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特許7602308圧電振動デバイス製造装置及び圧電振動デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス製造装置及び圧電振動デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20241211BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241211BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H03H3/02 A
H03H3/02 C
H05K13/04 B
H01L21/52 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023531879
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2022025115
(87)【国際公開番号】W WO2023276850
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2021107836
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】大室 裕史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】大谷 浩
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-114775(JP,A)
【文献】特開2016-092391(JP,A)
【文献】特開2016-127366(JP,A)
【文献】特開2012-099560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/02
H05K 13/04
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子を保持する保持部材と、を少なくとも有し、
前記保持部材において前記圧電素子が接合材によって接合される圧電振動デバイスを製造するための圧電振動デバイス製造装置であって、
前記圧電素子をそれぞれ一つずつ吸着する複数の吸着ヘッドと、
前記複数の吸着ヘッドを搭載し、複数の前記圧電素子が供給される圧電素子供給位置から複数の前記保持部材が供給される保持部材供給位置までの間において、前記複数の吸着ヘッドを同時に往復移動させる吸着ヘッド移動装置と、を有し、
前記複数の吸着ヘッドは、
前記圧電素子を吸着する吸着ノズルと、
前記吸着ノズルを水平方向に移動させる吸着ヘッド用水平移動機構と、
前記吸着ノズルを鉛直方向に移動させる吸着ヘッド用鉛直移動機構と、
前記吸着ノズルを鉛直軸まわりの回転方向に移動させる吸着ヘッド用回転移動機構と、
それぞれし、
記圧電素子供給位置において複数の前記吸着ノズルによって前記圧電素子供給位置に供給された前記圧電素子をそれぞれ吸着し、前記吸着ヘッド移動装置によって前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで移動され、
前記吸着ヘッド用水平移動機構、前記吸着ヘッド用鉛直移動機構、及び前記吸着ヘッド用回転移動機構は
複数の前記吸着ノズルがそれぞれ吸着した複数の前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材供給位置に供給された複数の前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、複数の前記吸着ノズルがそれぞれ吸着している前記圧電素子を、対応する前記保持部材にそれぞれ配置可能なように前記吸着ノズルの位置をそれぞれ独立して個別に調整する、
圧電振動デバイス製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイス製造装置において、
前記接合材を前記保持部材にそれぞれ供給する複数の供給ヘッドと、
前記複数の供給ヘッドを搭載し、前記複数の供給ヘッドの待機位置から前記保持部材供給位置までの間において、前記複数の供給ヘッドを同時に往復移動させる供給ヘッド移動装置と、を有し、
前記複数の供給ヘッドは、
前記接合材を供給する供給装置と、
前記供給装置を水平方向に移動させる供給ヘッド用水平移動機構と、
前記供給装置を鉛直方向に移動させる供給ヘッド用鉛直移動機構と、をそれぞれし、
記供給ヘッド移動装置によって前記待機位置から前記保持部材供給位置まで移動され、
前記供給ヘッド用水平移動機構または供給ヘッド用鉛直移動機構のうち少なくとも一つは、
前記保持部材供給位置に供給された複数の前記保持部材の位置に関する情報に基づいて、複数の前記供給装置が前記接合材を複数の前記保持部材にそれぞれ供給可能なように前記供給装置の位置をそれぞれ独立して個別に調整する、
圧電振動デバイス製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧電振動デバイス製造装置において、
前記複数の供給ヘッドは、
前記保持部材供給位置において、複数の前記供給装置によって前記接合材を複数の前記保持部材にそれぞれ独立して個別に供給し、
前記複数の吸着ヘッドは、
前記保持部材供給位置において、複数の前記吸着ノズルがそれぞれ吸着している前記圧電素子を前記接合材が供給されている複数の前記保持部材にそれぞれ独立して個別に配置する、
圧電振動デバイス製造装置。
【請求項4】
請求項2から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動デバイス製造装置において、
前記複数の供給ヘッドは、
それぞれの前記供給装置の位置を前記供給ヘッド用水平移動機構または前記供給ヘッド用鉛直移動機構の少なくともに一つによって、同時に調整可能である、
圧電振動デバイス製造装置。
【請求項5】
請求項1に記載の圧電振動デバイス製造装置において、
前記複数の吸着ヘッドは、
それぞれの前記吸着ノズルの位置を前記吸着ヘッド用水平移動機構、前記吸着ヘッド用鉛直移動機構、及び前記吸着ヘッド用回転移動機構によって、同時に調整可能である、
圧電振動デバイス製造装置。
【請求項6】
請求項1に記載の圧電振動デバイス製造装置において、
前記圧電素子の位置に関する情報として、前記複数の吸着ヘッドがそれぞれ吸着した複数の前記圧電素子の水平方向の位置及び前記圧電素子の向きをそれぞれ測定する圧電素子位置測定装置と、
前記保持部材の位置に関する情報として、前記保持部材供給位置に供給される複数の前記保持部材の水平方向及び鉛直方向の位置をそれぞれ測定する保持部材位置測定装置と、を有する、
圧電振動デバイス製造装置。
【請求項7】
圧電素子と、
前記圧電素子を保持する保持部材と、を少なくとも有し、
前記保持部材に前記圧電素子が接合材によって接合される圧電振動デバイスの製造方法であって、
複数の前記圧電素子を圧電素子供給位置に供給する圧電素子供給工程と、
複数の前記圧電素子を圧電素子供給位置に位置決めする圧電素子位置決め工程と、
複数の前記保持部材を保持部材供給位置に供給する保持部材供給工程と、
複数の前記保持部材を保持部材供給位置に位置決めする保持部材位置決め工程と、
圧電素子供給位置に位置決めされた複数の前記圧電素子を前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送する圧電素子搬送工程と、
前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材供給位置に位置決めされた前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子を対応する前記保持部材にそれぞれ同時に配置可能なように、複数の前記圧電素子の水平方向、鉛直方向及び鉛直軸まわりの回転方向の位置をそれぞれ独立して個別に調整する圧電素子位置調整工程と、を有する、
圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記保持部材供給位置において、前記保持部材供給位置に供給された前記保持部材の位置に関する情報に基づいて、前記保持部材に供給する前記接合材の供給位置を調整する接合材供給位置調整工程と、
を有する、
圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記保持部材供給位置において、複数の前記保持部材に前記接合材をそれぞれ供給する接合材供給工程と、
前記保持部材供給位置において、前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子を前記接合材が供給されている複数の前記保持部材にそれぞれ配置する圧電素子接合工程と、を有する、
圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項8から請求項9のいずれか一項に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記接合材供給位置調整工程は、
複数の前記保持部材に前記接合材を供給する位置をそれぞれ同時に調整する工程である、
圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項7に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記圧電素子位置調整工程は、
前記複数の圧電素子の位置を前記保持部材にそれぞれ配置可能なようにそれぞれ同時に調整する工程である、
圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項7に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子の水平方向の位置及び前記圧電素子の向きに関する情報をそれぞれ取得する圧電素子位置情報取得工程と、
前記保持部材供給位置に供給される複数の前記保持部材の水平方向及び鉛直方向の位置に関する情報をそれぞれ取得する保持部材位置情報取得工程と、を有する、
圧電振動デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電振動デバイス製造装置及び圧電振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイスは、例えば水晶振動片を用いた水晶振動子が含まれる。前記水晶振動子は、圧電素子である水晶振動片と、前記水晶振動片を保持する保持部材とを有する。前記水晶振動子は、セラミック等の絶縁体から構成される箱状の前記保持部材内に前記水晶振動片が保持されている。前記水晶振動子は、前記水晶振動片の電極と前記保持部材内の電極とが接合した状態で密閉されている。
【0003】
このような前記圧電振動デバイスを製造する圧電振動デバイス製造装置には、前記圧電素子と前記保持部材とがそれぞれ供給される。前記圧電振動デバイス製造装置は、吸着ヘッド等の移載装置によって供給された前記圧電素子を、接合材が塗布された前記保持部材内に配置する。この際、前記圧電素子は、電極以外の部分が前記保持部材に接触しないように前記保持部材内に配置する必要がある。そこで、前記移載装置に対して位置決めされた前記圧電素子を前記保持部材内に配置する前記圧電振動デバイス製造装置が知られている。例えば特許文献1には、供給された素子部品を位置決めした後に素子搭載部材ウェハに前記素子部品を搭載する素子部品搭載装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の素子部品搭載装置は、複数の前記素子部品を位置決めするために仮置きするトレイを備えている。前記トレイは、前記素子部品を仮置きする複数の凹部を有している。前記凹部の壁面は、深さ方向に傾斜しつつ凹部の開口側に露出している。前記凹部に投入された前記素子部品は、前記凹部の壁面を滑り、凹部の底面に配置される。前記素子部品は、前記凹部の壁面によって前記凹部の底面において位置決めされる。前記素子部品搭載装置は、複数の前記凹部の底面で位置決めされた複数の前記素子部品を前記素子搭載部材ウェハ上に搬送する。これにより、前記素子部品搭載装置は、複数の前記素子部品を前記素子搭載部材ウェハ上の所定の位置に所定の向きでそれぞれ配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012/99560号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記素子部品搭載装置は、供給された複数の前記素子部品を吸引移動手段によって前記トレイまで搬送し、前記トレイにおいて位置決めする。更に、前記素子部品搭載装置は、前記トレイにおいて位置決めされた複数の前記素子部品を吸引移動手段の吸着部によって吸着し、前記素子搭載部材ウェハ上に搬送する。このため、複数の前記素子部品は、吸着時に前記トレイにおいて位置決めされた位置に対して位置及び向きがずれる可能性がある。また、前記トレイの凹部は、前記凹部内に前記素子部品を配置するために、前記壁面と前記底面に位置する前記素子部品との間に隙間が生じる大きさの底面を有している。このため、前記素子部品は、前記壁面と前記底面に位置する前記素子部品との間に生じる隙間分だけ、前記トレイに対して位置及び向きがずれる可能性がある。
【0007】
本発明は、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる圧電振動デバイス製造装置及び圧電振動デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる圧電振動デバイス製造装置及び圧電振動デバイスの製造方法について検討した。鋭意検討の結果、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0009】
