(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 7/00 20060101AFI20241211BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241211BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20241211BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B1/00 397A
F25B39/04 C
F28F1/02 B
(21)【出願番号】P 2023109455
(22)【出願日】2023-07-03
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井吉 悠太
(72)【発明者】
【氏名】山野井 喜記
(72)【発明者】
【氏名】東 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩彰
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/013976(WO,A1)
【文献】特開2022-115320(JP,A)
【文献】特開2008-261517(JP,A)
【文献】特開2013-252560(JP,A)
【文献】特開昭60-078258(JP,A)
【文献】特開2022-159197(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 7/00
F25B 1/00
F25B 39/04
F28F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧縮機(21)、第1熱交換器(31)、第1膨張弁(41)、及び利用側熱交換器(34)を含み、第1冷媒(R1)を用いる第1冷媒回路(RC1)と、
第2圧縮機(22)、第2熱交換器(32)、及び第2膨張弁(42)を含み、第2冷媒(R2)を用いる第2冷媒回路(RC2)と、
前記第1冷媒(R1)と前記第2冷媒(R2)とを熱交換する第3熱交換器(33)と、
ファン(15)と、
を備え、
前記第1熱交換器(31)を構成する伝熱管が円形管(31a)であり、
前記第2熱交換器(32)を構成する伝熱管が扁平多穴管(32a)であり、
前記第2熱交換器(32)は、前記ファン(15)が生成する空気の流れ方向(F)において、前記第1熱交換器(31)の風上側に配置され
、
前記第1熱交換器(31)は、複数の前記円形管(31a)を備え、
前記第2熱交換器(32)は、複数の前記扁平多穴管(32a)を備え、
前記複数の扁平多穴管(32a)の配列方向についての前記扁平多穴管(32a)の中心位置(z2)と、前記複数の円形管(31a)の配列方向についての当該円形管(31a)の中心位置(z1)とが、前記空気の流れ方向(F)から見てズレている部分を有し、
前記複数の円形管(31a)の配列方向についての当該円形管(31a)の第1のピッチ(P1)と、前記複数の扁平多穴管(32a)の配列方向についての当該扁平多穴管(32a)の第2のピッチ(P2)とが異なる、冷凍装置(10)。
【請求項2】
第1圧縮機(21)、第1熱交換器(31)、第1膨張弁(41)、及び利用側熱交換器(34)を含み、第1冷媒(R1)を用いる第1冷媒回路(RC1)と、
第2圧縮機(22)、第2熱交換器(32)、及び第2膨張弁(42)を含み、第2冷媒(R2)を用いる第2冷媒回路(RC2)と、
前記第1冷媒(R1)と前記第2冷媒(R2)とを熱交換する第3熱交換器(33)と、
ファン(15)と、
を備え、
前記第1熱交換器(31)を構成する伝熱管が円形管(31a)であり、
前記第2熱交換器(32)を構成する伝熱管が扁平多穴管(32a)であり、
前記第2熱交換器(32)は、前記ファン(15)が生成する空気の流れ方向(F)において、前記第1熱交換器(31)の風上側に配置され、
前記第1熱交換器(31)は、複数の前記円形管(31a)を備え、
前記第2熱交換器(32)は、複数の前記扁平多穴管(32a)を備え、
前記第1熱交換器(31)は、
複数の前記円形管(31a)を第1の配列方向に並べて配置した第1の伝熱管群(G1)と、
前記空気の流れ方向(F)における前記第1の伝熱管群(G1)の風下側に隣接し、複数の前記円形管(31a)を前記第1の配列方向に対して平行な第2の配列方向に並べて配置した第2の伝熱管群(G2)と、を含み、
前記第1の配列方向についての前記第1の伝熱管群(G1)に含まれる前記円形管(31a)の中心位置(z1a)と、前記第2の配列方向についての前記第2の伝熱管群(G2)に含まれる前記円形管(31a)の中心位置(z1b)とが、前記空気の流れ方向(F)から見てズレており、
前記複数の扁平多穴管(32a)の配列方向についての当該扁平多穴管(32a)の中心位置(z2)と、前記第1の配列方向についての前記第1の伝熱管群(G1)に含まれる前記円形管の中心位置(z1a)と、が前記空気の流れ方向(F)から見てズレている部分を有する
、冷凍装置(10)。
【請求項3】
前記第2熱交換器(32)が、
複数の前記扁平多穴管(32a)と、隣接する前記扁平多穴管(32a)の間に配置される蛇行するフィン(32b)と、を含む熱交換器により構成される、請求項1又は請求項2に記載の冷凍装置(10)。
【請求項4】
前記第2冷媒(R2)が、燃焼性、または、毒性、または、4以上の地球温暖化係数を有する冷媒である、請求項1又は請求項2に記載の冷凍装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主たる冷却能力を担う第1冷媒回路と、第1冷媒回路の冷却能力を補助する第2冷媒回路と、第1冷媒回路内の第1冷媒と第2冷媒回路内の第2冷媒とを熱交換する熱交換器と、を含むユニットを備えた冷凍装置が開示されている(特許文献1参照)。前記冷凍装置において、第1冷媒と第2冷媒とは冷媒の種類が異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記冷凍装置は、前記ユニットにおいて、第1冷媒回路が有する第1の空気熱交換器と、第2冷媒回路が有する第2の空気熱交換器とを、熱交換する空気の流れ方向について、風上側及び風下側に並べて配置する場合がある。空気熱交換器は、伝熱管の風下側において、空気の流れがよどんだ領域を生じる。以下、前記領域を「死水域」と称する。このため、第1及び第2の空気熱交換器を風上側及び風下側に並べて配置した場合、風下側の空気熱交換器は、前記死水域の影響によって熱交換効率が低下する恐れがある。
