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特許7602307制御方法、情報表示システム、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】制御方法、情報表示システム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/215 20240101AFI20241211BHJP
   B60K 35/235 20240101ALI20241211BHJP
【FI】
B60K35/215
B60K35/235
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021158363
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2023048827
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】葛生 一樹
(72)【発明者】
【氏名】土肥 高貴
(72)【発明者】
【氏名】中澤 正和
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-024578(JP,A)
【文献】特開2017-090996(JP,A)
【文献】特開2018-083441(JP,A)
【文献】特開2016-043773(JP,A)
【文献】特開2010-155496(JP,A)
【文献】特開2019-131182(JP,A)
【文献】特開2010-132025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
B60R 16/02
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が備える1以上の表示部に情報を表示する情報表示システムの制御方法であって、
前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない表示部に前記ドライバの視線を誘導する誘導処理を実行可能であり、
前記制御方法は、
前記車両の外部の装置から、前記車両の周囲の様子を示す周囲情報を取得し、
前記1以上の表示部に表示される情報よりも、前記周囲情報に示される前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであるか否かの判定をし、
前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する制御をする
制御方法。
【請求項2】
前記周囲情報は、前記車両の位置情報を含み、
前記判定をする際には、
前記車両の位置が所定の要注意領域内であることを前記位置情報が示していると判定した場合に、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定する
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記所定の要注意領域は、交差点、横断歩道または踏切から所定距離以内の領域を含む
請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記周囲情報は、前記車両が搭載しているセンサが取得した検知情報を含み、
前記判定をする際には、
前記車両の周囲に物体または人が存在していることを前記検知情報が示していると判定した場合に、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定する
請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
さらに、前記ドライバの視線を検知し、
前記誘導処理は、前記車両の外部であって前記ドライバの視線上にない位置に存在する物体または人に前記ドライバを注意させる画像を、前記1以上の表示部に表示する表示処理を含み、
前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合であっても、前記表示処理を実行しているときには、前記制御を禁止する
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記表示処理は、
前記車両のフロントガラス上の位置であって、前記ドライバが前記フロントガラスを通して前記車両の前方に存在する物体または人を見る位置、または、前記位置の近傍に、前記物体または前記人に注意を促す画像を投射する処理を含む
請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない前記表示部に前記ドライバの視線が向くまで、前記誘導処理を継続的に実行し、
前記制御方法は、さらに、前記誘導処理を所定時間以上継続的に実行した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
車両が備える1以上の表示部に情報を表示する情報表示システムであって、
前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない表示部に前記ドライバの視線を誘導する誘導処理を実行する誘導処理実行処理部と、
前記車両の外部の装置から、前記車両の周囲の様子を示す周囲情報を取得する車外情報取得処理部とを備え、
前記誘導処理実行処理部は、
前記1以上の表示部に表示される情報よりも、前記周囲情報に示される前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであるか否かの判定をし、
前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する制御をする