本発明の一実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置は、圧電素子と、前記圧電素子を保持する保持部材と、を少なくとも有し、前記保持部材に前記圧電素子が接合材によって接合される圧電振動デバイスを製造するための圧電振動デバイス製造装置である。
【0010】
圧電振動デバイス製造装置は、前記圧電素子をそれぞれ一つずつ吸着する複数の吸着ヘッドと、前記複数の吸着ヘッドを搭載し、複数の前記圧電素子が供給される圧電素子供給位置から複数の前記保持部材が供給される保持部材供給位置までの間において、前記複数の吸着ヘッドを同時に往復移動させる吸着ヘッド移動装置と、を有している。前記吸着ヘッドは、前記圧電素子を吸着する吸着ノズルと、前記吸着ノズルを水平方向に移動させる吸着ヘッド用水平移動機構と、前記吸着ノズルを鉛直方向に移動させる吸着ヘッド用鉛直移動機構と、前記吸着ノズルを鉛直軸まわりの回転方向に移動させる吸着ヘッド用回転移動機構と、を有している。
【0011】
複数の前記吸着ヘッドは、前記圧電素子供給位置において、複数の前記吸着ノズルによって前記圧電素子供給位置に供給された前記圧電素子をそれぞれ吸着する。複数の前記吸着ヘッドは、前記吸着ヘッド移動装置によって前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで移動される。前記吸着ヘッド用水平移動機構、前記吸着ヘッド用鉛直移動機構、前記吸着ヘッド用回転移動機構のうち少なくとも一つは、複数の前記吸着ノズルがそれぞれ吸着した複数の前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材供給位置に供給された複数の前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、複数の前記吸着ノズルがそれぞれ吸着している前記圧電素子を対応する前記保持部材にそれぞれ配置可能な位置に複数の前記吸着ノズルの位置をそれぞれ独立して個別に調整する。
【0012】
上述の構成では、複数の前記吸着ヘッドは、前記圧電素子をそれぞれの吸着ノズルが吸着し、複数の前記圧電素子を搬送する。この際、前記吸着ヘッドは、吸着した複数の前記圧電素子の位置に関する情報と、吸着した複数の前記圧電素子をそれぞれ配置する複数の前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、複数の前記吸着ノズルの位置をそれぞれ独立して個別に調整する。これにより、複数の前記吸着ヘッドは、吸着時のずれを考慮した上で、吸着している複数の前記圧電素子の位置を、前記保持部材の水平方向の位置及び鉛直方向の位置に対応するようにそれぞれ個別に調整することができる。しかも、複数の前記吸着ヘッドは、数値データである前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材の位置に関する情報に基づいて前記吸着ノズルの位置を個別に調整する。よって、前記圧電振動デバイス製造装置は、位置合わせのために前記圧電素子の仮置き等を行う必要がない。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0013】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイス製造装置は、以下の構成を含むことが好ましい。圧電振動デバイス製造装置は、前記接合材を前記保持部材にそれぞれ供給する複数の供給ヘッドと、前記複数の供給ヘッドを搭載し、前記複数の供給ヘッドの待機位置から前記保持部材供給位置までの間において、前記複数の供給ヘッドを同時に往復移動させる供給ヘッド移動装置と、を有する。
【0014】
前記供給ヘッドは、前記接合材を供給する供給装置と、前記供給装置を水平方向に移動させる供給ヘッド用水平移動機構と、前記供給装置を鉛直方向に移動させる供給ヘッド用鉛直移動機構と、を有している。複数の前記供給ヘッドは、前記供給ヘッド移動装置によって前記待機位置から前記保持部材供給位置まで移動される。前記供給ヘッド用水平移動機構または前記供給ヘッド用鉛直移動機構のうち少なくとも一つは、前記保持部材供給位置に供給された複数の前記保持部材の位置に関する情報に基づいて、複数の前記供給装置が前記接合材を複数の前記保持部材にそれぞれ供給可能なように前記供給装置の位置をそれぞれ独立して個別に調整する。
【0015】
上述の構成では、複数の前記供給ヘッドは、前記供給装置の位置を前記保持部材の水平方向の位置及び鉛直方向の位置に対応するようにそれぞれ独立して個別に調整する。これにより、前記供給装置は、前記保持部材における所定の位置に接合材を吐出することができる。しかも、複数の前記供給ヘッドは、取得した数値データである複数の前記保持部材の位置に関する情報に基づいて前記供給装置の位置をそれぞれ独立して個別に調整する。よって、前記圧電振動デバイス製造装置は、前記供給装置に対する前記保持部材の位置合わせ等を行う必要がない。したがって、タクトタイムを増加させることなく、接合材を複数の保持部材の所定の位置にそれぞれ配置することができる。これにより、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイス製造装置は、以下の構成を含むことが好ましい。複数の前記供給ヘッドは、前記保持部材供給位置において、複数の前記供給装置から前記接合材を複数の前記保持部材にそれぞれ独立して個別に供給する。複数の前記吸着ヘッドは、前記保持部材供給位置において、複数の前記吸着ノズルがそれぞれ吸着している前記圧電素子を前記接合材が供給されている複数の前記保持部材にそれぞれ独立して個別に配置する。
【0017】
上述の構成では、複数の前記供給ヘッドは、前記保持部材の位置に関する情報に基づいて、複数の前記供給装置の水平方向の位置及び鉛直方向の位置をそれぞれ独立して個別に調整する。複数の前記供給装置は、前記接合材を複数の前記保持部材の所定の位置にそれぞれ独立して個別に供給する。これにより、複数の前記供給装置は、複数の前記保持部材の位置のばらつきを考慮しつつ前記保持部材における所定の位置に接合材を吐出することができる。また、複数の前記吸着ヘッドは、前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、複数の前記吸着ノズルの水平方向の位置及び鉛直方向の位置をそれぞれ独立して個別に調整する。複数の前記吸着ノズルは、前記圧電素子を複数の前記保持部材の所定の位置にそれぞれ独立して個別に配置する。これにより、前記吸着ヘッドは、前記保持部材の形状のばらつきを考慮しつつ前記圧電素子を前記保持部材に配置することができる。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイス製造装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記複数の供給ヘッドは、それぞれの前記供給装置の位置を前記供給ヘッド用水平移動機構または前記供給ヘッド用鉛直移動機構の少なくともに一つによって、同時に調整可能である。また、複数の前記吸着ヘッドは、それぞれの前記吸着ノズルの位置を前記吸着ヘッド用水平移動機構、前記吸着ヘッド用鉛直移動機構、または前記吸着ヘッド用回転移動機構の少なくとも一つによって、同時に調整可能である。
【0019】
上述の構成では、圧電振動デバイス製造装置は、前記複数の吸着ヘッド及び前記複数の供給ヘッドの位置を各移動機構によって同時に調整するので、前記吸着ヘッド及び前記供給ヘッドの数に関わらず、前記複数の吸着ヘッド及び前記複数の供給ヘッドの位置を調整するために必要な時間が抑制される。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の保持部材の所定の位置に供給材をそれぞれ供給することができる。また、タクトタイムを増加させることなく、複数の保持部材の所定の位置に所定の向きで複数の圧電素子をそれぞれ配置することができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイス製造装置は、以下の構成を含むことが好ましい。圧電振動デバイス製造装置は、前記圧電素子の位置に関する情報として、複数の前記吸着ヘッドがそれぞれ吸着した複数の前記圧電素子の水平方向の位置及び前記圧電素子の向きをそれぞれ測定する圧電素子位置測定装置と、前記保持部材の位置に関する情報として、前記保持部材供給位置に供給される複数の前記保持部材の水平方向及び鉛直方向の位置をそれぞれ測定する保持部材位置測定装置と、を有する。
【0021】
上述の構成では、圧電素子位置測定装置は、複数の前記吸着ノズルがそれぞれ前記圧電素子を吸着した状態で前記圧電素子の水平方向の位置及び前記圧電素子の向きを測定する。つまり、圧電素子位置測定装置は、前記吸着ノズルに吸着された複数の前記圧電素子のずれをそれぞれ測定している。また、前記保持部材位置測定装置は、前記保持部材供給位置に供給される複数の前記保持部材の水平方向だけでなく鉛直方向の位置をそれぞれ測定する。よって、前記保持部材位置測定装置は、複数の前記保持部材にそれぞれ配置する前記圧電素子の鉛直方向の位置を、対応する前記保持部材の鉛直方向の位置に基づいて独立して個別に調整することができる。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る圧電振動デバイスの製造方法は、圧電素子と、前記圧電素子を保持する保持部材と、を少なくとも有し、前記保持部材に前記圧電素子が接合材によって接合される圧電振動デバイスの製造方法である。
【0023】
圧電振動デバイスの製造方法は、複数の前記圧電素子を圧電素子供給位置に供給する圧電素子供給工程と、複数の前記圧電素子を圧電素子供給位置に位置決めする圧電素子位置決め工程と、複数の前記保持部材を保持部材供給位置に供給する保持部材供給工程と、複数の前記保持部材を保持部材供給位置に位置決めする保持部材位置決め工程と、圧電素子供給位置に位置決めされた複数の前記圧電素子を前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送する圧電素子搬送工程と、前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材供給位置に位置決めされた前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子を対応する前記保持部材にそれぞれ配置可能なように、複数の前記圧電素子の位置をそれぞれ独立して個別に調整する圧電素子位置調整工程と、を有する。
【0024】
上述の構成では、前記圧電振動デバイスの製造方法は、前記保持部材の位置に関する情報と、圧電素子搬送工程において搬送中に取得した前記圧電素子の位置に関する情報とに基づいて、複数の前記圧電素子の位置をそれぞれ独立して個別に調整する圧電素子位置調整工程を有する。前記圧電素子の位置に関する情報には、搬送中の複数の前記圧電素子の姿勢が考慮された位置に関する情報が含まれている。これにより圧電素子搬送工程後に仮置き等によって前記圧電素子の姿勢を位置決めする工程を別途設ける必要がない。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0025】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスの製造方法は、以下の構成を含むことが好ましい。前記保持部材供給位置において、前記保持部材供給位置に供給された前記保持部材の位置に関する情報に基づいて、前記保持部材に供給する前記接合材の供給位置を調整する接合材供給位置調整工程と、を有する。
【0026】
上述の構成では、前記接合材供給位置調整工程において、前記接合材を供給する位置を前記保持部材の位置に合わせてそれぞれ個別に調整する。しかも、取得した数値データである複数の前記保持部材の位置に関する情報に基づいて接合部材の供給位置を個別に調整するので、前記保持部材毎に個別の位置合わせ等を行う必要がない。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0027】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスの製造方法は、以下の構成を含むことが好ましい。圧電振動デバイスの製造方法は、前記保持部材供給位置において、複数の前記保持部材に前記接合材をそれぞれ供給する接合材供給工程と、前記保持部材供給位置において、前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子を前記接合材が供給されている複数の前記保持部材にそれぞれ配置する圧電素子接合工程と、を有する。
【0028】
上述の構成では、前記接合材供給工程において、複数の前記保持部材の位置に関する情報に基づいて、複数の前記保持部材における前記接合材の供給位置を調整している。また、前記圧電素子接合工程において、前記圧電素子の位置に関する情報と前記保持部材の位置に関する情報とに基づいて、複数の前記保持部材における複数の前記圧電素子の配置位置を調整している。したがって、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0029】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスの製造方法は、以下の構成を含むことが好ましい。前記接合材供給位置調整工程は、複数の前記保持部材に前記接合材を供給する位置をそれぞれ同時に調整する工程である。また、前記圧電素子位置調整工程は、前記複数の圧電素子の位置を前記保持部材にそれぞれ配置可能なようにそれぞれ同時に調整する工程である。
