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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/07 20060101AFI20241210BHJP
   F16K 27/04 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
F16K11/07 C
F16K27/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023140834
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2024-10-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 亮
【審査官】所村 陽一
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/07
F16K 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧ポンプからアクチュエータへ供給される作動流体の流れを制御する制御弁であって、
軸方向に移動可能なスプールと、
前記スプールが摺動自在に収容される収容孔を有するバルブボディと、を備え、
前記バルブボディは、
前記収容孔に開口し、前記流体圧ポンプから吐出される作動流体が導かれる第一及び第二供給ポートと、
前記収容孔において前記第一供給ポートの外側に開口する第一タンクポートと、
前記収容孔において前記第二供給ポートの外側に開口する第二タンクポートと、
前記収容孔において前記第一供給ポートと前記第一タンクポートとの間に開口し前記アクチュエータに連通する第一アクチュエータポートと、
前記収容孔において前記第二供給ポートと前記第二タンクポートとの間に開口し前記アクチュエータに連通する第二アクチュエータポートと、を有し、
前記制御弁は、
前記第一アクチュエータポートが前記第一供給ポート及び前記第一タンクポートと遮断され、前記第二アクチュエータポートが前記第二供給ポート及び前記第二タンクポートと遮断される中立位置と、
前記スプールが前記中立位置から一方にストロークした位置であり、前記第一アクチュエータポートと前記第一供給ポートが連通するとともに前記第二アクチュエータポートと前記第二タンクポートが連通する第一切換位置と、
前記スプールが前記中立位置から他方にストロークした位置であり、前記第一アクチュエータポートと前記第一タンクポートが連通するとともに前記第二アクチュエータポートと前記第二供給ポートが連通する第二切換位置と、
前記スプールが前記第二切換位置からさらにストロークした位置であり、前記第一アクチュエータポートと前記第一タンクポートが連通するとともに前記第二アクチュエータポートと前記第二タンクポートが連通する第三切換位置と、の4ポジションを有し、
前記スプールは、前記第三切換位置において、前記スプールの移動に伴い前記第二アクチュエータポートと前記第二タンクポートとを連通可能な排出溝を有し、
前記バルブボディにおける前記排出溝側には、前記スプールが挿通される挿通孔を有するスペーサが取り付けられることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記スプールは、前記バルブボディの前記収容孔に一部が摺動し前記排出溝が形成される外径が一様なランド部を有し、
前記スプールが前記第三切換位置にある状態では、前記ランド部の外側端部が前記スペーサ内に位置することを特徴とする制御弁。
【請求項3】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記スペーサの前記挿通孔の内径は、前記バルブボディの前記収容孔の内径よりも大きいことを特徴とする制御弁。
【請求項4】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記スペーサは、
前記バルブボディに接触して設けられる本体部と、
前記本体部よりも小径に形成され前記バルブボディに嵌め込まれるインロー部と、を有することを特徴とする制御弁。
【請求項5】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記スプールに作用するパイロット圧が導かれるパイロット室を有するパイロットキャップをさらに備え、
前記パイロットキャップは、前記スペーサを介して前記バルブボディに取り付けられることを特徴とする制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バルブハウジングと、バルブハウジングに形成したメインスプール孔と、メインスプール孔に摺動自在に組み込んだスプールと、メインスプール孔に連通する供給通路と、タンクに連通するとともにバルブハウジングの両端部側でメインスプール孔に連通する還流通路と、供給通路及び還流通路の間でメインスプール孔に連通する一対のアクチュエータ通路と、を備える方向切換弁が開示されている。方向切換弁では、スプールが中立位置にあるときには、一対のアクチュエータ通路が供給通路及び還流通路から遮断され、スプールが中立位置から一方に移動すると、一方のアクチュエータ通路が還流通路に連通するとともに他方のアクチュエータ通路が供給通路に連通し、アクチュエータが作動する。スプールが中立位置から他方に移動すると、他方のアクチュエータ通路が還流通路に連通するとともに一方のアクチュエータ通路が供給通路に連通し、アクチュエータが逆方向に作動する。このように、方向切換弁は、3ポジションのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-110956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ドーザ装置等には、ブレードの自重により地面を整地するフロート機能が搭載される場合がある。フロート機能は、一対のアクチュエータ通路のそれぞれをタンクに連通させることにより実現される。特許文献1に記載の3ポジションの方向切換弁にフロート機能を追加する場合には、一対のアクチュエータ通路のそれぞれがタンクに連通するポジションを追加した4ポジションのものに変更する必要がある。