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特許7602274無人航空システムとの交信におけるスクランブルシードを検出するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】無人航空システムとの交信におけるスクランブルシードを検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04K 1/00 20060101AFI20241211BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H04K1/00 Z
H04L27/26 100
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022529080
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2020055944
(87)【国際公開番号】W WO2021101642
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】62/937,596
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521495552
【氏名又は名称】スカイセーフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ブランドン ファン-シュアン
(72)【発明者】
【氏名】イェン、チュン キン オゥ
(72)【発明者】
【氏名】トーボーグ、スコット
【審査官】平井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-178574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081354(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04K 1/00-3/00
G09C 1/00-5/00
H04L 9/00-40
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンとの通信を検出するためのシステムであって、
前記ドローンとコントローラとの間で交信されるRF信号を受信するように構成された無線周波数(RF)受信機であって、前記RF信号は、未知のスクランブルシードsを有する既知のスクランブラに基づくスクランブルデータrを含み、
ハードウェア・プロセッサと、
前記ハードウェア・プロセッサと通信し、前記ハードウェア・プロセッサに、
前記既知のスクランブラの状態遷移行列Fに少なくとも部分的に基づいて所定の行列を取得させ、
前記所定の行列と、初期状態が既知のスクランブラ出力シーケンスfのセグメントと、前記スクランブルデータrのセグメントとを含む関数に基づいて、前記未知のスクランブルシードsを決定させる、
処理を行わせるためのコンピュータ実行可能な命令を格納したメモリ・デバイスと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記RF受信機は、スクランブルされていないデータの少なくとも1つの繰り返しを含むすべてのスクランブルされたビットがチャネルを通じて受信されるように、OFDM変調されたデータと、十分に高い信号対雑音比(SNR)を有する既知のチャネルコードとを有する前記RF信号を受信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記命令は、前記ハードウェア・プロセッサに、チャネル符号化器の状態遷移行列Cとレートマッチャの状態遷移行列Rを使用して前記未知のスクランブルシードsを決定するために、データ合成のための、受信された前記スクランブルデータrの各セグメントで必要とされる最小数のデータビットをさらに決定させ、行列RCのヌル部分空間行列と前記所定の行列のMoore-Penrose逆行列を求める、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記命令は、前記ハードウェア・プロセッサに、前記スクランブルデータrに基づいて前記未知のスクランブルシードsをさらに決定させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記RF受信機は、前記スクランブルデータrを変調シンボルとして受信し、変調デマッピングから実対数尤度比(LLR)値を得るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記命令が、前記ハードウェア・プロセッサに、各繰り返しの前記LLR値に関するシード推定値を導出させ、すべての繰り返しについて前記シード推定値をソフト合成させる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記命令は、前記ハードウェア・プロセッサに、検出された前記スクランブルシードsを使用してドローンを復号させ、識別させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記命令は、前記ハードウェア・プロセッサに、データ合成のための、前記スクランブルデータrの各セグメントにおいて必要とされる最小数のデータビットを決定させ、2つの要素のガロア体GF(2)における前記状態遷移行列Fの2つの部分行列の加算と、前記所定の行列のMoore-Penrose逆行列とを求めることに基づいて前記所定の行列を求めることで、前記未知のスクランブルシードsを決定させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記命令は、前記ハードウェア・プロセッサに、スクランブルされていないデータの繰り返しを含む前記スクランブルデータrの異なるセグメントを選択することに基づいて、
前記未知のスクランブルシードsのソフト合成推定値を取得させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記未知のスクランブルシードsを決定するために使用される前記関数は、前記既知のスクランブルシードに基づいて、前記状態遷移行列Fのスクランブラ出力シーケンスfをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ドローンとの通信を検出する方法であって、
前記ドローンとコントローラとの間で送信される無線周波数(RF)信号を受信し、前記RF信号は、既知のスクランブラと未知のスクランブルシードsとに基づくスクランブルデータrを含み、
ハードウェア・プロセッサが、前記既知のスクランブラの状態遷移行列Fに少なくとも部分的に基づいて所定の行列を取得し、
前記ハードウェア・プロセッサが、前記所定の行列と、初期状態が既知のスクランブラ出力シーケンスfのセグメントと、前記スクランブルデータrのセグメントと、を含む関数に基づいて、未知のスクランブルシードsを決定する、
方法。
【請求項12】
スクランブルされていないデータの少なくとも1つの繰り返しを含むすべてのスクランブルされたビットがチャネルを通じて受信されるように、十分に高い信号対雑音比(SNR)を有するように、OFDM変調されたデータと既知のチャネルコードとを有する前記RF信号が受信される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
チャネル符号化器の状態遷移行列Cとレートマッチャの状態遷移行列Rを用いて、データ合成のための、受信された前記スクランブルデータrの各セグメントで必要とされる最小数のデータビットを決定し、未知のスクランブルシードsを決定し、行列RCのヌル部分空間行列と前記所定の行列のMoore-Penrose逆行列を求めることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記スクランブルデータrに基づいて前記未知のスクランブルシードsを決定することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記スクランブルデータrを受信することは、変調されたシンボルとして達成され、変調デマッピングから実対数尤度比(LLR)値が得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
各繰り返しに対する前記LLR値に関してシード推定値を導出し、すべての繰り返しに対する前記シード推定値をソフト合成することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
検出された前記スクランブルシードsを使用して、前記ドローンを復号し、識別することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
スクランブルされていないデータの少なくとも2つの繰り返しを含むすべてのスクランブルされたビットがチャネルを介して受信されるように、十分に高い信号対雑音比(SNR)を有するOFDM変調されたデータと未知のチャネル符号とを有する前記RF信号を受信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
データ合成のための、前記スクランブルデータrの各セグメントに必要な最小数のデータビットを決定し、2つの要素のガロア体GF(2)における状態遷移行列Fの2つの部分行列の加算と、前記所定の行列のMoore-Penrose逆行列に基づいて、前記所定の行列を求めることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
スクランブルされていないデータの繰り返しを含む前記スクランブルデータrの異なるセグメントを選択することに基づいて、前記未知のスクランブルシードsのソフト合成推定値を得ることを含む、請求項12に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年11月19日出願の米国仮出願第62/937,596号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本明細書で開示されるシステムおよび方法は、ドローンの存在を検出、監視、および軽減することを対象とする。より詳細には、システムおよび方法は、ドローンとドローンコントローラとの間で送信される無線周波数(RF)信号を検出、復調、および復号する。
【0003】
<関連技術の説明>
無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)は、ドローンとしてより一般的に知られており、航空写真、農業、製品配送、インフラストラクチャ検査、航空ライトショー、娯楽ドローンレーシングなど、多くの興味深く創造的な用途で広く使用されている。多くの用途におけるドローンの有用性にもかかわらず、それらはまた、セキュリティ、安全性、およびプライバシーの懸念を増大させる。ドローンは、国境を越えて武器や薬物を密輸するために使用されている。空港の近くでのドローンの使用は、安全上の懸念を提示し、これは、周囲の空域が確保されるまで空港を停止させることを必要とし得る。また、ドローンは企業や国家のスパイ活動のツールとしても利用されている。そのため、ドローンを検出・監視し、必要に応じてドローンの脅威を軽減する効果的なCUAS(Counter-Unmanned Aircraft System)ソリューションが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示のシステム、方法、およびデバイスはそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが、本明細書で開示される望ましい属性の根拠となるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ドローンとコントローラとの間の通信を検出するためのシステムおよび方法が説明される。一実施形態では、システムは、ドローンとコントローラとの間で送信されるRF信号を受信するように構成された高周波(RF)受信機を備える。RF信号は、未知のスクランブルシードsを有する既知のスクランブラに基づくスクランブルデータrを含む。システムは、ハードウェア・プロセッサと通信し、ハードウェア・プロセッサに、既知のスクランブラの状態遷移行列Fに少なくとも部分的に基づいて所定の行列を取得させ、所定の行列、既知の初期状態を有するスクランブラ出力シーケンスfのセグメント、およびスクランブルされたデータrのセグメントを含む関数に基づいて未知のスクランブルシードsを決定させるための、格納されたコンピュータ実行可能命令を有するメモリ・デバイスをさらに備える。
