(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】遊園地乗り物のための受動的拘束技術
(51)【国際特許分類】
A63G 21/04 20060101AFI20241210BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241210BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20241210BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A63G21/04
G06K7/10 244
B60N2/42
E05B65/00 T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076585
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2020533215の分割
【原出願日】2018-12-17
【審査請求日】2023-05-26
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブラム スティーヴン シー
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-000665(JP,A)
【文献】特表2005-520733(JP,A)
【文献】特開2000-296734(JP,A)
【文献】特表2017-523393(JP,A)
【文献】特表2011-529721(JP,A)
【文献】特開2012-116387(JP,A)
【文献】特開2016-016816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
B60N 2/00- 2/90
B60R 22/00-22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地乗り物の乗り物車両と、
前記乗り物車両に連結され、無線信号を受信するように構成された検出器を有するロックを備える受動的拘束システムと、
を備え、
前記無線信号の受信によりロック解除されているときに前記ロックをロックし、ロックされているときに前記ロックをロック解除し、前記受動的拘束システムは、前記乗り物車両内に乗客を固定するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記受動的拘束システムの前記ロックにロックさせる前記無線信号を送信するように構成された第1の送信機を備え、前記乗り物車両の乗り場に位置するロック制御位置と、
前記受動的拘束システムをロック解除するために第2の無線信号を送信するように構成された第2の送信機を備えたロック解除位置と、
を備えた、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の送信機及び前記第2の送信機は、前記無線信号を送信するように構成された無線周波数(RF)チップであり、前記検出器は、無線自動識別(RFID)タグである、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記受動的拘束システムは、前記乗り物車両の乗物シートに固定して接続される端を少なくとも1つそれぞれ有する複数のストラップを有する5点式ハーネスを備え、前記複数のストラップのうちの少なくとも1つのストラップは、コネクタを備え、前記複数のストラップのうちの少なくとも1つの他のストラップは、自由端に前記ロックを備え、前記コネクタは、前記ロックがロック形態にあるときに、前記乗り物車両内に前記乗客を固定するために前記ロックに着脱可能に連結するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記検出器は、前記ロック内に配置され、RFIDタグを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記受動的拘束システムは、拘束形態と非拘束形態との間でピボットアームが動くように軸周りに回転するように構成されたピボットアームを備え、前記検出器は、前記ピボットアームに配置され、RFIDタグを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記無線信号を送信するように構成された携帯用送信機を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記乗り物車両のシート内の前記乗客を検出するように構成された1以上のセンサを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記乗客が前記乗り物車両の前記シートを占有していることを示す信号を前記1以上のセンサから受信したことに応じて前記検出器に前記無線信号を送信するように構成された制御システムを備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
