(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ソケット
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20241211BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G01R31/26 J
H01R33/76 505C
H01R33/76 503C
(21)【出願番号】P 2022135355
(22)【出願日】2022-08-26
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 将己
(72)【発明者】
【氏名】宮明 潤一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-216728(JP,A)
【文献】特開2015-125984(JP,A)
【文献】特開2003-288970(JP,A)
【文献】特開2004-184173(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2088305(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1380394(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26-31/3193
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップが搭載部に搭載され、かつ前記ICチップに電気的に接続される複数のコンタクト部材を支持するベースと、
前記ベースに対して上下動可能に設けられ、前記搭載部への前記ICチップの導入を許容するように形状付けられた操作部材と、
前記操作部材の上下動に連動して前記ベースに対して枢動する枢動部材と、
前記枢動部材の枢動に連動して、前記搭載部に搭載された前記ICチップの上面に接触する接触位置と前記接触位置からソケット外方に向かって斜め上方に離れた退避位置の間で一定の姿勢を保持して移動する押圧部材を備え
、
前記押圧部材の上端部を前記操作部材に連結する少なくとも一つの上部リンクと、前記押圧部材の下端部を前記操作部材に連結し、かつ前記上部リンクと平行に設けられた少なくとも一つの下部リンクを更に備え、前記押圧部材、前記操作部材、前記上部リンク、及び前記下部リンクによって平行リンクが構成されるソケット。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記退避位置の時、前記枢動部材の上方に位置する、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記退避位置の時、その全体において前記ソケットの外形内に配置される、請求項1に記載のソケット。
【請求項4】
前記一定の姿勢が略水平な姿勢である、請求項1に記載のソケット。
【請求項5】
前記押圧部材は、金属製の放熱部材を含むと共に、前記接触位置に在る時、前記放熱部材の下面で前記ICチップの上面に接触する、請求項1に記載のソケット。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記ICチップの上面に接触可能な接触部材を含み、当該接触部材は、上下方向に弾性変位可能である、請求項1に記載のソケット。
【請求項7】
前記下部リンクと前記ベースの干渉に基づいて前記押圧部材の下死点が規定されている、請求項
1に記載のソケット。
【請求項8】
前記下部リンクは、前記下部リンクと前記押圧部材の対偶と前記下部リンクと前記操作部材の対偶の間の位置に前記枢動部材との対偶を有する、請求項
1に記載のソケット。
【請求項9】
前記枢動部材は、前記ベースにより回転可能に支持された下端部と、前記下部リンクに回転可能に連結した上端部と、前記下端部と前記上端部の間でソケット外方に突出した突出部を有する、請求項
1に記載のソケット。
【請求項10】
前記突出部の突出長は、前記操作部材の上昇時に前記枢動部材が前記突出部に衝突するように設定される、請求項
9に記載のソケット。
【請求項11】
前記上部リンクと前記押圧部材の干渉に基づいて前記押圧部材の上死点での姿勢が維持される、請求項
1に記載のソケット。
【請求項12】
前記少なくとも一つの上部リンクは、前記ソケットの幅方向において前記押圧部材又はその一部を挟むように設けられた一対の上部リンクを含み、
前記少なくとも一つの下部リンクは、前記ソケットの幅方向において前記押圧部材又はその一部を挟むように設けられた一対の下部リンクを含む、請求項
1に記載のソケット。
【請求項13】
前記一対の上部リンクの間に前記押圧部材又はその一部を貫通する上部シャフトが架け渡され、
前記一対の下部リンクの間に前記押圧部材又はその一部を貫通する下部シャフトが架け渡される、請求項
12に記載のソケット。
【請求項14】
前記押圧部材におい
て放熱部材が上下方向に弾性変位可能に実装され、
前記放熱部材は、前記上部シャフトが挿入される上下方向に延びた上部スロットと、前記下部シャフトが挿入される上下方向に延びた下部スロットを含む、請求項
13に記載のソケット。
【請求項15】
ICチップが搭載部に搭載され、かつ前記ICチップに電気的に接続される複数のコンタクト部材を支持するベースと、
前記ベースに対して上下動可能に設けられ、前記搭載部への前記ICチップの導入を許容するように形状付けられた操作部材と、
前記操作部材の上下動に連動して前記ベースに対して枢動する枢動部材と、
前記枢動部材の枢動に連動して、前記搭載部に搭載された前記ICチップの上面に接触する接触位置と前記接触位置からソケット外方に向かって斜め上方に離れた退避位置の間で一定の姿勢を保持して移動する押圧部材を備え、
