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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】超音波方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61B8/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023508570
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 GB2020051896
(87)【国際公開番号】W WO2022029397
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-08-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月17日 マリオット マーキス ヒューストンで開催されたSPIE 医用画像に関する国際シンポジウム(医用画像2020)における公開 〔刊行物等〕 令和2年3月16日 ウェブサイト 「https://doi.org/10.1117/12.2549349」における公開
(73)【特許権者】
【識別番号】507226592
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】508037005
【氏名又は名称】オークランド ユニサービシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ サリー
(72)【発明者】
【氏名】イン イ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク アリス
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー パドレイグ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0160114(US,A1)
【文献】特表2020-511262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0139219(US,A1)
【文献】特開平09-262236(JP,A)
【文献】国際公開第2019/191141(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像内における基準脈管を自動的に識別するコンピュータ実装方法であって、
臓器を識別するために前記画像をセグメント化することと、
前記臓器に特有の所定の解剖学的ランドマークを位置特定することと、
前記臓器に関する適切な血管構造を識別することと、
所定の寸法範囲内の寸法を有し、かつ前記所定の解剖学的ランドマークから所定の距離範囲に位置する基準脈管を、前記血管構造から選択することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記所定の寸法範囲は、直径3mmよりも大きい、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記セグメント化することは、訓練された完全畳み込みニューラルネットワークを使用することを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記位置特定することは、マルチクラス転移学習モデルを使用することを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記マルチクラス転移学習モデルは、2つの独立した経路を含み、
第1の経路は、セグメンテーションモデルを使用して初期化されるパラメータを有し、
第2の経路は、分散スケーリングを使用して初期化されるパラメータを有する、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記識別することは、自動化されたマルチシード領域拡張ベースのプロセスを使用することを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記識別することは、前記拡張ベースのプロセスの出力に対して3D中心軸ベースの細線化プロセスを使用することをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記臓器は、胎盤であり、
好ましくは、前記解剖学的ランドマークは、子宮-胎盤界面である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記所定の距離範囲は、約0.5cm~約1.5cmである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
臓器のパワードプラ画像内において血流をマッピングするコンピュータ実装方法であって、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を使用して、前記パワードプラ画像内における基準脈管を識別することと、
前記基準脈管から基準パワードプラ値を決定することと、
標準化された血流画像を取得するために、前記パワードプラ画像内のパワードプラ値を前記基準パワードプラ値に基づいてスケーリングすることと
を含む、方法。
【請求項11】
前記決定することは、
前記基準脈管にモデル脈管プロファイルを当てはめることと、
高せん断の脈管周縁に該当しない標準化点を決定することと
を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記モデル脈管プロファイルを当てはめることは、
局所的な最大強度点を検出することと、
全ての内部強度が閾値を上回っている初期脈管領域を取得するために、領域拡張法を使用することと
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
コスト関数を最小化するために、反復勾配降下技術を適用することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
臓器内の分画移動血液体積を特定するコンピュータ実装方法であって、
前記臓器のパワードプラ画像を取得することと、
請求項10から13までのいずれか1項記載の方法を使用して、標準化された血流画像を取得するために、前記パワードプラ画像内において血流をマッピングすることと、
前記標準化された血流画像を使用して、分画移動血液体積を特定することと
を含む、方法。
【請求項15】
有害妊娠転帰のリスクを計算するコンピュータ実装方法であって、
請求項14記載の方法に従って、被検体の胎盤内の分画移動血液体積を特定することと、
前記被検体の胎盤体積を測定することと、
少なくとも部分的に前記分画移動血液体積および前記胎盤体積に基づいてリスクスコアを計算することと
を含む、方法。
【請求項16】
