(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】口腔治療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61C 19/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61C19/06 A
(21)【出願番号】P 2022572344
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2021063398
(87)【国際公開番号】W WO2021239548
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-05-15
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ルツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルガース アヒム ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】バラゴナ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュレポフ セルゲイ ワイ.
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-170088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209692(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に挿入される、100kHzから300MHzの範囲内の周波数を有する電磁場を領域制限するための口腔治療ユニット
と、前記口腔治療ユニット
と組み合わされて使用されるベースユニットとを備える、口腔治療デバイスであって、前記口腔治療ユニットは、
前記口腔治療ユニットに結合又は一体化された第1の洗浄要素と、
初期電磁場を受信し、収束された電磁場を出力する、前記口腔治療ユニットに結合又は一体化されたメタ材料構造
とを備え、前記メタ材料構造は、
負
の有効誘電率と、
負
の有効透過率と、
負
の屈折率と
のうちの1つ又は複数を有し、
前記メタ材料構造は、受信された前記初期電磁場を前記メタ材料構造の近距離場領域に領域制限する受動的電磁場収束機能を有
し、前記メタ材料構造はユニットセルを備える、口腔治療
デバイス。
【請求項2】
前記ユニットセルはアレイ状に配置される、請求項
1に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項3】
各ユニットセルは、
平面的導電性螺旋構造、
平面的導電性リング構造、
平面的導電性蛇行ライン構造、
3D導電性螺旋構造、
3D導電性リング構造、又は、
3D導電性蛇行ライン構造
を備える、請求項
1又は
2に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項4】
前記口腔治療ユニットは、第2の洗浄要素を更に備え、前記メタ材料構造は、前記第2の洗浄要素の少なくとも一部又は全てを形成する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項5】
前記メタ材料構造は、
第1の周波数範囲内の第1の周波数を有する第1の電磁場を受信し、収束させる第1のユニットセルと、
前記第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲内の第2の周波数を有する第2の電磁場を受信し、収束させる第2のユニットセルと
を備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項6】
前記口腔治療ユニットは、前記メタ材料構造によって受信される前記初期電磁場を生成する1つ又は複数のトランスミッタコイルを更に備える、請求項1から
5のいずれか一項に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項7】
前記口腔治療ユニットは、前記第1のユニットセルによって受信される第1の周波数範囲内の第1の電磁場と、前記第2のユニットセルによって受信される第2の周波数範囲内の第2の電磁場とを生成するマルチハーモニックトランスミッタコイルを更に備える、請求項
5に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項8】
前記口腔治療ユニットは、第1の周波数範囲内の第1の周波数を有する電磁場を生成する第1のトランスミッタコイルと、第2の周波数範囲内の第2の周波数を有する電磁場を生成する第2のトランスミッタコイルとを更に備える、請求項
5に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項9】
前記ユニットセルは螺旋構造を有し、前記1つ又は複数のトランスミッタコイルのコイルループ及び前記ユニットセルの前記螺旋構造は、平行及び/又は同心状に並べられる、請求項
6から
8のいずれか一項に記載の口腔治療
デバイス。
【請求項10】
前記ベースユニットは、
電源と、
所与の周波数範囲内の周波数を有する電気信号を生成する、前記電源と結合された電気信号生成ユニットと、
前記所与の周波数範囲内の周波数を有する少なくとも1つの電磁場を生成し、前記口腔治療ユニットに送信する、前記電気信号生成ユニットと通信する1つ又は複数のトランスミッタコイルと
を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の口腔治療デバイス。
【請求項11】
前記口腔治療ユニットは前記ベースユニットに一時的に結合される、請求項10に記載の口腔治療デバイス。
【請求項12】
前記ベースユニットは、
電源と、
前記口腔治療ユニットの前記1つ又は複数のトランスミッタコイルに供給する所与の周波数範囲内の周波数を有する電気的駆動信号を生成する、前記電源と結合された電気信号生成ユニットと
を備える、
請求項6から9のいずれか一項に記載の口腔治療デバイス。
【請求項13】
前記口腔治療ユニットは前記ベースユニットに一時的に結合され、前記口腔治療ユニットは第1の電気的接点を更に備え、前記ベースユニットは第2の電気的接点を更に備え、前記口腔治療ユニットが前記ベースユニットに結合されたときに前記第1の電気的接点と前記第2の電気的接点とが接触する、
請求項12に記載の口腔治療デバイス。
【請求項14】
前記口腔治療ユニットは、電気歯ブラシヘッド又は電気歯ブラシヘッドの一部であり、前記電気歯ブラシヘッドは
、流体射出ノズルを備え、前記ベースユニットは電気歯ブラシハンドルであるか、又は、
1つ又は複数の口腔治療ユニットが、口腔治療マウスピースの弓状部の少なくとも一部を形成するように配置され、前記ベースユニットは電動マウスピースハンドルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の口腔治療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔洗浄デバイスの分野、より具体的には、電磁場を利用する口腔洗浄デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔の洗浄及び衛生の分野は絶え間のない発展の下にあり、特に、電動歯ブラシ並びにブラッシングマウスピース、統合されたブラッシング及びフロッシングデバイス又は潅注器などの他の口腔洗浄デバイスの分野においてはそうである。
【0003】
このような発展の1つは、本明細書においてはRF場と称される無線周波数(RF)電磁場をユーザの歯及び歯茎の近くに生成する手段を含むことである。