情報表示システム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御方法、情報表示システム、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示部を備える車両がある。表示部は、例えば、ナビゲーション装置またはオーディオ装置の表示部として機能するセンターディスプレイ、車両の速度またはエンジンの回転速度などを表示するメータ系ディスプレイ、フロントガラスに情報を投射するヘッドアップディスプレイを含む(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した表示部には、それぞれ異なる情報が表示される。表示部に表示される情報には、搭乗者の安全に関わる重要な情報、車両を運転するために用いられる情報、利便性または快適性を得るための情報、または、搭乗者の趣味または嗜好に関する情報などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-19491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の表示部にそれぞれ異なる情報が表示される場合、安全性との関連がより強い重要な情報を優先してドライバ(運転者)に認知させる必要がある。しかし、ドライバが、認知すべき重要な情報を表示している表示部を必ずしも視認するとは限らない。
【0006】
複数の表示部にそれぞれ異なる情報を表示する情報表示システムにおいて、認知すべき重要な情報を表示している表示部を優先的にドライバに視認させることが想定される。
【0007】
しかしながら、表示部をドライバに視認させることが適切でないことがあるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、より適切な状況において表示部をドライバに視認させる制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る制御方法は、車両が備える1以上の表示部に情報を表示する情報表示システムの制御方法であって、前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない表示部に前記ドライバの視線を誘導する誘導処理を実行可能であり、前記制御方法は、前記車両の外部の装置から、前記車両の周囲の様子を示す周囲情報を取得し、前記1以上の表示部に表示される情報よりも、前記周囲情報に示される前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであるか否かの判定をし、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する制御をする制御方法である。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の制御方法は、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態1における車両の外観を模式的に示す説明図である。
図2図2は、実施の形態1における情報表示システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1における表示部の第一例を示す説明図である。
図4図4は、実施の形態1における表示部の第二例を示す説明図である。
図5図5は、実施の形態1におけるブラインドスポット画面を示す説明図である。
図6図6は、実施の形態1における表示部の第三例を示す説明図である。
図7図7は、実施の形態1における優先順位の設定の第一例を示す説明図である。
図8図8は、実施の形態1における優先順位の設定の第二例を示す説明図である。
図9図9は、実施の形態1における情報表示システムによる制御の例を示すフロー図である。
図10図10は、実施の形態1における誘導処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一態様に係る制御方法は、車両が備える1以上の表示部に情報を表示する情報表示システムの制御方法であって、前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない表示部に前記ドライバの視線を誘導する誘導処理を実行可能であり、前記制御方法は、前記車両の外部の装置から、前記車両の周囲の様子を示す周囲情報を取得し、前記1以上の表示部に表示される情報よりも、前記周囲情報に示される前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであるか否かの判定をし、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する制御をする制御方法である。
【0014】
上記態様によれば、情報表示システムは、表示部に表示される情報よりも車両の周囲の様子にドライバが注意すべき状況である場合に誘導処理の実行を抑制することで、ドライバが車両の周囲の様子よりも表示部に注意を向けてしまうことを抑制する。また、情報表示システムは、上記場合以外に誘導処理を行うことで、適切に、ドライバの視線を表示部に誘導することができる。このように、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0015】
例えば、前記周囲情報は、前記車両の位置情報を含み、前記判定をする際には、前記車両の位置が所定の要注意領域内であることを前記位置情報が示していると判定した場合に、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定してもよい。
【0016】
上記態様によれば、情報表示システムは、車両が所定の要注意領域に位置しているときに誘導処理の実行を抑制することで、要注意領域内でドライバが表示部に注意を向けてしまうことを抑制する。また、情報表示システムは、車両が所定の要注意領域に位置していないときに誘導処理を行うことで、適切に、ドライバの視線を表示部に誘導することができる。よって、情報表示システムは、より適切な状況として車両が要注意領域に位置していない状況において、表示部をドライバに視認させることができる。
【0017】
例えば、前記所定の要注意領域は、交差点、横断歩道または踏切から所定距離以内の領域を含んでもよい。
【0018】
上記態様によれば、情報表示システムは、車両が所定の要注意領域としての交差点、横断歩道または踏切に位置しているときに誘導処理の実行を抑制する。よって、情報表示システムは、より適切な状況として車両が要注意領域に位置していない状況において、より容易に、表示部をドライバに視認させることができる。
【0019】
例えば、前記周囲情報は、前記車両が搭載しているセンサが取得した検知情報を含み、前記判定をする際には、前記車両の周囲に物体または人が存在していることを前記検知情報が示していると判定した場合に、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定してもよい。
【0020】
