(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、加工サイクルの割り当て方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 15/00 20060101AFI20241210BHJP
G05B 19/4093 20060101ALI20241210BHJP
G05B 19/4069 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
B23Q15/00 301G
G05B19/4093 A
G05B19/4069
(21)【出願番号】P 2024084464
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2024001268
(32)【優先日】2024-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浮田 裕基
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-011123(JP,A)
【文献】特許第5436733(JP,B1)
【文献】特開平07-253810(JP,A)
【文献】国際公開第2008/096847(WO,A1)
【文献】特開2002-132318(JP,A)
【文献】特開平08-069310(JP,A)
【文献】特開昭63-093544(JP,A)
【文献】特開昭58-155150(JP,A)
【文献】特開平06-202721(JP,A)
【文献】特開平05-146943(JP,A)
【文献】特開平04-256548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/00
G05B 19/4069、4093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルを受け付ける受け付け部と、
前記三次元モデルを前記所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するともに、前記二次元モデルに表われる前記ワークの輪郭形状に基づいて、前記ワークに加工サイクルを割り当てる処理部とを備え
、
前記処理部は、前記加工サイクルとしてねじ加工が割り当てられた特定の区間で前記ワークの輪郭形状を補間するとともに、補間後の前記ワークの輪郭形状に、前記加工サイクルとして外径加工または内径加工を割り当てる、情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記ワークの輪郭形状に含まれる端点を特定し、隣接する端点の区間毎に前記加工サイクルを割り当てる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記加工サイクルとして溝加
工が割り当てられた特定の区間で前記ワークの輪郭形状を補間するとともに、補間後の前記ワークの輪郭形状に、
前記加工サイクルとして、外径加工、内径加工または端面加工を割り当てる、請求項
1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルから、前記三次元モデルを前記所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するステップと、
前記二次元モデルに表われる前記ワークの輪郭形状に基づいて、前記ワークに加工サイクルを割り当てるステップとを備え
、
前記ワークに加工サイクルを割り当てるステップは、前記加工サイクルとして前記ねじ加工が割り当てられた特定の区間で前記ワークの輪郭形状を補間するとともに、補間後の前記ワークの輪郭形状に、前記加工サイクルとして外径加工または内径加工を割り当てるステップを含む、加工サイクルの割り当て方法。
【請求項5】
ワークに加工サイクルを割り当てるためのコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルから、前記三次元モデルを前記所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するステップと、
前記二次元モデルに表われる前記ワークの輪郭形状に基づいて、前記ワークに加工サイクルを割り当てるステップとを実行させ
、
前記ワークに加工サイクルを割り当てるステップは、前記加工サイクルとして前記ねじ加工が割り当てられた特定の区間で前記ワークの輪郭形状を補間するとともに、補間後の前記ワークの輪郭形状に、前記加工サイクルとして外径加工または内径加工を割り当てるステップを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、加工サイクルの割り当て方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2014-16982号公報(特許文献1)では、加工サイクル指令を含む加工プログラムの加工動作の動画を表示する際に、加工サイクルを構成するブロック(移動指令)の確認を可能にするためのシミュレーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、ワークを加工するためのNC(Numerical control)プログラムを作成する場合に、たとえば、ワーク加工のプロセスに、外径加工、内径加工、端面加工、溝加工またはねじ加工等の加工サイクル(旋削サイクル)を割り当て、続いて、これら加工サイクルを固定サイクルとして指令するコードを用いて、NCプログラムを作成することが行なわれている。
【0005】
しかしながら、上記の加工サイクルの割り当ては、オペレータの手作業により行なわれているため、加工サイクルの割り当てに多大な時間を要したり、加工サイクルが適切に割り当てられなかったりする問題がある。
