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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出削減推進システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241211BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021039291
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022139068
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 健司
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
(72)【発明者】
【氏名】梶野 真一
(72)【発明者】
【氏名】田中 知親
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-101569(JP,A)
【文献】特開2008-165398(JP,A)
【文献】特開2011-233079(JP,A)
【文献】特開2010-066958(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108320067(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区分された複数の居住室を有する集合住宅の各居住室に設置されている省エネルギー機器と、前記省エネルギー機器と通信可能に構成されたコンピュータとを備え、前記省エネルギー機器の使用による二酸化炭素排出量の削減を推進するための二酸化炭素排出削減推進システムであって、
前記コンピュータが、
前記省エネルギー機器の使用状況に基づいて前記居住室ごとに算出された二酸化炭素排出削減量の総和である削減総量を算出する削減総量算出処理と、
前記削減総量及び前記居住室ごとに算出された二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素の排出削減に対する貢献度を表す貢献度指数を前記居住室ごとに算出する貢献度指数算出処理と、
を実行可能に構成され
前記コンピュータは、さらに、
複数の居住室の居住者から提案された、前記削減総量に対して付与された二酸化炭素クレジットの売却益の複数の使途が、各使途を提案した居住者の居住室に対応付けて記憶されている使途データベースを有するとともに、
前記使途データベースに記憶された各使途に対し、その使途を提案した居住者の居住室について前記貢献度指数算出処理にて算出された前記貢献度指数を加味してスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、前記二酸化炭素クレジットの売却益の使途を決定する使途決定処理を実行可能に構成される、
二酸化炭素排出削減推進システム。
【請求項2】
請求項に記載の二酸化炭素排出削減推進システムであって、
前記コンピュータは、
各居住室に対して、その居住室に設置されている前記省エネルギー機器の使用状況に基づいて、より二酸化炭素排出削減量を増加させるためのアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供処理を実行可能に構成される、
二酸化炭素排出削減推進システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二酸化炭素排出削減推進システムであって、
前記省エネルギー機器は、少なくとも、第一の省エネルギー機器と、前記第一の省エネルギー機器とは異なる種類の第二の省エネルギー機器とを含む、
二酸化炭素削減推進システム。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出削減推進システムであって、
前記コンピュータは、
前記削減総量算出処理にて算出された前記削減総量に基づいて、二酸化炭素クレジットの申請のための認可申請書を作成する認可申請書作成処理を実行可能に構成される、
二酸化炭素削減推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素排出量の削減を推進するための二酸化炭素排出削減推進システムに係り、特に、集合住宅での二酸化炭素排出量の削減を推進するための二酸化炭素排出削減推進システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組みが行われている。例えば日本国では、J-クレジット制度を活用して、温室効果ガスの排出量の削減に寄与する取り組みがなされている。J-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営等の取り組みによる、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度である。この制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット制度が発展的に統合した制度で、創出(認証)されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセット等、様々な用途に活用できる。
【0003】
