(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】入力回路
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20241211BHJP
H03K 19/0944 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H03K19/0175 240
H03K19/0944
(21)【出願番号】P 2020207830
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/018304
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 治
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-291939(JP,A)
【文献】特開2011-061696(JP,A)
【文献】特開2017-153095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0056822(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00-19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力信号を受ける入力回路であって、
第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、
ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続されたN型トランジスタと、
前記第1ノードと前記電源との間に設けられたプルアップ回路とを備え、
前記プルアップ回路は、
前記入力信号がローからハイに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを所定期間導通させる一方、前記入力信号がハイからローに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを導通させないように構成されており、かつ、
前記第1ノードの信号を第1入力とし、かつ、前記入力バッファ回路がインバータであるときは、前記第2ノードの信号を第2入力とし、前記入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、前記第2ノードの信号の反転信号を第2入力とするNAND回路と、
ソースが前記電源に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートに前記NAND回路の出力を受けるP型トランジスタとを備える
ことを特徴とする入力回路。
【請求項2】
入力端子に入力信号を受ける入力回路であって、
第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、
ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続されたN型トランジスタと、
前記第1ノードと前記電源との間に設けられたプルアップ回路とを備え、
前記プルアップ回路は、
前記入力信号がローからハイに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを所定期間導通させる一方、前記入力信号がハイからローに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを導通させないように構成されており、かつ、
前記電源と前記第1ノードとの間に、直列に接続されている第1および第2P型トランジスタを備え、
前記第1P型トランジスタは、ゲートに前記第1ノードの信号の反転信号を受け、
前記第2P型トランジスタは、前記入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号を受け、前記入力バッファ回路がインバータであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号の反転信号を受ける
ことを特徴とする入力回路。
【請求項3】
入力端子に入力信号を受ける入力回路であって、
第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、
ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続されたN型トランジスタと、
前記第1ノードと前記電源との間に設けられたプルアップ回路とを備え、
前記プルアップ回路は、
前記入力信号がローからハイに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを所定期間導通させる一方、前記入力信号がハイからローに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを導通させないように構成されており、かつ、
前記電源と前記第1ノードとの間に、直列に接続されている第1および第2P型トランジスタを備え、
前記第1P型トランジスタは、ゲートに前記第1ノードの信号の反転信号を受け、
前記第2P型トランジスタは、ゲートに、前記第1P型トランジスタのゲートが受ける信号の反転信号を受ける
ことを特徴とする入力回路。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項記載の入力回路において、
前記入力バッファ回路は、イネーブル信号を受け、前記イネーブル信号が第1論理レベルのときは、前記第1ノードの信号を通過させる一方、前記イネーブル信号が第2論理レベルのときは、前記第1ノードの信号を通過させないものであり、
前記プルアップ回路は、前記イネーブル信号が前記第2論理レベルのとき、前記電源と前記第1ノードとを導通させないように構成されている
ことを特徴とする入力回路。
【請求項5】
請求項1~3のうちいずれか1項記載の入力回路において、
ドレインが前記電源に接続され、ソースが前記第1ノードに接続され、ゲートが前記入力端子と接続されている、第2N型トランジスタを備える
ことを特徴とする入力回路。
【請求項6】
入力端子に入力信号を受ける入力回路であって、
第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、
ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続された、N型トランジスタと、
前記第1ノードと前記電源との間に設けられたプルアップ回路とを備え、
前記プルアップ回路は、
前記電源と前記第1ノードとの間に、直列に接続されている第1および第2P型トランジスタを備え、
前記第1P型トランジスタは、ゲートに前記第1ノードの信号の反転信号を受け、
前記第2P型トランジスタは、前記入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号を受け、前記入力バッファ回路がインバータであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号の反転信号を受ける
ことを特徴とする入力回路。
【請求項7】
請求項6記載の入力回路において、
前記入力バッファ回路は、イネーブル信号を受け、前記イネーブル信号が第1論理レベルのときは、前記第1ノードの信号を通過させる一方、前記イネーブル信号が第2論理レベルのときは、前記第1ノードの信号を通過させないものであり、
前記プルアップ回路は、
前記第1および第2P型トランジスタと直列に接続されている第3P型トランジスタを備え、
前記第3P型トランジスタは、前記イネーブル信号が前記第1論理レベルのときは、ゲートにロー信号を受け、前記イネーブル信号が前記第2論理レベルのときは、ゲートにハイ信号を受ける
ことを特徴とする入力回路。
【請求項8】
請求項6記載の入力回路において、
ドレインが前記電源に接続され、ソースが前記第1ノードに接続され、ゲートが前記入力端子と接続されている、第2N型トランジスタを備える
ことを特徴とする入力回路。
【請求項9】
入力端子に入力信号を受ける入力回路であって、
第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、
ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが第3ノードと接続されたN型トランジスタと、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に設けられたプルアップ回路と、
電源がオンのときは、前記電源の電圧を前記第3ノードに出力し、前記電源がオフのときは、前記入力端子の電圧を分圧して前記第3ノードに出力するように構成されている電圧変換回路とを備え、
前記プルアップ回路は、
前記電源がオンのとき、前記入力信号がローからハイに遷移するとき、前記第3ノードと前記第1ノードとを所定期間導通させる一方、前記入力信号がハイからローに遷移するとき、前記第3ノードと前記第1ノードとを導通させないように構成されており、かつ、
前記第1ノードの信号を第1入力とし、かつ、前記入力バッファ回路がインバータであるときは、前記第2ノードの信号を第2入力とし、前記入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、前記第2ノードの信号の反転信号を第2入力とするNAND回路と、
ソースが前記第3ノードに接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートに前記NAND回路の出力を受ける第1P型トランジスタと、
ソースが前記第1P型トランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが前記電源と接続されている第2P型トランジスタと、
並列に接続されたP型トランジスタおよびN型トランジスタからなり、前記第1P型トランジスタのゲートと前記NAND回路の出力ノードとの間に設けられており、前記P型トランジスタのゲートは前記第1ノードに接続され、前記N型トランジスタのゲートは前記電源に接続された、トランスファーゲートスイッチとを備える
ことを特徴とする入力回路。
【請求項10】
入力端子に入力信号を受ける入力回路であって、
第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、
ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが第3ノードと接続された、N型トランジスタと、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に設けられたプルアップ回路とを備え、
電源がオンのときは、前記電源の電圧を前記第3ノードに出力し、前記電源がオフのときは、前記入力端子の電圧を分圧して前記第3ノードに出力するように構成されている電圧変換回路とを備え、
前記プルアップ回路は、
前記第3ノードと前記第1ノードとの間に、直列に接続されている第1および第2P型トランジスタを備え、
前記第1P型トランジスタは、ゲートに前記第1ノードの信号の反転信号を受け、
前記第2P型トランジスタは、前記入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号を受け、前記入力バッファ回路がインバータであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号の反転信号を受ける
ことを特徴とする入力回路。
【請求項11】
請求項10記載の入力回路において、
前記プルアップ回路は、
ソースが前記第1または第2P型トランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが前記電源と接続されている第3P型トランジスタと、
並列に接続されたP型トランジスタおよびN型トランジスタからなり、前記第1または第2P型トランジスタのゲートと、当該ゲートに信号を送るノードとの間に設けられており、前記P型トランジスタのゲートは前記第1ノードに接続され、前記N型トランジスタのゲートは前記電源に接続された、トランスファーゲートスイッチとを備える
ことを特徴とする入力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体集積回路装置に用いられる入力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置では、他の電子機器と接続された場合に、当該半導体集積回路装置の電源電圧よりも高い電圧の信号が入力されることがある。このような場合に内部回路を保護するために、半導体集積回路装置の入力回路には、入力信号の電圧を降圧するための回路が設けられる。例えば、一般的に使用されている入力回路では、入力バッファ回路の前段に降圧用のN型トランジスタを設けて、そのゲートを電源に接続している。これにより、入力信号の電圧は、電源電圧とN型トランジスタの閾値電圧との差に相当する電圧に降圧される。したがって、半導体集積回路装置の内部回路を保護することができる。