前記押圧部材は、前記枢動部材の自由端部において弾性部材によって前記ベースに含まれるガイドに向けて付勢され、前記押圧部材と前記ガイドの接触に基づいて前記押圧部材の姿勢が一定に保持される
、ソケット。
【請求項16】
前記押圧部材は、前記枢動部材の自由端部において揺動可能に取り付けられ、かつ前記ベースに設けられたガイド溝に対して係合したガイド突起を有し、前記ガイド溝は、前記押圧部材の前記一定の姿勢のために弧状に形成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項17】
前記押圧部材と前記ベースの干渉に基づいて前記押圧部材の下死点が規定されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項18】
ICチップが搭載部に搭載され、かつ前記ICチップに電気的に接続される複数のコンタクト部材を支持するベースと、
前記ベースに対して上下動可能に設けられ、前記搭載部への前記ICチップの導入を許容するように形状付けられた操作部材と、
各々が、前記操作部材の上下動に連動して第1位置と前記第1位置からソケット外方に向かって斜め上方に離れた第2位置の間で一定の姿勢を保持して移動し、前記第1位置において前記搭載部に搭載された前記ICチップの上面に接触する第1及び第2押圧部材を備え、
前記第1及び第2押圧部材それぞれは、放熱フィンが所定間隔で配列された放熱部材を含み、
前記第1及び第2押圧部材が前記第1位置にある時、ソケット側面視において、前記第1押圧部材の前記放熱フィンと前記第2押圧部材の前記放熱フィ
ンが互い違いに配列される、ソケット。
【請求項19】
ソケットに対するICチップの電気的な接続方法であって、
ソケットのベースに対して上下動可能に設けられたソケットの操作部材を弾性部材による上方付勢に抗して下降させる第1工程にして、前記操作部材の下降に連動してソケット外方に向けて枢動部材が枢動することと、前記枢動部材の枢動に応じて下方位置から斜め上方に離れた上方位置に押圧部材が一定の姿勢を保持して移動することを含む、第1工程と、
前記第1工程の後、前記操作部材に形成された開口を介して前記ベースの搭載部にICチップを搭載する第2工程を含
み、
少なくとも一つの上部リンクを介して前記押圧部材の上端部が前記操作部材に連結され、少なくとも一つの下部リンクを介して前記押圧部材の下端部が前記操作部材に連結され、前記少なくとも一つの下部リンクが、前記上部リンクと平行に設けられ、前記押圧部材、前記操作部材、前記上部リンク、及び前記下部リンクによって平行リンクが構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソケットに関し、特には、ICチップの検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップ検査用のソケットは、ICチップとソケット間の電気的接続に加え、それ自体の小型化も要求されている。例えば、特許文献1には、プレッシャパッドが押圧位置に配置された時、プレッシャパッドの枢支軸を近位置に配置し、プレッシャパッドが解除位置に配置された時、プレッシャパッドの枢支軸を遠位置に配置する支持部材が設けられたICソケットが開示されている。
【0003】
また、ICチップの押し下げ時のICチップとソケット間の物理的接触によるICチップの横ずれやICチップの損傷(例えば、ICチップの表面の傷)という課題もある。例えば、特許文献2には、ICクランプ過程でのICの横ずれ量を抑制し、狭端子ピッチの裏面端子を持つICでも端子接触不具合の発生を防止できるクランプ装置を備えたICテストハンドラが開示されている。IC押え部は平行リンク機構により常に同姿勢で円弧軌跡を描くように動き、ICとの接触時に斜め下方への力がICに作用せず、ICの横ずれ量が抑制される。
【0004】
特許文献3には、ラッチプレートを用いて半導体装置の上面を接触傷から保護するソケットが開示されている。ラッチプレートによってラッチ部材の先端がBGAに直接的に接触することが防がれ、かつBGAが垂直方向に押し下げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-325393号公報
【文献】特開2004-184173号公報
【文献】特開2009-140629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板上へのソケットの高密度実装のためにソケットを小サイズとしつつ押圧部材の接触に伴うICチップの損傷を抑制又は回避するという技術的課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るソケットは、ICチップが搭載部に搭載され、かつICチップに電気的に接続される複数のコンタクト部材を支持するベースと、ベースに対して上下動可能に設けられ、搭載部へのICチップの導入を許容するように形状付けられた操作部材と、操作部材の上下動に連動してベースに対して枢動する枢動部材と、枢動部材の枢動に連動して、搭載部に搭載されたICチップの上面に接触する接触位置と接触位置からソケット外方に向かって斜め上方に離れた退避位置の間で一定の姿勢を保持して移動する押圧部材を含む。
【0008】
幾つかの実施形態においては、押圧部材は、退避位置の時、枢動部材の上方に位置する。
【0009】
幾つかの実施形態においては、押圧部材は、退避位置の時、その全体においてソケットの外形内に配置される。
【0010】
幾つかの実施形態においては、一定の姿勢が略水平な姿勢である。
【0011】
幾つかの実施形態においては、押圧部材は、金属製の放熱部材を含むと共に、接触位置に在る時、放熱部材の下面でICチップの上面に接触する。押圧部材において放熱部材が上下方向に弾性変位可能に実装され得る。
