(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20241210BHJP
G01S 7/497 20060101ALI20241210BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S7/497
G02B26/10 Z
(21)【出願番号】P 2023505570
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2022009948
(87)【国際公開番号】W WO2022191174
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2021038050
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】加園 修
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-107452(JP,A)
【文献】特開2010-044050(JP,A)
【文献】特開2000-075031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G01B 11/00-11/30
G02B 26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査部と、
前記走査部の走査範囲に照射されるビームの少なくとも一部を反射する複数の反射部と、
を備え、
前記複数の反射部が前記走査範囲のうちの少なくとも4角に位置しており、
前記複数の反射部はそれぞれ、前記走査範囲の角を構成する2辺の延長線が、
少なくとも1つの
同じ反射部に重なるように配置されている、センサ装置。
【請求項2】
走査部と、
前記走査部の走査範囲に照射されるビームの少なくとも一部を反射する複数の反射部と、
を備え、
前記走査範囲はスポットの中心が通過する軌跡の範囲であり、
前記複数の反射部が前記走査範囲のうちの少なくとも両側に位置しており、
前記複数の反射部はいずれも
、前記走査部の位置が基準位置にある場合の前記走査範囲の外側に位置しており、
前記走査部の位置が基準位置にある場合に、前記複数の反射部はいずれもスポットの一部が重なる位置に配置されており、
前記複数の反射部が、前記走査部の前記走査範囲の走査の開始位置に照射される前記ビームと、前記走査部の前記走査範囲の走査の終了位置に照射される前記ビームと、は異なる前記ビームの少なくとも一部を反射する、センサ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセンサ装置において、
前記複数の反射部によって反射された複数の前記ビームの反射量の関係を用いて前記走査部の位置の基準位置からのずれを測定する測定部をさらに備えるセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LiDAR(Light Detection And Ranging)等の様々なセンサ装置が開発されている。センサ装置は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、ポリゴンミラー等の走査部を備えている。
【0003】
特許文献1には、センサ装置の一例について記載されている。このセンサ装置では、走査部の走査開始位置及び走査終了位置に反射部が設けられている。また、走査の開始位置に設けられた反射部によって反射されたビームの反射量と、走査の終了位置に設けられた反射部によって反射されたビームの反射量と、の比較結果によって走査範囲の位置のずれが測定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に記載されているように、走査部の走査範囲の走査の開始位置に設けられた反射部によって反射されたビームの反射量と、走査部の走査範囲の走査の終了位置に設けられた反射部によって反射されたビームの反射量と、を用いて走査範囲のずれを測定することがある。しかしながら、2つの反射部を用いただけでは、走査範囲の回転のずれを測定することができないことがある。また、走査範囲が比較的大きな距離ずれたとき、走査の開始位置に設けられた反射部又は走査の終了位置に設けられた反射部にビームが照射されないことがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、走査部の走査範囲の位置の基準位置からのずれを適切に測定することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
走査部と、
前記走査部の走査範囲に照射されるビームの少なくとも一部を反射する複数の反射部と、
を備え、
前記複数の反射部が前記走査範囲のうちの少なくとも4角に位置している、センサ装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
走査部と、
前記走査部の走査範囲に照射されるビームの少なくとも一部を反射する複数の反射部と、
を備え、
前記複数の反射部が前記走査範囲のうちの少なくとも両側に位置しており、
前記複数の反射部が、前記走査部の前記走査範囲の走査の開始位置に照射される前記ビームと、前記走査部の前記走査範囲の走査の終了位置に照射される前記ビームと、は異なる前記ビームの少なくとも一部を反射する、センサ装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】走査部の走査範囲と複数の反射部との関係の一例を示す図である。
【
図3】走査部の位置の基準位置からのずれの第1例を説明するための図である。
【
図4】走査部の位置の基準位置からのずれの第2例を説明するための図である。
【
図5】走査部の位置の基準位置からのずれの第3例を説明するための図である。
【
図10】測定部及び補正部のハードウエア構成を例示する図である。
【
図11】走査部の位置の基準位置からのずれを測定する測定系の第1例を説明するための図である。
【
図12】走査部の位置の基準位置からのずれを測定する測定系の第2例を説明するための図である。
【
図13】走査部の位置の基準位置からのずれを測定する測定系の第3例を説明するための図である。
【
