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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】色調検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20241211BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/27 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021006787
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111396
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】597028081
【氏名又は名称】株式会社メガトレード
(73)【特許権者】
【識別番号】592101585
【氏名又は名称】株式会社木田鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】笹井 昌年
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-206451(JP,A)
【文献】特開平11-271237(JP,A)
【文献】特開平05-306955(JP,A)
【文献】特開2018-100974(JP,A)
【文献】特開2003-166943(JP,A)
【文献】特開2006-240097(JP,A)
【文献】特開2018-155490(JP,A)
【文献】特開2020-071090(JP,A)
【文献】米国特許第06178254(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/50 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に光を照射する照明装置と、
前記検査対象物を搬送するベルトと、
当該ベルトから受け渡された検査対象物を載置させ、前記照明装置の照明領域に設置される載置部材と、
当該載置部材に載置された前記検査対象物に照射された光のうち、反射光を取得する受光装置と、
当該受光装置で取得された検査対象物の情報に基づいて検査対象物の良否を検査する検査手段と、
を備えた色調検査装置において、
前記照明装置における光の照射領域に設けられた載置部材に、所定の色調を付した基準色調部を設け、
前記検査手段で、前記載置部材の基準色調部からの色調に基づいて、前記検査手段による色調を補正して検査させるようにしたことを特徴とする色調検査装置。
【請求項2】
前記基準色調部が、前記ベルトの幅内に設けられるものである請求項1に記載の色調検査装置。
【請求項3】
前記ベルトが、前記載置部材の下方を迂回して、検査対象物を前記載置部材から受け取って搬送するものである請求項1に記載の色調検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の表面に印刷された部分の色調を検査できるようにした色調検査装置であって、詳しくは、照明装置や受光装置の状態に依存することなく、精度良く色調の検査を行えるようにした色調検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品パッケージに印刷された文字や模様などについては、目視検査や検査装置などを用いて検査されている。このうち、検査装置を用いて検査する場合は、商品パッケージの表面の画像を取得するとともに、あらかじめ記憶手段に記憶させておいた検査基準データと照合して、一定の基準を満たしているか否かによって、商品の印刷状態を検査できるようにしている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-190514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような検査装置を用いて検査する場合、次のような問題がある。
【0005】
すなわち、商品パッケージに印刷された部分のうち、色調が極めて重要な位置づけを占めている場合がある。例えば、毛染剤や絵の具、口紅などの化粧品などについては、商品パッケージに印刷されている色と、実際の商品の色とが少しでも異なると、消費者からのクレームの対象となりかねない。
【0006】
これに対して、従来、あらかじめ記憶されたRGBの基準データと比較して検査することもできるが、このような検査を行ったとしても、照明装置の照度が時間の経過とともに変化する場合がある。例えば、LED照明を用いている場合、時間の経過とともに蛍光物質が変化して色調が変化したり、あるいは、LED照明の樹脂の変色によって色調が変化する場合がある。また、白色電球の場合についても、点灯時から時間の経過とともに明るさが変化し、また、色も微妙に変化する。
【0007】
さらに、受光装置側についても、カメラのカラーフィルターが時間の経過とともに劣化したり、あるいは、カメラの受光素子についても製品の精度にふらつきを生じたりして、取得された色調情報が変化してしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、照明装置や受光装置の精度に依存することなく、正確に色調を検査できるようにした色調検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、検査対象物に光を照射する照明装置と、前記検査対象物を搬送するベルトと、当該ベルトから受け渡された検査対象物を載置させ、前記照明装置の照明領域に設置される載置部材と、当該載置部材に載置された前記検査対象物に照射された光のうち、反射光を取得する受光装置と、当該受光装置で取得された検査対象物の情報に基づいて検査対象物の良否を検査する検査手段と、を備えた色調検査装置において、