【0006】
この発明の目的は、加工サイクルの割り当てが簡易かつ適切に実行される情報処理装置、加工サイクルの割り当て方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った情報処理装置は、所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルを受け付ける受け付け部と、三次元モデルを所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するともに、二次元モデルに表われるワークの輪郭形状に基づいて、ワークに加工サイクルを割り当てる処理部とを備える。
【0008】
この発明に従った加工サイクルの割り当て方法は、所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルから、三次元モデルを所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するステップと、二次元モデルに表われるワークの輪郭形状に基づいて、ワークに加工サイクルを割り当てるステップとを備える。
【0009】
この発明に従ったプログラムは、ワークに加工サイクルを割り当てるためのコンピュータによって実行されるプログラムである。プログラムは、コンピュータに、所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルから、三次元モデルを所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するステップと、二次元モデルに表われるワークの輪郭形状に基づいて、ワークに加工サイクルを割り当てるステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に従えば、加工サイクルの割り当てが簡易かつ適切に実行される情報処理装置、加工サイクルの割り当て方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】この発明の実施の形態1における情報処理装置を示すブロック図である。
【
図3】ワークの三次元モデルの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図3中の三次元モデルから生成されるワークの二次元モデルを示す図である。
【
図5】
図4中の2点鎖線Vで囲まれた範囲のワークの二次元モデルを示す図である。
【
図6】
図4および
図5中の2次元モデルにおいて認定される区間と、各区間の始点および終点とを示す表である。
【
図7】
図6中の各区間に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸を示す表である。
【
図9】補間後のワークの輪郭形状に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸を示す表である。
【
図10】ワークの輪郭形状に最終的に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸を示す表である。
【
図11】この発明の実施の形態における加工サイクルの割り当て方法のステップを示すフローチャートである。
【
図12】溝加工サイクルが割り当てられた区間(単純な線分のみから構成される外径溝)を補間する第1ステップを説明するための図である。
【
図13】溝加工サイクルが割り当てられた区間(単純な線分のみから構成される外径溝)を補間する第2ステップを説明するための図である。
【
図14】溝加工サイクルが割り当てられた区間(曲線を含む外径溝)を補間する第1ステップを説明するための図である。
【
図15】溝加工サイクルが割り当てられた区間(曲線を含む外径溝)を補間する第2ステップを説明するための別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、工作機械を示す正面図である。
図2は、この発明の実施の形態1における情報処理装置を示すブロック図である。
図1および
図2を参照して、本実施の形態における情報処理装置100は、工作機械10に搭載されている。
【0014】
図1に示されるように、工作機械10は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋削機能が備わった旋盤である。工作機械10は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Controlled)工作機械である。
【0015】
本明細書においては、ワークの回転軸の軸方向に延びる軸を「Z軸」といい、ワークの回転軸の半径方向に延びる軸を「X軸」という。
【0016】
工作機械10は、左ワーク主軸31と、右ワーク主軸36と、刃物台41と、カバー体21とを有する。左ワーク主軸31、右ワーク主軸36および刃物台41は、工作エリア12に配置されている。工作エリア12は、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が工作エリア12の外側に漏出しないようにカバー体21により密閉されている。
【0017】
左ワーク主軸31および右ワーク主軸36は、ワークを保持可能である。左ワーク主軸31は、モータにより、Z軸に平行な回転中心軸210を中心に回転駆動する。左ワーク主軸31には、複数の爪部32を有し、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構が設けられている。各爪部32は、油圧等によって、回転中心軸210の半径方向にスライド駆動する。複数の爪部32は、回転中心軸210の半径方向内側にスライドすることによって、ワークの外周面を把持したり、回転中心軸210の半径方向外側にスライドすることによって、ワークの内周面を把持したりする。