【0004】
図1は、非導電性の誘電バリア12と、第1RF電極13と、第2のRF電極14とを備える既存の口腔治療ユニット10の単純化された例のシミュレーション結果を示す。
【0005】
使用時に、無線周波数範囲内の電気信号が第1及び第2のRF電極に提供され、それによって、2つの電極の間にRF場15を生成する。RF場のラインは、非導電性バリア12を通過できないので、RF場は誘電バリアの周りで成形され、ユーザの歯及び歯茎に向かって方向変更/屈折される。
【0006】
換言すれば、
図1の例は、3つの要素、すなわち、2つの露出した金属導電体及び1つの絶縁体、並びに電磁場を成形し、歯の近くに行くように方向変更するために必要とされる非導電性バリアを使用してRF場を送達する。
【0007】
しかしながら、
図1において示された例は、製造の複雑さを増加させる多くの個別の電動コンポーネントを必要とするとともに、ユーザの口の中に位置する露出した金属電気的接点を必要とし、後者は、口腔内における機械的に鋭く電気的に活性の露出した要素に起因する負傷及び口腔内の不快感のより高いリスクを生む。更には、既存の解決策は、RF場の領域制限の大雑把な制御を提供するだけであり、放射の形態での電磁エネルギー漏れを起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、低減された数のコンポーネントを使用し、露出した金属接点が口腔内に位置する必要のない、RF場の向上された領域制限及び収束を生成する手段に対する需要が存在する。
【0009】
更に、本明細書においてはRF場と称される無線周波数(RF)電磁場をユーザの歯及び歯茎の近くに生成する手段には、口腔内に快適にフィットするためにサイズ制限がある。
【0010】
故に、従って、口腔内に位置するために低減されたフォームファクタを有するコンポーネントを使用して、領域制限されたRF場を生成する手段に対する更なる需要が存在する。
【0011】
米国特許第10201701号は、毛に隣接するブラシヘッド上の電極にRFエネルギーを送達するRF生成器をハンドル部分に有する口腔洗浄デバイスを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は特許請求の範囲によって定められる。
【0013】
本発明の態様に従った実施例によると、ユーザの口腔内に挿入されるように適合され、100kHzから300MHzの範囲内の周波数を有する電磁場を領域制限するための口腔治療ユニットであって、口腔治療ユニットは、
口腔治療ユニットに結合又は一体化された第1の洗浄要素と;
初期電磁場を受信し、収束された電磁場を出力するように適合され、口腔治療ユニットに結合又は一体化された材料構造であって、材料構造は、受信された初期電磁場を材料構造の近距離場領域に領域制限する受動的電磁場収束機能を有する、材料構造と
を備える、口腔治療ユニットが提供される。
【0014】
材料構造は、
負の又はほぼゼロの有効誘電率と;
負の又はほぼゼロの有効透過率と;
負の又はほぼゼロの屈折率と
のうちの1つ又は複数を有する。
【0015】
口腔治療ユニットは、ユーザの歯又は歯茎の領域に領域制限された電磁(EM)場を生むことによってユーザの口の洗浄において支援するために、材料構造の近距離場領域内に例えば無線周波数(RF)範囲内の周波数を有する電磁場を収束させる手段を提供する。
【0016】
このようにして、誘電性バリア又はユーザの口に接触する口腔治療ユニット内の任意の露出した電気導電体を必要とすることなく、収束EM場が生成される。
【0017】
更に、収束機能は材料構造の特性であるので、EM場の形状及び焦点は、口腔治療ユニットの任意の所与の実施態様に従って調節される。
【0018】
実施形態において、材料構造は、複数のユニットセルを備え、任意選択的に、複数のユニットセルはアレイ状に配置される。
【0019】
このようにして、もしもユニットセルの寸法が、印加されるEM場の波長よりも著しく小さかったならば、材料構造は、その全体的な電磁的特性がEM場を修正する単一の要素として働き、EM場の結果的な領域制限、分布及び成形が、ユニットセル内の個々の特性の均質化からもたらされる。
【0020】
実施形態において、口腔治療ユニットは、第2の洗浄要素を更に備え、材料構造は、第2の洗浄要素の少なくとも一部又は全てを形成する。
【0021】
このようにして、材料構造は、機械的洗浄動作及びEM場の領域制限又は成形の両方に寄与し、それによって、2つの機能を実施する。
【0022】
実施形態において、ユニットセルは、
平面的導電性螺旋構造;
平面的導電性リング構造;
平面的導電性蛇行ライン構造;
3D導電性螺旋構造;
3D導電性リング構造;又は、
3D導電性蛇行ライン構造
を備える。
【0023】
このようにして、材料構造によって受信されたEM場は、一過性の波に変換される。
【0024】
実施形態において、材料構造は、
第1の周波数範囲内の第1の周波数を有する第1の電磁場を受信し、収束させるように適合された第1のユニットセルと;
第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲内の第2の周波数を有する第2の電磁場を受信し、収束させるように適合された2のユニットセルと
を備える。
【0025】
このようにして、異なるデバイス動作モードを作動させることを必要とすることなく、異なる周波数を有する複数のEM場が提供され得る。
【0026】
実施形態において、口腔治療ユニットは、材料構造によって受信される初期電磁場を生成するように適合された1つ又は複数のトランスミッタコイルを更に備える。
【0027】
実施形態において、口腔治療ユニットは、第1のユニットセルによって受信される第1の周波数範囲内の第1の電磁場と、第2のユニットセルによって受信される第2の周波数範囲内の第2の電磁場とを生成するように適合されたマルチハーモニックトランスミッタコイルを更に備える。
【0028】
実施形態において、口腔治療ユニットは、第1の周波数範囲内の第1の周波数を有する電磁場を生成するように適合された第1のトランスミッタコイルと、第2の周波数範囲内の第2の周波数を有する電磁場を生成するように適合された第2のトランスミッタコイルとを更に備える。
【0029】
実施形態において、トランスミッタコイルのコイルループ及びユニットセルの螺旋構造は、平行及び/又は同心状に並べられる。
【0030】
このようにして、トランスミッタコイルとユニットセル又は材料構造との間の結合が向上される。
【0031】
本発明の態様に従った実施例によると、上述された口腔治療ユニットと組み合わされて使用されるベースユニットであって、ベースユニットは、
電源と;
所与の周波数範囲内の周波数を有する電気信号を生成するように適合され、電源と結合された電気信号生成ユニットと;
所与の周波数範囲内の周波数を有する少なくとも1つの電磁場を生成し、口腔治療ユニットに送信するように適合され、電気信号生成器と通信する1つ又は複数のトランスミッタコイルと
を備える、ベースユニットが提供される。
【0032】
本発明の態様に従った実施例によると、上述された口腔治療ユニットと組み合わされて使用されるベースユニットであって、ベースユニットは、
電源と;
口腔治療ユニットのトランスミッタコイルに供給する所与の周波数範囲内の周波数を有する電気的駆動信号を生成するように適合され、電源と結合された電気信号生成ユニットと
を備える、ベースユニットが提供される。
【0033】
本発明の態様に従った実施例によると、
上述された口腔治療ユニットのうちの1つ又は複数と;
上述されたベースユニットと
を備え、口腔治療ユニットはベースユニットに一時的に結合されるように適合される、口腔洗浄デバイスが提供される。
【0034】
本発明の態様に従った実施例によると、
上述された口腔治療ユニットのうちの1つ又は複数と;
上述されたベースユニットと
