(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20241211BHJP
G06Q 30/04 20120101ALI20241211BHJP
【FI】
G06Q20/10 300
G06Q30/04
(21)【出願番号】P 2024041620
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523097466
【氏名又は名称】NeoPen株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】坂嵜 海斗
(72)【発明者】
【氏名】本多 創
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-054597(JP,A)
【文献】特開2021-093006(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0265962(US,A1)
【文献】米国特許第7069234(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理回路
と、記憶回路と、を備え、
前記処理回路は、
請求元からの請求の要求に基づいて請求先を特定し、
前記記憶回路に前記請求元と前記請求先との間に締結されている前記請求に係る契約書があるかを判定し、当該契約書がない場合に、
前記請求先に対して、前記請求に関連する未締結の契約書を提示し、
前記請求先に対して、前記契約書に係る契約を締結するか否かの要求を受け付ける状態に遷移し、
契約の締結をする旨の要求を受けた場合に、前記契約書に係る契約を締結し、
前記記憶回路に前記契約書がある場合、又は、前記契約書に係る契約を締結した場合に、
前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記請求先に対して、前記請求書に係る決済を承認するか否かの要求を受け付ける状態に遷移し、
決済を承認する旨の要求を受けた場合に、
前記請求書に係る決済処理を実行し、
前記請求書を
決済が完了した旨のフラグと紐付けて前記記憶回路に格納する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理回路は、
前記契約書に係る契約が締結された場合に、当該契約書が前記請求元及び前記請求先の間で締結されたことと紐付けて前記記憶回路に格納する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記契約書は、
前記請求先からアップロードされた契約書、又は、
提示されるテンプレートにしたがって作成が補助された契約書、
である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理回路は、
前記記憶回路に、前記請求元と前記請求先との間において締結されている契約に係る契約書がある場合に、
前記請求先に対する前記契約書の提示、及び、前記契約書に係る契約の締結の受付処理をせずに、前記請求書を提示する処理に遷移する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記締結されている契約に係る契約書は、
前記請求に関して締結されている契約書がアップロードされたもの、
過去に前記処理回路を介して締結がされたもの、又は、
他の請求についてアップロードされた締結されている契約書若しくは他の請求について過去に前記処理回路を介して締結がされた契約書において、前記請求に関して援用することが可能なもの、
である、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理回路は、
決済の処理のタイミングにおいて、当該決済に係る領収書を発行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記必要な事項は、少なくとも、
前記請求元のインボイス制度に係る登録番号、
取引した日付を示すための情報、
取引項目、
取引額、及び、
消費税額、
を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理回路は、
前記請求書に関連する契約の締結を、電子的に実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理回路は、
決済を実行するためのウォレット機能を提供する、
請求項1から請求項
8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
サーバである、請求項1から請求項
8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
処理回路が、
請求元からの
請求の要求に基づいて請求先を特定し、
記憶回路に、前記請求元と前記請求先との間に締結されている前記請求に係る契約書があるかを判定し、当該契約書がない場合に、
前記請求先に対して、前記請求に関連する未締結の契約書を提示し、
前記請求先に対して、前記契約書に係る契約を締結するか否かの要求を受け付ける状態に遷移し、
契約の締結をする旨の要求を受けた場合に、前記契約書に係る契約を締結し、
前記記憶回路に前記契約書がある場合、又は、前記契約書に係る契約を締結した場合に、
前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記請求先に対して、前記請求書に係る決済を承認するか否かの要求を受け付ける状態に遷移し、
決済を承認する旨の要求を受けた場合に、
前記請求書に係る決済処理を実行し、
前記請求書を決済が完了した旨のフラグと紐付けて前記記憶回路に格納する、
前記請求書をデータベースに格納する、
情報処理方法。
【請求項12】
複数のクライアントと、サーバと、を含み、
前記
複数のクライアント
のうち請求元に係る第1クライアントが、
前記請求元から請求先を少なくとも含む請求の要求を前記サーバに送信し、
前記サーバが、
記憶回路に、前記請求元と前記請求先との間に締結されている前記請求に係る契約書があるかを判定し、
前記記憶回路に前記契約書がない場合に、
前記サーバが、前記複数のクライアントのうち請求先に係る第2クライアントを介して前記請求に関連する未締結の契約書を前記請求先に対して提示し、
前記第2クライアントが、前記契約書に係る契約を締結するか否かの要求を受け付ける状態に遷移し、
前記サーバが、前記第2クライアントを介して契約を締結する旨の要求を受けた場合に、前記契約書に係る契約を締結し、
前記記憶回路に前記契約書がある場合、又は、前記契約書に係る契約を締結した場合に、
前記サーバが、前記
