(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】部品保管システムおよび部品保管方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20241210BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
B65G1/00 521B
(21)【出願番号】P 2023549285
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2021035304
(87)【国際公開番号】W WO2023047566
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明伸
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5877314(JP,B2)
【文献】特許第4084917(JP,B2)
【文献】特開2013-122991(JP,A)
【文献】特開2014-129153(JP,A)
【文献】特開平03-51228(JP,A)
【文献】特開2001-354304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に装着される部品であって湿度管理を必要とする前記部品である対象部品が大気中に露出してから生産で使用可能な規定時間に達するまでの残存時間を管理する管理部と、
前記管理部によって管理されている前記残存時間に基づいて、前記対象部品の前記残存時間を切らさないように、自動倉庫に前記対象部品を保管させる保管部と、
を備え
、
前記自動倉庫は、複数の密閉領域に区画され、前記複数の密閉領域の各々に、前記部品を保管する収納ユニットが設けられており、
前記保管部は、前記自動倉庫において、前記密閉領域の単位で、湿度管理レベルが異なる複数種類の前記対象部品を異なる条件でベイク処理する部品保管システム。
【請求項2】
前記保管部は、前記対象部品の湿度管理レベルで規定されている所定条件で前記自動倉庫に前記対象部品を保管させる請求項1に記載の部品保管システム。
【請求項3】
前記管理部は、前記対象部品を識別する識別情報、前記対象部品の湿度管理レベル、前記対象部品が前記自動倉庫に入庫した入庫時刻、および、前記対象部品が前記自動倉庫から出庫した出庫時刻に基づいて、前記対象部品の前記残存時間が切れているか否かを判断する請求項1または請求項2に記載の部品保管システム。
【請求項4】
前記対象部品が前記自動倉庫に入庫するときに前記残存時間が切れている場合に、前記対象部品を前記自動倉庫に入庫させない入庫規制、または、前記対象部品の湿度管理レベルで規定されている所定条件で前記自動倉庫に前記対象部品を保管させるベイク処理の実行を選択させる選択部を備える請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の部品保管システム。
【請求項5】
前記対象部品の湿度管理レベルで規定されている所定条件で前記自動倉庫に前記対象部品を保管させるベイク処理を実行する場合に、前記対象部品を識別する識別情報、前記対象部品の湿度管理レベル、前記対象部品の前記残存時間を超えた超過時間、および、前記自動倉庫において前記対象部品を収納する収納部の雰囲気湿度に基づいて、前記ベイク処理に必要な所要時間を算出する算出部を備える請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の部品保管システム。
【請求項6】
前記保管部は、前記ベイク処理を開始してから前記ベイク処理に必要な前記所要時間が経過するまでの時間、前記対象部品の前記自動倉庫からの出庫を規制する請求項5に記載の部品保管システム。
【請求項7】
前記保管部は、前記ベイク処理に必要な前記所要時間が経過するまでの残り時間を案内する請求項5または請求項6に記載の部品保管システム。
【請求項8】
前記保管部は、前記自動倉庫に初めて入庫する前記対象部品について、前記対象部品の湿度管理レベルで規定されている所定条件で前記自動倉庫に前記対象部品を保管させるベイク処理を実行する請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の部品保管システム。
【請求項9】
前記対象部品を識別する識別情報、前記対象部品の湿度管理レベル、前記対象部品が前記自動倉庫に入庫した入庫時刻、および、前記対象部品が前記自動倉庫から出庫した出庫時刻のうちの少なくとも前記識別情報および前記湿度管理レベルを、前記対象部品を管理する部品管理装置と前記自動倉庫との間で共有させる共有部を備える請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の部品保管システム。
【請求項10】
前記共有部は、前記対象部品の前記残存時間が切れているか否か、前記対象部品の湿度管理レベルで規定されている所定条件で前記対象部品を保管させるベイク処理が実行されたか否か、および、前記対象部品の湿度管理レベルで規定されている所定条件で前記対象部品を保管可能な前記自動倉庫であるか否かのうちの少なくとも一つを、前記部品管理装置と前記自動倉庫との間で共有させる請求項9に記載の部品保管システム。
【請求項11】
基板に装着される部品であって湿度管理を必要とする前記部品である対象部品が大気中に露出してから生産で使用可能な規定時間に達するまでの残存時間を管理する管理工程と、
前記管理工程によって管理されている前記残存時間に基づいて、前記対象部品の前記残存時間を切らさないように、自動倉庫に前記対象部品を保管させる保管工程と、
を備え
、
前記保管工程は、複数の密閉領域に区画され、前記複数の密閉領域の各々に、前記部品を保管する収納ユニットが設けられている前記自動倉庫において、前記密閉領域の単位で、湿度管理レベルが異なる複数種類の前記対象部品を異なる条件でベイク処理する部品保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品保管システムおよび部品保管方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電子部品実装システムは、露出時間管理部と、実装ライン制御部とを備えている。露出時間管理部は、湿度管理対象部品が大気曝露状態にある露出時間をリール単位で計時して、累積露出時間を記録する。実装ライン制御部は、湿度管理対象部品について設定された露出限界時間と露出時間を比較し、露出限界時間を超過した湿度管理対象部品のリールが装備されている電子部品実装装置を所在情報によって特定すると共に当該電子部品実装装置による作業を停止させる。なお、露出時間管理部は、湿度管理対象部品のリールについて登録される所在情報が電子部品を低湿度環境で保管するドライボックスに関する情報である場合には、当該湿度管理対象部品についての露出時間の計時を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、湿度管理対象部品を自動倉庫で保管することは記載されていない。例えば、湿度管理を必要とする対象部品が自動倉庫に入出庫する度に、作業者が対象部品の入出庫時刻を登録して、対象部品を生産で使用可能な残存時間を管理しようとすると、登録作業が煩雑になり、登録漏れ、誤登録などの作業ミスが生じ易い。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、湿度管理を必要とする対象部品の生産で使用可能な残存時間を適切に管理しつつ、対象部品を自動倉庫で保管させることが可能な部品保管システムおよび部品保管方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、管理部と保管部とを備える部品保管システムを開示する。前記管理部は、基板に装着される部品であって湿度管理を必要とする前記部品である対象部品が大気中に露出してから生産で使用可能な規定時間に達するまでの残存時間を管理する。前記保管部は、前記管理部によって管理されている前記残存時間に基づいて、前記対象部品の前記残存時間を切らさないように、自動倉庫に前記対象部品を保管させる。
