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特許7602197油脂組成物、複合ベーカリー生地、複合ベーカリー製品及び複合ベーカリー製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】油脂組成物、複合ベーカリー生地、複合ベーカリー製品及び複合ベーカリー製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20241211BHJP
   A21D 13/13 20170101ALI20241211BHJP
   A21D 2/16 20060101ALI20241211BHJP
   A21D 2/26 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A23D9/00 502
A21D13/13
A21D2/16
A21D2/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021034793
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022135167
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神並 美華
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/152099(WO,A1)
【文献】特開2020-048465(JP,A)
【文献】特開2020-058318(JP,A)
【文献】特開2017-143747(JP,A)
【文献】特許第7380002(JP,B2)
【文献】特開2017-176122(JP,A)
【文献】新規製パン用酵素「センシア フォーム(Sensea Foam)」の効果と機能,月刊フードケミカル 2019-1,2019年,pp.72-76
【文献】特集1 各社の冷凍パン生地向けの添加物・素材,月刊フードケミカル 2019-10,2019年,pp.36-41
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A21D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上掛け生地とパン生地とからなる複合ベーカリー生地のパン生地に使用する油脂組成物であって、
(A)食用油脂中に、(B)ブランチングエンザイムを含有し、
前記(A)食用油脂は、25℃における固体脂含量が4%以上40%以下であり、
前記(B)ブランチングエンザイムの含有量は、前記(A)食用油脂100質量部に対して活性量25000u/g基準で、0.03~0.5質量部である、油脂組成物。
【請求項2】
(C)α-アミラーゼを含有する、請求項1記載の油脂組成物。
【請求項3】
(B)ブランチングエンザイムの活性量に対する(C)α-アミラーゼの活性量の比(C/B)は、0.006~4である、請求項2に記載の油脂組成物。
【請求項4】
穀粉及び請求項1~3のいずれかに記載の油脂組成物を含有する複合ベーカリー生地を焼成してなる複合ベーカリー製品。
【請求項5】
穀粉に請求項1~3のいずれかに記載の油脂組成物を含有する複合ベーカリー生地を焼成することを特徴とする、複合ベーカリー製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上掛け生地(以下、上生地)と、パン生地(以下、内生地)とからなる複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物に関する。すなわち、前記の油脂組成物を複合ベーカリー生地の内生地に使用することで製造時の作業性が良好であり、歩留まりが向上し、さらに焼成された複合ベーカリー製品の腰もちが向上し、複合ベーカリー製品の焼成された内生地(以下、焼成内生地)のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成された上生地(以下、焼成上生地)への水分移行を抑制する油脂組成物に関する。また本発明は、前記の油脂組成物を含有する複合ベーカリー生地、複合ベーカリー製品及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合ベーカリー製品とは、食パン生地や菓子パン生地等のイーストを配合した内生地と、イーストを配合しないクッキー生地やタルト生地等の上生地からなり、上生地を内生地にのせる、あるいは包んで焼成したパンのことである。メロンパンはその代表的なものである。複合ベーカリー製品の焼成上生地はサクサクとした食感であり、焼成内生地はソフトな食感であるため、異なる食感を楽しむことができる。
