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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】霧化コア、霧化器および電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241210BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20241210BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023052341
(22)【出願日】2023-03-28
(65)【公開番号】P2023159868
(43)【公開日】2023-11-01
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】202210418914.4
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呂 紅霞
(72)【発明者】
【氏名】李 沛
(72)【発明者】
【氏名】蒋 振龍
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-061938(JP,A)
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113826962(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114287676(CN,A)
【文献】特表2021-521862(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/002994(JP,A1)
【文献】中国特許出願公開第113141678(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材と、発熱層と、酸化物層と、2つの電極と、を含む霧化コアであって、
前記多孔質基材は霧化面を有し、
前記発熱層は前記多孔質基材の前記霧化面に設置され、前記発熱層は、ジルコニウム、チタンーアルミニウム合金、チタンージルコニウム合金、チタンーモリブデン合金、チタンーニオブ合金のうちの少なくとも1つの材料で形成され、
前記酸化物層は前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に設置され
2つの前記電極は前記多孔質基材から離れた前記酸化物層の表面に相互に間隔をあけて設置され、2つの前記電極は、前記酸化物層に覆われない前記発熱層の部分を覆い、且つ2つの前記電極は、前記酸化物層、前記発熱層および前記多孔質基材と接触され、前記酸化物層及び前記発熱層の側面は2つの前記電極に覆われることを特徴とする霧化コア。
【請求項2】
前記酸化物層は、酸化アルミニウムおよび/または酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項3】
前記酸化物層の厚さは200nm~600nmであることを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項4】
前記酸化物層は、物理気相堆積方法によって、前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項5】
前記酸化物層の厚さは前記電極の厚さより薄いことを特徴とする請求項に記載の霧化コア。
【請求項6】
前記発熱層は多孔質発熱膜であることを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項7】
前記酸化物層は多孔質構造体であることを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項8】
前記多孔質基材は、多孔質セラミック基材または多孔質緻密な基材であることを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項9】
エアロゾル生成基質を貯蔵するための液体貯蔵室および請求項1~のいずれか一項に記載の前記霧化コアを含む霧化器であって、
前記霧化コアは、前記エアロゾル生成基質を加熱および霧化することに用いられることを特徴とする霧化器。
【請求項10】
電源アセンブリおよび請求項に記載の前記霧化器を含む電子霧化装置であって、
