(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】側壁部の形成方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/30 20060101AFI20241210BHJP
B21D 22/26 20060101ALI20241210BHJP
B21D 5/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B21D22/30 B
B21D22/26 C
B21D5/01 E
(21)【出願番号】P 2024547146
(86)(22)【出願日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2024013044
【審査請求日】2024-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2023076995
(32)【優先日】2023-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一田 剛
(72)【発明者】
【氏名】鍵谷 二朗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛士
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164919(JP,A)
【文献】国際公開第2014/109240(WO,A1)
【文献】特開平8-309469(JP,A)
【文献】特開平7-124657(JP,A)
【文献】国際公開第2014/65290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/30
B21D 22/26
B21D 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部及び前記天板部の端部から所定の角度である第1角度にて立設された側壁部を備える製品を常温におけるプレス加工によって板状の素材から一体的に成形する工法における側壁部の形成方法であって、
曲げ加工及び/又は絞り加工によって前記素材の端部を前記第1角度に折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材を得る第1工程、
前記中間素材の前記天板部の外側に配設された第1保持部材と前記中間素材の前記天板部の内側に配設された第2保持部材との間に前記中間素材の前記天板部を挟持する第2工程、並びに
スプリングバックにより前記中間素材の前記側壁部が開いて前記中間素材の前記天板部と前記側壁部とがなす角度であるフランジ角度が前記第1角度よりも大きい角度となっている状態である第1状態にあった前記中間素材の前記側壁部を前記フランジ角度が前記第1角度に一致するまで押し戻した状態である第2状態とし、前記第2状態を維持したまま前記中間素材の前記側壁部の先端側の端部である第1端部を基端側に向かって押圧する第3工程、
を含
み、
所定の形状を有するパンチを前記中間素材に対して所定の方向である第1方向に進行させることによって前記第3工程が実行され、
前記第1方向は、前記第2状態における前記中間素材の前記側壁部の前記先端側から前記基端側へと向かう方向に対して平行な方向であり、
前記第2状態における前記中間素材の前記側壁部に対向する前記パンチの側面には、先端側の端部に形成され且つ前記第1方向に対して所定の角度にて傾斜した斜面である第1面と、前記第1面の基端側に隣接し且つ前記第2状態における前記中間素材の前記側壁部の外面に対応する形状を有する面である第2面と、前記第2面の基端側に隣接し且つ前記第2状態における前記中間素材の前記第1端部に当接可能な形状を有する面である第3面と、が設けられており、
前記第3工程において、前記パンチを前記第1方向に進行させることに伴って、
前記第1端部を前記第1面に当接させ、
前記第1端部を前記第1面にて摺動させることにより前記フランジ角度を前記第1角度に一致させて前記第2状態を達成し、
前記中間素材の前記側壁部の前記外面にて前記第2面を摺動させることにより前記第2状態を維持しつつ前記第1端部を前記第3面に当接させ、
前記第1端部を前記第3面によって前記基端側に向かって押圧する、
ことを特徴とする、側壁部の形成方法。
【請求項2】
請求項
1に記載された側壁部の形成方法であって、
前記第3工程において、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材並びに前記パンチの前記第2面及び前記第3面によって画定された閉塞空間の内部に前記中間素材の前記側壁部の少なくとも前記第1端部を含む部分が収容された状態において前記第3面によって前記第1端部を前記基端側に向かって押圧する、
ことを特徴とする、側壁部の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側壁部の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば
図1に例示するように天板部210及び天板部210の端部から略直角に立設された側壁部(フランジ部)220を備える製品200を図示しない板状の素材からプレス加工によって一体的に成形する場合、曲げ加工及び/又は絞り加工によって側壁部を形成する工程である「曲げ工程」が一般的に行われている。
