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  • 特許-情報収集システム、及び情報収集方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報収集システム、及び情報収集方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023008232
(22)【出願日】2023-01-23
(65)【公開番号】P2024104149
(43)【公開日】2024-08-02
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 裕介
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-4445(JP,A)
【文献】特開2018-10395(JP,A)
【文献】特開2023-86554(JP,A)
【文献】国際公開第2020/115862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体との間で通信を行う通信制御部と、
前記移動体に備えられるいずれかの機能を、情報を取得する対象機能として設定する対象機能設定部と、
前記対象機能が作動する頻度が高いと想定される前記移動体の使用条件である対象使用条件を設定する対象使用条件設定部と、
複数の前記移動体の中から、前記対象機能を備え、且つ前記対象使用条件の下で使用されている前記移動体である対象移動体を抽出する対象移動体抽出部と、
前記通信制御部により前記対象移動体と通信を行うことによって、前記対象機能の作動に関するモニタ情報を、前記対象移動体から受信して取得するモニタ情報取得部と、
を備える情報収集システム。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記モニタ情報の収集依頼情報を送信する端末装置との間で通信を行い、
前記対象機能設定部は、前記通信制御部により前記端末装置と通信を行うことによって、前記端末装置から受信して取得した前記収集依頼情報により、情報収集の対象として指定された機能を、前記対象機能として設定する
請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記モニタ情報には、前記対象機能の作動状況を検出するために前記移動体に設けられたセンサの検出情報が含まれる
請求項1又は請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記対象使用条件設定部は、前記対象使用条件として、所定地域で前記移動体が使用されていること、又は所定期間内で前記移動体が使用されていること、を設定する
請求項1又は請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記対象使用条件設定部は、前記対象機能が前記移動体の遠隔操作機能である場合に、前記対象使用条件として、寒冷地で前記移動体が使用されていること、又は冬季期間若しくは夏季期間内で前記移動体が使用されていること、を設定する
請求項4に記載の情報収集システム。
【請求項6】
コンピュータにより実行される情報収集方法であって、
複数の移動体との間で通信を行う通信制御ステップと、
前記移動体に備えられるいずれかの機能を、情報を取得する対象機能として設定する対象機能設定ステップと、
前記対象機能が作動する頻度が高いと想定される前記移動体の使用条件である対象使用条件を設定する対象使用条件設定ステップと、
複数の前記移動体の中から、前記対象機能を備え、且つ前記対象使用条件の下で使用されている前記移動体である対象移動体を抽出する対象移動体抽出ステップと、
前記通信制御ステップにより前記対象移動体と通信を行うことによって、前記対象機能の作動に関するモニタ情報を、前記対象移動体から受信して取得するモニタ情報取得ステップと、
を備える情報収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集システム、及び情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の車両を対象として、車両から送信される各種の情報を受信して収集するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、車両の制御装置で使用されるプログラムの異常の有無を判断して、判断結果が異常であるときは異常を示す診断結果をシステムに送信し、判断結果が正常であるときには何も送信しない構成として、情報の送信量を減少させる構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-91234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術のシステムのように、車両との通信により、車両に関する種々の情報を収集することができるが、各車両から収集可能な情報の種類や情報量は、各車両の使用状況によって相違する。そのため、通信可能な車両をランダムに抽出して、車両から情報を収集した場合には、必要な情報が得られない車両との間で無駄な通信が行われて、情報収集の効率が低下する場合があるという不都合がある。