前記電源アセンブリは、前記霧化器にエネルギーを供給することに用いられることを特徴とする電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は霧化器の技術分野に関し、特に霧化コア、霧化器および電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子霧化装置は一般に霧化器及び電源アセンブリで構成される。電源アセンブリは霧化器に電力を供給するために使用される。霧化器が通電されて、エアロゾル生成基質を加熱して霧化して、ユーザーが吸入するためのエアロゾルを生成する。霧化コアは多孔質基材及び発熱部品を含む。その中で、霧化器の加熱および霧化プロセスには、主に霧化コアの発熱部品が通電されて熱を発生させ、それにより、エアロゾル生成基質の加熱および霧化を実現する。
【0003】
通常、霧化コアの発熱部品は金属発熱膜層であるが、霧化プロセス中にオイルの供給が不十分な場合、金属発熱膜層が酸化して故障しやすく、製品の安定性及び寿命に影響をあたえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、主に、霧化コア、霧化器および電子霧化装置を提供し、従来の技術には霧化コアの金属発熱膜層が霧化プロセス中に故障しやすく、その寿命が短いという問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供される第1技術的解決策は、霧化コアを提供し、前記霧化コアは、多孔質基材、発熱層および酸化物層を含み、前記多孔質基材は霧化面を有し、前記発熱層は前記多孔質基材の霧化面に設置され、前記酸化物層は多孔質基材から離れた発熱層の表面に設置される。
【0006】
ここで、前記酸化物層は、酸化アルミニウムおよび/または酸化シリコンを含む。
【0007】
ここで、前記酸化物層の厚さは200nm~600nmである。
【0008】
ここで、前記酸化物層は、物理気相堆積方法によって、前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に形成される。
【0009】
ここで、前記霧化コアはさらに2つの電極を含み、2つの前記電極は前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に設置され、前記発熱層は前記酸化物層及び2つの前記電極に共に覆われる。
【0010】
ここで、前記酸化物層の厚さは前記電極の厚さより薄い。
【0011】
ここで、前記発熱層は多孔質発熱膜である。
【0012】
ここで、前記酸化物層は多孔質構造体である。
【0013】
ここで、前記多孔質基材は、多孔質セラミック基材または多孔質緻密な基材である。
【0014】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供される別の技術的解決策は、霧化器を提供し、前記霧化器は、エアロゾル生成基質を貯蔵するための液体貯蔵室および任意の一つの前記霧化コアを含み、前記霧化コアは、前記液体貯蔵室におけるエアロゾル生成基質を吸収し且つ加熱および霧化することに用いられる。
【0015】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供されるもう一つの技術的解決策は、電子霧化装置を提供し、前記電子霧化装置は電源アセンブリおよび前記霧化器を含み、前記電源アセンブリは前記霧化器にエネルギーを供給することに用いられる。
【発明の効果】
【0016】
従来技術の状況とは異なり、本出願は、霧化コア、霧化器および電子霧化装置を開示する。霧化コアは、多孔質基材、発熱層および酸化物層を含む。多孔質基材は霧化面を有し、発熱層は多孔質基材の霧化面に設置され、酸化物層は多孔質基材から離れた発熱層の表面に設置される。多孔質基材から離れた発熱層の表面に酸化物層が設置されることにより、加熱霧化プロセス中に、酸化物層は発熱層を保護し、霧化プロセス中に発熱層が酸化されることにより発熱層が故障することを回避し、発熱層の安定性を改善し、発熱層の耐用年数を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本出願の実施形態又は従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下では、実施形態又は従来技術の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本出願のいくつかの実施形態にすぎない。当業者にとって創造的な努力なしにこれらの図面から他の図面を得ることができる。
図1】本出願の一実施形態に係る電子霧化装置の構造模式図である。
図2図1に提供される電子霧化装置における霧化器の概略構造図である。
図3図2の霧化コアの一つの実施形態の概略構造図である。
図4図3の霧化コアの概略上面構造図である。
図5図2の霧化コアの別の実施形態の概略構造図である。
図6図2の霧化コアのさらに別の実施形態の概略構造図である。
【0018】
