(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】サイドトレッド用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20241211BHJP
C08K 5/31 20060101ALI20241211BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241211BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20241211BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20241211BHJP
C08K 5/548 20060101ALI20241211BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K5/31
C08K3/04
C08K3/36
C08L7/00
C08K5/548
B60C1/00 B
(21)【出願番号】P 2023011188
(22)【出願日】2023-01-27
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 臣将
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-018868(JP,A)
【文献】特開2004-256745(JP,A)
【文献】特開2012-224864(JP,A)
【文献】特開2019-099700(JP,A)
【文献】特開2020-117579(JP,A)
【文献】特開2014-189774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/14
C08K 3/00 - 13/08
B60C 1/00 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソプレン系ゴム35質量%~55質量%とブタジエンゴム45質量%~65質量%とを含むジエン系ゴムに対して、CTAB吸着比表面積が60m
2/g~100m
2/gであるシリカ、CTAB吸着比表面積が30m
2/g~100m
2/gであるカーボンブラック、硫黄含有シランカップリング剤、およびグアニジン系加硫促進剤が配合されたサイドトレッド用ゴム組成物であって、前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記シリカの配合量が5質量部以上50質量部以下であり、該シリカおよび前記カーボンブラックの配合量の合計が55質量部未満であり、前記シリカの配合量Msに対する前記グアニジン系加硫促進剤Maの配合量の比Ma/Msが0.02~0.08であり、前記ブタジエンゴム中に含まれるネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が100質量%であることを特徴とするサイドトレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記グアニジン系加硫促進剤を除く他の加硫促進剤が配合されてなり、前記グアニジン系加硫促進剤および前記他の加硫促進剤とからなる加硫促進剤の総量Mtに対する前記グアニジン系加硫促進剤の配合量Maの比Ma/Mtが0.2~0.5であることを特徴とする請求項1に記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記グアニジン系加硫促進剤の配合量Maがジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1
または2に記載のサイドトレッド用ゴム組成物からなるサイドトレッドゴム層を備えたことを特徴とするタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてタイヤのサイドトレッド層に用いることを意図したサイドトレッド用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいては、環境負荷を低減するために走行時の燃費性能を向上することが求められている。そのため、空気入りタイヤの各部を構成するゴム組成物の発熱を抑制することが行われている。近年、燃費性能の更なる改善のために、例えば、空気入りタイヤのサイドトレッドゴム層を構成するゴム組成物(サイドトレッド用ゴム組成物)について発熱を抑制することが検討されている。
【0003】
ゴム組成物の発熱性の指標としては、一般に動的粘弾性測定による60℃におけるtanδ(以下、「tanδ(60℃)」という。)が用いられ、ゴム組成物のtanδ(60℃)が小さいほど発熱性が小さくなる。そして、ゴム組成物のtanδ(60℃)を小さくする方法として、例えばカーボンブラック等の充填材の配合量を少なくしたり、カーボンブラックの粒径を大きくすることが挙げられる。或いは、粒径の大きいシリカを配合することも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、これらの方法では、必ずしもゴム硬度が十分に得られず、またサイドトレッド用ゴム組成物として求められる引張強度への影響が懸念される。更に未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な劣化(特に破断伸びの低下)が懸念される。