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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20241211BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20241211BHJP
   F24H 15/225 20220101ALI20241211BHJP
   F24H 15/32 20220101ALI20241211BHJP
   F24H 15/315 20220101ALI20241211BHJP
   F24H 15/325 20220101ALI20241211BHJP
【FI】
F24H1/18 H
F24H15/10
F24H15/225
F24H15/32
F24H15/315
F24H15/325
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022109316
(22)【出願日】2022-07-06
(62)【分割の表示】P 2020134423の分割
【原出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2022130721
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019059978
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン チー
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌和
(72)【発明者】
【氏名】岡本 敦
(72)【発明者】
【氏名】河野 泰大
(72)【発明者】
【氏名】後藤 百合香
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-077930(JP,A)
【文献】特開2007-278553(JP,A)
【文献】特開2006-162178(JP,A)
【文献】特開2007-113836(JP,A)
【文献】特開2005-214452(JP,A)
【文献】特開2000-121157(JP,A)
【文献】特開2008-032291(JP,A)
【文献】特開2010-043759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 15/10
F24H 15/225
F24H 15/32
F24H 15/315
F24H 15/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する加熱部(13)と、該加熱部(13)で加熱した水を貯留するタンク(30)とを有する給湯流路(40)を備えた給湯装置であって、
前記給湯流路(40)は、前記タンク(30)の内部に低温層(L)、中温層(M)、および高温層(H)を形成した貯湯状態において、前記中温層(M)の水を前記加熱部(13)で第1温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給する第1給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1給湯運転は、前記加熱部(13)で前記第1温度まで加熱した水を、前記タンク(30)をバイパスさせて前記給湯対象(T)へ供給する動作を含むことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1給湯運転は、前記加熱部(13)で前記第1温度まで加熱した水を、前記タンク(30)の高温層(H)を介して前記給湯対象(T)へ供給する動作を含むことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記第1給湯運転は、前記加熱部(13)で加熱した水の少なくとも一部を、前記タンク(30)をバイパスさせて前記給湯対象(T)へ供給すると同時に、前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する動作を含むことを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つにおいて、
前記タンク(30)の内部には、前記高温層(H)に対応する第1貯留部(36)と、前記低温層(L)に対応する第2貯留部(34)と、前記中温層(M)に対応する中間貯留部(35)とが形成され、
前記給湯流路(40)は、
水源(S)と前記第2貯留部(34)とを連通する流入流路(41)と、
前記第1貯留部(36)と連通する流出流路(42)と、
前記中間貯留部(35)と前記加熱部(13)の流入側とを連通する第1加熱流路(43)と、
前記加熱部(13)の流出側と前記流出流路(42)の流出端とを連通するバイパス流路(61)と、
前記加熱部(13)の流出側と前記第1貯留部(36)とを連通する第1戻し流路(45)と、
前記流出流路(42)及び前記バイパス流路(61)の各流量を少なくとも調節する第1調節機構(53)とを有することを特徴とする給湯装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記給湯流路(40)は、
前記加熱部(13)の流出側と前記中間貯留部(35)とを連通する第2戻し流路(46)と、
前記第2貯留部(34)と前記加熱部(13)の流入側とを連通する第2加熱流路(44)と、
前記加熱部(13)の流入側と、前記第1加熱流路(43)及び第2加熱流路(44)の一方の連通状態を相互に切り換える第1切換機構(51)と、
前記加熱部(13)の流出側と、前記第1戻し流路(45)及び第2戻し流路(46)の一方の連通状態を相互に切り換える第2切換機構(52)とを有することを特徴とする給湯装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記給湯流路(40)は、前記中間貯留部(35)の中温層(M)の水を前記第2戻し流路(46)、及び前記バイパス流路(61)を介して給湯対象(T)へ供給すると同時に前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する第2給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記給湯流路(40)は、前記第2貯留部(34)の前記低温層(L)の水を前記加熱部(13)で前記第1温度よりも低い第2温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給すると同時に前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する第3給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第3給湯運転は、前記加熱部(13)で加熱した水の一部を前記中間貯留部(35)の前記中温層(M)へ戻す動作を含むことを特徴とする給湯装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記給湯対象(T)の必要熱量と、前記タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、前記第1給湯運転及び前記第3給湯運転のいずれを実行するか判定する判定部(29)を備えていることを特徴とする給湯装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記給湯流路(40)は、前記中間貯留部(35)の中温層(M)の水を前記第2戻し流路(46)、及び前記バイパス流路(61)を介して給湯対象(T)へ供給すると同時に前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する第2給湯運転を実行するように構成され、
前記判定部(29)は、前記給湯対象(T)の必要熱量と、前記タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、前記第1給湯運転、前記第2給湯運転、及び前記第3給湯運転のいずれを実行するか判定することを特徴とする給湯装置。
【請求項12】
請求項5から11のいずれか1つにおいて、
前記給湯流路(40)は、前記第2貯留部(34)の前記低温層(L)の水を前記加熱部(13)で前記第1温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給する第4給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記タンク(30)の前記高温層(H)の水、及び前記中温層(M)の水が不足した状態において前記給湯対象(T)の需要があると、前記第4給湯運転を実行させる制御装置(25)を備えている
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項14】
請求項5から13のいずれか1つにおいて、
前記給湯流路(40)は、
前記流出流路(42)の流出端と連通する第1給水路(63)と、
前記第1給水路(63)と前記給湯対象(T)とを連通する主給水路(65)と、
前記中間貯留部(35)と前記主給水路(65)の流入端とを連通する第2給水路(64)と、
前記第1給水路(63)の流量、及び前記第2給水路(64)の流量のうち、少なくとも前記第2給水路(64)の流量を調節する第2調節機構(54)とを有することを特徴とする給湯装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記給湯流路(40)は、
前記流入流路(41)と前記第2給水路(64)と連通する第3給水路(66)と、