以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら本出願の実施形態の技術方案を明確且つ完全に説明する。理解されるように、記載された実施形態は、本出願の実施形態の一部にすぎず、それらのすべてではない。本出願の実施形態に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得するすべての他の実施形態は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0019】
本出願における用語「第1」、「第2」、「第3」等は、説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示しまたは暗示したり、示された技術的特徴の数を暗示したりすると解釈されるべきではない。従いまして、「第1」、「第2」、「第3」として定義される特徴は、その特徴の少なくとも一つを明示的または黙示的に含むことができる。本出願の説明において、「複数」とは、別段の明確かつ具体的な定義がない限り、少なくとも二つ、例えば二つ、三つなどを意味する。また、用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図している。例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は装置は列挙したステップ又はユニットに限定されず、選択的に列挙しないステップ又はユニットを更に含み、又は選択的にこれらの過程、方法、製品又は装置固有の他のステップ又はユニットを更に含む。
【0020】
本明細書に言及した「実施形態」とは、実施形態を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施形態に含まれてもよいことを意味する。明細書の各箇所に該連語が出現することは必ずしもいずれもが同じ実施形態を指すとは限らず、他の実施形態と相互排他的な独立した又は代替の実施形態でもない。当業者であれば明示的及び暗示的に理解されるように、本明細書に説明される実施形態は他の実施形態と組み合わせられることができる。
【0021】
図1および図2を参照すると、図1は本出願で提供される電子霧化装置の概略構造図であり、図2図1で提供される電子霧化装置における霧化器の概略構造図である。
【0022】
図1を参照すると、本出願は電子霧化装置300を提供する。電子霧化装置300は霧化器100および電源アセンブリ200を含む。電源アセンブリ200は霧化器100にエネルギーを供給するために使用される。霧化器が通電されて、エアロゾル生成基質を加熱して霧化して、使用者が吸入するたためのエアロゾルを生成させる。
【0023】
選択的に、電子霧化装置300における霧化器100および電源アセンブリ200は、一体構造であってもよく、または取り外し可能に接続されることができ、必要に応じて設計することができる。
【0024】
図2に示すように、霧化器100は、液体貯蔵室90、出気管30、霧化コア10及び霧化器100に形成された霧化室20を含む。液体貯蔵室90は、エアロゾル生成基質を貯蔵するために使用される。霧化コア10は、液体貯蔵室90におけるエアロゾル生成基質を吸収するために使用され、吸収されたエアロゾル生成基質を加熱および霧化して最終的にエアロゾルを生成させる。霧化によって生成されたエアロゾルは霧化室20に、外部気流と共に出気管30を通って流れ、最終的に霧化器100から流出され、使用者によって吸入される。
【0025】
霧化コア10の発熱部品は、一般的に金属発熱膜層である。金属発熱膜層のナノ粒子は、焼結および霧化プロセス中に酸化および故障しやすく、特にオイルの供給が不十分な場合、酸化および故障しやすい。金属発熱膜層が酸化及び故障しやすいという問題に対して、従来技術はこの技術的問題を解決するために、一般的に金属発熱膜層の表面に金や白金などの貴金属で形成された保護層が設置される。しかし、金、白金などの粒子は、エアロゾル生成基質が少ないと焼過ぎやすく、貴金属粒子が凝集し、これにより、金属発熱膜層が空気に暴露されて酸化および故障する。これを考慮して、本出願は霧化コア10を提供し、以下に詳細に説明する。
【0026】
図3および図4を参照すると、図3は、図2の霧化コアの一つの実施形態の概略構造図であり、図4は、図3が提供される霧化コアの概略上面構造図である。
【0027】
霧化コア10は、多孔質基材11、発熱層12および酸化物層13を含む。多孔質基材11は霧化面111を有し、発熱層12は多孔質基材11の霧化面111に設置され、酸化物層13は多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置される。多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に酸化物層13を設置することにより、発熱層12を保護し、発熱層12と空気との直接接触を遮断する。これにより、発熱層12が加熱の環境で酸化されるによって発熱層12が故障することを防止できる。発熱層12の安定性を改善し、発熱層12の耐用年数を延ばすことは有益である。
