20241210BHJP
   D06M 13/256 20060101ALN20241210BHJP
   D06M 13/292 20060101ALN20241210BHJP
   D06M 15/277 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/14
A41D13/12
A61B46/00
D06M13/17
D06M13/256
D06M13/292
D06M15/277
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022561584
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 KR2021003588
(87)【国際公開番号】W WO2021206320
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043514
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0174723
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グム・シグ・シン
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヒ・キム
【審査官】緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0115843(US,A1)
【文献】米国特許第05178932(US,A)
【文献】特開2003-154590(JP,A)
【文献】特表平11-501997(JP,A)
【文献】特開平01-192537(JP,A)
【文献】特表2005-511900(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0113548(KR,A)
【文献】国際公開第2016/068312(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
D06M13/00-15/715
D06M10/00-11/84
D06M16/00
D06M19/00-23/18
A41D13/12
A61B46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電防止性及び撥アルコール性を有する、医療用複合不織布であって、
前記医療用複合不織布は、第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層をその順に含み、
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ帯電防止性及び撥アルコール性を有し、
WSP 80.6(09)によって測定された耐水圧が、700mmHO以上であり、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が8等級以上であり、WSP 40.2(05)によって測定された表面抵抗が1012Ω以下である、医療用複合不織布。
【請求項2】
前記メルトブローン不織布層は、帯電防止性及び撥アルコール性を有する、請求項1に記載の医療用複合不織布。
【請求項3】
前記メルトブローン不織布層は、帯電防止性及び撥アルコール性のうち少なくとも一つを有さない、請求項1に記載の医療用複合不織布。
【請求項4】
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ複数のスパンボンド不織布サブ層を含む、請求項1に記載の医療用複合不織布。
【請求項5】
前記メルトブローン不織布層は、複数のメルトブローン不織布サブ層を含む、請求項1に記載の医療用複合不織布。
【請求項6】
少なくとも1層の追加層をさらに含む、請求項1に記載の医療用複合不織布。
【請求項7】
WSP 80.6(09)によって測定された耐水圧が、800mmHO以上であり、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が9等級以上であり、WSP 40.2(05)によって測定された表面抵抗が1012Ω以下である、請求項1に記載の医療用複合不織布。
【請求項8】
医療用複合不織布の製造方法であって、
スパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S10)と、
前記スパンボンド不織布層上に、メルトブローン不織布層を連続して形成する段階(S20)と、
前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)後、前記メルトブローン不織布層の一面または両面に、前記各スパンボンド不織布層を連続して熱圧着する段階(S40)と、を含み、
前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)は、非伝導性重合体でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S10-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S10-2)、前記自由繊維を連続して集積し、スパンボンド不織布を連続して形成する段階(S10-3)、及び前記形成されたスパンボンド不織布に、帯電防止剤含有及び撥アルコール剤含有の第1液体を連続して噴射し、前記スパンボンド不織布を連続して表面処理する段階(S10-4)を含み、