遊園地乗り物の乗り物車両に連結され、前記乗り物車両内に乗客を固定するように構成された受動的拘束システムを備え、
前記受動的拘束システムは、
第1のコネクタを備えた第1のストラップと、
第2のコネクタを備えた第2のストラップと、
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタに着脱可能に連結するように構成されたロックを備えた第3のストラップと、
無線信号を受信するように構成された検出器と、
を備え、
前記無線信号の受信により前記ロックをロック形態とロック解除形態との間で移行させ、その逆も同様であり、前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、前記ロック形態において前記ロック内に少なくとも部分的に保たれ、前記ロック解除形態において前記ロックから取り外し可能である、
システム。
【請求項11】
前記受動的拘束システムの前記ロックに前記ロック形態と前記ロック解除形態との間を移行させる前記無線信号を送信するように構成された送信機を備え、
前記送信機は、前記無線信号を送信するように構成された無線周波数(RF)チップであり、前記検出器は、無線自動識別(RFID)タグである、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のストラップ及び前記第2のストラップは、各々のストラップの第1の端と第2の端との間でループが形成されるように前記乗り物車両の乗物シートに接続される前記第1の端及び前記第2の端をそれぞれ有し、前記ループは、前記乗客の腕を受け入れるように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、前記各々のストラップの前記第1の端及び前記第2の端の間に位置している、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のストラップは、第1の固定端と第1の自由端とを有し、前記第2のストラップは、第2の固定端と第2の自由端とを有し、前記第1の自由端及び第2の自由端は、前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタをそれぞれ備え、前記第1の固定端及び前記第2の固定端は、前記乗り物車両の乗物シートに各々接続されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
遊園地乗り物の乗り物車両と、
前記乗り物車両に連結された受動的拘束システムと、
を備え、
前記受動的拘束システムは、
拘束形態から非拘束形態に動くように構成されたピボットアームを備えた拘束バーと、
無線信号を受信するように構成され検出器と、
を備え、
前記無線信号の受信により前記ピボットアームにロック解除されているときにロックさせ、ロックされているときにロック解除させ、前記ピボットアームは、ロック解除されたときに前記拘束形態から前記非拘束形態に移行するように旋回することができ、前記ピボットアームは、ロックされたときに前記拘束形態において固定される、
システム。
【請求項16】
前記受動的拘束システムの前記ピボットアームにロックさせるための前記無線信号を送信するように構成された第1の送信機を備え、前記乗り物車両の乗り場に位置するロック制御位置と、
前記受動的拘束システムの前記ピボットアームをロック解除するための第2の無線信号を送信するように構成された第2の送信機を備えたロック解除位置と、
を備えた、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の送信機及び前記第2の送信機は、前記無線信号を送信するように構成された無線周波数(RF)チップであり、前記検出器は、無線自動識別(RFID)タグである、
請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
この出願は、2017年12月19日に出願された、「遊園地乗り物のための受動的拘束技術(PASSIVE RESTRAINT TECHNIQUES FOR AMUSEMENT PARK RIDES)」という名称の米国仮出願第62/607,770号の利益を主張するものであり、この文献は、その全体がすべての目的で引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して遊園地の分野に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、遊園地乗り物の乗り物車両の内部にゲストを固定するシステム及び方法に関する。
