(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】シールテープ巻付装置
(51)【国際特許分類】
B65H 81/06 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B65H81/06 B
(21)【出願番号】P 2020145672
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(72)【発明者】
【氏名】前田 明裕
(72)【発明者】
【氏名】宮川 英行
(72)【発明者】
【氏名】小田 邦朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】徳田 伊知郎
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070190(JP,A)
【文献】特開2007-120658(JP,A)
【文献】中国実用新案第209777808(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 81/06
B65H 18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端にネジ部を形成したワークのネジ部を、駆動ローラ及び対となるネジローラ間の作業空間に位置させ、
前記ワークと前記駆動ローラとの間に位置するようにシールテープの先端を配置し、
前記ネジローラを取り付けたローラ取付台を移動させ、前記ワークを前記駆動ローラに押圧し、駆動ローラの回転に伴って、ワークとネジローラとを従動回転させることで送出されるシールテープをネジ部に巻付けるシールテープ巻回装置であって、
前記ネジローラは、周面にワークのネジ山と噛み合うネジ部を備えるとともに、軸方向に挿通口を形成したローラ本体と、
前記挿通口に挿通され、前記ローラ取付台にローラ本体を回動自在に取り付ける軸状の取付部材とからなり、
該取付部材は、軸部、該軸部の先端に形成されたネジ部及び他端に軸部より大径の頭部から構成され、
前記挿通口は、反ローラ取付台側が大径となるように段部が形成され、前記頭部の内側円環端面と段部との間に弾性部材を配設したシールテープ巻回装置。
【請求項2】
さらに、前記挿通口には、ローラ取付台側が大径となるように段部が形成され、前記
ローラ取付台と前記ネジローラとの間に介在させた円環状の摺動部材と
前記段部との間に弾性部材を配設した請求項1に記載のシールテープ巻回装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端にネジ部を形成した中空状ワークのネジ部にシールテープを巻き付けるシールテープ巻付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、中空状のワーク、例えば管用のテーパネジ継手の雄ネジ部にシールテープを巻き付けるシールテープの自動巻付機を開発し、手動によるシールテープの巻き付け作業の省力化と手作業による巻き付け品質のばらつきの低減を図ってきた。
【0003】
手動で、ワークを装置に移動させ、ワークのネジ部にシールテープを巻き付けシールテープの自動巻付機は、
図9に示すように、中空筒状ワークWのネジ部Waを、駆動ローラ10とネジローラ11、11間の作業空間Sに位置させ、駆動ローラ10との間にシールテープが介在するようにネジローラ11、11で押圧する。そして、ネジ部Waが駆動ローラ10に押しつけられることで駆動ローラ10の回転に伴ってネジ部Waが従動回転する。これによって駆動ローラ10とネジ部Waの間に送出されるシールテープTがワークWのネジ部Waに巻付けられる(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この装置では、作業者がワークを掴んでいることから作業中にワークを落下させてしまう虞がある等、作業に時間を要するものであったため、作業空間Sにワークを自動で搬送するシールテープ巻付装置を開発した。
【0005】
このシールテープ巻付装置100の動作を
図6から
図8に基づいて簡単に説明する。まず、初期状態として、
図6に示すように、テープホルダ7を駆動ローラ10から最も離間した上方位置で固定する。シールテープ送出口から延設されるテープガイド6のガイド部60は切断ユニット8よりも上方に位置する。このときテンションユニット5及び切断ユニット8の移動機構52、83はロッドがシリンダ内に入り込み、テンションバー50及びフランジ80が図例最も右側に位置する状態である。そして、この状態でガイド部60にシールテープTを取り付け、ガイド部60からシールテープTの先端部を所定長さだけ延出させた状態で、進退(図例上下動)するように構成する。
