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特許7602120制御装置、無線通信機器、無線システム、およびネットワークプロファイル設定方法
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  • 特許-制御装置、無線通信機器、無線システム、およびネットワークプロファイル設定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】制御装置、無線通信機器、無線システム、およびネットワークプロファイル設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/12 20090101AFI20241211BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20241211BHJP
【FI】
H04W84/12
H04W76/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021009854
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113543
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】西口 育宏
(72)【発明者】
【氏名】藪本 浩介
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111903(JP,A)
【文献】特許第6184580(JP,B1)
【文献】特開2017-034485(JP,A)
【文献】特開2019-009649(JP,A)
【文献】特開2018-085603(JP,A)
【文献】特表2018-527827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0187167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ローカルエリアネットワークを介して無線通信機器と通信可能な制御装置であって、
前記無線ローカルエリアネットワークに接続されていない前記無線通信機器から送信されたビーコンを検知すると、前記無線通信機器に接続要求を送信することで前記無線通信機器との接続を確立して、前記無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信する制御側通信部、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御側通信部は、前記ネットワークプロファイルを送信した前記無線通信機器から、前記ネットワークプロファイルが設定された旨の通知を受信すると、前記ネットワークプロファイルに基づいて前記無線ローカルエリアネットワークに接続する機器側ステーションモードへの切り替えを指示する切り替えコマンドを前記無線通信機器に送信する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御側通信部には、前記無線ローカルエリアネットワークに設けられているアクセスポイント装置に接続するための前記ネットワークプロファイルが設定されており、
前記制御側通信部は、設定されている前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記無線通信機器からの接続要求を受け付ける制御側アクセスポイントモードと、前記無線通信機器に接続要求を送信する制御側ステーションモードとを切り替える制御側動作切替部をさらに備え、
前記制御側通信部は、前記制御側アクセスポイントモードでは前記無線通信機器からの接続要求を受け付けることで、前記制御側ステーションモードでは前記無線通信機器から送信された前記ビーコンを検知して、前記無線通信機器に接続要求を送信することで、前記無線通信機器との接続を確立して、前記制御装置に接続するための前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御側動作切替部は、前記制御側通信部が前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信した後に、前記制御側アクセスポイントモードに切り替える、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
無線ローカルエリアネットワークを介して制御装置と通信可能な無線通信機器であって、
前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードと、ネットワークプロファイルに基づいて前記無線ローカルエリアネットワークに接続する機器側ステーションモードとを切り替える機器側動作切替部と、
前記機器側アクセスポイントモードではビーコンを送信し、前記ビーコンを検知した前記制御装置からの接続要求を受け付けることで前記制御装置との接続を確立して、前記制御装置から前記無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを受信して、受信した前記ネットワークプロファイルに基づいて前記ネットワークプロファイルを設定し、前記機器側ステーションモードでは設定されている前記ネットワークプロファイルに基づいて前記無線ローカルエリアネットワークに接続する機器側通信部と、
を備え、
前記ネットワークプロファイルが未設定の場合、前記機器側動作切替部は前記機器側アクセスポイントモードに切り替える、
無線通信機器。
【請求項7】
前記機器側通信部は、前記制御装置から前記ネットワークプロファイルを受信すると、受信した前記ネットワークプロファイルに基づいて前記ネットワークプロファイルを設定し、前記ネットワークプロファイルが設定された旨の通知を前記制御装置に送信する、