温室効果ガスの排出量の削減に関連し、特許文献1は、省エネルギーシステム運転監視方法を開示する。この省エネルギーシステム運転監視方法は、各省エネルギーシステムの運転によるエネルギー消費量及びエネルギー発生量のデータを、通信回線を通じてサーバに送信し、サーバにて各省エネルギーシステムのランニングコスト削減額及び削減された二酸化炭素排出量(二酸化炭素排出削減量)を算出し、管理する。これによれば、サーバが複数の省エネルギーシステムによる二酸化炭素排出削減量を集約する。こうして集約した二酸化炭素排出削減量に対して付与される二酸化炭素クレジットを売却することにより、比較的少量の二酸化炭素排出削減量に由来する利益を各省エネルギーシステムに還元することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-338028号公報
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
複数の区分された居住室を有する集合住宅、例えばマンションにおいても、各居住室にて例えば省エネルギー機器の使用により二酸化炭素の排出削減がなされる場合も想定され得る。この場合、居住室ごとの二酸化炭素排出削減量は少量であるが、全居住室の二酸化炭素排出削減量を集約すれば、比較的大きな二酸化炭素排出削減量を創出できる。そしてこれに対して付与された二酸化炭素クレジットを売却することにより売却益を得ることができる。しかしながら、こうして得た売却益は、全居住者の共有財産であるので、各居住者の意図する使途に必ずしも用いられるわけではない。例えば上記の売却益を集合住宅の修繕費用に使おうとする場合、どの部分を修繕するかについては一般的には居住者の多数決により決定される。従って、ある居住者の居住室がより多くの二酸化炭素排出削減量を創出した場合であっても、その居住者の意図する部分の修繕が行われるとは限らない。このため、より多くの二酸化炭素の排出を削減しようといったモチベーションを高めることができず、結果として、二酸化炭素排出削減量を増加させることができない。
【0006】
本発明は、集合住宅の各居住室の二酸化炭素排出削減量を増加させることができるような、二酸化炭素排出削減推進システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、区分された複数の居住室を有する集合住宅の各居住室に設置されている省エネルギー機器と、省エネルギー機器と通信可能に構成されたコンピュータとを備え、省エネルギー機器の使用による二酸化炭素排出量の削減を推進するための二酸化炭素排出削減推進システムであって、コンピュータが、省エネルギー機器の使用状況に基づいて居住室ごとに算出された二酸化炭素排出削減量の総和である削減総量を算出する削減総量算出処理と、削減総量及び居住室ごとに算出された二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素の排出削減に対する貢献度を表す貢献度指数を居住室ごとに算出する貢献度指数算出処理と、を実行可能に構成される、二酸化炭素排出削減推進システムを提供する。
【0008】
本発明によれば、コンピュータにより、集合住宅の各居住室にてなされた二酸化炭素排出削減量に応じて、貢献度指数が居住室ごとに算出される。このため、各居住室の居住者は、算出された貢献度指数を確認することにより、二酸化炭素の排出を削減しようというモチベーションを高めることができ、その結果、二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。
【0009】
また、コンピュータにより算出された削減総量をJ-クレジットに申請して付与された二酸化炭素クレジットの売却益の使途(例えば修繕、駐車場の増設、等)に、上記貢献度指数算出処理にて算出される貢献度指数を反映させる仕組みを構築することで、より一層、二酸化炭素の排出削減に対するモチベーションを高めることができる。その結果、より一層、二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。
【0010】
貢献度指数算出処理にて算出される貢献度指数は、居住室ごとに算出される。この貢献度指数は、居住室にて削減した二酸化炭素排出量(二酸化炭素排出削減量)が多いほど、すなわち二酸化炭素の排出の削減に対する貢献度が高いほど、高くなるように算出される。この場合、貢献度指数は、例えば、二酸化炭素排出削減量が多いほど多く与えられるポイントであってもよい。また、貢献度指数は、後述する実施形態で示すように、居住室における二酸化炭素排出削減量の平均値に対する比率であってもよい。
【0011】
また、コンピュータは、複数の居住室の居住者から提案された、削減総量に対して付与された二酸化炭素クレジットの売却益の複数の使途が、各使途を提案した居住者の居住室に対応付けて記憶されている使途データベースを有してい。そして、コンピュータは、使途データベースに記憶された各使途に対し、その使途を提案した居住者の居住室について貢献度指数算出処理にて算出された貢献度指数を加味してスコアを算出し、算出したスコアに基づいて、二酸化炭素クレジットの売却益の使途を決定する使途決定処理を実行可能に構成される。これによれば、貢献度指数に応じて、削減総量に対して付与された二酸化炭素クレジットの売却益の使途を自動的に決定することができる。なお、各使途のスコアは、例えばその使途を提案した居住者の居住室の貢献度指数の総和により算出することができる。
【0012】
