IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ 晶科能源股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7602002半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール
<>
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図1
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図2
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図3
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図4
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図5
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図6
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図7
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図8
  • 特許-半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0236 20060101AFI20241210BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 31/0745 20120101ALI20241210BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/04 460
H01L31/06 450
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023221309
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2022113517の分割
【原出願日】2022-07-14
(65)【公開番号】P2024039048
(43)【公開日】2024-03-21
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】202210704732.3
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】李 慧敏
(72)【発明者】
【氏名】徐 孟雷
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲じえ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲きん▼宇
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-185587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0207040(US,A1)
【文献】特開2012-243797(JP,A)
【文献】特開2002-224878(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111108609(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108666376(CN,A)
【文献】特開2021-197507(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158226(WO,A1)
【文献】特開2019-149444(JP,A)
【文献】特開2014-086708(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125036(WO,A1)
【文献】特開平09-096595(JP,A)
【文献】特開2016-225627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H01L 31/0236
H01L 21/00-21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板であって、
前記半導体基板の後面は、N型導電領域及びP型導電領域を有し、前記N型導電領域には、第1非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、前記P型導電領域には、第2非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面とは、何れも多角形平面であり、且つ前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズよりも小さく、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下であり、
非ピラミッド状は、ピラミッド状微細構造の塔端が破壊されて形成された塔基、四角台状又は階段状の形態であり、前記1次元サイズは、前記多角形平面の対角線長さであり、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造は、
少なくとも部分的に積層された2つ以上の第1サブ構造と、隣接する非積層に配列された2つ以上の第2サブ構造と、を含み、
前記少なくとも部分的に積層された2つ以上の第1サブ構造のうち、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向における最外側の前記第1サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、
前記後面から離間する前記第2サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、