【0007】
また、本明細書は、管理工程と保管工程とを備える部品保管方法を開示する。前記管理工程は、基板に装着される部品であって湿度管理を必要とする前記部品である対象部品が大気中に露出してから生産で使用可能な規定時間に達するまでの残存時間を管理する。前記保管工程は、前記管理工程によって管理されている前記残存時間に基づいて、前記対象部品の前記残存時間を切らさないように、自動倉庫に前記対象部品を保管させる。
【発明の効果】
【0008】
上記の部品保管システムによれば、管理部および保管部を備える。これにより、部品保管システムは、湿度管理を必要とする対象部品の生産で使用可能な残存時間を適切に管理しつつ、対象部品を自動倉庫で保管させることができる。部品保管システムについて上述されていることは、部品保管方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2A】リールが装備されているフィーダの一例を示す斜視図である。
【
図2B】部品トレイが装備されているトレイパレットの一例を示す平面図である。
【
図3C】
図3Aに示す自動倉庫の収納ユニットの一例を示す正面図である。
【
図4】部品保管システムの制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図5】部品保管システムによる制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】対象部品の入庫規制またはベイク処理の実行を選択させる選択画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
図1は、部品保管システム80が適用される生産設備の一例を示している。
図1に示す生産設備は、対基板作業ライン10L、着荷部20、自動倉庫30、棚40、ドライボックス50、オーブン60および部品管理装置70を備えている。
【0011】
1-1.対基板作業ライン10L
対基板作業ライン10Lでは、対基板作業機10が基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業機10の種類および数は、限定されない。
図1に示すように、本実施形態の対基板作業ライン10Lは、印刷機10a、印刷検査機10b、部品装着機10c、リフロー炉10dおよび外観検査機10eの複数(5つ)の対基板作業機10を備えており、基板90は、基板搬送装置によって上記の順に搬送される。
【0012】
印刷機10aは、基板90の部品91の装着位置に、はんだを印刷する。印刷検査機10bは、印刷機10aによって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。部品装着機10cは、はんだが印刷された基板90に複数の部品91を装着する。部品装着機10cは、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機10cが複数設けられる場合は、複数の部品装着機10cが分担して、基板90に複数の部品91を装着することができる。
【0013】
部品装着機10cは、基板90に装着される部品91を供給する部品供給装置を備えている。部品供給装置は、例えば、
図2Aに示すリール21aが装備されているフィーダ22a、
図2Bに示す部品トレイ21bが装備されているトレイパレット22bなどを用いて部品91を供給することができる。リール21aは、部品91を収容するキャリアテープ21a2が本体部21a1に巻回されている。フィーダ22aは、リール21aを回転可能に保持する。キャリアテープ21a2の先端部が、フィーダ22aに設けられる部品取出し部まで引き出されて、部品91が順次供給される。リール21aは、例えば、チップ部品などの比較的小型の部品91を供給することができる。
【0014】
部品トレイ21bには、部品91が配列されている。部品トレイ21bは、例えば、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)などの比較的大型の部品91を供給することができる。部品トレイ21bは、トレイパレット22bに装備された状態で部品91を供給する。リフロー炉10dは、部品装着機10cによって部品91が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させてはんだ付けを行う。外観検査機10eは、部品装着機10cによって基板90に装着された部品91の装着状態などを検査する。
【0015】
このように、対基板作業ライン10Lは、複数(5つ)の対基板作業機10を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品を生産することができる。なお、対基板作業ライン10Lは、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機10を必要に応じて備えることもできる。
【0016】
対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10および管理装置19は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。管理装置19は、対基板作業ライン10Lの複数(5つ)の対基板作業機10の制御を行い、対基板作業ライン10Lの動作状況を監視する。管理装置19には、複数(5つ)の対基板作業機10を制御する種々の制御データが記憶されている。管理装置19は、複数(5つ)の対基板作業機10の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機10の各々は、管理装置19に動作状況および生産状況を送信する。
【0017】
1-2.着荷部20
例えば、リール21aが着荷部20に到着すると、以下に示す着荷作業が行われる。そして、リール21aは、例えば、収容ケースに収容されて搬送車に搭載され、自動倉庫30に搬送される。リール21aは、自動倉庫30に保管された後、必要に応じて対基板作業ライン10Lに供給される。
【0018】