その場合には、バルブハウジングの通路の構成を変更しなければならないため、4ポジション専用のバルブハウジングを製造する必要があり、製造コストが増加してしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フロート機能を有する4ポジションの制御弁を容易に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体圧ポンプからアクチュエータへ供給される作動流体の流れを制御する制御弁であって、軸方向に移動可能なスプールと、スプールが摺動自在に収容される収容孔を有するバルブボディと、を備え、バルブボディは、収容孔に開口し、流体圧ポンプから吐出される作動流体が導かれる第一及び第二供給ポートと、収容孔において第一供給ポートの外側に開口する第一タンクポートと、収容孔において第二供給ポートの外側に開口する第二タンクポートと、収容孔において第一供給ポートと第一タンクポートとの間に開口しアクチュエータに連通する第一アクチュエータポートと、収容孔において第二供給ポートと第二タンクポートとの間に開口しアクチュエータに連通する第二アクチュエータポートと、を有し、制御弁は、第一アクチュエータポートが第一供給ポート及び第一タンクポートと遮断され、第二アクチュエータポートが第二供給ポート及び第二タンクポートと遮断される中立位置と、スプールが中立位置から一方にストロークした位置であり、第一アクチュエータポートと第一供給ポートが連通するとともに第二アクチュエータポートと第二タンクポートが連通する第一切換位置と、スプールが中立位置から他方にストロークした位置であり、第一アクチュエータポートと第一タンクポートが連通するとともに第二アクチュエータポートと第二供給ポートが連通する第二切換位置と、スプールが第二切換位置からさらにストロークした位置であり、第一アクチュエータポートと第一タンクポートが連通するとともに第二アクチュエータポートと第二タンクポートが連通する第三切換位置と、の4ポジションを有し、スプールは、第三切換位置において、スプールの移動に伴い第二アクチュエータポートと第二タンクポートとを連通可能な排出溝を有し、バルブボディにおける排出溝側には、スプールが挿通される挿通孔を有するスペーサが取り付けられることを特徴とする。
【0007】
この発明では、スプールが第二切換位置からさらにストロークすると、第一アクチュエータポートと第一タンクポートが連通するとともに、第二アクチュエータポートと第二タンクポートが排出溝を通じて連通する。つまり、スプールが排出溝を有することにより、バルブボディ側の通路の構成を3ポジションのものから変えずに、4ポジションのものにすることができる。また、バルブボディにおける排出溝側にスペーサが取り付けられることにより、スプールを3ポジションのものよりも長くして排出溝が形成される領域を確保することができる。このように、スプールを変更するとともにスペーサをバルブボディに取り付けることにより、4ポジションのバルブボディを3ポジションのバルブボディと共通化することができるため、フロート機能を有する4ポジションの制御弁を容易に製造することができる。
【0008】
本発明は、スプールは、バルブボディの収容孔に一部が摺動し排出溝が形成される外径が一様なランド部を有し、スプールが第三切換位置にある状態では、ランド部の外側端部がスペーサ内に位置することを特徴とする。
【0009】
この発明では、スプールが摺動する際にランド部の外側端部がスペーサの挿通孔の開口端部に引っかかってしまうことが防止される。
【0010】
本発明は、スペーサの挿通孔の内径は、バルブボディの収容孔の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
この発明では、スプールが摺動する際にランド部の外側端部がスペーサの挿通孔の内周面に引っかかってしまうことが防止される。
【0012】
本発明は、スペーサは、バルブボディに接触して設けられる本体部と、本体部よりも小径に形成されバルブボディに嵌め込まれるインロー部と、を有することを特徴とする。
【0013】
この発明では、バルブボディの収容孔に対するスペーサの挿通孔の同軸度を確保しやすい。
【0014】
本発明は、スプールに作用するパイロット圧が導かれるパイロット室を有するパイロットキャップをさらに備え、パイロットキャップは、スペーサを介してバルブボディに取り付けられることを特徴とする。
【0015】
この発明では、パイロットキャップを3ポジションのものと共通化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フロート機能を有する4ポジションの制御弁を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る制御弁を示す断面図であり、メインスプールが中立位置にある状態を示す。
図2】本発明の実施形態に係る制御弁を示す断面図であり、メインスプールが第一切換位置にある状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る制御弁を示す断面図であり、メインスプールが第二切換位置にある状態を示す。
図4】本発明の実施形態に係る制御弁を示す断面図であり、メインスプールが第三切換位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る制御弁について説明する。制御弁は、走行装置を備えた建設機械、産業機械、農業機械等の作業機械に搭載される。本実施形態では、作業機械として油圧ショベルに搭載される制御弁100を一例に説明する。制御弁100は、油圧ショベルのアクチュエータの駆動に用いられる。アクチュエータの駆動には、作動流体として作動油を用いる例について説明するが、作動流体には作動水等の他の流体を用いてもよい。
【0019】