上記態様によれば、情報表示システムは、車両の周囲に物体または人が存在しているときに誘導処理の実行を抑制することで、ドライバが物体または人よりも表示部に注意を向けてしまうことを抑制する。また、情報表示システムは、車両の周囲に物体または人が存在していないときに誘導処理を行うことで、適切に、ドライバの視線を表示部に誘導することができる。よって、情報表示システムは、より適切な状況として車両の周囲に物体または人が存在していない状況において、表示部をドライバに視認させることができる。
【0021】
例えば、さらに、前記ドライバの視線を検知し、前記誘導処理は、前記車両の外部であって前記ドライバの視線上にない位置に存在する物体または人に前記ドライバを注意させる画像を、前記1以上の表示部に表示する表示処理を含み、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合であっても、前記表示処理を実行しているときには、前記制御を禁止してもよい。
【0022】
上記態様によれば、情報表示システムは、誘導処理が表示処理を含んでいる場合に誘導処理の実行の抑制を禁止する、つまり、誘導処理の実行を行うことで、車両の外部に存在する物体または人にドライバを注意させる。表示処理を実行することが、車両の外部に存在する物体または人にドライバを注意させる効果に寄与し得るからである。よって、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0023】
例えば、前記表示処理は、前記車両のフロントガラス上の位置であって、前記ドライバが前記フロントガラスを通して前記車両の前方に存在する物体または人を見る位置、または、前記位置の近傍に、前記物体または前記人に注意を促す画像を投射する処理を含んでもよい。
【0024】
上記態様によれば、情報表示システムは、車両のフロントガラスに画像を投射する処理が表示処理として誘導処理に含まれている場合に、誘導処理の実行の抑制を禁止する。よって、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0025】
例えば、前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない前記表示部に前記ドライバの視線が向くまで、前記誘導処理を継続的に実行し、前記制御方法は、さらに、前記誘導処理を所定時間以上継続的に実行した場合に、前記誘導処理の実行を抑制してもよい。
【0026】
上記態様によれば、情報表示システムは、誘導処理を継続的に実行している場合、誘導処理の継続時間が所定時間以上になると、誘導処理を抑制する。ドライバは、誘導処理によって視線が誘導される先の表示部とは異なるものに注視していることがある。その場合に、情報表示システムが誘導処理を継続することは、車両の安全な走行に支障を来すことがあり、これを回避することができる。よって、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0027】
本発明の一態様に係る情報表示システムは、車両が備える1以上の表示部に情報を表示する情報表示システムであって、前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない表示部に前記ドライバの視線を誘導する誘導処理を実行する誘導処理実行処理部と、前記車両の外部の装置から、前記車両の周囲の様子を示す周囲情報を取得する車外情報取得処理部とを備え、前記誘導処理実行処理部は、前記1以上の表示部に表示される情報よりも、前記周囲情報に示される前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであるか否かの判定をし、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する制御をする情報表示システムである。
【0028】
上記態様によれば、上記制御方法と同様の効果を奏する。
【0029】
本発明の一態様に係るプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0030】
上記態様によれば、上記制御方法と同様の効果を奏する。
【0031】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0032】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0033】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0034】
(実施の形態)
本実施の形態において、より適切な状況において表示部をドライバに視認させる制御方法などについて説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態における車両5の外観を模式的に示す説明図である。
【0036】
図1に示される車両5は、例えば自動車である。車両5は、車両5が備える1以上の表示部(不図示)に情報を表示する情報表示システム10を備える。なお、図1において情報表示システム10がインストルメントパネル下部に配置される例を示しているが、情報表示システム10が配置される位置はこれに限られない。
【0037】
図2は、実施の形態1における情報表示システム10の構成を示すブロック図である。
【0038】
図2に示されるように、情報表示システム10は、メイン制御装置11と、表示部12、13および14(表示部12等ともいう)と、車内用カメラ22と、通信部23と、GPS(Global Positioning System)受信機24と、センサ25とを備える。なお、表示部12等は、3つある場合を例として説明するが、1以上あればよい。
【0039】
メイン制御装置11は、制御部21を備える。また、メイン制御装置11には、車内用カメラ22、通信部23、GPS受信機24、センサ25が接続されている。制御部21は、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備えており、メイン制御装置11の動作全般を制御する。
【0040】
車内用カメラ22は、例えば車内の運転席前方に設けられており、車内のドライバを撮影し、その撮影データを制御部21に出力する。
【0041】
通信部23は、例えば無線通信モジュールなどで構成されており、図示しない外部のインターネットアクセスポイントまたは外部の情報通信機器との間に、無線の通信回線を確立して各種の通信を行う。