【0006】
別の実施形態では、この方法は、ドローンとコントローラとの間で送信される無線周波数(RF)信号を受信することを含む。RF信号は、既知のスクランブラと未知のスクランブルシードsとに基づくスクランブルデータrを含む。本方法は、ハードウェア・プロセッサによって、既知のスクランブラの状態遷移行列Fに少なくとも部分的に基づいて所定の行列を取得するステップと、ハードウェア・プロセッサによって、所定の行列と、既知の初期状態を有するスクランブラ出力シーケンスfのセグメントと、スクランブルされたデータrのセグメントと、を含む関数に基づいて未知のスクランブルシードsを決定するステップと、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の態様によるドローン検出システムを含む例示的な環境を示す。
図2A】本開示の態様にしたがって、ドローンを検出、監視、および/または軽減するために使用されうる、図1からの例示的なドローン検出システムを示す。
図2B】本開示の態様による図2Aのドローン検出システムで検出することができる、図1からの例示的なドローンを示す。
図2C】本開示の態様に従ってドローンを制御するために使用され得る図1からの例示的なコントローラを示す。
図3】LTEベースの無人送信機(TX)、加法性白色ガウス雑音(AWGN)チャネル、およびCUASまたは無人監視受信機(RX)の例示的なシステムモデルを示す。
図4】本発明の一実施形態による、LTEベースのドローンのスクランブルシードの盲目的検出のための方法を示す。
図5】本発明の一実施形態による、符号化スキームの知識を用いたスクランブルシードの盲目的検出のための方法を示す。
図6】本発明の一実施形態による、符号化スキームを知らないスクランブルシードの盲目的検出のための方法を示す。
図7】ソフト合成、ハード合成、合成なしの盲目的シード検出と符号化方式の知識を比較したグラフである。
図8】符号化方式の知識の有無にかかわらず、ソフト合成と合成なしの盲目的シード検出を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
近年、産業、商業、及び消費者の領域におけるドローン用途の急速な成長は、大きなセキュリティ、安全性、及びプライバシーの問題を引き起こした。このため、ドローンの検出、監視、軽減のためのシステム及び技術に対する需要が高まっている。
【0009】
CUASシステム(または単に「ドローン検出システム」)は、複数のステージを使用して動作し得る。第1のステージでは、ドローン検出システムは、ドローンの存在を検出し、ドローンが味方であるか敵であるかを判定する。ドローン検出システムは、ドローンとコントローラとの間で交換される信号を盗聴することによってこれを達成することができる。例えば、本開示のいくつかの態様は、RF信号の同期のためのZadoff-Chu(ZC)シーケンスなどの同期信号を含むRF信号を使用して、コントローラと通信するドローンの存在を検出することに関係し得る。
【0010】
ある態様では、ドローンの検出は、ドローンとドローンコントローラとの間で送信されるRF信号のサンプルのシーケンスを受信することと、RF信号は、RF信号の同期のための同期信号を含み、受信されたサンプルのシーケンスの二重差を取得することと、受信されたサンプルのシーケンスの二重差の定義された数のランニングサムを計算することと、ランニングサムに基づいてドローンの存在を検出することと、を含み得る。
【0011】
特定のタイプの同期信号(例えば、ZCシーケンス)の場合、本明細書で説明するように同期信号を使用してドローンの存在を検出することによって、ドローン検出システムは、同期信号のルートを知らずに同期信号を検出することができる。本明細書で使用される場合、これらのタイプの同期信号のルートは、一般に、同期信号を生成し、復号するために使用される一意の値を指す。一意的なルートを用いることで、同期信号が、異なるルートを用いて生成される他のRF通信信号と干渉することを防止することができる。さらに、ドローン検出システムは、低複雑度で実装することができ、あらゆる可能なルート値を使用して検出を並列に実行する技法と比べて費用効果が高い可能性がある。
【0012】
図1は、本開示の態様によるドローン検出システム101を含む例示的な環境100を示す。特定の実施形態では、環境100は、ドローン検出システム101、1つまたは複数のドローン103A~103N、および1つまたは複数のドローンコントローラ105A~105N(または単に「コントローラ」)を含む。1つまたは複数のドローン103A~103Nの一例を図2Bに示す。1つ以上のコントローラ105A~105Nの一例を図2Cに示す。
【0013】
特定の実施形態では、ドローン103A~103Nのそれぞれは、RF信号107A~107Nを介してコントローラ105A~105Nのうちの対応する1つと通信するように構成される。図示されていないが、いくつかの実施形態では、コントローラ105A~105Nのうちの単一のコントローラが、ドローン103A~103Nのうちの2つ以上を制御するように構成され得る。
【0014】
ドローン検出システム101は、ドローン103A~103Nの存在を検出するために、ドローン103A~103Nとコントローラ105A~105Nとの間の通信上で盗聴109A~109Nを受信するように構成される。例えば、ドローン検出システム101は、ドローン103A~103Nとコントローラ105A~105Nとの間の通信上で109A~109Nを盗聴するために、ドローン103A~103Nとコントローラ105A~105Nとの間で送信されているRF信号107A~107Nを受信するように構成され得る。特定の実施形態では、ドローン検出システム101がRF信号107A~107Nを復号することができると、ドローン検出システム101は、ドローン103A~103Nを監視し、ドローン103A~103Nの潜在的な脅威を軽減するために特定のアクションを取ることができる。例えば、ドローン検出システム101は、ドローン103A~103Nにコマンドを送信して環境100に着陸させるか、さもなければ環境100から離れることによって、検出されたドローン103A~103Nとコントローラ105A~105Nとの間の通信を中断させるか、及び/又はコントローラ105A~105Nをスプーフィングするために妨害RF信号を送信することができる。
【0015】
I.はじめに
【0016】
産業、商業、および消費者セクタにおける無人航空機(UAV)としても知られるドローン103A~103Nの多くは、ドローンと、無線コントローラおよびゴーグルなどのそれらの制御デバイスまたはコントローラ105A~105Nとの間の通信のために、3GPP(登録商標) Long-Term Evolution(LTE)、修正LTE、またはLTE様の無線プロトコルを利用する。これらのLTEベースのドローンシステムの物理層(PHY)では、送信機(TX)におけるベースバンド処理は、変調前のチャネル符号化データをランダム化するスクランブラを含み、これは、他の利点に加えて、あるレベルのセキュリティおよびデータプライバシーを提供する。スクランブリングシーケンスは、典型的には、スクランブリングオフセットとも呼ばれるスクランブルシードを有する線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR:linear feedback shift register)によって生成され、LFSRの状態を初期化する。ドローンシステムの受信機(RX)は、シードを知っているので、盲目的検出を必要とせずに、受信データをデスクランブルするための同じスクランブルシーケンスを生成することができる。しかし、シードは、ドローンシステムの外側のどの装置にも知られていない。さらに、スクランブルシードは、ドローンデバイスの識別に強く結びつけられる。シードを検出することは、重要な情報を復号し、ドローン103A~103Nのアイデンティティを明らかにするのを助ける。したがって、スクランブルシードは、クリティカルな時間制約内でスクランブルシードを盲目的に検出するためのドローンシステム(CUAS)およびドローン検出/監視システムにとって不可欠である。スクランブルシードをリアルタイムで盲目的に検出することは、重要なタスクである。LTEベースのドローンでは、スクランブルシードは、長さ31の2つのLFSRによって生成された2つの31ビットゴールドシーケンスと、1つの既知のシードと、盲目的検出のための他の未知のシードとの組合せである。そのため、2,147,483,648(=2^31)の選択肢があるため、ブルートフォース法では、すぐに未知のシードをリアルタイムに決定することができない。また、シードが定期的に変化するおそれがあり、シード検出のための時間制限が厳しい。盲目的シード検出は、受信されたスクランブルされたデータにおけるビットエラーをもたらし得るノイズおよび他のチャネル障害によって、さらに複雑になり得る。通常のRXによって実行されるデスクランブルされたデータの複数のコピーの合成は、受信されたデータがスクランブリングによってランダム化されるので、受信された信号対雑音比(SNR)を最大にするために、雑音のあるスクランブルされたデータに直接適用することができない。スクランブラLFSR多項式の再構成と、ストリーム暗号の秘密鍵を含む初期状態の研究は文献に豊富である。しかし、チャネル雑音による受信ビットの誤りを処理することができる解決策はほんのわずかしかない。なお、スクランブル後のデータのチャネル符号化によって導入される冗長性を用いた従来の盲目的スクランブルシード推定方式を用いてもよい。この方式は、TX(例えば、ドローン)で使用される符号化方式の知識を必要とする。さらに、雑音の存在下で受信されたデータストリームからスクランブラ多項式を再構成するための方法が提供される。しかし、この方法は、スクランブルシードを再構成しない。スクランブラの初期状態を再構成することで、上記方法の性能を向上させることができる。しかし、この向上には、多数のサンプルと符号化知識の知識が必要となり、特に多項式の次数が高い場合、実行に長時間を要するおそれがある。
【0017】
厳しい時間要件を満たすことができる、雑音の多いチャネル環境における盲目的スクランブルシード推定のための効率的で高速な方法を使用することが望ましい。したがって、本開示では、雑音の多いチャネルにおける検出性能を向上させるために、スクランブルされた繰り返しレート整合データのソフト合成を使用して、盲目的スクランブルシード検出方法を説明する。レートマッチングは、要求されるデータレートを達成するために、送信された符号化データを割り当てられたOFDMリソースに配置するための、LTE規格で指定されたメカニズムである。
【0018】