【0005】
本開示は、空気の流れの風上側及び風下側に並べて配置された空気熱交換器を備える冷凍装置において、風下側の空気熱交換器の熱交換効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷凍装置は、第1圧縮機、第1熱交換器、第1膨張弁、及び利用側熱交換器を含み、第1冷媒を用いる第1冷媒回路と、第2圧縮機、第2熱交換器、及び第2膨張弁を含み、第2冷媒を用いる第2冷媒回路と、前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換する第3熱交換器と、ファンと、を備え、前記第2熱交換器を構成する伝熱管が扁平多穴管であり、前記第2熱交換器は、前記ファンが生成する空気の流れ方向において、前記第1熱交換器の風上側に配置される。
【0007】
本開示の冷凍装置は、伝熱管として扁平多穴管を用いた第2熱交換器を備える。伝熱管として扁平多穴管を用いた熱交換器は、伝熱管として円形管を用いた熱交換器に比べて、その風下側に形成される死水域を小さくすることができる。本開示の冷凍装置は、扁平多穴管を用いた第2熱交換器を第1熱交換器の風上側に配置することで、風下側の第1熱交換器において、伝熱管と死水域との干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向の風下側に位置する第1熱交換器について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0008】
(2)本開示の前記(1)の冷凍装置は、複数の前記扁平多穴管及び前記第1熱交換器を構成する複数の伝熱管を備え、前記複数の扁平多穴管の配列方向についての前記扁平多穴管の中心位置と、前記第1熱交換器を構成する前記複数の伝熱管の配列方向についての当該伝熱管の中心位置とが、前記空気の流れ方向から見てズレている部分を有すると好ましい。
【0009】
本開示の冷凍装置は、扁平多穴管の中心位置と伝熱管の中心位置とがズレている部分において、第2熱交換器の風下側に形成される死水域が、第1熱交換器の伝熱管からズレた位置に形成される。このため、本開示の冷凍装置は、風下側の第1熱交換器において、第2熱交換器の風下側に形成される死水域と伝熱管との干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向の風下側に位置する第1熱交換器について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0010】
(3)本開示の前記(2)の冷凍装置は、前記第1熱交換器を構成する伝熱管が円形管であり、前記複数の円形管の配列方向についての当該円形管の第1のピッチと、前記複数の扁平多穴管の配列方向についての当該扁平多穴管の第2のピッチとが異なると好ましい。
【0011】
上記構成の冷凍装置は、風下側に位置する複数の円形管の第1のピッチと、風上側に位置する複数の扁平多穴管の第2のピッチとを異ならせることによって、扁平多穴管の中心位置と伝熱管の中心位置とがズレている部分を設けることができ、これにより、第2熱交換器の風下側に形成される死水域と風下側の第1熱交換器を構成する円形管との干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向の風下側に位置する第1熱交換器について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0012】
(4)本開示の前記(1)~(3)の何れかの態様の冷凍装置は、前記第2熱交換器が、複数の前記扁平多穴管と、隣接する前記扁平多穴管の間に配置される蛇行するフィンと、を含む熱交換器により構成されると好ましい。
【0013】
本開示の冷凍装置は、第2熱交換器により効率よく熱交換することができる。本開示の冷凍装置は、第2冷媒の使用量を抑制することができる。
【0014】
(5)本開示の前記(1)の態様の冷凍装置は、複数の前記扁平多穴管及び前記第1熱交換器を構成する複数の伝熱管を備え、前記第1熱交換器を構成する伝熱管が円形管であり、前記第1熱交換器は、複数の前記円形管を第1の配列方向に並べて配置した第1の伝熱管群と、前記空気の流れ方向における前記第1の伝熱管群の風下側に隣接し、複数の前記円形管を前記第1の配列方向に対して平行な第2の配列方向に並べて配置した第2の伝熱管群と、を含み、前記第1の配列方向についての前記第1の伝熱管群に含まれる前記円形管の中心位置と、前記第2の配列方向についての前記第2の伝熱管群に含まれる前記円形管の中心位置とが、前記空気の流れ方向から見てズレており、前記複数の扁平多穴管の配列方向についての当該扁平多穴管の中心位置と、前記第1の配列方向についての前記第1の伝熱管群に含まれる前記円形管の中心位置と、が前記空気の流れ方向から見てズレている部分を有すると好ましい。
【0015】
本開示の冷凍装置は、第2熱交換器の風下側に形成される死水域と、第1の伝熱管群に含まれる円形管との干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向の風下側に位置する第1熱交換器について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0016】
(6)本開示の前記(1)の態様の冷凍装置は、複数の前記扁平多穴管及び前記第1熱交換器を構成する複数の伝熱管を備え、前記第1熱交換器を構成する伝熱管が扁平多穴管であり、前記第2熱交換器における前記複数の扁平多穴管の配列方向についての当該扁平多穴管の中心位置と、前記第1熱交換器における前記複数の扁平多穴管の配列方向についての当該扁平多穴管の中心位置とが、前記空気の流れ方向から見て一致している部分を有すると好ましい。
【0017】
上記構成の冷凍装置は、第1熱交換器の伝熱管及び第2熱交換器の伝熱管の両方を扁平多穴管とした場合において、空気の流れ方向の風下側に位置する第1熱交換器について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0018】
(7)本開示の前記(1)~(6)の何れかの態様の冷凍装置は、前記第2冷媒が、燃焼性、または、毒性、または、4以上の地球温暖化係数を有する冷媒であると好ましい。
【0019】
上記構成の冷凍装置は、第2冷媒として、燃焼性、または、毒性、または、4以上の地球温暖化係数を有するような冷媒を使用した場合に、第2冷媒の使用量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路の説明図である。
【