前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)は、非伝導性重合体でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S20-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S20-2)、前記自由繊維を連続して集積し、メルトブローン不織布を連続して形成する段階(S20-3)、及び前記形成されたメルトブローン不織布に、撥アルコール剤含有第2液体を連続して噴射し、前記メルトブローン不織布を連続して表面処理する段階(S20-4)を含み、
前記スパンボンド不織布連続表面処理段階(S10-4)及び前記メルトブローン不織布連続表面処理段階(S20-4)は、前記各液体を、気体と共に連続して噴射することによって遂行され、
前記スパンボンド不織布連続表面処理段階(S10-4)及び前記メルトブローン不織布連続表面処理段階(S20-4)は、スパンボンド不織布層またはメルトブローン不織布層に、第1液体または第2液体を、空気と共に二流体の形態で噴射し、液体粒子を不織布ウェブと接触させることによって、帯電防止及び撥アルコール効果を有するように構成された表面処理装置を使用することによって遂行され、前記表面処理装置は、DCD(die to collector distance)区間内において、加熱された空気により、前記液体が加熱蒸発されるために、別途の乾燥設備が必要ではないことを特徴とし、
前記医療用複合不織布の製造方法は、別途の後加工処理及び乾燥工程を含んでいない、
医療用複合不織布の製造方法。
【請求項9】
前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)と同一方式でもって、前記メルトブローン不織布層上に、他のスパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S30)をさらに含む、請求項8に記載の医療用複合不織布の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の医療用複合不織布を含む、物品。
【請求項11】
前記物品は、手術布または手術用ガウンである、請求項10に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用複合不織布及びその製造方法、並びにその物品に係り、さらに詳細には、耐水圧性及び撥アルコール性にすぐれ、表面抵抗が低い医療用複合不織布及びその製造方法、並びにその物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来には、不織布を製造した後、前述の製造された不織布を、帯電防止及び撥アルコール性の液体に浸漬させた後で乾燥させる方式で最終不織布を得た。
しかしながら、前述のように、別途の後加工処理を行うことになれば、医療用不織布において要求される耐水圧特性が低減されるだけではなく、製造コストも上昇するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一具現例は、耐水圧性及び撥アルコール性にすぐれ、表面抵抗が低い医療用複合不織布を提供する。
本発明の他の態様は、前記医療用複合不織布の製造方法を提供する。
本発明のさらに他の態様は、前記複合不織布を含む物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、
帯電防止性及び撥アルコール性を有する医療用複合不織布を提供する。
前記医療用複合不織布は、第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層を含み、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ帯電防止性及び撥アルコール性を有しうる。
【0005】
前記メルトブローン不織布層は、帯電防止性及び撥アルコール性を有しうる。
前記メルトブローン不織布層は、帯電防止性及び撥アルコール性のうち少なくとも一つを有さないのである。
【0006】
前記医療用複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層をその順に含むものでもある。
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ複数のスパンボンド不織布サブ層を含むものでもある。
【0007】
前記メルトブローン不織布層は、複数のメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。
前記医療用複合不織布は、少なくとも1層の追加層をさらに含むものでもある。
【0008】
前記医療用複合不織布は、WSP 80.6(09)によって測定された耐水圧が、700mmHO以上であり、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が8等級以上であり、WSP 40.2(05)によって測定された表面抵抗が1012Ω以下でもある。
前記医療用複合不織布は、WSP 80.6(09)によって測定された耐水圧が、800mmHO以上であり、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が9等級以上であり、表面抵抗が1012Ω以下でもある。
【0009】
本発明の他の態様は、
スパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S10)と、
前記スパンボンド不織布層上に、メルトブローン不織布層を連続して形成する段階(S20)と、を含み、
前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)は、非伝導性重合体でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S10-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S10-2)、前記自由繊維を連続して集積し、スパンボンド不織布を連続して形成する段階(S10-3)、及び前記形成されたスパンボンド不織布に、帯電防止剤含有及び撥アルコール剤含有の第1液体を連続して噴射し、前記スパンボンド不織布を連続して表面処理する段階(S10-4)を含み、
前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)は、非伝導性重合体でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S20-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S20-2)、前記自由繊維を連続して集積し、メルトブローン不織布を連続して形成する段階(S20-3)、及び前記形成されたメルトブローン不織布に、撥アルコール剤含有第2液体を連続して噴射し、前記メルトブローン不織布を連続して表面処理する段階(S20-4)を含む医療用複合不織布の製造方法を提供する。
【0010】
前記スパンボンド不織布連続表面処理段階(S10-4)、及び前記メルトブローン不織布連続表面処理段階(S20-4)は、前記各液体を、気体と共に連続して噴射することによっても遂行される。
【0011】
前記医療用複合不織布の製造方法は、前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)と同一方式でもって、前記メルトブローン不織布層上に、他のスパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S30)をさらに含むものでもある。
【0012】
前記医療用複合不織布の製造方法は、前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)後、または前記他のスパンボンド不織布層連続形成段階(S30)後、前記メルトブローン不織布層の一面または両面に、前記各スパンボンド不織布層を連続して熱圧着する段階(S40)をさらに含むものでもある。
【0013】
前記医療用複合不織布の製造方法は、別途の後加工処理及び乾燥工程を含まないのである。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、
前記医療用複合不織布を含む物品を提供する。
前記物品は、手術布または手術用ガウンでもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一具現例による複合不織布は、耐水圧性及び撥アルコール性にすぐれ、表面抵抗が低いだけではなく、製造コストが低いという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一具現例による医療用複合不織布を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一具現例による医療用複合不織布について詳細に説明する。
本明細書において、「複合不織布(non-woven fabric composite)」は、2種以上の不織布が個別的に製造された後、別途のラミネーティング(合紙)後工程を経て製造された不織布積層体ではなく、2種以上の不織布が、1つの装置でそれぞれ連続工程によって製造され、互いに一体化された不織布を意味する。従って、本明細書において「複合不織布」は、「モノリシック不織布(monolithic non-woven fabric)」とも称される。前記医療用複合不織布は、前記不織布積層体に比べ、層間結合が強く、形態安定性及び濾過性能にすぐれるという特徴を有する。
【0018】
また、本明細書において、「帯電防止性及び撥アルコール性を有するスパンボンド不織布層」は、連続工程によって製造されたものでもある。具体的には、「帯電防止性及び撥アルコール性を有するスパンボンド不織布層」は、連続工程でより、「スパンボンド不織布の製造」と、「帯電防止性及び撥アルコール性の付与のための表面処理」とを順次または同時に実施することによって製造されたものでもある。
【0019】
また、本明細書において、「引っ張り強度」は、引っ張り強度・伸度器(Instron)を介し、KSK 0520に基づき、幅5cmの試験片(評価時のグリップ間隔:10cm)を、引っ張り速度500mm/分の条件で引っ張り、MD方向(mechanical direction)の引っ張り強度をそれぞれ測定した。
【0020】
また、本明細書において、「剛軟度」は、測定標準WSP(Worldwide Strategic Partners) 90.1により、MD,CD方向試料(25mm×150mm)16個を採取し、試料を剛軟度測定器上において、傾斜面方向に試片が傾斜面に当接するまで押し、曲がる地点から傾斜面に当接する地点までの試料長を測定する方法により、mm単位で測定した。
【0021】
