(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法
(51)【国際特許分類】
C09B 67/40 20060101AFI20241211BHJP
D06P 1/94 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C09B67/40
D06P1/94
(21)【出願番号】P 2023548809
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2022138006
(87)【国際公開番号】W WO2023179105
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2023-08-13
(31)【優先権主張番号】202210307175.1
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521311665
【氏名又は名称】東華大学
(73)【特許権者】
【識別番号】515034828
【氏名又は名称】青▲島▼即▲発▼集▲団▼股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】呉 偉
(72)【発明者】
【氏名】毛 志平
(72)【発明者】
【氏名】葛 懐富
(72)【発明者】
【氏名】徐 紅
(72)【発明者】
【氏名】鐘 毅
(72)【発明者】
【氏名】王 健
(72)【発明者】
【氏名】楊 為東
(72)【発明者】
【氏名】万 剛
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】林 大鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 大偉
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-517619(JP,A)
【文献】特表2021-519873(JP,A)
【文献】特表平11-507704(JP,A)
【文献】特開2002-105228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/40
D06P 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料である染化料を、前記染化料の融点以上の目標温度まで加熱して溶融させ、溶融した染化料と、前記目標温度より低い初期温度を持つ超臨界二酸化炭素流体とを一定の重量比で混合させ、染化料を溶解した超臨界二酸化炭素流体を初期温度に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程を一定の時間内で繰り返し、前記超臨界二酸化炭素流体の圧力を終始一致に保持する
ことを特徴とする超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項2】
前記染化料の融点は60~230の値を取るA℃であることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項3】
前記目標温度はA℃~(A+20)℃であることを特徴とする請求項2に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項4】
超臨界二酸化炭素の初期温度は31.2<B<A-20を満たすB℃であることを特徴とする請求項3に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項5】
前記染化料と前記超臨界二酸化炭素流体との重量比は5×10
-5~5×10
-3g・g
-1であることを特徴とする請求項4に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項6】
前記加熱の速度は1~2℃/minであることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項7】
超臨界二酸化炭素の流量は1~120トン/hrであることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項8】
超臨界二酸化炭素の圧力は10MPaを超えることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項9】
前記一定の時間は5分間~2時間であることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項10】
前記冷却の速度は1~20℃/minであることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項11】
前記染料は非イオン性染料であることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【請求項12】
前記非イオン性染料は分散染料、分散型反応染料、油溶染料、非イオン性食品染料、有機顔料または天然染料の中の一種以上であることを特徴とする請求項1
1に記載の超臨界二酸化炭素流体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して染色技術に関し、より詳しくは、一種の超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界二酸化炭素媒体中の弱極性の染化料の溶解度は低く、溶解速度は遅いため、発色または仕上げ効果を満たす染化料を溶解するのに、ずっと循環ポンプで超臨界二酸化炭素を染色系へ輸送するべきである。一方では、一部の高融点染化料の超臨界二酸化炭素媒体への溶解度もすごく小さくてその利用率が低くなる。よって、超臨界二酸化炭素媒体における染色仕上げ技術の発展はひどく制限されている。
【0003】
今の超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は主に助溶剤を添加するのだが、これらの助溶剤は低沸点有機極性化合物として、超臨界二酸化炭素の作動温度の下で毒性の蒸気とし、漏洩すると人体に重大な損害を与える一方、染色仕上げ終了後、助溶剤の分離や除去は困難になる。
【0004】
つまり、助溶剤を採用せずに超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を向上高める簡単な方法の開発は意味深い課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一種の超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法を提供し、従来技術における困難を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題に対して、本発明は以下の解決手段を選択する。
【0007】
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、染化料の融点以上の目標温度まで染化料を加熱して溶融させ、一定の重量比で初期温度を持つ超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を一定の時間かけて繰り返し、そのうえに、染化料は染料および/または助剤であり、初期温度は目標温度より低いであり、超臨界二酸化炭素の圧力は一貫とし、すなわち、初期温度を持つ超臨界二酸化炭素の圧力、混合後の超臨界二酸化炭素媒体の圧力、及び初期温度まで冷却した後の染化料を溶解した超臨界二酸化炭素の圧力の3つの圧力は同じにすることである。
【0008】
好ましくは、前記超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法において、
述べた染化料の融点はA(60~230)℃とし、
述べた目標温度はA~(A+20)℃とし、
述べた超臨界二酸化炭素の初期温度はB℃とし(31.2<B<A-20、31.2℃は超臨界二酸化炭素の臨界温度である)、
述べた染化料と超臨界二酸化炭素との重量比は5×10-5~5×10-3g・g-1とし、
述べた加熱速度は1~2℃/minとし、
述べた超臨界二酸化炭素の流量は1~120トン/hrとし、
述べた超臨界二酸化炭素の圧力は10MPaを超え(超臨界二酸化炭素の臨界圧力は7.38MPaであるが、温度が高すぎる場合には、超臨界状態を保証する及び超臨界二酸化炭素の密度をより高くさせるために、一定の圧力が必要である。本発明は増圧ポンプで圧力条件を満たした。)、
述べた繰り返す時間は5分間~2時間とし、
述べた冷却の速度は1~20℃/minとし(冷却速度は遅すぎると時間がかかって染化料の溶解効率が低くなり、速すぎると高温に溶解した染化料が不安定になって析出してしまう)、
述べた助剤は酸化防止剤または難燃剤であり、そのうえ、酸化防止剤はフェルラ酸やドーパミンなどのポリフェノール化合物とし、難燃剤はクライン5060難燃剤またはDOPO難燃剤とし、
述べた染料は、分散染料、分散型反応染料、油溶染料、非イオン性食品染料、有機顔料または天然染料などの非イオン型染料の中の一種以上とする。
【0009】
発明原理としては、以下のとおりである。
【0010】