【0003】
特許文献1では、入力回路について、入力バッファ回路としてのインバータと、インバータの前段に設けられた降圧用のN型トランジスタと、インバータの入力ノードと電源との間に接続されたP型トランジスタとを備えた構成が開示されている。このP型トランジスタは、ゲートがインバータの出力ノードと接続されている。入力信号が立ち上がるとき、インバータの出力信号がハイからローに反転し始めると、P型トランジスタがオンし、インバータの入力ノードの電圧が電源電圧に昇圧される。これにより、出力信号の反転が早まるので、インバータの遅延時間を短く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示された入力回路では、次のような問題が起こる。すなわち、入力信号が立ち下がり始めるとき、P型トランジスタはオンしている状態である。このため、インバータの出力信号がハイに反転してP型トランジスタがオフするまでの間、電源と、送信側の出力回路のロー駆動素子との間はショートした状態になる。この状態では、入力信号のハイからローへの遷移が緩やかになってしまい、インバータの出力信号の反転が大幅に遅れる。したがって、インバータの遅延時間が増加してしまう。この結果、入力信号の立ち上がりと立ち下がりとにおいてインバータの遅延時間に大きな差が生じることになり、これに起因して、入力回路の出力信号のパルス幅に誤差が生じてしまう。
【0006】
本開示は、入力回路において、入力バッファ回路における遅延時間を短縮し、かつ、出力信号のパルス幅の誤差を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様では、入力端子に入力信号を受ける入力回路は、第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続されたN型トランジスタと、前記第1ノードと前記電源との間に設けられたプルアップ回路とを備え、前記プルアップ回路は、前記入力信号がローからハイに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを所定期間導通させる一方、前記入力信号がハイからローに遷移するとき、前記電源と前記第1ノードとを導通させないように構成されている。
【0008】
この態様によると、入力回路は、第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、ソースが入力端子に接続され、ドレインが第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続されたN型トランジスタと、第1ノードと電源との間に設けられたプルアップ回路とを備える。入力信号がローからハイに遷移するとき、プルアップ回路は、電源と第1ノードとを所定期間導通させる。このため、第1ノードの電圧が昇圧され、第2ノードの信号反転が早まるので、入力バッファ回路における遅延時間が短くなる。一方、入力信号がハイからローに遷移するとき、プルアップ回路は、電源と第1ノードとを導通させない。このため、電源と送信側の出力回路のロー駆動素子との間はショートせず、入力信号はハイからローに速やかに遷移するため、第2ノードの信号反転に遅れは生じない。したがって、入力信号の立ち上がりと立ち下がりとで、入力バッファ回路における遅延時間の差を抑えることができるので、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができる。
【0009】
本開示の第2態様では、入力端子に入力信号を受ける入力回路は、第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続された、N型トランジスタと、前記第1ノードと前記電源との間に設けられたプルアップ回路とを備え、前記プルアップ回路は、前記電源と前記第1ノードとの間に、直列に接続されている第1および第2P型トランジスタを備え、前記第1P型トランジスタは、ゲートに前記第1ノードの信号の反転信号を受け、前記第2P型トランジスタは、前記入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号を受け、前記入力バッファ回路がインバータであるときは、ゲートに前記第2ノードの信号の反転信号を受ける。
【0010】
この態様によると、入力回路は、第1ノードを入力とし、第2ノードを出力とする入力バッファ回路と、ソースが入力端子に接続され、ドレインが第1ノードに接続され、ゲートが電源と接続されたN型トランジスタと、第1ノードと電源との間に設けられたプルアップ回路とを備える。プルアップ回路は、電源と第1ノードとの間に、直列に接続されている第1および第2P型トランジスタを備える。第1P型トランジスタは、ゲートに第1ノードの信号の反転信号を受ける。第2P型トランジスタは、入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、ゲートに第2ノードの信号を受け、入力バッファ回路がインバータであるときは、ゲートに第2ノードの信号の反転信号を受ける。入力信号がローのとき、第2P型トランジスタはゲートにローを受けているためオン状態である。入力信号がローからハイに遷移するとき、第1P型トランジスタは、第1ノードの信号の反転信号が閾値を下回ったときオンになる。このため、第1ノードの電圧が昇圧され、第2ノードの信号反転が早まるので、入力バッファ回路における遅延時間が短くなる。一方、入力信号がハイのとき、第2P型トランジスタはゲートにハイを受けているためオフ状態である。このため、入力信号がハイからローに遷移するとき、電源と送信側の出力回路のロー駆動素子との間はショートせず、入力信号はハイからローに速やかに遷移するため、第2ノードの信号反転に遅れは生じない。したがって、入力信号の立ち上がりと立ち下がりとで、入力バッファ回路における遅延時間の差を抑えることができるので、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によると、入力回路において、入力バッファ回路における遅延時間を短縮し、かつ、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】第2実施形態に係る入力回路の他の回路構成例
【
図9】第4実施形態に係る入力回路の他の回路構成例
