(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/26 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B65D1/26 120
(21)【出願番号】P 2019067405
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【氏名又は名称】山本 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【氏名又は名称】野口 晴加
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【氏名又は名称】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】荒内 隆志
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-017709(JP,U)
【文献】中国実用新案第2568549(CN,Y)
【文献】特開2014-172080(JP,A)
【文献】特開2014-237463(JP,A)
【文献】欧州特許第01366996(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材から成るブランクを成形して製造される容器であって、
底部と、この底部から起立する周壁部とを有し、
前記周壁部は、平坦に形成された平面状部分と、前記周壁部の起立する方向へ延びる線状の折り曲げ部に沿って前記周壁部が折り曲げられて形成された襞状部分とを有し、
前記底部に対し前記周壁部を直立させた状態において、前記襞状部分の少なくとも一部が、前記平面状部分よりも前記底部からの高さが高く形成されており、
前記ブランクの状態において、前記襞状部分に対応する領域である襞状部分形成領域の端縁部及び前記底部に対応する部分である底面相当部における前記襞状部分形成領域の前記端縁部に対向する外縁部が円弧状に形成され、前記襞状部分形成領域における前記円弧状の部分の中心の位置が、前記底面相当部における前記円弧状の部分の中心の位置よりも外側に設定されており、
前記襞状部分形成領域の前記端縁部となっている前記円弧状の部分の中心を、前記底面相当部の前記外縁部の前記円弧状の部分上の点に設定し、その半径を、
前記平面状部分に対応する領域である平面状部分形成領域の前記端縁部から前記底面相当部までの間隔寸法より大きい前記襞状部分形成領域の前記端縁部から前記底面相当部までの間隔寸法に設定した、容器。
【請求項2】
前記底部に対し前記周壁部を直立させた状態において、前記襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さが、前記平面状部分の高さ以上に設定されている、請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記襞状部分は、前記周壁部が前記平面状部分に対し外側へ突出するように折り曲げられて形成されたものである、請求項1又は請求項2記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、プラスチックフィルム、金属箔又はこれらの積層体などのシート状部材から成る容器に関し、特に、周壁部に平坦な平面状部分と周壁部を折り曲げて形成した襞状部分とを有する容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は従来の容器の一例を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図であり、
図9は従来の容器の製造に用いられるブランクの平面図であり、
図10は
図8の容器の周壁部を直立させた状態を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図であり、
図11は
図8のY-Y線における拡大した断面図である。
【0003】
紙等のシート状部材から成り、底部と周壁部とを有し上面が開口する容器は、例えば食品の収納用として広く使用されている。又、
図8に示すような、上部が開口し、底部54とこの底部54から起立する周壁部55とを有し、周壁部55が、平坦に形成された平面状部分56と、周壁部55の起立する方向へ延びる線状の折り曲げ部55aに沿って周壁部55を折り曲げて形成した襞状部分57とを有する容器53が、例えば特許文献1に記載されている。このような襞付きの容器は、従来、プレス成形装置を用いてプレス成形法により製造される。
【0004】
図8に示す形状の容器53は、
図9に示す、外周縁が円弧状の部分52aと直線状の部分52bとを組み合わせた形状であるブランク50を用いて製造される。このブランク50は、周壁に相当する部分52の周縁部から、底部に相当する部分51までの間隔寸法d1が、円弧状の部分52aでも直線状の部分52bでも同一寸法となるように設定されている。このため、