送信されるデータサイズが小さい(例えば、制御情報または小さいトランスポートブロック)場合、インターリーブされたコードワードは、リソース内に繰り返し配置されることになる。この繰り返し構造は、スクランブル後に消滅するが、一実施形態では、代数的操作後に受信データをソフト合成するために利用される。本実施形態の方法は、スクランブルデータのチャネル符号化によって導入された冗長性を用いた盲目的スクランブルシード推定方式と同様に、チャネル符号化方式が既知である場合、この知識を用いて符号化のヌル部分空間の符号化効果を除去し、スクランブル状態を明らかにする。本実施形態の方法は、符号化方式が未知の場合、繰り返し構造を利用して送信データの影響を除去し、シード検出を容易にする。以下に説明するように、新規な1つの点は、スクランブルされたデータのソフト合成をレートマッチング構造で実現可能にする代数導出にある。シミュレーション結果は、符号化知識を有するそのようなシード検出方法が、従来のアプローチよりも検出性能を著しく改善することを示す。また、符号化知識のないこの方法は、その知識の欠如による性能損失を補償する。 本明細書でさらに説明するように、盲目的検出のためのシステムモデルが提供される。 さらに、符号化の知識を用いた盲目的シード検出の方法について説明する。また、符号化の知識のない盲目的シード検出の方法についても述べた。
【0019】
図2Aは、本開示の態様による1つまたは複数のドローン103A~103Nの存在を検出するために使用され得る例示的なドローン検出システム101を示す。特定の実施形態では、ドローン検出システム101は、プロセッサ111、メモリ113、フロントエンド115、複数の送信アンテナ117A~117N、および複数の受信アンテナ119A~119Nを含む。他の実施形態では、アンテナ117A~119Nのうちの1つまたは複数を、信号の送信と受信の両方に使用することができる。
【0020】
特定の実施形態では、ドローン検出システム101は、受信アンテナ119A-119Nのいずれかを介してRF信号(例えば、図1のRF信号107A~107N)を受信するように構成される。受信アンテナ119A~119Nのうちの1つは、受信したRF信号をフロントエンド115に供給する。いくつかの実施形態では、フロントエンド115は、受信したRF信号を、プロセッサ111によって読み取ることができるフォーマットに処理することができる。例えば、特定の実施形態では、フロントエンド115は、受信したRF信号に対して、フィルタリング、増幅、アナログ/デジタル変換などのアクションのうちの1つまたは複数を実行し得る。
【0021】
特定の実施形態では、メモリ113は、プロセッサ111に、受信アンテナ119A~119Nを介して受信したRF信号に基づいて、ドローン(例えば、図1のドローン103A~103N)の存在を検出させるためのコンピュータ可読命令を記憶することができる。さらに、特定の実施形態では、ドローン検出システム101は、検出されたドローン(1つまたは複数)に送信される信号(たとえば、ジャミング信号またはRF通信信号)をフロントエンド115に与えるように構成することもできる。次いで、フロントエンド115は、処理された信号を送信アンテナ117A~117Nのうちの1つまたは複数に供給する前に、プロセッサ111から受信した信号を処理することができる。
【0022】
ドローン検出システム101がドローン103A~103Nの存在を検出するために使用することができるいくつかの異なる技法がある。例えば、ドローン検出システム101は、ドローン103A~103Nの特定のモデル(1つまたは複数)によって使用されることが知られている周波数で電波をスキャンすることができる。既知のプロトコルが識別された場合、ドローン検出システム101は、意図された受信機/コントローラ105A~105Nであるかのように信号を復号することができる。実施形態に応じて、これらの復号ステップは、同期、チャネル推定、デインターリーブ、デスクランブル、復調、およびエラー制御復号を含むことができる。特定の実施形態では、ドローン検出システム101は、コントローラ105A~105Nによって知られている情報に関する知識(デバイスidなど)の欠如によって、前述のステップのいくつかを盲目的に実行するように構成することができる。以下で説明するように、特定の通信プロトコル(例えば、同期信号)を使用したドローン103A~103Nの盲目的検出が、本明細書では提供される。ひとたび検出されると、ドローン検出システム101は、1つまたは複数のドローン103A~103Nの存在に関する警報(1つまたは複数)を提供することができる。
【0023】
ドローン検出システム101は、1つまたは複数のドローン103A~103Nの存在を監視することができる。監視の一部として、環境100に対する1つまたは複数のドローン103A~103Nの位置をリアルタイムで監視して、1つまたは複数のドローン103A~103Nの位置が許容可能な空域の内側または外側に漂遊するかどうかを判定することができる。
【0024】
図2Bは、本開示の態様UAVにしたがって、ドローン検出システム101を用いて検出されうるドローン103の例を図示する。特定の実施形態では、ドローン103は、1つ又は複数のプロペラ121、1つ又は複数のモータコントローラ123、バッテリ又は他の電源125、メモリ127、プロセッサ129、フロントエンド131、アンテナ133、及びカメラ135を含む。なお、上述したように、アンテナ133は、コントローラ105(図2C参照)からRF信号107を受信してRF信号107をコントローラ105に返送する(例えば、カメラ135から取得した画像)構成としてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ133から送信/受信されたRF信号107は、プロセッサ129へ/プロセッサ129から提供され、フロントエンド131によって処理される。特定の実施形態では、プロペラ121は、ドローン103が空域を通じて操縦する際に、ドローン103のリフト及び制御移動を提供する。また、プロペラ121は、各プロペラ121に個別に動力を供給するように構成された1つ又は複数のモータ(図示せず)を含むことができる。
【0025】
特定の実施形態では、(1つまたは複数の)モータコントローラ123は、(例えば、メモリ127に記憶された命令と、コントローラ105から受信したRF信号107とに基づいて)プロセッサ129から命令を受信して、ドローン103を空域内の特定の点まで移動させ、受信した命令を(1つまたは複数の)プロペラ121に提供されるモータ位置コマンドに変換するように構成される。特定の実施形態では、バッテリ125は、ドローン103の構成要素のそれぞれに電力を供給し、プロペラ121が所定の長さの時間にわたってドローン103を操縦することを可能にするのに十分な電力貯蔵装置を有する。カメラ135は、リアルタイムで画像をキャプチャし、キャプチャされた画像をアンテナ133を介してコントローラ105に提供することができ、アンテナ133は、ユーザがドローン103の移動を制御するのを助けることができる。
【0026】
図2Cは、本開示の態様に従ってドローン103を制御するために使用され得る例示的なコントローラ105を示す。特定の実施形態では、コントローラ105は、メモリ141、プロセッサ143、フロントエンド145、アンテナ147、入力装置149、及びディスプレイ151を含む。上記のように、アンテナ147は、ドローン103(図2B参照)からRF信号107(例えば、カメラ135から取得された画像)を受信し、そしてRF信号107をドローン103に戻し、ドローン103の移動を制御するように構成され得る。特定の実施形態では、アンテナ147から送信/受信されたRF信号107は、プロセッサ143へ/プロセッサ143から提供され、フロントエンド145によって処理される。特定の実施形態では、入力装置149は、プロセッサ143がドローン103の移動を制御するためのコマンドを生成するために使用することができるユーザからの入力を受信するように構成される。特定の実施形態では、ディスプレイ151は、ドローン103から受信した画像をユーザに表示して、ドローン103の現在の位置及びその環境に関するフィードバックを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、カメラ135によって取得された画像の一人称ビューを提供するために、ユーザによって装着される一対のゴーグルとして実装することができる。
【0027】
II.システムモデル
【0028】
図3は、LTEベースの無人送信機(TX)、加法性白色ガウス雑音(AWGN)チャネル、およびCUASまたは無人監視受信機(RX)の例示的なシステムモデルを示す。本実施形態で考慮するシステムモデルを図3に示す。システムは、LTEベースのドローンの送信機(TX)、AWGN(Additive White Gaussian Noise)チャネル、およびCUASまたはドローン監視受信機(RX)を含む。ここで、mを一定時間間隔Tにおける送信用のメッセージとする。LTEベースのドローンでは、mは、媒体アクセスコントロール(MAC)層プラス周期的冗長性チェック(CRC)ビットから搬送された制御情報又はトランスポートブロックであってもよく、ブロック符号、テールビット畳み込み符号、またはターボ符号などの線形符号によって符号化される。チャネル符号化器の状態遷移行列をCとする。Cの構成は、畳み込み符号化の場合の[3]に見出すことができる。次いで、長さcのコードワードc=Cmが、レートマッチング遷移行列Rによって長さrのd=Rc=RCmにレートマッチングされる。Rは、3GPP(登録商標) LTEシステムにおける[2]の5.1.4項などの所定のレートマッチングプロセスに従って同様に構築することができる。Rが知られていない場合、多くのリバースエンジニアリング法を利用してRを発見することができる。
【0029】
Rでは、cは、典型的には、循環バッファに記憶されたvにインターリーブされる。次いで、wによって示されるvの周期的に回転されたバージョンが、割り当てられたOFDMリソース、長さrのレートマッチング出力dを満たすために繰り返し使用される。ここで、N≧2、Nrはwのdにおけるコピー数とし、簡単のためにr=N・cとする。すなわち、d=[w…wとなる。これは、メッセージmが小さなサイズの制御情報又はトランスポートブロックを含む場合に合理的な仮定である。典型的には、コードワードの複数のコピーが、低いSNRでの復号を容易にするために送信される。したがって、コードワードの長さは、割り当てられるリソースのサイズよりもはるかに小さい。
【0030】
そして、レートマッチドデータdは、スクランブルシーケンスfによってスクランブルされる。[1]の7.2項と同様に、fを、状態nから始まる2つのLビット線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)ベースのスクランブラ出力の排他的論理和(GF(2)で示される2つの要素のガロア体の加算)とする。i=1,2とし、スクランブラiの初期状態(スクランブルシード)をs 、状態遷移行列をFとする。この実施形態では、(例えば、3GPP(登録商標)規格[1]で定義されているように)s は既知であり、一方、シードs が、受信されたスクランブルされたデータから盲目的検出するように意図されていると仮定する。また、両スクランブラの多項式が既知(例えば、[1]で定義されているように)であるとすると、状態遷移行列Fが既知であり、容易に構築することができる。状態nからスクランブルが開始されるので、r×n+r抽出行列En=[0r×n]は、状態nから状態n+rまでの系列を抽出する。したがって、状態nから状態n+r-1へのスクランブラiのスクランブルシーケンスは、以下である。
=E =E =F (1)
【0031】
ここで、F =Eは、状態nから開始するスクランブラiの遷移行列である。 スクランブルされたデータrは、次式で与えられる。
【数1】
【0032】
ここで、
【数2】