図2Aに示すように、リール21aには、リール21aを識別可能な識別コード23aが付される。識別コード23aは、例えば、一次元コード、二次元コードなどが印刷されたシール、無線タグなどを用いることができる。具体的には、着荷部20にリール21aが到着すると、作業者は、例えば、部品91を管理する部品管理装置70を用いて、識別情報を発行する。また、作業者は、バーコードリーダなどを用いて、供給元(ベンダ)によってリール21aに付されているバーコードなどを読み取る。そして、作業者は、リール21aに関する物品情報が登録されているデータベースから、物品情報を取得することもできる。作業者は、部品管理装置70を用いて、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を含む識別コード23aを発行する。
【0019】
作業者は、少なくとも識別情報を含む識別コード23aをリール21aの表面などに貼り付けて、リール21aを収容ケースに収容する。作業者は、リール21aが収容された収容ケースを搬送車に搭載する。例えば、搬送車は、作業者が牽引することができる。また、搬送車は、自動走行可能な無人搬送車を用いることもできる。なお、搬送車は、収容ケースを用いることなく、リール21aを自動倉庫30に搬送することもできる。また、搬送車を用いることなく、作業者がリール21aを自動倉庫30に搬送することもできる。
【0020】
作業者は、リール21aと同様にして、部品トレイ21bを識別可能な識別コード23bを部品トレイ21bに付すことができる。
図2Bに示すように、部品トレイ21bは、包装袋に収容されており、識別コード23bは、包装袋に付されている。識別コード23bは、部品トレイ21bに付すこともできる。識別コード23bは、例えば、一次元コード、二次元コードなどが印刷されたシール、無線タグなどを用いることができる。搬送車または作業者は、リール21aと同様にして、部品トレイ21bを自動倉庫30に搬送する。
【0021】
なお、
図2Aに示すように、フィーダ22aには、フィーダ22aを識別可能な識別コード24aが付されている。
図2Bに示すように、トレイパレット22bには、トレイパレット22bを識別可能な識別コード24bが付されている。識別コード23aおよび識別コード24bは、例えば、一次元コード、二次元コードなどが印刷されたシール、無線タグなどを用いることができる。また、上述されている作業者が行う作業の少なくとも一部は、搬送装置(例えば、ベルトコンベアなど)、アクチュエータ(例えば、ロボットアームなど)、部品管理装置70などを用いて自動化することもできる。
【0022】
1-3.自動倉庫30
自動倉庫30は、例えば、リール21a、部品トレイ21bなどの基板90に装着される部品91を収容する収容部材21が入庫口30aから入庫したときに、移載装置35を用いて、収容部材21を収納部34に移動させて保管する。また、自動倉庫30は、収納部34に保管されている収容部材21を出庫するときに、移載装置35を用いて、収納部34に保管されている収容部材21を出庫口30bに近接する作業スペース34aに移動させて出庫可能にする。同様に、自動倉庫30は、少なくとも一つの収容部材21を収容する収容ケースの入出庫および保管を行うことができる。
【0023】
このように、自動倉庫30は、収容部材21または収容ケースの入出庫が自動化され、収容部材21または収容ケースを保管することができれば良く、種々の形態をとり得る。
図3Aおよび
図3Bに示すように、本実施形態の自動倉庫30は、例えば、八角柱形状に形成されている。また、自動倉庫30は、入庫口30a、出庫口30b、読み取り装置31、制御装置32、表示装置33、収納部34、移載装置35、湿度調整装置36および温度調整装置37を備えている。収容部材21は、入庫口30aから自動倉庫30に入庫し、出庫口30bから出庫する。本実施形態では、入庫口30aおよび出庫口30bは、共通の開口部に設けられている。入庫口30aおよび出庫口30bは、異なる開口部に設けることもできる。
【0024】
読み取り装置31は、入庫口30aに近接する作業スペース34aの上方に設けられている。読み取り装置31は、収容部材21が自動倉庫30に入庫したときに、入庫した収容部材21に付されている識別コード(例えば、識別コード23a、識別コード23b)を読み取って、入庫した収容部材21を識別する識別情報を取得する。読み取り装置31は、公知の読み取り装置(例えば、一次元コード、二次元コードを読み取るコードリーダなど)を用いることができる。なお、識別コードが無線タグの場合、自動倉庫30は、識別コードと無線通信可能な無線機を備えることができる。
【0025】
制御装置32は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。また、制御装置32は、読み取り装置31、表示装置33、移載装置35、湿度調整装置36および温度調整装置37と通信可能に接続されており、これらを制御することができる。例えば、制御装置32は、読み取り装置31を制御することができる。また、制御装置32は、読み取り装置31によって取得された識別情報を、読み取り装置31から取得することができる。
【0026】
さらに、制御装置32は、有線または無線の通信部によって、
図1に示す管理装置19および部品管理装置70と通信可能に設けられている。例えば、管理装置19は、対基板作業ライン10Lにおける段取り替えの発生を制御装置32に通知する。管理装置19は、対基板作業ライン10Lに供給する収容部材21の不足の発生を制御装置32に通知することもできる。管理装置19は、所定期間に段取り替えが生じる可能性を制御装置32に通知することもできる。管理装置19は、所定期間に収容部材21が不足する可能性を制御装置32に通知することもできる。制御装置32は、これらの通知に基づいて、必要な収容部材21を出庫させる。
【0027】
表示装置33は、公知の表示装置を用いることができ、各種の情報を作業者が視認可能に表示する。表示装置33は、例えば、収納部34に収納されている収容部材21に関する情報を示す部材情報などを作業者の操作に応じて表示する。部材情報は、例えば、部材の種類、型式、在庫数などを含むことができる。また、部材情報は、収容部材21に収容されている部品91の種類、型式、ベンダ名、残数、湿度管理レベル、使用期限などを含むことができる。
【0028】
なお、本実施形態の表示装置33は、タッチパネルにより構成されており、表示装置33は、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。例えば、作業者は、タッチパネル(入力装置として機能する表示装置33)を用いて、自動倉庫30から出庫させる所望の収容部材21を指定することができる。この場合、制御装置32は、指定された収容部材21を出庫させる。
【0029】
収容部材21について既述されていることは、少なくとも一つの収容部材21を収容する収容ケースについても同様に言える。但し、この場合、収容ケースに収容部材21を収容する際に、作業者は、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、収容ケースに付されている識別コードと、収容部材21に付されている識別コードを読み取る。これにより、収容ケースを識別する識別情報と、収容部材21を識別する識別情報とが対応付けられて、部品管理装置70の記憶装置に記憶される。
【0030】