【0030】
上述の構成では、前記圧電素子位置調整工程において、複数の前記圧電素子の配置位置を同時に調整し、前記接合材供給位置調整工程において、接合部材の複数の供給位置を同時に調整する。よって、前記保持部材に配置する前記圧電素子の数に関わらず、前記複数の圧電素子の配置位置及び前記接合材の供給位置を調整するために必要な時間が抑制される。したがって、タクトタイムを増加させることなく、供給材を複数の保持部材の所定の位置にそれぞれ供給することができる。また、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0031】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスの製造方法は、以下の構成を含むことが好ましい。前記圧電素子供給位置から前記保持部材供給位置まで搬送される複数の前記圧電素子の水平方向の位置及び前記圧電素子の向きに関する情報をそれぞれ取得する圧電素子位置情報取得工程と、前記保持部材供給位置に供給される複数の前記保持部材の水平方向及び鉛直方向の位置に関する情報をそれぞれ取得する保持部材位置情報取得工程と、を有する。
【0032】
上述の構成では、前記圧電素子位置情報取得工程において、前記圧電素子搬送工程での複数の前記圧電素子の水平方向の位置及び前記圧電素子の向きを測定する。つまり、前記圧電素子位置情報取得工程では、吸着された圧電素子の姿勢を測定している。また、前記保持部材位置情報取得工程において、複数の前記保持部材の水平方向だけでなく鉛直方向の位置をそれぞれ測定するので、複数の前記保持部材にそれぞれ配置する前記圧電素子の鉛直方向の位置を、対応する前記保持部材の鉛直方向の位置に基づいて独立して個別に調整することができる。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【0033】
[圧電振動デバイス]
本明細書において、圧電振動デバイスとは、圧電体に加えられた力を電圧に変換し、または圧電体に印加された電圧を力に変換する圧電素子を有する電子部品を意味する。圧電振動デバイスには、水晶振動子、水晶発振器等が含まれる。圧電振動デバイスは、発振回路、フィルタ回路、アクチュエータ、センサ等に使用される。
【0034】
[圧電素子]
本明細書において、圧電素子とは、加えられた力を電圧に変換し、または印加された電圧を力に変換する圧電体を意味する。圧電素子は、本実施形態において、水晶を特定の方向で切り出した板状の水晶振動片である。圧電素子は、蒸着、スパッタリング等により成膜された電極を有する。
【0035】
[保持部材]
本明細書において、保持部材とは、圧電素子を保持するための絶縁体からなる容器である。保持部材は、本実施形態においてセラミックス製の筐体である。保持部材は、内部に圧電素子と電気的に接続される電極を有する。保持部材は、内部に圧電素子を配置可能な凹部を有している。
【0036】
[接合材]
本明細書において、接合材とは、圧電素子を保持容器に接合する導電性の材料を意味する。接合材は、例えば、はんだ、接着材等である。接合材は、本実施形態において、熱硬化性の接着剤である。
【0037】
[相対距離]
本明細書において、相対距離とは、部品の中心同士の距離を意味する。
【0038】
[位置に関する情報]
本明細書において、位置に関する情報とは、圧電振動デバイス製造装置における任意の点を原点として、対象となる装置、部品等における特定の点のX方向、Y方向、Z方向及びθ方向の座標を意味する。本実施形態における座標は、圧電振動デバイス製造装置における任意の点を原点とする座標系である。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一実施形態によれば、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子を所定の位置に所定の向きで複数の保持部材にそれぞれ配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイス製造装置の全体構成の概略を示す平面図である。
図2A図2Aは、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイス製造装置に供給される複数の圧電素子とトレイとを示す平面図である。
図2B図2Bは、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置に供給される複数の保持部材の概略を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置が有する複数の吸着ヘッドの全体構成の概略を示す平面図である。
図4図4は、図3におけるA矢視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置が有する複数の供給ヘッドの全体構成の概略を示す側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置の制御構成を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置の複数の吸着ヘッドが保持部材供給位置に圧電素子を搬送した状態の概略を示す平面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置の複数の吸着ヘッドが吸着ノズルの位置を調整した状態の概略を示す平面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイスの製造方法のフロー図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイスの製造方法における保持部材位置情報取得工程、圧電素子供給工程、保持部材供給工程、圧電素子位置決め工程及び保持部材位置決め工程における圧電振動デバイス製造装置の作動状態を示す平面図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイスの製造方法における接合材供給位置調整工程及び接合材供給工程における圧電振動デバイス製造装置の作動状態を示す平面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイスの製造方法における圧電素子搬送工程、圧電素子位置情報取得工程、圧電素子位置調整工程及び圧電素子接合工程における圧電振動デバイス製造装置の作動状態を示す平面図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置を含む圧電振動デバイス製造ラインの構成を示す平面図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る圧電振動デバイス製造装置を含む圧電振動デバイス製造ラインの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表していない。
【0042】
なお、以下の本発明の実施の形態である圧電振動デバイス製造装置1の説明において、圧電素子Pを圧電素子供給位置Spまで搬送する方向を「X方向」と規定する。X方向に直交する方向であって圧電素子Pを圧電素子供給位置Spから保持部材供給位置Shまで搬送する方向を「Y方向」と規定する。X方向とY方向に直交する方向を「Z方向」と規定する。Z方向に延びる軸線まわりを回転する回転方向をθ方向と規定する。また、本実施形態において、X方向及びY方向は、水平面上の方向である。Z方向は、鉛直方向である。ただし、この方向の定義により、圧電振動デバイス製造装置1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0043】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0044】
[実施形態1]
<圧電振動デバイス製造装置の全体構成>
図1から図6を用いて、本発明の圧電振動デバイスを製造する装置である圧電振動デバイス製造装置の実施形態1である圧電振動デバイス製造装置1について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイス製造装置1の全体構成の概略を示す平面図である。図2Aは、圧電振動デバイス製造装置1に供給される複数の圧電素子PとトレイTとを示す平面図である。図2Bは、圧電振動デバイス製造装置1に供給される複数の保持部材Hの概略を示す平面図である。図3は、圧電振動デバイス製造装置1が有する複数の吸着ヘッド20の全体構成の概略を示す平面図である。図4は、図3におけるA矢視図である。図5は、圧電振動デバイス製造装置1が有する複数の供給ヘッド30の全体構成の概略を示す側面図である。図6は、圧電振動デバイス製造装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0045】
図1に示すように、圧電振動デバイス製造装置1は、架台2、圧電素子供給装置10、保持部材供給装置11、吸着ヘッド移動装置12、供給ヘッド移動装置13、圧電素子位置測定装置であるカメラ14、保持部材位置測定装置であるレーザ測定装置15、制御装置16、吸着ヘッド20及び供給ヘッド30を有する。圧電振動デバイス製造装置1は、架台2の水平な面である載置面上に各装置が配置されている。圧電振動デバイス製造装置1は、図示しない供給ラインから複数の圧電素子Pと複数の保持部材Hとが供給される。
【0046】
図2A及び図2Bに示すように、圧電振動デバイス製造装置1には、複数の圧電素子Pが互いの相対距離を維持した状態で供給される。本実施形態において、圧電素子Pの容器であるトレイTには、圧電素子Pが配置される複数の凹部Cが設けられている。凹部Cは平面視で矩形となっている。トレイTには、間隔Px毎にX方向に設けられた複数の凹部Cの一群が、間隔Py毎にY方向に並べられている。つまり、トレイTには、複数の凹部CがX方向に間隔Px毎に位置し且つY方向に間隔Py毎に位置するマトリクス状に配置されている。圧電素子Pは、トレイTの凹部C内にそれぞれ位置している。なお、隣り合う凹部Cの間隔Px、間隔Pyは、平面視矩形の凹部Cの中心(対角線の交点)間の間隔である。
【0047】
圧電振動デバイス製造装置1には、複数の保持部材Hが互いの相対距離を維持した状態で供給される。本実施形態において、複数の保持部材Hは、間隔Px毎にX方向に整列した複数の保持部材Hの一群が、間隔Py毎にY方向に整列している。つまり、複数の保持部材Hは、X方向に間隔Px毎に位置し且つY方向に間隔Py毎に位置するマトリクス状に配置されている。また、複数の保持部材Hは、互いに連結したシート状に形成されている。なお、シート状に配置された複数の保持部材Hは、凹部CのX方向の間隔Px、Y方向の間隔Pyに対応するように位置している。
【0048】
保持部材Hは、例えば、平面視において長方形状である。保持部材Hは、例えば、長辺2.0mm、短辺1.6mmの大きさに構成されている。また、保持部材Hは、例えば、長辺1.6mm、短辺1.2mmの大きさに構成されている。また、保持部材Hは、例えば、長辺1.2mm、短辺1.0mmの大きさに構成されている。なお、複数の保持部材が互いに連結して形成されたシートの大きさは、保持部材Hの大きさに関わらず同じ大きさになるように構成されている。つまり、シートは、保持部材Hの大きさに応じてシートに含まれる保持部材Hの数が異なる。このように構成することで、圧電振動デバイス製造装置1は、保持部材Hの大きさが変更されても後述する吸着ヘッド移動装置12、供給ヘッド移動装置13等を交換する必要がない。
【0049】
図1に示すように、圧電素子供給装置10は、複数の圧電素子Pが収容されているトレイTを圧電素子供給位置Spまで搬送するとともに、圧電素子供給位置Spにおいて供給対象の圧電素子Pの位置を決める位置決め装置である。圧電素子供給装置10は、本実施形態において、アクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニットとを有する1軸の直動ユニットである。圧電素子供給装置10は、鉛直方向に見て圧電素子Pを搬送する方向をX方向として架台2上に配置される。
【0050】
圧電素子供給装置10は、トレイTを載置するトレイ載置部10aを有している。圧電素子供給装置10は、サーボモータの回転量に応じてトレイ載置部10aを稼働範囲内の任意の位置に移動可能である。圧電素子供給装置10には、圧電素子待機位置Wpにおいて、図示しない外部の供給ラインからトレイTがトレイ載置部10aに供給される。トレイ載置部10aに載置されたトレイTを圧電素子供給位置Spまで搬送可能である。なお、圧電素子供給装置10における圧電素子供給位置Spは、予め定められている。また、圧電素子供給装置10は、トレイTに収容された複数の圧電素子Pのうち、供給対象の圧電素子Pを圧電素子供給位置Spに位置決めするために、供給対象の圧電素子Pのトレイ載置部10a上の位置に基づいて、供給対象の圧電素子P毎にトレイ載置部10aの停止位置が定められる。圧電素子供給装置10は、供給対象の圧電素子P毎に定められた停止位置に基づいて供給対象の圧電素子Pを圧電素子供給位置Spに位置決めする。
【0051】
保持部材供給装置11は、シート状に連結された複数の保持部材Hを保持部材供給位置Shまで搬送するとともに、保持部材供給位置Shにおいて供給対象の保持部材Hの位置を位置決めする装置である。保持部材供給装置11は、本実施形態において、アクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニット等とを有する1軸の直動ユニットである。保持部材供給装置11は、鉛直方向に見て保持部材Hを搬送する方向をX方向として架台2上に配置される。
