(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241210BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241210BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20241210BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
G09G3/3233
(21)【出願番号】P 2024002986
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2023075935の分割
【原出願日】2015-09-23
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2014196896
(32)【優先日】2014-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0069908(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0108846(US,A1)
【文献】特開2012-019206(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0097856(KR,A)
【文献】特開2013-076994(JP,A)
【文献】特開2011-029635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
G09G3/12-3/14
3/30-3/3291
H01L21/336
29/786
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、第1のトランジスタ乃至第3のトランジスタと、容量素子と、第1の配線乃至第3の配線と、を画素に有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、映像信号が入力される前記第1の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記発光素子のアノードと電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3の配線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記発光素子のアノードと電気的に接続され、
前記容量素子の一方の電極は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記容量素子の他方の電極は、前記発光素子のアノードと電気的に接続される発光装置であって、
前記第3のトランジスタの第1のゲートとしての機能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上方に配置された領域を有し、前記酸化物半導体層と電気的に接続され、かつ、前記第3の配線としての機能を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層の上方に配置された領域を有し、前記酸化物半導体層と電気的に接続され、かつ、前記容量素子の他方の電極としての機能を有する第3の導電層と、
前記酸化物半導体層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第3のトランジスタの第2のゲートとしての機能を有する第4の導電層と、
第1の絶縁層を介して前記第3の導電層と重なりを有し、かつ、前記容量素子の一方の電極としての機能を有する第5の導電層と、
前記第2の導電層の上方に配置された領域を有し、前記第3の導電層の上方に配置された領域を有し、前記第4の導電層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第5の導電層の上方に配置された領域を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第1の配線としての機能を有する第6の導電層と、
前記第2の絶縁層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第2の配線としての機能を有する第7の導電層と、
前記第2の絶縁層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第3の導電層と電気的に接続される第8の導電層と、
前記第6の導電層の上方に配置された領域を有し、前記第7の導電層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第8の導電層の上方に配置された領域を有する第3の絶縁層と、
前記第3の絶縁層の上方に配置された領域を有し、前記第8の導電層と電気的に接続され、かつ、前記発光素子のアノードとしての機能を有する第9の導電層と、
を有し、
前記第4の導電層及び前記第5の導電層のそれぞれは、前記第1の絶縁層と接する領域を有し、
前記第6の導電層、前記第7の導電層及び前記第8の導電層のそれぞれは、前記第2の絶縁層と接する領域を有し、
少なくとも
、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域
と、を介して、前記第2の配線と前記発光素子とが導通状態であるとき、前記第2の配線と前記発光素子との間に前記映像信号に応じた電流が流れる、
発光装置。
【請求項2】
発光素子と、第1のトランジスタ乃至第3のトランジスタと、容量素子と、第1の配線乃至第3の配線と、を画素に有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、映像信号が入力される前記第1の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記発光素子のアノードと電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3の配線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記発光素子のアノードと電気的に接続され、
前記容量素子の一方の電極は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記容量素子の他方の電極は、前記発光素子のアノードと電気的に接続される発光装置であって、
前記第3のトランジスタの第1のゲートとしての機能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上方に配置された領域を有し、前記酸化物半導体層と電気的に接続され、かつ、前記第3の配線としての機能を有する第2の導電層と、
前記酸化物半導体層の上方に配置された領域を有し、前記酸化物半導体層と電気的に接続され、かつ、前記容量素子の他方の電極としての機能を有する第3の導電層と、
前記酸化物半導体層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第3のトランジスタの第2のゲートとしての機能を有する第4の導電層と、
第1の絶縁層を介して前記第3の導電層と重なりを有し、かつ、前記容量素子の一方の電極としての機能を有する第5の導電層と、
前記第2の導電層の上方に配置された領域を有し、前記第3の導電層の上方に配置された領域を有し、前記第4の導電層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第5の導電層の上方に配置された領域を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第1の配線としての機能を有する第6の導電層と、
前記第2の絶縁層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第2の配線としての機能を有する第7の導電層と、
前記第2の絶縁層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第3の導電層と電気的に接続される第8の導電層と、
前記第6の導電層の上方に配置された領域を有し、前記第7の導電層の上方に配置された領域を有し、かつ、前記第8の導電層の上方に配置された領域を有する第3の絶縁層と、
前記第3の絶縁層の上方に配置された領域を有し、前記第8の導電層と電気的に接続され、かつ、前記発光素子のアノードとしての機能を有する第9の導電層と、
を有し、
前記第4の導電層及び前記第5の導電層のそれぞれは、前記第1の絶縁層と接する領域を有し、
前記第6の導電層、前記第7の導電層及び前記第8の導電層のそれぞれは、前記第2の絶縁層と接する領域を有し、
前記第2のトランジスタは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続されているバックゲートを有し、
少なくとも
、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域
と、を介して、前記第2の配線と前記発光素子とが導通状態であるとき、前記第2の配線と前記発光素子との間に前記映像信号に応じた電流が流れる、
発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記酸化物半導体層は、In、Ga及びZnを含む、
発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
トップエミッション構造を有する、
発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、又は電子機器に関する。また、本発明の一形
態は、例えば、半導体を利用した回路、処理回路、記憶回路、それらの駆動方法、又はそ
れらの作製方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置の画素について、様々な回路構成が
提案されている。一般的に、画素には、発光素子、画素への映像信号の入力を制御するト
ランジスタ、および発光素子に供給する電流を制御するトランジスタ(駆動トランジスタ
)が少なくとも設けられている。駆動トランジスタを流れるドレイン電流を発光素子に供
給することで、ドレイン電流の値に応じた輝度で発光素子を発光させている。駆動トラン
ジスタのドレイン電流は、映像信号の電圧により制御される。
【0003】
そのため、表示装置の画面を構成する複数の画素間で、駆動トランジスタの電気特性(閾
値電圧、電界効果移動度等)にばらつきがあると、同じ電圧の映像信号を供給しても、発
光素子の輝度にばらつきが生じてしまう。複数の画素間での駆動トランジスタの電気特性
のばらつきは、表示装置の表示品位を低下させしまう原因の1つである。
【0004】
一方、アクティブマトリクス型の表示装置は高精細化のため多画素化が推し進められてお
り、1つの表示装置に数十万乃至数千万もの画素が設けられている。例えば、画素数は、
解像度がFull-HDであれば、1,366×768×3(RGB)=1,049,0
88であり、8k4k(スーパーハイビジョン)であれば、7,680×4,320×3
(RGB)=33,177,600である。多数の画素同士で駆動トランジスタの電気特
性を完全に一致させるのは非常に困難である。そこで、駆動トランジスタの電気特性を取
得し、発光素子の輝度を補正することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
表示部の多階調化、及び高精細化等に対応するため、表示装置のドライバ回路、特にソー
スドライバ回路には、専用のIC(ドライバIC)が採用されている(例えば、特許文献
2を参照)。
【0006】
表示装置の画素回路またはドライバ回路には、半導体薄膜を用いたトランジスタ(電界効
果トランジスタ(FET)、または薄膜トランジスタ(TFT)ともいう)が用いられる
ことが多い。近年、これらトランジスタに適用可能な半導体薄膜として、酸化物半導体が
注目されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-265459号公報
【文献】特開2007-286525号公報
【文献】特開2007-123861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画素の駆動トランジスタの電気特性を取得するための回路は、画素を流れる1nA乃至数
百nA程度の非常に小さな電流の信号を扱う。そのため、この回路の動作を検証する場合
は、このような微小な電流信号によって検証することが望ましい。
【0009】
そこで、本発明の一形態は、微小な電流を高精度に検出することが可能な半導体装置を提
供することを課題の一つとする。また、本発明の一形態は、微小な電流を少ない消費電力
で検出することが可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。また、本発明の
一形態は、新規な半導体装置、または新規な半導体装置の動作方法を提供することを課題
の一つとする。
【0010】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
形態は、これらの課題の全て解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発
明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、第1のトランジスタと、第2のトラン
ジスタと、を有する半導体装置である。第1の回路は、第1のトランジスタを介して、第
1のアナログ信号が入力される。第1の回路は、第2のトランジスタを介して、第2のア
ナログ信号が入力される。第1のアナログ信号は第1の電流の値を含む。第2のアナログ
信号は第2の電流の値を含む。第1の回路は、第1のアナログ信号を、第1のデジタル信
号に変換する。第2の回路は、第1のデジタル信号に応じて、第2のデジタル信号を生成
する。第1の回路は、第2のデジタル信号に応じて、第2のアナログ信号を第3のデジタ
ル信号に変換する。第1又は第2のトランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体を
含む。
【0012】
上記態様において、第2の電流は表示装置の画素に流れる電流である。
【0013】
上記態様において、第1の回路は、積分回路と、コンパレーターと、カウンターを有する
ことが好ましい。
【0014】
上記態様において、第2の回路は、逐次比較レジスタを有することが好ましい。
【0015】
上記態様において、酸化物半導体は、インジウム、亜鉛、M(MはAl、Ga、Ge、Y
、Zr、Sn、La、CeまたはHf)を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の一態様は、上記態様に記載の半導体装置と、表示装置と、を有する電子機器であ
る。
【0017】
なお、本明細書等において、”第1”、”第2”、”第3”という序数詞は構成要素の混
同を避けるために付す場合があり、その場合は数的に限定するものではなく、また順序を
限定するものでもない。
【0018】
本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、半導体素子(
トランジスタ、ダイオード等)を含む回路、同回路を有する装置等をいう。また、半導体
特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、集積回路、集積回路を備えた
チップは、半導体装置の一例である。また、記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置及
び電子機器等は、それ自体が半導体装置であり、半導体装置を有している場合がある。
【0019】
トランジスタは、ゲート、ソース、およびドレインと呼ばれる3つの端子を有する。ゲー
トは、トランジスタの導通状態を制御する制御ノードとして機能するノードである。ソー
スまたはドレインとして機能する2つの入出力ノードは、トランジスタの型及び各端子に
与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。このため、
本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるもの
とする。また、本明細書等では、ゲート以外の2つの端子を第1端子、第2端子と呼ぶ場
合がある。
【0020】
ノードは、回路構成やデバイス構造等に応じて、端子、配線、電極、導電体、不純物領域
等と言い換えることが可能である。また、端子等をノードと言い換えることが可能である
。
【0021】
電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電
位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。なお
、電位とは、相対的なものである。よって、接地電位と記載されていても、必ずしも、0
Vを意味しない場合もある。
【0022】
本明細書等において、「膜」という言葉と「層」という言葉とは、場合によっては、また
は、状況に応じて、互いいに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用
語を「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。例えば、「絶縁膜」とい
う用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0023】
図面における各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異な
る回路ブロックで別々の機能を実現するよう図面で示していても、実際の回路や領域では
、同じ回路ブロック内で別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また
図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回
