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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/16 20200101AFI20241210BHJP
   B62J 11/19 20200101ALI20241210BHJP
   B62K 19/30 20060101ALI20241210BHJP
   B62J 6/20 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B62J11/16
B62J11/19
B62K19/30
B62J6/20 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023026377
(22)【出願日】2023-02-22
(65)【公開番号】P2024119464
(43)【公開日】2024-09-03
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大滝 佑騎
(72)【発明者】
【氏名】豊田 秀敏
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/166437(WO,A1)
【文献】特許第6535967(JP,B2)
【文献】特開昭62-251286(JP,A)
【文献】特開平04-066380(JP,A)
【文献】特開2002-002575(JP,A)
【文献】特開2020-196364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/20,11/16,11/19,
15/00-15/04
B62K 19/30-19/42,25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(FW)を回転可能に支持するフロントフォーク(103)と、
前記前輪(FW)の側方に配置されたリフレクタ(1)と、
前記フロントフォーク(103)と前記リフレクタとを連結するリフレクタステー(2)と、
前記前輪(FW)の側方に配置された第一の車両部品(3)と、
前記第一の車両部品(3)から延び、前記リフレクタステー(2)の下方から上方へ配索される第一の配索部材(31)と、
前記前輪(FW)の側方に配置された第二の車両部品(4)と、
前記第二の車両部品(4)から延び、前記リフレクタステー(2)の下方から上方へ配索される第二の配索部材(41)と、
を備えた鞍乗型車両(100)であって、
前記リフレクタ(1)は、車両前後方向で前記フロントフォーク(103)から離間して前記フロントフォーク(103)の後方に配置され、
前記リフレクタステー(2)は、前記フロントフォーク(103)と前記リフレクタ(1)の間の領域(R)を延在する延在部(21)を含み、
前記第一の配索部材(31)は、車幅方向で前記延在部(21)の外側側方を上下に通過し、
前記第二の配索部材(41)は、前記車幅方向で前記延在部(21)の内側側方を上下に通過している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記延在部(21)の内側に設けられ、前記第二の配索部材(41)を支持する支持部(5)を備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記第一の配索部材(31)の外径は、前記第二の配索部材(41)の外径よりも大きい、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記第一の配索部材(31)の下端部(31a)は、前記第二の配索部材(41)の下端部(41a)よりも前記車幅方向で外側に位置している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記前輪(FW)を上から覆うフロントフェンダ(6)と、
前記第一の配索部材(31)及び前記第二の配索部材(41)を束ねてクランプするクランプ部材(7)と、を備え、
前記フロントフェンダ(6)は、前記フロントフォーク(103)に連結される連結部(61)を有し、
前記クランプ部材(7)は、前記リフレクタステー(2)よりも上方の位置において前記連結部(61)に支持されている、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項6】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記連結部(61)に前記クランプ部材(7)を固定する固定具(8)を備え、
前記クランプ部材(7)は、前記固定具(8)を中心とした回転の回り止めとなる爪部(71)を有し、
前記連結部(61)は、前記爪部(71)が係合する係合孔(61a)を有し、
前記第一の配索部材(31)は、前記鞍乗型車両の側面視で前記係合孔(61a)と重なる位置を通過している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項に記載の鞍乗型車両であって、
前記第一の車両部品は、前記前輪の制動機構を構成するブレーキキャリパ(3)であり、
前記第一の配索部材は、前記ブレーキキャリパのブレーキホース(31)である、
前記第二の車両部品は、前記前輪の回転量を検知するセンサ(4)であり、