【0052】
保持部材供給装置11は、架台2上の圧電素子供給装置10と隣り合う位置に配置される。保持部材供給装置11は、複数の保持部材Hを載置する保持部材載置部11aを有している。保持部材供給装置11は、サーボモータの回転量に応じて保持部材載置部11aを稼働範囲内の任意の位置に移動可能である。保持部材供給装置11には、保持部材待機位置Whにおいて、図示しない外部の供給ラインから保持部材載置部11aに複数の保持部材Hが供給される。保持部材供給装置11は、保持部材載置部11aに載置された複数の保持部材Hを保持部材供給位置Shまで搬送可能である。なお、保持部材供給装置11における保持部材供給位置Shは、予め定められている。また、保持部材供給装置11は、シート状に整列された複数の保持部材Hのうち、任意の位置の保持部材Hを保持部材供給位置Shに位置決めするために、供給対象の保持部材Hの保持部材載置部11a上の位置に基づいて、供給対象の保持部材H毎に保持部材載置部11aの停止位置が定められる。保持部材供給装置11は、供給対象の保持部材H毎に定められた停止位置に基づいて供給対象の保持部材Hを保持部材供給位置Shに位置決めする。
【0053】
吸着ヘッド移動装置12は、複数の吸着ヘッド20を同時に移動する装置である。吸着ヘッド移動装置12は、本実施形態において、アクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニット等とを有する1軸の直動ユニットである。吸着ヘッド移動装置12は、鉛直方向に見て複数の吸着ヘッド20を搬送する方向をY方向として架台2上に配置される。また、吸着ヘッド移動装置12は、圧電素子供給装置10及び保持部材供給装置11よりも鉛直方向(Z方向)の上方に位置している。
【0054】
吸着ヘッド移動装置12は、複数の吸着ヘッド20を載置する吸着ヘッド載置部12aを有している。吸着ヘッド載置部12aは、複数の吸着ヘッド20を搭載する水平な載置面を有している。吸着ヘッド移動装置12は、サーボモータの回転量に応じて吸着ヘッド載置部12aを稼働範囲内の任意の位置に移動可能である。吸着ヘッド移動装置12は、吸着ヘッド載置部12aの載置面に載置された複数の吸着ヘッド20を圧電素子供給位置Spから保持部材供給位置Shまでの間において往復移動させる。
【0055】
吸着ヘッド移動装置12は、複数の吸着ヘッド20を圧電素子供給位置Spに移動させるために、供給対象の圧電素子Pのトレイ載置部10a上の位置に基づいて、供給対象の圧電素子P毎に吸着ヘッド載置部12aの停止位置が定められる。同様に、吸着ヘッド移動装置12は、複数の吸着ヘッド20を保持部材供給位置Shに移動させるために、供給対象の保持部材Hの保持部材載置部11a上の位置に基づいて、供給対象の保持部材H毎に吸着ヘッド載置部12aの停止位置が定められる。
【0056】
供給ヘッド移動装置13は、複数の供給ヘッド30を同時に移動する装置である。供給ヘッド移動装置13は、本実施形態において、アクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニット等とを有する1軸の直動ユニットである。供給ヘッド移動装置13は、鉛直方向に見て、複数の供給ヘッド30を搬送する方向をY方向として架台2上に配置される。供給ヘッド移動装置13は、保持部材供給装置11の鉛直方向(Z方向)の上方に位置している。
【0057】
供給ヘッド移動装置13は、複数の供給ヘッド30を載置する供給ヘッド載置部13aを有している。供給ヘッド載置部13aは、複数の供給ヘッド30を搭載する水平な載置面を有している。供給ヘッド移動装置13は、サーボモータの回転量に応じて供給ヘッド載置部13aを稼働範囲内の任意の位置に移動可能である。供給ヘッド移動装置13は、供給ヘッド載置部13aに載置された複数の供給ヘッド30を待機位置Wから保持部材供給位置Shまで搬送可能である。なお、供給ヘッド移動装置13は、複数の供給ヘッド30を保持部材供給位置Shに移動させるために、供給対象の保持部材Hの保持部材載置部11a上の位置に基づいて、供給対象の保持部材H毎に供給ヘッド載置部13aの停止位置が定められる。
【0058】
図3図4とに示すように、吸着ヘッド20は、吸着ノズル28によって圧電素子Pを吸着し、保持部材Hの凹部内に配置する装置である。吸着ヘッド20は、吸着ヘッド用水平移動機構21と、吸着ヘッド用鉛直移動機構24と、吸着ヘッド用回転移動機構26と、吸着ノズル28とを有する。
【0059】
吸着ヘッド用水平移動機構21は、第1の方向に移動する板状の吸着ヘッド用第1移動部材22と、第1の方向と異なる第2の方向に移動する板状の吸着ヘッド用第2移動部材23とを有する。吸着ヘッド用第1移動部材22は、アクチュエータであるステッピングモータとカム機構によって第1の方向に移動可能である。吸着ヘッド用第2移動部材23は、アクチュエータであるステッピングモータとカム機構によって第2の方向に移動可能である。
【0060】
吸着ヘッド用第1移動部材22は、吸着ヘッド移動装置12の吸着ヘッド載置部12aに配置される。この際、吸着ヘッド用第1移動部材22は、鉛直方向に見て、移動方向である第1の方向が水平方向におけるX方向になるように配置される。これにより、吸着ヘッド用第1移動部材22は、吸着ヘッド載置部12aに対して水平方向におけるX方向に移動可能である。
【0061】
吸着ヘッド用第2移動部材23は、吸着ヘッド用第1移動部材22に配置される。吸着ヘッド用第2移動部材23は、鉛直方向に見て、移動方向である第2の方向が水平方向におけるX方向に直交するY方向になるように配置される。これにより、吸着ヘッド用第2移動部材23は、吸着ヘッド用第1移動部材22に対して水平方向におけるX方向に直交するY方向に移動可能である。
【0062】
このように構成される吸着ヘッド用水平移動機構21は、吸着ヘッド用第1移動部材22によって吸着ヘッド用第2移動部材23を吸着ヘッド載置部12aに対して水平方向におけるX方向に移動可能である。また、吸着ヘッド用水平移動機構21は、吸着ヘッド用第2移動部材23を吸着ヘッド用第1移動部材22に対して水平方向におけるX方向に直交するY方向に移動可能である。つまり、吸着ヘッド用水平移動機構21は、吸着ヘッド用第2移動部材23を吸着ヘッド載置部12aに対して水平方向におけるX方向及びX方向に直交するY方向に移動可能である。
【0063】
吸着ヘッド用鉛直移動機構24は、吸着ヘッド用水平移動機構21の移動方向である第1の方向及び第2の方向に対して垂直な方向に移動する板状の吸着ヘッド用第3移動部材25を有する。吸着ヘッド用第3移動部材25は、アクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニット等によって第3の方向に移動可能である。
【0064】
吸着ヘッド用第3移動部材25は、吸着ヘッド用鉛直移動機構24に搭載される。この際、吸着ヘッド用第3移動部材25は、移動方向である第3の方向がZ方向になるように配置される。これにより、吸着ヘッド用第3移動部材25は、吸着ヘッド載置部12aに対して水平方向におけるX方向及びY方向に移動可能、且つ鉛直方向であるZ方向に移動可能である。
【0065】
吸着ヘッド用回転移動機構26は、吸着ヘッド用鉛直移動機構24の移動方向である第3の方向に延びる軸線まわりに移動(回転)する筒状の吸着ヘッド用第4移動部材27を有する。吸着ヘッド用第4移動部材27は、アクチュエータであるステッピングモータ等によって回転方向に移動可能である。
【0066】
吸着ヘッド用第4移動部材27は、吸着ヘッド用回転移動機構26に搭載される。この際、吸着ヘッド用第4移動部材27は、回転軸線である第3の方向がZ方向になるように配置される。つまり、吸着ヘッド用第4移動部材27は、鉛直軸まわりの回転方向であるθ方向に回転可能である。これにより、吸着ヘッド用第4移動部材27は、吸着ヘッド載置部12aに対して水平方向におけるX方向及びY方向に移動可能、且つ鉛直方向であるZ方向に移動可能、且つθ方向に回転可能である。
【0067】
吸着ノズル28は、トレイTの凹部C内の圧電素子Pを吸着するノズルである。吸着ノズル28は、吸着ヘッド用第4移動部材27に搭載される。吸着ノズル28は、吸着ヘッド用第4移動部材27の下端部に配置される。吸着ノズル28は、圧電素子Pを吸着可能な下端部形状を有している。また、吸着ノズル28は、下端部に吸着孔を有している。吸着ノズル28は、吸着孔を圧電素子Pによって塞いだ状態において吸着孔内の圧力を負圧にすることで圧電素子Pを吸着する。吸着ヘッド用第4移動部材27に配置される吸着ノズル28は、吸着ヘッド載置部12aに対して水平方向におけるX方向及びY方向に移動可能、且つ鉛直方向であるZ方向に移動可能、且つθ方向に回転可能である。
【0068】
このように吸着ヘッド20を構成する吸着ヘッド用水平移動機構21、吸着ヘッド用鉛直移動機構24及び吸着ヘッド用回転移動機構26は、それぞれの移動方向毎にアクチュエータであるサーボモータを有している。また、吸着ヘッド用水平移動機構21、吸着ヘッド用鉛直移動機構24及び吸着ヘッド用回転移動機構26は、互いに連動するように構成されていない。つまり、吸着ヘッド用水平移動機構21、吸着ヘッド用鉛直移動機構24及び吸着ヘッド用回転移動機構26は、互いに独立して個別にそれぞれの移動方向に移動可能である。
【0069】
圧電振動デバイス製造装置1は、複数の吸着ヘッド20を有している。圧電振動デバイス製造装置1は、例えば4台の吸着ヘッド20を有している。4台の吸着ヘッド20は、吸着ヘッド移動装置12の吸着ヘッド載置部12aに搭載されている。これにより、4台の吸着ヘッド20は、吸着ヘッド移動装置12によって同時に圧電素子供給位置Spと保持部材供給位置Shとの間を移動可能に構成されている。一方、4台の吸着ヘッド20の可動部分は、互いに連結されていない。つまり、4台の吸着ヘッド20の吸着ノズル28は、吸着ヘッド載置部12aに搭載された状態において、互いに独立して個別にX方向、Y方向、Z方向及びθ方向に移動可能である。
【0070】
吸着ヘッド20は、X方向に2台並んで配置される。また、X方向に2台並んで配置された吸着ヘッド20のY方向には、吸着ヘッド20が1台ずつ並んで配置される。つまり、4台の吸着ヘッド20は、X方向とY方向とに並ぶマトリクス状に配置される。X方向に並んだ吸着ヘッド20の吸着ノズル28は、トレイT上に設けられた凹部C及びシート状の保持部材Hの間隔Pxの整数倍であるA倍の間隔になるように配置されている。Y方向に並んだ吸着ヘッド20の吸着ノズル28は、トレイT上に設けられた凹部C及びシート状の保持部材Hの間隔Pyの整数倍であるB倍の間隔になるように配置されている。
【0071】
このように構成することで4台の吸着ヘッド20は、圧電素子供給位置Spにおいて、それぞれの吸着ノズル28によってトレイT上に位置する圧電素子Pをそれぞれ一つずつ吸着可能である。つまり、4台の吸着ヘッド20は、任意に選択した圧電素子P、前記任意に選択した圧電素子PからX方向にA個目の圧電素子P、前記任意に選択した圧電素子PからY方向にB個目の圧電素子P、及び前記任意に選択した圧電素子PからX方向にA個目、且つY方向にB個目の圧電素子Pをそれぞれ吸着可能である。
【0072】
同様に、4台の吸着ヘッド20は、保持部材供給位置Shにおいて、それぞれの吸着ノズル28が吸着している圧電素子Pを一つずつ保持部材Hの凹部内に配置可能である。つまり、4台の吸着ヘッド20は、任意に選択した保持部材H、前記任意に選択した保持部材HからX方向にA個目の保持部材H、前記任意に選択した保持部材HからY方向にB個目の保持部材H、及び前記任意に選択した保持部材HからX方向にA個目、且つY方向にB個目の保持部材Hをそれぞれ吸着可能である。
【0073】
図5に示すように、供給ヘッド30は、シート状の複数の保持部材Hの凹部内に接合材を供給する装置である。供給ヘッド30は、供給ヘッド用水平移動機構31と、供給ヘッド用鉛直移動機構34と、供給装置36とを有する。
【0074】
供給ヘッド用水平移動機構31は、第1の方向に移動する供給ヘッド用第1移動部材32と、第1の方向と異なる第2の方向に移動する供給ヘッド用第2移動部材33とを有する。供給ヘッド用第1移動部材32は、アクチュエータであるステッピングモータとカム機構によって第1の方向に移動可能である。供給ヘッド用第2移動部材33は、アクチュエータであるステッピングモータとカム機構によって第2の方向に移動可能である。
【0075】
供給ヘッド用第1移動部材32は、供給ヘッド移動装置13の供給ヘッド載置部13aに配置される。この際、供給ヘッド用第1移動部材32は、鉛直方向に見て、移動方向である第1の方向がX方向になるように配置される。これにより、供給ヘッド用第1移動部材32は、供給ヘッド載置部13aに対して水平方向におけるX方向に移動可能である。
【0076】
供給ヘッド用第2移動部材33は、供給ヘッド用第1移動部材32に配置される。供給ヘッド用第2移動部材33は、鉛直方向に見て、移動方向である第2の方向が水平方向におけるX方向に直交するY方向になるように配置される。これにより、供給ヘッド用第2移動部材33は、供給ヘッド用第1移動部材32に対して水平方向におけるY方向に移動可能である。
【0077】
このように構成される供給ヘッド用水平移動機構31は、供給ヘッド用第1移動部材32によって供給ヘッド用第2移動部材33を供給ヘッド載置部13aに対して水平方向におけるX方向に移動可能である。また、供給ヘッド用水平移動機構31は、供給ヘッド用第2移動部材33を供給ヘッド用第1移動部材32に対して水平方向におけるX方向に直交するY方向に移動可能である。つまり、供給ヘッド用水平移動機構31は、供給ヘッド用第2移動部材33を供給ヘッド載置部13aに対して水平方向におけるX方向及びX方向に直交するY方向に移動可能である。
【0078】