【
図10】第4実施形態に係る入力回路の他の回路構成例
【
図12】第5実施形態に係る入力回路の他の回路構成例
【
図14】(a)は
図13における電圧変換回路の回路構成例、(b)は(a)の回路の入出力電圧の例
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す回路構成図では、本開示に関わる構成要素を中心にして簡略化して図示を行っている。このため例えば、直接的に接続されているように図示された構成要素が、実際の回路構成では、その間に他の構成要素が配置されており、間接的に接続されている場合がある。
【0014】
また、以下の説明において、「VDD」は、電源自体とその電源電圧の両方を表す符号として用いる。また、信号の「ハイ」「ロー」は、信号の高電位側および低電位側の論理レベルを意味する。また、トランジスタの「オン」「オフ」は、トランジスタが導通状態であるか非導通状態であるかを意味する。
【0015】
以降の各実施形態では、電源電圧VDDは1.8Vであり、入力信号の電圧は3.3Vまたは1.8Vであるものとする。そして、回路動作の説明は、入力信号の電圧が3.3Vである場合について行う。
【0016】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図1に示す入力回路1は、半導体集積回路に設けられ、他の電子機器から半導体集積回路に送られた入力信号を入力端子PADに受ける。入力信号の電圧が電源電圧VDDより高い場合、入力回路1は、半導体集積回路の内部回路を保護するために、入力信号の電圧を降圧する。
【0017】
入力回路1は、入力バッファ回路の一例としてのインバータ11と、入力端子PADとインバータ11との間に設けられた降圧用のN型トランジスタN1と、プルアップ回路21とを備える。インバータ11はノードaを入力とし、ノードbを出力とし、ノードaの信号を反転してノードbに出力する。N型トランジスタN1は、ソースが入力端子PADに接続され、ドレインがノードaに接続され、ゲートが電源VDDと接続されている。
【0018】
プルアップ回路21は、P型トランジスタP1と、2入力NAND回路31とを備える。P型トランジスタP1は、ソースが電源VDDに接続され、ドレインがノードaに接続されている。2入力NAND回路31は、ノードaの信号とノードbの信号とを入力とし、出力ノードであるノードcがP型トランジスタP1のゲートに接続されている。すなわち、ノードa,bの信号がともにハイであり、ノードcの信号がローのとき、P型トランジスタP1はオンする。それ以外のときは、P型トランジスタP1はオフである。
【0019】
図1の入力回路1の動作について、
図2の信号波形を参照して説明する。
【0020】
(1)立ち上がり信号の入力時(入力信号がローからハイに遷移)
入力端子PADに与えられる入力信号がローのとき、ノードaの信号はローであり、ノードbの信号はハイである。このとき、ノードcの信号はハイとなり、P型トランジスタP1はオフである。
【0021】
入力信号がローからハイに遷移するとき、入力信号の電圧の上昇に従ってノードaの電圧が上昇する。ノードaの電圧がNAND回路31の閾値を超えると、ノードcの信号はローになり、これにより、P型トランジスタP1はオンする。P型トランジスタP1がオンすることによって、ノードaの電圧が昇圧され、ノードbの信号の反転が早まる。したがって、インバータ11における遅延時間が短くなる(t1)。
【0022】
ここで、NAND回路31における遅延時間がインバータ11と比べて短くなるように設計することによって、特許文献1の例よりも早くP型トランジスタP1をオンさせることができる。
【0023】
ノードbの信号がハイからローに遷移すると、ノードcの信号はハイになり、P型トランジスタP1は再びオフになる。
【0024】
(2)立ち下がり信号の入力時(入力信号がハイからローに遷移)
入力信号がハイからローに遷移するとき、ノードcの信号はハイのままであり、P型トランジスタP1はオフのままである。このため、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間のショートは発生せず、入力信号はハイからローに速やかに遷移し、信号波形は鈍化しない。したがって、ノードbの信号の反転は遅れず、インバータ11における遅延時間は増加しない(t2)。
【0025】
上のような動作の結果、入力端子PADに与えられる入力信号のパルス幅に対して、ノードbの信号のパルス幅に誤差が生じることはない(tH_b=tL_PAD,tL_b=tH_PAD)。
【0026】
すなわち、本実施形態では、プルアップ回路21は、入力信号がローからハイに遷移するとき、電源VDDとノードaとを所定期間導通させる一方、入力信号がハイからローに遷移するとき、電源VDDとノードaとを導通させないように構成されている。
【0027】
以上のように本実施形態によると、入力回路1は、ノードaを入力とし、ノードbを出力とするインバータ11と、ソースが入力端子PADに接続され、ドレインがノードaに接続され、ゲートが電源VDDと接続されたN型トランジスタN1と、ノードaと電源VDDとの間に設けられたプルアップ回路21とを備える。入力信号がローからハイに遷移するとき、プルアップ回路21において、NAND回路31の出力ノードcは所定期間ローになり、P型トランジスタP1は電源VDDとノードaとを導通させる。このため、ノードaの電圧が昇圧され、ノードbの信号反転が早まるので、インバータ11における遅延時間が短くなる。一方、入力信号がハイからローに遷移するとき、プルアップ回路21において、NAND回路31の出力ノードcはローにならず、P型トランジスタP1は電源VDDとノードaとを導通させない。このため、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間はショートせず、入力信号はハイからローに速やかに遷移するため、ノードbの信号反転に遅れは生じない。したがって、入力信号の立ち上がりと立ち下がりとで、インバータ11における遅延時間の差を抑えることができるので、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができる。
【0028】
なお、入力バッファ回路として、インバータ11の代わりに、信号の論理を反転させないバッファを用いてもかまわない。この場合は、例えば、ノードbとNAND回路31との間に、インバータを設ければよい。すなわち、NAND回路31には、ノードaの信号を第1入力として与え、入力バッファ回路がインバータであるときは、ノードbの信号を第2入力として与え、入力バッファ回路が信号の論理を反転させないバッファであるときは、ノードbの信号の反転信号を第2入力として与えればよい。