【0003】
乗客にユニークな動きと視覚体験を提供するために様々な遊園地乗り物が開発されてきた。例えば、経路に沿って進む又はモーションベースを利用する単一の乗客又は多乗客車両を用いてテーマ乗り物を実装することができる。興奮は、大抵、車両が乗り物経路に沿って動いたり運動の決められた動作に従ったりするときの車両の速度又は車両の方向変化によって生じる。例えば、乗り物経路は、これに限定されるものではないが、トンネル、曲がり角、上昇、下降、ループなどの複数の特徴を含むことができる。乗客が動作する乗り物の内部にいる間、乗客は乗り物の動作中に力を受けることがある。そのため、遊園地乗り物の継続中に乗り物車両内に乗客を拘束し、固定することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
以下、本開示の範囲と等しいいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲に限定するものではなく、むしろ開示するいくつかの実施形態の概要を示すものに過ぎない。実際に本開示は、以下に示す実施形態と同様の又は異なる様々な形態を含むことができる。
【0005】
一実施形態によれば、システムは、遊園地乗り物の乗り物車両と、乗り物車両に連結され、無線信号を受信することができる検出器を有するロックを含む拘束システムとを含む。無線信号の受信によりロックをロック又はロック解除し、拘束システムは乗り物車両内に乗客を固定する。
【0006】
第2の実施形態によれば、システムは、遊園地乗り物の乗り物車両に連結され、乗り物車両内に乗客を固定することができる拘束システムを含む。拘束システムは、第1のコネクタを備えた第1のストラップと、第2のコネクタを備えた第2のストラップと、第1のコネクタ及び第2のコネクタに着脱可能に連結し得るロックを備えた第3のストラップと、無線信号を受信することができる検出器と、を含む。無線信号の受信によりロックがロック形態とロック解除形態との間を移行し、第1のコネクタ及び第2のコネクタは、ロック形態においてロック内に少なくとも部分的に保たれ、ロック解除形態においてロックから取り外し可能である。
【0007】
第3の実施形態によれば、システムは、遊園地乗り物の乗り物車両と、乗り物車両に連結された拘束システムと、を含む。拘束システムは、拘束形態から非拘束形態に動くことができるピボットアームを備えた拘束バーと、無線信号を受信することができる検出器と、を含む。無線信号の受信によりピボットアームをロック又はロック解除する。ピボットアームは、ロック解除されたときに拘束形態から非拘束形態に移行するように旋回することができる。ピボットアームは、ロックされたときに拘束形態に固定される。
【0008】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による、受動的拘束システムを有する乗り物車両を含む遊園地乗り物の概要図である。
【
図2】本開示の実施形態による、ロック形態における5点式ハーネス拘束具を含み、無線ロック及びロック解除機構を有する
図1の受動的拘束システムの概要図である。
【
図3】本開示の実施形態による、5点式ハーネス拘束具が個々のショルダーストラップを含み、ロック解除形態にある
図2の受動的拘束システムの概要図である。
【
図4】本開示の実施形態による、5点式ハーネス拘束具が接合されたショルダーストラップを含み、ロック解除形態にある
図2の受動的拘束システムの概要図である。
【
図5】本開示の実施形態による、受動的拘束システムがロック解除形態の旋回可能なアームを有する拘束バーを含み、無線ロック及びロック解除機構を有する
図1の遊園地乗り物とともに使用され得る受動的拘束システムの概要図である。
【
図6】本開示の実施形態による、拘束バーがロック形態にある
図5の受動的拘束システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の1以上の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な記載を提供する試みにおいて、実際の実装の全ての特徴を本明細書に記載することはできない。このような実際の実装の開発では、エンジニアリング又は設計プロジェクトのように、システム関連及びビジネス関連の制約の遵守など開発者固有の目標を達成するために、多数の実装固有の決定を行う必要があることを理解されるべきである。その決定は実装毎に異なり得る。さらに、そのような開発の試みは複雑で時間がかかる可能性があるが、それでもなお、この開示の利益を有する当業者にとっては設計、製作、及び製造の日常業務であることを理解されるべきである。
【0011】