図14】走査部の位置の基準位置からのずれを測定する測定系の第4例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」等の序数詞は、特に断りのない限り、同様の名称が付された構成を単に区別するために付されたものであり、構成の特定の特徴(例えば、順番又は重要度)を意味するものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係るセンサ装置10の斜視図である。
図2は、走査部100の走査範囲SAと複数の反射部200との関係の一例を示す図である。
【0013】
図1及び
図2において、第1方向X、第2方向Y又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、かつ当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第3方向Zを示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が当該黒点付き白丸によって示される方向の正方向であり、かつ紙面の手前から奥に向かう方向が当該黒点付き白丸によって示される方向の負方向であることを示している。
【0014】
第1方向Xは、鉛直方向に直交する水平方向に平行な一方向である。第3方向Zの正方向から見て、第1方向Xの正方向は、水平方向の左から右に向かう方向となっており、第1方向Xの負方向は、水平方向の右から左に向かう方向となっている。第2方向Yは、鉛直方向に平行な方向である。第2方向Yの正方向は、鉛直方向の下から上に向かう方向となっており、第2方向Yの負方向は、鉛直方向の上から下に向かう方向となっている。第3方向Zは、水平方向に平行かつ第1方向Xに直交する一方向である。第1方向Xの負方向から見て、第3方向Zの正方向は、水平方向の左から右に向かう方向となっており、第3方向Zの負方向は、水平方向の右から左に向かう方向となっている。
【0015】
第1方向X、第2方向Y、第3方向Z、水平方向及び鉛直方向の関係は、本実施形態に係る関係に限定されない。第1方向X、第2方向Y、第3方向Z、水平方向及び鉛直方向の関係は、センサ装置10の配置に応じて異なる。例えば、第3方向Zが鉛直方向に平行になっていてもよい。
【0016】
センサ装置10は、筐体12、走査部100、複数の反射部200、測定部310及び補正部320を備えている。
【0017】
走査部100は、筐体12の内部に収容されている。本実施形態において、走査部100は、2軸MEMSミラーである。走査部100は、2軸MEMSミラーと異なる走査部、例えば、ガルバノミラーであってもよい。
【0018】
走査部100は、第3方向Zに垂直な仮想平面上で第1方向X及び第2方向Yにビームを走査する。具体的には、走査部100は、不図示のレーザ等の光源から出射されたビームを反射する反射面102を有している。
図1において反射面102に向けて延びる破線矢印は、不図示の光源から出射されて反射面102に入射するビームの光軸を示している。
図1において反射面102から延びる2本の破線矢印の各々は、反射面102によって反射されたビームの光軸を示している。当該2本の破線矢印によって示される2つのビームは、互いに異なるタイミングで反射面102によって反射されている。
【0019】
反射面102は、互いに直交するヨー軸102y及びピッチ軸102pの周りに回転する。ヨー軸102y及びピッチ軸102pは、反射面102の中心における法線を通過するロール軸102rに直交している。走査部100の位置が基準位置にある場合、ヨー軸102yは、第2方向Yの正方向に対して第3方向Zの負方向に向けて斜めに傾いている。また、走査部100の位置が所定の基準位置にある場合、ピッチ軸102pは、第1方向Xに対して平行になっている。走査部100は、反射面102をヨー軸102yの周りに回転させることで、反射面102に入射するビームを第3方向Zに垂直な仮想平面上で第1方向Xに走査する。また、走査部100は、反射面102をピッチ軸102pの周りに回転させることで、反射面102に入射するビームを第3方向Zに垂直な仮想平面上で第2方向Yに走査する。
【0020】
本実施形態において、走査部100の位置の基準位置とは、走査部100が設計どおりに配置された場合に走査部100が設けられる位置をいう。例えば、走査部100をセンサ装置10へ組み付ける場合に、接着剤等の固定手段によって走査部100は基準位置に設けられる。しかしながら、走査部100を基準位置に設けるためには、比較的高精度の調整が要求され、比較的高いコストを要し得る。また、固定手段によって走査部100を基準位置に設けたとしても、固定手段の経時的変化によって走査部100の位置が基準位置からずれることがある。
【0021】
走査部100は、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される所定の走査範囲SAをビームによって走査する。具体的には、センサ装置10は、走査部100によって走査範囲SAに向けて照射されて筐体12の外部に存在する不図示の物体によって反射又は散乱されたビームを不図示のAPD(アバランシェフォトダイオード)等の光検出素子によって検出することで、点群データを生成する。
【0022】
図1及び
図2では、筐体12のうち走査部100によって照射されたビームを透過させる窓等の所定の箇所において第3方向Zに直交する仮想平面に投影された走査範囲SAが示されている。走査範囲SAには、走査部100によってビームが照射されている。以下、必要に応じて、走査部100によって照射されたビームのうち、走査範囲SAが投影された仮想平面と同一仮想平面に投影される部分を、スポットという。
図1及び
図2に示す走査範囲SAは、走査部100によって走査されたビームによって生成されるスポットの中心が通過する軌跡と、当該軌跡のうち第2方向Yに隣り合う部分と、によって占められる領域を模式的に示している。
図1及び
図2では、走査範囲SAの後述する第1角CR1、第2角CR2、第3角CR3及び第4角CR4の4角に位置する4つのスポットSが示されている。
【0023】
図1及び
図2では、説明のため、走査範囲SAに第1仮想線LX及び第2仮想線LYが示されている。第1仮想線LXは、走査部100の位置が基準位置にある場合の走査範囲SAの中心を第1方向Xに平行に通過する仮想線である。第2仮想線LYは、走査部100の位置が基準位置にある場合の走査範囲SAの中心を第2方向Yに平行に通過する仮想線である。
【0024】