図2】冷凍装置における熱源側ユニットの平面視断面説明図である。
【
図3】冷凍装置における熱源側ユニットの側面視断面説明図である。
【
図4】第1及び第2実施形態に係る第1熱交換器の模式図である。
【
図5A】第1実施形態に係る第1熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
【
図5B】第2実施形態に係る第1熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
【
図6】第3実施形態に係る第1熱交換器の模式図である。
【
図7】第3実施形態に係る第1熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
【
図9】第2熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
【
図10A】伝熱管が円形管である場合の死水域の形成状況の説明図である。
【
図10B】伝熱管が扁平多穴管である場合の死水域の形成状況の説明図である。
【
図11】第1実施形態に係る第1熱交換器を第2熱交換器の風下側に配置した場合の説明図である。
【
図12】第2実施形態に係る第1熱交換器を第2熱交換器の風下側に配置した場合の説明図である。
【
図13】第3実施形態に係る第1熱交換器を第2熱交換器の風下側に配置した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(冷凍装置の全体構成について)
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の冷凍装置の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路の説明図である。
図1に示すように、本開示の冷凍装置10は、熱源側ユニット11と、利用側ユニット12と、熱源側ユニット11及び利用側ユニット12を接続する冷媒配管13と、ファン15とを備える。本実施形態で例示する冷凍装置10は、利用側ユニット12によって対象空間を空調する空気調和機である。冷凍装置10は、熱源側ユニット(室外機)11と利用側ユニット(室内機)12とに分離されたセパレートタイプの空気調和機である。なお、本実施形態で示す冷凍装置10は空気調和機であるが、本開示の冷凍装置は、例えば冷蔵ケース等であってもよく、空気調和機に限定されない。冷媒配管13は、熱源側ユニット11の筐体を出入りする部分において、仕切弁18を備える。
【0022】
熱源側ユニット11は、第1圧縮機21、第2圧縮機22、第1熱交換器31、第2熱交換器32、第3熱交換器33、第1膨張弁41、及び第2膨張弁42、四方切換弁50、第1アキュムレータ51、及び第2アキュムレータ52を備える。利用側ユニット12は、利用側熱交換器34を備える。
【0023】
冷凍装置10は、第1圧縮機21、第1熱交換器31、第1膨張弁41、及び利用側熱交換器34と、これらを接続する冷媒配管13と、を含む第1冷媒回路RC1と、第2圧縮機22、第2熱交換器32、及び第2膨張弁42と、これらを接続する冷媒配管14と、を含む第2冷媒回路RC2と、を備える。第1冷媒回路RC1は、冷媒として第1冷媒R1を使用し、冷凍サイクル運転を行う。第2冷媒回路RC2は、冷媒として第1冷媒R1とは異なる第2冷媒R2を使用し、冷凍サイクル運転を行う。
【0024】
第1圧縮機21及び第2圧縮機22は、低圧のガス冷媒を吸引し高圧のガス冷媒を吐出する。第1圧縮機21及び第2圧縮機22は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータ(図示せず)を備える。第1圧縮機21及び第2圧縮機22は、前記モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。ただし、第1圧縮機21及び第2圧縮機22は、固定容量型であってもよい。
【0025】
四方切換弁50は、第1冷媒回路RC1の冷媒配管13における第1冷媒R1の流れを反転させ、第1圧縮機21から吐出される第1冷媒R1を第1熱交換器31と利用側熱交換器34のどちらに供給するかを切り換えることができる。冷凍装置10は、四方切換弁50によって第1冷媒R1の流れ方向を切り換えることで、冷房運転及び暖房運転を切り換えることができる。なお、本実施形態の冷凍装置10は、四方切換弁が省略されていて、冷房専用で使用されてもよい。
【0026】
第1膨張弁41は、第1冷媒R1の流量調節を行うことが可能な電動弁により構成されている。冷凍装置10は、冷房運転時において、図示しない制御装置が第1膨張弁41の開度を調整することによって、第1冷媒回路RC1により発揮させる冷却能力を調整する。なお、冷凍装置10は、暖房運転時において、図示しない制御装置が第1膨張弁41の開度を全開とする。
【0027】
第2膨張弁42は、第2冷媒R2の流量調節を行うことが可能な電動弁により構成されている。冷凍装置10は、冷房運転時において、図示しない制御装置が第2膨張弁42の開度を調整することによって、第2冷媒回路RC2により発揮させる冷却能力を調整する。
【0028】
冷凍装置10は、第3熱交換器33において、第1冷媒R1と第2冷媒R2とを熱交換することによって、第1冷媒回路RC1の冷却能力を第2冷媒回路RC2の冷却能力により補助する。冷凍装置10は、冷房運転時において、図示しない制御装置が第2膨張弁42の開度を調整することによって、第1冷媒R1と第2冷媒R2との熱交換量を調整する。
【0029】
[熱源側ユニット]
図2は、冷凍装置における熱源側ユニットの平面視の断面説明図である。
図3は、冷凍装置における熱源側ユニットの側面視の断面説明図である。
図3は、
図2に示したA-A線における断面を示している。なお、以下の説明において、上、下、前、後、左、及び右という記載は、
図2及び
図3に示された矢印に従っている。具体的に、例えば
図2及び
図3において、互いに直交する矢印X,Y,Zのうち、矢印Xが示す方向(第1方向)を左右方向、矢印Yが示す方向(第2方向)を前後方向、矢印Zが示す方向(第3方向)を上下方向としている。以下の説明では、左右方向を第1方向Xとも称し、前後方向を第2方向Yとも称し、上下方向を第3方向Zとも称する。ただし、これらの記載は一例にすぎず、例えば、方向Xを前後方向、方向Yを左右方向と読み替えてもよい。
【0030】
図1~
図3に示すように、熱源側ユニット11は、筐体60を備えている。
図2及び