本開示の本実施形態は、電力を使用せずにロック機構を作動させる受動的拘束システムを使用して遊園地乗り物の乗り物車両内に乗客を固定するシステム及び方法に向けられている。例えば、開示されたシステム及び方法は、無線で(例えば、電磁的信号を介して)作動及び停止するロック機構を含む受動的拘束システム(例えば、シートベルト、ハーネス、拘束バー(例えば、ラップバー(lap bar)、ショルダーバー)など)を含む。ロック機構は、遊園地乗り物の時間中に乗り物車両内に乗客を固定するために、乗客を乗せた後かつ遊園地乗り物が出発する前にいつでも作動することができる。開示されたロック機構は、乗客が乗車の動作中に時期尚早にロック機構をロック解除することができないように乗客の手が届かなくすることができる。遊園地乗り物がひとたび終了すると、ロック機構は、乗り物車両から乗客を解放するために、例えば、ロック解除ステーションのロック解除位置で停止することができる。
【0012】
開示された技術は、ロック形態を維持するために有効電力を使用せず、そのため、有効電力なしに乗り物車両をロック及びロック解除することができる。すなわち、受動的拘束システムは、供給されている電力が遮断されてもロック解除することがない。これは、電力を受けている間ロック状態を継続するが、電力が遮断されるとロック解除する能動的拘束システムと対照的である。乗り物車両内に乗客を固定するいくつかの既存の乗り物拘束具は、拘束具をロック及びロック解除するために乗り物車両に実装された電源を使用する。電動式又は能動的乗り物拘束システムは、遊園地乗り物の時間中及び拘束機構が能動的電源から電力を受けている間に乗客が拘束されることを保証することができる。その後、遊園地乗り物の乗車が完了した後、拘束具への電力は遮断され、乗客を乗り物車両から降ろすことができる。しかし、電動式能動的拘束システムは、いくつかの遊園地乗り物に統合することが難しい場合がある。例えば、いくつかの既存の遊園地乗り物システムは、電動式拘束システムを作動させるのに使用することのできる電源を含むことができない。加えて、一つには乗り物のデザイン及び形態が原因で、既存の及び/新しい遊園地乗り物に乗り物拘束具の電源を統合することが困難である及び/又はコストがかかる場合がある。そのため、ロック機構を制御するために無線起動を使用することにより、開示された拘束システムを電源が装備されていない既存の乗り物車両に組み込むことができる。
【0013】
図1は、遊園地乗り物10の動作中に乗客16を固定するための無線ロック機構を有する受動的拘束システムを使用する遊園地乗り物10の実施形態を示す。図示された実施形態では、遊園地乗り物10は、遊園地乗り物10の乗り物経路を規定する軌道24に沿って進む乗り物車両20を含む。乗り物車両20は、乗り物車両20内の乗客16を支える乗物シート28と、遊園地乗り物10の動作中に乗物シート28内に乗客16を固定する拘束システム30とを含む。図示された実施形態では、拘束システム30は、5点式ハーネス32を含む。しかし、他の実施形態では、拘束システム30は、シートベルト(例えば、ラップベルト(lap belt))、拘束バー(例えば
図5及び
図6参照)、又は任意の他の適切な拘束機構を含む。
【0014】
以下で更に詳細に説明するように、拘束システム30は、無線で(例えば、無線周波数又は任意の他の適切な電磁的信号を介して)作動することのできるロック38(例えば、バックル、クリップ、ロック、ファスナーなど)を有するロック機構36を含む。例えば、ロック機構36は、ローディング/アンローディングステーション40で作動してロック機構36をロック又はロック解除し、それぞれ乗物シート28内に乗客16を固定し又は乗物シート28内から乗客16を解放することができる。ローディングステーションは、乗り物車両20に乗客16を固定するために(例えば、自動的に又は乗務員34により)ロック機構が作動するロック位置を含み得る。いくつかの実施形態では、ローディングステーションはまた、乗客16が適切に乗物シート28内に拘束されているかを乗務員34が点検することができる制御位置を含み得る。同様に、アンローディングステーションは、ロック機構が停止し、ロック解除して乗り物車両20から乗客を解放するロック解除位置を含み得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ローディングステーション」は、乗客16が遊園地乗り物の乗り物車両に搭乗するエリアを示すことが意図されている。本明細書で使用される「アンローディングステーション」は、乗客16が乗り物車両から降りるエリアを示すことが意図されている。いくつかの実施形態では、ローディング及びアンローディングステーションは、遊園地乗り物10の異なるエリアに位置している。他の実施形態では、ローディング及びアンローディングステーションは、遊園地乗り物10の同じエリアに位置している。本明細書で使用される「制御位置」は、乗客16が適切に乗り物車両20内に固定されているという点検が行われる位置を示すことが意図されている。本明細書で使用される「ロック位置」は、拘束システム30のロック機構がロックされ、ロック解除できない位置を示すことが意図されている。「ロック位置」は、場所(例えば、ロック機構がいくらかの物理的場所を越えてロックされる)、時点(例えば、ロック機構が特定の時間後にロックされる)、イベント位置(例えば、ロック機構が、車両移動が始まるといった特定のイベントの前にロックされる)をいうことができる。本明細書で使用される「ロック解除位置」は、拘束システム30のロック機構がロック解除される位置を示すことが意図されている。
