(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】新規設置電池ラックを含むエネルギー貯蔵システム及びこれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/251 20210101AFI20241210BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241210BHJP
H01M 10/44 20060101ALN20241210BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
H01M50/251
H02J3/32
H01M10/44 P
H02J7/00 302C
(21)【出願番号】P 2023539369
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 KR2022013356
(87)【国際公開番号】W WO2023038399
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0119406
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0112689
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンチョル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビョンホ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】インホ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンギル・ジョ
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-034333(JP,A)
【文献】特開2014-230488(JP,A)
【文献】特表2011-517924(JP,A)
【文献】特表2022-521589(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0036328(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1923958(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2198040(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0226268(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0167028(US,A1)
【文献】国際公開第2016/132586(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/220906(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H01M 50/251
H02J 3/32
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電池ラック、前記複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット、及び電池セクション制御装置を備えるエネルギー貯蔵システムに増設された複数の第2の電池ラックであって、
複数のDC/DCコンバータは、前記複数の第2の電池ラックをそれぞれ管理
しており、
前記電池セクション制御装置は、前記複数の電池保護ユニット及び前記複数のDC/DCコンバータと連動して前記複数の電池保護ユニット及び前記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングし、前記複数のDC/DCコンバータの出力を制御
し、
前記複数の第2の電池ラック及び前記複数のDC/DCコンバータは、前記複数の第1の電池ラックを増設するために前記複数の第1の電池ラックが前記エネルギー貯蔵システム内に設置された後で、前記エネルギー貯蔵システム内に追加的に設置され、
前記電池セクション制御装置は、
前記エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する前記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出し、
前記複数の第1の電池ラックの出力電力値、前記複数の第1の電池ラックの情報及び前記複数の第2の電池ラックの情報を用いて、前記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出する、エネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項2】
前記複数の第2の電池ラックの情報は、
前記複数の第2の電池ラックの個数、SOH(State of Health)、SOC(State of Charge)、出力電流、出力電力、及び温度のうちの一つ以上を含む、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項3】
前記電池セクション制御装置は、
前記複数の第2の電池ラックに関する情報を用いて各第2の電池ラックの出力加重値を計算する、請求項
1又は
2に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項4】
前記電池セクション制御装置は、
前記複数の第1の電池ラック及び前記複数の第2の電池ラックの出力電力値、前記複数の第1の電池ラックの数量情報、及び前記複数の第2の電池ラックの数量情報に基づいて、前記複数の第2の電池ラックに対する総電力指令値を計算するように構成された、請求項
3に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項5】
前記電池セクション制御装置は、
それぞれの第2の電池ラックに対する出力加重値及び前記複数の第2の電池ラックに対する総電力指令値に基づいて、前記複数の第2の電池ラックのそれぞれに対する個別電力指令値を計算するように構成された、請求項
4に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項6】
