(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】模型玩具の導光構造
(51)【国際特許分類】
A63H 33/22 20060101AFI20241210BHJP
A63H 3/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A63H33/22 A
A63H3/00 U
(21)【出願番号】P 2023063180
(22)【出願日】2023-04-10
(62)【分割の表示】P 2020128664の分割
【原出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 由輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048925(JP,A)
【文献】特開2013-092483(JP,A)
【文献】特開2013-000133(JP,A)
【文献】特開2012-064558(JP,A)
【文献】特開2010-250974(JP,A)
【文献】特開平02-309503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
G09F 13/00-13/46
G02B 6/00, 6/02,
6/245-6/25,
6/46- 6/54
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を特定の方向に導くことができる導光部材と、
前記導光部材により誘導された光を外部から目視可能に放出する発光部材と、を含み、
前記発光部材は、前記導光部材から光を受ける入光部が、前記導光部材の出光部を囲むように前記出光部に支持されており、
前記出光部は、前記光源の配置側とは反対側の端面に形成された窪み面を有し、前記窪み面の頂部が前記光源の配置側に位置
し、
前記発光部材は、前記出光部を囲む環状の入光部と、前記入光部から該入光部の半径方向の外方に延びる平板状の複数の延出羽根部とを含む、
模型玩具の導光構造。
【請求項2】
請求項1に記載の模型玩具の導光構造において、
前記窪み面は、略円錐形に窪む逆円錐面である、
模型玩具の導光構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の模型玩具の導光構造において、
前記出光部は、前記光源の光を前記入光部に向かって放射する円弧外面を有し、
前記入光部は、前記円弧外面に常時対面した状態の円弧内面を有している、
模型玩具の導光構造。
【請求項4】
請求項3に記載の模型玩具の導光構造において、
前記円弧外面には、前記出光部からの導光経路を画成するように切り欠かれた切欠きが形成され、
前記切欠きには、玩具本体側に設けられた係止突起が係合する、
模型玩具の導光構造。
【請求項5】
請求項4に記載の模型玩具の導光構造において、
前記切欠きは、前記導光部材の軸心側から半径外方向に広がる2つの切欠き面にて略V字形状に形成されている、
模型玩具の導光構造。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の模型玩具の導光構造において、
前記導光部材は、前記光源の光を前記出光部に導く導光胴部を備え、
前記出光部は、前記導光胴部に比べて大径に形成されている、
模型玩具の導光構造。
【請求項7】
請求項6に記載の模型玩具の導光構造において、
前記導光部材は、前記導光胴部の外周面に、前記導光胴部の軸心線に沿うように複数の凸条が形成されている、
模型玩具の導光構造。
【請求項8】
請求項
7に記載の模型玩具の導光構造において、
前記延出羽根部は
、当該延出羽根部の厚み方向の中段部位に光反射部が設けられている、
模型玩具の導光構造。
【請求項9】
請求項
8に記載の模型玩具の導光構造において、
前記延出羽根部は
、当該延出羽根部の厚み方向において
重なる少なくとも二枚の重ね合せ部材
にて構成され、
前記光反射部は、前記二枚の重ね合せ部材の少なくとも一方の内側面に形成された凹凸により形成されている、
模型玩具の導光構造。
【請求項10】
請求項1~
9の何れか一項に記載の模型玩具の導光構造において、
前記発光部材は、前記入光部
にて前記発光部材の厚み方向に
複数個重な
るように配置されている、