を備え、
口腔治療ユニットはベースユニットに一時的に結合されるように適合され、口腔治療ユニットは第1の電気的接点を更に備え、ベースユニットは第2の電気的接点を更に備え、口腔治療ユニットがベースユニットに結合されたときに第1の電気的接点と第2の電気的接点とが接触する、口腔洗浄デバイスが提供される。
【0035】
実施形態において、口腔治療ユニットは、電気歯ブラシヘッド又は電気歯ブラシヘッドの一部であり、電気歯ブラシヘッドは、任意選択的に、流体射出ノズルを備え、ベースユニットは電気歯ブラシハンドルであるか、又は、上述された口腔治療ユニットのうちの1つ又は複数が、口腔治療マウスピースのブラッシング弓状部の少なくとも一部を形成するように配置され、ベースユニットは電気マウスピースハンドルである。
【0036】
本発明の更なる態様に従った実施例によると、ユーザの口腔内に挿入されるように適合され、1MHzから300GHzの範囲内の周波数を有する電磁場を領域制限及び変調するための口腔治療ユニットであって、口腔治療ユニットは、
口腔治療ユニットに結合又は一体化された第1の洗浄要素と;
初期周波数を有する電磁場を受信し、収束された電磁場を出力するように適合され、口腔治療ユニットに結合又は一体化された電磁場収束要素であって、電磁場収束要素は、第1の材料構造を備え、第1の材料構造は、
第1の材料構造の近距離場領域における減衰率制御機能;又は
電磁場に対する伝播方向修正機能
のうちの1つ又は複数を実施することによって、受信された電磁場を第1の材料構造から所与の距離に領域制限する第1の受動的電磁場収束機能を有する、電磁場収束要素と
を備え、
電磁場収束要素は、領域制限された電磁場を変調し、それによって、変調された電磁場を生成する変調機能を有する、口腔治療ユニットが提供される。
【0037】
電磁場収束要素を備える口腔治療ユニットは、到来する電磁場を、無線周波数範囲などの所望の周波数範囲に変調するための手段を提供する。
【0038】
無線周波数範囲内の周波数を有する電磁場は、口腔治療用途には望ましいが、無線周波数のために調整された受動的電磁場収束機能を有する材料構造は、例えば材料構造のフォームファクタ又は製造コストのせいで、口腔治療用途への適用には適していない。GHz周波数など、無線周波数よりも大きな周波数のために調整された受動的電磁場収束機能を有する材料構造は、従来の製造技術を使用してより小さなフォームファクタに製造され、それによって、製造のコストを低減するが、GHz範囲内の周波数を有する電磁場は口腔治療用途のために常に最適であるわけではない。
【0039】
それ故、変調機能を有する電磁場収束要素を有する口腔治療ユニットを提供することによって、口腔治療ユニットは、GHz周波数範囲など、高電磁周波数範囲に電磁場を収束及び領域制限するように調整された材料構造を含み、変調機能は、口腔の治療における使用のために周波数を無線周波数範囲にするように、収束EM場の周波数を変調させる。
【0040】
実施形態において、変調機能は、領域制限された電磁場の初期周波数を変調し、それによって、変調及び領域制限された、初期周波数よりも低い所望の周波数範囲内の変調された周波数を有する電磁場を生成する周波数ダウンシフト機能を含む。
【0041】
このようにして、例えばGHz範囲内の、領域制限されたEM場の初期周波数は、無線周波数範囲などの所望の周波数範囲にシフトダウンされる。
【0042】
実施形態において、変調機能は、
領域制限された電磁場の周波数と;
領域制限された電磁場の振幅と;
領域制限された電磁場の位相と
のうちの1つ又は複数を変調するように適合される。
【0043】
このようにして、初期EM場は、用途に応じて任意の所望のやり方において変調される。
【0044】
実施形態において、電磁場収束要素は、変調機能を実施するための機械的アクチュエータを備え、機械的アクチュエータは第1の材料構造に対して機械的振動を付与するように適合され、任意選択的に、機械的アクチュエータは、
CMUTと;
電気活性ポリマーと;
強誘電性ポリマーアクチュエータと;
圧電アクチュエータと;
圧電屈曲アクチュエータと;
MEMS傾斜運動デバイスと
のうちの1つ又は複数を備える。
【0045】
材料構造の受動的電磁場収束機能は、材料構造の内部共振によって制御される。機械的アクチュエータによって材料構造に機械的振動を提供することによって、材料構造の内部共振は、機械的振動の周波数に基づいて変調される。機械的アクチュエータは、例えば、設計によって、又は、追加的な電気ダイオードコンポーネントを含むことによって、非線形的性能を有する。
【0046】
実施形態において、機械的アクチュエータは柔軟性コンポーネント(335)を備え、第1の材料構造は機械的アクチュエータに組み込まれる。
【0047】
このようにして、機械的作動ユニット及び材料構造は、信号変調及び電磁場収束機能の両方を実施する単一のコンポーネントとして形成される。
【0048】
実施形態において、第1の材料構造は第2の受動的電磁場収束機能を有し、第1の受動的電磁場収束機能は受信された電磁場の第1の周波数成分に対して働き、第2の受動的電磁場収束機能は受信された電磁場の第2の周波数成分に対して働く。
【0049】
このようにして、第1及び第2の周波数成分の両方が収束され、第1の材料構造内に領域制限され、それによって、ヘテロダインとも称される周波数混合を発生させ、それによって、受信された電磁場の周波数を変調する。
【0050】
実施形態において、電磁場収束要素は第2の材料構造を備え、第2の材料構造は第2の受動的電磁場収束機能を有し、第1の受動的電磁場収束機能は受信された電磁場の第1の周波数成分に対して働き、第2の受動的電磁場収束機能は受信された電磁場の第2の周波数成分に働き、任意選択的に、収束された第1の周波数成分及び収束された第2の周波数成分が第1の材料構造及び第2の材料構造の両方内に領域制限され、それによって、受信された電磁場の収束された第1の周波数成分と受信された電磁場の収束された第2の周波数成分との間に周波数混合を発生させ、それによって、周波数変調機能を実施するように、第1の材料構造は第2の材料構造に対して配置される。
【0051】
このようにして、第1及び第2の周波数成分の両方が収束され、第1及び第2の材料構造内に領域制限され、それによって、ヘテロダインとも称される周波数混合を発生させ、それによって、受信された電磁場の周波数を変調する。
【0052】
実施形態において、第1の材料構造及び/又は第2の材料構造は、時間ドメイン波形を収束された電磁場に付与する時間遅延機能を有する。
【0053】
このようにして、例えば所与のデューティサイクルを有する一連の収束された電磁パルスを送達するために、時間ドメイン波形が電磁場に付与される。
【0054】
実施形態において、電磁場収束要素は、受信された電磁場に対して周波数変調機能を実施するように適合された非線形電子コンポーネントを備え、任意選択的に、非線形電子コンポーネントは、
ダイオードと;
複数のダイオードと;
MIMデバイスと;
トランジスタと;
受動トランジスタと
のうちの1つ又は複数を備える。
【0055】
実施形態において、口腔治療ユニットは、電磁場収束要素によって受信される電磁場を生成するように適合された1つ又は複数のトランスミッタコイルを更に備える。
【0056】
本発明の態様に従った実施例によると、上述された口腔治療ユニットと組み合わされて使用されるベースユニットであって、ベースユニットは、
電源と;
所与の周波数範囲内の周波数を有する電気信号を生成するように適合され、電源と結合された電気信号生成ユニットと;
所与の周波数範囲内の周波数を有する少なくとも1つの電磁場を生成し、口腔治療ユニットに送信するように適合され、電気信号生成器と通信する1つ又は複数のトランスミッタコイルと
を備える、ベースユニットが提供される。
【0057】