しかし複合ベーカリー製品における課題として、上生地を内生地にのせることにより、その重みで複合ベーカリー製品の腰もちが低下する課題が挙げられる。また複合ベーカリー製品の焼成上生地と焼成内生地の水分含量や糖度の違いにより、経時的に複合ベーカリー製品の焼成内生地から焼成上生地に水分が移行してしまい、焼成上生地のサクサクとした食感が失われ、焼成上生地にべたつきが生じる問題も挙げられる。さらに複合ベーカリー製品が袋に入った状態において、焼成上生地がべたつくことにより袋に貼り付き、袋から出す際に焼成上生地がはがれてしまい、外観が損なわれる問題もある。
また経時的に複合ベーカリー製品の焼成内生地から焼成上生地に水分が移行することにより、焼成内生地のソフトさが失われる問題も挙げられる。また複合ベーカリー製品の焼成内生地をソフトにするために、内生地配合の調整やソフト化効果のある素材を添加する方法があるが、それにより内生地にべたつきが生じるため、製造時に内生地が容器や機器に付着し、作業性や歩留まりが低下する問題もある。
このように、複合ベーカリー生地の作業性が良好で、歩留まりが向上し、さらに焼成後の複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成上生地への水分移行が抑制された複合ベーカリー製品の提供が望まれている。
【0003】
複合ベーカリー製品の焼成内生地から焼成上生地への経時的な水分移行を抑制し、焼成内生地をソフトな食感に保つことができる方法として、上生地と内生地の間に小片状のキャラメルを配置する提案はあるが、この方法では、複合ベーカリー製品の腰もちを向上することはできない(特許文献1)。
複合ベーカリー製品のボリューム(腰もち)を向上する方法として特定粒子径の増粘多糖類を含有する品質改良材を内生地に使用する提案があるが、この方法では複合ベーカリー製品の焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制することはできない(特許文献2)。
複合ベーカリー製品の焼成上生地のサクサク感を維持させる方法として、内生地の調整において油脂を小麦粉量に対し、15~50重量%添加する提案があるが、この方法では複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさを向上することはできず、また油脂量が多いことにより、内生地にべたつきが生じるため、製造時に内生地が容器や機器に付着し、作業性や歩留まりが低下する問題もある(特許文献3)。
上生地に使用する油脂配合率や固体脂含量を規定することで、焼成上生地をカリカリとした食感にする提案があるが、この方法では複合ベーカリー製品の焼成内生地から焼成上生地への水分移行が抑制されず、また上生地の配合が制限されてしまう(特許文献4)。
以上のように、複合ベーカリー製品において内生地を改質することで、製造時の作業性が良好であり、歩留まりが向上し、さらに複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成上生地への水分移行が抑制される方法はまだ見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-187274号公報
【文献】特開2002-291396号公報
【文献】特開2002-306055号公報
【文献】特開2006-149220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上生地と内生地とからなる複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物に関する。すなわち、前記の油脂組成物を複合ベーカリー生地の内生地に使用することで製造時の作業性が良好であり、歩留まりが向上し、さらに焼成された複合ベーカリー製品の腰もちが向上し、複合ベーカリー製品の焼成内生地のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制する油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、食用油脂中に、ブランチングエンザイムを含有する油脂組成物を、複合ベーカリー生地の内生地に配合することにより、製造時の作業性が良好であり、歩留まりが向上し、さらに焼成された複合ベーカリー製品の腰もちが向上し、複合ベーカリー製品の焼成内生地のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制することができることを見出して、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]である。
[1]
上掛け生地とパン生地とからなる複合ベーカリー生地のパン生地に使用する油脂組成物であって、
(A)食用油脂中に、(B)ブランチングエンザイムを含有する、油脂組成物。
[2]
(C)α-アミラーゼを含有する、[1]記載の油脂組成物。
[3]
(B)ブランチングエンザイムの活性量に対する(C)α-アミラーゼの活性量の比(C/B)は、0.006~4である、[2]に記載の油脂組成物。
[4]