また、本明細書において、「撥アルコール性を有するメルトブローン不織布層」は、連続工程によって製造されたものでもある。具体的には、「撥アルコール性を有するメルトブローン不織布層」は、連続工程において、「メルトブローン不織布の製造」と、「撥アルコール性付与のための表面処理」とを、順次または同時に実施することによって製造されたものでもある。
【0022】
また、本明細書において「耐水圧」は、WSP(Worldwide Strategic Partners) 80.6(09)により、耐水圧測定装置(モデルFX-3000-4M(TEXTEST社製))を使用して測定されたのである。
【0023】
また、本明細書において、「帯電防止性を有する」というのは、WSP 40.2(05)によって測定された表面抵抗が1015Ω以下であることを意味する。
【0024】
また、本明細書において「表面抵抗」は、WSP 40.2(05)により、表面抵抗測定装置(モデルR8340A(ADVANTEST社製))を使用して測定されたものである。
【0025】
また、本明細書において、「撥アルコール性を有する」というのは、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が4等級以上であることを意味する。
【0026】
本発明の一具現例による医療用複合不織布は、帯電防止性及び撥アルコール性を有する。
【0027】
前記医療用複合不織布は、第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層を含むものでもある。具体的には、前記医療用複合不織布は、1つの装置でそれぞれ連続工程によって製造され、互いに一体化された第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層を含むものでもある。
【0028】
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ帯電防止性及び撥アルコール性を有しうる。
具体的には、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ帯電防止剤及び撥アルコール剤を含むものでもある。
【0029】
前記帯電防止剤は、疎水性でもある。
また、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ不織布内部において、帯電防止剤及び撥アルコール剤の浸透を容易にするための浸透剤をさらに含むものでもある。
【0030】
前記浸透剤は、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層のそれぞれにおいて、帯電防止剤及び撥アルコール剤の湿潤性を向上させ、前記各スパンボンド不織布層への浸透性能を向上させる役割を行う。
【0031】
また、前記浸透剤は、アルコール系化合物、ヒドロキシ系化合物、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0032】
例えば、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ帯電防止/撥アルコール性マスターバッチを含むものでもある。
【0033】
前記帯電防止剤は、主に、陰イオン(anion)系、陽イオン(cation)系、非イオン(nonion)系及び両性系に分類され、それらにおいて、陰イオン系、非イオン系が、帯電防止加工に多用される。一般的に、陽イオン系及び両性系は、繊維の紡糸、紡績エマルジョンの成分として使用される場合は、少ないが、最終製品の柔軟性を有させる帯電防止剤として使用される。陰イオン系としては、スルホン酸塩型(RSONa)、硫酸エステル塩型(ROSONa、ROSONH(CHCHOH)Na、RO(CHCHO)SONa)、リン酸エステル塩型などがあり、リン酸エステル塩型は、帯電防止性が良好であるので、単独、または他の製剤と混合されて広範囲に使用される。一般的に、硫酸エステル化、リン酸エステル化された製品は、該帯電防止剤の分子構造において、脂肪族基の炭素数、乳酸化度、リン酸化度、及び親水基の位置などが、帯電防止性能に大きい相関関係がある。以下のように帯別される陽イオン系は、アミン塩型(RNHCHCOOH)、第4級アンモニウム塩型(RCONHCN(CHCHCHOH〕X(X=NO,ClO))などであり、帯電防止性、併用性、柔軟性が良好であり、後加工工程に多用されるが、分子内に窒素を含むために、酸化による着色、塩素漂白による塩素障害があることになり、金属イオンとの汚染、吸着などの問題があるので、使用上、注意が必要である。非イオン系は、一般的に、繊維に対する吸着力が小さく、平滑性が良好であり、合成繊維に均一な湿潤性を示すものであり、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型(R-COO(CHCHO)H)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型(RO(CHCHO)H)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル型及びポリオキシエチレンアルキルアミン型などがあり、合成繊維の紡績エマルジョンとして多用される。なお、同一分子内に、陽イオン、陰イオンの両性極性基を含んでいる両性イオン系は、陽イオン系性能及び触感にすぐれ、塩素障害が少ないという特性がある。ベタイン(betaine)型及びイミダゾリン(imidazoline)型があり、一般的に、ベタイン型が多用される。耐久性帯電防止剤は、柔軟性や耐熱性にすぐれ、経時変化がなく、染色堅牢度を低下させず、樹脂加工剤や、撥水剤、撥