図2の(a)は、斯かる曲げ工程の一例を示す模式的な断面図である。但し、
図2には、素材100の全体ではなく、製品200の1つの側壁部220が曲げ工程によって成形される部分のみが描かれている。
【0003】
図2の(a)に示す例においては、第1下型ダイ11と第1パッド21との間に挟持された板状の素材100の第1下型ダイ11と第1パッド21との間から突出した端部が図中に示す白抜きの矢印の方向に駆動される第1曲げ刃31によって略直角に折り曲げられる。その結果、側壁部が一体的に成形された第1中間素材110が製造される。
【0004】
しかしながら、
図2の(a)の右側に例示するように、曲げ工程の完了後に第1中間素材110を型から取り出した際に、スプリングバックにより側壁部が開き、天板部と側壁部とがなす角度(以降、「フランジ角度」と称される場合がある。)が略直角よりも大きくなる場合がある。そのため、曲げ工程の後にスプリングバックにより側壁部が開いた結果としてフランジ角度が略直角となるように、「寄成形工程」と称される工程が追加工として広く行われている。寄成形工程とは、スプリングバックにより側壁部が開く角度(以降、「スプリングバック量」と称される場合がある。)に応じた角度だけ直角よりも小さい角度(鋭角)である寄成形角度にフランジ角度が到達するまで側壁部を押し込むことによりスプリングバック量を相殺する工程である。
【0005】
図2の(b)は、上記のような寄成形工程の一例を示す模式的な断面図である。
図2の(b)に示す例においては、第1中間素材110の屈曲部(天板部と側壁部との境界部分)に対向する角の角度が鋭角の寄成形角度となっている第2下型ダイ12と第1パッド21との間に天板部が挟持された第1中間素材110の側壁部が図中に示す白抜きの矢印の方向に駆動される第2曲げ刃32によって押し込まれる。その結果、天板部と側壁部とがなす角度(フランジ角度)が寄成形角度(鋭角)となった第2中間素材120が製造される。しかしながら、
図2の(b)の右側に例示するように、寄成形工程の完了後に中間素材120を型から取り出した際に、スプリングバックにより側壁部が開き、フランジ角度が略直角となることができる。
【0006】
しかしながら、例えば素材を構成する材料、成形しようとする製品の形状及び/又は加工条件等によりスプリングバック量が異なるため、寄成形角度を適切に設定するためには、製品毎にスプリングバック量を入念に見積もる必要がある。また、このようにして寄成形角度を適切に設定しても、大量生産において個々の加工品毎のバラツキを完全に排除することは困難である。そのため、ある程度のバラツキを見込んで目標とする形状よりも側壁部が長くなるように成形した後に余剰部分を側壁部から切除する工程である「寄端切工程」が追加工として広く行われている。
【0007】
図2の(c)は、上記のような寄端切工程の一例を示す模式的な断面図である。
図2の(c)に示す例においては、第3下型ダイ13と第1パッド21との間に天板部が挟持され且つ第3下型ダイ13と第2パッド22との間に側壁部が挟持された中間素材120の側壁部の先端に位置する余剰部分が図中に示す白抜きの矢印の方向に駆動される第1パンチ41と第3下型ダイ13とによって切断される。その結果、中間素材120の側壁部の先端からスクラップ300が切り取られ、
図1に例示したような天板部210及び天板部210の端部から略直角に立設され且つ所期の長さを有する側壁部220を備える製品200が一体的に成形される。しかしながら、上記のように寄端切工程においてスクラップ300を切り取ることは資源の浪費に繋がり、製品歩留まりの悪化を招く。
【0008】
また、
図1に例示した製品200のように側壁部220の長さが短い場合、上述した寄端切工程において使用される第3下型ダイ13の厚さ(側壁部の延在方向における寸法)を小さくする必要がある。即ち、製品200のように側壁部220に求められる長さに応じて第3下型ダイ13を薄くする必要があるので、スクラップ300を第1パンチ41によって切り取る際に作用する応力及び/又は衝撃に耐え得る耐久性を有するように第3下型ダイ13を構成することが困難となる場合がある
【0009】
一方、特許文献1(特開2001-225111号公報)及び特許文献2(特開2014-91140号公報)には、曲げ加工及び/又は絞り加工によって側壁部が形成された略U字状の断面を有する素材を型の内部において拘束し、側壁部の先端を基端側に向かって叩く(押圧する)所謂「コイニング加工」を行う工法が開示されている。斯かる工法によれば、側壁部の先端形状における寸法精度を高めると共に、十分な圧縮残留応力を与えて疲労強度の向上を図ることができるとされている。しかしながら、当該工法においては、前述したように曲げ工程の完了後に製品を型から取り出した際にスプリングバックにより側壁部が開いてフランジ角度が所定の角度(例えば、略直角)よりも大きくなるという問題については何ら考慮されていない。
【0010】
更に、特許文献3(特開2014-221493号公報)には、多段に亘る温間プレス加工により天板部と天板部から立設される側壁部とを具える箱体をマグネシウム等の特定の材料からなる金属板から成形する工法が開示されている。当該工法によれば、曲げ加工及び/又は絞り加工とコイニング加工とを同時に行うことにより鋭利な角部を有する箱体を提供することができるとされている。しかしながら、当該工法においてもまた、前述したように曲げ工程の完了後に製品を型から取り出した際にスプリングバックにより側壁部が開いてフランジ角度が所定の角度(例えば、略直角)よりも大きくなるという問題については何ら考慮されていない。