【0028】
本実施形態では、具体的には、酸化物層13の材料は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、または酸化アルミニウムと酸化シリコンとの混合物であってもよい。酸化物層13の材料はすべて酸化物であり、その耐酸化性が強く、且つ酸化アルミニウム及び酸化シリコンはどちらも安定性の高い酸化物であり、その性能は比較的安定している。これにより、霧化プロセス中に、酸化物層13が空気と接触しても、酸化物層13が容易に酸化反応を発生させず、その性能を変化させないため、霧化コア10の安定性が保証される。同時に、酸化アルミニウム及び酸化シリコンの融点及び沸点が比較的高く、その高温耐性が強い。霧化プロセス中において、霧化コア10におけるエアロゾル生成基質が不十分である際に、エアロゾル生成基質の過燃焼が発生した場合でも、酸化物層13は過燃焼により粒子を凝集することを発生させず、霧化コア10の故障を引き起こさない。これにより、金、白金などの貴金属材料が霧化コア10の保護層として使用され、霧化コア10におけるエアロゾル発生基質が少ない場合に、貴金属材料の過燃焼によって貴金属粒子の凝集が引き起こされ霧化コア10が故障することを効果的に解決できる。霧化コア10の安定性を向上させ、霧化コア10の耐用年数を延ばす。同時に、貴金属材料を保護層として使用する場合と比較して、発熱層12の保護層を酸化物で形成するコストは低く、霧化器100の製造コストを効果的に節約できる。
【0029】
酸化物層13は、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に酸化物を堆積することにより形成される。具体的には、本実施形態では、酸化物層13は、スパッタリング法により酸化物をスパッタリングすることにより形成される。選択的に、スパッタリング法は、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法などの技術を採用することができる。酸化物層13が採用する酸化アルミニウムや酸化シリコンなどの材料の自体は緻密性の高い材料である。しかし、酸化物層13は発熱層12の表面にスパッタリング法で形成されるため、この製造工程により酸化物層13の構造も多孔質構造となる。
【0030】
酸化物層13の厚さは200nm~600nmであり、酸化物層13が発熱層12をより良好に保護できるようにする。理解できるように、酸化物層13の厚さが小さすぎると、酸化物層13の構造の強度が低下し、酸化物層13が空気に対する阻隔能力も弱められることに伴って、酸化物層13が発熱層12に対する保護性能は弱められる。これにより、空気が発熱層12に接触し、発熱層12が酸化され、さらに霧化コア10が故障する。同時に、本発明者は酸化物層13の厚さが厚すぎてはならないことを発見した。一方で、酸化物層13自体の熱伝導率が金属材料の熱伝導率よりも小さく、酸化物層13の厚さが厚すぎると、霧化面111の昇温速度に影響し、霧化により生成されたエアロゾルの量にも影響を与える。他方で、霧化面111は多孔質構造であるため、酸化物層13の厚さが厚すぎると、酸化物層13は多孔質構造を塞ぎ、液体伝導率を減少し、異常の高温や空焼き等の問題を発生させる。
【0031】
他の実施形態では、酸化物層13は、発熱層12の保護を実現できる限り、他の技術によって形成することもできる。
【0032】
多孔質基材11の形状や大きさは制限されない。多孔質基材11は、多孔質構造を有する材料から形成される。例えば、多孔質基材11は、多孔質セラミック、多孔質ガラス、多孔質プラスチック、多孔質金属などから形成されることができる。本実施形態では、多孔質基材11の材料は、多孔質セラミックである。多孔質セラミックは孔隙を有し、液体を伝導および貯蔵する機能を有するため、液体貯蔵室90におけるエアロゾル生成基質は、多孔質基材11によって吸収され、霧化面111に浸透して加熱され且つ霧化される。同時に、多孔質セラミックスは、安定した化学的性質を持ち、エアロゾル生成基質と化学的に反応せず、且つ多孔質セラミックスは高温に耐え、霧化プロセス中の過高の加熱温度によって変形しない。多孔質セラミックは絶縁体であり、その表面に設置される発熱層12と電気的に接続されて短絡して霧化コア10を故障させることがなく、且つ多孔質セラミックの製造が容易であり、そのコストが低い。本実施形態では、多孔質基材11は、直方体の多孔質セラミック基材である。
【0033】