油剤と併用が可能であり、ほこりの吸塵がない持続性が要求される。該耐久性帯電防止剤は、ほとんどが吸水性の強い陽イオン系高分子化合物や電解質高分子化合物であり、例えば、ポリアクリル酸誘導体、ポリビニルアミン誘導体、ポリアミド誘導体及び陽イオン系樹脂などがあり、それらのうち、代表的なものは、陽イオン性側鎖を有するポリアクリル酸誘導体であり、ポリベータメタクリロキシエチルジメチルエチルアンモニウムメタスルフェートを繊維に処理した後、陰イオン活性剤で後処理し、繊維上に錯体(complex)を形成させる方法、その錯体を非イオン活性剤として分散させたものを処理する方法、ポリエチレンオキサイドを含むポリアミンを、架橋剤と併用して繊維に処理し、熱処理により、繊維表面に不溶化された三次元網状構造を形成させる方法などがある。
【0034】
前記撥アルコール剤(alcohol repellent)は、パーフルオロアルキル物質、ポリフルオロアルキル物質、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
前記パーフルオロアルキル物質は、過フッ化アルキル酸(PFAA:perfluorinated alkyl acid)を含むものでもある。
前記過フッ化アルキル酸は、パーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
一例として、前記メルトブローン不織布層は、帯電防止性及び撥アルコール性を有しうる。
【0035】
具体的には、前記メルトブローン不織布層は、帯電防止剤及び撥アルコール剤を含むものでもある。
また、前記メルトブローン不織布層に含まれた前記帯電防止剤及び前記撥アルコール剤は、前記各スパンボンド不織布層に含まれた帯電防止剤及び撥アルコール剤とそれぞれ同一のものでもある。
【0036】
他の例として、前記メルトブローン不織布層は、帯電防止性及び撥アルコール性のうち少なくとも一つを有さないものである。
【0037】
前記医療用複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層をその順に含むものでもある。しかしながら、本発明は、それに限定されるのではなく、前記医療用複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層を異なる順に含むものでもある。
【0038】
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ複数のスパンボンド不織布サブ層を含むものでもある。具体的には、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、それぞれ1つの装置において、連続工程によって製造され、互いに一体化された複数のスパンボンド不織布サブ層を含むものでもある。
【0039】
前記メルトブローン不織布層は、複数のメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。具体的には、前記メルトブローン不織布層は、1つの装置でそれぞれ連続工程によって製造されて互いに一体化された複数のメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。
【0040】
前記医療用複合不織布に含まれた少なくとも1つのスパンボンド不織布、及び少なくとも1つのメルトブローン不織布は、それぞれ互いに独立して、非伝導性重合体を含むものでもある。
前記非伝導性重合体は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、それらの共重合体、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0041】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、ポリ塩化ビニル、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0042】
前記医療用複合不織布において、メルトブローン不織布の総含量は、前記複合不織布の総重量100重量部に対し、3~50重量部でもある。前記メルトブローン不織布の総含量が前記範囲以内であるならば、形態安定性及び耐久性にすぐれる複合不織布を得ることができる。
【0043】
前記医療用複合不織布は、坪量(単位面積当たり質量)が10~500g/m、例えば、20~100g/mの範囲でもある。
前記医療用複合不織布に含まれた複数の不織布は、超音波融着ではなく、熱融着により、互いに一体化(すなわち、結合)されたものでもある。
【0044】
前記医療用複合不織布は、少なくとも1層の追加層をさらに含むものでもある。
一例として、前記各追加層は、スパンボンド不織布でもなく、メルトブローン不織布でもなく、別個の不織布を1枚以上含むものでもある。
他の例として、前記各追加層は、不織布ではなく、他材質の層を1層以上含むものでもある。
【0045】
前記医療用複合不織布は、MD方向引っ張り強度が、0.1~0.3kgf/5cm/gsm、0.15~0.3kgf/5cm/gsm、0.20~0.3kgf/5cm/gsmまたは0.25~0.30kgf/5cm/gsmでもある。ここで、gsmは、g/mの略語であり、前記複合不織布の単位面積当たり重量を意味する。
【0046】
また、前記医療用複合不織布は、MD方向剛軟度が、20mm以上、25mm以上、30mm以上または35mm以上でもある。