はGF(2)における要素単位の加算である。
【0033】
次いで、スクランブルされたデータrは、データシンボルにマッピングされ、その後、OFDMサブキャリア上での変調が続く。OFDM変調信号xは、チャネルを通じて送られる。受信機における受信信号yは、次によって与えられる。
y=hx+n
(3)
【0034】
ここで、hはチャネル利得、n~(0、σ)は分散σを持つ円複素加法性白色ガウス雑音(AWGN)である。OFDM復調及び変調デマッピングの後、受信されたスクランブルされたビットrが得られる。盲目的検出の場合、rは、典型的には、ソフト変調デマッピングによって示される対数尤度比(LLR:log-likelihood ratio)の形式(rllrで得られる。 未知のスクランビングシードs が正しく検出され、r=rである場合、メッセージmは、デスクランブルおよびデレートマッチングの後に成功裏に復号することができる。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態による、LTEベースのドローンのスクランブルシードの盲目的検出のための方法を示す。図4には、図3のシステムモデルに基づく盲目的検出の方法の概要が示される。したがって、図4のシステムモデルに関連して説明される詳細は、図4に関連して説明した方法にも等しく適用される。図4に示されるように、プロセスはブロック402で開始する。上記のように、モデルのシステムは、LTEベースのドローンの送信機(TX)、AWGN(Additive White Gaussian Noise)チャネル、およびCUASまたはドローン監視受信機(RX)を含む。ブロック404で、この方法は、OFDM復調および変調デマッピングを実行して、受信されたスクランブルされたビットを得ることを含む。ブロック406で、この方法は、受信したスクランブルされたビットを使用して未知のスクランブルシードs を検出することを含む。ブロック408で、この方法は、検出されたシードを使用して構築されたスクランブルシーケンスfによって受信したスクランブルビットをデスクランブルして、レートマッチドデータdを得ることを含む。ブロック410で、この方法は、dからcへのデレートマッチングを実行することを含む。ブロック412で、この方法は、メッセージmを得るためにcを復号し、CRCをチェックすることを含む。ブロック414で、この方法は、ドローンまたはコントローラのIDおよびフライト情報をmから突き止めることを含む。この方法はブロック416で終了する。
【0036】
III.コーディング知識を使用した盲目的スクランブルシード検出
【0037】
ここでは、受信したスクランブルデータにおける繰り返しレート整合構造を用いたスクランブルシードと、チャネル符号化方式の知識とをソフト合成する盲目的スクランブルシード検出方法について説明する。説明された方法は、非合成アプローチ及びハード合成アプローチよりも検出性能を大幅に改善することができる。
【0038】
A.ノイズフリーチャネルにおける盲目的スクランブルシード検出
【0039】
図5は、本発明の一実施形態による、符号化スキームの知識を用いたスクランブルシードの盲目的検出のための方法を示す。この方法はブロック502で開始する。雑音がなく(例えば、受信信号のSNRが十分に高く、スクランブルされたビットがすべて正しく受信される)、チャネル利得が一定である場合、r=rであり、レートマッチング行列R、スクランブラ行列F 、シードs を加算した[3]から変形した手法を用いて、スクランブルシードs を盲目的検出することができる。したがって、ブロック504で、この方法は、レートマッチング行列R、符号化行列C、ならびにスクランブラ行列FおよびFを準備することを含む。ブロック506で、この方法は、符号化およびレートマッチング遷移行列G=RCを計算することを含む。また、GG=0となるようにGのヌル部分空間を行がスパンする行列としてGを定義することができる。ブロック508で、この方法は、GG=0となるようにヌル空間行列Gを見つけることを含む。
式(2)は次のように再配置できる。
【数3】
【0040】
式(4)にGを左乗算し、GG=0を使用して、以下を得ることを考える。
【数4】
【0041】
式(6)の両側が(G により乗算され、(G GF が可逆である場合には、s は以下のように一意に求めることができる。
【数5】
【0042】
(7)は、スクランブルされた全てのビットを正しく受信した場合、すなわち、r=rの場合にのみ使用することができる。
【0043】
一方、rに誤って受信したビットがある場合は、ノイズの多いチャネルにおいてr≠rである。この場合、(G GF が依然として可逆である場合、式(7)が以下のとおりになる。
【数6】