読み取り装置31は、収容ケースの入庫時に、収容ケースに付されている識別コードを読み取って、入庫した収容ケースを識別する識別情報を取得する。制御装置32は、部品管理装置70の記憶装置に記憶されている識別情報の対応関係から、自動倉庫30に入庫した収容ケースに収容されている収容部材21の識別情報を取得する。これにより、制御装置32は、自動倉庫30に入庫した収容ケースに収容されている収容部材21を認識することができる。
【0031】
収納部34は、収容部材21または収容ケースを収納可能であれば良く、種々の形態をとり得る。
図3Bに示すように、本実施形態の収納部34は、複数の収納ユニット34bを備えており、複数の収納ユニット34bは、鉛直方向(Z軸方向)視において円状に配置されている。また、
図3Cに示すように、収納ユニット34bは、例えば、収納スペース34b1および収納スペース34b2の二種類の収納スペースを備えている。
【0032】
収納スペース34b1および収納スペース34b2は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って複数設けることができる。例えば、収納スペース34b1は、収容部材21を収納可能にサイズ(幅寸法、奥行き寸法および高さ寸法)が設定されている。収納スペース34b2は、収容部材21を収容する収容ケースを収納可能にサイズ(幅寸法、奥行き寸法および高さ寸法)が設定されている。
【0033】
移載装置35は、鉛直方向(Z軸方向)視において、複数の収納ユニット34bより内側に設けられ、収容部材21または収容ケースを把持して移動させる。移載装置35は、収容部材21または収容ケースを把持して移動させることができれば良く、種々の形態をとり得る。移載装置35は、例えば、公知のロボットアーム(多関節ロボット)、昇降スライド機構などを用いることができる。
【0034】
移載装置35は、入庫時に入庫口30aから作業スペース34aに搬入された収容部材21または収容ケースを把持部が把持する。移載装置35は、把持部を所定の収納スペースに移動して、把持部による収容部材21または収容ケースの把持を解除する。これにより、所定の収納スペースに収容部材21または収容ケースが収納される。また、移載装置35は、出庫時に所定の収納スペースに収納されている収容部材21または収容ケースを把持部が把持する。移載装置35は、把持部を作業スペース34aに移動して、把持部による収容部材21または収容ケースの把持を解除する。これにより、収容部材21または収容ケースの搬出が可能になる。収容部材21または収容ケースの搬入および搬出は、作業者が行っても良く、無人搬送車などが行っても良い。
【0035】
例えば、収容部材21に収容されている部品91の中には、樹脂封止されている部品91が含まれる。大気中に規定時間を超えて露出され大気中の水分を吸湿した当該部品が
図1に示すリフロー炉10dで加熱されると、当該部品に含まれる水分が気化し体積膨張して破損する可能性がある。このような湿度感受性が高い部品91は、MSL(Moisture Sensitivity Level)部品と呼ばれ、部品種ごとに大気中に露出可能な時間(生産で使用可能な時間)が規定されている。
【0036】
本明細書では、基板90に装着される部品91であって湿度管理を必要とする部品91を対象部品91tという。本実施形態の自動倉庫30は、湿度調整装置36を備えている。湿度調整装置36は、収納部34を所定の雰囲気湿度(対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定湿度以下)に保つことができ、自動倉庫30は、対象部品91tを所定の雰囲気湿度で保管することができる。そのため、対象部品91tを自動倉庫30で保管することにより、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間のカウントダウンを停止することができる。
【0037】
また、本実施形態の自動倉庫30は、温度調整装置37を備えている。温度調整装置37は、収納部34を所定の雰囲気温度(対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定温度)に保つことができ、自動倉庫30は、対象部品91tを所定の雰囲気温度で保管することができる。なお、生産設備の室内の雰囲気温度は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定温度に保持されている場合が多い。この場合、自動倉庫30は、温度調整装置37を省略することもできる。
【0038】
1-4.棚40、ドライボックス50およびオーブン60
棚40は、収容部材21または収容ケースを載置することができる。棚40は、自動倉庫30と異なり密閉されておらず、収容部材21または収容ケースを生産設備の室内の雰囲気温度および雰囲気湿度で保管する。棚40は、自動倉庫30の収納部34と同様の収納スペースを備えることができる。収納スペースの配置は、限定されず、種々の形態をとり得る。
【0039】
ドライボックス50は、庫内を所定の雰囲気湿度に保つ湿度調節部を備えており、収容部材21または収容ケースを所定の雰囲気湿度で保管することができる。ドライボックス50は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている雰囲気湿度で対象部品91tを保管することができる。そのため、自動倉庫30と同様に、対象部品91tをドライボックス50で保管することにより、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間のカウントダウンを停止することができる。
【0040】
なお、対象部品91tは、生産で使用可能な残存時間を超過した場合に、所定の雰囲気温度で所定時間、乾燥することにより、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間を回復することができる。所定の雰囲気温度、所定時間および乾燥可能な回数は、対象部品91tの湿度管理レベルごとに規定されている。
【0041】
オーブン60は、庫内を所定の雰囲気湿度まで乾燥させて維持する乾燥部を備えており、収容部材21または収容ケースを所定の湿度まで乾燥させて所定の雰囲気湿度で保管することができる。オーブン60は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている条件で対象部品91tを乾燥し保管することができる。そのため、対象部品91tをオーブン60で保管することにより、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間を回復することができる。
【0042】
1-5.部品管理装置70
部品管理装置70は、部品91の所在を管理する。具体的には、部品管理装置70は、部品91を収容する収容部材21の所在を管理する。
図1に示す生産設備は、倉庫エリアZA1、ピッキングエリアZA2および外段取りエリアZA3を備えている。倉庫エリアZA1は、ピッキングエリアZA2と比べて、部品91(収容部材21)を長期間、保管する領域であり、少なくとも一つ(同図では一つ)の自動倉庫30を備えている。
【0043】
ピッキングエリアZA2は、部品91(収容部材21)を一時的に保管する領域であり、少なくとも一つ(同図では二つ)の棚40を備えている。倉庫エリアZA1の自動倉庫30で保管されている部品91(収容部材21)は、ピッキングエリアZA2に搬送される。倉庫エリアZA1の自動倉庫30で保管されている部品91(収容部材21)は、外段取りエリアZA3に搬送することもできる。
