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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】飛行体落下補助装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 17/70 20060101AFI20241211BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20241211BHJP
   B64D 17/46 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B64D17/70
B64D17/80
B64D17/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021172710
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023046184
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521461546
【氏名又は名称】合同会社アドエア
(72)【発明者】
【氏名】賀家 慎司
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特許第6446491(JP,B2)
【文献】独国特許出願公開第102013102869(DE,A1)
【文献】特開2020-001680(JP,A)
【文献】中国実用新案第205602148(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 17/70
B64D 17/80
B64D 17/46
B64D 17/40-17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体に搭載される筒状収納部内に、パラシュート射出部と、
折り畳まれた状態の前記パラシュートをインナーシートで梱包したインナーシート梱包体と、重ね合わされた複数枚の硬質樹脂シートからなる筒状のインナーカプセルと、が収納され、前記インナーカプセル内に、前記インナーシートと、前記パラシュートに繋がるサスペンションラインと、前記サスペンションライン及び前記飛行体に繋がるブライダルコードが上部開放状態で収納され、前記複数枚の硬質樹脂シートは、前記収納部内では、前記インナーシート梱包体を梱包するように施錠されており、前記射出部は圧縮コイルと前記コイルの施錠及び開錠機構を有し、前記コイルの圧縮施錠状態で前記収納部内に装着された前記インナーカプセルを、前記開錠で生じる前記コイルの開放力にて空中に放出させ、前記ブライダルコード及びサスペンションラインを伸張させた後、前記サスペンションラインの伸張にて当該サスペンションラインの一部で、前記複数枚の硬質樹脂シートの施錠を解除することで、前記重ね合わされた複数枚の樹脂シートを解体飛散させ、前記インナーシートの梱包を解き、前記パラシュートを展開させることを特徴とする飛行体の落下補助装置。
【請求項2】
飛行体にメインパラシュートを収納したコンテナと筒状収納部が搭載され、前記筒状収納部内に、前記メインパラシュートとサスペンションライン及びブライダルコードで繋がったパイロットシュートの射出部と、折り畳まれた状態の前記パイロットシュートをインナーシートで梱包したインナーシート梱包体と、重ね合わされた複数枚の硬質樹脂シートからな筒状のインナーカプセルとが収納され、前記インナーカプセル内に、前記インナーシートと、前記パイロットシュートに繋がるサスペンションラインと、前記サスペンションライン及び前記メインパラシュートに繋がるブライダルコードが開放状態で収納され、前記複数枚の硬質樹脂シートは、前記収納部内では、前記インナーシート梱包体を梱包するように施錠されており、前記射出部は圧縮コイルと前記コイルの施錠及び開錠機構を有し、前記コイルの圧縮施錠状態で前記収納部内に装着された前記インナーカプセルを、前記開錠で生じる前記コイルの開放力にて空中に射出させ、前記ブライダルコード及びサスペンションラインを伸張させた後、前記サスペンションラインの伸張にて当該サスペンションラインの一部で、前記複数枚の硬質樹脂シートの施錠を解除することで、前記重ね合わされた複数枚の樹脂シートを解体飛散させ、前記インナーシートの梱包を解き、前記パイロットシュートを展開させ、前記ブライダルコード及びサスペンションラインの張力にて前記メインパラシュートを前記コンテナから放出させることを特徴とする飛行体の落下補助装置。