そのため、サイドトレッド用ゴム組成物において、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性(tanδ(60℃))を改善する更なる対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ、低発熱性(tanδ(60℃))を改善し、これら性能をバランスよく高度に両立することを可能にしたサイドトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、イソプレン系ゴム35質量%~55質量%とブタジエンゴム45質量%~65質量%とを含むジエン系ゴムに対して、CTAB吸着比表面積が60m2/g~100m2/gであるシリカ、CTAB吸着比表面積が30m2/g~100m2/gであるカーボンブラック、硫黄含有シランカップリング剤、およびグアニジン系加硫促進剤が配合されたサイドトレッド用ゴム組成物であって、前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記シリカの配合量が5質量部以上50質量部以下であり、該シリカおよび前記カーボンブラックの配合量の合計が55質量部未満であり、前記シリカの配合量Msに対する前記グアニジン系加硫促進剤Maの配合量の比Ma/Msが0.02~0.08であり、前記ブタジエンゴム中に含まれるネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が100質量%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、上述の配合からなることで、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善し、これら性能をバランスよく高度に両立することができる。具体的には、CTAB吸着比表面積が60m2/g~100m2/gである大粒径のシリカを使用することでtanδ(60℃)を低減し、低発熱性を改善することができる。また、大粒径のシリカとカーボンブラックとの配合比率を上記のように設定している点でもtanδ(60℃)の低減(低発熱性の改善)が見込まれる。その一方で、加硫促進剤としてグアニジン系加硫促進剤をシリカに対して適度な量で配合することで硬度や引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制することができる。これらの協働により、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善することができ、サイドトレッドゴム層として求められる物性を良好に発揮することが可能になる。
【0008】
本発明においては、ブタジエンゴムが、ネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムを含み、且つ任意でシリカ用末端変性ブタジエンゴムを含むことが好ましい。このとき、ブタジエンゴム中に含まれるネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が69質量%~100質量%、シリカ用末端変性ブタジエンゴムの割合が0質量%~31質量%であり、且つ、ジエン系ゴム100質量%に対するシリカ用末端変性ブタジエンゴムの配合量の割合が20質量%未満であることが好ましい。このようにネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムやシリカ用末端変性ブタジエンゴムを含むことで、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善するには有利になる。
【0009】
本発明においては、グアニジン系加硫促進剤を除く他の加硫促進剤が配合されてなり、グアニジン系加硫促進剤および他の加硫促進剤とからなる加硫促進剤の総量Mtに対するグアニジン系加硫促進剤の配合量Maの比Ma/Mtが0.2~0.5であることが好ましい。また、グアニジン系加硫促進剤の配合量Maがジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。このようにグアニジン系加硫促進剤が適量配合されることで未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善し、これら性能をバランスよく両立することができる。
【0010】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、タイヤのサイドトレッドゴム層に好適に用いることができる。本発明のサイドトレッド用ゴム組成物からなるサイドトレッドゴム層を備えたタイヤは、本発明のサイドトレッド用ゴム組成物の優れた物性により、サイドトレッドゴム層として求められる硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、転がり抵抗を低減し、低燃費性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のサイドトレッド用ゴム組成物を使用する空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明のサイドトレッド用ゴム組成物が使用される空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。
図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、
図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
【0014】
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(
図1では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8(ベルト層7の全幅を覆うフルカバー8aとベルト層7の端部を局所的に覆うエッジカバー8bの2層)が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。
【0015】