となる。
【0044】
したがって、いずれかのビットが誤って受信されると、式(8)から誤ったシードが得られる。この問題は、以下のセクションIII-Bの方法の説明によって対処される。このアプローチの別の問題は、送信機で使用される符号化器のタイプが未知である場合、G=RCのヌル部分空間Gを見つけるためにCを構成することができないことである。この課題は、セクションIVに記載された方法によって解決される。
【0045】
B.ノイズ有チャネルにおける盲目的スクランブルシード検出
【0046】
また、受信したスクランブルデータに誤りが含まれている場合は、繰り返しレートマッチング構造を利用することが望ましい。式(2)は、
【数7】

に並べ替えることができ、以下を得ることができる。
【数8】
【0047】
、dを、それぞれビットkcからビットkc+l-1、c≦l≦2cまでのスクランブルデータr、アンスクランブルデータdのlビットの区間kとする。ここで、l=cならば、d=w、N=N(ここで、Nは合成のための繰り返しセグメントの数)である。ここで、c<l≦2cならば、d=[w ... wl-c-1、N=N-1(ここで、wのj番目のビットをwjとする)である。dの繰り返し構造から、以下の式が成り立つ。
=d=d=…=d(N-1)
(10)
【0048】
ここで、微妙な表記の乱用を許し、状態n+kcからn+kc+l-1までのスクランブラiの状態遷移行列F と出力系列f 、i=1,2をそれぞれ設定する。r =rとして、rをdにデスクランブルする場合、k=0、1、…、N-1、以下が与えられる。
【数9】
【0049】
=R(式中、Rは状態kcからkc+l-1へのレートマッチング遷移行列)と認識する。G=RCを、状態kcからkc+l-1までの符号化とレートマッチングの組み合わせ行列とする。G Gk=0、k=0、1、…、N-1となるように、Gのヌル部分空間行列G を定義することができる。式(6)と同様に、式(11)をG により乗算し、以下を得る。
【数10】
【0050】
式(12)の両側を(G により乗算し、そして、(G の逆数が存在するように最小のl値を見つけることによって、次のようになる。
【数11】
【0051】
ここで、
Xk=((G -1(G
である。
受信したデータs0、k の各セグメントから検出された全てのシードは同一であり、正確である。これは、s0、0 =…s0、N-1 =s である。ただし、ノイズによりr ≠rの場合は、s0、k ≠s である。幸いにも、r のエラーは独立して発する。シード検出のための受信エラーの影響を軽減するために、受信したスクランブルデータを用いて、検出した全てのシードをソフト合成することが望ましい。ブロック510では、この方法は、GからG を、F からF を取得し、(13)の逆行列が存在するように最小のlを取得し、Xを計算することを含む。
【0052】
受信されたスクランブルされたデータr は、通常、変調デマッピングの後、実数値LLR形式(r llr∈Rで取得される。スクランブルされたデータは直接合成することができないので、セグメントごとに受信されたスクランブルされたデータのLLR値に関してシード推定値を導出することが望ましい。次いで、すべてのセグメントのシード推定値をソフト合成できる。ソフト合成を容易にするために、最初に以下の定義を導入してバイナリ値をソフト値に変換し、逆もまた同様であることが望ましい。
【0053】
定義1:2値ビットx∈{0,1}について、L(x)で示されるxのソフトビットは、y=L(x)=1.0-2.0・x,y∈{+1.0,-1.0}⊂Rと定義される。
【0054】
定義2:任意のy∈Rについて、yの2進値は、x=L-1(y)=I{y<0}、x∈{0、1}として定義され、ここで、I{z}は指示関数であり、zが真の場合は1を返し、そうでない場合は0を返す。
【0055】
定義3:長さnの2進ベクトルx、x∈{0,1}について、L(x)で表されるxのソフトベクトルは、y=L(x)=1.0-2.0・x、y∈{+1.0、-1.0}と定義される。
【0056】
定義4:長さnの実数値ベクトルy、y∈Rについて、yの2進ベクトルを、x=L-1(y)=[L-1(y) L-1(y) … L-1(yn-1)]=[I{y<0}I{y<0} … I{yn-1<0}]=I{y<0}と定義される。ここで、I{z}は、成分毎指示関数でありz各成分z、i=0,1,…,||z||-1について、zが真であれば1を返し、そうでない場合は0返す。
【0057】
定義1は単に{0,1}を{+1.0,-1.0}にマッピングする。ここで、Rは正の実数、Rは負の実数として、定義2は{R∪{0},R}を{0,1}にマッピングする。なお、0、1へのマッピングは任意であるが、定義2によればy=0は2進数の0にマッピングされる。定義3、定義4は、それぞれ定義1、定義2のベクトル版である。次に、GF(2)とRの代数操作のための補題1を以下のように導入することが望ましい。
【0058】
補題1:a、a、…、aN-1∈{0、1}について、
【数12】
【0059】
証明: Appendix A を参照のこと。
【0060】
補題2:2値ベクトルa、a、…、aN-1∈{0、1}について、
【数13】

