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特許7602268ベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のためのプロセスおよび中間体、ならびにそれらから調製されたベンゾプロスタサイクリン類縁体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のためのプロセスおよび中間体、ならびにそれらから調製されたベンゾプロスタサイクリン類縁体
(51)【国際特許分類】
   C07C 49/747 20060101AFI20241211BHJP
   C07D 307/93 20060101ALI20241211BHJP
   C07C 69/157 20060101ALI20241211BHJP
   C07C 45/61 20060101ALI20241211BHJP
   C07D 309/12 20060101ALI20241211BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20241211BHJP
   C07B 57/00 20060101ALN20241211BHJP
   C07B 55/00 20060101ALN20241211BHJP
【FI】
C07C49/747 A
C07D307/93 CSP
C07C69/157
C07C45/61
C07D309/12
C07F7/18 A
C07B57/00 343
C07B55/00 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022085012
(22)【出願日】2022-05-25
(65)【公開番号】P2022185576
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】17/336,865
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512213583
【氏名又は名称】チャイロゲート インターナショナル インク.
【氏名又は名称原語表記】CHIROGATE INTERNATIONAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン,チュン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ズー-マン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,シ-イ
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-238046(JP,A)
【文献】特開2013-043890(JP,A)
【文献】特開平08-208637(JP,A)
【文献】特表2005-539079(JP,A)
【文献】Umemiya, S. et al.,Enantioselective Total Synthesis of Beraprost Using Organocatalyst,Organic Letters,2017年,19(5),pp. 1112-1115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
で表されるラセミまたは光学活性化合物(式中、Pは、Hまたはメトキシメチル、メトキシチオメチル、2-メトキシエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、トリフェニルメチル、アリル、ベンジル、置換ベンジルおよびSiRabc(式中、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して、非置換もしくは置換アルキルまたは非置換もしくは置換アリールである)からなる群より選択されるヒドロキシル基のための保護基であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)。
【請求項2】
(R)-エナンチオマーに富み、少なくとも95%鏡像体過剰率の光学純度を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(R)-エナンチオマーに富み、少なくとも99%鏡像体過剰率の光学純度を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(R)-エナンチオマーに富み、少なくとも99.9%鏡像体過剰率の光学純度を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
(R)-エナンチオマーに富み、少なくとも95%鏡像体過剰率(e.e.)の光学純度を有する、式(R)-1”
【化2】
で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)を調製するためのプロセスであって、
(1)式1”
【化3】
で表される化合物を式D
【化4】
で表されるアシル供与体(式中、R4およびR5は独立して、HまたはC16アルキルである)およびアクロモバクター属の種、カンジダ・シリンドラセア、アルカリゲネス属の種、カンジダ・アンタークティカ、シュードモナス・セパシア、バークホルデリア・セパシアもしくはシュードモナス・スツッツェリまたはこれらの混合物に由来する第1のリパーゼによりエナンチオ選択的に(R)-エステル化して、(S)-アルコールおよび(R)-エステルの混合物を形成するステップと、
(2)(S)-アルコールを任意選択で除去するステップと、
(3)(R)-エステルを脱アシル化するステップと
を含むプロセス。
【請求項6】
式Dで表されるアシル供与体が、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、吉草酸ビニル、吉草酸イソプロペニル、酪酸ビニル、酪酸イソプロペニルおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
脱アシル化ステップが、化学的加水分解反応を含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
脱アシル化ステップが、アクロモバクター属の種、アルカリゲネス属の種、カンジダ・アンタークティカ、シュードモナス・セパシア、シュードモナス・スツッツェリ、シュードモナス属の種またはこれらの混合物に由来する第2のリパーゼを使用した酵素的開裂反応を含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
(S)-アルコールを除去するステップが、アゾジカルボン酸ジアルキルおよびトリアリールホスフィンの存在下で、(S)-アルコールを式R4COOHのアシルオキシ供与体(式中、R4は、請求項5に定義されている通りである)と反応させることにより、(S)-アルコールを対応する(R)-エステルへと変換するステップを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項10】
アゾジカルボン酸ジアルキルが、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジベンジルおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
トリアリールホスフィンが、トリフェニルホスフィンである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
式4
【化5】
で表される化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;R2は、HまたはC14-アルキルであり;R3は、C17-アルキル、C27-アルキニル、アリールまたはアリールオキシであり、これらのそれぞれは、非置換であるか、またはC14-アルキル、ハロゲンもしくはトリハロメチルによって置換されており;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2-メトキシエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、トリフェニルメチル、アリル、ベンジル、置換ベンジルおよびSiRabc(式中、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して、非置換もしくは置換アルキルまたは非置換もしくは置換アリールである)からなる群より選択されるヒドロキシル基のための保護基である)を調製するためのプロセスであって、
(1)式1’
【化6】
で表される化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)を、式L1または式L2
【化7】
で表される化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2、R2およびR3は、上に定義されている通りである)に由来する銅塩と反応させて、式2
【化8】
で表される化合物(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(2)式2で表される化合物のケトンを還元して、式3
【化9】
で表される化合物(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(3)式3で表される化合物の分子内環化反応を行って、式4
【化10】
で表される化合物(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(4)脱保護反応を任意選択で行って、前記ヒドロキシル基のための保護基を除去するステップと、
(5)式2、3または4で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)の鈴木クロスカップリング反応を任意選択で行って、式2、3または4で表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、上に定義されている通りである)を形成するステップと
を含むプロセス。
【請求項13】
式4a
【化11】
で表される光学活性化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2-メトキシエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、トリフェニルメチル、アリル、ベンジル、置換ベンジルおよびSiRabc(式中、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して、非置換もしくは置換アルキルまたは非置換もしくは置換アリールである)からなる群より選択されるヒドロキシル基のための保護基である)を調製するための、請求項12に記載のプロセスであって、
(1’)式(R)-1a’
【化12】
で表される光学活性化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)を、式L1aまたは式L2a
【化13】
で表される光学活性化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2は、上に定義されている通りである)に由来する銅塩と反応させて、式2a
【化14】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(2’)式2aで表される化合物のケトンを還元して、式3a
【化15】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(3’)式3aで表される化合物の分子内環化を行って、式4a
【化16】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(4’)脱保護反応を任意選択で行って、前記ヒドロキシル基のための保護基を除去するステップと、
(5’)式2a、3aまたは4aで表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)の鈴木クロスカップリング反応を任意選択で行って、式2a、3aまたは4aで表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、上に定義されている通りである)を形成するステップと
を含むプロセス。
【請求項14】
式4b
【化17】
で表されるラセミ化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2-メトキシエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、トリフェニルメチル、アリル、ベンジル、置換ベンジルおよびSiRabc(式中、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して、非置換もしくは置換アルキルまたは非置換もしくは置換アリールである)からなる群より選択されるヒドロキシル基のための保護基である)を調製するための、請求項12に記載のプロセスであって、
(1’’)式1’
【化18】
で表されるラセミ化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)を、式L1bまたは式L2b
【化19】
で表される化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2は、上に定義されている通りである)を含むラセミおよびジアステレオマー混合物に由来する銅塩と反応させて、式2b
【化20】
で表される化合物:(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(2’’)式2bで表される化合物のケトンを還元して、式3b
【化21】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(3’’)式3bで表される化合物の分子内環化を行って、式4b
【化22】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(4’’)脱保護反応を任意選択で行って、前記ヒドロキシル基のための保護基を除去するステップと、
(5’’)式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)の鈴木クロスカップリング反応を任意選択で行って、式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、上に定義されている通りである)を形成するステップと
を含むプロセス。
【請求項15】
式4a’’
【化23】
で表される光学活性化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)。
【請求項16】
Yが、Brである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
式11,15-シン4b’’
【化24】
で表されるラセミ化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)。
【請求項18】
式4b’’-1、式4b’’-2、式4b’’-3および式4b’’-4
【化25】
で表される4種の異性体(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)を含む、請求項17に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のための新規プロセスおよび中間体、ならびにそれらから調製されたベンゾプロスタサイクリン類縁体に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタサイクリンの発見以来、いくつかの化学的および代謝的に安定したベンゾプロスタサイクリン類縁体が、臨床的に有効な抗血栓剤として開発されてきた。その中でも、東レ株式会社によって開発されたベラプロストは、最も魅力的な化合物の一角である。市販のベラプロストナトリウムは、ラセミ化合物、すなわち、次の4種の異性体の混合物である。
【0003】
【化1】
【0004】
エナンチオマー的に純粋なベラプロスト-314dは、現在、肺高血圧症および血管疾患の治療のために臨床治験中である、ベラプロストの薬理学的に活性な異性体である。
【0005】
ベラプロストまたはベラプロスト-314dの合成は、特許文献1~7および非特許文献1等、先行技術において開示されているが、これらは直線的であり、幾分非効率的である。
【0006】
特許文献8には、次のスキームAに示す通り、共役付加反応による、より高い効率を有するベラプロストの合成経路が記載され、このスキームでは、シクロペンテノンA1から共役付加により中間体A2が得られる(ステップ1)。
【0007】
【化2】
【0008】
スキームAに示す通り、9-ケト基を有する中間体A2は、L-セレクトリドと反応して、9α-ヒドロキシル基を有する中間体A3となる(ステップ2)。その後、中間体A3は、SN2反応を受けて、9α-ヒドロキシル基が9β-クロロ基に変換され、中間体A4となる(ステップ3)。次に、中間体A4を、フェノールの保護基であるメトキシメチル基およびヒドロキシルの保護基であるtert-ブチルジメチルシリル基の除去(ステップ4)、そして分子内環化反応によって、中間体A6となる(ステップ5)。
【0009】
しかし、スキームAに記載されているこのアプローチは、シクロペンテノンA1からベンゾプロスタサイクリンの三環系構造を形成するために少なくとも5つのステップが必要である。したがって、工業的にベンゾプロスタサイクリンの三環系構造を形成するための効率的な共役付加アプローチを発見および開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許5202447号明細書
【文献】中国特許出願公開106478572号明細書
【文献】国際公開2017/174439号パンフレット
【文献】米国特許8779170号明細書
【文献】米国特許9334255号明細書
【文献】米国特許9765047号明細書
【文献】米国特許8779170号明細書
【文献】米国特許7345181号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】Tetrahedron Lett.1990、31、4493.