コンピュータシステムによって実行された場合に、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法を実施するように前記コンピュータシステムに命令する命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成されたコンピュータ制御システムを含む、超音波スキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に血流を測定するためにパワードプラ超音波技術を使用する、超音波イメージングおよび超音波測定に関する。
【0002】
背景
パワードプラ超音波は、被検体内の組織の動き、特に血流を特定するために、反射された信号の振幅を、放出された信号に対する周波数シフトの関数として使用する技術である。パワードプラ(Power Doppler:PD)超音波は、関心面積(2D-PD)または関心体積(3D-PD)の内部の超音波散乱の振幅を積分することによって定量化される。このことは、関心領域の内部のパワードプラ信号を合計することによって達成され、なお、このPD信号は、(超音波を散乱させる)赤血球の局所的な濃度を表す。一般的に、パワードプラ超音波は、測定部位とセンサとの間で返されるエコーの減衰量が未知であるので、相対的な血流に関する情報を提供することしかできない。減衰は、測定部位とセンサとの間の距離および介在組織の性質に依存し、例えば瘢痕組織は、強力に減衰する。絶対的な血流を把握することにより、種々の状態の診断が改善されるであろう。パワードプラ信号を標準化するための公知の技術は、標準化基準として機能する関心領域を手動で識別することを含み、この標準化基準から正規化点が決定される。使用される正規化点は、「ニー(knee)値」であり、正規化点を上回るパワードプラ強度値には値1が割り当てられ、正規化点を下回るパワードプラ強度値は、0~1の範囲にスケーリングされる[1]。
【0003】
概要
血流の絶対的な測定を可能にするための技術が望まれている。
【0004】
本発明によれば、超音波画像内における基準脈管を自動的に識別するコンピュータ実装方法であって、
臓器を識別するために画像をセグメント化することと、
臓器に特有の所定の解剖学的ランドマークを位置特定することと、
臓器に関する適切な血管構造を識別することと、
所定の寸法範囲内の寸法を有し、かつ所定の解剖学的ランドマークから所定の距離範囲に位置する基準脈管を、血管構造から選択することと
を含む、方法が提供される。
【0005】
望ましくは、所定の寸法範囲は、直径3mmよりも大きい。
【0006】
望ましくは、セグメント化することは、訓練された完全畳み込みニューラルネットワークを使用することを含む。
【0007】
望ましくは、位置特定することは、マルチクラス転移学習モデルを使用することを含む。
【0008】
望ましくは、マルチクラス転移学習モデルは、2つの独立した経路を含み、第1の経路は、セグメンテーションモデルを使用して初期化されるパラメータを有し、第2の経路は、分散スケーリングを使用して初期化されるパラメータを有する。
【0009】
望ましくは、識別することは、自動化されたマルチシード領域拡張ベースのプロセスを使用することを含む。
【0010】
望ましくは、識別することは、拡張ベースのプロセスの出力に対して3D中心軸ベースの細線化プロセスを使用することをさらに含む。
【0011】
望ましくは、臓器は、胎盤であり、好ましくは、解剖学的ランドマークは、子宮-胎盤界面である。この場合、望ましくは、所定の距離範囲は、約0.5cm~約1.5cmである。
【0012】
本発明によれば、臓器のパワードプラ画像内において血流をマッピングするコンピュータ実装方法であって、
上記の方法を使用して、パワードプラ画像内における基準脈管を識別することと、
基準脈管から基準パワードプラ値を決定することと、
標準化された血流画像を取得するために、パワードプラ画像内のパワードプラ値を基準パワードプラ値に基づいてスケーリングすることと
を含む、方法が提供される。
【0013】
望ましくは、決定することは、基準脈管にモデル脈管プロファイルを当てはめることと、高せん断の脈管周縁に該当しない標準化点を決定することとを含む。
【0014】
望ましくは、モデル脈管プロファイルを当てはめることは、局所的な最大強度点を検出することと、全ての内部強度が閾値を上回っている初期脈管領域を取得するために、領域拡張法を使用することとを含む。
【0015】
望ましくは、コスト関数を最小化するために、反復勾配降下技術が適用される。
【0016】
本発明によれば、臓器内の分画移動血液体積を特定するコンピュータ実装方法であって、
臓器のパワードプラ画像を取得することと、
上記の方法を使用して、標準化された血流画像を取得するために、パワードプラ画像内において血流をマッピングすることと、
標準化された血流画像を使用して、分画移動血液体積を特定することと
を含む、方法が提供される。
【0017】
本発明によれば、有害妊娠転帰、例えば胎児発育不全および/または妊娠高血圧腎症のリスクを計算するコンピュータ実装方法であって、
上記の方法に従って、被検体の胎盤内の分画移動血液体積を特定することと、
被検体の胎盤体積を測定することと、
少なくとも部分的に分画移動血液体積および胎盤体積に基づいてリスクスコアを計算することと
を含む、方法が提供される。
【0018】
したがって、本発明は、関心領域にわたる信号の積分が一貫してベースライン化されるように絶対的な信号を正規化することにより、それぞれ異なる組織減衰を有する複数の異なる患者間での定量的な血流推定の完全に自動化された比較を可能にする。これを行うために、「100%の血管分布」を有する大きな脈管が、関心領域と同様のレベルの組織深さにおいて識別され、その脈管内のPD信号について記録された数値が「標準化点」として使用される[2]。関心領域全体にわたるPD信号をその大きな脈管内の信号によって除算すると、この関心領域内の他のより小さな脈管は、100%血管分布の脈管との関連において一貫して同じ比例信号強度を有することとなる。この標準化プロセスは、分画移動血液体積(Fractional Moving Blood Volume:FMBV)として知られる尺度を生成し、このFMBVは、2Dおよび3Dの両方で超音波を用いて灌流を定量的に測定するための、有効性が検証された唯一の方法である。
【0019】
本発明は、従来技術の限界を克服し、かつ技術の精度を高めることが可能な、FMBV推定のための新規の方法を提供する。例えば、本発明は、分析のための関心領域の定義から生じる困難を回避し、この場合、正規化値は、関心領域の寸法と、関心領域の内部に含まれる組織の性質との関数である。さらに、本発明の技術は、獲得した画像内における信号対雑音比の影響を受けにくく、多くの場合、ノイズに対する感度が極めて低い。さらに、本発明は、関心領域の内部の中程度寸法の脈管が、「ニー点」の位置と、その後に計算される標準化値とに対して与える影響を受けにくい。
【0020】
本発明は、超音波信号の組織減衰を調整するために単一の脈管からパワードプラ標準化値を自動的に識別することを可能にする。本発明の実施形態は、標準3Dパワードプラ超音波によってイメージングされた複雑な血管網から抽出された単一の脈管からパワードプラ標準化値を自動的に識別するためのロバストかつ効率的な方法を提供する。
【0021】