【0016】
以前に説明したように、拘束システム30のロック機構36は、制御位置を通過する前にロック位置で作動することができる。いくつかの実施形態では、ロック位置は、ローディングステーション40に配置されたゲート46(例えば、RFIDゲート)を含み得る。ゲート46は、拘束システム30に無線信号50を送信する送信機48を含む。以下で更に詳細に説明されるように、無線信号50は、ロック機構36をロック又はロック解除するように構成されている。図示された実施形態では、ゲート46は、軌道24上に配置されている。しかし、ゲート46は、拘束システム30と送信機48との間で無線通信することのできる、遊園地乗り物10内の任意の他の適切な場所に配置することができる。他の実施形態では、乗務員34は、携帯型送信機52を使用して無線信号50をロック機構36に送信することができ、これにより、ロック機構36をロックし、乗り物車両20内に乗客16を固定する。
【0017】
以下で詳細に説明されるように、ロック機構36は、遊園地乗り物10の終了後に送信されたロック停止信号を受信することなくロック解除することができない。例えば、ゲート46又は携帯型送信機52は、ロック機構を停止して乗り物車両20から乗客16を解放するために、乗車終了後にアンローディングステーション38で無線信号50を送信する。いくつかの実施形態では、携帯型送信機52は、例えば、ロック位置を通過後で遊園地乗り物10の出発前に乗客が乗り物車両20から降りる必要があるときなど、ゲート46からの作動信号を無効にするために使用することができる。
【0018】
以前に説明したように、ゲート40は、ロック機構36に通信可能に連結され、拘束システム30をロックし又はロック解除する信号50(例えば、作動又は停止信号)を送信する。
図2は、5点式ハーネス32がロック形態にある拘束システム30の実施形態を示す。
図3及び
図4は、5点式ハーネス32がロック解除形態にある拘束システム30の実施形態を示す。5点式ハーネス32は、5つの異なる場所で乗物シート28に連結される複数のストラップ56(56a、56b、56c、56d、56e)を含む。例えば、ストラップ56は、乗客16が乗車シート28に適切に座ったときの乗客の肩、尻、及び両脚間の領域が位置する場所に対応する乗物シート28のそれぞれの位置58(58a、58b、58c、58d、58e)で各々連結される。例えば、ストラップ56a、56bは、乗物シート28に座ったときの乗客の肩が静止する位置に対応する位置58a、58bに配置されている。ストラップ56c、56dは、乗物シート28に座ったときに乗客の尻が静止する位置にそれぞれ対応する位置58c、58dに配置されている。ストラップ56eは、乗客16が乗物シート28内に座ったときの乗客の両脚間の位置に対応する位置58eに配置されている。5点式ハーネス32は、様々な身長及び体形の乗客の適切な拘束が可能なように調整することができる。腰部ベルト(例えば、シートベルト)、拘束バー(例えば、ラップバー及び頭上バー)などのいくつかの拘束システムは、乗客の一部のみ(例えば、腰部、脚、肩だけ)を固定することができる。そのため、様々な身長及び体形の乗客を適切に固定することが難しい場合がある。しかし、5点式ハーネス32は、ストラップ56の様々な部分が、乗客の上体(例えば、肩、腰部、及び胸部)の様々な部分に接触するようにする方法で乗客16を拘束する。このように、乗客の上体は、乗物シート28内に完全に固定される。乗客の上体の固定により、5点式ハーネス32は、様々な体形及び身長の乗客を拘束することを容易にすることができる。
【0019】
ストラップ56は、ロック38への1以上のストラップ56の連結を容易にする特徴を含む。例えば、
図3及び
図4の実施形態に示されるように、1以上のストラップ56は、ロック38上に配置された雄型コネクタ62(62a、62b、62c)に着脱可能に連結される雌型コネクタ60(60a、60b、60c)を含む。
図3に示される実施形態では、ストラップ56a、56c及びストラップ56b、56dは、それぞれのストラップ56a、56c及びストラップ56b、56dの間でループ68が形成されるように配列される。乗客16が乗物シート28に座ったとき、乗客16は、雌型コネクタ60がロック上のそれぞれの雄型コネクタ62に連結する前に両腕をループ68に滑り込ませることができる。