【文献】Org.Lett.2017、19、1112.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、より高いジアステレオマー純度やエナンチオマー純度を有するベンゾプロスタサイクリン類縁体およびその中間体を産生し、これにより、高い純度を有する生成物を形成するためのより効率的な共役付加アプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、本発明は、式1
【0014】
【化3】
【0015】
で表されるラセミまたは光学活性のシクロペンテノン(式中、Pは、HまたはP1であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1は、ヒドロキシル基のための保護基である)を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、(R)-エナンチオマーに富み、少なくとも95%鏡像体過剰率(e.e.)の光学純度を有する、式(R)-1”
【0017】
【化4】
【0018】
で表される化合物の調製のためのプロセスを提供する(式中、Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)。
【0019】
別の態様では、本発明は、式4
【0020】
【化5】
【0021】
で表されるベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のためのプロセスを提供する(式中、Pは、H、P1またはP2であり;R2は、HまたはC14-アルキルであり;R3は、C17-アルキル、C27-アルキニル、アリールまたはアリールオキシであり、これらのそれぞれは、非置換であるか、またはC14-アルキル、ハロゲンもしくはトリハロメチルによって置換されており;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1またはP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)。
【0022】
別の態様では、本発明は、式4a
【0023】
【化6】
【0024】
で表される光学活性のベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のためのプロセスを提供する(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)。
【0025】
別の一態様では、本発明は、式4b
【0026】
【化7】
【0027】
で表される、ラセミベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のためのプロセスを提供する(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)。
【0028】
別の一態様では、本発明は、ベラプロスト-314dの調製に使用される、式4a’’
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)で表される光学活性の中間体を提供する。
【0031】
さらに別の態様では、本発明は、式11,15-シン4b’’
【0032】
【化9】
【0033】
(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)で表されるラセミ中間体を提供し、これは、ベラプロストの調製に使用され、式4b’’-1、式4b’’-2、式4b’’-3および式4b’’-4
【0034】
【化10】
【0035】
で表される、4種の異性体を少なくとも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
定義
特許請求の範囲および/または本明細書において、用語「を含む(comprising)」と併せて使用される場合、単語「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、「1つの」を意味することができるが、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」および「1つのまたは2つ以上の」の意味とも一貫する。特許請求の範囲における用語「または(or)」の使用は、選択肢のみを指すと明確に指し示されない限り、または選択肢が相互排他的でない限り、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は、選択肢のみを指す定義および「および/または」を支持する。本願を通して、用語「約」は、ある値が、この値の決定に用いられているデバイス、方法に固有の誤差変動、または研究対象の間に存在する変動を含むことを指し示すように使用される。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単語「を含む(comprising)」(ならびに「を含む(comprise)」および「を含む(comprises)」等、を含む(comprising)のいずれかの形態)、「を有する(having)」(ならびに「を有する(have)」および「を有する(has)」等、を有する(having)のいずれかの形態)、「を含む(including)」(ならびに「を含む(includes)」および「を含む(include)」等、を含む(including)のいずれかの形態)または「を含有する(containing)」(ならびに「を含有する(contains)」および「を含有する(contain)」等、を含有する(containing)のいずれかの形態)は、包括的またはオープンエンドであり、追加的な列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。
【0038】
他に指定がなければ、本明細書で使用されている用語「アルキル」は、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチルその他等、1~30個の炭素原子、好ましくは1~20個の炭素原子、最も好ましくは1~12個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状炭化水素基;またはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メンチルその他等、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する環状飽和炭化水素基を指す。
【0039】
他に指定がなければ、本明細書で使用されている用語「アルキニル」は、ペンチニル、プロピニルその他等、2~30個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子および1個もしくは複数の炭素間三重結合を含有する直鎖状または分枝状炭化水素基;または6~20個の炭素原子および1個もしくは複数の炭素間三重結合を有する環状不飽和炭化水素基を指す。
【0040】
他に指定がなければ、本明細書で使用されている用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルその他等、6~30個の炭素原子、好ましくは6~20個の炭素原子を有する単環式または多環式芳香族炭化水素基を指す。
【0041】
他に指定がなければ、本明細書で使用されている用語「アラルキル」は、ベンジル、ベンズヒドリル、フルオレニルメチルその他等、1~20個の炭素原子および上に記載されている1個または複数のアリール基を含有する直鎖状または分枝状炭化水素を指す。
【0042】
上述のアルキル、アルキニル、アリールおよびアラルキルのそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシ、チオアルコキシル、チオアリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルおよびカルボニルからなる群から選択される1個もしくは複数の置換基、またはピリジニル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、モルフォリニル、オキサゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピロリジノニルその他からなる群から選択される複素環基により任意選択で置換されていてよい。
【0043】
他に指定がなければ、用語「ヒドロキシル基のための保護基」は、有機合成化学において従来定義された意味を有する、すなわち、化学反応の攻撃から化合物のヒドロキシル基または部分を保護することができる基である。ヒドロキシル基のための保護基の例として、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2-メトキシエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、トリフェニルメチル、アリル、ベンジル、置換ベンジルおよびSiRabc(式中、Ra、RbおよびRcはそれぞれ独立して、C14アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニルおよび置換ベンジル等、非置換もしくは置換アルキルまたは非置換もしくは置換アリールである)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
【化11】
【0045】
式1’で表されるラセミシクロペンテノンの合成経路
本発明は、式1’
【0046】
【化12】
【0047】
で表されるラセミシクロペンテノンの調製プロセスを提供する(式中、P1は、ヒドロキシル基のための保護基であり、Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)。
【0048】
本発明において、式1’で表される化合物は、スキームBに示す反応に従って調製することができる。スキームBに示す通り、式5で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)を、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)と反応させて、位置選択的リチオ化により、これを有機リチウム中間体へと変換し、続いてジメチルホルムアミド(DMF)によるホルミル化を行って、式6で表される化合物(式中、Xは、上に定義されている通りである)を得る(ステップ1)。次に、式6で表される化合物を、1,2-付加反応により2-リチオフランで処理して、式7で表される化合物を提供する(ステップ2)。その後、式7で表される化合物は、ピアンカテリ転位(ステップ3)および異性化(ステップ4)を受けて、式1”のシクロペンテノンを生じる。最後に、式1”で表される化合物の2級ヒドロキシル基が保護されて、式1’で表される化合物(式中、P1は、ヒドロキシル基のための保護基であり、Xは、上に定義されている通りである)を得る(ステップ5)。一部の実施形態では、式6、7、8、1”または1’で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)に対して鈴木クロスカップリング反応を行って、式6、7、8、1”または1’で表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)を形成することができる。
【0049】
【化13】
【0050】
本発明はまた、式1
【化14】
【0051】
で表されるラセミまたは光学活性の化合物を提供する(式中、Pは、HまたはP1であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1は、ヒドロキシル基のための保護基である)。
【0052】
式1”で表されるラセミシクロペンテノンのキラル分割
【0053】