以下では、例示的な実施形態および添付の図面を参照しながら本発明についてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態において使用することができる完全畳み込みニューラルネットワーク(fully convolutional neural network:fCNN)のアーキテクチャを示す図である。
図2】2D Bモード平面を有する胎盤セグメンテーション(左)と、半自動化されたランダムウォーカーセグメンテーション(中央)と、図1のfCNNを使用したセグメンテーション(右)との例示的な画像を示す図である。
図3図3aおよび図3bは、図1のfCNNと、それぞれ半自動化されたランダムウォーカー技術および市販のVOCAL(登録商標)技術とによって計算された胎盤体積を比較したグラフである。
図4】羊膜-胎盤界面(API)および胎児-胎盤界面(FPI)が判明した場合に、どのようにして子宮-胎盤界面(UPI)を識別することができるかを示す図である。
図5a】本発明の一実施形態において使用されるモデル、具体的には、胎盤セグメンテーション(PS)モデルの完全畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャを示す図である。
図5b】本発明の一実施形態において使用されるモデル、具体的には、ハイブリッド(HB)モデルの完全畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャを示す図である。
図5c】記号の説明を示す図である。
図6a】血管樹のスケルトン化と、横断面プロファイルを示す脈管中心線の一例とを示す図である。
図6b】分離された脈管セグメントを有する血管樹を示す図である。
図7a】フラッシュアーチファクトを示す図である。
図7b】走査平面にわたる平均ドプラ信号強度を示す図である。
図8a】周期的なノイズを示すパワードプラ信号によって重畳されたBモード超音波走査を示す図である。
図8b】側面図である。
図8c】線形カーネルを示す図である。
図9】周期的なノイズを示す3D-USデータの3D高速フーリエ変換を示す図である。
図10】本発明による方法のフローチャートである。
【0023】
複数の異なる図面において同様の部分は、同様の参照符号によって示されている。
【0024】
例示的な実施形態
理論:血管のパワードプラ信号プロファイル
Jannsonらは、散乱粒子を含有するファントムモデルにおいて、あるパワー範囲にわたってドプラパワーが速度に比例することを示し、このことは、種々の機械および設定に対して当てはまる可能性が高いということを結論付けた[3]。脈管の任意の楕円形の横断面において、流速または強度Iのプロファイルは、以下の形状
を有することが予想され、ここで、aおよびbは、脈管横断面の長軸および短軸の半径であり、xおよびyは、脈管の長軸および短軸を画定するデカルト座標であり、Imaxは、脈管内部の真の(ノイズのない)最大強度であり、γは、速度プロファイルを「平坦化」するために機能するパラメータであり、γ=2は、楕円形の横断面を有する導管内における古典的なポアズイユ流れプロファイルを表し、γを2よりも大きくすることは、(特に大動脈内の)流れの拍動性に起因するプロファイルの平坦化を可能にする[4]。
【0025】
死産に対する最大のリスク因子は、至適以下の胎盤着床に続いて通例発生する胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)である。残念ながら、FGRのリスクを割り当てるために現在利用可能な方法は、性能が非常に悪く、「低リスク」であると判断された女性の多くは、死産を呈することとなるまで胎児が適切に発育していないことに気づかない。「高リスク」として分類された場合には、女性は、死産が起こる前に胎児を娩出することを目的として胎児が発育不良であることを識別するために一連の超音波発育走査を受診する。現在のリスク評価法は、性能が非常に悪いので、「高リスク」であると推定された女性の多くは、不必要なストレスおよび不安に満ちた妊娠の後に発育良好で健康な乳児を出産する。
【0026】
FGRのリスクを評価するためのロバストかつ高信頼性の第1三半期スクリーニング法が必要不可欠である。つまり、FGRに続いて発生する死産のリスクが本当に高い女性が、利用可能な一連の超音波発育走査を受診することになるだろう。
【0027】
第1三半期のスクリーニング試験
第1三半期の胎盤体積(placental volume:PlVol)は、満期出生体重と相関することが以前から知られており、早くも1981年には、Bモード超音波を用いて測定されたPlVolをFGRに対するスクリーニングのために使用可能であることが示唆された。それ以来、妊娠11~13週の間の低PlVolは、在胎不当過小(small for gestational age:SGA-FGRに代わるマーカー)および妊娠高血圧腎症を含む有害妊娠転帰を予測することができるということが、多くの研究によって実証されている。PlVolは、妊娠関連血漿タンパク質A(pregnancy associated plasma protein A:PAPP-A)および胎児項部透過像(nuchal translucency:NT)のような他のバイオマーカーから独立しているということも実証されているので、最近のシステマティックレビューでは、第1三半期における胎児の異数性(ダウン症候群を含む)のスクリーニングのために現在使用されている「複合試験」と同様に、このPlVolを、FGRに対する将来の多変数スクリーニング法に組み込むことに成功するだろうと結論付けられた。初期のパイロットデータでも、PlVolと胎盤灌流の推定とを組み合わせることによって種々異なる有害妊娠転帰を識別することが可能となり、この際、低PlVolであるが正常な血管分布は、FGRのリスクの増大と関連しており、低PlVolであって過少な血管分布は、妊娠高血圧腎症が発生するリスクを増大させるということが実証された。
【0028】
PlVolおよび胎盤血管分布を有用なイメージングバイオマーカーとするための、PlVolおよび胎盤血管分布の価値を支持する確かなバックグラウンドデータが存在するが、その一方で、PlVolおよび胎盤血管分布を推定するための高信頼性であって、かつ操作者に依存しないリアルタイムの技術が必要とされている。
【0029】
これまで、PlVolを推定するための唯一の手法は、3次元超音波(3D-US)内の胎盤に、手動で(3D体積を構成するすべての2Dスライスにおいて胎盤の周囲をトレースする)、またはVOCAL(米国、GE(登録商標))のような半自動化されたツールを使用して注釈を付けることであった。VOCAL(登録商標)は、全ての2Dスライスではなくいくつかのスライスにおいて胎盤の周囲を「トレース」し、次に、回転補間アルゴリズムを使用して最終的な体積を推定することを、操作者に要求する。これら両方の戦略は、時間の浪費および操作者への依存性が過多であるので、集団ベースのスクリーニング試験の一部としては有用ではなく、また、形状または表面積のような他の如何なる形態学的指標も提供することができない。また、使用されるアウトラインの数(補間の程度)および関心臓器の変動性に起因して、VOCAL(登録商標)によって生成される体積結果の反復性および再現性については重大な議論も残されている。
【0030】
分画移動血液体積(FMBV)のような、有効性が検証された血管測定法の自動的な測定を可能にする製品は、現在のところ利用不可能である。