路ブロックとして示していても、実際の回路や領域では、一つの回路ブロックでおこなう
処理を複数の回路ブロックでおこなうよう設けられている場合もある。
【0024】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合
は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合
と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。
したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、
図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとす
る。X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、な
ど)であるとする。
【0025】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場
合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模
式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズに
よる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、
若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一形態により、微小な電流を高精度に検出することが可能な半導体装置を提供す
ることが可能となる。または、本発明の一形態により、微小な電流を少ない消費電力で検
出することが可能な半導体装置を提供することが可能となる。または、本発明の一形態に
より、新規な半導体装置、または新規な半導体装置の動作方法を提供することが可能にな
る。
【0027】
なお、複数の効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一形
態は、必ずしも、例示した効果の全てを有する必要はない。また、本発明の一形態につい
て、上記以外の課題、効果、および新規な特徴については、本明細書の記載および図面か
ら自ずと明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】半導体装置の動作例を示すタイミングチャート。
【
図10】(A)画素の構成例を示す回路図。(B)同動作例を示すタイミングチャート。
【
図13】トランジスタの構成例を示す上面図及び断面図。
【
図14】トランジスタの構成例を示す上面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明の一形態は、以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に
変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明の一形態は、
以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0030】
以下の実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。また、1つの実施の形態の中に
、複数の構成例が示される場合は、互い構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0031】
図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは
同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略す
る場合がある。
【0032】
また、同じ符号を用いる場合、特に、その中でも区別する必要があるときには、符号に”
_1”、”_2”、”[n]”、”[m、n]”等の識別用の符号を付記して記載する場
合がある。
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について、
図1乃至
図6を用いて説
明を行う。
【0034】
〈〈半導体装置の構成例1〉〉
図1は、半導体装置10の構成例を示す回路図である。半導体装置10は、複数のトラン
ジスタM1(M1[1]乃至M1[N]、Nは1以上の自然数)と、複数のトランジスタ
M2(M2[1]乃至M2[N])、と、インバータ42と、複数のAND41と、複数
の回路IF_CONV(IF_CONV[1]乃至IF_CONV[N])と、回路DC
CS(Digital Calibration Control System)と、
複数のTRIBUF(トライステートバッファ回路)43と、回路SR(シフトレジスタ
)と、を有している。
【0035】
なお、以下ではトランジスタM1及びトランジスタM2をnチャネル型トランジスタとし
て説明を行うが、本発明の一態様は、トランジスタM1及びトランジスタM2がpチャネ
ル型トランジスタの場合にも適用することが可能である。
【0036】
図1に示す信号I
MON(I
MON[1]乃至I
MON[N])は、表示装置の画素に流
れる電流の値(アナログ信号)を情報として含んでいる。半導体装置10は、これら信号
I
MONを、デジタル信号に変換し、信号CMOUTとして出力する機能を有する。
【0037】
また、
図1に示す信号I
TESTは、基準となる電流の値(アナログ信号)を情報として
含んでいる。半導体装置10は、この信号I
TESTを利用して、信号I
MONから信号
CMOUTを生成する際に生じる誤差を校正する機能を有する。
【0038】
信号ITESTはトランジスタM1を介して、回路IF_CONVに入力される。また、
信号IMONはトランジスタM2を介して、回路IF_CONVに入力される。なお、信
号IMON、ITESTは、外部の画素から回路IF_CONVに流れ込む電流だけでな
く、回路IF_CONVから外部の画素へ流れ込む電流を扱うことも可能である。
【0039】
回路IF_CONVに入力される信号の切り替えは、トランジスタM1、M2のオン(導
通)/オフ(非導通)を制御することで行うことができる。また、トランジスタM1、M
2のオン/オフの制御は、信号TESTによって行われる。信号TESTは、AND41
を介してトランジスタM1のゲートに与えられ、インバータ42を介して、トランジスタ
M2のゲートに与えられる。
【0040】
回路IF_CONVは、入力されたアナログ信号をデジタル信号である信号OUT(信号
OUT_1乃至OUT_N)に変換して出力する機能を有する。
【0041】
また、回路SRはシフトレジスタであり、信号OUT_1乃至OUT_Nのうち、1つの
信号を選択する機能を有する。
図1に記載されている信号SPと信号SCLKは、それぞ
れ、回路SRに入力されるパルス信号とクロック信号を表している。
【0042】
回路SRは、複数の信号SEL(SEL[1]乃至SEL[N])を出力する。信号SE
L[1]乃至SEL[N]のうち、1つの信号がHighレベル(以下、Hレベル)にな
り、残りのN-1の信号がLowレベル(Lレベル)になる。Hレベルになった信号SE
Lは、TRIBUF43を導通状態にする。一方で、Lレベルになった信号SELは、T
RIBUF43をハイインピーダンスにする。このようにして、回路SRに選択された信
号OUTは、信号CMOUTとして外部に出力される。
【0043】
例えば、信号SEL[1]及び信号TESTがHレベルになる場合を考える。このとき、
トランジスタM1[1]のゲートにはHレベルの電位が与えられ、トランジスタM1[1
]はオンになる。一方で、トランジスタM2[1]乃至M2[N]のゲートにはLレベル
の電位が与えられ、トランジスタM2[1]乃至M2[N]はオフになる。また、信号S
EL[2]乃至SEL[N]はLレベルになり、トランジスタM1[2]乃至M1[N]
はオフになる。その結果、トランジスタM1[1]のみがオンになり、信号ITESTが
、回路IF_CONV[1]に入力される。
【0044】
例えば、信号SEL[1]がHレベルになり、信号TESTがLレベルになる場合を考え
る。このとき、トランジスタM1[1]乃至M1[N]のゲートにはLレベルの電位が与
えられ、トランジスタM1[1]乃至M[N]はオフになる。一方で、トランジスタM2
[1]乃至M2[N]のゲートにはHレベルの電位が与えられ、トランジスタM2[1]
乃至M2[N]はオンになる。その結果、信号IMON[1]乃至IMON[N]が、回
路IF_CONVに入力される。信号SELは、信号SEL[1]以外はLレベルになっ
ているので、信号OUT_1のみが、信号CMOUTとして外部に出力される。
【0045】
回路DCCSは、上述した回路IF_CONVの変換機能を校正する機能を有する。信号
TESTがHレベルになる場合、信号ITESTは、回路IF_CONVに入力され、信
号OUTとして出力される。信号OUTは回路DCCSに入力される。
【0046】
また、回路DCCSは、信号ITESTが理想的にデジタル信号に変換された場合の信号
Xを生成する機能を有する。回路DCCSは、信号OUTと信号Xの比較を行い、二つの
信号のずれから、信号OUTの校正量を回路IF_CONVに伝える。回路IF_CON
Vは、決定された校正量に従って、信号IMONを信号OUTに変換する。信号IMON
は最終的に信号CMOUTとして、外部に出力される。
【0047】
なお、半導体装置10は、上述の信号以外にも、信号CLK1及び信号CLK2が外部か
ら入力される。これらの信号は、回路IF_CONV及び回路DCCSに入力され、それ
ぞれの回路の動作に利用される。
【0048】
なお、本実施の形態では8ビットのデータを扱う場合の例を示しているが、これに限定さ
れず、本発明の一態様は、任意のkビット(kは1以上の自然数)のデータを扱うことも
可能である。
【0049】
半導体装置10において、トランジスタM1はオフ電流が小さいトランジスタが好ましい
。なお、オフ電流とは、トランジスタがオフの時に流れるリーク電流のことを表す。別言
すると、nチャネル型トランジスタにおいて、ゲートとソースの間に閾値未満の電圧が印
加されたときに(または、pチャネル型トランジスタにおいて、ゲートとソースの間に閾
値より大きい電圧が印加されたときに)、ソースとドレインの間に流れるリーク電流のこ
とを表す。
【0050】
例えば、トランジスタM1[1]がオン、トランジスタM1[2]乃至M1[N]がオフ
の場合を考える。トランジスタM1[2]乃至M1[N]はトランジスタM1[1]と並
列に接続されているため、トランジスタM1[2]乃至M1[N]のオフ電流が大きけれ
ば、信号ITESTの電流は、トランジスタM1[2]乃至M1[N]を経由して外部へ
漏れ出てしまう。信号ITESTは、1nA乃至数百nA程度の非常に小さな電流を扱っ
ているため、僅かな電流の漏れでも大きな影響を受ける。その結果、回路IF_CONV
[1]に、信号ITESTの電流が正しく伝えられず、回路DCCSの校正が正確に行わ
れない。
【0051】
そのため、トランジスタM1にオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、半導体
装置10は、信号ITESTの電流値を高精度に検出することが可能になる。
【0052】
また、トランジスタM1にオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、半導体装置
10は、少ない消費電力で信号ITESTの電流値を検出することが可能になる。
【0053】
トランジスタM1は、チャネル形成領域にシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キ
ャリア密度がシリコンよりも小さい半導体材料を用いればよい。例えば、当該半導体材料
として酸化物半導体が好ましい。チャネル形成領域に酸化物半導体を用いた酸化物半導体
トランジスタはオフ電流値が著しく小さい。
【0054】
半導体装置10において、例えば、トランジスタM1以外の素子を、例えばSi又はSi
Geなどの半導体基板に形成し、さらにその上に、トランジスタM1を酸化物半導体トラ
ンジスタで形成してもよい。
【0055】
トランジスタM1だけでなく、トランジスタM2にも、上述のオフ電流が小さいトランジ
スタを適用することが好ましい。トランジスタM1だけでなく、トランジスタM2のオフ
電流も小さくすることで、半導体装置10は、より高精度に信号IMON及び信号ITE
STの電流値を検出することが可能になる。また、半導体装置10は、より少ない消費電
力で信号IMON及び信号ITESTの電流値を検出することが可能になる。
【0056】
その場合、例えば、トランジスタM1及びトランジスタM2以外の素子を、例えばSi又
はSiGeなどの半導体基板に形成し、さらにその上に、トランジスタM1及びトランジ
スタM2を酸化物半導体トランジスタで形成してもよい。
【0057】
なお、酸化物半導体トランジスタの詳細については、後述する実施の形態3で説明を行う
。
【0058】
〈回路IF_CONVの構成例〉
次いで、
図1に示す回路IF_CONVの具体的な構成例について説明する。なお、説明
の明瞭化のために、まずは、回路IF_CONVの基本動作について説明を行う。回路I
F_CONVが回路DCCSに接続され、校正機能を持つ場合については後ほど説明を行
う。
【0059】
図2に回路IF_CONVの回路図の一例を示す。回路IF_CONVは、ラッチ57と
、カウンター58と、コンパレーター59と、積分回路53を有している。また、積分回
路53は、オペアンプ50と、容量素子51と、スイッチ52を含む。
【0060】
回路IF_CONVは外部から信号CLK1と信号CLK2が入力される。信号CLK1
と信号CLK2は、異なる周波数を持ち、信号CLK1の方が、信号CLK2よりも周波
数が高いことが好ましい。信号CLK1は、カウンター58に入力され、信号CLK2は
、スイッチ52、カウンター58及びラッチ57に入力される。
【0061】
容量素子51の一方の電極はオペアンプ50の反転入力端子(-)に電気的に接続され、
容量素子51の他方の電極はオペアンプ50の出力端子に電気的に接続される。
【0062】
スイッチ52は、容量素子51の一方の電極と、容量素子51の他方の電極の間に設けら
れる。スイッチ52は、信号CLK2に従って、オンとオフを切り替える機能を有する。
スイッチ52は、トランジスタで作製してもよい。
【0063】
オペアンプ50の反転入力端子には、信号IMONまたは信号ITESTが入力され、オ
ペアンプ50の非反転入力端子(+)には、電位VREF1が入力され、オペアンプ50
の出力端子は、信号OUT_OPを出力する。
【0064】
オペアンプ50は、増幅回路であり、反転入力端子と非反転入力端子の電位差を増幅し、
出力する機能を有する。
【0065】
コンパレーター59の反転入力端子(-)は、オペアンプ50の出力端子に電気的に接続
される。コンパレーター59の反転入力端子には、信号OUT_OPが入力され、コンパ
レーター59の非反転入力端子(+)には、電位VREF2が入力され、コンパレーター
59の出力端子は、信号OUT_COMPを出力する。
【0066】
コンパレーター59は、非反転入力端子に与えられた第1の電位と、反転入力端子に与え
られた第2の電位を比較し、第1の電位が第2の電位よりも高い場合はHレベルの電位を
出力し、第1の電位が第2の電位よりも低い場合はLレベルの電位を出力する機能を有す
る。
【0067】
カウンター58は、信号CLK1の電位がHレベルからLレベルへ切り替わる回数(ある
いはLレベルからHレベルへ切り替わる回数)を数える機能を有し、その回数(カウント
数)を信号OUT_COUNTとして出力する機能を有する。また、カウンター58は、
内部にラッチ回路を含み、信号OUT_COMPの電位がLレベルからHレベルに変化し
た時、直前のカウント数を保持する機能を有する。また、カウンター58に信号CLK2
が与えられると、信号OUT_COUNTのカウント数は0に初期化される機能を有する
。なお、信号CLK1の電位がHレベルからLレベルへ切り替わる回数(あるいはLレベ
ルからHレベルへ切り替わる回数)を、信号CLK1のパルスの数と呼ぶ場合もある。
【0068】
ラッチ57は、信号CLK2の電位がLレベルからHレベルへ変化する時、直前の信号O
UT_COUNTを記憶し、信号OUTとして出力する機能を有する。
【0069】
次に、
図3に示すタイミングチャート図を用いて、回路IF_CONVの動作の一例を説
明する。
【0070】
図3に示すタイミングチャートは、信号CLK1、信号CLK2、信号OUT_OP、信
号OUT_COMP、信号OUT_COUNT及び信号OUTの電位変化を表している。
図3に示す時刻T1乃至T5は、動作のタイミングを説明するために付したものである。
【0071】
前述したとおり、信号OUT_COUNT及び信号OUTは、信号CLK1のカウント数
を含む。
図3は、これらのカウント数を、8ビットの16進数で表した例を示している。
【0072】
まず、時刻T1において、信号CLK2がLレベルからHレベルへと変化する。このとき
、スイッチ52がオンになり、容量素子51は放電を開始する。その後、信号OUT_O
Pは、電位VREF1に初期化される。
【0073】
また、時刻T1において、カウンター58がリセットされ、信号OUT_COUNTは0
0になる。また同時に、ラッチ57は、直前の信号OUT_COUNTを記憶し、信号O
UTとして出力する。
図3では、時刻T1以前の信号OUT_COUNTのデータ(5E
)が、時刻T1以後に信号OUTとして出力されるようすがわかる。
【0074】
次に、時刻T2において、信号CLK2がHレベルからLレベルへ変化する。このとき、
スイッチ52がオフになり、容量素子51が充電を開始し、積分回路53の積分が始まる
。信号IMON又は信号ITESTを時間で積分した電位は、信号OUT_OPとして出
力される。信号OUT_OPの電位は徐々に低下する。
【0075】
また、時刻T2から、カウンター58が、信号CLK1の電位がHレベルからLレベルへ