【0011】
以上のように、当該技術分野においては、天板部及び天板部の端部から所定の角度(例えば、略直角)にて立設された側壁部(フランジ部)を備える製品を一般的な材料からなる素材から常温におけるプレス加工によって一体的に成形する工法において、上述した寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減することが可能な技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2001-225111号公報
【文献】特開2014-91140号公報
【文献】特開2014-221493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したように、当該技術分野においては、天板部及び天板部の端部から所定の角度(例えば、略直角)にて立設された側壁部(フランジ部)を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって一体的に成形する工法において、上述した寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減することが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、素材の端部を所定の第1角度に折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材の天板部を挟持し、スプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が第1角度よりも大きい角度となっていた中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度に一致するまで押し戻したままの状態を維持しつつ中間素材の側壁部の先端側の端部を基端側に向かって押圧することにより、天板部と側壁部とがなす角度が第1角度よりも小さい角度となるまで側壁部を押し込む工程である寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減することができることを見出した。
【0015】
具体的には、本発明に係る側壁部の形成方法(以降、「本発明方法」と称呼される場合がある。)は、天板部及び天板部の端部から所定の角度である第1角度にて立設された側壁部を備える製品を常温におけるプレス加工によって板状の素材から一体的に成形する工法における側壁部の形成方法である。本発明方法は、以下に列挙する第1工程乃至第3工程を含む。
【0016】
第1工程は、曲げ加工及び/又は絞り加工によって素材の端部を第1角度に折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材を得る工程である。
【0017】
第2工程は、中間素材の天板部の外側に配設された第1保持部材と中間素材の天板部の内側に配設された第2保持部材との間に中間素材の天板部を挟持する工程である。
【0018】
第3工程は、第1状態にあった中間素材の側壁部を第2状態とし、第2状態を維持したまま中間素材の側壁部の先端側の端部である第1端部を基端側に向かって押圧する工程である。第1状態は、スプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて中間素材の天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が第1角度よりも大きい角度となっている状態である。第2状態は、中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度に一致するまで押し戻した状態である。
【発明の効果】
【0019】
本発明方法においては、上述したように、第3工程において、スプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が目的とする第1角度よりも大きい角度となっていた中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度になるまで押し戻した状態に維持しつつ側壁部の先端側の端部を基端側に向かって押圧する。これにより、中間素材のスプリングバックの原因となる残留応力が解消又は低減され、目的とする第1角度にフランジ角度が一致する製品を形成することができる。
【0020】
即ち、本発明方法によれば、天板部及び天板部の端部から所定の角度(例えば、略直角)にて立設された側壁部(フランジ部)を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって一体的に成形する工法において、前述した寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減することができる。