本実施形態において、走査範囲SAは、第1角CR1、第2角CR2、第3角CR3及び第4角CR4の4角を有していて扇形に近似した形状となっている。走査範囲SAの形状は、扇形に近似した形状限定されず、扇形以外の形状、例えば、長方形、正方形な等の四角形又は四角形に近似した形状であってもよい。第3方向Zの正方向側から見て、第1角CR1は、第2仮想線LYに対して第1方向Xの負方向側かつ第1仮想線LXに対して第2方向Yの正方向側に位置している。第3方向Zから見て、第2角CR2は、第2仮想線LYに対して第1方向Xの正方向側かつ第1仮想線LXに対して第2方向Yの正方向側に位置している。第3方向Zから見て、第3角CR3は、第2仮想線LYに対して第1方向Xの負方向側かつ第1仮想線LXに対して第2方向Yの負方向側に位置している。第3方向Zから見て、第4角CR4は、第2仮想線LYに対して第1方向Xの正方向側かつ第1仮想線LXに対して第2方向Yの負方向側に位置している。
【0025】
走査部100は、第1角CR1又は第2角CR2から走査範囲SAの各フレームの走査を開始する。例えば、第1角CR1から走査が開始される場合、反射面102をヨー軸102yの周りに第1方向Xの正方向に向けて回転させて、走査範囲SAのうち第1角CR1と第2角CR2との間の段の走査を行う。走査範囲SAのうち第1角CR1と第2角CR2との間の段の走査が終了した後、反射面102をピッチ軸102pの周りに第2方向Yの負方向に向けて回転させて、その後、反射面102をヨー軸102yの周りに回転させて、先に走査された段に対して第2方向Yの負方向側に位置する段を走査する。このようにして、走査部100は、走査範囲SAのうちの第2方向Yに並ぶ複数の段の走査を繰り返す。走査範囲SAのうちのある段を走査する際のヨー軸102yの回転方向と、走査範囲SAのうちの当該ある段に第2方向Yに隣接する他の段を走査する際のヨー軸102yの回転方向と、は同じであってもよいし、又は逆であってもよい。走査範囲SAの各フレームの最終段階において、走査部100は、走査範囲SAのうち第3角CR3と第4角CR4との間の段の走査を行う。これによって、走査部100は、走査範囲SAの各フレームの走査を第3角CR3又は第4角CR4において終了する。
【0026】
図3は、走査部100の位置の基準位置からのずれの第1例を説明するための図である。
【0027】
図3において、実線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合において、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される走査範囲を示している。破線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査部100がヨー軸102yの周りに第1方向Xの負方向に向けて回転した場合において、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される走査範囲を示している。
図3に示すように、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査部100がヨー軸102yの周りに第1方向Xの負方向に向けて回転した場合における走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合における走査範囲SAから移動しているだけでなく、変形もしている。
【0028】
図4は、走査部100の位置の基準位置からのずれの第2例を説明するための図である。
【0029】
図4において、実線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合において、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される走査範囲を示している。破線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査部100がピッチ軸102pの周りに第2方向Yの正方向に向けて回転した場合において、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される走査範囲を示している。
図4に示すように、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査部100がピッチ軸102pの周りに第2方向Yの正方向に向けて回転した場合における走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合における走査範囲SAから移動しているだけでなく、変形もしている。
【0030】
図5は、走査部100の位置の基準位置からのずれの第3例を説明するための図である。
【0031】
図5において、実線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合において、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される走査範囲を示している。破線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して第3方向Zの正方向から見て走査部100がロール軸102rの周りに時計回りに回転した場合において、第3方向Zに垂直な仮想平面に投影される走査範囲を示している。
図5に示すように、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して第3方向Zの正方向から見て走査部100がロール軸102rの周りに時計回りに回転した場合における走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合における走査範囲SAから移動しているだけでなく、変形もしている。
【0032】
【0033】
本実施形態では、4つの反射部200が、走査範囲SAの第1角CR1、第2角CR2、第3角CR3及び第4角CR4の4角に位置している。各反射部200は、スポットSの少なくとも一部を反射する。センサ装置10は、
図1及び
図2に示す4つの反射部200に加えて、他の反射部200をさらに備えていてもよい。
【0034】
測定部310は、第1角CR1に設けられた反射部200によって反射されたスポットSの反射量A1と、第2角CR2に設けられた反射部200によって反射されたスポットSの反射量A2と、第3角CR3に設けられた反射部200によって反射されたスポットSの反射量A3と、第4角CR4に設けられた反射部200によって反射されたスポットSの反射量A4と、の関係を用いて、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。