前記電池セクション制御装置は、PCS(Power Conversion System)の出力が充放電動作の停止を示す場合、前記複数のDC/DCコンバータの出力を中断させる、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項7】
前記充電又は放電指令は、前記エネルギー貯蔵システムのEMS(Energy Management System)からPCSに伝達される、請求項
1に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラック。
【請求項8】
複数の第1の電池ラック
及び前記複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット
を含むエネルギー貯蔵システムに増設された複数の第2の電池ラックをそれぞれ管理する複数のDC/DCコンバータと連動する電池システム制御装置であって、
少なくとも一つのプロセッサ、
前記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ
を含み、
前記少なくとも一つの命令は、
前記複数の電池保護ユニット及び前記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするようにする命令、及び
前記モニタリングの結果に応じて前記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令
を含
み、
前記複数の第2の電池ラック及び前記複数のDC/DCコンバータは、前記複数の第1の電池ラックを増設するために前記複数の第1の電池ラックが前記エネルギー貯蔵システム内に設置された後で、前記エネルギー貯蔵システム内に追加的に設置されており、
前記モニタリングの結果に応じて前記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令は、
前記複数の第1の電池ラックの出力電力値、前記複数の第1の電池ラックの情報及び前記複数の第2の電池ラックの情報を用いて、前記複数の第2の電池ラックのそれぞれが出力する出力電力値を算出するようにする命令を含む、
電池システム制御装置。
【請求項9】
前記複数の電池保護ユニット及び前記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするようにする命令は、
エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する前記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出するようにする命令を含む、請求項
8に記載の電池システム制御装置。
【請求項10】
前記モニタリングの結果に応じて前記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令は、
前記複数の第1の電池ラック及び前記複数の第2の電池ラックの出力電力値、前記複数の第1の電池ラックの数量情報、及び前記複数の第2の電池ラックの数量情報に基づいて、前記複数の第2の電池ラックに対する総電力指令値を計算するようにする命令、及び
それぞれの第2の電池ラックに対する出力加重値及び前記複数の第2の電池ラックに対する総電力指令値に基づいて、前記複数の第2の電池ラックのそれぞれに対する個別電力指令値を計算するようにする命令
を含む、請求項
8に記載の電池システム制御装置。
【請求項11】
前記充電又は放電指令は、EMS(Energy Management System)からPCS(Power Conversion System)に伝達される、請求項
9に記載の電池システム制御装置。
【請求項12】
複数の第1の電池ラック、
及び前記複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット
を含むエネルギー貯蔵システムに増設された複数の第2の電池ラック
の制御方法であって
、
前記複数の第2の電池ラックのそれぞれは、複数のDC/DCコンバータのそれぞれによって管理されており、
前記制御方法は、
前記複数の電池保護ユニット及び前記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするステップ、
前記エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する前記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出するステップ、
前記複数の第1の電池ラックの出力電力値、前記複数の第1の電池ラックの情報及び前記複数の第2の電池ラックの情報を用いて、前記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出するステップ、及び
前記算出された出力電力値に応じて前記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するステップ
を含
み、
前記複数の第2の電池ラック及び前記複数のDC/DCコンバータは、前記複数の第1の電池ラックを増設するために前記複数の第1の電池ラックが前記エネルギー貯蔵システム内に設置された後で、前記エネルギー貯蔵システム内に追加的に設置される、エネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラックの制御方法。
【請求項13】
前記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出するステップは、
前記複数の第1の電池ラック及び前記複数の第2の電池ラックの出力電力値、前記複数の第1の電池ラックの数量情報、及び前記複数の第2の電池ラックの数量情報に基づいて、前記複数の第2の電池ラックに対する総電力指令値を計算するステップ、及び
それぞれの第2の電池ラックに対する出力加重値及び前記複数の第2の電池ラックに対する総電力指令値に基づいて、前記複数の第2の電池ラックのそれぞれに対する個別電力指令値を計算するステップ
を含む、請求項
12に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラックの制御方法。
【請求項14】
前記複数の第2の電池ラックの情報は、
前記複数の第2の電池ラックの個数、SOH、SOC、出力電流、出力電力、及び温度のうちの一つ以上を含む、請求項