【0006】
次に、制御ユニット(図示省略)は、テープホルダ7を下方に移動させるようにすることで、テープガイド6全体も下方に移動させ、ガイド部60から延出しているシールテープTの先端部を駆動ローラ10の周面に当接又は近接するところに位置させる(
図7(a)参照)。
【0007】
そして、図示しないワークWの自動供給装置によって作業空間SにワークWを位置させ、スライドユニット14を作動することでネジローラ11が移動し、ワークWを駆動ローラ10とネジローラ11,11で保持するとともに、ワークWと駆動ローラ10との間にシールテープTを介在させた状態とする。その後、ガイド部60を切断ユニット8の近傍まで上昇させ、テンションユニット5の移動機構52を作動させる。テンションユニット5の作動により、テンションバー50先端の押圧部50aによってシールテープTはネジローラ11側に押し付けられる。これによってシールテープTは、ワークWと駆動ローラ10間からガイド部60との間で張力が付与され、手作業でワークWのネジ部にシールテープTを巻き付ける際と同様の力が作用した状態となる(
図7(b)参照)。
【0008】
図7(b)の状態で、巻き付け作業が開始され、初期の低速巻き付け、その後の高速巻き付けが終了する。
【0009】
次いで、
図8に示すように、テープガイド6を切断ユニット8より上方に移動させて切断ユニット8を動作させる。そして、切断動作と略々同時に駆動ローラ10を高速で回転させシールテープTの余剰部分をワークWのネジ部に巻き付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特公昭55-18233号公報
【文献】特開2020-70190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献2に記載のシールテープ巻付装置は、スライドユニット14の移動に伴ってワークWと当接するネジローラ11のネジ山は、ワークWのネジ山とはその位置が完全に合致する位置にある場合はほとんどない。そのため、ネジローラ11は若干回動しつつ、軸心に対し平行に力が加わりながら、ネジローラ11のネジ山はワークWのネジ山に対して、無理矢理噛み合うこととなる。このため、ネジローラ11はローラ取付台12に押し付けられる場合がある。係る場合には、ネジローラ11は、駆動ローラ10の回転に伴って従動回転する際、ローラ取付台12との間で摩擦抵抗が上昇し、回転不良を起こすことがあった。特に回転不良による影響は、ワークWのサイズが比較的大径の場合に顕著に表れる。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールテープの巻き付けの際、ネジローラがスムーズに回転し、ワークサイズに拘わらず、良好なシールの巻き付けを行なうことができるシールテープ巻付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るテープ巻付装置は、少なくとも一端にネジ部を形成したワークのネジ部を、駆動ローラ及び対となるネジローラ間の作業空間に位置させ、ワークと駆動ローラとの間にシールテープが介在するようにローラ取付台に配置したネジローラをローラ取付台毎移動させ、ワークを駆動ローラに押圧し、駆動ローラの回転に伴って、ワークとネジローラとを従動回転させることで送出されるシールテープをネジ部に巻付けるシールテープ巻付装置であって、ローラ取付台とネジローラとの間に、円環状の摺動部材を介在させるようにしている。
【0014】
このテープ巻付装置は、ワーク固定時にネジローラがローラ取付台側に付勢されても、摺動部材によって、摩擦抵抗を生じさせることなくスムーズにネジローラを回転させ、サイズの大きなワークであっても良好なシールテープの巻き付けを可能とする。
【0015】
この場合において、前記ネジローラは、周面にワークのネジ山と噛み合うネジ部を備えるとともに、軸方向に挿通口を形成したローラ本体と、
前記挿通口に挿通され、前記ローラ取付台にローラ本体を回動自在に取り付ける軸状の取付部材とからなり、
該取付部材は、軸部、該軸部の先端に形成されたネジ部及び他端に軸部より大径の頭部から構成され、
前記挿通口は、反ローラ取付台側が大径となるように段部が形成され、前記頭部の内側円環端面と段部との間に弾性部材を配設することができる。
【0016】
さらにこの場合において、前記挿通口には、ローラ取付台側が大径となるように段部が形成され、前記摺動部材と段部との間に弾性部材を配設することができる。
【0017】