【0018】
右ワーク主軸36は、Z軸方向において、左ワーク主軸31と対向して配置されている。右ワーク主軸36は、モータにより、Z軸に平行で、かつ、回転中心軸210と一直線に延びる回転中心軸220を中心に回転駆動する。右ワーク主軸36には、複数の爪部37を有し、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構が設けられている。複数の爪部37は、左ワーク主軸31における複数の爪部32に対応している。
【0019】
左ワーク主軸31は、固定されている。右ワーク主軸36は、各種の送り機構、案内機構およびモータによって、Z軸方向に移動可能である。
【0020】
刃物台41は、工具を保持可能である。刃物台41は、いわゆるタレット形であり、複数の工具が放射状に取り付けられ、旋回割り出しを行なう。
【0021】
刃物台41は、旋回部42を有する。旋回部42は、Z軸に平行な旋回中心軸230を中心に旋回可能である。旋回部42は、全体として、旋回中心軸230の軸方向が厚み方向となる円盤形状を有する。旋回部42の外周面には、旋回中心軸230の周方向に並んで複数の工具が保持されている。旋回部42の旋回動作に伴って、工具が旋回中心軸230の周方向に移動し、ワーク加工に用いられる工具が、旋回中心軸230の周方向における所定角度の位置に割り出される。
【0022】
刃物台41は、各種の送り機構、案内機構およびモータによって、X軸方向およびZ軸方向に移動可能である。
【0023】
工作機械10は、操作盤50をさらに有する。操作盤50は、汎用のコンピュータであり、本実施の形態における情報処理装置100に対応している。操作盤50は、上パネル51と、下パネル52とを有する。上パネル51は、マニュアルまたは各種のアプリケーション画面などを表示したり、アプリケーションを用いる場合に操作されたりするディスプレイ(タッチスクリーン)56を含む。下パネル52は、工作機械10の動作状態またはワークの加工状況を表示したり、工作機械10を動作させる場合に操作されるディスプレイ(タッチスクリーン)57と、工作機械10を動作させる場合に操作されるボタンまたはスイッチなどの操作部53とを含む。
【0024】
なお、工作機械10は、1つのワーク主軸のみを有してもよい。また、本発明における情報処理装置が搭載される工作機械は、旋盤に限られず、たとえば、停止するワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうミーリング機能と、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋削機能との両方が備わった複合加工機であってもよい。また、本発明における情報処理装置は、工作機械とは独立して設けられたコンピュータであってもよい。この場合に、情報処置装置は、無線または有線により工作機械と通信可能に構成されてもよい。
【0025】
図3は、ワークの三次元モデルの一例を示す斜視図である。
図4は、
図3中の三次元モデルから生成されるワークの二次元モデルを示す図である。
図5は、
図4中の2点鎖線Vで囲まれた範囲のワークの二次元モデルを示す図である。
【0026】
図2から
図5を参照して、情報処理装置100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コンピュータプロセッサなどの演算器、メモリまたはストレージといった記憶装置、ならびに、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアとによって実現されている。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、または、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、機能単位のブロックを示している。
【0027】
情報処理装置100は、受け付け部111と、処理部120と、記憶部150とを有する。
【0028】
受け付け部111は、所定軸310を中心に延びるワークWの三次元モデル400を受け付ける。処理部120は、三次元モデル400を所定軸310を含む平面により切断した二次元モデル500を生成するともに、二次元モデル500に表われるワークWの輪郭形状に基づいて、ワークWに加工サイクルを割り当てる。
【0029】
記憶部150は、各種プログラムモジュールを記憶している。情報処理装置100のプロセッサが、各種プログラムモジュールを実行することにより各部の機能を実現する。
【0030】
プログラムは、コンピュータである情報処理装置100に、所定軸310を中心に延びるワークWの三次元モデル400から、三次元モデル400を所定軸310を含む平面により切断した二次元モデル500を生成するステップと、二次元モデル500に表われるワークWの輪郭形状に基づいて、ワークWに加工サイクルを割り当てるステップとを実行させる。
【0031】
記憶部150は、加工サイクル割り当て規則151と、ワーク主軸割り当て規則152と、輪郭形状補間規則153とをさらに記憶している。
【0032】
加工サイクル割り当て規則151には、処理部120が、ワークWの輪郭形状に基づいてワークWに加工サイクルを割り当てる際の規則が定められている。ワーク主軸割り当て規則152には、処理部120が、ワークWの輪郭形状の加工に、左ワーク主軸31および右ワーク主軸36のいずれか一方のワーク主軸を割り当てる際の規則が定められている。輪郭形状補間規則153には、処理部120が、ワークWの輪郭形状を補間する際の規則が定められている。なお、加工サイクル割り当て規則151、ワーク主軸割り当て規則152および輪郭形状補間規則153の具体的な内容については、後で説明する。
【0033】