第2クライアントを介して、前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記第2クライアントが、前記請求書に係る決済を承認するか否かの要求を受け付ける状態に遷移し、
前記サーバが、前記第2クライアントを介して決済を承認する旨の要求を受けた場合に、
前記請求書に係る決済処理を実行し、
前記請求書を決済が完了した旨のフラグと紐付けて前記記憶回路に格納する、
情報処理システム。
【請求項13】
請求項
12に記載の前記情報処理システムにおいて、
前記クライアントに、前記クライアントについて動作を実行させる、
プログラム。
【請求項14】
請求項
12に記載の前記情報処理システムにおいて、
前記サーバに、前記サーバについての動作を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
取引をした際における請求については、その取引時又は精算時に適用される法律により必要となる記載項目等が大きく変わる。例えば、2024年現在においては、2023年10月より導入されたインボイス制度により、必要となる項目が増えるとともに当該項目について参照できることが望ましいデータ等も保持しておく必要がある。
【0003】
クラウドサービス等において、請求書の項目や税率等を自動的に算出し、保管するサービスはあるが、例えば、インボイス制度に対応する自動化サービスは、発展途上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示の実施形態が解決しようとする限定されない課題の1つは、自動的に法律に基づいた文書を作成、又は、データを保管することである。本開示の実施形態により解決しようとする課題は、さらに限定されないいくつかの例として、実施形態において記載した効果に対応する課題、とすることもできる。すなわち、本開示の実施形態の説明において記載された効果のうち任意の少なくとも1つに対応する課題を本開示における解決しようとする課題とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理装置は、処理回路、を備える。前記処理回路は、請求元からの要求に基づいて請求先を特定し、前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、前記請求元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記請求先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、前記請求書をデータベースに格納する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図。
【
図2】一実施形態に係る情報処理システムの処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】一実施形態に係る情報処理システムの処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】一実施形態に係る情報処理システムの処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示における実施形態の説明をする。図面は、説明のために用いるものであり、実際の装置における各部の構成の形状、サイズ、又は、他の構成とのサイズの比等が図に示されている通りである必要はない。また、図面は、簡略化して書かれているため、図に書かれている以外にも実装上必要な構成は、適切に備えるものとする。
【0009】
<契約書及び適格請求書の管理について>
【0010】
図1は、一実施形態に係る情報処理システムを模式的に示す図である。情報処理システム 1 は、クラウドに備えられるサーバ 10 と、当該クラウドのサーバ 10 にアクセス可能なクライアント 20 と、を備える。情報処理システム 1 は、クライアント 20 からの要求により、クラウド上のサーバ 10 において種々の処理を実行するシステムとして構成されてもよい。
【0011】
情報処理システム 1 は、1又は複数のサーバ 10 を備えて構成されてもよい。1又は複数のサーバ 10 は、演算を実行する演算サーバと、ファイルを保存するファイルサーバと、を備えて構成されてもよい。
【0012】
クライアント 20 は、ユーザが利用する端末であり、ユーザは、クライアント 20 を介してサーバ 10 が提供するサービスを利用することができる。クライアント 20 は、例えば、ユーザが所有しているコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本開示において、「情報処理装置」と示した場合、サーバ 10 を指す場合と、クライアント 20 を指す場合がある。情報処理装置は、少なくとも記憶部及び/又は処理部を備える。これらの構成は、それぞれ別個の、又は、一体として形成される半導体装置であってもよい。処理部は、情報処理装置において処理を実行する処理回路を備えてもよい。
【0014】
処理回路は、汎用のプロセッサ(CPU: Central Processing Unit、GPU: Graphics Processing Unit等)を備えてもよいし、専用のプロセッサ(ASIC: Application Specific Integrated Circuit)等を備えてもよい。これらのプロセッサは、少なくとも一部にアナログ回路及び/又はデジタル回路を備えることができる。また、これらのプロセッサは、少なくとも一部がFPGA(Field Programmable Gate Array)等の書き換え可能な回路で形成されていてもよい。
【0015】
また、「プログラム」と示した場合、ソフトウェアによる情報処理をハードウェア資源である情報処理システム 1 におけるいずれかの情報処理装置を用いて具体的に実現するためのプログラムであることを示す。処理回路の少なくとも一部が、記憶部に格納されている実行ファイル等を参照して、実現することができる。
【0016】
情報処理システム 1 は、クラウドサービスとして本開示の情報処理を提供することが可能である。情報処理システム 1 は、SaaS(Software as a Service)等の手法でサービスを提供することができるし、ブラウザ等を介してサーバにアクセスする形態でサービスを提供することもできる。
【0017】
図2は、一実施形態に係る情報処理システム 1 の処理の一例を示すフローチャートである。
図2の処理は、売り手側のクライアント 20 と、サーバ 10 との間の処理を示す。なお、売り手側ユーザについてのデータは、あらかじめサーバ 10 に格納されているものとする。サーバ 10 にユーザのデータが存在しない場合は、クライアント 20 からの要求により、サーバ 10 は、新たなユーザに係る必要なデータを取得して生成することができる。
【0018】