図示しないが、油圧ショベルは、走行部と、走行部に設けられるドーザ装置と、走行部の上部に旋回可能に設けられる旋回部と、旋回部に設けられる掘削部と、を備える。走行部はクローラを有し、クローラが走行モータによって駆動されることにより、油圧ショベルが走行する。掘削部は、旋回部に回動可能に取り付けられるブームと、ブームに回動可能に取り付けられるアームと、アームに回動可能に取り付けられるバケットと、を備える。ドーザ装置は、地面に接触可能なブレードと、ブレードを昇降させるアクチュエータとしてのブレードシリンダ111(図1参照)と、を有する。本実施形態では、制御弁100は、ブレードシリンダ111の動作を制御するために用いられる。
【0020】
油圧ショベルは、エンジン(不図示)と、エンジンにより駆動され作動油を吐出する流体圧ポンプとしてのポンプ110と、ポンプ110からブレードシリンダ111へ供給される作動油の流れを制御する制御弁100と、制御弁100から作動油が還流するタンク119と、を備える。
【0021】
図1を参照して、制御弁100について詳しく説明する。図1に示すように、制御弁100は、軸方向に移動可能なスプールとしてのメインスプール170と、メインスプール170の軸方向に直交する方向に移動するサブスプール180と、メインスプール170及びサブスプール180が摺動自在に収容されるバルブボディ10と、を備える。
【0022】
まず、バルブボディ10について詳しく説明する。
【0023】
バルブボディ10は、メインスプール170が摺動自在に収容される収容孔としてのメイン収容孔150と、サブスプール180が摺動自在に収容されるサブ収容孔160と、を有する。バルブボディ10の構造は、略左右対称形状である。
【0024】
バルブボディ10は、メイン収容孔150に開口し、ポンプ110と連通するポンプポート121と、メイン収容孔150に開口し、ポンプ110から吐出される作動油がポンプポート121を通じて導かれる第一及び第二供給ポート124a,124bと、メイン収容孔150において第一供給ポート124aの外側に開口する第一タンクポート128aと、メイン収容孔150において第二供給ポート124bの外側に開口する第二タンクポート128bと、メイン収容孔150においてポンプポート121と第一タンクポート128aとの間に開口しブレードシリンダ111に連通する第一アクチュエータポート125aと、メイン収容孔150においてポンプポート121と第二タンクポート128bとの間に開口しブレードシリンダ111に連通する第二アクチュエータポート125bと、を有する。メイン収容孔150には、図1における右側から左側に向かって、第一タンクポート128a、第一アクチュエータポート125a、第一供給ポート124a、ポンプポート121、第二供給ポート124b、第二アクチュエータポート125b、及び第二タンクポート128bがこの順に並んで開口する。
【0025】
また、バルブボディ10は、第一アクチュエータポート125aとブレードシリンダ111の反ロッド側室111aとを連通する第一アクチュエータ通路126aと、第二アクチュエータポート125bとブレードシリンダ111のロッド側室111bとを連通する第二アクチュエータ通路126bと、タンク119と第一タンクポート128a及び第二タンクポート128bを連通するタンク通路129と、サブ収容孔160と第一供給ポート124aとを連通する第一供給通路123aと、サブ収容孔160と第二供給ポート124bとを連通する第二供給通路123bと、を有する。
【0026】
第一及び第二アクチュエータ通路126a,126bは、バルブボディ10の外周面に開口し、配管(図示省略)を通じてブレードシリンダ111の反ロッド側室111a及びロッド側室111bにそれぞれ連通する。タンク通路129は、図1に示す断面図においてU字状に形成され、第一及び第二タンクポート128a、128bは、メイン収容孔150における軸方向の両端部近傍でそれぞれ開口する。
【0027】
サブ収容孔160と第一及び第二供給通路123a,123bは、いわゆるブリッジ通路を構成する。サブスプール180の下端側に作動油が導かれ高圧になると、サブスプール180が開弁し、サブ収容孔160と第一及び第二供給通路123a,123bが連通する。これにより、第一及び第二供給通路123a,123bに作動油が導かれる。
【0028】
バルブボディ10には、メインスプール170が挿通される挿通孔21aを有する第一スペーサ20aと、メインスプール170が挿通される挿通孔21bを有する第二スペーサ20bと、がそれぞれ取り付けられる。第一及び第二スペーサ20a,20bは、同一形状であり、挿通孔21a,21bとメイン収容孔150が連通するようにバルブボディ10の対向する外周面にそれぞれ対称に取り付けられる。以下では、第二スペーサ20bについて説明し、第一スペーサ20aについては、第二スペーサ20bと同一の構成には符号の添え字をaとして図示して説明を省略する。
【0029】
第二スペーサ20bは、バルブボディ10に接触して設けられる円環状の本体部22bと、本体部22bよりも小径に形成されバルブボディ10に嵌め込まれるインロー部23bと、を有する。本実施形態では、挿通孔21bは、メイン収容孔150と同軸上に形成され、内径がメイン収容孔150の内径よりもわずかに大きい。第二スペーサ20bは、バルブボディ10の外周面にメイン収容孔150よりも大径に形成される取付凹部15bにインロー部23bが嵌め込まれて、バルブボディ10に取り付けられる。これにより、バルブボディ10のメイン収容孔150に対する挿通孔21bの同軸度を確保しやすい。第一及び第二スペーサ20a,20bの機能については後述する。
【0030】
また、制御弁100は、メインスプール170の一端に作用するパイロット圧が導かれる第一パイロット室131aを有する第一パイロットキャップ130aと、メインスプール170の他端に作用するパイロット圧が導かれる第二パイロット室131bを有する第二パイロットキャップ130bと、を備える。第一及び第二パイロットキャップ130a,130bは、同様な形状であり、ボルト等によりバルブボディ10に取り付けられる。つまり、第一及び第二パイロットキャップ130a,130bは、スペーサ20a,20bを介してバルブボディ10にそれぞれ対称に取り付けられる。以下では、第二パイロットキャップ130bについて説明し、第一パイロットキャップ130aについては、第二パイロットキャップ130bと同一の構成には符号の添え字をaとして図示して説明を省略する。
【0031】