変化する回数(あるいはLレベルからHレベルへ変化する回数)を数え始め、カウント数
を信号OUT_COUNTとして出力する。
【0076】
次に、時刻T3において、信号OUT_OPの電位が電位VREF2と等しくなり、信号
OUT_COMPの電位がLレベルからHレベルへ変化する。このとき、カウンター58
に含まれているラッチ回路が機能し、に時刻T3におけるカウント数(
図3の場合は5B
)が、信号OUT_COUNTとして保持される。
【0077】
その後、信号OUT_OPの電位は下がり続け、電位GNDに到達する。
【0078】
次に、時刻T4において、時刻T1と同様に、信号CLK2の電位がLレベルからHレベ
ルへ変化し、容量素子51の放電が開始される。その後、信号OUT_OPは電位VRE
F1に初期化される。
【0079】
また、時刻T4において、信号OUT_COMPの電位はHレベルからLレベルへ変化し
、カウンター58のラッチが解除される。また同時に、信号CLK2によって、信号OU
T_COUNTは00に初期化される。直前の信号OUT_COUNTのデータ(
図3で
は5B)は、信号OUTとして出力される。このときの信号OUTは、信号I
MON又は
信号I
TESTの電流値に対応したものである。すなわち、信号I
MON又は信号I
TE
STをデジタル信号に変換したものである。
【0080】
以降、上述の動作を繰り返すことで、信号IMON又は信号ITESTを信号OUTに変
換することができる。
【0081】
〈校正機能をもつ回路IF_CONVの構成例〉
次に、回路IF_CONVに、校正機能をもつ回路DCCSを追加した構成例について、
図4を用いて説明を行う。
【0082】
図4に示す回路IF_CONVは、
図2に示す回路IF_CONVに、並列に接続された
複数の容量素子C(C[0]乃至C[7])と、容量素子Cの電気的な接続を制御する複
数のスイッチS1(S1[0]乃至S1[7])及びスイッチS2(S2[0]乃至S2
[7])と、ラッチ64を追加したものである。また、
図4に示す回路IF_CONVは
、
図2に示す回路IF_CONVのカウンター58とラッチ57を、一つの回路63にま
とめている。
【0083】
図4の回路DCCSは、カウンター65、コンパレーター66、SAR(Success
ive Approximation Register)67を有している。
【0084】
カウンター65は、信号CLK1を受け取り、信号Xを生成する機能を有する。信号Xは
、信号ITESTが回路IF_CONVで理想的に変換されたときのデジタル信号である
。
【0085】
コンパレーター66は、信号Yと信号Xを比較し、比較結果を”1”(Hレベル)又は”
0”(Lレベル)の2値で出力する機能を有する。例えば、X≧Yのときは、”1”を出
力し、X<Yのときは、”0”を出力すると仮定する。
【0086】
SAR67は、逐次比較レジスタである。SAR67は、コンパレーター66での比較結
果を受けて、信号Zを生成する機能を有する。
【0087】
ラッチ64は、信号Zを、一時的に保持する機能を有する。信号TEST及び信号SEL
がHレベルになった場合に、ラッチが解除され、信号Zを信号CA_REGとして積分回
路に渡す。
【0088】
回路IF_CONVは、積分回路に含まれる容量素子のばらつきによって、出力される信
号OUTに誤差を生じてしまう。回路DCCSは、そうした誤差を校正するための信号Z
を、回路IF_CONVに供給する機能を有する。
【0089】
以下に、回路IF_CONV及び回路DCCSが、信号を校正する手順について、
図5を
用いて説明を行う。なお、以下の説明は、明瞭化のために実際の回路動作をある程度単純
化したものであり、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、
図5は、6ビットの
信号を処理する場合の手順を示しているが、本発明の一態様は、任意のkビット(kは1
以上の自然数)のデータを扱う場合に適用することが可能である。
【0090】
まず、信号TESTがHレベルになり、信号ITESTが回路IF_CONVを介して、
信号OUTに変換される。
【0091】
信号OUTは、TRIBUF43を介して、信号Yとして回路DCCSに入力される。
【0092】
コンパレーター66は、信号Xと信号Yを比較し、比較結果をSAR67に渡す。例えば
、X=45、Y=32の場合、X≧Yとなり、”1”を出力する(
図5 Step1)。
【0093】
次に、SAR67は、コンパレーター66の比較結果を受けて、信号Zを決定する。例え
ば、Z=16とする。
【0094】
ラッチ64は、信号Zを受け取り、信号CA_REGとして積分回路に渡す。
【0095】
積分回路は、信号CA_REGに応じて、スイッチS1、S2の導通/非導通を決定し、
付加される容量の値を変更する。その結果、回路IF_CONVが更新される。
【0096】
更新された回路IF_CONVを通じて、再び、信号ITESTはデジタル信号に変換さ
れ、信号Yとしてコンパレーター66に入力される。このとき、信号Yは32+16=4
8となる。
【0097】
X=45、Y=48、X<Yとなり、コンパレーター66は、”0”を出力する(
図5
Step2)。
【0098】
SAR67は、コンパレーターの比較結果を受けて、先ほど与えたZ=16は棄却する。
次に、例えばZ=8とする。
【0099】
上述と同じ手順を経て、信号Yが再びコンパレーター66に入力される。このときY=3
2+8=40となる。
【0100】
X=45、Y=40、X≧Yとなり、コンパレーター66は、”1”を出力する(
図5
Step3)。
【0101】
SAR67は、コンパレーター66の比較結果を受けて、先ほどのZ=8を採用する。次
に、例えばZ=8+4=12とする。
【0102】
上述と同じ手順を経て、信号Yが再びコンパレーター66に入力される。このときY=3
2+8+4=44となる。
【0103】
X=45、Y=44、X≧Yとなり、コンパレーター66は、”1”を出力する(
図5
Step4)。
【0104】
SAR67は、コンパレーター66の比較結果を受けて、先ほどのZ=8+4を採用する
。次に、例えばZ=8+4+2=14とする。
【0105】
上述と同じ手順を経て、信号Yが再びコンパレーター66に入力される。このときY=3
2+8+4+2=46となる。
【0106】
X=45、Y=46、X<Yとなり、コンパレーター66は、”0”を出力する(
図5
Step5)。
【0107】
SAR67は、コンパレーター66の比較結果を受けて、先ほどのZ=8+4+2を棄却
する。次に、例えばZ=8+4+1=13とする。
【0108】
上述と同じ手順を経て、信号Yが再びコンパレーター66に入力される。このときY=3
2+8+4+1=45となる。
【0109】
X=45、Y=45、X≧Yとなり、コンパレーター66は、”1”を出力する(
図5
Step6)。
【0110】
SAR67は、コンパレーター66の比較結果を受けて、先ほどのZ=8+4+1を採用
する。
【0111】
以上の手順により、回路DCCSは、回路IF_CONVを校正する信号Z(Z=8+4
+1=13)を決定する。
【0112】
信号Zが決定した後は、信号TESTがLレベルになり、信号IMONを回路IF_CO
NVに入力する。このとき、ラッチ64は、信号CA_REGを保持した状態にあるため
、回路IF_CONVは、校正された状態を維持している。
【0113】
最終的に、校正された信号OUTが、信号CMOUTとして外部に出力される。
【0114】
以上、上記構成とすることで、半導体装置10は、微小な電流を高精度に検出することが
可能になる。また、半導体装置10は、微小な電流を少ない消費電力で検出することが可
能になる。
【0115】
〈〈半導体装置の構成例2〉〉
図6は、本発明の一態様である半導体装置20の構成例を示している。
【0116】
図1の半導体装置10において、回路IF_CONVは複数存在し、信号I
MON[1]
乃至I
MON[N]は、それぞれに対応した回路IF_CONVに入力される。一方で、
図6の半導体装置20において、信号I
MON[1]乃至I
MON[N]は、1つの回路
IF_CONVに入力される。
【0117】
図6のような構成をとることで、半導体装置20は、回路の占有面積を小さくでき、デバ
イスを小型化することが可能になる。
【0118】
また、
図6のような構成をとることで、半導体装置20は、回路IF_CONVごとのば
らつきの影響を低減することが可能になる。
【0119】
半導体装置20において、トランジスタM2はオフ電流が小さいトランジスタが好ましい
。例えば、トランジスタM2[1]がオン、トランジスタM2[2]乃至M2[N]がオ
フの場合を考える。トランジスタM2[2]乃至M2[N]はトランジスタM2[1]と
並列に接続されているため、トランジスタM2[2]乃至M2[N]のオフ電流が大きけ
れば、信号IMON[1]の電流は、トランジスタM2[2]乃至M2[N]を経由して
外部へ漏れ出てしまう。信号IMONは、1nA乃至数百nA程度の非常に小さな電流を
扱っているため、僅かな電流の漏れも大きく影響される。その結果、半導体装置20は信
号IMONの電流値を正しく検出することができない。
【0120】
そのため、トランジスタM2にオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、半導体
装置20は、信号IMONの電流値を高精度に検出することが可能になる。
【0121】
また、トランジスタM2にオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、半導体装置
20は、少ない消費電力で信号IMONの電流値を検出することが可能になる。
【0122】
トランジスタM2は、チャネル形成領域にシリコンよりもバンドギャップが広く、真性キ
ャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料を用いればよい。例えば、当該半導体材料と
して酸化物半導体が好ましい。チャネル形成領域に酸化物半導体を用いた酸化物半導体ト
ランジスタはオフ電流値が著しく小さい。
【0123】
半導体装置20において、例えば、トランジスタM2以外の素子を、例えばSi又はSi
Geなどの半導体基板に形成し、さらにその上に、トランジスタM2を酸化物半導体トラ
ンジスタで形成してもよい。
【0124】
なお、トランジスタM2だけでなく、トランジスタM1にも、上述のオフ電流が小さいト
ランジスタを適用することが好ましい。トランジスタM2だけでなく、トランジスタM1
のオフ電流も小さくすることで、半導体装置20は、より高精度に信号IMON及び信号
ITESTの電流値を検出することが可能になる。また、半導体装置20は、より少ない
消費電力で信号IMON及び信号ITESTの電流値を検出することが可能になる。
【0125】
その場合、例えば、トランジスタM1及びトランジスタM2以外の素子を、例えばSi又
はSiGeなどの半導体基板に形成し、さらにその上に、トランジスタM1及びトランジ
スタM2を酸化物半導体トランジスタで形成してもよい。
【0126】
以上、上記構成とすることで、半導体装置20は、微小な電流を高精度に検出することが
可能になる。また、半導体装置20は、微小な電流を少ない消費電力で検出することが可
能になる。
【0127】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した半導体装置10又は半導体装置20を有する表
示装置の一例について説明を行う。
【0128】
〈〈表示装置〉〉
図7は表示装置の構成例を示すブロック図である。表示装置200は、画素部210、周
辺回路220、CPU230、制御回路231、電源回路232、画像処理回路233、
および、メモリ234を有する。
【0129】
CPU230は、命令を実行し、表示装置200を統括的に制御するための回路である。
CPU230が実行する命令は、外部から入力される命令、および内部メモリに格納され
た命令である。CPU230は、制御回路231、画像処理回路233を制御する信号を
生成する。CPU230の制御信号に基づき、制御回路231は、表示装置200の動作
を制御する。制御回路231は、CPU230が決定した処理が実行されるように、周辺
回路220、電源回路232、画像処理回路233およびメモリ234を制御する。制御
回路231には、例えば、画面の書き換えのタイミングを決定する各種の同期信号が入力
される。同期信号としては、例えば水平同期信号、垂直同期信号、および基準クロック信
号等があり、制御回路231は、これらの信号から周辺回路220の制御信号を生成する
。電源回路232は、画素部210、周辺回路220に電源電圧を供給する機能を有する
。
【0130】
画素部210は、複数の画素211、複数の配線GL、複数の配線SL、および複数の配
線MLを有する。複数の画素211はアレイ状に配列されている。複数の配線GL、SL
、MLは、複数の画素211の配列に応じて設けられている。配線GLは垂直方向に配列
されている。配線SL、MLは水平方向に配列されている。配線GLはゲート線、走査線
、選択信号線等と呼ばれることがある。配線SLは、ソース線、データ線等と呼ばれるこ
とがある。配線MLは、画素211をモニタするために設けられた配線であり、例えば、
モニタ配線と呼ぶことができる。
【0131】
周辺回路220は、ゲートドライバ回路221、およびソースドライバ回路222、モニ
タ回路223およびアナログーデジタル変換回路(ADC)224を有する。
【0132】
ゲートドライバ回路221は配線GLを駆動するための回路であり、配線GLに供給する
信号を生成する機能を有する。ソースドライバ回路222は配線SLを駆動するための回
路であり、配線SLに供給する信号を生成する機能を有する。モニタ回路223は配線M
Lを流れるアナログ信号を検出することができる機能を有する。ADC224はモニタ回
路223から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するための回路である。AD
C224は信号CMOUTを画像処理回路233に出力する。
【0133】
表示装置200は、ADC224に実施の形態1の半導体装置10又は半導体装置20が
適用されている。
【0134】
画像処理回路233は、外部から入力される映像信号を処理してデータ信号VDATAを
生成する機能を有する。データ信号VDATAは階調を表すデジタル信号である。また、
画像処理回路233は、信号CMOUTを用いて、データ信号VDATAを補正する機能
を有する。ソースドライバ回路222は、データ信号VDATAを処理して、各配線SL
に供給するデータ信号を生成する機能を有する。メモリ234は、画像処理回路233が
処理を行うために必要なデータを格納するために設けられている。メモリ234には、例
えば、信号CMOUT、データ信号VDATA、または外部から入力される映像信号が格
納される。
【0135】
図8は、表示装置200の分解斜視図である。表示装置200は、上部カバー258-1
と下部カバー258-2との間に、FPC256が接続されているタッチパネルユニット
252、FPC255が接続されている表示パネル250、フレーム259、プリント基
板251、およびバッテリ253を有する。バッテリ253、およびタッチパネルユニッ
ト252等は設けられていない場合もある。また、必要に応じて表示パネルを照明するバ
ックライトユニットを設けてもよい。
【0136】
上部カバー258-1および下部カバー258-2は、タッチパネルユニット252およ
び表示パネル250のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。フレ
ーム259は、表示パネル250の保護機能の他、プリント基板251の動作により発生
する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム259は
、放熱板の機能を有していてもよい。
【0137】
プリント基板251は、CPU230、電源回路232、画像処理回路233、メモリ2
34を有する。電源回路232に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリ253による電源であってもよい。バッテリ253は、商
用電源を用いる場合には、省略可能である。また、表示装置200には、偏光板、位相差
板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
【0138】
タッチパネルユニット252は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パ
ネル250に重畳して用いることができる。また、表示パネル250の対向基板(封止基
板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル
250の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。ま
たは、表示パネル250の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量方式のタッチ
パネルとすることも可能である。
【0139】
図8に示す表示パネル250は、基板260、基板(対向基板)261を有する。基板2
60には、画素部210、および周辺回路220が設けられている。画素部210等の回
路が設けられている基板260を素子基板(バックプレーン)と呼ぶ場合がある。周辺回
路220の一部、または全てを、画素部210と同じ作製工程で基板260に設けてもよ
い。
図8の例では、IC270に、周辺回路220の一部の回路が設けられている。IC
270はCOG(Chip on Glass)方式で基板260に実装されている。
【0140】
〈〈表示パネル〉〉
図9は、表示パネル250の素子基板の構成例を示す平面図である。ここでは、
図9を基
準に、左右上下という位置関係を示す用語を使用することとする。
【0141】
表示パネル250は、画素部210および周辺回路220(回路221-224)が設け
られている。周辺回路のうち、ゲートドライバ回路221およびモニタ回路223は、画