また、前記医療用複合不織布は、CD方向剛軟度が、10mm以上、15mm以上、20mm以上、25mm以上または30mm以上でもある。
【0047】
前記医療用複合不織布は、WSP 80.6(09)によって測定された耐水圧が、700mmHO以上、720mmHO以上、740mmHO以上、760mmHO以上、780mmHO以上、800mmHO以上、820mmHO以上、840mmHO以上、860mmHO以上、880mmHO以上または900mmHO以上でもある。
【0048】
また、前記医療用複合不織布は、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が、8等級以上または9等級以上でもある。
また、前記医療用複合不織布は、WSP 40.2(05)によって測定された表面抵抗が、1012Ω以下、1011Ω以下、1010Ω以下、10Ω以下または10Ω以下でもある。
【0049】
本発明者らは、以下で説明するように、特別な構成を有する不織布製造方法を最初に開発し、WSP 80.6(09)によって測定された耐水圧が、800mmHO以上であり、WSP 80.8(05)によって測定された撥アルコール性が9等級以上であり、表面抵抗が1012Ω以下である医療用複合不織布を製造することができた。
【0050】
以下、本発明の一具現例による医療用複合不織布の製造方法について詳細に説明する。
本発明の一具現例による医療用複合不織布の製造方法は、スパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S10)、及び前記スパンボンド不織布層上に、メルトブローン不織布層を連続して形成する段階(S20)を含む。
【0051】
前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)は、熱可塑性である非伝導性重合体を、溶融押出、冷却及び延伸し、繊維原糸を形成した後、前記繊維原糸をスクリーンベルト上に積層し、ウェブ化(webforming)するものでもある。
【0052】
具体的には、前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)は、非伝導性重合体でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S10-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S10-2)、前記自由繊維を連続して集積し、スパンボンド不織布を連続して形成する段階(S10-3)、及び前記形成されたスパンボンド不織布に、帯電防止剤含有及び撥アルコール剤含有の第1液体を連続して噴射し、前記スパンボンド不織布を連続して表面処理する段階(S10-4)を含むものでもある。
【0053】
前記スパンボンド不織布連続表面処理段階(S10-4)は、前記第1液体を、気体(例えば、空気)と共に連続して噴射することによっても遂行される。
【0054】
前記第1液体は、前記帯電防止剤及び前記撥アルコール剤を溶媒(例えば、水)に添加して製造されたものでもある。
また、前記第1液体は、前記帯電防止剤及び前記撥アルコール剤以外に、前述の浸透剤をさらに含むものでもある。
前記第1液体は、溶液でもあり、懸濁液でもある。
【0055】
前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)は、熱可塑性である非伝導性重合体を、溶融押出、熱風延伸及び冷却し、繊維原糸を形成した後、前記繊維原糸を、前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)でウェブ化されたスパンボンド上に積層し、ウェブ化するものでもある。
【0056】
具体的には、前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)は、非伝導性重合体でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S20-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S20-2)、前記自由繊維を連続して集積し、メルトブローン不織布を連続して形成する段階(S20-3)、及び前記形成されたメルトブローン不織布に、帯電防止剤含有及び/または撥アルコール剤含有の第2液体を連続して噴射し、前記メルトブローン不織布を連続して表面処理する段階(S20-4)を含むものでもある。
【0057】
前記メルトブローン不織布連続表面処理段階(S20-4)は、前記第2液体を、気体(例えば、空気)と共に連続して噴射することによっても遂行される。
【0058】
前記第2液体は、前記帯電防止剤及び/または前記撥アルコール剤を、溶媒(例えば、水)に添加して製造されたものでもある。
また、前記第2液体は、前記帯電防止剤及び前記撥アルコール剤以外に、前述の浸透剤をさらに含むものでもある。
前記第2液体は、溶液でもあり、懸濁液でもある。
【0059】
また、前記段階(S20)は、前記段階(S20-4)を含まないのである。
本発明者らは、スパンボンド不織布層またはメルトブローン不織布層に、第1液体または第2液体を、空気と共に二流体の形態で噴射し、少ない噴射量でもって、十分な運動エネルギーを有する液体粒子を不織布ウェブと接触させ、高い効率の帯電防止及び撥アルコール効果を有するように表面処理装置を開発し、そのような表面処理装置は、少ない噴射量により、DCD(die to collector distance)区間内において、加熱された空気により、十分に加熱蒸発されるために、別途の乾燥設備が必要ではないということがその特徴である。そのような特徴により前記表面処理装置は、不織布製造工程と結合し、連続積層により、不織布を複合化することができるという特徴がある。