いくつかの実施形態では、多孔質セラミックは、30%~70%の孔隙率を有する。孔隙率とは、多孔質媒体における小さな孔隙の総体積と多孔質媒体の総体積との比率を指す。孔隙率のサイズは、エアロゾル生成基質の成分に応じて調整できる。たとえば、エアロゾル生成基質の粘度が比較的大きい場合、液体の伝導効果を確保するために、より高い孔隙率が選択される。
【0034】
他の実施形態では、多孔質セラミックの孔隙率は50%~60%であってもよい。多孔質セラミックスの孔隙率は50%~60%であり、一方では、多孔質セラミックスが良好な液体の伝導効率を有することを保証し、エアロゾル生成基質の循環不良による空焼きの発生を防ぐことができ、霧化器100の霧化効果を改善することができる。他方では、多孔質セラミックの孔隙率が大きすぎて液体の伝導速度が速すぎて液体をロックし難くして、液体漏れの可能性を大幅に増加させて霧化器100の性能に影響を与えることを回避できる。
【0035】
他の実施形態では、多孔質構造を有する他の材料を使用して多孔質基材11を形成する場合、多孔質基材11の孔隙率の比率などの設定は、多孔質セラミックの設定を参照して設定することができるが、本出願はここでそれらを繰り返さない。
【0036】
理解できるように、多孔質基材11が多孔質ガラス、多孔質プラスチックまたは多孔質金属である場合、多孔質ガラス、多孔質プラスチックまたは多孔質金属は、緻密なガラス基材、プラスチック基材または金属基材に孔を開けることによって形成できる。
【0037】
多孔質基材11が多孔質金属である場合、多孔質基材11と発熱層12との間に絶縁層が設置される。絶縁層は、多孔質基材11と発熱層12とを絶縁させるために用いられ、多孔質基材11と発熱層12とが電気的に接続されて短絡することを防止する。
【0038】
発熱層12は、多孔質基材11の霧化面111に設置される。発熱層12が通電されると発熱層12が発熱し、エアロゾル生成基質を加熱して霧化する。選択的に、発熱層12は、発熱膜、発熱コーティング、発熱回路、発熱シート、または発熱ネットのうちの少なくとも1つである。本実施形態では、発熱層12は多孔質発熱膜構造体である。理解できるように、発熱層12の多孔質構造によって、液体のエアロゾル生成基質が発熱層12または霧化面111の表面により効率的に浸透できる。それにより、発熱層12の液体伝導率および熱伝導効率を改善し、霧化コア10の霧化効果を向上させる。
【0039】
発熱層12の材料は、多孔質基材11と結合してより安定する材料から選択することができる。例えば、発熱層12は、チタン、ジルコニウム、チタンーアルミニウム合金、チタンージルコニウム合金、チタンーモリブデン合金、チタンーニオブ合金、鉄ーアルミニウム合金、タンタルアルミニウム合金、ステンレス鋼などの材料で形成されることができる。
【0040】
チタン及びジルコニウムは以下の特性を有する。チタン及びジルコニウムは生体適合性に優れた金属であり、特にチタンは生体親和性の高い金属元素であり、その安全性が高い。チタン及びジルコニウムは金属材料でも抵抗率が比較的大きい。室温で特定の比率でチタン及びジルコニウムが合金化された後に、形成された合金は元の3倍の抵抗率を持ち、発熱層12の材料としてより適する。チタン及びジルコニウムは熱膨張係数が小さく、チタン及びジルコニウムの合金化された後の熱膨張係数がさらに小さくなり、多孔質セラミックとの熱的適合性が高い。特定の比率でチタン及びジルコニウム合金化された後に、合金の融点が低くなり、マグネトロンスパッタリングコーティングの成膜特性が向上する。金属コーティング後に、電子顕微鏡の分析により、その微細な粒子が球状であり、粒子と粒子とが集まってカリフラワーに似た微細な形態を形成することがわかる。それに対して、チタンージルコニウム合金で形成されたフィルムは、電子顕微鏡の分析により、その微細な粒子がフレーク状であり、粒子間の粒界の一部が消失し、連続性が向上することがわかる。チタン及びジルコニウムは両方とも優れた可塑性と伸びを持ち、チタンージルコニウム合金膜の熱サイクル及び電流衝撃に対するより優れた耐性を持つ。チタンは金属やセラミックスの応力緩衝層として使用され、またはセラミックメタライゼーションの活性要素としてよく使用される。チタンはセラミック界面と反応し、比較的強い化学結合を形成し、フィルムの接着性を向上させることができる。チタンおよびジルコニウムの上記の特性に基づいて、本実施形態では、発熱層12は、チタンージルコニウム合金で形成されることができる。
【0041】
発熱層12の厚さは0.1μm~10μmである。具体的には、発熱層12の厚さは、0.1μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、または10μmの中の任意の一つであってもよく。好ましくは、発熱層12の厚さは2μm~5μmである。この厚さは、発熱層12の厚さが多孔質基材11の孔径と適合することを保証でき、発熱層12が液体を伝導および貯蔵するための多孔質基材11の微細孔を塞ぐのを防止することができ、霧化コア10の霧化プロセス中の液体供給の安定性を改善し、その耐用年数を延ばすことができる。