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側にはトレッドゴム層10が配され、サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドトレッドゴム層20が配され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層30が配されている。本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、このようなタイヤのサイドトレッドゴム層20に用いられるものである。そのため、他の部位の基本構造は上述の構造に限定されるものではない。尚、サイドトレッドゴム層20は、路面に当接するトレッドゴム層10やリム(不図示)と接触するリムクッションゴム層30とは異なり、タイヤのなかで走行中の屈曲が最も大きい部位であるため破断伸び(耐屈曲疲労性)に優れることが求められる層である。また、外傷を受ける頻度が多い傾向があるため耐カット性に優れることが求められる層である。
【0016】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物が使用されるタイヤは、上記のような空気入りタイヤ(その内部に空気、窒素等の不活性ガスまたはその他の気体が充填されるタイヤ)であることが好ましいが、非空気式タイヤであってもよい。非空気式タイヤの場合、本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、路面に当接する部分(空気入りタイヤにおけるトレッドゴム層10に相当する部位)とリムに装着された際にリムに当接する部分(空気入りタイヤにおけるリムクッションゴム層30に相当する部位)との間に位置する部分に用いることができる。
【0017】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムであり、イソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムを必ず含む。また、ブタジエンゴムとしては、ネオジム系触媒を用いて重合されたブタジエンゴム(以下、Nd‐BRと言う場合がある)が好適に使用される。或いは、Nd‐BRと後述のシリカ用末端変性ブタジエンゴムとを併用することが好ましい。このように、イソプレン系ゴムおよびブタジエンゴム(特に、Nd‐BRやシリカ用末端変性ブタジエンゴム)を用いることで、引張強度、低発熱性、耐疲労性を改善することができる。
【0018】
イソプレン系ゴムとしては、各種天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、各種合成ポリイソプレンゴムを挙げることができる。これらイソプレン系ゴムの中でも、特に、天然ゴムを好適に用いることができる。イソプレン系ゴムの配合量は、ジエン系ゴム100質量%中、35質量%~55質量%、好ましくは37.5質量%~52.5質量%、より好ましくは40質量%~50質量%である。このような量のイソプレン系ゴムを配合することで引張強度と耐疲労性をバランスよく改善することができる。イソプレン系ゴムの配合量が35質量%未満であると引張強度が低下する。イソプレン系ゴムの配合量が55質量%を超えると耐疲労性が悪化する。
【0019】
ブタジエンゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられるもの、例えば、未変性のブタジエンゴム、変性ブタジエンゴムを使用することができる。但し、低発熱性を改善する観点から、前述のようにネオジム系触媒を用いて重合されたブタジエンゴム(Nd‐BR)が好適に用いられる。ブタジエンゴムの配合量は、ジエン系ゴム100質量%中、45質量%~65質量%、好ましくは47.5質量%~62.5質量%、より好ましくは50質量%~60質量%である。このような量のブタジエンゴムを配合することで引張強度と耐疲労性をバランスよく改善することができる。ブタジエンゴムの配合量が45質量%未満であると耐疲労性が低下する。ブタジエンゴムの配合量が65質量%を超えると引張強度が悪化する。
【0020】
本発明で好適に使用されるNd‐BRは、公知の材料であり、ネオジム単体、ネオジムと他の金属類との化合物、有機ネオジム化合物等のネオジム系触媒を用いて重合されたブタジエンゴムである。これらネオジム系触媒によって合成されたブタジエンゴムは高分子量かつ分子量分布がシャープであるという特性を有する。Nd‐BRとしては、市販されているものを利用することもでき、例えばArlanxeo社製のBuna CB22、Buna CB24等が挙げられる。このようにブタジエンゴムがネオジム系触媒を用いて重合されたものであることで、他の触媒(例えばニッケルやコバルト)で重合されたブタジエンゴムよりも効果的に低発熱性を改善することができる。
【0021】
ブタジエンゴムとしてNd‐BRを用いる場合、Nd‐BRの具体的な種類は特に限定されないが、ビニル含有量が好ましくは0質量%~1質量%、より好ましくは0質量%~0.8質量%、更に好ましくは0質量%~0.5質量%であるものを用いるとよい。このように低ビニル含有量であることで低発熱性を改善するには有利になる。Nd‐BR中のビニル含有量が1質量%を超えると低発熱性を改善する効果が十分に見込めなくなる。尚、ブタジエンゴム(Nd‐BR)のビニル含有量は、赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。ブタジエンゴムにおけるビニル含有量の増減は、触媒の種類(前述のネオジム系触媒の具体的な種類)を変更すること等によって通常の方法で適宜調整することができる。
【0022】