【請求項3】
施錠及び開錠機構が電動サーボによる開錠を行う請求項1又は2に記載の飛行体の落下補助装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に搭載される落下時に使用されるパラシュートを用いる落下補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと呼ばれる複数の回転翼を備えた飛行体を、撮影、配送等の分野へ利用することが推進され、今後更なる普及が見込まれている。そしてドローンの実用化に際して大事な、緊急落下時の安全装置としてパラシュートの利用を考慮した技術が提案されている。
【0003】
パラシュートの収納、射出、開傘機構を工夫してものとしてたとえば下記先行文献に開示されている技術がある。特許文献1には、キャノピーファースト方式の予備パラシュートにおいて、パイロッシュートのブライダルラインが破損したパラシュートのラインに絡む恐れがない予備シュートを提供すべく、パイロットシュートを収納したシュートカバーとスプリングをコンテナに収納し、スプリングの作用により、シュートカバーとパイロットシュートを放りだす機構が示されている。この文献1に示された技術では、パイロットシュートの上部に配置するカバーごと上部へ射出され、その後重力の作用によりカバーが折り畳んだパイロットシュートの傘頂部分に向かって下降する可能性が残り、折り畳んだパイロットシュートが展開することに不具合を生じる。また、カバーは伸縮性があり、圧縮されたスプリングの開放力を吸収するため、その開放力の速度を減速または一部を無効化させながら残りの速度によって射出され、上部カバーの離脱に不安を残す。
【0004】
特許文献2には、パラシュートの収納部下にバネを配置し、収納部上をカバーで閉じ、圧縮されたバネの開放力にて収納されたパラシュートを押し上げ、カバーが開いてパラシュートが射出する技術が開示されているが、カバーの存在による不安がある。特許文献3には、有底筒状部材内のハット状押し上げ部材に折り畳んだパラシュートを収容し、有底筒状部材の上方に蓋部材を結合させた状態で、ピストン部材にて筒状部材を押し上げてパラシュートを射出させる技術が記載されている。特許文献4には、収容器内のパラシュート等の射出物をガス又はバネ等にて射出する技術が開示され、段落番号0055,0059には、収容器がない場合、射出物の外周囲を紐状部材等で縛ってくくりつけておき、作動時に紐状部材を切断することにより、射出物が展開できるように構成してもよいことが記載されている。[特許文献3][特許文献4]に示されるキャノピーを強制的に展開させることで知られるキャノピーファースト方式の開傘方法では、先にキャノピー(傘部分)が開くが必ず飛行体よりも上空方向にて開傘するとは限らない不安がある。飛行体が回転を伴った落下状態であれば 展開したキャノピーに飛行体本体が包まれる、また側面で開傘した場合にはサスペンションラインが飛行体の突起部に絡まる可能性のおそれも大きくなる。
【0005】
ドローンの緊急落下時(緊急事態で)操縦および飛行の継続が困難となった場合)等においては、パラシュートを迅速かつ異常状態にあるドローンの機体部分に接触させることなく、更に開傘することなくドローンから遠ざけるように放出し、ドローンから十分離れた空中で開傘させることが必要であり、特許文献1~4に記載の技術では不安が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4884088号公報
【文献】特許第6446491号公報
【文献】特開2021―70426号公報