模型玩具の導光構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具の導光構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人形、アクセサリー、模型玩具などにおいて、発光させて光演出するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、所定の形状をした人形やアクセサリー等の模型玩具に発光素子(光源)を設け、この発光素子に対して、所定の形状をした透光体(発光部材)が結合されている。すなわち、発光素子の光を透光体の一端から導き、透光体内を伝達した光を、透光体の他の場所から出射するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、透光体(発光部材)は、発光素子に対して結合・固定されている。このため、模型玩具は所定の発光演出ができるが、透光体を動かす構造とはなっていない。このため、模型玩具として、光演出を動かす楽しみ方ができない。また、発光部材を可動構造とすることで興趣性を高められるが、それだけ構造が複雑になる課題がある。更に、可動構造部分の導光性能を維持することが難しくなる問題を有する。特に、模型玩具のように小型軽量の構造体にあっては、可動構造の導光構造の複雑化回避と共に導光性能に優れ、発光部材が動くことができる興趣性の高い模型玩具を提供するのは難しかった。
【0006】
本発明は、興趣性の高い模型玩具の導光構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る模型玩具の導光構造は、
光源からの光を特定の方向に導くことができる導光部材と、
前記導光部材により誘導された光を外部から目視可能に放出する発光部材と、を含み、
前記発光部材は、前記導光部材に回動可能に支持されている、ことを特徴としている。また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、前記発光部材は、前記導光部材から光を受ける入光部が、前記導光部材の出光部を囲むようにして前記出光部にに回動可能に支持されていてもよい。また、本発明に係る模型玩具の導光構造は、光源からの光を特定の方向に導くことができる導光部材と、前記導光部材により誘導された光を外部から目視可能に放出する発光部材と、を含み、前記発光部材は、前記導光部材から光を受ける入光部が、前記導光部材の出光部を囲むように前記出光部に支持されており、前記出光部は、前記光源の配置側とは反対側の端面に形成された窪み面を有し、前記窪み面の頂部が前記光源の配置側に位置していることを特徴とする。また、本発明に係る模型玩具の導光構造は、前記出光部は、前記光源の光を前記入光部に向かって放射する円弧外面を有し、前記入光部は、前記円弧外面に常時対面した状態の円弧内面を有していてもよい。また、本発明に係る模型玩具の導光構造は、光源からの光を特定の方向に導くことができる導光部材と、前記導光部材により誘導された光を外部から目視可能に放出する発光部材と、を含み、前記発光部材は、前記導光部材から光を受ける入光部が、前記導光部材の出光部を囲むように前記出光部に支持されており、前記出光部は、前記光源の配置側とは反対側の端面に形成された窪み面を有し、前記窪み面の頂部が前記光源の配置側に位置し、前記発光部材は、前記出光部を囲む環状の入光部と、前記入光部から該入光部の半径方向の外方に延びる平板状の複数の延出羽根部とを含む、ことを特徴とする。また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、前記延出羽根部は、当該延出羽根部の厚み方向の中段部位に光反射部が設けられているようにしてもよい。また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、前記延出羽根部は、当該延出羽根部の厚み方向において重なる少なくとも二枚の重ね合せ部材にて構成され、前記光反射部は、前記二枚の重ね合せ部材の少なくとも一方の内側面に形成された凹凸により形成されているようにしてもよい。また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、前記発光部材は、前記入光部にて前記発光部材の厚み方向に複数個重なるように配置されているようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記出光部は、前記光源の配置側とは反対側の端面に形成された窪み面を有し、前記窪み面の頂部が前記光源の配置側に位置している、ようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造おいては、
前記窪み面は、略円錐形に窪む逆円錐面である、ようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造おいては、
前記出光部は、前記光源の光を前記入光部に向かって放射する円弧外面を有し、
前記入光部は、前記円弧外面に常時対面した状態で移動可能な円弧内面を有している、ようにしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造おいては、
前記円弧外面には、前記出光部からの導光経路を画成するように切り欠かれた切欠きが形成され、
前記切欠きには、玩具本体側に設けられた係止突起が係合する、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記切欠きは、前記導光部材の軸心側から半径外方向に広がる2つの切欠き面にて略V字形状に形成されている、ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記導光部材は、前記光源の光を前記出光部に導く導光胴部を備え、