前記照明装置における光の照射領域に設けられた載置部材に、所定の色調を付した基準色調部を設け、前記検査手段で、前記載置部材の基準色調部からの色調に基づいて、前記検査手段による色調を補正して検査させるようにしたものである。
【0010】
このように構成すれば、照明装置や受光装置に変化を生じたとしても、基準となる色調の画像を取得して検査をするので、その色調画像に基づいて、正確に色調の検査をすることができるようになる。また、検査対象物が存在しない状況で、載置部材に付された色調を取得し、その色調に基づいて検査対象物の色調を検査することができるようになる。
【0011】
また、このような発明において、前記基準色調部を、前記ベルトの幅内に設けるようにする。
【0012】
さらに、前記ベルトを、前記載置部材の下方を迂回し、検査対象物を前記載置部材から受け取って搬送するように構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明装置や受光装置に変化を生じたとしても、基準となる色調の画像を取得して検査をするので、その色調画像に基づいて、正確に色調の検査をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態を示す色調検査装置の概略図
図2】同形態における機能ブロック図
図3】同形態における照明装置と受光装置と基準色調部を示す図
図4】同形態における別の基準色調部を示す図
図5】同形態における検査のフローチャートを示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
この実施の形態における色調検査装置1は、商品パッケージに付された色調を検査できるようにしたものであって、図1に示すように、商品パッケージである検査対象物10を搬送するコンベア2と、このコンベア2上に搬送されてきた検査対象物10に光を照射する照明装置4と、この照明装置4によって光の照射された検査対象物10の画像を取得する受光装置5とを備えて構成される。そして、特徴的に、受光装置5の受光領域内に、検査対象物10を載置する載置部材3を設け、その載置部材3を基準色調に着色して、その基準となる色調のRGBと検査対象物10のRGBの輝度とを比較してRGBの輝度値を補正して検査できるようにしたものである。以下、本実施の形態について、詳細に説明する。
【0017】
まず、検査対象物10を搬送するコンベア2は、図1に示すように、複数のローラー21と、これらのローラー21に周回されたベルト22とを設けて構成されるものであって、そのベルト22に検査対象物10を載せて搬送できるようになっている。このうち、コンベア2における受光装置5の受光領域には、後述する載置部材3に検査対象物10を受け渡せるようにした迂回部23が設けられており、搬送されてきた検査対象物10を載置部材3に受け渡し、ベルト22を下方に迂回させた後、検査された検査対象物10を載置部材3から受け取って搬送できるようになっている。
【0018】
照明装置4は、検査対象物10に光を照射できるようにしたものであって、半円筒状に構成された照明取付具41の内部に複数の発行部材を配置して設けられる。この発光部材としては、ハロゲンランプや蛍光灯、LEDなどが用いられ、特に、LEDを用いる場合は、異なる色を独立して照射できるようにする。
【0019】
一方、受光装置5は、この照明装置4によって照射された光のうち、照明取付具41のスリット42を介して入射した光を受光できるようにしたものであって、ラインセンサなどが用いられる。このラインセンサは、幅方向をコンベア2の短手方向とするとともに、受光方向を搬送面の法線に対して、搬送方向に傾斜させて設けられている。
【0020】
このような構成において、照明装置4や受光装置5の精度に依存することなく、正確な色調情報を取得できるようにすべく、基準色調部31を受光装置5の受光領域内に設け、この基準色調部31に着色された色調に基づく補正を行って検査できるようにしている。
【0021】
この基準色調部31は、図3に示すように、載置部材3を着色して設けられるものであって、あらかじめ他の色調検査装置1などでRGBの輝度情報の取得されたものが用いられる。このとき、基準色調部31としては、256階調で表現される場合は、Rの輝度値として128±10、Gの輝度値として128±10、Bの輝度値として128±10の輝度値を取得できるグレー系のものを用いる。そして、その基準色調に着色された載置部材3を、スリット状の受光領域に設けておき、検査対象物10が搬送されていない状況で、その基準色調の画像を取得できるようにしておく。なお、ここでは、256階調の中央値近傍にしているが、1024階調の中央値付近の輝度値であってもよく、また、他の輝度値であってもよい。
【0022】
なお、ここでは単一色の基準色調部31を設けるようにしているが、図4に示すように、R着色部31a、G着色部31b、B着色部31cを独立して設けておき、それぞれの輝度を128±10の範囲内に設定してもよい。
【0023】
補正手段6は、この基準色調部31に基づく色調の補正処理を行うもので、記憶手段7に記憶された基準データのRGBの補正や、あるいは、受光装置5で受光された画像情報のRGBの輝度値を補正する。具体的には、載置部材3の基準色調部31が、R=r、G=g、B=bとなるように着色されている場合において、この色調検査装置1の受光装置5で受光された基準色調の画素が、R=r、G=g、B-bである場合、ΔR=r-r、ΔG=g-g、ΔB=b-bの差分を取得する。そして、その差分を検査基準データの画素のRGBの輝度値から補正するか、あるいは、受光装置5で受光された検査対象物10の画像のRGBの輝度値から補正を行う。これらの補正は、搬送されてきた検査対象物10を検査する都度行うようにする。