図10に示すように周壁部55を底部54に対し直立させた状態では、襞状部分57の最大の高さが、平面状部分56の端縁部と同じ高さとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容器53は、物品等を収容する場合、通常、周壁部55を外側に傾斜させて上面の開口を広げた状態で使用される。又、襞状部分57は、平面状部分56に対し外側へ突出するように周壁部55を折り曲げることにより形成されている。このため、容器53の使用状態において、
図11に示すように、襞状部分57の内側の稜線58aと平面状部分56とが同じ角度θ1で傾斜しているとき、外側の稜線58bは、周壁部55の折り曲げ幅で決まる角度θ2だけ更に傾斜した姿勢となる。従って、襞状部分57の端縁部の底部54からの高さについては、内側の稜線58aの上端の部分57aでは平面状部分56と同じ高さh1となるが、外側の稜線58bの上端の部分57bでは、h1より低い高さh2となる。尚、高さh1、h2の値は、ブランク50(
図9参照)の設定により稜線58a、58bの長さがいずれもd1であるから、上記角度θ1、θ2を用いて、それぞれh1=d1・cosθ1、h2=d1・cos(θ1+θ2)と表せる。そして、0°<θ1<θ1+θ2<90°であるから、h1>h2である。
【0007】
このように従来の容器53は、襞状部分57の端縁部が平面状部分56よりも高くなることがないため、物品の収容量が十分ではなかった。特に、液状の食品等の流動性を有する物品を収容する場合は、平面状部分56よりも高さが低くなる襞状部分57の上端の部分57bがオーバーフロー位置となるため、十分な収容量を確保できないという問題があった。
【0008】
本発明は、周壁部に平面状部分と襞状部分とを有する容器における収容量を増大させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シート状部材から成るブランクを成形して製造される容器であって、底部と、この底部から起立する周壁部とを有し、周壁部は、平坦に形成された平面状部分と、周壁部の起立する方向へ延びる線状の折り曲げ部に沿って周壁部が折り曲げられて形成された襞状部分とを有し、底部に対し周壁部を直立させた状態において、襞状部分の少なくとも一部が、平面状部分よりも底部からの高さが高く形成されており、ブランクの状態において、襞状部分に対応する領域である襞状部分形成領域の端縁部及び底部に対応する部分である底面相当部における襞状部分形成領域の端縁部に対向する外縁部が円弧状に形成され、襞状部分形成領域における円弧状の部分の中心の位置が、底面相当部における円弧状の部分の中心の位置よりも外側に設定されており、襞状部分形成領域の端縁部となっている円弧状の部分の中心を、底面相当部の外縁部の円弧状の部分上の点に設定し、その半径を、平面状部分に対応する領域である平面状部分形成領域の端縁部から底面相当部までの間隔寸法より大きい襞状部分形成領域の端縁部から底面相当部までの間隔寸法に設定したものである。
【0010】
このように構成すると、襞状部分の少なくとも一部の高さが平面状部分よりも高い容器となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、底部に対し周壁部を直立させた状態において、襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さが、平面状部分の高さ以上に設定されているものである。
【0012】
このように構成すると、襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さが、直立させた状態の平面状部分の高さ以上に設定されることにより、容器の使用状態における襞状部分の最低高さ位置が上昇する。その結果、オーバーフロー位置を、平面状部分の高さに近づけるか、又は、それ以上の高さ位置とすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、襞状部分は、周壁部が平面状部分に対し外側へ突出するように折り曲げられて形成されたものである。
【0014】
このように構成すると、襞状部分が平面状部分より外側へ突出することで、容器の内部空間が拡張される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、襞状部分の少なくとも一部が平面状部分よりも高さが高くなっているので、比較的粒径の大きい粒状の部材や粘度が比較的高いペースト状の食品等、襞状部分で支持し得る性状の物品に対する収容量を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、容器のオーバーフロー位置が上昇するので、比較的粒径の小さい粒状の部材や、液状、ゲル状、粉状の食品等、流動性を有する物品を収容し得る量を増大させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、内部空間が拡張されるから、収容量の大きい容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による容器を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【
