(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】スピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 7/06 20060101AFI20241210BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20241210BHJP
H04R 7/22 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04R7/06
H04R9/02 101C
H04R7/22
(21)【出願番号】P 2022575869
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2022125111
(87)【国際公開番号】W WO2024031826
(87)【国際公開日】2024-02-15
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】202222132717.4
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】童 迪江
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲煥▼彬
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲亜▼健
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207010972(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112235698(CN,A)
【文献】特開昭52-030419(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101394684(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/00-7/26
H04R 9/02
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに固定された振動システム及び磁気回路システムとを含むスピーカにおいて、前記振動システムが、振動膜と、前記振動膜の振動発音を駆動するボイスコイルとを含み、前記振動膜が、ドーム部と、前記ドーム部を取り囲むサスペンション部とを含むスピーカであって、
前記ドーム部は、スルーホールが設けられた第1金属ドームと、前記スルーホールを被覆する第2ドームとを含み、前記第1金属ドームは、前記サスペンション部と
前記第2ドームとの間に位置し、且つ前記サスペンション部と
前記第2ドームにそれぞれ固定接続されて
おり、
前記サスペンション部は、円弧状部を含み、
前記磁気回路システムは、前記フレームに固定された底板と、前記底板に固定されて且つ間隔を隔てて設けられた主磁性鋼及び副磁性鋼と、前記主磁性鋼に貼り付けられた主ポールプレートと、前記副磁性鋼に貼り付けられた副ポールプレートとを含み、
前記副ポールプレートには、前記振動膜から離れた方向へ凹んだ退避部が更に設けられ、前記円弧状部の前記振動膜の振動方向に沿った投影は、少なくとも部分的に前記退避部に位置することを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記第1金属ドームは、本体部と、前記第2ドームを接続する第1固定部と、前記サスペンション部を接続する第2固定部とを含み、前記本体部は、前記第1固定部と第2固定部との間に位置し、前記第2ドームは、本体部と、前記本体部の外縁から前記磁気回路システムの方向へ凹んだ凹溝とを含み、前記本体部は、前記スルーホール内に配置され、前記第1固定部の下面は、前記凹溝に固定接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記第1固定部の上面と本体部の上面とは、面一となることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記サスペンション部は、前記円弧状部の一端から内部に延在する第1接続部と、前記円弧状部の他端から外部に延在する第2接続部とを含み、前記第2固定部は、前記本体部から前記磁気回路システムの方向に折り曲げて延在する接続アームと、前記接続アームから外部に折り曲げて延在する支持アームとを含み、前記第1接続部の下面は、前記支持アームに固定接続されていることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記円弧状部は、前記磁気回路システムの方向へ凹んで延在することであることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記ボイスコイルは、本体部の下面に固定接続されていることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記副ポールプレートには、前記サスペンション部に折り曲げて延在する固定柱が設けられ、サスペンション部の第2接続部は、副ポールプレートの固定柱に固定接続されていることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ。