第二パイロットキャップ130bは、外部から第二パイロット室131bにパイロット圧を導くパイロットポート135bを有する。第二パイロット室131bには、メインスプール170を軸方向に付勢するスプリング132bと、メインスプール170のストローク端の位置を規定する位置規定部133bと、スプリング132bとメインスプール170の間に設けられる着座部134bと、が設けられる。スプリング132bは、位置規定部133bと着座部134bの間に圧縮された状態で設けられ、メインスプール170が後述する中立位置となるように付勢する。位置規定部133bは、第二パイロット室131bにおけるパイロットポート135b側に設けられ、メインスプール170がストローク端まで移動した際にメインスプール170と接触する。位置規定部133bには、パイロットポート135bと第二パイロット室131bを連通する連通路136bが形成され、パイロット圧は、外部からパイロットポート135b及び連通路136bを通じて第二パイロット室131bに導かれる。
【0032】
制御弁100は、4ポジションの制御弁である。具体的には、制御弁100は、第一及び第二パイロット室131a,131bにパイロット圧が作用していない中立位置(図1に示す状態)と、第一パイロット室131aにパイロット圧が導かれメインスプール170が中立位置から一方(図1における左側)にストロークした位置である第一切換位置(図2に示す状態)と、第二パイロット室131bにパイロット圧が導かれメインスプール170が中立位置から他方(図1における右側)にストロークした位置である第二切換位置(図3に示す状態)と、第二パイロット室131bにさらに大きなパイロット圧が導かれメインスプール170が第二切換位置からさらにストロークした位置である第三切換位置(図4に示す状態)と、を有する。
【0033】
ブレードシリンダ111は、メインスプール170の位置に応じて、第一及び第二アクチュエータ通路126a,126bを通じて反ロッド側室111a又はロッド側室111bに作動油が供給されることで駆動する。制御弁100の動作と作動油の流れについては後述する。
【0034】
次に、メインスプール170について詳しく説明する。
【0035】
メインスプール170は、メイン収容孔150の内周面に摺接する外径が一様な円柱状のランド部を複数有する。具体的には、メインスプール170は、メインスプール170の軸方向の中央付近に設けられる供給側ランド部171と、供給側ランド部171の左右側にそれぞれ設けられる第一及び第二導出側ランド部172a,172bと、第一及び第二導出側ランド部172a,172bの外側にそれぞれ設けられる第一及び第二タンク側ランド部173a,173bと、を有する。第二タンク側ランド部173bが、特許請求の範囲における「ランド部」に相当する。メインスプール170には、図1における右側から左側に向かって、第一タンク側ランド部173a、第一導出側ランド部172a、供給側ランド部171、第二導出側ランド部172b、及び第二タンク側ランド部173bがこの順に並んで設けられる。
【0036】
供給側ランド部171は、外周面によって、ポンプポート121とサブ収容孔160の連通を遮断可能である。第一導出側ランド部172aは、外周面によって、第一供給ポート124aと第一アクチュエータポート125aの連通を遮断可能であり、第二導出側ランド部172bは、外周面によって、第二供給ポート124bと第二アクチュエータポート125bの連通を遮断可能である。第一タンク側ランド部173aは、外周面によって、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aの連通を遮断可能であり、第二タンク側ランド部173bは、外周面によって、第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bの連通を遮断可能である。第一及び第二タンク側ランド部173a,173bは、メイン収容孔150から露出しており一部がメイン収容孔150に摺動する。
【0037】
メインスプール170における第一パイロットキャップ130a側の端部には、第一タンク側ランド部173aと連続して形成され第一タンク側ランド部173aよりも小径な第一小径部174aが形成され、第二パイロットキャップ130b側の端部には、第二タンク側ランド部173bと連続して形成され第二タンク側ランド部173bよりも小径な第二小径部174bが形成される。第一及び第二小径部174a,174bは、位置規定部133a,133bにそれぞれ接触してメインスプール170のストローク端を規定する。
【0038】
各ランド部間には、環状溝が設けられる。供給側ランド部171と第一導出側ランド部172aの間には、第一環状溝175が設けられ、供給側ランド部171と第二導出側ランド部172bの間には、第二環状溝176が設けられる。第一導出側ランド部172aと第一タンク側ランド部173aの間には、第三環状溝177が設けられ、第二導出側ランド部172bと第二タンク側ランド部173bの間には、第四環状溝178が設けられる。
【0039】
メインスプール170は、第二タンク側ランド部173bに形成される排出溝としてのノッチ193を有する。
【0040】
ノッチ193は、第二タンク側ランド部173bの外周面に設けられ、メインスプール170の軸方向に延びるとともに周方向に等間隔を空けて複数設けられる。本実施形態では、ノッチ193は、第二タンク側ランド部173bの外周面に四つ設けられる。図1に示すように、ノッチ193は、メインスプール170が中立位置にある状態では、第二タンクポート128bと連通し、隣接する第二アクチュエータポート125bとは連通しない。また、ノッチ193は、メインスプール170が図1における左側にストロークし第一切換位置にある状態(図2参照)では、第二パイロットキャップ130bの第二パイロット室131bとは連通せず、一部が第二スペーサ20bの挿通孔21b内に位置する。なお、ノッチ193の数は上記に限らず、一つのみ設けられてもよい。また、ノッチ193に代えて、メインスプール170の外周面全周に亘って形成された環状溝であってもよい。
【0041】
次に、図1-4を参照して、本実施形態に係る制御弁100の動作について説明する。
【0042】