【0044】
外段取りエリアZA3は、少なくとも一つ(同図では一つ)の棚40と、少なくとも一つ(同図では一つ)のドライボックス50と、少なくとも一つ(同図では一つ)のオーブン60とを備えている。外段取りエリアZA3では、倉庫エリアZA1から搬送された部品91(収容部材21)を、棚40、ドライボックス50またはオーブン60で保管することができる。外段取りエリアZA3では、ピッキングエリアZA2から搬送された部品91(収容部材21)を、棚40、ドライボックス50またはオーブン60で保管することもできる。
【0045】
また、外段取りエリアZA3では、例えば、リール21aとフィーダ22aを組み合わせて、対基板作業ライン10Lに供給可能にする供給準備作業が行われる。例えば、作業者は、リール21aをフィーダ22aに装備する。このとき、作業者は、例えば、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、リール21aに付されている識別コード23aを読み取る。また、作業者は、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、フィーダ22aに付されている識別コード24aを読み取る。
【0046】
これにより、リール21aを識別する識別情報およびフィーダ22aを識別する識別情報が部品管理装置70に送信される。部品管理装置70は、上記の識別情報を取得すると、リール21aの識別情報と、フィーダ22aの識別情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる。また、部品管理装置70は、例えば、リール21aが移動した場合にリール21aの所在情報を更新する。
【0047】
例えば、作業者は、リール21aを移動する際に、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、識別コード23aを読み取る。携帯端末器が測位機能を具備する場合、携帯端末器は、識別コード23aを読み取ると、リール21aの所在情報を部品管理装置70に送信する。部品管理装置70は、記憶装置に記憶されているリール21aの所在情報を受信した所在情報に更新する。同様にして、部品管理装置70は、例えば、フィーダ22aが移動した場合にフィーダ22aの所在情報を更新することもできる。
【0048】
なお、作業者は、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、倉庫エリアZA1、ピッキングエリアZA2および外段取りエリアZA3に設けられている所在コードを読み取ることもできる。これにより、読み取られた所在コードが設けられているエリアの位置情報が部品管理装置70に送信される。また、作業者は、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、自動倉庫30、棚40、ドライボックス50およびオーブン60などの保管装置に設けられている所在コードを読み取ることもできる。これにより、読み取られた所在コードが設けられている保管装置の位置情報が部品管理装置70に送信される。さらに、保管装置が位置情報を部品管理装置70に送信することもできる。
【0049】
また、外段取りエリアZA3では、例えば、対基板作業ライン10Lの生産で使用されなくなったリール21aおよびフィーダ22aの組み合わせを解除する解除作業が必要に応じて行われる。作業者は、例えば、フィーダ22aからリール21aを取り出す。取り出されたリール21aは、所定の保管装置で保管され、フィーダ22aは、所定の保管装置で保管される。この場合、記憶装置に記憶されているリール21aの識別情報と、フィーダ22aの識別情報との対応関係が削除される。また、組み合わせを解除する必要がない場合、リール21aおよびフィーダ22aは、組み合わされた状態で所定の保管装置で保管される。この場合、記憶装置に記憶されているリール21aの識別情報と、フィーダ22aの識別情報との対応関係は、維持される。
【0050】
1-6.部品保管システム80
このように、部品91を収容する収容部材21は、
図1に示す生産設備を転々と移動する。そのため、例えば、湿度管理を必要とする対象部品91tが自動倉庫30に入出庫する度に、作業者が対象部品91tの入出庫時刻を登録して、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間を管理しようとすると、登録作業が煩雑になり、登録漏れ、誤登録などの作業ミスが生じ易い。
【0051】
そこで、本実施形態では、部品保管システム80が設けられている。部品保管システム80は、管理部81と、保管部82とを備える。部品保管システム80は、選択部83を備えることもできる。部品保管システム80は、算出部84を備えることもできる。部品保管システム80は、共有部85を備えることもできる。
図4に示すように、本実施形態の部品保管システム80は、管理部81、保管部82、選択部83、算出部84および共有部85を備えている。
【0052】
管理部81、保管部82、選択部83、算出部84および共有部85は、種々の制御装置に設けることができる。例えば、管理部81、保管部82、選択部83、算出部84および共有部85のうちの少なくとも一部は、自動倉庫30の制御装置32に設けることができる。管理部81、保管部82、選択部83、算出部84および共有部85のうちの少なくとも一部は、管理装置19に設けることもできる。
【0053】
管理部81、保管部82、選択部83、算出部84および共有部85のうちの少なくとも一部は、部品管理装置70に設けることもできる。管理部81、保管部82、選択部83、算出部84および共有部85のうちの少なくとも一部は、クラウド上に形成することもできる。
図4に示すように、本実施形態では、管理部81および共有部85は、部品管理装置70に設けられている。保管部82、選択部83および算出部84は、自動倉庫30の制御装置32に設けられている。
【0054】
また、部品保管システム80は、
図5に示すフローチャートに従って、制御を実行する。管理部81は、ステップS11およびステップS12に示す処理および判断を行う。保管部82は、ステップS14~ステップS17、ステップS19およびステップS20に示す処理および判断を行う。選択部83は、ステップS13に示す処理を行う。算出部84は、ステップS18に示す処理を行う。共有部85は、ステップS21に示す処理を行う。
【0055】
1-6-1.管理部81および保管部82
管理部81は、基板90に装着される部品91であって湿度管理を必要とする部品91である対象部品91tが大気中に露出してから生産で使用可能な規定時間に達するまでの残存時間を管理する。管理部81は、上記の残存時間を管理することができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0056】
既述したように、対象部品91tは、大気中に露出されることにより大気中の水分を吸湿して、残存時間が減少する。そのため、管理部81は、着荷部20において対象部品91tの包装が開封されて所定の作業が行われたときに、残存時間のカウントダウンを開始すると良い。例えば、作業者は、対象部品91tを収容する収容部材21に、識別コード(例えば、リール21aに付される識別コード23a)を付す。