図3に示すように、筐体60は、直方体形状に形成され、平面視で矩形状に形成されている。筐体60の内部は、区画壁61によって機械室S1と、熱交換室S2とに区画されている。熱交換室S2側に配置された筐体60の2つの隣接する側壁62,63には、空気取入口64,65が形成されている。空気取入口65が形成された一方の側壁63に隣接した他の側壁66には、空気吹出口67が形成されている。
【0031】
機械室S1には、第1圧縮機21、第2圧縮機22、第3熱交換器33、第1アキュムレータ51、及び第2アキュムレータ52が収容されている。機械室S1には、これらの他、四方切換弁50(図示せず)、第1膨張弁41(図示せず)、第2膨張弁42(図示せず)、及びオイルセパレータ等がさらに収容される。機械室S1には、制御基板(図示せず)が配置されており、この制御基板によって冷凍装置10を構成する各機器が制御される。
【0032】
熱交換室S2には、第1熱交換器31、第2熱交換器32、ファン15、及びファンモータ16が収容されている。ファン15は、ファンモータ16が有する回転軸に接続されており、ファンモータ16によって回転駆動される。
【0033】
第1熱交換器31は、伝熱管(後で説明する伝熱管31a)の内部を、第1冷媒回路RC1を循環する第1冷媒R1が流れる。第1熱交換器31は、冷媒配管13(
図1参照)を介して機械室S1内の第1圧縮機21と接続される。第2熱交換器32は、伝熱管(後で説明する伝熱管32a)の内部を、第2冷媒回路RC2を循環する第2冷媒R2が流れる。第2熱交換器32は、冷媒配管14(
図1参照)を介して機械室S1内の第2圧縮機22と接続される。
【0034】
ファン15は、空気吹出口67が形成された側壁66側に正圧面を対向させるとともに、空気取入口64が形成された側壁62側に負圧面を対向させる姿勢で配置される。ファンモータ16が作動すると、ファン15が回転し、空気取入口64、65から熱交換室S2内に空気が取り入れられる。熱交換室S2内に取り入れられた空気は、第1熱交換器31を通過して第1冷媒R1と熱交換された後、さらに第2熱交換器32を通過して第2冷媒R2と熱交換され、その後空気吹出口67から排気される。ファン15は、第1熱交換器31及び第2熱交換器32を通る空気の流れを生成する。第1熱交換器31及び第2熱交換器32の内部を通る冷媒は、第1熱交換器31及び第2熱交換器32を通る前記空気と熱交換される。
図1~
図3に示すように、ファン15が生成する前記空気の流れの方向は、矢印Fで示される。以下の説明では、空気の流れ方向を、空気の流れ方向Fと称する。
【0035】
本実施形態で示す第1熱交換器31は、左右方向に延びる部分と、前後方向に延びる部分とを有し、角部68付近で屈曲して、平面視でL字形状に形成されている。なお、本開示の冷凍装置10が備える第1熱交換器31の形状はこれに限定されず、例えば平面視で矩形状であってもよい。
【0036】
本実施形態で示す第2熱交換器32は、平面視で矩形状に形成されている。第2熱交換器32は、空気取入口64が形成された側壁62に沿って、空気の流れ方向Fにおける第1熱交換器31の風上側に配置される。
【0037】
[第1熱交換器(第1実施形態)]
図4は、第1及び第2実施形態に係る第1熱交換器の模式図である。
図5Aは、第1実施形態に係る第1熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
図4及び
図5Aにおいて、本開示の冷凍装置10を構成する第1熱交換器31の第1実施形態が示される。以下の説明では、第1実施形態に係る第1熱交換器31を、第1熱交換器31Aとも称する。第1実施形態に係る第1熱交換器31Aは、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。第1熱交換器31Aは、伝熱管31a、複数のフィン31b、及び一対の管板31c,31dを有する。第1熱交換器31Aは、第1冷媒回路RC1内の第1冷媒R1を、当該第1熱交換器31を通過する空気と熱交換する。
【0038】
伝熱管31aは、金属製の円形管である。伝熱管31aを構成する金属としては、銅、銅合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等を採用することができる。以下、伝熱管31aのことを円形管31aとも称する。複数のフィン31bは、金属製の薄板であり、側面視で長方形状に形成され、幅方向に所定の間隔をあけて互いに平行に並べて配置されている。フィン31bを構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金等を採用することができる。
【0039】
円形管(伝熱管)31aは、直線状に形成された複数の直管部31xと、U字状に形成された複数の曲管部31yとを含んでいる。直管部31xは、多数のフィン31bが並ぶ方向に当該フィン31bを貫通している。曲管部31yは、第1熱交換器31の幅方向端部に配置され、隣接する2本の直管部31xを互いに接続している。
【0040】
管板31c,31dは、金属製の板材であり、側面視で長方形状に形成され、第1熱交換器31の幅方向両側に一対で配置されている。管板31c,31dは、円形管31aにおける各直管部31xの両端部に接続され、円形管31aを支持している。管板31c,31dは、
図4に示すように、フィン31bと平行に配置される。
【0041】
[第1熱交換器(第2実施形態)]
図5Bは、第2実施形態に係る第1熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
図4及び
図5Bにおいて、本開示の冷凍装置10を構成する第1熱交換器31の第2実施形態が示される。以下の説明では、第2実施形態に係る第1熱交換器31を、第1熱交換器31Bとも称する。第2実施形態に係る第1熱交換器31Bは、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。第1熱交換器31Bは、伝熱管31a、複数のフィン31b、及び一対の管板31c,31dを有する。第1熱交換器31Bは、第1冷媒回路RC1内の第1冷媒R1を、当該第1熱交換器31を通過する空気と熱交換する。なお、本実施形態で示す第1熱交換器31Bは、第1実施形態に係る第1熱交換器31Aと共通の伝熱管31a、フィン31b、及び管板31c,31dを備える。
【0042】
[第1熱交換器(第3実施形態)]
図6は、第3実施形態に係る第1熱交換器の模式図である。
図7は、第3実施形態に係る第1熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。
図6及び