本発明の態様に従った実施例によると、上述された口腔治療ユニットと組み合わされて使用されるベースユニットであって、ベースユニットは、
電源と;
口腔治療ユニットの1つ又は複数のトランスミッタコイルに供給する所与の周波数範囲内の周波数を有する電気的駆動信号を生成するように適合され、電源と結合された電気信号生成ユニットと
を備える、ベースユニットが提供される。
【0058】
本発明の態様に従った実施例によると、
上述された口腔治療ユニットのうちの1つ又は複数と;
上述されたベースユニットと
を備え、口腔治療ユニットはベースユニットに一時的に結合されるように適合される、口腔治療デバイスが提供される。
【0059】
本発明の態様に従った実施例によると、
上述された口腔治療ユニットのうちの1つ又は複数と;
上述されたベースユニットと
を備え、
口腔治療ユニットはベースユニットに一時的に結合されるように適合され、口腔治療ユニットは第1の電気的接点を更に備え、ベースユニットは第2の電気的接点を更に備え、口腔治療ユニットがベースユニットに結合されたときに第1の電気的接点と第2の電気的接点とが接触する、口腔治療デバイスが提供される。
【0060】
本発明の態様に従った実施例によると、上述された口腔洗浄デバイスであって、
口腔治療ユニットは、電気歯ブラシヘッド又は電気歯ブラシヘッドの一部であり、電気歯ブラシヘッドは、任意選択的に、流体射出ノズルを備え、ベースユニットは電気歯ブラシハンドルであるか、又は、
1つ又は複数の口腔治療ユニットが、口腔治療マウスピースの弓状部の少なくとも一部を形成するように配置され、ベースユニットは電動マウスピースハンドルである、口腔洗浄デバイスが提供される。
【0061】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかであり、これらを参照することによって解明されよう。
【0062】
次に、本発明のより良好な理解のために、及び、本発明がどのように実行に移されるかをより明確に示すために、添付の図面が例示のみを目的として参照される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】既存の口腔治療ユニットのシミュレーション結果の例の概略的な図を示す。
【
図2】本発明の態様によるユーザの口腔を治療するための口腔治療ユニットの概略的な図を示す。
【
図3a】
図2において示された材料構造の例示的なユニットセルの概略的な図を示す。
【
図3b】
図3aのユニットセルのための対応するR-L-C等価共振回路を示す。
【
図4】本発明の態様による口腔治療ユニットの更なる実施例を示す。
【
図5】本発明の態様による口腔治療ユニットの更なる実施例を示す。
【
図6】本発明の態様による口腔治療ユニットの更なる実施例を示す。
【
図7】本発明の態様による口腔洗浄デバイスの実施例を示す。
【
図8】口腔洗浄デバイスが洗浄又は治療マウスピースである実施例を示す。
【
図9】本発明の態様による口腔洗浄デバイスを使用するための方法を示す。
【
図10】本発明の態様による変調機能を有する口腔治療ユニットの実施例を示す。
【
図11】本発明の態様による変調機能を有する口腔治療ユニットの更なる実施例を示す。
【
図12】本発明の態様による変調機能を有する口腔治療ユニットの更なる実施例を示す。
【
図13】2つの異なる周波数成分に対して動作することが可能な材料構造のユニットセルの実施例を示す。
【
図14】本発明の更なる態様による口腔洗浄デバイスを使用するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明が図面を参照して説明される。
【0065】
詳細な説明及び特定の実施例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すが、例示のみを目的とすると意図されるものであり、本発明の範囲を限定すると意図されるものでないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム及び方法のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良好に理解されよう。図面は単なる概略であって、縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。図面全体を通じて同一の又は類似の部分を示すために同一の参照番号が使用されることも理解されるべきである。
【0066】
本発明は、口腔内に挿入されるように適合され、100kHzから300MHzの範囲内の周波数を有する電磁場を領域制限するための口腔治療ユニット又は複数の口腔治療ユニットのアセンブリを提供し、これは、ベースユニットと組み合わされて口腔洗浄デバイスの一部を形成し、口腔治療ユニットに結合される第1の洗浄要素を含む。口腔治療ユニットは、初期電磁場を受信し、収束された電磁場を出力するように適合され、口腔治療ユニットに結合された材料構造を更に含み、材料構造は、受信された初期電磁場を材料構造の近距離場領域に収束させる受動的電磁場収束機能を有する。
【0067】
本発明の更なる態様は、口内に挿入されるように適合され、1MHzから300GHzの範囲内の周波数を有する電磁場を領域制限及び変調するための口腔治療ユニット又は複数の口腔治療ユニットのアセンブリを提供し、これは、ベースユニットと組み合わされて口腔洗浄デバイスの一部を形成し、口腔治療ユニットに結合された第1の洗浄要素を含む。口腔治療ユニットは、初期周波数を有する電磁場を受信し、収束された電磁場を出力するように適合された電磁場収束要素を更に備える。電磁場収束要素は、第1の材料構造を備え、第1の材料構造は、第1の材料構造の近距離場領域における減衰率制御機能;又は電磁場に対する伝播方向修正機能のうちの1つ又は複数を実施することによって、変調された電磁場を第1の材料構造から所与の距離に領域制限する第1の受動的電磁場収束機能を有する。電磁場収束要素は、領域制限された電磁場を変調し、それによって、変調された電磁場を生成する変調機能を有する。
【0068】
図2は、本発明の態様によるユーザの口腔を治療するための口腔治療ユニット20の概略的な図を示す。口腔の治療としては、例えば、ユーザの歯、歯茎又は舌のうちの任意のものの洗浄などがある。
【0069】
口腔治療ユニット20はプラテン22を備え、これは、所望の実施態様に従って成形されるデバイス又はデバイスのサブユニットを形成する様々なコンポーネントを受けるための基本的部品として定められる。例えば、プラテンは、平面的であり、又は湾曲している。口腔治療デバイスは、口腔治療デバイスに結合された1つ又は複数の洗浄要素24を備える。口腔治療ユニットは、ブラッシングマウスピースなどの任意の適切な口腔治療デバイスの一部を形成する。
図2において示された実施例において、口腔治療ユニットは、電気歯ブラシなどの歯ブラシのヘッドの一部であり、洗浄要素は歯ブラシの毛である。代替的な口腔治療ユニット及び洗浄要素は、以下において更に説明される。
【0070】
口腔治療ユニット20は、複数のユニットセルを備える材料構造26を更に備え、これは口腔治療デバイスに結合され、電磁場28を受信し、収束された電磁場30を出力するように適合される。材料構造は、受信された無線周波数信号を材料構造の近距離場領域に収束させる受動的無線周波数収束機能を有する。
【0071】
材料構造は、いわゆるメタ材料、より具体的には電磁的メタ材料の一例である。計算機モデリング及びアルゴリズム設計プロセスを使用して、負の又はほぼゼロの有効誘電率、負の又はほぼゼロの有効透過率、及び負の又はほぼゼロの屈折率などの、調整可能で風変わりな電磁的特性を有する電磁的メタ材料が設計され得る。
【0072】
