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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置および入力制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G06F1/16 312E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023128638
(22)【出願日】2023-08-07
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】東京 旭
(72)【発明者】
【氏名】柴山 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚喜
(72)【発明者】
【氏名】中条 秀和
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-178719(JP,A)
【文献】特開2010-193355(JP,A)
【文献】特開2014-063220(JP,A)
【文献】特開2012-164192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16 - 1/18
G06F 3/041- 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とを備え、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に開閉可能に連結された情報処理装置であって、
前記第1筐体に設けられたタッチパネルと、
温度センサと、
前記温度センサによって計測された温度に基づいてタッチパネル温度を取得する温度取得手段と、
前記第1筐体と前記第2筐体との開閉状態を判定する開閉判定手段と、
前記タッチパネルへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、前記タッチパネルへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有し、前記タッチパネル温度及び第1筐体と前記第2筐体との開閉状態に基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定するモード設定手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記モード設定手段は、前記第1筐体と前記第2筐体とが閉じた状態、かつ、前記タッチパネル温度が所定のタッチ無効閾値以上である場合に、前記タッチ無効化モードを設定する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記モード設定手段は、前記第1筐体と前記第2筐体とが閉じた状態、かつ、前記タッチパネル温度が所定のタッチ無効閾値以上である状態が所定期間維持された場合に、前記タッチ無効化モードを設定する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記モード設定手段は、前記第1筐体と前記第2筐体とが開いた状態、又は、前記タッチパネル温度が所定のタッチ有効閾値未満である場合に、前記タッチ有効化モードを設定する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記モード設定手段は、前記第1筐体と前記第2筐体とが開いた状態である第1条件、または、前記タッチパネル温度が所定のタッチ有効閾値未満である第2条件を満たしたときから所定期間後において、前記第1条件又は前記第2条件を満たした場合に、前記タッチ有効化モードを設定する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記モード設定手段によってタッチモードの設定が変更された場合に、タッチモードの変更を通知する通知手段を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
タッチパネルを備える第1筐体と、第2筐体と、温度センサとを備え、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に開閉可能に連結された情報処理装置の入力制御方法であって、
前記温度センサによって計測された温度に基づいてタッチパネル温度を取得する温度取得工程と、
前記第1筐体と前記第2筐体との開閉状態を判定する開閉判定工程と、
前記タッチパネルへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、前記タッチパネルへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有し、前記タッチパネル温度及び第1筐体と前記第2筐体との開閉状態に基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定するモード設定工程と
をコンピュータが実行する情報処理装置の入力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および入力制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラップトップPCを閉じたまま外部モニタに接続して使用するケースがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タッチパネルディスプレイを搭載したラップトップPCを閉じたまま使用すると、マザーボードの熱がタッチパネルディスプレイに伝達され、タッチパネルディスプレイの温度が局所的に高くなる場合がある。
【0004】