12に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラックの制御方法。
【請求項15】
PCS(Power Conversion System)の出力が充放電動作の停止を示す場合、前記複数のDC/DCコンバータの出力を中断させるステップを含む、請求項
12に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラックの制御方法。
【請求項16】
前記充電又は放電指令は、EMS(Energy Management System)からPCSに伝達される、請求項
12に記載のエネルギー貯蔵システム
に増設された複数の第2の電池ラックの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月8日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0119406号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、エネルギー貯蔵システム及びエネルギー貯蔵システムを制御する方法に関し、より具体的には、新規で又は時間的に後で設置される電池ラックを含むエネルギー貯蔵システム及びエネルギー貯蔵システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System;ESS)は、新再生可能エネルギー、電力を貯蔵した電池、そして既存の電力系統を連系させるシステムである。近年、スマートグリッド(smart grid)と新再生可能エネルギーの普及が広がっており、電力系統の効率化と安定性が強調されることに伴って、電力供給及び需要の調節、及び電力品質の向上のために、エネルギー貯蔵システムに対する需要がますます増加しつつある。使用の目的によって、エネルギー貯蔵システムは、出力と容量が変わり、大容量エネルギー貯蔵システムを構成するために、複数の電池システムが互いに接続されることができる。
【0004】
エネルギー貯蔵システムは、時間が経過するにつれて一部の電池ラックの性能が低下することがあり、それによって既存の電池ラックに新規電池ラックを追加して性能を補うことができる。この場合、新規追加されたラックと既存に設置されていたラックとの間には性能の差が存在し、このようなラック間の性能差によって不要なラックバランシングが繰り返されることがある。これにより、性能補完のために新規電池ラックが追加されたにもかかわらず、新規電池ラックが既存のラックの性能に追従するようになるという問題が発生する。すなわち、新規で電池ラックを追加したにもかかわらず、新規電池ラックが保有する最大性能(例えば、定格容量、使用期間などで)を十分活用することができないという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0226268号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、既存の電池ラック及び新規電池ラックを含むエネルギー貯蔵システムを提供することにある。
【0007】
上記のような問題点を解決するための本発明の別の目的は、既存の電池ラック及び新規電池ラックを含む電池システムを制御する装置を提供することにある。
【0008】
上記のような問題点を解決するための本発明のまた別の目的は、既存の電池ラック及び新規電池ラックを含むエネルギー貯蔵システムを制御する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵システムは、複数の第1の電池ラック;上記複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット;複数の第2の電池ラック;上記複数の第2の電池ラックをそれぞれ管理する複数のDC/DCコンバータ;及び、上記複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータと連動して上記複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングし、上記複数のDC/DCコンバータの出力を制御する、電池セクション制御装置を含むことができる。
【0010】
上記電池セクション制御装置は、上記エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する上記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出し、上記複数の第1の電池ラックの出力電力値及び上記複数の第1の電池ラックの情報及び上記複数の第2の電池ラックの情報を用いて、上記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出することができる。
【0011】
上記複数の第2の電池ラックの情報は、上記複数の第2の電池ラックの個数、SOH、SOC、出力電流、出力電力、及び温度のうちの一つ以上を含むことができる。
【0012】
上記電池セクション制御装置は、上記複数の第2の電池ラックに関する情報を用いて各第2の電池ラックの出力加重値を計算することができる。
【0013】
上記電池セクション制御装置はまた、上記第2の電池ラックの出力加重値及び上記エネルギー貯蔵システム内の全体の電池ラックの個数に対する上記第2の電池ラックの個数に基づいて、第2の電池ラックのそれぞれに対する電力指令値を計算することができる。
【0014】
上記電池セクション制御装置は、PCS(Power Conversion System)の出力が充放電動作の停止を示す場合、上記複数のDC/DCコンバータの出力を中断させることができる。
【0015】
上記充電又は放電指令は、EMS(Energy Management System)からPCSに伝達されることができる。
【0016】
上記別の目的を達成するための本発明の一実施例に係る電池システム制御装置は、複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット及び複数の第2の電池ラックをそれぞれ管理する複数のDC/DCコンバータと連動することができ、少なくとも一つのプロセッサ;上記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリを含むことができる。
【0017】
