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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/02 20060101AFI20241211BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F25B39/02 X
F28D7/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023117815
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鷺森 友和
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-068606(JP,A)
【文献】特開昭48-046524(JP,A)
【文献】特開2018-095914(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1342471(KR,B1)
【文献】中国実用新案第214949929(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/00-39/04
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)、及び蒸発器(15)を接続した冷媒回路(10)と、
前記圧縮機(12)、前記凝縮器(13)及び前記膨張機構(14)を収容する収容部(11)と、
前記蒸発器(15)に含まれ、前記収容部(11)の下方に配置され、液体(E)に浸漬されて前記液体(E)を冷却するコイル部(15a)と、
前記液体(E)中のスラッジを捕獲する捕獲部(22)と
を備え、
前記捕獲部(22)は、前記収容部(11)の下方に配置され
前記捕獲部(22)は、前記コイル部(15a)の内側に配置され、かつ、前記収容部(11)の下面(11a)に着脱可能に取り付けられ、
前記コイル部(15a)と、前記収容部(11)の下面(11a)との間には隙間(C)が設けられ、
前記捕獲部(22)は、前記隙間(C)を通じて前記コイル部(15a)の内側から取り出し可能である、冷却装置。
【請求項2】
前記捕獲部(22)は、磁石(22b)を含み、前記磁石(22b)の磁力により前記スラッジを捕獲する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記コイル部(15a)の内側に配置され、前記液体(E)を攪拌することで前記液体(E)に攪拌流を生じさせる撹拌機(17)を備え、
前記捕獲部(22)は、前記攪拌流が生じる領域内に配置される、請求項に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記捕獲部(22)は、上下方向に沿って延びる棒状の形状を有する、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記捕獲部(22)は、前記上下方向に対して垂直な断面の外形が円形状を有する、請求項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記捕獲部(22)は、前記収容部(11)、又は、前記収容部(11)の下面(11a)に設けられる脚部(18)に着脱可能に取り付けられる、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記収容部(11)又は前記脚部(18)には、前記捕獲部(22)の取り付け可能箇所が複数設けられる、請求項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記捕獲部(22)の下端が、前記コイル部(15a)の下端よりも下方に位置する、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置。
【請求項9】
圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)、及び蒸発器(15)を接続した冷媒回路(10)と、
前記圧縮機(12)、前記凝縮器(13)及び前記膨張機構(14)を収容する収容部(11)と、
前記蒸発器(15)に含まれ、前記収容部(11)の下方に配置され、液体(E)に浸漬されて前記液体(E)を冷却するコイル部(15a)と、
前記液体(E)中のスラッジを捕獲する捕獲部(112)と、
非磁性体の筒部(110)と、
前記筒部(110)内に設けられ、磁力により前記筒部(110)の外面に前記スラッジを付着させる磁石(120)と、
前記筒部(110)内で前記磁石(120)を移動させるための移動部(130)と、
前記移動部(130)により移動する前記磁石(120)と、前記筒部(110)の外面に付着した前記スラッジとの連動を切り離す切り離し部(140)と
を備え、
前記捕獲部(112)は、前記収容部(11)の下方に配置され、
前記移動部(130)は、前記磁石(120)に連結され、前記筒部(110)の一端部(110a)の開口(111)を通じて前記筒部(110)の外部まで延びるひも状の部材を含み、
前記筒部(110)は、前記液体(E)に浸される前記捕獲部(112)を含む冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の浸漬型液冷却装置は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を接続した冷媒回路を備え、蒸発器を液体に浸漬させて液体を冷却する。蒸発器は、コイル部を備える。コイル部は、上下方向に沿って螺旋状に巻回された内側冷媒配管と、内側冷媒配管を囲むと共に上下方向に沿って螺旋状に巻回された外側冷媒配管とを有する。内側冷媒配管及び外側冷媒配管には、工作液に含まれる研削屑などのスラッジが付着するのを防止するためにフッ素塗料が塗装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-068606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイル部にフッ素塗料が塗装されていても、スラッジの付着を完全に防止できるわけではなく、コイル部にスラッジが僅かに付着してくるため、コイル部のメンテナンス作業が行われる。