【0012】
幾つかの実施形態においては、押圧部材は、ICチップの上面に接触可能な接触部材を含み、当該接触部材は、上下方向に弾性変位可能である。
【0013】
幾つかの実施形態においては、押圧部材の上端部を操作部材に連結する少なくとも一つの上部リンクと、押圧部材の下端部を操作部材に連結し、かつ上部リンクと平行に設けられた少なくとも一つの下部リンクを更に備え、押圧部材、操作部材、上部リンク、及び下部リンクによって平行リンクが構成される。下部リンクは、下部リンクと押圧部材の対偶と下部リンクと操作部材の対偶の間の位置に枢動部材との対偶を有し得る。枢動部材は、ベースにより回転可能に支持された下端部と、下部リンクに回転可能に連結した上端部と、操作部材から力を受けるべく下端部と上端部の間でソケット外方に突出した突出部を有し得る。上部リンクと押圧部材の干渉に基づいて押圧部材の上死点が規定され得る。下部リンクとベースの干渉に基づいて押圧部材の下死点が規定され得る。
【0014】
幾つかの実施形態においては、押圧部材は、枢動部材の自由端部において弾性部材によってベースに含まれるガイドに向けて付勢され、押圧部材とガイドの接触に基づいて押圧部材の姿勢が一定に保持される。
【0015】
幾つかの実施形態においては、押圧部材は、枢動部材の自由端部において揺動可能に取り付けられ、かつベースに設けられたガイド溝に対して係合したガイド突起を有し、ガイド溝は、押圧部材の一定の姿勢のために弧状に形成される。押圧部材とベースの干渉に基づいて押圧部材の下死点を規定することができる。
【0016】
本開示の別態様にかかるソケットに対するICチップの電気的な接続方法は、ソケットのベースに対して上下動可能に設けられたソケットの操作部材を弾性部材による上方付勢に抗して下降させる第1工程にして、操作部材の下降に連動してソケット外方に向けて枢動部材が枢動することと、枢動部材の枢動に応じて下方位置から斜め上方に離れた上方位置に押圧部材が一定の姿勢を保持して移動することを含む、第1工程と、第1工程の後、操作部材に形成された開口を介してベースの搭載部にICチップを搭載する第2工程を含む。
【0017】
本開示の別態様にかかるソケットは、ICチップが搭載部に搭載され、かつICチップに電気的に接続される複数のコンタクト部材を支持するベースと、ベースに対して上下動可能に設けられ、搭載部へのICチップの導入を許容するように形状付けられた操作部材と、各々が、操作部材の上下動に連動して第1位置と第1位置からソケット外方に向かって斜め上方に離れた第2位置の間で一定の姿勢を保持して移動し、第1位置において搭載部に搭載されたICチップの上面に接触する第1及び第2押圧部材を備え、第1及び第2押圧部材それぞれは、放熱フィンが所定間隔で配列された放熱部材を含み、第1及び第2押圧部材が第1位置にある時、ソケット側面視において、第1押圧部材の放熱フィンと第2押圧部材の放熱フィン部が互い違いに配列される。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一態様によれば、ソケットを小サイズとしつつ押圧部材の接触に伴うICチップの損傷を抑制又は回避することが促進される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一態様に係る多数のソケットが基板上に高密度実装されたICチップ検査用基板の概略的な上面図である。
【
図8】
図6の二点鎖線CX1における閉状態のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図9】
図7の二点鎖線CX1における開状態のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図10】ソケットにおいて押圧部材が定姿勢で接触位置から退避位置までソケット外方に向けて斜め上方に移動することを示す模式図である。
【
図11】
図7の二点鎖線CX2における開状態のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図12】ICチップの所定領域に押圧部材の接触面が重畳していることを示す上面模式図である。
【
図13】ICチップの所定領域と押圧部材の接触面が
図12に示したものとは異なるように重畳することを示す上面模式図である。
【
図14】押圧部材とベース間の衝突によって押圧部材の停止位置を設定できることを示す概略図である。
【
図15】閉状態の別のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図16】開状態の別のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図17】閉状態の更に別のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図18】開状態の更に別のソケットの概略的な断面模式図である。
【
図19】押圧部材と第1リンクの干渉を生じさせて押圧部材の上死点を設定することを示す概略図である。
【
図20】変形例に係るソケットの概略的な上面図である。
【
図21】
図20における一点鎖線に沿うソケットの概略的な断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示されたソケット及びこれとICチップの電気的接続方法にのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々なソケット及びこれとICチップの電気的接続方法にも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0021】