請求項6に記載の無線通信機器。
【請求項8】
前記機器側通信部は、前記制御装置から、前記機器側ステーションモードへの切り替えを指示する切り替えコマンドを受信し、
前記機器側動作切替部は、前記機器側通信部が前記切り替えコマンドを受信すると、前記機器側ステーションモードに切り替える、
請求項6または7に記載の無線通信機器。
【請求項9】
前記機器側動作切替部は、前記無線通信機器の電源操作によって電源オンが指示された場合に前記ネットワークプロファイルが未設定である場合に、前記機器側アクセスポイントモードに切り替える、
請求項6から8のいずれか1項に記載の無線通信機器。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置と、
少なくとも1つの請求項6から9のいずれか1項に記載の無線通信機器と、
を備える無線システム。
【請求項11】
アクセスポイント装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記アクセスポイント装置に接続するための前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信し、
前記制御装置および少なくとも1つの前記無線通信機器は、前記アクセスポイント装置を介して通信する、
請求項10に記載の無線システム。
【請求項12】
無線ローカルエリアネットワークを介して通信可能な無線通信機器および制御装置を備える無線システムが行う、前記無線通信機器の前記無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを設定するネットワークプロファイル設定方法であって、
前記無線通信機器のネットワークプロファイルが未設定である場合に、前記無線通信機器を、ビーコンを送信して前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードに切り替え、
前記ビーコンを検知した前記制御装置から前記無線通信機器に接続要求を送信させて前記制御装置と前記無線通信機器との間の接続を確立させ、前記制御装置に前記無線通信機器に対して前記ネットワークプロファイルを送信させ、
前記ネットワークプロファイルを受信した前記無線通信機器に前記ネットワークプロファイルを設定させる、
ネットワークプロファイル設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、無線通信機器、無線システム、およびネットワークプロファイル設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは、ネットワークを介して接続されている複数の通信端末を備える。各通信端末には、ネットワークに接続するための情報、例えば、無線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)に接続するためのSSID(Service Set ID)、パスワード等が設定されている。
【0003】
通信端末に表示画面がない場合には、特許文献1に開示される発明のように、表示画面を有する設定端末を通信端末に有線接続して、ネットワークに接続するための情報を通信端末に設定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-197439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される方法では、表示画面を有する設定端末を通信端末に有線接続する必要があり、ネットワークに接続するための情報を設定する作業が繁雑である。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、無線通信機器にネットワークに接続するための情報を設定する作業を簡易化することを可能にする制御装置、無線通信機器、無線システム、およびネットワークプロファイル設定方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る制御装置は、
無線ローカルエリアネットワークを介して無線通信機器と通信可能な制御装置であって、
前記無線ローカルエリアネットワークに接続されていない前記無線通信機器から送信されたビーコンを検知すると、前記無線通信機器に接続要求を送信することで前記無線通信機器との接続を確立して、前記無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信する制御側通信部、
を備える。
【0008】
好ましくは、前記制御側通信部は、前記ネットワークプロファイルを送信した前記無線通信機器から、前記ネットワークプロファイルが設定された旨の通知を受信すると、前記ネットワークプロファイルに基づいて前記無線ローカルエリアネットワークに接続する機器側ステーションモードへの切り替えを指示する切り替えコマンドを前記無線通信機器に送信する。
【0009】
好ましくは、前記制御側通信部には、前記無線ローカルエリアネットワークに設けられているアクセスポイント装置に接続するための前記ネットワークプロファイルが設定されており、
前記制御側通信部は、設定されている前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信する。
【0010】
好ましくは、前記無線通信機器からの接続要求を受け付ける制御側アクセスポイントモードと、前記無線通信機器に接続要求を送信する制御側ステーションモードとを切り替える制御側動作切替部をさらに備え、