クライアント 20 は、ユーザからの入力に基づいて、サーバ 10 に請求の要求を送信する(S100)。クライアント 20 は、少なくとも、請求先を特定した要求を受け付ける。ユーザは、クラウドサービスとしてブラウザ又はソフトウェア(以下、ブラウザ等と記載する)に表示されているUI(User Interface、GUI: Graphical User Interfaceを含む)を介して、請求に必要なデータを入力し、クライアント 20 は、入力されたデータに基づいた請求をサーバ 10 に対して送信する。
【0019】
情報処理システム 1 は、限定されない一例として、クライアント 20 において請求書のテンプレート等を提供して、ユーザに請求先、請求項目名と請求額(個数含む)等の必要な情報の入力を受け付ける形態であってもよい。請求先、請求項目といったデータは、あらかじめユーザがサーバ 10 に登録しておき、この登録情報に基づいて選択形式で設定することもできる。また、ユーザは、サーバ 10 があらかじめ準備しているテンプレート等を用いて請求項目等を設定することもできる。
【0020】
情報処理システム 1 は、限定されない一例として、クライアント 20 のインタフェースを介してユーザが別途作成した請求書のデータを受け付ける形態であってもよい。この場合、クライアント 20 は、OCR等、又は、書類に埋め込まれているメタデータ等に基づいて、適切に、請求先、請求項目、請求額等を抽出してもよい。また、クライアント 20 は、請求書のデータをサーバ 10 に送信し、サーバ 10 において、請求先、請求項目、請求額等を抽出する形態であってもよい。
【0021】
クライアント 20 がユーザから当該ユーザについて取引先として登録されている相手方のユーザの情報を提示する形態とすることもできる。すなわち、ユーザは、情報処理システム 1 を利用することで、あらかじめ取引先として登録されている請求先を選択する形式とすることもできる。
【0022】
また、情報処理システム 1 は、クライアント 20 を介してユーザが入力した請求に係る契約についての指定をサーバ 10 に送信することができる。ユーザの契約についての入力については、クライアント 20 がサーバ 10 内の双方当事者に関するデータベースを参照することですでに締結されている契約に係る契約書、覚書等を選択できる形態とすることもできる。上記したように請求先を選択する形式である場合、サーバ 10 は、クライアント 20 からの要求に基づいて、ユーザが請求先として選択した取引先に係る契約書等を提示する方式とすることもできる。
【0023】
なお、ユーザに係る情報は、サーバ 10 に格納される他、クライアント 20 内の記憶領域に格納されていてもよい。この場合、顧客情報等を外部に出さずに、クライアント 20 内においてユーザからの入力を受け付けして暗号化等をすることで、よりセーフティな通信を実現することができる。
【0024】
また、クライアント 20 は、ユーザから受け付けた特定された請求先の情報に基づいて、過去の取引実績に基づいた請求項目等を選択させる形式であってもよい。クライアント 20 は、ユーザから受け付けた請求先の情報に基づいて、過去の実績に基づいた請求項目、請求額等を記載した請求書を提示してユーザに確認させる形式であってもよい。
【0025】
この他、クライアント 20 は、過去の取引実績に基づいた種々の処理をユーザに提供することもできる。例えば、クライアント 20 は、ユーザに取引先の候補を提示してもよいし、取引先を特定した後に取引項目、取引額等を提案する形態であってもよい。ユーザは、クライアント 20 に提案された中から選択することもできるし、新たに当該取引先に関する請求をクライアント 20 を介して生成することもできる。
【0026】
クライアント 20 は、ユーザから取引年月日の入力を受け付ける形態であってもよい。クライアント 20 は、ユーザから取引年月日の入力がない場合に、請求書の発行日を取引年月日とすることもできる。
【0027】
クライアント 20 からの請求の要求を受信したサーバ 10 は、クライアント 20 において受け付けた請求に係る請求元及び請求先の情報を取得し、当該請求元及び請求先の間において、当該請求項目について決済をすることを許可する契約が締結されているか否かを確認する(S200)。
【0028】
当該契約には、当該請求項目以外の取引についての契約が含まれることを除外するものではない。また、当該契約は、記載されている範囲内で項目に沿った業務があることを許容するものである。また、一般的には、取引の実情に応じた契約が締結されることが多い。本開示における契約も、この一般的な取引の実情に対応するものであってもよい。
【0029】
すなわち、請求元のユーザは、クライアント 20 を介して業務に沿った種々の業務を含む契約を請求先のユーザと締結することが可能である。この場合、請求元のユーザは、クライアント 20 を介した締結した契約内容に限定される請求項目に係る請求をするのみならず、請求元と請求先との間の業務に係る請求を、契約書の範囲内、又は、契約書の範囲外において実現することができる。
【0030】
換言すると情報処理システム 1 は、双方ユーザにおいて締結されている契約内の業務に係る請求項目はもちろん、契約外の業務に係る請求項目についての請求書の発行、決済、請求書の管理をすることが可能である。
【0031】
上述したようにクライアント 20 が受け付けた請求に係る契約についての指定を受信した場合、サーバ 10 は、当該請求に係る契約書を保管しているデータベースから抽出してもよい。抽出ができない場合には、以下に示す S202: NO と同等の処理をすることができる。
【0032】
請求元、請求先の間において当該請求項目に係る契約書がデータベースに存在する場合(S202: YES)、請求先に対する処理を示す分岐Aへと移行する。
【0033】
なお、契約書は、データベースに格納しているものに限定されず、請求元、請求先との間においてすでに締結されている契約書、又は、これに代替する何らかの電子書類等を請求元がS100の処理においてサーバ 10 へと送信しているものであってもよい。この場合も、サーバ 10 は、分岐Aの処理へと移行する。
【0034】
図3は、一実施形態に係る分岐Aにおける処理を示すフローチャートである。請求項目に対して締結されている契約書の存在を確認できたサーバ 10 は、受信した請求の要求に基づいて、請求書を発行する。
【0035】
サーバ 10 は、クライアント 20 から取得した情報に基づいた請求書を発行する(S204)。サーバ 10 は、法律上必要な情報を含む請求書を作成することができる。サーバ 10 は、例えば、インボイス制度に適合する請求書を作成することができる。サーバ 10 は、例えば、作成する請求書に、発行者名(屋号で代替してもよい)、登録番号、取引年月日、取引の内容(取引項目)、取引価格、適用税率、消費税額及び宛名を含む記載をすることができる。