油圧ショベルのオペレータが、例えば整地でブレードを昇降させるために、油圧ショベルの運転席に設けられるブレード操作レバー(図示省略)を操作すると、操作指令としてのパイロット圧が制御弁100の第一パイロット室131aまたは第二パイロット室131bに出力される。これにより、メインスプール170がストロークし、ブレードシリンダ111の反ロッド側室111a又はロッド側室111bに作動油が供給されてブレードシリンダ111が伸縮し、ブレードが昇降する。
【0043】
ブレード操作レバーが中立位置に保持されていると、図1に示すように、メインスプール170は中立位置に保持される。メインスプール170が中立位置にある状態では、供給側ランド部171の外周面によってポンプポート121とサブ収容孔160の連通が遮断される。また、第一タンク側ランド部173aの外周面によって第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aの連通が遮断され、第二タンク側ランド部173bの外周面によって第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bの連通が遮断される。また、第一導出側ランド部172aの外周面によって第一供給ポート124aと第一アクチュエータポート125aの連通が遮断され、第二導出側ランド部172bの外周面によって第二供給ポート124bと第二アクチュエータポート125bの連通が遮断される。つまり、メインスプール170が中立位置にある状態では、反ロッド側室111a及びロッド側室111bは、ポンプ110とタンク119のどちらにも連通しない。
【0044】
ブレードが上昇するようにブレード操作レバーが操作されると、第一パイロット室131aにパイロット圧が導かれる。これにより、メインスプール170は、図2における左側にストロークし、図2に示す第一切換位置となる。図2は、メインスプール170がストローク端までストロークし、第二小径部174bが第二パイロットキャップ130bの位置規定部133bに接触した状態を示している。第一切換位置では、ポンプポート121とサブ収容孔160が第一環状溝175を通じて連通し、ポンプポート121からの作動油がサブ収容孔160に導かれる。
【0045】
サブ収容孔160に作動油が導かれると、サブ収容孔160の圧力により、サブスプール180が開弁し、サブ収容孔160から第一及び第二供給通路123a,123bに作動油が導かれる。メインスプール170が第一切換位置にある状態では、第一供給ポート124aと第一アクチュエータポート125aが第三環状溝177を通じて連通する。よって、第一供給通路123aに導かれた作動油は、第一供給ポート124a、第三環状溝177、及び第一アクチュエータポート125aを通じて、第一アクチュエータ通路126aに導かれる。第一アクチュエータ通路126aに導かれた作動油は、反ロッド側室111aに供給される。
【0046】
また、メインスプール170が第一切換位置にある状態では、第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bが第四環状溝178を通じて連通する。よって、ブレードシリンダ111のロッド側室111bから、第二アクチュエータ通路126b、第二アクチュエータポート125b、第四環状溝178、及び第二タンクポート128bを通じて、タンク通路129に作動油が排出される。これにより、ブレードシリンダ111が伸長し、ブレードが上昇する。よって、ブレードによる整地を行わない場合に、ブレードを地面に接触させずに油圧ショベルを走行させることができる。
【0047】
また、ブレードが下降するようにブレード操作レバーが操作されると、第二パイロット室131bにパイロット圧が導かれる。これにより、メインスプール170は図3における右側にストロークし、図3に示す第二切換位置となる。第二切換位置では、メインスプール170はストローク端まではストロークしておらず、メインスプール170の第一小径部174aと第一パイロットキャップ130aの位置規定部133aの間に隙間が形成される。この状態では、ポンプポート121とサブ収容孔160が第二環状溝176を通じて連通し、ポンプポート121からの作動油がサブ収容孔160に導かれる。そして、サブスプール180が開弁し、サブ収容孔160から第一及び第二供給通路123a,123bに作動油が導かれる。メインスプール170が第二切換位置にある状態では、第二供給ポート124bと第二アクチュエータポート125bが第四環状溝178を通じて連通する。よって、第二供給通路123bに導かれた作動油は、第二供給ポート124b、第四環状溝178、及び第二アクチュエータポート125bを通じて、第二アクチュエータ通路126bに導かれる。第二アクチュエータ通路126bに導かれた作動油は、ブレードシリンダ111のロッド側室111bに供給される。
【0048】
また、メインスプール170が第二切換位置にある状態では、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aが第三環状溝177を通じて連通する。よって、ブレードシリンダ111のロッド側室111bから、第二アクチュエータ通路126b、第二アクチュエータポート125b、第四環状溝178、第二タンクポート128b、及びタンク通路129を通じて、タンク119に作動油が排出される。これにより、ブレードシリンダ111が収縮し、ブレードが下降する。よって、作動油の圧力によりブレードを下降させ、ブレードを地面に押し付けて整地を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、制御弁100には、ブレードの自重により地面を整地するフロート機能が搭載される。フロート機能を行うようにブレード操作レバーが操作されると、第二パイロット室131bに第二切換位置の状態よりも大きいパイロット圧が導かれる。これにより、メインスプール170が第二切換位置からさらに図4における右側にストロークし、図4に示す第三切換位置となる。第三切換位置では、メインスプール170はストローク端までストロークし、第一小径部174aが第一パイロットキャップ130aの位置規定部133aに接触する。この状態では、ポンプポート121とサブ収容孔160の連通が遮断され、第一供給ポート124aと第一アクチュエータポート125a、及び第二供給ポート124bと第二アクチュエータポート125bの連通が遮断される。つまり、メインスプール170が第三切換位置にある状態では、反ロッド側室111a及びロッド側室111bは、ポンプ110と連通しない。