受け付け部111は、CAD(Computer Aided Design)装置により作成されたワークWの三次元モデル400を受け付ける。三次元モデル400は、ワークWの三次元形状と、ワークWの三次元形状の中心軸に対応する所定軸310とを含む。所定軸310は、CAD装置によるワークWの三次元形状の作図時の基準線であってもよい。ワークWのねじ部は、三次元モデル400において、ワークWの三次元形状として示されてもよいし、ワークWの三次元形状と関連付けられた付加情報として示されてもよい。受け付け部111は、受け付けたワークWの三次元モデル400を処理部120に出力する。
【0034】
三次元モデル400には、点、エッジおよび面などの三次元モデルを表現するための形状情報が含まれる。たとえば、エッジは、始点の位置(X1、Y1、Z1)および終点の位置(X2、Y2、Z2)により表現される。円弧は、始点、終点および中心の位置と、円弧が配置される平面の法線ベクトルと、円弧の回転方向とにより表現される。三次元モデル400は、データとして形状の位置を含むため、かかるデータを通じて1つの座標系を定義していることになる。
【0035】
三次元モデル400には、回転軸(所定軸310に対応)の情報が含まれる。たとえば、回転軸は、回転軸の基準点(X、Y、Z)と、回転軸の方向ベクトルとにより表現される。使用される座標系は、三次元モデル400で定義される上記の座標系である。
【0036】
図3中には、ワークWの三次元モデル400の一例が示されている。三次元モデル400は、所定軸310を中心に延びている。ワークWの三次元形状は、
図4中の2点鎖線により示されるワークWの母材160を所定軸310を中心に回転させ、工具を母材160に接触させる旋削加工によって得られる。回転軸(所定軸310)の基準点(0、0、0)と、回転軸(所定軸310)の方向ベクトル(0、0、1)とが定められる。
【0037】
処理部120は、第1処理部121と、第2処理部122とを有する。第1処理部121には、受け付け部111からのワークWの三次元モデル400が入力される。処理部120(第1処理部121)は、ワークWの輪郭形状に含まれる端点Pを特定し、隣接する端点間の区間S毎に加工サイクルを割り当てる。
【0038】
第1処理部121は、二次元モデル生成部131と、端点特定部132と、区間認定部133とを含む。
【0039】
二次元モデル生成部131は、三次元モデル400の所定軸310を、工作機械10における左ワーク主軸31の回転中心軸210、および、右ワーク主軸36の回転中心軸220に対応させる。二次元モデル生成部131は、三次元モデル400を所定軸310を含む平面(X軸-Z軸平面)により切断することによって、ワークWの二次元モデル500を生成する。二次元モデル生成部131は、生成したワークWの二次元モデル500を端点特定部132に出力する。
【0040】
二次元モデル500には、旋削加工により得られるワークWの輪郭形状が表われる。ワークWの輪郭形状は、
図4に示されるX≧0の範囲において、閉ループの経路(Z軸の軸上で延びる貫通孔を含む輪郭形状が対応)から構成されてもよいし、開ループの経路(Z軸の軸上で延びる貫通孔を含まない輪郭形状が対応)から構成されてもよい。
【0041】
図4中には、ワークWの二次元モデル500の輪郭形状が実線で示されるとともに、加工前のワークWの母材160の輪郭形状が2点鎖線により示されている。
図4中には、Z軸方向におけるワークWの一方端面と、所定軸310とが交わる点を原点として、二次元モデル500の寸法が合わせて示されている。
【0042】
図6は、
図4および
図5中の2次元モデルにおいて認定される区間と、各区間の始点および終点とを示す表である。
【0043】
図2から
図6を参照して、端点特定部132は、二次元モデル500の輪郭形状に含まれる端点Pを特定する。端点Pとは、角部であり、たとえば、X軸-Z軸座標において、傾きが互いに異なる2つの直線が交わる点、曲率が互いに異なる2つの円弧が交わる点、または、直線と円弧とが交わる点などである。端点特定部132は、特定した端点Pを区間認定部133に出力する。
【0044】
区間認定部133は、二次元モデル500の輪郭形状において隣接する端点Pの間に区間Sを認定する。
【0045】
図4から
図6に示されるように、端点特定部132は、二次元モデル500の輪郭形状に含まれる端点Pとして、端点P[0]、端点P[1]、端点P[2]、端点P[3]…端点P[N-1]および端点P[N]を特定している。端点P[0]、端点P[1]、端点P[2]、端点P[3]…端点P[N-1]および端点P[N]は、二次元モデル500の輪郭形状の経路上において、挙げた順に並んでいる。本実施の形態では、二次元モデル500の輪郭形状が閉ループの経路から構成されるため、端点P[N]および端点P[0]が隣接している。
【0046】
区間認定部133は、隣接する端点Pの間の区間Sとして、区間Sa、区間Sb、区間Sc、区間Sd、区間Se、区間Sf、区間Sg、区間Sh、区間Si、区間Sj、区間Sk、区間Sm、区間Sn、区間Spおよび区間Sqを認定している。区間Sa、区間Sb、区間Sc、区間Sd、区間Se、区間Sf、区間Sg、区間Sh、区間Si、区間Sj、区間Sk、区間Sm、区間Sn、区間Spおよび区間Sqは、二次元モデル500の輪郭形状の経路上において、挙げた順に並んでいる。
【0047】
区間Saは、端点P[0]および端点P[1]の間の区間であり、X軸方向に延びるワークWの右端面の輪郭形状に対応している。区間Sbは、端点P[1]および端点P[2]の間の区間であり、ワークWの面取り部の輪郭形状に対応している。区間Scは、端点P[2]および端点P[3]の間の区間であり、Z軸方向に延びるワークWの外周面の輪郭形状に対応している。
【0048】