本発明において、スキームCに示す反応に従って、式1”のラセミシクロペンテノンは、容易にキラル分割して、(R)-エナンチオマーに富むようになされ、高い光学純度を有するシクロペンテノンを形成することができる。スキームCに示す通り、式1”のラセミ化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)は、第1のリパーゼを使用することによるエナンチオ選択的エステル化により分割されて、式(S)-1”の未反応のアルコールおよび式8のエステルの混合物を形成する(ステップ1)。次に、例えば、カラム精製により混合物から単離することにより、式(S)-1”の未反応のアルコールを容易に除去し、次いで、光延反応を受けるように進めて、式8の対応する化合物を生じることができる。あるいは、混合物は、光延反応を直接的に受けて(ステップ2)、式(S)-1”の未反応のアルコールを式8で表される化合物へと変換することができる。最後に、化学的加水分解反応または酵素的開裂反応を使用することにより、式8で表される化合物を脱アシル化して、(R)-エナンチオマーに富み、高い光学純度を有する式(R)-1”で表される化合物を形成する。
【0054】
【化15】
【0055】
スキームCのステップ1において、式1”のシクロペンテノンのエナンチオ選択的エステル化は、第1のリパーゼの存在下で、式Dのアシル供与体(式中、R4およびR5は独立して、HまたはC16アルキルである)により行われ、アシル供与体は、(R)形態のシクロペンテノンと優先的に反応し、これにより、本質的に式8の光学的に活性なエステルおよび式(S)-1”の未反応のアルコールからなる混合物を生成する。
【0056】
【化16】
【0057】
一部の実施形態では、適した第1のリパーゼは、市販されており、アクロモバクター属(Achromobacter)の種、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)、アルカリゲネス属(Alcaligenese)の種、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarcitica)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacian)、シュードモナス・スツッツェリ(Pseudomonas stutzri)またはこれらの混合物、好ましくは、アルカリゲネス属の種、カンジダ・シリンドラセア、カンジダ・アンタークティカ、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)またはシュードモナス・スツッツェリ、最も好ましくは、バークホルデリア・セパシアに由来し得る。適したアシル供与体として、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、吉草酸ビニル、吉草酸イソプロペニル、酪酸ビニル、酪酸イソプロペニルおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されず、酢酸ビニルが特に好ましい。さらに、エナンチオ選択的エステル化反応は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エーテル、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルおよびこれらの混合物等、単一の有機溶媒または有機溶媒の混合物において行うことができる。適切な反応温度は、約5℃~約50℃であり、好ましくは、室温である。
【0058】
スキームCのステップ2は、光延反応に関する。式(S)-1”の未反応のアルコールを、アルコールおよびエステルの異なる極性によるカラム精製によって、スキームCのステップ1から得られた混合物から容易に分離して、式8のエステルを形成するための光延反応を受けることができる。一部の実施形態では、混合物から式(S)-1”および式8で表される化合物を分離する必要はなく、混合物は、光延反応を直接的に受けて、式(S)-1”の未反応のアルコールを式8のエステルへと変換することができる。このステップにおいて、混合物中の式(S)-1”のアルコールのほぼ100%が、式8のエステルへと変換することができる。
【0059】
光延反応において、式(S)-1”の未反応のアルコールは、適した溶媒中のアゾジカルボン酸ジアルキルおよびトリアルキル/トリアリールホスフィンの存在下で、式R4COOH(式中、R4は、HまたはC16アルキルである)のアシルオキシ供与体で処理して、これを式8で表される化合物へと変換することができる。適したアゾジカルボン酸ジアルキルとして、アゾジカルボン酸ジメチル(DMAD)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、アゾジカルボン酸ジtert-ブチル(DTBAD)、アゾジカルボン酸ジベンジル(DBAD)、アゾジカルボン酸ビス-トリクロロエチル(BTCEAD)、アゾジカルボン酸ジp-クロロベンジル(DCAD)、アゾジカルボン酸ジ4-ニトロベンジル(DNAD)、アゾジカルボン酸ジシクロペンチル(DCpAD)およびこれらの混合物;好ましくは、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジベンジルおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。適したトリアルキル/トリアリールホスフィンとして、トリn-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンおよびこれらの混合物;好ましくは、トリフェニルホスフィンが挙げられるが、これらに限定されない。光延反応における適した溶媒として、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジクロロメタンおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。光延反応は、好ましくは、約-30℃~約70℃の適切な温度で、好ましくは、室温で行うことができる。
【0060】
スキームCのステップ3は、化学的加水分解反応または酵素的開裂反応等、脱アシル化反応に関する。一部の実施形態では、脱アシル化反応は、アルコール系における酸触媒を使用した化学的加水分解反応である。適した酸触媒として、リン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。アルコール系における適したアルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、式8で表される化合物の化学的加水分解反応は、硫酸およびメタノールの存在下で行うことができる。
【0061】
一部の実施形態では、スキームCのステップ3における脱アシル化反応は、酵素的開裂反応である。酵素的開裂反応を、適切な温度で適した有機溶媒または水溶液系において第2のリパーゼの存在下で行って、式(R)-1”で表される化合物を得ることができる。適した第2のリパーゼは、市販されており、アクロモバクター属の種、アルカリゲネス属の種、カンジダ・アンタークティカ、シュードモナス・セパシア、シュードモナス・スツッツェリ、シュードモナス属(Psudomonas)の種、またはこれらの混合物;好ましくは、アクロモバクター属の種、アルカリゲネス属の種、カンジダ・アンタークティカ、シュードモナス属の種またはこれらの混合物;最も好ましくは、カンジダ・アンタークティカに由来するものであってもよい。
【0062】
本発明において、脱アシル化反応は、式(R)-1”で表される、生じた化合物の光学純度の目的でモニターされる。一部の実施形態では、脱アシル化は、キラルカラムを使用したHPLCによってモニターされ、好ましくは、生じた化合物の光学純度が、約95%e.e.、好ましくは約99%e.e.、より好ましくは約99.9%e.e.となったときに、第2のリパーゼを除去することにより停止される。一部の実施形態では、式8の未反応のエステルおよびそのエナンチオマーは、脱アシル化反応の後に、カラムクロマトグラフィー等により除去することができる。本発明において、式(R)-1”で表される化合物は、少なくとも約95%e.e.、好ましくは、少なくとも約99%e.e.、最も好ましくは、少なくとも約99.9%e.e.の光学的活性で産生される。
【0063】
したがって、本発明は、(R)-エナンチオマーに富み、少なくとも95%e.e.の光学純度を有する式(R)-1”
【0064】
【化17】
【0065】
で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)を調製するためのプロセスであって、
(1)式1”
【0066】
【化18】
【0067】
で表されるアシル供与体(式中、R4およびR5は独立して、HまたはC16アルキルである)および第1のリパーゼによりエナンチオ選択的に(R)-エステル化して、(S)-アルコールおよび(R)-エステルの混合物を形成するステップと、
(2)(S)-アルコールを任意選択で除去するステップと、
(3)(R)-エステルを脱アシル化するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0068】
一部の実施形態では、鈴木クロスカップリング反応を、式(R)-1”で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)に対して行って、式(R)-1”で表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)を形成することができる。
【0069】
式4で表されるベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製
【0070】
本発明はまた、式4
【0071】
【化19】
【0072】
で表されるベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製プロセスを提供する(式中、Pは、H、P1またはP2であり;R2は、HまたはC14-アルキルであり;R3は、C17-アルキル、C27-アルキニル、アリールまたはアリールオキシであり、これらのそれぞれは、非置換であるか、またはC14-アルキル、ハロゲンもしくはトリハロメチルによって置換されており;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)。
【0073】
本発明において、式4で表される化合物は、スキームDに示す反応に従って調製することができる。スキームDに示す通り、式4で表される化合物の合成は、式1’で表される化合物から開始し、ステップ1は、1,4-付加反応に関し、ステップ2は、還元反応に関し、ステップ3は、分子内環化反応に関する。
【0074】
【化20】
【0075】
その後に記載された詳細は、本発明のベンゾプロスタサイクリン類縁体の調製のためのプロセスのいずれかに使用することができる。スキームDのステップ1において、式2のシクロペンテノン(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)は、式1’のシクロペンテノン(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)の、式L1、式L2または式L3で表される化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2、R2およびR3は、上に定義されている通りである)に由来する銅塩のω-側鎖単位とのカップリング反応によって調製される。一部の実施形態では、反応は、約-100℃~約-20℃の温度で、好ましくは、約-80℃~約-40℃で行われる。
【0076】
【化21】
【0077】