図7において、本開示の冷凍装置10を構成する第1熱交換器31の第3実施形態が示される。以下の説明では、第3実施形態に係る第1熱交換器31を、第1熱交換器31Cとも称する。本実施形態の冷凍装置10は、第1熱交換器31としてクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器(
図4,
図5A,
図5B参照)ではなく、マイクロチャネル式の熱交換器を採用してもよい。
【0043】
図6及び
図7に示すように、第3実施形態に係る第1熱交換器31Cは、マイクロチャネル型の熱交換器である。第1熱交換器31Cは、複数の伝熱管31e、フィン31f、及び一対のヘッダ31g,31hを有する。伝熱管31e、フィン31f、及びヘッダ31g,31hは、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。第1熱交換器31Cは、第1冷媒回路RC1内の第1冷媒R1を、当該第1熱交換器31Cを通過する空気と熱交換する。
【0044】
図7に示すように、第3実施形態に係る第1熱交換器31Cにおける伝熱管31eは、内部に複数の冷媒流路35を有する多穴管により構成されている。伝熱管31eの断面は、短手方向と長手方向とを有する扁平形状を有する。伝熱管31eは、複数の冷媒流路35が並ぶ方向を長手方向としている。複数の冷媒流路35は、空気の流れ方向Fに沿って並べて形成されている。以下、第3実施形態に係る第1熱交換器31における伝熱管31eのことを扁平多穴管31eともいう。
【0045】
図6及び
図7に示すように、第1熱交換器31Cにおいて、伝熱管31eは、長手方向に並べて複数設けられている。ヘッダ31g,31hは、その長手方向を伝熱管31eの短手方向に向けた状態で配置されている。伝熱管31eの一端はヘッダ31gに接続され、伝熱管31eの他端はヘッダ31hに接続されている。フィン31fは、隣接する伝熱管31e・31eの間に蛇行して配置される。
【0046】
本実施形態の第1熱交換器31Cは、マイクロチャネル型の熱交換器のうちの所謂パラレルフロー型熱交換器である。第1熱交換器31Cを構成する伝熱管31eは、扁平多穴管であり、フィン31fは、隣接する扁平多穴管の間に配置された蛇行するフィンである。第1熱交換器31Cを構成するフィン31fは、所謂コルゲートフィンである。一般的に、熱交換量が同等のクロスフィン型熱交換器とパラレルフロー型熱交換器とを比較した場合、クロスフィン型熱交換器に比べて、パラレルフロー型熱交換器の方が、熱交換器内部の容積(内部の保有液量)が少ない。このため、冷凍装置10は、パラレルフロー型の第1熱交換器31Cを採用することによって、クロスフィン型熱交換器を採用した場合に比べて、第1冷媒R1の使用量を抑制することができる。
【0047】
[第2熱交換器]
図8は、第2熱交換器を示す模式図である。
図9は、第2熱交換器を構成する伝熱管及びフィンを示す部分断面模式図である。本開示の冷凍装置10を構成する第2熱交換器32は、マイクロチャネル型の熱交換器である。
図8及び
図9に示すように、第2熱交換器32は、複数の伝熱管32a、フィン32b、及び一対のヘッダ32c,32dを有する。伝熱管32a、フィン32b、及びヘッダ32c,32dは、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。なお、第2熱交換器32は、第2冷媒回路RC2内の第2冷媒R2を、当該第2熱交換器32を通過する空気と熱交換する。本実施形態の冷凍装置10は、第2熱交換器32を、ファン15を支持するための支持部材70(
図2,
図3参照)を利用して支持している。
【0048】
図9に示すように、伝熱管32aは、内部に複数の冷媒流路36を有する多穴管により構成されている。伝熱管32aの断面は、短手方向と長手方向とを有する扁平形状を有する。伝熱管32aは、複数の冷媒流路36が並ぶ方向を長手方向としている。複数の冷媒流路36は、空気の流れ方向Fに沿って並べて形成されている。
図8及び
図9に示すように、複数の冷媒流路36は、第2方向Yに並んで形成され、第1方向Xに延びている。以下、伝熱管32aのことを扁平多穴管32aともいう。
【0049】
図8及び
図9に示すように、第2熱交換器32において、伝熱管32aは、第3方向Zに並べて複数設けられている。ヘッダ32c,32dは、その長手方向を第3方向Zに向けた状態で配置されている。伝熱管32aの一端はヘッダ32cに接続され、伝熱管32aの他端はヘッダ32dに接続されている。フィン32bは、上下に隣接する伝熱管32a・32aの間に蛇行して配置される。なお、本実施形態の冷凍装置10における第2熱交換器32の姿勢はこれに限定されず、例えば、第3方向Zを左右方向に向けた姿勢で使用してもよい。
【0050】
図9に示すように、第3方向Zにおける扁平多穴管32aの端面、言い換えると、扁平多穴管32aの上面及び下面は、第1方向X及び第2方向Yに沿った平坦面である。第1方向Xにおける扁平多穴管32aの両端面は、断面が半円形状に湾曲した湾曲面である。
【0051】
第2方向Yについて、フィン32bは、扁平多穴管32aとほぼ同じ長さを有する。このため、第2熱交換器32は、第2方向Yについての両側の端面において、扁平多穴管32a及びフィン32bが面一となっている。
【0052】
本実施形態の第2熱交換器32は、マイクロチャネル型の熱交換器のうちの所謂パラレルフロー型熱交換器である。第2熱交換器32を構成する伝熱管は、扁平多穴管32aであり、フィン32bは、隣接する扁平多穴管の間に配置された蛇行するフィンである。フィン32bは、所謂コルゲートフィンである。一般的に、熱交換量が同等のクロスフィン型熱交換器とパラレルフロー型熱交換器とを比較した場合、クロスフィン型熱交換器に比べて、パラレルフロー型熱交換器の方が、熱交換器内部の容積(内部の保有液量)が少ない。このため、冷凍装置10は、第2熱交換器32としてパラレルフロー型熱交換器を採用することによって、クロスフィン型熱交換器を採用した場合に比べて、第2冷媒R2の使用量を抑制することができる。
【0053】
[第3熱交換器]
本開示の冷凍装置10を構成する第3熱交換器33は、プレート式熱交換器である。
図1に示すように、第3熱交換器33は、積層されたプレート間に形成された第1の流路33aと第2の流路33bとを有する。第3熱交換器33は、第1の流路33aが第1冷媒回路RC1と接続され、第1の流路33aに第1冷媒R1が流れる。第3熱交換器33は、第2の流路33bが第2冷媒回路RC2と接続され、第2の流路33bに第2冷媒R2が流れる。第3熱交換器33は、第1の流路33aを流れる第1冷媒R1と、第2の流路33bを流れる第2冷媒R2との間で熱交換する。冷凍装置10は、第3熱交換器33によって、第1冷媒R1と第2冷媒R2とを熱交換し、第1冷媒回路RC1の冷却能力を、第2冷媒回路RC2の冷却能力で補助する。