【0005】
しかし、メンテナンス作業を行う際、コイル部の内側には手が届きにくいため、コイル部の内側に付着したスラッジを除去することは困難である。また、フッ素塗料の塗装は摩擦に弱いため、メンテナンス作業を行う際、スラッジを除去するためにコイル部の表面を拭き取るとコイル部の表面からフッ素塗料の塗装が剥がれてしまう可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、メンテナンス性を向上させることができる冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の冷却装置は、圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)、及び蒸発器(15)を接続した冷媒回路(10)と、前記圧縮機(12)、前記凝縮器(13)及び前記膨張機構(14)を収容する収容部(11)と、前記蒸発器(15)に含まれ、前記収容部(11)の下方に配置され、液体(E)に浸漬されて前記液体(E)を冷却するコイル部(15a)と、前記液体(E)中のスラッジを捕獲する捕獲部(22,112)とを備え、前記捕獲部(22,112)は、前記収容部(11)の下方に配置される。
【0008】
第1の態様では、捕獲部(22,112)によりスラッジを捕獲することで、コイル部(15a)にスラッジが付着することを抑制できるので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記捕獲部(22)は、磁石(22b)を含み、前記磁石(22b)の磁力により前記スラッジを捕獲する。
【0010】
第2の態様では、磁石(22b)の磁力により捕獲部(22)の表面に付着したスラッジを拭き取ることで捕獲部(22)を再利用できる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様において、前記捕獲部(22,112)は、前記コイル部(15a)の内側に配置される。
【0012】
第3の態様では、コイル部(15a)にスラッジが付着することを効果的に抑制できる。
【0013】
第4の態様は、第3の態様において、冷却装置は、前記コイル部(15a)の内側に配置され、前記液体(E)を攪拌することで前記液体(E)に攪拌流を生じさせる撹拌機(17)を備え、前記捕獲部(22)は、前記攪拌流が生じる領域内に配置される。
【0014】
第4の態様では、撹拌流を利用して捕獲部(22)によりスラッジを効果的に捕獲することができる。
【0015】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記捕獲部(22)は、上下方向に沿って延びる棒状の形状を有する。
【0016】
第5の態様では、液体(E)中の上下方向に幅がある領域に存在するスラッジを捕獲部(22)により捕獲することができる。
【0017】
第6の態様は、第5の態様において、前記捕獲部(22)は、前記上下方向に対して垂直な断面の外形が円形状を有する。
【0018】
第6の態様では、捕獲部(22)の外面にスラッジを効果的に付着させることができる。
【0019】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記捕獲部(22)は、前記収容部(11)、又は、前記収容部(11)の下面(11a)に設けられる脚部(18)に着脱可能に取り付けられる。
【0020】
第7の態様では、捕獲部(22)を収容部(11)又は脚部(18)から取り外して、収容部(11)又は脚部(18)から独立して捕獲部(22)のメンテナンスを行うことができる。
【0021】
第8の態様は、第7の態様において、前記収容部(11)又は前記脚部(18)には、前記捕獲部(22)の取り付け可能箇所が複数設けられる。
【0022】
第8の態様では、捕獲部(22)の取り付け箇所を選択することができる。
【0023】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、前記捕獲部(22)の下端が、前記コイル部(15a)の下端よりも下方に位置する。
【0024】
第9の態様では、コイル部(15a)にスラッジが付着することを効果的に抑制できる。
【0025】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記捕獲部(22)は、前記コイル部(15a)の内側に配置され、かつ、前記収容部(11)の下面(11a)に着脱可能に取り付けられ、前記コイル部(15a)と、前記収容部(11)の下面(11a)との間には隙間(C)が設けられる。
【0026】
第10の態様では、捕獲部(22)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0027】
第11の態様は、第1の態様において、冷却装置は、非磁性体の筒部(110)と、前記筒部(110)内に設けられ、磁力により前記筒部(110)の外面に前記スラッジを付着させる磁石(120)と、前記筒部(110)内で前記磁石(120)を移動させるための移動部(130)と、前記移動部(130)により移動する前記磁石(120)と、前記筒部(110)の外面に付着した前記スラッジとの連動を切り離す切り離し部(140)とを備え、前記移動部(130)は、前記磁石(120)に連結され、前記筒部(110)の一端部(110a)の開口(111)を通じて前記筒部(110)の外部まで延びるひも状の部材を含み、前記筒部(110)は、前記液体(E)に浸される前記捕獲部(112)を含む。