ただし、
【数2】

は、GF(2)の要素単位加算
Π
はRの要素単位乗算である。
【0061】
証明:証明はAppendix A と同様である。
【0062】
補題1は、バイナリデータa,i =0,1,...,N-1の場合、GF(2)におけるaの加算のソフト値が、aのソフト値L(a)の積に等しいことを述べている。補題2は、補題1のベクトル版である。
【0063】
定義3を使用し、rをr で置き換えることで、式(13)は、次のようにソフト推定値に変換することができる。
【数14】
【0064】
ここで、Xは、式(13)で定義されるようなL×l行列である。
【数15】

は、長さlの列ベクトルであり、
【数16】

である。
式(14)から、s0,k のi番目のビット、i=0,1,…,L-1のソフト値は、以下によって与えられる。
【数17】
【0065】
ここで、xk,i=[xk,i,0 … xk,i,l-1]はXのi番目の行ベクトルである。式(17)および式(19)における等式は、補題1に基づく。式(19)をより簡単にするため、2つのバイナリビットのAND関数のソフト値の式を補題3として導入することが望ましい。
【0066】
補題3:x,y∈{0,1}の場合、GF(2)においてxのソフト値にyを乗じたもの、言い換えると、xとyの論理積のソフト値が、
【数18】

であり、
【数19】

は、xの論理補数である。
【0067】
証明: Appendix B を参照のこと。
【0068】
式(19)に補題3を適用すると、
【数20】
【0069】
ここで、
【数21】

であり、xk,i,j及びfk,j は、符号化及びスクランブル遷移行列は既知であるため、あらかじめ知られている。一方、r k,jは、受信したスクランブル後のLLR値(r llr=[(r k,0llr (r k,0llr…(r k,0llrに依存する。 ブロック512で、この方法は、Xを使用してak,i,jおよびbk,i,jを見つけることを含む。ブロック514で、この方法は、受信したスクランブルされたLLR値および式(20)を使用して、k番目の繰り返しにおけるシードのi番目のビットのソフト値を計算することを含む。ソフト合成の場合、式(20)において、L(r k,j)を(r k、jllrで、r k,jをL-1((r k,jllr)で置き換えることが望ましい。そして、与えられる全てのN個の繰り返しを用いて、s のi番目のビット、i=0,1,…,L-1のソフト合成推定値を以下により得る。
【数22】
【0070】
ブロック516で、この方法は、式(21)を使用してシードのi番目のビットのソフト値のN回の繰り返しをソフト合成することを含む。最後に、スクランブルシード推定値s のi番目のビット、i=0,1,…,L-1は、以下として得られる。
【数22】
【0071】
ここで、
【数23】

はXのi行j列目の要素であり、fk,j 、(r k,jllrはそれぞれf 、(r llrのj番目の要素である。ソフト合成を用いたスクランブルシード推定は、s~02=[s …s L-1である。ブロック518で、この方法は、式(22)を使用してシードのソフトビットをバイナリ値に変換することによってシードを取得することを含む。この方法はブロック520で終了する。
【0072】
IV.符号化知識なしの場合の盲目的スクランブルシード検出
【0073】
本節では、チャネル符号化スキームの事前知識なしに、受信データ内の基礎となる反復構造を利用した盲目的スクランブルシード検出方法を説明する。図6は、本発明の一実施形態による、符号化スキームの知識なしのスクランブルシードの盲目的検出のための方法を示す。この方法はブロック602で開始し、この実施形態では、雑音のないチャネル状態と雑音の多いチャネル状態の両方が考慮される。ブロック604において、レートマッチドコードワードdは、式(11)から表現され、
【数24】
【0074】
まず、ノイズのない場合を見ることが望ましい。GF(2)にこれらの式の2つを加算すると、例えば、k=u、k=v、u≠vとなり、式(10)に基づいて
【数25】

を使用すると、以下の式が得られる。
【数26】
【0075】
ここで、
【数27】

である。Fuv 、ruv、Fuv 、s が既知であるため、ブロック606で注目されるように、最小値lが求められる場合、(Fuv uv の逆数が存在するように求めることができ、以下のように得ることができる。
【数28】

(25)
【0076】
式(7)と同様に、式(25)は、r =r、すなわち、スクランブルされた全てのビットを正しく受信した場合にのみ使用可能である。r ≠rの場合(例えば、ノイズの多いチャネル)、式(23)は、以下となる。
【数29】
【0077】
又はr の何れかのビットがエラーで受信された場合、k=u、k=v、u≠vかつ、
【数30】

である。
したがって、両方の式(24)、式(25)は無効である。
【0078】
ノイズの多い場合、ブロック608に示されるように、受信されたスクランブルされたデータを使用して、レートマッチング反復の各ペアからのすべての検出されたシードをソフト合成することが望ましい。セクションIIIにおける導出と同様に、式(25)により、s 推定値のソフト値は、以下である。
【数31】
【0079】
ここで、
【数32】