ブタジエンゴムとしてNd‐BRを用いる場合、その配合量は、ブタジエンゴム100質量%に対して69質量%~100質量%、好ましくは73質量%~100質量%、より好ましくは77質量%~100質量%である。例えば、ブタジエンゴムの配合量がジエン系ゴム100質量%中に65質量%である場合、Nd‐BRの配合量は、ジエン系ゴム100質量%に対して45質量%~65質量%、好ましくは47.5質量%~65質量%、より好ましくは50質量%~65質量%である。このような量のNd‐BRを配合することで効果的に低発熱性を改善することができる。Nd‐BRの配合量がブタジエンゴム100質量%に対して69質量%未満であると耐疲労性が低下する。
【0023】
本発明では、ブタジエンゴムとして前述のNd‐BRと共にシリカ用末端変性ブタジエンゴムを併用してもよい。シリカ用末端変性ブタジエンゴムとは、その分子末端の両方または片方をシリカ表面のシラノール基と反応性を有する官能基で変性したブタジエンゴムである。シラノール基と反応する官能基としては、例えば、ポリオルガノシロキサン基、ヒドロキシル基含有ポリオルガノシロキサン構造、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、エーテル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン基、ヒドロキシル基含有ポリオルガノシロキサン構造、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アミノ基が好ましい。また、これら官能基のうち複数(例えば、アミノ基およびアルコキシシリル基の2種等)を組み合わせたものであってもよい。ブタジエンゴムとして少なくとも1種のシリカ用末端変性ブタジエンゴムを含むことで、後述の大粒径のシリカとの親和性が良好になり、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善するには有利になる。
【0024】
ブタジエンゴムとしてシリカ用末端変性ブタジエンゴムを用いる場合、その配合量は、ブタジエンゴム100質量%に対して0質量%~31質量%、好ましくは0質量%~27質量%、より好ましくは0質量%~23質量%である。但し、シリカ用末端変性ブタジエンゴムの配合量は、ジエン系ゴム100質量%に対して20質量%未満とする。例えば、ブタジエンゴムの配合量がジエン系ゴム100質量%中に65質量%である場合、シリカ用末端変性ブタジエンゴムの配合量は、ジエン系ゴム100質量%に対して0質量%以上20質量%未満、好ましくは0質量%~17.5質量%、より好ましくは0質量%~15質量%である。このような量のシリカ用末端変性ブタジエンゴムを配合することで後述の大粒径のシリカとの親和性を高める効果が十分に十分に確保でき、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善するには有利になる。シリカ用末端変性ブタジエンゴムの配合量がブタジエンゴム100質量%に対して31質量%を超えると破断伸びが悪化する。
【0025】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、上述のイソプレン系ゴムおよびブタジエンゴム(Nd‐BR、シリカ用末端変性ブタジエンゴム)以外に、他のジエン系ゴムを含有することができる。他のジエン系ゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に一般的に使用可能なゴムを用いることができる。例えば、スチレンブタジエンゴム等を例示することができる。これら他のジエン系ゴムは、単独または任意のブレンドとして使用することができる。
【0026】
本発明においては、上述のジエン系ゴムに対して充填剤としてシリカおよびカーボンブラックが必ず配合される。本発明で使用されるシリカとしては、例えば湿式法シリカ、乾式法シリカあるいは表面処理シリカなどのタイヤ用ゴム組成物に通常使用されるシリカを使用することができる。但し、CTAB吸着比表面積が60m2/g~100m2/g、好ましくは65m2/g~95m2/g、より好ましくは70m2/g~90m2/gであるシリカを必ず使用する。このように粒径が大きいシリカを用いることで、tanδ(60℃)を低減し、低発熱性を改善することができる。シリカのCTAB吸着比表面積が60m2/g未満であると引張強度が低下する。シリカのCTAB吸着比表面積が100m2/gを超えると低発熱性が低下する。上述の条件を満たすシリカであれば、市販されているものの中から適宜選択して使用してもよく、通常の製造方法により得られたシリカを使用することもできる。
【0027】
シリカの配合量Msは、上述のジエン系ゴム100質量部に対して5質量部以上50質量部以下、好ましくは10質量部~45質量部、より好ましくは15質量部~40質量部である。このようにシリカを適度な量で配合することで、低発熱性を効果的に完全することができる。シリカの配合量Msが5質量部未満であると引張強度が低下する。シリカの配合量Msが50質量部を超えると低発熱性が悪化する。
【0028】
本発明で使用されるカーボンブラックとしては、タイヤ用ゴム組成物に通常使用されるカーボンブラックのうち、CTAB吸着比表面積が30m2/g~100m2/g、好ましくは30m2/g~85m2/g、より好ましくは30m2/g~70m2/gであるカーボンブラックを必ず使用する。このようなカーボンブラックを用いることで、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善するには有利になる。カーボンブラックのCTAB吸着比表面積が30m2/g未満であると引張強度が低下する。カーボンブラックのCTAB吸着比表面積が100m2/gを超えると低発熱性が低下する。
【0029】