上記少なくとも一つの命令は、上記複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするようにする命令;及び、上記モニタリングの結果に応じて上記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令を含むことができる。
【0018】
上記複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするようにする命令は、上記エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する上記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出するようにする命令を含むことができる。
【0019】
上記モニタリングの結果に応じて上記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令は、上記複数の第1の電池ラックの出力電力値、上記複数の第1の電池ラックの情報及び上記複数の第2の電池ラックの情報を用いて、上記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出するようにする命令を含むことができる。
【0020】
上記モニタリングの結果に応じて上記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令は、上記複数の第2の電池ラックに関する情報を用いて各第2の電池ラックの出力加重値を計算するようにする命令;及び、上記第2の電池ラックの出力加重値及び上記エネルギー貯蔵システム内の全体の電池ラックの個数に対する上記第2の電池ラックの個数に基づいて、第2の電池ラックのそれぞれに対する電力指令値を計算するようにする命令を含むことができる。
【0021】
上記充電又は放電指令は、EMS(Energy Management System)からPCSに伝達されることができる。
【0022】
上記また別の目的を達成するための本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵システムの制御方法は、複数の第1の電池ラック、上記複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット、複数の第2の電池ラック、及び上記複数の第2の電池ラックをそれぞれ管理する複数のDC/DCコンバータを含むエネルギー貯蔵システムの制御方法であって、上記複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするステップ;上記エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する上記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出するステップ;上記複数の第1の電池ラックの出力電力値、上記複数の第1の電池ラックの情報及び上記複数の第2の電池ラックの情報を用いて、上記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出するステップ;及び、上記算出された出力電力値に応じて上記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するステップを含むことができる。
【0023】
上記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出するステップは、上記複数の第2の電池ラックに関する情報を用いて各第2の電池ラックの出力加重値を計算するステップ;及び、上記第2の電池ラックの出力加重値及び上記エネルギー貯蔵システム内の全体の電池ラックの個数に対する上記第2の電池ラックの個数に基づいて、第2の電池ラックのそれぞれに対する電力指令値を計算するステップを含むことができる。
【0024】
上記複数の第2の電池ラックの情報は、上記複数の第2の電池ラックの個数、SOH、SOC、出力電流、出力電力、及び温度のうちの一つ以上を含むことができる。
【0025】
上記エネルギー貯蔵システムの制御方法は、PCS(Power Conversion System)の出力が充放電動作の停止を示す場合、上記複数のDC/DCコンバータの出力を中断させるステップを含むことができる。
【0026】
上記充電又は放電指令は、EMS(Energy Management System)からPCSに伝達されることができる。
【発明の効果】
【0027】
上記のような本発明の実施例によれば、エネルギー貯蔵システムに新規電池ラックを追加する場合、不要であるか過度なラックバランシングを防止又は減少させることができる。
【0028】
それによって、新規電池ラックが保有する性能を最大限(例えば、100%)活用することができる。
【0029】
また、本発明は、PCS及びPMSのファームウェアの修正なしにBSCのファームウェアの修正のみで、既存方式のようにシステムを運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】既存のエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【
図3】本発明の実施例によってエネルギー貯蔵システムの起動時及び停止時の出力指令値及び各電池領域での出力値の関係を示す。
【
図4】本発明の実施例によって、オーグメンテーション領域内の各DC/DCコンバータの出力制御加重値を算出する概念を示す。
【
図5】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵システムの制御方法のフロー図である。
【
図6】本発明の実施例に係る電池システム制御装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、種々の変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳しく説明しようとする。ところが、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されたい。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用している。
【0032】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されることができるが、上記構成要素は、上記用語によって限定されてはいけない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、複数の関連して記載された項目の組み合わせ又は複数の関連して記載された項目のうちのある項目を含む。