スキームDのステップ2は、ケト-還元反応が関与する。ステップ2において、式2で表される化合物のC9-カルボニル基は、還元試薬によりα-ヒドロキシル基へと還元される。適した還元試薬として、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化リチウムトリ-tert-ブトキシアルミニウム、水素化トリアルキルホウ素リチウム、水素化トリアルキルホウ素カリウム、水素化トリアルキルホウ素ナトリウムおよびこれらの混合物;好ましくは、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム(L-セレクトリド)、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素ナトリウム(N-セレクトリド)、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素ナトリウム(K-セレクトリド)、水素化トリアミルホウ素リチウム、水素化トリアミルホウ素カリウムおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されず;水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム(L-セレクトリド)が、このステップにおいて、還元試薬としてより好ましい。
【0078】
スキームDのステップ3に示す通り、式4のベンゾプロスタサイクリン類縁体は、適した塩基条件の存在下で、式3で表される化合物の分子内環化反応によって調製される。一部の実施形態では、分子内環化反応は、約0℃~約120℃の温度で、適した溶媒中で適した塩基を使用することにより達成される。適した塩基として、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、カリウムtert-ブトキシド、ブチルリチウムおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。適した溶媒として、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、グリム、ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、1,2-ジメトキシプロパン、トルエンおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0079】
ベンゾプロスタサイクリンの三環系構造を形成するために5つのステップを必要とするスキームAに示す従来の共役付加反応と比較して、本発明のプロセスは、ベンゾプロスタサイクリンの三環系構造を形成するために3つのステップしか必要としない。本発明のプロセスは、より効率的な共役付加アプローチである。
【0080】
一部の実施形態では、得られた式2、3または4で表される化合物を脱保護反応に付して、ヒドロキシル基のための保護基を除去することができる。
【0081】
一部の実施形態では、鈴木クロスカップリング反応を、式2、3または4で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)に対して行って、式2、3または4で表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)を形成することができる。鈴木クロスカップリング反応は、好ましくは、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)、ジシアミルボラン、ジイソアミルボラン、カテコールボラン、ジイソピノカムフェニルボラン、ジシクロヘキシルボラン、ビス(ピナコラト)ジボランおよびこれらの混合物等のボラン試薬により、アルキル(R1)3-ブテノアート(式中、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)から調製される、式BR2-CH2CH2CH2COOR1のアルキルボラン(式中、Rは、アルキル基である)の存在下で行うことができる。鈴木クロスカップリング反応は、約50℃~約60℃の温度で、窒素またはアルゴン下にて、パラジウム触媒、リガンドおよび塩基の存在下で行うこともできる。適したパラジウム触媒として、Pd(PPh34、Pd(dppf)2Cl2-DCM、Pd(dppf)2Cl2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)2、ビス(エータ3-アリル-ミュー-クロロパラジウム(II)およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、パラジウム触媒をリガンドで処理して、クロスカップリング反応の反応性を促進するためのパラジウム錯体を形成することができる。適したリガンドとして、PPh3、AsPh3、P(OMe)3、(n-Bu)3P、dppe、dppp、ジシクロヘキシル-(2,6-ジメトキシビフェニル-2イル)ホスファンおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。適した塩基は、Pd-ハライド錯体の形成に向かうアルキルボランの反応性を増加させて、クロスカップリング率を促進することができ、そのようなものとして、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、NaOMe、K3PO4、t-BuONa、t-BuOK、K3PO4、NaOHおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、鈴木クロスカップリング反応は、60℃で、テトラヒドロフラン溶媒中にて、Pd(dppf)2Cl2-DCM、AsPh3およびK3PO4の存在下で行われる。
【0082】
したがって、本発明は、式4
【0083】
【化22】
【0084】
で表される化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;R2は、HまたはC14-アルキルであり;R3は、C17-アルキル、C27-アルキニル、アリールまたはアリールオキシであり、これらの各々は、非置換であるか、またはC14-アルキル、ハロゲンもしくはトリハロメチルによって置換されており;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)を調製するためのプロセスであって、
(1)式1’
【0085】
【化23】
【0086】
で表される化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)を、式L1、式L2または式L3
【0087】
【化24】
【0088】
で表される化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2、R2およびR3は、上に定義されている通りである)に由来する銅塩と反応させて、式2
【0089】
【化25】
【0090】
で表される化合物(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(2)式2で表される化合物のケトンを還元して、式3
【0091】
【化26】
【0092】
で表される化合物(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(3)式3で表される化合物の分子内環化反応を行って、式4
【0093】
【化27】
【0094】
で表される化合物(式中、P、X、R2およびR3は、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(4)脱保護反応を任意選択で行って、ヒドロキシル基のための保護基を除去するステップと、
(5)式2、3または4で表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)の鈴木クロスカップリング反応を任意選択で行って、式2、3または4で表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、上に定義されている通りである)を形成するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0095】
式4aで表される光学活性のベンゾプロスタサイクリン類縁体の合成経路
【0096】
本発明はさらに、式4a
【0097】
【化28】
【0098】
で表される光学活性化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)の調製プロセスを提供する。
【0099】
スキームEに記載されている通り、式4aで表される化合物の合成は、スキームDに示す通りの式4で表される化合物の合成と同様である。式4aで表される化合物の合成は、式(R)-1’で表される光学活性化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)および式L1a、式L2aまたは式L3a
【0100】
【化29】
【0101】
で表される光学活性化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2は、ヒドロキシル基のための保護基である)から開始する。
【0102】
【化30】
【0103】
スキームEのステップ1において、式2aで表される化合物は、式(R)-1’で表される光学活性化合物の、式L1a、L2aまたはL3aの光学活性化合物に由来する銅塩のω-側鎖単位とのカップリング反応によって調製される。次に、式2aで表される化合物は、還元反応(ステップ2)および分子内環化(ステップ3)に付されて、式4aで表される化合物(式中、XおよびPは、上に定義されている通りである)を得る。
【0104】
一部の実施形態では、得られた式2a、3aまたは4aで表される化合物を脱保護反応に付して、ヒドロキシル基のための保護基を除去することができる。一部の実施形態では、式2a、3aまたは4aで表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)を、鈴木クロスカップリング反応により、式2a、3aまたは4aで表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)へと変換することができる。
【0105】
したがって、本発明は、式4a
【0106】
【化31】
【0107】
で表される光学活性化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)を調製するためのプロセスであって、
(1)式(R)-1’
【0108】
【化32】
【0109】
で表される光学活性化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)を、式L1a、式L2aまたは式L3a
【0110】
【化33】
【0111】
で表される光学活性化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2は、ヒドロキシル基のための保護基である)に由来する銅塩と反応させて、式2a
【0112】
【化34】
【0113】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(2)式2aで表される化合物のケトンを還元して、式3a
【0114】
【化35】
【0115】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(3)式3aで表される化合物の分子内環化を行って、式4a
【0116】
【化36】
【0117】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(4)脱保護反応を任意選択で行って、ヒドロキシル基のための保護基を除去するステップと、
(5)式2a、3aまたは4aで表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)の鈴木クロスカップリング反応を任意選択で行って、式2a、3aまたは4aで表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、上に定義されている通りである)を形成するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0118】