【0029】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図3に示す入力回路2は、基本的な構成は
図1に示す入力回路1と同様である。入力回路2は、入力バッファ回路の一例として信号を反転しないバッファ12を備えており、また、
図1に示すプルアップ回路21と構成が異なるプルアップ回路22を備えている。
【0030】
プルアップ回路22は、電源VDDとノードaとの間に直列に接続されたP型トランジスタP1,P2と、インバータ32とを備える。インバータ32は、ノードaの信号を受け、出力ノードであるノードcがP型トランジスタP1のゲートに接続されている。P型トランジスタP2は、ゲートに、バッファ12の出力ノードであるノードbの信号を受ける。
【0031】
図3の入力回路2の動作について、
図4の信号波形を参照して説明する。
【0032】
(1)立ち上がり信号の入力時(入力信号がローからハイに遷移)
入力端子PADに与えられる入力信号がローのとき、ノードaの信号はローであり、ノードbの信号はローである。このとき、ノードcの信号はハイとなり、P型トランジスタP1はオフである。また、P型トランジスタP2はオンである。
【0033】
入力信号がローからハイに遷移するとき、入力信号の電圧の上昇に従ってノードaの電圧が上昇する。ノードaの電圧がインバータ32の閾値を超えると、ノードcの信号はローになり、これにより、P型トランジスタP1はオンする。P型トランジスタP2はオンなので、P型トランジスタP1がオンすることによって、ノードaの電圧が昇圧され、ノードbの信号の反転が早まる。したがって、バッファ12における遅延時間が短縮される(t1)。
【0034】
ここで、インバータ32における遅延時間がバッファ12と比べて短くなるように設計することによって、特許文献1の例よりも早くP型トランジスタP1をオンさせることができる。
【0035】
ノードbの信号がローからハイに遷移すると、P型トランジスタP2はオフになる。
【0036】
(2)立ち下がり信号の入力時(入力信号がハイからローに遷移)
入力信号がハイからローに遷移するとき、ノードbの信号はハイのままであり、P型トランジスタP2はオフのままである。このため、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間のショートは発生せず、入力信号はハイからローに速やかに遷移し、信号波形は鈍化しない。したがって、ノードbの信号の反転は遅れず、バッファ12における遅延時間も増加しない(t2)。
【0037】
続いて、ノードaの電圧が下降してインバータ32の閾値を下回ると、ノードcの信号がハイになり、P型トランジスタP1は再びオフになる。その後、バッファ12における遅延時間を経てノードbの信号がローになるため、P型トランジスタP2は再びオンになる。ただし、P型トランジスタP1のオフの方がP型トランジスタP2のオンよりも早いため、立ち下がり信号の入力時には、電源VDDとノードaとが導通することはない。
【0038】
上のような動作の結果、入力端子PADに与えられる入力信号のパルス幅に対して、ノードbの信号のパルス幅に誤差が生じることはない(tH_b=tH_PAD,tL_b=tL_PAD)。
【0039】
すなわち、プルアップ回路22は、入力信号がローからハイに遷移するとき、電源VDDとノードaとを所定期間導通させる一方、入力信号がハイからローに遷移するとき、電源VDDとノードaとを導通させないように構成されている。
【0040】
以上のように本実施形態によると、入力回路2は、ノードaを入力とし、ノードbを出力とするバッファ12と、ソースが入力端子PADに接続され、ドレインがノードaに接続され、ゲートが電源VDDと接続されたN型トランジスタN1と、ノードaと電源VDDとの間に設けられたプルアップ回路22とを備える。プルアップ回路22は、電源VDDとノードaとの間に、直列に接続されているP型トランジスタP1,P2を備える。P型トランジスタP1は、ゲートにノードaの信号の反転信号を受け、P型トランジスタP2は、ゲートにノードbの信号を受ける。入力信号がローのとき、P型トランジスタP1はゲートにハイを受けているためオフ状態である。入力信号がローからハイに遷移するとき、P型トランジスタP1は、ノードaの信号の反転信号が閾値を下回ったときオンになる。このため、ノードaの電圧が昇圧され、ノードbの信号反転が早まるので、バッファ12における遅延時間が短くなる。一方、入力信号がハイのとき、P型トランジスタP2はゲートにハイを受けているためオフ状態である。このため、入力信号がハイからローに遷移するとき、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間はショートせず、入力信号はハイからローに速やかに遷移するため、第2ノードの信号反転に遅れは生じない。したがって、入力信号の立ち上がりと立ち下がりとで、バッファ12における遅延時間の差を抑えることができるので、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができる。
【0041】
図5は本実施形態に係る入力回路の他の回路構成例である。
図5に示す入力回路2Aのように、入力バッファ回路として、インバータ11を用いてもかまわない。この場合は、例えば、プルアップ回路22Aにおいて、ノードbとP型トランジスタP2のゲートとの間にインバータ33を設けて、P型トランジスタP2のゲートにノードbの信号の反転信号が与えられるようにすればよい。
【0042】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図6に示す入力回路3は、基本的な構成は
図3に示す入力回路2と同様である。入力回路3は、
図3に示すプルアップ回路22と構成が異なるプルアップ回路23を備えている。
【0043】
プルアップ回路23は、電源VDDとノードaとの間に直列に接続されたP型トランジスタP1,P2と、インバータ32,34とを備える。インバータ32は、ノードaの信号を受け、出力ノードであるノードcがP型トランジスタP1のゲートに接続されている。インバータ34は、ノードcの信号を受け、出力ノードがP型トランジスタP2のゲートに接続されている。
【0044】
すなわち、