である。式(27)から、s0、uv のi番目、i=0,1,…L-1、のビットのソフト推定値、GF(2)における繰返し数uとvの加算は、以下によって与えられる。
【数33】
【0080】
ここで、yuv,i=[yuv,i,0…yuv,i,l-1は、Yuvのi番目の行ベクトルであり、
【数34】

である。
ここでも、式(29)、式(31)、式(33)は補題1から導かれる。なお、式(32)は、補題3により導かれ、式(20)と同じ形式を有する。式(21)と同様に、yuv,i,j、fuv,j はあらかじめ分かっており、r k,jは全てのkについて(r llrに依存する。
【0081】
ブロック610では、ソフト合成のための反復のペアを選択することが望ましい。ソフト合成のための反復のペアを選択するためには多くの方法がある。式(33)において、v=u+1とし、L(r k,j)を(r k,jllrに、r k,jをL-1((r k,jllr)に代入し、N=N-1回の繰り返し全体にわたって合計を取り,s のi番目、i=0,1,…L-1のソフト合成推定値を以下のように得る。
【数35】
【0082】
ここで、
【数36】

である。
最後に、ブロック612に示されるように、スクランブルシード推定値s のi番目のビットは、以下として得られる。
【数37】
【0083】
ソフト合成を用いたスクランブルシード推定は、s =[s …s L-1である。方法600はブロック614で終了する。
【0084】
V.シミュレーションの結果
【0085】
本セクションでは、説明した盲目的スクランブルシード検出方法の性能を、各設定について10,000回の反復を用いたモンテカルロシミュレーションを使用して評価する。説明した方法の性能を、最初に符号化の知識を持ち、次に符号化の知識を持たない状況を想定して、[3]で指定された合成を伴わない従来のアプローチ、及びハード合成アプローチの性能と比較する。
【0086】
A.シミュレーション環境設定
【0087】
各繰り返しにおいて、長さ20のメッセージビットはランダムに生成され、テールバイティング畳み込み符号によって符号化される。次いで、60ビットコードワードは、720ビット(N=12)または1440ビット(N=24)にレートマッチングされる。これらのレートマッチドビットは、最初にランダムに選択されたシードs でスクランブルされ、変調マッピングによってQPSKシンボルにマッピングされる。畳み込み符号化及びレートマッチングは、[2]で指定された手順に従う。スクランブル及び変調マッピングは、[1]に従う。次いで、QPSKシンボルは、あるOFDMシンボルの特定の位置でサブキャリアを変調する等間隔のOFDMリソースに配置される。残りのサブキャリアは、ランダムデータシンボルによって変調される。このOFDMリソースにおけるQPSKシンボルの配置は、10MHz及び20MHzのチャネル帯域幅のリソースエレメント(RE)に特定のコンシューマドローンの制御情報を配置する方法と同様である。そして、OFDM変調器は、ガードバンド付きの周波数領域シンボルを、サイズ1024のIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)により時間領域のサンプルに変換し、CP(Cyclic Prefix)を付加し、TXからのOFDM信号に分散σを付加したチャネルに出力して、必要なSNRを得る。RXで受信された信号は、最初にOFDM復調器によって同期及び復調される。メッセージを搬送するQPSKシンボルは、あるOFDMシンボルの特定のサブキャリア位置から抽出される。変調デマッピングの後、スクランブルされたデータ(r)llrのLLR値は、検出のために盲目的シード検出器に送られる。検出されたシードs が、TXでランダムに選択されたものs と同じである場合、検出は成功し、これは、検出されたシード、デレートマッチング、および復号を使用したデスクランブル後の回復されたメッセージmによって検証することができる。
【0088】
B.ハード合成vsソフト合成
【0089】
性能比較のために、符号化の知識を有する状況において、上記ソフト合成アプローチと、ハード合成と、が比較される。ハード合成の場合、s 0,k のi番目、i=0,1,…L-1のビットを、s k,iとする。Nを奇数になるように選択し、定義1及び2を使用すると、検出されたシードのビットiのハード合成は、次式で与えられる。
【数38】
【0090】
また、ハード合成シードは、s 0,HC =[s …s L-1となる。
ここで、式(36)は、本質的に、s 0,k におけるs k,iにおけるiについての多数決則を用いたハード合成を示している。ここで、Nが奇数であれば、j∈{0,1}として、少なくとも((N+1)/2)s k,iがjであればjである。図7は、ソフト合成、ハード合成、合成なしの盲目的シード検出を、符号化方式の知識あり下で比較したグラフである。より詳細には、図7は、(N=12、24)において、符号化の知識を持ったソフト合成、ハード合成、非合成のアプローチの性能比較におけるスクランブルシード検出確率対SNR値を示す。ここで、(G が逆転可能な最小値lは68であり、(N=N-1)である。図7に示されるように、ハード合成スキームのパフォーマンスは、ソフト合成スキームのパフォーマンスと比べて、低いSNR領域では劣り、高いSNR領域ではほんのわずかに優れている。記載されたソフト合成アプローチは、ハード合成アプローチと比較して、低いSNR領域において約2dBの性能利得を達成する。さらに、説明されたソフト合成アプローチは、同じ検出性能のための合成しない場合と比較して、低SNR領域から高SNR領域にわたって、約1.0~1.5dBの利得を達成する。これは、上述したスクランブルシード検出方法の有効性を示している。図7にも示されているように、ソフト合成の繰り返し数Nを12~24倍にすることは、SNR利得の大幅な改善をもたらさない。したがって、(N=12)が検出性能と計算の複雑さの間の良好なトレードオフである。
【0091】
C.符号化知識ありvs符号化知識なし
【0092】
次に、符号化の知識の有無によるソフト合成の性能を比較する。図8は、ソフト合成と合成なしの盲目的シード検出を、符号化方式の知識の有無で比較したグラフである。より詳細には、図8は、符号化知識ありのソフト合成、符号化知識なしのソフト合成、符号化知識あり及びなしの合成なしの性能比較におけるスクランブルシード検出確率対SNR値を示す。Nは、図に示されるように、12、24としたものである。図に示されるように、符号化知識を有する記述されたソフト合成方法は、一般に、同じ検出性能に対するそのような知識なしの記述されたソフト合成アプローチに対し1.0~1.2dBのSNR利得を達成する。合成なしでも、符号化の知識は、SNR利得を0.3~0.7dB改善する。これは、符号化の知識が、シード検出のための未知のスクランブル状態の効果を明らかにするヌル部分空間における符号化の効果を打ち消すために利用されるためだという期待通りの結果である。このような知識がなければ、GF(2)における2つの繰り返しの加算によって、デスクランブルされたデータのキャンセルに対してのみ応答することができる。一般に、受信したノイズの多いスクランブルデータではキャンセルが完全ではないため、符号化知識のある場合と比べて性能が劣化する。それにもかかわらず、符号化の知識なしで、ソフト合成は、非合成の場合にわたって0.5~1.0dBのSNR利得を達成する。また、符号化知識を持たないソフト合成の性能は、符号化知識ありの非合成の性能に匹敵する。したがって、説明したソフト合成方法は、符号化知識の欠如による性能損失を補償する。
【0093】
本開示で説明されるように、盲目的スクランブルシード検出方法は、LTEベースのドローンによって送信されたデータを検出し、復号するために、カウンタUASシステムのための受信されたノイズの多いスクランブルされたデータにおける反復レートマッチング構造のソフト合成を利用して説明される。説明した方法は、符号化スキームの知識の有無にかかわらず使用することができる。符号化スキームの知識を用いて、ソフト合成を伴う説明された方法は、ハード合成の場合と合成のない場合とにわたって、低いSNR領域においてSNR利得を達成する。符号化知識がなくても、説明したソフト合成方法は、符号化知識ありの合成がない場合と比べて、符号化知識の欠如による性能損失を補償する。したがって、説明される方法は、ノイズの多いチャネルにおける盲目的スクランブルシード検出のための性能を大幅に向上させる。
【0094】
本明細書で説明されるドローン検出機能は、プロセッサ可読媒体またはコンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令として記憶され得る。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。限定ではなく例として、そのような媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを格納するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を備えることができる。コンピュータ可読媒体は、有形かつ非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用される場合、用語「コード」は、コンピューティングデバイスまたはプロセッサによって実行可能である/実行可能であるソフトウェア、命令、コード、またはデータを指し得る。
【0095】
本明細書で開示される方法は、説明される方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを含む。方法のステップおよび/またはアクションは、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、交換することができる。言い換えると、ステップまたはアクションの特定の順序が、説明されている方法の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの順序および/または使用は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0096】
本明細書で使用される用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素とは、2つ以上の構成要素を示すものとする。用語「決定する」は、多種多様なアクションを包含し、したがって、「決定する」は、計算すること、コンピューティングすること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造でルックアップすること)、確認することなどを含む。また、「決定すること」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選択すること、確立することなどを含むことができる。
【0097】
「~に基づく」という語句は、特に断りのない限り、「~のみに基づく」を意味しない。言い換えると、「~に基づく」という句は、「~のみに基づく」場合と「少なくとも~に基づく」の両方を表す。
【0098】
本明細書で開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロックおよびモジュール、例えば、上記の図1~5の機能ブロック図は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または本明細書で説明された機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せなどの機械によって実施あるいは実行できる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械、それらの組合せなどとすることができる。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行するFPGAまたは他のプログラマブルデバイスを含む。また、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装することができる。本明細書では主にデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは、主にアナログ構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書で説明される信号処理アルゴリズムの一部または全部を、アナログ回路またはアナログとデジタルの混合回路で実施することができる。コンピューティング環境は、いくつか例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、またはアプライアンス内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含むが、これらに限定されない、任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0099】
本明細書で開示された実施形態に関連して説明された方法、プロセス、またはアルゴリズムの要素は、ハードウェアで直接的に、1つまたは複数のメモリ・デバイスに記憶され、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、またはその2つの組合せで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている任意の他の形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、媒体、もしくは物理的コンピュータ記憶装置に常駐することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合することができる。あるいは、記憶媒体は、プロセッサと一体であってもよい。記憶媒体は、揮発性でも不揮発性でもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICに常駐することができる。ASICは、ユーザ端末に常駐することができる。あるいは、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内のディスクリートコンポーネントとして常駐することができる。
【0100】
特に断りのない限り、「~できる」、「~してもよい」、「~のようであり得る」、「~であってもよい」などの条件付き言語は、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/またはブロックを含むことを伝えるために一般に使用されるような文脈内で別途理解され、他の実施形態はそれらの特徴、要素、および/またはブロックを含まない場合がある。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/またはブロックが、1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、または1つまたは複数の実施形態が、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/またはブロックが、任意の特定の実施形態に含まれるか、または実施されることを意味するものではない。
【0101】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という語句のような分岐言語は、特に断りのない限り、一般に使用される文脈と一緒に理解されて、項目、用語などがX、Y、またはZ、あるいはそれらの任意の組合せ(たとえば、X、Y、および/またはZ)とすることができることを提示する。したがって、そのような論理和言語は、一般に、特定の実施形態がそれぞれ存在するためにXの少なくとも一つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つを必要とすることを意図せず、暗示してはならない。
【0102】
本明細書に記載され、かつ/または添付の図に示されるフロー図における任意のプロセス記述、要素、またはブロックは、プロセスにおける特定の論理機能または要素を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、または部分を潜在的に表すものとして理解されるべきである。 当業者には理解されるように、含まれる機能に応じて、実質的に同時にまたは逆の順序を含めて、要素または機能を削除し、図示の順序とは異なる順序で実行し、または論じることができる代替の実装形態が、本明細書で説明する実施形態の範囲内に含まれる。
【0103】
特に断りのない限り、「a」または「an」などの冠詞は、一般に、1つまたは複数の説明されたアイテムを含むと解釈されるべきである。したがって、「構成されたデバイス」などの句は、1つまたは複数の列挙されたデバイスを含むことが意図される。また、そのような1つ以上の列挙された装置は、記載された列挙を実行するように集合的に構成され得る。例えば、「命令A、B、およびCを実行するように構成されたプロセッサ」は、命令BおよびCを実行するように構成された第2のプロセッサと協働して命令Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含むことができる。
【0104】
上記の実施形態に対して多くの変形及び修正を行うことができ、その要素は、他の許容可能な例の中でもとりわけであると理解されるべきであることを強調すべきである。 全てのそのような修正及び変形は、本明細書の範囲内に含まれ、以下によって保護されることが意図される。
【0105】
APPENDIX A
【0106】
補題1の証明
【数39】