【0035】
第1に、測定部310は、A1及びA3の和と、A2及びA4の和と、の比較結果を用いて、反射面102のヨー軸102yの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。例えば、走査部100の位置が基準位置にある場合、比{(A1+A3)-(A2+A4)}/{(A1+A3)+(A2+A4)}が既知の基準値であるとする。この場合において、上記比が上記基準値より大きいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xの負方向にずれていることを測定することができる。一方、上記比が上記基準値より小さいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xの正方向にずれていることを測定することができる。特に上記基準値がゼロとなるように複数の反射部200が設けられている場合、上記基準値がゼロ以外の値である場合と比較して、上記比の正負のみに基づいて上記比が上記基準値より大きいか、又は小さいかを容易に判断することができる。この観点からは、上記基準値がゼロであることが好ましい。なお、上記基準値は、ゼロ以外の値であってもよい。
【0036】
第2に、測定部310は、A1及びA2の和と、A3及びA4の和と、の比較結果を用いて、反射面102のピッチ軸102pの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。例えば、走査部100の位置が基準位置にある場合、比{(A1+A2)-(A3+A4)}/{(A1+A2)+(A3+A4)}が既知の基準値であるとする。この場合において、上記比が上記基準値より大きいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yの正方向にずれていることを測定することができる。一方、上記比が上記基準値より小さいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yの負方向にずれていることを測定することができる。特に上記基準値がゼロとなるように複数の反射部200が設けられている場合、上記基準値がゼロ以外の値である場合と比較して、上記比の正負のみに基づいて上記比が上記基準値より大きいか、又は小さいかを容易に判断することができる。この観点からは、上記基準値がゼロであることが好ましい。なお、上記基準値は、ゼロ以外の値であってもよい。
【0037】
第3に、測定部310は、A3に対するA1の相対値と、A2に対するA4の相対値と、の比較結果を用いて、反射面102のロール軸102rの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。例えば、走査部100の位置が基準位置にある場合、比(A1-A3)/(A1+A3)+(A4-A2)/(A4+A2)が既知の基準値であるとする。この場合において、上記比が上記基準値より大きいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して第3方向Zの正方向から見て走査範囲SAが反時計回りに回転していることを測定することができる。一方、上記比が上記基準値より小さいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して第3方向Zの正方向から見て走査範囲SAが時計回りに回転していることを測定することができる。特に上記基準値がゼロとなるように複数の反射部200が設けられている場合、上記基準値がゼロ以外の値である場合と比較して、上記比の正負のみに基づいて上記比が上記基準値より大きいか、又は小さいかを容易に判断することができる。この観点からは、上記基準値がゼロであることが好ましい。なお、上記基準値は、ゼロ以外の値であってもよい。
【0038】
図2に示す例では、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置が第1角CR1又は第2角CR2となっており、走査部100の走査範囲SAの走査の終了位置が第3角CR3又は第4角CR4となっている。したがって、第1角CR1、第2角CR2、第3角CR3及び第4角CR4に位置する4つの反射部200のうちの2つは、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置に照射されるスポットSと、走査部100の走査範囲SAの走査の終了位置に照射されるスポットSと、は異なるスポットSの少なくとも一部を反射している。例えば、仮に、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置及び走査の終了位置がそれぞれ第1角CR1及び第3角CR3であって、第1角CR1及び第3角CR3の2箇所にしか反射部200が位置していないとすると、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xの正方向に向けて比較的大きな距離ずれると、第1角CR1及び第3角CR3に位置する2つの反射部200にスポットSが照射されないことがある。これに対して、
図2に示す例では、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが比較的大きな距離ずれたとしても、4つの反射部200の少なくとも1つにスポットSの少なくとも一部を照射することができる。
【0039】
図6は、
図2の第1の変形例を示す図である。
図6に示す変形例は、以下の点を除いて、
図2に示す実施形態と同様となっている。
【0040】
図6に示す変形例では、2つの反射部200が走査範囲SAの第2方向Yの両側に位置している。また、2つの反射部200は、第2仮想線LY上に位置している。センサ装置10は、
図6に示す2つの反射部200に加えて、他の反射部200をさらに備えていてもよい。
【0041】