本発明では上記のようにシリカおよびカーボンブラックが必ず併用される。このときシリカの配合量Msおよびカーボンブラックの配合量Mcの合計(Ms+Mc)は、上述のジエン系ゴム100質量部に対して55質量部未満、好ましくは20質量部~55質量部、より好ましくは25質量部~50質量部である。このようにシリカおよびカーボンブラックを適度な量で配合することで、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善することができる。シリカおよびカーボンブラックの配合量の合計が55質量部以上であると低発熱性が低下する。尚、カーボンブラック単独の配合量は特に限定されないが、好ましくは5質量部~30質量部、より好ましくは5質量部~25質量部であるとよい。
【0030】
本発明のゴム組成物は、シリカおよびカーボンブラック以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填剤としては、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、水酸化アルミニウム等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられる材料を例示することができる。
【0031】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物では、上述のシリカを配合するにあたって、硫黄含有シランカップリング剤が必ず配合される。硫黄含有シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上することができる。硫黄含有シランカップリング剤としては、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。これらのなかでも、特に、分子中にテトラスルフィド結合を有するものを好適に用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量に対し、好ましくは10質量%未満、より好ましくは3質量%~9質量%にするとよい。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の10質量%以上であるとシランカップリング剤どうしが縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
【0032】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物には、加硫促進剤が必ず配合される。加硫促進剤としては、タイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、グアニジン系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤を例示することができる。但し、本発明においては、上記のように大粒径シリカを配合することを考慮して、これらの中でもグアニジン系加硫促進剤が必ず配合される。即ち、大粒径シリカを配合することに起因して加硫速度が低下する傾向があるところ、グアニジン系加硫促進剤を配合することで加硫を促進することができ、所望のゴム物性を得るには有利になる。更に、本発明においては、グアニジン系加硫促進剤を配合することで未加硫状態のゴム組成物が保管中に経時劣化すること(経時的な破断伸びの低下)を抑制することができる。尚、グアニジン系加硫促進剤以外の加硫促進剤は任意で併用することができる。2種の加硫促進剤を用いる場合に、グアニジン系加硫促進剤と組み合わせる加硫促進剤としては、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤を例示することができ、これらのなかでもスルフェンアミド系加硫促進剤を好適に用いることができる。
【0033】
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン等を挙げることができる。スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えばN,N-ジシクロヘキシル-1,3-ベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(DZ)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N-(tert-ブチル)ベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(NS)等を挙げることができる。チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
【0034】
グアニジン系加硫促進剤を配合するにあたって、その配合量Maと前述のシリカの配合量Msとの比Ma/Msを0.02~0.08、好ましくは0.02~0.07、より好ましくは0.03~0.06にするとよい。このように前述の大粒径シリカに対して適度な量のグアニジン系加硫促進剤を配合することで未加硫状態のゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制するには有利になる。グアニジン系加硫促進剤の配合量Maとシリカの配合量Msとの比Ma/Msが0.02未満であると未加硫状態でゴム組成物を保管した際に経時的な破断伸びが発生する虞がある。グアニジン系加硫促進剤の配合量Maとシリカの配合量Msとの比Ma/Msが0.08を超えると硬度を良好に維持することができず、低発熱性も悪化する。
【0035】
加硫促進剤としてグアニジン系加硫促進剤とグアニジン系以外の加硫促進剤(他の加硫促進剤)を含む場合、加硫促進剤の総量Mt(ジエン系ゴム100質量部に対するグアニジン系加硫促進剤の配合量Maおよび他の加硫促進剤の配合量の合計)に対するグアニジン系加硫促進剤の配合量Maの比Ma/Mtは好ましくは0.2~0.5、より好ましくは0.25~0.5、更に好ましくは0.3~0.5であるとよい。このように加硫促進剤全体に対して適度な量のグアニジン系加硫促進剤を配合することで低発熱性を改善するには有利になる。比Ma/Mtが0.2未満であると未加硫状態でゴム組成物を保管した際に破断伸びが低下する虞がある。比Ma/Mtが0.5を超えるとtanδ(60℃)が悪化し、低発熱性を改善する効果が限定的になる。