本願は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、車両等の移動体に関する情報の収集を、移動体との通信量を抑制して効率良く収集することができる情報収集システム、及び情報収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、複数の移動体との間で通信を行う通信制御部と、前記移動体に備えられるいずれかの機能を、情報を取得する対象機能として設定する対象機能設定部と、前記対象機能が作動する頻度が高いと想定される前記移動体の使用条件である対象使用条件を設定する対象使用条件設定部と、複数の前記移動体の中から、前記対象機能を備え、且つ前記対象使用条件の下で使用されている前記移動体である対象移動体を抽出する対象移動体抽出部と、前記通信制御部により前記対象移動体と通信を行うことによって、前記対象機能の作動に関するモニタ情報を、前記対象移動体から受信して取得するモニタ情報取得部と、を備える情報収集システムが挙げられる。
【0006】
上記情報収集システムにおいて、前記通信制御部は、前記モニタ情報の収集依頼情報を送信する端末装置との間で通信を行い、前記対象機能設定部は、前記通信制御部により前記端末装置と通信を行うことによって、前記端末装置から受信して取得した前記収集依頼情報により、情報収集の対象として指定された機能を、前記対象機能として設定する構成としてもよい。
【0007】
上記情報収集システムにおいて、前記モニタ情報には、前記対象機能の作動状況を検出するために前記移動体に設けられたセンサの検出情報が含まれる構成としてもよい。
【0008】
上記情報収集システムにおいて、前記対象使用条件設定部は、前記対象使用条件として、所定地域で前記移動体が使用されていること、又は所定期間内で前記移動体が使用されていること、を設定する構成としてもよい。
【0009】
上記情報収集システムにおいて、前記対象使用条件設定部は、前記対象機能が前記移動体の遠隔操作機能である場合に、前記対象使用条件として、寒冷地で前記移動体が使用されていること、又は冬季期間若しくは夏季期間内で前記移動体が使用されていること、を設定する構成としてもよい。
【0010】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行される情報収集方法であって、複数の移動体との間で通信を行う通信制御ステップと、前記移動体に備えられるいずれかの機能を、情報を取得する対象機能として設定する対象機能設定ステップと、前記対象機能が作動する頻度が高いと想定される前記移動体の使用条件である対象使用条件を設定する対象使用条件設定ステップと、複数の前記移動体の中から、前記対象機能を備え、且つ前記対象使用条件の下で使用されている前記移動体である対象移動体を抽出する対象移動体抽出ステップと、前記通信制御ステップにより前記対象移動体と通信を行うことによって、前記対象機能の作動に関するモニタ情報を、前記対象移動体から受信して取得するモニタ情報取得ステップと、を備える情報収集方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
上記情報収集システムによれば、移動体に関する情報の収集を、移動体との通信量を抑制して効率良く収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、情報収集システムの構成、及び情報収集システムによる車両からの情報収集の態様の説明図である。
図2図2は、車両登録データベースの説明図である。
図3図3は、使用条件マップの説明図である。
図4図4は、モニタ情報収集処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.情報収集システムによる車両からの情報収集の態様]
図1図3を参照して、本実施形態の情報収集システム1により実行される複数の車両50からの情報収集の態様について説明する。車両50は本開示の移動体に相当する。情報収集システム1は、通信ネットワーク200を介して、複数の車両50、車両50の利用者Uにより使用される携帯端末60、及び車両50からの情報の収集と提供を依頼する依頼者Rにより使用される端末装置100との間で、通信を行う。携帯端末60は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等である。端末装置100は、携帯端末であってもよく、パーソナルコンピュータ等の固定端末であってもよい。
【0014】
各車両50には、車両50の作動を制御するECU(Electronic Control Unit)51、空調装置(エアコン)52、バッテリー53、各種センサ54、車両50の周囲を撮影するカメラ55、通信ユニット56、及びタッチパネル等の表示器57が備えられている。センサ54には、車両50の現在位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)センサ、速度センサ、加速度センサ、室内温度センサ、バッテリーセンサ、車両50に備えられたアクチュエータ類の作動を検出する作動センサ等の、車両50の状態を検出するための各種センサが含まれる。
【0015】