図1に示すように、検査基板8の上面上にソケット1が2次元状に高密度実装される。ソケット1にはICチップが搭載されて検査基板8の配線を介して検査装置に接続される。クロック信号及びテスト信号といった入力信号を(検査基板8及びソケット1を介して)ICチップに供給することで(ソケット1及び検査基板8を介して)ICチップから出力信号が得られ、ICチップの検査を行うことができる(例えば、出力信号パターンが正しい信号パターンに一致するか判定する)。ソケット1とこれに搭載されるICチップの良好な電気的接続は、ICチップの正しい良否判定のための前提事項である。なお、検査基板8は、X軸及びY軸により画定される平面に平行であってZ軸が垂直に交差する上面を有し、またソケット1と外部の検査装置との電気的な接続のための配線(表面配線及び/又は内部配線)を含む。
【0022】
図1において、ソケット1は、X軸方向において所定ピッチP1で配列されており、Y軸方向において所定ピッチP2で配列されており、所定ピッチP1と所定ピッチP2が等しい。なお、各ソケット1は、X軸に平行な第1横幅と、Y軸に平行な第2横幅を有し、第1横幅と第2横幅が等しい。ソケット1の第1横幅と第2横幅が異なる場合、所定ピッチP1と所定ピッチP2を異ならせることもできる。後述の説明から分かるように、ソケット1は、検査基板8の上での高密度配置に適合されており、端的には、ソケット1を上面視した時に後述の押圧部材がソケット1の外形から出ない。なお、ソケット1の外形は、ソケット1を上面視した時に後述の操作部材の外形により定められるが、これに限られない。
【0023】
本明細書では、「ソケット外方」は、
図1に図示した矢印D1の如く、ソケット1を上面視する時、ソケット1の内側位置からソケット1の外側位置に向かう方向を意味し、典型的には、ソケット1の(例えば、矩形状の)外形の一辺に直交する。ソケット内方は、
図1に図示した矢印D2の如く、ソケット1を上面視する時、ソケット1の外側位置からソケット1の内側位置に向かう方向を意味し、典型的には、ソケット1の(例えば、矩形状の)外形の一辺に直交する。
【0024】
図2は、閉状態のソケット1の概略的な斜視図である。
図3は、開状態のソケット1の概略的な斜視図である。
図4は、閉状態のソケット1の概略的な側面図である。
図5は、開状態のソケット1の概略的な側面図である。
図6は、閉状態のソケット1の概略的な上面図である。
図7は、開状態のソケット1の概略的な上面図である。
図8は、
図6の二点鎖線CX1における閉状態のソケット1の概略的な断面模式図である。
図9は、
図7の二点鎖線CX1における開状態のソケット1の概略的な断面模式図である。
【0025】
ソケット1は、ベース2、操作部材3、枢動部材4、及び押圧部材5を含む。ベース2は、1つ又は複数の樹脂パーツから構築され、典型的には、複数の樹脂パーツの組立品である。同様、操作部材3は、1つ又は複数の樹脂パーツから構築され、ベース2に対して上下動可能に設けられる。操作部材3が押し下げられると、ソケット1は、変形状態として
図3に示す開状態を取る。開状態においてソケット1に対してICチップ9を搭載することができ、ソケット1からICチップ9を取り出すこともできる。なお、ICチップ9の搬送は、吸引具等を用いて実施することができる。ソケット1が開状態の時にソケット1にICチップ9を搭載し、続いてソケット1を閉状態とすることで、ソケット1とICチップ9が電気的に接続される。
【0026】
ベース2は、ICチップ9が搭載される搭載部21と、搭載部21の周囲に設けられたベース壁22を有し、ICチップ9(例えば、ICチップ9のリード端子及び/又はICチップ9の下面に形成されたバンプ)に電気的に接続される複数のコンタクト部材99(
図8及び
図9に加えて
図10も参照)を支持する。搭載部21は、ICチップ9が搭載される搭載面21aを有する。搭載面21aは、典型的には、Z軸に対して直交する平坦面であるが、コンタクト部材99のための貫通孔又はスリット、或いはICチップ9の下面のバンプに応じた凹部といった凹凸を形成することもできる。
【0027】
ベース2のベース壁22は、搭載部21の搭載面21a(又はこれを含む平面)から上方に延び、これによって搭載面21a上でのICチップ9の配置空間が(少なくとも部分的に)定められる。ベース壁22の内壁面は、吸引チャックといった搬送装置によって搭載面21a上まで搬送されるICチップ9の移動を案内するガイド面として機能し得る。なお、ベース壁22は、搭載面21aの全周において部分的或いは局所的に設けられ、後述の枢動部材4との干渉が回避される。図示例では、ベース壁22は、搭載面21aの矩形状の外形を定める4辺に対応して4つの壁部を有し、Y軸方向で対向した壁部それぞれに切り欠き又は開口23が形成されている。切り欠き又は開口23は、ベース壁22が形成されていない空間と同じ意味である。切り欠き又は開口23によって枢動部材4が大きな枢動角で枢動することが許容される。
【0028】
各コンタクト部材99は、一対のピン部材の組立品であり得る。好適には、操作部材3の上下動に連動して一対のピン部材(特にはそれらの上端)の間隔が変化し、これによりICチップ9のバンプをピン部材の間で保持することができる。操作部材3が初期位置(上死点)に在る時、一方のピン部材の上端と他方のピン部材の上端間の間隔が最小になる。操作部材3が下降するに応じて、ピン部材の上端間の間隔が増加する。操作部材3が最も下方の位置(下死点)に在る時、ピン部材の上端間の間隔が最大になる。このようなコンタクト部材99の開閉によってICチップ9の搭載時のコンタクト部材99とICチップ9の下面のバンプの衝突が回避される。なお、操作部材3の上下動に連動したピン部材の開閉調整は、操作部材3の上下動に応じて水平方向に移動する部材を用いて実現することができる。他の構成のコンタクト部材も採用可能である。例えば、ICチップ9のバンプではなくその外周に設けられたリード端子との接触のために構成されたコンタクト部材も採用可能である。