メタ材料は、新興の技術であり、その組成によってではなく、その構造、すなわち、1つ又は複数の材料及びユニットセルの幾何学的配置によって影響される人工材料として定義される。メタ材料は、負の屈折率など、自然に発生する材料においては得られない特徴を可能とするように設計される。材料構造26などのメタ材料は、ユニットセルのアレイから成り、以下に更に論じられるように、その特徴的サイズは、本明細書において説明されるデバイスによって利用される信号波長よりも著しく小さい。材料構造の例示的なユニットセルに関する詳細は、
図3を参照して以下に論じられる。
【0073】
所望の電磁場収束機能に従ってメタ材料の有効特性を調整することによって、電磁波及び/又は電磁場は、電磁波を吸収、遮断、増強、屈曲又は反射することによって操作される。
【0074】
電磁的メタ材料は、負の又はほぼゼロの有効透過率、負の又はほぼゼロの有効誘電率、又は負の又はほぼゼロの屈折率を示し、負の又はほぼゼロの屈折率は、材料構造の誘電率及び透過率の両方が同時に負であるときに生まれる。
【0075】
概して、EM場収束には負の屈折率が望ましい。低MHz無線周波数(RF)範囲内の周波数を有するEM場の場合、線源から1波長未満だけ離れた場所として定義される近距離場における超分解能だけが必要とされる。更に、負であることが必要なのは有効電磁的特性のうちの1つだけであり、というのは、収束されたRF電磁場を生むために一過性の波を増強するためにはそれだけで十分だからである。加えて、低周波数の準静的限界において、すなわち低MHz範囲内の周波数について、電場及び電磁場はほとんど分離され、それによって、材料要件を単純化する。
【0076】
本発明の関心対象となるEM場は、無線周波数(RF)範囲からマイクロ波まで、例えば100kHz~300GHzの広範囲の周波数を有し、波長は、一般的に、メートル範囲まで長く、これは、口腔洗浄デバイスなどの小さなデバイスにとっては特に大きすぎる。従って、メタ材料のユニットセルは、深サブ波長領域のための寸法まで小型化される。現在、2000から14400までのユニットセルサイズに対する波長の比率が可能であり、口腔ケアデバイスに適した小型化されたコンパクトなRFメタ材料構造を可能とする。
【0077】
図3aは、平面図における例示的なユニットセル40の概略的な図を示し、材料構造の断面
図41が
図2において示されている。
図3bは、
図3aのユニットセル40のための対応するR-L-C等価共振回路50の単純化されたバージョンを示す。
【0078】
図3aにおいて示されるユニットセル40の特性は、いくつかの特徴的な寸法によって定められる。これらは、導電路42の幅、導電路の間の間隔、誘電層45の全体的長さを通じて誘電層の底部の第2の中央容量性パッド(図示されず)に接続され得る中央容量性パッド44の辺長である。いくつかの実施例において、中央容量性パッド44は、誘電層45の厚さ全体には延在しない。メタ材料のEM場成形及び収束効果は、ユニットセル内の内部共振によって誘起された、負の透過率などの負の有効電磁的パラメータのおかげである。内部共振はユニットセルの設計によって定められ、これは、
図3bにおいて示される共振R-L-C回路と等価的に見なされ得、インダクタンス及び容量は、導電率、透過率及び誘電率などの材料パラメータに加えてユニットセルの幾何学的パラメータの関数である。ユニットセルの内部共振に影響を与える追加的な幾何学的パラメータとしては、巻き数、矩形コイルの辺長、ユニットセルサイズ及びユニットセルの異なる層の間の距離などがある。
【0079】
更に、ユニットセルは、断面
図41によって示されるように、誘電層45を含む。誘電層は、任意の適切な誘電材料で形成される。実施例において、誘電層は、ガラス強化エポキシ積層材料から構成される。
【0080】
図3bにおいて示されるR-L-C回路は、ユニットセル設計の準静的表現に対応する。インダクタンスLは、螺旋の自己インダクタンスによって与えられ、容量Cは、平行な側壁(隣接する巻き)と、ユニットセルの中央の2つの矩形導電パッドによって形成される垂直キャパシタとの間の総分布容量の合計によって与えられる相当する容量に対応し、レジスタRは、スキン効果によって生じる抵抗、渦電流によって生じる近接損失、金属配線のシート抵抗、及び誘電損失の合計によって与えられる総抵抗に対応する。隣接しない側壁間の容量結合などの高次効果は、無視できるものと見なされる。
【0081】
図3aにおいて示されるユニットセルは、平面的螺旋共振体の一例であり、これは、負の又はほぼゼロの有効透過率を呈するメタ材料のグループに属するが、負の又はほぼゼロの誘電率、又は負の又はほぼゼロの屈折率も実現される。RF周波数範囲内の信号のためのこのタイプの深サブ波長メタ材料設計の実施例は、a~λ
0/2000程度のユニットセルサイズaを有し、ここでλ
0は自由空間波長であり、aはユニットセルの特徴的なサイズである。3MHzから300GHzの間の範囲の無線周波数の自由空間波長はほぼ1ミリメートルから100メートル程度である。上記の長さの分数(λ
0/2000)に従って、0.5μm~50mmのユニットセルサイズを有するメタ材料が設計され、これは口腔洗浄デバイス、例えば、歯ブラシのプラテン内又はマウスピースの全体的弓状部などのための許容範囲内にある。λ
0/14400の最新の製造技術に従うと、0.07μm~7mmの更に小さいユニットセルサイズも設計される。
【0082】
負の又はほぼゼロの誘電率ε及び/又は負の又はほぼゼロの磁気透過率μ及び/又は負の又はほぼゼロの屈折率を有する上述された材料構造又はメタ材料は、受動的要素と考えられる。構造的設計を通じて、送信されたRF場は材料構造によって受信され、それによってメタ材料を通過して、一過性の波、すなわち、電磁波としては伝播しないがそのエネルギーが空間的に、特には材料構造の近距離場領域内に集中する振動する電場及び/又は電磁場を生み、又は、以下に更に論じられるようなGHz周波数範囲内の周波数の場合には方向変更された伝播波を生む。
【0083】
上に論じられたように、メタ材料は内部共振するユニットセルを構築ブロックとして利用する。メタ材料の基礎をなす物理現象は、信号干渉の形態での、内部共振と到来する電磁波との間の相互作用及びユニットセル間の相互作用からもたらされる。両方の相互作用は組み合わされて、バンドギャップ、一過性の波が生じる周波数帯域を生じさせ、波動減衰を促進する。ただ1つの共振体(ユニットセル)を有するだけでは局所的な減衰しか(特定の周波数におけるモーダルな結合しか)もたらさない。共振体の集合的配置を有することで、全体的な減衰が生成され、故に、バンドギャップ及び対応する一過性の波が生成される。
【0084】
本明細書において論じられる材料構造内のユニットセルは、ユニットセルの規則的なアレイを形成するように1D、2D、又は3Dの周期的配置に配置される。
【0085】
典型的には、提案されるメタ材料の有効特性を設計及び測定するために、インシリコモードと称される計算機によるシミュレーションが使用される。インシリコ設計された材料は、薄膜製造プロセス、積層造形、及びプリント回路基板フォトリソグラフィなどの商用の標準的な製造技術を使用して容易なやり方で製造され得る。
【0086】
更に、特定の目標特性を有するメタ材料は、機械学習などの既存の設計プロセスを使用して設計され、これは、大きなパラメトリック設計空間を探索するために使用され得、スクラッチからメタ材料構造を設計することさえ可能である。加えて、トライアルアンドエラーパラメトリック探索法が、いくつかの調節可能なパラメータを有する初期メタ材料反復ユニットの設計など、制約の所与のセット内で設計を最適化するために使用される。
【0087】
3Dプリンティングなどの新たな作成技術は、電磁的メタ材料などの複雑な内部構造を有する材料の迅速で安価な生産を可能とする。
【0088】
簡単に