初期温度を持つ超臨界二酸化炭素媒体は溶融した染化料に混じる時に、初期温度は目標温度(すなわち染化料の温度)より低いため、その温度は向上する。なお、一定の圧力下では、超臨界二酸化炭素の密度は温度にかならず影響を受ける。よって、一般的に言えば、超臨界二酸化炭素は混合工程の加温に当たるとその密度が低減し、染料に対する溶解能力も低減するべきである。ところが、本発明における目標温度が染化料融点以上にするのは、染化料を溶融させて染化料と超臨界二酸化炭素との接触面積を増大させて染化料の溶解速度を高める一方、染化料の結晶構造を解体させて染化料の分子間相互作用を低減させて超臨界二酸化炭素への染化料の溶解を容易にする。したがって、初期温度を持つ二酸化炭素へ溶解しにくい染化料の溶解度は高くなってくる。さらに、本発明における混合系の温度が超臨界二酸化炭素の初期温度に冷却するのは、超臨界二酸化炭素の密度を低減させてその溶解能力を向上させるため、温度が融点以下に低下することにより凝結析出するべきである染化料は、析出せずに媒体中に溶解したままである。混合と冷却の間の循環を何度すれば、初期温度下で溶解度が低くて溶解速度が遅い染化料は、その超臨界二酸化炭素への溶解度も溶解速度も向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の利点としては、
(1)本発明に提出した超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法において、染化料を先に溶融してその分子間相互作用を解体させて超臨界二酸化炭素との接触面積を増大させる一方で、温度低下に伴う超臨界二酸化炭素の溶解能力の向上を利用することにより、ただ工程条件の改変で超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度の向上を実現しており、ほかの助溶剤を添加する必要がなく、人体にダメージを与えず、助溶剤の分離除去を考慮する必要もない。
(2)本発明に提出した超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、操作が簡単で、適用範囲が広い。
【0012】
以下に、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0013】
溶解度と溶解速度の測量方法については、
まず、in-situ赤外、ラマンまたは紫外・可視分光法で超臨界二酸化炭素中の既知の量の染化料の吸収スペクトルを測定し、溶解した染化料の物質量を超臨界二酸化炭素の物質量で割った値いわゆる染化料の濃度と、スペクトルの特徴的な吸収ピークの強さとの線形関係を解明する。
そして、染化料と超臨界二酸化炭素の混合が始まる時から、染化料の特徴的なピークの強さは30分間を経ても変化しない時までカウントした時間をt1と記す。
溶解度の計算方法としては、濃度とスペクトルの特徴的な吸収ピークの強さとの線形関係によって、t1時点の特徴的なピークの対する濃度、すなわち該温度と圧力下の染化料の溶解度を計算することである。
溶解速度の計算方法としては、上記の溶解度をt1で割ることである。
【0014】
実施例1~22における各成分は、以下の表で示す。
【表1】
【0015】
実施例1
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、熱媒油により20℃/minで融点182℃の染化料(ディスパースイエロー163)を目標温度(すなわち190℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の3×10-4 g・g-1で初期温度の130℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして自然空冷により1℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち130℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を30minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと20MPaとし、その流量は20トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0016】
比較例1
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、実施例1と大体同じであって、唯一の異なる点は、初期温度の130℃の超臨界二酸化炭素と常温のディスパースイエロー163とを混合することである。該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0017】
比較例2
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、実施例1と大体同じであって、唯一の異なる点は、超臨界二酸化炭素の初期温度の130℃を182℃に置き換えることである(すなわち超臨界二酸化炭素とディスパースイエロー163との混合が始まる時に、それらの温度が同じとする。)。該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0018】
比較例3
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、実施例1と大体同じであって、唯一の異なる点は、初期温度を持つ超臨界二酸化炭素の圧力が20MPa、染化料と混合した超臨界二酸化炭素の圧力が15MPa、染化料を溶解して初期温度に冷却した超臨界二酸化炭素の圧力が20MPaとすることである。該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0019】
比較例4
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、実施例1と大体同じであって、唯一の異なる点は、初期温度を持つ超臨界二酸化炭素の圧力が20MPa、染化料と混合した超臨界二酸化炭素の圧力が20MPa、染化料を溶解して初期温度に冷却した超臨界二酸化炭素の圧力が15MPaとすることである。該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0020】
実施例2
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、電気加熱により15℃/minで融点191℃の染化料(ディスパースブルー60)を目標温度(すなわち205℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の6×10-4 g・g-1で初期温度の135℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして風冷により3℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち135℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を60minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと24MPaとし、その流量は40トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0021】
実施例3
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、赤外加熱により12℃/minで融点156℃の染化料(ディスパースイエロー42)を目標温度(すなわち170℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の7.5×10-4 g・g-1で初期温度の125℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして水冷により5℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち125℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を75minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと27MPaとし、その流量は50トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0022】
実施例4
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、赤外加熱により16℃/minで融点134℃の染化料(ディスパースブルー354)を目標温度(すなわち140℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の1.5×10-3 g・g-1で初期温度の100℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして水冷により4℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち100℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を20minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと25MPaとし、その流量は100トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0023】
実施例5