【0042】
GPS受信機24は、GPS衛星から信号を受信し、受信した信号に基づいて地球上における車両5の位置を示す位置情報を取得して制御部21に出力する。位置情報は、車両5の周囲の様子を示す周囲情報の一例である。
【0043】
センサ25は、車両5の周囲の物体または人を検知し、検知結果を示す情報である検知情報を生成して制御部21に出力する。センサ25は、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ、赤外線センサまたは超音波センサなどである。車両5の周囲は、センサ種別によって異なり、LiDARセンサの場合で数100m程度以内、赤外線センサの場合で数10~100m程度以内、超音波センサの場合で数10m程度以内である。検知情報は、車両5の周囲の様子を示す周囲情報の一例である。
【0044】
表示部12等は、表示面に情報を表示する。表示部12等は、液晶ディスプレイもしくは有機ELディスプレイ、または、フロントガラスFを表示面として表示画像を投射するヘッドアップディスプレイなどである。以降、表示部12等について説明する。
【0045】
図3は、本実施の形態における表示部の第一例である表示部12を示す説明図である。
【0046】
図3に例示するように、表示部12は、車両5に搭載される車両用装置100の表示部として機能するセンターディスプレイである。車両用装置100は、例えばナビゲーション装置またはオーディオ装置である。なお、車両5の後進時においては、表示部12には、後方カメラ(不図示)によって撮像された画像が表示される。すなわち、表示部12は、いわゆるバックモニタとして機能することが可能である。
【0047】
図4は、本実施の形態における表示部の第二例である表示部13を示す説明図である。図5は、本実施の形態におけるブラインドスポット画面Gbを示す説明図である。
【0048】
図4に例示するように、表示部13は、車両5のフロントガラスFに情報を表示するヘッドアップディスプレイである。表示部13は、車両5のインストルメントパネルに設けられた表示ユニット13aからフロントガラスFに情報を投射する構成を有する。表示部13には、例えば図5に示すブラインドスポット画面Gb、またはエンプティマーク(不図示)などの各種情報を表示することが可能である。
【0049】
ブラインドスポット画面Gbは、車両5の左部および右部に設けられたカメラ(不図示)により撮像された撮像データに基づいて、車両5の左後方および右後方の状況を示す画面である。ブラインドスポット画面Gbには、自車両を模式的に示す自車両マークMa、自車両の左後方あるいは右後方に存在する他車両を模式的に示す他車両マークMb、その他車両の進行方向を示す進行方向マークMcなどが表示される。
【0050】
エンプティマークは、燃料の残存量が不足していることを示すマークである。
【0051】
なお、表示部13は、フロントガラスF全体であってもよい。
【0052】
図6は、本実施の形態における表示部の第三例である表示部14を示す説明図である。
【0053】
図6に例示するように、表示部14は、例えば車両5の速度またはエンジンの回転速度などを表示するメータ系のディスプレイである。表示部14は、車両5の速度を表示する表示ブロック14a、エンジンの回転速度を表示する表示ブロック14bを有する。また、表示部14は、表示ブロック14aおよび14bの間に表示ブロック14cを有する。表示ブロック14cは、例えば液晶表示器で構成される。表示ブロック14cには、交差点などの分岐点における進行方向を示す図形(例えば右折の場合における右方向を示す矢印、または、左折の場合における左方向を示す矢印)を表示することが可能である。すなわち、表示ブロック14cは、いわゆるターンバイターン機能に対応する表示部として機能することが可能である。また、表示ブロック14cには、選択されているギアポジションを表示することも可能である。
【0054】
メイン制御装置11は、制御部21において制御プログラムを実行することにより、情報取得処理部31、視線特定処理部32、認知表示部特定処理部33、非認知表示部特定処理部34、優先順位付与処理部35、車外情報取得処理部36および誘導処理実行処理部37をソフトウェアによって実現する。なお、上記処理部は、例えば制御部21と一体の集積回路としてハードウェアにより実現されてもよい。
【0055】
情報取得処理部31は、表示部12等に表示されている情報をそれぞれ取得する。すなわち、情報取得処理部31は、表示部12等に表示されている表示内容を特定するためのデータなどを取得する。
【0056】
視線特定処理部32は、ドライバの視線を特定する。すなわち、視線特定処理部32は、ドライバの視線を特定するための周知の視線解析処理を実行することにより、ドライバの視線を特定する。具体的に説明すると、視線特定処理部32は、車内用カメラ22によって撮影された撮影データからドライバの眼球の位置を取得し、取得した眼球の位置から、眼球の動きまたは状態などからドライバの視線を特定する。さらに、視線特定処理部32は、特定した視線に基づいて、ドライバの注視点の位置、つまり、ドライバが注視している位置を特定することが可能である。
【0057】
認知表示部特定処理部33は、表示部12等のうち視線特定処理部32が特定する視線が重なった表示部(言い換えれば、視線上にある表示部)、つまり、ドライバの視線方向に存在する表示部を、認知表示部として特定する。すなわち、認知表示部特定処理部33は、視線特定処理部32が特定する視線が表示部12等に向かっているか否か、換言すれば、ドライバの注視点が表示部12等上にあるか否かを監視する。認知表示部特定処理部33は、ドライバの視線が表示部12等の何れかに向かっている場合、換言すれば、ドライバの注視点が表示部12等の何れかの表示面内に入っている場合には、その表示部にドライバの視線が重なったと判断し、その表示部を認知表示部として特定する。
【0058】
また、認知表示部特定処理部33は、情報を表示している状態の表示部12等に視線特定処理部32が特定する視線が重なった場合に、その表示部を認知表示部として特定する。すなわち、認知表示部特定処理部33は、情報を表示していない状態の表示部12等にドライバの視線が重なったとしても、その場合は、その表示部を認知表示部として設定しない。
【0059】