図4に示す実施形態では、ストラップ56a、56bは、ループ70(例えば、開口)がストラップ56a、56b間に形成されるように隣接して配列される。乗客16が乗物シート28に座ると、乗客は自分の頭をループ70に滑り込ませ、ストラップ56a、56bを肩に対して配置することができる。
【0020】
ストラップ56が乗客16に適切に配置されると、乗客16は、ロック38にストラップ56を取り外し可能に連結するために、それぞれの雄型コネクタ60に雌型コネクタ60を差し込むことができる。ロック38への(例えば、コネクタ60、62を介した)ストラップ56の連結に従って、ロック機構36は、乗り物車両20内に乗客16を固定するために作動することができる。いくつかの実施形態では、ロック機構36は、ロック機構36をロック及びロック解除するための電子的キーとして機能することができる無線自動識別(RFID)機能(feature)72を含む。例えば、
図2に示されるように、RFID機能72は、遊園地乗り物10が出発する前に(例えば、軌道24に沿って乗り物車両20が動く前に)、制御システム82から作動信号80を受信する受信機であり得る。制御システム82は、遊園地乗り物10の主制御システムの一部又は例えばゲート46に統合された個別の制御システムであり得る。制御システム82は、乗客16が乗物シート28を占有していることを検出し、それに応じてRFID機能72に作動信号80を送信することができる。例えば、制御システム82が、乗客16が乗物シート28を占有していることを識別すると、乗り物車両がローディングステーション38のロック位置に近づくとすぐに、制御システム82は、作動信号82を送信することができる。いくつかの実施形態では、乗務員34は、携帯型デバイス52を使用してロック機構を作動させることができる。
【0021】
制御システム82は、1以上の処理装置を含み得るプロセッサ81と、プロセッサ81により実行可能な命令を記憶するメモリ82とを含むことができる。メモリ83は、1以上の有形で非一時的な機械可読媒体を含むことができる。例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気記憶デバイス、又は、機械が実行可能な命令又はデータ構造の形式で設計されたプログラムコードを運送する又は記憶するために用いられ、プロセッサ81により又はプロセッサを用いた任意の汎用若しくは特定の目的のコンピュータ又は他の機械によりアクセス可能な任意の他の媒体を含むことができる。制御システム82はまた、遊園地乗り物10の他の構成要素と通信することを容易にする通信回路及び/又は入力及び出力回路を含むことができる。さらに、制御システム82は、操作中に1以上の乗車機能を制御するために使用される入力を提供するために乗車技術者が使用できる操作入力デバイス又は操作インターフェースに直接的に又は無線で連結することができる。操作インターフェース、又は乗り物10の他の構成要素は、いくつかの実施形態では、制御システム82から離れて位置付けることができ、例えば、モバイルデバイス上に実装することができる。
【0022】
制御システム82はまた、RFID機能72を検出し、ロック機構36に作動信号80を送信する無線周波数(RF)チップ86を有し得る。例えば、RFID機能72は、RFチップ86により検出された信号90を送信することができる。信号90に応答して、制御システム82は、ロック機構36を作動させるために作動信号80を出力する。作動信号80を受信すると、ロック機構36は、雌型コネクタ60がロック38のそれぞれの雄型コネクタ62から外れる動きを固定及び阻止するロックピン又はロック38内の他の適切なロック機構を作動させることができる。雌型コネクタ60の動きの阻止により、乗客16は、乗り物車両20が動いている間に、ロック機構36を時期尚早にロック解除することができない。図示された実施形態では、RFID機能72は、ロック38の一部として示されているが、他の実施形態では、RFID機能72は、雌型コネクタ60の一部である。さらに、制御システム82のRFチップ86は、ロック位置で、全体的なロック信号を範囲内にある全ての乗り物車両20に発することができる。他の実施形態では、RFチップ86は、各乗客16が乗り物車両20内に拘束されている応答確認通信(例えば検出)後にロック信号を発することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、乗物シート28は、各乗物シート28の拘束システム30が拘束形態又は非拘束形態にあるかどうかを決定するセンサ94を含むことができる。例えば、拘束システム30が非拘束形態にあるとき、センサ94は、制御システム(例えば、制御システム82)に拘束システム30が非拘束形態にあることを示す信号を送信することができる。