測定部310は、第1仮想線LXに対して第2方向Yの正方向側に位置する反射部200によって反射されるスポットSの反射量A5と、第1仮想線LXに対して第2方向Yの負方向側に位置する反射部200によって反射されるスポットSの反射量A6と、の比較結果を用いて、反射面102のピッチ軸102pの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。例えば、走査部100の位置が基準位置にある場合、比(A5-A6)/(A5+A6)が既知の基準値であるとする。この場合において、上記比が上記基準値より大きいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yの正方向にずれていることを測定することができる。一方、上記比が上記基準値より小さいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yの負方向にずれていることを測定することができる。特に上記基準値がゼロとなるように複数の反射部200が設けられている場合、上記基準値がゼロ以外の値である場合と比較して、上記比の正負のみに基づいて上記比が上記基準値より大きいか、又は小さいかを容易に判断することができる。この観点からは、上記基準値がゼロであることが好ましい。なお、上記基準値は、ゼロ以外の値であってもよい。
【0042】
図6に示す例では、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置が第1角CR1又は第2角CR2となっており、走査部100の走査範囲SAの走査の終了位置が第3角CR3又は第4角CR4となっている。したがって、2つの反射部200は、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置に照射されるスポットSと、走査部100の走査範囲SAの走査の終了位置に照射されるスポットSと、は異なるスポットSの少なくとも一部を反射している。例えば、仮に、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置及び走査の終了位置がそれぞれ第1角CR1及び第3角CR3であって、第1角CR1及び第3角CR3に2つの反射部200が位置しているとすると、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xの正方向に向けて比較的大きな距離ずれると、第1角CR1及び第3角CR3に位置する2つの反射部200にスポットSが照射されないことがある。これに対して、
図6に示す例では、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xに比較的大きな距離ずれたとしても、2つの反射部200の双方にスポットSの少なくとも一部を照射することができる。
【0043】
図7は、
図2の第2の変形例を示す図である。
図7に示す変形例は、以下の点を除いて、
図6に示す変形例と同様となっている。
【0044】
図7に示す変形例では、2つの反射部200が第2仮想線LYに対して第1方向Xの負方向側にずれて位置している。2つの反射部200は、第2仮想線LYに対して第1方向Xの正方向側にずれて位置していてもよい。
図7に示す変形例においても、
図6に示した変形例と同様にして、測定部310は、反射面102のピッチ軸102pの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。また、
図6に示した変形例と同様にして、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xに比較的大きな距離ずれたとしても、2つの反射部200の双方にスポットSの少なくとも一部を照射することができる。
【0045】
図8は、
図2の第3の変形例を示す図である。
図8に示す変形例は、以下の点を除いて、
図2に示す実施形態と同様となっている。
【0046】
図8に示す変形例では、2つの反射部200が走査範囲SAの第1方向Xの両側に位置している。また、2つの反射部200は、第1仮想線LX上に位置している。センサ装置10は、
図8に示す2つの反射部200に加えて、他の反射部200をさらに備えていてもよい。
【0047】
測定部310は、第2仮想線LYに対して第1方向Xの正方向側に位置する反射部200によって反射されるスポットSの反射量A7と、第2仮想線LYに対して第1方向Xの負方向側に位置する反射部200によって反射されるスポットSの反射量A8と、の比較結果を用いて、反射面102のヨー軸102yの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。例えば、走査部100の位置が基準位置にある場合、比(A7-A8)/(A7+A8)が既知の基準値であるとする。この場合において、上記比が上記基準値より大きいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xの正方向にずれていることを測定することができる。一方、上記比が上記基準値より小さいとき、測定部310は、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第1方向Xの負方向にずれていることを測定することができる。特に上記基準値がゼロとなるように複数の反射部200が設けられている場合、上記基準値がゼロ以外の値である場合と比較して、上記比の正負のみに基づいて上記比が上記基準値より大きいか、又は小さいかを容易に判断することができる。この観点からは、上記基準値がゼロであることが好ましい。なお、上記基準値は、ゼロ以外の値であってもよい。
【0048】
図8に示す例では、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置が第1角CR1又は第2角CR2となっており、走査部100の走査範囲SAの走査の終了位置が第3角CR3又は第4角CR4となっている。したがって、2つの反射部200は、走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置に照射されるスポットSと、走査部100の走査範囲SAの走査の終了位置に照射されるスポットSと、は異なるスポットSの少なくとも一部を反射している。仮に、2つの反射部200が走査部100の走査範囲SAの走査の開始位置及び走査の終了位置に位置しているとすると、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yに比較的大きな距離ずれるとき、2つの反射部200の少なくとも一方にスポットSが照射されないことがある。これに対して、
図6に示す例では、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yに比較的大きな距離ずれたとしても、2つの反射部200の双方にスポットSの少なくとも一部を照射することができる。
【0049】
図9は、
図2の第4の変形例を示す図である。
図9に示す変形例は、以下の点を除いて、
図8に示す変形例と同様となっている。
【0050】