前記第二の配索部材は、前記センサのセンサケーブル(41)である、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
前輪側方にリフレクタを設けた鞍乗型車両が知られている。リフレクタの固定にはリフレクタステーが用いられる。フロントフォーク周辺にはブレーキホースやスピードセンサケーブル等の配索部材が配索される。こうした配索部材とリフレクタステーとのレイアウトを考慮する必要がある。特許文献1にはリフレクタステーをフロントフェンダから車幅方向外側に突出させた構造が開示されている。この構造ではブレーキホースやスピードセンサケーブルをリフレクタステーの上を車両前後方向に通過させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6535967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造のように、リフレクタステーの上方を車両前後方向に配索部材を通過させる構造では、リフレクタステーを車幅方向外側に延設する必要があることから、リフレクタがその分だけ車幅方向外側に位置することになる。仮にリフレクタが車幅方向外側に大きく突出すると、リフレクタが走行風に対して抵抗になる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、リフレクタが車幅方向外側に突出することを抑制した構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
前輪(FW)を回転可能に支持するフロントフォーク(103)と、
前記前輪(FW)の側方に配置されたリフレクタ(1)と、
前記フロントフォーク(103)と前記リフレクタとを連結するリフレクタステー(2)と、
前記前輪(FW)の側方に配置された第一の車両部品(3)と、
前記第一の車両部品(3)から延び、前記リフレクタステー(2)の下方から上方へ配索される第一の配索部材(31)と、
前記前輪(FW)の側方に配置された第二の車両部品(4)と、
前記第二の車両部品(4)から延び、前記リフレクタステー(2)の下方から上方へ配索される第二の配索部材(41)と、
を備えた鞍乗型車両(100)であって、
前記リフレクタ(1)は、車両前後方向で前記フロントフォーク(103)から離間して前記フロントフォーク(103)の後方に配置され、
前記リフレクタステー(2)は、前記フロントフォーク(103)と前記リフレクタ(1)の間の領域(R)を延在する延在部(21)を含み、
前記第一の配索部材(31)は、車幅方向で前記延在部(21)の外側側方を上下に通過し、
前記第二の配索部材(41)は、前記車幅方向で前記延在部(21)の内側側方を上下に通過している、
ことを特徴とする鞍乗型車両が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リフレクタが車幅方向外側に突出することを抑制した構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の側面図。
図2】前輪の右側部の構成の拡大図。
図3】レフレクタの周囲の構造をその背後から見た図。
図4】連結部付近の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<鞍乗型車両の概要>
図1及び図2は本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両(以下単に車両という)100の概要を示す側面図(右側面図)である。本実施形態の車両100は、前輪FWと後輪RWとを備えた自動二輪車を例示するが、本発明は他の形式の鞍乗型車両にも適用可能である。各図において、矢印D1は車両100の前後方向を示し、Fr、Rrはで前、後を示す。矢印D2は車幅方向を示し、R、Lは右、左を示す。矢印D3は上下方向を示す。
【0011】
車両100は、その骨格をなす車体フレーム101を備える。車体フレーム101の前端には前輪操向部102が支持され、後端にはスイングアーム105が揺動自在に支持されている。前輪操向部102は、車軸112を介して前輪FWを支持する左右一対のフロントフォーク103(図1では右側のフロントフォーク103のみが図示されている)と、一対のフロントフォーク103の上部にトップブリッジ(不図示)を介して取り付けられる操向ハンドル104とを含む。一対のフロントフォーク103の間にはフロントフェンダ6が設けられている。フロントフェンダ6は、一対のフロントフォーク103に支持され、前輪FWの上部を覆う。
【0012】
スイングアーム105は、その前端が車体フレーム101に揺動自在に支持され、その後端には後輪RWが支持されている。前輪FWと後輪RWとの間の領域において、車体フレーム101には内燃機関106と変速機107とが支持されている。内燃機関106は、例えば、水冷単気筒の4サイクルエンジンである。内燃機関106の出力は変速機107及び不図示のチェーン伝動機構を介して後輪RWに伝達される。排気通路108は排気ポートに接続される排気管108aや消音器108bを含む。内燃機関106の上方には燃料タンク109が配置されており、燃料タンク109の後方にはライダが着座するシート110が配置されている。
【0013】
図2を参照して、右側のフロントフォーク103の周辺の構造について説明する。図2図1における前輪FW付近の拡大図である。
【0014】