【0036】
サーバ 10 は、ユーザに紐付けられている登録番号がデータベースから見つけられない場合には、ユーザに登録番号を入力する旨、クライアント 20 を介して要求することができる。ユーザは、クライアント 20 を介して登録番号を入力し、クライアント 20 は、ユーザから入力された登録番号をサーバ 10 へと通知し、サーバ 10 は、この登録番号をユーザと紐付けてデータベースに登録することができる。
【0037】
ユーザからのクライアント 20 を介した指示によっては、サーバ 10 は、適用税率を記載した上で消費税額を記載しない法律上の制度に適合した請求書を作成してもよい。また、サーバ 10 は、宛名を記載しない請求書を作成してもよい。また、サーバ 10 は、一定の期間の請求をまとめて記載してもよい。この場合、この一定の期間の間の取引を示す納品書、計算書等をユーザに要求し、クライアント 20 を介したユーザからの書類を受信してから、合算した請求書を発行してもよい。
【0038】
なお、相手方(請求先)の情報に不足している箇所がある場合には、相手方のクライアント 20 に対して、当該情報の入力を要求する通知をすることができる。相手方についての情報がそろったタイミングにおいて、サーバ 10 は、請求書の確定をしてもよい。
【0039】
この他の足りない情報についても、サーバ 10 は、適宜情報が足りないユーザが操作可能、情報の閲覧可能なクライアント 20 を介して通知することができ、情報がそろった時点で請求書を作成することができる。
【0040】
サーバ 10 は、請求先のクライアント 20 に対して、発行した請求書を通知、送付する。サーバ 10 は、クライアント 20 に対して請求書に関する決済をするためのリンクをこのタイミングで併せて送付することができる。
【0041】
また、サーバ 10 は、請求書とともに、契約書に係る情報を請求先のクライアント 20 へと送付することもできる。サーバ 10 は、発行する請求書に紐付けられる締結済みの契約書の情報、例えば、契約書を閲覧するためのリンクを請求先のクライアント 20 へと通知することができる。
【0042】
また、サーバ 10 は、請求期限を設定することも可能である。請求期限は、ユーザによりクライアント 20 を介して設定されてもよい。サーバ 10 又はクライアント 20 は、請求期限までに内容の提示がない、又は、決済が完了しない場合には、適宜クライアント 20 を介して請求先にリマインドを通知することができる。この他、サーバ 10 又はクライアント 20 は、設定された請求期限よりも前に、設定されたタイミングで請求先のクライアント 20 を介してユーザにリマインドをすることもできる。
【0043】
なお、サーバ 10 は、発行した請求書の情報をデータベースに格納し、決済が完了していない請求書として保管し、管理することができる。
【0044】
クライアント 20 は、請求書の内容とともに、決済をするためのリンク(ハイパーリンク)をユーザに提示する(S310)。クライアント 20 は、ユーザからの決済の承認待ち状態へと移行してもよい。また、ユーザは、クライアント 20 に提示された決済を一時的に保留して上記の承認待ち状態へと移行させ、任意のタイミングで決済を実行することができる。
【0045】
クライアント 20 は、内容が提示された旨を記録してもよい。所定期間内にユーザに内容を提示していない場合には、クライアント 20 は、ユーザに再度通知してもよい。また、この内容確認した旨の記録は、サーバ 10 側で管理してもよい。内容が請求先に提示された旨は、請求元のクライアント 20 から参照できる形態とすることもできる。
【0046】
クライアント 20 がS210において契約書に関する情報を併せて通知した場合には、クライアント 20 は、この契約書に関する情報を、発行された請求書の情報とともに提示することが可能である。また、請求元のクライアント 20 を介してユーザが選択したデータベース内の契約書を、請求先のクライアント 20 が提示することもできる。
【0047】
ユーザは、例えば、ブラウザ、アプリケーション上にクライアント 20 に提示されたハイパーリンク等をたどることで、クライアント 20 を介してサーバ 10 内の請求書等のデータを参照することができる。
【0048】
クライアント 20 は、ユーザに対して発行した請求書を提示してもよいし、発行した請求書に係る情報をデータとしての適切な形態で提示することもできる。例えば、クライアント 20 は、データベースの形式、CSV等のファイルの形式、それ以外のテキストファイルの形式、任意のアプリケーション(会計ソフトウェアや税務ソフトソフト、それ以外のデータを参照、編集するためのソフトウェア)向けの形式、それ以外の任意のバイナリファイル等の形式、任意のMHTやXMLといった記述言語の形式でユーザにデータを提供することができる。
【0049】
クライアント 20 は、ユーザから発行した請求書に係る決済を承認(同意)するか否かを受け付ける(S312)。承認(同意)しない場合(S312: NO)、クライアント 20 は、サーバ 10 へと決済が承認されなかった旨を通知する。
【0050】
承認されなかった旨を通知されたサーバ 10 は、請求元に請求が承認されなかった旨の通知をする(S212)。この後の処理は、例えば、ユーザ同士で解決し、ユーザ同士で同意のとれた請求書の再発行等を、
図2の処理にしたがって実行することができる。限定されない一例として、この後の流れは、
図2の分岐Bからの流れと同一のものとしてもよい。
【0051】
すなわち、双方のユーザは、情報処理システム 1 を介しての契約の締結処理を実行してもよいし、情報処理システム 1 外において契約を締結して、その旨を情報処理システム 1 に通知することで、再度の請求及び決済の処理を実現することができる。
【0052】
承認された場合(S312: YES)、クライアント 20 は、決済方法をユーザから受け付け、当該決済方法による決済をする旨、サーバ 10 へと要求する(S314)。サーバ 10 は、クライアント 20 からの要求に基づいて、決済を実行する(S214)。決済方法についての詳細は、後述する。
【0053】
決済の実行ができなかった場合には、サーバ 10 は、クライアント 20 を介してユーザに決済ができなかった旨を通知し、決済が可能となるように手段を変更し、再度決済をするように要求をすることができる。
【0054】
サーバ 10 は、決済が完了した後、決済がされた旨の情報を紐付けて、当該請求に係る請求書を管理することができる(S216)。サーバ 10 は、クライアント 20 を介したユーザ(請求元及び/若しくは請求先)又は当該ユーザの情報を参照可能な法律的に請求書等を閲覧することが許可されている代理人(例えば、ユーザから委任された税理士、公認会計士等)からの要求に基づいて、任意のタイミングで、この決済が完了した旨が紐付けられた請求書を提示することができる。