図9に示す変形例では、2つの反射部200が第1仮想線LXに対して第2方向Yの負方向側にずれて位置している。2つの反射部200は、第1仮想線LXに対して第2方向Yの正方向側にずれて位置していてもよい。
図9に示す変形例においても、
図8に示した変形例と同様にして、測定部310は、反射面102のヨー軸102yの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。また、
図8に示した変形例と同様にして、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して走査範囲SAが第2方向Yに比較的大きな距離ずれたとしても、2つの反射部200の双方にスポットSの少なくとも一部を照射することができる。
【0051】
【0052】
補正部320は、走査部100の位置の基準位置からのずれに応じて、走査部100の測定方向を示すデータを補正する。
【0053】
走査部100の位置が基準位置にある場合を想定する。この場合において、反射面102が静止状態にある場合の反射面102の単位法線ベクトルをn
0とし、ヨー軸102yに平行な方向の単位方向ベクトルをn
yとし、ピッチ軸102pに平行な方向の単位方向ベクトルをn
pとする。反射面102が静止状態からヨー軸102yの周りに角度θ
y,1回転し、ピッチ軸102pの周りに角度θ
p,1回転した場合、反射面102の法線ベクトルn
1は、以下の式(1)に示すようになる。
【数1】
ただし、ベクトルk
1は、以下の式(2)に示すようになる。
【数2】
ベクトルk
1は、反射面102が静止状態からピッチ軸102pの周りに回転しないでヨー軸102yの周りに角度θ
y,1回転した場合の反射面102の法線ベクトルを示している。
【0054】
法線ベクトルが式(1)に示す法線ベクトルn
1となっている反射面102に方向ベクトルrのビームが入射したとき、反射面102によって反射されたビームの方向ベクトル、すなわち、走査部100の測定方向の方向ベクトルm
1は、以下の式(3)に示すとおりとなる。
【数3】
【0055】
走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して反射面102がロール軸102rの周りに角度Δθr、ヨー軸102yの周りに角度Δθy、ピッチ軸102pの周りに角度Δθp、ロール軸102r、ヨー軸102y及びピッチ軸102pの順で回転した場合を想定する。以下、必要に応じて、走査部100の位置が基準位置にある場合と比較して反射面102がロール軸102rの周りに角度Δθr、ヨー軸102yの周りに角度Δθy、ピッチ軸102pの周りに角度Δθp、ロール軸102r、ヨー軸102y及びピッチ軸102pの順で回転したことを、反射面102が回転ずれ位置にあるという。
【0056】
反射面102が回転ずれ位置にあって静止状態にある場合の反射面102の単位法線ベクトルn0´、ヨー軸に平行な方向の単位方向ベクトルをny´及びピッチ軸に平行な方向の単位方向ベクトルnp´は、ベクトルn0、ベクトルny及びベクトルnpを、ロール軸102rの周りに角度Δθr、ヨー軸102yの周りに角度Δθy、ピッチ軸102pの周りに角度Δθp、ロール軸102r、ヨー軸102y及びピッチ軸102pの順に回転させることで、算出される。
【0057】
式(1)、式(2)及び式(3)において、ベクトルn0、ベクトルny及びベクトルnpを、それぞれ、ベクトルn0´、ベクトルをny´及びベクトルnp´に置き換えることで、反射面102が回転ずれ位置にある場合における走査部100の測定方向の方向ベクトルm´を算出することができる。
【0058】
仮に、反射面102が回転ずれ位置にあるにもかかわらず、走査部100の測定方向を示すデータが方向ベクトルmから方向ベクトルm´に置き換えられていない場合、センサ装置10は、方向ベクトルm´の方向に存在する物体を、方向ベクトルmの方向に存在する物体であると誤って検出することになる。これに対して、実施形態では、補正部320が、走査部100の測定方向を示すデータを方向ベクトルmから方向ベクトルm´に補正する。これによって、センサ装置10は、物体の存在する方向を正確に検出することができる。また、走査部100の測定方向を示すデータを補正部320によって補正する場合、走査部100のセンサ装置10への組み付けに際して、走査部100を基準位置に設けるための高精度の調整が不要になる。この場合、高精度の調整が要求される場合と比較して、走査部100をセンサ装置10へ組み付ける際のコストを低減することができる。
【0059】
図10は、測定部310及び補正部320のハードウエア構成を例示する図である。測定部310及び補正部320は、集積回路400を用いて実装されている。集積回路400は、例えばSoC(System-on-a-Chip)である。
【0060】
集積回路400は、バス402、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410及びネットワークインタフェース412を有する。バス402は、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410及びネットワークインタフェース412が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410及びネットワークインタフェース412を互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ404は、マイクロプロセッサ等を用いて実現される演算処理装置である。メモリ406は、RAM(Random Access Memory)等を用いて実現されるメモリである。ストレージデバイス408は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等を用いて実現されるストレージデバイスである。
【0061】
入出力インタフェース410は、集積回路400を周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。入出力インタフェース410には走査部100が接続されている。
【0062】
ネットワークインタフェース412は、集積回路400をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばCAN(Controller Area Network)ネットワークである。ネットワークインタフェース412がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0063】