また、コンピュータは、各居住室に対して、その居住室に設置されている省エネルギー機器の使用状況に基づいて、より二酸化炭素排出削減量を増加させるためのアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供処理を実行可能に構成されるとよい。これによれば、コンピュータにより各居住室の居住者に対して二酸化炭素排出削減量をより多くすることについてのアドバイス情報を提供することにより、より一層、二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。
【0013】
また、各居住室に設置されている省エネルギー機器は、少なくとも、第一の省エネルギー機器と、第一の省エネルギー機とは異なる種類の第二の省エネルギー機器とを含むと良い。これによれば、一つの居住室につき複数の省エネルギー機器の使用による二酸化炭素排出削減量を合算して算出できるので、二酸化炭素排出削減量をより増加させることができる。
【0014】
また、コンピュータは、削減総量算出処理にて算出された削減総量に基づいて、二酸化炭素クレジットの申請のための認可申請書を作成する認可申請書作成処理を実行可能に構成されていてもよい。これによれば、削減総量に対する二酸化炭素クレジットの付与に必要な認可申請書を自動で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る二酸化炭素排出削減推進システムを示す概略図である。
図2図2は、コンピュータの演算部が実行する二酸化炭素排出削減量算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図3図3は、コンピュータの演算部が実行する削減総量算出処理ルーチンの流れを示す図である。
図4図4は、コンピュータの演算部が実行する貢献度指数算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図5図5は、コンピュータの演算部が実行する使途決定処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図6図6は、使途データベースに記憶されている情報の例を示す図である。
図7図7は、各使途について算出されたスコアGを、使途に対応する居住室とともに示す図である。
図8図8は、コンピュータの演算部が実行する認可申請書作成処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図9図9は、コンピュータの演算部が実行するアドバイス情報提供処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る二酸化炭素排出削減推進システムを示す概略図である。この二酸化炭素排出削減推進システムは、複数の第一省エネルギー機器としての燃料電池コージェネレーション装置1と、複数の第二省エネルギー機器としての暖房便座付きシャワートイレ2と、複数のモニター3と、一台のコンピュータ20とを備える。
【0017】
複数の燃料電池コージェネレーション装置1、複数の暖房便座付きシャワートイレ2、及び複数のモニター3は、マンション等の集合住宅10内に設置されている。集合住宅10は、区分された複数の居住室11を有しており、各居住室11に、燃料電池コージェネレーション装置1、暖房便座付きシャワートイレ2及びモニター3が、それぞれ設置されている。なお、燃料電池コージェネレーション装置1は、居住室11の居住空間に隣接した屋外空間(例えばベランダ)に設置する場合がある。この場合でも、本明細書では、燃料電池コージェネレーション装置1が居住室11に設置されているものとする。つまり、居住室11の用に供する省エネルギー機器であれば、居住室11に設置しているものとみなす。
【0018】
燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2は、使用することにより、或いは省エネルギーモードで使用することにより、系統電源からの電力使用量(買電量)を低減することができる機器である。例えば燃料電池コージェネレーション装置1においては、燃料と酸素との反応により発電することにより系統電源からの電力使用量を低減するとともに、発電に付随して発生する熱を利用することにより都市ガスやプロパンガス等の燃料の使用量を低減することができる。また、暖房便座付きシャワートイレ2においては、例えば夜間に暖房便座を加温するためのヒータ及び温水タンク内のヒータへの通電を停止或いは通電量を減少することにより、系統電源からの電力使用量を低減することができる。
【0019】
また、燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2は、系統電源からの電力使用量及び燃料の使用量を低減することにより、二酸化炭素排出量の削減に寄与することができる機器である。例えば燃料電池コージェネレーション装置1を用いて発電した場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量は、系統電源が発電する場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量よりも少ない。従って、燃料電池コージェネレーション装置1にて発電すればするほど、削減される二酸化炭素排出量、すなわち二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。さらに、燃料電池コージェネレーション装置1により生じる熱を有効利用することにより、さらに二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。同様に、暖房便座付きシャワートイレ2においては、省エネルギーモードで使用することにより系統電源からの電力使用量を削減でき、これにより、削減できた電力量分(すなわち節電電力量分)の二酸化炭素排出量を削減することができる。