前記制御側通信部は、前記制御側アクセスポイントモードでは前記無線通信機器からの接続要求を受け付けることで、前記制御側ステーションモードでは前記無線通信機器から送信された前記ビーコンを検知して、前記無線通信機器に接続要求を送信することで、前記無線通信機器との接続を確立して、前記制御装置に接続するための前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信する。
【0011】
好ましくは、前記制御側動作切替部は、前記制御側通信部が前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信した後に、前記制御側アクセスポイントモードに切り替える。
【0012】
本発明の第2の観点に係る無線通信機器は、
無線ローカルエリアネットワークを介して制御装置と通信可能な無線通信機器であって、
前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードと、ネットワークプロファイルに基づいて前記無線ローカルエリアネットワークに接続する機器側ステーションモードとを切り替える機器側動作切替部と、
前記機器側アクセスポイントモードではビーコンを送信し、前記ビーコンを検知した前記制御装置からの接続要求を受け付けることで前記制御装置との接続を確立して、前記制御装置から前記無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを受信して、受信した前記ネットワークプロファイルに基づいて前記ネットワークプロファイルを設定し、前記機器側ステーションモードでは設定されている前記ネットワークプロファイルに基づいて前記無線ローカルエリアネットワークに接続する機器側通信部と、
を備え、
前記ネットワークプロファイルが未設定の場合、前記機器側動作切替部は前記機器側アクセスポイントモードに切り替える。
【0013】
好ましくは、前記機器側通信部は、前記制御装置から前記ネットワークプロファイルを受信すると、受信した前記ネットワークプロファイルに基づいて前記ネットワークプロファイルを設定し、前記ネットワークプロファイルが設定された旨の通知を前記制御装置に送信する。
【0014】
好ましくは、前記機器側通信部は、前記制御装置から、前記機器側ステーションモードへの切り替えを指示する切り替えコマンドを受信し、
前記機器側動作切替部は、前記機器側通信部が前記切り替えコマンドを受信すると、前記機器側ステーションモードに切り替える。
【0015】
好ましくは、前記機器側動作切替部は、前記無線通信機器の電源操作によって電源オンが指示された場合に前記ネットワークプロファイルが未設定である場合に、前記機器側アクセスポイントモードに切り替える。
【0016】
本発明の第3の観点に係る無線システムは、
上記制御装置と、
少なくとも1つの上記無線通信機器と、
を備える。
【0017】
好ましくは、アクセスポイント装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記アクセスポイント装置に接続するための前記ネットワークプロファイルを前記無線通信機器に送信し、
前記制御装置および少なくとも1つの前記無線通信機器は、前記アクセスポイント装置を介して通信する。
【0018】
本発明の第4の観点に係るネットワークプロファイル設定方法は、
無線ローカルエリアネットワークを介して通信可能な無線通信機器および制御装置を備える無線システムが行う、前記無線通信機器の前記無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを設定するネットワークプロファイル設定方法であって、
前記無線通信機器のネットワークプロファイルが未設定である場合に、前記無線通信機器を、ビーコンを送信して前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードに切り替え、
前記ビーコンを検知した前記制御装置から前記無線通信機器に接続要求を送信させて前記制御装置と前記無線通信機器との間の接続を確立させ、前記制御装置に前記無線通信機器に対して前記ネットワークプロファイルを送信させ、
前記ネットワークプロファイルを受信した前記無線通信機器に前記ネットワークプロファイルを設定させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る制御装置は、無線ローカルエリアネットワークに接続されていない無線通信機器から送信されたビーコンを検知すると、無線通信機器に接続要求を送信することで無線通信機器との接続を確立して、無線ローカルエリアネットワークに接続するためのネットワークプロファイルを無線通信機器に送信する。制御装置から無線通信機器にネットワークプロファイルを送信することで、無線通信機器に無線ローカルエリアネットワークに接続するための情報を設定する作業を簡易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係る無線システムの構成を示すブロック図
図2】実施の形態1に係る制御装置の構成を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図
図4】実施の形態1に係る無線通信機器の構成を示すブロック図
図5】実施の形態1に係る無線通信機器のハードウェア構成を示すブロック図
図6】実施の形態1に係る無線システムが行うネットワークプロファイル設定の動作の一例を示すシーケンス図
図7】実施の形態2に係る無線システムの構成を示すブロック図
図8】実施の形態2に係る制御装置の構成を示すブロック図
図9】実施の形態2に係る無線システムが行うネットワークプロファイル設定の動作の一例を示すシーケンス図
図10】実施の形態に係る無線システムの変形例の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る制御装置、無線通信機器、無線システム、およびネットワークプロファイル設定方法について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0022】