前記N型導電領域と前記P型導電領域との間には、境界線があり、前記P型導電領域の前記境界線に近接する位置には、前記N型導電領域に近接する熱ダメージ領域をアルカリ研磨エッチングしたボイドが設けられ、前記ボイドの深さは、アルカリ研磨エッチング深さの1/2~1/3であり、且つ、前記ボイドの深さは、0.5μm~2μmであることを特徴とする半導体基板。
【請求項2】
半導体基板であって、
前記半導体基板の後面は、N型導電領域及びP型導電領域を有し、前記N型導電領域には、第1非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、前記P型導電領域には、第2非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面とは、何れも多角形平面であり、且つ前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズよりも小さく、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下であり、
非ピラミッド状は、ピラミッド状微細構造の塔端が破壊されて形成された塔基、四角台状又は階段状の形態であり、前記1次元サイズは、前記多角形平面の対角線長さであり、
前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造は、
少なくとも部分的に積層された2つ以上の第3サブ構造と、隣接する非積層に配列された2つ以上の第4サブ構造と、を含み、
前記少なくとも部分的に積層された2つ以上の第3サブ構造のうち、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向における最外側の前記第3サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下であり、
前記後面から離間する前記第4サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下であり、
前記N型導電領域と前記P型導電領域との間には、境界線があり、前記P型導電領域の前記境界線に近接する位置には、前記N型導電領域に近接する熱ダメージ領域をアルカリ研磨エッチングしたボイドが設けられ、前記ボイドの深さは、アルカリ研磨エッチング深さの1/2~1/3であり、且つ、前記ボイドの深さは、0.5μm~2μmであることを特徴とする半導体基板。
【請求項3】
前記N型導電領域の前記境界線に近接する位置には、ボイドが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基板。
【請求項4】
前記N型導電領域及び/又は前記P型導電領域における前記ボイドと、前記境界線との距離は、5μm~15μmであることを特徴とする請求項3に記載の半導体基板。
【請求項5】
前記ボイドの直径は、1μm~10μmであることを特徴とする請求項3に記載の半導体基板。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の半導体基板と、
前記半導体基板の後面のN型導電領域に設けられるトンネル酸化層と、
前記半導体基板の後面のP型導電領域に設けられる局所裏面電界と、
前記トンネル酸化層の前記半導体基板から離反する側に設けられる多結晶シリコン薄膜層と、
前記局所裏面電界に設けられる共晶層と、
前記多結晶シリコン薄膜層の前記トンネル酸化層から離反する側と前記P型導電領域とに設けられる後面パッシベーション層と、
前記後面パッシベーション層を通り抜けて前記局所裏面電界とのオーム接触を形成する第1電極と、
前記後面パッシベーション層を通り抜けて前記多結晶シリコン薄膜層とオーム接触を形成する第2電極と、を備えることを特徴とする太陽電池。
【請求項7】
前記半導体基板の前面に設けられ且つ前記半導体基板から離間する方向に順次積層設置された前面パッシベーション層及び反射防止層を更に備えることを特徴とする請求項に記載の太陽電池。
【請求項8】
太陽光発電モジュールであって、
前記太陽光発電モジュールは、請求項に記載の太陽電池を備え、前記太陽電池は、全一枚の形態又は分割された複数枚の形態で電気的に接続されて太陽電池ストリングとなることを特徴とする太陽光発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電電池の技術分野に関し、特に半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の結晶シリコン電池は、両面接触金属化設計を採用している。太陽光スペクトルの利用が高められるように、電池の正面又は裏面には、テクスチャーを有する光閉じ込め構造を用いて入射光の電池中の伝送路を増加させる必要がある。しかし、従来のテクスチャー表面は、後の膜層パッシベーション及びスラリー接触界面にある程度影響を与え、更に電池性能にも影響を与えてしまった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の太陽電池の表面テクスチャー構造が後の膜層パッシベーション及びスラリー接触界面に影響を与え、更に電池性能にも影響を与えるという問題を解決する半導体基板、太陽電池及び太陽光発電モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様において、本発明は、半導体基板を提供する。前記半導体基板の後面は、N型導電領域及びP型導電領域を有し、前記N型導電領域には、第1非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、前記P型導電領域には、第2非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面とは、何れも多角形平面であり、且つ前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズよりも小さく、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下である。
【0005】
1つの可能な設計において、前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、7μm以上であり、且つ10μm以下である。
【0006】
1つの可能な設計において、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、15μm以上であり、且つ35μm以下である。