【0033】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及されたときには、当該他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されたい。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に他の構成要素が存在しないことと理解されたい。
【0034】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないことと理解されたい。
【0035】
別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味としては解釈されない。
【0036】
本明細書において使用される一部の用語を定義すれば、次の通りである。
【0037】
SOC(State of Charge;充電率)は、電池の現在充電された状態を割合[%]で表したものであり、SOH(State of Health;残存率)は、電池の現在の残存状態を割合[%]で表したものである。
【0038】
電池ラック(Rack)は、電池メーカーで設定したモジュール単位を直/並列接続してBMSを通じてモニタリングと制御が可能な最小単一構造のシステムを意味し、複数の電池モジュールと1つのBPU又は保護装置を含んで構成されることができる。
【0039】
電池バンク(Bank)は、複数のラックを並列接続して構成される大きい規模の電池ラックシステムの集合群を意味することができる。電池バンク単位のBMSを通じて、電池ラック単位のラックBMS(RBMS)に対するモニタリングと制御を行うことができる。
【0040】
BSC(Battery System Controller;電池セクション制御装置)は、電池バンク(Bank)単位の電池システムを含む電池システムに対する最上位の制御を行う装置であって、複数のバンクレベル(Bank Level)構造の電池システムにおいて制御装置として使用されることもできる。
【0041】
定格容量(Nominal Capacity; Nominal Capa.)は、電池メーカーが開発当初設定した電池の設定容量[Ah]を意味することができる。
【0042】
以下、本発明に係る好ましい実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1は、既存のエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【0044】
エネルギー貯蔵システム(ESS)で電力を貯蔵する役割を果たす電池の最小単位は、通常、電池セル(cell)である。電池セルの直/並列の組み合わせが電池モジュールをなし、多数の電池モジュール(Battery Module)が電池ラック(Rack)を構成することができる。すなわち、電池ラックは、電池モジュールの直/並列の組み合わせであって、電池システムの最小単位になることができる。ここで、電池が使用される装置又はシステムによって、電池ラックは電池パック(pack)と呼ばれることもできる。
【0045】
図1を参照すれば、一つの電池ラックは、複数の電池モジュールと一つのBPU10又は保護装置を含むことができる。電池ラックは、RBMS(Rack BMS)を通じてモニタリングと制御が可能である。RBMSは、自分が管掌する各電池ラックの電流、電圧及び温度をモニタリングし、モニタリングの結果に基づいて電池のSOC(Status Of Charge)を算出して充放電を制御する役割を果たすことができる。
【0046】
一方、BPU(Battery Protection Unit)10は、電池ラック単位で異常電流と事故電流から電池を保護するための装置である。BPU10は、メインコンタクタ(Main Contactor;MC)、ヒューズ、回路遮断器(Circuit Breaker;CB)又は断路器 (Disconnect Switch;DS)などを含むことができる。BPUは、RBMSの制御によってメインコンタクタをオン/オフ制御してラック単位で電池システムを制御することができる。BPUはまた、短絡の発生時にヒューズを用いて短絡電流から電池を保護することができる。このように、既存の電池システムは、BPU、スイッチギヤのような保護装置を通じて制御されることができる。
【0047】
一方、多数の電池及び周辺回路、装置などを含んで構成された電池セクションのそれぞれには、電池セクション制御装置(Battery Section Controller;BSC)20が設けられ、電圧、電流、温度、遮断器といった制御の対象をモニタリングして制御することができる。BSC20は、複数の電池パックを含むバンク単位の電池システムを含む電池システムの最上位制御装置であって、複数個のバンクレベル構造の電池システムで制御装置として使用されることもある。
【0048】
また、電池セクション毎に設けられた電力変換システム(Power Conversion System;PCS)40は、EMSからの充/放電指令に基づいて実質的な充放電を行う装置であって、電力変換部(DC/ACインバータ)及びコントローラを含んで構成されることができる。一方、各BPUの出力は、DCバスを介してPCS40に接続されることができ、PCS40は、グリッドと接続されることができる。また、EMS(Energy Management System)/PMS(Power Management System)30は、ESSシステムを全体的に管理する。
【0049】
図1に示すような従来の電池システムには、BPU、スイッチギヤ(Switch gear)のような保護素子を通じて電池システムが制御されるだけで、電池容量、SOH、SOCのような電池システムの個別的な特性を考慮した個別の制御が不可能である。
【0050】
このようなエネルギー貯蔵システムで多数個の電池ラックが電圧源の役割をし、PCSはCC(Constant Current)制御又はCP(Constant Power)制御を通じて電池ラックを充放電する。電池ラックの初期設置時には電池ラックの性能がほとんど類似(等価抵抗で表した場合、類似する抵抗値が現われ)しており、各ラックの充放電電流が類似する水準で現われる。しかしながら、時間が経過するにつれて一部のラックの性能低下が生じることがある。この場合、新規電池ラックを追加して性能を補うが、これをオーグメンテーションと言う。