素部210と同じ作製工程で基板260上に形成される回路である。ゲートドライバ回路
221は2つの回路(GDL、GDR)に分割されて、画素部210の左右に設けられて
いる。例えば、GDRは奇数行の配線GLが電気的に接続され、GDLには偶数行の配線
GLが電気的に接続されている。この場合、GDLとGDRとが交互に配線GLを駆動す
る。
【0142】
領域262には、ソースドライバ回路222およびADC224が設けられている。
図9
の例では、ソースドライバ回路222およびADC224は、6つのドライバIC30で
構成されている。ドライバIC30の数はこれに限定されるものではない。領域262に
は複数の端子(図示せず)が形成されており、これらにドライバIC30が電気的に接続
されている。
【0143】
以下、画素部210の水平方向(H)の解像度がn×RGBであり、垂直方向(V)の解
像度がmであるとして、表示装置200について説明する。n、mは、2以上の整数であ
る。RGB(赤緑青)は、画素211が表示する色を表している。ここでは、3(RGB
)の画素211(サブ画素)で、1の単位画素が構成される。
【0144】
単位画素の構成はこれ限定されるものでない。サブ画素の数、サブ画素の発光色、および
単位画素内におけるサブ画素の配列等は、適宜設定することが可能である。例えば、1個
の単位画素が4個のサブ画素でなる場合、表示する色の組み合わせは、[赤(R)、緑(
G)、青(B)、黄(Y)]、または[赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)]等と
することができる。本明細書では、画素で表示される色を用いて構成要素を区別する場合
、_R、[R]、R[1]等の識別記号を付すことにする。例えば、画素211_Rは赤
色の画素211を表す。配線SL_G[2]とは、画素211_Gに電気的に接続される
第2列の配線SLを表している。
【0145】
〈〈画素〉〉
図10(A)は画素211の一例を示す回路図であり、
図10(B)は
図10(A)に示
す画素211の動作例を示すタイミングチャートである。
【0146】
図10(A)は、第k行、第j列(kは2以上m以下の整数、jは2以上n以下の整数)
に配置される画素211を示している。画素211は、配線GL、SL、ML、およびA
NLと電気的に接続されている。画素211は、トランジスタM5-M7、容量素子C1
、および発光素子EL1を有する。
【0147】
発光素子EL1は一対の端子(アノードおよびカソード)を有する。発光素子EL1とし
ては、電流または電圧によって輝度を制御することが可能な素子を用いることができる。
発光素子EL1としては、LED(Light Emitting Diode)やOL
ED(Organic Light Emitting Diode)などが代表的であ
る。例えば、OLEDの場合、発光素子EL1は、EL(エレクトロルミネセンス)層を
有する。EL層は陽極と陰極の間に設けられており、単層または複数の層で構成される。
EL層は、発光性の物質を含む層(発光層)を少なくとも含む。EL層を発光に利用する
発光素子をEL素子と呼ぶ場合がある。EL素子を画素に適用した表示装置をEL表示装
置と呼ぶ場合がある。特に、有機EL層を有する発光素子を有機EL素子と呼び、有機E
L素子が用いた表示装置は、有機EL表示装置(OLED)と呼ぶ場合がある。もちろん
、発光素子EL1を有機EL素子とすることができる。
【0148】
図10(A)ではトランジスタM5-M7はn型トランジスタであるが、これらの一部ま
たは全てをp型トランジスタとしてもよい。また、トランジスタM5-M7はゲートに電
気的に接続されているバックゲートを有する。このようなデバイス構造とすることで、ト
ランジスタM5-M7の電流駆動能力を向上させることができる。トランジスタM5-M
7の一部または全てがバックゲートを有しないトランジスタでもよい。
【0149】
トランジスタM5は、トランジスタM6のゲート(ノードN2)と配線SLと間を接続す
るパストランジスタである。トランジスタM7は、配線MLと発光素子EL1のアノード
(ノードN1)との間を接続するパストランジスタである。トランジスタM6は駆動トラ
ンジスタであり、発光素子EL1に供給される電流源として機能する。トランジスタM6
のドレイン電流の大きさによって、発光素子EL1の輝度が調節される。容量素子C1は
、ノードN1とノードN2間の電圧を保持する保持容量である。
【0150】
〈動作例〉
配線SLにはデータ信号Vdaが入力される。データ信号Vdaの電圧は映像信号の階調
に対応する値を持つ。
図10(B)の[k]、[k+1]は、それぞれ、第k行、第k+
1行の画素211に入力されるデータ信号Vdaであることを表している。
【0151】
期間P1は、書き込み動作期間であり、発光素子EL1は発光させない。配線ANLには
電圧Vanoが与えられ、発光素子EL1のカソードには電圧Vcatが与えられる。配
線MLは電圧V0を供給する電源線と電気的に接続される。配線GLを高レベルにして、
トランジスタM5、M6をオン状態にする。ノードN2に、配線SLの電圧Vdaが与え
られる。電圧Vdaに対応する大きさのドレイン電流がトランジスタM6に流れる。
【0152】
なお、電圧Vano、電圧V0、および電圧Vcatは、下記式(b1)-(b3)を満
たすように設定することが好ましい。下記式において、電圧VthEは発光素子EL1の
閾値電圧であり、電圧Vth2はトランジスタM6の閾値電圧である。
V0<Vcat+VthE (b1)
Vano>V0+VthE (b2)
Vano>Vcat+VthE+Vth2 (b3)
【0153】
(b1)かつ(b2)であることで、期間P1(書き込み期間)で、トランジスタM7が
オンであっても、トランジスタM6のドレイン電流を発光素子EL1ではなく配線ML優
先的に流すことができる。(b3)を満たすことで、期間P2(発光期間)で、配線AN
Lと発光素子EL1のカソードとの間に電位差が生じるため、トランジスタM6のドレイ
ン電流が発光素子EL1に供給され、発光素子EL1を発光させることができる。期間P
2では、トランジスタM5およびトランジスタM7をオフにする。
【0154】
期間P3は、トランジスタM6のドレイン電流を取得するモニタ期間である。トランジス
タM5およびトランジスタM7をオンにする。また、配線MLと電圧V0を供給する電源
線との電気的な接続が遮断される。配線SLには、ノードN2の電圧が電圧Vth2より
も高くなるような電圧を与える。配線ANLには電圧Vanoを与え、発光素子EL1の
カソードには電圧Vcatを与える。このように配線SL等を駆動することで、トランジ
スタM6のドレイン電流を発光素子EL1ではなく配線MLの方に優先的に流すことがで
きる。
【0155】
期間P3で画素211から配線MLに出力される信号IMONは、発光期間にトランジス
タM6に流れるドレイン電流を含む。信号IMONを解析し、解析結果に基づき、データ
信号の電圧Vdaを補正することで、画素211の輝度のずれを補正することができる。
【0156】
モニタ動作を発光動作の後に常に行う必要はない。例えば、画素211において、データ
の書き込み動作と発光動作のサイクルを複数回繰り返した後に、モニタ動作を行うように
することができる。また、モニタ動作させた後、最小の階調値0に対応するデータ信号を
画素211に書き込むことで、発光素子EL1を非発光状態にするようにしてもよい。
【0157】
ここでは、表示素子に発光素子が用いられた例を示したが、本発明の態様はこれに限定さ
れない。例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置
、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又
は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、例
えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機
EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LED
など)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子
、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディス
プレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた
表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・
シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュ
レーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子
、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ
を用いた表示素子などの少なくとも1つを有している。これらの他にも、電気的または磁
気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有して
いても良い。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。
電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(
FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduct
ion Electron-emitter Display)などがある。液晶素子を
用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型
液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディ
スプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用い
た表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイ
や反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射
電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が
、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下
に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力
を低減することができる。なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下
に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の
層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けること
により、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易
に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設
けて、LEDを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有す
るn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN
半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、L
EDが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
【0158】
〈〈モニタ回路〉〉
信号I
MONはモニタ回路223に入力される。モニタ回路223は、信号I
MONのA
DC224への出力を制御することができる機能を有する。
図11(A)はモニタ回路2
23の構成例を示す。モニタ回路223は信号V0_SW、信号MSEL[3:1]によ
り制御され、m段の回路MONIを有する。
図11(B)は回路MONI[j]の構成例
を示す回路図である。例えば、表示パネル250の解像度が8k4Kである場合、モニタ
回路223は4320個の回路MONIを有する。
【0159】
回路MONI[j]は、3入力1出力の回路である。回路MONIの入力端子は3の配線
(ML_R、ML_G、ML_B)が電気的に接続され、同出力端子MOUTはADC2
24に電気的に接続される。回路MONI[j]は、6のトランジスタ(Msw1―Ms
w3、MS1―MS3)を有する。トランジスタMsw1―Msw3のゲートには信号V
0_SWが入力される。トランジスタMsw1、Msw2、Msw3は、電源線215と
配線ML_R、ML_G、ML_Bとの導通状態を制御するスイッチの機能を有する。ト
ランジスタMS1、MS2、MS3は、出力端子MOUTと配線ML_R、ML_G、M
L_Bとの導通状態を制御するスイッチの機能を有する。電源線215は電圧V0の供給
用配線である。
【0160】
トランジスタMsw1―Msw3のゲートには信号V0_SWが入力される。トランジス
タMS1、MS2、MS3のゲートには信号MSEL[1]、MSEL[2]、MSEL
[3]が入力される。書き込み期間、および発光期間(
図10(B)の期間P1、P2)
では、トランジスタMsw1―Msw3をオンにし、トランジスタMS1-MS3をオフ
にする。モニタ期間(
図10(B)の期間P3)では、トランジスタMsw1―Msw3
をオフにする。トランジスタMS1-MS3は何れか1がオンになるように制御される。
モニタ期間では、ML_R[j]、ML_G[j]、ML_B[j]を流れる電流信号I
MON_R[j]、I
MON_G[j]、I
MON_B[j]が、順次、端子MOUT[
j]から出力される。
【0161】
ここでは、トランジスタMsw1―Msw3、MS1-MS3はn型トランジスタとして
いるが、これらの一部または全てをp型トランジスタとしてもよい。また、トランジスタ
Msw1―Msw3、MS1-MS3はバックゲートを有しているが、これらの一部また
は全てがバックゲートを有さないトランジスタでもよい。
【0162】
〈〈表示パネル〉〉
図12に、表示パネル250のデバイス構造の一例を示す。
図12は、表示パネル250
の積層構造を示している。なお、
図12は、画素部210と画素部210と共に形成され
る周辺回路220a(
図9の例ではGDR、GDL、モニタ回路223)のデバイス構造
を説明するための図であり、表示パネル250特定の部位の断面図ではない。
図12には
、表示パネル250が、発光素子EL1から取り出される光555を基板261側から取
り出すトップエミッション構造の例を示している。
【0163】
基板260に設けられるトランジスタ、容量素子等のデバイス構造には、特段の制約はな
い。画素部210および周辺回路220aのそれぞれの機能に適したデバイス構造を選択
すればよい。例えば、トランジスタのデバイス構造としては、トップゲート型、ボトムゲ
ート型、およびゲート(フロントゲート)とボトムゲート双方を備えたデュアルゲート型
、1つの半導体層に対して複数のゲート電極を有するマルチゲート型が挙げられる。トラ
ンジスタのチャネルが形成される半導体層も特段の制約はない。半導体層を構成する半導
体としては、単結晶半導体、非単結晶半導体に大別される。非単結晶としては、多結晶半
導体、微結晶半導体、非晶質半導体などが挙げられる。半導体材料には、Si、Ge、C
等を1種または複数種含む半導体(例えば、シリコン、シリコンゲルマニウム、炭化シリ
コン等)、酸化物半導体(例えば、In-Ga―Zn酸化物、In-Sn―Zn酸化物等
)、化合物半導体等が挙げられる。
【0164】
ここでは、表示パネル250の一例として、同じ導電型のトランジスタで素子基板が構成
されている例を説明する。素子基板のトランジスタが、酸化物半導体層にチャネルが形成
されるトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ場合がある。)である例を示す。図
12には、トランジスタM7、容量素子C1、発光素子EL1、および周辺回路220a
のトランジスタM10を示している。トランジスタM7、M10はデュアルゲート構造で
あり、基板260側にゲート電極を有する。
【0165】
<素子基板>
表示パネル250の素子基板は、基板260に、酸化物半導体(OS)層、複数の絶縁層
、複数の導電層等を積層することで構成されている。
【0166】
表示パネル250の導電層は、単層の導電膜で、または2層以上の導電膜で形成すること
ができる。このような導電膜としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タン
タル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ
、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム等の金属膜を用いることができる
。また、これら金属を成分とする合金膜および化合物膜、リン等の不純物元素を含有させ
た多結晶シリコン膜、シリサイド膜等を用いることができる。また、表示パネル250の
導電膜として、透光性導電膜を用いることができる。透光性導電膜としては、例えば酸化
タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、
酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム
錫酸化物(ITOと呼ばれる)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウ
ム錫酸化物等の金属酸化物を含む膜を挙げることができる。
【0167】
表示パネル250の絶縁層は、単層の絶縁膜で、または2層以上の絶縁膜で形成すること