ECU51は、通信ユニット56により、通信ネットワーク200を介して、情報収集システム1との間で通信を行い、また、車両50の利用者Uによって使用される携帯端末60、及び携帯キー61(スマートキー、FOBキー等)との間で通信を行う。
【0016】
ECU51は、携帯端末60又は携帯キー61から送信される遠隔操作情報を通信ユニット56により受信することによって、車両50に備えられたエンジンの始動(リモートエンジンスタート)や空調装置52による車室の空調の指示を受付けて、エンジンの始動や空調装置52の運転を行う遠隔操作機能の制御を実行する。さらに、ECU51は、カメラ55の撮影画像から認識される車両50の周辺の状況に基づいて、利用者Uによる車両50の運転操作を支援する運転支援機能の制御を実行する。運転支援機能は、例えば、衝突被害軽減ブレーキ、ACC(アダクティブクルーズコントロール)、車線逸脱防止(レーンキープアシスト)、誤発進抑制、ヘッドライトサポート、駐車支援等の機能である。
【0017】
情報収集システム1は、プロセッサ10、メモリ20、通信ユニット30等を備えたコンピュータシステムである。メモリ20には、情報収集システム1の制御用のプログラム21、車両登録DB(データベース)22、モニタ情報DB23、及び使用条件マップ24のデータが保存されている。
【0018】
図2に示したように、車両登録DB22には、各車両50について、車両コード(Cc-001,Cc-002,…)、利用者情報(Ui-001,Ui-002,…)、車両機能情報(Cf-001,Cf-002,…)、及び車両使用条件情報(Cu-001,Cu-002,…)を含む車両登録情報Criが記録されている。
【0019】
車両コードは、各車両50に対して固有に割り当てられた識別情報である。利用者情報には、各車両の利用者の登録ID(identification)、氏名、住所、連絡先情報(電話番号、携帯端末の通信アドレス等)等が含まれる。車両機能情報は、各車両50に備えられた機能(上述した遠隔操作機能、運転支援機能等)に関する情報である。
【0020】
車両使用条件情報は、各車両50の使用条件に関する情報である。使用条件は、車両50が使用されている地域(寒冷地域、温暖地域等)、車両50が走行する頻度が高い道路の情報(車両専用道路の走行頻度、市街地の道路の走行頻度、山岳路の走行頻度等)等である。車両50が使用されている地域や、車両50が走行した道路の情報は、車両50のGNSSセンサにより検出されて、車両50から送信される車両50の位置情報に基づいて認識されて、車両登録DB22に記録されるか、或いは車両50の利用者Uからの情報提供によって車両登録DB22に記録される。
【0021】
図3に示したように、使用条件マップ24は、車両50に備えられた各機能と、各機能が作動する頻度が高いと想定される使用条件とを対応付けたマップの例である。図3では、リモートエンジンスタートの機能に対して、リモートエンジンスタートによるエンジン等の駆動源の始動と駆動源の始動に連動した空調装置52の運転開始等の指示が行われる頻度が高いと想定される地域である寒冷地、及び上記指示が行われる頻度が高いと想定される期間である夏季期間及び冬季期間が、対応付けられている。車室の空調の機能についても、同様に、寒冷地、夏季期間、及び冬季期間という使用条件が対応付けられている。また、車線逸脱防止の機能に対して、自動車専用道路の走行頻度が高いという使用条件が対応付けられている。
【0022】
情報収集システム1は、依頼者Rの操作に応じて端末装置100から送信される収集依頼情報Mirを受信することにより、車両50に備えられるいずれかの機能である対象機能の作動に関するモニタ情報の提供依頼を受け付ける。そして、情報収集システム1は、使用条件マップ24を参照して、使用条件マップ24により、収集依頼情報Mirにより指定される対象機能と対応付けられている使用条件を、モニタ情報の取得対象とする車両50の抽出条件である対象使用条件として設定する。
【0023】
情報収集システム1は、対象使用条件が車両登録DB22に記録されている使用地域等である場合は、車両登録DB22を参照して、対象機能を備え、且つ対象使用条件下で使用されている車両50(以下、対象車両50と称する)を抽出する。また、対象使用条件が冬季期間等の所定期間である場合は、情報収集システム1は、対象機能を備え、且つ所定期間で使用される車両50を対象車両50として抽出する。
【0024】
情報収集システム1は、このようにして抽出した対象車両50に対して、対象機能の作動に関するモニタ情報Cmiの送信を依頼する送信依頼情報Cmrを送信する。モニタ情報Cmiには、対象機能が作動した日時、対象機能が作動した時間、対象機能が作動した時のセンサ54の検出情報が含まれる。例えば、対象機能が運転支援機能である場合は、運転支援機能が作動した時にセンサにより検出された対象車両50の速度、加速度、位置(走行地点)等の情報が、モニタ情報Cmiに含まれる。
【0025】
情報収集システム1は、送信依頼情報Cmrの受信に応じて対象車両50から送信されるモニタ情報Cmiを受信して取得し、モニタ情報Cmiをモニタ情報DB23に保存する。情報収集システム1は、対象車両50から取得したモニタ情報Cmiを整理したモニタ報告情報Morを、依頼者Rの端末装置100に送信する。
【0026】