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、窒素加熱により15℃/minで融点143℃の染化料(アゾービニルスルホン反応型ディスパースオレンジ)を目標温度(すなわち150℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の1×10-3 g・g-1で初期温度の110℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして液体窒素により20℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち110℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を15minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと20MPaとし、その流量は120トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0024】
実施例6
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、赤外加熱により12℃/minで融点128℃の染化料(アゾーホモトリアジン反応型ディスパースレード)を目標温度(すなわち135℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の6×10-4 g・g-1で初期温度の105℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして風冷により10℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち105℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を35minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと23MPaとし、その流量は90トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0025】
実施例8
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、窒素加熱により20℃/minで融点184℃の染化料(ソルベントレード24)を目標温度(すなわち190℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の8×10-4 g・g-1で初期温度の135℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして自然空冷により2℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち135℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を15minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと25MPaとし、その流量は85トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0026】
実施例9
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、熱媒油により15℃/minで融点118℃の染化料(ソルベントブルー63)を目標温度(すなわち120℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の7×10-4 g・g-1で初期温度の85℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして液体窒素により15℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち85℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を10minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと20MPaとし、その流量は70トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0027】
実施例10
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、電気加熱により12℃/minで融点104℃の染化料(アシッドイエロー10)を目標温度(すなわち115℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の4×10-4 g・g-1で初期温度の70℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして水冷により10℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち70℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を15minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと16MPaとし、その流量は35トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0028】
実施例11
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、赤外加熱により14℃/minで融点160℃の染化料(アシッドオレンジ3)を目標温度(すなわち165℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の7×10-5 g・g-1で初期温度の125℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして風冷により8℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち125℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を100minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと19MPaとし、その流量は75トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0029】
実施例12
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、窒素加熱により20℃/minで融点206℃の染化料(ピグメントイエロー5)を目標温度(すなわち210℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の6×10-5 g・g-1で初期温度の140℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして液体窒素により18℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち140℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を110minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと25MPaとし、その流量は100トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0030】
実施例13
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、赤外加熱により14℃/minで融点176℃の染化料(ピグメントレード50)を目標温度(すなわち185℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の8×10-5 g・g-1で初期温度の132℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして水冷により5℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち132℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を90minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと22MPaとし、その流量は80トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0031】
実施例14
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、水浴加熱により10℃/minで融点210℃の染化料(ピグメントレード147)を目標温度(すなわち215℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の6×10-5 g・g-1で初期温度の138℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして風冷により12℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち138℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を120minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと27MPaとし、その流量は120トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0032】