前輪FWの右側方には、車輪速センサ4やブレーキキャリパ3が配置されている。フロントフォーク103には、車両部品を取り付ける複数の取付部11~14が設けられている。各取付部11~14はフロントフォーク103の径方向に突出した板状の部材である。取付部11、12及び14はフロントフェンダ6の固定に用いられる。フロントフェンダ6は、取付部11及び12に対してバー60を介して固定される。また、フロントフェンダ6は、径方向内側に突出した略三角形状で板状の連結部61を有しており、連結部61が取付部14に締結具15により固定される。締結15は例えばボルトとナットで構成される。
【0015】
取付部11はフロントフォーク103の下端部に形成されており、ここには車輪速センサ4も固定されている。車輪速センサ4は前輪FWの回転量を検知するセンサである。前輪FWにはパルサリング40が固定されている。パルサリング40は車軸112を中心とした円板形状を有しており、前輪FWと共に回転する。パルサリング40は複数のスリットが環状に配置されており、車輪速センサ4はスリットを検知する。
【0016】
車輪速センサ4から出力されるスリットの検知信号によって前輪FWの回転量を演算することができ、これにより車両100の車速を演算することができる。車輪速センサ4の検知信号は配索部材(センサケーブル)41によって、制御ユニットや計器類(不図示)に伝送される。配索部材41はその下端部41aが車輪速センサ4に接続され、車輪速センサ4からフロントフォーク103に沿うようにして上方へ延びるように配索されている。
【0017】
取付部13及び14には、ブレーキキャリパ3が固定されている。前輪FWの右側部にはブレーキディスク30が固定されている。ブレーキキャリパ3は配索部材(ブレーキホース)31を介して供給されるブレーキ液の液圧により、ブレーキディスク30を挟持する。これにより前輪FWに制動力を作用させることができる。配索部材31はその下端部31aがブレーキキャリパ3に接続され、上方へ延びるように配索されている。配索部材31の上端部(不図示)は操向ハンドル104に設けられたブレーキマスタシリンダ(不図示)に接続される。
【0018】
D1方向でフロントフォーク103の後方にはリフレクタ1が配置されている。本実施形態のリフレクタ1は円盤形状を有しており、その右側面に反射面が形成されている。リフレクタ1はフロントフォーク103からD1方向後方に離間して配置されており、リフレクタ1とフロントフォーク103との間には、D1方向に離間領域Rが形成されている。リフレクタ1はリフレクタステー2に支持されている。リフレクタステー2はリフレクタ1とフロントフォーク103の取付部14とを連結する。
【0019】
図2に加えて図3及び図4を参照して説明する。図3はリフレクタ1をその背後(車両100の左側)から見た斜視図であり、フロントフェンダ6の連結部61の図示を省略した図である。図4図2において連結部61の付近を拡大した図であり、配索部材31の途中部分を透過態様(破線)で示した図である。
【0020】
リフレクタステー2は、細長い板状の部材であって、その厚さ方向がD2方向であり、板の面方向がD3方向である。言い換えると、リフレクタステー2はD1方向に延びる縦板状の部材である。リフレクタステー2は、リフレクタ1側の端部2aと、フロントフォーク103側の端部2bと、その間の延在部21とを有する。
【0021】
端部2aには、リフレクタ1の背面からD2方向で左側に突出したねじ軸1aが挿通する孔(不図示)が形成されている。ねじ軸1aにはナット1bが締結され、リフレクタ1がリフレクタステー2の端部2aに固定される。端部2bには、締結具15のボルト15aが挿通する孔(不図示)が形成されている。ボルト15aは端部2bと、フロントフェンダ6の連結部61の孔(不図示)とを挿通してナットで締結される。つまり、本実施形態の場合、リフレクタステー2と連結部61とは取付部14に共締めされる。
【0022】
延在部21は、離間領域RをD1方向に延在する。配索部材31及び41は、リフレクタステー2の下方から上方へ配索されており、延在部21の一側方を配索部材31が、他側方を配索部材41が上下に通過している。より具体的に述べると、延在部21の右側方を配索部材31がD3方向に対してやや傾斜した姿勢で上下に通過し、左側方を配索部材41がD3方向に対して傾斜し、かつ、D1方向に僅かに延在する姿勢で上下に通過している。配索部材31及び41がリフレクタ1とフロントフォーク103の間を通りつつ、リフレクタステー2と交差するので、リフレクタ1が車幅方向外側に突出することを抑制することができる。
【0023】
2つの配索部材31及び41を、共に、延在部21の一方の側方(例えば右側方又は左側方)を通過させる構成も採用可能である。しかし、本実施形態のように、2つの配索部材31及び41が、延在部21の異なる側方を通過する構成とすることで、延在部21の長さをより短くすることができる。これはリフレクタステー2のD1方向の全長を短くすることに寄与し、その材料費を削減できる。
【0024】
本実施形態とは異なり、延在部21の左側方を配索部材31が通過し、右側方を配索部材41が通過する構成も採用可能である。但し、本実施形態では、配索部材31の下端部31aはリフレクタステー2の下方でブレーキキャリパ3に接続され、配索部材41の下端部41aはリフレクタステー2の下方で車輪速センサ4に接続されている。D2方向の位置でみると、下端部41aが内側(左側)で下端部31aが外側(右側)である。したがって、本実施形態のように、延在部21の右側方を配索部材31が通過し、左側方を配索部材41が通過する構成とすることで、リフレクタステー2の下方においてこれらの配索部材31及び41が交差することがない。したがって、これらの配索部材31及び41を無駄に湾曲させる必要もなく、また、迂回の必要もないのでこれらの全長をより短くできる。