【0021】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】天板部及び天板部の端部から略直角に立設された側壁部を備える製品の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図2】天板部の端部から略直角に立設された側壁部を成形する従来技術に係る工法の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る側壁部の形成方法(第1方法)に含まれる各工程の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】第1方法によって板状の素材から天板部及び側壁部を備える製品への成形過程における形状の変化等を例示する模式図である。
【
図5】第1工程において素材の端部を第1角度に折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材を得るための1つの具体的な手段を例示する模式図である。
【
図6】第3工程において第1状態にある中間素材の側壁部を押し戻して第2状態としつつ側壁部の先端側の端部(第1端部)を基端側に向かって押圧するための1つの具体的な手段を例示する模式図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る側壁部の形成方法(第2方法)において所定の形状を有するパンチを所定の方向である第1方向に進行させることによって第3工程が実行される様子を例示する模式図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る側壁部の形成方法(第3方法)に含まれる第3工程において中間素材の側壁部の少なくとも第1端部を含む部分が閉塞空間の内部に収容された状態において第1端部が基端側に向かって押圧される様子を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る側壁部の形成方法(以降、「第1方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0024】
〈構成〉
第1方法は、天板部及び天板部の端部から所定の角度である第1角度にて立設された側壁部を備える製品を常温におけるプレス加工によって板状の素材から一体的に成形する工法における側壁部の形成方法である。素材を構成する材料は、曲げ加工及び/又は絞り加工によって端部を折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材を得ることが可能である限り、特に限定されない。斯かる材料の具体例としては、例えば、ステンレス鋼、銅及びアルミニウム等の金属並びにこれらの金属を含む合金等を挙げることができる。素材の形状は、少なくとも天板部及び側壁部となる部分が板状である限り特に限定されず、平面状であっても或いは曲面状であってもよく、天板部及び側壁部となる部分以外の領域に板状ではない部分が存在していてもよい。典型的には、素材の形状は、例えば矩形又は楕円形若しくは円形の平板状である。
【0025】
天板部の端部に立設される側壁部の数は1つであっても或いは複数であってもよい。側壁部の数が複数である場合、全ての側壁部が天板部に対して同じ側に同一の第1角度にて立設されていてもよく、或いは、一部の側壁部が天板部に対して異なる第1角度にて立設されていてもよい。後者の場合、一部の側壁部が天板部に対して他の側壁部とは反対側に向かって立設されていてもよい。更に、天板部の周縁を囲むように環状の側壁部を設けて有底筒状の製品を成形する工法に第1方法を適用することもできる。
【0026】
第1方法は、例えば、
図3に例示するフローチャートによって表されるように、以下に詳述する第1工程乃至第3工程を含む。以下の説明においては、
図3に加えて
図4及び
図5をも参照しながら、第1方法に含まれる各工程の詳細について述べる。
図3は第1方法に含まれる各工程の流れを例示するフローチャートであり、
図4は第1方法によって板状の素材から天板部及び側壁部を備える製品への成形過程における形状の変化等を例示する模式図である。但し、前述した
図2と同様に、
図4及び
図5には、素材100の全体ではなく、製品200の1つの側壁部220が曲げ工程によって成形される部分のみが描かれている。
【0027】
図3に例示するように、先ずステップS10において第1工程が実行される。第1工程は、曲げ加工及び/又は絞り加工によって素材の端部を第1角度に折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材を得る工程である。具体的には、例えば、
図4の(a)に例示するような板状の素材100の端部を、曲げ加工及び/又は絞り加工によって、
図4の(b)において黒塗りの矢印によって示すように所定の第1角度θ1に折り曲げることができる。
【0028】
図5は、上記のようにして第1工程において素材100の端部を第1角度θ1に折り曲げることにより一体的に形成された天板部131及び側壁部132を備える中間素材130を得るための1つの具体的な手段を例示する模式図である。先ず、
図5の(a)に例示するように、第1下型ダイ11と第1パッド21との間に板状の素材100を挟持する。次に、
図4の(b)及び
図5の(b)に例示するように、素材100の第1下型ダイ11と第1パッド21との間から突出した端部を、図中に示す白抜きの矢印の方向に駆動される第1曲げ刃31によって所定の第1角度θ1に折り曲げる(
図5の(b)において斜線によるハッチングが施された矢印を参照)。その結果、
図4の(b)及び