ストレージデバイス408は、測定部310の機能を実現するためのプログラムモジュール及び補正部320の機能を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ404は、これらのプログラムモジュールをメモリ406に読み出して実行することで、測定部310及び補正部320の各々の機能を実現する。
【0064】
集積回路400のハードウエア構成は、
図10に示した構成に限定されない。例えば、プログラムモジュールはメモリ406に格納されてもよい。この場合、集積回路400は、ストレージデバイス408を備えていなくてもよい。
【0065】
図11は、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する測定系50Aの第1例を説明するための図である。
【0066】
測定系50Aは、スクリーン500A及び撮像部510Aを備えている。スクリーン500Aは、第3方向Zに垂直な平面となっている。説明のため、測定系50Aには、第1仮想線LXA及び第2仮想線LYAが示されている。第1仮想線LXAは、スクリーン500Aの中心を第1方向Xに平行に通過する仮想線である。第2仮想線LYAは、スクリーン500Aの中心を第2方向Yに平行に通過する仮想線である。
【0067】
撮像部510Aは、走査部100によって照射されたビームがスクリーン500Aに投影されることで生成されるビームスポットを撮像する。測定系50Aは、撮像部510Aの撮像結果を用いて、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。
【0068】
走査部100のピッチ軸102p及びヨー軸102yの少なくとも一方の周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれの測定について説明する。走査部100が静止状態にある場合を想定する。この場合において、走査部100の位置が基準位置にあるとき、不図示のレーザ等の光源から出射されたビームは、
図11において反射面102に向けて延びる破線矢印で示されるように、反射面102に入射する。反射面102に入射したビームは、
図11において反射面102からスクリーン500Aのうち第1仮想線LXAと第2仮想線LYAとの交点に向けて延びる第1の破線矢印AR1によって示されるように、走査部100によって、スクリーン500Aの中心、すなわち、スクリーン500Aのうち第1仮想線LXAと第2仮想線LYAとの交点に投影されるものとする。走査部100が静止状態にあって、反射面102のピッチ軸102p及びヨー軸102yの少なくとも一方の回転によって走査部100の位置が基準位置からずれた場合、走査部100によってスクリーン500Aに投影されるビームは、例えば、
図11において反射面102から、スクリーン500Aのうち第1仮想線LXAと第2仮想線LYAとの交点に対して第1方向Xの正方向かつ第2方向Yの正方向へずれた位置に向けて延びる第2の破線矢印AR2によって示されるように、スクリーン500Aの中心からずれる。撮像部510Aは、スクリーン500Aの中心からずれた位置に投影されたビームスポットを撮像する。測定系50Aは、撮像部510Aの撮像結果を用いて、反射面102のピッチ軸102p及びヨー軸102yの少なくとも一方の周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。
【0069】
走査部100のロール軸102rの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれの測定について説明する。反射面102をヨー軸102yの周りに回転させずにピッチ軸102pの周りに回転させた場合を想定する。この場合において、走査部100の位置が基準位置にあるとき、不図示のレーザ等の光源から反射面102に入射したビームは、走査部100によって、第2仮想線LYA上に投影されるものとする。同様にして、反射面102をヨー軸102yの周りに回転させずにピッチ軸102pの周りに回転させた場合を想定する。この場合において、走査部100のロール軸102rの周りの回転によって走査部100の位置が基準位置からずれた場合、走査部100によってスクリーン500Aに投影されるビームスポットの軌跡は、第2仮想線LYAに対して傾く。撮像部510Aは、第2仮想線LYAから傾いたビームスポットの軌跡を撮像する。測定系50Aは、撮像部510Aの撮像結果を用いて、反射面102のロール軸102rの周りの回転による走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。
【0070】
図12は、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する測定系50Bの第2例を説明するための図である。
【0071】
図12において、実線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合において走査部100によってスクリーン500Bに投影される走査範囲を示している。また、破線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置からずれた場合において走査部100によってスクリーン500Bに投影される走査範囲を示している。スクリーン500Bは、第3方向Zに垂直な平面となっている。
【0072】
撮像部510Bは、走査部100によってスクリーン500Bに投影される走査範囲SAを撮像する。測定系50Bは、撮像部510Bの撮像結果を用いて、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する。具体的には、測定系50Bは、走査部100の位置が基準位置にある場合において走査部100によってスクリーン500Bに投影される走査範囲SAと、走査部100の位置が基準位置からずれた場合において走査部100によってスクリーン500Bに投影される走査範囲SAと、を撮像部510Bの撮像結果から比較することで、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。撮像部510Bがスクリーン500Bに投影された走査範囲SAを撮像する場合において、センサ装置10は、スクリーン500B上の走査範囲SAの全範囲に亘って、パルスビームを照射してもよいし、スクリーン500B上の走査範囲SAの一部の範囲のみに、パルスビームを照射してもよい。