【0028】
第11の態様では、移動部(130)により磁石(120)を移動させることで、磁石(120)の磁力により筒部(110)の外面に付着した液体(E)中のスラッジを液体(E)の外部まで移動させ、さらに切り離し部(140)により磁石(120)とスラッジとの連動を切り離すことで、スラッジに作用する磁石(120)の磁力が抑制されるので、筒部(110)の外面からスラッジを離間させて回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、冷却装置の構成を示す斜視図である。
図2図2は、冷媒回路の構成を示す概略図である。
図3図3は、コイル部の拡大断面図である。
図4図4は、冷却装置を下方向から見た図である。
図5図5は、捕獲部が設置されることが好ましい領域を示す図である。
図6図6は、タンク内での液体の流れに対する捕獲部の位置を示す図である。
図7図7(a)~図7(c)は、撹拌機により液体中に生じる攪拌流を示す平面図である。
図8図8は、捕獲部を清掃する手順を示す図である。
図9図9は、スラッジ回収装置の断面図である。
図10図10(a)は、収容部の下面を下方向から見た切断端面図である。図10(b)は、収容部の側面を水平方向から見た切断端面図である。
図11図11(a)は、切り離し部を水平方向から見た切断端面図である。図11(b)は、鍔部を下平方向から見た切断端面図である。
図12図12は、スラッジ回収装置の断面図である。
図13図13は、スラッジ回収装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。各実施形態、変形例、及び図中において、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明及びそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
【0031】
-冷却装置ユニット-
図1に示すように、冷却装置ユニット(U)は、工作機械(M)とタンク(T)とを備え、工作機械(M)とタンク(T)とを液体(E)が循環するシステムに適用される。冷却装置ユニット(U)は、タンク(T)内の液体(E)を冷却する。本実施形態の工作機械(M)は、例えば研削盤及びマシニングセンタのような切削加工を行う機械である。液体(E)は、例えば、工作機械の研削液及び主軸潤滑油のような工作液である。
【0032】
タンク(T)には、液体(E)が貯留される。工作機械(M)の運転中、タンク(T)に貯留される液体(E)の液量は略一定に維持される。タンク(T)には、流入口(P1)と流出口(P2)とが設けられる。流入口(P1)及び流出口(P2)には、工作機械(M)に繋がる配管(5)が接続される。配管(5)には、ポンプ(図示省略)が接続される。ポンプは、配管(5)を流れる液体(E)の流れ方向と流量とを調節する。ポンプの運転により、工作機械(M)から流出した液体(E)は、流入口(P1)を介してタンク(T)内に流入する。タンク(T)内の液体(E)は、流出口(P2)を介して工作機械(M)に向かって流出する。
【0033】
冷却装置ユニット(U)は、冷却装置(1)を備える。冷却装置(1)は、タンク(T)に設置される。冷却装置(1)は、タンク(T)の上面を構成する板状の部材(T2)(図3参照)に載置される。タンク(T)から流出した液体(E)は、工作機械(M)によって加熱される。加熱された液体(E)は、タンク(T)内に流入して、冷却装置(1)により冷却される。その結果、タンク(T)内の液体(E)の液温の上昇が抑えられる。以下では、上下方向は、冷却装置(1)がタンク(T)に設置され、タンク(T)内の液体(E)を冷却する動作を行う姿勢となるときの鉛直方向を示す。
【0034】
-冷却装置の構成-
図1及び図2に示すように、冷却装置(1)は、収容部(11)、圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)、蒸発器(15)、送風ファン(16)、撹拌機(17)、及び操作パネル(21)を備える。圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)及び蒸発器(15)は、この順に冷媒回路(10)に接続される。冷媒回路(10)には、冷媒が充填される。冷媒回路(10)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。圧縮機(12)、凝縮器(13)、及び膨張機構(14)は、収容部(11)に収容される。
【0035】
-収容部-
図1及び図3に示すように、収容部(11)は、上下方向に延びる箱状に形成される。収容部(11)は、タンク(T)内の液体(E)の上方に配置される。収容部(11)の下面(11a)には、脚部(18)が取り付けられる。脚部(18)は、収容部(11)の下面(11a)に設けられ、収容部(11)の下面(11a)から下方に突出する。脚部(18)の下端は、タンク(T)内の液体(E)に浸される。脚部(18)の下端は、タンク(T)の底面(T1)から浮いていてもよく、又は、タンク(T)の底面(T1)に載置されていてもよい。収容部(11)の下面(11a)には、4本の脚部(18)が設けられる。タンク(T)の上面を構成する板状の部材(T2)には、収容部(11)の下面(11a)が載置される。当該板状の部材(T2)には冷却装置(1)の収容部(11)が、例えばボルトで固定される。当該板状の部材(T2)には孔が形成されており、当該孔を通じて脚部(18)、コイル部(15a)、攪拌部(17b)及び捕獲部(22)がタンク(T)内の液体(E)に浸される(図3参照)。
【0036】
-圧縮機-
図2に示すように、圧縮機(12)は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮する。圧縮機(12)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(12)は、インバータ回路から電動機へ電力が供給される、可変容量式である。言い換えると、圧縮機(12)は、電動機の運転周波数(回転数)が調節可能に構成される。圧縮機(12)は、インバータ回路を備えていなくてもよい。