【0007】
1つの可能な設計において、前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造は、少なくとも部分的に積載された2つ以上の第1サブ構造と、隣接する非積載に配列された2つ以上の第2サブ構造と、を含み、
前記少なくとも部分的に積載された2つ以上の第1サブ構造のうち、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向における最外側の前記第1サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、
前記後面から離間する前記第2サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、5μm以上であり、且つ12μm以下である。
【0008】
1つの可能な設計において、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造は、少なくとも部分的に積載された2つ以上の第3サブ構造と、隣接する非積載に配列された2つ以上の第4サブ構造と、を含み、
前記少なくとも部分的に積載された2つ以上の第3サブ構造のうち、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向における最外側の前記第3サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下であり、
前記後面から離間する前記第4サブ構造の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下である。
【0009】
1つの可能な設計において、前記N型導電領域と前記P型導電領域との間には、境界線があり、前記N型導電領域及び/又は前記P型導電領域の前記境界線に近接する位置には、ボイドが設けられている。
【0010】
1つの可能な設計において、前記N型導電領域及び/又は前記P型導電領域の、前記境界線から5μm~15μm離れた位置には、ボイドが設けられている。
【0011】
1つの可能な設計において、前記N型導電領域及び/又は前記P型導電領域の、前記境界線から5μm~10μm離れた位置には、ボイドが設けられている。
【0012】
1つの可能な設計において、前記ボイドの直径は、1μm~10μmである。
【0013】
1つの可能な設計において、前記ボイドの直径は、1μm~5μmである。
【0014】
1つの可能な設計において、前記ボイドの深さは、0.5μm~2μmである。
【0015】
1つの可能な設計において、隣接する2つの前記N型導電領域の間の間隔又は隣接する2つの前記P型導電領域の間の間隔は、0.8mm~1.2mmであり、前記半導体基板の後面における前記N型導電領域の分布割合は、50%~85%であり、前記半導体基板の後面における前記P型導電領域の分布割合は、15%~50%である。
【0016】
1つの可能な設計において、前記多角形平面の形状は、菱形、方形、台形、略菱形、略方形及び略台形のうちの少なくとも一種を含む。
【0017】
1つの可能な設計において、前記半導体基板は、P型結晶シリコン基板である。
【0018】
本発明の第2態様において、本発明は、太陽電池を更に提供する。当該太陽電池は、
上記半導体基板と、
前記半導体基板の後面のN型導電領域に設けられるトンネル酸化層と、
前記半導体基板の後面のP型導電領域に設けられる局所裏面電界と、
前記トンネル酸化層の前記半導体基板から離反する側に設けられる多結晶シリコン薄膜層と、
前記局所裏面電界に設けられる共晶層と、
前記多結晶シリコン薄膜層の前記トンネル酸化層から離反する側と前記P型導電領域とに設けられる後面パッシベーション層と、
前記後面パッシベーション層を通り抜けて前記局所裏面電界とのオーム接触を形成する第1電極と、
前記後面パッシベーション層と前記多結晶シリコン薄膜層とを順次通り抜けてオーム接触を形成する第2電極と、を備える。
【0019】
1つの可能な設計において、前記半導体基板の前面に設けられ且つ前記半導体基板から離間する方向に順次積層設置された前面パッシベーション層及び反射防止層を更に備える。
【0020】
本発明の第3態様において、本発明は、太陽光発電モジュールを更に提供する。前記太陽光発電モジュールは、上記太陽電池を備え、前記太陽電池は、全一枚の形態又は分割された複数枚の形態で電気的に接続されて太陽電池ストリングとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以下の有利な作用効果を有する。
本発明の半導体基板の後面がN型導電領域及びP型導電領域を有し、N型導電領域に第1非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、P型導電領域に第2非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられ、第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面とが何れも多角形平面であり、且つ第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズが第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズよりも小さいと限定し、且つ第1非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズ範囲と第2非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズ範囲とを更に限定する。本発明では、N型導電タイプドーピング及びP型導電タイプドーピングのドーピング特性について、異なるサイズの非ピラミッド状テクスチャー構造を対応的に設計し、より対応性のあるように該当領域のパッシベーション品質を高め、スラリーとの間の接触特徴を向上させ、作製された太陽電池がより高い電池変換効率を得ることができる。
【0022】
以上の一般的な記述及び後述する細部の記述が単に例示であり、本発明を制限できないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1態様に関わる半導体基板の1k拡大倍数での走査電子顕微鏡写真である。