【文献】特開2020―125012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、0005で述べた必要性に鑑み、収納されたパラシュートを迅速かつ勢いよく確実に空中へ放出・展開し、飛行隊から十分離れた空中でパラシュートを開傘させることを可能とする補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、飛行体に搭載される筒状収納部内に、パラシュート射出部と硬質樹脂製シートよりなる筒状のインナーカプセルを備え、前記パラシュートとサスペンションラインが折り畳まれて上下開放状態で前記インナーカプセルに梱包され、前記射出部は圧縮コイルと前記コイルの施錠及び開錠機構を有し、前記コイルの圧縮施錠状態で前記収納部内に装着された前記インナーカプセルを、前記開錠で生じる前記コイルの開放力にて射出させ、前記サスペンションラインを伸長させて前記梱包を開放することを特徴とする飛行体の落下補助装置を提供する。更に本発明は、インナーカプセルが、重ね合わされた複数枚の樹脂板よりなる構成、又、本発明は、パラシュートがインナーシートに収納されてインナーカプセルに梱包されてなる構成、又本発明は、開錠機構が電動サーボによる開錠を行う構成を提供する。
【0009】
更に本発明は、飛行体にメインパラシュートを収納したコンテナと筒状収納部が搭載され、前記筒状収納部内に、前記メインパラシュートとサスペンションラインで繋がったパイロットシュートの射出部と硬質樹脂製シートよりなる筒状のインナーカプセルを備え、前記パイロットシュートとサスペンションラインが折り畳み上下開放状態で前記インナーカプセルに梱包され、前記射出部は圧縮コイルと前記コイルの施錠及び開錠機構を有し、前記コイルの圧縮施錠状態で前記収納部内に装着された前記インナーカプセルを、前記開錠で生じる前記コイルの開放力にて前記インナーカプセルを射出させ、前記サスペンションラインを伸長させて前記梱包を開放して前記パイロットシュートを展開させ、前記サスペンションラインの張力にて前記メインパラシュートを前記コンテナから放出させることを特徴とする飛行体の落下補助装置を提供する。又、本発明は、パイロットシュートがインナーシートに収納されてインナーカプセルに梱包されてなる構成、又本発明は、開錠機構が電動サーボによる開錠を行う構成を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、硬質樹脂製シートよりなる筒状のインナーカプセルを用いたことで圧縮コイルの圧縮から開放される勢いの運動エネルギーを効率よく受け止めて射出の勢いを増し、射出速度の高速化と飛距離を伸ばすことに成功している。このことから、本発明は、パラシュートの正確な形状での展開および開傘を得ることが可能となり、そのあとに続くパラシュートによる自然降下時の直進安定性を実現する機能が確実に発揮される。本発明のインナーシートの使用より、パラシュートの圧縮梱包が容易となり、更なる射出速度の高速化、飛距離伸長効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は本発明の一実施態様に係る落下補助装置のドローンへの装着状況、(b)は同装置の射出状況を示す図である。
図2】(a)は図1の補助装置の射出機の組み立て状況示す図、同(b)は同射出機のコイル圧縮状況を示す図、同(c)は同圧縮状況の正面模式図、同(d)は同射出機構のコイル圧縮開放によるカプセル射出状況を示す図である。
図3】(a),(b)は図2の射出機に用いられるコイルバネの施錠・開錠機構の動作説明図である。
図4】(a)は図2の射出機内に装着される折り畳みまれたパイロットシュートの周囲を梱包するインナーシートの外観図、同(b)は同(a)のインナーシートでパイロットシュートを梱包した状態の外観図、同(c)はインナーカプセルの構成外観図、同(d)は図(b)のインナーシート梱包体を図(c)のカプセルで梱包する前の状態を示す外観図、同(e)は同(d)の梱包後の状態を示す図である。
図5】(a)はインナーカプセル内におけるパイロットシュート、サスペンションライン、ブライダルコードの射出前の収納構造を示す図、同(b),(c)はカプセルの射出直後の状態を示す図である。