【0051】
このとき、新規追加されたラック(第2の電池ラックと呼ばれることができる)と既存に設置されていたラック(第1の電池ラックと呼ばれることができる)との間には性能差が存在することができ、既存の制御方法によれば不要であるか過度なラックバランシングなどが繰り返されながら、新規追加されたラックが既存に設置されていたラックの低下した性能に追従するようになる問題が発生する。すなわち、新規でラックを追加したにもかかわらず、新規電池ラックが保有する最大性能(例えば、定格容量、使用期間など)を十分活用できなくなる。本発明の実施例において、新規電池ラックは新規で製造された電池ラックを含むが、以降の時点で既存の電池ラックを補強するために使用される電池ラックであってDC/DC変換のためのDC/DCコンバータを含む電池ラックを含むこともでき、既に使用されたことがあるか、リファビッシュされた電池ラックであってよい。
【0052】
図2は、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【0053】
図2は、既存に運用されていたエネルギー貯蔵システムに複数の新規電池ラックが追加された場合のシステムを示す。本発明の実施例によれば、既存のエネルギー貯蔵システムは、
図1に示すエネルギー貯蔵システムと類似する特性を含むことができる。既存運営エネルギー貯蔵システムは、
図1を通じて説明したようなEMS300、PCS400、BPU100、電池ラック(old rack)、及びBSC200を含むことができる。EMS(Energy Management System)は、PMS(Power Management System)とも呼ばれ、ESSシステムを全体的に管理する。
【0054】
BSC(Battery Section Controller)200は、各ラックの状態を管理し、上位システム(EMS)に出力可能な電池の限界値を知らせる役割を果たすことができる。 BSC200は、デスクトップパソコンなどに搭載、設置される形態で具現化されることができる。また、BSC200は、別個の装置又はコントローラとして具現化されることもできる。PCS400は、EMS300から受信した充放電指令に基づいて実質的な充放電を行う装置であって、DC/AC電力変換部及びコントローラを含んで構成されることができる。
【0055】
一方、既存に運営されていた複数の電池ラック及びBPUに加えて、既存の電池ラックを補強するために新規電池ラックが追加されるオーグメンテーションがなされる場合には、すなわち、オーグメンテーションによって既存の電池ラック及び新規電池ラックが併存する場合、既存の制御方法による場合、新規電池ラックの性能が急激に低下するか、ラック間のバランシング不均衡などの問題が発生し得る。
【0056】
したがって、本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵システムは、新規で追加される複数の電池ラックに対して、BPUの代わりにDC/DCコンバータ(オーグメンテーション領域内)を使用して、新規で追加された電池ラックの性能の急激な低下及びラック間のバランシング不均衡などの問題を減少又は防止する。
【0057】
DC/DCコンバータ150は、本体及びDC/DCコントローラを含むことができる。DC/DCコンバータ150は、電池と電力変換システム(Power Conversion System;PCS)との間でDC/DC変換を行う。
【0058】
オーグメンテーション領域に配置されるDC/DCコンバータは、既存のラックと新規電池ラックとを電気回路的に分離、運用できるようにする。DC/DCコンバータの出力は、使用者による能動制御が可能であって、各電池ラックの間でSOC、SOH、容量の差が発生しても、個別の電池ラックの特性を考慮した電池出力の制御が可能となる。
【0059】
各DC/DCコンバータは、BSC200及びPCS400と接続される。BSC200は、既存の領域に配置された電池ラックのみならず、オーグメンテーション領域に配置される電池ラックの状態をモニタリング及び管理することができる。
【0060】
一方、エネルギー貯蔵システムが提供するサービスを使用するエンドユーザーの立場で、既存に使用していたPCS及びEMSの変更なしに電池を駆動させることができるかは重要な問題となる。
【0061】
本発明では、PCS及びEMSのファームウェアの修正なしに、電池領域のBSCファームウェアの修正のみで、DC/DCコンバータを用いたオーグメンテーション方法を提供する。
【0062】
本発明の実施例において、オーグメンテーション領域の新規電池ラック(New Racks)は、既存の電池ラック(Old Racks)を強化するのに使用され、BPU100ではないDC/DCコンバータ150を含む。よって、電池保護装置(BPU)の代わりにオーグメンテーション領域に新たに追加された電池ラック(New Rack)専用のDC/DCコンバータ150を使用すれば、新たに追加された電池ラック又はバランシングの急激な劣化を避けるか低減できる利点を提供することができる。また、PCSやEMSのファームウェアを修正せずに電池領域でBSCのファームウェアのみ修正する長所を提供することができる。
【0063】
まず、本発明に係るエネルギー貯蔵システムの起動シーケンスについて説明する。
【0064】
図2を参照すれば、EMS300は、既存方式と同様にPCS300に充/放電指令(P
bat
*)を伝達する。PCS300は、充/放電指令(P
bat
*)を受信して指令に該当する電力を出力する。このとき、優先的に(一時的に)既存領域に配置されたBPUラックからP
bat
*の電力が出力される。
【0065】
ここで、BSC200は、既存領域に配置されたBPUラック及びオーグメンテーション領域に配置されたDC/DCラック(電池ラック及びDC/DCコンバータを含む概念で使用)の数量情報を把握している状態である。BSC200は、自分と連動するすべての電池ラックからの総出力値(Pbat
*)をモニタリングする。したがって、Pbat
*は、既存領域のBPUラックとオーグメンテーション領域のDC/DCラックに要求される総出力電力を意味する。
【0066】
一方、BSC200は、少なくとも既存領域内の電池ラックの出力する値及び既存領域の電池ラックの数量情報及びオーグメンテーション領域の電池ラックの数量情報に基づいて、オーグメンテーション領域内の新規電池ラックが出力する値Paug
*を算出する。
【0067】