図2】本発明の第1態様に関わる半導体基板上のN型導電領域上の第1非ピラミッド状テクスチャー構造の第1角度時の顕微鏡写真である。
図3】本発明の第1態様に関わる半導体基板上のN型導電領域上の第1非ピラミッド状テクスチャー構造の第2角度時の走査電子顕微鏡写真である。
図4】本発明の第1態様に関わる半導体基板上のP型導電領域上の第2非ピラミッド状テクスチャー構造の第1個角度時の顕微鏡写真である。
図5】本発明の第1態様に関わる半導体基板上のP型導電領域上の第2非ピラミッド状テクスチャー構造の第2個角度時の走査電子顕微鏡写真である。
図6】本発明の第1態様に関わる半導体基板の2k拡大倍数での走査電子顕微鏡写真である。
図7】本発明の第1態様に関わる半導体基板の5k拡大倍数での走査電子顕微鏡写真である。
図8】本発明の第1態様に関わる半導体基板の10k拡大倍数での走査電子顕微鏡写真である。
図9】本発明の第2態様に関わる太陽電池の構造模式図である。
【0024】
ここでの図面は、明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成し、本発明に合致する実施例を示し、明細書と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の解決手段をよりよく理解するために、以下に図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
【0026】
明らかなように、説明される実施例は、本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働を必要とすることなく得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0027】
本発明の実施例において使用される用語は、特定の実施例を説明する目的だけであり、本発明を制限することを意図するものではない。本発明の実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数の形式の「一種」、「前記」及び「当該」も、コンテキストが他の意味を明確に示さない限り、複数の形式を含むことを意図する。
【0028】
理解すべきことは、本明細書に使用される用語「及び/又は」が関連対象を説明する関連関係だけであり、三種類の関係が存在してもよいことを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、A及びBが同時に存在すること、Bが単独で存在するという三種類の状況を示すことができる。また、本明細書における記号「/」は、一般的に前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0029】
注意すべきことは、本発明の実施例に記載された「上」、「下」、「左」、「右」等の方位言葉は、図面に示された角度で説明され、本発明の実施例を限定するものと理解すべきではない。なお、コンテキストにおいて、さらに理解すべきこととしては、1つの素子が他の素子の「上」または「下」に接続されることを言及する場合、それは他の素子の「上」または「下」に直接接続され得るだけでなく、中間素子により他の素子の「上」または「下」に間接的に接続されてもよい。
【0030】
IBC(Interdigitated Back Contact)電池は、全ての電極が半導体基板の後面に設けられるバックコンタクト太陽電池であり、半導体基板の前面に電極の遮蔽がないため、前面の全面積が太陽光を受信可能である。これにより、IBC電池は、高い光電変換効率を有する。IBC電池の半導体基板の後面は、一般的に研磨又は部分テクスチャリングを用いて一定のテクスチャー構造を形成する。従来のテクスチャー構造は、後の膜層パッシベーション及びスラリー接触界面にある程度影響を与え、更にIBC電池の光電変換効率に影響を与える。
【0031】
これに鑑みて、第1態様において、図1に示すように、本発明は、半導体基板1を提供する。前記半導体基板1の後面は、N型導電領域11及びP型導電領域12を有し、図2図3に示すように、前記N型導電領域11には、第1非ピラミッド状テクスチャー構造111が設けられ、図4図5に示すように、前記P型導電領域12には、第2非ピラミッド状テクスチャー構造121が設けられ、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面とは、何れも多角形平面であり、且つ前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズL1は、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズL2よりも小さく、
前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズL1は、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズL2は、10μm以上であり、且つ40μm以下である。
【0032】
説明すべきことは、半導体基板1は、一般的に前面及び後面を有し、半導体基板1の前面は、受光面、即ち、太陽光線の照射を受ける表面(受光面)を指してもよく、半導体基板1の後面は、前記前面に背向する面である。非ピラミッド状は、ピラミッド状微細構造の塔端が破壊されて形成された塔基/四角台状又は階段状の形態と理解可能である。非ピラミッド状テクスチャー構造は、半導体基板1に対して化学エッチング、レーザエッチング、機械法又はプラズマエッチング等のプロセスを行って形成されてもよい。非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面の1次元サイズは、具体的に表面の長さ、幅、対角線長さ、円形の直径等であってもよく、ここで限定されない。幾つかの実例において、非ピラミッド状テクスチャー構造の頂部表面を表す1次元サイズを測定するときに、テスト機器(光学顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等)を介して膜層表面の標定を直接測定してもよい。
【0033】