前記第2給水路(64)の流量、及び前記第3給水路(66)の流量のうち、少なくとも前記第3給水路(66)の流量を調節する第3調節機構(55)とを有することを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の給湯装置は、熱交換器(加熱部)と、熱交換器で加熱した水を貯留するタンクとを備える。特許文献1には、タンク下部の水を熱交換器で加熱した後、加熱した水を所定の給湯対象(風呂、シャワーなど)に供給する給湯流路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3925433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記載のような給湯装置では、タンクの底部の低温の水を加熱部で高温まで加熱し、給湯対象へ供給する運転が想定できる。この運転では、加熱部に流入する水と、加熱部から流出する水の温度差が大きい。加熱部で低温の水を高温にまで加熱するためには、加熱部を流れる水の流量を減らす必要がある。この結果、給湯対象から大量の高温水の需要があった場合に、この需要に見合う十分な量の高温水を給湯対象へ供給できないという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、給湯対象へ供給する高温水の量を増大できる給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、水を加熱する加熱部(13)と、該加熱部(13)で加熱した水を貯留するタンク(30)とを有する給湯流路(40)を備えた給湯装置であって、前記給湯流路(40)は、前記タンク(30)の内部に低温層(L)、中温層(M)、および高温層(H)を形成した貯湯状態において、前記中温層(M)の水を前記加熱部(13)で第1温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給する第1給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置である。
【0007】
第1の態様では、第1給湯運転において、タンク(30)内の中温層(M)の水が加熱部(13)で第1温度まで加熱される。このため、加熱部(13)に流入する水と、加熱部(13)から流出する水の温度差が小さくなる。従って、加熱部(13)で加熱される水の流量を増大でき、給湯対象(T)へ供給される高温水の量を増大できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記第1給湯運転は、前記加熱部(13)で前記第1温度まで加熱した水を、前記タンク(30)をバイパスさせて前記給湯対象(T)へ供給する動作を含むことを特徴とする給湯装置である。
【0009】
第2の態様では、第1給湯運転において、加熱部(13)で第1温度まで加熱された水が、タンク(30)をバイパスする。これにより、加熱された水の熱が、タンク(30)において放熱されることを抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第1の態様において、前記第1給湯運転は、前記加熱部(13)で前記第1温度まで加熱した水を、前記タンク(30)の高温層(H)を介して前記給湯対象(T)へ供給する動作を含むことを特徴とする給湯装置である。
【0011】
第3の態様では、第1給湯運転において、加熱部(13)で第1温度まで加熱された水を、タンク(30)内に溜めることができる。
【0012】
第4の態様は、第1又は2の態様において、前記第1給湯運転は、前記加熱部(13)で加熱した水の少なくとも一部を、前記タンク(30)をバイパスさせて前記給湯対象(T)へ供給すると同時に、前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する動作を含むことを特徴とする給湯装置である。
【0013】
第4の態様では、加熱部(13)で第1温度まで加熱された水が、タンク(30)をバイパスして給湯対象(T)へ供給される。加熱された水の熱が、タンク(30)において放熱されることを抑制できる。加えて、タンク(30)内の高温層(H)に水を給湯対象(T)へ供給することで、大量の高温水を給湯対象へ供給できる。
【0014】
第5の態様は、第1から4の態様のいずれか1つにおいて、前記タンク(30)の内部には、前記高温層(H)に対応する第1貯留部(36)と、前記低温層(L)に対応する第2貯留部(34)と、前記中温層(M)に対応する中間貯留部(35)とが形成され、前記給湯流路(40)は、水源(S)と前記第2貯留部(34)とを連通する流入流路(41)と、前記第1貯留部(36)と連通する流出流路(42)と、前記中間貯留部(35)と前記加熱部(13)の流入側とを連通する第1加熱流路(43)と、前記加熱部(13)の流出側と前記流出流路(42)の流出端とを連通するバイパス流路(61)と、前記加熱部(13)の流出側と前記第1貯留部(36)とを連通する第1戻し流路(45)と、前記流出流路(42)及び前記バイパス流路(61)の各流量を少なくとも調節する第1調節機構(53)とを有することを特徴とする給湯装置である。
【0015】
第5の態様では、第1給湯運転を実行するための給湯流路(40)が構成される。第1給湯運転では、第1調節機構(53)によって、タンク(30)をバイパスして給湯対象(T)へ供給される水量、及びタンク(30)の高温層(H)から給湯対象(T)へ供給される水量が調節できる。
【0016】
第6の態様は、第5の態様において、前記給湯流路(40)は、前記加熱部(13)の流出側と前記中間貯留部(35)とを連通する第2戻し流路(46)と、前記第2貯留部(34)と前記加熱部(13)の流入側とを連通する第2加熱流路(44)と、前記加熱部(13)の流入側と、前記第1加熱流路(43)及び第2加熱流路(44)の一方の連通状態を相互に切り換える第1切換機構(51)と、前記加熱部(13)の流出側と、前記第1戻し流路(45)及び第2戻し流路(46)の一方の連通状態を相互に切り換える第2切換機構(52)とを有することを特徴とする給湯装置である。
【0017】
第6の態様では、第1給湯運転に加えて、他の複数の運転を実行するための給湯流路(40)が構成される。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、前記給湯流路(40)は、前記中間貯留部(35)の中温層(M)の水を前記第2戻し流路(46)、及び前記バイパス流路(61)を介して給湯対象(T)へ供給すると同時に前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する第2給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置である。
【0019】
第7の態様では、第2戻し流路(46)が2つの流路として兼用される。第1に、第2戻し流路(46)は、加熱部(13)で加熱した水を中温層(M)へ戻すための流路として用いられる。第2に、第2戻し流路(46)は、第2給湯運転において、中温層(M)の中温水を給湯対象(T)へ供給するための流路として用いられる。
【0020】
第8の態様は、第6又は第7の態様において、前記給湯流路(40)は、前記第2貯留部(34)の前記低温層(L)の水を前記加熱部(13)で前記第1温度よりも低い第2温度まで加熱して給湯対象へ供給すると同時に前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する第3給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置である。
【0021】
第8の態様では、第3給湯運転において、低温水を加熱部(13)によって中温水まで加熱し、加熱した中温水と高温層(H)の高温水とを給湯対象(T)へ供給できる。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記第3給湯運転は、前記加熱部(13)で加熱した水の一部を前記中間貯留部(35)の前記中温層(M)へ戻す動作を含むことを特徴とする給湯装置である。
【0023】
第9の態様では、第3給湯運転において、中温層(M)に中温水を溜めることができる。
【0024】
第10の態様は、第8又は9の態様において、前記給湯対象(T)の必要熱量と、前記タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、前記第1給湯運転及び前記第3給湯運転のいずれを実行するか判定する判定部(29)を備えていることを特徴とする給湯装置である。
【0025】
第10の態様では、給湯対象(T)の必要熱量、及びタンク(30)の蓄熱量に基づいて、第1給湯運転又は第3給湯運転のいずれを実行するかを判定できる。
【0026】
第11の態様は、第10の態様において、前記給湯流路(40)は、前記中間貯留部(35)の中温層(M)の水を前記第2戻し流路(46)、及び前記バイパス流路(61)を介して給湯対象(T)へ供給すると同時に前記タンク(30)の高温層(H)の水を前記給湯対象(T)へ供給する第2給湯運転を実行するように構成され、前記判定部(29)は、前記給湯対象(T)の必要熱量と、前記タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、前記第1給湯運転、前記第2給湯運転、及び前記第3給湯運転のいずれを実行するか判定することを特徴とする給湯装置である。
【0027】
第11の態様では、給湯対象(T)の必要熱量、及びタンク(30)の蓄熱量に基づいて、第1給湯運転、第2給湯運転、及び第3給湯運転のいずれを実行するかを判定できる。
【0028】
第12の態様は、第5から11の態様のいずれか1つにおいて、前記給湯流路(40)は、前記第2貯留部(34)の前記低温層(L)の水を前記加熱部(13)で前記第1温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給する第4給湯運転を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置である。
【0029】
第12の態様では、第4給湯運転において、低温水を加熱部(13)によって高温水にまで加熱し、加熱した高温水を給湯対象(T)へ供給できる。
【0030】
第13の態様は、第12の態様において、前記タンク(30)の高温層(H)の水、及び中温層(M)の水が不足した状態において給湯対象(T)の需要があると、前記第4給湯運転を実行させる制御装置(25)を備えていることを特徴とする給湯装置である。
【0031】
第13の態様では、タンク(30)の高温水及び低温水が不足する状態において、給湯対象(T)の需要があると、制御装置(25)が第4給湯運転を実行させる。
【0032】
第14の態様は、第5から第13のいずれか1つの態様において、前記給湯流路(40)は、前記流出流路(42)の流出端と連通する第1給水路(63)と、前記第1給水路(63)と前記給湯対象(T)とを連通する主給水路(65)と、前記中間貯留部(35)と前記主給水路(65)の流入端とを連通する第2給水路(64)と、前記第1給水路(63)の流量、及び前記第2給水路(64)の流量のうち、少なくとも前記第2給水路(64)の流量を調節する第2調節機構(54)とを有することを特徴とする給湯装置である。