【0029】
ベース2により支持されるコンタクト部材99の個数や配列については、ICチップ9のバンプ個数及び位置(又はリード端子の個数及び位置)によって様々に変更可能である。典型的には、コンタクト部材99は、上面視して搭載部21の外周を規定する辺(又は搭載部21に搭載されたICチップ9の辺)に沿って(例えば、直線的に)配列される。他のコンタクト部材の配列も採用可能である。
【0030】
操作部材3は、ベース2に対して上下動可能に設けられ、好適には、上下方向にスライド可能に(直進運動可能に)ベース2に対して係合する。例えば、ベース2及び操作部材3の一方に上下方向に延びるガイド突起が設けられ、他方にガイド突起が嵌合する溝が形成され、これらの係合によりベース2に対して操作部材3が安定して上下動できる。また、操作部材3は、搭載部21へのICチップ9の導入を許容するように形状付けられる。典型的には、操作部材3は、ICチップ9の導入を許容する開口35を有する枠状又は筒状部材であり、上下方向に直交する平面においてベース2を囲む中空筒33と、少なくとも部分的に中空筒33によって画定される開口35を有する。
【0031】
図示例では、中空筒33は、上述のベース2のベース壁22の4つの壁部の外周に設けられた4つの壁部を含む。ベース2のベース壁22と同様、中空筒33は、Y軸方向で対向した壁部それぞれに切り欠き34を有する。切り欠き34は後述の下部リンク62の枢動を許容するように形成され得る。ベース2の切り欠き又は開口23と中空筒33の切り欠き34がソケット内外方向において隣接して位置付けられて空間連通し、ソケット1内のICチップ9又は後述の放熱部材52を送風によって冷却(放熱)することができる。なお、中空筒33は、上方に延びて切り欠き34内に突出する突出部36を有し、この両側に後述の下部リンク62が設けられる。
【0032】
本実施形態においては、ソケット1は、枢動部材4及び押圧部材5を更に有する。枢動部材4は、操作部材3の上下動に連動してベース2に対して枢動する。押圧部材5は、枢動部材4の枢動に連動して、搭載部21に搭載されたICチップ9の上面に接触する接触位置(
図8参照)と接触位置からソケット外方に向かって斜め上方に離れた退避位置(
図9参照)の間で一定の姿勢を保持して移動する。かかる形態によれば、ソケット1を小サイズとしつつ押圧部材5の接触時のICチップ9の損傷を抑制又は回避することが促進される。なお、接触位置から退避位置に向かう斜め上方への押圧部材5の移動は、接触位置に置かれた押圧部材5を基準として理解することができるが、ソケット1の搭載面21aや搭載面21aに搭載されたICチップ9との比較においても理解することができる。
【0033】
枢動部材4は、ベース2によって枢動可能に支持され、操作部材3の上下動に連動して枢動する。枢動部材4は、操作部材3の上下動から(上下方向に直交する)水平方向に沿う力(換言すれば、水平方向に沿うその一部(例えば、上端部4b)の変位)を得るべく枢動する。詳細には、枢動部材4は、操作部材3の下降時にソケット外方に枢動し、操作部材3の上昇時にソケット内方に枢動する。この目的にために不図示のスプリングによって枢動部材4をソケット外方に枢動するように付勢することができる。なお、枢動部材4の枢動軸は、ベース2の所定位置に位置する(後述の
図15乃至
図18の形態とは異なり、上下方向に移動しない)。
【0034】
枢動部材4は、様々に形状付け可能であるが、好適には、少なくとも1箇所で屈曲して形状付けられる。図示例(
図9参照)では、枢動部材4は、ベース2により回転可能に支持された下端部4aと、後述の下部リンク62に回転可能に連結し、閉状態で操作部材のスプリングから力を受けるべく設置された上端部4bと、操作部材3から力を受けるべく下端部4aと上端部4bの間でソケット外方に突出した突出部4cを有する。枢動部材4は、下端部4aと上端部4bの間の一カ所で屈曲しており、その屈曲部の外角側に突出部4cが形成されている。突出部4cは、一対の緩慢な傾斜面を含む凸部として形成されている。上端部4bは、下端部4aの枢動軸に関してソケット外方の位置(
図9参照)とソケット内方の位置(
図8参照)の間を移動可能である。突出部4cは、押圧部材5が接触位置にある時に枢動部材4が枢動することを、突出部4cと操作部材3(内壁面)の干渉により阻止するために設けられている。操作部材3や押圧部材5に付与される力のバランスに応じて枢動部材4が意図せずに枢動するおそれがあるためである。
【0035】
必ずしもこの限りではないが、押圧部材5を一定の姿勢のままで接触位置と退避位置の間を推移させるために押圧部材5自体を平行リンクの構成リンク(4つのリンクの内の1つのリンク)として活用することができる。この場合、ソケット1は、押圧部材5の上端部4bを操作部材3に連結する少なくとも一つの(好適には、一対の)上部リンク61と、押圧部材5の下端部4aを操作部材3に連結し、上部リンク61と平行に設けられた少なくとも一つの(好適には一対の)下部リンク62を更に有することができる。押圧部材5、操作部材3、上部リンク61、及び下部リンク62によって平行リンクが構成される。この平行リンクを枢動部材4により支持することで操作部材3の上下動に連動して押圧部材5を接触位置と退避位置の間で動かすことができる。尚、下部リンク62は、下部リンク62と押圧部材5の対偶と下部リンク62と操作部材3の対偶の間の位置に枢動部材4との対偶を有し得る。
【0036】
押圧部材5は、操作部材3の中空筒33の壁部と平行に上下方向に延びる。押圧部材5と下部リンク62の対偶(第1対偶J1)の上方に押圧部材5と上部リンク61の対偶(第2対偶J2)が位置し、これらの対偶が同一垂線上に配置される(