【0031】
本発明者らは、3D-USから胎盤体積を自動的に識別することができる新規の完全畳み込みニューラルネットワーク(OxNNet)[5](https://insight.jci.org/articles/view/120178を参照)を開発し、その有効性を検証した。以下でさらに考察するように、本発明は、完全に自動化された血管測定法を容易にするために、関連する解剖学的ランドマークの自動的な識別を可能にするさらなる発展を提供する。
【0032】
OxNNetを開発するために、ゴールドスタンダードである半自動化されたランダムウォーカー技術[6]を使用して、2393個の第1三半期3D-US体積から胎盤がセグメント化された。これは、「グラウンドトゥルース」のデータセットを作成するために3人の操作者によって品質管理された。フレームワークTensorFlow(v1.3)と、2D U-net[7]から発想を得た3Dアーキテクチャとを使用して、OxNNetと称される完全畳み込みニューラルネットワーク(fCNN)が作成された(図1を参照)。全体を通して25,000回の反復にわたって訓練された100、150、300、600、900、および1200ケースのサンプルを使用することによって、訓練集合の大きさがモデルの性能に対して与える影響が調査された。
【0033】
PlVolのセグメンテーションを評価するために、100個の検証画像を有する訓練集合として1097個の胎盤を使用して2倍交差検証が実施された。OxNNetは、8エポックにわたって訓練され、実行には26時間かかった。次に、1196ケースに対して試験が行われた。訓練に後続するPlVolの最終的な計算には平均11秒かかった。
【0034】
それぞれの予測されたセグメンテーションが後処理されて、最大領域の体積の40%未満の非連結部分が除去された。半径3ボクセルの3Dカーネルと、穴埋めフィルタの適用とを使用して、セグメンテーションが2値で膨脹処理および収縮処理された。これらの方法により、胎盤の境界が平滑化され、胎盤組織によって囲まれているあらゆる穴が埋められた(嚢胞性病変は、正常な胎盤に生じるので、PlVolのあらゆる推定に含めるべきである)。
【0035】
OxNNetは、「グラウンドトゥルース」データセットと比較した場合、従来技術による完全に自動的なセグメンテーション(ダイス類似度係数(DSC)の中央値=0.84:図2を参照)をもたらした。訓練集合の大きさがOxNNetの性能に対して与える影響は、大規模なデータセット(n>1000)の必要性を実証した。今日までに機械学習によって生成された殆どのイメージングツールは、非常に小規模なデータセットを使用してきたので、これは重要である。在胎不当過小(SGA)の胎児の予測(FGRに代わるマーカー)を観察することにより、OxNNetによって生成されるPlVol推定の臨床的な有用性が試験された。受診者-動作特性曲線は、OxNNetによって生成されたPlVolに対するSGA胎児の予測(AUC 0.65(95% CI;0.61~0.69))と、半自動化されたランダムウォーカー技術によって生成された「グラウンドトゥルース」(AUC 0.65(95%CI;0.61~0.69):図3aを参照)とに関して、ほぼ同一の結果を実証した。OxNNetは、市販の唯一のツールであるVOCAL(登録商標)よりも性能が優れていた(AUC 0.57(95%CI;0.48~0.65):図3bを参照)。
【0036】
本発明は、胎盤床の血管分布を検査するために、子宮-胎盤界面(utero-placental interface:UPI)を解剖学的基準点として識別することを提案する(図4参照)。OxNNetは、胎盤全体を成功裏にセグメント化することができるが、本発明は、2つの異なる胎盤表面、すなわち、UPI-胎盤が子宮内に着床しているところ-と、羊膜-胎盤界面(amniotic-placental interface:API)-胎盤が(胎児を包んでいる袋を充填している)羊水と接触しているところ(図4を参照)-とを区別することを提案する。場合により、胎児が胎盤に接触しながら横たわっていることがあるので、胎児-胎盤界面(FPI)も識別して、APIに含める必要がある。
【0037】
本発明の一実施形態は、機械学習を使用して、Bモード3D超音波走査から胎盤、胎児、および羊水を識別することによって解剖学的ランドマークの自動的な識別を容易にするためのロバストなマルチクラスセグメンテーション技術を開発する。
【0038】
既存の胎盤セグメンテーションを有する利用可能な2393個の3D-US体積から、マルチクラスセグメンテーションのために300個の体積がランダムに選択された。羊水および胎児が2人の操作者によって手動でシード処理され、先の研究から実施された胎盤のシード処理と組み合わされた。羊水および胎児は、胎盤よりも明確な境界を有するので、初期化は格段に容易であったが、曖昧性が存在していた全てのケースは、産科超音波検査において豊富な経験を有する臨床専門家によって検討された。次に、これら3つの異なるクラスが、ゴールドスタンダードであるランダムウォーカーアルゴリズムを使用してマルチクラスラベルマップとしてセグメント化された。
【0039】
300個のマルチクラス(multi-class:MC)ケースが、200個の訓練ケースと、40個の検証ケースと、60個の試験ケースとに細分された。4つのMCモデルが、それぞれ30のバッチサイズで40エポックにわたって訓練された。まず始めに、MCモデルが、オリジナルのOxNNetと同一のアーキテクチャを有するfCNNを使用して訓練された(図5aを参照)。次に、マルチクラス転移学習(multi-class transfer learning:MCTL)モデルが、同じアーキテクチャを使用して、ただしオリジナルのOxNNet訓練から得られた重みおよびバイアスを用いて訓練された(200ケースの単純なMCモデルに比べて1097ケースという格段に大規模な訓練データセットからOxNNetが「学習した」ものを効果的に「転移」する)。
【0040】
他の2つの標的(胎児および羊水)に対するあらゆる性能低下の可能性を克服するために、2つのハイブリッドモデル、すなわちハイブリッドモデル(hybrid model:HB)と、指数平均法を用いるハイブリッドモデル(hybrid model with exponential averaging:HBAV)とが開発された。指数移動平均法は、訓練プロセス全体にわたってモデルの重みを平均し、より新しい重み値を優先することによってノイズを低減すると共に、全ての重みを保存する必要がないので計算効率も提供する。両方のハイブリッドモデルは、図5bに示されているように作成された2つの独立した経路から成る。マルチクラス(MC)モデルおよびマルチクラス転移学習(MCTL)モデルのアーキテクチャは、ここには示されていない。なぜなら、これらのモデルのアーキテクチャは、胎盤セグメンテーション(placental segmentation:PS)モデルのアーキテクチャとは、2つではなく4つのチャネルを有するという点で異なっているだけだからである。
【0041】