【0037】
-凝縮器-
凝縮器(13)は、送風ファン(16)により搬送される空気と、冷媒とを熱交換させる。具体的に、凝縮器(13)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。送風ファン(16)は、凝縮器(13)付近に配置され、凝縮器(13)を通過する空気を搬送する。凝縮器(13)は、水と冷媒を熱交換させる水冷式凝縮器であってもよい。
【0038】
-膨張機構-
膨張機構(14)は、冷媒を減圧する。膨張機構(14)は、例えば開度が調節可能な電動膨張弁を含む。膨張機構(14)は、感温式の膨張弁やキャピラリーチューブなどを含んでいてもよい。
【0039】
-蒸発器-
蒸発器(15)は、タンク(T)の液体(E)と、冷媒とを熱交換させる。具体的に、蒸発器(15)では、冷媒が液体(E)から吸熱して蒸発する。蒸発器(15)は、上下方向に沿ってコイル状に形成されるコイル部(15a)を含む。コイル部(15a)は、収容部(11)の下方に配置され、タンク(T)内の液体(E)に浸漬するように配置される。コイル部(15a)の外側には脚部(18)が配置される。
【0040】
コイル部(15a)には冷媒が流れる。コイル部(15a)により液体(E)と冷媒との熱交換が行われ、液体(E)が冷却される。
【0041】
コイル部(15a)と収容部(11)の下面(11a)との間には隙間(C)が設けられる。例えば、液体(E)の液面(E1)が隙間(C)に位置するように、冷却装置(1)がタンク(T)に設置される。
【0042】
コイル部(15a)は、上下方向に沿って螺旋状に巻回された内側冷媒配管(15a1)と、内側冷媒配管(15a1)の外側に配置されると共に上下方向に沿って螺旋状に巻回された外側冷媒配管(15a2)とを含む。その結果、コイル部(15a)の上下方向長さが長くなるのを抑制しつつ、冷媒配管(15a1,15a2)の表面積を大きくして熱交換効率を向上させている。なお、冷媒配管(15a1,15a2)は、圧縮機(12)の上流側および膨張機構(14)の下流側において(図2参照)1本の冷媒配管を2本に分岐させることによって形成されるものであり、冷媒配管(15a1,15a2)内の冷媒は、それぞれ膨張機構(14)から圧縮機(12)に向かって流れる。また、本実施形態ではコイル部(15a)は、冷媒配管(15a1,15a2)が螺旋状に2重に巻回されているが、冷媒配管が螺旋状に1重に巻回されたものでもよく、冷媒配管が何重に巻回されるかについては特に限定されない。
【0043】
図3図6、及び図8において、コイル部(15a)の冷媒配管(15a1,15a2)は、一部分(図面の手前側部分)を上下方向に切断した断面図で表される。実際のコイル部(15a)の冷媒配管(15a1,15a2)は、図1に示すように、螺旋状に延びている。
【0044】
-撹拌機-
撹拌機(17)は、タンク(T)内の液体(E)に浸漬するように配置される。撹拌機(17)は、タンク(T)内の液体(E)を撹拌することで、タンク(T)内の液体(E)に流れ(攪拌流)を生じさせる。撹拌機(17)はコイル部(15a)の内側に配置される。撹拌機(17)をコイル部(15a)の近傍に配置することで、冷媒と液体(E)との熱交換が促進される。撹拌機(17)は、収容部(11)の下面(11a)から下方に向かって延びる軸部(17a)と、軸部(17a)に固定された攪拌部(17b)とを有する。攪拌部(17b)は、羽状の部材である。撹拌機(17)(軸部(17a)及び攪拌部(17b))は、収容部(11)内に設けられる攪拌モータの動力により回転する。撹拌機(17)が回転されることで、タンク(T)内の液体(E)が攪拌される。
【0045】
-操作パネル-
図1に示すように、冷却装置ユニット(U)は、操作パネル(21)を有する。操作パネル(21)は、ユーザの操作により、所定の運転指示を受け付ける。操作パネル(21)は、液温を表示するディスプレイ(図示省略)等を有する。操作パネル(21)は、例えば収容部(11)の正面に配置される。
【0046】
-運転動作-
図1図3に示すように、圧縮機(12)が圧縮した冷媒は、凝縮器(13)を流れる。凝縮器(13)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。凝縮器(13)が水冷式凝縮器である場合、冷媒が水へ放熱して凝縮する。凝縮器(13)で放熱した冷媒は、膨張機構(14)で減圧された後、蒸発器(15)を流れる。蒸発器(15)(コイル部(15a))では、冷媒が液体(E)から吸熱して蒸発する。蒸発器(15)により冷却された液体(E)は撹拌機(17)により撹拌されるため、タンク(T)内の液温上昇が抑えられる。蒸発器(15)で蒸発した冷媒は、圧縮機(12)で吸入されて再び圧縮される。
【0047】
-捕獲部-
図3に示すように、冷却装置(1)は、捕獲部(22)を備える。捕獲部(22)は、液体(E)中のスラッジを捕獲する。スラッジは、例えば金属粉、研削屑(切り粉)、又は研磨剤である。本実施形態では、スラッジは、磁性を有する物質である。
【0048】
捕獲部(22)は、管部(22a)と、磁石(22b)とを含む。管部(22a)は、中空の部材である。管部(22a)は、例えば、ステンレス鋼のような耐食性を有する素材(SUS304等)により形成される。管部(22a)は、上下方向に沿って延びる棒状の形状を有する。管部(22a)は、上下方向に対して垂直な断面の外形が円形状を有する。磁石(22b)は、永久磁石である。磁石(22b)は、上下方向に沿って延びる棒状の部材であり、管部(22a)の内部に配置される。耐食性を有する管部(22a)の内部に磁石(22b)が配置されることで、磁石(22b)の表面に錆びが生じることを抑制する。磁石(22b)の磁力により管部(22a)の外面に液体(E)中のスラッジが付着する。