式4bのベンゾプロスタサイクリン類縁体の合成経路
【0119】
本発明はさらに、式4b
【0120】
【化37】
【0121】
で表される化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)の調製プロセスを提供する。
【0122】
式4bで表される化合物は、スキームFに示す反応に従って調製することができる。
【0123】
【化38】
【0124】
スキームFに示す式4bで表される化合物の合成経路もまた、スキームDまたはEに記載の反応と同様である。スキームFのステップ1において、式1’のラセミシクロペンテノンは、カップリング反応により、式L1b、式L2bまたは式L3b
【0125】
【化39】
【0126】
で表される化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり、P2は、上に定義されている通りである)を含むラセミおよびジアステレオマー混合物から形成された銅塩と反応して、式2bで表される化合物を形成する(ステップ1)。その後、式2bで表される化合物を、還元反応(ステップ2)および分子内環化反応(ステップ3)に付して、式4bで表される化合物、式11,15-シン4bで表される化合物および式11,15-アンチ4bで表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を含む混合物または組成物を形成する。
【0127】
【化40】
【0128】
一般に、式4bで表される化合物の望まれない11,15-アンチ異性体は、ラセミ銅塩による式1’のラセミシクロペンテノンの処理によって、約50%の量で得られる場合がある。
【0129】
しかし、本発明のカップリング反応が、式4bで表される化合物の11,15-シン異性体の形成に対して高い選択性を有し、よって、式11,15-シン4bで表される化合物および式11,15-アンチ4bで表される化合物の比が、HPLCによって検出される際に約70%以上および約30%以下で観察されるという予想外の結果が生じる。この予想外の結果は、ラセミシクロペンテノン1’の11(R)-エナンチオマーとラセミ銅塩の15(S)-エナンチオマー、またはラセミシクロペンテノン1’の11(S)-エナンチオマーとラセミ銅塩の15(R)-エナンチオマーとが、マッチしたペアであるため、これらのカップリング反応は、11,15-シン異性体を形成する傾向があることを示す。対照的に、ラセミシクロペンテノン1’の11(R)-エナンチオマーとラセミ銅塩の15(R)-エナンチオマー、またはラセミシクロペンテノン1’の11(S)-エナンチオマーとラセミ銅塩の15(S)-エナンチオマーとは、ミスマッチなペアであるため、これらのカップリング反応は、11,15-アンチ異性体を生成する傾向がない。本発明において、望まれない11,15-アンチ異性体(15-エピマーとも呼ばれる)は、カラムクロマトグラフィーまたは結晶化によって分離することができる。
【0130】
一部の実施形態では、式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Pは、Hである)は、式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Pは、ヒドロキシル基のための保護基である)の保護基の脱保護によって得ることができる。
【0131】
一部の実施形態では、式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)は、鈴木クロスカップリング反応により、式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルである)へと変換することができる。
【0132】
したがって、本発明は、式4b
【0133】
【化41】
【0134】
で表されるラセミ化合物(式中、Pは、H、P1またはP2であり;Xは、Cl、Br、Iまたは-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、C17-アルキルまたはC711-アラルキルであり;P1およびP2は、ヒドロキシル基のための保護基である)を調製するためのプロセスであって、
(1)式1’
【0135】
【化42】
【0136】
で表されるラセミ化合物(式中、P1およびXは、上に定義されている通りである)を、式L1b、式L2bまたは式L3b
【0137】
【化43】
【0138】
で表される化合物(式中、Yは、Cl、BrまたはIであり;P2は、上に定義されている通りである)を含むラセミおよびジアステレオマー混合物に由来する銅塩と反応させて、式2b
【0139】
【化44】
【0140】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(2)式2bで表される化合物のケトンを還元して、式3b
【0141】
【化45】
【0142】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(3)式3bで表される化合物の分子内環化を行って、式4b
【0143】
【化46】
【0144】
で表される化合物(式中、PおよびXは、上に定義されている通りである)を形成するステップと、
(4)脱保護反応を任意選択で行って、ヒドロキシル基のための保護基を除去するステップと、
(5)式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIである)の鈴木クロスカップリング反応を任意選択で行って、式2b、3bまたは4bで表される化合物(式中、Xは、-CH2CH2CH2COOR1であり、R1は、上に定義されている通りである)を形成するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0145】
本発明はさらに、ベラプロストの調製に使用される、式11,15-シン4b’’
【0146】
【化47】
【0147】
で表されるラセミ中間体(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)を提供する。
【0148】
本発明において、式11,15-シン4b’’で表されるラセミ中間体は、式4b’’-1、式4b’’-2、式4b’’-3および式4b’’-4
【0149】
【化48】
【0150】
で表される4種の11,15-シン異性体(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)を少なくとも含む。
【0151】
式11,15-シン4b’’で表される化合物は、優れた結晶化度を有し、よって、結晶化によって容易に精製して、望まれない11,15-アンチ異性体を除去することができる。よって、望まれない11,15-アンチ異性体の量は、生じた中間体混合物中で約5%、1%または0.1%以下まで低下させることができる。
【0152】
本発明はまた、ベラプロスト-314dの調製に使用される、式4a’’
【0153】
【化49】
【0154】
で表される、新規光学活性中間体(式中、Yは、Cl、BrまたはIである)を提供する。
【0155】
本発明において、式4a”で表される化合物は、優れた結晶化度を有し、よって、極性/非極性溶媒混合物から行われる結晶化プロセスによって容易に結晶化することができる。適した極性/非極性溶媒系として、酢酸エチル/n-ヘキサン、酢酸エチル/n-ヘプタン、MTBE/n-ヘプタンおよびiPrOAc/n-ヘプタン混合物が挙げられるがこれらに限定されない。さらに、結晶化プロセスを反復することにより、先行する反応から生成された不純物を約5%、1%または0.1%以下まで低下させて、高純度化合物を生じることができる。
【0156】
本明細書に開示および請求されている化合物および/またはプロセスは全て、本開示を踏まえて、過度の実験法を用いずに作製および実施することができる。本発明の化合物およびプロセスについて、好ましい実施形態の観点から記載してきたが、当業者であれば、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている組成物および/または方法に、ならびに方法のステップまたは一連のステップにおいて、変更を加えても良いことが明らかとなるであろう。当業者にとって明らかな、あらゆる同様の置換および修正が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念にあると考慮される。
【実施例
【0157】
実施例1
【0158】
(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)(フラン-2-イル)メタノール
【0159】
【化50】
【0160】
ジイソプロピルアミン(43.3g、0.43モル)の乾燥THF(220mL)溶液に、窒素下で-50℃にて、n-BuLi(1.6M(270mL、0.43モル)THF溶液)を滴下添加した。反応混合物を-10℃まで昇温した。1時間後に、反応混合物を-70℃に冷却した。1-ブロモ-2-フルオロベンゼン(50.0g、0.29モル)の乾燥THF(200mL)溶液を、滴下漏斗でそこにゆっくり添加し、反応温度を-70℃~-65℃の間に維持した。その後、反応混合物を-70℃で30分間撹拌した。次に、フルフラール(28.8g、0.30モル)の乾燥THF(29mL)溶液を、滴下漏斗でそこにゆっくり添加し、反応温度を-70℃~-65℃に維持した。反応の完了をTLCモニターで確認した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)で反応を止めた。反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、78gの粗標題化合物を得た。
実施例2
【0161】
5-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン
【0162】
【化51】
【0163】
p-TsOH-H2O(54.95g、0.29モル)を、(2-ブロモ-3-フルオロフェニル)(フラン-2-イル)メタノール(78g、0.29モル、実施例1から)のTHF/H2O混合物(780mL、THF/H2O=8/1)中溶液に添加し、反応混合物を60℃で撹拌した。反応完了後に、混合物を10%NaHCO3水溶液(800mL)で反応を止め、反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチル(500mL)で抽出した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、82.5gの粗標題化合物を得た。
実施例3
【0164】
2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン
【0165】
【化52】
【0166】
粗5-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン(82.5g、実施例2から)のトルエン(825mL)中溶液に、トリエチルアミン(30.9g、0.305モル)および抱水クロラール(5.05g、30.5mmol)を室温で添加した。反応の完了をTLCモニターで確認した。混合物を10%NaCl水溶液(800mL)によって洗浄し、無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、28.81g(45%、3ステップ)であった。
【0167】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.813-7.824 (m, 1H), 7.716-7.756 (m, 1H), 7.512-7.552 (m, 1H), 7.036-7.079 (m, 1H), 5.099-5.114 (m, 1H), 2.931-2.993 (m, 1H), 2.455-2.507(dd, 1H).