区間Sdは、Z軸方向およびX軸方向に対して斜め方向に延びるワークWの外周面の輪郭形状に対応している。区間Seは、ワークWのねじ部の輪郭形状に対応している。区間Sfは、Z軸方向およびX軸方向に対して斜め方向に延びるワークWの溝側面の輪郭形状に対応している。区間Sgは、Z軸方向に延びるワークWの溝底面の輪郭形状に対応している。区間Shは、X軸方向に延びるワークWの溝側面の輪郭形状に対応している。区間Siは、ワークWの面取り部の輪郭形状に対応している。
【0049】
区間Sjは、Z軸方向に延びるワークWの外周面の輪郭形状に対応している。区間Skは、X軸方向に延びるワークWの左端面の輪郭形状に対応している。区間Smは、Z軸方向に延びるワークWの内周面の輪郭形状に対応している。区間Snは、Z軸方向およびX軸方向に対して斜め方向に延びるワークWの内周面の輪郭形状に対応している。
【0050】
区間Spは、端点P[N-1]および端点P[N]の間の区間であり、Z軸方向に延びるワークWの内周面の輪郭形状に対応している。区間Sqは、端点P[N]および端点P[0]の間の区間であり、ワークWの面取り部の輪郭形状に対応している。区間Sqの終点は、区間Saの始点に対応している。区間S(Sa~Sq)が順に並ぶ方向は、反時計回り等の一方向に標準化されてもよい。最初の区間Saは、Z軸座標が最大となる位置に配置されるように標準化されてもよい。
【0051】
第1処理部121は、認定した区間Sの情報とともに、二次元モデル500を第2処理部122に出力する。
【0052】
図7は、
図6中の各区間に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸を示す表である。
図2から
図7を参照して、第2処理部122は、割り当て部141と、補間部142とを有する。
【0053】
割り当て部141は、記憶部150から加工サイクル割り当て規則151を読み出す。割り当て部141は、加工サイクル割り当て規則151に定められる加工サイクルおよび輪郭形状の対応関係に従って、区間Sa~区間Sqの各区間Sに、加工サイクルを割り当てる。加工サイクルは、外径加工、内径加工、端面加工、溝加工およびねじ加工の少なくとも1つを含む。
【0054】
加工サイクル割り当て規則151に定められる加工サイクルおよび輪郭形状の対応関係の一例は、下記のとおりである。
(1)内径加工:X軸方向において所定軸310と対向する輪郭形状
(2)外径加工:X軸方向において、二次元モデル500を挟んで所定軸310の反対側に配置される輪郭形状
(3)端面加工:Z軸方向における端部に配置され、Z軸方向に対して交差する方向に延びる輪郭形状
(4)溝加工:内径加工、外径加工または端面加工に割り当てられた輪郭形状から凹む溝形状をなす輪郭形状(溝加工に用いられる各種工具の刃先寸法が考慮されてもよい)
(5)ねじ加工:ねじ形状をなす輪郭形状、または、付加情報によりねじ形状が示された輪郭形状
図7に示されるように、割り当て部141は、区間Sa~Sqの輪郭形状を上記の加工サイクルおよび輪郭形状の対応関係に照らし合わせることによって、区間Saおよび区間Skに「端面加工」を割り当て、区間Sf、区間Sg、区間Shおよび区間Siに「溝加工」を割り当て、区間Sb、区間Sc、区間Sdおよび区間Sjに「外径加工」を割り当て、区間Sm、区間Sn、区間Spおよび区間Sqに「内径加工」を割り当て、区間Seに「ねじ加工」を割り当てる。
【0055】
割り当て部141は、ワーク主軸割り当て規則152に定められるワーク主軸および輪郭形状の対応関係に従って、区間Sa~区間Sqの各区間Sの加工時にワークWを保持するワーク主軸として、左ワーク主軸31および右ワーク主軸36のうちのいずれか一方を割り当てる。
【0056】
ワーク主軸割り当て規則152に定められるワーク主軸および輪郭形状の対応関係の一例は、以下のとおりである。
(1)左ワーク主軸31:
(a) 内径加工が割り当てられる場合に、X軸方向における所定軸310からの距離が最小となる最小内径部を基準に+Z軸方向の側に配置される輪郭形状。
(b) 外径加工が割り当てられる場合に、X軸方向における所定軸310からの距離が最大となる最大外径部を基準に+Z軸方向の側に配置される輪郭形状。
(c) 端面加工が割り当てられる場合に、+Z軸方向における端部に配置される輪郭形状。
(d) 溝加工が割り当てられる場合、および、ねじ加工が割り当てられる場合に、当該輪郭形状の位置を上記の(a)~(c)の規則に準じて判断。
(2)右ワーク主軸36:
(a) 内径加工が割り当てられる場合に、X軸方向における所定軸310からの距離が最小となる最小内径部を基準に-Z軸方向の側に配置される輪郭形状。
(b) 外径加工が割り当てられる場合に、X軸方向における所定軸310からの距離が最大となる最大外径部を基準に-Z軸方向の側に配置される輪郭形状。
(c) 端面加工が割り当てられる場合に、-Z軸方向における端部に配置される輪郭形状。
(d) 溝加工が割り当てられる場合、および、ねじ加工が割り当てられる場合に、当該輪郭形状の位置を上記の(a)~(c)の規則に準じて判断。
【0057】
割り当て部141は、区間Sa~Sqの輪郭形状を上記のワーク主軸および輪郭形状の対応関係に照らし合わせることによって、区間Sa、区間Sf、区間Sg、区間Sh、区間Si、区間Sb、区間Sc、区間Sd、区間Sn、区間Sp、区間Sqおよび区間Seの加工時にワークWを保持するワーク主軸として、左ワーク主軸31を割り当て、区間Sk、区間Sjおよび区間Smの加工時にワークWを保持するワーク主軸として、右ワーク主軸36を割り当てる。
【0058】
図8は、補間後のワークの輪郭形状を示す図である。
図8中には、
図5に対応する範囲のワークWの輪郭形状が示されている。
図9は、補間後のワークの輪郭形状に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸を示す表である。
【0059】
図2から
図9を参照して、処理部120(第2処理部122)は、溝加工またはねじ加工が割り当てられた特定の区間SでワークWの輪郭形状を補間するとともに、補間後のワークWの輪郭形状に、外径加工、内径加工または端面加工を割り当てる。