【0049】
管部(22a)における上下方向に対して垂直な断面の外形を円形状とすることで、磁石(22b)の中心から管部(22a)の外面までの距離にバラつきが生じることを抑制し、管部(22a)の外面に対して磁石(22b)の磁力を偏りが生じないように効果的に作用させることができる。その結果、捕獲部(22)の外面にスラッジを効果的に付着させることができる。また、管部(22a)における上下方向に対して垂直な断面の外形を円形状とすることで、管部(22a)の外面に付着したスラッジの拭き取りを容易に行うことができる。
【0050】
捕獲部(22)は、コイル部(15a)とは別体であり、収容部(11)の下方に配置される。捕獲部(22)は、コイル部(15a)から離間した場所に位置する。捕獲部(22)は、収容部(11)から下方に突出する。捕獲部(22)は、撹拌機(17)による攪拌流が生じる領域内に配置される。攪拌流は、撹拌機(17)が回転することによって発生する液体(E)の流れを示す。
【0051】
捕獲部(22)は、収容部(11)の下面(11a)に着脱可能に取り付けられる。管部(22a)の上端にはネジ(22a1)が形成される。管部(22a)のネジ(22a1)は、例えば、タップ加工により形成される。収容部(11)の下面(11a)にはネジ(11a1)が形成される。収容部(11)のネジ(11a1)は、例えば、収容部(11)の下面(11a)に植え込まれたボルトに形成されるネジである。収容部(11)のネジ(11a1)に管部(22a)のネジ(22a1)が締め付けられることで、収容部(11)に捕獲部(22)が取り付けられる。
【0052】
捕獲部(22)は、コイル部(15a)の内側に配置される。捕獲部(22)(磁石(22b))の下端は、コイル部(15a)の下端よりも下方に位置し、タンク(T)の底面(T1)よりも上方に位置する。
【0053】
捕獲部(22)の外面の磁束密度は、微細な鉄粉等のスラッジを捕獲部(22)の外面に効果的に付着させる観点から、0.8T以上であることが好ましい。また、捕獲部(22)の外面の磁束密度は、捕獲部(22)のメンテナンス時に、捕獲部(22)の外面の磁束密度が大きすぎると、捕獲部(22)の外面に付着したスラッジを捕獲部(22)の外面から引きはがして除去することが困難となる。そこで、捕獲部(22)の外面の磁束密度は、捕獲部(22)のメンテナンス時に、捕獲部(22)の外面に付着したスラッジを捕獲部(22)の外面から容易に除去できるようにする観点から、1.2T以下であることが好ましい。また、捕獲部(22)の外面において0.8T以上、1.2T以下の磁束密度を効果的に確保するために、捕獲部(22)の直径(管部(22a)の直径)は、15mm以上、35mm以下であることが好ましい。
【0054】
-ヒータ-
図4は、冷却装置(1)を下方向から見た図である。図4に示すように、冷却装置(1)は、ヒータ(23)を備えていてもよい。ヒータ(23)は、収容部(11)の下面(11a)に取り付けられ、タンク(T)内の液体(E)に浸漬するように下方に突出する。ヒータ(23)は、コイル部(15a)の内側に配置される。ヒータ(23)は、例えば真冬等にタンク(T)内の液体(E)が冷えすぎた場合、液体(E)の温度を所定の温度まで上昇させるために用いられる。
【0055】
-捕獲部の位置の第1例-
捕獲部(22)の中心から突起部(D)までの水平方向の距離が、R1mmよりも大きい。R1は、捕獲部(22)の半径であり、例えば、7.5mm以上、17.5mm以下の値である(7.5mm≦R1≦17.5mm)。前記突起部(D)は、収容部(11)の下面(11a)に締め付けられるビス等の部材、及びバーリング加工等により形成される凸部のような収容部(11)の下面(11a)から突出する部分である。収容部(11)の下面(11a)に複数の突起部(D)が存在する場合、捕獲部(22)の中心から複数の突起部(D)の各々までの水平方向の距離が、R1mmよりも大きくなる。このように構成することで、突起部(D)に干渉されることなく、捕獲部(22)を設置することができる。
【0056】
-捕獲部の位置の第2例-
以下では、コイル部(15a)、撹拌機(17)、及びヒータ(23)のような収容部(11)の下方に設置される捕獲部(22)以外の部材を総称して、周囲部材と記載することがある。
【0057】
捕獲部(22)の中心から周囲部材までの水平方向の距離が、R1mmとR2mmとの和よりも大きいことが好ましい。R2は、捕獲部(22)の外面に付着するスラッジの厚みを考慮して設定される値であり、例えば、捕獲部(22)の外面に付着すると想定されるスラッジの厚みの最大値よりも僅かに大きな値に設定される。R2は、例えば、20mm以上、30mm以下の値である(20mm≦R2≦30mm)。この場合、R1mmとR2mmとの和は、27.5mm以上、47.5mm以下の値になる(27.5mm≦R1+R2≦47.5mm)。
【0058】
このように構成することで、周囲部材にスラッジが付着することを抑制できる。その結果、例えば、コイル部(15a)にスラッジが付着して冷媒と液体(E)との熱交換が阻害されることで、液体(E)の温度が上昇する、冷却装置(1)の消費電力が上昇する、コイル部(15a)から冷媒液が戻ることで圧縮機(12)に不具合が生じる等の問題が発生することを抑制できる。
【0059】
本実施形態では、例えば、上記捕獲部の位置の第1例及び捕獲部の位置の第2例を考慮して、図5に示す領域(α)内に捕獲部(22)が設置されてもよい。領域(α)は、上記捕獲部の位置の第1例に示す条件(捕獲部(22)の中心から突起部(D)までの水平方向の距離が、R1mmよりも大きい)、及び上記捕獲部の位置の第2例に示す条件(捕獲部(22)の中心から周囲部材までの水平方向の距離が、R1mmとR2mmとの和よりも大きい)を満たすような領域である。
【0060】
-捕獲部の位置の第3例-