【0020】
コンピュータ20は、例えば集合住宅10のロビー等の共用スペース或いは集合住宅10の管理組合40内に設置することができる。このコンピュータ20は、各居住室11に設置されている燃料電池コージェネレーション装置1の制御装置及び暖房便座付きシャワートイレ2の制御装置と通信可能に構成される。通信手段としては、Wi-Fi等の無線通信でも良いし、有線通信でも良い。コンピュータ20は、通信手段を介して、燃料電池コージェネレーション装置1の使用状況、例えば発電量、発熱量、熱の使用状況等に関する情報を取得することができる。同様に、コンピュータ20は、通信手段を介して、暖房便座付きシャワートイレ2の使用状況、例えば節電電力量及び使用時間帯等に関する情報を取得することができる。
【0021】
コンピュータ20は、演算部21、記憶部22、表示部23、及び入力部24を備える。演算部21は、後述する各処理を実行することにより各種機能を実現するように構成される。記憶部22は、演算部21にて実行する各処理や、演算部21が各処理を実行する際に必要な情報、各処理の実行により算出された値等を記憶する。表示部23は、演算部21による各処理の実行の結果得られる情報を表示することができるように構成される。入力部24は例えばキーボードであり、コンピュータ20に外部から各種の指令を入力することができるように構成される。また、記憶部22は、後述する使途データベース22a及びアドバイス情報データベース22bを含むように構成される。
【0022】
また、各居住室11には、エネルギー使用状況表示装置4が設置される。エネルギー使用状況表示装置4は、各居住室11の電力使用量、ガス使用量(熱使用量)、水道使用量、等に関する情報を逐次的に取得するとともに、取得した情報を表示することができるように構成される。コンピュータ20は、エネルギー使用状況表示装置4に表示された情報(例えば電力使用量、ガス使用量、水道使用量等)を取得することができるように、各居住室11のエネルギー使用状況表示装置4にそれぞれ通信可能に接続される。
【0023】
各居住室11に設置されたモニター3は、コンピュータ20と通信可能に接続されており、コンピュータ20から各居住室11に提供すべき情報を表示する機能を有する。なお、モニター3の機能をエネルギー使用状況表示装置4に組み込んで、モニター3を省略することもできる。
【0024】
また、コンピュータ20は、J-クレジット制度事務局が備える端末30に、例えばインターネットを介して通信可能に接続されている。
【0025】
このような構成の二酸化炭素排出削減推進システムにおいて、各居住室11に設置された省エネルギー機器(燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2)の使用により、二酸化炭素排出量が削減される。削減された二酸化炭素排出量は、二酸化炭素排出削減量としてコンピュータ20により居住室11ごとに算出される。この二酸化炭素排出削減量の算出のため、コンピュータ20の演算部21は、二酸化炭素排出削減量算出処理を実行する。
【0026】
図2は、演算部21が実行する二酸化炭素排出削減量算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、コンピュータ20のオペレータが入力部24を通じて所定の指令をコンピュータ20に入力することにより起動する。このルーチンが起動すると、演算部21は、まず図2のステップ(以下、ステップをSと略記する)11にて、現在日時が、二酸化炭素排出削減量の算出を開始するための所定の開始日時に達したか否かを判断する。現在日時が開始日時前である場合(S11:No)、演算部21は、S11の処理を繰り返す。一方、現在日時が開始日時に達した場合(S11:Yes)、演算部はS12に処理を進める。
【0027】
S12では、演算部21は、各居住室11の燃料電池コージェネレーション装置1の使用状況、具体的には、開始日時から現在までの累積発電量及び累積発熱量を、居住室11ごとに各居住室11の燃料電池コージェネレーション装置1から取得する。次いで、演算部21は、S13にて、各居住室11の暖房便座付きシャワートイレ2の使用状況、具体的には、開始日時から現在までの、節電モードの実施により節電された累積電力量を、居住室11ごとに各居住室11の暖房便座付きシャワートイレ2から取得する。
【0028】
続いて、演算部21は、S14に処理を進める。S14では、演算部21は、S12にて取得した燃料電池コージェネレーション装置1の使用状況(発電量及び発熱量)から、燃料電池コージェネレーション装置1の使用による二酸化炭素排出削減量αn(nは居住室11の識別番号)を、居住室11ごとに算出する。その後、演算部21は、S15に処理を進める。S15では、演算部21は、S13にて取得した暖房便座付きシャワートイレ2の使用状況(節電された累積電力量)から、暖房便座付きシャワートイレ2の使用による二酸化炭素排出削減量βn(nは居住室11の識別番号)を、居住室11ごとに算出する。なお、二酸化炭素排出削減量αn及びβnの算出においては、一般的に認知されている計算式を用いることができる。