また、これらの場合において、前記摺動部材は、スラストベアリングとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シールテープの巻き付けに際し、ネジローラとネジローラを回動自在に取り付けるローラ取付台との間で摩擦抵抗が増大することなく、ワークサイズに拘わらず、良好なシールの巻き付けを行なうことができるシールテープ巻付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係るシールテープ巻付装置の概略図で、(a)は正面図、(b)は駆動ローラ、ネジローラ及びワークの部分を示す平面図である。
【
図2】同シールテープ巻付装置のネジローラを示す一部切り欠きの断面平面図である。
【
図3】同シールテープ巻付装置のネジローラが、ワークと当接する際の作動の一例を示し、(a)は当接直後、(b)はネジローラ本体が軸方向に移動した状態を示す。
【
図4】同シールテープ巻付装置のネジローラが、ワークと当接する際の作動の別の例を示し、(a)は当接直後、(b)はネジローラ本体が回動しながら摺接部材側に押圧された状態を示す。
【
図5】同シールテープ巻付装置のネジローラの別の実施形態を示す一部切り欠きの断面平面図である。
【
図6】従来のシールテープ巻付装置の概略を正面から見た概略図である。
【
図7】同シールテープ巻付装置の動作を説明する正面図で、(a)はシールテープと共にガイド部を駆動ローラ近傍まで下降させた状態を、(b)は(a)の状態からネジローラを作動させワークを挟持し、さらにテンションユニットを作動させシールテープに張力を付与した状態をそれぞれ示す。
【
図8】
図7に続き、同シールテープ巻付装置の動作を説明する正面図で、巻き付け作業が終了し切断ユニットが作動した状態を示す。
【
図9】従来のシールテープ巻付装置で、手動でワークにテープを巻き付ける際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
<実施形態1>
図1~
図3に、本発明の実施形態1を示す。
【0022】
このテープ巻付装置1は、従来例と同様、少なくとも一端にネジ部Waを形成したワークWのネジ部Waを、駆動ローラ10及び対となるネジローラ11間の作業空間Sに位置させ、ワークWと駆動ローラ10との間にシールテープTの先端を移動させ、ローラ取付台12に配置したネジローラ11を、ローラ取付台12毎移動させ、ワークWを駆動ローラ10に押圧し、駆動ローラ10の回転に伴って、ワークWとネジローラ11とを従動回転させることで送出されるシールテープTをネジ部Waに巻付けるシールテープ巻付装置である。そして、ローラ取付台12とネジローラ11との間に、円環状の摺動部材4を介在させるようにしている。
【0023】
[駆動ローラ]
駆動ローラ10は、その材質は特に限定するものではないが、本実施形態では駆動ローラ10を駆動させる駆動手段(例えば、電動モータ等)の駆動軸又は駆動軸の先端と繋がる金属製の回転軸の周面に嵌合された弾性部材(例えば、環状のウレタンゴム)で構成されている。
【0024】
駆動ローラ10と2つのネジローラ11、11の周面近接部で結ばれた三角の領域がシールテープTを巻き付ける作業空間Sとなる。
【0025】
[ネジローラ]
ネジローラ11は、本実施形態においては
図1に示すように正面視して上下に2個配設される。ネジローラ11は、スライドユニット14によって駆動ローラ10の軸心SC1と略直交方向に移動する。スライドユニット14は、ネジローラ10によってワークWのネジ部Waを駆動ローラに押し付けるだけの押圧力を発揮するものであれば特に限定するものではなく、本実施形態ではガイド付きのエアシリンダを使用している。
【0026】
ネジローラ11は、周面にワークWのネジ山Waと噛み合うネジ部110xを備えるとともに、軸方向に挿通口110aを形成したローラ本体110と、挿通口110aに挿通され、ローラ取付台12にローラ本体110を回動自在に取り付ける軸状の取付部材111とから構成されいる。この取付部材111は、軸部111c、軸部111cの先端に形成されたネジ部111b及び他端に軸部111cより大径の頭部111aから構成され、挿通口110aは、反ローラ取付台12側が大径となるように段部110bが形成され、取付部材111の頭部111aの内側円環端面と段部との間に弾性部材112が配設されている。ネジ部111bは、本実施形態では雄ねじであって、ローラ取付台12に形成した雄ねじ部12aに螺合する。また、ローラ取付台12には貫通孔を形成し、反対面でナットによる固定としても構わない。弾性部材112は、スプリングや皿ばねなどを採用することができるが、本実施形態ではスプリングを用いている。
【0027】
また、ネジローラ11は、シールテープTを巻き付けるワークWのサイズに応じて、外径、ネジローラ間の距離が異なるように複数用意することが好ましい。例えば、R1/8用、R1/4とR3/8、R1/2とR3/4は兼用の3種類のネジローラ構造体13(ネジローラ11とローラ取付台12)とすることができるほか、ワークWのサイズ毎に5種類のネジローラ構造体13を用意することもできる。