タッチパネルディスプレイの温度が上昇すると、タッチセンサのインピーダンスが低下し、その部分にタッチ入力があったと誤判定してしまうゴーストタッチといわれる現象が生じることがある。このようなゴーストタッチは、特に、ディスプレイ表面とタッチセンサとの距離が比較的近い場合や、熱源からタッチパネルディスプレイに至る熱伝導性が高い構造や材料が採用されている場合等で起こりやすい。
【0005】
本開示は、熱によるタッチ入力の誤判定のリスク低減を図ることのできる情報処理装置および入力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1筐体と第2筐体とを備え、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に開閉可能に連結された情報処理装置であって、前記第1筐体に設けられたタッチパネルと、温度センサと、前記温度センサによって計測された温度に基づいてタッチパネル温度を取得する温度取得手段と、前記第1筐体と前記第2筐体との開閉状態を判定する開閉判定手段と、前記タッチパネルへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、前記タッチパネルへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有し、前記タッチパネル温度及び第1筐体と前記第2筐体との開閉状態に基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定するモード設定手段とを備える情報処理装置である。
【0007】
本開示の一態様は、タッチパネルを備える第1筐体と、第2筐体と、温度センサとを備え、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に開閉可能に連結された情報処理装置の入力制御方法であって、前記温度センサによって計測された温度に基づいてタッチパネル温度を取得する温度取得工程と、前記第1筐体と前記第2筐体との開閉状態を判定する開閉判定工程と、前記タッチパネルへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、前記タッチパネルへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有し、前記タッチパネル温度及び第1筐体と前記第2筐体との開閉状態に基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定するモード設定工程とをコンピュータが実行する情報処理装置の入力制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
熱によるタッチ入力の誤判定のリスク低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の概略外観図であり、リッドオープン状態の一例を示した図である。
図2】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の概略外観図であり、リッドクローズ状態の一例を示した図である。
図3】本開示の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図4】本開示の一実施形態に係る情報処理装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
図5】本開示の一実施形態に係る入力制御処理のうち、タッチ無効判定処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態に係る入力制御処理のうち、タッチ有効判定処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の一実施形態に係る情報処理装置及び入力制御方法について、図面を参照して説明する。以下、情報処理装置1の一例として、ラップトップPCを例示して説明するが、本実施形態に係る情報処理装置1はこれに限られない。例えば、後述するように、第1筐体及び第2筐体を備え、これらが相対的に開閉可能に構成された情報処理装置であればよく、他の一例として、2in1型PC等が挙げられる。
【0011】
図1及び図2は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置1の概略外観図であり、図1は第2筐体3に対して第1筐体2が開いた状態、いわゆるリッドオープン状態を示しており、図2は第2筐体3に対して第1筐体2が閉じた状態、いわゆるリッドクローズ状態を示している。
【0012】
図1に示すように、情報処理装置1は、第1筐体2と、第2筐体3とを備えている。第1筐体2と第2筐体3とは、連結部材6によって相対的に開閉可能に連結されている。連結部材6の一例としてヒンジが挙げられる。
【0013】
第1筐体2は、略矩形であり、第2筐体3と対向する面に設けられたタッチパネルディスプレイ5を備えている。タッチパネルディスプレイ5は、例えば、ディスプレイ5a(図2参照)上に、ペンや指による入力を可能とするタッチパネル5b(図2参照)が重畳されている。なお、タッチパネルディスプレイ5の構造については、公知の技術を適宜採用すればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
【0014】
第2筐体3は略矩形であり、第2筐体3の第1面には入力デバイス4が設けられている。入力デバイス4は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースである。入力デバイス4の一例として、キーボード、タッチパッド、トラックポイント等が挙げられる。なお、入力デバイス4は、ソフトウェアキーボード等であってもよい。すなわち、第2筐体3の第1面はタッチパネルを有しており、このタッチパネルに対してキーボード等の画面を表示して、入力デバイス4として機能させることとしてもよい。