このように、対象機能が作動する頻度が高いと想定される対象使用条件を満たす対象車両50に限定して、通信を行ってモニタ情報Cmiを取得することにより、対象機能が作動する頻度が低い車両50との間で通信が行われることを回避して、効率良くモニタ情報Cmiを取集することができる。
【0027】
[2.情報収集システムの構成]
図1を参照して、情報収集システム1のプロセッサ10は、メモリ20に保存されたプログラム21を読み込んで実行することにより、通信制御部11、対象機能設定部12、対象使用条件設定部13、対象移動体抽出部14、及びモニタ情報取得部15として機能する。
【0028】
通信制御部11により実行される処理は、本開示の情報収集方法における通信制御ステップに相当し、対象機能設定部12により実行される処理は、本開示の情報収集方法における対象機能設定ステップに相当する。対象使用条件設定部13により実行される処理は、本開示の情報収集方法における対象使用条件設定ステップに相当し、対象移動体抽出部14により実行される処理は、本開示の情報収集方法における対象移動体抽出ステップに相当する。モニタ情報取得部15により実行される処理は、本開示の情報収集方法におけるモニタ情報取得ステップに相当する。
【0029】
通信制御部11は、車両登録DB22に登録された複数の車両50、モニタ情報Cmiの提供の依頼者Rにより使用される端末装置100、及び車両50の利用者Uにより使用される携帯端末60との、通信ネットワーク200を介した通信ユニット30による通信を制御する。以下で説明する情報収集システム1と、車両50及び端末装置100との通信は、通信ユニット30及び通信制御部11を介して実行される。
【0030】
対象機能設定部12は、端末装置100から送信される収集依頼情報Mirを受信して、車両50に備えられた機能の作動に関するモニタ情報の提供依頼を受け付ける。対象機能設定部12は、収集依頼情報Mirにより情報収集の依頼の対象として指定された機能を、対象機能として設定する。
【0031】
対象使用条件設定部13は、使用条件マップ24を参照して、対象機能に対応付けられた使用条件を、対象機能の作動に関するモニタ情報Cmiを取得する車両50を抽出するための対象使用条件として設定する。対象移動体抽出部14は、車両登録DB22を参照して、車両登録DB22に登録された車両50の中から、対象機能を備え、且つ対象使用条件下で使用されている車両50を対象車両50として抽出する。
【0032】
モニタ情報取得部15は、対象車両50に対して、対象機能の作動に関するモニタ情報Cmiの送信を依頼する送信依頼情報Cmrを送信して、車両50から送信されるモニタ情報Cmiを受信して取得する。モニタ情報取得部15は、対象車両50から取得したモニタ情報Cmiを整理したモニタ報告情報Morを生成し、モニタ報告情報Morを端末装置100に送信する。
【0033】
[3.モニタ情報の収集処理]
図4に示したフローチャートに従って、情報収集システム1により実行される車両50の対象機能の作動に関するモニタ情報Cmiの収集処理の一連の手順について説明する。
【0034】
図4のステップS1で、対象機能設定部12は、端末装置100から送信される収集依頼情報Mirを受信したときにステップS2に処理を進める。ステップS2で、対象機能設定部12は、収集依頼情報Mirにより指定された情報収集の対象である機能を、対象機能として設定する。
【0035】
次のステップS3で、対象使用条件設定部13は、使用条件マップ24を参照して、対象機能に対応付けられている使用条件を、対象機能の作動に関するモニタ情報を抽出するための対象使用条件として設定する。続くステップS4で、対象移動体抽出部14は、車両登録DB22を参照して、車両登録DB22に登録されている車両50の中から、対象機能を備え、且つ対象使用条件下で使用されている対象車両50を抽出する。
【0036】
次のステップS5で、モニタ情報取得部15は、対象車両50に対して、対象機能の作動に関するモニタ情報の送信を依頼する送信依頼情報Cmrを送信し、対象車両50から送信されるモニタ情報Cmiを受信して取得する。続くステップS6で、モニタ情報取得部15は、取得した複数のモニタ情報Cmiを整理して、対象機能の作動状況を示すモニタ報告情報Morを生成する。
【0037】
次のステップS7で、モニタ情報取得部15は、モニタ報告情報Morを、依頼者Rの端末装置100に送信する。依頼者Rは、端末装置100により、モニタ報告情報Morを閲覧して、対象機能の作動状況の分析等を行うことができる。
【0038】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、本開示の移動体として車両を示したが、本開示の移動体は、作動状況の情報収集の対象となる対象機能を備えた移動体であればよく、航空機、船舶等であってもよい。
【0039】
上記実施形態では、モニタ情報を取得する特定車両を抽出する際の使用条件として、図4に、車両が使用されている地域、車両が使用されている期間、及び車両専用道路での使用頻度を例示した。他の実施形態として、例えば、対象機能が誤発進防止機能である場合は、車両の使用者が高齢者であることを使用条件として設定してもよい。
【0040】