図8参照)。下部リンク62と操作部材3の対偶(第3対偶J3)の上方に上部リンク61と操作部材3の対偶(第4対偶J4)が位置し、これらの対偶が同一垂線上に配置される。第1対偶と第2対偶の上下距離は、第3対偶と第4対偶の上下距離に等しい。第1対偶と第3対偶の距離は、第2対偶と第4対偶の距離に等しい。典型的には、第1対偶と第3対偶の距離は、第1対偶と第2対偶の上下距離よりも長い。なお、第3対偶J3に設けられたシャフトは、上述の操作部材3の突出部36を貫通してX軸に沿って延びる。
【0037】
操作部材3用のスプリングの付勢力に抗して操作部材3が下降を開始すると、下部リンク62は、操作部材3におけるその枢動軸に関してソケット外方に枢動を開始する(なお、下部リンク62は、枢動部材4の上端部4bの枢動軸(連結シャフトS3)回りにソケット外方に枢動するとも言える)。下部リンク62の枢動開始と同時に、上部リンク61もその枢動軸に関してソケット外方に枢動を開始する。同じく、押圧部材5が接触位置から退避位置に向かう移動を開始する。操作部材3が枢動部材4のソケット外方への枢動を許容する位置(突出部4c近傍又はそれよりも下方)まで下降すると、枢動部材4がソケット外方に枢動開始する。
【0038】
上述の上部リンク61、下部リンク62、及び枢動部材4の枢動が継続して、
図9に示すように押圧部材5がICチップ9から斜め上方に離れた退避位置まで移動し、これにより押圧部材5により妨害されることなくソケット1へのICチップ9の導入及び取り外しが可能になる。押圧部材5は、退避位置の時、枢動部材4の上方に位置し、及び/又は、枢動部材4の枢動軸よりもソケット外方にオフセットして位置し得る(
図9の矢印D3が示すオフセット量を参照のこと)。これによって、開状態のソケット1においてICチップ9の搭載又は取り外しのための十分な開口幅を確保することができる。
【0039】
押圧部材5は、退避位置の時、その全体においてソケット1の外形内に収められ得る。これによって、開状態のソケット1を小サイズのままにすることができる。ソケット1の外形は、ソケット1を上面視した時に操作部材3の外形により定められ得る。押圧部材5がソケット外方に向けて過度に移動してしまうと開状態のソケット1のサイズが大きくなってしまい、検査基板8上でのソケット1の高密度実装が困難となってしまう(即ち、より大きなピッチでソケット1を配置することが必要になってしまう)。
【0040】
押圧部材5が退避位置の時、押圧部材5と同様、上部リンク61及び下部リンク62も、操作部材3(例えば、中空筒33の壁部)の直上に位置し、及び/又は、(上面視した時の)ソケット1の外形内に収められ得る。同様、押圧部材5が退避位置の時、枢動部材4の一部(例えば、上端部4b及び突出部4c)も操作部材3(例えば、中空筒33の壁部)の直上に位置し、及び/又は、(上面視した時の)ソケット1の外形内に収められ得る。
【0041】
平行リンクの安定した動作のため押圧部材5が退避位置に在る時、上部及び下部リンク61,62は、上下方向に対して僅かにソケット内方に傾斜していることが望ましく、この目的のために(上下方向に対する)上部又は下部リンク61,62の角度を制限する突起を(例えば、ベース2に)設けることができる。
【0042】
オプションとしてICチップ9の放熱のために押圧部材5を活用することができる。押圧部材5は、幾つかの場合、本体51と金属製の放熱部材52を含む。押圧部材5が接触位置に在る時、放熱部材52がICチップ9に直接接触して放熱が促進される。追加的に、押圧部材5が接触位置に在る時、ソケット1(端的には、ベース2及び操作部材3)は、放熱部材52が側面視できるように形状付けられる(例えば、
図4に示すように切り欠き又は開口23及び切り欠き34が形成される)。これにより、送風によって放熱部材52を効果的に冷却することができる。
【0043】
放熱部材52は様々に形状付けることができるが、好適には、上下方向に延びる複数の放熱フィン53と、複数の放熱フィン53が(好適には、それらの下端で)連結した連結板54を含む。放熱フィン53は、お互いに平行に所定間隔で配列され得る。放熱フィン53の配列方向において隣接する放熱フィン53の間で通風路が定められる。少なくとも押圧部材5が接触位置の時、連結板54は、ベース2の搭載部21の搭載面21aに平行に対面するように設けられ得る。押圧部材5が接触位置の時、押圧部材5は、放熱部材52(例えば、連結板54)の下面でICチップ9の上面に接触する。これによりICチップ9の検査時にICチップ9で生じる熱を効率的に放散させることができる。
【0044】
幾つかの場合、ソケットにおいてペアとして対向配置された2つの押圧部材5がいずれも接触位置(第1位置)にある時、ソケット側面視において、一方の押圧部材5の放熱フィン53と他方の押圧部材5の放熱フィン53が互い違いに配列される。換言すれば、一方の押圧部材5の放熱フィン53の配列に対して他方の押圧部材5の放熱フィン53の配列が横方向にオフセットして位置付けられる。これにより送風による放熱フィン53の冷却が促進される。なお、この放熱フィン53の配列のオフセットは、操作部材3の通風口(例えば、上述の切り欠き34)を介して観察可能であり得る。
【0045】
放熱部材52は、金属と樹脂の材料差から本体51よりも硬いことが多く、このためにICチップ9の上面に傷が付きやすい。押圧部材5において放熱部材52を上下方向に弾性変位可能に実装すれば、接触時のICチップ9の損傷をより確実又は十分に回避することができる。例えば、押圧部材5は、本体51に対して放熱部材52を下方に付勢するスプリング(不図示)を更に含む。押圧部材5が下降して放熱部材52がICチップ9に接触するとき、放熱部材52は、そのスプリングの付勢に抗して上方に変位することができ、ICチップ9が受ける力が低減される。なお、上下方向に弾性変位可能に設けられる部材は、放熱部材52に限られず、ICチップ9の上面に接触する限りにおいて他の部材(便宜上、接触部材と呼ぶ)に置き換えることもできる。