図5の(b)に例示するように、一体的に形成された天板部131及び側壁部132を備える中間素材130を得ることができる。尚、第1角度θ1は、典型的には略直角であるが、略直角に限定されるものではなく、最終的に成形される製品に要求される任意の角度とすることができる。
【0029】
しかしながら、本明細書の冒頭において
図2の(a)を参照しながら説明した従来技術と同様に、
図4の(c)において白抜きの矢印によって示すように、第1工程(ステップS10)の完了後に中間素材130を型から取り出した際に、スプリングバックによって側壁部132が開いてしまう場合がある。これは、
図5の(c)に例示するように、素材100を折り曲げる際に天板部131と側壁部132との境界部分である屈曲部の外側及び内側に引張応力及び圧縮応力がそれぞれ作用した結果として、中間素材130の屈曲部の外側及び内側に収縮方向の応力(黒塗りの矢印)及び伸長方向の応力(白抜きの矢印)がそれぞれ残留するためである。その結果、
図4の(c)に例示するように、天板部131と側壁部132とがなす角度(フランジ角度θf)が、目的とする第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2となってしまう。
【0030】
上記のようにスプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて中間素材の天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が第1角度よりも大きい角度となっている状態を以降「第1状態」と称呼する場合がある。
【0031】
そこで、第1方法においては、
図3に例示するように、次のステップS20において第2工程が実行される。第2工程は、中間素材の天板部の外側に配設された第1保持部材と中間素材の天板部の内側に配設された第2保持部材との間に中間素材の天板部を挟持する工程である。具体的には、
図4の(d)に例示するように、中間素材130の天板部131の外側に配設された第1保持部材51(例えば、ダイ)と中間素材130の天板部131の内側に配設された第2保持部材52(例えば、パッド)との間に中間素材130の天板部131を挟持する。
【0032】
次に、ステップS30において第3工程が実行される。第3工程は、上述した第1状態にあった中間素材の側壁部を第2状態とし、第2状態を維持したまま中間素材の側壁部の先端側の端部である第1端部を基端側に向かって押圧する工程である。第2状態は、中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度に一致するまで押し戻した状態である。具体的には、
図4の(d)において黒塗りの矢印によって示すように、中間素材130の側壁部132をフランジ角度θfが第1角度θ1に一致するまで(例えば図示しないパッド等によって)押し戻して第2状態とする。この第2状態を維持したまま、
図4の(d)において斜線によるハッチングが施された矢印によって示すように、中間素材130の側壁部132の先端側の端部である第1端部E1を基端側(屈曲部側)に向かって押圧する。
【0033】
尚、第3工程において、スプリングバックにより側壁部132が開いて第1状態にある中間素材130の側壁部132を押し戻して第2状態とするための具体的な手段は、特に限定されない。また、第2状態を維持したまま中間素材130の側壁部132の先端側の端部(第1端部E1)を基端側に向かって押圧するための具体的な手段もまた、特に限定されない。
【0034】
例えば、
図6の(a)は、中間素材130の天板部の外側に配設された第1保持部材51(ダイ)と中間素材130の天板部の内側に配設された第2保持部材52(パッド)との間に中間素材130の天板部を挟持する第2工程が完了した状態を例示する模式図である。この状態においては中間素材130の天板部の側壁部は拘束されていないので、中間素材130はスプリングバックにより側壁部が開いてフランジ角度θfが第2角度θ2となっている第1状態にある。
【0035】
次に、第3工程が開始され、
図6の(b)に例示するように、第1押圧部材61(例えば、パッド)によって中間素材130の側壁部をフランジ角度θfが第1角度θ1に一致するまで押し戻して(黒塗りの矢印を参照)第2状態とする。この第2状態を維持したまま、
図6の(c)に例示するように、第2押圧部材62(例えば、パンチ)によって中間素材130の側壁部の先端側の端部(第1端部E1)を基端側に向かって押圧する(斜線によるハッチングが施された矢印を参照)。尚、第1押圧部材61及び第2押圧部材62の駆動方式は、カム機構等によるメカニカル駆動であってもよく、或いはアクチュエータ等による制御駆動であってもよい。
【0036】
上記のようにして第1状態にあった中間素材の側壁部を第2状態とし、第2状態を維持したまま中間素材の側壁部の先端側の端部である第1端部を基端側に向かって押圧する第3工程を実行することができるが、上記はあくまでも第3工程を実行するための手段の一例に過ぎない。
【0037】
上記のような第3工程(ステップS30)を実行することにより、第1工程(ステップS10)において素材100が受けた応力履歴が上書きされ、上述したスプリングバックの原因となる残留応力がキャンセルされる。その結果、第3工程の完了後に中間素材130を型から取り出した際にスプリングバックによって側壁部132が開いてしまう可能性が解消又は低減される。即ち、
図1に例示したような天板部210及び天板部210の端部から所定の角度である第1角度θ1(