図2を振り返ると、上述された材料構造26を備える口腔治療ユニット20は、受信された無線周波数信号28を、例えば上述されたユニットセルのアレイによって実現された収束機能によって成形し、収束させる手段を提供する。換言すれば、材料構造26は、伝播する電磁場28を一過性の波に変換し、それによって受動的EM場30を促進するか、又は、伝播する波を操作/方向変更し、例えば、負の屈折を促進し、場収束30を可能とする。
【0089】
図4は、本発明の態様による口腔治療ユニット60の更なる実施例を示す。
図2と共有される参照番号は類似の特徴を指す。
【0090】
図4において示される実施例において、口腔治療ユニット60は、追加的な洗浄要素62を更に備え、材料構造26は追加的な洗浄要素に組み込まれるか、又は、材料構造26は追加的な洗浄要素62自体を形成するように配置される。
【0091】
言い換えれば、メタ材料ユニットセル、又はメタ材料構造を備える追加的な洗浄要素62は、2つの機能を実施する。1つ目は、未修正の洗浄要素24、すなわち毛とともになされる機械的洗浄である。2つ目は、追加的な洗浄要素62に組み込まれた材料構造によるEM場収束であり、追加的な洗浄要素62は、誘電体マトリックスに埋め込まれた細長い、平面外の螺旋共振体、又は大径(幅広)の高分子洗浄要素(例えば、毛)を備え、高分子洗浄要素は、上部層及び底部層にプリントされた平面的な螺旋メタ材料構造であって、追加的な洗浄要素の長さを貫通する導電性ワイヤによって接続された平面的な螺旋メタ材料構造を有する。
【0092】
材料構造のユニットセルの基本的な設計は、
図3aにおいて示されたものと同一である。しかしながら、メタ材料は洗浄要素、例えば毛、シリコーン柱、ゴム状パッド、又はプロフィーカップに直接的に一体化されるので、追加的に材料構造に洗浄機能が付加されている。
【0093】
図5は、本発明の態様による口腔治療ユニット70の更なる実施例を示す。
図2と共有される参照番号は類似の特徴を指す。
【0094】
図5において示される実施例において、口腔治療ユニット70は、上述された材料構造26によって受信される電磁場28を送信するように適合されたトランスミッタコイル72を更に備える。
【0095】
この実施例において、単一のループ又はソレノイドを有し、電磁場を送信するトランスミッタコイルは、口腔治療ユニットのプラテン内に位置する。トランスミッタコイルは、口腔治療ユニット内に一体化され、又は、口腔治療ユニットに一時的に取り付けられる。材料構造は、トランスミッタコイルから固定的な距離の位置、典型的には、0.5~5mmの距離に位置する。この距離は、トランスミッタコイルと材料構造との間の結合を最適化するように調節される。コイルループ及び螺旋メタ材料は、電磁場をメタ材料内に効率的に結合するように、互いに対して平行及び同心状に対向し、1つの平面内に同心状に並べられる。
【0096】
上述されたように、メタ材料の負の又はほぼゼロの有効特性(誘電率、屈折率及び透過率)は、電磁場及びエネルギーの漏れを最小化し、歯又は歯茎組織に向かったより良好な近距離場収束30を促進する。
【0097】
図6は、複数の洗浄要素76と、第1の周波数範囲内の第1の周波数を有する電磁場を受信し、領域制限するように適合された第1のユニットセル77のアレイと、第1の周波数範囲とは異なる第2の周波数範囲内の第2の周波数を有する電磁場を受信し、領域制限するように適合された第2のユニットセル78のアレイとを備える口腔治療ユニット75の更なる実施例を示す。
【0098】
換言すれば、口腔治療ユニット又は材料構造は、複数のユニットセルの1つ又は複数のアレイを備え、その各々は、異なる動作周波数に対して調整された電磁場レンズとして働き、故に、歯ブラシ及びマウスピースなどの口腔ケアデバイスにおいて実現され得る複数の動作モードを促進する。
【0099】
この実施形態において、複数の周波数において電磁場を送信するマルチハーモニックトランスミッタコイル又は複数のトランスミッタコイルのいずれか1つが、口腔治療ユニット又はベースユニットに組み込まれる。
【0100】
言い換えれば、口腔治療ユニットは、異なる共振周波数について増強されたEM場領域制限を提供するように構成されたメタ材料のアレイを含み、歯石、バイオフィルム、着色、歯茎組織、ポケット、人工歯根、歯列矯正などの口腔における特定のゾーンを対象とする複数の動作モードを可能とする可能性を有する。このようにして、複数のEMエネルギーレベルが、異なるデバイス動作モードを作動させることを必要とすることなく、要望に応じて提供され得る。例えば、口腔治療ユニットは、全てが異なるデバイス設定を必要とする以下のモード、すなわち、着色の除去のために洗浄モード、歯石治療モード、又は歯肉ポケットの治療のための歯茎ヘルスモードを実施する。
【0101】
上述された口腔治療ユニットは、電気歯ブラシハンドルなどのベースユニットと組み合わされて使用される電気歯ブラシヘッドの一部であるか、又はこれに一体化される。
【0102】
図7は、本発明の態様による口腔洗浄デバイス80の実施例を示し、口腔治療ユニット70の内側のトランスミッタコイル72へのエネルギー及び信号送信路が、破線で示されている。
【0103】
口腔洗浄デバイスは、ベースユニット82に一時的に結合された上述の口腔治療ユニット70を備え、ベースユニット82は、電源84と、電源に結合され、電気的駆動信号を生成するように適合された電気信号生成ユニット86とを備える。ベースユニットは、洗浄のために必要とされる機械的運動を生成するための駆動トレイン/伝達技術又はアクチュエータを更に備える(図示されず)。
【0104】
口腔治療ユニットが、破線で示されているトランスミッタコイル72を備える場合、口腔治療ユニットはベースユニットに一時的に結合されるように適合され、口腔治療ユニットは第1の電気的接点88を更に備え、ベースユニットは第2の電気的接点90を更に備え、口腔治療ユニットがベースユニットに結合されたときに第1の電気的接点と第2の電気的接点とが接触する。故に、電気信号生成ユニット86によって生成された電気信号は、出力される収束EM場30を生むために材料構造26に受信される電磁場28を生成するために口腔治療ユニットにおけるトランスミッタコイル72に提供される。
【0105】
或は、もしも口腔治療ユニットがトランスミッタコイルを備えていないならば、ベースユニット82が、口腔治療ユニットに電磁信号を送信するように適合され、電気信号生成器と通信するトランスミッタコイルを備える。この場合、口腔治療ユニットとベースユニットとの間の電気的接点は必要とされず、材料構造が受動的なので、口腔治療ユニット内に電動のコンポーネントは必要とされない。
【0106】
上述された実施例において、電気歯ブラシの文脈で口腔洗浄デバイスが説明された。しかしながら、口腔洗浄デバイスは、ブラッシング/洗浄又は治療マウスピースなどの任意の口腔洗浄デバイスであってよい。
【0107】
図8は、口腔洗浄デバイスが治療マウスピース100である実施例を示し、複数の口腔治療ユニット115が弓状部110を形成するように結合及び配置されている。
図2及び
図4を参照して詳細に上述されたように、口腔治療ユニット115の各々は、口腔治療ユニットに一時的に結合されたベースユニット135に位置する複数のトランスミッタコイル130から供給された受信された電磁場から領域制限された電磁場を生むように適合された材料構造を備える。ベースユニット135は、
図7を参照して上述された電源140と信号生成器145とを更に備える。
【0108】
図9は、上述された口腔洗浄デバイスを使用するための方法200を示す。
【0109】
方法は、ステップ210において、口腔洗浄デバイスの1つ又は複数の口腔治療ユニットをユーザの口の中に提供することによって開始される。
【0110】
ステップ220において、口腔治療ユニットの洗浄要素が、機械的洗浄運動を使用してユーザの口腔を洗浄するために使用され、電磁信号が口腔治療ユニットの材料構造に送信され、それによって、洗浄プロセスにおける支援のために、収束された無線周波数電磁場をユーザの口腔の歯茎又は歯の近傍に生成する。