供給ヘッド用鉛直移動機構34は、供給ヘッド用水平移動機構31の移動方向である第1の方向及び第2の方向に対して垂直な方向に移動する板状の供給ヘッド用第3移動部材35を有する。供給ヘッド用第3移動部材35は、アクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニット等によって第3の方向に移動可能である。
【0079】
供給ヘッド用第3移動部材35は、供給ヘッド用第2移動部材33に配置される。この際、供給ヘッド用第3移動部材35は、移動方向である第3の方向がZ方向になるように配置される。これにより、供給ヘッド用第3移動部材35は、供給ヘッド載置部13aに対して水平方向におけるX方向及びY方向に移動可能、且つ鉛直方向であるZ方向に移動可能である。
【0080】
供給装置36は、圧電素子Pを配置する保持部材Hの凹部内に接合材を供給する装置である。供給装置36は、本実施形態において導電性の接着剤を所定量だけ吐出する吐出装置である。供給装置36は、供給ヘッド用第3移動部材35に配置される。供給装置36は、鉛直方向(Z方向)下方の保持部材Hの凹部内に接合材を供給可能な形状の吐出ノズル36aを有する。供給装置36は、水平方向に見て、鉛直方向(Z方向)下方に向かって吐出ノズル36aから接合材を吐出する。また、吐出ノズル36aは、Z方向から保持部材Hに接触した場合、Z方向に移動可能に構成されている。供給ヘッド用第3移動部材35に搭載される供給装置36は、供給ヘッド載置部13aに対して水平方向におけるX方向及びY方向に移動可能、且つ鉛直方向であるZ方向に移動可能である。
【0081】
また、供給装置36は、冷却装置36bを有している。冷却装置36bは、半導体熱電素子であるベルチェ素子と前記ペルチェ素子を冷却する空冷ファンとから構成されている。冷却装置36bは、吐出ノズル36aの近傍に位置している。冷却装置36bは、供給装置36内の接合材の温度を適切な温度に維持する。これにより、供給装置36は、内部の接合材の粘度が一定の範囲に維持されるので吐出ノズル36aにおける接合材のつまりを抑制することができる。
【0082】
また、供給装置36は、吐出ノズル36aのZ方向の位置を検出する接触センサ(図示せず)を有している。接触センサは、吐出ノズル36aのZ方向の動きを検出するセンサである。よって、接触センサは、吐出ノズル36aの先端が保持部材Hに接触したことを検出可能である。後述する制御装置16は、接触センサが吐出ノズル36aと保持部材Hとの接触を検出した際の供給ヘッド用第3移動部材35の位置をゼロ点として供給装置36を制御する。接触センサは、供給ヘッド用第3移動部材35が有する図示しないZ方向の案内装置よりも供給装置36側に配置される。好ましくは、接触センサは、吐出ノズル36aのZ軸線上に配置される。
【0083】
このように供給ヘッド30を構成する供給ヘッド用水平移動機構31及び供給ヘッド用鉛直移動機構34は、それぞれの移動方向毎にアクチュエータであるサーボモータを有している。また、供給ヘッド用水平移動機構31及び供給ヘッド用鉛直移動機構34は、互いに連動するように構成されていない。すなわち、供給ヘッド用水平移動機構31及び供給ヘッド用鉛直移動機構34は、互いに独立して個別に移動可能である。
【0084】
圧電振動デバイス製造装置1は、複数の供給ヘッド30を有している。圧電振動デバイス製造装置1は、例えば4台の供給ヘッド30を有している。4台の供給ヘッド30は、供給ヘッド移動装置13の供給ヘッド載置部13aに配置されている。これにより、4台の供給ヘッド30は、供給ヘッド移動装置13によって同時に待機位置Wと保持部材供給位置Shとの間を移動可能に構成される。一方、4台の供給ヘッド30の可動部分は、互いに連結されていない。つまり、4台の供給ヘッド30の供給装置36は、供給ヘッド載置部13aに搭載された状態において、互いに独立して個別にX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。
【0085】
供給ヘッド30は、X方向に2台並んで配置される。また、X方向に2台並んで配置された供給ヘッド30のY方向には、供給ヘッド30が1台ずつ並んで配置される。つまり、4台の供給ヘッド30はX方向とY方向とに並ぶマトリクス状に配置される。X方向に並んだ供給ヘッド30の供給装置36の吐出ノズル36aは、シート状の保持部材Hの間隔Pxの整数倍であるA倍の間隔になるように配置されている。Y方向に並んだ供給ヘッド30の供給装置36の吐出ノズル36aは、シート状の保持部材Hの間隔Pyの整数倍であるB倍の間隔になるように配置されている。
【0086】
また、供給ヘッド載置部13aには、供給装置36が捨て打ちのした接合材の塗布径を確認する確認カメラ37が載置されている。さらに、後述する待機位置Wであって、供給装置36の下方には、供給装置36が捨て打ちを行う捨て打ち部38が配置されている。
【0087】
このように構成することで4台の供給ヘッド30は、保持部材供給位置Shにおいて、保持部材Hに接合材を供給する際に供給ヘッド移動装置13及び供給ヘッド用水平移動機構31によって供給装置36の位置を移動させることなくそれぞれの供給装置36によって保持部材Hに接合材を供給可能である。つまり、4台の供給ヘッド30は、任意に選択した保持部材H、前記任意に選択した保持部材HからX方向にA個目の保持部材H、前記任意に選択した保持部材HからY方向にB個目の保持部材H、及び前記任意に選択した保持部材HからX方向にA個目、且つY方向にB個目の保持部材Hに接合材を供給可能である。
【0088】
図1図6とに示すように、圧電素子位置測定装置であるカメラ14は、4つの吸着ノズル28がそれぞれ吸着した圧電素子Pの吸着ヘッド20に対する位置を測定するカメラである。カメラ14は、架台2上であって、吸着ヘッド移動装置12よりも鉛直方向の下方に位置している。また、カメラ14は、鉛直方向に見て、吸着ヘッド移動装置12によって移動する吸着ヘッド20と重なる位置に配置される。また、カメラ14は、鉛直方向上方を撮影するように設置される。これにより、カメラ14は、吸着ヘッド移動装置12によって移動される吸着ヘッド20と、吸着ヘッド20がそれぞれ吸着している圧電素子Pとを吸着ヘッド20の下方から撮影可能である。つまり、カメラ14は、4つの吸着ノズル28がそれぞれ吸着した圧電素子Pの吸着ヘッド20に対する位置を測定するための画像を撮影可能である。
【0089】
保持部材位置測定装置であるレーザ測定装置15は、シート状に連結された複数の保持部材Hの位置を含む形状を測定する測定装置である。レーザ測定装置15は、架台2上であって、保持部材供給装置11よりも鉛直方向の上方に位置している。また、レーザ測定装置15は、鉛直方向に見て、保持部材供給装置11によって搬送されるシート状の保持部材Hと重なる位置に配置される。また、レーザ測定装置15は、鉛直方向下方にレーザを照射するように設置される。これにより、レーザ測定装置15は、保持部材供給装置11に供給されたシート状の保持部材Hを保持部材Hの上方から測定可能である。
【0090】
つまり、レーザ測定装置15は、シート状に連結された複数の保持部材Hのそれぞれの形状、位置、鉛直方向における各部位の厚さ情報に基づいて形状を三次元で測定可能である。また、レーザ測定装置15は、それぞれの保持部材Hの水平方向における位置および回転度合に対して整合するように回転及び水平方向に移動可能に構成されている。これにより、レーザ走査による保持部材の位置を含む形状をより正確に測定することができる。
【0091】
図6に示すように、制御装置16は、圧電素子供給装置10、保持部材供給装置11、吸着ヘッド移動装置12、供給ヘッド移動装置13、吸着ヘッド20、供給ヘッド30、カメラ14及びレーザ測定装置15を制御する。制御装置16は、実体的には、CPU、ROM、RAM等がバスで接続されている。または、制御装置16は、ワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置16は、各アクチュエータ、カメラ14、レーザ測定装置15の動作を制御したり画像データを処理したりするために種々のプログラムおよびデータが格納されている。
【0092】
制御装置16は、圧電素子供給装置10、保持部材供給装置11、吸着ヘッド移動装置12及び供給ヘッド移動装置13の各サーボモータと電気的に接続され、それぞれ独立して個別に制御可能である。また、制御装置16は、吸着ヘッド20の吸着ヘッド用水平移動機構21、吸着ヘッド用鉛直移動機構24及び吸着ヘッド用回転移動機構26のサーボモータと電気的に接続され、それぞれ独立して個別に制御可能である。また、制御装置16は、図示しない吸着ヘッド20の吸引切替用の電磁弁を制御可能である。また、制御装置16は、供給ヘッド用水平移動機構31及び供給ヘッド用鉛直移動機構34のサーボモータと電気的に接続され、それぞれ独立して個別に制御可能である。また、制御装置16は、4つの供給装置36と電気的に接続され、それぞれ独立して個別に制御可能である。
【0093】
制御装置16は、カメラ14と電気的に接続され、カメラ14を制御可能である。また、制御装置16は、カメラ14が撮影した画像を取得可能である。また、制御装置16は、レーザ測定装置15と電気的に接続され、レーザ測定装置15を制御可能である。また、制御装置16は、レーザ測定装置15が測定した複数の保持部材Hのそれぞれの位置、形状についての測定値を取得可能である。
【0094】
このように構成される圧電振動デバイス製造装置1は、吸着ノズル28をX方向、Y方向、Z方向及びθ方向に独立して個別に移動可能な吸着ヘッド20を複数有している。更に、圧電振動デバイス製造装置1は、複数の吸着ヘッド20における吸着ノズル28の位置をそれぞれ独立して個別に制御可能である。また、圧電振動デバイス製造装置1は、接合材の供給装置36をX方向、Y方向及びZ方向及に独立して個別に移動可能な供給ヘッド30を複数有している。更に、圧電振動デバイス製造装置1は、複数の供給ヘッド30における供給装置36の位置をそれぞれ独立して個別に制御可能である。
【0095】
<圧電素子の吸着位置と保持部材の位置について>
次に、図2A及び図2Bを用いて本発明の圧電振動デバイス製造装置1の4つの吸着ヘッド20が吸着する圧電素子PのトレイT上における位置と、圧電素子Pが配置される保持部材Hの位置とについて説明する。
【0096】
4つの吸着ヘッド20における吸着ノズル28は、互いにX方向に間隔PxのA倍の間隔を有し、Y方向に間隔PyのB倍の間隔を有している。よって、4つの吸着ヘッド20のうち第1の吸着ヘッド20は、圧電素子Pが収容されているトレイT上の複数の凹部Cのうち任意の位置の凹部Cに収容されている第1圧電素子P1を吸着する。4つの吸着ヘッド20のうち第2の吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1が収容されている凹部CからX方向にA個隣りの凹部Cに収容されている第2圧電素子P2を吸着する。4つの吸着ヘッド20のうち第3の吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1が収容されている凹部CからY方向にB個隣りの凹部Cに収容されている第3圧電素子P3を吸着する。4つの吸着ヘッド20のうち第4の吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1が収容されている凹部CからX方向にA個且つY方向にB個隣りの凹部Cに収容されている第4圧電素子P4を吸着する。
【0097】
4つの吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1が収容されている凹部CからX方向に1個隣りの凹部Cに収容されている圧電素子Pを吸着対象の圧電素子Pとして吸着する場合、第1圧電素子P1、第2圧電素子P2、第3圧電素子P3及び第4圧電素子P4がそれぞれ収容されている凹部CからX方向に1個隣りの凹部Cに収容されている圧電素子Pを吸着対象の圧電素子Pとして吸着する。4つの吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1が収容されている凹部CからY方向に1個隣りの凹部Cに収容されている圧電素子Pを吸着対象の圧電素子Pとして吸着する場合、第1圧電素子P1、第2圧電素子P2、第3圧電素子P3及び第4圧電素子P4がそれぞれ収容されている凹部CからY方向に1個隣りの凹部Cに収容されている圧電素子Pを吸着対象の圧電素子Pとして吸着する。
【0098】
従って、4つの吸着ヘッド20は、トレイT上の複数の凹部Cにおいて、第1圧電素子P1、第2圧電素子P2、第3圧電素子P3及び第4圧電素子P4が収容されている凹部CからそれぞれX方向に(A-1)個隣りの凹部Cまでの範囲と、第1圧電素子P1、第2圧電素子P2、第3圧電素子P3及び第4圧電素子P4が収容されている凹部CからそれぞれY方向に(B-1)個隣りの凹部Cまでの範囲で囲まれる4つの領域に含まれる凹部Cに収容されている圧電素子Pをそれぞれ吸着する。つまり、第1の吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1が収容される凹部Cを含む第1圧電素子領域Rp1内の圧電素子Pを吸着する。第2の吸着ヘッド20は、第2圧電素子P2が収容される凹部Cを含む第2圧電素子領域Rp2内の圧電素子Pを吸着する。第3の吸着ヘッド20は、第3圧電素子P3が収容される凹部Cを含む第3圧電素子領域Rp3内の圧電素子Pを吸着する。第4の吸着ヘッド20は、第4圧電素子P4が収容される凹部Cを含む第4圧電素子領域Rp4内の圧電素子Pを吸着する。このように、各吸着ヘッド20は、吸着ヘッド20の数に対応した数で等しい形状の領域に含まれる圧電素子Pをそれぞれ吸着する。
【0099】