穀粉及び[1]~[3]のいずれかに記載の油脂組成物を含有する複合ベーカリー生地を焼成してなる複合ベーカリー製品。
[5]
穀粉に[1]~[3]のいずれかに記載の油脂組成物を含有する複合ベーカリー生地を焼成することを特徴とする、複合ベーカリー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造時の作業性が良好であり、歩留まりが向上し、さらに焼成された複合ベーカリー製品の腰もちが向上し、複合ベーカリー製品の焼成内生地のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制することができる複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物〕
本発明の複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物は、(A)食用油脂、(B)ブランチングエンザイムを含有することを特徴とし、(C)α-アミラーゼを含有してもよい。なお、本発明の油脂組成物はショートニング、油中水型乳化物、水中油型乳化物いずれの形態においてもその効果を発揮することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
((A)食用油脂)
(A)食用油脂としては、食用に適する油脂が使用でき、具体的には、牛脂、豚脂、魚油、パーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、コーン油等の天然の動植物油脂、及びこれらの硬化油、極度硬化油、エステル交換油等が挙げられ、これらを目的に応じて適宜選択され、1種類又は2種類以上組み合わせて用いられる。(A)食用油脂に(B)ブランチングエンザイムを含有させることで、内生地中に(B)ブランチングエンザイムを均一に分散させることができ、作業性および歩留まり向上効果、複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさ向上、焼成内生地から焼成上生地への水分移行の抑制効果を十分に発揮させることができる。反対に、(B)ブランチングエンザイムを(A)食用油脂に含有させず、内生地に単体で穀粉添加した場合は、本発明の効果を得ることは期待できない。
また(C)α-アミラーゼにおいても、内生地に単体で添加せずに(A)食用油脂に含有させることで効果を発揮することができる。
【0011】
(A)食用油脂は、複合ベーカリー製品製造時に内生地中のグルテン形成を促し、複合ベーカリー製品における焼成内生地の内相を細かなものにする。食用油脂は、グルテンに沿って伸びることにより内生地中のグルテン形成を促進する。よって、内生地中のグルテン形成を促すためには、(A)食用油脂が可塑性を有し、グルテンに沿って伸びるという性質を備えることが望ましい。また、(B)ブランチングエンザイムおよび(C)α-アミラーゼが(A)食用油脂中に沈殿せず、分散状態を維持することが望ましい。これらの観点から、(A)食用油脂の25℃におけるSFC(固体脂含量)は4%以上であることが好ましく、9%以上であることがより好ましい。また、内生地中への混合性の観点から、25℃におけるSFCの上限は、40%以下であることが好ましい。
【0012】
なお、固体脂含量の測定は、基準油脂分析試験法「2.2.9 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定する。測定装置は、「SFC-2000R」(アステック株式会社製)を使用し、本発明における固体脂含量は、この測定装置を用いて測定する。
【0013】
((B)ブランチングエンザイム)
本発明において使用される(B)ブランチングエンザイムは、1,4-α-D-グルカン鎖の一部を受容体1,4-α-Dグルカンの6-OH基に転移させ、アミロペクチンまたはグリコーゲンのようなα-1,6結合の枝分かれ構造を生成する酵素(酵素番号:EC2.4.1.18)である。至適温度は好ましくは60~75℃、より好ましくは65~75℃である。至適pHは好ましくは5~7であり、より好ましくは5.5~7である。内生地中の澱粉構造が変化することにより、内生地の付着性が低減し作業性及び歩留まりが向上する。また澱粉の構造変化により、強固な構造になるため、複合ベーカリー製品の腰もちが向上する。さらに澱粉の枝分かれ構造が変化することで、焼成内生地の水分を保持する効果が高まり、複合ベーカリー製品の焼成内生地のソフトさが向上し、加えて焼成内生地から焼成上生地への水分移行が抑制される効果が得られる。(A)食用油脂に含有させず、(B)ブランチングエンザイムを単体で内生地に添加した場合、(B)ブランチングエンザイムがすばやく均一に内生地中に分散することができず、均一な澱粉構造の変化を促すことができない。そのため、内生地の付着性低減効果が得られず、本発明の効果である製造時の作業性及び歩留まり向上が得られない。また複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさ向上効果、焼成内生地から焼成上生地への水分移行の抑制効果も得られない。