(実施の形態1)
図1に示す無線システム1は、制御装置10と、無線通信機器20と、を備える。制御装置10と無線通信機器20は、無線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)30を介して通信し得る。実施の形態1では、無線通信機器20は、設定されているネットワークプロファイルに基づいて、無線LAN30におけるアクセスポイントとして動作する制御装置10に接続して、無線LAN30におけるステーションとして動作する。そして、無線通信機器20は、制御装置10をマスター機器として、制御装置10に登録要求を送信して、制御装置10の接続機器リストに無線通信機器20が登録されると、マスター機器である制御装置10と、無線通信機器20との間のデータ通信が可能となる。
【0023】
上述のように通信を行うためには、無線通信機器20には、無線LAN30に接続するためのネットワークプロファイルが設定されている必要がある。詳細には、無線通信機器20には、制御装置10に接続するためのネットワークプロファイルが設定されている必要がある。無線通信機器20にネットワークプロファイルが設定されていない場合は、制御装置10から無線通信機器20にネットワークプロファイルが送信される。このため、無線通信機器20にネットワークプロファイルを設定するための端末を有線接続してネットワークプロファイルを設定する必要はなく、無線通信機器20のネットワークプロファイルを設定する作業が簡易化される。
【0024】
実施の形態1では、無線システム1が船舶に搭載され、制御装置10がVHF(Very High Frequency:超短波)無線局である場合を例にして無線システム1について説明する。制御装置10は操舵室に設けられ、無線通信機器20は制御装置10から離隔した位置、例えば船尾に設けられる。制御装置10には、入出力機器、例えばスピーカ41およびマイクロホン42が接続される。マイクロホン42には、送話時に押下されるPTT(Push To Talk)スイッチ、制御装置10を遠隔制御するためのスイッチ等の操作部が設けられている。無線通信機器20には、外部機器、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)アンテナ43、および、入出力機器、例えばホーンスピーカー44が接続される。
【0025】
例えば、制御装置10は、他の船舶に搭載されているVHF無線局から受信したVHF信号からデータを抽出し、抽出したデータをスピーカ41および無線通信機器20に送信する。スピーカ41は、制御装置10から取得したデータに含まれる音声を出力する。無線通信機器20は、制御装置10から取得したデータをホーンスピーカー44に送信する。ホーンスピーカー44は、無線通信機器20から取得したデータに含まれる音声を出力する。
【0026】
また例えば、制御装置10は、マイクロホン42から取得した音声データに基づくVHF信号を生成し、他の船舶に搭載されているVHF無線局に送信する。制御装置10は、無線通信機器20から、データ、例えば無線通信機器20がGPSアンテナ43から取得した位置情報を取得し、表示画面に船舶の位置を表示する。
【0027】
制御装置10の各部の詳細について説明する。図2に示すように、制御装置10は、制御側アクセスポイントモードと制御側ステーションモードとを切り替える制御側動作切替部11と、無線通信機器20との通信を行う制御側通信部12と、を備える。VHF信号の送受信を行うために、制御装置10は、VHF信号の送受信を行うVHFアンテナ13と、送信用のデータからVHF信号を生成し、または、VHF信号からデータを抽出するVHF通信部14と、を備える。さらに制御装置10は、VHF通信部14が抽出したデータの出力または送信用のデータの入力受け付けを行う入出力部15と、を備える。
【0028】
制御側動作切替部11は、制御装置10に対する操作に応じて、制御側アクセスポイントモードと制御側ステーションモードとを切り替える。制御装置10に対する操作は、ユーザによる操作、例えば制御装置10の本体に設けられたスイッチの操作によってネットワーク設定の開始が指示されることを意味する。制御側アクセスポイントモードは、制御装置10が無線通信機器20からの接続要求を受け付けるモードである。制御側ステーションモードは、制御装置10が無線通信機器20に接続要求を送信するモードである。
【0029】
詳細には、制御装置10の本体に設けられたスイッチの操作によってネットワーク設定の開始が指示された場合、制御側動作切替部11は、制御側ステーションモードに切り替える。制御装置10の本体に設けられたスイッチの操作によってネットワーク設定の終了が指示された場合、制御側動作切替部11は、制御側ステーションモードから制御側アクセスポイントモードに切り替える。
【0030】
制御側通信部12は、制御側アクセスポイントモードで動作する場合には、無線通信機器20からの接続要求を受け付けて接続を確立してから、登録要求を受け付ける。制御側通信部12は、無線通信機器20からの登録要求を受信すると、接続機器リストに無線通信機器20を登録し、登録応答を送信する。これにより、制御装置10と無線通信機器20との間のデータの送受信が可能となる。
【0031】
制御側通信部12は、制御側ステーションモードで動作する場合に、無線通信機器20が送信するビーコンを検知すると、ビーコンを送信した無線通信機器20に対して接続要求を送信する。ビーコンは、無線LAN30の帯域における定められたチャネルで送受信されるLANフレームである。具体的には、制御側通信部12は、接続要求であるプローブリクエストを無線通信機器20に送信する。その後、制御側通信部12は、無線通信機器20から、接続応答であるプローブレスポンスを受信すると、認証手続きを開始する。ビーコンおよびプローブレスポンスは、無線通信機器20に接続するための情報、例えば、SSID(Service Set ID)、無線通信機器20のMAC(Media Access Control)アドレス等を含む。プローブリクエストは、制御装置10の情報、例えば、制御装置10のMACアドレスを含む。