【0015】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図3に示すように、情報処理装置1は、上述した入力デバイス4、タッチパネルディスプレイ5の他、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、主記憶装置(Main Memory)12、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)13、外部インターフェース14、通信インターフェース15、温度センサ16、ホールセンサ17などを備えている。これら各部は直接的にまたはバス18を介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0016】
CPU11は、例えば、バス18を介して接続された二次記憶装置13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置1全体の制御を行うとともに、二次記憶装置13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU11は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0017】
主記憶装置12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0018】
二次記憶装置13は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置13は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置13の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置13は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置13に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0019】
外部インターフェース14は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、外部モニタ、USBメモリ、外付けHDD、外付けカメラ等が挙げられる。なお、図3に示した例では、外部インターフェースは、1つしか図示されていないが、複数の外部インターフェースを備えていてもよい。
【0020】
通信インターフェース15は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信インターフェース15は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、移動通信システム(3G、4G、5G、6G、LTE等)、無線LANなどの回線を通じた通信が挙げられる。有線通信の一例として、有線LAN(Local Area Network)などの回線を通じた通信が挙げられる。
【0021】
温度センサ16は、例えば、第2筐体3の内部に設けられている。温度センサ16は、1つであってもよいし、複数であってもよい。温度センサ16は、例えば、第2筐体3内部において、温度が上昇しやすい部位に配置されている。一例として、第2筐体3の内部に収容されたマザーボードの近傍、マザーボード上、パワー素子の近傍等が挙げられる。温度センサ16によって計測された計測温度は、CPU11に出力される。
なお、本実施形態において、温度センサ16は、第2筐体3の内部に設けられる場合を例示して説明するが、これに限られず、その設置位置及び設置数については特に限定されない。例えば、温度センサ16は、第1筐体2の内部に設けられていてもよい。また、温度センサ16は、内部の他、第1筐体2の表面又は第2筐体3の表面に設けられていてもよい。
【0022】
ホールセンサ17は、例えば、第1筐体2又は第2筐体3のいずれか一方にホール素子を備え、他方の筐体にマグネットを備える。一例として、第1筐体2の内部にホール素子が配置されている。ホール素子が配置される位置は、第2筐体3の内部に配置されるマグネット(不図示)の位置に対応する。より詳細には、情報処理装置1が閉じられたクローズ状態において、ホール素子とマグネットが対向するように、ホール素子及びマグネットが配置される。
【0023】
ホールセンサ17は、第2筐体3の内部に配置されているマグネットから発生する磁界をホール素子が検出し、磁界の検出結果をCPU11に出力する。ホール素子が磁界を検出することにより、CPU11は、情報処理装置1の開閉状態を判定することができる。
【0024】
図4は、情報処理装置1が備える機能の一例を示した機能構成図である。図4に示すように、情報処理装置1は、入力制御システム20を備えている。入力制御システム20は、例えば、温度取得部21と、開閉判定部22と、モード設定部23と、通知部24とを備えている。
【0025】
入力制御システム20が備える各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置13などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)11が主記憶装置12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0026】
温度取得部21は、温度センサ16によって計測された温度に基づいてタッチパネル温度を取得する。例えば、温度センサ16が1つ設けられていた場合には、温度取得部21は、温度センサ16の温度計測値をタッチパネル温度とみなして取得してもよい。また、温度計測値からタッチパネル温度を推定するための演算式を予め有しており、その演算式に温度計測値を用いることにより、タッチパネル温度を演算により取得することとしてもよい。また、複数の温度センサ16が設けられている場合には、それらの計測値から所定のアルゴリズムに従ってタッチパネル温度を演算してもよい。例えば、複数の温度センサ16の計測値のうち、最大値をタッチパネル温度としてもよいし、複数の温度計測値に対して統計的な処理を行うことにより、タッチパネル温度を取得してもよい。