図6に示すように、捕獲部(22)は、収容部(11)の下方において、主流方向(Y)の上流に配置されてもよい。主流方向(Y)は、タンク(T)の流入口(P1)側から流出口(P2)側に向かう方向であり、タンク(T)内に生じる液体(E)の主流を示す。これにより、タンク(T)内において液体(E)が主流方向(Y)に沿って流れて収容部(11)の下方へ送られるとき、可及的に早いタイミングで捕獲部(22)により液体(E)中のスラッジを吸着することができる。その結果、コイル部(15a)の外面にスラッジが付着することを効果的に抑制することができる。
【0061】
-捕獲部の位置の第4例-
図7(a)に示すように、撹拌機(17)により液体(E)中に生じる攪拌流(支流)が旋回流である場合、軸部(17a)の軸回り方向に沿って液体(E)が流れ、撹拌機(17)の周辺において軸部(17a)の周囲において液体(E)の液面(E1)が低下する。この場合、捕獲部(22)は、撹拌機(17)から離間した場所に配置されることが好ましい。
【0062】
-捕獲部の位置の第5例-
図7(b)に示すように、撹拌機(17)により液体(E)中に生じる攪拌流が循環流である場合、撹拌機(17)の周囲において軸部(17a)に対して平行な方向(上下方向)に沿って液体(E)が流れる。この場合、捕獲部(22)は、撹拌機(17)に近接した場所に配置されることが好ましい。
【0063】
-捕獲部の位置の第6例-
図7(c)に示すように、撹拌機(17)により液体(E)中に生じる攪拌流が放射流である場合、撹拌機(17)の軸部(17a)に対して垂直な方向(水平方向)に沿いつつ、軸部(17a)から離間する方向に液体(E)が流れる。この場合、捕獲部(22)は、撹拌機(17)に近接した場所に配置されることが好ましい。
【0064】
-捕獲部を清掃する手順-
図1及び図3に示すように、冷却装置(1)がタンク(T)の底面(T1)に載置されることで、コイル部(15a)及び捕獲部(22)が液体(E)に浸漬される。磁石(22b)の磁力により捕獲部(22)の外面に液体(E)中のスラッジが付着する。その結果、捕獲部(22)によりスラッジが捕獲される。
【0065】
図8に示すように、次に、冷却装置(1)がタンク(T)から引き上げられ、コイル部(15a)及び捕獲部(22)が液体(E)の外部に出される。タンク(T)から引き上げられた冷却装置(1)は、床面(V)上に載置される。次に、作業者は、コイル部(15a)と収容部(11)の下面(11a)との間の隙間(C)に手を入れて、当該手で捕獲部(22)を把持し、捕獲部(22)を回転させてネジ(22a1)を緩めることで、収容部(11)から捕獲部(22)を取り外す(図8の矢印H1参照)。次に、作業者は、隙間(C)を通じてコイル部(15a)の内側から捕獲部(22)を取り出す(図8の矢印H2及び矢印H3参照)。次に、作業者は、捕獲部(22)の外面を拭き取ることで捕獲部(22)の外面からスラッジを除去する等して捕獲部(22)を清掃する。
【0066】
その後、作業者は、隙間(C)を通じてコイル部(15a)の内側に捕獲部(22)を戻す。次に、作業者は、捕獲部(22)のネジ(22a1)を収容部(11)のネジ(11a1)に突き合わして、捕獲部(22)を回転させる。その結果、収容部(11)のネジ(11a1)に捕獲部(22)のネジ(22a1)が締め付けられ、収容部(11)に捕獲部(22)が取り付けられる。
【0067】
図1及び図3に示すように、次に、冷却装置(1)が元の位置に戻され、コイル部(15a)及び捕獲部(22)が液体(E)に浸漬されることで、液体(E)中のスラッジの回収作業が再開される。
【0068】
-効果-
以上のように、冷却装置(1)は、圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)、及び蒸発器(15)を接続した冷媒回路(10)と、圧縮機(12)、凝縮器(13)及び膨張機構(14)を収容する収容部(11)と、液体(E)中のスラッジを捕獲する捕獲部(22,112)とを備える。蒸発器(15)は、前記収容部(11)の下方に配置されるコイル部(15a)を含む。捕獲部(22,112)は、収容部(11)の下方に配置される。このように、捕獲部(22,112)及びコイル部(15a)の両方を収容部(11)の下方に配置することで、コイル部(15a)の周辺に捕獲部(22,112)が配置される。その結果、コイル部(15a)の周辺において、捕獲部(22,112)によりスラッジを捕獲することで、コイル部(15a)にスラッジが付着することを効果的に抑制できる。その結果、コイル部(15a)の内周部等の手が届きにくい場所に付着したスラッジを除去するような煩雑な作業の実施を抑制できるので、冷却装置(1)のメンテナンス性を向上させることができる。
【0069】
捕獲部(22)の表面に付着したスラッジを拭き取ることで捕獲部(22)を再利用でき、さらに、捕獲部(22)として磁石(22b)(永久磁石)を用いることで、捕獲部(22)の経年劣化を抑制できる。その結果、捕獲部(22)の耐用年数を効果的に向上させることができる。
【0070】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(例えば、下記(1)~)。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0071】
(1)収容部(11)の下面(11a)に捕獲部(22)の取り付け可能箇所を複数設け、捕獲部(22)の取り付け箇所を複数の取り付け可能箇所のうちから選択できるように構成してもよい。すなわち、収容部(11)の下面(11a)に複数のネジ(11a1)を形成し、複数のネジ(11a1)のうちから捕獲部(22)を締め付けるネジ(11a1)を選択できるように構成する。これにより、捕獲部(22)が所望の場所に設置されるように、捕獲部(22)の取り付け箇所を選択することができる。所望の場所は、例えば、捕獲部(22)の中心から突起部(D)までの水平方向の距離がR1mmよりも大きくなる場所(図4参照)、捕獲部(22)の中心から周囲部材までの水平方向の距離が、R1mmとR2mmとの和よりも大きくなる場所(図4参照)、収容部(11)の下方における主流方向(Y)の上流に位置する場所(図6参照)等である。