好ましくは、半導体基板1は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板又は炭化ケイ素基板のうちの一種であってもよい。幾つかの実施例において、前記半導体基板は、P型結晶シリコン基板であり、前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズは、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm又は12μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。前記多角形平面の形状は、菱形、方形、台形、略菱形、略方形、略台形のうちの少なくとも一種を含む。前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズは、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm又は40μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0034】
理解できるように、本発明の半導体基板は、後面にN型導電領域11及びP型導電領域12を有し、N型導電領域11及びP型導電領域12は、太陽電池の作製時に、N型導電タイプドーピング及びP型導電タイプドーピングにそれぞれ用いられる。本発明では、N型導電領域11に第1非ピラミッド状テクスチャー構造111が設けられ、P型導電領域12に第2非ピラミッド状テクスチャー構造121が設けられている。ピラミッド状テクスチャー構造よりも、太陽電池の作製中において、非ピラミッド状テクスチャー構造は、半導体基板1上の後期の膜層の形成に有利であり、更により高いパッシベーション品質を取得可能であり、非ピラミッド状テクスチャー構造がスラリーとの間のより良好な接触特徴を有し、スクリーン印刷金属スラリーが電極を形成するときにより良好に充填されることができ、より優れた電極接触が得られ、更により高い開放電圧及びフィルファクタが得られ、更により高い電池転化効率が得られる。
【0035】
本発明では、第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面とが何れも多角形平面であり、且つ前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズが前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズよりも小さいと限定し、且つ更に前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズ範囲及び前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズ範囲を限定する。本発明では、N型導電タイプドーピング及びP型導電タイプドーピングのドーピング特性について、異なるサイズの非ピラミッド状テクスチャー構造を対応的に設計し、より対応性のあるように該当領域のパッシベーション品質を高め、スラリーとの間の接触特徴を向上させ、作製された太陽電池がより高い電池変換効率を得ることができる。
【0036】
好ましくは、前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズは、7μm以上であり、且つ10μm以下である。
【0037】
理解できるように、第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズに対する更なる限定により、太陽電池を作製する過程において、N型導電領域11がより高いパッシベーション品質と、スラリーとの間のより良好な接触特徴とを取得可能であり、更により高い開放電圧及びフィルファクタが得られ、更により高い電池転化効率が得られる。
【0038】
好ましくは、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズは、15μm以上であり、且つ35μm以下である。
【0039】
理解できるように、第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズに対する更なる限定により、太陽電池を作製する過程において、P型導電領域12がより高いパッシベーション品質と、スラリーとの間のより良好な接触特徴とを取得可能であり、更により高い開放電圧及びフィルファクタが得られ、更により高い電池転化効率が得られる。
【0040】
幾つかの実施例において、図2に示すように、前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111は、少なくとも部分的に積載された2つ以上の第1サブ構造1111と、隣接する非積載に配列された2つ以上の第2サブ構造1112と、を含み、
前記少なくとも部分的に積載された2つ以上の第1サブ構造1111のうち、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向における最外側の前記第1サブ構造1111の頂部表面の1次元サイズL11は、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、
前記後面から離間する前記第2サブ構造1112の頂部表面の1次元サイズL12は、5μm以上であり、且つ12μm以下である。
【0041】
説明すべきことは、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向は、積載方向と理解されてもよい。
【0042】
理解できるように、本発明の第1非ピラミッド状テクスチャー構造111が、少なくとも部分的に積載された2つ以上の第1サブ構造1111と、隣接する非積載に配列された2つ以上の第2サブ構造1112とを含むことにより、第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の粗さを所望範囲内に制御可能であり、太陽電池のスクリーン印刷段に有利であり、N型導電領域11でのスラリー接触を強化し、スラリー引張力を高め、セル品質及び歩留りを向上させ、太陽電池の開放電圧も高め、フィルファクタ及び光電変換効率を向上させることができる。
【0043】