【0033】
第14の態様では、中間貯留部(35)の中温層(M)の中温水を、第2給水路(64)、及び主給水路(65)を経由して直接的に給湯対象(T)へ供給できる。第2調節機構(54)により、中温層(M)から給湯対象(T)へ供給する中温水の量を調節できる。
【0034】
第15の態様は、第14の態様において、前記給湯流路(40)は、前記流入流路(41)と前記第2給水路(64)と連通する第3給水路(66)と、前記第2給水路(64)の流量、及び前記第3給水路(66)の流量のうち、少なくとも前記第3給水路(66)の流量を調節する第3調節機構(55)とを有することを特徴とする給湯装置である。
【0035】
第15の態様では、流入流路(41)の低温水を第3給水路(66)、第2給水路(64)、及び主給水路(65)を経由して直接的に給湯対象(T)へ供給できる。第3調節機構(55)によって、流入流路(41)から給湯対象(T)へ供給する低温水の量を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、実施形態に係る給湯ユニットの全体構成を示す配管系統図である。
図2図2は、タンク内の温度と、タンクの貯湯状態との関係を示すグラフである。
図3図3は、タンクの貯湯状態を模式的に示す図である。
図4図4は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第1貯湯運転を示す。
図5図5は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第2貯湯運転を示す。
図6図6は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第3貯湯運転を示す。
図7図7は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第1給湯運転を示す。
図8図8は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第2給湯運転を示す。
図9図9は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第3給湯運転を示す。
図10図10は、給湯装置の概略の配管系統図であり、第4給湯運転を示す。
図11図11は、変形例に係る給湯ユニットの全体構成を示す配管系統図である。
図12図12は、変形例の給湯装置の概略の配管系統図であり、第1給湯運転を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0038】
《実施形態》
本開示の給湯装置(20)は、ヒートポンプ式の給湯ユニット(1)に適用される。給湯ユニット(1)は、水源(S)から供給された水を加熱し、加熱した温水をタンク(30)内に貯留する。タンク(30)内の温水は所定の給湯対象(T)へ供給される。水源(S)は、水が供給されるラインであり、上水道などを含む。給湯対象(T)は、温水が利用される対象であり、シャワー、蛇口、浴槽などを含む。
【0039】
図1に示すように、給湯ユニット(1)は、熱源装置(10)と給湯装置(20)とコントローラ(25)とを有している。熱源装置(10)は、冷媒回路(11)を有している。給湯装置(20)は、給湯流路(40)を有している。給湯流路(40)は、水源(S)と給湯対象(T)との間に形成される水の流路である。給湯流路(40)は、給湯装置(20)の全体の水の流路である。給湯ユニット(1)は、水熱交換器(13)を有している。冷媒回路(11)と給湯流路(40)とは、水熱交換器(13)を介して互いに接続される。水熱交換器(13)は、熱源装置(10)及び給湯装置(20)に兼用される。
【0040】
〈熱源装置〉
熱源装置(10)は、温水を生成するための熱源である。熱源装置(10)の冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒としては、例えばフロン系の冷媒や、プロパンなどの自然冷媒が用いられる。冷媒回路(11)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。厳密にいうと、冷媒回路(11)では、高圧の冷媒の圧力が臨界圧力よりも低い、いわゆる亜臨界サイクルが行われる。
【0041】
冷媒回路(11)は、圧縮機(12)、水熱交換器(13)、膨張弁(14)、及び空気熱交換器(15)を有する。
【0042】
圧縮機(12)は、低圧冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機(12)は、高圧まで圧縮した冷媒を吐出する。
【0043】
水熱交換器(13)は、給湯流路(40)の水を加熱する加熱部を構成する。水熱交換器(13)は、冷媒流路(13a)と水流路(13b)とを有する。水熱交換器(13)は、冷媒流路(13a)を流れる冷媒と、水流路(13b)を流れる水とを熱交換させる。水熱交換器(13)は、冷媒が放熱する放熱器(凝縮器)を構成する。
【0044】
膨張弁(14)は、冷媒を減圧する減圧機構を構成する。膨張弁(14)は、高圧冷媒を低圧冷媒まで減圧する。膨張弁(14)は、例えば電子膨張弁で構成される。
【0045】
空気熱交換器(15)は、空気と冷媒を熱交換させる。空気熱交換器(15)は、室外に設置される。空気熱交換器(15)の近傍には、室外ファン(16)が設置される。室外ファン(16)が搬送する空気が空気熱交換器(15)を通過する。空気熱交換器(15)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。空気熱交換器(15)は、蒸発器を構成する。
【0046】
〈給湯装置〉
給湯装置(20)は、給湯流路(40)を備えている。給湯流路(40)は、水熱交換器(13)、タンク(30)、及びポンプ(21)を有する。
【0047】
〈水熱交換器〉
水熱交換器(13)の水流路(13b)は、給湯流路(40)に接続される。水熱交換器(13)では、放熱する冷媒によって水が加熱される。
【0048】
〈タンク〉
タンク(30)は、中空状の容器である。タンク(30)は、縦長円筒状に形成される。タンク(30)は、円筒状の胴部(31)と、該胴部(31)の下端側を閉塞する底部(32)と、該胴部(31)の上端側を閉塞する頂部(33)とを有する。タンク(30)の内部には、水を貯留する貯留部が形成される。具体的には、タンク(30)の内部には、その底部(32)から頂部(33)に向かって順に、下部貯留部(34)、中間貯留部(35)、上部貯留部(36)が形成される。上部貯留部(36)は、タンク(30)の上部に位置する第1貯留部である。下部貯留部(34)は、タンク(30)の下部に位置する第2貯留部である。中間貯留部(35)は、下部貯留部(34)と上部貯留部(36)との間に位置する。
【0049】
詳細は後述する第4貯湯状態(図3を参照)において、上部貯留部(36)には高温層(H)が形成され、中間貯留部(35)には中間層(M)が形成され、下部貯留部(34)には低温層(L)が形成される。高温層(H)、中温層(M)、及び低温層(L)では、それぞれ異なる温度の水が貯留される。高温層(H)の水(高温水ともいう)の温度は、例えば約60℃である。中温層(M)の水(中温水ともいう)の温度は、例えば約40℃である。低温層(L)の水(低温水ともいう)の温度は、例えば約10℃である。
【0050】
〈ポンプ〉
ポンプ(21)は、給湯流路(40)の水を搬送する搬送装置である。ポンプ(21)は、主加熱流路(47)に設けられる。
〈給湯流路〉
給湯流路(40)は、流入管(41)、流出管(42)、第1加熱管(43)、第2加熱管(44)、第1戻し管(45)、第2戻し管(46)、及び主加熱流路(47)、第1三方弁(51)、及び第2三方弁(52)を有する。
【0051】
流入管(41)は、水源(S)と下部貯留部(34)とを連通する流入流路である。流入管(41)の流入端は、例えば上水道の配管に接続する。流入管(41)の流出端は、タンク(30)の底部(32)に接続する。流入管(41)は、水源(S)の低温水をタンク(30)へ適宜供給する。具体的には、タンク(30)の水が給湯対象(T)へ供給されると、タンク(30)の内圧が低下する。これに伴い、水源(S)とタンク(30)との圧力差が増大し、水源(S)の低温水が流入管(41)を介してタンク(30)へ補充される。
【0052】
流出管(42)は、上部貯留部(36)と給湯対象(T)とを連通する流出流路である。流出管(42)の流入端は、タンク(30)の頂部(33)に接続する。流出管(42)の流出端は、第1混合弁(53)に接続する。
【0053】
第1加熱管(43)は、中間貯留部(35)と水熱交換器(13)の流入側とを連通する第1加熱流路である。第1加熱管(43)の一端は、第2戻し管(46)の途中に接続する。第2加熱管(44)の他端は、第1三方弁(51)の第1ポートに接続する。
【0054】
第2加熱管(44)は、下部貯留部(34)と水熱交換器(13)の流入側とを連通する第2加熱流路である。第2加熱管(44)の一端は、タンク(30)の底部(32)に接続する。第2加熱管(44)の他端は、第1三方弁(51)の第2ポートに接続する。
【0055】
なお、第2加熱管(44)の一端をタンク(30)の底部(32)に接続するのではなく、流入管(41)に直接接続してもよい。そうすることで、タンク(30)内の下部貯留部(34)の水を、流入管(41)、第2加熱管(44)の順に引き込むことができる。その結果、タンク(30)に接続される配管の数を減らすことができ、タンク(30)の構造を簡素化できる。
【0056】
第1戻し管(45)は、水熱交換器(13)の流出側と上部貯留部(36)とを連通する第1戻し流路である。第1戻し管(45)の一端は、タンク(30)の頂部に接続する。第1戻し管(45)の他端は、第2三方弁(52)の第1ポートに接続する。
【0057】
第2戻し管(46)は、水熱交換器(13)の流出側と中間貯留部(35)とを連通する第2戻し流路である。第2戻し管(46)の一端は、タンク(30)の胴部(31)に接続する。第2戻し管(46)の他端は、第2三方弁(52)の第2ポートに接続する。
【0058】