【0060】
補間部142は、上記の特定の区間Sとして、ねじ加工が割り当てられた区間Seと、溝加工に割り当てられた区間Sf、区間Sg、区間Shおよび区間Siとを抽出する。補間部142は、記憶部150から輪郭形状補間規則153を読み出す。補間部142は、輪郭形状補間規則153に定められるねじ形状の補間規則に従って、区間Seの輪郭形状を補間し、輪郭形状補間規則153に定められる溝形状の補間規則に従って、区間Sf、区間Sg、区間Shおよび区間Siの輪郭形状を補間する。
【0061】
輪郭形状補間規則153に定められるねじ形状および溝形状の補間規則の一例は、以下のとおりである。
(1)ねじ形状の補間:ねじ形状の谷部分を埋めるように直線を引く(ねじ形状を、ねじ山の頂部を結び、Z軸方向に延びる直線に書き換える)。
(2)溝形状の補間:溝形状がなす凹部を埋めるように直線を引く(溝加工が割り当てられた特定の区間Sの始点または終点から、その始点または終点に連なる区間Sの輪郭形状を延長する)。
【0062】
図5および
図8に示されるように、補間後のワークWの輪郭形状は、区間Se、区間Sf、区間Sgおよび区間Shに替わって、区間Srおよび区間Stを含む。区間Srは、端点P[n]および端点P[n+1]の間の区間であって、Z軸方向に延びるワークWの外周面の輪郭形状に対応している。端点P[n]は、区間Sdの終点である。端点P[n+1]は、区間Shの直線上の点である。区間Stは、端点P[n+1]および端点P[n+2]の間の区間であって、X軸方向に延びるワークWの立ち上がり面の輪郭形状に対応している。端点P[n+2]は、区間Siの始点である。補間後の区間Srの輪郭形状は、
図5中の区間Seにおけるねじ形状の谷部分と、
図5中の区間Sf、区間Sg、区間Shおよび区間Siにおける溝形状の凹部とを埋めるように延びている。
【0063】
割り当て部141は、加工サイクル割り当て規則151に定められる加工サイクルおよび輪郭形状の対応関係に従って、補間後のワークWの輪郭形状に、外径加工、内径加工または端面加工を割り当てる。
図9に示されるように、割り当て部141は、区間Sb、区間Scおよび区間Sdに連なって、区間Srおよび区間Stに外径加工を割り当てる。
【0064】
図10は、ワークの輪郭形状に最終的に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸を示す表である。
図10を参照して、処理部120は、二次元モデル500の輪郭形状とともに、ワークWに最終的に割り当てられた加工サイクルおよびワーク主軸をディスプレイ56に表示させる。
【0065】
図11は、この発明の実施の形態における加工サイクルの割り当て方法のステップを示すフローチャートである。
【0066】
図2および
図11を参照して、情報処理装置100は、ワークWの三次元モデル400を受け付ける(S101)。本ステップでは、オペレータが、CAD装置で作成した三次元モデル400を情報処理装置100に入力する。受け付け部111は、その三次元モデル400を受け付ける。
【0067】
次に、情報処理装置100は、二次元モデル500を生成する(S102)。本ステップでは、二次元モデル生成部131が、三次元モデル400を所定軸310を含む平面により切断することによって、ワークWの二次元モデル500を生成する。
【0068】
次に、情報処理装置100は、端点Pを特定する(S103)。本ステップでは、端点特定部132が、二次元モデル500の輪郭形状に含まれる端点P[0]、端点P[1]、端点P[2]、端点P[3]…端点P[N-1]および端点P[N]を特定する。
【0069】
次に、情報処理装置100は、区間Sを認定する(S104)。本ステップでは、区間認定部133が、二次元モデル500の輪郭形状において隣接する端点Pの間の区間Sとして、区間Sa、区間Sb、区間Sc、区間Sd、区間Se、区間Sf、区間Sg、区間Sh、区間Si、区間j、区間Sk、区間Sm、区間Sn、区間Spおよび区間Sqを認定する。
【0070】
次に、情報処理装置100は、加工サイクルおよびワーク主軸を割り当てる(S105)。本ステップでは、割り当て部141が、加工サイクル割り当て規則151に定められる加工サイクルおよび輪郭形状の対応関係に従って、S104のステップで認定した各区間Sに、加工サイクルを割り当てる。割り当て部141は、ワーク主軸割り当て規則152に定められるワーク主軸および輪郭形状の対応関係に従って、左ワーク主軸31および右ワーク主軸36のうちから、S104のステップで認定した各区間Sの加工時にワークWを保持するワーク主軸を割り当てる。
【0071】
次に、情報処理装置100は、ワークWの輪郭形状に、溝加工サイクルまたはねじ加工サイクルが含まれるか否かを判断する(S106)。本ステップにおいて、情報処理装置100が、溝加工サイクルおよびねじ加工サイクルが含まれないと判断した場合、後述するS109のステップに進む。
【0072】
S106のステップで、情報処理装置100が溝加工サイクルまたはねじ加工サイクルが含まれると判断した場合、情報処理装置100は、該当する特定の区間を抽出し(S107)、抽出した特定の区間の輪郭形状を補間する(S108)。本ステップでは、補間部142が、ねじ加工が割り当てられた区間Seと、溝加工に割り当てられた区間Sf、区間Sg、区間Shおよび区間Siとを抽出する。補間部142は、輪郭形状補間規則153に定められるねじ形状の補間規則に従って、区間Seの輪郭形状を補間し、輪郭形状補間規則153に定められる溝形状の補間規則に従って、区間Sf、区間Sg、区間Shおよび区間Siの輪郭形状を補間する。
【0073】
次に、情報処理装置100は、S105のステップに戻って、補間後のワークWの輪郭形状に加工サイクルを割り当てる。次に、情報処理装置100は、補間後のワークWの輪郭形状に、溝加工サイクルまたはねじ加工サイクルが含まれるか否かを判断し(S106)、溝加工サイクルおよびねじ加工サイクルが含まれないと判断した場合に、S109のステップに進む。