ハイブリッドモデル(HB)と、指数平均法を用いるハイブリッドモデル(HBAV)とは、両方とも図5bに示されているような2つの独立した経路から成る。上部経路では、HBパラメータがPSモデルを使用して初期化され、HBAVモデルの場合にはPSAVモデルを使用して初期化された。下部層では、パラメータが、分散スケーリングを使用して初期化され、次に、MCデータで訓練された。HBモデルおよびHBAVモデルの両方について、下部経路ではパラメータの変更が許可され、上部経路では固定された。Adamオプティマイザのパラメータは、PS訓練において使用されたものと同一であった。
【0042】
Background、PPlacenta、PAminotic、およびPFetusを、ある1つのボクセルがそれぞれ背景、胎盤、羊水、および胎児に属していることの信頼度であるとする。所与のボクセルiについて、上部経路(T)のソフトマックス出力は、合計すると1になるただ2つの値
および
として与えられた。この場合、胎児および羊水は、背景に含められた。下部経路(B)において、最終層のソフトマックスにより、合計すると1になる
のスカラー値を有する所与のボクセルのメンバーシップに対する信頼性が生成された。
は、ボクセルが胎盤、胎児、または羊水のいずれでもないことの信頼性を示した。損失関数Lは、
のように2つの経路の出力を組み合わせて定義され、ここで、Mは、バイナリマスクであり、このバイナリマスクの値であるmiは、ボクセルiが胎盤グラウンドトゥルース領域内にある場合には0であって、この領域外にある場合には1であり、oiは、下部経路の出力であり、slは、ソフトマックス交差エントロピー関数であり、niは、上部経路のソフトマックス層からの出力を1から差し引いたものとして定義される正規化係数であった。
【0043】
損失関数は、胎盤領域にわたってマスクされるので、モデルの訓練における胎盤の寄与は存在しない。HBモデルにおける最終的な信頼度ベクトルは、
によって与えられるスカラー成分を有し、この場合、ボクセルの最終的なセグメンテーションが、方程式(3)~(6)で定義された値の最大値として得られる。したがって、HBモデルの胎盤セグメンテーションは、
である全てのボクセルについては、PSモデルと同一になる。
であるボクセルは、HBモデルによって胎盤として分類されるが、残りのクラスである
が、それぞれ
よりも小さい値を有する場合には、PSモデルによって背景として分類される。
【0044】
オプティマイザのパラメータは、オリジナルのOxNNet訓練において使用されたものと同一であった。4つ全てのモデルは、有用な結果を提供したが、指数平均を伴うハイブリッドモデルが最良であった。これらのモデルを用いることにより、UPIの部位および表面積のような解剖学的ランドマークに関連する全ての考えられる胎盤形態学的指標を自動的に識別することが可能となる。これにより、胎盤床の血管分布のマッピングが可能となり、これにより、妊娠高血圧腎症のような有害妊娠転帰に対する予測可能性が改善される。
【0045】
子宮-胎盤界面(UPI)が特定されると、次のステップは、胎盤内の血流を評価することである。
【0046】
ドプラ超音波検査は、胎盤および胎児臓器の内部の血流を評価するために妊娠中に実施される主要な非侵襲的イメージングモダリティとして知られている。パワードプラ(PD)超音波は、カラードプラと比較して超音波の入射角による影響が少なく、複数の流れ方向および低流速に対して敏感であるので、組織灌流を評価するためにより有用である。しかしながら、超音波の全ての形態と同様にPD超音波信号も、この信号が通過する組織によって減衰される。減衰を補償して直接的な患者間比較を可能にするために、パワードプラ信号を標準化することが必要である。PD超音波から組織灌流を推定するための有効性が検証された唯一の方法は、分画移動血液体積(FMBV)である。この方法は、最近、ブタモデルマイクロスフェアにおける放射性物質のゴールドスタンダードに対して3Dにおいて有効性が検証されたものである[8]。3D-FMBVを使用して、本発明者らは、小規模のパイロット試験(n=143)において、妊娠高血圧腎症を発症している妊娠の場合には第1三半期の胎盤床の灌流が有意に低下しているが(p=0.03)、結果的に在胎不当過小児(SGA)をもたらす正常血圧妊娠においては低下していない(p=0.16)ということを実証した[9]。このことは、螺旋動脈適応不全の妊娠高血圧腎症における従来の病理組織学的所見と一致する。
【0047】
3D-FMBVを特定するためにパワードプラ信号を標準化する目的で、100%の血管分布を有すると仮定することができる、関心標的の近傍にある大きな基準脈管を識別することが提案される。次に、基準脈管の内部のPD信号を使用して標準化値が定義され、この標準化値は、標的内で記録されたPD信号値を補正し、それにより、個々の信号の減衰を調整して、適切な患者間比較を可能にする。本発明は、3D-FMBVの推定を完全に自動化し、それによって本発見の大規模な試験を容易にし、第1三半期のスクリーニング試験の予測能力を潜在的に改善することを目的とする。特に、他の臓器または腫瘍に対して必要とされる訓練を最小化するための転移学習を使用した、他の臓器および/または腫瘍の血管分布の測定に対して、本発明を適用することも可能である。
【0048】
上記のように解剖学的ランドマークを自動的に識別した3D-PD超音波走査から、子宮-胎盤血管構造をマッピングおよび測定するための完全に自動化された技術について、以下で説明する。本技術は、複数の研究間で異なる可能性のある関心領域を定義することから離れ、正規化のために自動的に識別可能な一貫した大きな脈管を識別することに焦点を当てる。さらに、本手順は、正規化のために単一の血液充填脈管を識別および分析するので、本手順によれば、パワードプラにとって典型的な信号対雑音比の範囲にわたって非常に一貫していて、かつ灌流が行われている実質組織または中程度寸法の血管が関心周囲領域内に存在することに起因する正規化のばらつきを受けないような、アルゴリズムが提供される。
【0049】
まず始めに、自動化されたマルチシード領域拡張ベースの方法を使用して、子宮血管構造の全体が抽出された。この方法は、脈管接続の表現を維持することができるので、一般的に使用される閾値処理よりも優れているという理由から選択された。次に、3D中心軸ベースの細線化方法[10]が採用されて、子宮筋層の血管叢スケルトンが抽出された(図6a参照)。その後、分岐点を除去することにより、脈管スケルトンが多数のセグメントにさらに分割された。血管網を複数の脈管セグメントに分割するために、これらの中心線セグメントをマーカーとして使用して、3D分水嶺アルゴリズム[11]が適用された(図6b)。脈管直径を見つけるために、局所的な脈管横断面が、すなわち脈管セグメントの体積と、局所的な脈管中心線に対して垂直な平面との間の交面が、それぞれのセグメントごとに描写された(図6a)。この横断面において単一のピーク強度を示している脈管セグメントが、基準脈管の候補とみなされるべき個々の脈管として識別される。選択される基準脈管は、関心体積の内部に位置する3mmを超える最大直径を有する脈管である。これに代えて、事前に指定された閾値、例えば3mmよりも大きな直径を有する任意の個々の脈管を選択してもよい。
【0050】