前記出光部は、前記導光胴部に比べて大径に形成されている、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記導光部材は、前記導光胴部の外周面に、前記導光胴部の軸心線に沿うように複数の凸条が形成されている、ようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造おいては、
前記発光部材は、前記出光部を囲む環状の入光部と、
前記入光部から該入光部半径外方に延びる平板状の複数の延出羽根部と、を含む、ようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造おいては、
前記入光部には、前記発光部材の移動方向に沿うように延びる開口が導光経路から外れた位置に形成され、
玩具本体には、前記開口に遊嵌状に受容される規制突起が設けられている、ようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記延出羽根部は、その厚み方向の中段部位に光反射部が設けられている、ようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記延出羽根部は、その厚み方向において分割可能な少なくとも二枚の重ね合せ部材を含み、
前記光反射部は、前記二枚の重ね合せ部材の少なくとも一方の内側面に形成された凹凸により形成されている、ようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る模型玩具の導光構造においては、
前記発光部材は、前記入光部がその厚み方向に重なるように複数個設けられている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、興趣性の高い模型玩具の導光構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る模型玩具の導光構造を有する模型玩具の一実施形態の斜視図である。
【
図5】
図4に示すA-A線に沿った部分の断面矢視図である。
【
図6】
図3に示す導光部材及び発光部材の取付け構造を示す拡大分解斜視図である。
【
図7】
図6に示す導光部材及び発光部材の組立状態を示す分解斜視図である。
【
図8】
図7に示す発光部材の入光部及び導光部材を、導光部材の軸心線方向から見た拡大平面図である。
【
図10】
図7のB-B線に沿った部分の断面矢視図である。
【
図11】導光部材の変形例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る模型玩具の導光構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、模型玩具1の斜視図である。
図2は、模型玩具1の正面図である。
模型玩具1は、
図1及び
図2に示すように、縦長の板状のプラスチックモデルの構造物であり、例えば、ロボットキャラクター100(全体は不図示)に取付けて使用するものであって、ロボットキャラクター100において使用する、防御用盾(シールド)を模した模型である。この模型玩具1は、上下方向の略中心部のセンター部1gから上下に延びる板状の上カバー部1c、下カバー部1d及び両カバー部1c,1dの裏面側の裏側部1eを含む玩具本体を備えている。更に、模型玩具1は、玩具本体を正面から見たときに(
図2参照)、センター部1gを中心にして左右斜め上方に及び斜め下方に向かって延出、言い換えると、X字状に四方に延出される延出羽根部22を含む発光部材20を備えている。また、発光部材20は、その詳細については後述するが、センター部1gを中心にして回動可能に構成されている。
【0024】
発光部材20は、それ自身が光源を有するものではなく、後述する導光部材10により誘導された光を外部から目視可能に放出する機能を備えている。光を放射する形態としては、後述するように、例えば、発光部材20の延出羽根部22の表裏両面側から光を放射できるように構成されている。発光部材20の光源としては、例えば、ロボットキャラクター100側に設置されたLED等の光源8を用いる。
【0025】
光源8の光を利用するための構造としては、例えば、玩具本体の裏側部1eに、ロボットキャラクター100の所定箇所に着脱自在な装着係止部1jが設けられている。したがって、模型玩具1が装着係止部1jを介して取付けられた状態において、
図1に示すように、導光部材10の受光端部12t(
図4及び
図5参照)が光源8に対面する。
【0026】
図3は、模型玩具1の分解斜視図である。