【0032】
認証手続きにおいて、制御側通信部12は、無線通信機器20に認証要求を送信し、無線通信機器20から認証応答を受信する。具体的には、制御側通信部12は、無線通信機器20と4ウェイハンドシェイクの認証手続きを行う。制御側通信部12は、無線通信機器20から認証応答を受信すると、IP(Internet Protocol)アドレス要求を送信する。制御側通信部12が無線通信機器20からIPアドレス応答を受信すると、IPアドレスが制御装置10に割り当てられて、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0033】
上述のように制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立されると、制御側通信部12は、無線通信機器20にネットワークプロファイルを送信する。ネットワークプロファイルは、制御装置10に接続するための情報であり、SSID、パスワード、制御装置10のMACアドレス等を含む。その後、制御側通信部12は、無線通信機器20に機器側ステーションモードへの切り替えを指示する切り替えコマンドを送信する。
【0034】
制御側通信部12は、機器側ステーションモードで動作する無線通信機器20から登録要求を受信すると、無線通信機器20を接続機器リストに登録し、登録応答を無線通信機器20に送信する。
【0035】
上述のように制御装置10の接続機器リストに無線通信機器20が登録されると、制御装置10と無線通信機器20との間で、音声データ、例えば位置情報である音声を含まないデータ等の送受信が可能となる。例えば、制御側通信部12は、音声データ、音声を含まないデータ等をデータフィールドに含み、無線LAN30の規格に準拠したLANフレームを生成して、LANフレームを無線通信機器20に送信する。
【0036】
また例えば、制御側通信部12は、無線通信機器20から送信されたLANフレームを受信する。制御側通信部12は、無線通信機器20からLANフレームを取得すると、データフィールドに含まれている音声データ、音声を含まないデータ等を抽出する。そして、制御側通信部12は、抽出したデータの内、VHF通信に用いられるデータ、例えば、音声データをVHF通信部14に送信する。
【0037】
VHF通信部14は、VHFアンテナ13で受信したVHF信号について、周波数変換、増幅、フィルタリング、復調等の信号処理を行って、VHF信号からデータを抽出する。VHF通信部14は、抽出したデータを制御側通信部12および入出力部15に送る。VHF通信部14は、制御側通信部12または入出力部15から取得した送信用のデータについて、変調、フィルタリング、増幅、周波数変換等の信号処理を行って、VHF信号を生成し、VHFアンテナ13を介してVHF信号を送信する。
【0038】
入出力部15は、VHF通信部14から取得したデータをスピーカ41に送信する。スピーカ41は、入出力部15から取得したデータに含まれる音声を再生する。入出力部15は、マイクロホン42から取得したデータをVHF通信部14に送信する。
【0039】
図2に示す上述の制御装置10を実現するためのハードウェア構成の一例について図3を用いて説明する。制御装置10のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)61と、メモリ62と、LAN通信IF(Interface)63と、VHF通信IF64と、入出力IF65と、を含む。CPU61、メモリ62、LAN通信IF63、VHF通信IF64、および入出力IF65は、互いにバス60で接続されている。
【0040】
制御装置10の各部の機能は、CPU61がメモリ62に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。LAN通信IF63は、無線LAN30への接続および無線通信機器20との通信を可能とするためのインターフェースである。VHF通信IF64は、他のVHF無線局との通信を可能とするためのインターフェースである。入出力IF65を介して、制御装置10は、スピーカ41およびマイクロホン42に接続される。
【0041】
図3の例では、制御装置10は、CPU61およびメモリ62を1つずつ有しているが、複数のCPU61および複数のメモリ62を有してもよい。この場合、複数のCPU61および複数のメモリ62が連携することで、制御装置10の各部の機能が実現されればよい。
【0042】
上述の制御装置10と無線LAN30を介して通信可能な無線通信機器20の各部の詳細について以下に説明する。図4に示すように、無線通信機器20は、機器側アクセスポイントモードと機器側ステーションモードとを切り替える機器側動作切替部21と、制御装置10との通信を行う機器側通信部22と、機器側通信部22が取得したデータの出力、送信用のデータの入力の受け付け、位置情報の取得等を行う入出力部23と、を備える。
【0043】
機器側動作切替部21は、ネットワークプロファイルの設定状態、または、制御装置10から送信される切り替えコマンドに応じて、機器側アクセスポイントモードと機器側ステーションモードとを切り替える。機器側アクセスポイントモードは、無線通信機器20がビーコンを送信し、ビーコンを検知した制御装置10からの接続要求を受け付けるモードである。機器側ステーションモードは、無線通信機器20がネットワークプロファイルに基づいて制御装置10に接続して、登録要求を送信するモードである。
【0044】
機器側動作切替部21は、ネットワークプロファイルが未設定である場合、機器側アクセスポイントモードに切り替える。詳細には、機器側動作切替部21は、無線通信機器20の電源操作によって電源オンが指示された場合に、ネットワークプロファイルが未設定であれば、機器側アクセスポイントモードに切り替える。無線通信機器20の電源操作は、例えば、無線通信機器20の本体に設けられた電源スイッチの操作である。機器側通信部22が制御装置10から切り替えコマンドを受信した場合、機器側動作切替部21は、機器側ステーションモードに切り替える。
【0045】
ネットワークプロファイルが未設定であるため機器側動作切替部21で機器側アクセスポイントモードに切り替えられると、機器側通信部22は、一定間隔、例えば、100ミリ秒間隔でビーコンを送信し、ビーコンを検知した制御装置10からの接続要求を受け付ける。具体的には、機器側通信部22は、制御装置10が有する制御側通信部12からの接続要求であるプローブリクエストを受信すると、接続応答であるプローブレスポンスを送信する。その後、機器側通信部22は、制御側通信部12から認証要求を受信すると、認証応答を送信する。具体的には、機器側通信部22は、制御側通信部12と4ウェイハンドシェイクの認証手続きを行う。認証手続きが完了した後、機器側通信部22は、制御側通信部12からのIPアドレス要求を受信すると、IPアドレス応答を送信する。これにより、IPアドレスが制御装置10に割り当てられて、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0046】
機器側通信部22は、制御側通信部12からネットワークプロファイルを受信すると、受信したネットワークプロファイルに基づいてネットワークプロファイルの設定を行う。これにより、制御装置10に接続が可能となる。ネットワークプロファイルの設定が完了すると、機器側通信部22は、制御側通信部12にネットワークプロファイルが設定された旨の通知を送信する。
【0047】
機器側通信部22は、制御側通信部12から切り替えコマンドを受信すると、受信した切り替えコマンドを機器側動作切替部21に送る。切り替えコマンドに応じて機器側動作切替部21で機器側ステーションモードに切り替えられると、機器側通信部22はネットワークプロファイルに基づいて制御側通信部12に接続し、制御側通信部12に登録要求を送信する。その後、機器側通信部22が制御側通信部12から登録応答を受信すると、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0048】
上述のように制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立されると、制御装置10と無線通信機器20との間で、音声データ、例えば位置情報である音声を含まないデータ等の送受信が可能となる。例えば、機器側通信部22は、音声データ、音声を含まないデータ等をデータフィールドに含み、無線LAN30の規格に準拠したLANフレームを生成して、LANフレームを制御装置10に送信する。
【0049】
また例えば、機器側通信部22は、制御装置10から送信されたLANフレームを受信する。機器側通信部22は、制御装置10からLANフレームを取得すると、データフィールドに含まれている音声データ、音声を含まないデータ等を抽出する。そして、機器側通信部22は、抽出した音声データおよび音声を含まないデータを入出力部23に送信する。
【0050】
入出力部23は、GPSアンテナ43から取得した位置情報を機器側通信部22に送信する。入出力部23は、機器側通信部22から取得したデータをホーンスピーカー44に送信する。ホーンスピーカー44は、入出力部23から取得したデータに含まれる音声を再生する。
【0051】
図4に示す上述の無線通信機器20を実現するためのハードウェア構成の一例について図5を用いて説明する。無線通信機器20のハードウェア構成は、CPU71と、メモリ72と、LAN通信IF73と、入出力IF74と、を含む。CPU71、メモリ72、LAN通信IF73、および入出力IF74は、互いにバス70で接続されている。
【0052】
無線通信機器20の各部の機能は、CPU71がメモリ72に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。LAN通信IF73は、無線LAN30への接続および制御装置10との通信を可能とするためのインターフェースである。入出力IF74を介して、無線通信機器20は、GPSアンテナ43およびホーンスピーカー44に接続される。
【0053】
図5の例では、無線通信機器20は、CPU71およびメモリ72を1つずつ有しているが、複数のCPU71および複数のメモリ72を有してもよい。この場合、複数のCPU71および複数のメモリ72が連携することで、無線通信機器20の各部の機能が実現されればよい。
【0054】
上述の制御装置10と無線通信機器20を備える無線システム1が行うネットワークプロファイル設定方法について図6を用いて説明する。無線システム1は、無線通信機器20のネットワークプロファイルが設定されていない状態で、制御装置10においてネットワークプロファイルの設定の開始を指示する操作が行われた場合に図6の処理を開始する。
【0055】
制御装置10が備える制御側動作切替部11は、制御装置10に設けられたスイッチの操作によってネットワークプロファイル設定の開始が指示されたことを検知すると(シーケンスSq11)、制御側ステーションモードに切り替える(シーケンスSq12)。
【0056】
一方、無線通信機器20が備える機器側動作切替部21は、無線通信機器20の電源操作によって電源オンが指示されて起動した場合に、ネットワークプロファイルが未設定であることを検知すると(シーケンスSq31)、機器側アクセスポイントモードに切り替える(シーケンスSq32)。シーケンスSq32の処理が完了すると、機器側通信部22は、一定間隔でのビーコンの送信を開始する(シーケンスSq33)。