ができる。無機絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、
酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム
、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム
および酸化タンタル等でなる膜があげられる。また、樹脂膜としては、アクリル樹脂、ポ
リイミド樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、シロキサン系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキ
シ樹脂等の有機樹脂膜がある。なお、本明細書において、酸化窒化物とは、窒素よりも酸
素の含有量が多い化合物をいい、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物
をいう。
【0168】
図12に示す表示パネルの素子基板は、酸化物半導体(OS)層501、502、第1導
電層に設けられた導電層511―513、第2導電層に設けられた導電層521-524
、第3導電層に設けられた導電層531-533、第4導電層に設けられた導電層541
-544、第5導電層に設けられた導電層550、第6導電層に設けられた導電層551
、第7導電層に設けられた導電層552、EL層553、絶縁層571-576を有する
。絶縁層571は、トランジスタM7、トランジスタM10のゲート絶縁層、および容量
素子C1の誘電体を構成する。絶縁層572は、容量素子C1の誘電体を構成する。絶縁
層576は基板260と基板261との間の空間を維持するためのスペーサとして機能す
る。
【0169】
<GDR、GDL>
トランジスタM10は、OS層501、並びに導電層511、521、522、531を
有する。導電層531はバックゲートとして機能し、導電層511と電気的に接続されて
いる。導電層541はGDR、GDLに設けられる素子を配線するための電極あるいは配
線である。
【0170】
<画素部>
トランジスタM7は、OS層502、並びに導電層512、523、524、532を有
する。導電層532はバックゲートとして機能し、導電層512と電気的に接続されてい
る。導電層512は、配線GLを構成し、導電層523は配線MLを構成する。導電層5
24は容量素子C1と共有されている。
図12の例では、導電層512は、トランジスタ
M7の遮光層として機能することができる。OS層502の下面全体は絶縁層571を介
して導電層512と重なっている。容量素子C1はMIM型であり、導電層513、絶縁
層571、導電層524、絶縁層572、および導電層533の積層でなる。導電層54
2は配線ANLであり、導電層543は配線SLであり、導電層544は発光素子EL1
をトランジスタM7および容量素子C1に電気的に接続するための電極である。
【0171】
発光素子EL1は絶縁層574上に設けられている。導電層550-552およびEL層
553が積層している部分が発光素子EL1として機能する。導電層550、551は発
光素子EL1のアノード電極またはカソード電極として機能する。導電層550、551
は画素211毎に設けられている。導電層552、EL層553は、画素部210に対し
て1または複数設けられている。
【0172】
EL層553は、正孔と電子とが再結合することで発光することが可能な発光材料を少な
くとも有する。EL層553には、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層な
どの機能層を必要に応じて形成してもよい。ここでは、白色光を発するEL層553が設
けられている。導電層551は、発光素子EL1をマイクロキャビティ構造とするために
設けられる。例えば、導電層551は、酸化シリコンを含む酸化インジウムスズ膜で形成
することができる。導電層551によって導電層550と導電層552との間の光路長が
調節される。導電層551の厚さは、画素211から取り出す光の波長に対応して、その
厚さが調節される。例えば、導電層551の厚さは5nm乃至100nmの範囲で調節す
ればよい。導電層551は、光555の波長が長いほど厚くする。よって導電層551の
厚さは、画素211_R>画素211_G>画素211_Bとなる。
【0173】
<対向基板の構成例>
シール部材(図示せず)により、基板260と対向するように対向基板が固定される。図
12に示す表示パネル250の対向基板は、基板261、遮光層580、カラーフィルタ
層581、オーバーコート層582を有する。カラーフィルタ層581は画素211に対
応した色で着色されている。カラーフィルタ層581は素子基板に設けてもよいし、ある
いは省略してもよい。周辺回路220aは遮光層580で遮光されている。画素部210
には、表示に寄与しない領域を遮光するように、遮光層580が設けられている。オーバ
ーコート層582は、対向基板表面の平坦化と不純物(代表的には水および/または酸素
)の拡散を防ぐ機能を有する。オーバーコート層582は、例えば、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂等で形成することができる。
【0174】
〈基板〉
基板260、261に適用可能な基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、プラス
チック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する
基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせ
フィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどが挙げられる。ガラス基板の一
例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライム
ガラスなどがある。可撓性基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)
、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表され
るプラスチック、又はアクリル等の可撓性を有する合成樹脂などがある。貼り合わせフィ
ルムには、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル等からな
るフィルム、または無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。基材フィルムの一例と
しては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィル
ム、又は紙類などがある。なお、
図12の例では、基板261は光555(可視光)を透
過する。
【0175】
基板260は画素部210及び周辺回路220aを作製するために使用した支持基板(ガ
ラス基板など)でなくてよい。画素部210、周辺回路220aの完成後、または作製工
程途中に、支持基板を剥離して、接着層により可撓性基板を取り付けてもよい。また、同
様に、基板261もカラーフィルタ層581等の作製に使用される支持基板(ガラス基板
等)でなくてもよく、オーバーコート層582の形成後、支持基板を剥離して、接着層に
より可撓性基板を取り付けてもよい。
【0176】
基板260、261を可撓性基板とすることで、可撓性の表示装置を得ることができる。
また、可撓性の表示装置を組み込むことで、可撓性の半導体装置を提供することが可能で
ある。
【0177】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に示したトランジスタM1又はトランジスタM2に用い
ることが可能な酸化物半導体トランジスタの構成例について、
図13及び
図14を用いて
説明する。
【0178】
〈〈酸化物半導体トランジスタの構成例1〉〉
図13(A)乃至
図13(C)に、トランジスタ150の上面図及び断面図を示す。
図1
3(A)はトランジスタ150の上面図であり、
図13(B)は、
図13(A)の一点鎖
線A-B間の切断面の断面図に相当し、
図13(C)は、
図13(A)の一点鎖線C-D
間の切断面の断面図に相当する。なお、
図13(A)では、明瞭化のため、構成要素の一
部を省略して図示している。
【0179】
トランジスタ150は、基板102上に設けられる導電膜104と、基板102及び導電
膜104上に形成される絶縁膜106及び絶縁膜107を含む第1の絶縁膜108と、第
1の絶縁膜108を介して、導電膜104と重なる酸化物半導体膜110と、酸化物半導
体膜110に接する導電膜112a及び導電膜112bとを有する。
【0180】
また、第1の絶縁膜108、酸化物半導体膜110、導電膜112a及び導電膜112b
上に、絶縁膜114、116、118を含む第2の絶縁膜120と、第2の絶縁膜120
上に形成される導電膜122とを有する。
【0181】
導電膜122は、第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120に設けられる開口142e
において、導電膜104と接続する。
【0182】
トランジスタ150において、導電膜104は、第1のゲート電極としての機能を有し、
導電膜122は、第2のゲート電極としての機能を有する。また、第1の絶縁膜108は
、第1のゲート絶縁膜としての機能を有し、第2の絶縁膜120は、第2のゲート絶縁膜
としての機能を有する。
【0183】
トランジスタ150において、導電膜112aはソース電極及びドレイン電極の一方とし
ての機能を有し、導電膜112bはソース電極及びドレイン電極の他方としての機能を有
する。
【0184】
本実施の形態に示すトランジスタ150は、チャネル幅方向において、導電膜104及び
導電膜122の間に、第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120を介して酸化物半導体
膜110が設けられている。また、導電膜104は
図13(A)に示すように、上面形状
において、第1の絶縁膜108を介して酸化物半導体膜110の側面と重なる。
【0185】
開口142eにおいて、導電膜104及び導電膜122が接続する。導電膜104及び導
電膜122を同電位とすることで、キャリアが酸化物半導体膜110の広い範囲を流れる
。これにより、トランジスタ150を移動するキャリアの量が増加する。
【0186】
この結果、トランジスタ150のオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなり
、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上、さらには20cm2/V・s以
上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の
近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけ上の
電界効果移動度である。
【0187】
なお、トランジスタのチャネル長(L長ともいう。)を0.5μm以上6.5μm以下、
好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μmより大きく4μm以下、
より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましくは1μmより大きく2.
5μm以下とすることで、電界効果移動度の増加が顕著である。また、チャネル長が0.
5μm以上6.5μm以下のように小さいことで、チャネル幅も小さくすることが可能で
ある。
【0188】
また、導電膜104及び導電膜122を有することで、それぞれが外部からの電界を遮蔽
する機能を有するため、基板102と導電膜104の間、または導電膜122上に設けら
れる固定電荷が、酸化物半導体膜110に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば
、ゲート電極にマイナスの電位を印加する-GBT(Gate Bias Temper
ature)ストレス試験)の劣化が抑制されると共に、異なるドレイン電圧におけるオ
ン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。
【0189】
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジ
スタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTスト
レス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重
要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、
信頼性が高いトランジスタであるといえる。
【0190】
なお、トランジスタ150は、導電膜104と導電膜122を接続せず、それぞれに異な
る電位を与えてもよい。このようにすることで、トランジスタ150のしきい値電圧を制
御することができる。
【0191】
また、場合に応じて、トランジスタ150は、導電膜122を省略してもよい。
【0192】
以下に、基板102およびトランジスタ150を構成する個々の要素について説明する。
【0193】
〈基板102〉
基板102に適用可能な基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基
板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タ
ングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム
、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどが挙げられる。ガラス基板の一例として
は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスな
どがある。可撓性基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラス
チック、又はアクリル等の可撓性を有する合成樹脂などがある。貼り合わせフィルムには
、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル等からなるフィル
ム、または無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。基材フィルムの一例としては、
ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は
紙類などがある。
【0194】
また、基板102は、単なる支持体に限らず、他のトランジスタやキャパシタなどの素子
が形成された基板であってもよい。
【0195】
〈ゲート電極〉
導電膜104及び導電膜122に用いる材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タン
タル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元
素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することが
できる。また、導電膜104及び導電膜122に用いる材料は、単層構造でも、二層以上
の積層構造としてもよい。例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒
化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層す
る二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二
層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン
膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステ
ン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わ
せた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。また、導電膜104及び導電膜122に用
いる材料としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0196】
また、導電膜104及び導電膜122に用いることのできる導電膜としては、インジウム
を含む酸化物を用いればよい。例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化
タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チ
タンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジ
ウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性
材料を用いることができる。
【0197】
〈ゲート絶縁膜〉
第1の絶縁膜108は、絶縁膜106と絶縁膜107の2層の積層構造を例示している。
なお、第1の絶縁膜108の構造はこれに限定されず、例えば、単層構造または3層以上
の積層構造としてもよい。
【0198】
絶縁膜106としては、例えば、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウ
ム膜などを用いればよく、PE-CVD装置を用いて積層または単層で設ける。また、絶
縁膜106を積層構造とした場合、第1の窒化シリコン膜として、欠陥が少ない窒化シリ
コン膜とし、第1の窒化シリコン膜上に、第2の窒化シリコン膜として、水素放出量及び
アンモニア放出量の少ない窒化シリコン膜を設けると好適である。この結果、絶縁膜10