主加熱流路(47)は、水熱交換器(13)が設けられる流路である。主加熱流路(47)の途中には、水熱交換器(13)の水流路(13b)が接続される。主加熱流路(47)の一端は、第1三方弁(51)の第3ポートに接続する。主加熱流路(47)の他端は、第2三方弁(52)の第3ポートに接続する。主加熱流路(47)には、水熱交換器(13)の上流側にポンプ(21)が設けられる。
【0059】
第1三方弁(51)は、水熱交換器(13)の流入側と、第1加熱管(43)及び第2加熱管(44)の一方の連通状態を相互に切り換える第1切換機構である。第1三方弁(51)は、第1ポート、第2ポート、及び第3ポートを有する。第1三方弁(51)は、第1状態(図1の実線で示す状態)と、第2状態(図1の破線で示す状態)とに切り換えられる。
【0060】
第1状態の第1三方弁(51)は、第3ポートと第1ポートとを連通し、第3ポートと第2ポートを遮断する。具体的には、第1状態の第1三方弁(51)は、水熱交換器(13)の流入側と、第1加熱管(43)とを連通し、水熱交換器(13)の流入側と第2加熱管(44)とを遮断する。
【0061】
第2状態の第1三方弁(51)は、第3ポートと第2ポートとを連通し、第3ポートと第1ポートとを遮断する。具体的には、第2状態の第1三方弁(51)は、水熱交換器(13)の流入側と第2加熱管(44)とを連通し、水熱交換器(13)の流入側と第1加熱管(43)とを遮断する。
【0062】
第2三方弁(52)は、水熱交換器(13)の流出側と、第1戻し管(45)及び第2戻し管(46)の一方の連通状態を相互に切り換える第2切換機構である。第2三方弁(52)は、第1ポート、第2ポート、及び第3ポートを有する。第2三方弁(52)は、第1状態(図1の実線で示す状態)と、第2状態(図1の破線で示す状態)とに切り換えられる。
【0063】
第1状態の第2三方弁(52)は、第3ポートと第1ポートとを連通し、第3ポートと第2ポートを遮断する。具体的には、第1状態の第1三方弁(51)は、水熱交換器(13)の流出側と、第1戻し管(45)とを連通し、水熱交換器(13)の流出側と第2戻し管(46)とを遮断する。
【0064】
第2状態の第2三方弁(52)は、第3ポートと第2ポートとを連通し、第3ポートと第1ポートとを遮断する。具体的には、第2状態の第2三方弁(52)は、水熱交換器(13)の流出側と第2戻し管(46)とを連通し、水熱交換器(13)の流出側と第1戻し管(45)とを遮断する。
【0065】
給湯流路(40)は、バイパス流路(61)、分岐流路(62)、第1給水路(63)、第2給水路(64)、主給水路(65)、第1混合弁(53)、及び第2混合弁(54)を有する。
【0066】
バイパス流路(61)は、水熱交換器(13)で加熱した水を、タンク(30)をバイパスさせて給湯対象(T)へ供給する流路である。バイパス流路(61)の一端は、主加熱流路(47)の流出端に接続する。バイパス流路(61)の他端は、第1混合弁(53)に接続する。
【0067】
分岐流路(62)は、水熱交換器(13)で加熱した水の一部が分流可能な流路である。分岐流路(62)の一端は、主加熱流路(47)の流出端に接続する。分岐流路(62)の他端は、第2三方弁(52)の第3ポートに接続する。本例では、水熱交換器(13)で加熱した水の全部又は一部がバイパス流路(61)を流れる。水熱交換器(13)で加熱した水の残りが分岐流路(62)を流れる。
【0068】
第1給水路(63)は、バイパス流路(61)及び流出管(42)の流出側に接続する。第1給水路(63)の一端は、第1混合弁(53)に接続する。第1給水路(63)の他端は、第2混合弁(54)に接続する。
【0069】
第2給水路(64)は、水源(S)の水を給湯対象(T)へ直接的に送る流路である。第2給水路(64)の一端は、流入管(41)に接続する。第2給水路(64)の他端は、第2混合弁(54)に接続する。
【0070】
主給水路(65)は、所定温度に調節された水を給湯対象(T)へ送る流路である。主給水路(65)の一端は、第2混合弁(54)に接続する。主給水路(65)の他端は、所定の給湯対象(T)と連通する。
【0071】
第1混合弁(53)は、バイパス流路(61)、流出管(42)、及び主給水路(65)に接続される。第1混合弁(53)は、バイパス流路(61)及び流出管(42)の水の混合比率を調節する。第1混合弁(53)で混合された水は、第1給水路(63)に流出する。
【0072】
第1混合弁(53)は、バイパス流路(61)の水の流量と、流出管(42)の水の流量とを調節する第1調節機構である。第1混合弁(53)は、バイパス流路(61)の流出端と、流出管(42)の流出端とをそれぞれ開閉可能に構成される。第1混合弁(53)により、バイパス流路(61)の水の流量が調節されると、分岐流路(62)、ひいては第1戻し管(45)を流れる流量が調節される。第1混合弁(53)は、第1戻し管(45)の流量の調節にも利用される。
【0073】
第2混合弁(54)は、第1給水路(63)、第2給水路(64)、及び主給水路(65)に接続される。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)及び第2給水路(64)の水の混合比率を調節する。第2混合弁(54)で混合された水は、主給水路(65)に流出する。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)の水の流量と、第2給水路(64)の水の流量とを調節する。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)の流出端と、第2給水路(64)の流出端とをそれぞれ開閉可能に構成される。
【0074】
〈温度センサ〉
タンク(30)の内部には、第1温度センサ(71)と第2温度センサ(72)とが設けられる。第1温度センサ(71)は、高温層(H)に対応する上部貯留部(36)に配置される。第1温度センサ(71)は、上部貯留部(36)における水の温度(第1検出温度(T1))を検出する。第2温度センサ(72)は、中温層(M)に対応する中間貯留部(35)に配置される。第2温度センサ(72)は、中間貯留部(35)における水の温度(第2検出温度(T2))を検出する。
【0075】
主加熱流路(47)には、第3温度センサ(73)が設けられる。第3温度センサ(73)は、主加熱流路(47)における水熱交換器(13)の流出部に設けられる。第3温度センサ(73)は、水熱交換器(13)の水流路(13b)の出口の水の温度(以下、出口温度(To)ともいう)を検出する。
【0076】
〈コントローラ〉
コントローラ(25)は、熱源装置(10)及び給湯装置(20)を制御する制御装置である。コントローラ(25)は、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを有する。
【0077】
厳密には、コントローラ(25)は、圧縮機(12)、膨張弁(14)、及び室外ファン(16)を制御する。コントローラ(25)は、ポンプ(21)、第1三方弁(51)、第2三方弁(52)、第1混合弁(53)、及び第2混合弁(54)を制御する。コントローラ(25)は、給湯流路(40)を制御することで、各種の運転を切り換える。
【0078】
コントローラ(25)は、入力部(26)、設定部(27)、温度判定部(28)、及び需要判定部(29)を含む。
【0079】
入力部(26)には、給湯対象(T)の給湯の需要を示す信号が入力される。例えばユーザが操作部を操作することで、操作部から入力部(26)に信号が入力される。
【0080】
設定部(27)には、第1設定温度(Ts1)、第2設定温度(Ts2)、給湯設定温度(Ths)、第1目標温度(To1)、及び第2目標温度(To2)が設定される。第1設定温度(Ts1)は、タンク(30)の上部貯留部(36)に高温層(H)が存在するか否かを判定するための温度である。第2設定温度(Ts2)は、タンク(30)の中間貯留部(35)に中温層(M)が存在するか否かを判定するための温度である。給湯設定温度(Ths)は、給湯対象(T)へ供給される水の目標温度である。
【0081】
第1設定温度(Ts1)及び第2設定温度(Ts2)は、給湯ユニット(1)の据え付け時に予め設定される固定値であってもよい。第1設定温度(Ts1)及び第2設定温度(Ts2)は、ユーザによって適宜変更できる変動値であってもよい。第1設定温度(Ts1)及び第2設定温度(Ts2)は、給湯ユニット(1)の日々の使用状況に基づいて、いわゆる学習制御によって決定される値であってもよい。具体的には、学習制御では、ユーザが使用する給湯対象(T)の種類や、ユーザが適宜設定する給湯設定温度(Ths)などに基づいて、第1設定温度(Ts1)及び第2設定温度(Ts2)の最適値が求められる。
【0082】
温度判定部(28)は、タンク(30)の貯湯状態を判定する。温度判定部(28)は、第1検出温度(T1)、第2検出温度(T2)、第1設定温度(Ts1)、及び第2設定温度(Ts2)に基づいて、タンク(30)の貯湯状態を判定する。この判定方法の詳細は後述する。
【0083】
需要判定部(29)は、給湯対象(T)に供給すべき必要熱量(Qd)と、タンク(30)内の蓄熱量を求める。需要判定部(29)は、これらの指標に基づいて、どの給湯運転を実行するかを判定する。
【0084】
-運転動作-
給湯ユニット(1)の運転動作について詳細に説明する。給湯ユニット(1)は、貯湯運転と給湯運転とを実行する。貯湯運転は、水熱交換器(13)で加熱した水をタンク(30)内に蓄える運転である。貯湯運転は、基本的には給湯対象(T)の需要がない状態で実行される。貯湯運転では、給湯対象(T)に温水が供給されない。貯湯運転は、詳細な後述する第1貯湯運転、第2貯湯運転、第3貯湯運転を含む。
【0085】
給湯運転は、タンク(30)内の温水、及び水熱交換器(13)で加熱した温水の少なくとも一方を給湯対象(T)へ供給する運転である。給湯運転は、給湯対象(T)の需要があるときに実行される。給湯運転は、詳細は後述する第1給湯運転、第2給湯運転、第3給湯運転、及び第4給湯運転を含む。
【0086】
〈貯湯状態の判定〉
給湯ユニット(1)では、タンク(30)の貯湯状態が適宜判定される。貯湯運転では、貯湯状態の判定結果に基づいて各貯湯運転が切り換えられる。貯湯状態の判定方法について、図1図3を参照しながら説明する。
【0087】