【0055】
以上のように、情報処理システム 1 によれば、請求の要求に基づいて、請求書の発行、決済等の処理を電子的にスムーズに実現することが可能となる。これらの処理は、クラウド上で完結することが可能であるので、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。また、書類の管理も電子的に自動的に実行することができるので、年度処理、決算等についても高い効率、かつ、高い精度で実現することが可能となる。
【0056】
次に、S202において契約書が確認できなかった場合について説明する。
【0057】
図4は、一実施形態に係る分岐Bに係る処理の限定されない一例を示すフローチャートである。請求項目に対して締結されている契約書の存在を確認できなかったサーバ 10 は、受信した請求の要求を請求するために必要となる契約書に係る処理を双方ユーザに通知することができる。
【0058】
サーバ 10 は、請求元のクライアント 20 に対して、当該請求に係る契約書を要求する(S220)。フローチャートには示していないが、この段階において、すでにデータベースに存在している締結された契約書を使用、援用できる場合には、クライアント 20 は、ユーザから、使用又は援用する契約書の選択を受け付けて、サーバ 10 へと通知し、サーバ 10 は、当該契約書に基づいて、
図3に示す分岐Aの処理を実行することができる。
【0059】
なお、フローチャートには示していないが、契約書は、処理において必須の構成ではない。請求元のクライアント 20 は、締結されている契約外の業務において請求書の発行を要求することもできる。クライアント 20 は、契約外の業務に係る請求項目について、フラグを取得して、サーバ 10 へと通知してもよい。また、逆に、クライアント 20 は、締結している契約に係る請求項目であるフラグを取得してサーバ 10 へと通知してもよい。
【0060】
情報処理システム 1 は、要求された請求が契約外でも処理可能であるという情報に基づいて、S220からS222の処理を省略して、分岐Aへと移行することもできる。この場合、請求元のユーザからの要求により、情報処理システム 1 は、自動的に契約書がない状態においても分岐Aの処理を実行することができる。
【0061】
例えば、請求元から請求先への継続的な契約、関連項目に対する契約、又は、同じ請求先に対する別の項目に対する契約の確認を省略して、情報処理システム 1 は、請求書の発行処理を続けることができる。
【0062】
また、請求元からの追加料金の請求、追加の請求書等についても同様に処理することが可能である。これらの契約書の要求等の処理を省略することで、例えば、持続的な業務に関する取引等をよりスムーズに実現することが可能となる。
【0063】
クライアント 20 は、サーバ 10 から契約書の要求を受信すると、ユーザにその旨を通知する。クライアント 20 は、この通知の後、ユーザからの契約書に係る入力を受け付け、契約書をサーバ 10 へと送信する(S120)。クライアント 20 は、ユーザから当該契約書が請求元及び請求先の間で締結されているか否かを選択させて、当該選択結果を契約書と併せてサーバ 10 へと送信することができる。
【0064】
クライアント 20 は、ユーザに契約書をアップロードする旨の通知をしてもよい。アップロードされる契約書は、すでに締結されている契約についての契約書(覚書書等)であってもよい。
【0065】
また、クライアント 20 は、ユーザに契約書のテンプレートの表示をし、契約書の作成の補助をしてもよい。この場合、クライアント 20 は、テンプレートに沿って作成された契約書をサーバ 10 に送信してもよい。
【0066】
クライアント 20 は、ユーザから未締結の契約書を受け付ける場合、電子署名に係る情報を併せて取得してもよい。電子署名等の証明書に係る情報を取得することで、クラウドサービスにおいて契約書の締結処理を進めることが可能となる。また、過去に電子署名を情報処理システム 1 において利用したことがあるユーザは、当該電子署名に係る情報をサーバ 10 又はクライアント 20 に格納しておき、再利用することも可能である。
【0067】
契約書を受信したサーバ 10 は、当該契約書を双方当事者に紐付けて保存し、この契約書がすでに請求元及び請求先の間において締結されているか否かを確認する(S222)。サーバ 10 は、契約書がすでに請求元及び請求先において締結されている契約書である場合には(S222: YES)、分岐Aからの処理を実行することができる。
【0068】
受信した契約書が未締結の契約書である場合(S222: NO)、サーバ 10 は、請求先のクライアント 20 にこの契約書に係る情報を送信する(S224)。サーバ 10 は、例えば、請求先のクライアント 20 へ、契約書に係る情報を送信する。上記と同様に、契約書に係る情報は、サーバ 10 内の契約書にアクセスするためのハイパーリンク等の情報であってもよい。また、サーバ 10 は、請求先のユーザに締結を促す旨の通知をすることができる。
【0069】
請求先のクライアント 20 は、受信した情報に基づいて、ユーザに契約書を提示することができる(S320)。
【0070】
当該クライアント 20 は、情報を提示した後に、ユーザから締結の可否を受け付ける(S322)。すなわち、ユーザは、提示された契約書の情報を確認した上で、当該契約を締結するか否かを決定し、この決定をクライアント 20 を介してサーバ 10 へと通知することができる。
【0071】
請求先のクライアント 20 は、締結が可能であるとのユーザからの入力を受け付けた場合には、併せて、請求先のユーザに係る電子署名等の証明書を取得して、サーバ 10 へと送信することができる。サーバ 10 又はクライアント 20 は、請求元の情報と同様に、請求先のユーザに係る電子署名等に係る情報を管理することもできる。
【0072】
また、請求先のクライアント 20 は、請求先のユーザに係る電子署名の情報を記憶しておいてもよく、この場合、上記において締結が可能であるとのユーザからの入力を受け付けると自動的に電子署名等の証明書をサーバ 10 へと送信する形態であってもよい。別の例として、請求先のクライアント 20 から締結が可能であるとの通知をうけたタイミングで、サーバ 10 は、データベースを参照することで請求先のユーザの電子署名等の証明書に係る情報を探索し、存在する場合にはこの証明書に係る情報に基づいて、自動的に締結をする実装であってもよい。
【0073】