図2】(A)は、
図1の容器の製造に用いられるブランクの平面図、(B)はこのブランクの一部を拡大した平面図である。
【
図3】
図1の容器の周壁部を直立させた状態を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【
図4】
図1のX-X線における拡大した断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態による容器を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【
図6】(A)は、
図5の容器の製造に用いられるブランクの平面図、(B)はこのブランクの一部を拡大した平面図である。
【
図7】
図5の容器の周壁部を直立させた状態を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【
図8】従来の容器の一例を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【
図9】従来の容器の製造に用いられるブランクの平面図である。
【
図10】
図8の容器の周壁部を直立させた状態を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【
図11】
図8のY-Y線における拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態による容器を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図であり、
図2の(A)は、
図1の容器の製造に用いられるブランクの平面図、(B)はこのブランクの一部を拡大した平面図であり、
図3は
図1の容器の周壁部を直立させた状態を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図であり、
図4は
図1のX-X線における拡大した断面図である。
【0020】
この実施の形態の容器20Aの基本的な形態は従来と共通である。即ち、
図1に示すように、上部が開口し、底部21と、この底部21から起立する周壁部22とを有し、周壁部22は、平坦に形成された平面状部分23と、周壁部22の起立する方向へ延びる線状の折り曲げ部22aに沿って周壁部22を折り曲げて形成した襞状部分24とを有する。
本例の襞状部分24は、平面状部分23に対し周壁部22を外側へ突出するように折り曲げることにより形成される。又、襞状部分24は、平面視において、仮想長方形の4隅に該当する4箇所に設けられる。
【0021】
本例の容器20Aは、周壁部22を底部21に対し直立させた状態において、襞状部分24を、その底部21からの高さが、平面状部分23よりも高くなるように形成したものである。このような形態の容器20Aは、
図2に示すブランク10Aをプレス成形することによって得ることができる。
【0022】
尚、ブランク10Aは、紙、プラスチックフィルム、金属箔又はこれらの積層体などのシート状部材から成り、複数の製品を同時に製造する場合は、複数枚のブランク10Aを積層した状態で使用する。
【0023】
ブランク10Aは、
図2に示すように、容器の底部に対応する底面相当部11と周壁部に対応する周壁相当部12とを有し、周壁相当部12は、平面状部分に対応する平面状部分形成領域12bと襞状部分に対応する襞状部分形成領域12aとを有する。底面相当部11の外縁部及び周壁相当部12の端縁部はいずれも、円弧と直線とを組み合わせた形状である。そして本例では、周壁相当部12のうち、端縁部が円弧状である部分が襞状部分形成領域12aであり、端縁部が直線状である部分が平面状部分形成領域12bに設定される。
【0024】
図1の(B)を参照して、襞状部分形成領域12aについて、その端縁部から底面相当部11までの間隔寸法を、平面状部分形成領域12bの端縁部から底面相当部11までの間隔寸法D2より大きく設定する。具体的な設定例は、次のとおりである。
【0025】
従来のブランクでは、周壁相当部12の端縁部における円弧状部分14と底面相当部11の外縁部の円弧状部分13とは点P1を共通の中心とする同心円であり、周壁相当部12の端縁部における直線状の部分と底面相当部11の外縁部の直線状部分とは互いに平行となるように設定され、周壁相当部12の端縁部から底面相当部11までの間隔寸法D2は一定である。これに対し本例のブランク10Aでは、襞状部分形成領域12aの端縁部となっている円弧状部分の中心を、底面相当部11の外縁部の円弧状部分13上の点P2に設定し、その半径を、上記D2より大きいD1に設定するものとした。これにより、襞状部分形成領域12aの端縁部から底面相当部11までの間隔寸法D1が、平面状部分形成領域12bの端縁部から底面相当部11までの間隔寸法D2よりも大きく設定されることになる。