図6】は図1のドローン落下補助装置の動作状況を示し、(a)はインナーカプセル射出直後状況、同(b)はインナーカプセルの分解・パイロットシュート展開開始状況、同(c)はパイロットシュート開傘状況、同(d)はメインパラシュート展開開始状況、同(e)はメインパラシュート開傘状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1(a)に示すように、撮影・運搬等の様々な用途に使用される飛行体であるドローン1の本体部2には複数のプロペラ3が取付られ(この例では6個)、本体2の下部には脚4、上部にはコンテナ5が取り付けられ、このコンテナ5内にはメインパラシュートが折り畳み収納されている。本体2には筒状の射出機(図4,5に示すパイロットシュートが梱包されたインナーカプセルを収納している)10が取付られ、コンテナ5と射出機10は本発明のドローン落下補助装置の主要分を構成する。6はサスペンションライン、7はブライダルコードであり、パイロットシュートとメインパラシュートを接続している。
【0013】
図1(a)のドローンに異常が発生し緊急落下時において、本発明の落下補助装置は図1(b)に示すように、射出機10内に圧縮収納された金属コイルバネ11(図2に示す)の開放力にて金属又は硬質樹脂製のバレット12と硬質樹脂シートからなるインナーカプセル20が勢い良く放出され、落下補助機構の動作が開始される。この時、硬質樹脂製のカプセル20にはバネ11の開放力が低下することなくほぼそのまま伝達される。バネ11の施錠・開錠を制御していた固定リング13を有する引き込みコード14も放出される。カプセル20が勢い良く放出される(本発明で発揮される)この特長は、カプセル20が素早く高速でドローン本体から離れ、この離れた位置でパラシュートの開放・開傘を確実に行い、支障の恐れなく落下補助機能が発揮される。カプセル20の梱包構成、放出、空中解体機構、パラシュート展開等は図2~6で詳細を説明する。
【0014】
図2にて射出機10内へのカプセル20等の組み立て・収納・放出構造を説明する。(a)に示すように、射出機10内に、コイルバネ11の上部に固定された引き込みコード14を下方に引き込み、先端の固定リング13を射出機10の下部に設置された施錠部材15に係止させてコイルバネ11を圧縮保持する。金属又は硬質樹脂製のバレット12上に硬質樹脂製のカプセル20を矢印17に示すように挿入し、(b),(c)に示す収納構造を得て、カプセル20の放出準備を完了する。緊急落下時には、(d)に示すように、施錠部材15が矢印18の方向に移動して固定リング15の係止が解除され、コイルバネ11の圧縮が解除されて上方に伸びてコイル20を矢印19方行に押し出す。施錠及び開錠機構16は電動サーボにより施錠部材15を移動させて開錠を行う。この時、バネ11の開放力は、吸収されることなく硬質のバレット12およびカプセル20にほぼそのままの勢いで伝わり、バレット12およびカプセル20は勢い良く放出され、本発明の特長的な機能(ドローン本体からの早期の離脱、パラシュートの迅速な展開等が発揮される事になる。
【0015】
図3の具体例に示すように、施錠部材15は、電動サーボモーターを有する機構15の回転力を伝達する回転アーム23にて動作し、矢印18の方向に移動して固定リング13の係止が解除される。
【0016】
図4にて、射出機10内に収納されるカプセル、パイロットシュートの組み立て、構造を説明する。(a)に示すように、薄い樹脂シートからなる湾曲上のインナーシート21両端部に締め付け部22が形成されている。シート21内に折り畳まれたパイロットシュート24を収納し、シート21をパイロットシュート24周囲に密着させて梱包する。7はサスペンションラインで一端がパイロットシュート24に他端がサスペンションライン7繋がり、ブライダルシート7はメインパラシュートに繋がっている。締め付け部22を利用してインナーシート21内に圧縮梱包したパイロットシュート24を、更に締め付け部22を利用して、インナーカプセル20の内部容積に収納可能な容積に圧縮固定する。梱包後のパイロットシュート24の取り扱いにより乱れがあった場合はインナーカプセル20を施錠したままパイロットシュートの容積を再圧縮、調整してもよい。
【0017】
図4(c)は図4(b)のインナーシート梱包体を外装する厚め(約0,2mm)の硬質樹脂製(例としてポリポリエチレンテレフタレート)のカプセルシート31,32,33からなる湾曲構造体を示し、この中に図3(d)に示すように、図3(b)の梱包体が取り囲まれて収納される。シート31,32,33には穴30がそれぞれ4個形成され、ゴム紐34,35が図のように取り付けられる。図4(d)の状態でゴム紐34,35の端部のリング部34-1、35-1にサスペンションライン6の一部を挿入し、ゴム紐34,35を締め付けて施錠し図4(e)に示す梱包状態のカプセルが作成される。