また、タッチパネル温度としてどのような温度を採用するかについては適宜決定すればよく、定義した「タッチパネル温度」に応じて、後述するタッチ無効閾値、タッチ有効化閾値を適切な値に設定すればよい。
【0027】
開閉判定部22は、ホールセンサ17の出力に基づいて第1筐体2と第2筐体3との開閉状態を判定する。具体的には、開閉判定部22は、ホールセンサ17からの出力に基づいて第1筐体2と第2筐体3とが開いた状態であるリッドオープン状態であるか、又は、第1筐体2と第2筐体3とが閉じた状態であるリッドクローズ状態であるかを判定する。
リッドクローズ状態とは、例えば、第1筐体2と第2筐体3とのなす角度が略0°の場合をいい、リッドクローズ状態でない状態をリッドオープン状態という。
【0028】
モード設定部23は、例えば、タッチパネル5bへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、タッチパネル5bへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有している。
ここで、タッチ無効化モードとは、例えば、タッチパネル5bの入力を無効化することの他、例えば、タッチパネル5bの感度を強制的に所定値以下まで低下させてることにより、タッチ入力を感知できないようにすることも含むものとする。
モード設定部23は、温度取得部21によって取得されたタッチパネル温度及び開閉判定部22によって判定された第1筐体2と第2筐体3との開閉状態に基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定する。
【0029】
具体的には、モード設定部23は、リッドクローズ状態、かつ、タッチパネル温度が所定のタッチ無効閾値以上である状態が所定期間維持された場合に、タッチ無効化モードを設定する。
また、モード設定部23は、リッドオープン状態である第1条件、または、タッチパネル温度が所定のタッチ有効閾値未満である第2条件を満たしたときから所定期間経過後に、第1条件又は第2条件を満たした場合に、タッチ有効化モードを設定する。
ここで、タッチ無効閾値は、例えば、ゴーストタッチが発生する温度に基づいて決定された温度閾値である。また、タッチ有効閾値は、例えば、ゴーストタッチが発生しない温度に基づいて決定された温度閾値である。タッチ無効閾値とタッチ有効閾値とは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。タッチ無効閾値とタッチ有効閾値とが異なる値をとる場合には、タッチ無効閾値はタッチ有効閾値よりも大きい値に設定される。
【0030】
通知部24は、モード設定部23によってタッチモードの設定が変更された場合に、タッチモードの変更を通知する。例えば、通知部24は、ディスプレイ5aにタッチモードが変更された旨のメッセージを表示することにより、タッチモードの変更をユーザに通知する。また、通知の手法は、これに限られず、例えば、音声によって通知してもよい。また、LED等の発光素子を有し、モードに応じた色で点灯等させることにより、タッチモードをユーザに通知してもよい。
【0031】
次に、情報処理装置1の入力制御システム20によって実行される入力制御処理(入力制御方法)について図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、本発明の一実施形態に係る入力制御処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下に説明する一連の処理は、例えば、二次記憶装置13に格納された入力制御プログラムをCPU11が主記憶装置12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実現される。
入力制御処理は、例えば、タッチ無効判定処理(図5参照)と、タッチ有効判定処理(図6参照)とを有している。そして、タッチ無効判定処理は、例えば、タッチ有効化モードが設定されている期間において繰り返し実行され、タッチ有効判定処理は、タッチ無効化モードが設定されている期間において繰り返し実行される。
【0032】
まず、図5を用いて、タッチ無効判定処理について説明する。
入力制御システム20は、リッドクローズ状態、かつ、タッチパネル温度Tcが所定のタッチ無効閾値T1以上であるか否かを判定する(SA1)。この結果、この条件を満たさない場合には(SA1:NO)、この処理を繰り返し行う。一方、リッドクローズ状態、かつ、タッチパネル温度Tcがタッチ無効閾値T1以上である場合には(SA1:YES)、タイマを開始し(SA2)、続いて、タイマが所定の時間に達するまで待機する(SA3:NO)。そして、タイマが所定の時間に達すると(SA3:YES)、タイマをリセットし(SA4)、続いて、リッドクローズ状態、かつ、タッチパネル温度Tcがタッチ無効閾値T1以上であるか否かを再び判定する(SA5)。この結果、この条件を満たさない場合には(SA5:NO)、ステップSA1に戻り、上記処理を繰り返し行う。一方、リッドクローズ状態、かつ、タッチパネル温度Tcが所定のタッチ無効閾値T1以上である場合には(SA5:YES)、タッチ無効化モードを設定する(SA6)。続いて、タッチモードの変更を通知(SA7)、例えば、タッチ無効化モードが設定された旨を通知し、本処理を終了する。
【0033】
次に、図6を用いて、タッチ有効判定処理について説明する。