【0014】
澱粉を分解する作用があるα-アミラーゼ等の酵素は、使用量によっては内生地の製造時における作業性や歩留まりを低下するおそれがあるが、(B)ブランチングエンザイムの使用は、他酵素の使用の利点を活かしつつ、作業性や歩留まりを向上するという効果がある。
【0015】
(B)ブランチングエンザイムの含有量は、(A)食用油脂100質量部に対して活性量25000u/g基準で好ましくは0.01~3質量部(食用油脂100gに対して250~75000u)であり、より好ましくは0.03~0.5質量部(食用油脂100gに対して750~12500u)である。この範囲において(B)ブランチングエンザイムの効果がより一層発揮される。また、(B)ブランチングエンザイムが(A)食用油脂に配合され内生地に投入された後、内生地へなじみやすく、効果を発揮し易いという点から液状ブランチングエンザイムがより好ましい。(B)ブランチングエンザイムは、市販されており、例えばナガセケムテックスの「デナチームBBR LIGHT」や、ノボザイムジャパンの「SenseaForm」等が例示できる。
【0016】
(B)ブランチングエンザイムの酵素活性は以下のように定義される。0.08Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた0.1%アミロースB(ナカライテスク株式会社製)50μlに、0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた酵素溶液50μlを加え、50℃、30分間反応後にヨウ素試薬(0.26gIと2.6gKIを10mlミリQ水にて溶解した液0.5mlと1N HCl 0.5mlを混ぜ、130mlに希釈した液)2mlを添加し、660nm吸光度の変化を測定する。本反応系で反応1分間に660nm吸光度を1%低下させる酵素量を1u(ユニット)と定義する。
【0017】
((C)α-アミラーゼ)
本発明において使用される(C)α-アミラーゼは、至適温度が45~80℃であることが好ましい。α-アミラーゼとは、α-1,4-グルコシド結合を加水分解することによってデキストリンを生成する酵素であり、Bacillus等の細菌由来、Malt等の穀物由来、及びAspergillus等のカビ由来のいずれも用いることができる。α-アミラーゼは、内生地に含まれる澱粉のα-1,4-グルコシド結合を加水分解し、焼成中の内生地の粘度が適度に低下する。これにより、グルテンの伸びが適度に向上し、複合ベーカリー製品の焼成内生地の内相を細かなものにする。これにより、複合ベーカリー製品の焼成内生地のソフトさを向上することができる。(C)α-アミラーゼを(A)食用油脂に含有させず単体で内生地に添加しても(C)α-アミラーゼの効果は十分に得られない。
【0018】
(C)α-アミラーゼの含有量は(A)食用油脂100質量部に対して好ましくは活性量1500u/g基準で0.05~2質量部(食用油脂100gに対して75~3000u)であり、より好ましくは0.1~0.6質量部(食用油脂100gに対して150~900u)である。この範囲において(C)α-アミラーゼの効果がより一層発揮される。(C)α-アミラーゼは、市販されており、例えばノボザイムジャパン(株)の「Fungamyl」、「Novamyl」、「Novamyl-3D」、「Opticake Fresh50B」等が例示できる。
【0019】
(C)α-アミラーゼの酵素活性は以下のように定義される。
(1)サンプル吸光度の測定:5mLの緩衝液(Britton-Robinson Buffer、pH8.5、50mM(阿南功一ら著,「基礎生化学実験法6」,P277,丸善(株))にネオ.アミラーゼテスト「第一」〔第一化学薬品(株)より入手、製品番号701501-005〕を1錠添加し、約10秒間攪拌した後、2mM塩化カルシウム水溶液で希釈した1mLの酵素溶液を添加して、50℃にて15分間反応させる。1mLの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌することで反応を停止させた後、遠心分離(400×g、5分間)にて不溶成分を沈殿させ、得られた遠心上澄の620nmにおける吸光度を測定する。
(2)ブランク吸光度の測定:5mLの緩衝液(Britton-Robinson Buffer、pH 8.5、50mM(阿南功一ら著,「基礎生化学実験法6」,P277,丸善(株))にネオ.アミラーゼテスト「第一」を1錠添加し、約10秒間攪拌する。これに1mLの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌した後、1mLの酵素溶液を添加し、50℃にて15分間インキュベートした後、遠心分離(400×g、5分間)を行なう。得られた遠心上澄の620nmにおける吸光度を測定する。
(3)酵素活性の算出:ネオ.アミラーゼテスト「第一」同封の国際単位の検量線を基準とし、これに(1)と(2)の吸光度の差をあてはめることでアミラーゼの活性を算出する。
【0020】
本発明の複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物において、(B)ブランチングエンザイムの活性量に対する(C)α-アミラーゼの活性量の比(C/B)は、0.006~4である。
【0021】
上述したとおり、(C)α-アミラーゼは、グルテンの伸びを適度に向上し、複合ベーカリー製品の焼成内生地の内相を細かくすることにより、焼成内生地をソフトにすることができるという効果を奏する。一方で、(C)α-アミラーゼの添加量を過大に増加すると、澱粉の分解が促進されるため、内生地にべたつきが生じ、作業性を良好にし、歩留まりを向上するというブランチングエンザイムの効果が低下する傾向にある。さらに複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさ向上や焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制するという効果も低下する傾向にある。そのため、ブランチングエンザイムの活性量に対する(C)α-アミラーゼの活性量の比を調整することにより、本発明の効果をより一層発揮することができる。
(C)α-アミラーゼの効果を得つつ、製造時の作業性が良好であり、歩留まりを向上し、さらに複合ベーカリー製品の腰もち向上や焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制するというブランチングエンザイムの効果を発揮する観点において、C/Bの下限値としては、好ましくは0.02以上であり、上限値としては、好ましくは2以下である。
【0022】
本発明における複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物には、本題の課題を損なわない限りにおいて、内生地に使用する油脂組成物に一般的に使用される添加物である加工澱粉、その他酵素、乳化剤、保存料、pH調整剤、色素、香料等を適宜使用してもよい。
【0023】
〔複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物の製造方法〕
本発明における複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物の製造方法は、通常のショートニング、マーガリン、水中油型乳化物の製造方法において、(B)ブランチングエンザイムおよび(C)α-アミラーゼが失活しない温度で添加すればよい。例えば以下の製造方法が挙げられる。まず油脂および油溶成分を融点温度以上の温度で加熱し、均一溶解後、加温した水および水に十分に溶解した水溶成分を添加し、均一に混合撹拌後、50~55℃まで降温する。次に、酵素を添加し、試作機を用いて急冷可塑化し、30℃以下まで冷却することにより、目的の複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を得る。上記製造において、高温状態にある均一混合物を冷却する際には均一混合物を入れている容器自身を外部から冷却しても良いが、一般的にショートニング、マーガリン製造に用いられるチラー、ボテーター、コンビネーター等を用いて急冷する方が性能上好ましい。
【0024】
〔複合ベーカリー生地〕
複合ベーカリー生地は、内生地と上生地からなり、上生地を内生地にのせた状態、あるいは包んだ状態で焼成し、複合ベーカリー製品を得るための生地である。本発明の内生地は、イーストを含有するパン生地であり、さらに本発明の油脂組成物を含有する。上生地は、例えばイーストを含有しない生地であり、焼成するとカリカリとした食感となる生地である。また、上生地は、例えば砂糖などの副原料を内生地より多く含有する生地であり、焼成上生地は、焼成内生地から水分を移行しやすい生地となる。
複合ベーカリー生地における、内生地と上生地の比は、内生地100質量部に対して、上生地を好ましくは50~120質量部、より好ましくは80~100質量部である。内生地と上生地が上記の範囲であると本発明の効果をより一層発揮することができる。
【0025】
本発明の複合ベーカリー生地を焼成して得られる複合ベーカリー製品として、代表例はメロンパンが挙げられるが、他にフィリングなどの詰め物をしたパンも含まれ、また食パン、食事パン、特殊パン、調理パン、菓子パンなどに上生地を載せたパンも挙げられる。上生地としては、クッキー生地やタルト生地などが挙げられる。
【0026】
〔内生地〕
本発明の内生地は、穀粉に本発明の油脂組成物を含有することを特徴とするものである。穀粉としては、小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉等が挙げられる。本発明の油脂組成物において、内生地調製時に添加する油脂組成物の量は、内生地に使用する穀粉100質量部に対して、2~25質量部、好ましくは2~15質量部である。
【0027】
内生地中の(B)ブランチングエンザイムの含有量は、例えば、穀粉100gに対して活性量5~18750uである。下限値として、好ましくは15u以上である。上限値として、好ましくは1875u以下である。
【0028】
内生地中の(C)α-アミラーゼの含有量は、例えば、穀粉100gに対して活性量1.5~750uである。下限値として、好ましくは3u以上である。上限値として、好ましくは135u以下である。
【0029】
本発明の内生地は、内生地を加熱することができる限り、ストレート法、中種法、ノータイム法等いずれの製パン法にも使用することができる。また内生地を作製後、冷凍および冷蔵工程を経る場合、焼成後冷凍を経る場合などいずれの工程にも使用できる。
【0030】
本発明の内生地に用いる原料としては、主原料の穀粉の他にイースト、イーストフード、乳化剤、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、水、加工澱粉、乳製品、食塩、糖類、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等が挙げられる。さらにレーズン等の乾燥果実、小麦粉ふすま、全粒粉等を使用できる。
【0031】
〔内生地の製造方法〕
次に本発明の内生地の製造方法について説明する。本発明の内生地の製造方法は、穀粉に複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を添加することを特徴とするものである。
【0032】
より詳細には、本発明の内生地の製造方法は、以下の工程(i)~工程(ii)を備えることを特徴とする。
工程(i):(A)食用油脂中に(B)ブランチングエンザイムを含有する、油脂組成物を準備する工程。
工程(ii):穀粉に前記油脂組成物を混練して内生地を得る工程。
【0033】
本発明の複合ベーカリー製品の製造方法によれば、(B)ブランチングエンザイムを(A)食用油脂中に含有させた油脂組成物として穀粉へ混練するため、(B)ブランチングエンザイムがすばやく均一に内生地中に分散し、均一な澱粉構造の変化が生じる。この均一な澱粉構造の変化により、製造時の作業性および歩留まりが向上し、さらに焼成後の複合ベーカリー製品の腰もちおよび焼成内生地のソフトさが向上し、焼成内生地から焼成上生地への水分移行を抑制することができる。一方、(B)ブランチングエンザイムと(A)食用油脂をそれぞれ単体で穀粉へ混練した場合には、本発明の効果を得ることができない。
【0034】
工程(i)において、さらに、(A)食用油脂中に、(C)α-アミラーゼを含有することが好ましい。これにより、内生地中のグルテンの伸びが適度に向上し、複合ベーカリー製品の焼成内生地の内相を細かなものにすることができる。また、複合ベーカリー製品の焼成内生地をソフトにすることができる。(C)α-アミラーゼを(A)食用油脂に含有させず単体で内生地に添加しても(C)α-アミラーゼの効果は十分に得られない。
【0035】
工程(ii)において、油脂組成物と穀粉との混練は、例えば、ミキサーボウルなとの練り上げ装置で混練することができ、ストレート法、中種法、ノータイム法等いずれの製パン法にも適用することができる。練り上げの方法は、装置によって異なるが、適度な撹拌条件、酵素反応に十分な温度と時間で設定することができる。例えば、中種法では、中種作製時に低速2分、中速2分で混練し、中種発酵後、発酵した生地を砂糖などの副原料と共に低速2分、中速4分混練後、本発明の油脂組成物を加え、さらに低速3分、中速4分で混練するなどの条件を挙げることができる。製造された内生地は、例えば、デバイダー等で分割し、モルダー等を通して成形し、その後鉄板に並び入れ、発酵がなされる。本発明の複合ベーカリー生地の内生地の製造方法によれば、内生地の付着性を抑えるため、作業性および歩留まりを向上することができる。
【0036】
〔上生地〕
本発明において、上生地は、公知の材料及び公知の方法により得ることができる。公知の材料としては、例えば、穀粉、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、糖類、全卵、ベーキングパウダー等が挙げられる。これらの材料の配合量は、例えば、穀粉100質量部に対して、油脂類10~50質量部、糖類10~70質量部、全卵20~40質量部、ベーキングパウダー0.1~1質量部である。
【0037】
〔複合ベーカリー製品の製造方法〕
次に本発明の複合ベーカリー製品の製造方法について説明する。本発明の複合ベーカリー製品の製造方法は、上記内生地の製造方法で得られた内生地を焼成することを特徴とするものである。
【0038】
より詳細には、複合ベーカリー製品の製造方法は、上記の内生地の製造方法における工程(i)~工程(ii)に加え、以下の工程(iii)~工程(iv)を備えることを特徴とする。
工程(iii):上生地を準備する工程。
工程(iv):前記内生地及び前記上生地を焼成する工程。
【0039】
工程(iii)は、上生地を準備する工程である。上生地は、イーストを使用しない生地である。
【0040】
工程(iv)は、工程(ii)で得られた内生地及び工程(iii)で準備した上生地を焼成する工程である。工程(iv)では、例えば、内生地に上生地を載せ包み、最終発酵後に焼成する。焼成温度及び焼成時間は、特に制限されないが、例えば、170℃~220℃程度で、5~20分程度である。
【実施例
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
表1の配合組成で以下の方法により複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を製造した。パーム硬化油(融点42℃)5kg、パーム油30kg、菜種硬化油35kg(融点36℃)、および菜種油30kg、配合し加熱溶解したのち、50~55℃に降温し、(B)ブランチングエンザイム100gを添加後、十分に撹拌を行い、ついでショートニング試作機を用いて急冷練り上げすることで複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を得た。なお、食用油脂100gに対する酵素の活性量(u)は表1に示す通りである。
【0042】
表1及び表2に記した複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を使用して、以下の製造方法により複合ベーカリー製品の代表であるメロンパンを製造した。なお、比較例3、4は(A)食用油脂と(B)ブランチングエンザイムおよび(C)α-アミラーゼをそれぞれ単独で(混合した油脂組成物としないで)内生地へ配合した。作業中の内生地において内生地の付着性、歩留まり、また焼成後の複合ベーカリー製品であるメロンパンにおいて腰もち、焼成内生地のソフトさ、焼成内生地から焼成上生地への水分移行抑制率を評価した。
【0043】
(メロンパンの製造方法)
〔上生地の調製〕
マーガリン(日油(株)製:エミュ)390gと上白糖550gをミキサーボウルに投入し、クリーム状になるまで混合する。これに全卵330gを数回に分けて投入し混合する。次にベーキングパウダー3.3gを篩いこんだ薄力粉1000gを混合し上生地を得た。
〔内生地の中種生地の調製〕
強力粉700g、イーストフード1g、イースト30g、上白糖30g、水400gをミキサーボウルに投入し、低速2分中速2分捏ね上げ、捏ね上げ温度24℃の内生地の中種生地を28℃で2時間発酵させた。
〔内生地の本捏生地の調製、成型、および焼成〕
発酵させた中種生地をミキサーボウルに投入し、さらに強力粉300g、上白糖150g、脱脂粉乳30g、食塩16g、全卵120g、水130gを投入し低速2分、中速5分捏ね上げ、ここで複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物を100g投入し、さらに低速3分、中速4分捏ね上げ、捏ね上げ温度28℃の内生地の本捏生地を得た。フロアタイム30分を取った後、60gに分割し、次いでベンチタイム15分を取った後、モルダーに通してガス抜きをし、球形に成型した。成型した内生地の上に円形状に伸ばした上生地55gを載せ包み、筋状の模様をつけ、温度33℃、湿度65%のホイロに60分入れて最終発酵を行った。最終発酵後、上火190℃、下火190℃のオーブンに入れ11分焼成した。焼成後、室温にて30分放冷し、ビニール袋に一つずつ入れ密閉し、室温(20~30℃)にて保管した。
【0044】
前記複合ベーカリー生地の内生地の付着性にて作業性、歩留まりの評価を行った。また、前記複合ベーカリー製品であるメロンパンを用いて、腰持ち、焼成内生地のソフトさ、焼成内生地から焼成上生地への水分抑制率の評価を行った。
それぞれの評価項目について、評価方法を下記に記す。
【0045】
〔作業性の評価方法〕
複合ベーカリー生地の内生地の製造時、内生地がべたつくと、ミキシング機への内生地の付着が多くなり次工程へと進む際の作業量が多くなる、もしくはミキシング、デバイダー、モルダーなどの機器への内生地の付着量が多くなり、洗浄作業に対する作業量が多くなることから作業性が低下する。したがって、内生地の付着性を作業性の評価とした。(株)山電製「RHEONERII」を用いてフロアタイム終了後の内生地を30gに分割し、15分間ベンチタイムを経た内生地を実施例および比較例ともに各10個測定した。内生地を測定台に置き、直径3cmの円盤型プランジャーにて5mm/secで2cm圧縮し、プランジャーが上昇する際に内生地に引っ張られる最大応力値(N)を測定し作業性の評価を行った。比較例1を使用した場合の平均応力値を100として、各実施例および比較例の平均応力値(相対値)が90未満を「◎」、90以上95未満を「〇」、95以上106未満を「△」、106以上を「×」とした。そのうち〇以上を合格とした。
【0046】
〔歩留まりの評価方法〕
複合ベーカリー生地の内生地の製造時、前後の転圧板の高さを6cm、3cmに設定した(株)オシキリ「ワイドファインモルダーWF」を用いて60gの内生地のガス抜きをする際、モルダーから出た内生地が円形状でないものは球形に成型できないため、または内生地表面が傷ついているものは内生地表面の傷つきにより複合ベーカリー製品であるメロンパンのボリューム不良となるためそれらを成型不良とした。歩留まりは、成型良好であった内生地の割合を下記の(式1)にて表される値である。
歩留まり(%)=(1-成型不良個数/成型個数)×100(式1)
実施例および比較例ともに100個の内生地をモルダーに通したときの成型良好であった内生地の割合を歩留まりの評点とし、95%以上を「◎」、95%未満90%以上を「〇」、90%未満86%以上を「△」、86%未満を「×」とした。そのうち〇以上を合格とした。
【0047】
〔腰持ちの評価方法〕
腰持ちは、アステックス(株)製「3Dレーザー体積計」を用いて室温に保管していた焼成後1日目の複合ベーカリー製品であるメロンパンを実施例および比較例ともに各10個測定した。腰持ちは、メロンパンの最大高をH、短辺の横幅をWとした際に下記の(式2)にて表される値である。
腰持ち=H/W(式2)
比較例1を使用した場合のメロンパンの平均腰もちを100として、各実施例および比較例の平均腰もち(相対値)が104以上を「◎」、104未満102以上を「〇」、102未満98以上を「△」、98未満を「×」とした。そのうち〇以上を合格とした。
【0048】
〔ソフトさの評価方法〕
(株)山電製「RHEONERII」を用いて、複合ベーカリー製品であるメロンパンの焼成内生地を実施例および比較例ともに各10個測定した。室温に保管していた焼成後3日目のメロンパンを3cmの厚さになるように上面を切り落とし、さらに中心部を4cm×4cmにカットし、焼成内生地のみを切り出した。カットした焼成内生地を高さが3cmとなるように測定台に置き、直径3cmの円盤型プランジャーにて5mm/secで厚さの60%圧縮する際に必要な応力値(N)を測定しソフトさの評価を行った。比較例1を使用した場合の平均応力値(N)を100として、各実施例および比較例の平均応力値(相対値)が91未満を「◎」、91以上95未満を「〇」、95以上105未満を「△」、105以上を「×」とした。そのうち〇以上を合格とした。
【0049】
〔水分移行抑制率の評価方法〕
(株)ケット製「赤外線水分計FD-230」を用いて焼成後3日目の複合ベーカリー製品であるメロンパンの焼成上生地を実施例および比較例ともに各10個測定した。室温に保管していた焼成後3日目のメロンパンの焼成上生地の上面のみを1gはがし、110℃・20分の条件で加熱し、試料重量に対する減少した水分率を測定し、水分移行抑制率の評価を行った。比較例1を使用した場合の平均水分率[%]を100として、各実施例および比較例の平均水分率(相対値)が95未満を「◎」、95以上98未満を「〇」、98以上104未満を「△」、104以上を「×」とした。そのうち〇以上を合格とした。
【0050】
〔使用酵素〕
1)(商品名)「SenseaForm」(ブランチングエンザイム) ノボザイムジャパン(株)製、活性量25000u/g
2)(商品名)「デナチームBBR LIGHT」(ブランチングエンザイム) ナガセケムテックス(株)製、活性量50000u/g
3)(商品名)「Novamyl-3D」(マルトース生成α-アミラーゼ) ノボザイムジャパン(株)製、活性量1500u/g
4)(商品名)「Fungamyl」(α-アミラーゼ) ノボザイムジャパン(株)製、活性量15000u/g
〔使用乳化剤〕
5)(商品名)「エマルジーMS」(モノグリセリンモノ脂肪酸エステル)理研ビタミン(株)
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1及び表2を見ると、(A)食用油脂中に(B)ブランチングエンザイムを含有する複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物は、作業性、歩留まり、腰もち、ソフトさ、水分移行の抑制のいずれの項目においても良好な結果であることがわかる。また、実施例1~3を見ると、(B)ブランチングエンザイムの含有量は、食用油脂100gに対して250~75000uとすることにより、優れた効果が認められた。また、実施例4~9を見ると、(C)α-アミラーゼを含有する場合においても、本発明の効果が認められた。また、実施例10を見ると、水を添加したマーガリンタイプにおいても本発明の効果が見られた。また、実施例11、12を見ると、(A)食用油脂のSFC(25℃)は、4~40%の範囲において、優れた効果が認められた。
【0054】
一方、比較例1、2に示すように、(B)ブランチングエンザイムを含有しない複合ベーカリー生地の内生地に使用する油脂組成物は、本発明の効果を得ることができない。また、比較例3、4に示すように、(B)ブランチングエンザイムを単体で穀粉に添加しても本発明の効果は得られない。