【0026】
このブランク10Aを、従来公知の装置及び方法を用いてプレス成形することにより、本例の容器20Aを製造することができる。使用するプレス成形装置及び製造方法の概略は以下の通りである。
【0027】
プレス成形装置は、雄型と、成形面を備え、一方側及び他方側が開口する成形空間を有する雌型とを含み、雄型の押圧部は成形空間の連通方向に沿って進退可能に構成される。又、雄型を雌型に対し接近・離隔させるための移動手段、雄型及び雌型それぞれを加熱するためヒータ、このヒータの動作を制御するための制御手段等を備える。
【0028】
容器の製造方法は以下のような工程で行われる。始めに、ヒータで、雄型及び雌型を適温に加熱した状態とする。次に、雌型における成形空間の一方側にブランクを配置し、続いて移動手段により雄型を雌型に接近する方向へ移動させ、雄型と雌型との間にブランクを挟んだ状態とする。引き続き、雄型と雌型との間にブランクを挟んだ状態で、雄型の押圧部を成形空間へ向かって移動させ、ブランクを成形空間内へ押圧する。これにより、ブランクの底部に相当する部分が成形空間内へ押し込まれると同時に、周壁に相当する部分が成形面に接触することで起立する。その際、周壁部が起立する方向へ延びる線状の折り曲げ部に沿って折り曲げられ、多数の襞状部分が形成された第1のブランク成形体が成形される。
【0029】
引き続き、雄型を雌型から離隔させ、第1のブランク成形体を成形空間内に保持した状態で、成形空間の一方側に第2のブランクを配置した後、前述の工程を再度実行して、第1のブランク成形体に積み重なるように第2のブランク成形体を形成する。
【0030】
以上の工程を何度か反復することにより、成形空間内にブランク成形体が蓄積され、後続して成形されるブランク成形体の底部により先行して成形されたブランク成形体の周壁部が押圧される結果、ブランク成形体は成形空間内を一方側から他方側へ移動することになり、最終的に雌型の他方側から、完成した容器として排出される。
【0031】
こうして製造される容器20Aは、ブランク10Aにおける襞状部分形成領域12a及び平面状部分形成領域12bを上述のように設定したことにより、
図3に示すように、周壁部22を底部21に対し直立させた状態において、襞状部分24の底部21からの最大高さH1が平面状部分23の高さH2よりも高くなると共に、襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さが平面状部分の高さ以上に設定された形態に形成することができる。そして、その結果、容器20Aの収容量を従来よりも増大させることが可能となる。その理由を次に説明する。
【0032】
図4に示すように、容器20Aに物品を収容する場合、通常、周壁部22を外側に傾斜させて、上面の開口を広げた状態で使用される。この状態において、襞状部分24の内側の稜線25aの鉛直方向に対する傾斜角度が平面状部分23と同じ角度θ1とする。比較のため、このθ1を
図11のθ1と同じ値とする。又、外側の稜線25bについても、周壁部23の折り曲げ幅で決まる角度θ2だけ更に傾斜するものとし、このθ2も
図11のθ2と同じ値とする。
【0033】
本例では襞状部分24が平面状部分23よりも外側に突出するように折り曲げ形成されているので、襞状部分24の端縁部の底部21からの高さについては、内側の稜線25aの部分が高く、外側の稜線25bの部分では低くなるという高低差が生じる。ブランク10A(
図2参照)は、襞状部分形成領域12aの端縁部が円弧状に形成され、その中間点で従来の端縁部14との寸法差が最大となるように設定されている。従って、容器20Aの襞状部分24の端縁部は、中間位置にある内側の稜線25aの上端の部分24aで高さH3が最大となり、ブランク10Aの設定から、H3=D1・cosθ1である。他方、平面状部分22に隣接する外側の稜線25bの上端の部分24bで高さH5が最低になると考えられ、この稜線25bの長さをD3とすると、H5=D3・cos(θ1+θ2)である。平面状部分23の高さH4は、ブランク10Aの設定により、その端縁部から底部21までの間隔寸法がD2なので、H4=D2・cosθ1である。
【0034】
容器20Aのオーバーフロー位置は、周壁部22の高さが最低になる部分24bの高さ位置である。従来の容器では、どの稜線の長さも、平面状部分の端縁部から底部までの間隔寸法と等しく設定されていた(D1=D2=D3)。これに対し、本例では、襞状部分24の最低高さを規定する稜線25bの長さD3が、平面状部分23の上記間隔寸法D2よりも大きく設定される(D3>D2)から、高さが最低になる部分24bの高さH5は、従来の最低部分の高さh2(
図11参照)よりも高くなる。従って、オーバーフロー位置が上昇するから、液状の食品等の流動性物品の収容量を増大させることができる。
【0035】
又、ブランク10Aの設定によりD1>D2であるから、高さが最大となる部分24aの高さH3は、平面状部分23の高さH4よりも高くなる(H3>H4)。これにより、比較的粒径の大きい粒状の部材や粘度の比較的高いペースト状の食品等、襞状部分で支持し得る性状の物品の収容量を増やすことも可能である。