【0072】
(2)本実施形態では、捕獲部(22)は収容部(11)の下面(11a)にネジ(11a1,22a1)により着脱可能に取り付けられる(図3参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、捕獲部(22)における収容部(11)との取り付け箇所、及び/又は収容部(11)の下面(11a)に磁石を設け、捕獲部(22)が収容部(11)の下面(11a)に当該磁石の磁力により着脱可能に取り付けられてもよい。
【0073】
(3)本実施形態では、捕獲部(22)は収容部(11)の下面(11a)に着脱可能に取り付けられる(図3参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。捕獲部(22)は脚部(18)に、例えば、ネジ又は磁石により着脱可能に取り付けられてもよい。
【0074】
(4)捕獲部(22)の第1変形例について説明する。本実施形態では、捕獲部(22)は、磁石(22b)を含み、磁石(22b)の磁力で捕獲部(22)の外面にスラッジを付着させることで、スラッジを捕獲する(図3参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。捕獲部(22)は、フィルタを含み、タンク(T)内の液体(E)を当該フィルタでこすことで、液体(E)中のスラッジを捕獲するように構成してもよい。この場合、スラッジは、フィルタに捕獲される程度の所定の大きさを有する粒子であればよく、磁性を有していなくてもよい。
【0075】
(5)捕獲部(22)の第2変形例である捕獲部(112)について説明する。
【0076】
冷却装置(1)は、スラッジ回収装置(100)を備える。図9に示すように、スラッジ回収装置(100)は、筒部(110)と、磁石(120)と、移動部(130)と、切り離し部(140)と、外筒部(150)と、鍔部(160)とを備える。図9図12及び図13において、収容部(11)の下方に設けられるコイル部(15a)と撹拌機(17)の図示は省略している。
【0077】
筒部(110)は、中空の部材である。筒部(110)は、非磁性体である。筒部(110)の一端部(110a)には、筒部(110)の内部と外部とに連通する開口(111)が形成される。筒部(110)の他端部(110b)は、筒部(110)の内部と外部とに連通するように開放されていてもよく、又は閉塞されていてもよい。筒部(110)の他端部(110b)側はタンク(T)内の液体(E)中に配置され、筒部(110)の一端部(110a)側は液体(E)の外部に配置される。
【0078】
以下では、筒部(110)の延びる方向(X)を、筒方向(X)と記載することがある。筒方向(X)において、一端部(110a)へ向かう方向を一方向側(X1)と記載し、他端部(110b)へ向かう方向を他方向側(X2)と記載することがある。
【0079】
図9図10(a)及び図10(b)に示すように、収容部(11)の下面(11a)と収容部(11)の側面(11b)とには、収容部(11)の内部と外部とを連通する孔(11a2,11b1)が形成される。筒部(110)は、孔(11a2,11b1)を通じて収容部(11)に挿通される。
【0080】
筒部(110)は、捕獲部(112)と、液外部(113)と、挿通部(114)とを含む。筒部(110)は、挿通部(114)を収容部(11)内に配置し、捕獲部(112)と液外部(113)とを収容部(11)に外部に突出させた形状を有する。
【0081】
捕獲部(112)は、筒部(110)のうち他端部(110b)寄りの部分であり、タンク(T)内の液体(E)に浸される。捕獲部(112)は、コイル部(15a)とは別体であり、収容部(11)の下方に配置される。捕獲部(112)は、コイル部(15a)から離間した場所に位置する。捕獲部(112)は、コイル部(15a)(図3参照)の内側に配置される。
【0082】
液外部(113)は、筒部(110)のうち一端部(110a)寄りの部分であり、液体(E)の外部(雰囲気中)に存在する。液外部(113)は、収容部(11)の外部に配置され、収容部(11)から突出するように設けられる。
【0083】
挿通部(114)は、筒部(110)のうち、捕獲部(112)と液外部(113)との間に位置し、収容部(11)内に配置される部分である。挿通部(114)は、略直角に屈曲又は湾曲した形状を有する。
【0084】
液外部(113)は、水平部(113a)を含む。水平部(113a)は、液外部(113)のうち水平方向に沿って延びる部分である。
【0085】
磁石(120)は、永久磁石である。磁石(120)は、球形状を有する。筒部(110)内には、複数の磁石(120)が筒方向(X)に沿って並ぶように設けられる。磁石(120)の形状は特に限定されない。筒部(110)内に設けられる磁石(120)の個数については特に限定されず、複数であってもよく、又は単数であってもよい。
【0086】
移動部(130)は、筒部(110)内で磁石(120)を筒方向(X)に沿って移動させるための部材である。移動部(130)は、ひも状の部材である。移動部(130)は、例えば、ナイロンにより形成される。移動部(130)の素材は特に限定されない。移動部(130)の一端(131)は、筒部(110)内において磁石(120)に連結される。移動部(130)の他端(132)は、筒部(110)の開口(111)を通じて筒部(110)の外部まで延びている。作業者等は、移動部(130)の他端(132)を把持して、移動部(130)を引っ張ることが可能である。
【0087】
図9及び図11(a)に示すように、切り離し部(140)は、水平部(113a)の外面に設けられ、水平部(113a)の外面から外側に突出する形状を有する。切り離し部(140)は、水平部(113a)の周方向に沿うように環状に形成され、水平部(113a)の外面から筒方向(X)に対して垂直な方向に放射状に突出する板状の部材である。