【0111】
上述された実施例において、口腔洗浄ユニットの材料構造は、受信された電磁場に対して受動的電磁場収束機能だけを実施するように適合される。口腔治療の分野において、収束された電磁場は、好ましくは、無線周波数範囲内にある。それ故、上記の実施例は、無線周波数範囲内の周波数を有する電磁場を受信するように適合され、特には、材料構造又は材料構造のユニットセルは、無線周波数範囲内の周波数を有する電磁場を収束及び領域制限するように適合される。
【0112】
しかしながら、口腔治療デバイスにおける使用に適切なサイズ及びフォームファクタの無線周波数範囲内の受動的電磁場収束機能を有する材料構造又はユニットセルは、製造が難しく、コストがかかる。
【0113】
上述された長さの等式の分数に従うと、0.5μmから150mmの間のユニットセルサイズを有し、1MHzから300GHzの範囲内の周波数を有する電磁場を収束させるように適合されたメタ材料は、従来の設計技術によって設計され得、又は0.07μmから21mmくらい小さいものが先進の設計技術によって設計され得、これらは口腔治療デバイスのために、例えば、歯ブラシのブラシヘッド又はマウスピースの弓状部における配置のために許容可能な範囲である。
【0114】
メタ材料について、低電磁周波数範囲の代わりに高電磁周波数範囲の電磁場で働くことの利点としては、口腔治療デバイスの内側にふさわしい低減されたフォームファクタ、広範なメタ材料設計の可能性などがあるが、より高い周波数において動作するEM場は、口腔ヘルスケア用途には適していない。
【0115】
それ故、発明者は、上述された口腔治療ユニット、ベースユニット及びこれらの組み合わせの特徴及び機能に加えて、口腔治療ユニットが、例えばGHz周波数範囲内の初期周波数を有する電磁場を受信し、MHz周波数範囲、例えば無線周波数範囲内の収束された電磁場を出力するように適合された電磁場収束要素を備え得ることを認識した。電磁場収束要素は、上述された材料構造などの第1の材料構造を備え、第1の材料構造は、第1の材料構造の近距離場領域における減衰率制御機能、又は電磁場に対する伝播方向修正機能のうちの1つ又は複数を実施して、受信された電磁場を第1の材料構造から所与の距離に初期周波数において領域制限する第1の受動的電磁場収束機能を有する。次いで、電磁場収束要素は、変調機能によって電磁場を変調し、それによって、変調及び領域制限された電磁場を生成する。
【0116】
電磁場収束要素及び変調機能は、いくつものやり方で実現され、そのうちのいくつかの例が以下に説明される。以下に説明される口腔治療ユニットは、上述されたシステムのうちの任意のものに組み込まれることが留意されるべきである。
【0117】
変調機能は、領域制限された電磁場の周波数、振幅又は位相のうちの1つ又は複数を変調するように適合される。特定の実施例において、変調機能は、領域制限された電磁場の初期周波数を変調し、それによって、変調及び領域制限された、初期周波数よりも低い所望の周波数範囲内の変調された周波数を有する電磁場を生成する周波数ダウンシフト機能を含む。
【0118】
1つの実施例において、電磁場収束要素は、受信された電磁場に対して周波数変調機能を実施するように適合されたダイオード、複数のダイオード、MIMデバイス(これは、背向ダイオードの機能を有する金属-絶縁体-金属デバイスである)、トランジスタ、又は受動トランジスタなどの非線形電子コンポーネントを備える。
【0119】
図10は、本発明の態様によるユーザの口腔を治療するための口腔治療ユニット300の概略的な図を示す。口腔の治療としては、例えば、ユーザの歯、歯茎又は舌のうちの任意のものの洗浄などがある。
【0120】
前述の実施例と同様に、口腔治療ユニット300は、プラテン22と、口腔治療ユニットに結合された1つ又は複数の洗浄要素24とを備える。上記と同様に、プラテンは、所望の実施態様に従って成形されるデバイス又はデバイスのサブユニットを形成する様々なコンポーネントを受けるための基本的部品として定められる。例えば、プラテンは、平面的であり、又は湾曲している。口腔治療ユニットは、ブラッシングマウスピースなどの任意の適切な口腔治療デバイスの一部を形成する。
図10において示された実施例において、口腔治療ユニットは、電気歯ブラシなどの歯ブラシのヘッドの一部であり、洗浄要素は歯ブラシの毛である。代替的な口腔治療ユニット及び洗浄要素は、以下において更に説明される。
【0121】
図10において示される実施例において、口腔治療ユニット300は、初期周波数を有する電磁場304を受信し、収束及び変調された電磁場306を出力するように適合された電磁場収束要素302を更に備える。電磁場収束要素302は、複数のユニットセルを備える材料構造308を備え、これは電磁場を受信し、収束された電磁場306を出力するように適合される。材料構造は、場減衰制御によって、又は、代替的に、伝播する電磁波の方向変更によって、受信された電磁場を材料構造の近距離場領域に収束させ、それによって、負の屈折及び電磁場の収束を促進する受動的電磁場収束機能を有する。
【0122】
更に、電磁場収束要素302は、容量型微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)、強誘電性ポリマーアクチュエータ、電気活性ポリマー、バイブレータ又はデジタルミラーデバイスなどの、変調機能を実施するための機械的アクチュエータ310を備え、機械的アクチュエータは第1の材料構造308に対して機械的振動を付与するように適合される。機械的アクチュエータによって第1の材料構造に付与される機械的振動は、機械的振動の周波数に従って材料構造又は材料構造のユニットセルの内部共振をシフトさせる。このようにして、領域制限された電磁場の周波数、振幅又は位相が、機械的振動の周波数に従って変調される。例えば、第1の材料構造に対して各々が機械的振動を付与する2つの機械的オシレータを提供することによって、領域制限された電磁場の位相が変調される。
【0123】
実際上、上述されたように口腔治療ユニット又は結合されたベースユニットに位置する1つ又は複数のトランスミッタコイルが、互いに非常に接近した2つの周波数成分によって、例えばGHz範囲内の高周波数電磁場を生成し、放射するために使用される。この電磁場は、機械的アクチュエータ310又は機械的アクチュエータ自体に一体化されたメタ材料を含む混成部に結合された材料構造308に衝突する。材料構造の役割は、一過性の場が生成される場合には減衰率を制御することによって、又は、後進波が生成される場合には焦点距離を制御することによって、電磁場を修正することである。機械的アクチュエータはMHz範囲において動作し、材料構造を形成するユニットセルの内部共振を修正し、それによって、材料構造によって領域制限された電磁場の変調を提供する。
【0124】
言い換えれば、1つ又は複数のメタ材料ユニットセルが、例えばMHz範囲内の低周波数、電磁場制御、及び制御された距離における収束を可能とするために、機械的に作動される。機械的アクチュエータは、例えば、設計によって、又は、追加的な電気ダイオードコンポーネントを含むことによって、非線形的性能を有する。
【0125】
適切な機械的アクチュエータとしては、圧電要素などがあり、これとしては、結晶性アクチュエータが、所望の周波数範囲、例えば、無線周波数のMHz範囲で振動させることが可能な数少ない固体状態(非MEMS)アクチュエータの1つである。例えば、圧電アクチュエータのアレイが、材料構造の下に置かれ、所望のMHz周波数で作動される。
【0126】