なお、図1は、本開示の発明の理解を容易にするために、情報収集システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、情報収集システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図4に示した各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0041】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0042】
(構成1)複数の移動体との間で通信を行う通信制御部と、前記移動体に備えられるいずれかの機能を、情報を取得する対象機能として設定する対象機能設定部と、前記対象機能が作動する頻度が高いと想定される前記移動体の使用条件を設定する使用条件設定部と、複数の前記移動体の中から、前記対象機能を備え、且つ前記使用条件の下で使用されている前記移動体である対象移動体を抽出する対象移動体抽出部と、前記通信制御部により前記対象移動体と通信を行うことによって、前記対象機能の作動に関するモニタ情報を、前記対象移動体から受信して取得するモニタ情報取得部と、を備える情報収集システム。
構成1の情報収集システムによれば、対象機能が作動する頻度が高いと想定される使用条件下で使用されている対象移動体を抽出して、対象移動体から対象機能の作動に関するモニタ情報を取得することにより、移動体に関する情報の収集を、移動体との通信量を抑制して効率良く収集することができる。
【0043】
(構成2)前記通信制御部は、前記モニタ情報の収集依頼情報を送信する端末装置との間で通信を行い、前記対象機能設定部は、前記通信制御部により前記端末装置と通信を行うことによって、前記端末装置から受信して取得した前記収集依頼情報により、情報収集の対象として指定された機能を、前記対象機能として設定する構成1に記載の情報収集システム。
構成2の情報収集システムによれば、情報提供の依頼者は、収集依頼情報により、移動体に備えられた複数の機能の中から、モニタ情報の収集対象とする機能を指定することができる。
【0044】
(構成3)前記モニタ情報には、前記対象機能の作動状況を検出するために前記移動体に設けられたセンサの検出情報が含まれる構成1又は構成2に記載の情報収集システム。
構成3の情報収集システムによれば、対象機能の作動状況の分析等に活用できるセンサの検出情報を収集することができる。
【0045】
(構成4)前記使用条件設定部は、前記使用条件として、所定地域で前記移動体が使用されていること、又は所定期間内で前記移動体が使用されていること、を設定する構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の情報収集システム。
構成4の情報収集システムによれば、例えば、寒冷地や温暖地等の地域ごとの使用環境の相違や、季節による気温の相違等に基づいて、対象機能が作動する頻度が高い使用条件を設定することができる。
【0046】
(構成5)前記使用条件設定部は、前記対象機能が前記移動体の遠隔操作機能である場合に、前記使用条件として、寒冷地で前記移動体が使用されていること、又は冬季期間若しくは夏季期間内で前記移動体が使用されていること、を設定する構成4に記載の情報提供システム。
構成5の情報収集システムによれば、遠隔操作機能により、移動体に備えられた空調装置の運転開始等の操作がなされる頻度が高いと想定される寒冷地での使用、空調装置による暖房開始の操作がなされる頻度が高いと想定され冬季期間での使用、或いは空調装置による冷房開始の操作がなされる頻度が高い想定される夏季期間での使用を、使用条件として設定することができる。
【0047】
(構成6)コンピュータにより実行される情報収集方法であって、複数の移動体との間で通信を行う通信制御ステップと、前記移動体に備えられるいずれかの機能を、情報を取得する対象機能として設定する対象機能設定ステップと、前記対象機能が作動する頻度が高いと想定される前記移動体の使用条件を設定する使用条件設定ステップと、複数の前記移動体の中から、前記対象機能を備え、且つ前記使用条件の下で使用されている前記移動体である対象移動体を抽出する対象移動体抽出ステップと、前記通信制御ステップにより前記対象移動体と通信を行うことによって、前記対象機能の作動に関するモニタ情報を、前記対象移動体から受信して取得するモニタ情報取得ステップと、を備える情報収集方法。
構成6の情報収集方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の情報システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…情報収集システム、10…プロセッサ、11…通信制御部、12…対象機能設定部、13…使用条件設定部、14…使用条件設定部、15…モニタ情報取得部、20…メモリ、21…プログラム、22…車両登録DB、23…モニタ情報DB、24…使用条件マップ、30…通信ユニット、50…車両(移動体)、51…ECU、52…空調装置、53…バッテリー、54…センサ、55…カメラ、56…通信ユニット、57…表示器、60…(利用者の)携帯端末、61…携帯キー、100…(依頼者の)端末装置、200…通信ネットワーク、R…依頼者、U…利用者。
図1
図2
図3
図4