【0060】
前述のように、前記医療用複合不織布の製造方法は、前述のそれぞれの不織布連続表面処理段階(S10-4、S20-4)で噴射された第1液体または第2液体を除去するための別途の後加工処理及び乾燥工程を含まないのである。
【0061】
また、前述のように、前記それぞれの不織布連続表面処理段階(S10-4、S20-4)で連続して噴射された第1液体または第2液体は、複合不織布製造装置のDCD(die to collector distance)区間内において、加熱された空気により、連続して加熱されて蒸発されうる。
【0062】
前記医療用複合不織布の製造方法は、前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)と同一方式でもって、前記メルトブローン不織布層上に、他のスパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S30)をさらに含むものでもある。
【0063】
前記医療用複合不織布の製造方法は、前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)後、または前記他のスパンボンド不織布層連続形成段階(S30)後、前記メルトブローン不織布層の一面または両面に、前記各スパンボンド不織布層を連続して熱圧着する段階(S40)をさらに含むものでもある。
【0064】
前記それぞれの不織布連続表面処理段階(S10-4、S20-4)で連続して噴射された第1液体または第2液体は、複合不織布製造装置の製造工程内に設けられた乾燥工程を経るのでる。
【0065】
前記医療用複合不織布の製造方法は、量産が可能であり、製造コストを節減するだけではなく、不織布製造後、後工程として、別途の帯電防止処理及び撥アルコール処理、並びに乾燥工程を具備しないために、別途の後加工処理及び乾燥工程を具備する従来技術のように、メルトブローン不織布層が高温の乾燥温度に露出された状態で延伸されて損傷されることにより、耐水圧が低下される現象を防止することができる。
【0066】
図1は、本発明の一具現例による医療用複合不織布10を概略的に示した図面である。
本発明の一具現例による医療用複合不織布10は、第1スパンボンド不織布層11、メルトブローン不織布層12及び第2スパンボンド不織布層13を含む。
【0067】
また、前記医療用複合不織布の製造方法を変形することにより、多様な構造及び/または構成を有する医療用複合不織布が製造されうる。
本発明の他の態様は、前記医療用複合不織布を含む物品を提供する。
前記物品は、手術布または手術用ガウンでもある。
【0068】
以下、実施例を介し、本発明についてさらに詳細に説明する。本実施例は、本発明について、さらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例1:医療用複合不織布の製造
スパンボンド不織布製造用主原料としては、溶融指数(M.F.R)が34g/10分のポリプロピレンを使用し、ブルーカラーを発現するために、フタロシアニンブルーが高濃縮されたマスターバッチチップを3重量%添加した。一定に供給される主原料及びマスターバッチチップを、押出器で溶融混練させ、紡糸口金を介してフィラメントを形成させた後、冷却空気で冷却させ、ベルト下部吸入エアで延伸させ、連続駆動されるコンベアベルト上に、第1スパンボンド不織布層及び第2スパンボンド不織布層をそれぞれ形成させた。メルトブローン不織布製造用主原料としては、溶融指数(M.F.R)が1,100g/10分のポリプロピレンを使用し、スパンボンド不織布層と同様に、フタロシアニンブルーが高濃縮されたマスターバッチチップを3重量%添加した。一定量ずつ供給された主原料とマスターバッチチップとを、押出器で溶融混練させ、多数のオリフィスで構成された口金を介して紡糸した後、側面ノズルから噴射される高速力の集中された加熱空気と接触させた。そのように、高速力の加熱空気は、微細な大きさのオリフィスを介して紡糸されるポリマーを延伸させ、延伸されたポリマーは、1~5μmの微細な太さの糸によってなるマイクロファイバ状のメルトブローン不織布層を形成した。前記メルトブローン不織布層は、10g/mの基礎重量を有するように調節された。また、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層は、全体が最小2層に構成されるように調節され、最終的に、メルトブローン不織布層を含む総重量が47g/mであるスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)多層不織布ウェブを形成した。そして、前記多層不織布ウェブを形成する前、前記それぞれのスパンボンド不織布層及びメルトブローン不織布層には、撥アルコール性及び帯電防止性を付与するために、撥アルコール剤であるパーフルオロアルキルエチルアクリレート系共重合体(濃度30重量%)25重量部、帯電防止剤である非イオン系化合物(濃度50重量%)4重量部、及び不織布内部において、製剤の浸透を容易にするための浸透剤であるアルコール系化合物(濃度70重量%)2重量部を、水969重量部に混合して製造した混合液を連続で噴射し、前記各不織布を表面処理した。そのように形成された3種の不織布ウェブを、エンボスロールの温度が162℃であり、プレートロールの温度が161℃であり、圧力が90N/mmであるカレンダー条件で熱圧着させ、形態安定性を付与した。次に、結果物を、連続して移動される130℃熱風乾燥器で乾燥処理し、撥アルコール性及び帯電防止性にすぐれる医療用複合不織布を製造した。