標準的な機械的アクチュエータについて、線形作動距離は、アクチュエータが十分に大きくない限り、必要とされるものよりも小さい。その結果として、電磁場収束要素のフォームファクタが、口腔治療ユニットに組み込まれるために理想的なものよりも大きくなる。しかしながら、非常に小型のフォームを有する機械的アクチュエータ、例えば薄い圧電層の二層構造を薄い基板の上部に有する屈曲型アクチュエータが使用可能である。特には、屈曲型アクチュエータにおいては、固定的な基板に比べてより一層小さな圧電層の線膨張からもたらされる、アクチュエータに垂直な屈曲によって、大きな作動距離が達成される。
【0127】
材料構造308は、トランスミッタコイル及びコイルループから固定的な距離に位置付けられ、材料構造のユニットセルは、電磁場を材料構造内に効率的に結合するように、互いに対して平行に対向し、1つの平面内に同心状に並べられる。材料構造が、場の漏れを最小化し、歯又は歯茎組織に向かった制御可能な電磁場収束を提供する一方、電磁的メタ材料に結合された機械的アクチュエータが、制御可能な変調された電磁場を送達する信号変調を提供する。
【0128】
図4に関して上述された実施例と同様に、材料構造は、更に、洗浄要素内に組み込まれ得る。
【0129】
代替的に、機械的アクチュエータ310は、デジタルミラーデバイス(DMD)などの微小電気機械システム(MEMS)傾斜運動デバイスを備え、これは、電極によって生成される静電力を使用して小さなミラーの位置を制御する。MEMSデバイスとして、DMDは、非常に薄いフォームファクタの電磁場収束要素を形成するために、材料構造の下に位置付けられ、この電磁場収束要素は口腔治療ユニットのプラテン内に組み込まれる。
【0130】
材料構造はDMDによって支持され、又は、代替的に、DMDの上に堆積され、MHz周波数で振動させられる。これは、ミラーを前後に素早く傾斜させることで達成される。
【0131】
図11は、上述された電磁場収束要素325を備える口腔治療ユニット320の実施例を示し、機械的アクチュエータ330はメンブラン335を有するCMUTセルを備え、第1の材料構造は部分的に又は全体的にメンブランに組み込まれている。
【0132】
メタ材料ユニットセルを備え、屈曲型機械的アクチュエータのために使用可能とされた混成型メタCMUTセルは、例えば、設計によって、又は、追加的な電気ダイオードコンポーネントによって、非線形作動を行うように適合される。CMUTのメンブランに材料構造を組み込む原理は、CMUTセル、強誘電性ポリマー、又は電気活性ポリマー(EAP)などの任意の適切なタイプの屈曲ベースのアクチュエータに適用される。
【0133】
上述されたように、材料構造に付与される機械的振動は、ユニットセルの内部共振においてシフトを起こすことによって、電磁場を変調する。
【0134】
図12は、第1の材料構造350と第2の材料構造355とを備える電磁場収束要素345を有する口腔治療ユニット340の実施例を示す。
【0135】
上述されたように、第1の材料構造は第1の受動的電磁場収束機能を有する。同様に、第2の材料構造は第2の受動的電磁場収束機能を有し、第1及び第2の収束機能は、受信された電磁場の第1及び第2の周波数成分などの異なる周波数に対してそれぞれ働くように調整される。
【0136】
例えば、1つ又は複数のトランスミッタコイルが、互いに非常に接近した2つの周波数成分によって、例えばGHz範囲内の高周波数電磁場を生成し、放射するために使用される。第1及び第2の材料構造内のこれら2つの周波数成分の組み合わせは、内部の非線形性によって、周波数混合とも称されるヘテロダインをもたらす。電磁場収束要素内の第1及び第2の材料構造は、混合して、変調された電磁場を形成する2つの周波数成分の各々について、制御可能な減衰率を有する一過性の場を生成することによって、又は、例えば後進波の生成を介して電磁波の伝播方向を修正することによって、電磁的出力場306を領域制限し、収束させ、それによって、深焦点距離制御を提供する。
【0137】
言い換えれば、口腔治療ユニットは2つの材料構造を備え、その各々が、受信された電磁場の2つの周波数成分のうちの1つを対象とするように設計された1つ又は複数のユニットセルで構成され、2つの材料構造は、互いに隣接するように積層され、低周波数の電磁場、例えば無線周波数範囲内の電磁場の領域制限及び収束を提供する。
【0138】
第1の材料構造によって電磁場収束要素内の電磁場の第1の周波数成分を領域制限し、第2の材料構造によって電磁場収束要素内の電磁場の第2の周波数成分を領域制限することによって、2つの周波数成分の間に周波数混合が生じ、それによって、個々の周波数成分よりも低い周波数を有する変調された電磁場を生成する。
【0139】
更に、異なる周波数において調整された材料構造の積層は、遅延ラインとして動作し、あるデューティサイクルを有する電磁的インパルスを送達するための矩形波などの、電磁場に対して働く新たな時間ドメイン波形を生成するために使用される。
【0140】
代替的に、電磁場の第1の周波数成分に対して動作するように適合された第1の材料構造と電磁場の第2の周波数成分に対して動作するように適合された第2の材料構造とを備える電磁場収束要素ではなく、第1及び第2の周波数成分の両方に対して動作するように適合された単一の材料構造を備える電磁場収束要素でも同様の結果が達成される。
【0141】
言い換えれば、材料構造は、第1の受動的電磁場収束機能と第2の受動的電磁場収束機能とを有し、第1の受動的電磁場収束機能は受信された電磁場の第1の周波数成分に対して働き、第2の受動的電磁場収束機能は受信された電磁場の第2の周波数成分に対して働く。
【0142】
図13は、電磁場の第1の周波数成分及び第2の周波数成分に対して動作することが可能な材料構造のユニットセル360の実施例を示す。ユニットセル360は、中央導電体365と、第1の導電体370と、第2の導電体375とを備える。
図13から分かるように、第1及び第2の導電体は、それら自体と中央導電体との間の間隔が異なり、これは、ユニットセルが2つの異なる内部共振周波数を有することを意味し、そのうちの1つは第1の導電体(第1の周波数成分に対して働く)のためのものであり、もう1つは第2の導電体(第2の周波数成分に対して働く)のためのものである。
【0143】
この実施例において、材料構造は第1の周波数成分及び第2の周波数成分の両方を第1の材料構造内に領域制限するので、2つの周波数成分の間に周波数混合が生じ、それによって、個々の成分よりも低い周波数を有する変調された電磁場を生成する。
【0144】
図14は、上述された電磁場収束要素を備える口腔洗浄デバイスを使用するための方法400を示す。
【0145】
方法は、ステップ410において、口腔洗浄デバイスの1つ又は複数の口腔治療ユニットをユーザの口の中に提供することによって開始される。
【0146】
ステップ420において、口腔治療ユニットの洗浄要素が、機械的洗浄運動を使用してユーザの口腔を洗浄するために使用され、初期電磁場が口腔治療ユニットの電磁場収束要素に送信され、それによって、洗浄プロセスにおける支援のために、収束及び変調された電磁場をユーザの口腔の歯茎又は歯の近傍に生成する。
【0147】
開示された実施形態に対する変形例が、特許請求された本発明を実践するにあたって、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者によって理解及び実行され得る。特許請求の範囲において、「備える、含む」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数性を排除するものではない。
【0148】
特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0149】
もしも「適合される」という語が特許請求の範囲又は説明において使用されているならば、「適合される」という語は「構成される」という語と等価であると意図されることが留意される。
【0150】
請求項における任意の参照記号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。