6に含まれる水素及び窒素が、後に形成される酸化物半導体膜110へ移動または拡散す
ることを抑制できる。
【0199】
絶縁膜107としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などを用いればよく、PE
-CVD装置を用いて積層または単層で設ける。
【0200】
また、絶縁膜106として、例えば、厚さ400nmの窒化シリコン膜を形成し、その後
、絶縁膜107として、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する積層構造を用いる
ことができる。該窒化シリコン膜と、該酸化窒化シリコン膜は、真空中で連続して形成す
ると不純物の混入が抑制され好ましい。なお、窒化酸化シリコンとは、窒素の含有量が酸
素の含有量より大きい絶縁材料であり、他方、酸化窒化シリコンとは、酸素の含有量が窒
素の含有量より大きな絶縁材料のことをいう。
【0201】
〈酸化物半導体膜〉
酸化物半導体膜110は、少なくともインジウム(In)、亜鉛(Zn)及びM(Al、
Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸
化物で表記される膜を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ま
しい。また、トランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、In及びZnと共に、ス
タビライザーを含むことが好ましい。
【0202】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アル
ミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーと
しては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(
Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある
。
【0203】
酸化物半導体膜110を構成する酸化物半導体として、例えば、In-Ga-Zn系酸化
物、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物
、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、
In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、I
n-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In
-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-
Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-
Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用
いることができる。
【0204】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する
酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn
以外の金属元素が入っていてもよい。
【0205】
酸化物半導体膜110の成膜方法は、スパッタリング法、MBE(Molecular
Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic
Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。とくに、酸化物
半導体膜110を成膜する際、スパッタリング法を用いると緻密な膜が形成されるため、
好適である。
【0206】
酸化物半導体膜110を成膜する際、できる限り膜中に含まれる水素濃度を低減させるこ
とが好ましい。水素濃度を低減させるには、例えば、スパッタリング法を用いて成膜を行
う場合には、成膜室内を高真空排気するのみならずスパッタガスの高純度化も必要である
。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が-40℃以下、好ましく
は-80℃以下、より好ましくは-100℃以下、より好ましくは-120℃以下にまで
高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限
り防ぐことができる。
【0207】
また、成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオ
ポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、
ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプは、
例えば、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物
も)等の排気能力が高いため、クライオポンプを用いて排気した成膜室で成膜された酸化
物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0208】
また、酸化物半導体膜110として、酸化物半導体膜をスパッタリング法で成膜する場合
、成膜に用いる金属酸化物ターゲットの相対密度(充填率)は90%以上100%以下、
好ましくは95%以上100%以下とする。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用い
ることにより、成膜される膜を緻密な膜とすることができる。
【0209】
なお、基板102を高温に保持した状態で酸化物半導体膜110として、酸化物半導体膜
を形成することも、酸化物半導体膜中に含まれうる不純物濃度を低減するのに有効である
。基板102を加熱する温度としては、150℃以上450℃以下とすればよく、好まし
くは基板温度が200℃以上350℃以下とすればよい。
【0210】
次に、第1の加熱処理を行うこがと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃
以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを
10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また、第1の加熱処理の雰囲
気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを1
0ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体膜11
0に用いる酸化物半導体の結晶性を高め、さらに第1の絶縁膜108及び酸化物半導体膜
110から水素や水などの不純物を除去することができる。なお、酸化物半導体膜110
を島状に加工する前に第1の加熱工程を行ってもよい。
【0211】
酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、
あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化
物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合が
ある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
【0212】
酸化物半導体膜110として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を
用いることで、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。こ
こでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性
または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半
導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って
、該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナ
スとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性
または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ
準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化
物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが
10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1V
から10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、
すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。
【0213】
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体膜にチャネル領
域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタと
することができる。
【0214】
〈ソース電極及びドレイン電極〉
導電膜112aおよび導電膜112bに用いることのできる材料としては、アルミニウム
、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タン
タル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または
積層構造として用いることができる。とくに、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チ
タン、モリブデン、タングステンの中から選択される一以上の元素を含むと好ましい。例
えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を
積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造
、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニ
ウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層
構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン
膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒
化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化
亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。また、導電膜は、例えば、スパッタリング法を
用いて形成することができる。
【0215】
〈保護絶縁膜〉
第2の絶縁膜120は、絶縁膜114、116、118の3層の積層構造を例示している
。なお、第2の絶縁膜120の構造はこれに限定されず、例えば、単層構造、2層の積層
構造、または4層以上の積層構造としてもよい。
【0216】
絶縁膜114、116としては、酸化物半導体膜110として用いる酸化物半導体との界
面特性を向上させるため、酸素を含む無機絶縁材料を用いることができる。酸素を含む無
機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜等が挙げられる
。また、絶縁膜114、116としては、例えば、PE-CVD法を用いて形成すること
ができる。
【0217】
絶縁膜114の厚さは、5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下
、好ましくは10nm以上30nm以下とすることができる。絶縁膜116の厚さは、3
0nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下とすることができ
る。
【0218】
また、絶縁膜114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁膜
114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形
態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。なお、本実
施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について、説明したが、こ
れに限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造、絶縁膜116の単層構造、または3
層以上の積層構造としてもよい。
【0219】
絶縁膜118は、外部からの不純物、例えば、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が
、酸化物半導体膜110へ拡散するのを防ぐ材料で形成される膜であり、更には水素を含
む。
【0220】
絶縁膜118の一例としては、厚さ150nm以上400nm以下の窒化シリコン膜、窒
化酸化シリコン膜等を用いることができる。本実施の形態においては、絶縁膜118とし
て、厚さ150nmの窒化シリコン膜を用いる。
【0221】
また、上記窒化シリコン膜は、不純物等からのブロック性を高めるために、高温で成膜さ
れることが好ましく、例えば基板温度100℃以上基板の歪み点以下、より好ましくは3
00℃以上400℃以下の温度で加熱して成膜することが好ましい。また高温で成膜する
場合は、酸化物半導体膜110として用いる酸化物半導体から酸素が脱離し、キャリア濃
度が上昇する現象が発生することがあるため、このような現象が発生しない温度とする。
【0222】
〈〈酸化物半導体トランジスタの構成例2〉〉
図13のトランジスタ150とは異なる酸化物半導体トランジスタの構成例を
図14に示
す。
【0223】
図14(A)はトランジスタ300の上面図であり、
図14(B)は、
図14(A)の一
点鎖線X1-X2間の断面図であり、
図14(C)は、
図14(A)の一点鎖線Y1-Y
2間の断面図である。また、
図14(B)は、トランジスタ300のチャネル長方向の断
面図であり、
図14(C)は、トランジスタ300のチャネル幅方向の断面図である。な
お、
図14(A)では、明瞭化のため、構成要素の一部を省略して図示している。
【0224】
トランジスタ300は、基板362上に形成された導電膜361と、基板362及び導電
膜361上の絶縁膜364と、絶縁膜364上の酸化物半導体膜366と、酸化物半導体
膜366に接する導電膜370a、導電膜370b及び絶縁膜372と、絶縁膜372を
介して酸化物半導体膜366と重なる導電膜374とを有する。なお、トランジスタ30
0上に絶縁膜376が設けられている。
【0225】
トランジスタ300において、導電膜374は第1のゲート電極としての機能を有し、導
電膜361は第2のゲート電極としての機能を有する。また、絶縁膜372は第1のゲー
ト絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜364は第2のゲート絶縁膜としての機能を有する
。
【0226】
トランジスタ300において、導電膜370aはソース電極及びドレイン電極の一方とし
ての機能を有し、導電膜370bはソース電極及びドレイン電極の他方としての機能を有
する。
【0227】
図14(C)に示すように、導電膜374は、絶縁膜372及び絶縁膜364に設けられ
た開口389を介して、導電膜361に接続されている。トランジスタ300は、トラン
ジスタ150と同様に、第1のゲート電極と第2のゲート電極に、同じ電位が印加される
ので、オン電流の増加、初期特性バラつきの低減、-GBTストレス試験の劣化の抑制、
及び異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動の抑制が可能である。
【0228】
また、トランジスタ300は、導電膜374と導電膜361を接続せずに、それぞれに異
なる電位を与えてもよい。このようにすることで、トランジスタ300のしきい値電圧を
制御することができる。
【0229】
なお、場合に応じて、導電膜361は省略してもよい。
【0230】
酸化物半導体膜366において、導電膜370a、導電膜370b及び導電膜374と重
ならない領域には、酸素欠損を形成する元素を有する。以下、酸素欠損を形成する元素を
、不純物元素として説明する。不純物元素の代表例としては、水素、希ガス元素等がある
。希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノン
がある。さらに、不純物元素としホウ素、炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン
、リン、塩素等が酸化物半導体膜366に含まれてもよい。
【0231】
また、絶縁膜376は水素を含む膜であり、代表的には窒化物絶縁膜がある。絶縁膜37
6が酸化物半導体膜366に接することで、絶縁膜376に含まれる水素が酸化物半導体
膜366に拡散する。この結果、酸化物半導体膜366が絶縁膜376と接する領域にお
いて、水素が多く含まれる。
【0232】
不純物元素として、希ガス元素が酸化物半導体膜に添加されると、酸化物半導体膜中の金
属元素及び酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体膜に含まれる酸
素欠損と水素の相互作用により、酸化物半導体膜は導電率が高くなる。具体的には、酸化