貯湯状態の判定は、タンク(30)内の高温貯湯量及び低温貯湯量に基づいて判定される。具体的には、タンク(30)の貯湯状態は、第1検出温度(T1)、第2検出温度(T2)、第1設定温度(Ts1)、及び第2設定温度(Ts2)に基づいて判定される。第1設定温度(Ts1)は、第1検出温度(T1)と比較される設定値である。第1設定温度(Ts1)は、高温層(H)に対応する高温水の温度(例えば60℃)に設定される。第2設定温度(Ts2)は、第2検出温度(T2)と比較される設定値である。第2設定温度(Ts2)は、中温層(M)に対応する中温水の温度(例えば40℃)に設定される。温度判定部(28)は、以下のようにして、タンク(30)の貯湯状態が、第1貯湯状態、第2貯湯状態、第3貯湯状態、及び第4貯湯状態のいずれであるかを判定する。
【0088】
[第1貯湯状態]
第1検出温度(T1)が第1設定温度(Ts1)未満であり、且つ第2検出温度(T2)が第2設定温度(Ts2)未満である場合、第1貯湯状態と判定される。第1貯湯状態は、タンク(30)の高温貯湯量が不足し、中温貯湯量が不足した状態である。従って、第1貯湯状態では、タンク(30)内に低温層(L)が形成される。
【0089】
[第2貯湯状態]
第1検出温度(T1)が第1設定温度(Ts1)以上であり、且つ第2検出温度(T2)が第2設定温度(Ts2)未満である場合、第2貯湯状態と判定される。第2貯湯状態は、タンク(30)の高温貯湯量が充足し、中温貯湯量が不足した状態である。従って、第2貯湯状態では、タンク(30)内に高温層(H)及び低温層(L)が形成される。
【0090】
[第3貯湯状態]
第1検出温度(T1)が第1設定温度(Ts1)未満であり、且つ第2検出温度(T2)が第2設定温度(Ts2)以上である場合、第3貯湯状態と判定される。第3貯湯状態は、タンク(30)の高温貯湯量が不足し、中温貯湯量が充足した状態である。従って、第3貯湯状態では、タンク(30)内に中温層(M)が形成される。
【0091】
[第4貯湯状態]
第1検出温度(T1)が第1設定温度(Ts1)以上であり、且つ第2検出温度(T2)が第2設定温度(Ts2)以上である場合、第4貯湯状態と判定される。第4貯湯状態は、タンク(30)の高温貯湯量が充足し、中温貯湯量が充足した状態である。従って、第4貯湯状態では、タンク(30)内に高温層(H)、中温層(M)、及び低温層(L)が形成される。
【0092】
〈貯湯運転〉
貯湯運転について詳細に説明する。貯湯運転は、第1貯湯運転、第2貯湯運転、及び第3貯湯運転のいずれか実行される。各貯湯運転では、図1に示す熱源装置(10)が運転され、且つポンプ(21)がONされる。
【0093】
貯湯運転中の熱源装置(10)の運転時には、圧縮機(12)が駆動され、膨張弁(14)の開度が調節される。冷媒回路(11)では、冷凍サイクルが行われる。具体的には、圧縮機(12)で圧縮された冷媒は、水熱交換器(13)の冷媒流路(13a)を流れる。水熱交換器(13)では、冷媒流路(13a)の水が水流路(13b)の水に放熱する。その結果、冷媒流路(13a)の冷媒が凝縮する。水熱交換器(13)で放熱した冷媒は、膨張弁(14)で減圧された後、空気熱交換器(15)を流れる。空気熱交換器(15)では、冷媒が空気熱交換器(15)で蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(12)に吸入される。
【0094】
貯湯運転中の給湯装置(20)では、ポンプ(21)が運転される。タンク(30)内の水は、水熱交換器(13)で加熱された後、タンク(30)に戻る。
【0095】
貯湯運転では、水熱交換器(13)の水流路(13b)を流出した水が所定温度になるように給湯ユニット(1)が制御される。具体的には、貯湯運転では、第3温度センサ(73)で検出した水流路(13b)の出口温度(To)を目標温度に近づける制御が行われる。具体的には、出口温度(To)は、熱源装置(10)の加熱能力、水流路(13b)の水の流量に基づいて調節される。
【0096】
[第1貯湯運転]
給湯対象(T)の需要がない状態において、タンク(30)が第1貯湯状態と判定されると、図4に示す第1貯湯運転が実行される。換言すると、タンク(30)の高温貯湯量及び中温貯湯量が不足する状態において、第1貯湯運転が実行される。第1貯湯運転は、低温水を高温水まで加熱し、加熱した高温水をタンク(30)に蓄える運転である。
【0097】
第1貯湯運転では、熱源装置(10)が運転される。第1三方弁(51)が第2状態に、第2三方弁(52)が第1状態になる。第1混合弁(53)は、流出管(42)及びバイパス流路(61)の各流出端を閉鎖する。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)及び第2給水路(64)の各流出端を閉鎖する。
【0098】
ポンプ(21)が運転されると、タンク(30)内の下部貯留部(34)の低温水が第2加熱管(44)に流出する。この水は水熱交換器(13)の水流路(13b)を流れ、高温水にまで加熱される。第1貯湯運転では、出口温度(To)を第1目標温度(To1)(第1温度)に近づける制御が行われる。第1目標温度(To1)は、設定部(27)に設定された給湯設定温度(Ths)以上の所定温度である。第1目標温度(To1)は、設定部(27)に設定された第1設定温度(Ts)以上の所定温度であるのが好ましい。
【0099】
水熱交換器(13)で第1目標温度(To1)まで加熱された高温水は、分岐流路(62)及び第1戻し管(45)を流れ、タンク(30)の上部貯留部(36)に流入する。
【0100】
以上のような第1貯湯運転により、タンク(30)内に高温層(H)が形成されていく。このようにタンク(30)内に高温水を優先的に溜めることで、給湯対象(T)の給湯の需要に対応できる。
【0101】
[第2貯湯運転]
給湯対象(T)の需要がない状態において、タンク(30)が第2貯湯状態と判定されると、図5に示す第2貯湯運転が実行される。換言すると、タンク(30)の高温貯湯量が充足し、中温貯湯量が不足する状態において、第2貯湯運転が実行される。第2貯湯運転は、低温水を中温水まで加熱し、加熱した中温水をタンク(30)に蓄える運転である。
【0102】
第2貯湯運転では、熱源装置(10)が運転される。第1三方弁(51)が第2状態に、第2三方弁(52)が第2状態になる。第1混合弁(53)は、流出管(42)及びバイパス流路(61)の各流出端を閉鎖する。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)及び第2給水路(64)の各流出端を閉鎖する。
【0103】
ポンプ(21)が運転されると、タンク(30)内の下部貯留部(34)の低温水が第2加熱管(44)に流出する。この水は水熱交換器(13)の水流路(13b)を流れ、中温水にまで加熱される。第2貯湯運転では、出口温度(To)を第2目標温度(To2)(第2温度)に近づける制御が行われる。第2目標温度(To2)は、設定部(27)に設定された給湯設定温度(Ths)より低い所定温度である。第2目標温度(To2)は、設定部(27)に設定された第2設定温度(Ts)以上の所定温度であるのが好ましい。
【0104】
水熱交換器(13)で第2目標温度(To2)まで加熱された中温水は、分岐流路(62)及び第2戻し管(46)を流れ、タンク(30)の中間貯留部(35)に流入する。
【0105】
以上のような第2貯湯運転により、タンク(30)内に中温層(M)が形成されていく。これにより、タンク(30)内では、高温層(H)、中温層(M)、及び低温層(L)が形成される。従って、タンク(30)の貯湯状態を速やかに第4貯湯状態(図3を参照)に移行させることができる。
【0106】
[第3貯湯運転]
給湯対象(T)の需要がない状態において、タンク(30)が第3貯湯状態と判定されると、図6に示す第3貯湯運転が実行される。換言すると、タンク(30)の高温貯湯量が不足し、中温貯湯量が充足する状態において、第3貯湯運転が実行される。第3貯湯運転は、中温水を高温水まで加熱し、加熱した高温水をタンク(30)に蓄える運転である。
【0107】
第3貯湯運転では、熱源装置(10)が運転される。第1三方弁(51)が第1状態に、第2三方弁(52)が第1状態になる。第1混合弁(53)は、流出管(42)及びバイパス流路(61)の各流出端を閉鎖する。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)及び第2給水路(64)の各流出端を閉鎖する。
【0108】
ポンプ(21)が運転されると、タンク(30)内の中間貯留部(35)の中温水が第1加熱管(43)に流出する。この水は水熱交換器(13)の水流路(13b)を流れ、高温水にまで加熱される。第3貯湯運転では、出口温度(To)を第1目標温度(To1)(第1温度)に近づける制御が行われる。
【0109】
水熱交換器(13)で第1目標温度(To1)まで加熱された高温水は、分岐流路(62)及び第1戻し管(45)を流れ、タンク(30)の上部貯留部(36)に流入する。
【0110】
以上のような第3貯湯運転により、タンク(30)内に高温層(H)が形成されていく。これにより、タンク(30)内では、高温層(H)、中温層(M)、及び低温層(L)が形成される。従って、タンク(30)の貯湯状態を速やかに第4貯湯状態(図3を参照)に移行させることができる。
【0111】
〈給湯運転〉
給湯運転について詳細に説明する。給湯運転では、第1給湯運転、第2給湯運転、第3給湯運転、及び第4給湯運転のいずれかが実行される。各給湯運転は、給湯対象(T)の需要を示す信号が、コントローラ(25)の入力部(26)に入力されると実行される。各給湯運転では、少なくとも水源(S)の水圧によって、温水が給湯対象(T)へ供給される。
【0112】
各給湯運転は、給湯対象(T)に供給される供給水の水温が給湯設定温度(Ths)に近づくように給湯ユニット(1)が制御される。具体的には、供給水の水温は、バイパス流路(61)の水の流量、及び流出管(42)の水の流量に基づいて調節される。加えて、供給水の水温は、第1給水路(63)の水の流量、第2給水路(64)の水の流量に基づいて調節される。バイパス流路(61)及び流出管(42)の各水の流量は、第1混合弁(53)によって調節される。第1給水路(63)及び第2給水路(64)の各水の流量は、第2混合弁(54)によって調節される。
【0113】
加えて、第1給湯運転、第3給湯運転、及び第4給湯運転では、上述した貯湯運転と同様、水熱交換器(13)の水流路(13b)の出口温度(To)を目標温度に近づける制御が行われる。
【0114】
[第1給湯運転]