図3に示すように、発光部材20は、上カバー部1c、下カバー部1d及びセンター部1gと、裏側部1eとの間に配置される。また、導光部材10は、裏側部1eの保持孔1ehに保持される。保持孔1ehに保持された導光部材10は、その一端側の出光部11が裏側部1eから露出している。この出光部11に対して、環状の入光部21の中央孔21hを嵌めるようにして、発光部材20は裏側部1eに保持される。すなわち、発光部材20は、導光部材10から光を受ける入光部21が、円柱形の出光部11を囲むように保持される。そして、入光部21は、出光部11に対して回動可能に保持されている。
【0027】
このように、発光部材20の入光部21が導光部材10の出光部11を囲む構造は、出光部11と入光部21との対面面積を大きくでき、導光部材10から発光部材20への導光量を増やすのに好都合である。また、導光部材10が発光部材20の回転支軸として利用されることで、回転支持軸を設ける必要がないようになっている。
【0028】
発光部材20は、本実施形態においては、合計で4枚の発光可能(光透過性の素材)な延出羽根部22を備え、後述するように、厚み方向に重なる2部品にて構成されている。例えば、発光部材20は、環状の入光部21から半径方向に180度反対方向に延びる一対の延出羽根部22を有している。そして、2個の発光部材20が、入光部21にて厚み方向で重なるように配置されている(
図6参照)。したがって、複数の入光部21から光を取り入れることができ、しかも、入光部21は、互いに連動することなく独立して別個に移動することができる。
【0029】
図4は、導光部材10の拡大斜視図である。
図5は、導光部材10の
図4におけるA-A線に沿った部分の断面矢視図である。
図4及び
図5に示すように、導光部材10は、光源8の光を出光部11に導く導光胴部12を備えている。出光部11は、導光胴部12に比べて大径に形成されている。また、出光部11には、光源8の配置側とは反対側の端面に形成された窪み面11cが形成されている。この窪み面11cは、例えば略円錐形に窪む構成である。要するに、窪み面11cは、頂部11tが光源側に位置し光源8側から見ると逆円錐面として構成されている。したがって、導光胴部12から入射した光を円弧外面11sに向かって反射する。反射された光源8の光は、円弧外面11sから入光部21に向かって放射される。
【0030】
このように、窪み面11cは、頂部11tが光源8の配置側に位置することで、光源8からの光を所定方向に反射する。しかも、窪み面11cが逆円錐形状であることで、導光部材10の軸心線CLと交差する向きに360度の何れの向きにも光を均等に反射することができる。また、窪み面11cの傾斜角度が一定(
図5参照)であり、反射光を、発光部材20の延出方向に向かう平行な光(導光に好都合な光)を多く放射することができる。なお、頂部11tは、図示においては、円弧状に構成されているが、実際の模型玩具1においては極めて小さいR(アール)形状である。したがって、この頂部11tから光源8の光が漏れることはほとんどない。
【0031】
導光胴部12の外周面12sには、導光胴部12の軸心線CLに沿うように複数の凸条12dが外周面12sの円周方向に等間隔に形成されている。すなわち、導光胴部12は、径が細く構成されてはいるが、凸条12dによって実質的な剛性が高められ、強度アップされた構造となっている。
【0032】
また、導光部材10は、理論的には、例えば、光源8の大きさに合わせて可能な限り大径にした方が導光断面積の大型化で多くの光を導光でき望ましい。しかし、導光断面積を大きくするべく導光胴部12を太くした場合、成形時の樹脂ひけが大きくなると共に成型樹脂内に気泡が残りやすくなるため、導光効率が低下する。
【0033】
そのため、出光部11の径より導光胴部12を実質的に細くする構成は、一見、導光効率が低下すると思われるが、成形時の樹脂ひけと共に気泡発生の抑制をすることになるため、却って導光効率の低下を抑制できるようになっている。一方で、導光胴部12の外周面12sに複数の凸条12dを設けることによって、前述のように強度アップさせると同時に導光断面積を増やし、より多くの光を導光できるようにしている。
【0034】
このように、導光部材10の形状を、出光部11の径に合わせた寸胴の円柱形にする場合に比べて、導光効率を良くし歩留まりを良くすることができ、高品質な導光部材10を安定して製造することができる。また、凸条12dにより導光胴部12の導光断面積を稼ぐことができる。
【0035】
出光部11の外周面である円弧外面11sには、切欠き11kが形成されている。
切欠き11kは、導光部材10の軸心線CL側から半径外方向に広がる2つの切欠き面11ksを有している。すなわち、切欠き11kは、軸心線CL方向から見て、平面視で略V字形状(
図8参照)であって、出光部11から光が放射される導光経路Eを画成するように切り欠かれている。また、切欠き11kは、軸心線CLを挟んで一対設けられている。この切欠き11kには、裏側部1eの係止突起1iが係合することによって、導光部材10は回動しないように係止される。
【0036】
図6は、導光部材10及び発光部材20の取付け構造を示す拡大分解斜視図である。