図1には示していない)にて立設された側壁部220を備える製品200を常温におけるプレス加工によって板状の素材100から一体的に成形することができる。
【0038】
尚、上述したように、第3工程においては、中間素材130の側壁部132の先端側の端部である第1端部E1を基端側(屈曲部側)に向かって押圧する。当該応力履歴の結果として伸長方向の応力が側壁部132に残留するので、第3工程の完了後に中間素材130を型から取り出した際には当該残留応力に起因するスプリングバックにより側壁部132が僅かに伸長する(例えば、
図4の(e)において斜線によるハッチングが施された部分を参照)。製品200において高い寸法精度を達成する観点からは、本明細書の冒頭において述べた「寄端切工程」を追加工として行うことが考えられる。しかしながら、前述したように、このような追加工は製品歩留まりの悪化及び/又は寄端切工程における下型ダイの耐久性の低下等の問題を招く虞がある。従って、スプリングバックによる側壁部132の伸長後の長さが製品200における側壁部220に要求される寸法精度を満足するように、例えば素材100を構成する材料、素材100の板厚及び製品200における側壁部220の長さ等に応じて、第3工程における第1端部E1の押圧力及び押圧量を設定することが好ましい。
【0039】
〈効果〉
第1方法においては、上述したように、第3工程において、スプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が目的とする第1角度よりも大きい角度となっていた中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度になるまで押し戻した状態に維持しつつ側壁部の先端側の端部を基端側に向かって押圧する。これにより、中間素材のスプリングバックの原因となる残留応力が解消又は低減され、目的とする第1角度にフランジ角度が一致する製品を形成することができる。
【0040】
即ち、第1方法によれば、天板部及び天板部の端部から所定の角度(例えば、略直角)にて立設された側壁部(フランジ部)を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって一体的に成形する工法において、前述した寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減することができる。
【0041】
《第2実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態に係る側壁部の形成方法(以降、「第2方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0042】
前述したように、第3工程においてスプリングバックにより側壁部が開いて第1状態にある中間素材の側壁部を押し戻して第2状態としたまま中間素材の側壁部の先端側の端部(第1端部)を基端側に向かって押圧するための具体的な手段は特に限定されない。
図6に例示した手段は第3工程を実行するための手段の一例である。
【0043】
しかしながら、
図6に例示した手段においては、中間素材130の側壁部をフランジ角度θfが第1角度θ1に一致するまで押し戻して(黒塗りの矢印を参照)第2状態とするための第1押圧部材61及び第1押圧部材61を駆動するための(図示しない)駆動装置並びに斯かる第2状態を維持したまま中間素材130の側壁部の先端側の端部(第1端部E1)を基端側に向かって押圧する(斜線によるハッチングが施された矢印を参照)ための第2押圧部材62及び第2押圧部材62を駆動するための(図示しない)駆動装置が必要とされる。
【0044】
本発明に係る側壁部の形成方法(本発明方法)の実施に必要とされる労力、構成部材及びコストを出来る限り削減する観点からは、第3工程を実行するために必要とされる構成要素をより少なく且つ駆動機構をより簡潔なものとすることが好ましい。
【0045】
〈構成〉
そこで、第2方法は、前述した第1方法であって、所定の形状を有するパンチを中間素材に対して所定の方向である第1方向に進行させることによって第3工程が実行されることを特徴とする、側壁部の形成方法である。以下、
図7を参照しながら、第2方法において実行される第3工程の詳細について説明する。
【0046】
図7は、第2方法において所定の形状を有するパンチを中間素材に対して所定の方向である第1方向に進行させることによって第3工程が実行される様子を例示する模式図である。第1方向とは、前述した第2状態における中間素材の側壁部の先端側から基端側へと向かう方向に対して平行な方向である。
図7に示す例においては、斜線によるハッチングが施された上向きの矢印D1によって第1方向が示されている(以降、「第1方向D1」と称呼される場合がある。)。
【0047】
また、
図7の(a)に例示するように、第2方法において用いられるパンチ70の第2状態における中間素材130の側壁部132に対向する側面には、以下に列挙する第1面71、第2面72及び第3面73が設けられている。
【0048】
第1面71は、パンチ70の先端側(第1方向D1における下流側、即ち図面における上側)の端部に形成され且つ第1方向D1に対して所定の角度θsにて傾斜した斜面である(
図7の(b)を参照)。
図7に例示するように、第1面71は、パンチ70の先端側から基端側(第1方向D1における上流側、即ち図面における下側)へと進むにつれて第1方向D1に垂直な方向における中間素材130(の側壁部132)との距離が小さくなるように傾斜している。