図7に示す第1給湯運転は、タンク(30)内の中温水を高温水まで加熱し、加熱した高温水を給湯対象(T)へ供給する運転である。第1給湯運転は、基本的にはタンク(30)が第3貯湯状態であるときに実行される。
【0115】
第1給湯運転は、タンク(30)内の蓄熱量(Qa)だけでは給湯対象(T)の需要を満たすことができないときに実行される。具体的には、需要判定部(29)によって、蓄熱量(Qa)が必要熱量(Qd)よりも低いと判定されると、コントローラ(25)は、第1給湯運転を実行させる。
【0116】
なお、需要判定部(29)によって、給湯対象(T)の必要熱量(Qd)が予測できない条件下において、第1給湯運転を実行してもよい。
【0117】
また、蓄熱量(Qa)が必要熱量(Qd)を満たしていなくても、高温水がある場合は、タンク(30)内の高温水を流出管(42)から給湯対象(T)へ供給してもよい。
【0118】
蓄熱量(Qa)は、タンク(30)内の温水の蓄熱量である。蓄熱量(Qa)は、第1検出温度(T1)及び第2検出温度(T2)に基づいて求められる。蓄熱量(Qa)をより正確に求めるために、タンク(30)内に3つ以上の温度センサを設けてもよい。
【0119】
必要熱量(Qd)は、給湯対象(T)の給湯の需要を満たすために必要な供給水の総熱量である。必要熱量(Qd)は、給湯対象(T)から給湯の需要があった際の給湯対象(T)の種類に基づいて求められる。
【0120】
第1給湯運転では、ポンプ(21)がONされ、第1三方弁(51)が第1状態となり、第2三方弁(52)が第2状態となる。第1混合弁(53)は、流出管(42)の流出端とバイパス流路(61)の流出端とを開放する。第2混合弁(54)は、少なくとも第1給水路(63)の流出端を開放する。
【0121】
ポンプ(21)が運転されると、タンク(30)内の中温層(M)の中温水が第1加熱管(43)に流出する。この際、水源(S)の低温水が流入管(41)を介してタンク(30)の下部貯留部(34)に適宜供給される。第1加熱管(43)の中温水は、水熱交換器(13)の水流路(13b)を流れ、高温水にまで加熱される。第1給湯運転では、出口温度(To)を上述した第1目標温度(To1)(第1温度)に近づける制御が行われる。
【0122】
水熱交換器(13)で第1目標温度(To1)まで加熱された高温水は、少なくともバイパス流路(61)に送られる。
【0123】
一方、タンク(30)内の高温層(H)の高温水は、流出管(42)に送られる。バイパス流路(61)の高温水と、流出管(42)の高温水とは、第1混合弁において混合される。第1混合弁(53)で混合された水は、第1給水路(63)、主給水路(65)を順に流れ、給湯対象(T)へ供給される。
【0124】
図7に示すように、水熱交換器(13)で加熱された高温水の一部がバイパス流路(61)に供給される場合、残りの高温水は分岐流路(62)及び第1戻し管(45)を介してタンク(30)の上部貯留部(36)に戻される。このため、高温水を給湯対象(T)へ供給しながら、タンク(30)内に高温水を蓄えることができる。
【0125】
一方、水熱交換器(13)で加熱された高温水の全部がバイパス流路(61)に供給される場合、上部貯留部(36)に高温水は供給されない。このように、第1給湯運転では、水熱交換器(13)で加熱された高温水のうちバイパス流路(61)を流れない余剰の高温水がタンク(30)へ戻される。
【0126】
第1給湯運転は、第3貯湯運転(図6を参照)において、給湯対象(T)の需要を示す信号が入力部(26)に入力されたときにも実行される。第3貯湯運転は、水熱交換器(13)において中温水を高温水に加熱する運転である。第3貯湯運転において、第1混合弁(53)の開度を調節し、バイパス流路(61)に高温水を送ることで、第3貯湯運転から第1給湯運転へ移行できる。従って、給湯流路(40)の水の流れを大きく変更することなく、第3貯湯運転から第1給湯運転に移行できる。
【0127】
以上のように、第1給湯運転は、タンク(30)の中温層(M)の中温水を水熱交換器(13)で高温水まで加熱し、加熱した高温水を給湯対象(T)へ供給する動作を含む。
【0128】
仮に低温水を水熱交換器(13)で高温水まで加熱する場合、水熱交換器(13)の水流路(13b)の入口と出口の水の温度差が大きくなる。このため、低温水を高温水にまで加熱するためには、水流路(13b)の水の流量を減らす必要があり、給湯対象(T)へ十分な量の高温水を供給できなくなる場合がある。あるいは、水熱交換器(13)の水流路(13b)の水の流量を確保するために、水熱交換器(13)を大きしたり、熱源装置(10)の加熱能力を増大したりする必要がある。
【0129】
これに対し、第1給湯運転では、中温水を高温水まで加熱するため、水熱交換器(13)の水流路(13b)の入口側と出口側の水の温度差は比較的小さい。このため、水熱交換器(13)の水流路(13b)の水の流量を確保でき、給湯対象(T)へ十分な量の高温水を供給できる。水熱交換器(13)が大きくなることもない。
【0130】
給湯ユニット(1)では、上述した貯湯運転において、低温水を中温水まで加熱し、第1給湯運転において、中温水を高温水まで加熱する。これにより、本実施形態では、水熱交換器(13)において低温水を高温水まで加熱する場合と比較して、熱源装置(10)のCOP(成績係数)を向上できる。例えば水熱交換器(13)において、10℃の低温水を65℃の高温水まで加熱する場合のCOPをC1とする。水熱交換器(13)において、10℃の低温水を40℃の中温水まで加熱する場合のCOPをC2とする。40℃の中温水を65℃の高温水まで加熱する場合のCOPをC3とする。C2とC3の平均値をC4とする。C4は、水熱交換器(13)において低温水を中温水まで加熱し、次いで中温水を高温水まで加熱する、いわゆる2段階加熱による平均のCOPである。
【0131】
試算結果より、本実施形態のCOP(C4)は、C1に対して約11%のCOPの改善効果が得られることがわかった。
【0132】
第1給湯運転では、加熱された高温水がバイパス流路(61)を介して給湯対象(T)へ供給される。換言すると、加熱された高温水はタンク(30)をバイパスして給湯対象(T)へ供給される。仮に、大量の高温水をタンク(30)に戻すと、タンク(30)内の高温層(H)の放熱ロスが多くなる。高温水の熱がタンク(30)外部へ放出され易くなるからである。加えて、高温水の熱が中温層(M)や低温層(L)に移動し易くなるからである。
【0133】
これに対し、第1給湯運転では、加熱された高温水が、タンク(30)をバイパスするため、上記のような放熱ロスを抑制できる。
【0134】
[第2給湯運転]
図8に示す第2給湯運転は、タンク(30)内の中温水を加熱せずに給湯対象(T)へ供給する運転である。第2給湯運転は、基本的にはタンク(30)が第4貯湯状態であるときに実行される。第4貯湯状態において第2給湯運転が実行される場合、タンク(30)内の高温水も給湯対象(T)へ供給される。なお、第2給湯運転は、タンク(30)内の中間貯留部(35)に中温層(M)が存在する状態であれば、第4貯湯状態でないときに実行することもできる。
【0135】
第2給湯運転は、給湯対象(T)の必要熱量(Qd)が比較的小さいときに実行される。具体的には、例えば給湯対象(T)である蛇口やシャワーのみに温水を供給する場合、第2給湯運転が実行される。
【0136】
より詳細には、需要判定部(29)によって、蓄熱量(Qa)が必要熱量(Qd)以上であり且つ必要熱量(Qd)が所定の閾値(Qs)よりも低いと判定されると、コントローラ(25)は、第2給湯運転を実行させる。
【0137】
第2給湯運転では、熱源装置(10)が停止し、ポンプ(21)がOFFされ、第1三方弁(51)が第2状態となり、第2三方弁(52)が第2状態となる。第1混合弁(53)は、流出管(42)の流出端とバイパス流路(61)の流出端とを開放する。第2混合弁(54)は、少なくとも第1給水路(63)の流出端を開放する。
【0138】
第2給湯運転では、水源(S)と給湯対象(T)との差圧により、給湯流路(40)の水が搬送される。タンク(30)内の中温層(M)の中温水が第2戻し管(46)を流れる。第2給湯運転の第2戻し管(46)の水の流れの方向は、詳細は後述する第3給湯運転の第2戻し管(46)の水の流れの方向と逆である。第2戻し管(46)の中温水は、バイパス流路(61)に送られる。
【0139】
一方、タンク(30)内の高温層(H)の高温水は、流出管(42)に送られる。バイパス流路(61)の中温水と、流出管(42)の高温水とは、第1混合弁(53)において混合される。両者の水の混合比率を調節することで、混合水の温度を調節できる。第1混合弁(53)で混合された水は、第1給水路(63)、及び主給水路(65)を順に流れ、給湯対象(T)へ供給される。
【0140】
以上のように、第2給湯運転では、第2戻し管(46)が中温水を給湯対象(T)へ送るための流路として利用される。換言すると、第2戻し管(46)は、詳細は後述する第3給湯運転において水をタンクへ戻すための流路と、第2給湯運転において水を給湯対象(T)へ供給するための流路とを兼用する。従って、給湯流路(40)を簡素化できる。
【0141】
[第3給湯運転]
図9に示す第3給湯運転は、タンク(30)内の低温水を中温水まで加熱し、加熱した中温水を給湯対象(T)へ供給する運転である。第3給湯運転は、タンク(30)が第4貯湯状態、又は第2貯湯状態であるときに実行される。第4貯湯状態又は第2貯湯状態において第3給湯運転が実行される場合、タンク(30)内の高温水も給湯対象(T)へ供給される。
【0142】
第3給湯運転は、タンク(30)内の蓄熱量(Qa)によって給湯対象(T)の需要を満たすことができ、且つ第2給湯運転よりも給湯対象(T)の必要熱量(Qd)が大きいときに実行される。
【0143】
より詳細には、需要判定部(29)によって、蓄熱量(Qa)が必要熱量(Qd)以上であり、且つ必要熱量(Qd)が上述した閾値(Qs)以上と判定されると、コントローラ(25)は、第3給湯運転を実行させる。
【0144】
以上のように、需要判定部(29)は、給湯対象(T)の必要熱量(Qd)と、タンク(30)の蓄熱量(Qa)とに基づいて、第1給湯運転、第2給湯運転、及び第3給湯運転のいずれを実行するか判定する。
【0145】
第3給湯運転では、ポンプ(21)がONされ、第1三方弁(51)が第2状態となり、第2三方弁(52)が第2状態となる。第1混合弁(53)は、流出管(42)の流出端とバイパス流路(61)の流出端とを開放する。第2混合弁(54)は、少なくとも第1給水路(63)の流出端を開放する。
【0146】