表示部12等のうち、認知表示部として特定された表示部は、ドライバによって視認され認知されている表示部として設定される。なお、メイン制御装置11が備える記憶媒体(不図示)には、車室内における表示部12等の設置位置、大きさまたは形状などを特定するための表示部属性データが予め格納されている。認知表示部特定処理部33は、表示部属性データと、視線特定処理部32によって特定されるドライバの視線の方向を示すベクトルデータ、または、ドライバの注視点の位置を示す位置座標データとを照合することにより、ドライバの視線が表示部に重なっているか否かを判定する。
【0060】
非認知表示部特定処理部34は、表示部12等のうち認知表示部として特定されていない表示部を非認知表示部として特定する。非認知表示部として特定されている表示部は、ドライバが視認しておらず認知されていない表示部として設定される。
【0061】
優先順位付与処理部35は、非認知表示部として設定されている表示部に表示されている情報に基づいて、その非認知表示部に対し優先順位を付与する。優先順位の設定例について説明する。
【0062】
図7は、本実施の形態における優先順位の設定の第一例を示す説明図である。
【0063】
図7に例示する優先順位の設定例は、車両5が前進する場合における設定例を示している。この場合、優先順位付与処理部35は、オーディオ画面を表示している表示部12には優先順位「6」を付与し、ブラインドスポット画面を表示している表示部13には優先順位「1」を付与し、ギアポジションとしてDポジションを表示している表示部14には優先順位「4」を付与する。
【0064】
すなわち、優先順位付与処理部35は、車両5が前進する通常の走行時においては、ブラインドスポット画面が車両5の安全走行に関わる重要な情報であることから、その情報を表示している表示部13に高い優先順位を付与する。一方、優先順位付与処理部35は、オーディオ画面が車両5の安全走行にそれほど関わらない情報であることから、その情報を表示している表示部12に低い優先順位を付与する。なお、優先順位は、番号が小さいほど優先度が高く、この場合、優先順位「1」が最も優先度が高い順位である。
【0065】
図8は、実施の形態1における優先順位の設定の第二例を示す説明図である。
【0066】
図8に例示する優先順位の設定例は、車両5が後進する場合における設定例を示している。この場合、優先順位付与処理部35は、バックモニタ画面を表示している表示部12には優先順位「2」を付与し、エンプティマークを表示している表示部13には優先順位「5」を付与し、ギアポジションとしてRポジションを表示している表示部14には優先順位「4」を付与する。
【0067】
すなわち、優先順位付与処理部35は、車両5が後進する状況においては、バックモニタ画面が車両5の安全走行に関わる重要な情報であることから、その情報を表示している表示部12に高い優先順位を付与する。一方、優先順位付与処理部35は、エンプティマークが車両5の安全走行にそれほど関わらない情報であることから、その情報を表示している表示部13に低い優先順位を付与する。
【0068】
また、優先順位付与処理部35は、非認知表示部に表示されている表示情報(コンテンツ)自体に優先順位を付与するようにしてもよい。
【0069】
車外情報取得処理部36は、車両5の周囲の様子を示す周囲情報を取得する。車外情報取得処理部36は、GPS受信機24が取得した位置情報またはセンサ25が取得した検知情報を、周囲情報として取得する。
【0070】
誘導処理実行処理部37は、優先順位付与処理部35による優先順位の付与処理の完了後において、上位の優先順位が付与された非認知表示部に視線特定処理部32が特定する視線が重なったか否かを判定する。上位の優先順位は、例えば、最も高い優先順位である。そして、誘導処理実行処理部37は、上位の優先順位が付与された非認知表示部にドライバの視線が重ならないと判定した場合、つまり上記非認知表示部にドライバの視線が向いていない場合には、上記非認知表示部にドライバの視線を誘導するための誘導処理を実行する。
【0071】
また、優先順位付与処理部35により非認知表示部に表示されている表示情報自体に優先順位が付与されている場合には、誘導処理実行処理部37は、上位の優先順位が付与された情報を表示している表示部にドライバの視線が向いていない場合に、誘導処理を実行するようにしてもよい。
【0072】
また、誘導処理実行処理部37は、表示部12等に表示される情報よりも、周囲情報に示される車両5の周囲の様子にドライバが注意すべきであるか否かの判定をする。誘導処理実行処理部37は、表示部12等に表示される情報よりも車両5の周囲の様子にドライバが注意すべきであると判定した場合に、誘導処理の実行を抑制する制御をする。
【0073】
ここで、誘導処理実行処理部37は、周囲情報が車両5の位置情報を含んでいる場合には、上記判定において、車両5の位置が所定の要注意領域内であることを位置情報が示していると判定した場合に、表示部12等に表示される情報よりも車両5の周囲の様子にドライバが注意すべきであると判定する。所定の要注意領域は、車両5が走行するのに注意を要する領域であり、例えば、交差点、横断歩道または踏切を含み、また、交差点、横断歩道または踏切から所定距離以内の領域を含み得る。所定の要注意領域は、その領域を一意に特定し得る特定情報(例えば緯度および経度)により特定され得る。特定情報は、例えば、予め情報表示システム10の提供者によって作成され、メイン制御装置11が備える記憶媒体(不図示)に格納されたものである。所定距離は、例えば、3m~15m程度とすることができる。
【0074】
また、誘導処理実行処理部37は、周囲情報が検知情報を含んでいる場合には、上記判定において、車両5の周囲に物体または人が存在していることを検知情報が示していると判定した場合に、表示部12等に表示される情報よりも車両5の周囲の様子にドライバが注意すべきであると判定する。
【0075】
なお、誘導処理実行処理部37は、表示部12等のうちドライバの視線上にない表示部にドライバの視線が向くまで誘導処理を継続的に実行するが、誘導処理を所定時間以上継続的に実行した場合に、誘導処理の実行を抑制してもよい。所定時間は、例えば、5秒~10秒程度とすることができる。
【0076】
次に、情報表示システム10による情報表示の制御例について説明する。
【0077】
図9は、本実施の形態における情報表示システム10による制御の例を示すフロー図である。
【0078】
ステップS1において、メイン制御装置11は、車両5に搭載されている表示部12等に表示されている情報を取得する。
【0079】