実施例4
【0168】
2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタ-2-エノン
【0169】
【化53】
【0170】
2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン(51.0g、143.6mmol、実施例3から)をジクロロメタン(510mL)で溶解した。次に、酢酸(740mg、9.4mmol)およびジヒドロピリジン(24g、285.3mmol)をそこに添加した。反応混合物を室温で撹拌した。反応の完了をTLCモニターで確認した。反応混合物を10%NaHCO3水溶液(510mL)で反応を止め、反応混合物を相分離した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、粗化合物を得た。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、52g(79%)であった。
【0171】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.891-7.944 (d, 1H), 7.746-7.791 (m, 1H), 7.507-7.544 (t, 1H), 7.036-7.075 (t, 1H), 5.019-5.050 (m, 1H), 4.817-4.884 (m, 1H), 3.870-3.960 (m, 1H), 3.549-3.604 (m, 1H), 2.875-2.985 (m, 1H), 2.489-2.667 (m, 1H), 1.539-1.862 (m, 6H)
実施例5
【0172】
(R)-3-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-オキソシクロペンタ-2-エン-1-イルアセタート
【0173】
【化54】
【0174】
2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン(25g、92.6mmol、実施例3から)をトルエン(250mL)で希釈し、次いでリパーゼ-SL(2.5g)および酢酸ビニル(25g)をそこに添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の完了をキラルHPLCカラムによってモニターした。リパーゼ-SLを反応混合物から濾過し、濾液を濃縮して、粗混合物(31.25g)を得た。
【0175】
次に、トリフェニルホスフィン(15.18g、57.8mmol)および酢酸(3.47g、57.8mmol)を、トルエン(300mL)中の粗混合物に添加した。トリフェニルホスフィンが反応混合物に溶解されるまで、反応混合物を室温で撹拌した。次に、アゾジカルボン酸ジイソプロピルをそこにゆっくり添加した。反応の完了をTLCモニターで確認した。さらに反応溶媒を真空留去し、残渣を酢酸エチル(150mL)およびn-ヘキサン(450mL)の混合物で懸濁した。固体を濾過し、濾液を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルにおけるクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物の収量は、26.6g(92%)であった。
【0176】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.809-7.819 (m, 1H), 7.736-7.769(m, 1H), 7.497-7.537(m, 1H), 7.020-7.060(m, 1H), 5.883-5.910(m, 1H), 2.964-3.028(m, 1H), 2.477-2.528(m, 1H), 2.090(s, 3H).
実施例6
【0177】
(R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン
【0178】
【化55】
【0179】
リパーゼ-435(3.0g)を、(R)-3-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-オキソシクロペンタ-2-エン-1-イルアセタート(15g、48mmol、実施例5から)のメチルイソブチルケトン(MIBK、150mL)中溶液に添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。リパーゼ-435を反応混合物から濾過し、濾液を濃縮して、粗化合物を得た。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物の収量は、10.65g(83%)であった。
【0180】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.816-7.828 (m, 1H), 7.707-7.747(m, 1H), 7.509-7.549(m, 1H), 7.035-7.075(m, 1H), 5.103-5.118(m, 1H), 2.934-2.995(m, 1H), 2.458-2.510(m, 1H).
実施例7
【0181】
(4R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタ-2-エノン
【0182】
【化56】
【0183】
(R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン(10.0g、37mmol、実施例6から)をジクロロメタン(100mL)で溶解した。次に、酢酸(145mg、1.85mmol)およびジヒドロピリジン(4.67g、55.5mmol)をそこに添加した。反応混合物を室温で撹拌した。反応の完了をTLCモニターで確認した。反応混合物を10%NaHCO3水溶液(100mL)で反応を止め、反応混合物を相分離した。有機層を収集し、無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、粗化合物を得た。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、10.99g(83%)であった。
【0184】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.873-7.927 (m, 1H), 7.715-7.771 (m, 1H), 7.503-7.524 (m, 1H), 7.016-7.055 (m, 1H), 5.001-5.030 (m, 1H), 4.790-4.868 (m, 1H), 3.853-3.994 (m, 1H), 3.532-3.585 (m, 1H), 2.856-2.965 (td, 1H, J=6.4, 18.8 Hz), 2.477-2.649 (m, 1H), 1.521-1.844 (m, 6H)
実施例8
【0185】
(R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロペンタ-2-エノン
【0186】
【化57】
【0187】
(R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシシクロペンタ-2-エノン(1.5g、5.53mmol、実施例6から)をジクロロメタン(15mL)で溶解した。次に、イミダゾール(0.75g、11.01mmol)およびtert-ブチルジメチルシリルクロライド(1.25g、8.23mmol)をそこに添加した。反応混合物を室温で撹拌した。反応の完了をTLCモニターで確認した。反応混合物を10%NaHCO3水溶液(100mL)により反応を止め、反応混合物を相分離した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、粗化合物を得た。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、1.64g(77%)であった。
【0188】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.741-7.787 (m, 2H), 7.509-7.550 (m, 1H), 7.042-7.084 (m, 1H), 5.051-5.078 (m, 1H), 2.880-2.941 (m, 1H), 2.438-2.489 (m, 1H), 0.931 (s, 9H), 0.157-0.176 (m, 6H)
実施例9
【0189】
(R)-メチル4-(3-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)-2-フルオロフェニル)ブタノアート
【0190】
【化58】
【0191】
メチル3-ブテノアート(261mg、2.60mmol)の乾燥THF(2.6mL)中溶液に、THF中の0.5M(5.2mL、2.60mmol)9-BBNを窒素下で0℃にて滴下添加した。反応混合物を室温まで昇温し、3時間撹拌した。次に、溶液を、カニューレを介して、乾燥THF(5mL)における(R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロペンタ-2-エノン(500mg、1.28mmol、実施例8から)、Ph3As(40mg、0.13mmol)、K3PO4(827mg、3.90mmol)およびPdCl2(dppf)(95mg、0.13mmol)の混合物中に窒素下で移した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。混合物を過酸化水素(30%水溶液、7.8mmol)で反応を止め、0℃で30分間撹拌した。反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を、無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、211mg(40%)であった。
【0192】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.688-7.699 (m, 1H), 7.591-7.627 (m, 1H), 7.150-7.184 (m, 1H), 7.068-7.106 (m, 1H), 5.037-5.064 (m, 1H), 3.661 (s, 3H), 2.867-2.927 (m, 1H), 2.685-2.724 (m, 2H), 2.429-2.480 (m, 1H), 2.329-2.366 (m, 2H), 1.933-1.990 (m, 2H), 0.931 (s, 9H), 0.050-0.166 (m, 6H).
実施例10
【0193】
(2SR,3RS,4RS)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンテノン
【0194】
【化59】
【0195】
(E)-tert-ブチル((1-ヨード-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)ジメチルシラン(130.0g、343.6mmol)の乾燥ジエチルエーテル(1000mL)中溶液に、ペンタン中1.9M(360mL、684mmol)tert-ブチルリチウムを-70℃で滴下添加し、2時間同じ温度で撹拌した。THF(1.3L)におけるヨウ化銅(65.3g、342.8mmol)およびn-トリブチルホスフィン(180.7g、893.1mmol)の混合物を-70℃まで冷却し、反応フラスコに添加した。1時間後に、-70℃の2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタ-2-エノン(91.5g、257.6mmol、実施例4から)の90mlTHF中溶液をそこに添加した。反応混合物を、水酸化アンモニウム(0.5L)を含有する飽和塩化アンモニウム水(4.5L)により反応を止めた。反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、426.6gの粗標題化合物を得た。
実施例11
【0196】
(1SR,2SR,3RS,4RS)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタノール
【0197】
【化60】
【0198】
(2SR,3RS,4RS)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((3S,E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタノン(426.6g、699.7mmol、実施例10の粗生成物)を乾燥THF(4.3L)で希釈し、次いで溶液を-70℃まで冷却し、続いて-70℃でヘキサン中1.0M L-セレクトリド(258mL、258モル)を添加した。添加後に、反応をTLCでチェックした。混合物を過酸化水素(30%水溶液、100mL)によって反応を止め、0℃で30分間撹拌した。反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物の収量は、99.8g(64%、実施例10から開始して2段階)であった。
【0199】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.422 (m, 1H), 7.258-7.338 (m, 1H), 6.991-7.021 (m, 1H), 5.364-5.553 (m, 2H), 4.702-4.747 (m, 1H), 3.854-4.285 (m, 4H), 3.493-3.519 (m, 1H), 3.116-3.221 (m, 2H), 2.395-2.564 (m, 1H), 1.541-2.110 (m, 14H), 0.647-0.910 (m, 12H), -0.271~ -0.026 (m, 6H).