【0088】
図9図10(a)、図10(b)及び図11(b)に示すように、外筒部(150)は、両端に開口(151,152)を有する筒状の部材である。外筒部(150)には、開口(151,152)を通じて筒部(110)が挿通する。外筒部(150)と筒部(110)とは、二重管を構成する。外筒部(150)の一端の開口(151)は、収容部(11)の下面(11a)の下方に位置する。外筒部(150)の他端の開口(152)は、収容部(11)の側面(11b)の孔(11b1)に連通する。
【0089】
以下では、外筒部(150)と筒部(110)との間の空間を、通路(170)と記載することがある。
【0090】
外筒部(150)は、収容部(11)の下面(11a)の孔(11a2)を通じて収容部(11)内に挿入される。外筒部(150)は、第1外筒部分(153)と、第2外筒部分(154)とを含む。第1外筒部分(153)は、収容部(11)内に位置し、筒部(110)の挿通部(114)を覆う。第2外筒部分(154)は、収容部(11)の外部に位置し、筒部(110)のうち挿通部(114)から捕獲部(112)側へ延びる部分を覆う。
【0091】
図9及び図11(b)に示すように、鍔部(160)は、第2外筒部分(154)の外面に設けられ、第2外筒部分(154)の外面から外側に突出する形状を有する。鍔部(160)は、第2外筒部分(154)の周方向に沿うように環状に形成され、第2外筒部分(154)の外面から筒方向(X)に対して垂直な方向に放射状に突出する板状の部材である。
【0092】
スラッジ回収装置(100)を用いて液体(E)中のスラッジを回収する手順について説明する。
【0093】
図9に示すように、筒部(110)の捕獲部(112)が液体(E)に浸されると共にコイル部(15a)の内側に配置され、液外部(113)が液体(E)の外部の雰囲気中に配置され、筒部(110)のうち捕獲部(112)の内部に磁石(120)が配置されると、磁石(120)の磁力により捕獲部(112)の外面に液体(E)中のスラッジ(G)が付着する。スラッジ(G)は捕獲部(112)の外面のうち磁石(120)の周囲に位置する箇所に付着する。その結果、捕獲部(112)によりスラッジ(G)が捕獲される。
【0094】
移動部(130)の他端(132)が把持され、移動部(130)が引っ張られると、筒部(110)内の磁石(120)が筒方向(X)の一方向側(X1)へ移動する。これに伴って、磁石(120)の磁力により筒部(110)の外面に付着するスラッジ(G)も筒方向(X)の一方向側(X1)へ移動する。
【0095】
図12に示すように、移動部(130)がさらに引っ張られ、筒部(110)内において筒部(110)と外筒部(150)とが二重管を構成している場所まで磁石が移動する。これにより、磁石(120)の磁力により捕獲部(112)の外面に付着していたスラッジ(G)が外筒部(150)の開口(151)を通じて通路(170)へ進入し、通路(170)内を移動する。このとき、通路(170)に入りきらなかったスラッジ(G)が鍔部(160)に閊えることで、収容部(11)側へ移動して収容部(11)の下面(11a)に付着することを抑制できる。また、収容部(11)内において、スラッジ(G)が外筒部(150)で覆われた通路(170)を移動することで、スラッジ(G)が収容部(11)内に漏れ落ちて収容部(11)内に残留することを抑制できる。
【0096】
移動部(130)がさらに引っ張られ、筒部(110)内において液外部(113)が位置する場所まで磁石(120)が移動する。これにより、通路(170)内を移動していたスラッジ(G)も、外筒部(150)の開口(152)を通じて通路(170)から出てき、液外部(113)の外面に付着した状態になる。
【0097】
図13に示すように、移動部(130)がさらに引っ張られると、筒方向(X)において、磁石(120)の磁力により筒部(110)と共に移動していたスラッジ(G)が切り離し部(140)に閊えて停止するのに対し、磁石(120)が切り離し部(140)を通過する。これにより、移動部(130)により移動する磁石(120)と、筒部(110)の外面に付着したスラッジ(G)との連動が切り離される。その結果、スラッジ(G)から磁石(120)が離間するので、スラッジ(G)に対して作用する磁石(120)の磁力が抑制される。
【0098】
スラッジ(G)に対して作用する磁石(120)の磁力が抑制されることで、スラッジ(G)が切り離し部(140)から自重で落下し、容器(Z)内へ収容される。その結果、液体(E)中のスラッジ(G)を回収でき、液体(E)中のスラッジ(G)の増加を抑制できる。
【0099】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上に説明したように、本開示は、冷却装置について有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 冷却装置
10 冷媒回路
11 収容部
12 圧縮機
13 凝縮器
14 膨張機構
15 蒸発器
15a コイル部
22 捕獲部
112 捕獲部
E 液体
【要約】
【課題】メンテナンス性を向上させることができるようにする。
【解決手段】冷却装置は、圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張機構(14)、及び蒸発器(15)を接続した冷媒回路(10)と、前記圧縮機(12)、前記凝縮器(13)及び前記膨張機構(14)を収容する収容部(11)と、液体(E)中のスラッジを捕獲する捕獲部(22,112)とを備え、前記蒸発器(15)は、前記収容部(11)の下方に配置されるコイル部(15a)を含み、前記捕獲部(22,112)は、前記収容部(11)の下方に配置される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13