【0074】
次に、情報処理装置100は、ワークWの輪郭形状とともに、割り当てた加工サイクルおよびワーク主軸をディスプレイ56に表示する(S110)。オペレータは、操作盤50の操作を通じて、ディスプレイ56に表示された加工サイクルおよびワーク主軸を承認することによって、NCプログラムの作成に進む。オペレータは、ディスプレイ56に表示された加工サイクルおよびワーク主軸を承認しない場合、操作盤50の操作を通じて、各区間Sの加工サイクルの割り当てを修正してもよい。
【0075】
このように構成された、この発明の実施の形態における情報処理装置100および加工サイクルの割り当て方法では、ワークWの三次元モデル400を所定軸310を含む平面により切断した二次元モデル500を生成し、生成した二次元モデル500に表われるワークWの輪郭形状に基づいて、ワークWに加工サイクルを割り当てる。このような構成によれば、ワークWの輪郭形状と、その輪郭形状の加工に用いられる加工サイクルとの関係は、一義的に定めることが可能であるため、二次元モデル500に表われるワークWの輪郭形状に対応した加工サイクルをワークWに割り当てることができる。これにより、加工サイクルの割り当てを簡易かつ適切に実行することができる。
【0076】
また、処理部120は、ワークWの輪郭形状に含まれる端点Pを特定し、隣接する端点Pの区間S毎に加工サイクルを割り当てる。このような構成によれば、ワークWの輪郭形状に含まれる端点P間の区間Sを、加工サイクルを割り当てる単位とみなすことで、加工サイクルの割り当てをさらに簡易かつ適切に実行することができる。
【0077】
また、加工サイクルは、外径加工、内径加工、端面加工、溝加工およびねじ加工の少なくとも1つを含む。このような構成によれば、ワークWの輪郭形状に、外径加工、内径加工、端面加工、溝加工またはねじ加工といった加工サイクルを、簡易かつ適切に割り当てることができる。
【0078】
また、処理部120は、溝加工またはねじ加工が割り当てられた特定の区間SでワークWの輪郭形状を補間するとともに、補間後のワークWの輪郭形状に、外径加工、内径加工または端面加工を割り当てる。このような構成によれば、ワークWの輪郭形状に、溝加工またはねじ加工の前段階で必要となる外径加工、内径加工または端面加工を割り当てることができる。
【0079】
(実施の形態2)
本実施の形態では、
図11中の各ステップの別の実施態様について説明する。
図4および
図11を参照して、まず、加工サイクルの割り当てのステップ(S105)について説明する。
【0080】
情報処理装置100(割り当て部141)は、各区間Sが、ねじであるという情報(ユーザがGUI(Graphical User Interface)を用いて手動で設定、または、ワークWの三次元形状と関連付けられた付加情報から取得)を有しているか否かを判断する。情報処理装置100(割り当て部141)は、ねじであるという情報を有する区間Sにねじ加工のサイクルを割り当てる。
【0081】
次に、情報処理装置100(割り当て部141)は、残る各区間Sが、Z軸座標が最大値または最小値であり、かつ、X軸に平行な線分に対応するか否かを判断する。情報処理装置100(割り当て部141)は、対応する区間Sに端面加工の加工サイクルを割り当てる。
【0082】
次に、情報処理装置100(割り当て部141)は、残る各区間Sが、X座標がゼロであり、かつ、Z軸方向に平行な線分に対応するか否かを判断する。情報処理装置100(割り当て部141)は、対応する区間Sに加工サイクルを割り当てない(加工不要な区間に対応)。
【0083】
次に、情報処理装置100(割り当て部141)は、残る各区間Sが、溝加工部であるか否かを判断し(端面、外径または内径であり、さらに加工方向に鑑みて判断、または、形状認識モジュールを用いた判断も可能)、対応する区間Sに溝加工のサイクルを割り当てる。
【0084】
次に、情報処理装置100(割り当て部141)は、残る各区間Sが、二次元モデル500におけるワークWの輪郭形状の外側に配置されるか、内側に配置されるかを判断する。一例として、情報処理装置100(割り当て部141)は、二次元モデル500におけるワークWの輪郭形状を、Z軸の最大値と最小値との間で2分割し、分割するZ軸座標上において、相対的に大きいX軸座標を有する区間Sが外側に配置され、相対的に小さいX軸座標を有する区間Sが内側に配置されると判断する。情報処理装置100(割り当て部141)は、外側に配置される区間Sに外径加工のサイクルを割り当て、内側に配置される区間Sに内径加工のサイクルを割り当てる。
【0085】
続いて、ワーク主軸の割り当てのステップ(S105)について説明する。端面に対する溝加工の場合、情報処理装置100(割り当て部141)は、加工方向により判断する。情報処理装置100(割り当て部141)は、工具軸方向が+Z軸方向である場合に、左ワーク主軸31を割り当て、工具軸方向が-Z軸方向である場合に、右ワーク主軸36を割り当てる。
【0086】
端面加工の場合、情報処理装置100(割り当て部141)は、Z軸座標に基づいて判断する。情報処理装置100(割り当て部141)は、Z軸座標が最大値である端面加工である場合に、左ワーク主軸31を割り当て、Z軸座標が最小値である端面加工に、右ワーク主軸36を割り当てる。
【0087】
内径加工および外径加工の場合、ユーザにより、基準となるZ軸座標が予め設定される。たとえば、
図4中において、-45mmの位置に基準となるZ軸座標が設定されてもよい。基準となるZ軸座標は、内径加工における設置値と、外径加工における設定値との間で異なってもよい。情報処理装置100(割り当て部141)は、基準となるZ軸座標よりもプラス側の加工に、左ワーク主軸31を割り当て、基準となるZ軸座標よりもマイナス側の加工に、右ワーク主軸36を割り当てる。