実施例12
【0200】
(((E)-1-((1RS,2RS,3aSR,8bSR)-5-ブロモ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-1-イル)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン
【0201】
【化61】
【0202】
(1SR,2SR,3RS,4RS)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタノール(98.3g、166.7mmol、実施例11から)のトルエン(5.45L)およびDMPU(115.4g、900.3mmol)中溶液に、60℃にて窒素下でt-BuOK(64.3g、573.1mmol)を添加した。反応の完了をTLCモニターで確認した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(1000mL)によって洗浄し、無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、79.2g(83%)であった。
【0203】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.259 (m, 1H), 7.054 (m, 1H), 6.686-6.714 (m, 1H), 5.521-5.655 (m, 2H), 5.262-5.294 (m, 1H), 4.603-4.662 (m, 1H), 4.049-4.184 (m, 2H), 3.837-3.912 (m, 1H), 3.411-3.689 (m, 2H), 2.441-2.781 (m, 2H), 1.947-2.242 (m, 3H), 1.209-1.785 (m, 10H), 0.833-0.939 (m, 12H), 0.101-0.070 (m, 6H).
実施例13
【0204】
(1RS,2RS,3aSR,8bSR)-5-ブロモ-1-((3SR,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-2-オール
【0205】
【化62】
【0206】
(((E)-1-((1RS,2RS,3aSR,8bSR)-5-ブロモ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-1-イル)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(75.8g、128.5mmol、実施例12から)をアセトニトリル(758mL)で希釈し、3N塩酸(76mL)をそこに添加した。反応物を室温で撹拌し、反応の進行をTLCでチェックした。反応の完了後に、混合物を10%NaHCO3水溶液(760mL)でpH7~8に中和し、次いで濃縮して、アセトニトリルを除去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題11,15-シン異性体の収量は26.3g(52%)であり、11,15-アンチ異性体(15-エピ異性体)の収量は11.1g(22%)であった。酢酸エチルおよびn-ヘキサンの溶媒混合物から化合物を再結晶して、結晶化合物(22.83g)を得た。結晶化合物は、6.7±0.2°、15.4±0.2°、19.5±0.2°、19.9±0.2°および21.5±0.2°、2θにピークを有するX線粉体回折(XRPD)パターンで特定された。
【0207】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.259-7.294 (m, 1H), 6.992-7.032 (m, 1H), 6.698-6.730 (m, 1H), 5.563-5.706 (m, 2H), 5.186-5.235 (m, 1H), 4.029-4.194 (m, 1H), 3.924 (m, 1H), 3.505-3.544 (m, 1H), 2.655-2.722 (m, 1H), 2.426-2.482 (m, 1H), 2.235-2.267 (m, 2H), 2.013-2.101 (m, 1H), 1.734-1.825 (m, 4H), 0.977-1.019 (m, 3H).
実施例14
【0208】
メチル4-((1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2-ヒドロキシ-1-((3SR,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタノアート
【0209】
【化63】
【0210】
メチル3-ブテノアート(2.9g、28.9mmol)の乾燥THF(30mL)中溶液に、THF中の0.5M(56.2mL、28.1mmol)9-BBNを窒素下で0℃にて滴下添加した。反応混合物を室温まで温め、3時間撹拌し続けた。次に、溶液を、カニューレを介して、乾燥THF(50mL)における(1RS,2RS,3aSR,8bSR)-5-ブロモ-1-((3SR,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-2-オール(5.0g、12.8mmol、実施例13から)、Ph3As(390mg、1.3mmol)、K3PO4(8.14g、38.3mmol)およびPdCl2(dppf)-CH2Cl2(1.04g、1.3mmol)の混合物中に窒素下で移した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。反応の完了後に、混合物を、過酸化水素(30%水溶液、20mL)で反応を止め、0℃で30分間撹拌し続けた。反応器への飽和塩化アンモニウム水(250mL)の添加後に、反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルにおけるクロマトグラフィーによって精製した。標題化合物の収量は、3.74g(71%)であった。
【0211】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.940 (m, 2H), 6.758 (m, 1H), 5.558-5.708 (m, 2H), 5.087 (m, 1H), 4.045-4.173 (m, 1H), 3.913 (m, 1H), 3.649 (s, 3H), 3.411-3.454 (m, 1H), 2.483-2.649 (m, 3H), 2.384-2.434 (m, 1H), 2.243-2.366 (m, 5H), 1.862-2.088 (m, 3H), 1.717-1.829 (m, 4H), 0.824-1.030 (m, 3H)
実施例15
【0212】
4-((1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2-ヒドロキシ-1-((3SR,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタン酸(ベラプロスト)
【0213】
【化64】
【0214】
メチル4-((1RS,2RS,3aSR,8bSR)-2-ヒドロキシ-1-((3SR,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタノアート(2.38g、5.97mmol)をメタノール(24mL)に溶解し、NaOH(460mg、11.5mmol)の水(24mL)溶液を、10℃でそこにゆっくり滴下添加した。反応の完了後に、真空中で反応混合物からメタノールを除去した。残渣を水(25mL)で希釈し、メチル-tert-ブチルエーテル(25mL)でさらに洗浄した。水層を3N HCl水でpH3~4へと酸性化し、メチル-tert-ブチルエーテル(25mL)でさらに抽出した。有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去した。粗生成物を、勾配溶離液としてヘキサンおよび酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物の収量は、1.78g(77%)であった。
【0215】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.892-6.942 (m, 2H), 6.729-6.748 (m, 1H), 5.503-5.656 (m, 2H), 5.038-5.056 (m, 1H), 3.984-4.107 (m, 1H), 3.821-3.893 (m, 1H), 3.214-3.390 (m, 1H), 2.542-2.673 (m, 3H), 2.325-2.394 (m, 3H), 2.044-2.238 (m, 2H), 1.857-1.998 (m, 3H), 1.745-1.788 (m, 4H), 0.979-1.031 (d, 3H).
【0216】
13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ 178.685, 157.204, 134.016, 133.811, 133.325, 132.756, 129.621, 129.576, 128.908, 123.200, 123.169, 121.856, 121.811, 120.551, 120.513, 84.223, 84.132, 77.415, 77.240, 77.225, 77.179, 76.367, 76.079, 75.980, 58.780, 58.735, 50.196, 50.150, 41.103, 38.218, 38.066, 33.209, 29.034, 24.540, 22.453, 22.362, 15.720, 14.847, 3.523, 3.492.
実施例16
【0217】
(2S,3R,4R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((3S,4S,E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタノン
【0218】
【化65】
【0219】
2-チエニル(シアノ)銅リチウムを乾燥窒素下で調製した。チオフェン(6.84g、81.4mmol)の乾燥THF(70mL)中溶液に、ヘキサン(46.3mL、74.1mmol)中1.6M n-ブチルリチウムを-10℃で滴下添加した。1時間後に、反応混合物を-70℃まで冷却した。溶液を、カニューレを介して、シアン化銅(7.3g、81.5mmol)の乾燥THF(73mL)中懸濁液中に-70℃で移し、30分間撹拌した。次に、ヘキサン中n-ブチルリチウム(1.6M、55.5mL、88.8mmol)を、tert-ブチルジメチル(((3S,4S,E)-4-メチル-1-(トリブチルスタンニル)オクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)シラン(40.1g、74mmol)の溶液に-70℃で30分間滴下により添加した。2-チエニル(シアノ)銅リチウムを、カニューレを介して反応混合物に-70℃で添加し、30分間撹拌した。次に、(4R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタ-2-エノン(13.2g、37.1mmol、実施例7から)の溶液をそこに添加した。反応混合物を、水酸化アンモニウム(60mL)を含有する飽和塩化アンモニウム水(540mL)で反応を止めた。反応混合物を相分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を無水Na2SO4で脱水した。固体を濾別し、有機溶媒を真空留去して、60.2gの粗標題化合物を得た。
実施例17
【0220】
(1S,2S,3R,4R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((3S,4S,E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタノール
【0221】
【化66】
【0222】
実施例11と同様の手順に従って、(2S,3R,4R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((3S,4S,E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンテノン(60.2g、実施例16から)から化合物を得た。標題化合物の収量は、13.8g(65%、実施例16から2ステップ)であった。
【0223】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.422 (m, 1H), 7.289-7.352 (m, 1H), 7.001 (m, 1H), 5.359-5.542 (m, 2H), 4.699-4.743 (m, 1H), 3.850-4.346 (m, 4H), 3.497-3.513 (m, 1H), 3.130-3.265 (m, 2H), 2.378-2.578 (m, 1H), 1.524-2.026 (m, 14H), 0.642-0.955 (m, 12H), -0.182-0.089 (m, 6H).
