(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】スライス装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/28 20060101AFI20241211BHJP
A22C 17/00 20060101ALI20241211BHJP
A22C 25/20 20060101ALI20241211BHJP
B26D 1/14 20060101ALN20241211BHJP
【FI】
B26D3/28 610G
B26D3/28 610R
A22C17/00
A22C25/20
B26D1/14 D
(21)【出願番号】P 2021167662
(22)【出願日】2021-10-12
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591076028
【氏名又は名称】株式会社なんつね
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】河野 敬明
(72)【発明者】
【氏名】横山 純平
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0337926(KR,Y1)
【文献】特開2018-140474(JP,A)
【文献】特開2007-130692(JP,A)
【文献】特開2002-028894(JP,A)
【文献】特開2006-224262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/28
A22C 17/00
A22C 25/20
B26D 1/12-1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を切断位置に供給する供給部と、前記供給部から供給された食品を切片に切断する切断部と、を備えてなり、
前記切断部は、丸刃と、前記丸刃を回転させ、食品に対して前記丸刃を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、を有し、
前記供給部は、食品を切断位置に送り出すコンベアと、前記コンベアの先端から前記切断位置まで食品の突出部分の周囲に配設されたラックと、を有し、
前記ラックは、
食品を下方から支持する平坦部と、前記丸刃の移動する経路の近傍に位置する部分に丸みを帯びた曲面部
と、からなるラック下部を有し、
前記曲面部は、前記平坦部よりやや下方において切断位置に最も近傍に位置する近接点を有することを特徴とするスライス装置。
【請求項2】
ラックは、丸刃と同程度以上に硬い素材を主体とし形成された枠体であり、前記枠体の表面を丸刃に対して摩擦抵抗の小さくなるように表面処理加工をしたことを特徴とする請求項
1に記載のスライス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸刃を用いて食品を切断するスライス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を切断するスライス装置は、回転する丸刃を食品に対して往復移動させて切断するものであり、とりわけ、食肉、魚肉、チーズ、パンなどの食品を薄い層状に切断加工するものとして使用されている。
【0003】
このスライス装置は、食品の先端を切片の厚みをコンベアから突出させた状態で回転する丸刃で切り込んでいくため、食品の下方が支持されておらず、食品のコンベアの先端付近に切れ残りなどが生じてしまい、食品の切断加工において無駄が発生してしまうものであった。
【0004】
そこで、スライス装置は、コンベア先端付近に設けられ、食品の先端下方を支持する受台や切断補助部などを備えたものが開示されている(例えば特許文献1-2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-1496号公報
【文献】特開2005-342804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したスライス装置は、食品の下方を受台や切断補助部によって、回転する丸刃は切断加工の繰り返しや、冷凍された肉塊や骨などを含有した比較的硬い食品の切断加工をする場合、丸刃が受台側に撓んで接触して破損したりするおそれがある。
【0007】
したがって、丸刃の撓みによって接触しても丸刃の破損を防止するとともに、食品を切断位置近傍で支持するラックを備えたスライス装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、食品を切断位置に供給する供給部と、前記供給部から供給された食品を切片に切断する切断部と、を備えてなり、
前記切断部は、丸刃と、前記丸刃を回転させ、食品に対して前記丸刃を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、を有し、
前記供給部は、食品を切断位置に送り出すコンベアと、前記コンベアの先端から前記切断位置まで食品の突出部分の周囲に配設されたラックと、を有し、