【0049】
第2面72は、第1面71の基端側に隣接し且つ第2状態における中間素材130の側壁部132の外面に対応する形状を有する面である。
図7に示す例においては、第2状態における中間素材130の側壁部132の外面は、天板部131に対して垂直に延在する平面である。従って、第2状態における中間素材130の側壁部132の外面に対応する形状を有するパンチ70の第2面72もまた、天板部131に対して垂直に延在する平面であり、第2状態における中間素材130の側壁部132の外面に対向する。
【0050】
第3面73は、第2面72の基端側に隣接し且つ第2状態における中間素材130の第1端部E1に当接可能な形状を有する面である。
図7に示す例においては、第3面73は、第2面72から垂直に延在する平面として形成されており、中間素材130の第1端部E1の厚さに対応する高さを有する段差を構成している。
【0051】
第2方法に含まれる第3工程においては、上記のような構成を有するパンチ70を中間素材130に対して第1方向D1に進行させることに伴って、以下に列挙する処理が順次実行される。尚、
図7に示す例においては第1保持部材51(ダイ)と第2保持部材52(パッド)との間に天板部131が挟持されることにより所定の位置に固定された中間素材130に対してパンチ70を第1方向D1に進行させている。しかしながら、パンチ70は中間素材130に対して相対的に第1方向D1に進行すればよい。例えば、
図7に示す例とは逆に、第1保持部材51と第2保持部材52との間に天板部131が挟持された中間素材130を所定の位置に固定されたパンチ70に対して第1方向D1とは逆の方向に進行させてもよい。
【0052】
先ず、
図7の(a)に例示するように、パンチ70の第1面71に第1端部E1を当接させる。次に、図示しないが、第1端部E1を第1面71にて摺動させることにより、やがてパンチ70の第2面72と第2保持部材52(例えば、パッド)との間の空間に中間素材130の側壁部132が第1端部E1から収容され始める。このとき、フランジ角度θfは目的とする第1角度θ1に一致しており、第2状態が達成されている。更に、中間素材130の側壁部132の外面にて第2面72を摺動させることにより、
図7の(b)に例示するように、第2状態を維持しつつ第1端部E1を第3面73に当接させる。加えて、
図7の(b)において黒塗りの矢印によって示すように、第1端部をE1第3面73によって基端側に向かって押圧する。
【0053】
上記のようにしてパンチ70を第1方向D1に進行させることにより第3工程を実行した結果、第1工程(ステップS10)において素材100が受けた応力履歴が上書きされ、
図7の(c)に例示するように、中間素材130の屈曲部の外側における収縮方向の応力(黒塗りの矢印)及び内側における伸長方向の応力(白抜きの矢印)がそれぞれ解消又は低減される。
【0054】
〈効果〉
以上のように、第2方法においては、所定の形状を有するパンチを中間素材に対して所定の方向である第1方向に進行させることによって第3工程が実行される。即ち、第2方法においては、例えば
図6に例示したように多くの構成要素を複雑に駆動することを必要とすること無く、より簡潔な構成により第3工程を実行することができる。従って、第2方法によれば、必要とされる労力、構成部材及びコストの増大を抑制しつつ、一体的に形成された天板部及び側壁部を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって成形する工法における中間素材のスプリングバックを解消又は低減することができる。
【0055】
《第3実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態に係る側壁部の形成方法(以降、「第3方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0056】
第1方法及び第2方法を始めとする本発明に係る側壁部の形成方法(本発明方法)においては、前述したように、第3工程において、スプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が目的とする第1角度よりも大きい角度となっていた中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度になるまで押し戻した状態に維持しつつ側壁部の先端側の端部を基端側に向かって押圧する。これにより、中間素材のスプリングバックの原因となる残留応力が解消又は低減され、目的とする第1角度にフランジ角度が一致する製品を形成することができる。
【0057】
即ち、本発明方法によれば、天板部及び天板部の端部から所定の角度(例えば、略直角)にて立設された側壁部(フランジ部)を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって一体的に成形する工法において、前述した寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減することができる。
【0058】
本発明方法によって形成される製品の側壁部の形状における寸法精度を更に高める観点からは、第3工程において第2状態に維持された中間素材の側壁部の先端側の端部(第1端部)を基端側に向かって押圧する際に、閉塞空間の内部において第1端部を押圧することが好ましい。