【0018】
このカプセル構造の特徴は、パイロットシュート24がコンパクトに収納され、緊急使用における放出時、サスペンションライン6の伸張にてサスペンションライン6の一部がリング部34-1、35-1からは引き抜かれて施錠が解除され、ゴム紐34,35もシート31,32,33の穴から引き抜かれ、シート31,32,33が解体され、シート21も容易に開放され、パイロットシュート24の周囲の梱包物がすべて離脱開放される。これらの動作は、カプセル20が射出後、空中で速やかに進行する。カバーの役目を果たすカプセルシート31,32,33は硬質樹脂であり、湾曲構造にてコンパクトな収納を可能とし、かつカプセル20の3個のカプセルシート上部が開放されており、射出、パイロットシュートの開放にも適している。また、3個のカプセルシートは、サスペンションライン(吊り索)の伸長によるゴム紐34,35の施錠解除により、容易に湾曲構造が分解してパイロットシュートの側面の左右側へ離脱し、カバーの解体がなされる。なお、カプセルシートの個数は3個に限らず、2個、4個の使用で構成する事も考えられる。
【0019】
図5に示すように、(a)の状態で収納されたパイロットシュート、サスペンションライン6、ブライダルシート7は、カプセル20が射出直後にサスペンションライン6が引き出され(b)、サスペンションライン6の一部がゴム紐から離脱し、パイロットシュート24を引っ張り出す状態となる(c)。
【0020】
次に、落下補助動作すなわちパイロットシュートおよびメインパラシュートの展開・開傘の様子を図6にて説明する。飛行中のドローンの異常状態が検知され、ドローン本体2が矢印40の方向に落下を検知すると、図2に示す施錠部材15の固定リング14の係止解除により、カプセル20が(a)に示すようにコイルバネ11の開放力にて射出機10から空中に放出される。次に、(b)に示すように、カプセル20内のパイロットシュートとコンテナ5内のメインパラシュートを繋ぐサスペンションライン6とブライダルコード7が矢印41のごとく引っ張られ、カプセル20が解体されて樹脂シート31,32,33,インナーシート21の梱包が解かれ、空中で分離飛散する。パイロットシュート24も梱包を解かれ、展開開始状態となる。その後、速やかにパイロットシュートと24が開傘し、ブライダルコード6がコンテナのインナー用具51とこの内に収納されていたメインパラシュートを引っ張り出す状態となる(c)。(d)に、パイロットシュート24がメインパラシュート50を引っ張り出し展開させる状態を示す。この後、メインパラシュート50が開傘する(e)。60はメインパラシュート50のサスペンションライン、61はライン60メインパラシュート50を繋ぐブライダルラインである。この状態で、落下補助機能が発揮され、ドローン本体2の緩やかな安定した落下動作が開始され、ドローンが適切な速度で着地する。
【0019】
以上説明した例は、パイロットシュートとメインパラシュートを使用しているが、パイロットシュートを使用せず、メインパラシュートを図3のカプセルにて梱包し、メインパラシュートのみでの落下補助装置も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、硬質樹脂製シートよりなる筒状のインナーカプセルを用いたことで圧縮コイルの圧縮から開放される勢いの運動エネルギーを効率よく受け止めて射出の勢いを増し、射出速度の高速化と飛距離を伸ばすことに成功している。このことから、本発明は、飛行隊から離れた空中でパラシュートの正確な形状での展開および開傘を得ることが可能となり、そのあとに続くパラシュートによる自然降下時の直進安定性を実現する機能が確実に発揮され、ドローン等の飛行体の緊急落下にすぐれた効果が発揮される。
【符号の説明】
【0021】
2 ドローン本体部
5 コンテナ
6 サスペンションライン
7 ブライダルコード
10 射出機
11 コイルバネ
12 バレット
13 固定リング
14 引き込みコード
15 施錠部材
20 インナーカプセル
22 締め込み部
21 インナーシート
24 パイロットシュート
31,32,33 硬質樹脂製カプセルシート
50 メインパラシュート
図1
図2
図3
図4
図5
図6