【請求項8】
前記第1金属ドームは、アルミニウムドームであることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項9】
第2ドームは、アルミニウムドーム、又は、アルミニウム箔層と炭素繊維層とを含む複合ドームであることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特にスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカは、ホーンとも呼称され、スピーカボックスに応用されオーディオ信号を音声再生に変換することができる。
【0003】
関連技術のスピーカは、一般的にフレームと、フレームに固定された振動システム及び磁気回路システムとを含み、振動システムは、振動膜と振動膜の振動発音を駆動するボイスコイルとを含み、前記振動膜は、ドーム部及びサスペンション部を含み、前記ドーム部は、1つのみであり、且つ単一材料で製造され、このような構造のドーム部は、厚さ、剛性、成形、放熱、高周波性能に対する需要を同時に満たすことが困難である。
【0004】
したがって、上記技術的問題を解決するために、新たなスピーカボックスを提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の技術課題を解決し、高周波性能を向上させるスピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、スピーカを提供し、当該スピーカは、フレームと、前記フレームに固定された振動システム及び磁気回路システムとを含み、前記振動システムは、振動膜と、前記振動膜の振動発音を駆動するボイスコイルとを含み、前記振動膜は、ドーム部と、前記ドーム部を取り囲むサスペンション部とを含み、前記ドーム部は、スルーホールが設けられた第1金属ドームと、前記スルーホールを被覆する第2ドームとを含み、前記第1金属ドームは、前記サスペンション部と第2ドームとの間に位置し、且つ前記サスペンション部と第2ドームにそれぞれ固定接続されている。
【0007】
好ましくは、前記第1金属ドームは、本体部と、前記第2ドーム部を接続する第1固定部と、前記サスペンション部を接続する第2固定部とを含み、前記本体部は、前記第1固定部と第2固定部との間に位置し、前記第2ドーム部は、本体部と、前記本体部の外縁から前記磁気回路システムの方向へ凹んだ凹溝とを含み、前記本体部は、前記スルーホール内に配置され、前記第1固定部の下面は、前記凹溝に固定接続されている。
【0008】
好ましくは、前記第1固定部の上面と本体部の上面とは、面一となる。
【0009】
好ましくは、前記サスペンション部は、円弧状部と、前記円弧状部の一端から内部に延在する第1接続部と、前記円弧状部の他端から外部に延在する第2接続部とを含み、前記第2固定部は、前記本体部から前記磁気回路システムの方向に折り曲げて延在する接続アームと、前記接続アームから外部に折り曲げて延在する支持アームとを含み、前記第1接続部の下面は、前記支持アームに固定接続されている。
【0010】
好ましくは、前記円弧状部は、前記磁気回路システムの方向へ凹んで延在する。
【0011】
好ましくは、前記ボイスコイルは、本体部の下面に固定接続されている。
【0012】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記フレームに固定された底板と、前記底板に固定されて且つ間隔を隔てて設けられた主磁性鋼及び副磁性鋼と、前記主磁性鋼に貼り付けられた主ポールプレートと、前記副磁性鋼に貼り付けられた副ポールプレートとを含み、前記副ポールプレートには、前記サスペンション部に折り曲げて延在する固定柱が設けられ、サスペンション部の第2接続部は、副ポールプレートの固定柱に固定接続されている。
【0013】
好ましくは、前記副ポールプレートには、前記振動膜から離れた方向へ凹んだ退避部が更に設けられ、前記円弧状部の前記振動膜の振動方向に沿った投影は、少なくとも部分的に前記退避部に位置する。
【0014】
好ましくは、前記第1金属ドームは、アルミニウムドームである。
【0015】
好ましくは、第2ドームは、アルミニウムドーム、又は、アルミニウム箔層と炭素繊維層とを含む複合ドームである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のドーム部は、第1金属ドームと第2ドームとを接続して形成され、ドーム部を成形加工しやすいだけでなく、スピーカの強度及び高周波性能を向上させることができる。また、第2ドームが第1金属ドームのスルーホールに配置されていることで、スピーカの空間を節約することができ、2つのドームを設けることによってスピーカの高さを増加させることはない。
【0017】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は、本発明な実施例だけであり、単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明に関わるスピーカの斜視分解図である。
【
図3】
図1におけるA-A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施形態に基づいて、当該分野の当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0020】