【0057】
そして、作業者は、携帯端末器のコードリーダなどを用いて、収容部材21に付されている識別コードを読み取る。これにより、対象部品91tを収容する収容部材21を識別する識別情報が部品管理装置70に送信され、部品管理装置70の記憶装置に記憶される。管理部81は、対象部品91tを収容する収容部材21を識別する識別情報を取得したときに、収容部材21に収容されている対象部品91tの残存時間のカウントダウンを開始することができる。
【0058】
なお、作業者または部品管理装置70は、収容部材21に収容されている部品91が対象部品91tであるか否かを判断し、対象部品91tの場合は、対象部品91tであることを示す情報(例えば、フラグ)、識別情報および湿度管理レベルを部品管理装置70の記憶装置に記憶させる。例えば、作業者または部品管理装置70は、収容部材21に関する物品情報(収容部材21に収容されている部品91に関する情報)が登録されているデータベースを参照して、収容部材21に収容されている部品91が対象部品91tであるか否かを判断することができる。作業者または部品管理装置70は、当該データベースを参照して、対象部品91tの識別情報および湿度管理レベルを取得することができる。
【0059】
また、管理部81は、対象部品91tが自動倉庫30またはドライボックス50において保管されている間は、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間のカウントダウンを停止する。さらに、管理部81は、対象部品91tがオーブン60において保管された場合または自動倉庫30においてベイク処理が実行された場合に、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間をリセット(生産で使用可能な規定時間にセット)し、乾燥回数を一回、増加させて、記憶装置に記憶させる。
【0060】
保管部82は、管理部81によって管理されている残存時間に基づいて、対象部品91tの残存時間を切らさないように、自動倉庫30に対象部品91tを保管させる。保管部82は、対象部品91tの残存時間を切らさないように、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0061】
具体的には、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。これにより、自動倉庫30は、対象部品91tを適切に保管することができる。例えば、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定湿度以下において、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。
【0062】
既述したように、自動倉庫30は、湿度調整装置36を備えている。保管部82は、湿度調整装置36を駆動制御して、自動倉庫30の収納部34の雰囲気湿度を、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定湿度以下にして、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。
【0063】
また、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定温度で、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。既述したように、自動倉庫30は、温度調整装置37を備えている。保管部82は、温度調整装置37を駆動制御して、自動倉庫30の収納部34の雰囲気温度を、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定温度にして、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。
【0064】
なお、対象部品91tの種類によって湿度管理レベルが異なり、対象部品91tの残存時間(最長時間)が異なる。また、対象部品91tは、自動倉庫30を出庫してから自動倉庫30に再び入庫するまでの間、大気中に露出される可能性があり、対象部品91tの残存時間は、減少する可能性がある。そこで、管理部81は、対象部品91tを識別する識別情報、対象部品91tの湿度管理レベル、対象部品91tが自動倉庫30に入庫した入庫時刻、および、対象部品91tが自動倉庫30から出庫した出庫時刻に基づいて、対象部品91tの残存時間が切れているか否かを判断することができる。
【0065】
既述したように、自動倉庫30は、読み取り装置31を備えている。読み取り装置31は、収容部材21に付されている識別コードを読み取り、入庫した収容部材21を識別する識別情報を取得する。管理部81は、部品管理装置70の記憶装置を参照して、入庫した収容部材21に収容されている部品91について、対象部品91tであることを示す情報(例えば、フラグ)が記憶されているか否かを判断する。記憶装置に対象部品91tであることを示す情報が記憶されている場合、管理部81は、対象部品91tが自動倉庫30に入庫したと判断する。この場合、管理部81は、記憶装置から識別情報および湿度管理レベルを取得する。記憶装置に対象部品91tであることを示す情報が記憶されていない場合、管理部81は、対象部品91tではない通常の部品91が自動倉庫30に入庫したと判断する。
【0066】
また、自動倉庫30の制御装置32は、収容部材21または収容ケースの収納部34における位置情報、入出庫情報および保管情報を、自動倉庫30の記憶装置に記憶させている。位置情報には、収容部材21または収容ケースの収納場所を示す情報が含まれる。入出庫情報には、収容部材21または収容ケースの入庫時刻および出庫時刻を示す情報が含まれる。保管情報には、収納部34の雰囲気温度および雰囲気湿度のうちの少なくとも雰囲気湿度に関する情報が含まれる。制御装置32は、収容部材21または収容ケースの入庫時に位置情報および入庫時刻を記憶装置に記憶させる。制御装置32は、収容部材21または収容ケースの保管中に保管情報を記憶装置に記憶させる。制御装置32は、収容部材21または収容ケースの出庫時に出庫時刻を記憶装置に記憶させる。
【0067】
管理部81は、自動倉庫30の記憶装置に記憶されている入出庫情報から、対象部品91tが自動倉庫30に入庫した入庫時刻、および、対象部品91tが自動倉庫30から出庫した出庫時刻を知得することができる。また、管理部81は、対象部品91tが自動倉庫30から出庫した出庫時刻から、対象部品91tが自動倉庫30に再び入庫した入庫時刻までの第一時間を算出する。
【0068】
管理部81は、第一時間が出庫時の対象部品91tの残存時間(対象部品91tが大気中に露出された積算時間)よりも長いときに、対象部品91tの残存時間が切れていると判断することができる。また、管理部81は、第一時間が出庫時の対象部品91tの残存時間以下のときに、対象部品91tの残存時間が切れていないと判断することができる(
図5に示すステップS11およびステップS12)。管理部81は、対象部品91tごとに、残存時間が切れているか否かを判断することができる。
【0069】