【0028】
[ワーク]
ワークWは、例えば、R1/8~R3/4の管用のテーパ雄ネジである。通常両端にネジ部を有するが、一方がテーパのネジ部Waであれば他方は平行ネジ部であっても平行ねじ部にナットが取り付いた状態のものであっても構わない。また、一端にシールテープTを巻き付ける雄ネジ部を形成しておれば、他端側は雌ネジが形成されたアダプタであっても構わない。
【0029】
[摺動部材]
摺動部材4は、ネジローラ本体110のローラ取付台12側の円環状端面と、ローラ取付台12との間に配設される円環状の部材で、本実施形態ではスラストベアリング4Aを採用する(
図2参照)。また摺動部材4は、摺動性の高い、例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ナイロン、アセタール、ポリイミドやポリエステルを原料とした円環状部材を用いることもできる。
【0030】
本実施形態のテープ巻付装置1は、駆動ローラ10と2つのネジローラ11、11の周面近接部で結ばれた三角の領域がシールテープTを巻き付ける作業空間Sとなる。この作業空間SにワークWのネジ部Waを位置させるワーク押出機構(図示省略)に連続的にワークWを供給する、ワークホルダ(図示省略)とワーク挟持機構(図示省略)を備えている。
【0031】
[テープガイド]
テープガイド6は、従来例と同様、
図1に示すようにテープホルダ7から送出されるテープTの先端部は覆うガイド部60と、ガイド部60と連なりテープホルダ7の送出口内に固定され、テープホルダ7と共に往復動(図例では上下動)することでシールテープTを駆動ローラ近傍まで運ぶ帯状部61とから構成される。帯状部61は、略シールテープTと同じ幅寸法で剛性、例えば金属製の薄板である。ガイド部60は、帯状部61と同様の材質の板状の部材で帯状部61の先端を覆う。具体的には、ガイド部60と帯状部61とは一枚の金属板から切り出された一体物で、T字状に切り出され突出した部分をC字状に折り曲げることでガイド部60を形成する。また、帯状部61の先端の裏面に、ガイド部60となる別部材をT字状に配設し、スポット溶接等の固着手段で固定した後、両端部をC字状に湾曲させて構成することもできる。この際、予め両端部をC字状に湾曲させた後に帯状部61の先端に取り付け固定するようにしても構わない。シールテープTは、テープホルダ7が往復動する際に、テープガイド6のガイド部60に覆われて、駆動ローラ10側に進出するとともに、駆動ローラ10とワークWに挟持された状態においてはガイド部60のみ上昇させることができる。
【0032】
シールテープTの取り付けは、テープホルダ7の軸部に多重に巻回されたロール状のシールテープTを取り付け、ガイド部60と帯状部61との隙間にシールテープTを挿通させる。帯状部61は、テープホルダ7内に固定され、制御ユニットで制御されるテープホルダ7の往復動進退機構(図示省略)によって、テープホルダ7と共にシールテープTを駆動ローラ10の近傍まで進退させる。また、帯状部61の下端開口部の長辺が、後述するテンションユニット5を作動させた際に張力をもってシールテープTが当接する箇所となる。そのためテンションユニット5による張力付与時のシールテープTの切断を防止するため、所定のR加工を施すようにすることが好ましい。
【0033】
[テンションユニット]
テンションユニット5は、従来例と同様、
図1に示すように駆動ローラ10の直近上方の反ネジローラ11側に配設され、先端に押圧部50aを形成したテンションバー50と、テンションバー50を駆動ローラ10の軸心に対し略直交する水平方向に移動させる移動機構52から構成される。移動機構52は、ワークWと駆動ローラ10との間で挟持されたシールテープTに張力を付与するだけの押圧力があれば特に限定するものではなく、本実施形態においては空圧のガイド付きシリンダを使用する。また、切断ユニット8の移動機構83も同様のシリンダを使用するようにしている。
【0034】
押圧部50aは、シールテープTを駆動ローラ10側からネジローラ11側に押圧する際、シールテープTに折れや切断が生じない様に円弧形状をなしている。本実施形態においては、テンションバー50と一体成形された構成を示しているがこれに限られず、テンションバー50の先端に軸部を介して回動自在に取り付けたローラであっても構わない。
【0035】
[切断ユニット]
切断ユニット8は、従来例と同様、
図1に示すようにテンションユニット5とテープホルダ7との間に配備され、ネジローラ11側上部の固定刃81と、フランジ80の先端に取り付けられた移動刃82と、フランジ80を駆動ローラ10の軸心に対し略直交する水平方向に移動させる移動機構83とからなる。
【0036】