【0054】
(第1冷媒及び第2冷媒について)
本開示の冷凍装置10は、第1冷媒R1及び第2冷媒R2として、自然冷媒を使用すると好ましい。自然冷媒は、自然界にもともと存在している物質を用いた冷媒であり、例えば、アンモニア(NH3)、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、炭化水素(HC)等が含まれる。本実施形態の冷凍装置10は、第1冷媒R1として二酸化炭素(CO2:R744)を使用し、第2冷媒R2としてプロパン(C3H8:R290)を使用する。二酸化炭素(CO2)の地球温暖化係数(GWP)は「1」であり、プロパン(C3H8)の地球温暖化係数(GWP)は「3」である。なお、本開示の冷凍装置で使用する第1冷媒R1は、二酸化炭素(CO2)に限定されず、本開示の冷凍装置で使用する第2冷媒R2は、プロパン(C3H8)に限定されない。本開示の冷凍装置で使用する第2冷媒R2は、R32,R1234yf、R474a、R600a(イソブタン)、R454B、R454C等であってもよい。
【0055】
本開示の冷凍装置10は、第2冷媒R2として、有害性を有する自然冷媒を採用することに適した構成を有する。ここでいう「有害性を有する」とは、可燃性(微燃性を含む)、毒性、及び4以上の地球温暖化係数を有する性質を意味する。本開示の冷凍装置10は、「パラレルフロー型熱交換器」である第2熱交換器32を使用する構成であるため、このような「有害性を有する」第2冷媒R2の使用量を抑制することができる。
【0056】
(死水域について)
図10Aは、伝熱管が円形管である場合の死水域の形成状況の説明図である。
図10Bは、伝熱管が扁平多穴管である場合の死水域の形成状況の説明図である。第1熱交換器31を空気が通過した場合、
図10A及び
図10Bに示すように、伝熱管(伝熱管31a、31e)の風下側には「死水域」が形成される。「死水域」は、流れ中に配置された物体の下流側に形成される領域であり、大小の渦が存在し、流体が静止状態となっている領域である。「死水域」は、流体の疎通に関係のない部分となっているため、伝熱管が死水域と干渉する場合、その干渉の度合が大きいほど、その干渉がある領域において伝熱管及び空気の間の熱交換効率が低下する。
【0057】
以下の説明では、
図10Aに示すように、第1熱交換器31を構成する伝熱管(円形管)31aの風下側に形成される「死水域」を、第1死水域D1と称し、空気の流れ方向Fにおける第1死水域D1の形成長さを、第1形成長さL1と称する。以下の説明では、
図10Bに示すように、第1熱交換器31を構成する伝熱管31eの風下側に形成される「死水域」を、第2死水域D2と称し、空気の流れ方向Fにおける第2死水域D2の形成長さを、第2形成長さL2と称する。なお、伝熱管31eは、扁平多穴管である。以下の説明では、扁平多穴管である伝熱管31eを、扁平多穴管31eとも称する。
【0058】
伝熱管として伝熱管31aを備える熱交換器、及び伝熱管として扁平多穴管31eを備える熱交換器について、熱交換量が同等の装置同士を比較した場合、伝熱管31aにおける第1死水域D1の第1形成長さL1は、伝熱管31eにおける第2死水域D2の第2形成長さL2に比べて大きくなるのが一般的である。
【0059】
(第1熱交換器及び第2熱交換器の配置について)
図1~
図3に示すように、冷凍装置10において、第2熱交換器32は、ファン15が生成する空気の流れ方向Fにおいて、第1熱交換器31の風上側に配置される。以下では、構成が異なる3種類の第1熱交換器31を採用した場合について、第2熱交換器32の風下に形成される第2死水域D2と、第1熱交換器31の伝熱管との関係を説明する。
【0060】
(第1実施形態に係る第1熱交換器を配置した場合について)
図11は、第1実施形態に係る第1熱交換器を第2熱交換器の風下側に配置した場合の説明図である。
図11は、冷凍装置10において、第1実施形態に係る第1熱交換器31Aを採用した場合の、第1熱交換器31A及び第2熱交換器32の配置を示している。以下の説明では、第1熱交換器31を構成する複数の伝熱管31aの配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31aの中心位置を、中心位置z1と称する。以下の説明では、第2熱交換器32を構成する複数の伝熱管32aの配列方向(第3方向Z)における各伝熱管32aの中心位置を、中心位置z2と称する。中心位置z2は、扁平多穴管32aの厚み方向の中央である。なお、
図11では、フィン31b及びフィン32bの図示を省略している。
【0061】
本開示の冷凍装置10において第1熱交換器31Aを採用する場合、第1熱交換器31C及び第2熱交換器32は、各伝熱管31aの中心位置z1と、各伝熱管32aの中心位置z2と、がズレている部分を有するように配置する。なお、本実施形態では、中心位置z1及び中心位置z2が一致している部分が全くない場合を例示しているが、第1熱交換器31A及び第2熱交換器32は、一部に中心位置z1及び中心位置z2が一致している部分を有するように配置してもよい。
【0062】
図11に示すように、扁平多穴管32aの中心位置z2と、伝熱管31aの中心位置z1とがズレている部分においては、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2は、第1熱交換器31の伝熱管31aからズレた位置に形成される。このように構成された冷凍装置10は、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2と伝熱管31aとの干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0063】
図11に示すように、本開示の冷凍装置10は、第1熱交換器31の伝熱管31aの第1のピッチP1と、第2熱交換器32の伝熱管32aの第2のピッチP2とが、異なっていると好ましい。第1のピッチP1及び第2のピッチP2を異ならせた場合、扁平多穴管32aの中心位置z2と、伝熱管31aの中心位置z1とがズレている部分を、必然的に生じさせることができる。このように構成された冷凍装置10は、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2と伝熱管31aとの干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0064】
(第2実施形態に係る第1熱交換器を配置した場合について)