幾つかの実施例において、図4に示すように、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121は、少なくとも部分的に積載された2つ以上の第3サブ構造1211と、隣接する非積載に配列された2つ以上の第4サブ構造1212とを含み、
前記少なくとも部分的に積載された2つ以上の第3サブ構造1211のうち、前記後面から離間し且つ前記後面に垂直な方向における最外側の前記第3サブ構造1211の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下であり、
前記後面から離間する前記第4サブ構造1212の頂部表面の1次元サイズは、10μm以上であり、且つ40μm以下である。
【0044】
理解できるように、本発明の第2非ピラミッド状テクスチャー構造121が、少なくとも部分的に積載された2つ以上の第3サブ構造1211と、隣接する非積載に配列された2つ以上の第4サブ構造1212とを含むことにより、第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の粗さを所望範囲内に制御可能であり、太陽電池のスクリーン印刷段に有利であり、N型導電領域11でのスラリー接触を強化し、スラリー引張力を高め、セル品質及び歩留りを向上させ、太陽電池の開放電圧も高め、フィルファクタ及び光電変換効率を向上させることができる。
【0045】
幾つかの実施例において、図6に示すように、前記N型導電領域11と前記P型導電領域12との間には、境界線13があり、図6-8に示すように、前記N型導電領域11及び/又は前記P型導電領域12の前記境界線13に近接する位置には、ボイド131が設けられている。
【0046】
理解できるように、前記N型導電領域11及び/又は前記P型導電領域12の前記境界線13に近接する位置に設けられたボイド131により、キャリアの伝送に有利し、更に電池性能の向上にも有利し、また、900-1200バンドの反射率も1%~10%向上することができる。
【0047】
幾つかの実施例において、ボイド131は、太陽電池の作製中において、レーザ光でP型導電領域12の余計な膜層を除去するときに、レーザ光が近傍のN型導電領域11へ熱ダメージを与え、その表面膜層を破壊し、後のアルカリ研磨過程において熱ダメージ領域をエッチングして形成されたものである。
【0048】
幾つかの実施例において、前記N型導電領域及び/又は前記P型導電領域の前記境界線13から5μm~15μm離れた位置には、ボイド131が設けられている。
【0049】
好ましくは、ボイド131の設置位置は、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm又は15μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0050】
好ましくは、前記N型導電領域11及び/又は前記P型導電領域12の前記境界線13から5μm~10μm離れた位置には、ボイド131が設けられている。
【0051】
幾つかの実施例において、前記ボイド131の直径は、1μm~10μmである。
【0052】
好ましくは、前記ボイド131の直径は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm又は10μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0053】
好ましくは、前記ボイド131の直径は、1μm~5μmである。
【0054】
幾つかの実施例において、前記ボイド131の深さは、0.5μm~2μmである。
【0055】
好ましくは、前記ボイド131の深さは、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm又は2μm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。ここで、前記ボイド131の深度値は、3D顕微鏡による走査で取得されてもよい。幾つかの具体的な実施例において、ボイド131深さは、アルカリ研磨エッチング深さの1/2~1/3(研磨面エッチングに基づく)であってもよい。
【0056】
幾つかの実施例において、隣接する2つの前記N型導電領域11の間の間隔又は隣接する2つの前記P型導電領域12の間の間隔は、0.8mm~1.2mmであり、前記半導体基板1の後面における前記N型導電領域11の分布割合は、50%~85%であり、前記半導体基板1の後面における前記P型導電領域12の分布割合は、15%~50%である。
【0057】
好ましくは、隣接する2つの前記N型導電領域11の間の間隔又は隣接する2つの前記P型導電領域12の間の間隔は、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、1.0mm、1.05mm、1.1mm、1.15mm又は1.2mm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。前記半導体基板1の後面における前記N型導電領域11の分布割合は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は85%等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。対応的に、前記半導体基板1の後面における前記P型導電領域12の分布割合は、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、又は15%等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0058】
理解できるように、半導体基板1上の隣接する2つの前記N型導電領域11の間の間隔又は隣接する2つの前記P型導電領域12の間の間隔に対する限定と、前記半導体基板1の後面におけるN型導電領域11及びP型導電領域12の分布割合に対する限定により、太陽電池を作製する過程において、優れた導電性を有するPN結合を半導体基板1に形成可能であり、作製された太陽電池の光電性能を向上させることができる。
【0059】