【0070】
実施例2:医療用複合不織布の製造
メルトブローン不織布層の表面処理時、帯電防止剤を除外させたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0071】
実施例3:医療用複合不織布の製造
メルトブローン不織布層の表面処理時、撥アルコール剤を除外させたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0072】
実施例4:医療用複合不織布の製造
メルトブローン不織布層の表面処理時、撥アルコール剤及び帯電防止剤を除外させたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0073】
比較例1:医療用複合不織布の製造
第2スパンボンド不織布層の表面処理時、撥アルコール剤を除外させ、メルトブローン不織布層の表面処理時、撥アルコール剤と帯電防止剤とを除外させたことを除いては、前述の実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0074】
比較例2:医療用複合不織布の製造
第2スパンボンド不織布層の表面処理時、帯電防止剤を除外させ、メルトブローン不織布層の表面処理時、撥アルコール剤を除外させたことを除いては、前述の実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0075】
比較例3:医療用複合不織布の製造
第1スパンボンド不織布層の表面処理時、及び第2スパンボンド不織布層の表面処理時、撥アルコール剤と帯電防止剤とを除外させ、メルトブローン不織布層の表面処理時、帯電防止剤を除外させたことを除いては、前述の実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0076】
比較例4:医療用複合不織布の製造
第1スパンボンド不織布層の表面処理時、及び第2スパンボンド不織布層の表面処理時、撥アルコール剤と帯電防止剤とを除外させたことを除いては、前述の実施例1と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0077】
比較例5:医療用複合不織布の製造
実施例1の方法でもって、総重量が47g/mであるスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド多層不織布ウェブを形成した。そのように形成された多層不織布に、撥アルコール性及び帯電防止性を付与するために、後加工として、撥アルコール剤であるパーフルオロアルキルエチルアクリレート系共重合体(濃度30重量%)25重量部、非イオン系帯電防止剤(濃度50重量%)4重量部、及び不織布内部に、製剤の浸透を容易にするための浸透剤(濃度70重量%)2重量部を、水969重量部に混合し、連続して供給される粗液バスに不織布を沈積させ、含侵(wet pickup)率(=不織布に浸された溶剤を含むエマルジョンの重さ/不織布の重さ*100)基準150重量%になるように、パッダ=マングル(padder mangle)の線圧を調整した。結果物を、連続して移動される135℃熱風乾燥器でもって、36sec/m乾燥処理し、撥アルコール性及び帯電防止性が付与された医療用複合不織布を製造した。
【0078】
比較例6:医療用複合不織布の製造
後加工時、帯電防止剤を除外させたことを除いては、前記比較例5と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0079】
比較例7:医療用複合不織布の製造
後加工時、撥アルコール剤を除外させたことを除いては、前記比較例5と同一方法でもって、医療用複合不織布を製造した。
【0080】
評価例:医療用複合不織布の物性評価
前述の実施例1~4及び比較例1~7で製造された医療用複合不織布の耐水圧、撥アルコール性及び表面抵抗を、下記のような方法で評価し、その結果を、下記表1に示した。
【0081】
<耐水圧評価>
耐水圧は、WSP(Worldwide Strategic Partners)80.6(09)により、耐水圧測定装置(モデルFX-3000-4M(TEXTEST社製))を使用して測定した。
<撥アルコール性評価>
撥アルコール性は、WSP 80.8(05)によって測定した。
<表面抵抗評価>
表面抵抗は、WSP 40.2(05)により、表面抵抗測定装置(モデルR8340A(ADVANTEST社製))を使用して測定した。
【0082】
【表1】
【0083】
前述の表1を参照すれば、実施例1~4で製造された医療用複合不織布は、耐水圧(≧800mmHO)と、両側表面の撥アルコール性(≧9等級)は、高く、両側表面の表面抵抗(≦1012Ω)は、低いと示されている。一方、比較例1~7で製造された医療用複合不織布は、耐水圧(<800mmHO)が低いか、少なくとも一側表面の撥アルコール性(<9等級)が低いか、かつ/あるいは少なくとも一側表面の表面抵抗(>1012Ω)が高いと示されている。
【0084】
本発明は、図面及び実施例を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから、多様な変形、及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるものである。
図1