【0036】
[第2の実施の形態]
図5は本発明の第2の実施の形態による容器を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図であり、
図6の(A)は、
図5の容器の製造に用いられるブランクの平面図、(B)はこのブランクの一部を拡大した平面図であり、
図7は
図5の容器の周壁部を直立させた状態を示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【0037】
本例の容器20Bは、平面視した底部21の外縁部が、線対称に配置された2つの半円状の部分とこれらを繋ぐ直線状の部分とで構成され、直線状の部分から起立する周壁部22を平面状部分23とし、半円状の部分から起立する周壁部22を襞状部分24とするものである。そして、周壁部22を底部21に対し直立させた状態において、襞状部分24が平面状部分23よりも高くなるように形成されるものである。
【0038】
図6を参照して、この容器20Bを製造するためのブランク10Bは、周壁部に対応する周壁相当部12が、襞状部分に対応する襞状部分形成領域12a、12cと、平面状部分に対応する平面状部分形成領域12bとを含む。本例では、襞状部分形成領域が、端縁部が円弧状の領域(12a)と短い直線状の領域(12c)とを含んでいる。
【0039】
そして、襞状部分形成領域12a、12c及び平面状部分形成領域12bは、周壁相当部12を底面相当部11に対し起立させて底部と周壁部とを形成した状態において、襞状部分の少なくとも一部が平面状部分よりも高くなると共に、襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さが平面状部分の高さ以上に設定された形態に形成するため、以下のように設定される。
【0040】
図6の(B)を参照して、ブランク10Bにおける襞状部分形成領域12a、12cの端縁部から底面相当部11までの間隔寸法D4を、平面状部分形成領域12bの端縁部から底面相当部11までの間隔寸法D5よりも大きく設定する。従来のブランクでは、周壁相当部12の端縁部における円弧状部分14と底面相当部11の外縁部の円弧状部分13とは点Q1を共通の中心とする同心円であり、周壁相当部12の端縁部における直線状の部分と底面相当部11の外縁部の直線状部分とは互いに平行となるように設定されている。これに対し本例のブランク10Bでは、襞状部分形成領域12aの端縁部における円弧部分は、その中心Q2を、底面相当部11の円弧状部分13の中心Q1よりも外側の位置に設定すると共に、上記間隔寸法D4が間隔寸法D5よりも大きくなるように、その半径Rを設定するものとした。
【0041】
このような設定により、ブランク10Bをプレス成形して得られる製品10Bは、
図7に示すように、周壁部22を底部21に対し直立させた状態において、襞状部分24が平面状部分23よりも高く、且つ、襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さが平面状部分の高さ以上である形態に形成することが可能である。
【0042】
尚、本発明の実施の形態を示す図面には、平面状部分に対し周壁部を外側へ突出するように折り曲げて襞状部分を形成する場合について図示したが、反対に、周壁部を平面状部分よりも内側へ折り込んで襞状部分を形成してもよい。更には、稜線が平面状部分に対し内側と外側の両方に位置するように周壁部を折り曲げて襞状部分を形成してもよい。
【0043】
襞状部分は、底部の中心軸に対し回転対称となるように配置するのが好ましいが、容器の形状によっては、非対称に配置してもよい。
【0044】
更に、襞状部分の端縁部における最も高くなる部分に、底部の表面と平行となる平坦な領域を形成してもよい。このように構成すると、容器をプレス成形で製造する工程において、複数のブランク成形体を積層した状態で成形装置から押し出す際に、ブランク成形体に作用する荷重を分散させることができるから、ブランク成形体の変形が起こりにくくなるという効果が得られる。このような形態の容器は、ブランクにおいて、高さが最も高くなる稜線の頂部周囲を、外側へ膨出させる形状とすることで得られる。
【0045】
更に、襞状部分は、底部からの高さが平面状部分よりも高く形成されている部分を少なくとも一部に有していればよく、周壁部を直立させた状態において必ずしも、襞状部分における最低高さを規定する稜線の長さを、平面状部分の高さ以上に設定しなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10A、10B…ブランク
11…底面相当部
12…周壁相当部
12a、12c…襞状部分形成領域
12b…平面状部分形成領域
20A、20B…容器
21…底部
22…周壁部
23…平面状部分
24…襞状部分
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。