【0050】
一方で、メインスプール170が第三切換位置にある状態では、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aがメインスプール170の第三環状溝177を通じて連通する。また、ノッチ193が第二タンクポート128bだけでなく第二アクチュエータポート125bとも連通するため、第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bがメインスプール170のノッチ193を通じて連通する。よって、ロッド側室111bが、第二アクチュエータ通路126b、第二アクチュエータポート125b、ノッチ193、第二タンクポート128b、及びタンク通路129を通じて、タンク119に連通する。また、ブレードシリンダ111の反ロッド側室111aが、第一アクチュエータ通路126a、第一アクチュエータポート125a、第三環状溝177、第一タンクポート128a、及びタンク通路129を通じて、タンク119に連通する。これにより、反ロッド側室111a及びロッド側室111bがタンク119と連通してタンク圧になり、ブレードの自重によりブレードシリンダ111が収縮した状態となる。これにより、フロート機能が発揮され、ブレードが地面の形状に沿って昇降することができ、ブレードを地面の形状に沿わせて整地を行うことができる。
【0051】
このように、本実施形態の制御弁100は、3ポジションの制御弁の中立位置、第一切換位置、及び第二切換位置に加えて、メインスプール170にノッチ193を形成することでブレードシリンダ111の反ロッド側室111a及びロッド側室111bの両方がタンク119と連通する第三切換位置を追加した4ポジションの制御弁である。言い換えれば、3ポジションの制御弁の構成から、メインスプール170がノッチ193を有する構成に変更することにより、バルブボディ10側の通路の構成を3ポジションのものから変えずにフロート機能で用いる第三切換位置を追加することができ、4ポジションの制御弁100とすることができる。つまり、本実施形態の制御弁100では、4ポジション専用のバルブボディ10を用意する必要がなく、4ポジションのバルブボディ10を3ポジションのバルブボディ10と共通化することができる。
【0052】
また、バルブボディ10に第二スペーサ20bが取り付けられることにより、メインスプール170を第二スペーサ20bの軸方向の長さの分だけ長くすることができる。具体的には、バルブボディ10における第二タンク側ランド部173b側に第二スペーサ20bが取り付けられることにより、第二タンク側ランド部173bを3ポジションのものよりも第二スペーサ20bの軸方向の長さの分だけ長くすることができ、ノッチ193が形成される領域(軸方向の長さ)を確保することができる。
【0053】
このように、メインスプール170を変更するとともに第二スペーサ20bをバルブボディ10に取り付けることにより、4ポジションのバルブボディ10を3ポジションのバルブボディ10と共通化することができるため、フロート機能を有する4ポジションの制御弁100を容易に製造することができる。
【0054】
また、本実施形態の制御弁100では、バルブボディ10における第一タンク側ランド部173a側に第一スペーサ20aが取り付けられ、第一パイロットキャップ130aがボルト等により第一スペーサ20aに取り付けられる。つまり、第一パイロットキャップ130aは、第二パイロットキャップ130bと同様に、ボルト等により直接バルブボディ10に取り付けられずに、第一スペーサ20aを介してバルブボディ10に取り付けられる。よって、バルブボディ10に第二スペーサ20bに加えて第一スペーサ20aが取り付けられることで、第一パイロットキャップ130aと第二パイロットキャップ130bのバルブボディ10への取り付け構造を共通化することができる。
【0055】
また、本実施形態の制御弁100では、図4に示すように、メインスプール170が第三切換位置にある状態では、第二タンク側ランド部173bの外側端部173dが第二スペーサ20b内に位置する。つまり、メインスプール170が図1-4における右側への最大ストローク時においても、第二タンク側ランド部173bは第二スペーサ20bから外れない。これにより、メインスプール170が移動する際に、外側端部173dが第二スペーサ20bの挿通孔21bの開口端部24bに引っかかってしまうことが防止される。また、メインスプール170の第一タンク側ランド部173aは、3ポジションのものよりも長く形成され、図2に示すように、メインスプール170が第一切換位置にある状態でも、第一タンク側ランド部173aの外側端部173cが第一スペーサ20a内に位置する。つまり、メインスプール170が図1-4における左側への最大ストローク時においても、第一タンク側ランド部173aは第一スペーサ20aから外れない。よって、メインスプール170が移動する際に、外側端部173cが第一スペーサ20aの挿通孔21aの開口端部24aに引っかかってしまうことが防止される。
【0056】
さらに、本実施形態の制御弁100では、第二スペーサ20bの挿通孔21bの内径は、バルブボディ10のメイン収容孔150の内径よりも大きい。これにより、メインスプール170が移動する際に、第二タンク側ランド部173bの外側端部173dが第二スペーサ20bの挿通孔21bの内周面に引っかかってしまうことが防止される。第一スペーサ20aについても同様に、第一タンク側ランド部173aの外側端部173cが第一スペーサ20aの挿通孔21aの内周面に引っかかってしまうことが防止される。
【0057】