UPIを含む、胎盤内の解剖学的ランドマークを識別することができるグレースケールOxNNetツールと、この血管識別技術とを組み合わせることにより、胎盤床内における、UPIから所定の距離にある適切な基準脈管を選択することができる。所定の距離は、約1cm、例えば0.5cm~1.5cmの間であってよい。基準を満たす脈管が複数存在する場合には、最大のものを選択することができる。次に、この基準脈管を使用して、UPI全体の3D-FMBV(灌流)、またはUPIに対して相対的な任意の関心体積の完全に自動化された推定を、新しい方法を使用して計算することができる。
【0051】
100%の血管分布を有することが判明している脈管を使用した3D-FMBVの推定は、組織減衰によって影響を受けるパワードプラ信号の数値を標準化する方法である。そのような標準化を実施することにより、標的臓器の深さと、超音波が照射される組織の種類とに関して補正される(例えば、脂肪量が補正される)ので、定量的な患者間比較が可能となる。
【0052】
標準化値の計算は、3mmを超える脈管寸法とは無関係であり、脈管強度プロファイル形状に適応する。この計算は、合成データとの比較によって正確であることが実証されている。現在のところ、単一の脈管から手動または自動で標準化点を生成する技術は存在しない。
【0053】
実施形態では、標準化点は、脈管特徴(強度プロファイルおよび直径)と、血流速度の「一定」値を示す流体力学シミュレーションとに基づいて、個々の血管の高せん断の脈管周縁を自動的に識別することによって決定される。せん断閾値を適用することができる。これにより、数値的な標準化値の正確な推定を毎回行うことが可能となる。これについては、後でさらに詳細に説明する。
【0054】
脈管境界の位置特定
PD超音波画像内における血管境界は、(背景強度に近い)低強度を有すること、ひいては低コントラストを有することが観察される。血管をセグメント化するために、操作が容易な方法として閾値処理が一般的に使用される。しかしながら、境界のコントラストの低さと、イメージング中に誘導される不可避のノイズとに起因して、単に閾値処理を行うだけでは正確な脈管セグメンテーションは提供されない。極座標動的輪郭(polar active contour)法は、略凸型の形状を有するオブジェクトの他の形態の境界検出において良好に性能を発揮することが示されている[12][13][14]。本発明は、ロバストかつ高精度な脈管セグメンテーションを実現するために、脈管セグメンテーションに対して同様の方法を使用することを提案する。
【0055】
動的輪郭は、オブジェクトのセグメンテーションを取得するために、定義されたエネルギ関数を最小化するようにオブジェクト境界を変形させる[14]。ドメインΩ内において定義される、対象血管が含まれている所与の画像をSとし、C={χ│φ(χ)=0}を閉じた輪郭とする。φは、符号付き距離関数である。C(候補となる脈管領域)の内部は、平滑化されたヘヴィサイド関数の近似:
によって定義される。
【0056】
Cの外部、すなわち標的脈管の外側の領域は、1-Hφ(χ)と定義される。E(C)をエネルギ関数とする。予想される脈管境界は、エネルギ関数を最小化する輪郭Cである。
【0057】
極座標系において、輪郭は、複数の角度で境界をサンプリングする。その場合、極座標輪郭は、動径方向にのみ進展する。エネルギを極座標系で記述するために、本発明では特性関数
が定義され、ここで、脈管中心は、極とみなされ、χおよびpは、2つの点であり、θ(・)は、極座標系における1つの点の角度座標である。関数L(χ,p)は、pがχと同じ動径線上にある場合にのみ1である。
【0058】
次に、エネルギ関数が、
以下として表現され、ここで、δφ(χ)は、Hφ(χ)の導関数である。Fは、それぞれの輪郭点に対して、その点での最適な強度モデルへの局所強度の遵守(動径方向)を予測する。方程式(1)によれば、脈管の動径方向の強度プロファイルは、
である。
【0059】
放物線状の強度プロファイルを有することが観察される寸法の小さい子宮血管を検出する場合には、γが2に設定されることに留意されたい。脈管輪郭点χの内側の動径方向強度に方程式(10)を当てはめることにより、推定された内部強度
が取得された。
【0060】
外部平均強度は、
として計算される。
【0061】
次に、エネルギが、
として表現される。
【0062】
最後に、輪郭を平滑化するために、局所曲線における分散にペナルティを課す正則化項
が加えられて、係数ξによって重み付けられる。最終的なエネルギは、
として定義される。
【0063】
この方法は、3つのステップで、すなわち初期化、勾配降下法、および停止条件の検出の3つのステップで実施可能である。
【0064】
初期化では、局所的な最大強度点が検出されて、脈管中心とみなされる。この点をシードとして使用しながら単純な領域拡張法を適用して、全ての内部強度が閾値Tiniを上回っている初期脈管領域を取得する。初期輪郭Ciniは、初期領域の境界上の点の集合から構成される。
【0065】
反復勾配降下法を適用して、平衡停止条件が満たされるまで(コスト関数の一例である)定義されたエネルギEtotal(φ)を反復的に最小化する。脈管中心点は、それぞれの反復において脈管領域の重心となるように更新される。
【0066】
例示的な平衡停止条件は、脈管領域における分散が極めて小さく、10回の反復にわたって閾値Tvarよりも小さいことである。
【0067】
正規化点の決定
上で考察したように、散乱粒子を含有するファントムモデルにおいて、0~35dBのパワー範囲にわたってドプラパワーが速度に比例することが示され、このことは、機械設定に依存するにもかかわらず種々の機械および設定に対して当てはまる可能性が高いということが結論付けられた[3]。脈管の任意の楕円形の横断面において、流速または強度Iのプロファイルは、以下の形状
を有することが予想され、ここで、aおよびbは、脈管横断面の長軸および短軸の半径であり、xおよびyは、脈管の長軸および短軸を画定するデカルト座標であり、Imaxは、脈管内部の真の(ノイズのない)最大強度であり、γは、速度プロファイルを「平坦化」するために機能するパラメータであり、γ=2は、楕円形の横断面を有する導管内における古典的なポアズイユ流れプロファイルを表し、γを2よりも大きくすることは、(特に大動脈内の)流れの拍動性に起因するプロファイルの平坦化を可能にする[5]。
【0068】
パワードプラ超音波イメージングにおける古典的な累積強度曲線は、関心領域内における、所与の強度以下の強度を有するピクセル/ボクセルの数を計算する。血管の楕円形の横断面においてこの数に数学的に等しいものは、所与の値より小さい強度を有する血管の面積である。極座標への座標変換x=ar cosnθおよびy=br sinθを定義すると、強度の定義は、
となる。すると、(r>r*を有する楕円形の円環の面積に等しい)I<I*を有する脈管の面積を、
として計算することができる。
【0069】
本発明は、脈管の面積ではなくピクセル強度に関心を有しているので、
を代用することができる。したがって、I<I*を有する脈管の面積は、
となる。
【0070】
この値を脈管の総断面積πabによって正規化して、I<I*の強度の累積確率
を取得する。
【0071】
離散的な意味において、p(I*)を計算することは、