幾つかの具体的な実施例では、本発明の半導体基板1の作製において、まず、アルカリ研磨を用いて小塔基の形態を有する裏面構造を作製し、対応する膜層を堆積したものをN型導電領域とし、その後、レーザ光による膜切りを用いてP型導電領域を特定し、再度アルカリ研磨を用いてレーザ光ダメージを除去して大塔基の平面表面形態を形成する。レーザ光でP型領域の余計な膜層を除去するときに、レーザ光が近傍のN型導電領域に熱ダメージを与え、その表面膜層を破壊し、後のアルカリ研磨過程において熱ダメージ領域をエッチングしてボイドを形成する。作製過程において、レーザ光のプロセスを調整して熱ダメージを境界からの一定の範囲内に制御してもよい。
【0060】
説明すべきことは、本発明の半導体基板1は、太陽電池の製造過程において形成されてもよく、太陽電池の製造過程前のオリジナル基板(シリコンスライス)の作製時に形成されてもよい。
【0061】
第2態様において、本発明は、太陽電池を更に提供する。図9に示すように、太陽電池は、本発明の上記半導体基板1、トンネル酸化層2、局所裏面電界3、多結晶シリコン薄膜層4、共晶層5、後面パッシベーション層6、第1電極7及び第2電極8を備える。
半導体基板1は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板又は炭化ケイ素基板のうちの一種であってもよい。幾つかの実施例において、前記半導体基板は、P型結晶シリコン基板である。
【0062】
トンネル酸化層2は、前記半導体基板1の後面のN型導電領域11に設けられている。トンネル酸化層2は、酸化ケイ素層、酸化アルミニウム層、酸窒化ケイ素層、酸化モリブデン層、酸化ハフニウム層のうちの一種又は複数種の積層構造であってもよい。他の実施例において、トンネル酸化層2は、酸素含有窒化ケイ素層、酸素含有炭化ケイ素層等であってもよい。幾つかの実行可能な実施形態において、オゾン酸化法、高温熱酸化法、硝酸酸化法、化学蒸着法、低圧化学蒸着法を用いて半導体基板1の後面のN型導電領域11をエッチングした後で処理し、トンネル酸化層2を形成してもよい。
【0063】
局所裏面電界3は、前記半導体基板1の後面のP型導電領域12に設けられている。P型導電領域12に局所裏面電界3が形成されることにより、作製された太陽電池の開放電圧を高め、アルミニウムシリコン接触抵抗Rsを低減し、電池の光電変換効率を効果的に向上させることができる。幾つかの具体的な実施例において、局所裏面電界3は、アルミニウム裏面電界である。
【0064】
多結晶シリコン薄膜層4は、前記トンネル酸化層2の前記半導体基板1から離反する側に設けられている。多結晶シリコン薄膜は、結晶シリコンの電学特性を有し、非結晶シリコン薄膜のコストが低く、設備が簡単であり且つ大面積で作製できる等の利点もある。物理蒸着法、化学蒸着法、プラズマ強化化学蒸着法、原子層蒸着法のうちの何れか一種の方法でトンネル酸化層2の表面に堆積して多結晶シリコン薄膜層4を形成してもよい。
【0065】
共晶層5は、前記局所裏面電界3に設けられている。幾つかの具体的な実施例において、共晶層5は、シリコンアルミニウム共晶層である。
【0066】
後面パッシベーション層6は、前記多結晶シリコン薄膜層4の前記トンネル酸化層2から離反する側と前記P型導電領域12とに設けられ、後面パッシベーション層6は、半導体基板1の後面に対してパッシベーション作用を果たし、後面パッシベーション層6は、1層又は複数層のパッシベーション層によって構成されてもよい。後面パッシベーション層6は、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸窒化ケイ素層等のパッシベーション層を含んでもよい。幾つかの具体的な実施例において、後面パッシベーション層6は、第1後面パッシベーション層61及び第2後面パッシベーション層62を含み、第1後面パッシベーション層61と第2後面パッシベーション層62は、半導体基板1後面から離反する方向に沿って順次設けられている。幾つかの具体的な実施例において、第1後面パッシベーション層61は、酸化アルミニウム層であってもよく、第2後面パッシベーション層62は、窒化ケイ素層であってもよい。
【0067】
第1電極7は、前記後面パッシベーション層6を通り抜けて前記局所裏面電界3とのオーム接触を形成する。
【0068】
第2電極8は、前記後面パッシベーション層6と前記多結晶シリコン薄膜層4とを順次通り抜けてオーム接触を形成する。第1電極7及び第2電極8は、後面パッシベーション層6の表面に塗布された金属導電スラリーによって焼成され形成されてもよい。幾つかの実施例において、前記第1電極7及び/又は第2電極8の材料は、銀、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属材料を含む。1つの具体的な実施例において、第1電極7は、アルミニウム材料を含み、第2電極は、銀材料を含む。
【0069】
幾つかの具体的な実施例において、図9に示すように、太陽電池は、
前記半導体基板1の前面に設けられ且つ前記半導体基板1から離間する方向に順次積層設置された前面パッシベーション層9と反射防止層10とを更に備える。前面パッシベーション層9は、半導体基板1の前面に対してパッシベーション作用を果たし、前面パッシベーション層9は、1層又は複数層のパッシベーション層によって構成されてもよい。前面パッシベーション層9は、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸窒化ケイ素層等のパッシベーション層を含んでもよい。幾つかの具体的な実施例において、前面パッシベーション層9は、酸化アルミニウム層であってもよい。反射防止層10は、光の反射を防止したり減少したりすることができ、太陽エネルギーを十分に利用する目的を果たすことができる。反射防止層10は、化学蒸着法、物理蒸着法及び高温窒化等の方法によって前面パッシベーション層9に形成されてもよい。幾つかの具体的な実施例において、反射防止層10は、酸窒化ケイ素層であってもよい。
【0070】
第3態様において、本発明は、太陽光発電モジュールを更に提供する。前記太陽光発電モジュールは、上記太陽電池を備え、太陽光発電モジュールの電池転化効率を向上可能である。当該太陽光発電モジュールは、上記太陽電池を備え、前記太陽電池は、全一枚又は分割された複数枚(例えば、1/2等分スライス、1/3等分スライス、1/4等分スライス等の分割された複数枚)の形式で電気的に接続されて複数の電池ストリングを形成し、前記複数の電池ストリングは、直列接続及び/又は並列接続の方式で電気的に接続されている。幾つかの実施例において、前記太陽光発電モジュールは、パッケージ材料層及び蓋板を更に備え、前記パッケージ材料層は、前記複数の太陽電池ストリングを封止し、前記蓋板は、前記パッケージ材料層を覆う。例えば、前記パッケージ材料層の材質は、EVA、POE又はPET等の有機材料であってもよく、前記蓋板は、ガラス蓋板、プラスチック蓋板等の透光機能を有する蓋板であってもよい。