図6に示すように、導光部材10及び発光部材20を組み込む際には、先ず、前掲したように、導光部材10の導光胴部12を保持孔1ehに挿入する。このとき、切欠き11kを係止突起1iに嵌合させるようにして装着する。その後、2つの発光部材20を、入光部21を重ねるようにして出光部11に嵌め合わせる。このとき、中央孔21hの縁部に切欠きとして形成されている一対の開口21wに、規制突起1wを入れるよう装着する。
【0037】
図7は、導光部材10及び発光部材20の組立状態を示す分解斜視図である。
図7に示すように、導光部材10は係止突起1iに係止され、その導光部材10の周りを、発光部材20の入光部21が囲むように取付けられている。また、発光部材20は、2つの入光部21がその厚み方向に重なるように設けられる。この状態で、
図6に示すセンター部1gの一対の嵌着突起1gd(一方は不図示)を裏側部1eの固定ボス1edに挿入することで、発光部材20は、導光部材10を回転可能に取り付けられる。
【0038】
係止突起1i及び規制突起1wの両突起は、図示の如く、平面視でT字形状に連続する突起fとして一体的に構成されている。導光部材10に係合する係止突起1iは、前掲の如く導光部材10を係止する。一方、入光部21の開口21wに受容される規制突起1wは、開口21wに対して入光部21の円周方向に隙間を有する、所謂、遊嵌状に配置されている。したがって、規制突起1wは、発光部材20を、隙間分だけ回動を許容する回動位置規制部材として機能する。
【0039】
図8は、発光部材20の取付け部位を、導光部材10の軸心線CL方向から見た拡大平面図である。
図8に示すように、発光部材20の入光部21は、前掲のごとく出光部11を囲む環状であるが、図中において左右一対の切欠き11kによって導光の範囲、すなわち、導光経路Eが画成される。この導光経路Eは、それぞれ2つの延出羽根部22が回動する所定角度の範囲を有して構成されている。詳細には、切欠き11kの切欠き面11ksによって導光経路Eの範囲が確定されている。
【0040】
入光部21からその半径外方に延びる4つの延出羽根部22は、導光経路Eの範囲内に位置可能である。また、
図8において、紙面垂直方向に重なる(
図7参照)入光部21の開口21wの位置は、下側の開口21w(点線にて示す)と上側の開口21w(実線にて示す)とでは、図示の如く開口位置が所定角度ずれるように配置されている。これによって、重なり合った入光部21は、それぞれ独立して最大角度(θ)移動できる(
図8に示す状態は、延出羽根部22が最大に開いた状態を示す)。
【0041】
また、延出羽根部22は、最大角度(θ)に開いたときでも、延出羽根部22の位置は、図示の如く導光経路Eの範囲内にある。したがって、延出羽根部22に確実に入光される構造となっている。更に、導光経路Eを確定する切欠き面11ksの向きは、延出羽根部22の延出方向に対面するように向いている。これによって、光の不要な分散が避けられ延出羽根部22に反射光を効率的に向けることができる。
【0042】
また、切欠き11kは、導光経路Eを画成することから、当然のことながら、図示のように、切欠き11kによって導光経路E以外の光を導光しない非導光領域(
図8において、上下の導光経路Eに挟まれた左右の領域)が形成される。この非導光領域に前掲の突起1fが設けられている。このように、突起1f(係止突起1i及び規制突起1w)は、非導光領域に設けられていることで、その形状も比較的自由にでき、導光効率の低下や導光障害を生じることはない。
【0043】
図9は、発光部材20の分解斜視図である。
図9に示すように、延出羽根部22は、その厚み方向において分割可能な二枚の重ね合せ部材22a,22bを有している。二枚の重ね合せ部材22a,22bは、例えば、一端側に係合片22tが複数突設されている。この係合片22tは、重ね合せ部材22a,22bが重ね合わされたときに、一端側に1列に並ぶように配置されている。
【0044】
この係合片22tは、その厚み方向から押えられることで、重ね合せ部材22a,22bが固定されて延出羽根部22が組み立てられる。すなわち、羽根固定部23の固定溝23gに、係合片22tを挿入・嵌合することで、延出羽根部22が組み立てられる。なお、重ね合せ部材22a,22bは、光透過性の素材にて構成されているが、羽根固定部23は、光透過性の素材にて構成されていなくても良い。
【0045】
図10は、発光部材20の部分断面図である。
図10に示すように、延出羽根部22は、重ね合せ部材22a,22bの内側に光反射部22rが設けられている。この光反射部22rは、延出羽根部22の厚み方向の中段部位に設けられている。また、光反射部22rは、光の進路方向に対して、例えば、交差する方向に延びる溝構造(