を使用して累積ドプラパワー分布関数を計算することと全く同じであり、ここで、n(i)は、パワー強度iを有するピクセルの数であり、Ntotalは、関心領域内のピクセルの総数であり、N(I*)は、I*よりも小さいパワー強度を有するピクセルの総数である。
【0072】
理論的には、関心領域が脈管横断面として定義されていれば、この曲線に離散データを当てはめて、γおよびImaxの両方を推定することが可能である。放物線状の速度(または強度)プロファイルの場合、すなわちγ=2の場合には、これが直線であり、血管の楕円形の横断面のアスペクト比とは無関係であることに留意されたい。子宮-胎盤系の内部の多くの血管では、寸法および血行動態の考察によってγ≒2であることが示唆されている(このことは、パワードプラ画像内における脈管横断面の中心を通って強度プロファイルをプロットすることによっても確認される)ことを述べておく。つまり、脈管内のピーク信号を正確に推定するために必要とされるようにデータにγおよびImaxの両方を当てはめると、誤差が発生しやすくなる。したがって、本発明は、これに代わる「重み付き」累積曲線を提案し、この「重み付き」累積曲線は、γ≒2であっても、脈管に対してγおよびImaxの両方を正確かつ高信頼性に当てはめることを可能にする。
【0073】
この提案する累積曲線は、強度I<I*を有する血管横断面における総信号を反映し、離散的な意味において、
のように定義され、ここで、I(i)は、画素iにおけるドプラパワー強度であり、Itotalは、脈管横断面全体にわたる累積総強度である。
【0074】
(Itotalによる正規化のない)積分の形式では、この提案する累積曲線は、
となる。
【0075】
最後に、
によって正規化を行うと、
となる。
【0076】
これにより、適切な累積曲線が提供され、この適切な累積曲線に、最大パワー強度Imaxおよび「平坦度」γという2つのパラメータを当てはめることができる。
【0077】
極座標における類似の方程式を、任意の横断面を有する血管に関して導出することができる。
【0078】
正規化点は、「せん断閾値」の概念を使用して、(赤血球が少ない)高せん断の脈管周縁と、赤血球濃度の高い脈管自体とを区別することによって決定される。せん断は、血管壁における流速の勾配およびそのピーク値として特定される。せん断が最大値のX%であるところの強度は、方程式(15)の勾配を計算して、
のように、強度の代わりに「半径」を使用することによって定義される。
【0079】
実用的な実装のために、以下のステップが実施される:
【0080】
1.強度の重み付きドプラパワー累積分布が、方程式(21)を使用して計算される。
【0081】
2.γおよびImaxの最適当てはめ値を提供するために、累積分布に方程式(23)が当てはめられる。
【0082】
3.これらの最適当てはめ値は、方程式(24)においてInormを計算するためのものである。Xの適切な値は、正規化脈管における寸法および速度プロファイルに応じて可変であってよい(腎動脈は、子宮-胎盤動脈よりも平坦な速度プロファイルを有することが予想される)。しかしながら、子宮-胎盤動脈のような比較的小さな脈管の場合には、流れプロファイルが典型的には放物線状であるので、X=85が、脈管横断面を高せん断の脈管壁から遠ざける適切な閾値である。
【0083】
合成データに基づいた試験では、1mmを超える半径を有する基準血管の場合に、理論上の理想に近い標準化値を一貫して高信頼性に予測することが可能であった。同じ画像に対するRubinの方法[15]の自動化実装は、この方法が、(ROIの寸法に対して相対的な)基準脈管半径およびSNRの両方に敏感であることを示している。その理由は、一部には、Rubinの方法が、組織を有するROI、分布した組織血管構造、および大きな「基準脈管」に適用されるように設計されているからであり、したがって、このことは意外な結果ではない。SNRが高ければ、比較的大きなエラーバーが現れる。なぜなら、Rubinの方法を適用するためには、累積強度曲線において識別可能な「ニー」が存在しなければならないからである。累積曲線が比較的直線である場合には、自動化されたアルゴリズムによってニーを特定すること困難になり(またはニーが存在しない)、この理由から、Rubinの方法は、不自然に高いまたは低い標準化点を返してしまう可能性がある。
【0084】
しかしながら、胎盤床に見られるような蛇行した脈管網の内部において単一の血管の識別を完全に自動化するための手法は、これまで存在しなかった。一実施形態は、上記のように、3Dパワードプラ超音波走査(3D power Doppler Ultrasound scan:3D-PD USS)から胎盤を自動的に識別することが可能であり、かつ子宮-胎盤界面(UPI)を含む関連する解剖学的ランドマークを自動的に識別することが可能である。3D-PD信号が重畳された状態で、胎盤床の血管網が自動的にマッピングおよび測定される。UPIから約1cm(±0.5cm)の子宮筋層内に位置する大きな(直径>3mm)脈管が、胎盤内の血管網から識別される。別の位置にある脈管を使用することも可能であるが、通常は、上記の位置またはその近傍において適切な脈管を見つけることが予想される。この適切な脈管は、放射状動脈であるべきである。なぜなら、放射状動脈は、この解剖学的位置における子宮筋層血管網のこの部分における最大の脈管であるからである。放射状動脈は、妊娠中に急速に拡張し、胎盤期にはこの放射状動脈に血液を供給する子宮動脈よりも直径が大きくなり、これは、血管網では非常に珍しい特徴である。この脈管は十分に大きいので、100%の血管分布を有すると仮定することができ、したがって、組織減衰がないかまたは最小限である場合には、約250のPDボクセル値を有するべきである。この単一の脈管内のボクセルについて記録された実際の数値(標準化値)を使用して、それぞれの個々の患者において信号が受けた組織減衰の一意の量が補正される。これにより、例えば後壁胎盤/前壁胎盤のように標的臓器の深さが種々異なるか、または腹部脂肪の量が種々異なるか、または例えば瘢痕組織の有無のように組織の種類が種々異なるにもかかわらず、複数の女性間で臓器灌流を適切に定量的に比較することが可能となる。
【0085】
これにより、本発明は、完全に自動化された単一の脈管の3D-FMBVの計算の実行を可能にする。この記載した技術を発展させて、有害妊娠転帰に対する有用なイメージングバイオマーカーであることが予想される、子宮-胎盤の血管叢内のその他の潜在的な血管マーカー(例えば、放射状動脈の長さまたは直径)を自動的に識別することが可能である。本発明の実施形態は、セグメント化することができるあらゆる血管器官または病変を測定するためにも適合可能である。例としては、腎臓、肝臓(胎児の段階を含む)、胎児の脳、成人の卵巣、体外受精中の子宮内膜、および超音波によって検査可能な任意の軟部組織腫瘍が含まれる。ランドマークのセグメント化および識別のために使用されるfCNNは、手動でラベル付けされた訓練データの量を最小化するための転移学習を使用して訓練可能である。
【0086】
図10は、本発明の一実施形態によるプロセスをまとめたフロー図である。このプロセスは、
S1-例えば超音波走査を実行することにより、被検体の画像データを取得することと、
S2-オプションとして、ノイズおよびアーチファクトを除去するために超音波データをクリーンアップすることと、