ポンプ(21)が運転されると、タンク(30)内の低温層(L)の低温水が第2加熱管(44)に流出する。この際、水源(S)の低温水が流入管(41)を介してタンク(30)の下部貯留部(34)に適宜供給される。第2加熱管(44)の低温水は、水熱交換器(13)の水流路(13b)を流れ、中温水にまで加熱される。第3給湯運転では、出口温度(To)を上述した第2目標温度(To2)(第2温度)に近づける制御が行われる。
【0147】
水熱交換器(13)で第2目標温度(To2)まで加熱された中温水は、少なくともバイパス流路(61)に送られる。
【0148】
一方、タンク(30)内の高温層(H)の高温水は、流出管(42)に送られる。バイパス流路(61)の中温水と、流出管(42)の高温水とは、第1混合弁において混合される。第1混合弁(53)で混合された水は、第1給水路(63)、主給水路(65)を順に流れ、給湯対象(T)へ供給される。
【0149】
図9に示すように、水熱交換器(13)で加熱された中温水の一部がバイパス流路(61)に供給される場合、残りの中温水は分岐流路(62)及び第2戻し管(46)を介してタンク(30)の中間貯留部(35)に戻される。このため、中温水を給湯対象(T)へ供給しながら、タンク(30)内に中温水を蓄えることができる。
【0150】
一方、水熱交換器(13)で加熱された中温水の全部がバイパス流路(61)に供給される場合、中間貯留部(35)に中温水は供給されない。このように、第3給湯運転では、水熱交換器(13)で加熱された中温水のうちバイパス流路(61)を流れない余剰の中温水がタンク(30)へ戻される。
【0151】
第3給湯運転は、第2貯湯運転(図5を参照)において、給湯対象(T)の需要を示す信号が入力部(26)に入力されたときにも実行される。第2貯湯運転は、水熱交換器(13)において低温水を中温水に加熱する運転である。このため、第2貯湯運転において、第1混合弁(53)の開度を調節し、バイパス流路(61)に中温水を送ることで、第2貯湯運転から第3給湯運転へ移行できる。従って、給湯流路(40)の水の流れを大きく変更することなく、第2貯湯運転から第3給湯運転に移行できる。
【0152】
以上のように、第3給湯運転は、タンク(30)の低温層(L)の低温水を水熱交換器(13)で中温水まで加熱し、加熱した中温水を給湯対象(T)へ供給する動作を含む。このため、水熱交換器(13)の入口と出口の水の温度差を小さくでき、給湯対象(T)へ十分な量の中温水を供給できる。加えて、水熱交換器(13)の大型化、熱源装置(10)の加熱能力の増大を抑制できる。
【0153】
第3給湯運転では、熱源装置(10)のCOPを第1給湯運転よりも更に向上できる。試算結果より、水熱交換器(13)において、低温水を中温水まで加熱する場合のCOP(上述したC2)は、上述した他の条件のCOP(C1、C3,及びC4)よりも高いからである。よって、第3給湯運転では、第1給湯運転よりも更に大きなCOPの改善効果を得ることができる。
【0154】
上述した第2貯湯運転においても、水熱交換器(13)において、低温水を中温水まで加熱する。よって、第2貯湯運転においても、第3給湯運転と同様、大きなCOPの改善効果を得ることができる。
【0155】
上述したように、第3給湯運転は、タンク(30)内の蓄熱量(Qa)によって給湯対象(T)の必要熱量(Qd)を満たすことができるときに実行される。これに対し、第1給湯運転は、タンク(30)内の蓄熱量(Qa)だけでは給湯対象(T)の必要熱量(Qd)を満たすことができないときに実行される。このように、第1給湯運転は、給湯対象(T)から大きな給湯需要があった場合にのみ実行される。従って、給湯ユニット(1)の通常の運転では、第3給湯運転の実行時間の割合が、第1給湯運転の実行時間の割合よりも大きくなる。第3給湯運転のCOP(C2)は、第1給湯運転に伴う二段階加熱の平均COP(C4)よりも更に高いため、第3給湯運転の実行時間の割合が長くなることで、給湯ユニット(1)の省エネ性を向上できる。一方で、給湯対象(T)から大きな給湯需要があった場合には、第1給湯運転を実行することで、このような大きな給湯需要に迅速に対応できる。
【0156】
[第4給湯運転]
図10に示す第4給湯運転は、タンク(30)内の低温水を高温水まで加熱し、加熱した高温水を給湯対象(T)へ供給する運転である。第4給湯運転は、上述した第1貯湯運転(図4を参照)において、給湯対象(T)の需要を示す信号が入力部(26)に入力されたときに実行される。よって、第4給湯運転は、基本的にはタンク(30)が第1貯湯状態(図3を参照)のときに実行される。
【0157】
より詳細には、温度判定部(28)によりタンク(30)が第1貯湯状態と判定され、且つ給湯対象(T)の需要を示す信号が入力部(26)に入力されると、コントローラ(25)は、第4給湯運転を実行させる。言い換えると、コントローラ(25)は、タンク(30)の高温層(H)の水、及び中温層(M)の水が不足した状態において給湯対象(T)の需要があると、第4給湯運転を実行させる。
【0158】
第4給湯運転では、ポンプ(21)がONされ、第1三方弁(51)が第2状態となり、第2三方弁(52)が第1状態となる。第1混合弁(53)は、流出管(42)の流出端を閉鎖し、バイパス流路(61)の流出端を開放する。第2混合弁(54)は、少なくとも第1給水路(63)の流出端を開放する。
【0159】
ポンプ(21)が運転されると、タンク(30)内の低温層(L)の低温水が第2加熱管(44)に流出する。この際、水源(S)の低温水が流入管(41)を介してタンク(30)の下部貯留部(34)に適宜供給される。第2加熱管(44)の低温水は、水熱交換器(13)の水流路(13b)を流れ、高温水にまで加熱される。第4給湯運転では、出口温度(To)を上述した第1目標温度(To1)(第1温度)に近づける制御が行われる。
【0160】
水熱交換器(13)で第1目標温度(To1)まで加熱された高温水は、少なくともバイパス流路(61)に送られる。
【0161】
第4給湯運転では、タンク(30)内に高温層(H)及び中温層(M)が形成されない。このため、流出管(42)から第1給水路(63)へ温水が送られることはない。第4給湯運転では、バイパス流路(61)を流れる高温水だけが給湯対象(T)へ供給される。
【0162】
図10に示すように、水熱交換器(13)で加熱された高温水の一部がバイパス流路(61)に供給される場合、残りの高温水は分岐流路(62)及び第1戻し管(45)を介してタンク(30)の上部貯留部(36)に戻される。このため、高温水を給湯対象(T)へ供給しながら、タンク(30)内に高温水を蓄えることができる。
【0163】
一方、水熱交換器(13)で加熱された高温水の全部がバイパス流路(61)に供給される場合、上部貯留部(36)に高温水は供給されない。このように、第4給湯運転では、水熱交換器(13)で加熱された高温水のうちバイパス流路(61)を流れない余剰の高温水がタンク(30)へ戻される。
【0164】
上述した第1貯湯運転は、水熱交換器(13)において低温水を高温水に加熱する運転である。第1貯湯運転において、第1混合弁(53)の開度を調節し、バイパス流路(61)に高温水を送ることで、第1貯湯運転から第4給湯運転へ移行できる。従って、給湯流路(40)の水の流れを大きく変更することなく、第1貯湯運転から第4給湯運転に移行できる。
【0165】
-実施形態の効果-
実施形態では、水を加熱する水熱交換器(13)と、該水熱交換器(13)で加熱した水を貯留するタンク(30)とを有する給湯流路(40)を備えた給湯装置(20)であって、給湯流路(40)は、前記タンク(30)の内部に低温層(L)、中温層(M)、および高温層(H)を形成した第4貯湯状態において、中温層(M)の水を水熱交換器(13)で第1温度(第1目標温度(To1))まで加熱して給湯対象(T)へ供給する第1給湯運転を実行するように構成される。
【0166】
第1給湯運転では、水熱交換器(13)の入口と出口の水の温度差が比較的小さいため、水熱交換器(13)を流れる水の流量を少なくせずとも、高温水を得ることができる。従って、十分な量の高温水を給湯対象(T)へ供給できる。換言すると、水熱交換器(13)の能力を増大したり、水熱交換器(13)の大型化を図ることなく、十分な量の高温水を給湯対象(T)へ供給できる。
【0167】
第1給湯運転では、貯湯運転において生成した中温水を、更に加熱して高温水を得ている。このような2段階加熱では、上述したように、低温水を高温水まで加熱する場合と比較して、熱源装置(10)のCOPを向上できる。従って、給湯装置(20)の省エネルギー性を向上できる。
【0168】
実施形態では、第1給湯運転は、水熱交換器(13)で第1温度(第1目標温度(To1))まで加熱した水を、タンク(30)をバイパスさせて給湯対象(T)へ供給する動作を含む。
【0169】
水熱交換器(13)で加熱した後の高温水をタンク(30)に供給すると、放熱ロスが増大する。具体的には、タンク(30)内の高温水の熱がタンク(30)の外部へ放出したり、該高温水の熱が中温水や低温水に移動したりする。実施形態では、水熱交換器(13)で加熱した後の高温水の少なくとも一部がタンク(30)をバイパスするため、このような放熱ロスを抑制できる。
【0170】
実施形態では、第1給湯運転は、水熱交換器(13)で第1温度(第1目標温度(To1))まで加熱した水を、タンク(30)の高温層(H)を介して給湯対象(T)へ供給する動作を含む。
【0171】
この動作では、タンク(30)に高温水を戻すことで、給湯対象(T)への高温水の供給と同時にタンク(30)内に高温水を溜めることができる。加えて、この動作では、バイパス流路(61)に優先的に高温水を流す。余剰の高温水が発生した場合、余剰の高温水を第1戻し管(45)を介してタンク(30)の高温層(H)に送る。このため、放熱ロスを最小限に抑えることができる。
【0172】
実施形態では、第1給湯運転は、水熱交換器(13)で加熱した水の少なくとも一部を、タンク(30)をバイパスさせて給湯対象(T)へ供給すると同時に、タンク(30)の高温層(H)の水を給湯対象(T)へ供給する動作を含む。
【0173】
この動作では、バイパス流路(61)を流れる高温水と、タンク(30)から流出した高温水とを混合して給湯対象(T)へ供給するため、十分な量の高温水を給湯対象(T)へ供給できる。加えて、タンク(30)内の高温水を外部へ流出させることで、この高温水の放熱ロスを抑制できる。
【0174】