クライアント 20 からの通知を受けたサーバ 10 は、請求先のクライアント 20 からの回答により、契約が締結可能であるか否かを判定する(S226)。サーバ 10 は、締結が可能であると判定(S226: YES)、例えば、双方の電子署名等が取得された場合、当該覚書において契約を締結する、すなわち、電子契約を完結することができる。
【0074】
上述したように、電子署名等は、サーバ 10 により自動的に抽出され、又は、クライアント 20 により自動的にサーバ 10 に送信されてもよく、サーバ 10 は、取得した証明書に基づいて電子契約の締結をすることができる。
【0075】
なお、本実施形態における情報処理システム 1 によれば、電子署名等を用いて電子契約をすることも可能であるが、本開示の形態は、これ以外の手法を排除するものではない。例えば、情報処理システム 1 は、請求元のユーザから電子署名ではない署名付きの契約書を受信し、請求先のユーザにおいて電子署名以外の署名を促して、契約の締結をすることも可能である。例えば、請求元のクライアント 20 は、ユーザに取得した契約書を印刷して、署名した上で電子化し、アップロードする旨、促す通知をしてもよい。また、一方の当事者のみが電子署名を用いることもできる。
【0076】
契約が締結可能でない場合(S226: NO)、サーバ 10 は、請求元のクライアント 20 にその旨の通知をするとともに、分岐Bの処理を繰り返すことができる。クライアント 20 は、通知を受信した場合に、その旨をユーザに提示する(S122)。また、サーバ 10 及びクライアント 20 は、分岐Bの処理と併せて契約が締結されなかった旨を通知することも可能である。
【0077】
また、フローチャートには示していないが、請求先のクライアント 20 が締結する旨の入力を受け付けたにも拘わらず、ユーザが選択した手段において締結が実現できない場合には、サーバ 10 は、請求先のクライアント 20 を介してユーザに締結手段を見直し、又は、訂正する旨を通知することができる。
【0078】
サーバ 10 は、締結された契約についての契約書を、双方当事者と紐付けて格納する。また、 S100 において受信した請求書に係る項目と、当該契約書とを紐付けて格納することもできる。この結果、次の機会からはユーザは、クライアント 20 を介して当該請求先に対して当該請求項目を選択して請求の要求をすることで、サーバ 10 が自動的に契約書を参照することが可能となる。
【0079】
また、請求先のユーザは、クライアント 20 を介して受信した同じ請求元からの同じ請求項目に係る決算を情報処理システム 1 のクラウドサービス上で完結することができる。
【0080】
また、ユーザは、必要に応じてサーバ 10 内の契約書を任意のタイミングで参照、受信することができる。
【0081】
以上のように、情報処理システム 1 によれば、請求書に関する決算だけではなく、クラウドサービスにおいて契約の締結を実現することが可能となる。
【0082】
なお、双方のユーザへの通知は、双方のユーザが登録しているアカウントへの通知とすることができる。例えば、メールでの通知、SNS、SMSを通じての通知、又は、ソフトウェアがインストールされている端末へのプッシュ通知により実現することができる。
【0083】
適格請求書発行事業所の登録をしているユーザが、上記の手順に従って適格請求書を発行することで、相手側のユーザは、仕入税額控除を適切に受けることが可能となる。情報処理システム 1 において発行された適格請求書は、サーバ 10 において適切において保存される。このため、当該適格請求書に係る取引は、仕入税額控除の対象とすることができる。
【0084】
また、請求書を発行したユーザも、上記の適格請求書を発行することで、相手側のユーザに消費税分の値下げ交渉をされるといった被害に遭うことを回避することができる。
【0085】
以上のように、本実施形態によれば、情報処理システム 1 は、適切に契約書及び適格請求書の管理を実現することができる。この結果、ユーザは、請求書に関する不安を解消した上で、適切な取引を実現することが可能となる。
【0086】
上記においては、特に請求の方法について限定されるものではない。例えば、サーバ 10 又はクライアント 20 は、ユーザが作成した定額請求に基づいて、同じ額の請求をより素早く作成することが可能である。また、サーバ 10 又はクライアント 20 は、ユーザからの要求により、請求に対する支払い回数を設定することも可能である。また、サーバ 10 又はクライアント 20 は、適格請求書に該当しない簡易な請求書を発行することも可能である。
【0087】
ユーザは、情報処理システム 1 を介して請求の期限を設けてもよい。この場合、情報処理システム 1 は、請求の期限が超過している請求について、請求先及び請求元に通知をすることもできる。また、請求の期限が切れる所定日数前に、請求先に自動的にリマインドを送付してもよい。
【0088】
<決済について>
【0089】
情報処理システム 1 は、決済方法として、クレジットカードを用いたり、銀行口座を指定して振り込み又は引き落としをしたり、ブロックチェーン等により実装されている仮想通貨による取引をしたり、といった方法を採用することができる。また、情報処理システム 1 は、ウォレット機能を備えていてもよい。ユーザは、クライアント 20 を介して情報処理システム 1 から提示された任意の手法を選択することで、決済をする旨の意思表示をし、クライアント 20 は、受け付けた決済方法を、サーバ 10 へと通知することができる。
【0090】
決済の承認、及び、決済方法の通知を受けたサーバ 10 は、クライアント 20 から受信した決済方法に基づいて、決済を実行する(S214)。決済ができなかった場合には、サーバ 10 は、クライアント 20 に決済方法の選択、又は、決済の承認へと差し戻しをすることができる。クライアント 20 は、差し戻しをされた場合に、その旨をユーザに通知することで、適切な再度の決済方法の選択や再度の承認をユーザに通知することができる。
【0091】
サーバ 10 は、クライアント 20 からクレジットカードによる決済を通知された場合、クレジットカード会社に問い合わせをして、決済ができるか否かをその場で判断してもよい。この場合、決済ができなれば、即時クライアント 20 を介してユーザに決済ができなかった旨を通知することができる。対象のユーザのクレジットカードが登録されていない場合には、ユーザにクレジットカードの情報を通知するようにクライアント 20 を介して提示してもよい。
【0092】
サーバ 10 は、クライアント 20 から銀行口座からの入金による決済要求を通知された場合、銀行にその旨を問い合わせて、入金ができたか否かにより決済が完了したかを判定することができる。また、サーバ 10 は、クライアント 20 から銀行口座からの振り込みによる決済を通知された場合、情報処理システム 1 に係る口座への振込先をユーザに通知して、適切なタイミングで振り込みが実行されたか否かを判断することができる。また、ペイジー(登録商標)等の任意の手段による銀行口座からの振り込みを受け付ける形態としてもよい。