BSC200はまた、オーグメンテーション領域内に位置する各電池ラックの状態情報(SOC、SOHなど)に基づいて、オーグメンテーション領域の各電池ラック別の出力加重値を計算する。各電池ラック別の出力加重値をPaug
*に掛けると、各DC/DCラックの出力値が計算されることができる。すなわち、BSC200は、既存領域のBPUラックに対するオーグメンテーション領域のDC/DCラックの残存エネルギーを考慮して、DC/DCコンバータに対する充/放電指令を計算する。算出されたDC/DCコンバータに対する充/放電指令は、通信ライン250を介して各DC/DCコンバータに伝達され、DC/DCラックは、Paug
*値の電力を出力する。
【0068】
本発明の実施例において、出力電力(Pbat
*)に対する充放電指令は、出力電力(Pbat
*)に対する指示(directive)ということもできる。これに関して、出力電力に対する充放電指令は、出力電力(Pbat
*)をもたらす充放電指令によって要求されるか、要求される出力電力(Pbat
*)の値で表現されるか記号化されることができる。したがって、Pbat
*は、状況によって、充放電指令及び出力電力を表現することに使用されることができる。同様に、出力値Paug
*に対する充放電指令は、出力値Paug
*に対する指示ということもできる。これに関して、出力値に対する充放電指令は、出力値Paug
*をもたらす充放電指令によって要求されるか、要求される出力値Paug
*の値で表現されるか記号化されることができる。よって、Paug
*は、文脈によって、充放電指令及び出力値を指定することに使用されることができる。
【0069】
以上説明した起動シーケンス内の一連の過程は、PCSの出力が開始されて、非常に短い時間内でなされる。
【0070】
次に、エネルギー貯蔵システムの停止シーケンスについて説明する。
【0071】
システムを停止する場合、PCS400の出力が0になる。この場合、既存のBPU領域は受動素子領域であるので、電池ラックの出力がPCSの出力によって変わる。ところが、オーグメンテーション領域であるDC/DC領域は、BSCの指令を受けて動作するから、出力Paug
*を保持する。すなわち、非常に短い瞬間の間オーグメンテーション領域はPaug
*を出力し、BPU領域で一時的に当該出力を受け入れるようになる。その間BSCは、PCSに向けた出力が0になったことを感知して、DC/DC領域の出力指令値Paug
*を0に修正する。このような過程を通じて、BPU領域及びDC/DC領域のすべてのラックの出力が0になって、システム動作が停止するようになる。
【0072】
図3は、本発明の実施例によってエネルギー貯蔵システムの起動時及び停止時の出力指令値及び各電池領域での出力値の関係を示す。
【0073】
起動シーケンスで、EMSから充/放電指令(Pbat
*)を受信したPCSを通じて既存領域内の電池からPbat
*の電力が出力されると、BSCが当該出力値Pbat
*を認知し、オーグメンテーション領域内の電池ラックが出力する値Paug
*を算出してオーグメンテーション領域に伝達する。
【0074】
オーグメンテーション領域がPaug
*の値を出力する時点で既存領域内の電池は(Pbat
* - Paug
*)の電力を出力する。このとき、PCSの指令値はPbat
*に保持されるが、EMSがオーグメンテーション有無にかかわらず、一定の指令値Pbat
*をPCSに伝達するからである。このように、本発明によれば、オーグメンテーション有無にかかわらず、PCS及びEMSは既存のシステム動作と同様に動作することができる。
【0075】
一方、停止シーケンスを説明すれば、システム停止によってPCSの指令値が0になる。この場合、既存のBPU領域は受動素子領域であるので、電池ラックの出力が PCSの出力によって変わる。当該オーグメンテーション領域であるDC/DC領域は、BSCの指令を受ける前まで出力Paug
*を保持していて、BSCから停止指令を受信した時点から出力を0に制御する。オーグメンテーション領域がPaug
*を出力する短い時間の間BPU領域では一時的に当該出力を受け入れる(-Paug
*)。BSCからの停止指令によってDC/DC領域の出力が0になると、BPU領域の出力も0になる。
【0076】
図4は、本発明の実施例によってオーグメンテーション領域内の各DC/DCコンバータの出力制御加重値を算出する概念を示す。
【0077】
本発明の実施例によれば、BSCは、オーグメンテーション領域に配置された電池ラックのSOC、SHOなどの情報に基づいて各ラックの状態を推定し、この値に基づいて各DC/DCラックの出力加重値を計算することができる。
【0078】
具体的に
図4を参照すれば、BSC200は、各DC/DCラックから各電池ラックのSOC、SOH、電流、電圧及び温度などのデータを受信する。BSCは、このような情報を用いて各DC/DCラックの出力加重値α
2、...α
nを計算することができる。
【0079】
下記数式1は、オーグメンテーション領域に対する総出力指令値Paug
*を計算する式を示す。本発明の実施例において、Pbat
*、Paug
*の単位は、ワット(W)であってよい。
【0080】
【0081】
数式1において、mは、BPUラックの個数又は数量であり、nは、DC/DCラックの個数(又は数量)である。また、Pbat
*は、EMSから受信した充/放電指令値である。
【0082】
数式2は、オーグメンテーション領域内のDC/DCラックの出力指令値PDC/DC-1
*~PDC/DC-n
*を計算する式を示す。
【0083】
【0084】
数式2において、DC/DCラックの出力指令値は、オーグメンテーション領域に対する総出力指令値Paug
*に各ラック別の加重値を掛けて算出されることが分かる。また、各DC/DCラックの出力加重値の和は1である。
【0085】
一実施例において、オーグメンテーション領域内の電池ラックは、同種の電池ラックであると仮定する。
【0086】
オーグメンテーション領域内の電池が同種で類似するSOHを有する場合、充電時の電池ラック#jの出力加重値αjは、下記数式3のように表されることができる。
【0087】
【0088】
また、オーグメンテーション領域内の電池が同種で類似するSOHを有する場合、放電時の各ラック別の出力加重値は、オーグメンテーション領域内の全体の電池ラックのSOCに対する当該ラックのSOCの割合で決定されることができる。すなわち、下記数式4のように定義されることができる。
【0089】
【0090】