また、対象部品91tが自動倉庫30を出庫してから再び入庫するまでの間にドライボックス50において保管された場合、管理部81は、第一時間からドライボックス50において保管されていた時間を控除する。さらに、対象部品91tが自動倉庫30を出庫してから再び入庫するまでの間にオーブン60において保管された場合、管理部81は、対象部品91tがオーブン60から出庫した出庫時刻から、対象部品91tが自動倉庫30に入庫した入庫時刻までの時間を第一時間として算出する。
【0070】
1-6-2.選択部83
選択部83は、対象部品91tが自動倉庫30に入庫するときに残存時間が切れている場合に、対象部品91tを自動倉庫30に入庫させない入庫規制、または、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で自動倉庫30に対象部品91tを保管させるベイク処理の実行を選択させる。
【0071】
選択部83は、上記の場合に、対象部品91tの入庫規制またはベイク処理の実行を選択可能であれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、
図6に示すように、選択部83は、自動倉庫30の表示装置33に選択画面を表示して、作業者に対象部品91tの入庫規制またはベイク処理の実行を選択させることができる(
図5に示すステップS12でYesの場合およびステップS13)。
図6は、入庫した対象部品91tが生産で使用可能な時間を経過している旨の表示と共に、作業者に入庫の中止(入庫規制)またはベイク処理を選択させている状態を模式的に示している。
【0072】
なお、選択部83は、例えば、自動倉庫30の制御設定において、対象部品91tの入庫規制またはベイク処理の実行を選択させることもできる。また、対象部品91tが自動倉庫30に入庫するときに残存時間が切れていない場合、保管部82は、対象部品91tの入庫を許可し、自動倉庫30に対象部品91tを保管させる(
図5に示すステップS12でNoの場合およびステップS14)。
【0073】
ベイク処理の実行が選択された場合、保管部82は、ベイク処理を実行する(
図5に示すステップS15でYesの場合およびステップS16)。具体的には、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で自動倉庫30に対象部品91tを保管させる。例えば、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定湿度以下で所定時間以上、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。既述したように、自動倉庫30は、湿度調整装置36を備えている。保管部82は、湿度調整装置36を駆動制御して、自動倉庫30の収納部34の雰囲気湿度を、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定湿度以下にして、所定時間以上、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。
【0074】
また、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定温度で所定時間以上、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。既述したように、自動倉庫30は、温度調整装置37を備えている。保管部82は、温度調整装置37を駆動制御して、自動倉庫30の収納部34の雰囲気温度を、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定温度にして、所定時間以上、自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。
【0075】
なお、保管部82は、対象部品91tの梱包状態(スティック、テープ、トレイなど)によりベイク処理における耐熱性がない場合に、耐熱性の容器に対象部品91tを移し替えて、ベイク処理を実行することができる。また、保管部82は、対象部品91tの梱包状態によりベイク処理における耐熱性がない場合に、例えば、常温(例えば、25℃~35℃)まで収納部34の雰囲気温度を低下させて、対象部品91tを保管させることもできる。この場合、ベイク処理に必要な所要時間は、高温(例えば、100℃以上)のベイク処理と比べて、長くなる。
【0076】
また、
図3Bに示すように、本実施形態の収納部34は、一つの密閉領域に設けられており、複数の収納ユニット34bに収納される対象部品91tは、同一の条件でベイク処理される。そのため、保管部82は、湿度管理レベルが最も厳しい対象部品91tをベイク処理可能な条件(既述した所定湿度以下であり、例えば、5%以下)で自動倉庫30に対象部品91tを保管させることができる。また、生産設備が複数の自動倉庫30を備える場合に、保管部82は、対象部品91tの湿度管理レベルごとに、対象部品91tを保管する自動倉庫30を割り当てることもできる。
【0077】
さらに、
図7に示すように、収納部34は、仕切部材34cによって区画された複数(同図では、8つ)の密閉領域に設けることもできる。複数(8つ)の密閉領域の各々には、収納ユニット34bが設けられている。仕切部材34cは、移載装置35と対向する側に開閉部34dを備えている。なお、同図では、図示の便宜上、一部の仕切部材34cおよび一部の開閉部34dに符号番号が付されており、すべての部材に符号番号が付されていない。また、作業スペース34aが設けられている密閉領域は、作業スペース34aの上段または下段に収納ユニット34bが設けられている。
【0078】
開閉部34dは、収容部材21または収容ケースの入出庫時に開状態に制御され、収容部材21または収容ケースの入出庫が可能になる。開閉部34dは、入出庫時以外は閉状態に制御される。これにより、一つの自動倉庫30は、湿度管理レベルが異なる複数種類の対象部品91tを異なる条件で保管することができる。また、一つの自動倉庫30は、湿度管理レベルが異なる複数種類の対象部品91tを異なる条件でベイク処理することができる。
【0079】
なお、対象部品91tの入庫規制が選択された場合、保管部82は、対象部品91tの入庫規制を行う(
図5に示すステップS15でNoの場合およびステップS17)。この場合、例えば、作業者または無人搬送車は、入庫が規制された対象部品91tであって、作業スペース34aに載置されている対象部品91tを搬出する。また、保管部82は、選択部83による選択を行わないで、ベイク処理を実行することもできる。
【0080】
1-6-3.算出部84
算出部84は、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で自動倉庫30に対象部品91tを保管させるベイク処理を実行する場合に、ベイク処理に必要な所要時間を算出する。対象部品91tの種類によって湿度管理レベルが異なり、対象部品91tの残存時間(最長時間)が異なる。また、対象部品91tの残存時間を超えた超過時間が長いほど、ベイク処理に必要な所要時間は、長くなり易い。さらに、収納部34の雰囲気湿度が高いほど、ベイク処理に必要な所要時間は、長くなり易い。
【0081】