図3に示す入力回路2では、P型トランジスタP2のゲートにノードbの信号が与えられるのに対して、
図6に示す入力回路3では、P型トランジスタP2のゲートに、ノードaの信号をインバータ32,34で遅延した信号が与えられる。
【0045】
図6の入力回路3の動作は、
図3の入力回路2の動作と同様である。すなわち、プルアップ回路23は、入力信号がローからハイに遷移するとき、電源VDDとノードaとを所定期間導通させる一方、入力信号がハイからローに遷移するとき、電源VDDとノードaとを導通させないように構成されている。加えて、
図6の入力回路3では、P型トランジスタP2の制御が、入力バッファ回路の一例であるバッファ12の特性に依存せず、かつ、バッファ12の特性に影響を与えることなく、行われる。
【0046】
したがって、本実施形態によると、第2実施形態と同様に、入力信号の立ち上がりと立ち下がりとで、バッファ12における遅延時間の差を抑えることができるので、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができる。
【0047】
(第4実施形態)
図7は第4実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図7に示す入力回路4は、イネーブル信号ENを受け、イネーブル信号ENに応じて、入力信号の通過/非通過が制御可能なように構成されている。ここでは、入力回路4は、イネーブル信号ENが「1」(ハイ)のときは入力信号を通過させ(イネーブル)、イネーブル信号ENが「0」(ロー)のときは入力信号を通過させない(ディセーブル)ように、構成されている。
【0048】
入力回路4は、入力バッファ回路として、2入力NAND回路13を備える。2入力NAND回路13は、ノードaの信号と、イネーブル信号ENとを入力とし、ノードbを出力とする。イネーブル信号ENが「1」のときは、ノードaの信号の反転信号がノードbに出力され、イネーブル信号ENが「0」のときは、ノードbはハイに固定される。すなわち、2入力NAND回路13は、イネーブル信号ENが「1」のときは、信号を通過させるインバータとして機能し、イネーブル信号ENが「0」のときは、信号を通過させない。
【0049】
プルアップ回路24は、電源VDDとノードaとの間に直列に接続されたP型トランジスタP1,P2と、NAND回路31とを備える。NAND回路31は、ノードaの信号とノードbの信号とを入力とし、出力ノードであるノードcがP型トランジスタP1のゲートに接続されている。P型トランジスタP2は、ゲートが、イネーブル信号ENを入力とするインバータ41の出力ノードであるノードdと接続されている。プルアップ回路24は、
図1のプルアップ回路21にP型トランジスタP2が追加された構成になっている。
【0050】
図7の入力回路4は、イネーブル信号ENが「1」のときは、2入力NAND回路13がインバータとして機能し、P型トランジスタP2がオンするので、第1実施形態に係る
図1の入力回路1と同様に動作する。
【0051】
図8はイネーブル信号ENが「0」のときの動作を示す信号波形である。
図8に示すように、イネーブル入力ENが「0」のときは、ノードbはハイ固定になる。このため、P型トランジスタP1のゲートに与えられるノードcの信号は、入力信号の遷移に応じて変化する。ところが、P型トランジスタP2のゲートに与えられるノードdの信号は、ハイ固定であるので、P型トランジスタP2はオフである。したがって、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間のショートは発生せず、入力信号の波形は鈍化しない。
【0052】
ここで、仮に、プルアップ回路24にP型トランジスタP2を追加しないで、
図1のプルアップ回路21と同じ構成にしたとする。この場合には、ノードcの信号がローになったとき、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間にショートが発生し、入力信号の波形は鈍化してしまう。本実施形態では、この問題が解消されている。すなわち、本実施形態によると、イネーブル信号ENによって入力信号の通過/非通過を制御することができ、かつ、イネーブル信号ENが「0」のとき、入力信号の波形の鈍化を回避することができる。
【0053】
図9は本実施形態に係る入力回路の他の回路構成例を示す。
図9に示す入力回路4Aは、入力バッファ回路として、2入力AND回路14を備えている。2入力AND回路14は、ノードaの信号と、イネーブル信号ENとを入力とし、ノードbを出力とする。イネーブル信号ENが「1」のときは、ノードaの信号がノードbに出力され、イネーブル信号ENが「0」のときは、ノードbはローに固定される。すなわち、2入力AND回路14は、イネーブル信号ENが「1」のときは、信号を通過させるバッファとして機能し、イネーブル信号ENが「0」のときは、信号を通過させない。
【0054】
プルアップ回路24Aは、電源VDDとノードaとの間に直列に接続されたP型トランジスタP1,P2,P3と、インバータ32とを備える。インバータ32は、ノードaの信号を受け、出力ノードであるノードcがP型トランジスタP1のゲートに接続されている。P型トランジスタP2は、ゲートに、2入力AND回路14の出力であるノードbの信号を受ける。P型トランジスタP3は、ゲートが、イネーブル信号ENを入力とするインバータ41の出力ノードであるノードdと接続されている。プルアップ回路24Aは、
図3のプルアップ回路22にP型トランジスタP3が追加された構成になっている。
【0055】
図9の入力回路4Aは、イネーブル入力ENが「1」のときは、2入力AND回路14はバッファとして機能し、P型トランジスタP3がオンするので、第2実施形態に係る
図3の入力回路2と同様に動作する。一方、イネーブル入力ENが「0」のときは、ノードbはロー固定になり、P型トランジスタP2はオンである。ところが、P型トランジスタP3のゲートに与えられるノードdの信号はハイ固定であるので、P型トランジスタP3はオフである。したがって、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間のショートは発生せず、入力信号の波形は鈍化しない。したがって、
図7の入力回路4と同様の作用効果が得られる。
【0056】
図10は本実施形態に係る入力回路の他の回路構成例を示す。
図10に示す入力回路4Bは、入力バッファ回路として、2入力NAND回路13を備える。