【0057】
制御側通信部12は、シーケンスSq33で送信されたビーコンを検知すると、ビーコンを送信した無線通信機器20に対して接続要求を送信する(シーケンスSq13)。
機器側通信部22は、シーケンスSq13で送信された接続要求を受信すると、接続応答を送信する(シーケンスSq34)。
【0058】
制御側通信部12は、シーケンスSq34で送信された接続応答を受信すると、無線通信機器20に認証要求を送信する(シーケンスSq14)。
機器側通信部22は、シーケンスSq14で送信された認証要求を受信すると、認証応答を送信する(シーケンスSq35)。詳細には、制御側通信部12と機器側通信部22は、4ウェイハンドシェイクによる認証手続きを行う。
【0059】
制御側通信部12は、シーケンスSq35で送信された認証応答を受信すると、IPアドレス要求を送信する(シーケンスSq15)。
機器側通信部22は、シーケンスSq15で送信されたIPアドレス要求を受信すると、IPアドレス応答を送信する(シーケンスSq36)。
【0060】
制御側通信部12が、シーケンスSq36で送信されたIPアドレス応答を受信すると、ステーションである制御装置10とアクセスポイントである無線通信機器20との間の接続が確立される。その後、制御側通信部12は、制御装置10に接続するためのネットワークプロファイルとマスター機器となる制御装置10のMACアドレスを無線通信機器20に送信する(シーケンスSq16)。
【0061】
機器側通信部22は、シーケンスSq16で送信されたネットワークプロファイルを受信すると、受信したネットワークプロファイルに基づいてネットワークプロファイルの設定を行う(シーケンスSq37)。機器側通信部22は、シーケンスSq37の処理が完了すると、ネットワークプロファイルが設定された旨の通知を制御装置10に送信する(シーケンスSq38)。
【0062】
制御側通信部12は、ネットワークプロファイルが設定された旨の通知を受信すると、機器側ステーションモードへの切り替えを指示する切り替えコマンドを無線通信機器20に送信する(シーケンスSq17)。その後、制御側動作切替部11は、制御装置10に設けられたスイッチの操作によってネットワークプロファイル設定の終了が指示されたことを検知すると(シーケンスSq18)、制御側ステーションモードから制御側アクセスポイントモードに切り替える(シーケンスSq19)。シーケンスSq19の処理が完了すると、制御側通信部12は、無線通信機器20からの登録要求を待ち受ける。
【0063】
機器側通信部22は、シーケンスSq17で送信された切り替えコマンドを受信すると、制御装置10との接続を切断し、受信した切り替えコマンドを機器側動作切替部21に送信する。機器側動作切替部21は、切り替えコマンドを受信すると、機器側アクセスポイントモードから機器側ステーションモードに切り替える(シーケンスSq39)。
【0064】
その後、機器側通信部22は、制御装置10に対して登録要求を送信する。詳細には、機器側通信部22は、シーケンスSq37で設定されたネットワークプロファイルに基づいて制御装置10に接続し、マスター機器の検索を行うためのブロードキャストフレームを送信する(シーケンスSq40)。機器側通信部22は、上記ブロードキャストフレームの送信を、マスター機器となる制御装置10から応答が得られるまで一定時間ごとに繰り返す。
【0065】
制御側通信部12は、シーケンスSq40で送信されたブロードキャストフレームを受信すると、マスター機器となる制御装置10の情報を無線通信機器20に送信する(シーケンスSq20)。
【0066】
機器側通信部22は、シーケンスSq20で送信された情報の送信元が、シーケンスSq16で送信されたMACアドレスに一致するか否かを判定し、一致する場合にマスター機器となる制御装置10に対して接続機器リストへの登録を要求する登録要求を送信する(シーケンスSq41)。
【0067】
制御側通信部12は、シーケンスSq41で送信された登録要求を受信すると、登録要求を送信した無線通信機器20を接続機器リストに登録する(シーケンスSq21)。制御側通信部12は、シーケンスSq21の処理が完了すると、登録応答を送信する(シーケンスSq22)。
【0068】
上述のように、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立されると、制御装置10と無線通信機器20との間で、データの送受信が可能となる。
【0069】
以上説明した通り、実施の形態1に係る無線システム1が備える制御装置10は、無線LAN30に接続されていない無線通信機器20から送信されたビーコンを検知すると、無線通信機器20に接続要求を送信することで無線通信機器20との接続を確立して、制御装置10に接続するためのネットワークプロファイルを無線通信機器20に送信する。このため、無線通信機器20が表示画面を有さない場合に表示画面を有する設定用端末を無線通信機器20に有線で接続して無線通信機器20のネットワークプロファイルの設定を行う必要がない。これにより、無線通信機器20にネットワークに接続するための情報を設定する作業を簡易化することが可能となる。
【0070】
(実施の形態2)
無線システム1の構成は、上述の例に限られない。制御装置10と無線通信機器20に加えて、アクセスポイント装置50を備える無線システム2について実施の形態2で説明する。図7に示す無線システム2は、実施の形態1に係る無線システム1の構成に加えて、アクセスポイント装置50を備える。制御装置10と無線通信機器20はアクセスポイント装置50を介して通信を行う。
【0071】