ステップS2において、メイン制御装置11は、ドライバの視線を随時特定しながら、ドライバの視線が重なった表示部を認知表示部として特定する。
【0080】
ステップS3において、メイン制御装置11は、認知表示部として特定されていない表示部を非認知表示部として特定する。
【0081】
ステップS4において、メイン制御装置11は、非認知表示部に表示されている情報に基づいて当該非認知表示部に優先順位を付与する。なお、優先順位を付与するタイミングは、例えば、当該制御を開始してから所定時間経過後、ステップS1の処理を完了してから所定時間経過後、または、一部の非認知表示部に表示されている内容が更新された場合に行うなど、適宜変更して設定することができる。
【0082】
ステップS5において、メイン制御装置11は、予め設定されている所定値よりも高い優先順位が付与された表示部が存在するか否かを判定する。なお、所定値は、車両5の搭乗者の安全性との関連性を考慮して適宜変更して設定することができるが、一例として、所定値として「2」が設定されているとする。
【0083】
メイン制御装置11は、所定値よりも高い優先順位が付与された表示部が存在しないと判定した場合(ステップS5でNO)には、図9に示された一連の処理を終了する。一方、メイン制御装置11は、所定値よりも高い優先順位が付与された表示部が存在すると判定した場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に進む。
【0084】
ステップS6において、メイン制御装置11は、車内用カメラ22によりドライバの視線を特定する。
【0085】
ステップS7において、メイン制御装置11は、GPS受信機24またはセンサ25により周囲情報を取得する。
【0086】
ステップS8において、メイン制御装置11は、ドライバが車両5の周囲の様子に注意すべきであるか否かを判定する。メイン制御装置11は、ドライバが車両5の周囲の様子に注意すべきであると判定した場合(ステップS8でYES)には、ステップS1に進む。一方、メイン制御装置11は、ドライバが車両5の周囲の様子に注意すべきでないと判定した場合(ステップS8でNO)には、ステップS9に進む。なお、メイン制御装置11が、ドライバが車両5の周囲の様子に注意すべきであると判定した場合には、後述する誘導処理A(ステップS12)、誘導処理B(ステップS21)または誘導処理C(ステップS22)の実行がなされない。このことを、誘導処理の実行を抑制したと表現できる(ステップS8A)。
【0087】
ステップS9において、メイン制御装置11は、非認知表示部にドライバの視線が重なったか否かを判定する。ステップS9において判定の対象となる非認知表示部は、優先順位が所定値以上のものであってもよいし、所定値より小さいものであってもよい。メイン制御装置11は、非認知表示部にドライバの視線が重なったと判定した場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に進む。一方、メイン制御装置11は、非認知表示部にドライバの視線が重なっていないと判定した場合(ステップS9でNO)には、ステップS21に進む。
【0088】
ステップS10において、メイン制御装置11は、ドライバの視線が重なった非認知表示部を認知表示部として特定する。
【0089】
ステップS11において、メイン制御装置11は、最も高い優先順位が付与された非認知表示部にドライバの視線が重なったか否かを判定する。メイン制御装置11は、最も高い優先順位が付与された非認知表示部にドライバの視線が重なったと判定した場合(ステップS11でYES)には、ステップS1に進む。一方、メイン制御装置11は、最も高い優先順位が付与された非認知表示部にドライバの視線が重なっていないと判定した場合(ステップS11でNO)には、ステップS12に進む。
【0090】
ステップS12において、メイン制御装置11は、誘導処理Aを実行する。誘導処理Aでは、メイン制御装置11は、ドライバの視線が向かっている表示部に、最も高い優先順位が付与された非認知表示部が存在する方向を示す処理を実行する。例えばブラインドスポット画面を表示している表示部13(つまりヘッドアップディスプレイ)にドライバの視線が重なっていない状況において、ドライバの視線が表示部14(つまりメータ系ディスプレイ)に向かっている場合には、メイン制御装置11は、表示部14の表示ブロック14cに、表示部13が存在する方向を示す方向マークを表示する。
【0091】
また、誘導処理Aでは、メイン制御装置11は、ドライバの視線が重なっている表示部に、最も高い優先順位が付与された非認知表示部に表示されている情報の簡易情報を表示するようにしてもよい。すなわち、メイン制御装置11は、その時点においてドライバの視線が向かっている表示部を特定する。そして、メイン制御装置11は、特定した表示部に、最も高い優先順位が付与された非認知表示部に表示されている情報の簡易情報を表示する。例えばブラインドスポット画面を表示している表示部13にドライバの視線が重なっていない状況において、ドライバの視線が表示部12(つまりセンターディスプレイ)に向かっている場合には、メイン制御装置11は、表示部12に、ブラインドスポット画面の内容を簡易的に示す情報、例えば「右後方に車両が存在します」といった文字情報を表示する。ステップS12を終えると、ステップS23に進む。
【0092】
ステップS21において、メイン制御装置11は、誘導処理Bを実行する。誘導処理Bでは、メイン制御装置11は、最も高い優先順位が付与された非認知表示部の名称をスピーカ(不図示)から音声により出力する処理を実行する。例えばブラインドスポット画面を表示している表示部13にドライバの視線が重なっていない状況において、ドライバの視線が他の表示部12または14の何れにも向かっていない場合には、メイン制御装置11は、表示部13の名称を含む「ヘッドアップディスプレイを確認して下さい」という音声情報を出力する。
【0093】
ステップS22において、メイン制御装置11は、誘導処理Cを実行する。誘導処理Cでは、メイン制御装置11は、最も高い優先順位が付与された非認知表示部に表示されている情報を、スピーカ(不図示)から音声により出力する。例えばブラインドスポット画面を表示している表示部13にドライバの視線が重なっていない状況において、ドライバの視線が他の表示部12または14の何れにも向かっていない場合には、ブラインドスポット画面の内容を簡易的に示す情報、例えば「右後方に車両が存在します」といった音声情報を出力する。