【0036】
更に、グアニジン系加硫促進剤を配合するにあたって、その配合量Maはゴム成分100質量部に対して好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.5質量部~2質量部、更に好ましくは0.5質量部~1.5質量部であるとよい。このように適度な量のグアニジン系加硫促進剤を配合することで未加硫状態のゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制するには有利になる。グアニジン系加硫促進剤の配合量Maが0.5質量部未満であると未加硫状態でゴム組成物を保管した際に破断伸びが低下する虞がある。
【0037】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物には、上記以外の他の配合剤を添加することができる。他の配合剤としては、加硫または架橋剤、老化防止剤、液状ポリマーなど、一般的にタイヤ用ゴム組成物に使用される各種配合剤を例示することができる。これら配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量にすることができる。また、混練機としは、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用することができる。
【0038】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
表1に示す配合からなる16種類のサイドトレッド用ゴム組成物(比較例1~6、実施
例1~10)を調製するにあたり、それぞれ加硫促進剤および硫黄を除く配合成分を秤量
し、1.8Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、マスターバッチを放出し室温
冷却した。その後、このマスターバッチを1.8Lの密閉式バンバリーミキサーに供し、
加硫促進剤及び硫黄を加え2分間混合して、各サイドトレッド用ゴム組成物を得た(尚、コバルト触媒により合成されたブタジエンゴムが使用された実施例6と、2種のブタジエンゴムが併用されてネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が100質量%未満である実施例3,10は参考例である)。
【0040】
尚、表1の「Mc+Ms」の欄は、カーボンブラックの配合量とシリカの配合量の合計を意味する。表1の「Ma/Ms」の欄は、シリカの配合量に対する加硫促進剤2(グアニジン系加硫促進剤)の配合量の比率を意味する。表1の「Ma/Mt」の欄は、加硫促進剤の総量(加硫促進剤1および2の合計)に対する加硫促進剤2(グアニジン系加硫促進剤)の配合量の比率を意味する。
【0041】
得られた各サイドトレッド用ゴム組成物を用いて、下記に示す方法により、硬度、引張強度、60℃におけるtanδ、破断伸び保持率の評価を行った。
【0042】
硬度
各サイドトレッド用ゴム組成物を用いて、所定形状の金型により160℃、20分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。各加硫ゴム試験片の硬度を、JIS K6253に準拠して、温度20℃の条件で、デュロメータのタイプAにより測定した。評価結果は、比較例1の値を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど高硬度であることを意味する。尚、この指数値が「98」以上であれば、比較例1と同等以上の十分な硬度が確保できたことを意味する。
【0043】
引張強度
各サイドトレッド用ゴム組成物を用いて、所定形状の金型により160℃、20分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。これら加硫ゴム試験片を使用し、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出し、室温(20℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、破断時の応力(破断強度TB、単位:MPa)を測定した。得られた結果は、比較例1の値を100とする指数として、表1の「引張強度」の欄に示した。この指数値が大きいほど引張破断強度が大きいことを意味する。尚、この指数値が「99」以上であれば、比較例1と同等以上の十分な引張強度が確保できたことを意味する。
【0044】
60℃におけるtanδ
各サイドトレッド用ゴム組成物を用いて、所定形状の金型により160℃、20分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。これら加硫ゴム試験片について、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で60℃におけるtanδを測定した。評価結果は、比較例1の値を100とする指数として、表1の「tanδ(60℃)」の欄に示した。この値が小さいほど、低発熱性に優れることを意味する。尚、この指数値が「99」では、比較例1と実質的に同等であり、低発熱性を改善する効果が得られなかったことを意味する。
【0045】
破断伸び保持率