【0088】
続いて、溝加工サイクルが割り当てられた区間Sの輪郭形状を補間するステップ(S108)について説明する。
【0089】
図12および
図13は、溝加工サイクルが割り当てられた区間(単純な線分のみから構成される外径溝)を補間するステップを説明するための図である。
図12および
図13中では、左ワーク主軸31により保持されたワークにおいて、単純な線分のみから構成される外径溝を補間する場合が想定されている。
【0090】
図12および
図13を参照して、溝加工サイクルが割り当てられ、補間の対象となる区間S(Sf~Si)が示されている。端点p1および端点p2の間に区間Sfが認定され、端点p2および端点p3の間に区間Sgが認定され、端点p3およびp4の間に区間Shが認定され、端点p4および端点p5の間に区間Siが認定されている。
【0091】
情報処理装置100(補間部142)は、補間の対象となる区間S(Sf~Si)の最大傾きを設定する。最大傾きは、Z軸-X軸座標においてゼロに設定されてもよいし、工具のポケット角を参照して設定されてもよいし、ユーザにより手動で設定されてもよい。
【0092】
次に、情報処理装置100(補間部142)は、区間S(Sf~Si)の輪郭形状において、上記設定された最大傾きの直線と接する点があればその接点paを求める。情報処理装置100(補間部142)は、接点paと接し、上記設定された最大傾きの直線61と、直線61が、接点paから続く輪郭形状と最初に交わる第1交点pbとを特定する。
【0093】
次に、情報処理装置100(補間部142)は、第1交点paにより、区間S(Sf~Si)を、区間Sf、区間Sgおよび区間Sh(端点p3~第1交点pb)と、区間Sh(第1交点pb~端点p4)および区間Siとに分割する。情報処理装置100(補間部142)は、区間Sf、区間Sgおよび区間Sh(端点p3~第1交点pb)を、直線61により補間する。
【0094】
次に、情報処理装置100(補間部142)は、第1交点pbから続く輪郭形状が、上記設定された最大傾き以上の第1範囲62に配置されるか、上記設定された最大傾き未満の第2範囲63に配置されるかを判断する。
【0095】
情報処理装置100(補間部142)は、第1交点pbから続く輪郭形状が第2範囲63に配置されると判断する。この場合に、情報処理装置100(補間部142)は、区間Sh(第1交点pb~端点p4)および区間Siの輪郭形状を維持する。結果、
図13に示されるように、区間S(Sf~Si)は、端点p1(接点pa)、第1交点pb、端点p4および端点p5を順に通る輪郭形状に補間される。
【0096】
一方、情報処理装置100(補間部142)が、第1交点pbから続く輪郭形状が上記設定された最大傾き以上の第1範囲62に配置されると判断した場合、第1交点pbから続く輪郭形状の始点を通り、上記設定された最大傾きの直線と、その直線が、第1交点pbから続く輪郭形状と最初に交わる第2交点とを特定する。以降、上記のステップを繰り返す。
【0097】
図14および
図15は、溝加工サイクルが割り当てられた区間(曲線を含む外径溝)を補間するステップを説明するための図である。
図14および
図15中では、左ワーク主軸31により保持されたワークにおいて、曲線を含む外径溝を補間する場合が想定されている。
【0098】
図14および
図15を参照して、補間の対象となる区間Sが曲線を含む外径溝である場合であっても、情報処理装置100(補間部142)は、その区間Sの輪郭形状において、最大傾きの直線と接する点があればその接点paを求める。情報処理装置100(補間部142)は、接点paと接し、最大傾きの直線61と、直線61が、接点paから続く輪郭形状と最初に交わる第1交点pbとを特定する。他のステップは、
図12および
図13を参照して説明したステップと同様である。
【0099】
なお、
図8に示される区間S(Sf~Si)の補間では、補間する区間Sの最大傾きが0°に設定されている。
図12から
図15では、左ワーク主軸31により保持されたワークの外径溝を補間する場合を想定したが、ワークが右ワーク主軸36により保持される場合、または、内径溝を補間する場合にも、上記と同様の方法を適用することができる。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
10 工作機械、12 工作エリア、21 カバー体、31 左ワーク主軸、32,37 爪部、36 右ワーク主軸、41 刃物台、42 旋回部、50 操作盤、51 上パネル、52 下パネル、53 操作部、56,57 ディスプレイ、61 直線、62 第1範囲、63 第2範囲、100 情報処理装置、111 受け付け部、120 処理部、121 第1処理部、122 第2処理部、131 二次元モデル生成部、132 端点特定部、133 区間認定部、141 割り当て部、142 補間部、150 記憶部、151 加工サイクル割り当て規則、152 ワーク主軸割り当て規則、153 輪郭形状補間規則、160 母材、210,220 回転中心軸、230 旋回中心軸、310 所定軸、400 三次元モデル、500 二次元モデル、P 端点、S,Sa,Sb,Sc,Sd,Se,Sf,Sg,Sh,Si,Sj,Sk,Sm,Sn,Sp,Sq,Sr,St,j 区間、W ワーク。
【要約】
【課題】加工サイクルの割り当てが簡易かつ適切に実行される情報処理装置、加工サイクルの割り当て方法およびプログラム、を提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、所定軸を中心に延びるワークの三次元モデルを受け付ける受け付け部111と、三次元モデルを所定軸を含む平面により切断した二次元モデルを生成するともに、二次元モデルに表われるワークの輪郭形状に基づいて、ワークに加工サイクルを割り当てる処理部120とを備える。
【選択図】
図2