【0046】
上述において参照した図面において既に図示の通り、ソケット1を上面視した時のその2つのX及びY軸方向に関してソケット1の横幅を一方向(例えば、X軸方向)において長くすることができる。これにより、押圧部材5(例えば、放熱部材52)とICチップ9の接触面積が増加する。ICチップ9をより均等な力で押圧及び/又はより均等に放熱することが促進される。
【0047】
横長の押圧部材5を安定して支持するために上述の平行リンクに追加の平行リンクを採用することができる。端的には、ソケット1は、ソケット1の幅方向(例えば、X軸方向)において押圧部材5又はその一部を挟むように設けられた一対の上部リンク61,63と、ソケット1の幅方向(例えば、X軸方向)において押圧部材5又はその一部を挟むように設けられた一対の下部リンク62,64を含むことができる。即ち、X軸方向における押圧部材5の一端において、押圧部材5の上端が上部リンク61に(回転可能に)軸着し、押圧部材5の下端が下部リンク62に(回転可能に)軸着する。X軸方向における押圧部材5の他端において、押圧部材5の上端が上部リンク63に(回転可能に)軸着し、押圧部材5の下端が下部リンク64に(回転可能に)軸着する。図示の如く、上部リンク61よりも下部リンク62をソケット1の幅方向中心寄りに位置付け、上部リンク63よりも下部リンク64をソケット1の幅方向中心寄りに位置付けることが望ましく、これにより操作部材3に大きく切り欠き34を形成することができる。
【0048】
ソケット1は、上述の一対の平行リンクを個別に支持するために一対の枢動部材41,42を含むことができる。枢動部材41と下部リンク62の対偶と枢動部材42と下部リンク64の対偶のために共通の連結シャフトS3を用いることができるが、必ずしもこの限りではない。枢動部材41は、ソケット1の小型化のために下部リンク62よりもソケット1の幅方向中心寄りに位置付けられ得る。同様、枢動部材42は、下部リンク64よりもソケット1の幅方向中心寄りに位置付けられ得る。
【0049】
上部リンク61と上部リンク63の間に押圧部材5又はその一部を貫通する上部シャフトS1を架け渡すことができる。上部シャフトS1は、押圧部材5(例えば、その本体51)に対して回転可能である。同様、下部リンク62と下部リンク64の間に押圧部材5又はその一部を貫通する下部シャフトS2を架け渡すことができる。下部シャフトS2は、押圧部材5(例えば、その本体51)に対して回転可能である。このようにして、押圧部材5は、より安定した姿勢で移動することが可能になる。なお、上部シャフトS1及び下部シャフトS2は、連結シャフトS3と同様、X軸に沿って延びる。
【0050】
放熱部材52(例えば、その上下方向に延びる各放熱フィン53)に上部シャフトS1が挿入される上下方向に延びた上部スロット56と、下部シャフトS2が挿入される上下方向に延びた下部スロット57を形成することで、上述の如く押圧部材5において放熱部材52を上下方向に弾性変位させることができ、押圧部材5からICチップ9に最適な力加減で押下げ力が作用することが促進される。典型的には、上部及び下部スロット56,57は、上下方向に長い楕円形状にて開口するが、他の開口形状も採用可能である。
【0051】
操作部材3と各リンク61~64の対偶のためにシャフト(
図2の点線参照)を用いることができるが、他の方法も採用可能である。ベース2と枢動部材4の対偶のためにシャフト(
図8のシャフトS9参照)を用いることができるが、他の方法も採用可能である。他の方法としては、凸部と凹部の回転可能な嵌合、ベアリング等が考えられる。
【0052】
ソケット1は、ソケット1の中心面PL(
図2参照)に関して鏡像対称に構成され得る。これによって、一つのソケット1は、ソケット1の矩形状外形の対向する二辺に対応して二つの押圧部材5を有することができる。各押圧部材5は、上述のように操作部材3の上下動に連動して接触位置と退避位置の間を移動することができる(
図10参照)。各押圧部材5が放熱部材52を含む場合、ICチップ9の放熱が更に促進される。尚、ソケット1の矩形状外形の一辺に対応して一つの押圧部材5を設けるだけの形態も想定される。同様、ソケット1の矩形状外形の4辺に対応して4つの押圧部材5を設ける形態も想定される。ソケット1の外形が五角形、六角形であれば、上述と同様に5個、6個の押圧部材5を設けることも可能である。
【0053】
上述のように操作部材3の上下動に基づいて押圧部材5を接触位置から退避位置にソケット外方に沿って斜め上方に一定の姿勢で動かすことができ(
図10参照)、この結果、ソケット1が閉状態から開状態に推移する。
図10及び
図11に示すように、押圧部材5に加えてラッチ7を追加的に設けてICチップ9を押し下げることもできる。ラッチ7は、
図11に示すようにベース2によって枢動可能に支持されており、図示例では枢動部材41,42の間に位置する。なお、ラッチ7は、押圧部材5よりもX軸方向において幅狭である。ラッチ7は、スプリングにより常時付勢されて(ベース2におけるその枢動軸回りに)ソケット内方に枢動する。ラッチ7は、ICチップ9を押圧するための押圧部71と、スプリングによって上方に付勢された被付勢部72をその枢動軸の両側に有する。操作部材3の下降時、操作部材3によってラッチ7の被付勢部72が押し下げられてラッチ7がスプリングの付勢力に抗してソケット外方に枢動する。このように押圧部材5による押圧の解除と同じく、操作部材3の下降によってラッチ7によるICチップ9の押し下げを解除することができる。
【0054】
図12に示すようにICチップ9において発熱領域91,92が事前に分かっている場合、各発熱領域91,92をターゲット領域として押圧部材5の放熱部材52を選択的に接触させることができる。なお、発熱領域91,92は、ICチップ9の動作時にICチップの他の部分(例えば、周辺領域)よりも大きく発熱する領域である。