図9参照)とすることができる。また、溝構造の横断面形状は、例えば、略三角形の凹凸となっている。これにより、延出羽根部22に入射された光(延出羽根部22の板面に平行に進む光)を延出羽根部22の厚み方向に反射する反射面を形成することができる。また、本実施形態においては、光反射部22rが重ね合わせ部材22a、22bの内側に設けられているため、光反射部22rの存在が延出羽根部22の外観(ロボットキャラクターとしてのリアリティ)に影響を及ぼすことがない。
【0046】
また、延出羽根部22は、その厚み方向の中段部位に光反射部22rが設けられていることで、厚み方向の外面寄りの部位は、光が直進し易い部位となっている。したがって、厚み方向の外面寄りの部位(図示において光反射部22rの上下の部位)においては、光は直進し、延出羽根部22の先端側まで届く。
【0047】
更に、
図10においては、光反射部22rの凹凸の高さは、延出羽根部22の長手方向に亘って同じに構成されている。しかし、延出羽根部22の基部側の凹凸を小さく形成し、先端部側に近くなるのに伴って、光反射部22rの凹凸高さを徐々に大きくする構成とすることができる。この場合、延出羽根部22の先端側まで届く光量を増やすことができるだけでなく、延出羽根部22の長手方向における発光の均一化に寄与できる。
【0048】
図11は、導光部材10の変形例を示す拡大断面図である。
図11に示す変形例の場合、
図4及び
図5に示した構成と同様に、窪み面11c並びに切欠き11kを備える構成である。この場合、窪み面11cの窪み面形状は、前掲の逆円錐形(
図4及び
図5参照)でもよいが、
図12に示すように、円弧外面11sに向かって膨らむように適宜曲率を有する湾曲面とすることができる。なお、切欠き11kは、前掲の構成と同様に、導光部材10を固定し易い構造として利用できる。
【0049】
窪み面11cが曲面に形成されることで、窪み面11cによる反射光の放射方向を、円弧外面11sの湾曲に倣うように広げることができる。この場合、入光部21の円弧内面21s(
図5参照)の面形状は、円弧外面11sを囲む形状、すなわち、円弧外面11sに倣うような球面の一部からなる湾曲面にすることができる。この構成の場合、入光部21は、導光胴部12の周りを一平面に沿うように回動するだけでなく、入光部21の厚み方向に揺動することが容易になる。
【0050】
また、本変形例においては、頂部11tの面構造は、大きな湾曲面あるいは平坦面として構成されている。この場合、頂部11tにおいて、所定の光が透過することができる。したがって、この場合の出光部11は、延出羽根部22以外の、例えば、センター部1gに向かって導光することができ、光演出の多様性が高めることができる。
【0051】
以上述べたように、本実施形態の模型玩具1の導光構造によれば、発光部材20を導光部材10に対して回動可能とする導光構造を提供することができる。また、発光部材20の入光部21が、導光部材10の出光部11を囲むように設けられているので、出光部と入光部との対面面積を大きくでき、導光効率が高め導光量を増やすことができる。これにより、発光部材20は、光源8の発光量が少なくても良好な発光演出ができる。更に、入光部21は出光部11に回動可能に支持されるので、回動のために必要な特別な支持部材がなくても良く、回動構造を簡素化が可能である。この結果、発光部材20の移動構造の複雑化が回避され、組み立て性に優れ製造性の良い模型玩具1の導光構造を提供できる。
【0052】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、出光部11は、光源8の配置側とは反対側の端面に窪み面11cを有し、この窪み面11cの頂部11tが光源8側に位置しているので、窪み面11cが形成する界面によって、光源8の光を、導光部材10の軸心線CLと交差する360度の何れの向きにも反射することができる。この結果、発光部材20を出光部11周りに360度何れの位置にも配置可能となり、発光部材20の移動可能範囲を大きく設定することできる。
【0053】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、出光部11の窪み面11cが逆円錐形であることで、窪み面11cによって一定の方向に向かって効率よく光を反射することができ、且つ全方位に均一な反射が可能となる。また、頂部11tは点状に小さく形成されているので、頂部11tからの光の漏れも回避され、導光胴部12内の光を効率よく反射することができる。
【0054】
本実施形態の模型玩具1の導光構造においては、入光部21が、出光部11の円弧外面11sに常時対面して移動可能な円弧内面21sを有していることから、円弧外面11sと円弧内面21sとは両内外面11s,21sに沿って円弧方向に回動可能である。しかも、円弧内面21sには円弧外面11sから常に安定する光を供給できるので、発光部材20は移動しても安定した光量を受けることができる。この結果、発光部材20は、導光部材10に対して円弧を描くように回動しても安定した発光性能を得ることができる。
【0055】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、出光部11の円弧外面11sに、切欠き11kが形成されているので、この切欠き11kに係止突起1iを係合することで、導光部材の回動を固定することができる。