実施例15
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、熱媒油により12℃/minで融点180℃の染化料(クルクミン)を目標温度(すなわち180℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の7.5×10-5 g・g-1で初期温度の135℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして水冷により10℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち135℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を90minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと20MPaとし、その流量は80トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0033】
実施例16
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、赤外加熱により14℃/minで融点136℃の染化料(コチニール)を目標温度(すなわち140℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の1.5×10-4 g・g-1で初期温度の100℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして自然空冷により5℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち100℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を30minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと15MPaとし、その流量は40トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0034】
実施例17
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、マイクロ波加熱により16℃/minで融点195℃の染化料(ルチン)を目標温度(すなわち200℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の6.5×10-5 g・g-1で初期温度の140℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして液体窒素により16℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち140℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を100minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと22MPaとし、その流量は100トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0035】
実施例18
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、電気加熱により15℃/minで融点170℃の染化料(フェルラ酸)を目標温度(すなわち180℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の3.5×10-4 g・g-1で初期温度の120℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして水冷により15℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち120℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を30minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと18MPaとし、その流量は60トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0036】
実施例19
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、マイクロ波加熱により10℃/minで融点218℃の染化料(ドーパミン)を目標温度(すなわち220℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の9×10-5 g・g-1で初期温度の130℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして風冷により18℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち130℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を40minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと20MPaとし、その流量は100トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0037】
実施例20
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、窒素加熱により18℃/minで融点233℃の染化料(クライン5060難燃剤)を目標温度(すなわち240℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO2との重量比の5.5×10-5 g・g-1で初期温度の135℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして液体窒素により20℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち135℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を60minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと18MPaとし、その流量は120トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【0038】
実施例21
超臨界二酸化炭素媒体中の染化料の溶解度と溶解速度を高める方法は、水浴加熱により5℃/minで融点119℃の染化料(DOPO難燃剤)を目標温度(すなわち120℃)まで加熱して溶融させ、染化料とCO
2との重量比の8.5×10
-4 g・g
-1で初期温度の100℃の超臨界二酸化炭素を溶融した染化料と混合させ、そして自然空冷により5℃/minで染化料を溶解した超臨界二酸化炭素を初期温度(すなわち100℃)に冷却し、すべての温度制御を改めずに混合工程と冷却工程の間の循環を10minかけて繰り返し、そのうちに、超臨界二酸化炭素の圧力はずっと16MPaとし、その流量は30トン/hrとすることである。
該工程条件下の超臨界二酸化炭素中の染化料の溶解度と溶解速度を測定し、結果は表1に示す。
【表2】
比較例1と実施例1を対照すると、実施例1における溶解度と溶解速度は比較例1より大幅に向上したことが知られる。原因は、実施例1における方法がディスパースイエロー163内部の分子間相互作用を破壊し、染料が超臨界CO
2媒体に溶解しやすくなり、溶解度が向上し、かつ、溶融したディスパースイエロー163の超臨界CO
2媒体との接触面積が向上し、その溶解速度も向上することである。
比較例2と実施例1を対照すると、実施例1における溶解度と溶解速度は比較例2より大幅に向上したことが知られる。原因は、実施例1における混合後の温度(130℃と190℃の間であるが、190℃より明らかに低い)に比べて、比較例2の182℃の分散染料に混入した超臨界二酸化炭素は、密度が低減し、ディスパースイエロー163に対する溶解能力が低下するため、染料が溶融してもその溶解度と溶解速度はまだ低い。
比較例3と実施例1を対照すると、実施例1における溶解度と溶解速度は比較例3より大幅に向上したことが知られる。原因は、混合工程中の圧力低減のため超臨界二酸化炭素の密度が低減し、ディスパースイエロー163に対する溶解能力が低下してしまって、染料が溶融してもその溶解度と溶解速度はまだ低い。
比較例4と実施例1を対照すると、実施例1における溶解度と溶解速度は比較例4より大幅に向上したことが知られる。原因は、冷却工程中の圧力低減のため超臨界二酸化炭素の密度が低減し、ディスパースイエロー163に対する溶解能力が低下してしまって、染料が溶融してもその溶解度と溶解速度はまだ低い。