【0029】
次に、演算部21は、S16にて、各居住室11について、αnとβnとの和により、二酸化炭素排出削減量Xn(nは居住室11の識別番号)を算出する。そして、S17にて、各居住室11のモニター3に各々の二酸化炭素排出削減量Xnのデータを、コンピュータ20の表示部23に全ての居住室11の二酸化炭素排出削減量Xnを、出力する。
【0030】
続いて、演算部21は、S18に処理を進めて、現在日時が、二酸化炭素排出削減量の算出を終了するための所定の終了日時に達したか否かを判断する。現在日時が終了日時前である場合(S18:No)、S12に処理を戻してS12以降の処理を繰り返す。一方、現在日時が終了日時に達した場合(S18:Yes)、演算部21はS19に処理を進め、S16にて最後に算出した各居住室11の二酸化炭素排出削減量Xnを記憶部22に記憶する。その後、演算部21はこのルーチンを終了する。
【0031】
コンピュータ20の演算部21が上記した二酸化炭素排出削減量算出処理を実行することにより、所定の開始日時から終了日時までの間、各居住室11にて削減された二酸化炭素の量(二酸化炭素排出削減量Xn)が逐次更新されるとともに、更新された最新の二酸化炭素排出削減量Xnが各居住室11のモニター3に表示される。このため各居住室11の居住者は、自己の生活の中で削減することができた二酸化炭素の量を認識することができる。また、コンピュータ20の表示部23には、全ての居住室についての二酸化炭素排出削減量Xnが、表示される。このとき、例えば各居住室についての二酸化炭素排出削減量をランキング形式で表示することができる。これにより、各居住者は、どの居住室の二酸化炭素排出削減量が多いかを把握することができる。
【0032】
また、本実施形態では、各居住室11に種類の異なる複数の省エネルギー機器(第一省エネルギー機器としての燃料電池コージェネレーション装置1及び第二省エネルギー機器としての暖房便座付きシャワートイレ2)が設置されていて、これらの省エネルギー機器の使用により削減できた二酸化炭素排出量の合算値(αn+βn)を各居住室11の二酸化炭素排出削減量(Xn)として算出している。このため二酸化炭素排出削減量をより増加させることができる。
【0033】
また、演算部21は、省エネルギー機器(燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2)の使用状況に基づいて居住室11ごとに算出された二酸化炭素排出削減量Xnの総和である削減総量Sを算出する削減総量算出処理を実行し得るように構成される。図3は、演算部21が実行する削減総量算出処理ルーチンの流れを示す図である。このルーチンは、図2の二酸化炭素排出削減量算出処理のS11にて現在日時が開始日時に達したと判断された場合に起動する。図3に示すように、このルーチンが起動すると、演算部21は、まず図3のS21にて、二酸化炭素排出削減量算出処理のS16にて算出された各居住室11における現在までの二酸化炭素排出削減量Xnを取得する。次いで、演算部21は、S22にて、削減総量Sを算出する。削減総量Sは、開始日時から現在までに、各居住室11にて削減した二酸化炭素排出量の合計であり、S21にて取得した全ての居住室11における二酸化炭素排出削減量Xnの総和により求められる。次に、演算部21は、算出した削減総量Sを、各居住室11のモニター3及び表示部23に出力する。
【0034】
続いて、演算部21は、S24に処理を進めて、現在日時が所定の終了日時に達したか否かを判断する。現在日時が終了日時前である場合(S24:No)、演算部21はS21に処理を戻して、S21以降の処理を繰り返す。一方、現在日時が終了日時に達した場合(S24:Yes)、演算部21はS25に処理を進める。S25では、演算部21は、S22にて最後に演算した削減総量Sを記憶部22に記憶する。その後、演算部21はこのルーチンを終了する。
【0035】
演算部21が上記した削減総量算出処理を実行することにより、所定の開始日時から終了日時までの間、削減総量Sが各居住室11のモニター3及びコンピュータ20の表示部23に表示される。これにより、居住室11の居住者は削減総量Sをリアルタイムで確認することができる。
【0036】
上記のようにして算出した削減総量Sは、各居住室11の二酸化炭素排出削減量Xnの総和であるから、比較的大きい削減量である。よって、削減総量Sを基に二酸化炭素クレジットの認可申請書を作成し、作成した認可申請書をJ-クレジット制度事務局に送付することができる。送付された認可申請書は、審査委員会にて検証され、さらに、認証委員会に諮られる。そして、認可申請書が承認された場合、申請した削減総量Sに対して二酸化炭素クレジットが付与される。
【0037】
上記のようにして付与された二酸化炭素クレジットは、カーボン・オフセット等により売却することができ、これにより売却益を得ることができる。こうして得た売却益は、それぞれの居住室11の居住者により削減した二酸化炭素排出量の総和に対応する利益であるから、全ての居住者の共有財産であり、したがってその管理は、集合住宅10の管理組合40が行うのが望ましい。この場合、二酸化炭素クレジットは管理組合40に対して認可される。また、売却益は、全ての居住者の利益になるような用途に使うのが望ましい。例えば集合住宅10の修繕費用、或いは集合住宅10の居住者が使用する駐車場の借り入れ資金等を、売却益の使途として例示することができる。
【0038】