第1圧電素子P1を吸着している第1の吸着ヘッド20は、任意の位置の保持部材Hである第1保持部材H1の凹部内に第1圧電素子P1を配置する。第2圧電素子P2を吸着している第2の吸着ヘッド20は、第1保持部材H1からX方向にA個隣りの保持部材Hである第2保持部材H2の凹部内に第2圧電素子P2を配置する。第3圧電素子P3を吸着している第3の吸着ヘッド20は、第1保持部材H1からY方向にB個隣りの保持部材Hである第3保持部材H3の凹部内に第3圧電素子P3を配置する。第4圧電素子P4を吸着している第4の吸着ヘッド20は、1保持部材H1からX方向にA個且つY方向にB個隣りの保持部材Hである第4保持部材H4の凹部内に第4圧電素子P4を配置する。このように、各保持部材Hは、圧電素子Pを保持している。
【0100】
4つの吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1を配置した第1保持部材H1からX方向に1個隣りの保持部材Hに圧電素子Pを配置する場合、第1保持部材H1、第2保持部材H2、第3保持部材H3及び第4保持部材H4からX方向に1個隣りの保持部材Hに圧電素子Pを配置する。4つの吸着ヘッド20は、第1圧電素子P1を配置した第1保持部材H1からY方向に1個隣りの保持部材Hの凹部内に圧電素子Pを配置する場合、第1保持部材H1、第2保持部材H2、第3保持部材H3及び第4保持部材H4からY方向に1個隣りの保持部材Hの凹部内に圧電素子Pを配置する。
【0101】
従って、4つの吸着ヘッド20は、シート状に連結された複数の保持部材Hにおいて、第1保持部材H1、第2保持部材H2、第3保持部材H3及び第4保持部材H4からそれぞれX方向に(A-1)個隣りの保持部材Hまでの範囲と、第1保持部材H1、第2保持部材H2、第3保持部材H3及び第4保持部材H4からそれぞれY方向に(B-1)個隣りの保持部材Hまでの範囲とによって囲まれる4つの領域に含まれる保持部材Hの凹部内に圧電素子Pをそれぞれ配置する。つまり、第1の吸着ヘッド20は、第1保持部材H1を含む第1保持部材領域Rh1内の保持部材Hの凹部内に第1圧電素子P1を配置する。第2の吸着ヘッド20は、第2保持部材H2を含む第2保持部材領域Rh2内の保持部材Hの凹部内に第2圧電素子P2を配置する。第3の吸着ヘッド20は、第3保持部材H3を含む第3保持部材領域Rh3内の保持部材Hの凹部内に第3圧電素子P3を配置する。第4の吸着ヘッド20は、第4保持部材H4を含む第4保持部材領域Rh4内の保持部材Hの凹部内に第4圧電素子P4をそれぞれ配置する。このように、各吸着ヘッド20は、吸着ヘッド20の数に対応した数で互いに等しい形状の領域に含まれる保持部材Hの凹部内に圧電素子Pをそれぞれ配置する。
【0102】
なお、吸着ヘッド20によって第1圧電素子領域Rp1内の任意の位置の凹部Cから吸着した圧電素子Pを、第1保持部材領域Rh1内において、吸着した圧電素子Pが収容されていた第1圧電素子領域Rp1内の凹部Cに対応する位置の保持部材Hに配置する場合、第1保持部材領域Rh1と第1圧電素子領域Rp1とは、等しい形状になる。第2保持部材領域Rh2と第2圧電素子領域Rp2とは、等しい形状になる。第3保持部材領域Rh3と第3圧電素子領域Rp3とは、等しい形状になる。第4保持部材領域Rh4と第4圧電素子領域Rp4とは、等しい形状になる。つまり、第1保持部材領域Rh1から第4保持部材領域Rh4内の保持部材Hの配置は、第1圧電素子領域Rp1から第4圧電素子領域Rp4内の圧電素子Pの配置と等しい。
【0103】
<圧電素子の配置位置の調整>
次に、図1図7及び図8を用いて本発明の圧電振動デバイス製造装置1の吸着ヘッド20における吸着ノズル28の位置調整について説明する。図7は、圧電振動デバイス製造装置1の複数の吸着ヘッド20が保持部材供給位置Shに圧電素子Pを搬送した状態の概略を示す平面図である。図8は、圧電振動デバイス製造装置1の複数の吸着ヘッド20が吸着ノズル28の位置を調整した状態の概略を示す平面図である。
【0104】
制御装置16は、保持部材供給装置11の位置に関する情報、吸着ヘッド移動装置12の位置に関する情報、供給ヘッド移動装置13の位置に関する情報、カメラ14の位置に関する情報、レーザ測定装置15の位置に関する情報、吸着ヘッド20の位置に関する情報及び供給ヘッド30の位置に関する情報を有している。
【0105】
図1に示すように、制御装置16は、レーザ測定装置15によって保持部材供給装置11によって搬送されるシート状の複数の保持部材Hの形状を測定する。この際、制御装置16は、レーザ測定装置15が測定したシート状の複数の保持部材Hの形状についての測定値を取得する。制御装置16は、保持部材Hの形状についての測定値を取得した後、保持部材供給装置11によってシート状の複数の保持部材Hを保持部材供給位置Shまで搬送する。
【0106】
制御装置16は、取得した複数の保持部材Hについての測定値とレーザ測定装置15が測定した際の保持部材供給装置11における複数の保持部材Hの搬送位置とから、測定した各保持部材HのX方向、Y方向及びZ方向における中心位置と長手方向の向きであるθ方向とについての座標値であるH(n)(x0、y0、z0、θ0)をそれぞれ算出する。なお、(n)は、保持部材Hの番号である。制御装置16は、測定した保持部材Hの座標値であるH(n)(x0n、y0n、z0n、θ0n)を保持部材Hの位置に関する情報Ihとして記憶する。
【0107】
図7に示すように、制御装置16は、複数の保持部材Hにおいて予め定められている圧電素子Pの接合順に基づいて、複数の保持部材Hのうち第1圧電素子P1から第4圧電素子P4が配置される第1保持部材H1から第4保持部材H4が保持部材供給位置Shに搬送されるように保持部材供給装置11を制御する。制御装置16は、算出した保持部材Hの位置に関する情報Ihに基づいて第1保持部材H1から第4保持部材H4の保持部材供給位置Shにおける座標値であるH1(x11、y11、z11、θ11)、H2(x12、y12、z12、θ12)、H3(x13、y13、z13、θ13)、H4(x14、y14、z14、θ14)を抽出する。
【0108】
制御装置16は、第1圧電素子P1から第4圧電素子P4までの4つの圧電素子Pをそれぞれ吸着した4つの吸着ヘッド20が保持部材供給位置Shまで搬送されるように吸着ヘッド移動装置12を制御する。制御装置16は、4つの吸着ヘッド20が吸着ノズル28でそれぞれ吸着した第1圧電素子P1から第4圧電素子P4を下方から撮影するようにカメラ14を制御する。
【0109】
制御装置16は、カメラ14が撮影した画像を取得する。制御装置16は、取得した画像から吸着ヘッド20と、吸着ノズル28に吸着された第1圧電素子P1から第4圧電素子P4を検出する。制御装置16は、検出した吸着ヘッド20及び吸着ノズル28に吸着された第1圧電素子P1から第4圧電素子P4と、画像を撮影した際の吸着ヘッド移動装置12における吸着ヘッド20の搬送位置とから、検出した第1圧電素子P1から第4圧電素子P4のX方向及びY方向の中心位置と長手方向の向きを示す座標値であるP1(x01、y01、θ01)、P2(x02、y02、θ02)、P3(x03、y03、θ03)、P4(x04、y04、θ04)をそれぞれ算出する。
【0110】
制御装置16は、第1保持部材H1から第4保持部材H4の保持部材供給位置ShにおけるX方向、Y方向及びθ方向の座標値であるH1(x11、y11、θ11)、H2(x12、y12、θ12)、H3(x13、y13、θ13)、H4(x14、y14、θ14)に基づいて、吸着ノズル28に吸着された第1圧電素子P1から第4圧電素子P4の保持部材供給位置Shにおける座標値であるP1(x11、y11、θ11)、P2(x12、y12、θ12)、P3(x13、y13、θ13)、P4(x14、y14、θ14)を算出し、圧電素子Pの位置に関する情報Ipとして記憶する。
【0111】
制御装置16は、保持部材供給位置Shにおける第1圧電素子P1の座標値であるP1(x11、y11、θ11)を、保持部材供給位置Shにおいて対応する第1保持部材H1の座標値であるH1(x11、y11、θ11)に一致させるために必要な吸着ノズル28のX方向、Y方向、θ方向及びZ方向の移動量であるAp1(x11、y11、z11、θ11)を算出する。同様にして、制御装置16は、保持部材供給位置Shにおける第2圧電素子P2から第4圧電素子P4の座標値であるP2(x12、y12、θ12)、P3(x13、y13、θ13)、P4(x14、y14、θ14)を、保持部材供給位置Shにおいてそれぞれ対応する第2保持部材H2から第4保持部材H4の座標値であるH2(x12、y12、θ12)、H3(x13、y13、θ13)、H4(x14、y14、θ14)に一致させるために必要な吸着ノズル28のX方向、Y方向、θ方向の調整量及びZ方向の移動量であるAp2(x11、y11、z11、θ11)、Ap3(x13、y13、z13、θ13)、Ap4(x14、y14、z14、θ14)を算出する。
【0112】
図8に示すように、制御装置16は、算出した4つの吸着ノズル28のX方向、Y方向、θ方向の調整量及びZ方向の移動量であるAp1(x11、y11、z11、θ11)、Ap2(x11、y11、z11、θ11)、Ap3(x13、y13、z13、θ13)、Ap4(x14、y14、z14、θ14)に基づいて、吸着ノズル28の水平方向の位置及び傾きを吸着ヘッド20毎に独立して個別に調整するために、それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用水平移動機構21及び吸着ヘッド用回転移動機構26を制御する。更に、制御装置16は、算出したZ方向の移動量に基づいて、第1圧電素子P1から第4圧電素子P4を第1保持部材H1から第4保持部材H4内に配置するために、それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用鉛直移動機構24を制御する。つまり、制御装置16は、圧電素子Pの位置に関する情報Ipと保持部材Hの位置に関する情報Ihとに基づいて、吸着ノズル28の位置を調整するために、それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用水平移動機構21、吸着ヘッド用鉛直移動機構24または吸着ヘッド用回転移動機構26のうち少なくとも一つを制御する。
【0113】
<接合材の供給位置の調整>
次に、本発明の圧電振動デバイス製造装置1の供給ヘッド30における吐出ノズル36aの位置調整について説明する。
【0114】
制御装置16は、4つの供給ヘッド30を保持部材供給位置Shに搬送するために、供給ヘッド移動装置13を制御する。制御装置16は、供給ヘッド30の位置に関する情報と、第1保持部材H1から第4保持部材H4の保持部材供給位置Shにおける座標値であるH1(x11、y11、z11、θ11)、H2(x12、y12、z12、θ12)、H3(x13、y13、z13、θ13)、H4(x14、y14、z14、θ14)とに基づいて、保持部材供給位置Shにおける4つの吐出ノズル36aの座標値であるJ1(x11、y11)、J2(x12、y12)、J3(x13、y13)、J4(x14、y14)を算出し、接合材の位置に関する情報として記憶する。
【0115】
制御装置16は、4つの供給装置36のうち一つの保持部材供給位置Shにおける座標値であるJ1(x11、y11)を、対応する第1保持部材H1の保持部材供給位置Shにおける座標値であるH1(x11、y11、z11、θ11)と一致させるために必要な吐出ノズル36aのX方向、Y方向、θ方向の調整量及びZ方向の移動量であるAj1(x11、y11、z11)を算出する。同様にして、制御装置16は、他の3つの吐出ノズル36aの保持部材供給位置Shにおける座標値であるJ2(x12、y12)、J3(x13、y13)、J4(x14、y14)を、それぞれ対応する第2保持部材H2から第4保持部材H4の保持部材供給位置Shにおける座標値であるH2(x12、y12、z12、θ12)、H3(x13、y13、z13、θ13)、H4(x14、y14、z14、θ14)と一致させるために必要な吐出ノズル36aのX方向、Y方向の調整量及びZ方向の移動量であるAj2(x12、y12、z12)、Aj3(x13、y13、z13)、Aj4(x14、y14、z14)を算出する。
【0116】
制御装置16は、算出した4つの吸着ノズル28のX方向、Y方向、θ方向の調整量及びZ方向の移動量であるAj1(x11、y11、z11)、Aj2(x12、y12、z12)、Aj3(x13、y13、z13)、Aj4(x14、y14、z14)に基づいて、吐出ノズル36aの水平方向の位置を供給ヘッド30毎に独立して個別に調整するために、それぞれの供給ヘッド30の供給ヘッド用水平移動機構31を制御する。更に、制御装置16は、Aj1(x11、y11、z11)、Aj2(x12、y12、z12)、Aj3(x13、y13、z13)、Aj4(x14、y14、z14)に基づいて、供給ヘッド30毎に吐出ノズル36aを鉛直方向に移動させて接合材を保持部材Hの凹部内に配置するために、それぞれの供給ヘッド30の供給ヘッド用鉛直移動機構34を制御する。つまり、制御装置16は、圧電素子Pの位置に関する情報Ipと保持部材Hの位置に関する情報Ihとに基づいて、供給装置36の位置を調整するために、それぞれの供給ヘッド30の供給ヘッド用水平移動機構31または供給ヘッド用鉛直移動機構34のうち少なくとも一つを制御する。
【0117】