を証明したい。
Nは偶数または奇数とすることができる。
(i)Nは偶数、a=0となる数を奇数とすると、
左辺では、
【数40】

右辺では、L(a)=-1となる数が奇数、L(a)=+1となる数が奇数とすると、
【数41】

(ii)Nは偶数、a=1となる数を偶数、a=1となる数を偶数とすると、
左辺では、
【数42】

右辺では、(a)=-1となる数が偶数、(a)=+1となる数が偶数とすると、
Πi=1 N-1L(ai)=+1.0
(iii)Nは奇数、a=1となる数を奇数、a=0となる数を偶数とすると、
左辺では、
【数43】

右辺では、(ai)=-1となる数が奇数、(ai)=+1となる数が偶数とすると、
Πi=1 N-1L(ai)=+1.0
(iv)Nは奇数、ai=1となる数を偶数、ai=0となる数を奇数とすると、
左辺では、
【数44】

右辺では、(a)=-1となる数が偶数、(a)=+1となる数が奇数とすると、
Πi=1 N-1L(ai)=+1.0
(i)~(iv)から、以下が導かれる。
【数45】
【0107】
APPPENDIX B
【0108】
補題3の証明
z=x・y∈{0,1}とする。GF(2)の乗算テーブル又は論理積の真理値テーブルから、x、yが共に1の場合にのみz=1とする。同様に、定義1を用いて、L(x)=-1.0、L(y)=-1.0である場合に限りL(z)=-1.0である。ここで、L(z)をL(y)に基づいて表現すると、以下の3つの場合がある。
【数46】

(i)~(iii)、から、以下が従う。
【数47】



図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8