図13は、ICチップ9が一つの発熱領域93に対して二つの放熱部材52が割り当てられた例を示す。このようにICチップ9における発熱領域93の位置及び範囲に応じてソケット1における押圧部材5(又は放熱部材52)の位置、大きさ、及び形状を変更することができる。
【0055】
操作部材3の上昇に応じて押圧部材5が下降して下死点に到達する。押圧部材5とベース2の干渉に基づいて押圧部材5の下死点を規定することができる。この目的のために、
図14に示すように押圧部材5(例えば、本体51)に第1の被制止部58を設けることができる。押圧部材5が接触位置に在る時、被制止部58がベース2(例えば、ベース壁22の上面)に接触し、押圧部材5の停止位置(下死点)が規定され、これによりICチップ9に対する押圧部材5の接触位置が最適化される。例えば、押圧部材5がICチップ9を過度に押し下げることが回避される。被制止部58は、上部リンク61と押圧部材5の第2対偶J2の近傍に(例えば、ソケット内方に隣接して)設けられ得る。被制止部58を、放熱部材52、上部リンク61又は下部リンク62といった他の構成部品に設けることもできる。幾つかの場合、下部リンク62とベース2の干渉に基づいて押圧部材5の下死点が規定される。ベース2による被制止部58の十分な制止のために、ICチップ9の着脱を妨げない程度でソケット内方に突出した突起をベース2に設けることもできる。
【0056】
押圧部材5の一定の姿勢保持のために平行リンクを採用することは必須ではない。この点について
図15乃至
図18を参照して簡単に説明する。
図15及び
図16においては、押圧部材5は、枢動部材4の自由端部においてバネ120によってベース2のガイド板110に向けて付勢され、押圧部材5とガイド板110の接触に基づいて押圧部材5の姿勢が一定に保持される。ガイド板110は、ベース2の一部であって、上述のベース壁22の直上に設けられている。従って、ガイド板110を設けるとしてソケット1へのICチップ9の装着及び取り外しに問題は無い。より詳細には、ガイド板110は、押圧部材5がこれに沿って摺動するガイド面111を有する。ガイド面111は、枢動部材4の自由端部の枢動軌跡に沿う湾曲面を含む。勿論、ガイド板110以外のガイドも採用可能である。
【0057】
図17及び
図18に示す場合、押圧部材5は、枢動部材4の自由端部において揺動可能に取り付けられ、かつベース2に設けられたガイド溝211,212に対して係合したガイド突起511,512を有し、ガイド溝211,212は、押圧部材5の一定の姿勢のために弧状に形成される。ガイド溝211,212は、ベース2に含まれるガイド板110の内壁面に形成される。ガイド溝211,212は、枢動部材4の自由端部の枢動軌跡に沿って湾曲するように形成され得る。ガイド突起511,512は、ソケット外方に向けて突出した突起である。他の構成も採用可能である。
【0058】
図15乃至
図18の形態では、枢動部材4の枢動軸が操作部材3の上下動に連動して上下動する。また、枢動部材4は、ベース2に設けられたガイド溝211,212に係合する係合突起を有し、これによりその枢動姿勢が安定化される。枢動部材4を他の態様で設けることも可能である。
【0059】
操作部材3の下降により押圧部材5が上昇して上死点に到達する。押圧部材5と上部リンク61,63の干渉に基づいて押圧部材5の上死点でのその姿勢を規定することができる。例えば、
図19に示すように押圧部材5(例えば、本体51)に第2の被制止部59を設けることができる。押圧部材5が退避位置(上死点)に在る時、被制止部59が上部リンク63に接触して押圧部材5の回転が阻止され、押圧部材5の姿勢が維持される。押圧部材5が外力によって更にソケット外方に移動してしまうことがなく、この場合に生じ得る平行リンクのスタックが回避される。念のため述べれば、上部リンク61,63及び下部リンク62,64が同一垂線上に配置されてしまうと、平行リンクが正常に作動しないおそれがある。先述のとおり、押圧部材5が退避位置にある時、上部及び下部リンク61,62は、上下方向に対して僅かにソケット内方に傾斜していることが望ましい。
【0060】
図20は、変形例に係るソケットの概略的な上面図である。
図21は、
図20における一点鎖線に沿うソケットの概略的な断面模式図である。
図20及び
図21から分かるように、突出部4cの突出長は、操作部材3の上昇時に操作部材3が突出部4cに衝突するように設定される。操作部材3が上昇する過程で操作部材3が枢動部材4の突出部4cに衝突して上方に押し、これに応じて枢動部材4がソケット内方に枢動する。この結果、押圧部材5が下降して接触位置に到達することがより確実になる。
【0061】
上述の教示を踏まえ、当業者は、各実施形態及び各特徴に対して様々な変更を加えることができる。ソケット1の組立方法は、本願図面を参照することで当業者には理解可能であって、その詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0062】
1 :ソケット
2 :ベース
3 :操作部材
4 :枢動部材
4a :下端部
4b :上端部
4c :突出部
5 :押圧部材
7 :ラッチ
8 :検査基板
9 :ICチップ
21 :搭載部
21a :搭載面
22 :ベース壁
23 :開口
33 :中空筒
34 :切り欠き
35 :開口
41 :枢動部材
42 :枢動部材
51 :本体
52 :放熱部材
53 :放熱フィン
54 :連結板
56 :上部スロット
57 :下部スロット
61 :上部リンク
62 :下部リンク
63 :上部リンク
64 :下部リンク
71 :押圧部
72 :被付勢部
91 :発熱領域
92 :発熱領域
93 :発熱領域
99 :コンタクト部材