そこで、算出部84は、対象部品91tを識別する識別情報、対象部品91tの湿度管理レベル、対象部品91tの残存時間を超えた超過時間、および、自動倉庫30において対象部品91tを収納する収納部34の雰囲気湿度に基づいて、ベイク処理に必要な所要時間を算出する(
図5に示すステップS18)。なお、超過時間と所要時間との関係および雰囲気湿度と所要時間との関係は、予めシミュレーション、実機による検証などによって、取得することができる。
【0082】
算出部84によって算出されたベイク処理に必要な所要時間は、部品保管システム80による種々の制御において活用することができる。例えば、ベイク処理を途中で中断すると、対象部品91tの吸湿状態を判断し難くなる。そこで、保管部82は、ベイク処理を開始してからベイク処理に必要な所要時間が経過するまでの時間、対象部品91tの自動倉庫30からの出庫を規制することができる(
図5に示すステップS19)。
【0083】
また、例えば、ベイク処理が行われている対象部品91tの出庫待ちが生じる場合、ベイク処理に必要な所要時間が経過するまでの残り時間を知得したいという要請がある。そこで、保管部82は、ベイク処理に必要な所要時間が経過するまでの残り時間を案内することもできる(
図5に示すステップS20)。保管部82は、残り時間を案内することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、保管部82は、自動倉庫30の表示装置33において、ベイク処理に必要な所要時間が経過するまでの残り時間を表示することができる。
【0084】
なお、他の生産設備において使用されていた対象部品91tが、
図1に示す生産設備において使用される場合が想定される。この場合、対象部品91tの吸湿状態が不明な場合が多い。そこで、保管部82は、自動倉庫30に初めて入庫する対象部品91tについて、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で自動倉庫30に対象部品91tを保管させるベイク処理を実行することができる。これにより、対象部品91tを生産で使用可能な残存時間をリセット(生産で使用可能な規定時間にセット)することができる。
【0085】
また、対象部品91tには、ベイク処理を実行可能な回数(既述した乾燥可能な回数と同義)が規定されている。そのため、保管部82は、入庫前に実行されたベイク処理の回数(乾燥回数)を、作業者などに入力させることもできる。さらに、自動倉庫30に初めて入庫する対象部品91tに対するベイク処理は、部品保管システム80が算出部84を備える形態に限定されない。当該ベイク処理は、既述されているいずれの形態においても、既述されているベイク処理と同様に行うことができる。
【0086】
1-6-4.共有部85
既述したように、対象部品91tであるか否かの判断は、作業者または部品管理装置70によって行うことができる。また、対象部品91tの湿度管理レベルの取得は、作業者または部品管理装置70によって行うことができる。例えば、部品管理装置70によって対象部品91tと判断され、湿度管理レベルが取得されている部品91について、作業者が対象部品91tであるか否かの判断を行い、湿度管理レベルを取得して、自動倉庫30に登録すると、重複する作業が行われる。
【0087】
また、自動倉庫30は、対象部品91tが自動倉庫30に入庫した入庫時刻、および、対象部品91tが自動倉庫30から出庫した出庫時刻を取得することができる。この場合に、例えば、作業者が対象部品91tが自動倉庫30に入庫した入庫時刻、および、対象部品91tが自動倉庫30から出庫した出庫時刻を部品管理装置70に登録すると、登録作業が煩雑になり、登録漏れ、誤登録などの作業ミスが生じ易い。
【0088】
そこで、共有部85は、対象部品91tを管理する部品管理装置70と自動倉庫30との間で、所定の情報を共有させる(
図5に示すステップS21)。所定の情報は、対象部品91tを識別する識別情報、対象部品91tの湿度管理レベル、対象部品91tが自動倉庫30に入庫した入庫時刻、および、対象部品91tが自動倉庫30から出庫した出庫時刻のうちの少なくとも識別情報および湿度管理レベルであると良い。
【0089】
具体的には、
図1に示すように、部品管理装置70と自動倉庫30との間は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。共有部85は、部品管理装置70が所有する所定の情報に対して、自動倉庫30の制御装置32がアクセスすることを許容する。また、共有部85は、自動倉庫30が所有する所定の情報に対して、部品管理装置70がアクセスすることを許容する。さらに、共有部85は、所定の情報をデータベースなどで一元管理することもできる。この場合、共有部85は、部品管理装置70および自動倉庫30が、データベースに記憶されている所定の情報にアクセスすることを許容する。
【0090】
同様に、対象部品91tの残存時間が切れているか否かの情報は、部品管理装置70と自動倉庫30との間で共有されるのが好ましい。また、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で対象部品91tを保管させるベイク処理が実行されたか否かの情報は、部品管理装置70と自動倉庫30との間で共有されるのが好ましい。なお、この場合のベイク処理は、自動倉庫30におけるベイク処理に限定されない。例えば、上記のベイク処理には、オーブン60におけるベイク処理が含まれる。
【0091】
さらに、対象部品91tの湿度管理レベルで規定されている所定条件で対象部品91tを保管可能な自動倉庫30であるか否かの情報は、部品管理装置70と自動倉庫30との間で共有されるのが好ましい。そこで、共有部85は、上記の情報のうちの少なくとも一つを、部品管理装置70と自動倉庫30との間で共有させることができる。また、共有部85は、上記の情報のうちの少なくとも一つを案内することもできる。例えば、共有部85は、自動倉庫30の表示装置33において、上記の情報のうちの少なくとも一つを表示することができる。
【0092】
2.部品保管方法
部品保管システム80について既述されていることは、部品保管方法についても同様に言える。具体的には、部品保管方法は、管理工程と、保管工程とを備える。管理部81が行う制御は、管理工程に相当する。保管部82が行う制御は、保管工程に相当する。部品保管方法は、選択工程を備えることもできる。選択部83が行う制御は、選択工程に相当する。部品保管方法は、算出工程を備えることもできる。算出部84が行う制御は、算出工程に相当する。部品保管方法は、共有工程を備えることもできる。共有部85が行う制御は、共有工程に相当する。
【0093】
3.実施形態の効果の一例
部品保管システム80によれば、管理部81および保管部82を備える。これにより、部品保管システム80は、湿度管理を必要とする対象部品91tの生産で使用可能な残存時間を適切に管理しつつ、対象部品91tを自動倉庫30で保管させることができる。部品保管システム80について上述されていることは、部品保管方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0094】
30:自動倉庫、34:収納部、70:部品管理装置、
80:部品保管システム、81:管理部、82:保管部、83:選択部、
84:算出部、85:共有部、90:基板、91:部品、
91t:対象部品。