次に、図9から図12を用いて、圧電振動デバイス製造装置1による圧電振動デバイスの製造方法に含まれる圧電素子搭載工程S100について説明する。図9は、圧電振動デバイスの製造方法に含まれる圧電素子搭載工程S100のフロー図である。図10は、圧電素子搭載工程S100おける保持部材位置情報取得工程S110、圧電素子供給工程S120、保持部材供給工程S125、圧電素子位置決め工程S130及び保持部材位置決め工程S135における圧電振動デバイス製造装置1の作動状態を示す平面図である。図11は、圧電素子搭載工程S100おける接合材供給位置調整工程S140及び接合材供給工程S150における圧電振動デバイス製造装置1の作動状態を示す平面図である。図12は、圧電素子搭載工程S100における圧電素子搬送工程S160、圧電素子位置情報取得工程S170、圧電素子位置調整工程S180及び圧電素子接合工程S190における圧電振動デバイス製造装置1の作動状態を示す平面図である。
【0118】
図9に示すように、圧電素子搭載工程S100は、保持部材位置情報取得工程S110と、圧電素子供給工程S120と、保持部材供給工程S125と、圧電素子位置決め工程S130と、保持部材位置決め工程S135と、接合材供給位置調整工程S140と、接合材供給工程S150と、圧電素子搬送工程S160と、圧電素子位置情報取得工程S170と、圧電素子位置調整工程S180と、圧電素子接合工程S190とを有している。
【0119】
圧電振動デバイス製造装置1の初期状態として、圧電素子供給装置10には、図示しない外部の供給ラインからトレイ載置部10aに複数の圧電素子Pが収容されたトレイTが供給されている。また、保持部材供給装置11には、図示しない外部の供給ラインから保持部材載置部11aにシート状の複数の保持部材Hが供給されている(図1参照)。
【0120】
保持部材位置情報取得工程S110は、複数の保持部材Hの位置に関する情報Ihを取得する工程である。保持部材位置情報取得工程S110において、レーザ測定装置15は、保持部材供給装置11によって複数の保持部材Hを移動させながら複数の保持部材Hの形状を測定する。レーザ測定装置15は、測定値を制御装置16に送信する。圧電素子搭載工程S100は、保持部材位置情報取得工程S110が完了後、圧電素子供給工程S120に移行する。
【0121】
図10に示すように、圧電素子供給工程S120は、トレイTに収容された複数の圧電素子Pのうち、保持部材Hに搭載する圧電素子Pを圧電素子供給位置Spに供給する工程である。圧電素子供給工程S120において、圧電素子供給装置10は、トレイ載置部10a上のトレイTに収容されている複数の圧電素子Pのうち対象となる圧電素子Pを、トレイ載置部10aによって圧電素子待機位置Wpから圧電素子供給位置Spの搬送基準位置まで搬送する。圧電素子搭載工程S100は、圧電素子供給工程S120が完了後、保持部材供給工程S125に移行する。
【0122】
保持部材供給工程S125は、複数の保持部材Hのうち、圧電素子Pを配置する保持部材Hを保持部材供給位置Shに供給する工程である。保持部材供給工程S125において、保持部材供給装置11は、保持部材載置部11a上の複数の保持部材Hのうち対象となる保持部材Hを、保持部材載置部11aによって保持部材待機位置Whから保持部材供給位置Shの搬送基準位置まで搬送する。圧電素子搭載工程S100は、保持部材供給工程S125が完了後、圧電素子位置決め工程S130に移行する。
【0123】
圧電素子位置決め工程S130は、圧電素子供給位置Spの搬送基準位置に搬送された複数の圧電素子Pのうち保持部材Hに接合する対象となる圧電素子Pを位置決めする工程である。圧電素子供給装置10は、圧電素子供給位置Spの搬送基準位置におけるトレイTに収容されている複数の圧電素子Pのうち対象となる圧電素子Pをトレイ載置部10aによって圧電素子供給位置Spに位置決めする。圧電素子搭載工程S100は、圧電素子位置決め工程S130が完了後、保持部材位置決め工程S135に移行する。
【0124】
保持部材位置決め工程S135は、保持部材供給位置Shの搬送基準位置に搬送された複数の保持部材Hのうち圧電素子Pが接合される対象となる保持部材Hを位置決めする工程である。保持部材供給装置11は、保持部材供給位置Shの搬送基準位置における複数の保持部材Hのうち対象となる保持部材Hを保持部材載置部11aによって保持部材供給位置Shに位置決めする。圧電素子搭載工程S100は、保持部材位置決め工程S135が完了後、接合材供給位置調整工程S140に移行する。
【0125】
図11に示すように、接合材供給位置調整工程S140は、接合材を供給する供給装置36の位置を調整する工程である。接合材供給位置調整工程S140において、供給ヘッド移動装置13は、供給ヘッド30を待機位置Wから保持部材供給位置Shまで搬送する。それぞれの供給ヘッド30の供給ヘッド用水平移動機構31は、制御装置16が算出したそれぞれの供給装置36の吐出ノズル36aのX方向、Y方向の調整量に基づいて、吐出ノズル36aの水平方向の位置を供給ヘッド30毎に独立して個別に調整する。圧電素子搭載工程S100は、接合材供給位置調整工程S140が完了後、接合材供給工程S150に移行する。
【0126】
接合材供給工程S150は、接合材を保持部材Hの凹部内に供給する工程である。接合材供給工程S150において、それぞれの供給ヘッド30の供給ヘッド用鉛直移動機構34は、制御装置16が算出したそれぞれの供給装置36の吐出ノズル36aのZ方向の移動量に基づいて、供給ヘッド30毎に供給装置36を鉛直方向下方に独立して個別に移動させる。供給装置36は、保持部材Hの凹部内に接合材を供給する。それぞれの供給ヘッド30の供給ヘッド用鉛直移動機構34は、接合材の供給が完了すると供給装置36を鉛直方向上方に移動させる。供給ヘッド移動装置13は、供給ヘッド30を保持部材供給位置Shから待機位置Wまで搬送する。圧電素子搭載工程S100は、接合材供給工程S150が完了後、圧電素子搬送工程S160に移行する。
【0127】
図12に示すように、圧電素子搬送工程S160は、保持部材Hに配置する圧電素子Pを、圧電素子供給位置pから保持部材供給位置Shに搬送する工程である。圧電素子搬送工程S160において、それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用鉛直移動機構24は、圧電素子供給位置Spにおいて吸着ノズル28を鉛直方向下方に移動させる。それぞれの吸着ヘッド20は、吸着ノズル28によってトレイTから圧電素子Pをそれぞれ吸着する。それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用鉛直移動機構24は、圧電素子供給位置Spにおいて吸着ノズル28を鉛直方向上方に移動させる。吸着ヘッド移動装置12は、吸着ヘッド20を保持部材供給位置Shに搬送する。圧電素子搭載工程S100は、圧電素子搬送工程S160が完了後、圧電素子位置情報取得工程S170に移行する。
【0128】
圧電素子位置情報取得工程S170は、吸着された圧電素子Pの位置に関する情報Ipを取得する工程である。圧電素子位置情報取得工程S170において、カメラ14は、吸着ヘッド移動装置12によって搬送中の吸着ヘッド20及び吸着ノズル28に吸着されている圧電素子Pを撮影する。カメラ14は、撮影した画像を制御装置16に送信する。圧電素子搭載工程S100は、圧電素子位置情報取得工程S170が完了後、圧電素子位置調整工程S180に移行する。
【0129】
圧電素子位置調整工程S180は、吸着ノズル28の位置を調整する工程である。圧電素子位置調整工程S180において、それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用水平移動機構21及び吸着ヘッド用回転移動機構26は、制御装置16が算出したそれぞれの吸着ノズル28のX方向、Y方向及びθ方向の調整量に基づいて、吸着ノズル28の水平方向の位置及び向きを吸着ヘッド20毎に独立して個別に調整する(図7図8参照)。圧電素子搭載工程S100は、圧電素子位置調整工程S180が完了後、圧電素子接合工程S190に移行する。
【0130】
圧電素子接合工程S190は、圧電素子Pを接合材が供給された保持部材Hの凹部内に配置し、圧電素子Pと保持部材Hとを接合する工程である。圧電素子接合工程S190において、それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用鉛直移動機構24は、制御装置16が算出したそれぞれの吸着ノズル28のZ方向の移動量に基づいて、吸着ヘッド20毎に吸着ノズル28を鉛直方向下方に独立して個別に移動させる。これにより、圧電素子Pは、接合材を介して保持部材Hに接合される。それぞれの吸着ヘッド20は、吸着ノズル28から圧電素子Pを開放する。それぞれの吸着ヘッド20の吸着ヘッド用鉛直移動機構24は、供給装置36を鉛直方向上方に移動させる。吸着ヘッド移動装置12は、吸着ヘッド20を圧電素子供給位置Spまで搬送する。圧電素子搭載工程S100は、圧電素子接合工程S190が完了後、圧電素子位置決め工程S130に移行する。
【0131】
また、圧電素子接合工程S190は、全ての保持部材Hに対して圧電素子Pを接合した場合、圧電素子Pがそれぞれ接合された複数の保持部材Hを保持部材供給位置Shから保持部材待機位置Whに搬送する。また、搬送された複数の保持部材Hは、圧電素子Pの搭載状態を確認するためにレーザ測定装置15によって複数の保持部材Hの位置に関する情報Ihを取得する。
【0132】
このように構成される圧電振動デバイス製造装置1は、複数の圧電素子Pが互いの相対距離を維持したマトリクス状に配列された状態で供給される。同様に、複数の保持部材Hが互いの相対距離を維持したマトリクス状に配列された状態で供給される。これにより、圧電振動デバイス製造装置1は、吸着ヘッド20に吸着された複数の圧電素子Pの位置に関する情報Ipと、保持部材Hの位置に関する情報Ihとを同時に取得することができる。
【0133】
また、圧電振動デバイス製造装置1は、吸着ヘッド20に吸着された複数の圧電素子P毎の位置に関する情報と、保持部材Hの位置に関する情報Ihとに基づいて、複数の吸着ノズル28のX方向、Y方向及びθ方向の位置を、吸着ヘッド用水平移動機構21及び吸着ヘッド用回転移動機構26によってそれぞれ独立して個別に調整する。これにより、複数の吸着ヘッド20は、それぞれが吸着した複数の圧電素子Pの位置を、保持部材Hの位置に応じてそれぞれ個別に調整することができる。これにより、吸着ヘッド20は、保持部材Hの形状のばらつきを考慮しつつ圧電素子Pを保持部材Hの凹部内に配置することができる。しかも、複数の吸着ヘッド20は、数値データである圧電素子Pの位置に関する情報Ipと保持部材Hの位置に関する情報Ihに基づいて吸着ノズル28の位置を個別に調整することができるので、位置合わせのための仮置き等を行う必要がない。
【0134】
また、複数の供給ヘッド30は、接合材を供給する位置を供給ヘッド用水平移動機構31及び供給ヘッド用鉛直移動機構34によって保持部材Hの位置に合わせてそれぞれ独立して個別に調整する。しかも、複数の供給ヘッド30は、数値データである保持部材Hの位置に関する情報Ihを取得することで供給装置36の位置を個別に調整することができるので、保持部材Hの位置合わせ等を行う必要がない。また、レーザ測定装置15は、保持部材供給位置Shに供給される複数の保持部材Hの水平方向だけでなく鉛直方向の位置をそれぞれ測定する。よって、複数の保持部材Hにそれぞれ配置する圧電素子Pの鉛直方向の位置を、保持部材Hの鉛直方向の位置に応じて独立して個別に調整することができる。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子Pを所定の位置に所定の向きで複数の保持部材Hの凹部内に高精度に配置することができる。
【0135】
また、圧電振動デバイスの製造方法は、保持部材Hの位置に関する情報Ihと、圧電素子搬送工程S160において搬送中に取得した圧電素子Pの位置に関する情報Ipとに基づいて、複数の圧電素子Pの位置をそれぞれ独立して個別に調整する圧電素子位置調整工程S180を有する。カメラ14は、吸着ヘッド20の吸着ノズル28によって吸着された圧電素子P及び吸着ノズル28を同時に撮影している。従って、圧電素子Pの位置に関する情報Ipには、複数の吸着ノズル28に対する圧電素子Pのずれが考慮されている。従って、これにより、圧電素子搬送工程S160の後に圧電素子Pを仮置き等によって吸着ノズル28に対して圧電素子Pを位置決めする工程を別途設ける必要がない。また、接合材供給位置調整工程S140は、数値データである保持部材Hの位置に関する情報Ihに基づいて接合部材の供給位置を個別に調整する。よって、圧電振動デバイスの製造方法は、保持部材H毎に個別の位置合わせ等を行う必要がない。したがって、タクトタイムを増加させることなく、複数の圧電素子Pを所定の位置に所定の向きで複数の保持部材Hの凹部内にそれぞれ配置することができる。
【0136】
[実施形態2]
<圧電振動デバイス製造装置の組み合わせ>
次に、図13図14とを用いて、本発明の圧電振動デバイス製造装置1を含む実施形態2である圧電振動デバイス製造ライン100の一部について説明する。図13は、圧電振動デバイス製造装置1を含む圧電振動デバイス製造ライン100の構成を示す平面図である。図14は、圧電振動デバイス製造装置1を含む圧電振動デバイス製造ライン100の制御構成を示すブロック図である。本実施形態における圧電振動デバイス製造ライン100の一部は、保持部材Hに圧電素子Pを搭載する搭載部110である。
【0137】
図13に示すように、搭載部110は、複数の圧電素子Pが収容されているトレイT、シート状に整列された複数の保持部材Hを搬送する搬送装置と複数の圧電振動デバイス製造装置1とを有する。本実施形態において、搭載部110は、搬送装置であるロボット移動装置111、供給台112及び搬送用ロボット113と、4台の圧電振動デバイス製造装置1とから構成されている。搭載部110は、圧電振動デバイス製造ライン100のライン制御装置120(図14参照)によって制御される。
【0138】