【0025】
また、本実施形態では、配索部材31は、その内部をブレーキ液が流動する管部材であり、配索部材41は電気配線であって、配索部材31は配索部材41よりも外径が大きい。本実施形態のように、延在部21の右側方を配索部材31が通過し、左側方を配索部材41が通過する構成とすることで、延在部21のD2方向内側(左側)のスペースは細い配索部材41が通過できる程度に確保できればよい。したがって、リフレクタステー2及びリフレクタ1を、車幅方向でより中心側に配置することができ、リフレクタ1が車幅方向外側に突出することを防止できる。
【0026】
延在部21の内側(左側面)には、支持部5が設けられている。支持部5はその係止部5bが延在部21に設けた孔(不図示)を通って延在部21の外側(右側面に)に露出し、延在部21に係止されている。支持部5は配索部材41が通過する環状の結束部5aを有しており、配索部材41がD2方向内側(左側)に変位することが規制される。配索部材41の姿勢が安定し、周囲の他の部品と干渉することを防止できる。したがって、干渉を防止するための余分なクリアリンスを形成する必要もない。
【0027】
リフレクタ1の上方には、クランプ部材7が設けられている。クランプ部材7は配索部材31及び41を束ねてクランプしている。クランプ部材7は本体部70と、配索部材31を保持する筒状の保持部72と、配索部材41を保持する筒状の保持部73とを有する。
【0028】
クランプ部材7は、リフレクタステー2よりも上方の位置において連結部61に固定具8を介して支持されている。リフレクタステー2の近傍において配索部材31及び41がクランプ部材7に拘束され、これらの姿勢を安定させることができる。リフレクタステー2の右側面により近い位置に配索部材31を、また、左側面により近い位置に配索部材41をそれぞれ通過させることができる。クランプ部材7により、リフレクタステー2に対する配索部材31及び41の通過位置が規定されるので、延在部21を不必要に長くする必要がなく、リフレクタステー2の全長をより短くすることができる。
【0029】
固定具8は軸8aを有するクリップ形式の固定具である。本体部70には固定具8の軸8aが通過する孔7aが形成されており、軸8aは連結部61に形成された係合孔61bに嵌合する。クランプ部材7が固定具8の軸8aを中心として、連結部61に対して回転する場合がある。その回り止めのために、クランプ部材7の本体部70には爪部71が形成され、連結部61には爪部71が係合する係合孔61aが形成されている。これによりクランプ部材7が連結部61に対して回転することなく、リフレクタステー2に対する配索部材31及び41の通過位置をより確実に位置決めすることができる。
【0030】
図4に示すように配索部材31は、車両100の右側面視で係合孔61aと重なる位置を通過している。配索部材31によって係合孔61aが隠れるので、係合孔61aに異物等が侵入することを配索部材31によって防止でき、クランプ部材7の回り止め構造(61a、71)を配索部材31によって保護することができる。
【0031】
<他の実施形態>
上記実施形態では、2つの配索部材31及び41がリフレクタステー2の側方を通過する構成を例示したが、リフレクタステー2の側方を通過する配索部材は一つであってもよい。また、配索部材31及び41として、ブレーキホース、センサケーブルを例示したが、他の種類の配索部材であってもよい。
【0032】
上記実施形態では、リフレクタステー2の形態として、D1方向にほぼ直線状に延びる板状の部材を例示したが、途中でD3方向に屈曲した形態(例えば右側面視でV字型、逆V字型等)であってもよい。
【0033】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は少なくとも以下の項目の鞍乗型車両を開示している。
【0034】
項目1.
前輪(FW)を回転可能に支持するフロントフォーク(103)と、
前記前輪(FW)の側方に配置されたリフレクタ(1)と、
前記フロントフォーク(103)と前記リフレクタとを連結するリフレクタステー(2)と、
前記前輪(FW)の側方に配置された第一の車両部品(3)と、
前記第一の車両部品(3)から延び、前記リフレクタステー(2)の下方から上方へ配索される第一の配索部材(31)と、
を備えた鞍乗型車両(100)であって、
前記リフレクタ(1)は、車両前後方向で前記フロントフォーク(103)から離間して前記フロントフォーク(103)の後方に配置され、
前記リフレクタステー(2)は、前記フロントフォーク(103)と前記リフレクタ(1)の間の領域(R)を延在する延在部(21)を含み、
前記第一の配索部材(31)は、前記延在部(21)の側方を上下に通過している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記第一の配索部材は前記リフレクタと前記フロントフォークの間を通りつつ、前記リフレクタステーと交差するので、前記リフレクタが車幅方向外側に突出することを抑制することができる。
【0035】
項目2.