制御システムは、拘束システム30が拘束形態にあるまで、ロック位置及び又は制御位置から乗り物車両20を解放するのを阻止することができる。したがって、乗務員34は、乗物シート28が空であることを点検し、手動で雌型コネクタ60を雄型コネクタ62に連結し、携帯型デバイス52を使用してロック機構を作動させる必要があるかもしれない。制御システムは、その後、乗り物車両20の全ての拘束システム30が固定されていることを決定し、乗り物車両20を解放することができる。図示された実施形態では、センサ94は、乗物シート28の背もたれ上に配置されている。しかし、センサ94は、拘束システム30及び/又は制御システム82との通信を容易にする乗物シート28又は乗り物車両20上の任意の他の位置に配置することができる。
【0024】
他の実施形態では、センサ94は、乗物シート28が空いていることを示す信号を送信することができる。センサ94からのその信号を検出すると、制御システムは、乗物シート28が空いていると判定し、空いている乗物シート28に対応する拘束システム30が非拘束形態にある状態で、制御位置から乗り物車両を解放することができる。例えば、いくつかの実施形態では、センサ94は、乗物シート28に配置された逆反射マーカから信号を受信することができる。逆反射マーカは、センサ94により検出された光を反射することができる。反射光の強度又はセンサ94により検出された反射光の減衰の程度に基づいて、制御システム82は、乗物シート28が占有されているかそうでないかを判定することができる。例えば、乗客16が乗物シート28内に配置されているとき、乗客16は、逆反射マーカの少なくとも一部を阻止することができる。そのため、逆反射マーカにより反射された光は、減衰し得る。しかし、乗物シート28が空いているとき、逆反射マーカは阻止されず、逆反射マーカによる反射光の強度は、乗物シートが占有されている状態の反射光の強度よりも大きくなる。したがって、制御システム82は、乗物シートが空いていることを判定することができる。
【0025】
他の実施形態では、センサ94は、乗物シート28上に配置された圧力センサであり得る。例えば、センサ94は、乗物シート28の背もたれ上又はシートクッション上に配置することができる。圧力センサは、乗物シート28上に働く圧力を示す信号を制御システム82に送信することができる。圧力信号が予め定められた値より小さい(例えば、平方インチ当たり約5ポンド未満である)場合、制御システム82は、乗物シート28が空であると判定することができる。そのため、制御システム82は、空の乗物シート28に対応する拘束システム30が非拘束形態にある状態で、制御位置から乗り物車両20を解放することができる。
【0026】
遊園地乗り物10の終了後、拘束システム30をロック解除することができる。例えば、乗り物10が終了し、乗り物車両20がアンローディングステーション40で完全に停止すると、RFID機能72は、遊園地乗り物10のゲート46及び/又は制御システム82により発せられた停止信号96を受信することができる。例えば、作動と同様に、RFIDチップ86は、乗り物車両20がアンローディングステーション38にあるときにRFID機能72(例えば、信号90)を検出する。乗り物車両20がロック解除位置に到着すると、ゲート46及び/又は制御システム82は、RFID機能72に停止信号96を送信する。停止信号96に応答して、ロック機構36は、ロック38をロック解除し、乗客16が雄型コネクタ62から雌型コネクタ60を外し、乗り物車両20から立ち去り可能にすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、乗務員34は、携帯型送信機52、キーカード、又は他の電子的キーを使用して拘束システム30のロック機構36を停止させることができる。無線信号を介した拘束システム30のロック機構36の停止により、ロック38の時期尚早なロック解除を軽減することができる。加えて、電力制御式拘束システムを作動させるために使用される電源を乗り物車両20に統合する必要を無くすことができる。したがって、電力源を含まない既存の遊園地乗り物は、拘束システム30を後付けすることができ、それによって、遊園地乗り物に電源を実装することに関連するコストを低減し、遊園地乗り物の乗車中に乗物シート内に乗客をより固定及び保つように拘束システムを改善することができる。本明細書で開示された5点式ハーネス拘束システムはまた、乗客の身体に沿って様々な位置(例えば、肩、腰部及び胸部)で乗客を拘束することにより、様々な体形及び身長の乗客を固定することを容易にすることができる。
【0028】
ロック機構36はまた、5点式ハーネス32を含まない他のタイプの拘束システムに組み込むことができる。例えば、ロック機構は、遊園地の乗車シート内に乗客を固定するのに使用されるシートベルト、拘束バー(例えば、ラップバー又は頭上バー)又は任意の他の適切な拘束システムに組み込むことができる。