実施例18
【0224】
(((3S,4S,E)-1-((1R,2R,3aS,8bS)-5-ブロモ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-1-イル)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン
【0225】
【化67】
【0226】
実施例12と同様の手順に従って、(1S,2S,3R,4R)-2-(3-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-((3S,4S,E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンタノール(13.8g、22.6mmol、実施例17から)から化合物を得た。標題化合物の収量は、10.9g(81%)であった。
【0227】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.259 (m, 1H), 7.014-7.055 (m, 1H), 6.670-6.689 (m, 1H), 5.481-5.654 (m, 2H), 5.242-5.264 (m, 1H), 4.603-4.664 (m, 1H), 4.048-4.077 (m, 2H), 3.818-3.912 (m, 1H), 3.414-3.713 (m, 2H), 2.408-2.798 (m, 2H), 2.057-2.233 (m, 3H), 1.259-1.787 (m, 10H), 0.856-0.950 (m, 12H), -0.007-0.095 (m, 6H).
実施例19
【0228】
(1R,2R,3aS,8bS)-5-ブロモ-1-((3S,4S,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-2-オール
【0229】
【化68】
【0230】
実施例13と同様の手順に従って、(((3S,4S,E)-1-((1R,2R,3aS,8bS)-5-ブロモ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-1-イル)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(9.9g、16.8mmol、実施例18から)から化合物を得た。標題化合物の収量は、5.55g(84%)であった。再結晶化の後に、結晶化合物を得た(4.12g、75%)。結晶化合物は、6.7±0.2°、15.4±0.2°、19.5±0.2°、19.9±0.2°および21.5±0.2°、2θにピークを有するX線粉体回折パターンで特定された。
【0231】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.258-7.277 (m, 1H), 6.967-6.985 (m, 1H), 6.681-6.720 (m, 1H), 5.523-5.655 (m, 2H), 5.158-5.213 (m, 1H), 3.989-4.024 (m, 1H), 3.838-3.884 (m, 1H), 3.463-3.508 (m, 1H), 3.285-3.296 (m, 1H), 2.949 (s, 1H), 2.665-2.733 (m, 1H), 2.343-2.407 (m, 1H), 2.221-2.242 (m, 2H), 1.972-2.044 (m, 1H), 1.715-1.853 (m, 4H), 0.961-0.977 (m, 3H).
実施例20
【0232】
メチル4-((1R,2R,3aS,8bS)-2-ヒドロキシ-1-((3S,4S,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタノアート
【0233】
【化69】
【0234】
実施例14と同様の手順に従って、(1R,2R,3aS,8bS)-5-ブロモ-1-((3S,4S,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-2-オール(2.0g、5.1mmol、実施例19から)から化合物を得た。標題化合物の収量は、1.47g(70%)であった。再結晶後に、結晶化合物を得た(1.11g、75%)。結晶化合物は、8.2±0.2°、10.8±0.2°、18.5±0.2°、20.9±0.2°および22.1±0.2°、2θにピークを有するX線粉体回折パターンで特定された。
【0235】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.886-6.931 (m, 2H), 6.711-6.748 (t, 1H), 5.501-5.656 (m, 2H), 5.015-5.070 (m, 1H), 3.969-4.007 (t, 1H), 3.809-3.869 (m, 1H), 3.628 (s, 3H), 3.541 (s, 1H), 3.341-3.386 (t, 1H), 3.168 (s, 1H), 2.564-2.677 (m, 3H), 2.291-2.373 (m, 3H), 2.168-2.220 (m, 2H), 1.876-1.970 (m, 3H), 1.696-1.778 (m, 4H), 0.955-0.971 (m, 3H).
【0236】
13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ 174.173, 157.194, 134.083, 133.324, 129.582, 128.830, 123.290, 121.749, 120.428, 84.042, 77.279, 77.150, 76.285, 75.882, 58.843, 51.458, 50.129, 41.211, 38.175, 33.416, 29.173, 24.710, 22.358, 15.694, 3.474.
実施例21
【0237】
4-((1R,2R,3aS,8bS)-2-ヒドロキシ-1-((3S,4S,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタン酸(ベラプロスト-314d)
【0238】
【化70】
【0239】
実施例15と同様の手順に従って、メチル4-((1R,2R,3aS,8bS)-2-ヒドロキシ-1-((3S,4S,E)-3-ヒドロキシ-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタノアート(406mg、0.98mmol、実施例20から)から化合物を得た。標題化合物の収量は、353mg(90%)であった。再結晶化の後に、結晶化合物を得た(251mg、71%)。結晶化合物は、6.1±0.2°、6.6±0.2°、7.2±0.2°、12.1±0.2°および16.3±0.2°、2θにピークを有するX線粉体回折パターンで特定された。
【0240】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.904-6.941 (m, 2H), 6.722-6.759 (t, 1H), 5.522-5.672 (m, 2H), 5.032-5.086 (m, 1H), 3.996-4.033 (m, 1H), 3.850-3.909 (m, 1H), 3.369-3.412 (m, 1H), 2.536-2.668 (m, 3H), 2.301-2.416 (m, 3H), 2.229 (m, 2H), 1.879-2.005 (m, 3H), 1.717-1.788 (m, 4H), 0.967-0.984 (d, 3H).
【0241】
13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ 178.287, 157.194, 134.052, 133.293, 129.582, 128.937, 123.199, 121.810, 120.504, 84.148, 77.233, 77.218, 76.353, 75.966, 58.752, 50.137, 41.082, 38.061, 33.135, 29.022, 24.543, 22.342, 15.716, 3.519.
実施例22
【0242】
メチル4-((1R,2R,3aS,8bS)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-((3S,4S,E)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-メチルオクタ-1-エン-6-イン-1-イル)-2,3,3a,8b-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ベンゾフラン-5-イル)ブタノアート
【0243】
【化71】
実施例10、11および12と同様の手順に従って、(R)-メチル4-(3-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-オキソシクロペンタ-1-エン-1-イル)-2-フルオロフェニル)ブタノアート(10.0g、24.6mmol、実施例9から)およびtert-ブチルジメチル(((3S,4S,E)-4-メチル-1-(トリブチルスタンニル)オクタ-1-エン-6-イン-3-イル)オキシ)シラン(39.96g、73.8mmol)から化合物を得た。標題化合物の収量は、7.6g(48%、3ステップ)であった。
【0244】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.963-6.982 (d, 1H), 6.895-6.912 (d, 1H), 6.708-6.745 (t, 1H, J= 7.6 Hz), 5.496-5.623 (m, 2H), 5.073-5.126 (m, 1H), 4.019-4.048 (m, 1H), 3.902-3.952 (m, 1H), 3.652 (s, 3H), 3.433-3.473 (m, 1H), 2.525-2.599 (m, 3H), 2.417-2.484 (m, 1H), 2.319-2.356 (m, 2H), 2.192-2.252 (m, 1H), 2.060-2.120 (m, 1H), 1.891-2.012 (m, 3H), 1.780-1.792 (m, 3H), 1.628-1.745 (m, 1H), 0.758-0.941 (m, 21H), -0.049-0.091 (m, 12H).
【0245】
13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ 174.105, 157.331, 132.861, 131.350, 130.212, 128.405, 122.956, 121.901, 120.109, 84.801, 77.909, 77.142, 76.421, 75.958, 58.114, 51.412, 49.962, 42.380, 39.746, 33.568, 29.302, 29.234, 25.887, 25.674, 25.629, 24.756, 21.940, 18.168, 17.819, 15.542, 3.458, -2.970, -3.980, -4.678, -4.875.