切断ユニット8は、切断ユニット8の切断刃である固定刃81と移動刃82の刃先が、移動刃82の移動により交差することで、シールテープTを切断する。
【0037】
そして、テンションユニット5の作動時にテープガイド6を切断ユニット8の近傍まで移動させるとともに、シールテープTの巻き付け作業完了時にテープガイド6を切断ユニット8より上方に移動させて切断ユニット8を動作させるように制御する制御ユニット(図示省略)を備え、この制御ユニットは、更に、駆動ローラ10の回転速度、回転時期及び回転時間並びにテープガイド6の動作タイミングを制御する。
【0038】
次に、本実施形態のシールテープ巻付装置1における、ネジローラ11がワークW側に移動し、駆動ローラ10との間のでワークWのネジ部Waとネジローラ11のネジ部110xとが噛み合う状況を
図3及び
図4に基づいて詳細に説明する。
【0039】
ネジローラ11のネジ部110x及びワークWのネジ部Waの山と谷が一致している場合、
図3及び
図4に示すようにネジローラ本体110に軸方向の力は加わることはないが、ネジローラ11とワークWの当接箇所でネジの山と谷が一致することは稀で、通常、ネジローラ11とワークWの最初の当接箇所は
図3(a)又は
図4(a)の状態となる。
【0040】
まず、ネジローラ11がスライドユニット14によってワークW側に移動し、ネジ部が噛み合い始めるとき
図3(a)に示す位置関係となる場合がある。この場合、ワークWを固定しているため、ネジローラ本体110には図例下側に向かう力Fが作用する。本実施形態ではこの力Fは弾性部材112が撓むことで、
図3(b)に示すように、ネジローラ本体110が摺動部材4から離間し、何れの箇所にも余分な負荷が係ることなくシールテープTの巻き付け作業に移行する。
【0041】
次に、ネジローラ11がスライドユニット14によってワークW側に移動し、ネジ部が噛み合い始めるとき
図4(a)に示す位置関係となる場合がある。この場合、ネジローラ本体110には図例上側に向かう力Fが作用する。この力Fは摺動部材4に押圧力となって作用するものの、摺動部材4としてスラストベアリング4Aを用いている場合、力Fはネジ山の捻じれ方向に傾いており、傾き分の分力としてスラストベアリング4Aに対して回動方向の力が加わり、ネジローラ本体110は
図4(b)に示すように、矢付Y方向に容易に回動し、何れの箇所にも余分な負荷が係ることなくシールテープTの巻き付け作業に移行する。
【0042】
このように本実施形態のシールテープ巻付装置1は、ネジ部が噛み合い始めるとき
図3(a)に示す位置関係のときは、ネジローラ本体110内に配備した弾性部材112によって、
図4(a)に示す位置関係となる場合には、ネジローラ11とローラ取付台12との間に配設される摺動部材4としてスラストベアリング4Aによって、何れの箇所にも余分な負荷が係らず、特にネジローラ本体110とローラ取付台12との間で摩擦抵抗が増大し、ネジローラ11の回転不良が生じることもない。
【0043】
<実施形態2>
図5に、本発明の実施形態2を示す。
【0044】
このテープ巻付装置1は、ネジローラ11のネジローラ本体110に開口した挿通口110aに、ローラ取付台12側が大径となるように段部110cが形成され、摺動部材4と段部110cとの間に弾性部材113を配設するようにしている。
【0045】
弾性部材113は、実施形態1で説明した弾性部材112と同様、スプリングや皿ばねなどを採用することができるが、本実施形態では実施形態1と同様、スプリングを用いている。
【0046】
また、弾性部材113の配設箇所は、ネジローラ本体110の段差部110cと摺動部材4との間に配設する例を示すが、摺動部材4とローラ取付台12との間に配設することもできる。この場合、取付部材111の軸部111cの外径より若干大径の内径の皿ばねとすることが好ましい。
【0047】
弾性部材113を配設することで、ネジローラ11がスライドユニット14によってワークW側に移動し、ネジ部が噛み合い始めるとき
図4(a)に示す位置関係となった場合、ネジ山の捻じれ角度に応じた分力による摺動部材4の回動がなくてもネジローラ本体110と摺動部材4との間の隙間がが縮小し、摺動部材4に大きな負荷が係ることはない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明のシールテープ巻付装置は、新規設計のシールテープの巻付装置として好適に用いることができる他、既存のシールテープ巻付装置にもネジローラ構造体を交換することで好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 シールテープ巻付装置
10 駆動ローラ
11 ネジローラ
12 ローラ取付台
4 摺動部材
4A スラストベアリング
T シールテープ
W ワーク