【0056】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、切欠き11kは、導光部材の軸心側から半径外方向に倣うように広がる2つの切欠き面11ksにて略V字形状に構成されるので、切欠き面11ksを、反射面として利用することができる。この結果、切欠き面11ksは、光反射面として機能し、光の不要な拡散を回避して所定方向に光を効率的に誘導することができる。
【0057】
また、本実施形態の模型玩具1の模型玩具1の導光構造では、係止突起1i及び規制突起1wは、切欠き面11ksの後方側(入光部21において光の放射方向から見て方向側)に配置されているので、係止突起1i及び規制突起1wは、導光経路Eから外れた位置に配置され、導光に支障をきたさないようにして構成されている。
【0058】
本実施形態の模型玩具1の導光構造においては、出光部11は、導光胴部12に比べて大径に形成されているので、導光胴部12が細い部材であっても、出光部11が大きいことから入光部21を大きくでき、入光経路を確保し易い。また、出光部11が大きく構成されることから入光部21を複数設ける構成も容易にできる。更に、出光部11が大きく構成されることで、出光部11と入光部21の係合部分の製造が易くなり、出光部11と入光部21との回転構造の成型精度も向上できる。
【0059】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、導光胴部12の外周面12sに、複数の凸条12dが形成されていることで、導光胴部12の強度をアップができる。また、複数の凸条12dは、導光断面積を稼ぐことができ、導光量を実質的に増やすのに寄与できる。
【0060】
本実施形態の模型玩具1の導光構造においては、発光部材20は、出光部11を中心にして回動可能な入光部21を備え、この入光部21から入光部半径外方に延びる延出羽根部22を複数有するので、四方に広がる延出羽根部22によって動きを伴った光演出を楽しむことができる。
【0061】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、入光部21は、その厚み方向に重なるように複数個設けられているので、入光部21をそれぞれ独立して回動することができる。また、延出羽根部22をより多く設けることができ、多数の延出羽根部22による光演出を楽しむことができる。
【0062】
本実施形態の模型玩具1の導光構造においては、延出羽根部22は、その長手方向に沿うように光反射部22rが設けられているので、延出羽根部22を、その全長に亘って表裏両面で光らせることができる。また、光反射部22rは、延出羽根部22の厚み方向の中段部位に形成されていることで、厚み方向の外面寄りの領域は、光が直進し易い部位として機能するので、光を延出羽根部22の先端側まで誘導できる。この結果、延出羽根部22は、その延出基部のみならず先端側まで良く光ることができ、光演出効果を高めることができる。
【0063】
また、本実施形態の模型玩具1の導光構造では、延出羽根部22は、その厚み方向において二枚の重ね合せ部材22a,22bを重ね合わせて構成されるので、光反射部22rを形成し易い構成とすることができる。また、光反射部22rの凹凸が延出羽根部22の外面にある場合、ロボットキャラクターとしてのリアリティを損なうおそれがあるが、本実施形態においては延出羽根部22の内側面に形成されているので、延出羽根部22の外観性を損なうことなく発光性能を高めることができる。
【0064】
また、上記実施形態における出光部11の窪み面11cは、逆円錐面として構成されたが、これに限るものではなく、例えば、角錐面、球形面、多角面等の種々の形状とすることができる。
【0065】
また、上記実施形態においては、開口21wは、中央孔21hに連続する切欠き状の開口として形成されたが、この構成に限るものではない。例えば、中央孔21hとは連続しない独立した穴状の開口であっても良い。
【0066】
また、上記実施形態においては、係止突起1iと規制突起1wは、一体に構造の突起fの一部として構成されたが、これに限るものではなく、別々の独立した突起構造で当ても良い。
【0067】
また、上記実施形態においては、光反射部22rは、鋸歯状の凹凸溝として構成されたが、その他に、例えばシボ加工のような凹凸であっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 模型玩具
1i 係止突起
1w 規制突起
10 導光部材
11 出光部
11c 窪み面
11k 切欠き
11ks 切欠き面
11t 頂部
12 導光胴部
12d 凸条
12s 外周面
20 発光部材
21 入光部
21s 円弧内面
21w 開口
22 延出羽根部
22a,22b 重ね合せ部材
22r 光反射部
CL 軸心線
E 導光経路