図7に示す入力回路4と同様に、2入力NAND回路13は、ノードaの信号と、イネーブル入力ENとを入力とし、ノードbを出力とする。
【0057】
プルアップ回路24Bは、P型トランジスタP1と、3入力NAND回路35とを備える。P型トランジスタP1は、ソースが電源VDDに接続され、ドレインがノードaに接続されている。3入力NAND回路35は、ノードaの信号と、ノードbの信号と、イネーブル信号ENとを入力とし、出力ノードであるノードcがP型トランジスタP1のゲートに接続されている。
【0058】
図10の入力回路4Bは、イネーブル信号ENが「1」のときは、2入力NAND回路13がインバータとして機能し、3入力NAND回路35が2入力NAND回路として機能するため、第1実施形態に係る
図1の入力回路1と同様に動作する。一方、イネーブル信号ENが「0」のときは、ノードbはハイ固定になるが、3入力NAND回路35の入力にイネーブル信号ENが含まれているため、ノードcはハイ固定になる。このため、P型トランジスタP1はオフである。したがって、電源VDDと送信側の出力回路のロー駆動素子との間のショートは発生せず、入力信号の波形は鈍化しない。したがって、
図7の入力回路4と同様の作用効果が得られる。
【0059】
図10の構成は、電源VDDとノードaとの間にP型トランジスタが1段のみ配置されている。この構成は、面積効率の観点から、トランジスタの多段構成を避けたい場合に有効である。
【0060】
なお、イネーブル信号ENの論理が逆の場合、すなわち、イネーブル信号ENが「0」のときは入力信号を通過させ(イネーブル)、イネーブル信号ENが「1」のときは入力信号を通過させない(ディセーブル)場合であっても、本実施形態は適用可能である。この場合、例えば
図7の構成では、P型トランジスタP2のゲートにイネーブル信号ENを与え、2入力NAND回路13にイネーブル信号ENの反転信号を与えるようにすればよい。
【0061】
(第5実施形態)
図11は第5実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図11に示す入力回路5は、第1実施形態に係る
図1に示す入力回路1の構成に加えて、電源VDDとノードaとの間に設けられたN型トランジスタN2を備えている。すなわち、プルアップ回路21のP型トランジスタP1と並列に、N型トランジスタN2が設けられている。N型トランジスタN2は、ドレインが電源VDDと接続され、ソースがノードaと接続され、ゲートに入力端子PADが接続されている。
【0062】
図11の入力回路5の動作は、
図1の入力回路1の動作と同様である。ただし、N型トランジスタN2は、入力端子PADに電源電圧VDDよりも高い電圧の立ち上がり信号が入力されたとき(入力信号がローからハイに遷移したとき)、オンする。これにより、ノードaの電圧の昇圧が補助される。
【0063】
図12は第5実施形態に係る入力回路の他の回路構成例を示す。
図12に示す入力回路5Aは、第4実施形態に係る
図9に示す入力回路4Aの構成に加えて、電源VDDとノードaとの間に設けられたN型トランジスタN2を備えている。すなわち、プルアップ回路24AのP型トランジスタP1,P2,P3と並列に、N型トランジスタN2が設けられている。N型トランジスタN2は、ドレインが電源VDDと接続され、ソースがノードaと接続され、ゲートに入力端子PADが接続されている。
【0064】
図12の入力回路5Aの動作は、
図9の入力回路4Aの動作と同様である。ただし、N型トランジスタN2は、入力端子PADに電源電圧VDDよりも高い電圧の立ち上がり信号が入力されたとき(入力信号がローからハイに遷移したとき)、オンする。これにより、ノードaの電圧の昇圧が補助される。
【0065】
なお、上述の第1~第4実施形態で示した他の入力回路の構成において、
図11および
図12の構成と同様に、N型トランジスタN2を追加してもよい。
【0066】
(第6実施形態)
昨今の省電力化ニーズに伴い、半導体集積回路の電源を必要に応じてオン/オフするシステムが一般的になっている。ところが、
図1に示す入力回路1では、電源オフすなわちVDDが0Vのときに、入力端子PADに高電圧の信号を受けることが許容できない。すなわち、N型トランジスタN1のドレイン-ゲート間耐圧が1.8Vとすると、VDDが0Vのときに入力端子PADが3.3Vの入力信号を受けると、N型トランジスタN1のドレイン-ゲート間電圧は3.3Vになり、その耐圧を超えてしまう。
【0067】
そこで、本実施形態では、入力端子PADが受ける信号によらず、電源オフすなわちVDDを0Vにできるような入力回路を提供する。
【0068】
図13は第6実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図13に示す入力回路6は、基本的な構成は
図1に示す入力回路1と同様である。ただし、N型トランジスタN1のゲート、および、プルアップ回路26におけるP型トランジスタP1のドレインが、電源VDDではなくノードdと接続されている。ノードdは、電圧変換回路61を介して入力端子PADに接続されている。電圧変換回路61は、電源VDDがオンのときは、電源電圧VDDをノードdに出力し、電源VDDがオフのときは、入力端子PADの電圧を分圧してノードdに出力する。
【0069】
図14(a)は電圧変換回路61の回路構成例、
図14(b)は電圧変換回路61の入出力電圧の関係を示す。電圧変換回路61では、電源オン(VDD=1.8V)のとき、N型トランジスタN61がオンになることにより、P型トランジスタP63のゲート電圧が0Vになり、これにより、P型トランジスタP63はオンする。この結果、入力端子PADが受ける信号にかかわらず、ノードdに電圧VDDが出力される。一方、電源オフ(VDD=0V)のとき、入力端子PADにハイ(3.3V)が与えられたとする。P型トランジスタP61,P62は、ゲート電圧が0Vなのでともにオンする。このため、直列接続された抵抗Rによって分圧された電圧すなわち3.3/2Vが、トランジスタP61,P62を経由して、ノードdに出力される。なお、
図14に示した電圧変換回路61の構成は一例であって、これに限られるものではない。
【0070】
図13の入力回路6は次のように動作する。電源オン(VDD=1.8V)のとき、電圧変換回路61の動作により、ノードdには電源電圧VDDが出力される。したがって、
図13の入力回路6は、
図1の入力回路1と同じ動作を行う。
【0071】