【0094】
なお、メイン制御装置11は、ステップS21(つまり誘導処理B)およびステップS22(つまり誘導処理C)のうち何れか一方の処理を実行するだけでもよい。
【0095】
ステップS23において、メイン制御装置11は、所定時間以上、誘導処理を継続的に実行したか否かを判定する。ここで、「継続的に実行」とは、当該ステップS23でNOの場合にステップS6に進んだ後に、ステップS12(誘導処理A)、ステップS21(誘導処理B)またはステップS22(誘導処理C)を実行することを繰り返すことをいう。メイン制御装置11は、実行された誘導処理Aの実行継続時間、誘導処理Bの実行継続時間および誘導処理Cの実行継続時間を合計することで誘導処理の実行継続時間を算出し、算出した実行継続時間が所定時間以上であるか否かを判定する。メイン制御装置11は、所定時間以上、誘導処理を継続的に実行したと判定した場合(ステップS23でYES)にはステップS1に進む。一方、メイン制御装置11は、所定時間以上、誘導処理を継続的に実行していないと判定した場合(ステップS23でNO)にはステップS6に進む。
【0096】
なお、誘導処理実行処理部37による誘導処理の実行を抑制する制御は、所定の場合には禁止されてもよい。誘導処理の実行を抑制する制御を禁止することは、当該誘導処理を実行することを意味する。以降において誘導処理の実行を抑制する制御の禁止について説明する。
【0097】
図10は、本実施の形態における誘導処理の一例を示す説明図である。
【0098】
誘導処理実行処理部37は、表示部13(つまりヘッドアップディスプレイ)に、車両5の外部であってドライバの視線上にない位置に存在する物体または人にドライバを注意させる画像を表示する表示処理を実行し得る。表示処理は、誘導処理に含まれる。表示処理は、フロントガラスF上の位置であって、ドライバがフロントガラスFを通して車両5の前方に存在する物体または人を見る位置、または、上記位置の近傍に、上記物体または上記人に注意を促す画像42を投射する処理を含む。
【0099】
図10には、車両5の前方に人41が存在する場合にドライバが見る光景が示されている。ドライバは、フロントガラスFを見るとともに、フロントガラスFを通して車両5の前方に存在する人41を見る。また、ドライバは、フロントガラスF上において人41に近い位置に画像42を見る。ドライバは、画像42を視認することで人41の存在に注意しながら車両5を走行させることが想定される。
【0100】
この場合、誘導処理実行処理部37は、表示部12等に表示される情報よりも、車両5の周囲の様子にドライバが注意すべきであると判定した場合であっても、表示処理を実行しているときには、誘導処理の実行を抑制する制御を禁止してもよい。誘導処理を実行する、つまり、表示処理を実行することが、ドライバに人41の存在に注意させる効果に寄与し得るからである。
【0101】
なお、誘導処理実行処理部37は、車両5の外部であってドライバの視線上にない位置に存在する物体または人にドライバを注意させる音声を出力する音出力処理を実行し得る。この場合、誘導処理実行処理部37は、表示部12等に表示される情報よりも、車両5の周囲の様子にドライバが注意すべきであると判定した場合であっても、音出力処理を実行しているときには、誘導処理の実行を抑制する制御を禁止してもよい。誘導処理を実行する、つまり、音出力処理を実行することが、ドライバに人41の存在に注意させる効果に寄与し得るからである。
【0102】
以上のように、本実施の形態に係る情報表示システムによれば、最も高い優先順位が付与された非認知表示部をドライバが認知していない場合には誘導処理が実行され、この誘導処理により、ドライバの視線を最も高い優先順位が付与された表示部に誘導することができる。従って、認知すべき重要な情報を表示している表示部を優先的にドライバに認知させることができる。
【0103】
また、情報表示システムによれば、情報を表示している状態の表示部12等にドライバの視線が重なった場合に、その表示部が認知表示部として特定される。即ち、情報を表示していない表示部を視認したとしても、ドライバは、情報を認知することができない。本実施の形態によれば、情報を表示していない状態の表示部がドライバによって視認されたとしても、その表示部が認知表示部として設定されてしまうことを防止することができ、従って、表示部に表示される情報を確実にドライバに認知させることができる。
【0104】
また、情報表示システムによれば、ドライバの視線が非認知表示部に重なった場合には、その非認知表示部が認知表示部として特定される。即ち、ドライバが一回でも視認した非認知表示部を認知表示部として設定し直していくことにより、誘導処理の対象となる表示部を随時減らしていくことができる。従って、ドライバの視線を、視認されていない表示部に次々と誘導することができる。また、ドライバが認知している表示部であるにも関わらず、その認知済みの表示部に視線を再度誘導してしまう無駄を回避することができる。また、誘導処理の対象となる表示部を次々と減らしていくことができるから、処理負荷を徐々に減らすことができる。
【0105】
また、情報表示システムによれば、非認知表示部に付与された優先順位が所定値以上である場合に誘導処理が実行される。従って、車両の搭乗者の安全性と関連付けて予め所定値を設定しておくことにより、安全上重要な情報を表示する表示部にドライバの視線を優先的に誘導することができる。
【0106】
また、情報表示システムによれば、誘導処理により、ドライバの視線が重なっている表示部に、上位の優先順位、この場合、最も高い優先順位が付与された非認知表示部が存在する方向が示される。これにより、ドライバは、認知すべき情報が表示されている非認知表示部に、視線を円滑に移動させることができる。
【0107】
また、情報表示システムによれば、誘導処理により、ドライバの視線が重なっている表示部に、上位の優先順位、この場合、最も高い優先順位が付与された非認知表示部に表示されている情報の簡易情報が表示される。従って、認知すべき重要な情報を、簡易的ではあるものの即座にドライバに認知させることができる。
【0108】
また、情報表示システムによれば、誘導処理により、上位の優先順位、この場合、最も高い優先順位が付与された非認知表示部の名称を音声により出力する。これにより、ドライバは、どの表示部に認知すべき情報が表示されているのかを、聴覚的に即座に認識することができる。また、その表示部に円滑に視線を移動させることができる。
【0109】