また、コンピュータ20の演算部21は、削減総量S及び居住室ごとに算出された二酸化炭素排出削減量Xnに基づいて、二酸化炭素の排出削減に対する貢献度を表す貢献度指数Knを居住室11ごとに算出する貢献度指数算出処理を実行可能に構成される。図4は、演算部21が実行する貢献度指数算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。この貢献度指数算出処理ルーチンは、図2の二酸化炭素排出削減量算出処理のS11にて現在日時が開始日時に達したと判断された場合に起動する。このルーチンが起動すると、演算部21は、まず図4のS31にて、居住室11ごとに、二酸化炭素排出削減量算出処理のS16にて算出された現在までの二酸化炭素排出削減量Xnを取得する。次いで、演算部21は、S32にて、削減総量算出処理のS22にて算出された現在までの削減総量Sを取得する。なお、S32では、S31にて取得した各居住室11の二酸化炭素排出削減量の総和により削減総量Sを求めても良い。
【0039】
次に、演算部21は、S33に処理を進める。S33では、演算部21は、居住室11ごとに、現在の貢献度指数Kn(nは居住室の識別番号)を算出する。この貢献度指数Knは、以下の式により算出される。
Kn=(N/S)×Xn
上式において、Nは居住室11の総数、SはS32にて取得した削減総量、XnはS31にて取得した各居住室11の二酸化炭素排出削減量である。例えば、Nが30(戸)であり、削減総量Sが60(t-CO)であり、二酸化炭素排出削減量Xnが3(t-CO)である場合、Knは、1.5である。
【0040】
貢献度指数Knは、削減総量Sを居住室11の総数Nで除した値である二酸化炭素排出削減量の平均値(S/N)に対する各居住室11の二酸化炭素排出削減量Xnの比率を表す。貢献度指数Knが1より大きいと、その居住室にて削減された二酸化炭素排出量は平均値よりも多いことを表し、貢献度指数Knが1未満であると、その居住室にて削減された二酸化炭素排出量は平均値よりも少ないことを表す。また、二酸化炭素排出削減量Xnが多いほど貢献度指数Knは高く、貢献度指数Knが高いほど削減総量Sに占める割合、すなわち二酸化炭素排出の削減に対する貢献が高い。換言すれば、貢献度指数Knは、居住室110にて削減した二酸化炭素排出量(二酸化炭素排出削減量Xn)が多いほど、すなわち二酸化炭素の排出の削減に対する貢献度が高いほど、高くなるように算出される。
【0041】
演算部21は、S33にて居住室11ごとに貢献度指数Knを算出した後に、S34にて、算出した貢献度指数Knを出力する。この場合、コンピュータ20は、各居住室11のモニター3に各々の貢献度指数Knが表示され、且つ、コンピュータ20の表示部23に全ての居住室11の貢献度指数Knが表示されるように、貢献度指数Knを各モニター3及び表示部23に出力する。
【0042】
続いて、演算部21は、S35に処理を進めて、現在日時が所定の終了日時に達したか否かを判断する。現在日時が終了日時前である場合(S35:No)、演算部21はS31に処理を戻し、S31以降の処理を繰り返す。一方、現在日時が終了日時に達した場合(S35:Yes)、演算部21はS36に処理を進める。S36では、演算部21は、S33にて最後に演算した各居住室11の貢献度指数Knを記憶部22に記憶する。その後、演算部21はこのルーチンを終了する。
【0043】
コンピュータ20が上記した貢献度指数算出処理を実行することにより、所定の開始日時から終了日時までの間、貢献度指数Knがリアルタイムで居住室11のモニター3に表示される。これにより、各居住室11の居住者は、自ら削減した二酸化炭素排出量の貢献度指数Knをリアルタイムで認識することができる。さらに、コンピュータ20の表示部23に全ての居住室11の貢献度指数Knが表示されるので、それぞれの貢献度指数Knを比較することができる。これにより、各居住者の二酸化炭素排出の削減に対する競争心が煽られて、より二酸化炭素排出量の削減に対するモチベーションが高まり、二酸化炭化排出削減量のより一層の増大が期待される。
【0044】
また、算出された貢献度指数Knは、削減総量Sに対して付与される二酸化炭素クレジットの売却益の使途に反映させることができる。例えば、集合住宅10の居住者に対して、二酸化炭素クレジットの売却益の使途のアンケートを実施した結果、使途A、使途B、使途C、の3つの使途が提案されたとする。この場合、使途Aを提案した居住者の居住室について算出された貢献度指数、使途Bを提案した居住者の居住室について算出された貢献度指数、使途Cを提案した居住者の居住室について算出された貢献度指数を加味して、使途を決定することができる。例えば、売却益の使途について投票を行う場合、各居住室の投票数は1ではなく、貢献度指数が大きいほど大きく、貢献度指数が小さいほど小さくなるように、各居住室ごとに投票数を調整することができる。そして、調整後の投票数による投票結果を受けて売却益の使途を決定することにより、売却益の使途に貢献度指数を反映させることができる。このような貢献度指数に応じて売却益の使途を決定する仕組みを構築することで、より一層、二酸化炭素の排出削減に対するモチベーションを高めることができる。その結果、より一層、二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。
【0045】