また、本実施形態の制御弁100では、3ポジション用のメインスプールよりも第二タンク側ランド部173bを長くした分、第二スペーサ20bが第二パイロットキャップ130bとバルブボディ10の間に設けられるため、第二パイロットキャップ130bを軸方向に長くする必要がなく、4ポジション専用の第二パイロットキャップを用意する必要がない。さらに、制御弁100では、第一スペーサ20aが第一パイロットキャップ130aとバルブボディ10の間に設けられる分、3ポジション用のメインスプールよりも第一タンク側ランド部173aを長くしている。そのため、第一パイロットキャップ130aを3ポジションのものから変えずに、第一タンク側ランド部173aの長さを調整することで、メインスプール170の第一小径部174aを第一パイロットキャップ130aの位置規定部133aに接触させてメインスプール170のストローク端(言い換えれば、第三切換位置)を規定することができる。つまり、4ポジション専用の第一パイロットキャップを用意する必要がない。よって、パイロットキャップ130a,130bを3ポジションのものと共通化することができる。
【0058】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0059】
制御弁100では、メインスプール170が第二切換位置からさらにストロークすると、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aが連通するとともに、第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bがノッチ193を通じて連通する。つまり、メインスプール170がノッチ193を有することにより、バルブボディ10側の通路の構成を3ポジションのものから変えずに、4ポジションのものにすることができる。また、バルブボディ10に第二スペーサ20bが取り付けられることにより、メインスプール170を3ポジションのものよりも長くしてノッチ193が形成される領域を確保することができる。このように、メインスプール170を変更するとともに第二スペーサ20bをバルブボディ10に取り付けることにより、4ポジションのバルブボディ10を3ポジションのバルブボディ10と共通化することができるため、フロート機能を有する4ポジションの制御弁100を容易に製造することができる。
【0060】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0061】
<変形例1>
上記実施形態では、バルブボディ10には、第一及び第二スペーサ20a,20bが取り付けられる。第一スペーサ20aにより、パイロットキャップ130a,130bのバルブボディ10への取り付け構造を共通化することができるとともに、第一パイロットキャップ130aを3ポジションのものから変えずにメインスプール170のストローク端(第三切換位置)を規定することができる。しかしながら、パイロットキャップ130a,130bのバルブボディ10への取り付け構造を共通化する必要がない場合や、第一パイロットキャップ130aを軸方向に長くするなどしてメインスプール170のストローク端を規定する場合には、第一スペーサ20aは必須ではない。
【0062】
<変形例2>
上記実施形態では、制御弁100は、第一パイロット室131aを備える第一パイロットキャップ130a及び第二パイロット室131bを備える第二パイロットキャップ130bを備える。しかしながら、メインスプール170がパイロット圧で移動する構成ではなく、例えばメインスプール170の端部に設けられるリンク機構が操作されることによりメインスプール170が移送する構成でもよい。その場合には、第一及び第二パイロットキャップ130a,130bは、制御弁100に必須の構成ではない。
【0063】
<変形例3>
上記実施形態では、メインスプール170が第三切換位置にある状態では、第二タンク側ランド部173bの外側端部173dが第二スペーサ20b内に位置する。しかしながら、メインスプール170が移動する際に外側端部173dが第二スペーサ20bの挿通孔21bの開口端部24b(図4参照)に引っかかってしまうおそれがなければ、上記構成は必須ではない。また、上記実施形態では、第二スペーサ20bの挿通孔21bの内径がバルブボディ10のメイン収容孔150の内径よりも大きいが、メインスプール170が移動する際に外側端部173dが挿通孔21bの内周面に引っかかってしまうおそれがなければ、上記構成は必須ではない。つまり、第二スペーサ20bの挿通孔21bの内径がバルブボディ10のメイン収容孔150の内径と同径に形成され、メインスプール170が挿通孔21bの内周面を摺動してもよい。
【0064】
<変形例4>
上記実施形態では、スペーサ20a,20bは、バルブボディ10に接触して設けられる本体部22a,22bと、本体部22a,22bよりも小径に形成されバルブボディ10に嵌め込まれるインロー部23a,23bと、を有する。しかしながら、スペーサ20a,20bの挿通孔21a,21bとバルブボディ10のメイン収容孔150の同軸度が確保できれば、スペーサ20a,20bがインロー部23a,23bを有さずにバルブボディ10に取り付けられてもよい。
【0065】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0066】
流体圧ポンプ110からアクチュエータとしてのブレードシリンダ111へ供給される作動流体の流れを制御する制御弁100は、軸方向に移動可能なスプールとしてのメインスプール170と、メインスプール170が摺動自在に収容される収容孔としてのメイン収容孔150を有するバルブボディ10と、を備え、バルブボディ10は、メイン収容孔150に開口し、流体圧ポンプ110から吐出される作動流体が導かれる第一及び第二供給ポート124a,124bと、メイン収容孔150において第一供給ポート124aの外側に開口する第一タンクポート128aと、メイン収容孔150において第二供給ポート124bの外側に開口する第二タンクポート128bと、メイン収容孔150において第一供給ポート124aと第一タンクポート128aとの間に開口しブレードシリンダ111に連通する第一アクチュエータポート125aと、メイン収容孔150において第二供給ポート124bと第二タンクポート128bとの間に開口しブレードシリンダ111に連通する第二アクチュエータポート125bと、を有し、制御弁100は、第一アクチュエータポート125aが第一供給ポート124a及び第一タンクポート128aと遮断され、第二アクチュエータポート125bが第二供給ポート124b及び第二タンクポート128bと遮