上記の方法で製造した直後の各サイドトレッド用ゴム組成物を、所定形状の金型により160℃、20分間加硫し、加硫ゴム試験片Aを作成した。また、上記の方法で製造してから未加硫状態で30日間放置した後の各サイドトレッド用ゴム組成物を、所定形状の金型により160℃、20分間加硫し、加硫ゴム試験片Bを作成した。これら加硫ゴム試験片Aおよび加硫ゴム試験片Bを使用し、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出し、室温(20℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、それぞれの破断時の伸び率(破断伸びEB、単位:%)を測定した。そして、各サイドトレッドゴ用ゴム組成物について、加硫ゴム試験片Aで測定された破断伸びに対する加硫ゴム試験片Bで測定された破断伸びの割合(単位:%)を算出し、破断伸び保持率の指標とし、表1の「破断伸び保持率」の欄に示した。この値が100%に近いほど経時的な破断伸びの低下が少ないことを意味する。
【0046】
【0047】
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、STR20
・BR1:コバルト触媒により合成されたブタジエンゴム、日本ゼオン社製 Nipol BR1220
・BR2:ネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴム、ARLANXEO社製 Buna CB24
・BR3:シリカ用末端変性ブタジエンゴム、JSR社製 BR511
・CB1:カーボンブラック、キャボットジャパン社製 ショウブラックN550(CTAB吸着比表面積:40m2/g)
・CB2:カーボンブラック、キャボットジャパン社製 ショウブラックN234(CTAB吸着比表面積:115m2/g)
・シリカ1:Solvay社製 115GR(CTAB吸着比表面積:110m2/g)
・シリカ2:Solvay社製 1165MP(CTAB吸着比表面積:160m2/g)
・シリカ3:Solvay社製 1085GR(CTAB吸着比表面積:80m2/g)
・シランカップリング剤:エボニックデグッサジャパン社製 Si69
・アロマオイル:昭和シェル石油社製 エキストラクト4号S
・老化防止剤1:フレキシス社製 Santoflex6PPD
・老化防止剤2:大内新興化学工業社製 ノクラック224
・ワックス:大内新興化学工業社製 パラフィンワックス
・ステアリン酸:日油社製 ビーズステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製 酸化亜鉛3種
・硫黄:四国化成工業社製 ミュークロンOT-20
・加硫促進剤1:スルフェンアミド系加硫促進剤、大内新興化学工業社製 ノクセラー CZ‐G
・加硫促進剤2:グアニジン系加硫促進剤、Flexsys社製 Perkacit DPG
【0048】
表1から明らかなように、実施例1~10は、比較例1に対して、硬度および引張強度を同等以上に維持または改善しながら、低発熱性(60℃におけるtanδ)を改善した。また、実施例1~10は、比較例1と比較して未加硫状態で30日放置した後であっても破断伸びを良好に維持することができた。
【0049】
一方、比較例2は、シリカのCTAB吸着比表面積が大きく、グアニジン系加硫促進剤を含まないため、低発熱性が悪化し、破断伸び保持率も低下した。比較例3は、シリカの粒径は適切であるもののグアニジン系加硫促進剤を含まないため、硬度、引張強度、破断伸び保持率が低下した。比較例4は、グアニジン系加硫促進剤の配合量がシリカの配合や加硫促進剤の総量に対して多いため、低発熱性(tanδ(60℃))が悪化した。比較例5は、シリカの配合量が多く、またシリカおよびカーボンブラックの合計量も多いため低発熱性(tanδ(60℃))が悪化した。比較例6は、カーボンブラックのCTAB吸着比表面積が大きいため低発熱性(tanδ(60℃))を改善することができなかった。
【0050】
本開示は、以下の発明を包含する。
発明[1] イソプレン系ゴム35質量%~55質量%とブタジエンゴム45質量%~65質量%とを含むジエン系ゴムに対して、CTAB吸着比表面積が60m2/g~100m2/gであるシリカ、CTAB吸着比表面積が30m2/g~100m2/gであるカーボンブラック、硫黄含有シランカップリング剤、およびグアニジン系加硫促進剤が配合されたサイドトレッド用ゴム組成物であって、前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記シリカの配合量が5質量部以上50質量部以下であり、該シリカおよび前記カーボンブラックの配合量の合計が55質量部未満であり、前記シリカの配合量Msに対する前記グアニジン系加硫促進剤Maの配合量の比Ma/Msが0.02~0.08であり、前記ブタジエンゴム中に含まれるネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が100質量%であることを特徴とするサイドトレッド用ゴム組成物。
発明[2] 前記グアニジン系加硫促進剤を除く他の加硫促進剤が配合されてなり、前記グアニジン系加硫促進剤および前記他の加硫促進剤とからなる加硫促進剤の総量Mtに対する前記グアニジン系加硫促進剤の配合量Maの比Ma/Mtが0.2~0.5であることを特徴とする発明[1]に記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
発明[3] 前記グアニジン系加硫促進剤の配合量がジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上であることを特徴とする発明[1]または[2]に記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
発明[4] 発明[1]~[3]のいずれかに記載のサイドトレッド用ゴム組成物からなるサイドトレッドゴム層を備えたことを特徴とするタイヤ。
【符号の説明】
【0051】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 トレッドゴム層
20 サイドトレッドゴム層
30 リムクッションゴム層
CL タイヤ赤道