図1~4に示すように、本発明はスピーカ100を提供し、当該スピーカは、フレーム10と、前記フレーム10に固定された振動システム20及び磁気回路システム30とを含む。
【0021】
前記振動システム20は、振動膜21と、前記振動膜21の振動発音を駆動するボイスコイル22とを含む。前記振動膜21は、ドーム部210及び前記ドーム部210を取り囲むサスペンション部201を含み、前記ドーム部210は、スルーホール2113が設けられた第1金属ドーム211及び前記スルーホール2113を被覆する第2ドーム212を含み、前記第1金属ドーム211は、前記サスペンション部201と第2ドーム212との間に位置し、且つ前記サスペンション部201と第2ドーム212にそれぞれ固定接続されている。ここで、第1金属ドーム211は、アルミニウムドーム又は他の金属ドームであってもよく、加工しやすく且つ軽くて薄い。前記第2ドーム212は、アルミニウムドーム、又は、アルミニウム箔層と炭素繊維層とを含む複合ドームであってもよく、これにより第2ドーム212の剛性を向上させることができ、スピーカ100の高周波性能を向上させることができ、他の実施形態において、第2複合ドームは、他の材料で複合して形成されてもよい。
【0022】
具体的には、前記第1金属ドーム211は、本体部2110と、前記第2ドーム212を接続する第1固定部2111と、前記サスペンション部201を接続する第2固定部2112とを含み、前記本体部2110は、前記第1固定部2111と第2固定部2112との間に位置し、前記第2ドーム212は、本体部2121と、前記本体部2121の外縁から前記磁気回路システムの方向30へ凹んだ凹溝2122とを含み、前記本体部2121は、前記スルーホール2113内に配置され、前記第1固定部2111の下面は、前記凹溝2122に固定接続されている。本実施形態において、第1固定部2111の上面と本体部2121の上面とは、同一平面内に位置し、すなわちドーム部210は、第2ドーム212と第1金属ドーム211との組み合いによって形成されるが、スピーカ100の高さを増加させず、スピーカ100の内部空間を十分に利用し且つドーム部210の強度を向上させる作用を果たす。
【0023】
また、前記サスペンション部201は、円弧状部2010と、前記円弧状部2010の一端から内部に延在する第1接続部2011と、前記円弧状部2010の他端から外部に延在する第2接続部2012とを含む。第2固定部2112は、前記本体部2110から前記磁気回路システムの方向30に折り曲げて延在する接続アーム21120と、前記接続アーム21120から外部に折り曲げて延在する支持アーム21121とを含み、前記第1接続部2011の下面は、前記支持アーム21121に固定接続されている。円弧状部2010は、磁気回路システムの方向30へ凹んで延在し、スピーカ100の全体の高さを低減しやすい。他の実施形態において、円弧状部2010は、磁気回路システム30から離れた方向に突出して延在してもよい。
【0024】
更に、前記ボイスコイル22は、第1金属ドーム211の本体部2110の下面に固定接続され、ボイスコイル22は、金属材質のドームに近接し、ボイスコイル22の放熱を容易にすることができる。
【0025】
前記磁気回路システム30は、フレーム10に固定された底板31と、前記底板31に固定されて且つ間隔を隔てて設けられた主磁性鋼321及び副磁性鋼322と、前記主磁性鋼321に貼り付けられた主ポールプレート331と、前記副磁性鋼322に貼り付けられた副ポールプレート332とを含む。前記副ポールプレート332には、サスペンション部201へ折り曲げて延在する固定柱3320が設けられ、サスペンション部201の第2接続部2012は、副ポールプレート332の固定柱3320に固定接続されている。前記サスペンション部201には、前記第2接続部2012から磁気回路システム30に折り曲げて延在する延在部2013が更に設けられ、前記延在部2013は、前記固定柱3320の外面に固定接続されていることにより、サスペンション部201と固定柱3320との接続面積を増大させ、サスペンション部201と固定柱3320との固定強度を向上させる。また、前記副ポールプレート332には、振動膜21から離れた方向へ凹んだ退避部3321が更に設けられ、前記円弧状部2010の振動膜21の振動方向に沿った投影は、少なくとも部分的に退避部3321に位置し、退避部3321は、円弧状部2010へ振動空間を提供することができる。
【0026】
本発明のドーム部210は、第1金属ドーム211と第2ドーム212とを接続して形成され、ドーム部を成形加工しやすいだけでなく、スピーカの強度及び高周波性能を向上させることができる。また、第2ドーム212は、第1金属ドーム211のスルーホール2113に配置されていることで、スピーカ100の空間を節約することができ、2つドームを設けることによってスピーカ100の高さを増加させることはない。
【0027】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎない。なお、当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱することなく、更に改善することができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。