入力制御システム20は、リッドオープン状態(条件1)、または、タッチパネル温度Tcが所定のタッチ有効閾値T2未満(条件2)であるか否かを判定する(SB1)。この結果、いずれの条件も満たさない場合には(SB1:NO)、この処理を繰り返し行う。一方、リッドオープン状態、または、タッチパネル温度Tcがタッチ有効閾値T2未満である場合には(SB1:YES)、タイマを開始し(SB2)、続いて、タイマが所定の時間に達するまで待機する(SB3:NO)。そして、タイマが所定の時間に達すると(SB3:YES)、タイマをリセットし(SB4)、続いて、リッドオープン状態、または、タッチパネル温度Tcがタッチ有効閾値T2未満であるか否かを判定する(SB5)。この結果、いずれの条件も満たさない場合には(SB5:NO)、ステップSB1に戻り、上記処理を繰り返し行う。一方、リッドオープン状態、または、タッチパネル温度Tcがタッチ有効閾値T2未満である場合には(SB5:YES)、タッチ有効化モードを設定する(SB6)。続いて、タッチモードの変更を通知(SB7)、例えば、タッチ有効化モードが設定された旨を通知し、本処理を終了する。
【0034】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、タッチパネル5bへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、タッチパネル5bへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有し、タッチパネル温度と、第1筐体2と第2筐体3との開閉状態とに基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定する。
これにより、例えば、情報処理装置1が閉じた状態(図2参照)で使用されており、タッチパネル温度が上昇した場合には、タッチパネル5bへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードが設定される。これにより、熱によるタッチ入力の誤判定のリスクを低減させることが可能となる。
また、情報処理装置1が閉じた状態ではなくなった場合(例えば、図1参照)、または、タッチパネル温度が有効閾値未満となった場合には、タッチパネル5bへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードが設定される。これにより、ユーザは、タッチパネル5bへのタッチ入力を行うことが可能となる。
【0035】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0036】
〔変形例1〕
例えば、上述した実施形態では、ホールセンサ17を用いて第1筐体2と第2筐体3との開閉状態を判定することとしたが、これに限られない。例えば、ホールセンサに代えて、物理スイッチを用いて、開閉状態を判定することとしてもよい。また、加速度センサを用いて第1筐体2の第1面と第2筐体3の第1面とがなす角度を姿勢角度θとして定義し、この姿勢角度θに基づいて開閉状態を判定することとしてもよい。
【0037】
〔変形例2〕
また、上述した実施形態では、タッチセンサ温度と、第1筐体2と第2筐体3との開閉状態とに基づいてタッチモードを設定していたが、これに限られない。例えば、第1筐体2と第2筐体3との開閉状態にかかわらず、換言すると、リッドクローズ状態かリッドオープン状態かにかかわらず、タッチセンサ温度に基づいてタッチモードを設定することとしてもよい。この場合、例えば、タッチセンサ温度が無効閾値以上である場合にタッチ無効化モードを設定し、タッチセンサ温度が有効閾値未満である場合にタッチ有効化モードを設定することとしてもよい。
【0038】
〔変形例3〕
また、上述した実施形態では、タッチ無効判定処理において、タイマを用いたが、タイマは省略してもよい。すなわち、ステップSA2~SA5を省略し、ステップSA1において肯定判定(SA1:YES)の場合に、タッチ無効化モードを設定することとしてもよい。同様に、タッチ有効判定処理において、タイマを省略し、すなわち、ステップSB2~SB5を省略し、ステップSB1において、肯定判定(SB1:YES)の場合に、タッチ有効化モードを設定することとしてもよい。
【0039】
〔変形例4〕
また、上記実施形態では、タッチパネル5b全体において入力操作を有効化又は無効化することとしたが、これに限られない。例えば、タッチパネル5bを複数の領域に分割し、分割した領域毎に、タッチパネル温度を取得するための温度センサを設けるとともに、タッチモードを設定することとしてもよい。これにより、局所的に温度が上昇した領域のみに限ってタッチ入力を無効化することが可能となる。この結果、リッドオープン状態において、タッチパネル5bを有効に使用することが可能となる。
【0040】
また、上記実施形態及び変形例1~4は、適宜組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 :情報処理装置
2 :第1筐体
3 :第2筐体
4 :入力デバイス
5 :タッチパネルディスプレイ
5a :ディスプレイ
5b :タッチパネル
6 :連結部材
11 :CPU
12 :主記憶装置
13 :二次記憶装置
14 :外部インターフェース
15 :通信インターフェース
16 :温度センサ
17 :ホールセンサ
18 :バス
20 :入力制御システム
21 :温度取得部
22 :開閉判定部
23 :モード設定部
24 :通知部
【要約】
【課題】熱によるタッチ入力の誤判定のリスク低減を図ること。
【解決手段】情報処理装置は、第1筐体と第2筐体とを備え、第1筐体と第2筐体とが相対的に開閉可能に連結されている。情報処理装置は、第1筐体に設けられたタッチパネルと、温度センサと、温度センサによって計測された温度に基づいてタッチパネル温度を取得する温度取得部21と、タッチパネルへの入力操作を無効化するタッチ無効化モードと、タッチパネルへの入力操作を有効化するタッチ有効化モードとを含む複数のタッチモードを有し、タッチパネル温度に基づいて、いずれか一つのタッチモードを設定するモード設定部23とを備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6