前記ラックは、食品を下方から支持する平坦部と、前記丸刃の移動する経路の近傍に位置する部分に丸みを帯びた曲面部と、からなるラック下部を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、上述した構成に加え、ラックは、丸刃と同程度以上に硬い素材を主体とし形成された枠体であり、前記枠体の表面を丸刃に対して摩擦抵抗の小さくなるように表面処理加工をしたことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、丸刃の撓みに対してラックに接触したとしても、接触する面積を限りなく小さくすることができ、刃先の破損を防止することが可能である。
【0012】
また、丸刃の切断位置をラックに限りなく近づけることでき、それに伴って切れ味をより一層向上させ、食品の切断加工における切れ残りなどの無駄の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のスライス装置の一例を示す概略図である。
【
図2】スライス装置の供給部及び切断部を正面側から見た図である。
【
図4】供給部のラックと切断部の丸刃の位置関係を示す断面図及びラック下部の近接点付近を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るスライス装置の一例について
図1-4に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(実施形態)
スライス装置は、
図1に示すように、食品50を切断位置Xに供給する供給部10と、供給部10から供給された食品50を切断する切断部20と、食品50の切片51を搬出する搬出部30と、を主要部として構成されるものである。
【0016】
供給部10は、食品50を切断位置Xに送り出し、所定の厚みまで押し出す上下方向に配設されたコンベア11と、コンベア11の先端から切断位置まで食品50の突出した周囲に配設されたラック12と、を有する。
【0017】
切断部20は、丸刃21と、丸刃21を回転させるとともに、食品50に対して丸刃21を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、を有する。
【0018】
丸刃21は、外周に刃先22を有する円形板状体である。この円形板状体は、中心の取付位置から刃先22にかけて切断位置Xに向かって傾斜して、この刃先22は、先端が鋭利な片側側面の傾斜面23としたいわゆる片刃で形成される。
【0019】
駆動手段は、
図2に示すように、丸刃21を回転させる回転動作と、丸刃21を食品50に対して垂直方向から切り込むように移動する動作と、を行うアーム部24を有する。この駆動手段は、より具体的には、
図2に示すように、2つの回転する丸刃21をアーム部24の両端に備え付けられ、それぞれ自転させるとともに、アーム部24の中心位置で回転させて、丸刃21を公転させることで経路Lを通って食品50に対して垂直方向から切り込む動作を繰り返し行うものである。
【0020】
搬出部30は、切断位置Xの近傍に配置され、切断部20で切断された食品50の切片51を下方で受けて搬出するためのコンベア31からなる。
【0021】
ラック12は、
図3に示すように、供給部10の上下に配設されたコンベア11の周囲に配設された枠体であり、丸刃21の移動する経路Lの近傍に位置する部分に丸みを帯びた曲面部13が形成され、食品50の下方を位置するラック下部12aと、食品50の左右側面に位置するラック側部12b、12bと、を有する。
【0022】
ラック下部12aは、食品を下方から支持する平坦部14と、平坦部14の側縁から下方に形成された曲面部13と、を有し、曲面部13は、平坦部14よりやや下方において切断位置Xに最も近傍に位置する近接点Gを有する。なお、この平坦部14は、
図4において、コンベア11の上面と略平行に位置するようにしているが、コンベア11の上面と同一平面上に位置するようにしてもよい。
【0023】
また、ラック12は、丸刃21と同程度以上に硬い素材(例えばステンレス等の金属材)から選定して形成された枠体であり、その表面には、丸刃21に対して摩擦抵抗の小さくなるように硬質のクロムメッキ、レイデント(登録商標)、タフトライド(登録商標)、DLCコーティングなど表面処理加工したものである。
【0024】
したがって、上述した構成に基づくスライス装置によって、
図4に示すように、丸刃21の経路Lに沿って移動しながら切断する際に、丸刃21の撓みに対してラック12に接触したとしても、ラック12の接触面積を限りなく小さくすることができ、丸刃21(特に刃先22)の破損を防止することが可能である。
【0025】
また、このスライス装置は、丸刃21の切断位置Xをラック13に対して約0.0mmから0.5mm程度まで限りなく近づけることでき、それに伴って、切れ味をより一層向上させ、食品50の切断加工における切れ味も向上させ、食品50の切断加工における切れ残りなどの無駄の発生を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
10…供給部、11…コンベア、12…ラック、12a…ラック下部、12b…ラック側部、13…曲面部、G…近接点、14…平坦部、
20…切断部、21…丸刃、22…刃先、23…傾斜面、24…アーム部、L…経路、
30…搬出部、31…コンベア、
50…食品、51…切片、X…切断位置。