【0071】
第4態様において、本発明は、上記太陽電池を作製するための太陽電池の作製方法を更に提供する。作製方法は、以下のステップを含む。
【0072】
ステップS1では、半導体基板1を提供し、半導体基板1に対してテクスチャリング処理及び酸化処理を順次行う。
【0073】
ステップS2では、半導体基板1の前面上且つ前記半導体基板1から離間する方向に、設置された前面パッシベーション層9及び反射防止層10を順次積層する。
【0074】
ステップS3では、半導体基板1の後面を酸洗した後、アルカリ溶液を用いて半導体基板1の後面を研磨処理することにより、半導体基板1の後面に第1非ピラミッド状テクスチャー構造111を形成するようにする。
【0075】
ステップS4では、前記半導体基板1の後面の第1非ピラミッド状テクスチャー構造111にトンネル酸化層2が形成され、トンネル酸化層2の表面に堆積して多結晶シリコン薄膜層4が形成される。幾つかの具体的な実施例において、更に、多結晶シリコン薄膜層4に対してドーピング処理を行ってドーピング導電層を形成してもよい。
【0076】
ステップS5では、レーザ光による膜切りを用いてP型導電領域12を特定し形成し、第1非ピラミッド状テクスチャー構造111が形成された領域をN型導電領域11とし、アルカリ溶液を用いて半導体基板1の後面のP型導電領域12に対して研磨処理を行うことにより、半導体基板1後面のP型導電領域12に第2非ピラミッド状テクスチャー構造121が形成されるようにする。前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面と前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面とは、何れも多角形平面であり、且つ前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズL1は、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズL2よりも小さく、前記第1非ピラミッド状テクスチャー構造111の頂部表面の1次元サイズL1は、5μm以上であり、且つ12μm以下であり、前記第2非ピラミッド状テクスチャー構造121の頂部表面の1次元サイズL2は、10μm以上であり、且つ40μm以下である。幾つかの具体的な実施例において、レーザ光による膜切りの条件は、レーザタイプとして波長355nmの紫外レーザ又は波長556nmの緑色レーザを選択し、スポットサイズが30μm~100μmであることを含む。幾つかの具体的な実施例において、レーザ光でP型導電領域12の余計な膜層を除去するときに、レーザ光が近傍のN型導電領域11に熱ダメージを与え、その表面膜層を破壊し、後のアルカリ研磨過程において熱ダメージ領域をエッチングしてボイド131を形成する。作製中に、レーザ膜切りパラメータを調整することにより、熱損失を一定の範囲内に制御することができる。
【0077】
ステップS6では、前記半導体基板1の後面のP型導電領域12においてパターン化を行い、局所裏面電界3及び共晶層5を形成する。
【0078】
ステップS7では、多結晶シリコン薄膜層4の表面及び前記P型導電領域12に後面パッシベーション層6を堆積する。幾つかの具体的な実施例において、後面パッシベーション層6が第1後面パッシベーション層61及び第2後面パッシベーション層62を含み、作製時に、多結晶シリコン薄膜層4表面及び前記P型導電領域12に第1後面パッシベーション層61を堆積してから、第2後面パッシベーション層62を堆積する。
【0079】
比較例
比較例は、太陽電池を提供する。太陽電池は、半導体基板を備え、前記半導体基板の後面は、N型導電領域及びP型導電領域を有し、前記N型導電領域と前記P型導電領域とには、同じ非ピラミッド状テクスチャー構造が設けられている。
【0080】
比較例の電池構造よりも、本発明の太陽電池の後面のN型導電領域とP型導電領域とに異なるサイズ規格の第1非ピラミッド状テクスチャー構造及び第2非ピラミッド状テクスチャー構造がそれぞれ設けられ、他の構造及び作製方法が何れも同じであり、対比試験によって以下のこを発見した。
【0081】
[表1]本発明の太陽電池と比較例の太陽電池との性能対比表
【表1】
【0082】
ただし、太陽電池の変換効率=(開放電圧*短絡電流*フィルファクタ)/(電池面積*光照射幅)10*100%である。開放電圧、短絡電流、フィルファクタが変換効率に比例することが分かる。表1のデータから、半導体基板1に異なる規格サイズの非ピラミッドテクスチャー構造を設ける太陽電池の変換効率が半導体基板1に規格の一致する非ピラミッドテクスチャー構造を設ける太陽電池の変換効率よりも0.17%高いことが分かる。
【0083】
上述したのは、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。当業者にとって、本発明は、様々な変更や変化を有することができる。本発明の精神及び原則内でなされた如何なる修正、均等物による置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0084】
1-半導体基板
11-N型導電領域
111-第1非ピラミッド状テクスチャー構造
1111-第1サブ構造
1112-第2サブ構造
12-P型導電領域
121-第2非ピラミッド状テクスチャー構造
1211-第3サブ構造
1212-第4サブ構造
13-境界線
131-ボイド
2-トンネル酸化層
3-局所裏面電界
4-多結晶シリコン薄膜層
5-共晶層
6-後面パッシベーション層
61-第1後面パッシベーション層
62-第2後面パッシベーション層
7-第1電極
8-第2電極
9-前面パッシベーション層
10-反射防止層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9