図5は、乗り物車両20内に乗客16を拘束し固定するのに使用される非拘束形態における拘束バー100を有する拘束システム30の実施形態の側面図である。
図6は、拘束形態における拘束バー100の側面図である。
【0029】
拘束バー100は、拘束形態(
図6)と非拘束形態(
図5)との間で拘束バー100を動かすための軸108周りで回転するピボットアーム104を含む。上記のように、拘束システム30は、無線信号により作動及び停止するロック機構を含む。そのため、図示された実施形態では、拘束バー100は、ピボットアーム104内に配置されたRFID機能72を含む。RFID機能72は、制御システム82に信号90を送信し、作動信号80を送信するために制御システム82に信号を送る。制御システム82から作動信号80を受信すると、ピボットアーム104は、矢印112で示されるように軸108周りに回転し、非拘束形態から拘束形態に拘束バー100を動かす。例えば、ピボットアーム104は、方向112に乗客16に向かって回転し、拘束形態に拘束バー100を配置する。
【0030】
いくつかの実施形態では、乗り物車両20は、遊園地乗り物10の制御システム82に通信可能に連結された1以上のセンサ116を含むことができる。1以上のセンサ116は、乗物シート28が占有され、乗客16が乗物シート28内に固定される必要があり得ることを示す信号120を制御システム82に送信することができる。例えば、近距離無線通信を利用して乗客16が乗物シート28に座っていることを判定することができる。そのような判定に応答して、制御システム82は、ピボットアーム104を方向108で乗客16に向かって動かす作動信号80を送信する。ピボットアーム104が拘束形態にある状態になると、ピボットアーム104はピボットアーム104の回転を阻止するためにロックし、乗物シート28内に乗客16を固定する。いくつかの実施形態では、乗務員34は、携帯型送信機52を用いてピボットアーム104を作動させることができる。制御システム82は、乗客16が固定され、乗り物車両20がローディングステーション40から解放されたことを示すために、乗り物車両20上の光源124を作動させることができる。
【0031】
遊園地乗り物10が終了すると、
図6に示すように、ピボットアーム104は、ピボットアーム104が乗客16から離れる方向128に回転できるようにロック解除される。例えば、上記のように、RFID機能72は、遊園地乗り物10の制御システム82から停止信号94を受信する。他の実施形態では、ゲート46又は乗務員34(例えば、携帯型送信機52を介して)は、停止信号96を送信することができる。停止信号96に応答して、ピボットアーム104は、方向128に軸108周りに回転し、拘束形態から非拘束形態に拘束バー100を動かす。そのため、乗客16は拘束されずに、アンローディングステーション40で乗り物車両20から立ち去ることができる。
【0032】
遊園地乗り物で拘束システムを作動させる従来のシステム及び方法は、乗り物車両に組み込まれた電源を使用する。しかし、今や、電磁的信号を使用して拘束システムのロック機構を作動及び停止させることにより、電源を乗り物車両に組み込む必要をなくすことができることが認められる。そのため、既存及び/又は新たな乗り物車両に電源を組み込むことに関連するコストは、拘束システムのための電源を含む乗り物車両に比べて減少させることができる。さらに、拘束ロック機構を作動及び停止させる電磁的信号を使用することにより、拘束システムの時期尚早なロック解除を軽減することができ、拘束デザインを改善し、様々な身長及び体形の乗客を固定することができる。
【0033】
本明細書では本発明のいくつかの特徴のみを図示し説明してきたが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に含まれる全てのそのような修正及び変更を網羅することを意図していることが理解される。
【0034】
本明細書に提示及び特許請求される技術は、本技術分野を明らかに改善する実用的な性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用され、したがって、抽象的、無形又は純粋に理論的ではない。さらに、この明細書の最後に添付する何れかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1以上の要素を含む場合、そのような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈されるべきであることが意図されている。しかし、他の何れかの方法で指定された要素を含むあらゆる請求項については、そのような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈されるべきでないことが意図されている。