実施形態では、タンク(30)の内部には、高温層(H)に対応する上部貯留部(36)と、低温層(L)に対応する第2貯留部(34)と、中温層(M)に対応する中間貯留部(35)とが形成され、給湯流路(40)は、水源(S)と下部貯留部(34)とを連通する流入管(41)と、上部貯留部(36)と連通する流出管(42)と、中間貯留部(35)と水熱交換器(13)の流入側とを連通する第1加熱管(43)と、水熱交換器(13)の流出側と流出管(42)の流出端とを連通するバイパス管(61)と、水熱交換器(13)の流出側と上部貯留部(36)とを連通する第1戻し管(45)と、流出管(42)及びバイパス流路(61)の各流量を少なくとも調節する第1混合弁(53)とを有する。
【0175】
この構成により、第1給湯運転を実現できる。第1給湯運転では、第1混合弁(53)の調節により、バイパス流路(61)の水の流量、流出管(42)の水の流量を調節できる。バイパス流路(61)の流出端の開閉したり、流出管(42)の流出端を開閉したりできる。バイパス流路(61)の水の流量を調節することで、第1戻し管(45)の水の流量を間接的に調節できる。バイパス流路(61)の水の流量を調節することで、水熱交換器(13)を流れる水の流量を間接的に調節できる。水熱交換器(13)を流れる水の流量を調節することで、水熱交換器(13)を流出する水の温度(出口温度(To))を調節できる。
【0176】
実施形態では、給湯流路(40)は、水熱交換器(13)の流出側と中間貯留部(35)とを連通する第2戻し管(46)と、下部貯留部(34)と水熱交換器(13)の流入側とを連通する第2加熱管(44)と、水熱交換器(13)の流入側と、第1加熱管(43)及び第2加熱管(44)の一方の連通状態を相互に切り換える第1三方弁(51)と、水熱交換器(13)の流出側と、第1戻し管(45)及び第2戻し管(46)の一方の連通状態を相互に切り換える第2三方弁(52)とを有する。
【0177】
この構成により、上述した第1給湯運転、第2給湯運転、第3給湯運転、及び第4給湯運転を切り換えて実行できる。加えて、上述した第1貯湯運転、第2貯湯運転、及び第3貯湯運転を切り換えて実行できる。
【0178】
実施形態では、給湯流路(40)は、中間貯留部(35)の中温層(M)の水を第2戻し管(46)、及びバイパス流路(61)を介して給湯対象(T)へ供給すると同時にタンク(30)の高温層(H)の水を給湯対象(T)へ供給する第2給湯運転を実行するように構成される。
【0179】
第2給湯運転では、熱源装置(10)を停止しながら、中温水を給湯対象(T)へ供給できる。第2給湯運転では、図8に示すように、第2戻し管(46)、バイパス流路(61)を経由して中温水が給湯対象(T)へ供給される。第2戻し管(46)は、第2貯湯運転及び第3給湯運転において、加熱部(13)で中温水をタンク(30)へ送る流路を兼用する。従って、給湯流路(40)の配管の数を減らすことができる。
【0180】
実施形態では、給湯流路(40)は、第2貯留部(34)の低温層(L)の水を加熱部(13)で第1温度よりも低い第2温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給すると同時にタンク(30)の高温層(H)の水を給湯対象(T)へ供給する第3給湯運転を実行するように構成される。
【0181】
第3給湯運転では、タンク(30)が第2貯湯状態や第4貯湯状態であるときに、給湯対象(T)に中温水を供給できる。加熱部(13)において低温水を中温水まで加熱する場合、上述したように熱源装置(10)のCOPを向上できる。
【0182】
実施形態では、第3給湯運転は、加熱部(13)で加熱した水の一部を中間貯留部(35)の中温層(M)へ戻す動作を含む。
【0183】
この動作では、給湯対象(T)に中温水を供給しながら、タンク(30)内に中温水を溜めることができる。
【0184】
実施形態では、給湯対象(T)の必要熱量と、タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、第1給湯運転及び前記第3給湯運転のいずれを実行するか判定する需要判定部(29)を備えている。
【0185】
具体的には、需要判定部(29)は、蓄熱量(Qa)が必要熱量(Qd)よりも低いと判定すると第1給湯運転を実行させる。第1給湯運転は、加熱部(13)によって中温水を高温水に加熱するため、タンク(30)の蓄熱量(Qa)が不足していても、十分な高温水を給湯対象(T)へ供給できる。
【0186】
需要判定部(29)は、蓄熱量(Qa)が必要熱量(Qd)以上と判定すると、第3給湯運転を実行させる。これにより、給湯対象(T)の需要を充足させながら、COPの高い運転を実行できる。
【0187】
実施形態では、給湯流路(40)は、第2貯留部(34)の低温層(L)の水を加熱部(13)で第1温度まで加熱して給湯対象(T)へ供給する第4給湯運転を実行するように構成される。
【0188】
第4給湯運転では、タンク(30)内に高温水がない状況において、給湯対象(T)に高温水を供給できる。
【0189】
-実施形態の変形例-
図11に示す変形例は、上記実施形態の給湯流路(40)において、第2給水路(64)、第3給水路(66)、及び第3混合弁(55)が追加されている。
【0190】
第2給水路(64)は、タンク(30)の中間貯留部(35)と主給水路(65)の流入端とを連通する。第2給水路(64)の一端は、タンク(30)の中間貯留部(35)に接続される。第2給水路(64)の他端は、第2混合弁(54)に接続される。第2給水路(64)は、その上流側のタンク側給水路(64a)と、その下流側の給湯側給水路(64b)とで構成される。タンク側給水路(64a)の流出端、及び給湯側給水路(64b)の流入端は、第3混合弁(55)に接続される。
【0191】
第3給水路(66)は、流入管(41)と第2給水路(64)とを連通する。第3給水路(66)の流出端は、第3混合弁(55)に接続される。
【0192】
変形例では、第2混合弁(54)が第2調節機構に対応する。第2混合弁(54)は、第1給水路(63)の流量、及び第2給水路(64)の流量の双方を調節する。第2混合弁(54)は、第2給水路(64)の流量のみを調節する構成あってもよい。
【0193】
第3混合弁(55)が第3調節機構に対応する。第3混合弁(55)は、第2給水路(64)の流量、及び第3給水路(66)の流量の双方を調節する。第3混合弁(55)は、第3給水路(66)の流量のみを調節する構成であってもよい。第3混合弁(55)は、タンク側給水路(64a)の流出端、及び第3給水路(66)の流出端を開閉する。
【0194】
-給湯運転-
変形例の給湯運転は、基本的には、上述した実施形態と同様である。変形例の第1給湯運転、第2給湯運転、及び第3給湯運転では、タンク(30)の中間貯留部(35)の中温層(M)の中温水を、第2給水路(64)を経由して給湯対象(T)へ供給できる。この際、水源(S)の低温水を第3給水路(66)を経由して第2給水路(64)に供給できる。この場合、第3混合弁(55)において、中温水と低温水とが混合される。
【0195】
図12に示す第1給湯運転では、中温層(M)の中温水が加熱部(13)で高温水に加熱される。このため、上述した実施形態の第1給湯運転(図7を参照)では、中温水を直接的に給湯対象(T)へ供給することができない。これに対し、変形例の第1給湯運転では、中温層(M)の中温水を水熱交換器(13)で高温水まで加熱しながら、中温層(M)の中温水を第2給水路(64)を経由して給湯対象(T)へ供給できる。変形例では、第2混合弁(54)及び第3混合弁(55)の開度を調節することで、実質的には、高温水、中温水、及び低温水の混合比率を調節できる。従って、給湯対象(T)へ供給する水の温度の微調整が可能となる。
【0196】
《その他の実施形態》
上述した実施形態、及び変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0197】
上記タンク(30)に3つ以上の温度センサを設けてもよい。各温度センサの検出値の差分に基づいて、タンク(30)の貯湯状態を判定するようにしてもよい。
【0198】
第1調節機構(53)、第2調節機構(54)、及び第3調節機構(55)の少なくとも1つは、混合弁でなくてもよい。これらの調節機構(53,54,55)に代えて、流量調節弁、電磁開閉弁、三方弁などを組み合わせてもよい。
【0199】
給湯装置(20)は、第1給湯運転、第2給湯運転、第3給湯運転、及び第4給湯運転のうち、少なくとも第1給湯運転を実行するものであればよい。給湯装置(20)が、これらの給湯運転のうち第1給湯運転と第3給湯運転だけを実行する構成である場合、給湯対象(T)の必要熱量と、タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、第1給湯運転及び前記第3給湯運転のいずれを実行するか判定する判定部(29)を設けるのが好ましい。給湯装置(20)が、これらの給湯運転のうち第1給湯運転、第2給湯運転、及び第3給湯運転だけを実行する構成である場合、給湯対象(T)の必要熱量と、タンク(30)の蓄熱量とに基づいて、第1給湯運転、第2給湯運転、及び第3給湯運転のいずれを実行するか判定する判定部(29)を設けるのが好ましい。
【0200】
水を加熱する加熱部は、ヒータなどの別の手段であってもよい。熱源装置(10)は、COを冷媒とし、冷媒の高圧圧力が臨界圧力以上となる、超臨界サイクルを行うものであってもよい。
【0201】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本開示は、給湯装置について有用である。
【符号の説明】
【0203】
10 給湯装置
13 水熱交換器(加熱部)
25 コントローラ(制御装置)
29 判定部(需要判定部)
30 タンク
34 第2貯留部
35 中間貯留部
36 第1貯留部
40 給湯流路
41 流入管(流入流路)
42 流出管(流出流路)
43 第1加熱管(第1加熱流路)
44 第2加熱管(第2加熱流路)
45 第1戻し管(第1戻し流路)
46 第2戻し管(第2戻し流路)
51 第1切換機構(第1三方弁)
52 第2切換機構(第2三方弁)
53 第1調節機構(第1混合弁)
54 第2調節機構(第2混合弁)
55 第3調節機構(第3混合弁)
61 バイパス管(バイパス流路)
63 第1給水路
64 第2給水路
65 主給水路
66 第3給水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12