【0073】
図13は、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する測定系50Cの第3例を説明するための図である。
【0074】
図13において、実線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合において走査部100によってスクリーン500Cに投影される走査範囲を示している。また、破線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置からずれた場合において走査部100によってスクリーン500Cに投影される走査範囲を示している。スクリーン500Cは、第3方向Zに垂直な平面となっている。
【0075】
スクリーン500Cは、第1領域502C及び第2領域504Cを有している。スクリーン500Cの少なくとも一部分では、第1領域502C及び第2領域504Cは、第1方向X及び第2方向Yに規則的に並んでいる。具体的には、第1領域502C及び第2領域504Cは、チェックパターン状に並んでいる。第1領域502C及び第2領域504Cのパターンは、
図13に示す例に限定されない。
【0076】
第1領域502C及び第2領域504Cは、走査部100によって走査されるビームに対して異なる反射率を有している。例えば、走査部100によって走査されるビームに対して、第2領域504Cは、第1領域502Cよりも、高い反射率を有している。また、第2領域504Cは、再帰反射体であってもよい。
【0077】
センサ装置10は、スクリーン500Cを走査することで点群データを得る。スクリーン500Cを走査することで得られる点群データでは、第1領域502C及び第2領域504Cの反射率の差によって特徴的なパターンが現れる。したがって、センサ装置10は、スクリーン500Cを走査することで得られる点群データを用いて、走査範囲SAがスクリーン500Cのどの領域に投影されたかを判定することができる。測定系50Cは、走査部100の位置が基準位置にある場合において走査部100によってスクリーン500Cに投影される走査範囲SAと、走査部100の位置が基準位置からずれた場合において走査部100によってスクリーン500Cに投影される走査範囲SAと、をセンサ装置10の検出結果から比較することで、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。
【0078】
図14は、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定する測定系50Dの第4例を説明するための図である。
【0079】
測定系50Dは、第1スクリーン500Da及び第2スクリーン500Dbを備えている。第1スクリーン500Da及び第2スクリーン500Dbは、第3方向Zに並んでいる。第1スクリーン500Daの方が第2スクリーン500Dbよりも第3方向Zにおいてセンサ装置10の近くに位置している。
【0080】
図14において、実線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置にある場合において走査部100によって第1スクリーン500Daに投影される走査範囲を示している。また、破線で示される走査範囲SAは、走査部100の位置が基準位置からずれた場合において走査部100によって第1スクリーン500Daに投影される走査範囲を示している。第1スクリーン500Da及び第2スクリーン500Dbは、第3方向Zに垂直な平面となっている。
【0081】
第1スクリーン500Daには、貫通孔502Daが設けられている。第1スクリーン500Daの少なくとも一部分では、貫通孔502Daが第1方向X及び第2方向Yに規則的に並んでいる。具体的には、貫通孔502Daは、チェックパターン状に並んでいる。貫通孔502Daのパターンは、
図14に示す例に限定されない。
【0082】
センサ装置10は、第1スクリーン500Daを走査することで点群データを得る。貫通孔502Daに向けて照射されるビームは、貫通孔502Daを通過して第2スクリーン500Dbに照射される。したがって、第1スクリーン500Daを走査することで得られる点群データでは、第1スクリーン500Daのうち貫通孔502Daが設けられた領域の測定データは、第1スクリーン500Daのうち貫通孔502Daが設けられていない領域の測定データよりも、遠方の測定データとなる。したがって、センサ装置10は、第1スクリーン500Daを走査することで得られる点群データを用いて、走査範囲SAが第1スクリーン500Daのどの領域に投影されたかを判定することができる。測定系50Dは、走査部100の位置が基準位置にある場合において走査部100によって第1スクリーン500Daに投影される走査範囲SAと、走査部100の位置が基準位置からずれた場合において走査部100によって第1スクリーン500Daに投影される走査範囲SAと、をセンサ装置10の検出結果から比較することで、走査部100の位置の基準位置からのずれを測定することができる。
【0083】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0084】
この出願は、2021年3月10日に出願された日本出願特願2021-038050号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0085】
10 センサ装置
12 筐体
50A 測定系
50B 測定系
50C 測定系
50D 測定系
100 走査部
102 反射面
102p ピッチ軸
102r ロール軸
102y ヨー軸
200 反射部
310 測定部
320 補正部
400 集積回路
402 バス
404 プロセッサ
406 メモリ
408 ストレージデバイス
410 入出力インタフェース
412 ネットワークインタフェース
500A スクリーン
500B スクリーン
500C スクリーン
500Da 第1スクリーン
500Db 第2スクリーン
502C 第1領域
502Da 貫通孔
504C 第2領域
510A 撮像部
510B 撮像部
AR1 第1の破線矢印
AR2 第2の破線矢印
CR1 第1角
CR2 第2角
CR3 第3角
CR4 第4角
LX 第1仮想線
LXA 第1仮想線
LY 第2仮想線
LYA 第2仮想線
S スポット
SA 走査範囲
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向