一方、電源オフ(VDD=0V)のとき、入力端子PADにハイ(3.3V)が与えられると、電圧変換回路61の動作により、ノードdの電圧は3.3/2Vになる。このとき、N型トランジスタN1はオンする。ノードaの電圧は、N型トランジスタN1のピンチオフ特性により入力端子PADの電圧3.3Vから降圧し、ノードdの電圧を超えない。また、VDD=0Vにより、ノードcの電圧はほぼ0Vになり、P型トランジスタP1はオンし、ノードaとノードdとが導通する。この結果、ノードaの電圧は3.3/2Vになる。
【0072】
このように、N型トランジスタN1のゲートが電源VDDではなく、ノードdに接続されているため、電源オフのときに入力端子PADにハイが与えられても、N型トランジスタN1のドレイン-ゲート間電圧がその耐圧を超えることはない。
【0073】
また、P型トランジスタP1のドレインがVDDではなくノードdに接続されているため、電源オフのときに入力端子PADにハイが与えられても、入力端子PADからの不要な流入電流は生じない。すなわち、P型トランジスタP1のドレインが電源VDDに接続されていると、電源オフのときに入力端子PADにハイが与えられたとき、入力端子PADから、N型トランジスタN1→ノードa→P型トランジスタP1→VDDという経路で、電流が流入してしまう。本実施形態では、この問題が回避されている。
【0074】
さらに、ノードaには、降圧された電圧が与えられるので、その電圧がその先にあるトランジスタの耐圧を超えることがない。
【0075】
したがって、本実施形態によると、入力回路6において、トランジスタの劣化や破壊を招くことなく、かつ、不要な流入電流を発生させることなく、電源をオフすることができる。
【0076】
なお、ここでは、本実施形態を第1実施形態に適用した場合を例にとって説明したが、上述した他の実施形態にも適用可能である。すなわち、N型トランジスタN1のゲート、および、プルアップ回路22等におけるP型トランジスタP1のドレインを、入力端子PADに電圧変換回路61を介して接続されたノードdに、接続すればよい。また、
図11に示す入力回路5、および、
図12に示す入力回路5Aでは、N型トランジスタN2のドレインもノードdに接続すればよい。
【0077】
(第7実施形態)
図15は第7実施形態に係る入力回路の回路構成を示す。
図15に示す入力回路7は、基本的な構成は
図13に示す入力回路6と同様である。ただし、プルアップ回路27において、P型トランジスタP5と、並列接続されたP型トランジスタおよびN型トランジスタからなるトランスファーゲートスイッチSWが追加されている。
【0078】
P型トランジスタP5は、P型トランジスタP1のゲートとなるノードcとソースとなるノードaとの間に、接続されている。P型トランジスタP5のゲートは、電源VDDと接続されている。トランスファーゲートスイッチSWは、ノードcと、NANDゲート31の出力ノードとの間に接続されている。トランスファーゲートスイッチSWを構成するN型トランジスタのゲートは電源VDDに接続されており、トランスファーゲートスイッチSWを構成するP型トランジスタのゲートはノードaに接続されている。
【0079】
図15に示す入力回路7は次のように動作する。電源オン(VDD=1.8V)のとき、P型トランジスタP5はオフになり、トランスファーゲートスイッチSWは、そのN型トランジスタがオンになるので、オンになる。したがって、
図15の入力回路7は
図13の入力回路6と同じ動作を行う。
【0080】
一方、電源オフ(VDD=0V)のとき、入力端子PADにハイ(3.3V)が与えられると、P型トランジスタP5はオンになり、これによりノードaとノードcが導通し、ノードa,cの電圧がノードdと同一になる。このため、P型トランジスタP1はオフになる。また、トランスファーゲートスイッチSWは、N型トランジスタはゲート電圧が0Vなのでオフになり、P型トランジスタはドレイン(ノードc)の電圧とゲート(ノードa)の電圧とが等しいのでオフになり、したがってオフになる。この結果、ノードcとNANDゲート31の出力ノードとの間が遮断されるので、P型トランジスタP5からNANDゲート31を介した不要な流入電流の発生を防止することができる。
【0081】
したがって、本実施形態によると、入力回路7において、トランジスタの劣化や破壊を招くことなく、かつ、不要な流入電流を発生させることなく、電源をオフすることができる。
【0082】
なお、ここでは、本実施形態を第1実施形態の回路構成に適用した場合を例にとって説明したが、上述した他の実施形態の回路構成にも適用可能である。すなわち、プルアップ回路において、P型トランジスタP1,P2,P3のいずれかのゲートと、ノードaとの間に、P型トランジスタP5を接続し、そのゲートとそれに信号を送る前段回路のノードとの間に、トランスファーゲートスイッチSWを設ければよい。
【0083】
例えば、
図3の入力回路2に対して、P型トランジスタP1のゲートとノードaとの間にP型トランジスタP5を接続し、P型トランジスタP1のゲートとインバータ32の出力ノードとの間にトランスファーゲートスイッチSWを設ければよい。あるいは、P型トランジスタP2のゲートとノードaとの間にP型トランジスタP5を接続し、P型トランジスタP2のゲートと入力バッファ12との間にトランスファーゲートスイッチSWを設ければよい。
【0084】
なお、本開示は、上述の各実施形態で示した構成に限定されるものではなく、多くの変形が、本開示の技術的思想内で当該技術分野において通常の知識を有する者により可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、複数の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示では、入力回路において、入力バッファ回路における遅延時間を短縮し、かつ、出力信号のパルス幅に生じる誤差を抑えることができるので、例えば、LSIの高速化や性能向上に有効である。
【符号の説明】
【0086】
1,2,2A,3,4,4A,4B,5,5A,6,7 入力回路
11 インバータ(入力バッファ回路)
12 バッファ(入力バッファ回路)
13 2入力NAND回路(入力バッファ回路)
14 2入力AND回路(入力バッファ回路)
21,22,22A,23,24,24A,24B,26,27 プルアップ回路
31 NAND回路
32,33,34 インバータ
61 電圧変換回路
N1,N2 N型トランジスタ
P1,P2,P5 P型トランジスタ
PAD 入力端子
SW トランスファーゲートスイッチ
a 第1ノード
b 第2ノード
d 第3ノード
VDD 電源、電源電圧