図8に示す制御装置10は、実施の形態1に係る制御装置10の構成から制御側動作切替部11を除いた構成を有する。このため、制御装置10は、常に無線LAN30におけるステーションとして動作する。無線通信機器20の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態1では、制御側動作切替部11がネットワークプロファイル設定の開始または終了の操作を検知しているが、実施の形態2では、制御側通信部12がネットワークプロファイル設定の開始または終了の操作を検知する。制御側通信部12が送信するネットワークプロファイルは、制御側通信部12に既に設定されているネットワークプロファイルであって、アクセスポイント装置50に接続するためのネットワークプロファイルである。
【0072】
上述の構成を有する無線システム2が行うネットワークプロファイル設定方法について図9を用いて以下に説明する。無線システム2は、実施の形態1と同様に、無線通信機器20のネットワークプロファイルが設定されていない状態で、制御装置10においてネットワークプロファイルの設定の開始を指示する操作が行われた場合に図9の処理を開始する。実施の形態2において、ネットワークプロファイルは、アクセスポイント装置50に接続するためのSSID、パスワードを含む。
【0073】
制御装置10が備える制御側通信部12は、制御装置10に設けられたスイッチの操作によってネットワークプロファイル設定の開始が指示されたことを検知すると(シーケンスSq11)、アクセスポイント装置50への接続を切断する(シーケンスSq51)。
【0074】
後続の制御装置10が行うシーケンスSq13からSq18までの処理および無線通信機器20が行うシーケンスSq31からSq39までの処理は、実施の形態1と同様である。
【0075】
制御側通信部12は、制御装置10に設けられたスイッチの操作によってネットワークプロファイル設定の終了が指示されたことを検知すると(シーケンスSq18)、アクセスポイント装置50に接続する(シーケンスSq52)。
【0076】
機器側通信部22は、シーケンスSq37で設定されたネットワークプロファイルに基づいてアクセスポイント装置50に接続する(シーケンスSq61)。
【0077】
後続の制御装置10が行うシーケンスSq20からSq22までの処理および無線通信機器20が行うシーケンスSq40,Sq41の処理は、実施の形態1と同様である。ただし、これらの通信は、アクセスポイント装置50を介して行われる。
【0078】
以上説明した通り、実施の形態2に係る無線システム2が備える制御装置10は、ネットワークプロファイルの設定時には、アクセスポイント装置50への接続を切断して、無線通信機器20から送信されたビーコンを検知すると、無線通信機器20に接続要求を送信することで無線通信機器20との接続を確立する。接続を確立した後に、制御装置10は、アクセスポイント装置50へ接続するためのネットワークプロファイルを無線通信機器20に送信する。このため、無線通信機器20が表示画面を有さない場合に表示画面を有する端末を無線通信機器20に有線で接続して無線通信機器20の設定を行う必要がない。これにより、無線通信機器20にネットワークに接続するための情報を設定する作業を簡易化することが可能となる。
【0079】
本発明は、上述の実施の形態に限られず、上述のハードウェア構成およびフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
図10に示すように、無線システム1は、複数の無線通信機器20a,20bを備えてもよい。同様に、無線システム2は、複数の無線通信機器20a,20bを備えてもよい。無線通信機器20a,20bの構成および動作は、無線通信機器20と同じである。この場合、制御装置10は、無線通信機器20a,20bのそれぞれが出力するビーコンを順に受信して、無線通信機器20aのそれぞれに順に接続要求をして接続を確立して、ネットワークプロファイルを送信すればよい。
【0080】
制御装置10に接続可能な機器は、無線通信機器20,20a,20bに限られない。図10に示すように、制御装置10には、無線LAN30を介して携帯端末40が接続されてもよい。携帯端末40は、例えばスマートフォンであり、制御装置10の遠隔操作、制御装置10への気圧、環境光等の情報の提供を行うことができる。
【0081】
制御装置10と無線通信機器20との間の接続を確立する方法は、上述の例に限られず任意である。具体的には、上述の実施の形態では、制御装置10はビーコンを待ち受けるパッシブスキャンを行っているが、アクティブスキャンを行ってもよい。
【0082】
制御装置10は、VHF無線局に限られず、任意の周波数での通信を行う無線局、無線LAN通信を行う任意の通信機器でもよい。
制御装置10に接続される入出力機器は、上述の例に限られず任意である。制御装置10が備える入出力部15は、制御装置10に内蔵されたマイクから音声データを取得してもよいし、制御装置10に内蔵されたスピーカから音声を出力してもよい。
【0083】
無線通信機器20に接続される外部機器は、上述の例に限られず、任意である。
【0084】
無線システム1,2は、船舶に限られず、任意の移動体に設けられてもよい。無線システム1,2は移動体の無線システムに限られず、任意の無線システムである。
【符号の説明】
【0085】
1,2 無線システム
10 制御装置
11 制御側動作切替部
12 制御側通信部
13 VHFアンテナ
14 VHF通信部
15 入出力部
20,20a,20b 無線通信機器
21 機器側動作切替部
22 機器側通信部
23 入出力部
30 無線LAN
40 携帯端末
41 スピーカ
42 マイクロホン
43 GPSアンテナ
44 ホーンスピーカー
50 アクセスポイント装置
60,70 バス
61,71 CPU
62,72 メモリ
63,73 LAN通信IF
64 VHF通信IF
65,74 入出力IF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10