S3-関心臓器を識別して、この関心臓器を隣接する組織と弁別するために、超音波データをセグメント化することと、
S4-所定の解剖学的ランドマーク、例えば関心臓器と特定の隣接する臓器との間の界面を位置特定することと、
S5-関心臓器の内部および/または近傍の血管構造を識別することと、
S6-関心臓器の内部または近傍の基準脈管を選択することと、
S7-基準脈管から基準パワードプラ値または標準化値を決定することと、
S8-基準脈管のパワードプラ値に基づいて、超音波画像内のパワードプラ値にスケーリング関数(例えば、線形)を適用することと、
S9-スケーリングされたパワードプラ値から分画移動血液体積値を計算することと
を含む。
【0087】
不可避の超音波アーチファクトの除去
ドプラUS画像の品質は、多くの要因によって、例えばパラメータ設定、心周期、および組織運動によって影響を受ける。心周期は、周期的なアーチファクトを誘導する可能性があり、その結果、脈管セグメントの切断を生じさせる。「フラッシュ」アーチファクトは、運動(多くの場合、胎動)によって引き起こされ、灌流の不正確な推定につながる血流の偽信号を生成する可能性がある。それらのアーチファクトの検出および除去は、3D-FMBVを含む血管分布を推定するための精度を改善するための望ましい前処理ステップである。
【0088】
組織または液体の大きな動き、もしくはトランスデューサの高速な動きが存在する場合には、静止組織内に「フラッシュ」アーチファクトが現れる。これは、主に胎動によるものであり、いくつかの走査平面ではランダムなPD信号の突然のバーストとして現れるが、隣接する平面には影響がない(図7a)。このことは、肉眼で容易に識別可能である。文献では、「フラッシュ」アーチファクトを示す画像は、通常、低品質画像に分類され、さらなる分析のためにデータセットから除外される。(図7bにおいて赤色の円でマーキングされている)複数の異なる平面の平均信号強度を比較することによってフラッシュアーチファクトを自動的に検出することが提案される。次に、識別された平面を、場合により、隣接する平面によって置き換えることが可能である。
【0089】
2D USの場合には、既存の「フラッシュ」アーチファクト抑制方法が設計されている。2D方法は、種々異なる時間フレーム間において信号強度が一貫しているべきであるということを前提として、時間的なシリアルフレームからの情報を使用して、アーチファクトを識別および除去する。次に、隣り合う走査平面間では信号強度が滑らかに変化すべきであるという事実に基づいて、平均強度の急激な変化を伴う平面(図7b)に見られる「フラッシュ」アーチファクトを抑制するために、隣接する平面からの情報が使用される。3D-PDのUS走査の場合には、最近傍の鮮明な隣接平面からの補間を適用して、新しい平面を生成し、これらの新しい平面を「フラッシュ」アーチファクトと置き換えることが提案される。灌流の推定は、そのようなアーチファクトが灌流(3D-FMBV)の定量的な推定に与える影響を評価するための処理の前および後に計算可能である。
【0090】
3D超音波体積内に、PD信号の暗い縞として周期的なノイズが存在する(図8b)。心周期の間、血流の速度は周期的に変化する。走査平面の掃引周波数と心拍数との間のミスマッチは、複数の異なる走査平面によって捕捉された同じ脈管セグメントの内部の信号強度の分散を引き起こす可能性があり、その結果、3D脈管に暗い縞が現れることとなる。
【0091】
予備データは、隣り合う走査平面間で線形平滑化を実施することにより、周期的なノイズの除去において有望な結果が得られることを実証した。トロイダル空間において線形のカーネルが定義され(図8c)、トロイダル空間における3D-PD画像に適用された。次に、フィルタリングされた画像を、本発明者らのKretzConverter[17]によってデカルト空間に変換することができる。
【0092】
3Dフーリエ変換を使用して、心周期によって引き起こされる周期的なノイズを識別して除去することが提案される。トロイダルパワードプラ画像は、3D FFT(高速フーリエ変換)によって周波数ドメインに変換される。図9に示されているように、周期的なノイズが、周波数ドメインにおいてフーリエスパイクを生成することが観察される。検出されたスパイクを除去するためにノッチフィルタが適用される[18]。次に、データは、3D逆フーリエ変換によって空間ドメインに変換し戻される。
【0093】
結論
本発明の方法は、1つまたは複数のコンピュータを含むコンピュータシステムによって実施可能である。本発明を実装するために使用されるコンピュータは、汎用CPU、グラフィック処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、または他の専用プロセッサを含む、1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。本発明を実装するために使用されるコンピュータは、物理的であってもよいし、または仮想的であってもよい。本発明を実装するために使用されるコンピュータは、サーバ、クライアント、またはワークステーションであってよい。本発明を実装するために使用される複数のコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)のようなネットワークを介して分散され、かつ相互接続されていてよい。方法の個々のステップは、コンピュータシステムによって実行可能であるが、必ずしも同じコンピュータシステムによって実行されなくてもよい。本発明の方法の結果をユーザに表示してもよいし、または任意の適切なストレージ媒体に格納してもよい。本発明は、本発明の方法を実施するための命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として具現化可能である。本発明は、1つまたは複数のプロセッサと、本発明の方法を実行するための命令を格納するメモリまたはストレージとを含むコンピュータシステムの形態で具現化可能である。本発明を、超音波スキャナに組み込んでもよいし、またはそのような装置のためのソフトウェアの更新またはアドオンに組み込んでもよい。
【0094】
本発明を説明してきたが、限定することを意図していない上記の実施形態に対して変更を行ってもよいことが理解されるであろう。本発明は、女性の人間被検体の走査に関連して説明されている。本発明が、男性および他の動物にも適用可能であることは理解されるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物において定義されている。
【0095】
参考文献
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図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
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図6b
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図7b
図8a-8b】
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図9
図10