物半導体膜に含まれる酸素欠損に水素が入ることで、キャリア(電子)が生成される。こ
の結果、導電率が高くなる。
【0233】
基板362の詳細は、
図13の基板102の記載を参照すればよい。
【0234】
導電膜361及び導電膜374の詳細は、
図13の導電膜104及び導電膜122の記載
を参照すればよい。
【0235】
導電膜370a及び導電膜370bの詳細は、
図13の導電膜112a及び導電膜112
bの記載を参照すればよい。
【0236】
酸化物半導体膜366の詳細は、
図13の酸化物半導体膜110の記載を参照すればよい
。
【0237】
絶縁膜364は、酸化物絶縁膜又は窒化物絶縁膜を単層又は積層して形成することができ
る。なお、酸化物半導体膜366との界面特性を向上させるため、絶縁膜364において
少なくとも酸化物半導体膜366と接する領域は酸化物絶縁膜で形成することが好ましい
。また、絶縁膜364として加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加
熱処理により絶縁膜364に含まれる酸素を、酸化物半導体膜366に移動させることが
可能である。
【0238】
絶縁膜364の厚さは、50nm以上、又は100nm以上3000nm以下、又は20
0nm以上1000nm以下とすることができる。絶縁膜364を厚くすることで、絶縁
膜364の酸素放出量を増加させることができると共に、絶縁膜364と酸化物半導体膜
366との界面における界面準位、並びに酸化物半導体膜366のチャネル領域に含まれ
る酸素欠損を低減することが可能である。
【0239】
絶縁膜364として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化
シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム又は酸化ガリウムなどを用いればよく、単
層又は積層で設けることができる。
【0240】
絶縁膜372は、酸化物絶縁膜又は窒化物絶縁膜を単層又は積層して形成することができ
る。なお、酸化物半導体膜366との界面特性を向上させるため、絶縁膜372において
少なくとも酸化物半導体膜366と接する領域は酸化物絶縁膜を用いて形成することが好
ましい。絶縁膜372として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコ
ン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム又は酸化ガリウムなどを用いれば
よく、単層又は積層で設けることができる。
【0241】
また、絶縁膜372として、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を設け
ることで、酸化物半導体膜366からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜
366への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果
を有する絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸
化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化
ハフニウム等がある。
【0242】
また、絶縁膜372として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加された
ハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネー
ト(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh-k材料
を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
【0243】
また、絶縁膜372として、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることで、加
熱処理により絶縁膜372に含まれる酸素を、酸化物半導体膜366に移動させることが
可能である。
【0244】
絶縁膜372の厚さは、5nm以上400nm以下、又は5nm以上300nm以下、又
は10nm以上250nm以下とすることができる。
【0245】
(実施の形態4)
本実施の形態では、表示装置、および表示装置を有する半導体装置について説明する。
【0246】
可撓性の表示装置を組み込むことで、信頼性が高く、繰り返しの曲げに対して強い電子機
器や照明装置を提供することができる。
【0247】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともい
う)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル
フォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携
帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。可撓性の
電子機器は、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に
沿って組み込むことも可能である。
図15に電気機器の構成例を示す。
図15に示す電子
機器の表示部には、例えば実施の形態2の表示装置を組み込むことができる。
【0248】
図15(A)に示す携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402
のほか、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイクロフ
ォン7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の入出力
装置を表示部7402に用いることにより作製される。本発明の一態様により、湾曲した
表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯電話機を歩留まりよく提供できる。携帯電話機74
00は、指などで表示部7402に触れることで、情報を入力することができる。また、
電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指などで表示部7402に
触れることにより行うことができる。また、操作ボタン7403の操作により、電源のO
N、OFF動作や、表示部7402に表示される画像の種類を切り替えることができる。
例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
【0249】
図15(B)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。
図15(B)に示す携帯
情報端末7100は、筐体7101、表示部7102、バンド7103、バックル710
4、操作ボタン7105、入出力端子7106などを備える。携帯情報端末7100は、
移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュー
タゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。表示部7102はその
表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表
示部7102はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作する
ことができる。例えば、表示部7102に表示されたアイコン7107に触れることで、
アプリケーションを起動することができる。
【0250】
操作ボタン7105は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ
動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持
たせることができる。例えば、携帯情報端末7100に組み込まれたオペレーティングシ
ステムにより、操作ボタン7105の機能を自由に設定することもできる。携帯情報端末
7100は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通
信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもでき
る。また、携帯情報端末7100は入出力端子7106を備え、他の情報端末とコネクタ
ーを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7106を介して
充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7106を介さずに無線給電によ
り行ってもよい。
【0251】
実施の形態2の表示パネルを平板状の光源として機能させることができる。この場合、表
示パネルは、発光パネル、光源パネルと呼ぶことが適切である。このような発光パネルを
光源に備えた電子機器の一例を
図15(C)に示す。照明装置7210は、それぞれ、操
作スイッチ7203を備える台部7201と、台部7201に支持される発光部を有する
。発光部に表示パネルが組み込まれている。発光部を可塑性の部材や可動なフレームなど
の部材で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
図15(C)には、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光
部を備える筐体を天井に固定する、又は天井からつり下げるように用いることもできる。
発光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明
るく照らす、又は発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0252】
本発明の一態様が用いられる電子機器及び照明装置は、可撓性を有する製品に限定されな
い。
図15(D)にそのような電子機器の例を示す。
図15(D)に示す表示装置700
0は、筐体7001、表示部7002、支持台7003等を有する。
【0253】
図15(E)、(F)には、携帯型のタッチパネルの一例を示す。タッチパネル7300
は、筐体7301、表示部7302、操作ボタン7303、引き出し部材7304、制御
部7305を備える。タッチパネル7300は、筒状の筐体7301内にロール状に巻か
れたフレキシブルな表示部7102を備える。タッチパネル7300は制御部7305に
よって映像信号を受信可能で、受信した映像を表示部7302に表示することができる。
また、制御部7305にはバッテリをそなえる。また、制御部7305にコネクターを接
続する端子部を備え、映像信号や電力を有線により外部から直接供給する構成としてもよ
い。また、操作ボタン7303によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り
替え等を行うことができる。
【0254】
図15(F)には、表示部7302を引き出し部材7304により引き出した状態のタッ
チパネル7300を示す。この状態で表示部7302に映像を表示することができる。ま
た、筐体7301の表面に配置された操作ボタン7303によって、片手で容易に操作す
ることができる。また、
図15(E)のように操作ボタン7303を筐体7301の中央
でなく片側に寄せて配置することで、片手で容易に操作することができる。表示部730
2を引き出した際に表示部7302の表示面が平面状となるように固定するため、表示部
7302の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。また、筐体7301にスピ
ーカを組み込み、映像信号と共に受信した音声信号によって音声を出力する構成としても
よい。
【0255】
図16(A)―Cに、折りたたみ可能な携帯情報端末810の構成例を示す。
図16(A
)に展開した状態の携帯情報端末810を示す。
図16(B)に展開した状態又は折りた
たんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末810を示す。
図16(
C)に折りたたんだ状態の携帯情報端末810を示す。携帯情報端末810は、折りたた
んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の
一覧性に優れる。
【0256】
表示パネル816はヒンジ818によって連結された3つの筐体815に支持されている
。ヒンジ818を介して2つの筐体815間を屈曲させることにより、携帯情報端末81
0を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、曲
率半径1mm以上150mm以下で曲げることができるタッチパネル付き表示パネルを適
用できる。表示パネルが折りたたまれた状態又は展開された状態であることを検知して、
検知情報を供給するセンサを備える構成としてもよい。表示パネルが折りたたまれた状態
であることを示す情報を取得して、折りたたまれた部分(又は折りたたまれて使用者から
視認できなくなった部分)の動作を停止するような制御を行ってもよい。具体的には、表
示を停止してもよい。また、タッチセンサによる検知を停止してもよい。また、表示パネ
ルが展開された状態であることを示す情報を取得して、表示やタッチセンサによる検知を
再開するような制御を行ってもよい。
【0257】
図16(D)、Eに、折りたたみ可能な携帯情報端末820を示す。
図16(D)に表示
部822が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末820を示す。
図16(E
)に、表示部822が内側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末820を示す。
携帯情報端末820を使用しない際に、非表示部825を外側に折りたたむことで、表示
部822の汚れや傷つきを抑制できる。本発明の一態様の入出力装置を表示部822に用
いることができる。
【0258】
図16(F)は携帯情報端末880の外形を説明する斜視図である。
図16(G)は、携
帯情報端末880の上面図である。
図16(H)は携帯情報端末840の外形を説明する
斜視図である。
【0259】
携帯情報端末880、840は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一
つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用いることがで
きる。携帯情報端末880、840は、文字や画像情報をその複数の面に表示することが
できる。例えば、3つの操作ボタン889を一の面に表示することができる(
図16(F
)、H)。また、破線の矩形で示す情報887を他の面に表示することができる(
図16
(G)、H)。なお、情報887の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング
・サービス)の通知、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールなどの題
名、電子メールなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度など
がある。または、情報887が表示されている位置に、情報887の代わりに、操作ボタ
ン889、アイコンなどを表示してもよい。
【0260】
図16(F)、(G)は、上側に情報887が表示される例であるが、これに限定されな
い。例えば、
図16(H)に示す携帯情報端末840のように、横側に表示されていても
よい。例えば、携帯情報端末880の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末880
を収納した状態で、その表示(ここでは情報887)を確認することができる。具体的に
は、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末880の上方から観察
できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末880をポケットから取り出すことなく
、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
また、
図16(I)に示す携帯情報端末845のように、3面以上に情報を表示してもよ
い。ここでは、情報855、情報856、情報857がそれぞれ異なる面に表示されてい
る例を示す。
【0261】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることが可能な酸化物半導体膜の結晶構造につ
いて説明を行う。
【0262】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、
「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をい
う。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている
状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」と
は、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0263】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
。
【0264】
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
【0265】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。ま
たは、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けられ