本実施形態では、コンピュータ20の演算部21が使途決定処理を実行することにより、二酸化炭素クレジットの売却益の使途を自動的に決定することできるように構成される。図5は、演算部21が実行する使途決定処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、コンピュータ20のオペレータが入力部24を通じてコンピュータ20に所定の指令を入力することにより起動する。このルーチンが起動すると、演算部21は、まず図5のS41にて、現在日時が所定の終了日時以後であるか否かを判定する。現在日時が終了日時前である場合(S41:No)、演算部21はこの処理を繰り返す。一方、現在日時が終了日時以後である場合(S41:Yes)、演算部21はS42に処理を進める。
【0046】
S42では、演算部21は、記憶部22に記憶されている各居住室の最終的な貢献度指数Knを読み出す。続いで演算部21は、S43にて、使途データベース22aにアクセスして、事前に提案されている複数の使途及び、各使途を提案する居住者の居住室を読み出す。
【0047】
図6は、使途データベース22aに記憶されている情報の例を示す。図6に示すように、使途データベース22aには、事前に複数の居住室11の居住者から提案されている、削減総量Sに対して付与された二酸化炭素クレジットの売却益についての複数の使途の内容(図7では使途A、使途B、使途C)と、それら複数の使途のそれぞれを提案した居住者の居住室が、対応付けられた状態で、記憶されている。図6に示す例では、使途Aを提案した居住者の居住室が居住室a、居住室b、居住室cであり、使途Bを提案した居住者の居住室が居住室d、居住室e、居住室fであり、使途Cを提案した居住者の居住室が居住室g、居住室h、居住室iである。演算部21は、S43にて、このような、使途と居住室とを関連付けた情報を読み出す。
【0048】
次に、演算部は、S44にて、使途データベース22aに記憶された各使途について、その使途を提案した居住者の居住室の貢献度指数Knを加味してスコアGを算出する。スコアGは、具体的には、各使途を提案した居住者の居住室の貢献度指数Knの合計である。
【0049】
図7は、各使途について算出されたスコアGを、各使途及び対応する居住室とともに示す。図7に示すように、居住室a、居住室b、居住室cの居住者が使途Aを提案した場合、使途AのスコアGは、居住室aの貢献度指数Kaと居住室bの貢献度指数Kbと居住室cの貢献度指数Kcの和、すなわちKa+Kb+Kcである。また、居住室d、居住室e、居住室fの居住者が使途Bを提案した場合、使途BのスコアGは、Kd+Ke+Kfであり、居住室g、居住室h、居住室iの居住者が使途Cを提案した場合、使途CのスコアGは、Kg+Kh+Kiである。演算部21は、このような計算を、S44にて実行する。
【0050】
各使途のスコアGを計算した後に、演算部21はスコアGの最も大きい使途を抽出する(S45)。その後、演算部21は、S45にて抽出した使途を売却益の使途に決定し(S46)、売却益の使途に決定した使途を各居住室11のモニター3及び表示部23に出力する(S47)。その後、演算部21は、このルーチンを終了する。
【0051】
このように、使途決定処理では、貢献度指数Knを加味したスコアGを各使途について算出し、算出したスコアGに基づいて二酸化炭素クレジットの売却益の使途を自動的に決定する。そして、決定した使途をコンピュータ20の表示部23及び各居住室11のモニター3に出力する。このためコンピュータ20の表示部23及び各居住室11のモニター3に、売却益の使途として決定した使途が表示される。これにより集合住宅10の居住者は、売却益の使途を認識することができる。
【0052】
ところで、二酸化炭素クレジットの付与を受けるためには、事前に所定の手続きをしてプロジェクト登録をした後に、上記したように削減総量Sを基に認可申請書(モニタリング報告書)を作成し、それを提出しなければならない。ここで、本実施形態においては、演算部21が認可申請書作成処理を実行して、削減総量算出処理にて算出された削減総量Sに基づいて、二酸化炭素クレジットの申請のための認可申請書を自動的に作成するとともにオンラインでJ-クレジット制度事務局の端末30に認可申請書を送信することができるように構成されている。
【0053】
図8は、演算部21が実行する認可申請書作成処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の終了日時以後に、コンピュータ20のオペレータが入力部24を通じて所定の指令をコンピュータ20に入力することにより起動する。図8に示すように、このルーチンが起動すると、まず、演算部21は、S51にて、記憶部22に記憶されている最終的な削減総量Sを読み出す。次いで、演算部21は、S52に処理を進めて、削減総量Sを基に認可申請書を作成する。続いて演算部21は、S52にて作成した認可申請書を提出するか否かを判断する(S53)。このS53の判定のために、例えばコンピュータ20の表示部23に、作成した認可申請書とともに、「この認可申請書を提出する」という第一アイコン、「この認可申請書を提出しない」という第二アイコンが表示されるようにコンピュータ20の表示部23を制御することができる。そして、コンピュータ20のオペレータが第一アイコンをクリックすることにより、S53の判定結果がYesとなり、第二アイコンをクリックすることにより、S53の判定結果がNoとなるように構成することができる。
【0054】