項目1に記載の鞍乗型車両であって、
前記前輪(FW)の側方に配置された第二の車両部品(4)と、
前記第二の車両部品(4)から延び、前記リフレクタステー(2)の下方から上方へ配索される第二の配索部材(41)と、を備え、
前記第一の配索部材(31)は、車幅方向で前記延在部(21)の外側側方を上下に通過し、
前記第二の配索部材(41)は、前記車幅方向で前記延在部(21)の内側側方を上下に通過している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記第一の配索部材と前記第二の配索部材とが前記リフレクタステーの内側と外側に分かれて配索される。前記第一の配索部材と前記第二の配索部材とを前記リフレクタステーの同じ側面の側を通過させる構成よりも前記リフレクタステーの車両前後方向の長さを短くすることができる。前記リフレクタステーの材料費を削減できる。
【0036】
項目3.
項目2に記載の鞍乗型車両であって、
前記延在部(21)の内側に設けられ、前記第二の配索部材(41)を支持する支持部(5)を備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記リフレクタステーの内側を通る前記第二の配索部材が前記支持部で支持されることにより、前記第二の配索部材の姿勢が安定し、周囲の他の部品と干渉することを防止できる。したがって、干渉を防止するための余分なクリアリンスを形成する必要もない。
【0037】
項目4.
項目2に記載の鞍乗型車両であって、
前記第一の配索部材(31)は、前記第二の配索部材(41)よりも外径が大きい、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記リフレクタステーの内側を通る前記第二の配索部材の外径が小さい(細い)ことで、前記リフレクタステー及び前記リフレクタを、車幅方向でより中心側に配置することができ、前記リフレクタが車幅方向外側に突出することを防止できる。
【0038】
項目5.
項目2に記載の鞍乗型車両であって、
前記第一の配索部材(31)の下端部(31a)は、前記第二の配索部材(41)の下端部(41a)よりも前記車幅方向で外側に位置している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記リフレクタステーの下方において前記第一の配索部材と前記第二の配索部材とが交差することがなく、これらを無駄に湾曲させる必要もなく、これらの全長をより短くできる。
【0039】
項目6.
項目2に記載の鞍乗型車両であって、
前記前輪(FW)を上から覆うフロントフェンダ(6)と、
前記第一の配索部材(31)及び前記第二の配索部材(41)を束ねてクランプするクランプ部材(7)と、を備え、
前記フロントフェンダ(6)は、前記フロントフォーク(103)に連結される連結部(61)を有し、
前記クランプ部材(7)は、前記リフレクタステー(2)よりも上方の位置において前記連結部(61)に支持されている、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記リフレクタステーの近傍において前記第一の配索部材及び前記第二の配索部材の姿勢を安定させることができ、前記リフレクタステーの各側面により近い位置に前記第一の配索部材及び前記第二の配索部材を通過させることができる。前記リフレクタステーの全長をより短くすることができる。
【0040】
項目7.
項目6に記載の鞍乗型車両であって、
前記連結部(61)に前記クランプ部材(7)を固定する固定具(8)を備え、
前記クランプ部材(7)は、前記固定具(8)を中心とした回転の回り止めとなる爪部(71)を有し、
前記連結部(61)は、前記爪部(71)が係合する係合孔(61a)を有し、
前記第一の配索部材(31)は、前記鞍乗型車両の側面視で前記係合孔(61a)と重なる位置を通過している、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記クランプ部材の姿勢を安定させることができると共に、前記係合孔に異物等が侵入することを前記第一の配索部材によって防止できる。前記クランプ部材の回り止め構造を前記第一の配索部材によって保護することができる。
【0041】
項目8.
項目2に記載の鞍乗型車両であって、
前記第一の車両部品は、前記前輪の制動機構を構成するブレーキキャリパ(3)であり、
前記第一の配索部材は、前記ブレーキキャリパのブレーキホース(31)である、
前記第二の車両部品は、前記前輪の回転量を検知するセンサ(4)であり、
前記第二の配索部材は、前記センサのセンサケーブル(41)である、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、前記ブレーキホース及び前記センサケーブルを配索しつつ、前記リフレクタが車幅方向外側に突出することを抑制できる。
【0042】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 リフレクタ、2 リフレクタステー、31配索部材、41 配索部材、100 鞍乗型車両、103 フロントフォーク
図1
図2
図3
図4