ロボット移動装置111及び搬送用ロボット113は、複数の圧電素子Pが収容されているトレイTを4台の圧電振動デバイス製造装置1の圧電素子供給装置10にそれぞれ搬送する。また、ロボット移動装置111及び搬送用ロボット113は、シート状に整列された複数の保持部材Hを4台の圧電振動デバイス製造装置1の保持部材供給装置11にそれぞれ搬送する。さらに、ロボット移動装置111及び搬送用ロボット113は、圧電素子Pが接合されたシート状の保持部材Hを4台の圧電振動デバイス製造装置1の保持部材供給装置11から回収する。
【0139】
ロボット移動装置111は、搬送用ロボット113を移動させる装置である。ロボット搬送装置は、例えばアクチュエータであるサーボモータと直動機構であるボールねじユニット等とを有する1軸の直動ユニットである。ロボット移動装置111の可動部には、搬送用ロボット113が積載されている。ロボット移動装置111は、Z方向に見て、搬送用ロボット113を移動させる方向をY方向として設置されている。よって、ロボット移動装置111は、搬送用ロボット113をY方向における任意の位置に移動可能に構成されている。
【0140】
供給台112は、複数の圧電素子Pが収容されているトレイT及びシート状の保持部材Hが貯留される台である。供給台112には、図示しない上流工程の供給装置または作業者によって、圧電素子Pが収容されているトレイT及びシート状の保持部材Hが供給される。供給台112は、ロボット移動装置111の端部に配置されている。
【0141】
搬送用ロボット113は、圧電素子Pが収容されているトレイTを圧電振動デバイス製造装置1の圧電素子供給装置10に供給する。また、搬送用ロボット113は、シート状の保持部材Hを圧電振動デバイス製造装置1の保持部材供給装置11に供給する。搬送用ロボット113は、例えば、2本のアームを有する相腕の水平多関節型ロボット(スカラ型ロボット)である。搬送用ロボット113は、ロボット移動装置111の可動部に搭載されている。よって、搬送用ロボット113は、Z方向に見て、ロボット移動装置111によってY方向の任意の位置に移動可能に構成されている。また、搬送用ロボット113は、鉛直方向に見て、それぞれのアームによってY方向(ロボット移動装置111による移動方向)に垂直なX方向における一方側(X+方向側)とX方向における他方側(X-方向側)とにトレイT及びシート状の保持部材Hを移動可能に構成されている。
【0142】
4台の圧電振動デバイス製造装置1は、それぞれ独立して圧電素子Pを保持部材Hに接合させる。4台の圧電振動デバイス製造装置1のうち2台の圧電振動デバイス製造装置1は、鉛直方向に見て、ロボット移動装置111の一方側に配置されている。また、2台の圧電振動デバイス製造装置1は、Y方向に2台並んで配置される。この際、2台の圧電振動デバイス製造装置1は、吸着ヘッド移動装置12の移動方向(Y方向)がロボット移動装置111の移動方向と平行になるように配置される。更に、2台の圧電振動デバイス製造装置1は、圧電素子供給装置10における圧電素子待機位置Wp及び保持部材供給装置11における保持部材待機位置Whがロボット移動装置111側且つ搬送用ロボット113の可動範囲内に位置するように配置されている。
【0143】
4台の圧電振動デバイス製造装置1のうち他の2台の圧電振動デバイス製造装置1は、鉛直方向に見て、ロボット移動装置111の他方側に配置されている。また、2台の圧電振動デバイス製造装置1は、Y方向に2台並んで配置される。この際、2台の圧電振動デバイス製造装置1は、吸着ヘッド移動装置12の移動方向(Y方向)がロボット移動装置111の移動方向と平行になるように配置される。更に、2台の圧電振動デバイス製造装置1は、圧電素子供給装置10における圧電素子待機位置Wp及び保持部材供給装置11における保持部材待機位置Whがロボット移動装置111側且つ搬送用ロボット113の可動範囲内に位置するように配置されている。
【0144】
このように構成される搭載部110は、搬送用ロボット113によって供給台112に貯留されているトレイTを4台の圧電振動デバイス製造装置1の圧電素子供給装置10における圧電素子待機位置Wpにそれぞれ供給可能である。また、搭載部110は、搬送用ロボット113によって供給台112に貯留されているシート状の保持部材Hを4台の圧電振動デバイス製造装置1の保持部材供給装置11における保持部材待機位置Whに供給可能である。更に、搭載部110は、搬送用ロボット113によって4台の圧電振動デバイス製造装置1の保持部材供給装置11における保持部材待機位置Whから圧電素子Pがそれぞれ収容されたシート状の保持部材Hを回収可能である。搭載部110は、搬送用ロボット113によって回収したシート状の保持部材Hを下流側の図示しない接合剤硬化炉に供給可能に構成されている。
【0145】
図13図14とに示すように、搭載部110の4台の圧電振動デバイス製造装置1のうち少なくとも1台は、圧電振動デバイス製造ライン100のライン制御装置120から生産開始に関する制御信号が入力されると圧電振動デバイスの製造を開始する。なお、ライン制御装置120は、圧電素子デバイスの生産量に基づいて稼働させる圧電振動デバイス製造装置1の台数を決定する。
【0146】
稼働中の圧電振動デバイス製造装置1は、例えば、圧電素子Pの供給が必要な場合、ライン制御装置120に対して圧電素子Pの供給信号を出力する。ライン制御装置120は、前記圧電素子Pの供給信号を取得すると、搬送装置に対して圧電素子Pを供給させる制御信号を出力する。ロボット移動装置111及び搬送用ロボット113は、供給台112から複数の圧電素子Pが収容されているトレイTを圧電振動デバイス製造装置1の圧電素子供給装置10における圧電素子待機位置Wpに供給する。
【0147】
稼働中の圧電振動デバイス製造装置1は、例えば、圧電素子Pが収容されているトレイTの排出が必要な場合、ライン制御装置120に対して圧電素子Pが収容されているトレイTの排出信号を出力する。ライン制御装置120は、圧電素子Pが収容されているトレイTの排出信号を取得すると、ロボット移動装置111及び搬送用ロボット113に対して圧電素子Pが収容されているトレイTを排出させる制御信号を出力する。ロボット移動装置111及び搬送用ロボット113は、圧電振動デバイス製造装置1の保持部材供給装置11における保持部材待機位置Whから圧電素子Pが収容されているトレイTを回収し、図示しない接合剤硬化炉に供給する。
【0148】
このように圧電振動デバイス製造ライン100は、圧電振動デバイス製造装置1を複数組み合わせることで、圧電振動デバイスの生産量に柔軟に対応することができる。
【0149】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態において、圧電振動デバイス製造装置1は、4つの吸着ヘッド20及び4つの供給ヘッド30を有している。しかしながら、圧電振動デバイス製造装置1は、吸着ヘッド20及び供給ヘッド30をそれぞれ複数有していればよい。
【0150】
また、上述の実施形態において、複数の供給ヘッド30は、それぞれの供給装置36の位置を同時に調整可能な構成でもよい。また、複数の吸着ヘッド20は、それぞれの吸着ノズル28の位置を同時に調整可能な構成でもよい。これにより、吸着ヘッド20及び供給ヘッド30の数に関わらず、複数の吸着ヘッド20及び複数の供給ヘッド30の位置を調整するために必要な時間が抑制される。
【0151】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス製造装置1は、圧電素子位置測定装置としてカメラ14が撮影した画像から、吸着ヘッド20に対する圧電素子Pの位置を測定している。しかしながら、圧電素子位置測定装置は、吸着ノズルに吸着された圧電素子の位置を測定できる装置であればよい。圧電素子位置測定装置は、例えばレーザ測定装置等であってもよい。
【0152】
また、上述の実施形態において、カメラ14は、架台2上に配置されている。しかしながら、カメラは、吸着ヘッドに搭載されていてもよい。
【0153】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス製造装置1は、保持部材位置測定装置としてレーザ測定装置15が測定した測定値から複数の保持部材Hの位置を算出している。しかしながら、保持部材位置測定装置は、複数の保持部材の形状を測定できる装置であればよい。保持部材位置測定装置は、カメラ等であってもよい。
【0154】
また、上述の実施形態において、吸着ヘッド移動装置12は、1軸の直動ユニットから構成されている。しかしながら、吸着ヘッド移動装置は、吸着ヘッドを圧電素子供給位置から保持部材供給位置まで移動可能な装置であればよい。吸着ヘッド移動装置は、例えば、水平多関節ロボットまたは垂直多関節ロボットであってもよい。圧電素子供給装置及び保持部材供給装置についても同様である。
【0155】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス製造装置1は、1つの保持部材供給装置11によって複数の保持部材Hを保持部材供給位置Shに供給している。しかしながら、圧電振動デバイス製造装置は、複数の保持部材供給装置を有していてもよい。圧電振動デバイス製造装置は、複数の保持部材供給装置を有することで、一方の保持部材供給装置によって圧電素子の配置が完了した複数の保持部材を排出中に他の保持部材供給装置によって供給された複数の保持部材に圧電素子を配置することができる。
【0156】
また、上述の実施形態において、トレイTには、圧電素子Pを収納するための凹部Cを有している。しかしながら、トレイTは、複数の圧電素子をマトリクス状に配置した状態で供給できればよい。
【0157】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス製造装置1に供給される複数の保持部材Hは、シート状に連結されている。しかしながら、複数の保持部材は、マトリクス状に配置された状態で供給可能であればよい。複数の保持部材は、例えば、マトリクス状に複数の凹部が配置されたトレイにそれぞれ収容されていてもよい。
【0158】
また、上述の実施形態において、圧電素子供給装置10、保持部材供給装置11、吸着ヘッド移動装置12、供給ヘッド移動装置13、吸着ヘッド20の吸着ヘッド用水平移動機構21、吸着ヘッド用鉛直移動機構24及び吸着ヘッド用回転移動機構26、供給ヘッド30の供給ヘッド用水平移動機構31及び供給ヘッド用鉛直移動機構34は、サーボモータをアクチュエータとする1軸の直動ユニットであるが限定するものではない。圧電素子供給装置10、保持部材供給装置11、吸着ヘッド移動装置12、供給ヘッド移動装置13、吸着ヘッド20の移動機構及び供給ヘッド30の移動機構は、リニアモータ等の移動量を制御できる構成であればよい。
【0159】
また、上述の実施形態において、レーザ測定装置15は、それぞれの保持部材Hの水平方向における位置および回転度合に対して整合するように回転及び水平方向に移動可能に構成されている。しかしながら、保持部材が保持部材供給装置に対して高精度に配置されている場合、レーザ測定装置は、Y方向にのみ移動可能に構成されていてもよい。この場合、保持部材は、保持部材供給装置によってX方向に移動される。よって、レーザ測定装置は、シート状の保持部材の形状を測定可能である。レーザ測定装置は、Y方向のみに移動可能に構成することで、可動部分のガタ、位置ずれ等が抑制されるので、より高精度に測定可能である。あるいは、レーザ測定装置を固定化し、保持部材のみが保持部材供給装置によってX方向およびY方向に移動可能な構成にしてもよい。
【0160】
また、上述の実施形態において、保持部材Hは、圧電素子Pを配置可能な凹部を有する筐体である。保持部材Hは、凹部内に圧電素子Pが配置される。しかしながら、保持部材は、圧電素子を配置可能な凹部を有さない平板状部材であってもよい。前記保持部材は、平板状部材の平面上に圧電素子が配置される。この場合、保持部材は、凹部を有する蓋部材(深絞りキャップ構造)によって覆われる。
【0161】
また、上述の実施形態2において、搭載部110は、4台の圧電振動デバイス製造装置1を有している。しかしながら、搭載部は、1台以上3台以下の圧電振動デバイス製造装置を有していてもよい。また、搭載部は、5台以上の圧電振動デバイス製造装置を有していてもよい。
【0162】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 圧電振動デバイス製造装置
2 架台
10 圧電素子供給装置
10a トレイ載置部
11 保持部材供給装置
11a 保持部材載置部
12 吸着ヘッド移動装置
12a 吸着ヘッド載置部
13 供給ヘッド移動装置
13a 供給ヘッド載置部
14 カメラ
15 レーザ測定装置
16 制御装置
20 吸着ヘッド
21 吸着ヘッド用水平移動機構
22 吸着ヘッド用第1移動部材
23 吸着ヘッド用第2移動部材
24 吸着ヘッド用鉛直移動機構
25 吸着ヘッド用第3移動部材
26 吸着ヘッド用回転移動機構
27 吸着ヘッド用第4移動部材
28 吸着ノズル
30 供給ヘッド
31 供給ヘッド用水平移動機構
32 供給ヘッド用第1移動部材
33 供給ヘッド用第2移動部材
34 供給ヘッド用鉛直移動機構
35 供給ヘッド用第3移動部材
36 供給装置
36a 吐出ノズル
36b 冷却装置
36c 接触センサ
100 圧電振動デバイス製造ライン
110 搭載部
111 ロボット移動装置
112 供給台
113 搬送用ロボット
120 ライン制御装置
P 圧電素子
P1 第1圧電素子
P2 第2圧電素子
P3 第3圧電素子
P4 第4圧電素子
H 保持部材
H1 第1保持部材
H2 第2保持部材
H3 第3保持部材
H4 第4保持部材
Ip 圧電素子の位置に関する情報
Ih 保持部材の位置に関する情報
C 凹部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14