S53の判定結果がNoである場合、演算部21はこのルーチンを終了する。一方、S53の判定結果がYesである場合、演算部21はS54に処理を進めて、認可申請書のデータをオンラインでJ-クレジット制度事務局の端末30に送信する。これにより認可申請書がオンラインで提出される。その後、演算部21はこのルーチンを終了する。
【0055】
コンピュータ20の演算部21が上記した認可申請書作成処理を実行することにより、認可申請書が自動的に作成されるとともにオンラインで認可申請書を提出することができるので、認可申請書の作成及び提出のための時間を短縮することができる。
【0056】
また、コンピュータ20の演算部21は、居住室11に設置されている省エネルギー機器(燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2)の使用状況に基づいて、より二酸化炭素排出量を削減する(すなわち二酸化炭素排出削減量を増加させる)ためのアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供処理を実行可能に構成される。図9は、演算部21が実行するアドバイス情報提供処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、図2の二酸化炭素排出削減量算出処理のS11にて現在日時が所定の開始日時に達したと判定された場合に起動する。このルーチンが起動すると、演算部21は、まず図9のS61にて、各居住室11の燃料電池コージェネレーション装置1の使用状況を取得する。次いで、演算部21は、S62にて、各居住室11の暖房便座付きシャワートイレ2の使用状況を取得する。続いて、演算部21は、S63にて、各居住室11のエネルギー使用状況表示装置4から、各居住室11におけるエネルギー(電気、ガス、水道等)の使用状況を取得する。
【0057】
次いで、演算部21は、S64にて、各居住室11の省エネルギー機器(燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2)の使用状況及び各居住室11のエネルギー使用状況を、アドバイス情報データベース22bに照会する。このアドバイス情報データベース22bには、省エネルギー機器及び各居住室11のエネルギー使用状況が、アドバイス情報と紐づけた状態で記憶されている。例えば、燃料電池コージェネレーション装置1にて貯留できる熱が上限に達し、熱を捨てている(排熱している)という使用状況である場合、アドバイス情報データベース22bには、そのような燃料電池コージェネレーション装置1の使用状況が、熱を例えば入浴により使用してくださいというアドバイス情報と紐づけて記憶されている。また、居住室11の電力の使用状況が燃料電池コージェネレーション装置1の発電電力の最大値(例えば700W)を超えているような使用状況である場合、アドバイス情報データベース22bには、そのようなエネルギー使用状況が、電力消費量を抑えてくださいというアドバイス情報と紐づけて記憶されている。コンピュータ20は、S64にて、各居住室11のエネルギー使用状況及び省エネルギー機器の使用状況をアドバイス情報データベースに照会して、照会した使用状況に紐づけられたアドバイス情報を検索する。
【0058】
次いで、演算部21は、S65にて、アドバイス情報データベース22bに照会した結果、アドバイス情報を抽出したか否かを判断する。アドバイス情報を抽出していない場合(S65:No)、演算部21はこのルーチンを終了する。一方、アドバイス情報を抽出した場合(S65:Yes)、演算部21は、S66に処理を進めて、抽出したアドバイス情報を、その使用状況にある居住室11のモニター3に出力する。次いで、演算部21は、現在日時が所定の終了日時であるか否かを判断する(S67)。現在日時が終了日時でない場合(S67:No)、演算部21はS61に処理を戻してS61以降の処理を繰り返す。一方、現在日時が終了日時でない場合(S67:Yes)、演算部21はこのルーチンを終了する。
【0059】
コンピュータ20の演算部21が上記したアドバイス情報提供処理を実行することにより、各居住室11の居住者は、二酸化炭素排出削減量を増加させるためのアドバイスを受けることができる。こうしたアドバイスにより各居住者はより省エネルギー性が高くなるような生活に心がけるようになり、その結果、二酸化炭素排出削減量をより増加させることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、居住室11に種類の異なる2台の省エネルギー機器が設置されている例を示したが、居住室に設置される省エネルギー機器の台数は、1台でもよいし3台以上でも良い。また、省エネルギー機器の台数が居住室11ごとに異なっていても良い。また、上記実施形態では、省エネルギー機器として燃料電池コージェネレーション装置1及び暖房便座付きシャワートイレ2を例示したが、それ以外の省エネルギー機器を各居住室に設置することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…燃料電池コージェネレーション装置(省エネルギー機器、第一省エネルギー機器)、2…暖房便座付きシャワートイレ(省エネルギー機器、第二省エネルギー機器)、3…モニター、4…エネルギー使用状況表示装置、10…集合住宅、11…居住室、20…コンピュータ、21…演算部、22…記憶部、22a…使途データベース、22b…アドバイス情報データベース、23…表示部、24…入力部、30…端末
図1
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