【0024】
検査手段8は、受光装置5で受光された画像に基づく画像情報と、記憶手段7に記憶された基準データとを比較することによって行う。このとき、例えば、検査対象物10の特定位置の画素に対応する位置に、所定幅内のRGBの輝度の画素が存在するか否かを判断し、それ以外の輝度値の画素が所定以上連続して存在いる場合に「不良」であることを判定する。もちろん、これ以外のアルゴリズムで検査対象物10の良否を検査するようにしてもよいが、これらの検査を行う場合、補正手段6によって補正された輝度情報を用いるようにする。このように補正する場合は、基準データを補正し、この補正された基準データと、受光装置5で取得された検査対象物10の画像データとを比較して判断するか、あるいは、検査対象物10側の画像データの輝度値を補正し、この補正された輝度値と、記憶手段7に記憶された基準データの輝度値とを比較して検査を行うようにする。
【0025】
出力手段9は、この検査手段8によって判断された検査結果を出力するものであって、検査結果の良否のみならず、不良と判定された箇所なども出力する。また、補正処理を行っている際は、極端にRGBの補正値が大きいと、照明装置4や受光装置5に不具合を生じている可能性もあるため、その補正値も出力して目視によって判断できるようにするか、あるいは、補正値が所定の閾値よりも大きい場合に、照明装置4や受光装置5に不具合を生じていると判断して報知を行えるようにしてもよい。
【0026】
次に、このように構成された色調検査装置1を用いた処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
まず、検査対象物10を検査する場合、事前に、正確に色調を取得できる色調検査装置1に載置部材3を取り付け、その載置部材3の基準色調であるRGBの輝度情報(r、g、b)の取得して記憶手段7に記憶させておく(ステップS1)。そして、その載置部材3を今回使用する色調検査装置1に取り付ける。
【0028】
そして、色調検査装置1の電源を入れて、照明装置4と受光装置5とコンベア2などを駆動し、載置部材3の基準色調を受光装置5で取得する。このとき、そのRGBの輝度情報(r、g、b)が取得される(ステップS2)。
【0029】
すると、その取得されたRGBの情報(r、g、b)と、あらかじめ記憶手段7に記憶されている基準色調のRGBの輝度値(r、g、b)との差分を算出する(ステップS3)。
【0030】
この状態で検査対象物10がコンベア2上を搬送されると、その検査対象物10がコンベア2から載置部材3に受け渡され、その検査対象物10の表面の画像が受光装置5で取得される(ステップS4)。
【0031】
そして、その検査対象物10の表面の画像に基づく画像データと、あらかじめ記憶手段7に記憶されている検査基準データとを比較して、画素ごとのRGBの適正を検査する。このとき、ステップS3で算出した差分を用いて検査基準データの各画素のRGBの輝度値を補正するか、あるいは、検査対象物10から取得された画像に基づく各画素のRGBの輝度値を補正する(ステップS5)。そして、すべての画素について、所定の閾値の範囲内に属しているか否かを判断し(ステップS6)、閾値を超える画素が連続して複数存在している場合は、不良である旨の出力を行う(ステップS8)。
【0032】
一方、すべての画素について不良がないか、あるいは、不良画素が存在している場合であっても、所定の数の範囲内である場合、良品である旨の出力を行う(ステップS7)。
【0033】
このように上記実施の形態によれば、検査対象物10に光を照射する照明装置4と、前記検査対象物10を搬送するベルト22と、当該ベルト22から受け渡された検査対象物10を載置させ、前記照明装置4の照明領域に設置される載置部材3と、当該載置部材3に載置された前記検査対象物10に照射された光のうち、反射光を取得する受光装置5と、当該受光装置5で取得された検査対象物10の情報に基づいて検査対象物10の良否を検査する検査手段8と、を備えた色調検査装置1において、前記照明装置4における光の照射領域に設けられた載置部材3に、所定の色調を付した基準色調部31を設け、前記検査手段8で、前記載置部材3の基準色調部31からの色調に基づいて、前記検査手段8による色調を補正して検査させるようにしたので、照明や受光に変化を生じたとしても、基準となる色調画像の画像を取得して検査をするので、その画像に基づいて、正確に色調の検査をすることができるようになる。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0035】
例えば、上記実施の形態では、コンベア2で検査対象物10を搬送させて検査するようにしたが、ステージなどのような台の上に検査対象物10を載置させて検査する場合についても適用することができる。
【0036】
また、上記実施の形態では、コンベア2の迂回部23に載置部材3を設置して、その載置部材3の色を用いて補正を行うようにしたが、基準色調を有する物品を搬送させて、その色から補正を行うようにしてもよい。
【0037】
さらに、上記実施の形態では、毎回基準色調部31の色を用いて補正を行うようにしたが、受光装置5で取得したRGBの輝度と差がない場合は、補正を行わず、一定以上の差がある場合にのみ補正を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・・色調検査装置
2・・・コンベア
21・・・ローラー
22・・・ベルト
23・・・迂回部
3(31)・・・載置部材(基準色調部)
4・・・照明装置
41・・・照明取付具
42・・・スリット
5・・・受光装置
6・・・補正手段
7・・・記憶手段
8・・・検査手段
9・・・出力手段
10・・・検査対象物
図1
図2
図3
図4
図5