【0093】
この実装は、バーチャル銀行の機能を用いて実装されてもよい。サーバ 10 は、バーチャル銀行の機能を用いることにより、自動的に入金及び消込等の処理を実現することができる。
【0094】
別の例として、サーバ 10 は、クライアント 20 から請求元の銀行口座への直接的な振り込みを実行させるインタフェースを有していてもよい。この場合、請求先から請求元へと直接的に振り込みが実行され、請求元又は振込先からの振り込み確認が通知されたことによって、情報処理システム 1 は、決済が実行されたことを判断してもよい。
【0095】
また、限定されない別の例として、ユーザが指定している銀行口座からの引き落としとして、入金をすることも可能である。
【0096】
銀行からの引き落としが選択され、かつ、ユーザの銀行口座が登録されていない場合には、サーバ 10 は、クライアント 20 に対してユーザの銀行口座に係る情報を取得する要求をし、クライアント 20 は、この要求をユーザに提示することで、ユーザから銀行口座に係る情報を取得してもよい。
【0097】
この他、任意の電子通貨を用いた決済を実行してもよいし、ブロックチェーンを用いた仮想通貨による決済を実行してもよい。
【0098】
請求先からのクレジットカード、銀行口座、又は、電子通貨等のIDに係る情報は、ユーザの意思により(オプトイン又はオプトアウトにより)、サーバ 10 に登録をしてもよい。この場合、次の決済の機会からは、ユーザに紐付けられた手法により、速やかな決済を実現することもできる。
【0099】
また、限定されない別の例として、請求先からの決済により請求元に金員又はそれに変わる情報が移動した場合には、情報処理システム 1 は、自らが有している口座において、ユーザの金員を保管するとともに、ユーザのウォレットに振込額を示す金額を提示することができる。すなわち、情報処理システム 1 は、ユーザの口座を仮想的に設定してもよい。
【0100】
ユーザは、任意のタイミングで、ウォレットに登録されている金額を自らの銀行口座等に引き出すことができる。また、別の例として、ユーザは、ウォレットに登録されている金額を用いて、自らを請求先として指定された別の請求書に係る決済を実行することができる。また、ユーザは、任意のタイミングでウォレットにチャージをすることもできる。別の例として、ユーザが指定した銀行口座、クレジットカード等から、自動的にウォレットに不足している金額等を手動で又は登録されている口座等から自動で入金させる形態であってもよい。
【0101】
すなわち、請求書を受信した場合に、クライアント 20 は、ユーザに対してウォレットからの決済の実行を提示し、ユーザの要求に基づいて、ウォレットの残高に基づいた決済を実行することができる。この際、全ての請求額をウォレットから決済するか、一部の請求額をウォレットから決済するかを選択できる態様であってもよい。
【0102】
<請求に係る書面の提示について>
【0103】
情報処理システム 1 は、上記の処理により適宜保管、管理されている書面、情報を、任意のタイミングでユーザ、又は、ユーザの代理人(資格を有する税理士、公認会計士等)に提示することができる。
【0104】
このシステムを用いることで、ユーザは、電子取引に関するデータの保存、確認をすることが可能となる。また、情報処理システム 1 は、分析ツール、会計ツール、税務ツールの機能を有していてもよい。
【0105】
情報処理システム 1 は、例えば、ユーザからの要求により、請求を分析して、種々の統計量を提示することができる。
【0106】
情報処理システム 1 は、例えば、ユーザからの要求により、請求についての法律的に必要となる会計事項を算出し、ユーザに提示することができる。
【0107】
情報処理システム 1 は、例えば、ユーザからの要求により、請求についての税務的な処理を実行し、算出された結果をユーザに提示することができる。
【0108】
必要であれば、情報処理システム 1 は、双方又は一方のユーザに対して、領収書を発行することもできる。この領収書は、決済完了後に自動で送信することも可能である。例えば、情報処理システム 1 は、請求先のクライアント 20 を介してユーザに領収書を提供することができる。また、情報処理システム 1 は、これと併せて請求元のクライアント 20 を介してユーザに領収書の控えを提供することができる。
【0109】
<変形例>
【0110】
情報処理システム 1 は、請求の要求からの受け付けではなく、発注書等による要求を受け付けることも可能である。ユーザは、クライアント 20 を介して情報処理システム 1 へと発注書等による請求及び/又は契約締結の処理をスタートさせてもよい。
【0111】
クライアント 20 は、S100において、請求元からの請求ではなく、発注元からの発注の要求をサーバ 10 に対して実行することができる。その後、契約の締結に関する流れは同様である。
【0112】
サーバ 10 は、クライアント 20 を介した発注元及び/又は発注先に関連する要求及び/又は処理に基づいて、前述の処理を実現することが可能である。この場合、決算を行うかどうかは、ユーザが決定することが可能である。例えば、発注時点において前払いの料金等が含まれる場合には、当該前払いの料金に関する請求書を発行して、契約に応じて双方当事者における処理を実行することができる。
【0113】
また、一方又は双方のユーザからの要求により、情報処理システム 1 は、前払いの処理を実行することも可能である。この前払いの処理は、発注書又は請求書によって開始される情報処理システム 1 のいずれの処理においても実現することができる。
【0114】
以上のように、情報処理システム 1 は、請求書ではなく、発注書を受け付けることにより請求及び/又は決済に係る処理を開始することも可能である。例えば、ユーザが簡易的な処理をしたい場合等に、この発注書から開始される処理を実行することで、発注から請求、管理までを通して実行できるといったよりシンプルなシステムを提供することができる。
【0115】
以上のように、本開示によれば、契約書の発行、請求書(適格請求書を含む)の発行、領収書の発行、顧客管理、商品管理、分析・レポート、書類の管理・提示、決済、ウォレット機能といった処理を実行する情報処理システム 1 を実現することができる。この情報処理システム 1 を用いることで、顧客は、電子決済に関する必要な情報を一元管理することもでき、また、決済会社としては、自動で種々の機能に対応するシステム、及び、BtoBについてはもちろんBtoCについてもわかりやすい決済を実現するシステムを用いることが可能となる。
【0116】