図12は、第2実施形態に係る第1熱交換器を第2熱交換器の風下側に配置した場合の説明図である
図12は、冷凍装置10において、第2実施形態に係る第1熱交換器31Bを採用した場合の、第1熱交換器31B及び第2熱交換器32の配置を示している。第1熱交換器31B(
図5B参照)は、側面視において直管部31xが千鳥状に配置された伝熱管31aを備える。
図12に示すように、第1熱交換器31Bにおける伝熱管31aは、複数の円形管(直管部31x)を第1の配列方向(第3方向Z)に並べて配置した第1の伝熱管群G1と、複数の円形管(直管部31x)を第1の配列方向より風下側で第2の配列方向(第3方向Z)に並べて配置した第2の伝熱管群G2と、を含んでいる。第1熱交換器31Bにおいて、前記第1の配列方向及び第2の配列方向は、互いに平行である。以下の説明では、第1熱交換器31Bを構成する複数の伝熱管31aの第1の配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31aの中心位置を、中心位置z1aと称する。以下の説明では、第1熱交換器31Bを構成する複数の伝熱管31aの第2の配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31aの中心位置を、中心位置z1bと称する。なお、第1熱交換器31Bは、第1の伝熱管群G1に含まれる各伝熱管31aの第1の配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31aの中心位置z1aと、第2の伝熱管群G2に含まれる各伝熱管31aの第2の配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31aの中心位置z1bと、がズレている。なお、
図12では、フィン31b及びフィン32bの図示を省略している。
【0065】
冷凍装置10において第1熱交換器31Bを採用する場合、第1熱交換器31A及び第2熱交換器32は、第1の配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31aの中心位置z1aと、各伝熱管32aの中心位置z2と、がズレている部分を有するように配置する。なお、本実施形態では、中心位置z1a及び中心位置z2が一致している部分が全くない場合を例示しているが、第1熱交換器31B及び第2熱交換器32は、一部に中心位置z1a及び中心位置z2が一致する部分を有するように配置してもよい。
【0066】
なお、冷凍装置10において第1熱交換器31Bを採用する場合、第1熱交換器31A及び第2熱交換器32は、複数の伝熱管31aのうち、第2の伝熱管群G2に含まれる各伝熱管31aの配列方向における各伝熱管31aの中心位置z1bと、第2熱交換器32を構成する複数の伝熱管32aの配列方向における各伝熱管32aの中心位置z2とは一致してもよい。
【0067】
図12に示すように、扁平多穴管32aの中心位置z2と、第1の伝熱管群G1に含まれる伝熱管31aの中心位置z1aとがズレている部分においては、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2は、第1の伝熱管群G1に含まれる伝熱管31aからズレた位置に形成される。このように構成された冷凍装置10は、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2と第1の伝熱管群G1に含まれる伝熱管31aとの干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31Bについて、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0068】
(第3実施形態に係る第1熱交換器を配置した場合について)
図13は、第3実施形態に係る第1熱交換器及び第2熱交換器の配置関係の説明図である。
図13は、冷凍装置10において、第3実施形態に係る第1熱交換器31Cを採用した場合の、第1熱交換器31C及び第2熱交換器32の配置を示している。以下の説明では、第1熱交換器31を構成する複数の伝熱管31eの配列方向(第3方向Z)における各伝熱管31eの中心位置を、中心位置z1と称する。中心位置z1は、伝熱管(扁平多穴管)31eの厚み方向の中央である。なお、
図13では、フィン31f及びフィン32bの図示を省略している。
【0069】
本開示の冷凍装置10において第1熱交換器31Cを採用する場合、第1熱交換器31C及び第2熱交換器32は、各伝熱管31aの中心位置z1と、各伝熱管32aの中心位置z2と、が一致する部分を有するように配置される。なお、本実施形態では、中心位置z1及び中心位置z2が全て一致している場合を例示しているが、第1熱交換器31C及び第2熱交換器32は、一部に中心位置z1及び中心位置z2がズレている部分を有していてもよい。
【0070】
第1熱交換器31の伝熱管31a及び第2熱交換器32の伝熱管32aの両方を扁平多穴管とした場合、第1熱交換器31及び第2熱交換器32を
図13のように配置することによって、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0071】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の冷凍装置10は、第1圧縮機21、第1熱交換器31、第1膨張弁41、及び利用側熱交換器34を含み、第1冷媒R1を用いる第1冷媒回路RC1と、第2圧縮機22、第2熱交換器32、及び第2膨張弁42を含み、第2冷媒R2を用いる第2冷媒回路RC2と、第1冷媒R1と第2冷媒R2とを熱交換する第3熱交換器33と、ファン15と、を備える。冷凍装置10は、第2熱交換器32を構成する伝熱管が扁平多穴管32aであり、第2熱交換器32は、ファン15が生成する空気の流れ方向Fにおいて、第1熱交換器31の風上側に配置される。
【0072】
上記実施形態の冷凍装置10は、伝熱管として扁平多穴管32aを用いた第2熱交換器32を備える。伝熱管として扁平多穴管を用いた熱交換器は、伝熱管として円形管を用いた熱交換器に比べて、その風下側に形成される死水域を小さくすることができる。冷凍装置10は、扁平多穴管32aを用いた第2熱交換器32を第1熱交換器31の風上側に配置することで、風下側の第1熱交換器31の伝熱管31aについて、死水域との干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0073】