一方、電池モデルが同種であるが電池ラックが異なるSOHを有する場合には、各ラックのSOCのみならず、SOHも考慮して、電池ラック別の出力加重値を決定することができる。
【0091】
例えば、充電時の電池ラック別の出力加重値は、下記数式5のように定義されることができる。
【0092】
【0093】
また、放電時の電池ラック別の出力加重値は、下記数式6のように定義されることができる。
【0094】
【0095】
上記数式3ないし6において、n、i及びjは、整数である。よって、 新規電池ラック#jの出力加重値によって個別の新規電池ラック#jが供給しなければならない増強(augment)電力量を提供されることができ、出力加重値は充放電指令に含まれることができる。
【0096】
図5は、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵システムの制御方法のフロー図である。
【0097】
本発明に係るエネルギー貯蔵システムの制御方法は、複数の第1の電池ラック、上記複数の第1の電池ラックをそれぞれ管理する複数の電池保護ユニット、複数の第2の電池ラック、及び上記複数の第2の電池ラックをそれぞれ管理する複数のDC/DCコンバータを含むエネルギー貯蔵システムで電池セクション制御装置によって行われることができる。
【0098】
電池セクション制御装置は、複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングする(S510)。
【0099】
電池セクション制御装置は、エネルギー貯蔵システムの充電又は放電指令によって動作する上記複数の第1の電池ラックの出力電力値を検出する(S520)。
【0100】
その後、電池セクション制御装置は、上記複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出する(S530)。このとき、第2の電池ラックが出力する出力電力値は、複数の第1の電池ラックの出力電力値、上記複数の第1の電池ラックの情報及び上記複数の第2の電池ラックの情報を用いて算出されることができる。より具体的に、複数の第2の電池ラックが出力する出力電力値を算出するステップは、複数の第2の電池ラックに関する情報を用いて各第2の電池ラックの出力加重値を計算し、第2の電池ラックの出力加重値及びエネルギー貯蔵システム内の全体の電池ラックの個数に対する上記第2の電池ラックの個数に基づいて、第2の電池ラックのそれぞれに対する電力指令値を計算することができる。このとき、複数の第2の電池ラックの情報は、上記複数の第2の電池ラックの個数、SOH、SOC、出力電流、出力電力、及び温度のうちの一つ以上を含むことができる。
【0101】
その後、算出された出力電力値に応じて複数のDC/DCコンバータの出力が制御されることができる(S540)。
【0102】
図6は、本発明の実施例に係る電池システム制御装置の概略ブロック図である。
【0103】
電池システム制御装置(又は電池セクション制御装置)200は、少なくとも一つのプロセッサ;及び上記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリを含むことができる。
【0104】
上記少なくとも一つの命令は、上記複数の電池保護ユニット及び上記複数のDC/DCコンバータの出力をモニタリングするようにする命令;及び、上記モニタリングの結果に応じて上記複数のDC/DCコンバータの出力を制御するようにする命令を含むことができる。
【0105】
プロセッサは、メモリの少なくとも一つに格納されたプログラム命令(program command)を実行することができる。プロセッサは、中央処理装置(central processing unit, CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphics processing unit, GPU)、又は本発明の実施例に係る方法が行われる専用のプロセッサを意味することができる。メモリは、揮発性記憶媒体及び非揮発性記憶媒体のうちの少なくとも一つから構成されることができる。例えば、メモリは、読み出し専用メモリ(read only memory, ROM)及びランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)のうちの少なくとも一つから構成されることができる。
【0106】
本発明の実施例に係る方法の動作は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードとして具現化することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み込まれることができるデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散して、分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードが保存されて実行されることができる。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ロム(rom)、ラム(ram)、フラッシュメモリ(flash memory)などのようにプログラム命令を格納して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含むことができる。プログラム命令は、コンパイラ(compiler)によって作られるような機械語コードのみならず、インタプリタ(interpreter)などを使用してコンピュータによって実行されることができる高級言語コードを含むことができる。
【0107】
本発明の一部の側面は、装置の文脈で説明されたが、それは、対応する方法による説明も示すことができ、ここで、ブロック又は装置は、方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法の文脈で説明された側面は、対応するブロック又はアイテム又は対応する装置の特徴で示すことができる。方法ステップのいくつか又は全部は、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路のようなハードウェア装置によって(又は用いて)行われることができる。いくつかの実施例において、最も重要な方法ステップの一つ以上は、このような装置によって行われることができる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解するであろう。