断される中立位置と、メインスプール170が中立位置から一方にストロークした位置であり、第一供給ポート124aと第一アクチュエータポート125aが連通するとともに第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bが連通する第一切換位置と、メインスプール170が中立位置から他方にストロークした位置であり、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aが連通するとともに第二アクチュエータポート125bと第二供給ポート124bが連通する第二切換位置と、メインスプール170が第二切換位置からさらにストロークした位置であり、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aが連通するとともに第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bが連通する第三切換位置と、の4ポジションを有し、メインスプール170は、第三切換位置において、メインスプール170の移動に伴い第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bとを連通可能なノッチ193を有し、バルブボディ10におけるノッチ193側には、メインスプール170が挿通される挿通孔21bを有するスペーサとしての第二スペーサ20bが取り付けられる。
【0067】
この構成では、メインスプール170が第二切換位置からさらにストロークすると、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aが連通するとともに、第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bがノッチ193を通じて連通する。つまり、メインスプール170がノッチ193を有することにより、バルブボディ10側の通路の構成を3ポジションのものから変えずに、4ポジションのものにすることができる。また、バルブボディ10におけるノッチ193側に第二スペーサ20bが取り付けられることにより、メインスプール170を3ポジションのものよりも長くしてノッチ193が形成される領域を確保することができる。このように、メインスプール170を変更するとともに第二スペーサ20bをバルブボディ10に取り付けることにより、4ポジションのバルブボディ10を3ポジションのバルブボディ10と共通化することができるため、フロート機能を有する4ポジションの制御弁100を容易に製造することができる。
【0068】
制御弁100では、メインスプール170は、バルブボディ10のメイン収容孔150に一部が摺動しノッチ193が形成される外径が一様なランド部としての第二タンク側ランド部173bを有し、メインスプール170が第三切換位置にある状態では、第二タンク側ランド部173bの外側端部173dが第二スペーサ20b内に位置する。
【0069】
この構成では、メインスプール170が摺動する際に第二タンク側ランド部173bの外側端部173dが第二スペーサ20bの挿通孔21bの開口端部24bに引っかかってしまうことが防止される。
【0070】
制御弁100では、第二スペーサ20bの挿通孔21bの内径は、バルブボディ10のメイン収容孔150の内径よりも大きい。
【0071】
この構成では、メインスプール170が摺動する際に第二タンク側ランド部173bの外側端部173dが第二スペーサ20bの挿通孔21bの内周面に引っかかってしまうことが防止される。
【0072】
制御弁100では、第二スペーサ20bは、バルブボディ10に接触して設けられる本体部22bと、本体部22bよりも小径に形成されバルブボディ10に嵌め込まれるインロー部23bと、を有する。
【0073】
この構成では、バルブボディ10のメイン収容孔150に対する第二スペーサ20bの挿通孔21bの同軸度を確保しやすい。
【0074】
制御弁100は、メインスプール170に作用するパイロット圧が導かれるパイロット室131bを有するパイロットキャップとしての第二パイロットキャップ130bをさらに備え、第二パイロットキャップ130bは、第二スペーサ20bを介してバルブボディ10に取り付けられる。
【0075】
この構成では、第二パイロットキャップ130bを3ポジションのものと共通化することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0077】
10…バルブボディ、20b…第二スペーサ(スペーサ)、21b…挿通孔、22b…本体部、23b…インロー部、100…制御弁、110…流体圧ポンプ(ポンプ)、111…ブレードシリンダ(アクチュエータ)、119…タンク、124a…第一供給ポート(供給ポート)、124b…第二供給ポート(供給ポート)、125a…第一アクチュエータポート、125b…第二アクチュエータポート、128a…第一タンクポート、128b…第二タンクポート、130b…第二パイロットキャップ(パイロットキャップ)、131b…第二パイロット室(パイロット室)、150…メイン収容孔(収容孔)、170…メインスプール(スプール)、173b…第二タンク側ランド部(ランド部)、173d…外側端部、193…第三ノッチ(排出溝)
【要約】
【課題】フロート機能を有する4ポジションの制御弁を容易に製造する。
【解決手段】制御弁100は、中立位置と、第一切換位置と、第二切換位置と、メインスプール170が第二切換位置からさらにストロークした位置であり、第一アクチュエータポート125aと第一タンクポート128aが連通するとともに第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bが連通する第三切換位置と、の4ポジションを有し、メインスプール170は、第三切換位置において、メインスプール170の移動に伴い第二アクチュエータポート125bと第二タンクポート128bとを連通可能なノッチ193を有し、バルブボディ10におけるノッチ193側には、メインスプール170が挿通される挿通孔21bを有する第二スペーサ20bが取り付けられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4