(2)上記実施形態の冷凍装置10は、複数の扁平多穴管32a及び第1熱交換器31を構成する複数の伝熱管31aを備える。冷凍装置10は、複数の扁平多穴管32aの配列方向についての扁平多穴管32aの中心位置z2と、第1熱交換器31を構成する複数の伝熱管31aの配列方向についての当該伝熱管31aの中心位置z1とが、空気の流れ方向Fから見てズレている部分を有する。
【0074】
扁平多穴管32aの中心位置z2と、伝熱管31aの中心位置z1とがズレている部分では、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2が、第1熱交換器31を構成する伝熱管31aからズレた位置に形成される。このため、本実施形態の冷凍装置10は、第2熱交換器32の風下側に形成される第2死水域D2と風下側の第1熱交換器31の伝熱管31aとの干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0075】
(3)上記実施形態の冷凍装置10は、第1熱交換器31を構成する伝熱管が円形管31aであり、複数の円形管31aの配列方向についての当該円形管31aの第1のピッチP1と、複数の扁平多穴管32aの配列方向についての当該扁平多穴管32aの第2のピッチP2とが異なる。
【0076】
上記実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置は、風下側に位置する複数の円形管31aの第1のピッチP1と、風上側に位置する複数の扁平多穴管32aの第2のピッチP2とを異ならせることによって、第2熱交換器32の風下側に形成される死水域と、第1熱交換器31の円形管31aとがズレている部分を設けることができる。このため、本実施形態の冷凍装置10は、第2熱交換器32の風下側に形成される死水域と風下側の第1熱交換器31を構成する円形管31aとの干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0077】
(4)上記実施形態の冷凍装置10は、第2熱交換器32が、複数の扁平多穴管32aと、隣接する扁平多穴管32aの間に配置される蛇行するフィン32bと、を含む熱交換器により構成される。
【0078】
このような構成の冷凍装置10によれば、第2熱交換器32により効率よく熱交換することができる。また、このような構成の冷凍装置10は、第2冷媒R2の使用量を抑制することができる。
【0079】
(5)上記実施形態の冷凍装置10は、複数の扁平多穴管32a及び第1熱交換器31を構成する複数の伝熱管31aを備える。冷凍装置10は、第1熱交換器31を構成する伝熱管が円形管31aである。第1熱交換器31は、複数の円形管31aを第1の配列方向に並べて配置した第1の伝熱管群G1と、空気の流れ方向Fにおける第1の伝熱管群G1の風下側に隣接し、複数の円形管31aを第1の配列方向に対して平行な第2の配列方向に並べて配置した第2の伝熱管群G2と、を含む。冷凍装置10は、第1の配列方向についての第1の伝熱管群G1に含まれる円形管31aの中心位置z1aと、第2の配列方向についての第2の伝熱管群G2に含まれる円形管31aの中心位置z1bとが、空気の流れ方向Fから見てズレている。本実施形態の冷凍装置10は、複数の扁平多穴管32aの配列方向についての当該扁平多穴管32aの中心位置z2と、第1の配列方向についての第1の伝熱管群G1に含まれる円形管31aの中心位置z1aと、が空気の流れ方向Fから見てズレている部分を有している。
【0080】
このような構成の冷凍装置10は、第2熱交換器32の風下側に形成される死水域と、第1の伝熱管群G1に含まれる円形管31aとの干渉を抑制することができる。これにより、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0081】
(6)上記実施形態の冷凍装置10は、複数の扁平多穴管32a及び第1熱交換器31を構成する複数の伝熱管31eを備える。冷凍装置10は、第1熱交換器31を構成する伝熱管が扁平多穴管31eである。冷凍装置10は、第2熱交換器32における複数の扁平多穴管32aの配列方向についての当該扁平多穴管32aの中心位置z2と、第1熱交換器31における複数の扁平多穴管31eの配列方向についての当該扁平多穴管31eの中心位置z1とが、空気の流れ方向Fから見て一致している部分を有している。
【0082】
このような構成の冷凍装置10は、第1熱交換器31の伝熱管31e及び第2熱交換器32の伝熱管32aの両方を扁平多穴管とした場合において、空気の流れ方向Fの風下側に位置する第1熱交換器31について、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0083】
(7)上記実施形態の冷凍装置10は、第2冷媒R2が、燃焼性、または、毒性、または、4以上の地球温暖化係数を有する冷媒である。
【0084】
このような構成の冷凍装置10は、第2冷媒R2として、燃焼性、または、毒性、または、4以上の地球温暖化係数を有するような「有害性を有する」自然冷媒を使用した場合に、第2冷媒R2の使用量を減らすことができる。
【0085】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0086】
10 :冷凍装置
15 :ファン
21 :第1圧縮機
22 :第2圧縮機
31 :第1熱交換器
31a:円形管(伝熱管)
31e:扁平多穴管(伝熱管)
32 :第2熱交換器
32a:扁平多穴管(伝熱管)
32b:フィン
33 :第3熱交換器
34 :利用側熱交換器
41 :第1膨張弁
42 :第2膨張弁
70 :支持部材
R1 :第1冷媒
R2 :第2冷媒
RC1:第1冷媒回路
RC2:第2冷媒回路
G1 :第1の伝熱管群
G2 :第2の伝熱管群
F :空気の流れ方向
z1 :中心位置
z1a:中心位置
z1b:中心位置
z2 :中心位置
P1 :第1のピッチ
P2 :第2のピッチ
【要約】
【課題】空気の流れの風上側及び風下側に並べて配置された空気熱交換器を備える冷凍装置において、風下側の空気熱交換器の熱交換効率の低下を抑制する。
【解決手段】冷凍装置10は、第1圧縮機21、第1熱交換器31、第1膨張弁41、及び利用側熱交換器34を含み、第1冷媒R1を用いる第1冷媒回路RC1と、第2圧縮機22、第2熱交換器32、及び第2膨張弁42を含み、第2冷媒R2を用いる第2冷媒回路RC2と、第1冷媒R1と第2冷媒R2とを熱交換する第3熱交換器33と、ファン15と、を備え、第2熱交換器32を構成する伝熱管が扁平多穴管32aであり、第2熱交換器32は、ファン15が生成する空気の流れ方向Fにおいて、第1熱交換器31の風上側に配置される。
【選択図】
図1