また、情報表示システムによれば、誘導処理により、上位の優先順位、この場合、最も高い優先順位が付与された非認知表示部に表示されている情報を音声により出力する。これにより、ドライバは、認知すべき情報を聴覚的にも認知することができる。例えば車両の走行中においては、ドライバが表示部に視線を移動させることが困難な場合も有り得る。このような場合に、認知すべき情報を聴覚的に認知することができ、安全走行を損なうおそれがない。
【0110】
また、情報表示システムによれば、表示部に表示される情報よりも車両の周囲の様子にドライバが注意すべき状況である場合に誘導処理の実行を抑制することで、ドライバが車両の周囲の様子よりも表示部に注意を向けてしまうことを抑制する。また、情報表示システムは、上記場合以外に誘導処理を行うことで、適切に、ドライバの視線を表示部に誘導することができる。このように、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0111】
また、情報表示システムによれば、車両が所定の要注意領域に位置しているときに誘導処理の実行を抑制することで、要注意領域内でドライバが表示部に注意を向けてしまうことを抑制する。また、情報表示システムは、車両が所定の要注意領域に位置していないときに誘導処理を行うことで、適切に、ドライバの視線を表示部に誘導することができる。よって、情報表示システムは、より適切な状況として車両が要注意領域に位置していない状況において、表示部をドライバに視認させることができる。
【0112】
また、情報表示システムによれば、車両が所定の要注意領域としての交差点、横断歩道または踏切に位置しているときに誘導処理の実行を抑制する。よって、情報表示システムは、より適切な状況として車両が要注意領域に位置していない状況において、より容易に、表示部をドライバに視認させることができる。
【0113】
また、情報表示システムによれば、車両の周囲に物体または人が存在しているときに誘導処理の実行を抑制することで、ドライバが物体または人よりも表示部に注意を向けてしまうことを抑制する。また、情報表示システムは、車両の周囲に物体または人が存在していないときに誘導処理を行うことで、適切に、ドライバの視線を表示部に誘導することができる。よって、情報表示システムは、より適切な状況として車両の周囲に物体または人が存在していない状況において、表示部をドライバに視認させることができる。
【0114】
また、情報表示システムによれば、誘導処理が表示処理を含んでいる場合に誘導処理の実行の抑制を禁止する、つまり、誘導処理の実行を行うことで、車両の外部に存在する物体または人にドライバを注意させる。表示処理を実行することが、車両の外部に存在する物体または人にドライバを注意させる効果に寄与し得るからである。よって、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0115】
また、情報表示システムによれば、車両のフロントガラスに画像を投射する処理が表示処理として誘導処理に含まれている場合に、誘導処理の実行の抑制を禁止する。よって、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0116】
また、情報表示システムによれば、誘導処理を継続的に実行している場合、誘導処理の継続時間が所定時間以上になると、誘導処理を抑制する。ドライバは、誘導処理によって視線が誘導される先の表示部とは異なるものに注視していることがある。その場合に、情報表示システムが誘導処理を継続することは、車両の安全な走行に支障を来すことがあり、これを回避することができる。よって、情報表示システムは、より適切な状況において表示部をドライバに視認させることができる。
【0117】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施の形態に適用可能である。例えば、表示部に対して優先順位を付与するのではなく、表示部に表示されているコンテンツ自体に優先順位を付与して、より上位の優先順位が付与されている情報を表示する表示部にドライバの視線を誘導するように誘導処理を行うようにしてもよい。
【0118】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の情報表示システムなどを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0119】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、車両が備える1以上の表示部に情報を表示する情報表示システムの制御方法であって、前記情報表示システムは、前記1以上の表示部のうち、前記車両のドライバの視線上にない表示部に前記ドライバの視線を誘導する誘導処理を実行可能であり、前記制御方法は、前記車両の外部の装置から、前記車両の周囲の様子を示す周囲情報を取得し、前記1以上の表示部に表示される情報よりも、前記周囲情報に示される前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであるか否かの判定をし、前記1以上の表示部に表示される前記情報よりも前記車両の周囲の様子に前記ドライバが注意すべきであると判定した場合に、前記誘導処理の実行を抑制する制御をする制御方法を実行させるプログラムである。
【0120】
以上、一つまたは複数の態様に係る情報表示システムなどについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、車両の表示部に情報を表示するシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
5 車両
10 情報表示システム
11 メイン制御装置
12、13、14 表示部
13a 表示ユニット
14a、14b、14c 表示ブロック
21 制御部
22 車内用カメラ
23 通信部
24 GPS受信機
25 センサ
31 情報取得処理部
32 視線特定処理部
33 認知表示部特定処理部
34 非認知表示部特定処理部
35 優先順位付与処理部
36 車外情報取得処理部
37 誘導処理実行処理部
41 人
42 画像
100 車両用装置
F フロントガラス
Gb ブラインドスポット画面
Ma 自車両マーク
Mb 他車両マーク
Mc 進行方向マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10