本開示の内容は、以下のような形態とすることもできる。
【0117】
(1)
処理回路、を備え、
前記処理回路は、
請求元からの請求の要求に基づいて請求先を特定し、
前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記請求元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記請求先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、
前記請求書をデータベースに格納する、
情報処理装置。
【0118】
(2)
前記必要な事項は、少なくとも、
前記請求元のインボイス制度に係る登録番号、
取引した日付を示すための情報、
取引項目、
取引額、及び、
消費税額、
を含む、(1)に記載の情報処理装置。
【0119】
(3)
前記処理回路は、
前記請求元と、前記請求先と、の間で締結されている契約に係る情報をデータベースから参照し、又は、前記請求元から前記請求の要求とともに送信された契約に係る情報を参照する、
(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0120】
(4)
前記処理回路は、
前記契約に係る情報が無い場合に、前記請求元に契約が締結されていない旨の通知をする、
(3)に記載の情報処理装置。
【0121】
(5)
前記処理回路は、
前記請求に係る契約が締結されていない場合に、前記請求元に契約が締結されていない旨の通知をする、
(3)に記載の情報処理装置。
【0122】
(6)
前記処理回路は、
契約が締結されていない場合に、前記請求書に関連する契約の締結を、電子的に実行する、
(3)に記載の情報処理装置。
【0123】
(7)
前記処理回路は、
前記請求書に係る決済が完了した場合に、前記請求書に決済がされた旨の紐付けをしてデータベースに格納する、
(1)から(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0124】
(8)
前記処理回路は、
決済が完了した前記請求書、前記請求書に関連する契約書、又は、前記請求に係る領収書の少なくともいずれか1つに係る情報をユーザに提供する、
(7)に記載の情報処理装置。
【0125】
(9)
処理回路、を備え、
前記処理回路は、
発注元からの要求に基づいて発注先を特定し、
前記発注元から前記発注先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記発注元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記発注先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、
前記請求書をデータベースに格納する、
情報処理装置。
【0126】
(10)
前記処理回路は、
決済を実行するためのウォレット機能を提供する、
(1)から(9)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0127】
(11)
サーバである、(1)から(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0128】
(12)
処理回路が、
請求元からの要求に基づいて請求先を特定し、
前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記請求元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記請求先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、
前記請求書をデータベースに格納する、
情報処理方法。
【0129】
(13)
処理回路が、
発注元からの要求に基づいて発注先を特定し、
前記発注元から前記発注先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記発注元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記発注先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、
前記請求書をデータベースに格納する、
情報処理方法。
【0130】
(14)
処理回路に、(1)から(11)のいずれかに記載の情報処理に係る方法を実行させる、
プログラム。
【0131】
(15)
クライアントと、サーバと、を含み、
前記クライアントが、
請求元から請求先を少なくとも含む請求の要求を前記サーバに送信し、
前記サーバが、
前記クライアントを介して、前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、
前記クライアントを介して前記請求元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記クライアントを介して、前記請求先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、
前記請求書をデータベースに格納する、
情報処理システム。
【0132】
(16)
(15)に記載の前記情報処理システムにおいて、
前記クライアントに、前記クライアントについて動作を実行させる、
プログラム。
【0133】
(17)
(15)に記載の前記情報処理システムにおいて、
前記サーバに、前記サーバについての動作を実行させる、
プログラム。
【0134】
上記において、プログラムは、非一時的コンピュータ可読媒体に記録されていてもよい。このプログラムは、当該可読媒体により配布し、又は、ネットワークを介して配布することができる。
【0135】
本開示の態様は、前述した実施形態に限定されるものではなく、想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も前述の内容に限定されるものではない。各実施形態における構成要素は、適切に組み合わされて適用されてもよい。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1: 情報処理システム、
10: サーバ、
20: クライアント
【要約】
【課題】自動的に法律に基づいた文書を作成、又は、データを保管する。
【解決手段】情報処理装置は、処理回路、を備える。前記処理回路は、請求元からの請求の要求に基づいて請求先を特定し、前記請求元から前記請求先を宛先とし、必要な事項を記載した請求書を提示し、前記請求元から生成した前記請求書の送付の要求があった場合に、前記請求先に前記請求書を送付し、又は、前記請求書が発行された旨の通知をし、前記請求書をデータベースに格納する。
【選択図】
図1