【0042】
選択的に、発熱層12は、物理気相堆積または化学気相堆積などの技術によって、多孔質基材11の霧化面111に形成されることができる。例えば、発熱層12は、スパッタリング、蒸着コーティング、原子層堆積などの技術によって形成されることができる。
【0043】
本実施形態では、チタンージルコニウム合金からなるチタンージルコニウム合金膜の自体は局所的に緻密なフィルムである。しかし、多孔質基材11自体が多孔質構造体であるため、多孔質基材11の表面に形成されたチタンージルコニウム合金膜も多孔質連続構造体となり、且つチタンージルコニウム合金膜の孔径は、多孔質基材11の表面の細孔の孔径よりもわずかに小さい。
【0044】
図3を参照すると、霧化コア10はさらに2つの電極14を含む。2つの電極14は、電子霧化装置300における電源アセンブリ200にそれぞれ電気的に接続され、霧化コア10の発熱層12に電力を供給するために使用される。これにより、発熱層12が通電されると発熱し、多孔質基材11に吸収されたエアロゾル生成基質を加熱して霧化し、エアロゾルを生成させる。
【0045】
具体的には、図3および図4に示すように、2つの電極14は両方とも多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置され、それぞれ酸化物層13の両側に位置される。酸化物層13は、2つの電極14によって覆われない発熱層12の部分を覆い、発熱層12が酸化物層13および2つの電極14によって完全に覆われることを保証する。これにより、霧化プロセス中、発熱層12が空気と接触して酸化されることが発生せず、酸化により発熱層12が故障する問題を回避できる。さらに、霧化コア10の安定性が改善され、霧化コア10の耐用年数が延長される。2つの電極14の厚さは、酸化物層13の厚さよりも大きく、これにより、電極14が発熱層12と良好に接触することが保証され、同時に、電源アセンブリ200と電極14とは電気コネクタを介して電気的に接続されるとき、電極14と電気コネクタとの間の接触安定性が改善させる。同時に、酸化物層13の厚さは比較的小さいので、それ自体が吸収する熱は少なく、電熱損失は低く、霧化コア10の昇温速度は速い。
【0046】
別の実施形態では、図5に示すように、酸化物層13は多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置される。2つの電極14は多孔質基材11から離れた酸化物層13の表面に相互に間隔をあけて設置される。2つの電極14は、酸化物層13に覆われない発熱層12の部分を覆い、且つ2つの電極14は、酸化物層13、発熱層12および多孔質基材11と接触される。酸化物層13及び発熱層12の側面は2つの電極14に覆われる。これにより、酸化物層13の両側に電極14を設置した場合に、電極14と酸化物層13との間に隙間が生じて空気と発熱層12との接触を完全に遮断することができないために霧化コア10が故障することを防止できる。
【0047】
さらに別の実施形態では、図6に示すように、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面および発熱層12の側面は酸化物層13に完全に覆われることができる。すなわち、発熱層12は酸化物層13に完全に包み込まれ、発熱層12を空気との接触から完全に隔離する。孔を開ける方式によって、酸化物層13に互いに間隔をあける2つの貫通孔(図示せず)が設置され、2つの電極14はそれぞれ酸化物層13の2つの貫通孔を介して発熱層12に電気的に接続され、且つ2つの電極14は多孔質基材11から離れた酸化物層13の表面に露出され、電源アセンブリ200に電気的に接続される。
【0048】
従来技術とは異なり、本出願は、霧化コア、霧化器および電子霧化装置を開示する。霧化コアは、多孔質基材、発熱層および酸化物層を含む。多孔質基材は霧化面を有し、発熱層は多孔質基材の霧化面に設置され、酸化物層は多孔質基材から離れた発熱層の表面に設置される。多孔質基材から離れた発熱層の表面に酸化物層が設置されることによって、加熱霧化プロセス中に、酸化物層は発熱層を保護し、霧化プロセス中に発熱層が酸化されることにより発熱層が故障されることを回避し、発熱層の安定性を改善し、発熱層の耐用年数を延ばす。
【0049】
以上は本出願の実施形態であって、本出願の特許範囲を制限するものではなく、本出願の明細書及び図面の内容を利用して行われる等価構造又は等価プロセス変換、又は他の関連する技術分野に直接又は間接的に適用されるものは、いずれも同様に本出願の特許保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6