【0059】
〈構成〉
そこで、第3方法は、前述した第2方法であって、第3工程において、中間素材の側壁部の少なくとも第1端部を含む部分が閉塞空間の内部に収容された状態において第1端部を基端側に向かって押圧することを特徴とする、側壁部の形成方法である。
【0060】
尚、上記閉塞空間の具体的な構成は、第1端部を基端側に向かって押圧することにより中間素材のスプリングバックの原因となる残留応力が解消又は低減されると共に第3方法によって形成される製品の側壁部の形状における寸法精度を高めることが可能である限り、特に限定されない。
【0061】
図8は、第3方法に含まれる第3工程において中間素材の側壁部の少なくとも第1端部を含む部分が閉塞空間の内部に収容された状態において第1端部が基端側に向かって押圧される様子を例示する模式図である。
図8は、第1押圧部材61によって中間素材130の側壁部をフランジ角度θfが第1角度θ1に一致するまで押し戻して(黒塗りの矢印を参照)第2状態とした際に、中間素材130の天板部の外側に配設された第1保持部材51と第1押圧部材61とが当接して、中間素材130の天板部の内側に配設された第2保持部材52と第1保持部材51と第1押圧部材61とによって閉塞空間が画定されるように構成されている点を除き、
図6と同様である。
【0062】
図8に示す例においては、(c)に例示するように、第2保持部材52と第1保持部材51と第1押圧部材61とによって画定される閉塞空間の内部に中間素材130の側壁部が収容された状態において、側壁部の第1端部E1が第2押圧部材62によって基端側に向かって押圧される(斜線によるハッチングが施された矢印を参照)。これにより、第3方法によって形成される製品の側壁部の形状における寸法精度を更に高めることができる。
【0063】
尚、前述した第2方法に関する説明において参照した
図7に例示した構成においても、上記と同様に、第3工程において、中間素材の側壁部の少なくとも第1端部を含む部分が閉塞空間の内部に収容された状態において第1端部が基端側に向かって押圧されている。より詳しくは、
図7に示した例においては、第3工程において、第1保持部材51及び第2保持部材52並びにパンチ70の第2面72及び第3面73によって閉塞空間が画定されており、当該閉塞空間の内部に中間素材130の側壁部が収容された状態において第3面73によって第1端部E1が基端側に向かって押圧されている。
【0064】
〈効果〉
以上のように、第3方法に含まれる第3工程においては、中間素材の側壁部の少なくとも第1端部を含む部分が閉塞空間の内部に収容された状態において第1端部が基端側に向かって押圧される。従って、第3方法によれば、形成される製品の側壁部の形状における寸法精度を更に高めつつ、一体的に形成された天板部及び側壁部を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって成形する工法における中間素材のスプリングバックを解消又は低減することができる。
【0065】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態につき、添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
【0066】
例えば、本発明に係る側壁部の形成方法(本発明方法)は、上記のように天板部の直線状の一端縁から起設された平面状の側壁部(フランジ)を有する製品を成形する場合への適用に限定されるものではない。例えば、本発明方法は、天板部の曲線状の端縁から起設された曲面状の側壁部(フランジ)を有する製品を成形する場合にも適用することができる。また、本発明方法は、天板部の端縁の全周に亘って起設された側壁部(フランジ)を有する製品を成形する場合にも適用することができる。更に、本発明方法は、例えば円盤状の天板部の端縁の全周に亘って起設された側壁部(フランジ)を有する製品である椀状体を成形する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
11…第1下型ダイ
12…第2下型ダイ
13…第3下型ダイ
21…第1パッド
22…第2パッド
31…第1曲げ刃
32…第2曲げ刃
41…第1パンチ
51…第1保持部材
52…第2保持部材
61…第1押圧部材
62…第2押圧部材
70…パンチ
71…第1面
72…第2面
73…第3面
100…素材
110…第1中間素材
120…第2中間素材
130…中間素材
131…天板部
132…側壁部
200…製品
210…天板部
220…側壁部
300…スクラップ
【要約】
天板部及び端部から立設された側壁部を備える製品を一般的な材料からなる板状の素材から常温におけるプレス加工によって一体的に成形する工法において、素材の端部を所定の第1角度に折り曲げることにより一体的に形成された天板部及び側壁部を備える中間素材の天板部を挟持し、スプリングバックにより中間素材の側壁部が開いて天板部と側壁部とがなす角度であるフランジ角度が第1角度よりも大きい角度となっていた中間素材の側壁部をフランジ角度が第1角度に一致するまで押し戻したままの状態を維持しつつ中間素材の側壁部の先端側の端部を基端側に向かって押圧する。これにより、天板部と側壁部とがなす角度が目的とする角度よりも小さい角度となるまで側壁部を押し込む工程である寄成形工程を追加工として行うこと無くスプリングバックを解消又は低減する。