る。
【0266】
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導
体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物
半導体などがある。
【0267】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。
【0268】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0269】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(
高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。
一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバ
ウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OS膜は、結
晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0270】
試料面と略平行な方向から、CAAC-OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、
結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、
CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した
形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0271】
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC-OS膜の平面の高分解能TEM像を観察す
ると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認で
きる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0272】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)装
置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC-OS膜
のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが
現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属される
ことから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略
垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0273】
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane法
による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れ
る場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍に
ピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0274】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、
シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコ
ンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化
物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる
要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径
(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の
原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純
物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0275】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物
半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによって
キャリア発生源となることがある。
【0276】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜
は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、
当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(
ノーマリ・オンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純
度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導
体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとな
る。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要す
る時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が
高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定と
なる場合がある。
【0277】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性
の変動が小さい。
【0278】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0279】
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領
域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜
に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大き
さであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微
結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc
-OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)
膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確
認できない場合がある。
【0280】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異なる
結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かな
い場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXR
D装置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面
を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ
径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を
行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し
、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子
回折を行うと、スポットが観測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を
行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、
nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが
観測される場合がある。
【0281】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。その
ため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、
nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-O
S膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0282】
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
【0283】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化
物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0284】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0285】
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-p
lane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが
観測される。
【0286】
なお、酸化物半導体膜は、nc-OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造
を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化
物半導体(a-like OS:amorphous-like Oxide Semi
conductor)膜と呼ぶ。
【0287】
a-like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察され
る場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる
領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a-like OS膜は、
TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見ら
れる場合がある。一方、良質なnc-OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電
子照射による結晶化はほとんど見られない。
【0288】
なお、a-like OS膜およびnc-OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能T
EM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、
In-O層の間に、Ga-Zn-O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子
は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を6層有する、計9層がc軸方向に層
状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の
格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nm
と求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔
が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInG
aZnO4の結晶のa-b面に対応する。
【0289】
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導
体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶酸化物半導体膜の密度と比較す
ることにより、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶酸化
物半導体膜の密度に対し、a-like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満
となる。また、例えば、単結晶酸化物半導体膜の密度に対し、nc-OS膜の密度および
CAAC-OS膜の密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶酸化物半導
体膜の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、成膜すること自体が困難で
ある。
【0290】
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子
数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4
の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1
[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a-like OS膜の密度は5.0g
/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:
1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc-OS膜の密度およびCAAC-
OS膜の密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
【0291】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することが
できる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して
、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を
組み合わせて算出することが好ましい。
【0292】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a-like OS膜、微結
晶酸化物半導体膜、CAAC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【符号の説明】
【0293】
10 半導体装置
20 半導体装置
30 ドライバIC
41 AND
42 インバータ
43 TRIBUF
50 オペアンプ
51 容量素子
52 スイッチ
53 積分回路
57 ラッチ
58 カウンター
59 コンパレーター
63 回路
64 ラッチ
65 カウンター
66 コンパレーター
102 基板
104 導電膜
106 絶縁膜
107 絶縁膜
108 絶縁膜
110 酸化物半導体膜
112a 導電膜
112b 導電膜
114 絶縁膜
116 絶縁膜
118 絶縁膜
120 絶縁膜
122 導電膜
142e 開口
150 トランジスタ
200 表示装置
210 画素部
211 画素
211_B 画素
211_G 画素
211_R 画素
215 電源線
220 周辺回路
220a 周辺回路
221 ゲートドライバ回路
222 ソースドライバ回路
223 モニタ回路
224 ADC
230 CPU
231 制御回路
232 電源回路
233 画像処理回路
234 メモリ
250 表示パネル
251 プリント基板
252 タッチパネルユニット
253 バッテリ
255 FPC
256 FPC
258-1 上部カバー
258-2 下部カバー
259 フレーム
260 基板
261 基板
262 領域
270 IC
300 トランジスタ
361 導電膜
362 基板
364 絶縁膜
366 酸化物半導体膜
370a 導電膜
370b 導電膜
372 絶縁膜
374 導電膜
376 絶縁膜
389 開口
501 OS層
502 OS層
511 導電層
512 導電層
513 導電層
521 導電層
522 導電層
523 導電層
524 導電層
531 導電層
532 導電層
533 導電層
541 導電層
542 導電層
543 導電層
544 導電層
550 導電層
551 導電層
552 導電層
553 EL層
555 光
571 絶縁層
572 絶縁層
574 絶縁層
576 絶縁層
580 遮光層
581 カラーフィルタ層
582 オーバーコート層
810 携帯情報端末
815 筐体
816 表示パネル
818 ヒンジ
820 携帯情報端末
822 表示部
825 非表示部
840 携帯情報端末
845 携帯情報端末
855 情報
856 情報
857 情報
880 携帯情報端末
887 情報
889 操作ボタン
7000 表示装置
7001 筐体
7002 表示部
7003 支持台
7100 携帯情報端末
7101 筐体
7102 表示部
7103 バンド
7104 バックル
7105 操作ボタン
7106 入出力端子
7107 アイコン
7201 台部
7203 操作スイッチ
7210 照明装置
7300 タッチパネル
7301 筐体
7302 表示部
7303 操作ボタン
7304 部材
7305 制御部
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイクロフォン